JP2011180502A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】面状発熱体が加圧部材の回転、振動に起因する応力の作用に悪影響を受けず、定着部材を適切に加熱する定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着スリーブ21と、加圧ローラ31と、定着スリーブ21の内周側に配置され、定着スリーブ21を介して加圧ローラ31と当接してニップ部を形成する当接部材26と、定着スリーブ21の内周側に定着スリーブ21と当接または近接して配置され、定着スリーブ21を加熱する面状発熱体22と、面状発熱体22を定着スリーブ21の内周面に沿うように支持する発熱体支持部材23と、を備え、面状発熱体22は、耐熱性樹脂からなる可撓性を有するシートであって該シートの厚み方向において定着スリーブ21側に面する表層に向かうほど導電性粒子の分散密度が高くなるように分散密度の分布に傾斜をもって該シート中に導電性粒子が分散されてなる発熱シート22sを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、面状発熱体を用いた定着装置及び該定着装置を備える電子写真方式、静電記録方式等を利用したFAX、プリンタ、複写機またはそれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する過程により成立している。
この定着装置では、対向するローラもしくはベルトもしくはそれらの組み合わせにより構成された定着部材及び加圧部材が当接してニップ部を形成するように配置されており、該ニップ部に記録紙を挟みこみ、熱および圧力を加え前記トナー像を記録紙上に定着することを行っている。
前記定着装置の一例を挙げると、複数のローラ部材に張架された定着ベルトを定着部材として用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような定着ベルトを用いた装置は、定着部材としての定着ベルト(無端状ベルト)、定着ベルトを張架・支持する複数のローラ部材、複数のローラ部材のうち1つのローラ部材に内設されたヒータ、加圧ローラ(加圧部材)、等で構成されている。ヒータは、ローラ部材を介して定着ベルトを加熱する。そして、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像は、ニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着される(ベルト定着方式)。
また、上述した画像形成装置に用いられる定着装置において、回転体である定着部材の内面に摺接する固定部材を有している定着装置がある。
例えば、特許文献2では、発熱体としてのセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟ませて定着ニップ部を形成させ、前記定着ニップ部のフィルムと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入して、フィルムと一緒に挟持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒータの熱がフィルムを介して被記録材に与えられ、また、定着ニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるフィルム加熱方式の定着装置が開示されている。このフィルム加熱方式の定着装置は、セラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができるとともに、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
また、特許文献3,4では、表面が弾性変形する回転可能な加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルト(加圧ベルト)と、前記エンドレスベルトの内側に非回転状態で配置されて、前記エンドレスベルトを前記加熱定着ロールに圧接させ、前記エンドレスベルトと前記加熱定着ロールとの間に記録紙が通過させられるベルトニップを設けると共に、前記加熱定着ロールの表面を弾性変形させる加圧パッドとを具備してなる加圧ベルト方式の画像定着装置が提案されている。この定着方式によれば、下の加圧部材をベルトにし、用紙とロールの接触面積を広げることで熱伝導効率を大幅に向上させ、エネルギー消費を抑制すると同時に小型化を実現することが可能となっている。
しかしながら、上述した特許文献1記載の定着装置は、定着ローラを用いた装置に比べて装置の高速化に適しているものの、ウォームアップ時間(プリント可能な温度に達するまでに要する時間である。)やファーストプリント時間(プリント要求を受けた後にプリント準備を経てプリント動作をおこない排紙が完了するまでの時間である。)の短縮化に限界があった。
これに対して、特許文献2記載の定着装置は、低熱容量化によりウォームアップ時間やファーストプリント時間の短縮化が可能になるとともに、装置の小型化も可能になる。しか、特許文献2記載の定着装置では、耐久性の問題と、ベルト温度安定性の問題があった。すなわち、熱源であるセラミックヒータとベルト内面の摺動による耐磨耗性が不十分であり、長時間運転すると連続摩擦を繰り返す面が荒れて摩擦抵抗が増大し、ベルトの走行が不安定になる、もしくは定着装置の駆動トルクが増大する等の現象が生じ、その結果、画像を形成する転写紙のスリップが生じ画像のずれが生じる、または駆動ギヤに係る応力が増大し、ギヤの破損を引き起こすという不具合が発生した(課題1)。
