JP2002214951A - 定着用発熱抵抗体シ−トおよび定着装置 - Google Patents

定着用発熱抵抗体シ−トおよび定着装置

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JP2002214951A
JP2002214951A JP2001012448A JP2001012448A JP2002214951A JP 2002214951 A JP2002214951 A JP 2002214951A JP 2001012448 A JP2001012448 A JP 2001012448A JP 2001012448 A JP2001012448 A JP 2001012448A JP 2002214951 A JP2002214951 A JP 2002214951A
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Koichi Sanpei
浩一 三瓶
Mitsuhiro Mori
光広 森
Akio Yano
昭雄 矢野
Masatoshi Kimura
正利 木村
Masao Konishi
正雄 小西
Takao Kawamura
孝夫 河村
Akio Harada
昭雄 原田
Takeshi Nishi
毅 西
Yukio Yamamoto
之雄 山本
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Daiken Kagaku Kogyo KK
Fujitsu Ltd
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Daiken Kagaku Kogyo KK
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形法が容易で信頼性が高く、昇温性及び省
エネルギ−性を飛躍的に高めた定着用発熱抵抗体シ−ト
を提供する。 【解決手段】 金属箔(4)の上に発熱抵抗体(2)を
備え、この発熱抵抗体は金属箔側から少なくとも熱伝達
強化層(8)と発熱抵抗体層(10)を積層して形成さ
れ、前記熱伝達強化層は高熱伝導率を有した電気絶縁層
であり、前記発熱抵抗体層を通電加熱して発生する熱
を、前記熱伝達強化層を介して効率よく金属箔側に熱伝
達させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
等の電子写真装置におけるトナ−定着用の発熱部材に関
し、更に詳細には、高信頼性・高耐久性で高速加熱が可
能な新規な定着用発熱抵抗体シ−ト、温度制御性をも
ち、発熱抵抗体層の上限温度を設定制御する新規な温度
制御型発熱抵抗体シ−ト、所定の温度分布を瞬時に自動
的に設定制御する新規な自己温度制御型発熱抵抗体シ−
トおよびこれらの機能を兼備えた新規な完全自己温度制
御型発熱抵抗体シ−ト等と、これを用いたヒ−ト・ロ−
ラ、半月型加熱パイプ等の発熱部材、更にこれを装着し
た定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機、プリンタ等の電子写真
装置におけるトナ−定着装置では、発熱手段を備えたヒ
−ト・ロ−ラと、加圧ロ−ラを対向して配置し、これら
ロ−ラ間にトナ−画像を転写した記録紙を通過させ、加
熱と同時に加圧してトナ−画像を記録紙に熱定着してい
る。
【0003】従来から実用化されているヒ−ト・ロ−ラ
は、アルミニウムやステンレス等の金属パイプの内部に
ハロゲンランプ等の発光加熱管を内装したものである。
しかし、このヒ−ト・ロ−ラは輻射熱を利用するため、
発熱効率が悪く、熱定着に必要な所定の温度、例えば1
60℃に昇温するには、数十秒〜数分を要していた。特
に、複写機を停止状態又は小休止状態からオン状態にす
る際、使用可能になるまでの長い待機時間は利用者の作
業効率の低下を招いていた。
【0004】近年では複写機やプリンタを他のOA機器
と連動させて使用するため、待機時に入力信号があった
場合、ヒ−ト・ロ−ラの昇温時間が長いとシステムが進
行せず、システム全体の高速化を阻害させる主要因とな
る。すなわち電子装置が如何に高速化さされても、トナ
−定着部の高速昇温に関する抜本的解決策がない限り、
システムの高速化は困難な情勢である。
【0005】また、最近では複写機も単一機能ではな
く、複写機能、プリンタ機能、通信機能(ファクシミ
リ)を持つ所謂複合機時代が到来し、モノクロからフル
カラ−化が急速に進展している。これらの機器において
は、転写紙は、A−5版、B−5版から、A−4版、B
−4版さらにA−3版等多岐に及ぶ。A−5版又はB−
5版と小型紙を多用した場合、通紙部の発熱部材は、定
着により表面温度が低下、未通紙部は逆に表面温度は上
昇、表面温度分布に大きな差異を生じる。ハロゲンラン
プを使用した従来の定着装置においては、通紙部と未通
紙部の表面温度の差は更に大きく、この温度境界が記録
紙に発現するという弱点があった。特に高速機器ではそ
の現象が著しく、温度分布の差異が記録紙に直接出現す
ることが多かった。モノクロの場合差程問題が無かった
が、カラ−機器では、熱定着機能とフルカラ−発色機能
の二つの機能が同時に必要で、これらを解消するために
は、省エネルギ−性を満足し且つ、定着温度160℃に
到達する昇温時間は10秒以下、発熱部材の表面温度分
布が±5%以内の変動幅内で均一化されることが要求さ
れている。デジタル技術時代において、定着装置の開発
目標は、消費電力の軽減と昇温時間の短縮及び温度分布
の自動的制御技術等多岐に渉る。特にカラ−機器では、
高速昇温と温度分布の均一性が高画質の最大の要因とな
る。
【0006】そこで、本発明者等は、ハロゲンランプ等
の発光加熱管の代わりに発熱抵抗体層を通電加熱する方
