JP3481786B2 - トナー定着用ヒートローラ - Google Patents
トナー定着用ヒートローラInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ等の電子
写真装置におけるトナー定着用ヒートローラに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、プリンタ等の電子写真装置に
おけるトナー定着装置は、発熱手段を備えた定着用ヒー
トローラと、加圧ローラを対向して配置し、これらのロ
ーラ間に印字後の用紙を通過させることによって、トナ
ーを加熱定着するようになっている。 【0003】そして、上記ヒートローラとしてはアルミ
ニウムやステンレス等の金属パイプ中にハロゲンランプ
等の加熱素子を設けたものが用いられてきたが、発熱効
率が悪いため1分以上のウォームアップ時間が必要であ
り、また消費電力も大きいという問題点があった。 【0004】そこで、図6に示すように、金属パイプか
らなる円筒体1の外周表面にガラス、セラミックス、樹
脂等の絶縁層2を介してニッケルメッキ等の発熱抵抗体
3を形成し、この両端部にリング状の電極部材5を配置
するとともに、その他の発熱抵抗体3上を離形層6で覆
った構造の定着用ヒートローラが提案されている(特開
昭62−200379号、特開昭58−40571号公
報等参照)。この定着用ヒートローラでは、円筒体1を
回転させながら、両端の電極部材5、5の外周面に給電
部材(不図示)を当て、摺動しながら給電することによ
って、発熱抵抗体3に通電して発熱させることができ
る。 【0005】 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、図6に示す
定着用ヒートローラでは、発熱抵抗体3が円筒体1の外
周面に備えられており、円筒体1は中空であるため、放
熱しやすいという問題があった。そのため、端部が放熱
して均一加熱ができなくなり、また熱損失が大きいため
消費電力が大きいという不都合があった。 【0007】さらに、電極部材5が外周部に備えられて
いたため、定着装置で用いる際に、トナーを巻き込んで
ノイズを発生したり、紙から出る水蒸気や塩素ガス等に
より電極部材5が劣化しやすいという問題もあった。 【0008】 【課題を解決するための手段】そこで本発明のトナー定
着用ヒートローラは、筒体の内面に絶縁層を介して発熱
抵抗体を形成し、該発熱抵抗体に中央部に突出部を形成
した蓋状の電極部材を筒体内側の両端で接続することで
上記筒体の中空孔を塞ぐ形状としたトナー定着用ヒート
ローラにおいて、上記電極部材の突出部端面で摺動しな
がら給電するための給電部材を備え、上記摺動面と筒体
の端面との距離Lと、筒体の内径Dとの比L/Dが0.
6以下であることを特徴とする。 【0009】 【0010】 【作用】本発明によれば、発熱抵抗体を筒体の内面に形
成するとともに、電極部材が筒体の中空孔を塞ぐ形状と
したことにより、発生した熱が放熱することを防止し、
均一加熱するとともに、熱損失を軽減して省電力化を図
れる。 【0011】また、筒体の内側に電極部材を備えたた
め、定着用ヒートローラとして用いた場合に、トナーの
巻き込みをなくし、水蒸気や塩素ガスによる腐食を防止
できる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を定着用ヒ
ートローラを例にして図によって説明する。 【0013】図1、2に示すように、本発明の定着用ヒ
ートローラは、金属パイプからなる円筒体1の内周面に
絶縁層2を備え、この絶縁層2上に発熱抵抗体3を形成
し、該発熱抵抗体3の端部に導電ペースト4を用いて電
極部材5を固着し、円筒体1の外周面には離形層6を備
えている。また、円筒体1の端部には、回転時に係止す
るための切り欠き1aを備えている。なお、図2では一
方の端部しか示していないが、両方の端部に同様に電極
部材5を固着してある。 【0014】この電極部材5は、円筒体1の中空孔を塞
ぐような蓋状であり、中央部に突出部を形成して、その
