以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、基板貼り合せ装置100の全体構造を模式的に示す平面図である。基板貼り合せ装置100は、筐体102と、アライメント部104と、加圧部106と、基板カセット112、114、116とを備える。アライメント部104および加圧部106は、共通の筐体102の内部に設けられる。
基板カセット112、114、116は、筐体102の外部に、筐体102に対して脱着自在に装着される。基板カセット112、114、116は、基板貼り合せ装置100において接合される第1基板122および第2基板123を収容する。基板カセット112、114、116により、複数の第1基板122および第2基板123が一括して基板貼り合せ装置100に装填される。また、基板貼り合せ装置100において接合された第1基板122および第2基板123が一括して回収される。
アライメント部104は、筐体102の内側にそれぞれ配された、プリアライナ126、ステージ装置140、基板ホルダラック128および基板取り外し部130と、一対のロボットアーム132、134とを備える。筐体102の内部は、基板貼り合せ装置100が設置された環境の室温と略同じ温度が維持されるように温度管理される。アライメント部104は、大気中で第1基板122および第2基板123を搬送する。
プリアライナ126は、高精度であるが故にステージ装置140の狭い調整範囲に第1基板122または第2基板123の位置が収まるように、個々の第1基板122または第2基板123の位置を仮合わせする。これにより、ステージ装置140が第1基板122および第2基板123の位置を確実に位置決めすることができる。
基板ホルダラック128は、複数の上基板ホルダ124および複数の下基板ホルダ125を収容して待機させる。上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、それぞれ、第1基板122および第2基板123を静電吸着により保持する。
ステージ装置140は、貼り合せの対象である第1基板122と第2基板123における接合すべき電極同士の位置を合わせて、重ね合わせる。ステージ装置140を包囲して断熱壁145およびシャッタ146が設けられる。断熱壁145およびシャッタ146に包囲された空間は空調機等に連通して温度管理され、ステージ装置140における位置合わせ精度を維持する。ステージ装置140は、ステージの一例である。
ステージ装置140は、第1ステージ141と、第2ステージ142と、制御部148とを有する。第1ステージ141は、ステージ装置140の天板の下面に固定される。第1ステージ141の下面が真空吸着により上基板ホルダ124を保持する。
第2ステージ142は、第1ステージ141に対向して、ステージ装置140の底板の上に、XYZ方向に移動可能に配置される。第2ステージ142は、傾斜機能を有する。第2ステージ142の上面が真空吸着により下基板ホルダ125を保持する。
制御部148は、第2ステージ142の移動を制御する。制御部148は、第2ステージ142を移動させて、第1ステージ141に保持された第1基板122に対して、第2基板123の位置を合わせる。制御部148は、第2ステージ142を上昇させて、第1基板122と第2基板123を重ね合せることができる。その後、上基板ホルダ124と下基板ホルダ125に挟まれた第1基板122と第2基板123は、位置止め機構により仮止めされる。上基板ホルダ124と下基板ホルダ125及びそれらに挟まれた第1基板122と第2基板123の組合せを「ホルダ対」と記載することがある。
基板取り外し部130は、加圧部106から搬出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125に挟まれて貼り合わされた第1基板122および第2基板123を取り出す。貼り合わされた第1基板122および第2基板123を「積層基板」と記載することがある。上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から取り出された積層基板は、ロボットアーム134、132および第2ステージ142により基板カセット112、114、116のうちのひとつに戻されて収容される。積層基板を取り出された上基板ホルダ124および下基板ホルダ125は、基板ホルダラック128に戻されて待機する。基板取り外し部130は、基板ホルダラック128の上方に配される。
