JPH07230228A - 加熱ローラ - Google Patents

加熱ローラ

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Publication number
JPH07230228A
JPH07230228A JP12753894A JP12753894A JPH07230228A JP H07230228 A JPH07230228 A JP H07230228A JP 12753894 A JP12753894 A JP 12753894A JP 12753894 A JP12753894 A JP 12753894A JP H07230228 A JPH07230228 A JP H07230228A
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JP
Japan
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film
heating roller
heating element
roller
resistance heating
Prior art date
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Pending
Application number
JP12753894A
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English (en)
Inventor
Toichi Takagi
東一 高城
Tetsuya Okamoto
哲也 岡本
Tetsuya Wada
徹也 和田
Hirotoshi Hagiwara
宏俊 萩原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
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Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP12753894A priority Critical patent/JPH07230228A/ja
Publication of JPH07230228A publication Critical patent/JPH07230228A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 昇温時間が短く、エネルギー効率が高く、耐
久性に優れた加熱ローラを提供する。 【構成】 比熱容量(比熱×密度)が3×10-3〔J/
( mm 3・K) 〕以下のガラス及び/又はセラミックスか
らなる円筒状のローラの表面に抵抗発熱体膜を形成して
なる加熱ローラである。加熱ローラの母材である円筒状
のローラの表面に直接抵抗発熱体膜を形成してなるもの
と、円筒状のローラの表面と抵抗発熱体膜の間に、酸化
亜鉛膜、或いは組成傾斜膜が形成されてなるものがあ
る。酸化亜鉛膜、或いは組成傾斜膜を設けることによ
り、耐熱性、耐熱衝撃性の向上がさらに期待できる。い
ずれの構造でも昇温時間が短く、エネルギー効率が高
く、耐久性に優れた加熱ローラを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種用途の加熱ローラ
に関し、特にレーザを用いたプリンタ・複写機・ファク
シミリなど電子写真方式による画像形成に用いられるト
ナー定着用加熱ローラに関するものであり、立ち上がり
時間が短く、エネルギー効率が高く、耐久性に優れた加
熱ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式による画像形成は、
感光体上に形成されたトナー画像を記録用紙に転写し、
転写されたトナー画像を上記記録用紙に定着して完成す
る加熱ローラ方式が採られている。この加熱ローラ方式
は、互いに圧接しながら回転する加熱ローラと加圧ロー
ラを備え、これらの加熱ローラと加圧ローラ間に画像転
写後の記録用紙を通し、熱と圧力を加えてその記録用紙
上に転写画像を定着する方法である。
【0003】例えば、トナー定着用加熱ローラを使用し
た加熱ローラ定着装置は図2に示すような構造をしてい
る。図2において記録用紙1の上にトナー像2が形成さ
れている。3はトナー定着用加熱ローラ、5は加圧ロー