また、フィルム加熱方式の定着装置では、ベルトをニップ部で局所的に加熱しているため回転するベルトがニップ入り口に戻ってくる際に、ベルト温度は最も冷えた状態になり、(特に高速回転を行うと)定着不良が出やすいという問題があった(課題2)。
一方、特許文献3では、圧力パッドの表層に低摩擦シート(シート状摺動材)としてPTFEを含浸させたガラス繊維シート(PTFE含浸ガラスクロス)を用い、ベルト内面と固定部材の摺動性の問題を改善する手段が開示されている。しかし、このような加圧ベルト方式の定着装置(特許文献3,4)では、定着ローラの熱容量が大きく、昇温が遅いため、ウォームアップにかかる時間が長いという問題があった。(課題3)。
以上のような課題1〜3に対して、特許文献5,6では、無端状の定着ベルトの内周側に配置される略パイプ状の対向部材(金属熱伝導体)と、前記対向部材の内周側に配置され該対向部材を加熱するセラミックヒータ等の抵抗発熱体とを設けることにより、定着ベルト全体を温めることを可能にし、ウォームアップ時間やファーストプリント時間を短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することのできる定着装置が提案されている。しかしながら、対向部材(金属熱伝導体)を介して抵抗発熱体の熱を定着ベルトに伝える方式であるため、ウォームアップ時間やファーストプリント時間の短縮という点で不十分であった。
これに対して、特許文献7では、無端状の定着ベルトと、該定着ベルトに圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧ローラと、前記定着ベルトの内周面側に固設されて当該定着ベルトを加熱する抵抗発熱体と、を備え、前記抵抗発熱体は、前記定着ベルトの内周面に対して圧接しないように微小ギャップで配設する定着装置が提案されている。これにより、ウォームアップ時間やファーストプリント時間をより短くし、装置を高速化した場合であっても定着不良や定着部材及び抵抗発熱体の磨耗・破損等の不具合が生じないようにすることができるものとしている。
しかしながら、特許文献7記載の定着装置において、加圧ローラの回転、振動に起因する応力が抵抗発熱体に繰り返し作用して、前記抵抗発熱体の屈曲が繰り返し行われるようになるが、該抵抗発熱体が金属材料からなるものであるため、繰り返しの屈曲による疲労破壊により断線して定着ベルトの適切な加熱が行われないことがあった。
また、抵抗発熱体全体が発熱することから該抵抗発熱体の熱のうち抵抗発熱体の裏面側から定着ベルトとは反対側に逃げる熱があり、定着ベルトを効率的に加熱できるものではなかった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、面状発熱体が加圧部材の回転、振動に起因する応力の作用に悪影響を受けず、定着部材を効率的に加熱する定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 回転する無端状ベルトの定着部材(定着スリーブ21)と、前記定着部材の外周面と当接する加圧部材(加圧ローラ31)と、前記定着部材の内周側に配置され、該定着部材を介して前記加圧部材と当接してニップ部を形成する当接部材(当接部材26)と、前記定着部材の内周側に該定着部材と当接または近接して配置され、前記定着部材を直接または間接的に加熱する面状発熱体(面状発熱体22)と、前記面状発熱体を前記定着部材の内周面に沿うように支持する発熱体支持部材(発熱体支持部材23)と、を備え、前記面状発熱体は、耐熱性樹脂(耐熱性樹脂22b)からなる可撓性を有するシートであって該シートの厚み方向において前記定着部材側に面する表層に向かうほど導電性粒子(導電性粒子22a)の分散密度が高くなるように分散密度の分布に傾斜をもって該シート中に導電性粒子が分散されてなり、電力が供給されて発熱する発熱シート(発熱シート22s)を有することを特徴とする定着装置(定着装置20、図1,図3,図5,図7,図8)。
〔2〕 前記面状発熱体は、前記発熱シートの前記定着部材側表面に、耐熱性樹脂フィルム中に金属フィラーを分散させてなり表裏面間で絶縁性を有する熱伝導フィルム(熱伝導フィルム22f)を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の定着装置(図4)。
〔3〕 前記面状発熱体は、前記発熱体支持部材の外周面に付設されていることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の定着装置(図1,図5)。
〔4〕 前記発熱体支持部材の外周面との間に前記面状発熱体を挟んで該面状発熱体を前記発熱体支持部材の外周面上に固定する固定部材(固定部材24)を備えることを特徴とする前記〔3〕に記載の定着装置(図5)。
〔5〕 前記固定部材は、前記面状発熱体の発熱シートを前記定着部材の内周面に露出させる開口部(開口部24a)を有することを特徴とする前記〔4〕に記載の定着装置(図6)。
〔6〕 前記面状発熱体は、前記発熱体支持部材の内周面に付設されていることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の定着装置(図7,図8)。
〔7〕 前記発熱体支持部材の内周面との間に前記面状発熱体を挟んで該面状発熱体を前記発熱体支持部材の内周面上に固定する固定部材(固定部材25)を備えることを特徴とする前記〔6〕に記載の定着装置(図8)。
〔8〕 前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置1、図9)。
