JP3439927B2 - 筒状ヒータ - Google Patents

筒状ヒータ

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JP3439927B2 JP22951496A JP22951496A JP3439927B2 JP 3439927 B2 JP3439927 B2 JP 3439927B2 JP 22951496 A JP22951496 A JP 22951496A JP 22951496 A JP22951496 A JP 22951496A JP 3439927 B2 JP3439927 B2 JP 3439927B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、特にプリンタ等の
電子写真装置におけるトナー定着用ヒートローラや、温
水用ヒータや暖房用ヒータとして用いられる筒状ヒータ
に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、プリンタ等の電子写真装置に
おけるトナー定着装置は、発熱手段を備えたヒートロー
ラと、加圧ローラを対向して配置し、これらのローラ間
に印字後の用紙を通過させることによって、トナーを加
熱定着するようになっている。 【0003】そして、上記ヒートローラとしてはアルミ
ニウムやステンレス等の金属パイプ中にハロゲンランプ
等の加熱素子を設けたものが用いられてきたが、発熱効
率が悪いため1分以上のウォームアップ時間が必要であ
り、また消費電力も大きいという問題点があった。 【0004】そこで、金属パイプからなる円筒体の表面
にポリイミド等の有機樹脂からなる絶縁層を介して発熱
抵抗体を備え、さらにその表面に離形層を備えた構造の
ヒートローラが提案されている(特開昭55−7239
0号、特開昭62−200380号公報等参照)。 【0005】また、図8に示すように、円筒体1の表面
全面に形成した発熱抵抗体3に対し、螺旋状の溝31を
全長にわたって形成することも提案されている(特公平
6−36121号公報、特開平2−308291号公報
等参照)。これは、螺旋状の溝31を形成することによ
って発熱抵抗体3の抵抗値を所定の値となるように調整
するとともに、溝31の間隔を変化させることによっ
て、部分的に抵抗値を調整できるようにしたものであ
る。例えば、定着用ヒートローラは放熱によって両端部
の温度が低下しやすいが、上記溝31の間隔を調整し
て、予め発熱抵抗体3の両端部の抵抗値が高くなるよう
にしておけば均一加熱することができる。 【0006】さらに、上記と同様の構造の円筒状ヒータ
を用いて、内部を流れる水を温める温水ヒータ、あるい
は暖房用ヒータや素子加熱用ヒータ等としても利用され
ている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、図8に示す
ような定着用ヒートローラでは、全長にわたって螺旋状
の溝31を形成してあることから、部分的に抵抗値を正
確に調整することが困難であった。 【0008】即ち、定着用ヒートローラにおいては、上
述したように端部が放熱しやすいことから、端部の抵抗
値を高くしておく必要がある。その他に、通紙部とそれ
以外の部分でも発熱量を異ならせる必要があるなど、円
筒体の軸方向に沿って微妙に抵抗値を変化させて発熱量
を調整する必要がある。これに対し、図8に示すような
全長にわたる螺旋状の溝31では、溝31の間隔でしか
抵抗値を調整できないため、微妙に間隔を変化させなが
ら溝31を正確に形成することは極めて困難であった。 【0009】 【課題を解決するための手段】そこで本発明は、筒体の
表面に絶縁層を介して発熱抵抗体を備え、該発熱抵抗体
を筒体の軸方向に複数のゾーンに分割し、各ゾーンごと
に、筒体の軸方向に対して一定角度でほぼ平行に並んだ
複数の抵抗調整用の溝を形成して成る筒状ヒータにおい
て、上記溝は、筒体の軸方向に対する角度が30〜45
°で、間隔a及び長さbの比a/bが0.1〜0.6と
なるように形成されていることを特徴とする。 【0010】即ち、全長にわたる溝を形成するのではな
く、軸方向に分割したゾーン毎に個別に溝を形成するこ
とによって、部分的な抵抗値の調整を容易に行うことが
できるようにした。 【0011】なお、ほぼ平行な溝とは、発熱抵抗体を平
面状に展開した時に各溝がほぼ平行に並んでいることを
いう。 【0012】 【0013】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を定着用ヒ