ラで、それぞれ矢印A、B方向に回転し、その間に上記
記録用紙1を挟み込んで記録用紙1を矢印C方向に送
る。加熱ローラ3の軸心に加熱フィラメント4aを有す
るヒータ4があって加熱ローラ3を加熱しているので、
加熱ローラ3の表面は上記トナー像2を熱融着するのに
適当な温度に加熱されている。また、加熱ローラの表面
は溶融したトナーが付着しないようにテフロン等の皮膜
でコーティングされている。加圧ローラ5は耐熱性で適
当な弾性率を有するシリコンゴム等で作られ、上記記録
用紙1を挟んで上記加熱ローラとの間に圧力が発生する
ようになっている。記録用紙1の上のトナー2は上記加
熱ローラ3による加熱によって溶融し、上記加圧ローラ
5との間の圧力で記録用紙1の繊維の間に浸透して定着
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記の加熱ロー
ラ定着装置は、加熱ローラの中心のヒータ4で間接的に
加熱することと、ローラの比熱容量が大きかったため
に、トナーを定着させるためのトナーの融点以上の所望
の温度にローラを温めるのに要する立ち上がり時間が長
かった。またその時間を短くするため、待機中にも加熱
フィラメントに通電するため待機中の消費電力が大きい
という問題があった。そこで加熱ローラに使う円筒の肉
厚を薄くしたり、加圧ローラの材質を熱伝導率の低いも
のに変えて加圧ローラに伝わって失う熱を少なくするな
どの方法が検討されている。
【0005】また、現在使用されているトナーの融点
(150℃から170℃の)を低くし、短時間で加熱ロ
ーラの表面温度をトナーの融点まで上昇することによっ
て、省エネルギーをはかる方法も考えられるが、定着後
トナーが容易に溶けてしまうという問題がある。これら
の問題を解決するため、加熱ローラの発熱方法、構造、
材質などについて検討した結果、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、エネルギー効率が高く、さ
らに加熱ローラの母材と抵抗発熱体膜との密着強度が大
きく加熱時に抵抗発熱体膜の剥離や亀裂発生がなく、耐
久性に優れた加熱ローラを提供することを目的としたも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、比熱容
量(比熱×密度)が3×10-3〔J/( mm 3・K) 〕以
下のガラス及び/又はセラミックスからなる円筒状のロ
ーラの表面に抵抗発熱体膜を形成してなる加熱ローラで
あり、第二は、比熱容量(比熱×密度)が3×10
-3〔J/( mm 3・K) 〕以下のガラス及び/又はセラミ
ックスからなる円筒状のローラの表面に酸化亜鉛膜、さ
らに外側に抵抗発熱体膜を形成してなる加熱ローラであ
る。
【0007】さらに第三の発明は、比熱容量(比熱×密
度)が3×10-3〔J/( mm 3・K) 〕以下のガラス及
び/又はセラミックスからなる円筒状のローラの表面
に、順次抵抗発熱体膜組成に変化する組成傾斜膜を有し
てなることを特徴とする加熱ローラである。
【0008】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0009】本発明の加熱ローラの構造の一例を示す概
略図を図1に示す。図1(a)は外観図、図1(b)は
第一の発明の一例の加熱ローラのY−Y' 断面図であ
る。図1(c)は第二の発明の一例の加熱ローラのY−
Y' 断面図である。図1(d)は第三の発明の加熱ロー
ラの一例のY−Y' 断面図である。
【0010】以下、第一の発明から順に説明する。第一
の発明の加熱ローラの構造は、図1(b)の断面図に示
すように、円筒状のガラス及び/又はセラミクッス6の
表面に抵抗発熱体膜7、その外表面に絶縁性の被覆膜8
が形成されている。本発明の加熱ローラの母材である円
筒状のガラス及び/又はセラミックスとしては、例えば
市販のガラスである石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソ
ーダガラスなどが使用できるが、組成により3×10-3
〔J/( mm 3・K) 〕以下の比熱容量のものを調整する
ことができるものであれば特に限定されない。セラミッ
クスとしては、コージェライト、ムライト、アルミナな
どが好適であるが、ガラスと同様3×10-3〔J/( mm
3 ・K) 〕以下の比熱容量のものを調整することができ
るものであれば、特定の鉱物組成のものに限定されるも