本発明の定着装置によれば、定着部材及び面状発熱体の熱容量が小さいため、消費エネルギーの抑制を図りつつウォームアップ時間やファーストプリント時間を短くすることができる。また、面状発熱体における発熱シートは樹脂ベースのシートであるため、加圧部材の回転、振動に起因する応力が発熱シートに繰り返し作用して、発熱シートの屈曲が繰り返し行われても疲労破壊することがなく、長時間の運転が可能である。また、発熱シート中で導電性粒子を分散密度の分布に傾斜を持たせて分散しているので、抵抗発熱層の厚さ方向において定着部材側となる表層側になるほど高温になるとともに裏面側からの熱流出が抑えられ、少ない電力で定着部材を効率的に加熱することが可能となる。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備えているので、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短く、記録媒体のサイズが変わっても消費エネルギーを抑えつつ適切な画像形成が可能であり、装置を高速化した場合であっても定着不良等の不具合が生じるのを抑止することができる。
本発明に係る定着装置の第1の実施の形態における構成を示す断面図である。 定着スリーブにおける軸方向、周方向を示す概略図である。 本発明で用いる面状発熱体の構成例を示す断面図である。 本発明で用いる面状発熱体の別の構成例を示す断面図である。 本発明に係る定着装置の第1の実施の形態における変形例を示す断面図である。 図5の定着装置で用いる固定部材の構成を示す斜視図である。 本発明に係る定着装置の第2の実施の形態における構成を示す断面図である。 本発明に係る定着装置の第2の実施の形態における変形例を示す断面図である。 本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
以下に、本発明に係る定着装置の構成について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る定着装置の第1の実施の形態における構成を示す断面図である。
図1に示すように、定着装置20は、回転する無端状ベルトからなる定着部材(定着スリーブ21(定着回転体ともいう))と、前記定着部材の外周面と当接する加圧部材(加圧ローラ31(加圧回転体ともいう))と、前記定着部材の内周側に配置され、該定着部材を介して前記加圧部材と当接してニップ部を形成する当接部材(当接部材26)と、前記定着部材の内周側に該定着部材と当接または近接して配置され、前記定着部材を直接または間接的に加熱する面状発熱体(面状発熱体22)と、前記面状発熱体を前記定着部材の内周面に沿うように支持する発熱体支持部材(発熱体支持部材23)と、を備える。
ここで、定着スリーブ21は、軸方向が通紙される記録媒体Pの幅に対応する長さを有し、可撓性を有するパイプ形状の無端状ベルトであり、例えば厚さが30〜50μmの金属材料からなる基材上に少なくとも離型層を形成したものであって、外径が30mmになっている。なお以降、図2(a)に示すように、定着スリーブ21のパイプ長手方向を軸方向と、図2(b)に示すように、定着スリーブ21のパイプ円周方向を周方向と称する。
定着スリーブ21の基材を形成する材料としては、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金等の伝熱性のよい金属材料を用いることができる。
定着スリーブ21の離型層は、PFA等のフッ素化合物をチューブ状に被覆したものであって、その厚さは50μmになっている。離型層は、記録媒体P上のトナー像(トナー)Tが直接的に接する定着スリーブ21表面のトナー離型性を高めるためのものである。
加圧ローラ31は、アルミニウム、銅等の金属材料からなる芯金上に、シリコーンゴム(ソリッドゴム)等の耐熱性弾性層、離型層が順次形成されたものであって、外径が30mmになっている。弾性層は、肉厚が2mmとなるように形成されている。離型層は、PFAチューブを被覆したものであって、厚さが50μmになるように形成されている。また、芯金内には必要に応じてハロゲンヒータなどの発熱体を内蔵してもよい。また、加圧ローラ31は、加圧手段(不図示)により定着スリーブ21を介して当接部材26に圧接され、その圧接部が定着スリーブ21側が凹んだニップ部を形成している。そして、このニップ部に、トナーTを坦持した記録媒体Pが搬送されることになる。
また、加圧ローラ31は、定着スリーブ21に圧接した状態で不図示の駆動機構により回転駆動され(図1において時計回り方向に回転)、この加圧ローラ31の回転に伴って定着スリーブ21が回転することになる(図1において反時計回り方向に回転)。
当接部材26は、定着スリーブ21の軸方向に長さを有し、少なくとも定着スリーブ21を介して加圧ローラ31と圧接する部分がフッ素系ゴムなどの耐熱性を有する弾性体からなるものであり、コア保持部材28により定着スリーブ21の内周側の所定位置に保持された状態で固定されている。図1では、当接部材26は、発熱体支持部材23の円周上に設けられた軸方向に延びる溝に嵌め込まれた状態で、発熱体支持部材23を介してコア保持部材28に保持されている。
また、当接部分26の定着スリーブ21の内周面と接する部分はテフロン(登録商標)シートなどの摺動性及び耐磨耗性の優れた材料からなるものとするとよい。
コア保持部材28は、金属などの板材が板金加工されてなり、定着スリーブ21の軸方向の長さに対応する長さを有し断面が矩形の剛性部材であり、定着スリーブ21の内周側の略中心部分に配置されるものである。
