JP2011201292A - インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッド及び記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッド及び記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】新たな基板形成プロセスを追加せずに、配線に用いられる材料が溶出し続けることを抑制できるようにした技術を提供する。
【解決手段】インクジェット記録ヘッド用基板は、インクを吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子に対して、発熱に必要な電力を供給するための一対の個別導電層と、一対の個別導電層の一方に接続され、一対の個別導電層に電流を供給する第1の共通導電層と、一対の個別導電層の他方に接続され、一対の個別導電層から電流が流れ込む第2の共通導電層と、一対の個別導電層の一方と第1の共通導電層との間、及び一対の個別導電層の他方と第2の共通導電層との間に設けられ、一対の個別導電層、第1の共通導電層及び第2の共通導電層に用いられる材料に比べてインクへの溶解度が低く、且つ導電性を有する材料からなる隔絶層とを具備する。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッド用基板、インクジェット記録ヘッド及び記録装置に関する。
一般的なサーマル型インクジェット記録ヘッドにおいては、インクを吐出させるための吐出用ヒータと電気的接続を行なう配線とが同一基板上に作りこまれ、更にその上にインクを吐出させるためのノズルが形成される。
近年、インクジェット記録技術の大判印刷機、商業印刷機などへの展開が活発になっている。大判印刷機や商業印刷機などでは家庭用プリンタやオフィス複写機などに比べて記録量が多く、また、記録処理の頻度も多い。すなわち、インクジェット技術を大判印刷機や商業印刷機などへ展開を進める場合、インクジェット記録ヘッドにおいては、従来以上の高耐久性が求められる。
インクジェット記録ヘッドの耐久性を向上させる手段の一つとして、不吐検出及び不吐補完技術がある。不吐検出及び不吐補完技術とは、一定数のヒータが使用できなくなっても、記録画像への悪影響を最小限に抑える技術である。一般に、1つでもヒータに不良が発生すると、対応するノズルからインク滴が吐出されず、記録画像に白スジが発生するなどの不具合が発生する。そのため、比較的少数のヒータによる吐出不良が発生した時点で、インクジェット記録ヘッドが記録動作不良を起こしたと判断されるが、不吐検知及び不吐補完技術を用いることで、一定数の吐出不良により記録画像が不鮮明になるという事態を緩和できる。この技術によれば、記録ヘッドが記録動作不良を起こしたと判断されるヒータ故障数の閾値を上げることができ、記録ヘッドの耐久性を向上させられる。
ここで、不吐検出技術の一例として、特許文献1の技術が知られている。この技術では、振動板を用いて使用不可能なヒータを特定する。そして、変位を電気的又は磁気的に検知可能な振動板にインク滴を吐出し、同振動板の変位の有無によって使用不可能なノズルを検出する。
また、不吐補完技術の一例として、特許文献2の技術が知られている。この技術では、互いに隣接するヒータの駆動タイミングをノズルへのインクリフィル周期以下に抑え、1吐出タイミング内で不吐出ノズルの隣接ノズルを2度打ちする。一般に、不吐補完技術では、吐出不良のヒータに対応した他のヒータを代替ヒータとして用いる。
上述した記録ヘッドの耐久性の他、記録ヘッド用基板の基板サイズの縮小化が求められている。基板サイズを規定する要素の1つにヒータ配線領域の確保がある。例えば、ヒータ配線の共通化は、基板サイズの縮小化に極めて有効である。ヒータ配線の共通化に際しては、ヒータ列内のヒータ配線抵抗差がインク滴吐出性能にできるだけ影響を与えないようにする必要がある。
図10は、ヒータ配線が部分的に共通化されたインクジェット記録ヘッド用基板の構成の一例を示す図である。インク供給口240の両側にそれぞれヒータ列210が配置されている。1つのヒータ列に対して列両端にそれぞれ電源パッド231が用意されている。更に、ヒータ列210は、6つのブロックに分割されており、また、各ブロックに属するヒータは、共通のヒータ配線220に接続されている。共通ヒータ配線220は、ブロック毎のヒータ配線抵抗が略同一になるように、電源パッド231からの距離に応じて配線幅が調節されている。
ヒータ列210のブロックの一部を示す領域Kの拡大図には、ヒータ211と、スイッチング素子251とが示される。また更に、ヒータ駆動電圧供給用パッドに接続される駆動電圧側共通ヒータ配線221と、グラウンド電圧供給用パッドに接続されるグラウンド側共通ヒータ配線223と、駆動電圧側個別ヒータ配線222と、グラウンド側個別ヒータ配線224とが示される。スイッチング素子251は、下層の導電層及びゲート電極層を用いて構成されており、蓄熱層(第2の蓄熱層150)を介してヒータ211及びヒータ配線に対応付けて設けられる。スイッチング素子251は、第2の蓄熱層150の開口部であるスルーホール264を介してグラウンド側個別ヒータ配線224と電気的に接続されており、更にスルーホール263を介してグラウンド側共通ヒータ配線223と電気的に接続されている。図10に代表される従来の技術では、ヒータブロック端から折り返して駆動電圧側共通ヒータ配線221を配線し、グラウンド側共通ヒータ配線223をストレートに配線している。これにより、ヒータブロック内の配線抵抗を略均一に揃えている。