端面を給電部材7との摺動面5aとしてある。そして、
この定着用ヒートローラを使用する際は、円筒体1を回
転させながら、両端に備えた電極部材5の摺動面5aに
給電部材7を当接させ、摺動させながら給電することに
よって、発熱抵抗体3に通電し、発熱させることができ
る。 【0015】この時、発熱抵抗体3が円筒体1の内面側
に備えられ、しかも電極部材5が円筒体1の中空孔を塞
ぐ形状であることから、発生した熱が放熱しにくい。そ
のため、均一加熱できるとともに、熱損失を低くするこ
とができる。なお、図2では電極部材5が円筒体1の中
空部を完全に塞ぐ形状のものを示したが、完全に塞ぐ必
要はなく、部分的に孔を有していても良い。詳細を後述
するように、電極部材5による閉鎖率は5%以上とすれ
ば良い。 【0016】また、電極部材5が円筒体1の内側に備え
られているため、トナーの巻き込みがなく、しかも水蒸
気や塩素ガス等による電極部材5の腐食を防止できる。 【0017】なお、このような構造において、電極部材
5の摺動面5aと円筒体1の端面1bとの距離Lを小さ
くしておくことが好ましい。これは、摺動面5aが円筒
体1の端面1bから外側へ大きく突出していると、この
部分が腐食しやすくなるためであり、一方摺動面5aが
内側に大きく入り込んでいると、円筒体1の長さを有効
に利用できなくなり、均一加熱が困難となるためであ
る。具体的には、摺動面5aが円筒体1の端面1bから
外側または内側にある場合に、円筒体1の内径Dと上記
距離Lの比L/Dが0.6以下となるようにしておけば
良い。 【0018】なお、上記円筒体1を成す金属パイプは、
熱伝導率0.03cal/℃・cm・sec以上の金属
から成り、具体的にはアルミニウムやアルミニウム合
金、あるいはステンレス等を用い、その肉厚は0.5〜
1mmとする。また、絶縁層2はポリイミド、フェノー
ル、シリコン、ボロシロキサン等の耐熱性に優れた有機
樹脂からなり、その厚みは絶縁耐力によって異なるが、
例えばポリイミドの場合10〜200μmの厚みが好ま
しい。また、離形層6はトナーとの離形性に優れたフッ
素樹脂、シリコン等から成るものである。 【0019】さらに、上記発熱抵抗体3は、導電剤と、
マトリックスを成す合成樹脂又はガラスとの混合物を用
いる。導電剤としては、Ag,Ni,Au,Pd,M
o,Mn,W等の金属材、あるいはRe2 O3 、Mn2
O3 、LaMnO3 等の金属化合物の少なくとも1種を
用いる。また、マトリックスを成すガラスとしては結晶
化ガラス又は非結晶化ガラスのいずれでも良いが、結晶
化ガラスを用いることにより、加熱冷却サイクルによっ
ても抵抗値の変化を少なくすることができる。その組成
としては、PbOを50重量%以上含むものが良く、好
ましくは軟化点が500℃以下の低融点のものが良い。 【0020】なお、マトリックスを成す合成樹脂又はガ
ラスは成膜強度を向上するために必要であり、10重量
%未満であると成膜強度が低くなって抵抗温度係数も低
下し、一方90重量%を超えると抵抗値が大きくなり過
ぎるため、10〜90重量%の範囲で含有する。 【0021】また、発熱抵抗体3の厚みは5〜100μ
mとする。これは厚みが5μm未満であると抵抗値が高
くなってバラツキが生じやすくなり、一方100μmを
超えると剥がれやすくなるためである。 【0022】さらに、電極部材5は、円筒体1との熱膨
張率の差が10×10-6/℃以内であり、電気抵抗率が
10μΩ・cm以下で、融点が800℃以上のものを用
い、具体的には、真鍮、銅、銅合金、ステンレス等、あ
るいはこれらの金属表面にニッケル等のメッキを施した
ものを用いる。 【0023】次に、図1、2に示す本発明の定着用ヒー
トローラの製造方法を説明する。 【0024】まず、金属パイプからなる円筒体1を所定
形状に加工し、内周面に有機樹脂からなる絶縁層2をス
ピンコート、スプレーコート、ディッピング等によって
塗布し200〜450℃の空気中または窒素雰囲気中で
焼き付ける。この上に、発熱抵抗体成分を有機溶剤、バ
インダー、分散剤等と混合してペースト状にしたものを