またコア保持部材28は、当接部材26が加圧ローラ31により加圧されても大きく変形しないようにニップ部とは反対面側(背面側)から当接部材26を支持している。このとき、当接部材26とコア保持部材28との間に断熱材を配置して、当接部材26の熱がコア保持部材28を伝って流出するのを防止し、ニップ部の温度が落ち込むことを防ぐ構成としてもよい。
また、コア保持部材28は、発熱体支持部材23を保持している。
発熱体支持部材23は、面状発熱体22を定着スリーブ21の内周面と当接または所定ギャップで近接させて配置するために該面状発熱体22を支持するものである。また、発熱体支持部材23は、回転する定着スリーブ21を適正な形状に支持して安定して走行させるためのものでもある。そのため、発熱体支持部材23は、断面形状を円形とした定着スリーブ21の内周面に沿った所定の弧の長さの外周面を有している。
また、発熱体支持部材23は、面状発熱体22の発熱に耐えるだけの耐熱性と、回転走行する定着スリーブ21が近接する面状発熱体22に接触した際に変形することなく面状発熱体22を支持するだけの強度と、を少なくとも有する。例えば、発熱体支持部材23は、略円筒パイプ状に形成され、定着スリーブ21の内周面側に固設されており、アルミニウム、銅、鉄等の剛性を有する金属材料で形成されている。また、発熱体支持部材23は、面状発熱体22の熱をコア保持部材28側に伝えずに、定着スリーブ21側に伝えるようにする断熱性と、を有することが好ましく、例えば面状発熱体22との間に断熱材を設けるとよい。
また、発熱体支持部材23は、コア保持部材28に保持されるようにしてもよいが、その軸方向両端部が定着装置20のフレームに固定支持されるようにしてもよい。
面状発熱体22は、耐熱性及び絶縁性を有する樹脂(耐熱性樹脂)を基材としてその中に導電性粒子を分散させてなる発熱シート22sを備える。
図3に、本発明の定着装置20で用いる面状発熱体の構成例を示す。ここでは、図1中のA部の拡大図であって、面状発熱体22として、定着スリーブ21と発熱体支持部材23との間に発熱シート22sを配置している構成を示している。
この発熱シート22sは、図3に示すように、耐熱性樹脂22bからなる可撓性を有するシートであって該シートの厚み方向において定着スリーブ21側に面する表層に向かうほど導電性粒子22aの分散密度が高くなるように分散密度の分布に傾斜をもって該シート中に導電性粒子22aが分散されてなるものである。
なお、面状発熱体22は、発熱シート22sの端部で接続され、電源から供給される電力を発熱シート22sに供給する電極端子(不図示)を備える。
また、発熱シート22sの厚さは0.1〜1mm程度であり、少なくとも発熱体支持部材23の外周面に沿って巻きつけることができる程度の可撓性を有している。
ここで、耐熱性樹脂22bは、PETまたはポリイミド樹脂などのある程度の耐熱性を有する樹脂であり、このうちポリイミド樹脂であることが好ましい。これにより、耐熱性と、絶縁性と、ある程度の柔軟性(可撓性)を備える。
導電性粒子22aは、カーボン粒子や金属粒子などの導電性を有する粒子である。
このうち、カーボン粒子は、通常のカーボンブラック粉末でもよいが、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルの少なくともいずれかからなるカーボンナノ粒子であってもよい。
また、金属粒子は、Ag、Al、Niなどからなる粒子であり、その形状は粒状であってもよいし、フィラメント状であってもよい。
このような構成の発熱シート22sは、電源(外部電源やキャパシタ)から電力が供給されてその内部抵抗によりジュール熱として発熱するが、導電性粒子22aの厚さ方向の分散密度の分布により、その厚さ方向で定着スリーブ21側に面する表層(おもて面)に向かうほど発熱量が大きくなり、逆に発熱体支持部材23側に面する表層(裏面)に向かうほど発熱量が小さくなる発熱傾斜(発熱量分布)を有する。
これにより、発熱シート22sで発生する熱のうち、裏面側へ流出する熱を抑えつつ大部分の熱を定着スリーブ21に伝達することができるので、定着スリーブ21を効率的に加熱することが可能となる。また、発熱シート22sの厚さ方向で徐々に発熱量が変化する発熱傾斜をもたせて厚さ方向で温度差が大きな領域が形成されないようにするので、発熱シート22s内での層間剥離を防止することもできる。
発熱シート22sの作製に当たっては、ポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂22bの前駆体中にカーボン粒子や金属粒子などの導電性粒子22aを分散させた塗料を塗布して薄膜を成膜する工程を繰り返して複数の薄膜を積層して目的の厚さのシートとするが、下層の薄膜から上層の薄膜に向かうにつれて、前記塗料中の導電性粒子22aの添加量を徐々に増やすようにするとよい。例えば、最下層用の塗料には導電性粒子22aを添加せず、つぎの層の塗料から導電性粒子22aを添加し、その層から層が1つ増えるごとに一定の比率で導電性粒子22aの添加量を増加させて薄膜を形成する。なお、最上層の上にさらにポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂からなる絶縁性薄膜を積層しておくとよい。またさらに、発熱シート22sの表面にフッ素系樹脂をコーティングすると、定着スリーブ21の内周面との接触に対する耐久性がさらに向上するので好ましい。
発熱シート22sの定着スリーブ21内周面における配置領域としては、発熱シート22sの発熱量、定着スリーブ21の加熱効率などを考慮して配置するとよい。