ートローラを例にして図によって説明する。 【0014】図1、2に示すように、本発明の定着用ヒ
ートローラは、金属パイプからなる円筒体1の内周面に
絶縁層2を備え、この絶縁層2上に発熱抵抗体3を形成
し、該発熱抵抗体3の端部に導電ペースト4を用いて電
極部材5を固着し、円筒体1の外周面には離形層6を備
えている。また、円筒体1の端部には、回転時に係止す
るための切り欠き1aを備えている。なお、図2では一
方の端部しか示していないが、両方の端部に同様に電極
部材5を固着してある。 【0015】この電極部材5は、円筒体1の中空孔を塞
ぐような蓋状であり、中央部に突出部を形成して、その
端面を給電部材7との摺動面5aとしてある。そして、
この定着用ヒートローラを使用する際は、円筒体1を回
転させながら、両端に備えた電極部材5の摺動面5aに
給電部材7を当接させ、摺動させながら給電することに
よって、発熱抵抗体3に通電し、発熱させることができ
る。 【0016】このように発熱抵抗体3を円筒体1の内側
に備え、電極部材5で中空孔を塞ぐことによって、放熱
を防止し、熱損失を少なくすることができる。 【0017】また、他の実施形態として、図3に端部の
断面図のみを示すように、円筒体1の外周面に絶縁層2
を備え、その絶縁層2上に発熱抵抗体3を形成し、該発
熱抵抗体3の端部にリング状の電極部材5を固着し、そ
の他の発熱抵抗体3上に離形層6を備えている。この場
合は、給電部材(不図示)は電極部材5の外周面に当接
させて、給電することができる。 【0018】以上のように、本発明の定着用ヒートロー
ラは円筒体1の内側、外側のいずれに発熱抵抗体3を備
えても良い。そして、以下に詳述するように、この発熱
抵抗体3における抵抗調整手段が重要である。 【0019】図4に上記発熱抵抗体3の展開図を示す。
即ち、実際の発熱抵抗体3は円筒体1の内周面または外
周面に備えられて円筒形状となっているが、これを軸方
向の一本の直線で切断して展開したものを図4に示して
ある。なお、図4における左右方向が円筒体1の軸方向
である。 【0020】そして、図4(A)に示すように、発熱抵
抗体3は軸方向にそって複数のゾーン32、33、34
に分割され、それぞれ個別に抵抗値が調整されている。
具体的には、端部のゾーン32、34には、軸方向に対
して一定の角度を持った溝31を一定間隔でほぼ平行に
形成してあり、中央のゾーン33には全く溝31を形成
していない。 【0021】このようにすれば、端部のゾーン32、3
4は溝31によって抵抗値を高くすることができ、端部
の発熱量を大きくして、放熱があっても全体の温度を均
一にすることができる。 【0022】次に、図4(B)では、複数のゾーン3
2、33に、それぞれ軸方向に対して一定の角度を持っ
た溝31を一定間隔でほぼ平行に形成してある。そし
て、ゾーン32、33で溝31の角度を変えることによ
って、それぞれのゾーン32、33の抵抗値を異ならせ
てある。 【0023】しかも、各ゾーン32、33の間には互い
の溝31が連通しないように境界部35を備えている。
これは、各ゾーン間の溝31が連通すると、ゾーン毎に
抵抗値を正確に測定することが困難となるためであり、
正確に抵抗値調整を行うためには、上記境界部35が必
要である。 【0024】このように、本発明では、発熱抵抗体3を
軸方向にそって複数のゾーンに分割し、個別に溝31を
形成して抵抗値を調整するため、各ゾーン毎に正確に抵
抗値調整ができる。また、分割するゾーンの数は、必要
に応じて2〜10個程度とすれば良い。 【0025】なお、図4に示すように、軸方向に一定の
角度を持った溝31を一定間隔でほぼ平行に形成すれ
ば、この角度を変化させることによって、自由に抵抗値
を調整することができる。 【0026】即ち、図5に示すように、軸に垂直な方向
に対して角度θで傾いた溝31を形成した場合、軸に垂
直な方向の溝間隔をa、軸に平行な方向の溝長さをbと
し、また溝31に垂直な方向の溝間隔をA、溝31に平
行な方向の溝長さをBとすると、 A=a・sinθ B=b/sinθ となる。ここで、上記溝31の間隔部分の抵抗値をRと
し、θ=90°の時の抵抗値をR0 とすると、 R0 ∝b/a R ∝B/A=b/a・sin2 θ したがって、 R/R0 =1/sin2 θ となる。 【0027】このように、角度θを変化させることによ
って、抵抗値Rを変化させることができる。具体的に