スクリーン印刷、ディッピング、スプレーコーティング
等により塗布して400〜500℃で焼成し、発熱抵抗
体3とする。 【0025】この後、発熱抵抗体3の両端に電極部材5
を導電ペースト4で接合し、円筒体1の外周面に離形層
6をコーティングすれば良い。 【0026】次に、本発明の他の実施形態を説明する。 【0027】図3(a)に示すものは、電極部材5を中
央が内部側に凹んだ形状とし、給電部材7を鉤状とし
て、電極部材5の凹部の周辺部を給電部材7との摺動面
5aとしたものである。また、図3(b)に示すもの
は、電極部材5の中央部を外側へ突出させて広い板状と
し、この端面を摺動面5aとしたものである。 【0028】また、図4に示すものは、図3(a)と類
似の構造であるが、電極部材5の中央部に貫通孔5bを
形成したものである。このように、電極部材5は円筒体
1の中空孔を完全に塞ぐ必要はなく、部分的に貫通孔5
bがあっても良い。このような場合には、円筒体1の中
空孔における本来の開口面積に対する、電極部材5によ
って塞いでいる部分の面積の割合を算出し、これを閉鎖
率とする。 【0029】例えば、図4に示すように、電極部材5の
外径d1 、貫通孔5bの内径d2 としたときの閉鎖率
は、 閉鎖率=(π(d1 /2)2 −π(d2 /2)2 )/π(d1 /2)2 =(d1 2 −d2 2 )/d1 2 で表される。 【0030】そして、本発明では、この閉鎖率が5%以
上、好ましくは36%以上としておけば良い。 【0031】また、図3、4に示す実施形態について
も、電極部材5の摺動面5aと円筒体1の端面1bとの
距離Lと、円筒体1の内径Dとの比L/Dが3.0以下
となるようにしてあることによって、電極部材5の腐食
を防止し、かつ均一加熱を行うことができる。 【0032】なお、以上のような本発明の定着用ヒート
ローラは、発熱抵抗体3に通電するタイプであるため、
従来のハロゲンランプを用いたものに比べて温度制御が
容易である。 【0033】即ち、従来のハロゲンランプ方式の定着用
ヒートローラでは、通電のON−OFFを切り換えるし
か制御方法がなかった。そのため、図5(a)に示すよ
うに、ON状態で電力印加して昇温させ、目標温度T1
に達するとOFF状態とし、温度が低下すると再度ON
状態にして電力印加するという制御方法であり、一定温
度を維持することが困難であった。 【0034】これに対し、本発明の定着用ヒートローラ
では、図5(b)に示すように、ある一定電力を印加し
て昇温した後、目標温度T1 になった後は、低い電力を
印加し続ければ良く、一定温度を確実に維持することが
できる。 【0035】 【0036】 【実施例】図4に示す構造の定着用ヒートローラを外径
20mm、長さ280mmとして試作した。電極部材5
として、表1に示すように材質、肉厚、貫通孔5aの内
径d2 が異なるものを用意し、それぞれ前述した式で閉
鎖率を求めた。これらの電極部材5を取りつけた状態で
115Vの電圧を印加して発熱抵抗体3を発熱させ、円
筒体1の外周面における端部と中央部の温度差を測定し
た。 【0037】結果は表1に示す通りである。このよう
に、電極部材5の貫通孔5bの内径d2 が大きいもので
は、閉鎖率が小さくなって端部の熱が放熱しやすくなる
ことから、温度差が大きくなる傾向があった。そして、
閉鎖率が5%未満のもの(No.1,5,9,13,1
7,21)では、温度差が40℃を超えてしまい、均一
加熱の点から不適当であった。したがって、閉鎖率は5
%以上が良いことがわかる。 【0038】 【表1】【0039】次に、上記と同様の定着用ヒートローラに
図3に示す電極部材5を用いて、その取付位置を変化さ
せて、円筒体1の端面1bと摺動面5aとの距離Lを変
化させた。それぞれ、上記と同様にして円筒体1外周に
おける端部と中央部の温度差を測定した。また、定着装
置に組み込んで1万枚の定着試験を行った後、電極部材
5へのトナーの付着、腐食による接触抵抗の変化率を測
定した。 【0040】結果は表2に示す通りである。この結果よ
り、摺動面5aが外側にあって、L/Dが3.0を超え