例えば、図1に示すように、定着スリーブ21の内周面に沿って周方向にニップ部出口からニップ部入口までにかけて発熱シート22sを配置する。このときの発熱シート22sは、定着スリーブ21に対してニップ部以外の領域において微小ギャップδ(0<δ≦1mm)をもって固設されており、発熱シート22sからの熱が定着スリーブ21に効率的に伝わるようになっている。
なお、加圧ローラ31の回転に伴って定着スリーブ21が回転すると、定着スリーブ21はニップ部で加圧ローラ31に引っ張られることから、ニップ部の上流側(図1において円周下半分側)の定着スリーブ21は張力が付与された張り側となり、定着スリーブ21の内周面は発熱体支持部材23上の発熱シート22sに近接した状態となる(図3)。あるいは、定着スリーブ21の内周面は発熱体支持部材23に圧接した状態で面状発熱体22と摺動するようになる。一方で、ニップ部の下流側(図1において円周上半分側)では定着スリーブ21に張力は作用しておらず弛んだ状態となっており、定着スリーブ21と発熱シート22sとのギャップが広がるようになる。したがって、図1において定着スリーブ21が回転したときには、周方向においてニップ部上流側の領域(図中円周下半分の領域)では発熱シート22sから効率的に熱が伝達され、ニップ部下流側の領域(図中円周上半分の領域)では発熱シート22sの熱が伝達しにくくなる。
そこで、発熱シート22sを、表層における導電性粒子22aの分散密度を高めてより発熱するようにした上で、図1において定着スリーブ21の円周下半分の領域、例えばニップ部(回転角度0度)から上流側180度までの領域(図中a−b−cの領域)に配置するとよい。
また、図3に示す構成は、発熱シート22sが直接定着スリーブ21の内周面と相対して該定着スリーブ21を直接加熱できるため加熱効率のよいものとなっているが、発熱シート22sと定着スリーブ21が摺動することにより発熱シート22sが摩耗して破損する可能性がある。また、定着スリーブ21が金属材料からなるときには発熱シート22sの表面に設けた絶縁性薄膜がなくなって、発熱シート22sと定着スリーブ21との絶縁性が問題になることがある。
そこで、図4に示すように、面状発熱体22は、発熱体支持部材23に固設された発熱シート22sと、発熱シート22sの定着スリーブ21側表面に設けられる熱伝導フィルム22fと、からなる構成とするとよい。
ここで、熱伝導フィルム22fは、耐熱性樹脂フィルム中に金属フィラーを分散させてなりフィルムの表裏面間で絶縁性を有するものである。詳しくは、金属フィラーでフィルム厚み方向の良好な熱伝導性を確保しつつ、金属フィラーを耐熱性樹脂フィルム中で疎な状態となるように分散させることにより絶縁性を確保している。
このように発熱シート22sと定着スリーブ21の間に熱伝導フィルム22fを配置することにより、図1の構成においても発熱シート22sと定着スリーブ21間の絶縁性を保ちつつ、発熱シート22sから定着スリーブ21への熱伝達を効率的に行うことが可能となる。
定着装置20における定着スリーブ21側の組み立ては例えばつぎの手順で行う。
まず、発熱体支持部材23の外周面に沿って面状発熱体22の発熱シート22sを接着剤により貼り付ける。この際、接着剤は発熱体支持部材23への熱の流出を防ぐために熱伝導率の低いものを用いることが望ましい。またこのとき、発熱シート22sに接続した電極端子を軸方向の端部から引き出しておく。
ついで、発熱体支持部材23のくぼんだ溝に当接部材26を装着する。
つぎに、発熱体支持部材23の内周部にコア保持部材28を挿入し、コア保持部材28が当接部材26を保持するように固定して、定着スリーブ21側の内部機構部を完成する。
最後に、この内部機構部を定着スリーブ21の内周側に挿入して、図1のように配置し、発熱シートに接続した電極端子を給電線と接続して定着装置20における定着スリーブ21側の組み立てを完了する。
なお、発熱体支持部材23と発熱シート22sを接着剤等で固定する場合に、発熱シート22sのシート全面を接着すると発熱シート22sの発熱がシート全面において発熱体支持部材23に移動しやすくなるため好ましくなく、定着スリーブ21の軸方向に対応する両端部のうち、記録媒体Pが通過しない領域すなわち非通紙領域(面)のみを発熱体支持部材23に接着することが好適である。これにより、発熱シート22sの位置ずれ防止とともに、発熱シート22sの通紙領域(ここでは使用される記録媒体Pのうち最大サイズのものが通過する領域(最大通紙領域)である)は発熱体支持部材23に接着されず浮いた状態にあることから発熱シート22sの通紙領域から発熱体支持部材23への熱移動がなくなり、発熱シート22sの通紙領域で発生した熱を効率的に定着スリーブ21の加熱に利用することが可能となる。
また、この発熱シート22sの接着は、塗布型の液体接着剤を用いてもよいが、耐熱性のあるアクリル系材料あるいはシリコーン系材料からなる両面に接着性または粘着性のあるテープ状の接着部材(両面テープ)を用いて行うとよい。これにより、面状発熱体22(発熱シート22s)の発熱体支持部材23への貼り付けが容易になるだけではなく、面状発熱体22に異常が発生したときに両面テープを剥すだけで面状発熱体22の交換ができる構成となり、メンテナンス性に優れたものとなる。
なおこのとき、単に発熱シート22sと発熱体支持部材23の間に両面テープを挟むようにすると、発熱シート22sの表面は定着スリーブ21の軸方向において両面テープで接着した部分がその両面テープの厚み分だけ盛り上がり、通紙領域において面状発熱体22(発熱シート22s)が定着スリーブ21に均一に接触しなくなり、加熱効率が低下するとともに軸方向の温度分布も不均一になってしまう。