なお、基板貼り合せ装置100に装填される第1基板122および第2基板123は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウェハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されたものであってよい。また、装填された第1基板122および第2基板123が、既に複数のウェハを積層して形成された積層基板である場合もある。
一対のロボットアーム132、134のうち、基板カセット112、114、116に近い側に配置されたロボットアーム132は、基板カセット112、114、116、プリアライナ126およびステージ装置140の間で第1基板122および第2基板123を搬送する。一方、基板カセット112、114、116から遠い側に配置されたロボットアーム134は、ステージ装置140、基板ホルダラック128、基板取り外し部130およびロードロック室220の間で、第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。ロボットアーム132、134は、搬送部の一例である。
ロボットアーム134は、基板ホルダラック128に対して、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125の搬入および搬出も担う。第1ステージ141に第1基板122を保持させる場合に、ロボットアーム134は、まず基板ホルダラック128から一枚の上基板ホルダ124を取り出して第2ステージ142に載置する。第2ステージ142は、基板カセット112、114、116に近い側に移動する。ロボットアーム132は、プリアライナ126からプリアライメントされた第1基板122を取り出して、第2ステージ142の上の上基板ホルダ124に載置して、静電吸着させる。
第2ステージ142は、再び基板カセット112、114、116から遠い側に移動する。ロボットアーム134は、第2ステージ142から第1基板122を静電吸着した上基板ホルダ124を受け取り、裏返して第1ステージ141に近づける。第1ステージ141は、真空吸着によりその上基板ホルダ124を保持する。
ロボットアーム134は、第2ステージ142に下基板ホルダ125を載置する。ロボットアーム132は、その上に第2基板123を載置して保持させる。これにより、第2ステージ142に保持された第2基板123における回路等が形成された面は、第1ステージ141に保持された第1基板122における回路等が形成された面に、対向するように配置される。
加圧部106は、断熱壁108、ロードロック室220、ロボットアーム230、複数の加圧チャンバー240および冷却室250を有する。断熱壁108は、加圧部106を包囲して、加圧部106の外部への熱輻射を遮断する。これにより、加圧部106の熱がアライメント部104に及ぼす影響を抑制する。加圧部106は、その内部が一定の真空状態に維持される。これにより、加圧部106に搬入された基板の汚染及び酸化を抑えることができる。
ロボットアーム230は、加圧チャンバー240、冷却室250とロードロック室220との間で第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125を搬送する。ロボットアーム230は、搬送部の一例である。
ロードロック室220は、アライメント部104と加圧部106とを連結する。ロードロック室220は、アライメント部104側と加圧部106側とに、交互に開閉するシャッタ222、224を有する。
第1基板122、第2基板123、上基板ホルダ124および下基板ホルダ125から構成されるホルダがアライメント部104から加圧部106に搬入される場合、まず、アライメント部104側のシャッタ222が開かれ、ロボットアーム134がホルダ対をロードロック室220に搬入する。次に、アライメント部104側のシャッタ222が閉じられ、ロードロック室220内部が真空に引かれる。ロードロック室220内部の真空度が、加圧部106側の真空度になったら、加圧部106側のシャッタ224が開かれる。
続いて、ロボットアーム230が、ロードロック室220からホルダ対を搬出して、加圧チャンバー240のいずれかに装入する。加圧チャンバー240は、ホルダ対を加熱および加圧して、第1基板122と第2基板123を貼り合せる。その後、ロボットアーム230が、加圧チャンバー240からホルダ対を搬出して、冷却室250に装入して冷却する。加圧チャンバー240及び冷却室250は、ステージの一例である。
加圧部106からアライメント部104にホルダ対を搬出する場合は、アライメント部104から加圧部106に搬入する場合の一連の動作を逆順で実行する。これらの一連の動作により、加圧部106の内部雰囲気をアライメント部104側に漏らすことなく、ホルダ対を加圧部106に搬入または搬出できる。