更に、ヒータ211及びヒータ配線は、絶縁材料からなる保護膜層で被覆されており、インクなどから保護される。保護膜層のヒータ211に対応する部分には、インクを発泡して吐出する際に生じるキャビテーションからヒータ211を保護するために耐キャビテーション層が設けられている。
図11は、ヒータ配線が完全に共通化されたインクジェット記録ヘッド用基板の構成の一例を示す図である。インク供給口240の両側にヒータ列210がそれぞれ配置される。1つのヒータ列の列両端に電源パッド231がそれぞれ配置されている。また、ヒータ列内に属する全ヒータが共通のヒータ配線220に接続されている。共通ヒータ配線の抵抗成分がヒータ配線に比べて十分に低く、ヒータ列の端部及び中央部のヒータ配線の抵抗差がインク滴吐出性能に与える影響が少なければ、当該ヒータ配線構成は有効である。つまり、インク滴吐出性能に与える影響等が少なければ、図11に示す構成は、図10に示すような部分的に共通化されたヒータ配線に比べて、効率的な配線レイアウトを実現できる。
特開平07−032608号公報 特開2006−231857号公報 特開2006−51770号公報
上述した通り、ヒータ配線の共通化は、効率的な配線レイアウトを実現する上で効果的である。しかし、このような構成を採用した場合、吐出不良が連続した複数のヒータで連鎖して発生し易いという課題がある。
ここで、連続して複数のヒータが吐出不良になるメカニズムについて説明する。図12(a)は、ヒータ配線が部分的に共通化された記録ヘッド用基板のヒータ周辺の一例であり、1つのヒータを被覆する保護膜層に何らかの影響でピンホール等の穴が発生して、ヒータを構成する発熱抵抗層と個別ヒータ配線とがインクに接した直後の状態を示している。破線枠内がピンホール等により吐出不良となったヒータを示す。
このように保護膜層に穴が生じて個別ヒータ配線222及び224が直接インクに晒されると、時間の経過と共にヒータ配線の材料が溶出し、ヒータ配線の腐食が進行する。なお、Lは、ヒータ配線の腐食を示している。本明細書中で腐食とは、インクにより配線の材料がイオン化して溶出することで、ヒータの吐出不良が発生するような配線状態になることをいうものとする。
図12(b)は、保護膜層にピンホールが発生した後、図12(a)に示す記録ヘッド用基板が継続使用された場合の一例を示す図である。この場合、ヒータ配線の腐食Lは、駆動電圧側共通ヒータ配線221まで進行しており、同一共通ヒータ配線に接続されるヒータ213へのヒータ駆動電圧の供給が遮断されてしまっている。そのため、最初に吐出不良が生じたヒータと同一の共通ヒータ配線に接続されるヒータも使用不可能となってしまう。
この場合、上述した不吐検知及び不吐補完技術を用いればよいと考えられるが、不吐補完技術においては、吐出不良が発生したヒータを補完するために他のヒータを代替ヒータとして用いる。そのため、吐出不良のヒータ数が増加すると不吐補完を行なうことができなくなる。また、隣接ノズルを用いて補完を行なう場合、吐出不良のヒータが特定箇所に集中すると十分に色ムラを低減することができなくなる。
すなわち、ヒータ配線を共通化した記録ヘッド用基板を有する記録ヘッドにおいて、不吐検知及び不吐補完によるヘッド耐久性の向上を効果的に行なうには、複数のヒータで吐出不良が連続して発生する現象を抑制する構成が必要になる。
上記課題に対して、特許文献3においては、ヒータ配線部とヒータ部の境界領域に耐腐食性金属を用いた電極部を配置し、1つのヒータに対応する保護膜層に穴が生じても、他のヒータへ配線に腐食の伝搬が生じることを抑制する技術が提案されている。しかし、この技術では、基板形成プロセスにおいて耐腐食性金属層工程を追加する必要があり、基板コストの増加の他、生産性の低下を招いてしまう可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、新たな基板形成プロセスを追加せずに、配線に用いられる材料が溶出し続けることを抑制できるようにした技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によるインクジェット記録ヘッド用基板は、インクを吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子に対して、発熱に必要な電力を供給するための一対の個別導電層と、前記一対の個別導電層の一方に接続され、前記一対の個別導電層に電流を供給する第1の共通導電層と、前記一対の個別導電層の他方に接続され、前記一対の個別導電層から電流が流れ込む第2の共通導電層と、前記一対の個別導電層の一方と前記第1の共通導電層との間、及び前記一対の個別導電層の他方と前記第2の共通導電層との間に設けられ、前記一対の個別導電層、前記第1の共通導電層及び前記第2の共通導電層に用いられる材料に比べてインクへの溶解度が低く、且つ導電性を有する材料からなる隔絶層とを具備する。
本発明によれば、新たな基板形成プロセスを追加せずに、配線に用いられる材料が溶出し続けることを抑制できる。
