JP2011195348A - 酸化物強誘電体の分極電場の増大法 - Google Patents

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Abstract


【課題】
表面及び内部の強誘電体の自発分極を劣化させず、且つ、外部電場で反転しやすいようにするため、酸素等の構成元素の欠落と表面の結晶性の劣化を排除しつつ、自発分極から発生する電場を増大させる。
【解決手段】
酸化物強誘電体の表面に、酸素以外の気体元素を十分に低減した雰囲気で、酸素原子、酸素イオン、オゾンなどの活性酸素を低運動エネルギーで照射する。また、酸化物強誘電体薄膜のように、表面が露出していない場合は、該薄膜の形成前に、該薄膜を形成する下地層の表面に、同様の活性酸素を照射する。
【選択図】図8

Description

本発明は、集積回路記憶素子や電子源または発火源等に用いられる酸化物強誘電体の特性向上に関する。
強誘電体は、自発分極と呼ばれる外部電場で反転可能な分極を有し、焦電性や圧電性誘電性を合わせもち、これらの性質の大きさを示す定数が大きい。このため、強誘電体は優れた焦電材料、圧電材料、誘電材料(キャパシタ材料)として広く用いられている。特に、PbTiO、Pb(Ti,Zr)O、BaTiO、LiNbO等の酸化物強誘電体は、電子素子や自動車のエンジンの発火素子等に広く用いられている。最近、この特性が極めて結晶構造に敏感であることが解明され、高特性の強誘電体薄膜などが実現している。
自発分極は電場を発生するため、出願者らの特許文献1〜2のように、隣接する金属電極や半導体に電荷を誘起できる。この効果を用いた集積型記憶素子が、酸化物強誘電体薄膜で実現し、高速メモリーカードに用いられている。集積度を高めるには、非特許文献1に説明されているよう、材料開発や薄膜形成法の改良に加えて、強誘電体の結晶構造を精密に制御して、自発分極からの電場を有効に取り出せるようにし、且つ、自発分極が外部電場で反転し易くする必要がある。非特許文献2〜5から示唆されるよう、強誘電体の最表面の制御が本質的である。このため、原子レベルで、強誘電体表面の酸素等の構成元素の欠損を減らし、表面の結晶性の劣化を防ぐことが有効である。特に、酸素欠陥は、強誘電体に伝導性を付与して自発分極の電荷を打ち消すため、最小限にする必要がある。尚、強誘電体の自由表面を用いるものには、エンジンの発火素子や表面からの電子放出を利用する微細加工装置用の電子源が知られている。
自発分極が遮蔽されないと反電場が発生する。非特許文献2〜5に示されているよう、強誘電体表面に電極や半導体を隣接させる構成でも、電極や半導体と強誘電体表面の間に絶縁体が存在すると、反電場が発生し自発分極が不安定になり、また、電極内に誘起される電荷が減少する。また、帯電した吸着物や付着物により、強誘電体からの電場が減り、電極や半導体内への誘起電荷量が減る。さらに、吸着物や付着物、或いは、上述の欠陥や結晶性の乱れは、重要特性である分極反転を阻害する。このため、強誘電体表面の付着物と吸着物、強誘電体の表面変質層、欠陥等を低減することが重要である。
特許3186035号 米国特許5418389号 特開平9―153462号広報 特開2009―179534号広報 特開2003―163082号広報
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このような表面の重要性は認識され、非特許文献6のように、酸による表面処理等がなされている。しかし、表面を原子レベル制御する必然性は認識されておらず、従って、これを解決する試みは例外的な例を除いてなかった。この例外とは、強誘電体表面の原子配列の研究であり、非特許文献7のようにBaTiO等の強誘電体の表面原子配列を超高真空中で測定するため、超高真空中1000℃以上の高温で加熱処理して、表面の吸着物や付着物を除去することがなされている。しかし、この方法では、強誘電体から酸素が抜けて伝導性が増え、自発分極から外部に漏れる電場が著しく低下してしまうため、強誘電体の応用に使えないという問題がある。