る場合(No.1)は、トナーの付着があり、接触抵抗
の変化率が2%と大きいため、定着用ヒートローラとし
ては不適当であった。また、摺動面5aが内側にあって
L/Dが3.0を超える場合(No.6)は、温度差が
40℃を超えてしまい、この場合も定着用ヒートローラ
としては不適当であった。 【0041】これらに対し、L/Dが3.0以下(N
o.2〜5)であれば、トナーの付着や接触抵抗の変化
は少なく、温度差も低いことから均一加熱できることが
わかる。 【0042】 【表2】 【0043】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、筒体の内
面に発熱抵抗体を有し、該発熱抵抗体に接続する電極部
材を筒体内側の両端に備えてなる筒状ヒータであって、
上記電極部材が筒体を塞ぐ形状としたことによって、発
生した熱が放熱することを防止し、均一加熱が可能で熱
損失を少なくし、省電力化を図ることができる。 【0044】また、上記発熱抵抗体に接続する中央部に
突出部を形成した蓋状の電極部材を有し、さらに、この
給電部材の突出部端面で摺動しながら給電するための給
電部材を備え、上記摺動面と筒体の端面との距離Lと、
筒体の内径Dとの比L/Dを0.6以下としたことによ
って、均一加熱が可能で、電極部材の腐食等を防止でき
る。 【0045】さらに、上記筒状ヒータを用いて定着用ヒ
ートローラを構成すれば、均一加熱できることから印字
品質を高め、省電力化を図り、耐久性に優れた定着用ヒ
ートローラを得ることができる。
写真装置におけるトナー定着用ヒートローラに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、プリンタ等の電子写真装置に
おけるトナー定着装置は、発熱手段を備えた定着用ヒー
トローラと、加圧ローラを対向して配置し、これらのロ
ーラ間に印字後の用紙を通過させることによって、トナ
ーを加熱定着するようになっている。 【0003】そして、上記ヒートローラとしてはアルミ
ニウムやステンレス等の金属パイプ中にハロゲンランプ
等の加熱素子を設けたものが用いられてきたが、発熱効
率が悪いため1分以上のウォームアップ時間が必要であ
り、また消費電力も大きいという問題点があった。 【0004】そこで、図6に示すように、金属パイプか
らなる円筒体1の外周表面にガラス、セラミックス、樹
脂等の絶縁層2を介してニッケルメッキ等の発熱抵抗体
3を形成し、この両端部にリング状の電極部材5を配置
するとともに、その他の発熱抵抗体3上を離形層6で覆
った構造の定着用ヒートローラが提案されている(特開
昭62−200379号、特開昭58−40571号公
報等参照)。この定着用ヒートローラでは、円筒体1を
回転させながら、両端の電極部材5、5の外周面に給電
部材(不図示)を当て、摺動しながら給電することによ
って、発熱抵抗体3に通電して発熱させることができ
る。 【0005】 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところが、図6に示す
定着用ヒートローラでは、発熱抵抗体3が円筒体1の外
周面に備えられており、円筒体1は中空であるため、放
熱しやすいという問題があった。そのため、端部が放熱
して均一加熱ができなくなり、また熱損失が大きいため
消費電力が大きいという不都合があった。 【0007】さらに、電極部材5が外周部に備えられて
いたため、定着装置で用いる際に、トナーを巻き込んで
ノイズを発生したり、紙から出る水蒸気や塩素ガス等に
より電極部材5が劣化しやすいという問題もあった。 【0008】 【課題を解決するための手段】そこで本発明のトナー定
着用ヒートローラは、筒体の内面に絶縁層を介して発熱
抵抗体を形成し、該発熱抵抗体に中央部に突出部を形成
した蓋状の電極部材を筒体内側の両端で接続することで
上記筒体の中空孔を塞ぐ形状としたトナー定着用ヒート
ローラにおいて、上記電極部材の突出部端面で摺動しな
がら給電するための給電部材を備え、上記摺動面と筒体
の端面との距離Lと、筒体の内径Dとの比L/Dが0.