本発明の一実施の形態に係わる記録装置の斜視図 図1(a)に示す記録装置におけるインクジェット記録ヘッド用基板の斜視図。 記録装置の機能的な構成の一例を示す図。 本実施形態に係わるインクジェット記録ヘッド用基板200の製造方法を説明する図。 インクジェット記録ヘッド用基板の模式的な上面図。 インクジェット記録ヘッド用基板の模式的な上面図。 図4に示す領域Cの拡大図の一例を示す図。 (a)は図4に示す領域Cの拡大図の一例を示す図であり、(b)は(a)に示すJ−J’の断面の一例を示す図。 記録装置におけるヒータを駆動するための回路の概略図。 記録装置における記録制御処理の一例を示すフローチャート。 従来技術の一例を示す図。 従来技術の一例を示す図。 従来技術の一例を示す図。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明においては、インクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。記録装置は、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであってもよいし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであってもよい。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であってもよい。
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。また、「ノズル」とは、特に断らない限り吐出口、これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言う。
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係わるインクジェット記録装置(以下、記録装置と呼ぶ)1の斜視図である。
記録装置1は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)3をキャリッジ2に搭載し、キャリッジ2を矢印A方向(走査方向)に往復移動させて記録を行なう。記録装置1は、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送する。そして、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
記録装置1のキャリッジ2には、記録ヘッド3の他、例えば、インクカートリッジ6が搭載される。インクカートリッジ6は、記録ヘッド3に供給するインクを貯留する。なお、インクカートリッジ6は、キャリッジ2に対して着脱自在になっている。
図1(a)に示す記録装置1は、カラー記録が可能である。そのため、キャリッジ2には、例えば、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクをそれぞれ収容する4つのインクカートリッジが搭載されている。これら4つのインクカートリッジは、それぞれ独立して着脱できる。
記録ヘッド3には、インクジェット記録ヘッド用基板(以下、基板と略す場合もある)が設けられており、当該基板上には、複数のノズル列が配列される。記録ヘッド3は、例えば、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式により構成される。そのため、記録ヘッド3には、発熱素子(以下、ヒータと呼ぶ場合もある)等の記録素子や、記録素子の駆動制御を行なう制御回路が設けられる。ヒータは、各ノズル(吐出口)に対応して設けられ、記録信号に応じて対応するヒータにパルス電圧が印加される。
キャリッジ2の往復運動の範囲外(記録領域外)には、記録ヘッド3の吐出不良を回復する回復装置4が配設されている。回復装置4が設けられる位置は、いわゆるホームポジションなどと呼ばれ、記録動作が行なわれていない間、記録ヘッド3はこの位置で静止する。
図1(b)は、図1(a)に示す記録ヘッド3に用いられるインクジェット記録ヘッド用基板200の斜視図を示す。インクジェット記録ヘッド用基板200は、液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生するヒータ211がSi基板100の上側に設けられており、更にその上に流路形成部材14が設けられている。Si基板100には、インクを供給するためのインク供給口(インク供給口240)がSi基板100を貫通して設けられている。
流路形成部材14は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化物で設けることができ、液体を吐出するための吐出口13と、吐出口13に連通する流路46の壁とを有している。この壁を内側にして、流路形成部材14がSi基板100の上側に接することで流路46が設けられている。流路形成部材14に設けられた吐出口13は、インク供給口240に沿って所定のピッチで列をなすように設けられている。インク供給口240から供給された液体は、流路46に運ばれ、更にヒータ211の発生する熱エネルギーによって液体が膜沸騰することで気泡を生じる。このときに生じる圧力により液体が、吐出口13から吐出されることで、記録動作が行なわれる。また、Si基板100の上側には、記録装置1との電気的接続を行なう端子17が設けられている。
次に、図2を用いて、図1(a)に示す記録装置1の機能的な構成の一例について説明する。
コントローラ600は、MPU601、ROM602、特殊用途集積回路(ASIC)603、RAM604、システムバス605、A/D変換器606、不吐検出部607などを具備して構成される。ここで、ROM602は、制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納する。