基板貼り合せ装置100内の多くの領域において、上基板ホルダ124が第1基板122を保持した状態で、又は下基板ホルダ125が第2基板123を保持した状態で、ロボットアーム134、230および第2ステージ142により搬送される。第1基板122を保持した上基板ホルダ124又は第2基板123を保持した下基板ホルダ125が搬送される場合、ロボットアーム134、230は、真空吸着又は静電吸着により上基板ホルダ124又は下基板ホルダ125を吸着して保持する。
図2は、加圧チャンバー240の構造を模式的に示す正面図である。加圧チャンバー240は、断熱室300と、上ステージ310と、下ステージ320と、昇降部330と、温度計測器350とを備える。断熱室300は、上ステージ310、下ステージ320及び昇降部330を内部に収容する。
断熱室300は、断熱材から形成される断熱壁を有し、ホルダ対を加熱する場合に、外部への熱輻射が遮断され、ロボットアーム等周辺に存在する装置、機器への悪影響を防ぐことができる。断熱室300において、その天板に上ステージ310が固定され、その底板に昇降部330のベースが固定される。断熱室300は、上ステージ310と下ステージ320によりホルダ対に加圧する場合に、装置の反力により変形すること防ぐ目的で、高剛性材料により形成される。
上ステージ310は、加熱又は冷却する機能を有し、ホルダ対を加熱又は冷却することができる。昇降部330は、ベースに固定されたシリンダ334と、そのシリンダに結合するピストン332を含む。ピストン332は、外部からの制御信号により上下昇降する。
下ステージ320は、ピストン332の上面に設置される。下ステージ320は、ピストン332と共に上下に移動することができる。下ステージ320は、加熱又は冷却する機能を有し、ホルダ対を加熱又は冷却することができる。
図2は、ホルダ対が加圧チャンバー240に装填され、下ステージ320に設置された状態を示す。ホルダ対を下ステージ320に載置した後、ピストン332を上昇させると、上ステージ310及び下ステージ320によりホルダ対を挟むことができる。
第1基板122及び第2基板123を貼り合せる場合には、加圧チャンバー240は、加圧制御信号に従って、更にピストン332を上昇させ、上基板ホルダ124及び下基板ホルダ125を介して、第1基板122及び第2基板123に所定の圧力を加えて、貼り合せる。加圧することにより、第1基板122及び第2基板123の間に接合すべき電極同士を均一に接触させることができ、均一な接合が実現できる。
温度計測器350は、下ステージ320に設けられる端子340を通じて、下基板ホルダ125の電気的な出力を検出して、下基板ホルダ125の温度を算出する。温度計測器350は、上ステージ310に設けられる端子を設けて、上基板ホルダ124の電気的な出力を検出して、上基板ホルダ124の温度を算出してもよい。
図3は、上基板ホルダ124を上方から見た斜視図である。図4は、同じ上基板ホルダ124を下方から見た斜視図である。
この上基板ホルダ124は、第1基板122をその下面に保持する。上基板ホルダ124は、上基板ホルダ本体402と、永久磁石404と、溝412と、裏面側端子406と、裏面側端子408と、載置側端子418とを有する。上基板ホルダ124の外形は、第1基板122よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。
上基板ホルダ本体402は、セラミックス等により形成される。上基板ホルダ本体402は、その下面において第1基板122を保持する基板保持領域を有する。当該領域が高い平坦性を有して、第1基板122を静電吸着する。静電吸着力を生じさせる電力は、第1ステージ141から供給される。図4は、基板保持領域に第1基板122を保持した状態の上基板ホルダ124を示す。
永久磁石404は、基板保持領域の外周に複数配される。図3においては二つ一組の永久磁石404が、基板保持領域の外周において互いに120度間隔で三組配される。永久磁石404は、上基板ホルダ本体402に保持された第1基板122の表面と共通の平面内に、永久磁石404の下面が位置するように配されてよい。
裏面側端子406、裏面側端子408、及び載置側端子418は、上基板ホルダ本体402の内部に設けられ、表面または裏面に露出する。
図5は、下基板ホルダ125を上方から見た斜視図である。図6は、同じ下基板ホルダ125を下方から見た斜視図である。
下基板ホルダ125は、下基板ホルダ本体422と、吸着子424、溝426と、裏面側端子432と、裏面側端子434とを有する。下基板ホルダ125の外形は、第2基板123よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。
