JP2011183986A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低μ路の制動におけるフューエルカット復帰時のエンジンストールをより確実に回避することのできる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車両の惰性走行時にエンジンのフューエルカットと、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップと、を行う車両にあって、ブレーキ圧積算値が既定の解除判定値βを超えることを条件に、ロックアップ実行フラグ及びフューエルカット実行フラグをオフにセットして、ロックアップの開放とフューエルカットからの復帰とを実施するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の惰性走行時にエンジンのフューエルカットと、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップと、を行う車両の制御装置に関する。
多くの車両では、アクセルオフによる車両の惰性走行時に、エンジンの燃料供給を停止するフューエルカット制御が実施されている。こうした車両では、エンジンの出力を必要としない惰性走行時の燃料消費がカットされるため、走行燃費が改善されるようになる。通常、エンジンのフューエルカットは、エンジン回転速度が既定のフューエルカット復帰回転速度以下となるまで継続されるようになっている。
またロックアップクラッチ付きのトルクコンバーターを搭載する車両では、フューエルカットの実施に合せて、ロックアップクラッチの係合によりエンジン出力軸と変速機入力軸とを直結するロックアップ制御を実施するものがある。こうした車両では、フューエルカット中のエンジンの回転が駆動輪からの入力トルクにより維持されるため、より長い期間に渡ってフューエルカットを実施することができるようになる。
ところで氷結路のような低μ路の走行時にブレーキペダルを踏み込むと、駆動輪がロックすることがある。このとき、ロックアップが実行中であると、駆動輪のロックとともにエンジン回転速度が急低下して、エンジンストールが発生することがある。
そして従来、特許文献1には、エンジン回転速度の低下量が大きいときには、車両のブレーキ圧を減圧することで、低μ路での急制動によるエンジンストールを回避する技術が提案されている。この技術は、ブレーキ圧の減圧により駆動輪のロックを回避することで、エンジン回転速度の急低下を防いでフューエルカット復帰時のエンジンストールを防止するものとなっている。
また特許文献2には、アンチロックブレーキシステムを備える車両において、トルクコンバーターのタービン回転速度の低下量から高μ路での急制動か低μ路での急制動かを判定し、低μ路での急制動時には、高μ路での急制動時に比してロックアップクラッチの解放を遅延する技術が記載されている。この技術は、低μ路での急制動時には、アンチロックブレーキシステムが作動してブレーキが間欠作動するため、高μ路での急制動時に比してエンジン回転速度の低下が遅くなることを考慮したものとなっている。
更に特許文献3には、ブレーキペダルの操作量、又は操作速度から急制動であるか否かを判定し、急制動時であると判定されたときには、ロックアップを直ちに解除することで、フューエルカット復帰時のエンジンストールを回避する技術が記載されている。
特開2009−113644号公報 特開2009−019653号公報 特開2000−257483号公報
上記のような駆動輪のロックによるフューエルカット復帰時のエンジンストールを確実に回避するには、エンジン回転速度が低下してしまわない内にロックアップクラッチを解放する必要がある。これに対して特許文献1及び2では、エンジン回転速度やタービン回転速度の低下から急制動を判定しており、制動によるエンジン回転速度の低下がある程度進行してからしか急制動を判定できないため、ロックアップクラッチの解放が遅れてしまうようになる。
また特許文献3では、ブレーキの操作量や操作速度から急制動を判定しており、制動によるエンジン回転速度の低下が進行する前に急制動を検知してロックアップクラッチの解放を行うことが可能ではある。しかしながら、低μ路では、ブレーキペダルが緩く踏まれているときにも駆動輪のロックが発生することがある。そのため、ブレーキの操作量や操作速度に基づくだけでは、フューエルカット復帰時のエンジンストールの発生を確実に防止することは困難となっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、低μ路の制動におけるフューエルカット復帰時のエンジンストールをより確実に回避することのできる車両の制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、車両の惰性走行時にエンジンのフューエルカットと、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップと、を行う車両の制御装置をその前提とするものとなっている。そして上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ブレーキ圧の積算値が既定の解除判定値を超えることを条件に、ロックアップを解除するようにしている。