のではない。また、ガラスとセラミックスの混合成形体
や各々の複合成形体であってもよい。比熱容量が小さく
ても、例えば金属などのように熱伝導度のよいものは放
熱が大きいので好ましくない。
【0011】また比熱容量は小さいほど好ましい。比熱
容量が3×10-3〔J/( mm 3・K) 〕より大きいと、
加熱ローラを昇温するのに要する立ち上がり時間が長く
なり好ましくない。立ち上がり時間は使用目的に応じ
て、許容時間が変わるが、トナー定着用加熱ローラ用途
では、トナーの定着に必要な最低温度に達する時間が立
ち上がり時間であり、実際には150℃までの到達時間
が10秒以下が望ましく、より好ましくは8秒以下、さ
らに好ましくは6秒以下がよい。また、母材である円筒
の厚みを薄くすることによっても、勿論比熱容量を小さ
くできるが、加熱と同時に加圧及び駆動の機能も必要で
あるので、これに耐える厚みが必要とされる。
【0012】本発明の抵抗発熱体膜は均熱が得られるよ
うに、また、抵抗値を最適化する形状に形成されるが、
全面を均一に被覆する方法、スパイラル状やジグザグ状
に形成する方法などがある。均熱を得るためには全面を
均一に被覆する方法がより好ましい。
【0013】また、本発明の加熱ローラに用いる抵抗発
熱体膜の材質は、金属系ではニッケル−リン、ニッケル
−クロム、ニッケル−クロム−リン、ニッケルなどのニ
ッケル系金属、コバルト系金属、クロム系金属、銅系金
属、スズ系金属、貴金属系などが挙げられる。特にニッ
ケル系金属は耐食性が優れており好ましい。その他の材
質としては、珪化モリブデンやチタンボライド、ジルコ
ニアボライドなどの導電性のホウ化物、窒化チタンなど
の導電性の窒化物、さらにITOなどの酸化インジウム
系や酸化スズ系の導電性酸化物などが挙げられる。これ
らの導電性材料は抵抗率、最適抵抗発熱体膜の厚み、母
材との密着性(密着強度や熱膨張率差)、膜形成方法の
生産性などを考慮して適宜選択される。抵抗発熱体膜の
比抵抗は、小さすぎると所定の抵抗値を得るために薄膜
化する必要があり均一膜作製が難しくなり、その比抵抗
が大きいと厚膜化する必要があり、膜形成に時間がかか
り、さらに内部応力が増して抵抗発熱体膜の剥離が懸念
されるため、適度の比抵抗を有する抵抗発熱体膜が好ま
しい。
【0014】抵抗発熱体膜の形成方法は、一般に用いら
れている膜の形成方法が適用可能である。例えば、スパ
ッタリング法などの各種物理的方法、CVD法やメッキ
法などの各種化学的方法、イオンビームを用いた成膜法
や溶射法などが挙げられる。
【0015】そしてこの抵抗発熱体膜の表面に絶縁性の
被覆膜が形成されているが、この被覆膜は抵抗発熱体膜
に流れる電流の漏洩を防ぎ、平滑性が良好で、転がり抵
抗が少なく、トナーに付着しない伝熱性がよい材料がよ
い。その材質は、例えばテフロン等のような転がり抵抗
に優れた樹脂を使用するのが好ましい。そしてその厚さ
は抵抗発熱体膜で発生する熱が効率よくトナーに伝わる
ようにできるだけ薄い方がよい。この被覆膜は薄く均一
に被覆してあるため温度分布が均一で、またトナーへの
熱の伝達も良好である(抵抗発熱体膜及び絶縁性の被覆
膜については、第二、第三の発明においても同様なので
以下、説明を省略する)。
【0016】第二の発明の加熱ローラの構造の一例は、
図1(c)の断面図に示すように、円筒状のガラス及び
/又はセラミクッス6の表面に、酸化亜鉛膜9、抵抗発
熱体膜7及び絶縁性の被覆膜8が順に形成されている。
第二の発明は、第一の発明と同じ加熱ロール母材を用
い、その表面に酸化亜鉛膜が形成される。この酸化亜鉛
膜の厚みは母材との付着強度及び膜の機械的強度が大き
く均一な膜であれば、薄い方が好ましい。膜の厚みの下
限は膜形成方法により異なる。酸化亜鉛膜の形成方法と
しては特に限定されないが、スパッタリング法などの物
理的成膜法、CVD法などの化学的気相成膜法、スプレ
ーパイロリシス法などの化学的成膜法、固相を含むスラ
リーの塗布法或いは溶射法などが挙げられる。膜の厚み
は成膜法により異なるが、例えば、スパッタリング法や
CVD法などでは1μm程度以下の膜の形成が可能で、
スプレーパイロリシス法では5μm程度以下の膜が可能
であり、スラリー塗布法などでは10μm程度以下が可
能である。スプレーパイロリシス法は、薄膜が作製し易
く、真空装置が不要で性能及び生産性ともに優れている
ので好ましい。
【0017】抵抗発熱体膜の形成方法、材質、膜厚など
については、第一の発明と同様のことが言えるが、酸化