下基板ホルダ本体422は、セラミックス等により形成される。下基板ホルダ本体422は、第2基板123を保持する基板保持領域を有する。当該領域が高い平坦性を有して、第2基板123を吸着する。第2基板123を吸着する方法としては、静電吸着が例示できる。図5は、基板保持領域に第2基板123を保持した状態の下基板ホルダ125を示す。
吸着子424は、磁性体材料により形成され、第2基板123を保持する表面において、保持した第2基板123よりも外側に複数配される。吸着子424は、第2基板123を保持する平面と略同じ平面内に、吸着子424の上面が位置するように、下基板ホルダ本体422に形成された陥没領域に配される。
図1の基板貼り合せ装置100では、ステージ装置140において、それぞれが第1基板122を保持した上基板ホルダ124と、第2基板123を保持した下基板ホルダ125とを位置合わせして、当接させ、加圧チャンバー240において当接させた第1基板122および第2基板123を接合させる。このため、ステージ装置140から加圧チャンバー240に搬送される間は、接合されていない第1基板122および第2基板123の相対位置を維持することが求められる。このような要求に対して、下基板ホルダ125の吸着子424を上基板ホルダ124の永久磁石404に吸着させることにより、第1基板122および第2基板123が下基板ホルダ125および上基板ホルダ124から挟みつけられて、相対位置を保持できる。
裏面側端子432および裏面側端子434は、下基板ホルダ本体422の内部に設けられ、表面または裏面に露出する。
図7は、上ステージ310及び下ステージ320により挟まれたホルダ対の断面を概略的に示す。上基板ホルダ124の内部には、静電用電極420が設けられる。静電用電極420は、裏面側端子406、裏面側端子408及び載置側端子418に電気的に接続されている。下基板ホルダ125の内部には、静電用電極440が設けられる。静電用電極440は、裏面側端子432および裏面側端子434に電気的に接続される。図7に、静電用電極420及び静電用電極440における各端子の接続関係を例示したが、各端子の位置関係はこれに限定されない。また、上ステージ310及び下ステージ320には積層基板を加熱するヒータ351が設けられる。
静電用電極420及び静電用電極440は、双極方式の静電吸着用電極である。即ち、静電用電極420は、それぞれ二つの部分から構成され、それぞれプラス電源とマイナス電源に接続され、上基板ホルダ124と第1基板122との間に電位差を生じさせて、第1基板122を上基板ホルダ124に吸着する。静電用電極420は、上基板ホルダ本体402における第1基板122を吸着する吸着面側、即ち図7における上基板ホルダ124の下面の近くに配置される。
同様に、静電用電極440は、それぞれ二つの部分から構成され、それぞれプラス電源とマイナス電源に接続され、下基板ホルダ125と第2基板123との間に電位差を生じさせて、第2基板123を下基板ホルダ125に吸着する。静電用電極440は、下基板ホルダ本体422における第2基板123を吸着する吸着面側、即ち図7における下基板ホルダ125の上面の近くに配置される。
上基板ホルダ124において、裏面側端子406および裏面側端子408は、上基板ホルダ本体402における第1基板122を載置する側の面の裏面に露出する。裏面側端子406は、上ステージ310の上ステージ端子502と接続して、上ステージ310から静電用電極420へ電力を供給する。裏面側端子408は、上基板ホルダ124が搬送用ロボットアームにより、第1基板122を載置する側を上向きにして搬送されるときに、ロボットアームの電力供給部と接続して、ロボットアームから静電用電極420へ電力を供給する。
下基板ホルダ125において、裏面側端子432および裏面側端子434は、下基板ホルダ本体422における第2基板123を載置する側の面の裏面に露出する。裏面側端子432は、下ステージ320の下ステージ端子504と接続して、下ステージ320から静電用電極440へ電力を供給する。
下ステージ端子504は、ばねにより上下伸縮可能に下ステージ320に配される。図7のように、下ステージ320が下基板ホルダ125を保持する状態では、下ステージ端子504は、下基板ホルダ125の裏面側端子432に当接して、下基板ホルダ125により押し込まれる。この場合に、下ステージ端子504の先端部は、ばねの弾性力により下基板ホルダ125の裏面側端子432に押し付けられる状態にあり、裏面側端子432と確実に電気的に接続でき、安定な電力供給ができる。上記ばねとして、コイルばね等が例示できる。