出願者らは、自発分極の特性の解明には、大気中では不可避な吸着物や付着物の影響を排除することが重要と考え、非特許文献8に記載したよう、世界で初めて自発分極とその電場を超高真空中で測定した。しかし、超高真空中でも、自発分極からの電場は小さいことが判明した。このため、原子レベルで強誘電体の表面を測定したところ、超高真空中の150℃程度までの加熱では、まだ、電場を遮蔽する吸着層または変質層が表面に存在したり、酸素欠陥が存在する可能性が示唆された。結晶性を表面まで良好に保ちつつ、吸着層等を除去し、酸素欠陥を低減すれば、より多くの電場を取り出せる可能性があると考え、本発明を見出した。
大気中では、強誘電体の表面に、非構成元素が吸着や反応していると考えられる。これを排除するには、強誘電体表面と強く化学結合する強誘電体の構成元素で、非構成元素を置換すればよいと考えられる。酸化物強誘電体では、酸素が該当する元素と考えられ、酸素欠陥も低減できる。このため、酸素と不活性気体(希ガス)以外の気体元素を排除した雰囲気において、活性酸素を酸化物強誘電体表面に照射する。この非構成元素を排除する雰囲気の好適な例は、真空度が十分高くできる真空槽である。
好適な施行例としては、まず真空槽を十分高い真空度に一度排気する。その後、該真空槽内に強誘電体を搬入し、その強誘電体の表面に対して、化学的に活性な高純度の活性酸素を照射する。強誘電体の表面が損傷しないようにするため、酸素の運動エネルギーを、エッチングやスパッターが起こったり局所的に加熱されるエネルギーより、十分低くする。尚、酸素以外の気体は不純物であるが、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の希ガスは、強誘電体と化学結合しないため、混合しても問題ない。
活性な酸素とは、好ましくは、原子状中性酸素(O)、オゾン(O)、次いで励起状態の中性酸素分子(O)である。原子状酸素は、真空中でマイクロ波中に酸素をさらすことで生成することができる。この例は、磁場中の電子のサイクロトロン運動のマイクロ波共鳴吸収を利用するECRラジカル発生源であり、図1のように真空排気システムに組み込で使う。尚、オゾンを用いてもよいが爆発を防止する措置が必要である。正または負に帯電した酸素分子イオンや酸素原子イオン(酸素ラジカルと総称されることもある)は、電場で加速されるため強誘電体表面に損傷を与える可能性があるが、運動エネルギーを適切に制御すれば同様の効果が期待できる。エッチングまたはスパッターをしない十分低い運動エネルギーとは、約100eV以下、好ましくは50eV以下であり、これにより、高運動エネルギーの酸素による表面加熱で起こる低融点元素の欠損を回避できる。高運動エネルギーの酸素イオンの効果を積極的に使う場合には、イオンを試料に対して斜めから入射させることも有効である。本処理の前に、大気圧近傍または大気圧以上の高純度酸素雰囲気中高温で強誘電体を加熱処理して結晶性を高めることも効果的である。