ロックアップの解除をブレーキ圧の積算値に基づいて行えば、急制動時には速やかにロックアップを解除することが可能となる。またこうした場合には、ブレーキが緩やかに操作されたときにも、ロックアップを解除することができるようになる。したがって、上記構成によれば、低μ路の制動におけるフューエルカット復帰時のエンジンストールをより確実に回避することができるようになる。なお、エンジンストールをより確実に回避するには、請求項2によるように、ロックアップの解除と同時にフューエルカットを解除するようにすると良い。
ところで、製造時のばらつきのため、ブレーキスイッチがオンとなるタイミングや、ブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧には、個体毎のばらつきがある。そしてそのばらつきにより、ブレーキ圧の積算値が既定の解除判定値以上となるタイミングが変ってしまうことがある。そうした場合には、請求項3によるように、ブレーキ操作量が「0」のときの前記ブレーキ圧に基づいて同ブレーキ圧の零点補正を行うようにすると良い。ちなみに、ブレーキ圧の零点補正は、請求項4によるように、フューエルカットの実行中、且つブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧検出値の徐変値をブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧として設定することで行うことができる。
また上記課題を解決するため、車両の惰性走行時にエンジンのフューエルカットと、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップと、を行う車両の制御装置としての請求項5に記載の発明は、ブレーキ操作量の積算値が既定の解除判定値を超えることを条件に、ロックアップの解除を行うようにしている。
ロックアップの解除をブレーキ操作量の積算値に基づいて行えば、急制動時には速やかにロックアップを解除することが可能となる。またこうした場合には、ブレーキが緩やかに操作されたときにも、ロックアップを解除することができるようになる。したがって、上記構成によれば、低μ路の制動におけるフューエルカット復帰時のエンジンストールをより確実に回避することができるようになる。なお、エンジンストールをより確実に回避するには、請求項6によるように、ロックアップの解除と同時にフューエルカットを解除するようにすると良い。
本発明の車両の制御装置の第1実施形態についてその全体構造を模式的に示す略図。 同実施形態の制御態様を、駆動輪回転速度の低下量に基づいてF/C,L/Uの解除を行う従来の制御装置の制御態様と比較して示すタイムチャート。 同実施形態に採用されるF/C,L/U制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート。 本発明の車両の制御装置の第2実施形態についてブレーキスイッチの作動態様と同実施形態でのブレーキONの判定態様とを併せ示すタイムチャート。 同実施形態に採用されるブレーキ圧零点補正ルーチンの処理手順を示すフローチャート。 同実施形態に採用されるF/C,L/U制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート。
(第1の実施形態)
以下、本発明の車両の制御装置を具体化した一実施形態を、図1〜図3を参照して詳細に説明する。なお本実施の形態の制御装置の適用される車両は、ロックアップクラッチ付きのトルクコンバーターを介してエンジンと変速機とが連結された構成となっている。
図1は、本実施の形態に係る車両の制御装置の全体構造を示している。同図に示すように、この車両の制御装置は、車両の各種制御を司る電子制御ユニット1を中心に構成されている。電子制御ユニット1は、中央演算処理装置(CPU)、読込専用メモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)及び入出力ポート(I/O)を備えている。CPUは、車両の各種制御のための演算処理を実行し、ROMは、制御用のプログラムやデータを記憶する。RAMは、CPUの演算結果やセンサーの検出結果等を一時的に記憶し、I/Oは、外部との信号の入出力を行うためのインターフェイスとなっている。