6以下であることを特徴とする。 【0009】 【0010】 【作用】本発明によれば、発熱抵抗体を筒体の内面に形
成するとともに、電極部材が筒体の中空孔を塞ぐ形状と
したことにより、発生した熱が放熱することを防止し、
均一加熱するとともに、熱損失を軽減して省電力化を図
れる。 【0011】また、筒体の内側に電極部材を備えたた
め、定着用ヒートローラとして用いた場合に、トナーの
巻き込みをなくし、水蒸気や塩素ガスによる腐食を防止
できる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を定着用ヒ
ートローラを例にして図によって説明する。 【0013】図1、2に示すように、本発明の定着用ヒ
ートローラは、金属パイプからなる円筒体1の内周面に
絶縁層2を備え、この絶縁層2上に発熱抵抗体3を形成
し、該発熱抵抗体3の端部に導電ペースト4を用いて電
極部材5を固着し、円筒体1の外周面には離形層6を備
えている。また、円筒体1の端部には、回転時に係止す
るための切り欠き1aを備えている。なお、図2では一
方の端部しか示していないが、両方の端部に同様に電極
部材5を固着してある。 【0014】この電極部材5は、円筒体1の中空孔を塞
ぐような蓋状であり、中央部に突出部を形成して、その
端面を給電部材7との摺動面5aとしてある。そして、
この定着用ヒートローラを使用する際は、円筒体1を回
転させながら、両端に備えた電極部材5の摺動面5aに
給電部材7を当接させ、摺動させながら給電することに
よって、発熱抵抗体3に通電し、発熱させることができ
る。 【0015】この時、発熱抵抗体3が円筒体1の内面側
に備えられ、しかも電極部材5が円筒体1の中空孔を塞
ぐ形状であることから、発生した熱が放熱しにくい。そ
のため、均一加熱できるとともに、熱損失を低くするこ
とができる。なお、図2では電極部材5が円筒体1の中
空部を完全に塞ぐ形状のものを示したが、完全に塞ぐ必
要はなく、部分的に孔を有していても良い。詳細を後述
するように、電極部材5による閉鎖率は5%以上とすれ
ば良い。 【0016】また、電極部材5が円筒体1の内側に備え
られているため、トナーの巻き込みがなく、しかも水蒸
気や塩素ガス等による電極部材5の腐食を防止できる。 【0017】なお、このような構造において、電極部材
5の摺動面5aと円筒体1の端面1bとの距離Lを小さ
くしておくことが好ましい。これは、摺動面5aが円筒
体1の端面1bから外側へ大きく突出していると、この
部分が腐食しやすくなるためであり、一方摺動面5aが
内側に大きく入り込んでいると、円筒体1の長さを有効
に利用できなくなり、均一加熱が困難となるためであ
る。具体的には、摺動面5aが円筒体1の端面1bから
外側または内側にある場合に、円筒体1の内径Dと上記
距離Lの比L/Dが0.6以下となるようにしておけば
良い。 【0018】なお、上記円筒体1を成す金属パイプは、
熱伝導率0.03cal/℃・cm・sec以上の金属
から成り、具体的にはアルミニウムやアルミニウム合
金、あるいはステンレス等を用い、その肉厚は0.5〜
1mmとする。また、絶縁層2はポリイミド、フェノー
ル、シリコン、ボロシロキサン等の耐熱性に優れた有機
樹脂からなり、その厚みは絶縁耐力によって異なるが、
例えばポリイミドの場合10〜200μmの厚みが好ま
しい。また、離形層6はトナーとの離形性に優れたフッ
素樹脂、シリコン等から成るものである。 【0019】さらに、上記発熱抵抗体3は、導電剤と、
マトリックスを成す合成樹脂又はガラスとの混合物を用
いる。導電剤としては、Ag,Ni,Au,Pd,M
o,Mn,W等の金属材、あるいはRe2 O3 、Mn2
O3 、LaMnO3 等の金属化合物の少なくとも1種を
用いる。また、マトリックスを成すガラスとしては結晶
化ガラス又は非結晶化ガラスのいずれでも良いが、結晶
化ガラスを用いることにより、加熱冷却サイクルによっ
ても抵抗値の変化を少なくすることができる。その組成
としては、PbOを50重量%以上含むものが良く、好
ましくは軟化点が500℃以下の低融点のものが良い。 【0020】なお、マトリックスを成す合成樹脂又はガ
ラスは成膜強度を向上するために必要であり、10重量
%未満であると成膜強度が低くなって抵抗温度係数も低
下し、一方90重量%を超えると抵抗値が大きくなり過
ぎるため、10〜90重量%の範囲で含有する。 【0021】また、発熱抵抗体3の厚みは5〜100μ
mとする。これは厚みが5μm未満であると抵抗値が高
くなってバラツキが生じやすくなり、一方100μmを
超えると剥がれやすくなるためである。 【0022】さらに、電極部材5は、円筒体1との熱膨
張率の差が10×10-6/℃以内であり、電気抵抗率が
10μΩ・cm以下で、融点が800℃以上のものを用
い、具体的には、真鍮、銅、銅合金、ステンレス等、あ
るいはこれらの金属表面にニッケル等のメッキを施した
ものを用いる。 【0023】次に、図1、2に示す本発明の定着用ヒー