本発明は、酸化物強誘電体一般に用いられ、典型的な例は、ABO(A:Ca,Sr,Ba,Pb、Bi,Li,K, B:Ti,Zr,Nb,Ta,Fe等の遷移金属)で表されるぺロブスカイト結晶構造やイルメナイト結晶構造の酸化物である。より具体的には、代表的強誘電体であるBaTiOやPbTiO、混晶(Ba,Sr)TiO、Pb(Ti,Zr)O等で、Pb(Zn1/3Nb2/3)Oなどリラクサー強誘電体も含まれる。その形態は、薄膜、単結晶、焼結体試料、粉体でもよい。本発明の化学的に活性な純酸素の利用自体は、先行特許3〜5のように、酸化ケイ素、酸化亜鉛、透明伝導性膜等の炭化水素やレジスト残余物の除去に用いられているが、強誘電体に用いられた例はなく、本発明により初めて電場の効果が発見された。尚、本方法を補足する手段として、自発分極の向きや大きさを変化させる際に発生する静電気力で、表面の帯電付着物を低減することも有効である。具体的には、外部電場を加えて部分的に自発分極の方向を変える、または、温度を変化させて自発分極の大きさや方向を変える等の手段がある。この方法は、特に、強誘電体に電極等がついていない自由表面に対して有効であり、非特許文献9のような電極配置で行える。
本発明の処理には、真空槽、真空ポンプ、ECRラジカル発生源等の活性酸素発生源、該発生源に酸素の流量を制御しつつ供給するシステムを用いる。本発明に用いる酸素ガスは、できるだけ純度が高いものが好ましく、市販の酸素から、さらに水分や二酸化炭素等の不純物を除くために、純化装置を用いてもよい。真空ポンプは、高真空対応の真空ポンプが好ましく、ターボポンプシステムが一般的である。その他、クライオポンプや油拡散ポンプ、イオンポンプ、ノーブルポンプ、ダイア不ラムポンプも用いてもよい。この真空槽は、真空度の到達が高いものが好ましく、酸素ガスを流さない状態(バックグラウンド真空)が千分の1パスカル以下であることが好ましい。また、ガスの流量も高くすることが好ましいが、ラジカル源が稼動する真空度にするためには、真空ポンプの排気能力が高いことが必要である。酸素の純化は、不純物ガスの融点より低い温度を用いて除去する方法が知られている。
本発明により、強誘電体の自由表面からの電場が、未処理前に比べ顕著に増える。これにより、自由表面だけでなく電極をつけた場合にも、強誘電体の基本特性である自発分極からの電場を有効に引き出すことができる。この結果、この電場を用いる素子の特性、例えば、メモリー素子の信号、発火素子の発火特性、電子放出素子からの電子放出特性が向上する。
強誘電体に白金やイリジウム等の金属やシリコン等の半導体を積層する場合には、本発明の処理をそのまま施した後に、同一真空中(一度大気にさらすことなく)、金属や半導体を堆積することが効果的である。一方、金属や半導体上に、強誘電体薄膜などを形成する場合は、強誘電体薄膜形成後に、本発明の処理することができない。このため、該薄膜の形成前に、該薄膜を形成する下地(金属電極や半導体等)の最表面に、本発明の処理を施して、同一真空中で、強誘電体薄膜を形成することが好ましい。これにより、間接的に該強誘電体薄膜に本発明の処理の効果を実現できる。
本発明を施行する装置の例 実施例に用いた装置構成 本発明の処理前の試料の電位分布 図3の電位分布の断面解析 実施例の活性元素の主体が酸素原子であることを示す分光結果 実施例での処理後の試料表面形状の断面解析 実施例での処理後の試料の電位分布 図8の電位分布の断面解析 実施例での処理有無での表面電気伝導の電流電圧特性の比較 実施例での処理有無での厚み方向の電気伝導の電流電圧特性の比較 電場印加による漏れ出し電場の増大を示す伝導率上昇
以下実施例により、本発明を実施する好ましい形態の例を説明する。
〔実施例1〕 強誘電体試料として、表面積約0.5平方cm厚み約0.22mmのBaTiO単結晶を用い、前処理として酸素分圧20%の大気圧中で1300℃で加熱処理し、標準的な洗浄(純水、エタノール、アセトンを用いた超音波洗浄)を施した。図2のように、試料搬入真空槽、処理用真空槽、測定用真空槽の3つの真空槽が連結された装置(日本電子製超高真空原子間力顕微鏡システムJSPM4610)の処理用真空槽に、アリオス株式会社製ECRラジカル発生源を取りつけた。以下、測定用真空槽は、常に1億分の1パスカルの超高真空である。これらの装置間の試料の移動は、真空を破ることなく(同一真空中)行い、処理用真空槽を経由して測定用真空槽に搬入し、ナノメータスケールの分解能持つケルビン力顕微鏡と呼ばれる測定により4μm四方の電位分布を測定したところ、図3のように分極正負の領域の電位差は約0.16Vであった。図4は、これを明確に示すために、図3の明暗の領域をよぎる断面の電位差をグラフ化したものである。