は、θを90°から小さくするにつれて抵抗値Rが次第
に高くなりθ=30°では90°の時の4倍とすること
ができる。 【0028】したがって、図4に示すような形状の溝3
1とすれば、角度θを変えるだけで自由に抵抗値を調整
できるため、各ゾーン毎の抵抗値を正確に調整すること
ができる。 【0029】なお、実際には、上記角度θは30〜90
°の範囲が好ましい。これは角度θが30°未満では、
溝間隔Aが小さくなりすぎて、溝31の形成が困難とな
るあめである。 【0030】また、溝間隔aと溝長さbの比a/bにつ
いては、0.1〜0.6の範囲とすることが好ましい。
これは、0.1未満では溝間隔aが小さすぎて形成が困
難となるためであり、一方0.6を超えると電流密度が
安定しなくなるとともに、抵抗値を変化させる効果が乏
しくなるためである。 【0031】また、上記溝31の形成方法としては、予
め全面に発熱抵抗体3を形成した後、表面を加工して形
成する。この場合、特にレーザー光を用いて加工すれ
ば、正確に溝31を形成することができ好適である。 【0032】この場合、溝31の断面は、図6(A)に
示すように発熱抵抗体3のみに溝31を形成し、底面で
発熱抵抗体3が繋がった状態としたり、あるいは図6
(B)に示すように絶縁層2まで溝31を形成して、発
熱抵抗体3を完全に分断することもできる。なお、図6
(A)に示すように溝31の底面で発熱抵抗体3が繋が
った形状とする場合は、発熱抵抗体3の厚みCに対する
底面部の厚みDの比D/Cを0.7以下とすることが好
ましい。 【0033】次に、他の実施形態を説明する。 【0034】図7に示すように、発熱抵抗体3に軸方向
に伸びる溝31aと、これに連通する枝溝31bを形成
することもできる。この場合、溝31aは抵抗値の調整
には関与せず、枝溝31bの長さ、間隔等を調整して抵
抗値を調整する。図7では、端部のゾーン31、33と
中央部のゾーン32に分割し、端部のゾーン31、33
に枝溝31bを形成して抵抗値を高くしてある。 【0035】さらに、図示していないが、各ゾーンに形
成する抵抗調整用の溝を螺旋状とすることもできる。こ
の場合は、1本の溝を螺旋状に形成するが、軸と垂直方
向に対する溝の角度を6°以下とすることが好ましい。 【0036】また、各ゾーンに形成する抵抗調整用の溝
の形状は、その他のさまざまな形状とすることができ
る。 【0037】なお、上記円筒体1を成す金属パイプは、
熱伝導率0.03cal/℃・cm・sec以上の金属
から成り、具体的にはアルミニウムやアルミニウム合
金、あるいはステンレス等を用い、その肉厚は0.5〜
1mmとする。また、絶縁層2はポリイミド、フェノー
ル、シリコン、ボロシロキサン等の耐熱性に優れた有機
樹脂からなり、その厚みは絶縁耐力によって異なるが、
例えばポリイミドの場合10〜200μmの厚みが好ま
しい。また、離形層6はトナーとの離形性に優れたフッ
素樹脂、シリコン等から成るものである。 【0038】さらに、上記発熱抵抗体3は、導電剤と、
マトリックスを成す合成樹脂又はガラスとの混合物を用
いる。導電剤としては、Ag,Ni,Au,Pd,M
o,Mn,W等の金属材、あるいはRe2 3 、Mn2
3 、LaMnO3 等の金属化合物の少なくとも1種を
用いる。また、マトリックスを成すガラスとしては結晶
化ガラス又は非結晶化ガラスのいずれでも良いが、結晶
化ガラスを用いることにより、加熱冷却サイクルによっ
ても抵抗値の変化を少なくすることができる。その組成
としては、PbOを50重量%以上含むものが良く、好
ましくは軟化点が500℃以下の低融点のものが良い。 【0039】なお、マトリックスを成す合成樹脂又はガ
ラスは成膜強度を向上するために必要であり、10重量
%未満であると成膜強度が低くなって抵抗温度係数も低
下し、一方90重量%を超えると抵抗値が大きくなり過
ぎるため、10〜90重量%の範囲で含有する。 【0040】また、発熱抵抗体3の厚みは5〜100μ
mとする。これは厚みが5μm未満であると抵抗値が高
くなってバラツキが生じやすくなり、一方100μmを
超えると剥がれやすくなるためである。 【0041】さらに、電極部材5は、円筒体1との熱膨
張率の差が10×10-6/℃以内であり、電気抵抗率が
10μΩ・cm以下で、融点が800℃以上のものを用
い、具体的には、真鍮、銅、銅合金、ステンレス等、あ
るいはこれらの金属表面にニッケル等のメッキを施した
ものを用いる。 【0042】次に、本発明の定着用ヒートローラの製造