亜鉛膜を形成した場合には、抵抗発熱体膜の形成に無電
解メッキ法を適用することが好ましい。
【0018】無電解メッキ工程では、パラジウム塩など
の触媒を含む溶液に浸漬処理することにより酸化亜鉛膜
上の触媒化処理を行ない、次に目的の抵抗発熱体膜の構
成金属イオン及び還元剤を含む無電解メッキ溶液を用い
て抵抗発熱体膜を形成する。これらの触媒化処理剤及び
無電解メッキ液は、特に限定されず一般的に用いられて
いる市販品を用いてもよい。また、無電解メッキにより
抵抗発熱体膜を形成したのち、この導電性を有する膜を
利用して電解メッキなどの方法を適用して、さらに抵抗
発熱体膜の厚みを増すことも可能である。この際、母材
との付着強度は酸化亜鉛膜及び無電解メッキ膜により形
成された抵抗発熱体膜により確保されており、無電解メ
ッキにより形成された抵抗発熱体膜と電解メッキ膜との
付着強度を確保するような条件で電解メッキを行なえば
よい。尚、無電解メッキ法は成膜工程で大型の真空装置
が不要で設備が簡便である特徴があるので好ましい。
【0019】第三の発明の加熱ローラの構造の一例は、
図1(d)の断面図に示すように、加熱ローラの母材で
ある円筒状のガラス及び/又はセラミクッス6の表面
に、抵抗発熱体膜7を含む組成傾斜膜10、及び絶縁性
の被覆膜8が順に形成されている。円筒状のガラス及び
/又はセラミクッス6の表面に、形成される組成傾斜膜
10は、その内部で組成が変化している膜であり、母材に
近い物理的性質を有する組成から抵抗発熱体膜に近い物
理的性質を有する組成に変化し、母材と抵抗発熱体膜の
物理的性質の差異を緩和することができる機能を有する
膜である。そしてこの組成傾斜膜はその内部に抵抗発熱
体膜の機能を有する場合と有さない場合とを含む。
【0020】組成傾斜膜として最も好ましいのは、母材
であるガラス及び/又はセラミクッスの組成を有する物
質と、抵抗発熱体膜の組成を有する物質の混合組成から
なるものであるが、母材又は抵抗発熱体膜の組成と同じ
ものでなくても、それぞれに類似した物理的特性及び機
能を有するもので代替することもできる。そして組成傾
斜膜の組成傾斜の状態は、前記母材又はこれに類似する
物理的特性を有する物質の含有量が外側に向かって少な
くなり、抵抗発熱体膜又はこれに近い組成に変化するも
のが最もよいが、どんな微小部分をとっても母材又はこ
れに類似する物質の含有量が外側ほど少なくなっている
必要はなく、母材と抵抗発熱体膜との物理的特性の相違
を緩和できる程度に変化している状態であれば、組成の
傾斜が部分的に逆転していてもよい。
【0021】さらに、図1(d)に示されているのは、
組成傾斜膜10の中に抵抗発熱体膜7が含まれるように
組成傾斜膜10が形成されている場合であるが、組成傾
斜膜10の外側に別に抵抗発熱体膜7が形成されていて
もよい。これらの場合の組成傾斜膜10の厚さは、母材
と抵抗発熱体膜の物理的特性を緩和できる厚さであれ
ば、特に限定されない。組成傾斜膜、或いは抵抗発熱体
膜を含む組成傾斜膜は均熱が得られるように形成される
が、全面を均一に被覆する方法、スパイラル状に形成す
る方法などがある。均熱を得るためには全面を均一に被
覆する方法がより好ましい。
【0022】第三の発明は、第一の発明と同じ加熱ロー
ル母材を用い、その表面に組成傾斜膜が形成される。こ
の組成傾斜膜の形成には一般に用いられている膜の形成
方法が適用可能で、スパッタリング法などの物理的成膜
法、CVD法などの化学的気相成膜法、無電解メッキ法
やスプレーパイロリシス法などの化学的成膜法、固相を
含むスラリーの塗布法或いはイオンビームを用いた成膜
法や溶射法などを適用して順次抵抗発熱体膜組成に変化
させる方法が挙げられる。特に無電解メッキ法は、真空
装置が不要で大型の加熱ローラの製造にも適しており、
生産性も高いので好ましい。
【0023】無電解メッキ法では、ガラス及び/又はセ
ラミックスの粒子の含有量を変えた複数の無電解メッキ
液を用いて順次無電解メッキする方法や無電解メッキ液
中のガラス及び/又はセラミックスの粒子の含有量を無
電解メッキ工程の進行と共に変えて無電解メッキを施す
ことにより組成傾斜膜を形成する方法がある。無電解メ
ッキ液中のガラス及び/又はセラミックスの粒子の含有
量の変化は、所望の熱応力状態などを考慮して所定の組
成傾斜状態ができるように適宜選択するのが好ましい。
また、無電解メッキ法で用いるガラス及び/又はセラミ
ックスの粒子としては、母材と同質の組成を有するもの