こうした電子制御ユニット1の入力ポートには、車両の各部に設置された各種センサーの検出信号が入力されている。例えば、ブレーキ圧を検出するブレーキ圧センサー2や、ブレーキペダルの踏み込みに応じてオンとなるブレーキスイッチ3、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサー4、車速を検出する車速センサー5などの検出信号が電子制御ユニット1の入力ポートに入力されている。
一方、電子制御ユニット1の出力ポートには、車両各部に設置されたアクチュエーターの駆動回路が接続されている。例えば、エンジンに設けられたインジェクター6や、トルクコンバーターに設けられたロックアップクラッチ7等の駆動回路が出力ポートに接続されている。
以上のように構成された本実施の形態において電子制御ユニット1は、アクセルオフによる車両の惰性走行時に、エンジンのフューエルカット(F/C)と、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップ(L/U)とを実施する。そして本実施の形態では、フューエルカットからの復帰、及びロックアップの開放を、ブレーキ圧の積算値に基づいて行うようにしている。すなわち、本実施の形態では、フューエルカット及びロックアップの実施中のブレーキ圧の積算値が既定の解除判定値を超えたときには、その時点で直ちにフューエルカットからの復帰、及びロックアップの開放を行うようにしている。
図2は、こうした本実施の形態の制御態様の一例を示している。同図に示すように、フューエルカット及びロックアップの実施中の時刻t1にブレーキペダルが踏まれ、ブレーキスイッチがオン(ON)となると、その時点よりブレーキ圧の積算が開始される。そして時刻t2においてブレーキ圧積算値が解除判定値βに達すると、F/C実行フラグ及びL/U実行フラグがオフ(OFF)とされ、減速時フューエルカットからの復帰、及び減速時ロックアップの開放が行われるようになる。
なお、同図には、駆動輪回転速度の低下量に基づいて減速時フューエルカットからの復帰、及び減速時ロックアップの開放の判定を行ったときの状況が破線で示されている。ブレーキペダルの踏み込みからブレーキが実際に効き始めて駆動輪回転速度が低下するまでには、一定のタイムラグがある。そのため、駆動輪回転速度の低下量が既定の解除判定値αに達してF/C実行フラグ及びL/U実行フラグがオフ(OFF)とされるのは、本実施の形態の場合よりも遅い時刻t3となる。したがって、この場合には、フューエルカットからの復帰、及びロックアップの開放が遅れ、エンジン回転速度が大幅に低下してしまうようになる。
このように、フューエルカット及びロックアップの解除判定をブレーキ圧積算値に基づいて行う本実施の形態では、ブレーキペダルの踏み込み後、速やかに解除判定を行うことができるようになる。そして、フューエルカット及びロックアップの解除時期を早めて、フューエルカット復帰時のエンジン回転速度の低下を抑えることができる。
図3は、こうした本実施の形態に適用されるF/C,L/U制御ルーチンのフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、車両走行中、電子制御ユニット1により既定の制御周期毎に繰り返し実行されるものとなっている。
さて本ルーチンが開始されると、まずステップS100において、フューエルカット及びロックアップの実行判定が行われる。ここでの実行判定は、アクセル操作量、エンジン回転速度、車速等に基づいて行われるものとなっている。
また次のステップS101では、フューエルカット及びロックアップの解除判定がなされる。この解除判定は、アクセル操作量、エンジン回転速度、車速等に基づいて行われるものとなっている。
続くステップS102では、F/C実行フラグ及びL/U実行フラグが共にオン(ON)にセットされているか否かが、すなわちフューエルカット及びロックアップが実行中であるか否かが判断される。ここで上記2つのフラグのいずれか一方又は双方がオフ(OFF)であれば(S102:NO)、今回の本ルーチンの処理はそのまま終了される。
一方、両フラグが共にオンであれば(S102:YES)、続くステップS103において、解除履歴フラグがオフにセットされ、且つブレーキ圧積算値が既定の解除判定値を超えているか否かが判断される。ここで肯定判断されれば(S103:YES)、ステップS104に処理が進められ、そうでなければ(S103:NO)、ステップS105に処理が進められる。
処理がステップS104に進められると、そのステップS104において、F/C実行フラグ及びL/U実行フラグがオフにセットされ、フューエルカットからの復帰及びロックアップの開放が行われる。またこのステップS104においては、解除履歴フラグがオンにセットされる。そしてこれらフラグのセット後、今回の本ルーチンの処理が終了されるようになる。