トローラの製造方法を説明する。 【0024】まず、金属パイプからなる円筒体1を所定
形状に加工し、内周面に有機樹脂からなる絶縁層2をス
ピンコート、スプレーコート、ディッピング等によって
塗布し200〜450℃の空気中または窒素雰囲気中で
焼き付ける。この上に、発熱抵抗体成分を有機溶剤、バ
インダー、分散剤等と混合してペースト状にしたものを
スクリーン印刷、ディッピング、スプレーコーティング
等により塗布して400〜500℃で焼成し、発熱抵抗
体3とする。 【0025】この後、発熱抵抗体3の両端に電極部材5
を導電ペースト4で接合し、円筒体1の外周面に離形層
6をコーティングすれば良い。 【0026】次に、本発明の他の実施形態を説明する。 【0027】図3(a)に示すものは、電極部材5を中
央が内部側に凹んだ形状とし、給電部材7を鉤状とし
て、電極部材5の凹部の周辺部を給電部材7との摺動面
5aとしたものである。また、図3(b)に示すもの
は、電極部材5の中央部を外側へ突出させて広い板状と
し、この端面を摺動面5aとしたものである。 【0028】また、図4に示すものは、図3(a)と類
似の構造であるが、電極部材5の中央部に貫通孔5bを
形成したものである。このように、電極部材5は円筒体
1の中空孔を完全に塞ぐ必要はなく、部分的に貫通孔5
bがあっても良い。このような場合には、円筒体1の中
空孔における本来の開口面積に対する、電極部材5によ
って塞いでいる部分の面積の割合を算出し、これを閉鎖
率とする。 【0029】例えば、図4に示すように、電極部材5の
外径d1 、貫通孔5bの内径d2 としたときの閉鎖率
は、 閉鎖率=(π(d1 /2)2 −π(d2 /2)2 )/π(d1 /2)2 =(d1 2 −d2 2 )/d1 2 で表される。 【0030】そして、本発明では、この閉鎖率が5%以
上、好ましくは36%以上としておけば良い。 【0031】また、図3、4に示す実施形態について
も、電極部材5の摺動面5aと円筒体1の端面1bとの
距離Lと、円筒体1の内径Dとの比L/Dが3.0以下
となるようにしてあることによって、電極部材5の腐食
を防止し、かつ均一加熱を行うことができる。 【0032】なお、以上のような本発明の定着用ヒート
ローラは、発熱抵抗体3に通電するタイプであるため、
従来のハロゲンランプを用いたものに比べて温度制御が
容易である。 【0033】即ち、従来のハロゲンランプ方式の定着用
ヒートローラでは、通電のON−OFFを切り換えるし
か制御方法がなかった。そのため、図5(a)に示すよ
うに、ON状態で電力印加して昇温させ、目標温度T1
に達するとOFF状態とし、温度が低下すると再度ON
状態にして電力印加するという制御方法であり、一定温
度を維持することが困難であった。 【0034】これに対し、本発明の定着用ヒートローラ
では、図5(b)に示すように、ある一定電力を印加し
て昇温した後、目標温度T1 になった後は、低い電力を
印加し続ければ良く、一定温度を確実に維持することが
できる。 【0035】 【0036】 【実施例】図4に示す構造の定着用ヒートローラを外径
20mm、長さ280mmとして試作した。電極部材5
として、表1に示すように材質、肉厚、貫通孔5aの内
径d2 が異なるものを用意し、それぞれ前述した式で閉
鎖率を求めた。これらの電極部材5を取りつけた状態で
115Vの電圧を印加して発熱抵抗体3を発熱させ、円
筒体1の外周面における端部と中央部の温度差を測定し
た。 【0037】結果は表1に示す通りである。このよう
に、電極部材5の貫通孔5bの内径d2 が大きいもので
は、閉鎖率が小さくなって端部の熱が放熱しやすくなる
ことから、温度差が大きくなる傾向があった。そして、
閉鎖率が5%未満のもの(No.1,5,9,13,1
7,21)では、温度差が40℃を超えてしまい、均一
加熱の点から不適当であった。したがって、閉鎖率は5
%以上が良いことがわかる。 【0038】 【表1】【0039】次に、上記と同様の定着用ヒートローラに
図3に示す電極部材5を用いて、その取付位置を変化さ
せて、円筒体1の端面1bと摺動面5aとの距離Lを変
化させた。それぞれ、上記と同様にして円筒体1外周に
おける端部と中央部の温度差を測定した。また、定着装
置に組み込んで1万枚の定着試験を行った後、電極部材
5へのトナーの付着、腐食による接触抵抗の変化率を測
定した。 【0040】結果は表2に示す通りである。この結果よ
り、摺動面5aが外側にあって、L/Dが3.0を超え
る場合(No.1)は、トナーの付着があり、接触抵抗
の変化率が2%と大きいため、定着用ヒートローラとし
ては不適当であった。また、摺動面5aが内側にあって
L/Dが3.0を超える場合(No.6)は、温度差が
40℃を超えてしまい、この場合も定着用ヒートローラ
としては不適当であった。 【0041】これらに対し、L/Dが3.0以下(N
o.2〜5)であれば、トナーの付着や接触抵抗の変化
は少なく、温度差も低いことから均一加熱できることが