そこで、面状発熱体22において両面テープを貼り付ける部分の発熱シート22sの厚みを両面テープの厚み分だけ薄くすることが好ましい。すなわち、両面テープはある程度の厚み(例えば0.1mm)があるので、発熱シート22sの発熱体支持部材23側の面の軸方向の両端部分に両面テープの厚み分に相当する深さで周方向に延びるくぼみを設けて、そのくぼみに両面テープを接着し、ついでその発熱シート22sを両面テープを介して発熱体支持部材23の所定位置に接着するようにする。これにより、発熱シート22sを発熱体支持部材23に接着したときに、発熱シート22sの定着スリーブ21側の表面は定着スリーブ21の軸方向において平坦となり、通紙領域において面状発熱体22(発熱シート22s)が定着スリーブ21に均一に接触するので、良好な加熱効率で定着スリーブ21の軸方向の温度分布の均一化も図ることができる。
あるいは、発熱体支持部材23の発熱シート22sの非通紙領域に対応する位置に両面テープの厚み分だけくぼませることが好ましい。すなわち、発熱体支持部材23の軸方向の両端部分であって発熱シート22sの非通紙領域に対応する位置に両面テープの厚み分に相当する深さで周方向に延びるくぼみを設けて、そのくぼみに両面テープを接着し、ついでその状態の発熱体支持部材23に発熱シート22sを両面テープを介して接着するようにする。これによっても、発熱シート22sの定着スリーブ21側の表面は定着スリーブ21の軸方向において平坦となり、通紙領域において面状発熱体22(発熱シート22s)が定着スリーブ21に均一に接触するので、良好な加熱効率で定着スリーブ21の軸方向の温度分布の均一化も図ることができる。
また、固定部材を用いて、面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の外周面上に固定するようにしてもよい。図5に、その構成を示す。
図5は、本発明に係る定着装置の第1の実施の形態における変形例を示す断面図である。なお、図5では、定着スリーブ21の軸方向中央部における断面構成を示している。
図5に示すように、定着装置20は、発熱体支持部材23の外周面との間に面状発熱体22(発熱シート22s)を挟んで該面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の外周面上に固定する固定部材24を備える。それ以外の構成は、図1の定着装置20と同じである。
ここで、固定部材24は、例えば厚さ0.1〜1mmの鉄、ステンレス等の薄肉金属からなる円筒パイプ形状の部材であり、その外周面においてニップ部側が軸方向に切断されて開口している(図6)。
この固定部材24をその開口している部分から固定部材24の内周部に発熱体支持部材23が収納されるように取り付けると、固定部材24はそのバネ特性により発熱体支持部材23の外周を巻き締める状態で嵌合するとともに、固定部材24の円筒パイプ内周面は発熱体支持部材23の外周面に周方向で沿うようにして密着するようになる。そのため、図5の定着装置20において、発熱体支持部材23の外周上の所定の位置に面状発熱体22(発熱シート22s)を配置し、ついで固定部材24をその開口している部分から発熱体支持部材23の外周上に嵌め込むと、固定部材24は発熱体支持部材23の外周面との間に面状発熱体22(発熱シート22s)を挟んで該面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の外周面上に固定するようになる。また、固定部材24は発熱体支持部材23から脱着可能な部材であることから、メンテナンス等で発熱シート22sの交換を容易に行うことが可能となる。
また、発熱体支持部材23における面状発熱体22(発熱シート22s)を保持する外周面の半径をR(図5)、固定部材24における円筒パイプ内周面の半径をr(図6)としたとき、R>rとすると、固定部材24を発熱体支持部材23に取り付けたときに固定部材24が発熱体支持部材23の外周をより巻き締める状態で嵌合し、面状発熱体22(発熱シート22s)をより強固に保持することができるので好ましい。
さらに、発熱体支持部材23の外周面においてニップ部入口近傍と出口近傍に円周内側に下る段差を設けておくと、その段差に固定部材24の開口している部分の端部がそれぞれ引掛かって取り付けやすくなるので好ましい。
また、固定部材24は、面状発熱体22(発熱シート22s)を定着スリーブ21の内周面に露出させる開口部24aを有することが好ましい。これにより、固定部材24が面状発熱体22(発熱シート22s)を固定しつつ、面状発熱体22(発熱シート22s)が定着スリーブ21の内周面に直接対向し加熱することが可能となる。
また更に、固定部材24の定着スリーブ21側となる外周面に断熱部材24cを設けることにより、固定部材24が定着スリーブ21から吸熱することを防止するようにするとよい。これにより、定着スリーブ21の局所的な温度ムラの発生を防止することが可能となる。
このように構成された定着装置20は、次のように動作する。
まず、画像形成装置が出力信号を受けると(例えばユーザの操作パネルの操作あるいはパソコンからの通信などにより画像形成装置に印刷要求があると)、定着装置20において、加圧ローラ31が定着スリーブ21を介して当接部材26に押圧され、ニップ部を形成する。
ついで、不図示の駆動装置によって、加圧ローラ31が図1の時計回り方向に回転駆動されると、定着スリーブ21も連れ回りして反時計回り方向に回転する。このとき、面状発熱体22は発熱体支持部材23で支持された状態で、定着スリーブ21の内周面と微小ギャップの間隔で近接する状態、あるいは定着スリーブ21の内周面と当接し摺動する状態となる。