を使用することが好ましい。無電解メッキ液中に分散さ
せるガラス及び/又はセラミックスの粒子の粒子径は分
散の均一性を保持するために小さい方が好ましく、粒径
分布の狭いものが好ましい。
【0024】無電解メッキ工程は、通常行なわれるもの
であり特に限定されない。具体的には、パラジウム塩な
どの触媒を含む溶液に浸漬処理することにより触媒付与
処理を行なった後に、所定量のガラス及び/又はセラミ
ックスの粒子と抵抗発熱体膜の構成金属イオン及び還元
剤を含む無電解メッキ液を用いて無電解メッキを行な
う。これらの触媒付与剤及び無電解メッキ液は特に限定
されず一般的に用いられている市販品を用いてもよい。
【0025】抵抗値の調整などの目的で組成傾斜膜の外
側に、別に抵抗発熱体膜を形成する場合の形成方法に
は、組成傾斜膜の形成方法と同様の各種成膜法が適用可
能であるが、上記組成傾斜膜形成工程で無電解メッキ法
を適用した場合には、特に生産性及び工程の簡素化が容
易であるので無電解メッキ法が好ましい。この他の方法
としては、組成傾斜膜に導電性があるので電解メッキ法
を適用してもよい。
【0026】
【作用】本発明の加熱ローラは母材の材質がガラス及び
/又はセラミックスからなり、その比熱容量が3×10
-3〔J/( mm 3・K) 〕以下の材料で、しかも母材の外
側に発熱部を有する構造であり、加熱ローラの外表面近
傍を直接加熱することができる。したがって、加熱ロー
ラを所望の温度に昇温するのに必要な熱容量を小さくす
ることができ、立ち上がり時間を大幅に短縮することが
でき、エネルギー効率の高い加熱ローラである。さら
に、加熱ローラの母材の表面に酸化亜鉛膜を被覆した上
に無電解メッキ法により抵抗発熱体膜を形成することに
より、抵抗発熱体膜が母材と強く密着し、剥離などが起
こらない耐久性に優れた加熱ローラが得られる。また、
加熱ローラの母材の表面に抵抗発熱体組成に順次変化す
る組成傾斜膜を形成した構造とすることにより、熱応力
の緩和が可能で、かつ抵抗発熱体膜が母材と強く密着
し、剥離などが起こらない、耐熱性、耐熱衝撃性に強
い、さらに耐久性の優れた加熱ローラが得られる。
【0027】
【実施例1〜6】加熱ローラの母材としてホウケイ酸ガ
ラスの中肉管B(IWAKI CODE7740 GL
ASS:岩城硝子株式会社製:規格ナンバーMED9
R)を選び、肉厚1.65mm、外径8.86mmφで
長さ250mmの加熱ローラの母材を作製した。なおガ
ラス管の外径はノギス(株式会社ミツトヨ社製:型番5
00−110SR44)を用いて測定し、肉厚は外径と
内径から算出した。この表面をアルミナ砥粒を用いてサ
ンドブラスト処理(株式会社不二製作所製:ニューマブ
ラスターSC−3)を施し、洗浄乾燥した。
【0028】これにスパッタリング法により抵抗発熱体
膜として金属クロム膜を0.15μm形成した。その後
両端15mmを電極として残し、残りの抵抗発熱体の表
面全面にテフロンを焼きつけ、厚さ25μmの絶縁性の
被覆膜を形成させた。
【0029】得られた加熱ローラの特性を評価するため
に、両端の電極に電圧100Vを印加し加熱した。テフ
ロン被覆膜で被覆された発熱部を3等分した両端の二点
と等分点の合計四点の温度を金ペーストを使って張りつ
けた銅−コンスタンタン熱電対(直径50μm)を用い
てデジタルマルチサーモメーター(ADVANTEST
社製:型番TR2114)で加熱ローラの表面温度を測
定した。この四点の平均温度が150℃に達した時間を
昇温時間として表1に示した。また、この時の電流値も
表1に示した。また、耐久性は加速試験として250℃
から25℃への急冷サイクルを1000回行なったとき
の抵抗発熱体膜の割れや剥離状態を評価した。その結果
を表1に示した。表中◎印は割れや剥離が全く見られな
かったものであり、○印は形成した膜の全面積の5%以
下の剥離部分が見られたが実用上問題のなかったもので
ある。
【0030】また、ほかの母材に関しては、ローラの母
材の材質を表1に示すように変えた以外は上記と同様の
工程で作製し、通電後の温度上昇を測定した。各母材の
比熱容量はセイコ−電子工業株式会社製示差走査熱量計
DSC200を用いて、その取扱説明書(科学機器事業
部;初版1986年 3月発行、同年 5月改定)に示されてい
る測定方法により測定し表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【比較例1】比熱容量の大きなジルコニアセラミックス