一方、処理がステップS105に進められると、そのステップS105において、解除履歴フラグがオンにセットされ、且つブレーキスイッチが今回の制御周期においてオフからオンに切り替えられたか否かが判断される。ここで肯定判断されれば(S105:YES)、ステップS106に処理が進められる。一方、ステップS105において否定判断されたときには(S105:NO)、そのままステップS107に処理が進められる。
ステップS106に処理が進められると、そのステップS106において、ブレーキ圧積算値がクリアされ、解除履歴フラグがオフにセットされる。そしてその後、処理がステップS107に進められる。
ステップS107に処理が進められると、そのステップS107において、解除フラグがオフにセットされ、且つブレーキスイッチがオンとなっているか否かが判断される。ここで否定判断されたときには(S107:NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。一方、ステップS107において肯定判断されたときには(S107:YES)、ステップS108において、ブレーキ圧積算値の値を更新した後、今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、ステップS108では、ブレーキ圧積算値の前回値、すなわち前回の制御周期において算出されたブレーキ圧積算値の値に、現在のブレーキ圧検出値を加算した値へと、ブレーキ圧積算値の値が更新されるようになる。
以上の本実施の形態の車両の制御装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、電子制御ユニット1は、ブレーキ圧の積算値が既定の解除判定値以上となることを条件に、ロックアップを解除するようにしている。ロックアップの解除判定をブレーキ圧の積算値に基づいて行えば、急制動時には速やかにロックアップを解除することが可能となる。またこうした場合には、ブレーキが緩やかに操作されたときにも、ロックアップを解除することができるようになる。したがって、本実施の形態によれば、低μ路の制動におけるフューエルカット復帰時のエンジンストールをより確実に回避することができるようになる。
(2)本実施の形態では、ロックアップの解除と同時にフューエルカットを解除するようにしているため、エンジンストールをより確実に回避することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の車両の制御装置を具体化した第2の実施の形態を、図4〜図6を併せ参照して詳細に説明する。なお本実施の形態にあって、上記実施の形態と共通する構成については、同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
第1の実施の形態では、ブレーキ圧の検出値を制御周期毎に積算して求められたブレーキ圧積算値に基づいてフューエルカット及びロックアップの解除判定を行うようにしていた。ブレーキ圧の零点値、すなわちブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧の値には、個体毎のばらつきがあることがあり、そのばらつきにより、フューエルカット及びロックアップの解除判定のタイミングにばらつきが生じることがある。
そこで本実施の形態では、ブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧の検出値に基づいて同ブレーキ圧の零点補正を行うようにしている。より具体的には、フューエルカットの実行中、且つブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧検出値pbの徐変値をブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧、すなわちブレーキ圧零点値pbgとして設定するようにしている。そして本実施の形態では、ブレーキ圧検出値pbとその求めたブレーキ圧零点値pbgとの差分(=pb−pbg)を制御周期毎に積算することで、ブレーキ圧積算値を求めるようにしている。そしてそれにより、ブレーキ圧零点値pbgの個体差に拘らず、フューエルカット及びロックアップの解除判定のタイミングにばらつきが生じないようにしている。
また第1の実施の形態では、ブレーキスイッチ3がオンとなってからのブレーキ圧の積算値を求め、その積算値に基づいてフューエルカット及びロックアップの解除判定を行うようにしていた。ところが、製造時のばらつきにより、ブレーキスイッチ3がオンとなるタイミングにばらつきが生じることがある。例えば図4には、ブレーキスイッチ3の公差中央品の作動態様が実線で、ばらつきの大きい品の作動態様が破線でそれぞれ示されている。同図の例では、公差中央品のブレーキスイッチ3が時刻t2にオンとなるのに対し、ばらつきの大きい品のブレーキスイッチ3は、それよりも遅い時刻t3にオンとなる。ブレーキスイッチ3がオンとなるタイミングにばらつきがあれば、フューエルカット及びロックアップの解除判定のタイミングにばらつきが生じることになる。