方法を説明する。 【0043】まず、金属パイプからなる円筒体1を所定
形状に加工し、内周面または外周面に有機樹脂からなる
絶縁層2をスピンコート、スプレーコート、ディッピン
グ等によって塗布し200〜450℃の空気中または窒
素雰囲気中で焼き付ける。この上に、発熱抵抗体成分を
有機溶剤、バインダー、分散剤等と混合してペースト状
にしたものをスクリーン印刷、ディッピング、スプレー
コーティング等により塗布して400〜500℃で焼成
し、発熱抵抗体3とする。 【0044】この後、上述したように発熱抵抗体3を軸
方向に複数のゾーンに分割して、個別に抵抗値を確認し
ながらレーザー加工で溝31を形成する。その後、発熱
抵抗体3の両端に電極部材5を導電ペースト4で接合
し、円筒体1の外周面に離形層6をコーティングすれば
良い。 【0045】以上の実施形態では定着用ヒートローラに
ついてのみ述べたが、本発明はその他の一般的な筒状ヒ
ータとして用いることができる。例えば、図1〜3に示
すような形状の筒状ヒータを用いて、水や燃料等の液体
を加熱したり、各種素子を加熱したり、あるいは暖房用
等の用途に使用することができる。 【0046】 【実施例】図2に示すように内周面に発熱抵抗体3を形
成した定着用ヒートローラを外径20mm、長さ280
mmとして試作し、発熱抵抗体3に図4、5に示すよう
な溝31を形成した。 【0047】溝31の角度θや、溝間隔aと溝長さbの
比a/bを種々に変化させた時の抵抗値の変化率を測定
した。結果を表1及び図9に示す。 【0048】この結果より、a/bが0.6と大きい場
合は、抵抗変化率が理論値(図9の曲線)よりも低くな
るため、0.6を超えると抵抗調整の効果が乏しくなる
ことがわかる。したがって、a/bは0.1〜0.6の
範囲が良い。 【0049】 【表1】 【0050】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、筒体の表
面に絶縁層を介して発熱抵抗体を備え、該発熱抵抗体を
筒体の軸方向に複数のゾーンに分割し、各ゾーンごと
に、筒体の軸方向に対して一定角度でほぼ平行に並んだ
複数の抵抗調整用の溝を形成して成る筒状ヒータにおい
て、上記溝は、筒体の軸方向に対する角度が30〜45
°で、間隔a及び長さbの比a/bが0.1〜0.6と
なるように形成したことによって抵抗値の変化率が理論
値と略値一致して部分的な抵抗値の調整を効果的に容易
に行うことができる。 【0051】 【0052】さらに、上記筒状ヒータの外周面に離形層
を備えて定着用ヒートローラを構成すれば、必要とされ
る抵抗値分布を持った定着用ヒートローラを容易に得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の筒状ヒータの実施形態である定着用ヒ
ートローラを示す側面図である。 【図2】図1中のX−X線拡大断面図である。 【図3】図2に相当する他の実施形態の拡大断面図であ
る。 【図4】(A)(B)は、本発明の筒状ヒータにおける
発熱抵抗体の展開図である。 【図5】図4中の溝部分の拡大図である。 【図6】(A)(B)は図4中のY−Y線断面図であ
る。 【図7】本発明の他の実施形態における発熱抵抗体の展
開図である。 【図8】従来の定着用ヒートローラを示す側面図であ
る。 【図9】発熱抵抗体に形成する溝の角度と抵抗変化率の
関係を示すグラフである。 【符号の説明】 1:定着用ヒートローラ 2:絶縁層 3:発熱抵抗体 4:導電ペースト 5:電極部材 6:離形層 7:給電部材 31:溝 32、33、34:ゾーン 35:境界部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/00 H05B 3/20 H05B 3/40 G03G 15/20

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】筒体の表面に絶縁層を介して発熱抵抗体を
    備え、該発熱抵抗体を筒体の軸方向に複数のゾーンに分
    割し、各ゾーンごとに、筒体の軸方向に対して一定角度
    でほぼ平行に並んだ複数の抵抗調整用の溝を形成して成
    る筒状ヒータにおいて、上記溝は、筒体の軸方向に対す
    る角度が30〜45°で、間隔a及び長さbの比a/b
    が0.1〜0.6となるように形成されていることを特
    徴とする筒状ヒータ。
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