を用いた以外、実施例1と同様に加熱ロールを作製し、
評価した結果を表1に示す。この結果、比熱容量が本発
明の範囲外であるために昇温時間が長く実用上問題であ
ることが判明した。
【0033】
【実施例7】実施例1で用いたホウケイ酸ガラスの中肉
管Bをサンドブラスト処理せずに、そのまま母材として
用いた以外は、実施例1同様にスパッタリング法により
金属クロムの抵抗発熱体膜を形成した。得られた加熱ロ
ーラの評価結果を表1に示す。昇温時間が短く、耐久性
もあり実施例1同様の好結果であった。
【0034】
【実施例8〜13】実施例1〜6で用いた母材にスパッ
タリング法により抵抗発熱体膜としてITO膜(導電性
酸化物膜)を1.05μm形成した。その後両端15m
mを電極として残し、残りの抵抗発熱体膜の表面全面に
テフロンを焼きつけ、厚さ25μmの絶縁性の被覆膜を
形成させた。得られた加熱ローラの評価結果を表1に示
す。昇温時間が短く、耐久性もあり良好な結果であっ
た。
【0035】
【実施例14】実施例8においてホウケイ酸ガラスの中
肉管Bをサンドブラスト処理せずにそのまま母材として
用いた以外は、実施例8同様にスパッタリング法により
抵抗発熱体膜としてITO膜を形成した。得られた加熱
ローラの評価結果を表1に示す。昇温時間が短く、耐久
性もあり実施例8同様の好結果であった。
【0036】
【実施例15】実施例1で用いた母材を市販のパラジウ
ム系触媒付与剤(奥野製薬工業株式会社製)にて処理し
たのち、ニッケル−リン系の無電解メッキ液(奥野製薬
工業株式会社製)を用いた無電解メッキ法にて抵抗発熱
体膜を形成し、膜の厚みを0.2μmとした。その後両
端15mmを電極として残し、残りの抵抗発熱体の表面
全面にテフロンを焼きつけ、厚さ25μmの絶縁性の被
覆膜を形成させた。得られた加熱ローラの評価結果を表
1に示す。
【0037】
【実施例16〜21】実施例1〜6で用いた母材にスプ
レーパイロリシス法を適用して酸化亜鉛膜を形成した。
濃度0.05モルの酢酸亜鉛のアルコール溶液を二軸式
スプレーを用いて約400℃に予熱した母材ガラス管に
塗布した。これを電気炉中で温度650℃で熱処理し
た。得られた酸化亜鉛膜は均一で、その厚みは0.5μ
m程度であった。これを塩化パラジウム系の触媒化処理
剤(奥野製薬工業株式会社製)に浸漬して触媒化処理を
施したのち、ニッケル−リン系の無電解メッキ液(奥野
製薬工業株式会社製)を用いて抵抗発熱体膜を形成し、
膜の厚みを0.2μmとした。その後両端15mmを電
極として残し、残りの抵抗発熱体膜の表面全面にテフロ
ンを焼きつけ、厚さ25μmの絶縁性の被覆膜を形成さ
せた。得られた加熱ローラを実施例1と同様に評価した
結果を表1に示した。無電解メッキ法を適用した実施例
15よりもさらに耐久性が向上していることがわかる。
【0038】
【実施例22】実施例16で硝酸亜鉛のアルコール溶液
の代わりに濃度0.1モルの塩化亜鉛の水溶液を用いた
以外、実施例16と同様に行なったところ、実施例16
と同じく好結果を得た。
【0039】
【比較例2】比熱容量の大きなジルコニアセラミックス
を用いた以外、実施例16と同様に加熱ローラを作製
し、評価した結果を表1に示す。この結果、酸化亜鉛膜
があるために耐久性には問題がないものの、比熱容量が
本発明の範囲外であるために昇温時間が長く実用上問題
であることが判明した。
【0040】
【実施例23〜28】実施例1〜6で用いた各種母材に
無電解メッキ法により、Ni−Pおよび母材と同じ材質
の粒子からなる組成傾斜膜を形成した。具体的には母材
を市販のパラジウム系触媒付与剤(奥野製薬工業株式会
社製)にて処理したのち、ニッケル−リン系の無電解メ
ッキ液(奥野製薬工業株式会社製)に母材を微粉砕して
調製した母材と同じ材質の粒子を混合分散した3種類の
無電解メッキ液を用いて、順次メッキを行い、組成的に
傾斜構造を有する、厚さ0.5μmの組成傾斜膜を形成
した。用いた3種類のメッキ液中の粒子の含有量はそれ
ぞれ20g/L、10g/L、3g/Lである。その後
両端15mmを電極として加熱ローラを得た。
【0041】これらの加熱ローラの耐久性評価には、実
施例1〜6で適用した温度250℃よりも厳しい条件で
ある350℃から25℃への急冷サイクル試験を行なっ
た。これらの結果を昇温特性試験結果とともに表1に示
す。より厳しい耐久性試験にも実用上問題が生じなかっ
た。これは組成傾斜膜を導入したことにより熱応力緩和