ASIC603は、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御を行なう。また、ASIC603は、記録ヘッド3を制御するための制御信号の生成も行なう。RAM604は、画像データの展開領域やプログラム実行のための作業用領域等として用いられる。システムバス605は、MPU601、ASIC603、RAM604を相互に接続してデータの授受を行なう。A/D変換器606は、後述するセンサ群から入力されるアナログ信号をA/D変換し、変換後のデジタル信号をMPU601に供給する。
ここで、ASIC603は、不吐検出部607において、記録開始前に、記録ヘッド3におけるインク不吐の有無を判定する。そして、不吐と判定されたノズルに対応するヒータで吐出不良が生じていると判断する。
620は、スイッチ群であり、電源スイッチ621、プリントスイッチ622、回復スイッチ623などを具備して構成される。630は、装置状態を検出するためのセンサ群であり、位置センサ631、温度センサ632等から構成される。ASIC603は、記録ヘッド3の走査に際して、RAM604の記憶領域に直接アクセスしながら記録ヘッド3に対してヒータ211を駆動するためのデータを転送する。
キャリッジモータM1は、キャリッジ2を所定方向に往復走査させるための駆動源であり、キャリッジモータドライバ640は、キャリッジモータM1の駆動を制御する。搬送モータM2は、記録媒体を搬送するための駆動源であり、搬送モータドライバ642は、搬送モータM2の駆動を制御する。記録ヘッド3は、記録媒体の搬送方向と直交する方向(走査方向)に走査される。
また、610は、画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)であり、例えば、ホスト装置などと称される。ホスト装置610と記録装置1との間では、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等の授受が行なわれる。
(実施形態1)
以下、上述したインクジェット記録ヘッド用基板200の構成について説明する。
ここで、図4には、インクジェット記録ヘッド用基板200の第2の導電層170(後述する図3(a)〜(h)参照)を模式的に示した上面図が示される。
インクジェット記録ヘッド用基板200には、インクを供給するためのインク供給口240がSi基板を貫通して設けられている。インク供給口240は、矩形形状に設けられており、この長手方向に沿ってインク供給口240の両側にはヒータを配列してなる発熱素子列(ヒータ列)210がそれぞれ配置されている。
インクジェット記録ヘッド用基板200には、当該基板200の短辺の端部の端子17として、記録装置1の電源装置からヒータの駆動用電圧を供給するための電源パッド231が設けられている。
ヒータ列210は、6つの群(ブロック)を構成するように分割されており、各ブロックに属する複数のヒータは、第2の導電層170からなる共通ヒータ配線220に接続されている。共通ヒータ配線220は、ブロック毎のヒータと電源パッド231との間の配線抵抗が実質的に同一になるように設けられている。
図5は、インクジェット記録ヘッド用基板200における制御回路201と駆動素子列250とを模式的に示した上面図である。
ここで、インクジェット記録ヘッド用基板200には、当該基板200の端子17として更に、外部から論理信号及び制御回路201の駆動電圧を入力する信号パッド232が設けられている。インクジェット記録ヘッド用基板200には、複数のヒータのそれぞれに通電するか否かを決定するためのON/OFF制御を行なうスイッチング素子を複数配列してなる駆動素子列(スイッチング素子列)250が設けられている。インクジェット記録ヘッド用基板200には、外部から入力された論理信号をスイッチング素子を制御するための信号に展開するため、ラッチ回路やシフトレジスタ等を含む制御回路201が設けられている。
図6は、図4に示すインクジェット記録ヘッド用基板200における領域Cの拡大図を示す。
インクジェット記録ヘッド用基板200の領域Cには、ヒータ211及びスイッチング素子251が配置されている。また、領域Cには、駆動電圧(電力)を複数のヒータ211に共通に供給するための駆動電圧側共通ヒータ配線221(第1の共通導電層)が設けられている。更に、複数設けられるヒータ211を共通に接地するためのグラウンド側共通ヒータ配線223(第2の共通導電層)が設けられている。
ここで、駆動電圧側共通ヒータ配線221と、それぞれのヒータ211との間は、駆動電圧側個別ヒータ配線222で接続されている。グラウンド側共通ヒータ配線223とそれぞれのヒータ211との間は、スイッチング素子251を介してグラウンド側個別ヒータ配線224により接続されている。ここで、駆動電圧側共通ヒータ配線221は、複数の駆動電圧側個別ヒータ配線222に電力を供給する配線である。駆動電圧側個別ヒータ配線222は、駆動電圧側共通ヒータ配線221から供給される電力を個々のヒータ211に供給する配線である。また、グラウンド側個別ヒータ配線224は、ヒータ211に供給された後の電力を回収しグラウンド側共通ヒータ配線223にそれを出力する配線である。グラウンド側共通ヒータ配線223は、複数のグラウンド側個別ヒータ配線224から当該電力を回収する配線である。
より具体的には、スイッチング素子251の一方は、蓄熱層(第2の蓄熱層150)の開口部であるスルーホール264を介してグラウンド側個別ヒータ配線224と電気的に接続されている。スイッチング素子251の他方は、スルーホール263を介してグラウンド側共通ヒータ配線223と電気的に接続されている。