そして、それと同期して外部電源または内部の蓄電装置から面状発熱体22に電力が供給され、発熱シート22sが発熱し、定着スリーブ21は該発熱シート22sと近接または当接していることから、前述のように効率的に熱が伝達され、急速に加熱される。なお、駆動装置の動作と面状発熱体22による加熱は同時刻に同時に開始する必要はなく、適宜時間差を設けて開始しても良い。
このとき、ニップ部上流側であって、定着スリーブ21の外側又は発熱シート22sの内周側の発熱体支持部材23内から接触又は非接触に配置された温度検知手段(不図示)で検知される温度により、ニップ部が所定の温度となるように、面状発熱体22による加熱制御が行われており、定着に必要な温度まで昇温された後、保持され、記録媒体Pの通紙が開始される。
なお、画像形成装置への出力信号がない場合、通常は消費電力を抑えるために加圧ローラ31及び定着スリーブ21は非回転で、面状発熱体22は通電を停止されているが、すぐに再出力を開始したい(復帰させたい)場合は、加圧ローラ31及び定着スリーブ21が非回転の状態でも面状発熱体22に通電しておくことが可能である。この場合は、面状発熱体22に定着スリーブ21全体を保温させておく程度の通電を行う。
このように、本発明の第1の実施形態の定着装置では、定着スリーブ21及び面状発熱体22の熱容量が小さいため、省エネを図りつつウォームアップ時間やファーストプリント時間を短くすることができる。また、面状発熱体22における発熱シート22sは樹脂ベースのシートであるため、加圧ローラ31の回転、振動に起因する応力が発熱シート22sに繰り返し作用して、発熱シート22sの屈曲が繰り返し行われても疲労破壊することがなく、長時間の運転が可能である。また、定着スリーブ21の内周面に直接対向する発熱シート22sが厚み方向において定着スリーブ21側の発熱量が高くなるように所定の発熱傾斜を有することから、発熱シート22sで発生する熱のうち、裏面側へ流出する熱を抑えつつ大部分の熱を定着スリーブ21に伝達することができるので、定着スリーブ21を効率的に加熱することが可能となる。
つぎに、本発明に係る定着装置の第2の実施の形態について説明する。
図7は、本発明に係る定着装置の第2の実施の形態における構成を示す断面図である。
図7に示すように、定着装置20は、面状発熱体22(発熱シート22s)が発熱体支持部材23の内周面に付設されていることを特徴とするものであり、それ以外の構成、並びに動作及び制御方法は図1に示す定着装置20と同じである。
また、固定部材を用いて、面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の内周面上に固定するようにしてもよい。図8に、その構成を示す。
図8は、本発明に係る定着装置の第2の実施の形態における変形例を示す断面図である。
図8に示すように、定着装置20は、発熱体支持部材23の内周面との間に面状発熱体22(発熱シート22s)を挟んで該面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の内周面上に固定する固定部材25を備える。それ以外の構成は、図7の定着装置20と同じである。
ここで、固定部材25は、例えば厚さ0.1〜1mmの鉄、ステンレス等の薄肉金属からなる円筒パイプ形状の部材であり、その外周面においてニップ部側が軸方向に切断されて開口している。
発熱体支持部材23の外周部に固定部材25が収納されるように取り付けると、固定部材25はそのバネ特性により発熱体支持部材23の内周を押し広げる状態で嵌合するとともに、固定部材25の円筒パイプ外周面は発熱体支持部材23の内周面に周方向で沿うようにして密着するようになる。そのため、図8の定着装置20において、発熱体支持部材23の内周上の所定の位置に面状発熱体22(発熱シート22s)を配置し、ついで固定部材25を発熱体支持部材23の内周部に嵌め込むと、固定部材25は発熱体支持部材23の内周面との間に面状発熱体22(発熱シート22s)を挟んで該面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の内周面上に固定するようになる。また、固定部材25は発熱体支持部材23から脱着可能な部材であることから、メンテナンス等で発熱シート22sの交換を容易に行うことが可能となる。
また、発熱体支持部材23における面状発熱体22(発熱シート22s)を保持する内周面の半径をR’、固定部材25における円筒パイプ外周面の半径をr’としたとき、R’<r’とすると、固定部材25を発熱体支持部材23に取り付けたときに固定部材25が発熱体支持部材23の内周をより押し広げる状態で嵌合し、面状発熱体22(発熱シート22s)をより強固に保持することができるので好ましい。
また更に、固定部材25の面状発熱体22側となる外周面に断熱部材25aを設けることにより、固定部材25が面状発熱体22から吸熱することを防止するようにするとよい。これにより、面状発熱体22による定着スリーブ21の加熱効率が低下することを防止することができる。
以上の構成により、本発明の第2の実施形態の定着装置では、定着スリーブ21及び面状発熱体22の熱容量が小さいため、省エネを図りつつウォームアップ時間やファーストプリント時間を短くすることができる。また、面状発熱体22における発熱シート22sは樹脂ベースのシートであるため、加圧ローラ31の回転、振動に起因する応力が発熱シート22sに繰り返し作用して、発熱シート22sの屈曲が繰り返し行われても疲労破壊することがなく、長時間の運転が可能である。また、面状発熱体22(発熱シート22s)を発熱体支持部材23の内周面に配置しているので、面状発熱体22(発熱シート22s)と定着スリーブ21との摺動がなくなり、長寿命が要求される装置に対応できるようになるとともに、定着スリーブ21の内周面に沿って配置される発熱シート22sが厚み方向において定着スリーブ21側の発熱量が高くなるように所定の発熱傾斜を有することから、発熱シート22sで発生する熱のうち、裏面側へ流出する熱を抑えつつ大部分の熱を定着スリーブ21に伝達することができるようになるので、定着スリーブ21を効率的に加熱することが可能となる。