この後、処理用真空槽に試料を搬入し、本発明の処理を行った。処理用真空槽を千万分の一パスカルまでターボ分子ポンプとイオンポンプで排気後、ターボポンプで排気しながら酸素ガスを2SCCM流したところ、真空度は十分の1パスカルになった。ラジカル発生源の出射口から試料までの距離は約10cmである。この酸素ガスは、99.99995%の超高真空酸素ガスを、図2の装置で約マイナス200℃まで冷却することでさらに高純度化したものである。マイクロ波出力を160W反射波20Wにして、活性酸素を試料に3時間照射した。ラジカル発生源の出口の電位と試料を配置した処理用真空槽の電位を共に接地電位にした。アリオス株式会社の試験によれば、この場合、ラジカル発生源の電位はプラス1〜3Vと極めて小さなものになり、殆どイオンは加速されない。尚、マイクロ波出力は反射が小さい限り大きい方が好ましい傾向があるが、反射を20W以下に押えるため上記の出力にした。照射時間は、マイクロ波出力と酸素流量が多ければ短くてよい。この状態の試料の近辺を分光結果(図5)から、中性酸素原子と中性酸素分子が主たる成分であると考えられる(基底状態または低い励起状態の中性酸素分子は存在しても、図5の分光に現れない)。
この処理後に、試料を測定用真空槽に移し、1.5μm四方の表面形状を原子間力顕微鏡(AFM)で測定すると、階段状の形状で試料全面が覆われていた。この階段の高さは図6の断面解析に示すように、0.4nmで、BaTiO結晶1格子の高さである。このことは、本発明による処理で表面が損傷を受けず、原子レベルの結晶性を保っていることを示す。2μm四方の電位を測定すると、図7のように分極正負の領域の電位差は約0.4Vであった。図8は、これを明確に示すために、図7の明暗の領域をよぎる断面の電位差をグラフ化したものである。即ち、上向き下向きの自発分極の領域の電位差が0.16Vから0.4Vになった。このことは、自発分極からの電場が2〜3倍に増えたことを意味し、強誘電体の基本特性である自発分極からの電場を、有効に引き出すことができるようになったことが分かる。
また、試料を接地して導電性の原子間力顕微鏡用探針に35V印加することで分極方向を変更できた。このことは、酸素欠陥などが無視できるほどに、試料の絶縁性が十分高く保たれていることを示す。また、このような低電場(1.6kV/cm)で分極ができることは、応用上重要であり、図6と同様に、表面に欠陥や酸素抜けを作っていないことを示唆する。本発明による電場増大は、以下に示す自発分極の電場による電界効果で生成する本質的電子層により、より明確に示される。
超高真空は比誘電率1の絶縁体である。一般の絶縁体は、誘電率が1以上であるだけなので、強誘電体が一般の絶縁体に接しても上述の実施例と同様に電場が向上する。非特許文献2によれば、上述の実施例は、半導体や金属が直接強誘電体に直接に接する場合も、同様に電場が向上することを示す。この場合、非特許文献2に示されるよう、強誘電体内の反電界が減るため、本実施例で得られた電場よりはるかに大きな電場が半導体や金属の表面に存在することになる。