そこで本実施の形態では、ブレーキ圧検出値pbが、ブレーキ圧零点値pbgに積算開始判定値PBZEROを加算した値以上となったときより、ブレーキ圧の積算を開始するようにしている。図4の例では、ブレーキ圧検出値pbが、ブレーキ圧零点値pbgと積算開始判定値PBZEROとの加算値(=pbg+PBZERO)を超える時刻t1より、ブレーキ圧の積算が開始されるようになる。こうした態様で積算の開始タイミングを定めれば、ブレーキスイッチ3の製造時のばらつきに拘らず、一律のタイミングでブレーキ圧の積算を開始することができるようになる。
図5は、こうした本実施の形態に採用されるブレーキ圧零点補正ルーチンのフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、電子制御ユニット1によって、既定の制御周期毎に繰り返し実行されるものとなっている。同図に示すように、本ルーチンでは、フューエルカットの実行中で、且つブレーキスイッチがオフとなっているとき(S200:YES)のブレーキ圧検出値pbの徐変値がブレーキ圧零点値pbgとして設定されるようになっている。
図6は、本実施の形態に採用されるF/C,L/U制御ルーチンのフローチャートを示している。本ルーチンの処理は、車両走行中、電子制御ユニット1により既定の制御周期毎に繰り返し実行されるものとなっている。
本ルーチンが開始されると、まずステップS300において、フューエルカット及びロックアップの実行判定が行われる。ここでの実行判定は、アクセル操作量、エンジン回転速度、車速等に基づいて行われるものとなっている。またステップS301では、フューエルカット及びロックアップの解除判定がなされる。ここでの解除判定は、アクセル操作量、エンジン回転速度、車速等に基づいて行われるものとなっている。
続くステップS302では、F/C実行フラグ及びL/U実行フラグが共にオン(ON)にセットされているか否かが、すなわちフューエルカット及びロックアップが実行中であるか否かが判断される。ここで上記2つのフラグのいずれか一方又は双方がオフ(OFF)であれば(S302:NO)、今回の本ルーチンの処理はそのまま終了される。
一方、両フラグが共にオンであれば(S302:YES)、続くステップS303において、解除履歴フラグがオフにセットされ、且つブレーキ圧積算値が既定の解除判定値を超えているか否かが判断される。ここで肯定判断されれば(S303:YES)、ステップS304に処理が進められ、そうでなければ(S303:NO)、ステップS305に処理が進められる。
処理がステップS304に進められると、そのステップS304において、F/C実行フラグ及びL/U実行フラグがオフにセットされ、フューエルカットからの復帰及びロックアップの開放が行われる。またこのステップS304においては、解除履歴フラグがオンにセットされる。
一方、処理がステップS305に進められると、そのステップS305において、解除履歴フラグがオンにセットされ、且つブレーキ圧検出値pbからブレーキ圧零点値pbgを減算した値(=pb−pbg)が積算開始判定値PBZEROを超えているか否かが判断される。
ここで肯定判断されれば(S305:YES)、ステップS306に処理が進められる。一方、ステップS305において否定判断されたときには(S305:NO)、そのままステップS307に処理が進められる。
ステップS306に処理が進められると、そのステップS306において、ブレーキ圧積算値がクリアされ、解除履歴フラグがオフにセットされる。そしてその後、処理がステップS107に進められる。
ステップS307に処理が進められると、そのステップS307において、解除フラグがオフにセットされ、且つブレーキ圧検出値pbからブレーキ圧零点値pbgを減算した値(=pb−pbg)が積算開始判定値PBZEROを超えているか否かが判断される。ここで否定判断されたときには(S307:NO)、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。一方、ステップS307において肯定判断されたときには(S307:YES)、ステップS308において、ブレーキ圧積算値の値を更新した後、今回の本ルーチンの処理が終了される。なお、ステップS308では、ブレーキ圧積算値の前回値、すなわち前回の制御周期において算出されたブレーキ圧積算値の値に、現在のブレーキ圧検出値pbとブレーキ圧零点値pbgとの差(=pb−pbg)を加算した値に、ブレーキ圧積算値の値が更新されるようになる。
本実施の形態の車両の制御装置によれば、上記(1)及び(2)に記載の効果に加え、更に次の効果を得ることができる。