インクジェット記録ヘッド用基板200には、領域Dにスイッチング素子251やヒータを設けるのと同じ製造工程で、吐出不良の連鎖を防止するために連鎖防止部255(図3(h)参照)が形成される。連鎖防止部255は、1つのヒータ211に対応する保護膜層(保護膜層380)にピンホール等の穴が生じ、接続された駆動電圧側個別ヒータ配線222で腐食が生じたとしても、連鎖防止部255で配線材料の溶出を抑止することができる。そのため、他のヒータに接続される駆動電圧側個別ヒータ配線222の材料の溶出、すなわち、腐食が連鎖するのを防止する。これにより、1つのヒータ211で吐出不良が生じたとしても、他のヒータ211で吐出不良が生じないようにすることができる。
具体的には、領域Dにおいて、第2の導電層170の下側には金属導電層(発熱抵抗層160)が設けられており、第2の導電層170と第1の導電層340との間に、インクに接したとしても腐食し難い材料を設けている。つまり、第2の導電層170で設けられた駆動電圧側個別ヒータ配線222は、腐食し難い材料を介して駆動電圧側共通ヒータ配線221に接続されている。ここで、腐食し難い材料として、ヒータの発熱抵抗層の材料を兼用して用い、同じ製造工程で設けることで、製造工程を増やすことなく連鎖防止部255を設けることができる。
図3(h)は、図6に示すE−E’断面の一例である。本実施形態において、Si基板はp型のものを用いている。Si基板100側から見て、N+領域301、熱酸化膜層110、ゲート電極層320、第1の蓄熱層130、第1の導電層340、第2の蓄熱層150、発熱抵抗層160、第2の導電層170、保護膜層380、耐キャビテーション層390の順に積層される。
スイッチング素子251及びAND回路等の制御回路は、MOS等からなり、N+領域301、第1の導電層340、ゲート電極層320、Si基板100で形成される。本実施形態においてスイッチング素子251は、n型のMOS−FETで設けられた例を用いて説明を行なう。
また、ヒータ211は、通電することで熱が発生する材料である発熱抵抗層160と、発熱抵抗層160に接して設けられたAl等の導電材料とからなる。より具体的には、一対の第2の導電層170の間の領域(一対の個別配線層)がヒータとして用いられる。このとき、一対の第2の導電層170の一方を示す170aは、駆動電圧側個別ヒータ配線222であり、他方170bはグラウンド側個別ヒータ配線224である。
連鎖防止部255には、第1の導電層340からなる迂回部340aが設けられている。迂回部340aと第2の導電層170の一方を示す170aとの間に発熱抵抗層160が設けられている。また、迂回部340aは、発熱抵抗層160を介して駆動電圧側共通ヒータ配線221である第2の導電層170cに接続されている。なお、図3(h)に示す断面図においては、説明を分かり易くするため、E’側における(第2の導電層170で設けられる)駆動電圧側共通ヒータ配線221を省略している。
(発熱抵抗層160に用いることができる材料)
第1の導電層340や第2の導電層170に用いられるAl等からなる導電材料は、インクなどの溶液に溶解し易い。そのため、少なくとも第1の導電層340や第2の導電層170に比べて、インクによって溶解され難い腐食防止材料であって、導電性を有する材料を隔絶層として用いる。
この隔絶層を介して第1の導電層340と第2の導電層170とを電気的に導通させることにより、インクによる配線の腐食を隔絶層で止めることができ吐出不良の連鎖を防止することができる。このような隔絶層として、ヒータの発熱抵抗層にも用いることができる材料を適用することにより従来の製造工程を増やすことなく、連鎖防止部255を設けることができる。
ヒータの発熱抵抗層(隔絶層)として用いることができる材料は、以下の条件を満たす必要がある。
1、高融点材料であること、
2、比抵抗が1000〜2000μΩ・cm程度の高抵抗化可能な材料であること、
3、温度による抵抗率変化が起きないこと、
4、熱的安定性が高いこと。
このような条件を満たす材料としては、Ta、W、Cr、Hf、Nb、V、Ti、Zr、Mo、Mn、Co、Ni、Laの材料が挙げられ、これらの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金であることが必要である。
一方、インクに接したとしても溶解され難い腐食防止材料(溶解性(溶解度)の低い材料)としては、アルカリ性インクで安定とされるTa、Nb、Hf、Fe、Pt、Rh、Pdが挙げられる。従って、これらを少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金を用いることが必要である。また、この中でも特にTa、Nb、Pt、Rhは、アルカリ性インクに限らず安定するとされている。
以上のことから、本実施形態に係わる連鎖防止部255において、腐食の伝搬を防止し且つ発熱抵抗層として用いることができる材料は、Ta、Nb、Hfの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金であるといえる。更に、アルカリ性インクに限らず腐食を防止するためには、Ta、Nbの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金であることが好ましい。
(製造方法)
次に、インクジェット記録ヘッド用基板200の製造方法を順に説明する。まず、図3(a)に示すように、Si基板100上に、N+領域301、熱酸化膜層110、第1の蓄熱層130、第2の蓄熱層150が積層されている基板を用意する。