つぎに、本発明に係る画像形成装置について説明する。
図12は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す全体構成図である。
図12に示すように、画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、除電部(不図示である。)等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、不図示の駆動モータによって図12中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト78上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図12中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図12中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着スリーブ21及び加圧ローラ31による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
以上説明したように、本発明の画像形成装置において、前述した定着装置20を備えているので、定着スリーブ21を効率的に加熱でき、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短く、良好な定着性を得ることが可能となる。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
1 画像形成装置
3 露光部
4Y、4M、4C、4K 作像部
5Y、5M、5C、5K 感光体ドラム
12 給紙部
20 定着装置
21 定着スリーブ
22 面状発熱体
22a 導電性粒子
22b 耐熱性樹脂
22f 熱伝導フィルム
22s 発熱シート
23 発熱体支持部材
24,25 固定部材
24a 開口部
24c,25a 断熱部材
26 当接部材
28 コア保持部材
31 加圧ローラ
75 帯電部
76 現像部
77 クリーニング部
78 中間転写ベルト
79Y、79M、79C、79K 第1転写バイアスローラ
80 中間転写クリーニング部
82 2次転写バックアップローラ
83 クリーニングバックアップローラ
84 テンションローラ
89 2次転写ローラ
85 中間転写ユニット
97 給紙ローラ
98 レジストローラ対
99 排紙ローラ対
100 スタック部
101 ボトル収容部
102Y、102M、102C、102K トナーボトル
L レーザ光
P 記録媒体
T トナー
特開平11−2982号公報 特開平4−44075号公報 特開8−262903号公報 特開10−213984号公報 特開2007−334205号公報 特開2008−158482号公報 特開2008−216928号公報

Claims (8)

  1. 回転する無端状ベルトの定着部材と、
    前記定着部材の外周面と当接する加圧部材と、
    前記定着部材の内周側に配置され、該定着部材を介して前記加圧部材と当接してニップ部を形成する当接部材と、
    前記定着部材の内周側に該定着部材と当接または近接して配置され、前記定着部材を直接または間接的に加熱する面状発熱体と、
    前記面状発熱体を前記定着部材の内周面に沿うように支持する発熱体支持部材と、
    を備え、
    前記面状発熱体は、耐熱性樹脂からなる可撓性を有するシートであって該シートの厚み方向において前記定着部材側に面する表層に向かうほど導電性粒子の分散密度が高くなるように分散密度の分布に傾斜をもって該シート中に導電性粒子が分散されてなり、電力が供給されて発熱する発熱シートを有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記面状発熱体は、前記発熱シートの前記定着部材側表面に、耐熱性樹脂フィルム中に金属フィラーを分散させてなり表裏面間で絶縁性を有する熱伝導フィルムを有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記面状発熱体は、前記発熱体支持部材の外周面に付設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記発熱体支持部材の外周面との間に前記面状発熱体を挟んで該面状発熱体を前記発熱体支持部材の外周面上に固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記固定部材は、前記面状発熱体の発熱シートを前記定着部材の内周面に露出させる開口部を有することを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記面状発熱体は、前記発熱体支持部材の内周面に付設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  7. 前記発熱体支持部材の内周面との間に前記面状発熱体を挟んで該面状発熱体を前記発熱体支持部材の内周面上に固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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