(3)本実施の形態では、ブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧の検出値に基づいて同ブレーキ圧の零点補正を行うようにしている。より具体的には、フューエルカットの実行中、且つブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧検出値pbの徐変値をブレーキ圧零点値pbgとして設定するようにしている。そしてブレーキ圧検出値pbとブレーキ圧零点値pbgとの差分(=pb−pbg)を制御周期毎に積算することで、ブレーキ圧積算値を求めるようにしている。そのため、本実施の形態では、ブレーキ圧零点値pbgの個体差に拘らず、フューエルカット及びロックアップの解除判定のタイミングにばらつきが生じないようにすることができる。
(4)本実施の形態では、ブレーキ圧検出値pbが、ブレーキ圧零点値pbgに積算開始判定値PBZEROを加算した値以上となったときよりブレーキ圧の積算を開始するようにしている。そのため、ブレーキスイッチ3の製造時のばらつきに拘らず、一律のタイミングでブレーキ圧の積算を開始することができる。
なお、上記実施の形態は以下のように変更して実施することもできる。
・第2の実施の形態では、ブレーキ圧検出値pbが、ブレーキ圧零点値pbgに積算開始判定値PBZEROを加算した値以上となったときよりブレーキ圧の積算を開始するようにしていた。そしてそれにより、ブレーキスイッチ3の製造時のばらつきに拘らず、一律のタイミングでブレーキ圧の積算を開始することができるようにしていた。もっとも、ブレーキスイッチ3の製造時のばらつきが無視し得る程度のものであるときには、ブレーキスイッチ3がオンとなるタイミングでブレーキ圧の積算を開始するようにしても良い。
・上記実施の形態では、ブレーキ圧積算値が解除判定値を超えた時点で、ロックアップの開放と、フューエルカットからの復帰とを同時に行うようにしていた。この時点でロックアップを開放すれば、低μ路での駆動輪ロックに伴うエンジン回転速度の急激な低下を回避することが可能であり、この時点でフューエルカットの復帰を行わずとも、エンジンストールを回避することが可能である場合がある。そこでそうした場合には、ブレーキ圧積算値が解除判定値を超えた時点では、ロックアップの開放のみを行うこととし、フューエルカットの復帰は、その後に行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、ブレーキ圧積算値に基づいてロックアップ及びフューエルカットの解除判定を行うようにしていたが、ブレーキ操作量の積算値を用いても、同様の解除判定を行うことが可能である。例えば急制動時には、ブレーキが大きく操作されるため、ブレーキ積算値は早急に増大する。またブレーキペダルが緩く踏まれているときにも、その状態が継続されれば、ブレーキ積算値は増大するようになる。そのため、ブレーキ圧積算値に代えてブレーキ操作量積算値を用いる場合にも、低μ路の制動におけるフューエルカット復帰時のエンジンストールをより確実に回避することができるようになる。
1…電子制御ユニット、2…ブレーキ圧センサー、3…ブレーキスイッチ、4…クランク角センサー、5…車速センサー、6…インジェクター、7…ロックアップクラッチ。

Claims (6)

  1. 車両の惰性走行時にエンジンのフューエルカットと、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップと、を行う車両の制御装置において、
    ブレーキ圧の積算値が既定の解除判定値を超えることを条件に、前記ロックアップを解除する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記ロックアップの解除と同時に前記フューエルカットを解除する
    請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. ブレーキ操作量が「0」のときの前記ブレーキ圧に基づいて同ブレーキ圧の零点補正を行う
    請求項1又は2に記載の車両の制御装置。
  4. 前記ブレーキ圧の零点補正は、前記フューエルカットの実行中、且つ前記ブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧検出値の徐変値を前記ブレーキ操作量が「0」のときのブレーキ圧として設定することで行われる
    請求項3に記載の車両の制御装置。
  5. 車両の惰性走行時にエンジンのフューエルカットと、エンジン出力軸及び変速機入力軸のロックアップと、を行う車両の制御装置において、
    ブレーキ操作量の積算値が既定の解除判定値を超えることを条件に、前記ロックアップの解除を行う
    ことを特徴とする車両の制御装置。
  6. 前記ロックアップの解除と同時に前記フューエルカットを解除する
    請求項5に記載の車両の制御装置。
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