N+領域301は、Si基板100にイオン注入法等を用いて形成することができ、熱酸化膜層110は、Si基板100を熱酸化させることで設けることができる。また、ゲート電極層320には、例えば、ポリシリコンを用いることができる。第1の蓄熱層130は、SiOにリンをドープしたBPSG等の絶縁材料を積層して用いることができる。更に、Al等の導電材料を用いて第1の導電層340を形成する。スイッチング素子251のための第1の導電層340bの形成と同時に、連鎖防止部255になる部分に迂回部となる第1の導電層340aをパターニングにより設ける。
次に、図3(b)に示すように、第1の導電層340の上にプラズマCVD法等を用いてシリコンを主成分とする絶縁材料からなる第2の蓄熱層150を設ける。具体的には、SiOやSiNを用いれば良い。
次に、図3(c)に示すように、スイッチング素子251になる部分と連鎖防止部255になる部分とに、同時にスパッタ法等を用いて発熱抵抗層160を設ける。この発熱抵抗層160は、連続した一層として形成されており、上述した通り、隔絶層としての機能を果たす。発熱抵抗層160として用いることのできる材料としては、Ta、Nb、Hfの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金を用いる。また、アルカリ性インクに限らず腐食を防止するためにはTa、Nbの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金を用いることが好ましい。
次に、図3(d)に示すように、Al等の導電材料からなる第2の導電層170を設ける。
次に、図3(e)に示すように、連鎖防止部255になる部分及びスイッチング素子251になる部分における第2の導電層170及び発熱抵抗層160をドライエッチング法などのエッチング技術を用いて一括で除去する。このように第2の導電層170と発熱抵抗層160とを同時にパターニングすることにより、位置ずれが発生しないため、精度良くヒータを形成することができる。これにより、連鎖防止部255においては、隔絶層が設けられる。
次に、図3(f)に示すように、ヒータになる部分の第2の導電層170をウェットエッチング等のエッチング技術を用いて、一対の個別導電層になるようにエッチングする。
次に、図3(g)に示すように、連鎖防止部255とスイッチング素子251の上にインクから保護するためにシリコンを主成分とする絶縁材料からなる保護膜層380を設ける。具体的には、SiOやSIN等を用いれば良い。
次に、図3(h)に示すように、ヒータになる部分の保護膜層の上に、気泡が消泡する際に生じるキャビテーションからヒータを保護するためにTa等からなる耐キャビテーション層390を設ける。このとき、ヒータ211に対応する位置に吐出口13が位置するように流路形成部材14を形成する。
以上の構成により、駆動電圧側個別ヒータ配線222及び駆動電圧側共通ヒータ配線221は、隔絶層を介して隣接する第1の導電層340aにより電気的に接続される。インクによる腐食を防止可能な材料を隔絶層の材料として用いることで、保護膜層380に欠陥が生じるなどして個別ヒータ配線が腐食したとしても、共通ヒータ配線に腐食が直接進行しない。
従って、1つのヒータで吐出不良が発生したとしても、連続して吐出不良が発生することのない信頼性の高いインクジェット記録ヘッド用基板を設けることができる。更に隔絶層を発熱抵抗層と同じ材料とし、同時に設けることにより製造工程を追加することなくインクジェット記録ヘッド用基板を設けることができる。
このようなインクジェット記録ヘッド用基板200を用いた記録ヘッド3と、従来のインクジェット記録ヘッド用基板を用いた記録ヘッドとを用意し、耐久試験を行なった結果について説明する。
耐久試験に使用した両基板にはともに、シート抵抗200Ω、ヒータサイズ一片が35μmのヒータが備えられる。当該ヒータは、インク供給口の両側に片側300dpiの間隔で120個配列され、合計240個配列される。また、ヒータ駆動電圧パッドとグラウンド電圧パッドとがそれぞれ4つ用意され、20個のヒータに対応する個別ヒータ配線各々に共通ヒータ配線が接続される。更に、両記録ヘッドはともに、その両基板に30plのインク滴が吐出されるよう設計されたノズルが形成されている。両記録ヘッドを全ノズル3kHzの吐出周波数で連続記録させた。
その結果、両ヘッドともに、約2.1×108パルス程度で1つのヒータで保護膜層にピンホールが生じることで吐出不良が生じた。ここで、従来の記録ヘッドでは、1つのヒータで保護膜層にピンホールが生じることで吐出不良が発生した後、約0.1×107パルスの電圧を印加した時点で吐出不良となったヒータが属する群の残り19個のヒータが使用不可となった。
これに対して、本実施形態に係わるインクジェット記録ヘッド用基板200を用いた記録ヘッド3においては、1つのヒータで吐出不良が生じた後、約0.5×107パルスの電圧を印加しても、新たな吐出不良は生じなかった。従って、1つのヒータで吐出不良が発生したとしても、配線の材料が溶出し続けることを抑止でき、連続して吐出不良が発生することのない信頼性の高いインクジェット記録ヘッド用基板を設けることができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。図7(a)は、図4に示すインクジェット記録ヘッド用基板200における領域Cの拡大図の一例である。当該基板200の製造に用いられる材料及び構成に関しては、実施形態1と同様である部分は省略する。