上ステージ端子502は、ばねにより上下伸縮可能に上ステージ310に配される。図7のように、上ステージ310が下ステージ320と共にホルダ対を挟む状態では、上ステージ端子502は、上基板ホルダ124の裏面側端子406に当接して、上基板ホルダ124により押し込まれる。この場合に、上ステージ端子502の先端部は、ばねの弾性力により上基板ホルダ124の裏面側端子406に押し付けられる状態にあり、裏面側端子406と確実に電気的に接続でき、安定な電力供給ができる。
下ステージ端子504は、図2に示す端子340を兼ねていてもよいし、端子340とは別個に設けられてもよい。以下、下ステージ端子504が端子340を兼ねている形態を説明する。温度計測器350は、静電用電極440の裏面側端子432に接続された下ステージ端子504により、二つの静電用電極440の間に予め定められた電圧をかけて、二つの静電用電極440の間のリーク電流又は電気抵抗等の電気的特性を計測することができる。二つの静電用電極440の間のリーク電流は、温度依存性を有するので、温度計測器350は、計測したリーク電流に基づいて、下基板ホルダ本体422の温度を算出することができる。二つの静電用電極440の間の電気的特性の温度依存性は、下基板ホルダ125等の材料等に依存する。例えば、下基板ホルダ125が主にアルミナ製である場合に、温度が高いほど抵抗が低くすなわちリーク電流が大きい。この電気的特性の温度依存性を予め実験で求めておき、例えば、リーク電流の値と温度との関係を数値テーブルとして温度計測器350に記憶させておく。電気的特性の温度依存性を予め実験で取得する場合に下基板ホルダ125が第2基板123を保持している状態と同じ条件で実験することがさらに好ましい。
同様に、温度計測器350は、静電用電極420の裏面側端子406に接続された上ステージ端子502により、二つの静電用電極420の間に予め定められた電圧をかけて、二つの静電用電極420の間のリーク電流等の電気的特性を計測して、上基板ホルダ本体402の温度を算出することができる。さらに、温度計測器350は、上記計測により、第1基板122および第2基板123を間に挟んで保持する上基板ホルダ124の上基板ホルダ本体402と下基板ホルダ125の下基板ホルダ本体422の温度差を検出することもできる。図7において、温度計測器350と上ステージ端子502との接続の表示が省略されている。
図8は、ロボットアーム230によりホルダ対を搬送する状態を概略的に示す。図9は、図8におけるA−A断面を概略的に示す。
ロボットアーム230は、二つのロボット端子522と、二つのロボット端子524とを有する。ロボット端子522及びロボット端子524は、ばねにより上下伸縮可能にロボットアーム230に配される。ロボット端子524は、下基板ホルダ125の厚さより高く上方へ延伸する。
図9に示すように、ロボットアーム230がホルダ対を搬送する場合に、ロボット端子522は、下基板ホルダ125に設けられる静電用電極440に電力を供給する。ロボット端子524は、上基板ホルダ124に設けられる静電用電極420に電力を供給する。
ロボット端子522は、下基板ホルダ125の裏面側端子434に当接して、下基板ホルダ125により押し込まれる。この場合に、ロボット端子522の先端部は、ばねの弾性力により下基板ホルダ125の裏面側端子434に押し付けられる状態にあり、裏面側端子434と確実に電気的に接続でき、静電用電極440に安定な電力供給ができる。
この場合、下基板ホルダ125の溝426がロボット端子524を回避できるので、ロボット端子524は、上基板ホルダ124における第1基板122を載置する側の面に露出する載置側端子418に当接して、上基板ホルダ124により押し込まれる。ロボット端子524の先端部は、ばねの弾性力により上基板ホルダ124の載置側端子418に押し付けられる状態にあり、載置側端子418と確実に電気的に接続でき、静電用電極420に安定な電力供給ができる。
ロボット端子522及びロボット端子524は、温度計測器350に接続されてよい。この場合に、温度計測器350は、静電用電極440の裏面側端子434に接続されたロボット端子522により、二つの静電用電極440の間に予め定められた電圧をかけて、二つの静電用電極440の間のリーク電流等の電気的特性を計測して、計測したリーク電流に基づいて、下基板ホルダ本体422の温度を算出することができる。
温度計測器350は、静電用電極420の載置側端子418に接続されたロボット端子524により、二つの静電用電極420の間に予め定められた電圧をかけて、二つの静電用電極420の間のリーク電流等の電気的特性を計測して、計測したリーク電流に基づいて、上基板ホルダ本体402の温度を算出することができる。