本発明により、自発分極からの電場による電荷蓄積(電界効果)が著しく増加した例が図9である。非特許文献2によれば、強誘電体に半導体や金属が十分近く接すれば、該半導体や該金属内に電荷が蓄積し、離れて接すれば強誘電体内に蓄積する(尚、上記の漏れ出し電場値はこの効果のためである)。即ち、自発分極からの電場による半導体や金属内の電荷蓄積は、強誘電体内の電荷蓄積と等価である。超高真空中の強誘電体の自由表面は、金属や半導体が十分離れている状態とみなせる。このため、自発分極からの電場による電荷蓄積に対する本発明の効果は、超高真空中の電界効果による強誘電体表面での電子層形成で調べることができる。
非特許文献9のような電極配置で、表面伝導を超高真空中で測定した。その結果(図9)は、本発明の処理により電場が増大し、強誘電体表面の電子層形成が著しく促進されることを示す。隣接する物質がある場合には、本発明による電場増大により、隣接する物質内の電荷が著しく増える。尚、非特許文献1に示すよう、図9の伝導を担う電子層は数格子層の厚みで薄いため、厚み方向の絶縁性は全く低下しない(図10)。このため、酸素欠陥や不純物と異なり、分極反転等その他の強誘電体特性は高いまま保たれる。また、図9は自発分極が上向きにした場合だが、自発分極を下向きにするとホール層に対応する伝導が見られた。このことと清浄な雰囲気でしか伝導が見えないことは、図9の伝導が、酸素などの欠陥が主原因でないことを示す。尚、図9と図10では、試料を超高真空中でキュリー温度以上に加熱し電場を加えて自発分極を揃えている。このような外部電場印加は、本発明の処理を補強し、漏れ出し電場を増強できる。この例として図11に示すよう、100Vの電圧(電場3kV/cm)印加した後に、自発分極からの漏れ出し電場による伝導層の伝導が増える。
〔実施例2〕実施1と同様の検討を、活性酸素照射時に、加速電圧(ラジカル発生源内の電位)を10Vと50Vに変えて、その他は同じにして行い、同様の結果を得た。
比較例
BaTiO3単結晶を、千万分の一パスカルの真空で200℃に加熱したところ、試料が導体化し、分極の制御ができなくなった。この結果は、従来法である真空中600℃以上での加熱では、さらにこの問題が顕著になることを示す。また、もう一つの従来法であるアルゴンイオン照射を、800Vの加速で行ったところ、表面の原子ステップが見られないほどに表面の結晶性が劣化した。
1 ECRラジカル発生装置
2 マイクロ波発生装置
3 処理用真空槽
4 試料
5 加速電源
6 真空ポンプ
7 導入用真空槽
8 測定用超真空槽
9 酸素純化槽

Claims (8)

  1. 酸化物強誘電体の表面に、低運動エネルギーの活性酸素を照射することを特徴とする自発分極からの電場の増強法。
  2. 酸化物強誘電体薄膜の形成前に、該薄膜を形成する下地の最表面に、低運動エネルギーの活性酸素を照射することを特徴とする自発分極からの電場の増強法。
  3. 前記活性酸素の照射を圧力10パスカル以下の真空で行い、活性酸素の運動エネルギーを100eV以下とすることを特徴とする強誘電体の自発分極からの電場の増強法。
  4. 請求項1または2の活性酸素が酸素原子、酸素原子イオン、酸素分子イオン、励起電子状態の酸素原子及び分子、または、オゾンであることを特徴とする強誘電体の自発分極からの電場の増強法。
  5. 前記活性酸素の主成分が酸素原子あることを特徴とする強誘電体の自発分極からの電場の増強法。
  6. 前記活性酸素が、電磁波中の電子サイクロトロン共鳴(ECR)により生成されることを特徴とする強誘電体の自発分極からの電場の増強法。
  7. 請求項1または2の処理に加えて、真空中、強誘電体のキュリー点近傍まで加熱後冷却することにより自発分極を変化させることを特徴とする強誘電体の自発分極からの電場の増強法。
  8. 請求項1またはの処理に加えて、真空中、外部電場印加で自発分極を変化させることを特徴とする強誘電体の自発分極からの電場の増強法。
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