インクジェット記録ヘッド用基板200の領域Cには、ヒータ211、n型のMOS−FETで設けられた第1のスイッチング素子252及び第2のスイッチング素子253が配置されている。また、当該領域Cには、駆動電圧側共通ヒータ配線221、グラウンド側共通ヒータ配線223、駆動電圧側個別ヒータ配線222、グラウンド側個別ヒータ配線224が配置されている。
スイッチング素子252及び253は、ヒータ211、共通ヒータ配線221及び223よりも下側の層である第1の導電層340、ゲート電極層320、熱酸化膜層110で設けられる。
第2のスイッチング素子253は、第2の蓄熱層150の開口部であるスルーホール264を介してグラウンド側個別ヒータ配線224と電気的に接続されており、スルーホール263を介してグラウンド側共通ヒータ配線223と電気的に接続されている。
第1のスイッチング素子252は、第2の蓄熱層150の開口部であるスルーホール262を介して駆動電圧側個別ヒータ配線222と電気的に接続されており、スルーホール261を介して駆動電圧側共通ヒータ配線221と電気的に接続される。
図7(b)は、図7(a)に示すJ−J’の断面図である。より具体的には、スイッチング素子252から駆動電圧側個別ヒータ配線222、ヒータ211、グラウンド側個別ヒータ配線224、スイッチング素子253を通る断面図である。
ここで、図7(b)には、Si基板100、熱酸化膜層110、ゲート電極層320、第1の蓄熱層130、第1の導電層340、第2の蓄熱層150が形成されている。更に、発熱抵抗層160、第2の導電層170、保護膜層380、耐キャビテーション層390が形成されている。
領域Fは、ヒータ211に対応する領域である。第2の導電層170の領域Gは、駆動電圧側共通ヒータ配線221に対応し、第2の導電層170における領域Hは、駆動電圧側個別ヒータ配線222に対応している。第2の導電層170における領域Iは、グラウンド側個別ヒータ配線224に対応し、第2の導電層170における領域Kは、グラウンド側共通ヒータ配線223に対応している。なお、図7(b)に示す断面図においては、説明を分かり易くするため、J’側における(第2の導電層170で設けられる)駆動配線側共通ヒータ配線221を省略している。
更に、スイッチング素子252及び253において、第1の導電層340と第2の導電層170との間には、実施形態1と同様に発熱抵抗層160が設けられている。
発熱抵抗層160には、Ta、Nb及びHfの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金の材料を用いる。これにより、スイッチング素子252及び253を連鎖防止部として用いることができる。
また、アルカリ性インクに限らず腐食を防止するためには、Ta、Nbの少なくとも1つを含有する単体金属若しくはこれらの合金であることが好ましい。このようなスイッチング素子252及び253は、同時に形成できるため、共通ヒータ配線と個別ヒータ配線とが接続される2つの部分において、連鎖防止部を同時に設けることができる。
また更に、スイッチング素子252及び253は、Si基板100に設けられたN+領域301と第1の導電層340とに接して設けられている。駆動電圧側個別ヒータ配線222及び駆動電圧側共通ヒータ配線221は、領域LにおいてSi基板100を介してスイッチング素子252によって接続される。グラウンド側個別ヒータ配線224及びグラウンド側共通ヒータ配線223は、領域MにおいてSi基板100を介してスイッチング素子253によって接続される。共通ヒータ配線及び個別ヒータ配線は、これらスイッチング素子252及び253に対して所定の電圧が印加された場合に、互いに電気的に接続される。
ここで、実施形態2に係わるインクジェット記録ヘッド用基板200を用いた記録ヘッド3と、従来のインクジェット記録ヘッド用基板を用いた記録ヘッドとを用意し、耐久試験を行なった結果について説明する。なお、耐久試験に使用する記録ヘッド(インクジェット記録ヘッド用基板を含む)は、実施形態1に示す従来例と同一である。
耐久試験の結果、両ヘッドともに、約2.1×108パルス程度で1つのヒータに保護膜層のピンホールを原因とする吐出不良が生じた。ここで、従来の記録ヘッドでは、1つのヒータで保護膜層にピンホールが生じることで吐出不良が発生した後、約0.1×107パルスの電圧を印加した時点で吐出不良となったヒータが属する群の残り19個のヒータが使用不可となった。
これに対して、実施形態2に係わるインクジェット記録ヘッド用基板200を用いた記録ヘッド3では、1つのヒータで吐出不良発生後、約0.5×107パルスの電圧を印加しても、新たな吐出不良は生じなかった。
次に、図7(a)及び図7(b)に示す構成を持つインクジェット記録ヘッド用基板に対する記録制御を例に挙げて説明する。
記録制御の説明に先立って、ヒータ駆動の概要について簡単に説明する。図8に示すように、ヒータ211は、駆動電圧側個別ヒータ配線222とグラウンド側個別ヒータ配線224とを介して、スイッチング素子(MOS−FET)252及び253に対して電気的に接続されている。ヒータ駆動に際しては、駆動電圧配線側のスイッチング素子253が常時オン状態にされ、グラウンド配線側のスイッチング素子252によりヒータ電流のパルス幅が制御される。
次に、図9を用いて、図1(a)に示す記録装置1における記録制御処理の一例について説明する。ここでは、不吐が検出されたヒータを除いて記録制御処理を行なう場合について説明する。
記録装置1は、不吐検出部607において記録開始前に、吐出不良のヒータの有無を判定する。判定の結果、吐出不良ヒータが無ければ(S102でNO)、全ヒータの駆動電圧配線側のスイッチング素子(第1のスイッチング素子)252にオン信号を送信する(S103)。