図10は、下基板ホルダ125の他の例を示す。図10の下基板ホルダ125において、静電用電極440とは別個に温度計測電極602が設けられる。温度計測器350は、二つの温度計測電極602の間に予め定められた電圧をかけて、二つの温度計測電極602の間のリーク電流等の電気的特性を計測して、計測したリーク電流に基づいて、下基板ホルダ本体422の温度を算出することができる。
温度計測電極602は、下基板ホルダ本体422における、破線で示された網状静電用電極440が設けられていない領域の外側に、すなわち第2基板123を吸着する領域の外側に配置される。この配置により、静電用電極440の影響を最小限に抑える。温度計測電極602は、下基板ホルダ本体422における第2基板123を吸着する吸着面側、即ち図5における下基板ホルダ125の上面の近くに配置される。この配置により、より第2基板123に近い温度が検出できる。温度計測電極602は、更に複数設けられても良い。また、上基板ホルダ124にも静電用電極420とは別個に温度計測電極が設けられてもよい。
図11は、他の実施形態であって、熱電対610が設けられた下基板ホルダ125の断面を概略的に示す。温度計測器350は、熱電対610の熱起電力を計測して、下基板ホルダ本体422の温度を検出することができる。熱電対610の温接点が下基板ホルダ本体422における第2基板123を吸着する吸着面側、即ち図5における下基板ホルダ125の上面の近くに配置される。この配置により、より第2基板123に近い温度が検出できる。熱電対610は、更に複数設けられても良い。
図12は、他の実施形態であって、4つの静電用電極が設けられた下基板ホルダ125の平面図を概略的に示す。このような静電用電極を有する下基板ホルダ125は、段階的に第2基板を静電吸着することができる。例えば、まず端子724及び端子726に電力を供給して、下基板ホルダ125の中心部において第2基板を静電吸着して、次に端子722及び端子728に電力を供給して、下基板ホルダ125の周辺部において第2基板を静電吸着する。
温度計測器350は、端子722、724、726、728を通じて、静電用電極712、714、716、718のうち、いずれか二つの静電用電極の間に予め定められた電圧をかけて、二つの静電用電極間のリーク電流等の電気的特性を計測して、計測したリーク電流等に基づいて、下基板ホルダ125の温度を算出することができる。例えば、温度計測器350は、静電用電極712と静電用電極714との間のリーク電流を計測して、図12に示す下基板ホルダ125の左側の温度を算出することができる。即ち、この実施形態では、下基板ホルダ125の左側と右側のそれぞれについて、温度検出ができる。
以上の実施形態において、基板貼り合せ過程における基板に最も近い下基板ホルダ125等の温度を直接に検出することができるので、積層基板の温度をより正確に把握することができる。これにより、積層基板を加熱するヒータ351をより適切に制御することができる。
図13は、積層半導体装置を製造する製造方法の概略を示す。図13に示すように、積層半導体装置は、当該積層半導体装置の機能・性能設計を行うステップS110、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップS120、積層半導体装置の基材である基板を製造するステップS130、マスクのパターンを用いたリソグラフィを含む基板処理ステップS140、上記の基板貼り合せ装置を用いた基板貼り合せ工程等を含むデバイス組み立てステップS150、検査ステップS160等を経て製造される。なお、デバイス組み立てステップS150は、基板貼り合せ工程に続いて、ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む。
図1から図11に示す実施形態において、下基板ホルダ125等は第2基板123等を静電吸着により保持しているが、保持方法はこれに限られない。他の例として、下基板ホルダ125等は第2基板123等を真空吸着により保持してもよい。この場合には、下基板ホルダ125等には図10に示す温度計測電極602が設けられる。さらにこの場合に、温度計測電極602は、第2基板123を保持する領域まで電極が延びており、第2基板123を保持する領域におけるリーク電流を計測して温度を検出してもよい。
また、図1から図7に示す実施形態において、上ステージ310および下ステージ320からホルダ対に静電吸着の電力を供給する場合を説明したが、上ステージ310および下ステージ320からホルダ対へ静電吸着の電力を供給しなくてもよい。この場合に、図7に示す各静電用電極及び電力供給に用いられる各端子は、温度検出にだけ使用してよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。