わかる。 【0042】 【表2】 【0043】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、筒体の内
面に発熱抵抗体を有し、該発熱抵抗体に接続する電極部
材を筒体内側の両端に備えてなる筒状ヒータであって、
上記電極部材が筒体を塞ぐ形状としたことによって、発
生した熱が放熱することを防止し、均一加熱が可能で熱
損失を少なくし、省電力化を図ることができる。 【0044】また、上記発熱抵抗体に接続する中央部に
突出部を形成した蓋状の電極部材を有し、さらに、この
給電部材の突出部端面で摺動しながら給電するための給
電部材を備え、上記摺動面と筒体の端面との距離Lと、
筒体の内径Dとの比L/Dを0.6以下としたことによ
って、均一加熱が可能で、電極部材の腐食等を防止でき
る。 【0045】さらに、上記筒状ヒータを用いて定着用ヒ
ートローラを構成すれば、均一加熱できることから印字
品質を高め、省電力化を図り、耐久性に優れた定着用ヒ
ートローラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筒状ヒータの実施形態である定着用ヒ
ートローラを示す側面図である。 【図2】図1中のX−X線拡大断面図である。 【図3】(a)(b)は本発明の他の実施形態を示す拡
大断面図である。 【図4】本発明の他の実施形態を示す拡大断面図であ
る。 【図5】定着用ヒートローラの温度制御状態を示すグラ
フであり、(a)は従来例、(b)は本発明を示す。 【図6】(a)は従来の定着着ヒートローラを示す側面
図、(b)は(a)中のY−Y線拡大断面図である。 【符号の説明】 1:円筒体 2:絶縁層 3:発熱抵抗体 4:導電ペースト 5:電極部材 6:離形層 7:給電部材
ートローラを示す側面図である。 【図2】図1中のX−X線拡大断面図である。 【図3】(a)(b)は本発明の他の実施形態を示す拡
大断面図である。 【図4】本発明の他の実施形態を示す拡大断面図であ
る。 【図5】定着用ヒートローラの温度制御状態を示すグラ
フであり、(a)は従来例、(b)は本発明を示す。 【図6】(a)は従来の定着着ヒートローラを示す側面
図、(b)は(a)中のY−Y線拡大断面図である。 【符号の説明】 1:円筒体 2:絶縁層 3:発熱抵抗体 4:導電ペースト 5:電極部材 6:離形層 7:給電部材
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】筒体の内面に絶縁層を介して発熱抵抗体を
形成し、該発熱抵抗体に中央部に突出部を形成した蓋状
の電極部材を筒体内側の両端で接続することで上記筒体
の中空孔を塞ぐ形状としたトナー定着用ヒートローラに
おいて、上記電極部材の突出部端面で摺動しながら給電
するための給電部材を備え、上記摺動面と筒体の端面と
の距離Lと、筒体の内径Dとの比L/Dが0.6以下で
あることを特徴とするトナー定着用ヒートローラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22951396A JP3481786B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | トナー定着用ヒートローラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22951396A JP3481786B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | トナー定着用ヒートローラ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1074578A JPH1074578A (ja) | 1998-03-17 |
JP3481786B2 true JP3481786B2 (ja) | 2003-12-22 |
Family
ID=16893358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22951396A Expired - Fee Related JP3481786B2 (ja) | 1996-08-30 | 1996-08-30 | トナー定着用ヒートローラ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3481786B2 (ja) |
-
1996
- 1996-08-30 JP JP22951396A patent/JP3481786B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1074578A (ja) | 1998-03-17 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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