また、吐出不良のヒータがあれば(S102でYES)、当該ヒータに対応する駆動電圧側のスイッチング素子252にオフ信号を送信し、それ以外のヒータの駆動電圧配線側のスイッチング素子252にオン信号を送信する(S103)。その後、記録装置1は、グラウンド側のスイッチング素子(第2のスイッチング素子)253にパルス波形を入力しヒータ211の駆動を制御する(S104)。駆動制御終了時には、グラウンド側のスイッチング素子253にオフ信号を送信する(S105)。
以上説明したように実施形態2によれば、第1の導電層と第2の導電層とを隔絶層を介して接続するととともに、個別ヒータ配線と共通ヒータ配線との間にスイッチング素子(MOS−FET)を設けている。第1の導電層と第2の導電層との間にインクで腐食し難い材料からなる隔絶層が設けられているため、個別ヒータ配線の腐食が共通ヒータ配線に直接及ばない。従って、1つのヒータで吐出不良が発生したとしても、連続して吐出不良が発生することのない信頼性の高いインクジェット記録ヘッド用基板を設けることができる。更に隔絶層を発熱抵抗層と同じ材料で同時に設けることにより製造工程を追加することなくインクジェット記録ヘッド用基板を設けることができる。
また、本実施形態の記録制御によれば、吐出不良を検知したヒータに対応するスイッチング素子をOFF状態とするため、接続された個別ヒータ配線に電圧がかからなくなる。これにより、ヒータ配線の腐食の進行を抑制することができる。

Claims (9)

  1. インクを吐出するための熱エネルギーを発生する発熱素子に対して、発熱に必要な電力を供給するための一対の個別導電層と、
    前記一対の個別導電層の一方に接続され、前記一対の個別導電層に電流を供給する第1の共通導電層と、
    前記一対の個別導電層の他方に接続され、前記一対の個別導電層から前記電流が流れ込む第2の共通導電層と、
    前記一対の個別導電層の一方と前記第1の共通導電層との間、及び前記一対の個別導電層の他方と前記第2の共通導電層との間に設けられ、前記一対の個別導電層、前記第1の共通導電層及び前記第2の共通導電層に用いられる材料に比べてインクへの溶解度が低く、且つ導電性を有する材料からなる隔絶層と
    を具備することを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基板。
  2. 前記発熱素子は、通電により発熱する発熱抵抗層で設けられており、
    前記発熱抵抗層及び前記隔絶層は、同じ材料で構成される
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  3. 前記発熱抵抗層及び前記隔絶層は、連続した一層として設けられる
    ことを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  4. 前記発熱抵抗層の材料は、
    Ta、Nb及びHfの少なくとも1つを含有する単体金属又は合金である
    ことを特徴とする請求項2又は3記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  5. 前記第2の共通導電層と前記一対の個別導電層の他方とは、
    前記発熱素子に通電するか否かを決定するためのスイッチング素子を介して接続されている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  6. 前記第1の共通導電層と前記一対の個別導電層の一方とは、
    前記発熱素子に通電するか否かを決定するための第1のスイッチング素子を介して接続されており、
    前記第2の共通導電層と前記一対の個別導電層の他方とは、
    前記発熱素子に通電するか否かを決定するための第2のスイッチング素子を介して接続されている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  7. 前記一対の個別導電層は、複数設けられ、
    前記第1の共通導電層は、複数の前記一対の個別配線の一方と接続され、
    前記第2の共通導電層は、複数の前記一対の個別配線の他方と接続される
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基板。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基板を用いたインクジェット記録ヘッド。
  9. 請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド用基板を用いたインクジェット記録ヘッドと、
    前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を制御する制御手段と、
    前記発熱素子に対応して設けられた吐出口からインクが吐出されているか否かを検出する検出手段と
    を具備し、
    前記制御手段は、
    前記検出手段によりインクが吐出されていないと検知された場合、前記発熱素子に接続された前記第1のスイッチング素子又は前記第2のスイッチング素子の少なくとも一方をOFF状態にするように制御する
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
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