性能に優れていたためであると考えられる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、加熱ローラの外表面近
傍を直接加熱することができ、昇温時間が短く、エネル
ギー効率が高く、耐久性に優れた加熱ローラを得ること
ができる。さらに加熱ローラの母材と抵抗発熱体膜の間
に酸化亜鉛膜又は組成傾斜膜を形成することにより加熱
ローラの母材と抵抗発熱体膜の密着強度をあげることが
でき、耐熱性、耐熱衝撃性に強い、さらに耐久性に優れ
た加熱ローラを得ることができる。この加熱ローラは、
特にトナー定着用加熱ローラとして優れた効果を発揮す
るが、その他加熱ローラとしても優れた効果が期待でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a):本発明の加熱ローラの一例を示す模式
図である。 (b):図1(a)に於けるY−Y’断面図であり、第
一の発明の一例を示す。 (c):図1(a)に於けるY−Y’断面図であり、第
二の発明の一例を示す。 (d):図1(a)に於けるY−Y’断面図であり、第
三の発明の一例を示す。
【図2】従来の画像形成方法とトナー定着用加熱ローラ
の模式図を示す。
【符号の説明】
1: 記録用紙 2: トナー像 3: 加熱ローラ 4: ヒーター 4a: 加熱フィラメント 5: 加圧ローラ A: 加熱ローラの回転方向 B: 加圧ローラの回転方向 C: 記録用紙の進行方向 6: 円筒状のガラス及び/又はセラミックス 7: 抵抗発熱体膜 8: 絶縁性の被覆膜 9: 酸化亜鉛膜 10: 組成傾斜膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩原 宏俊 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比熱容量(比熱×密度)が3×10
    -3〔J/( mm 3・K) 〕以下のガラス及び/又はセラミ
    ックスからなる円筒状のローラの表面に抵抗発熱体膜を
    形成してなることを特徴とする加熱ローラ。
  2. 【請求項2】 比熱容量(比熱×密度)が3×10
    -3〔J/( mm 3・K) 〕以下のガラス及び/又はセラミ
    ックスからなる円筒状のローラの表面に酸化亜鉛膜を形
    成し、その上に抵抗発熱体膜を形成してなることを特徴
    とする加熱ローラ。
  3. 【請求項3】 比熱容量(比熱×密度)が3×10
    -3〔J/( mm 3・K) 〕以下のガラス及び/又はセラミ
    ックスからなる円筒状のローラの表面に、組成傾斜膜を
    有してなることを特徴とする加熱ローラ。
JP12753894A 1993-12-20 1994-06-09 加熱ローラ Pending JPH07230228A (ja)

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JP12753894A JPH07230228A (ja) 1993-12-20 1994-06-09 加熱ローラ

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JP32023193 1993-12-20
JP5-320231 1993-12-20
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JP (1) JPH07230228A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5960176A (en) * 1995-09-07 1999-09-28 Kokusai Denshin Denwa Co., Ltd. Apparatus for management of SNMP/OSI gateways
JP2011180502A (ja) * 2010-03-03 2011-09-15 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5960176A (en) * 1995-09-07 1999-09-28 Kokusai Denshin Denwa Co., Ltd. Apparatus for management of SNMP/OSI gateways
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