式を創案した。即ち、金属素管の内周面又は外周面に電
気絶縁層を介して発熱抵抗体層を形成し、この発熱抵抗
体層に通電加熱すると、金属素管を急速に昇温すること
が可能となる。この急速昇温が可能なヒ−ト・ロ−ラを
クイック・ヒ−ト・ロ−ラと称している。
【0007】このクイック・ヒ−ト・ロ−ラの性能を種
々の面から検討したところ、昇温特性においては、ハロ
ゲンランプ方式より数倍速いことが実証された。したが
って、複写機等の電子写真機器の定着装置として利用で
きることが分かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、クイック・ヒ
−ト・ロ−ラの良好な昇温性能にもかかわらず、クイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラの形成方法や寿命性には種々の問題
があることが分かった。
【0009】発熱抵抗体層を金属素管の外周面に形成す
る場合は、その成型方法は比較的簡単である。外周面に
各種材料をスプレ−法や浸漬法等により形成すればよ
い。しかし、この場合には信頼性において問題がある。
クイック・ヒ−ト・ロ−ラの外周面には、記録紙、温度
検出用サ−ミスタ、剥離爪等が常時接触する。この機械
的接触は、発熱部材体の各層を常に磨耗するためクイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラの寿命を害う欠点がある。特に磨耗
が発熱抵抗体層に到ると漏電、焼損などの危険性が生じ
る。
【0010】発熱抵抗体を金属素管の内周面に形成する
場合には、記録紙等との接触磨耗は生じないので、クイ
ック・ヒ−ト・ロ−ラの長寿命性が確保される。しか
し、金属素管の内周面に発熱抵抗体層を均一に形成する
方法は極めて難しい。本発明者等は、各層を絶縁シ−ト
に塗布して発熱抵抗体シ−トをまず製作し、この発熱抵
抗体シ−トを金属素管の内周面に貼着する方法を創案し
た。しかし、貼着の均一性、強度、信頼性等を保証しつ
つ量産性を確保することは容易ではない。
【0011】従って、本発明の第1目的は、成形方法が
容易で、しかも信頼性を保証できる発熱抵抗体を利用し
た発熱部材及び定着装置を実現することである。本発明
の第2の目的は、発熱抵抗体の上限温度を自動的に設定
して、過熱、焼損の発生しない耐久性、信頼性に富む発
熱部材を実現することである。本発明の第3の目的は、
発熱部材の温度分布を所定の温度に自動的に制御する温
度制御型、自己温度制御型、完全自己温度制御型等の発
熱抵抗体シ−ト等を開発し、省エネルギ−性と同時に多
機能性発熱部材を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、金属
箔の上に発熱抵抗体を備え、この発熱抵抗体は、金属箔
側から少なくとも、電気絶縁層と発熱抵抗体層を積層し
て形成され、この発熱抵抗体層を通電加熱して前記金属
箔を所望の定着温度に設定することを特徴とする定着用
発熱抵抗体シートである。請求項2の発明は、前記発熱
抵抗体は、金属箔側から熱伝達強化層、発熱抵抗体層、
断熱強化層、熱反射層、保護層の順に積層した層状発熱
抵抗体で、発熱抵抗体層で発生した熱の散逸を遮断し、
前記金属箔側に反射伝導させることを特徴とする請求項
1に記載の定着用発熱抵抗体シートである。請求項3の
発明は、前記金属箔上に前記発熱抵抗体を備え、この発
熱抵抗体は前記金属箔側から少なくとも熱伝達強化層と
温度制御型発熱抵抗体層と熱伝達強化層と発熱抵抗体層
とを積層して形成され、この温度制御型発熱抵抗体層は
負温度係数を持つ発熱抵抗体層で、定電流電源で通電加
熱することを特徴とする請求項1または2に記載の定着
用発熱抵抗体シートである。請求項4の発明は、請求項
1乃至3に記載の定着用発熱抵抗体シートを用いること
を特徴とする定着装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者等は、成形方法の容易性
と信頼性の両者を確保するために、鋭意検討した結果、
絶縁層上に発熱抵抗体を形成することを止めて、金属箔
上に形成する方法を想到するに到った。まず、裏面に銅
・錫メッキを施した金属箔に絶縁層、発熱抵抗体層等の
各層を塗着して発熱抵抗体を構成し、これを定着用発熱
抵抗体シ−トと称する。金属箔に各層を順次積層するだ
けであるから、定着用発熱抵抗体シ−トの製造は、絶縁
層のように、伸縮しないから、信頼性、量産性に富み、
極めて容易に製作できる。
【0014】次に、内周面に銅・錫メッキを施した円筒
体を銅・錫の溶融温度に加熱し、内周面に空気圧により
定着用発熱抵抗体シ−トを銅・錫(鉛フリーハンダ)で
貼付けし、定着用クイック・ヒ−ト・ロ−ラを製作す
る。
【0015】又、亜鉛メッキ鋼板をプレス成形して金属
板を凸面に加工し、この凸面を形成した金属板を半月型
パイプと称す。この半月型パイプの内周面に銅・錫メッ
キを施し内側に前述と同様に定着用発熱抵抗体シ−トを
貼着し定着用クイック・ヒ−ト・パイプ(半月型加熱パ
イプ)を製作する。
【0016】この半月型パイプの断面は真円ではないか
ら、回転して使用されることはなく、常に所定位置に固
定状態で配置される。半月型加熱パイプの凸面と定着用
ロ−ラ間に定着用エンドレスベルトを巻回し、定着用ロ
−ラの回転により、定着用エンドレスベルトを半月型加
熱パイプの凸面に摺接させながら回転させる。
【0017】更に、記録紙を走行定着させるために、加
圧ロ−ラを、定着用エンドレスベルトを緊張させながら
定着用ロ−ラに圧接させる。定着用ロ−ラと加圧ロ−ラ
は協力して定着用エンドレスベルトを回転させ、固定さ
れた半月型加熱パイプの凸面に定着用エンドレスベルト
を確実に摺接させる。エンドレスベルトが凸面に摺接し
ても、凸面は金属面であるため磨耗せず、内部に位置す
る定着用発熱抵抗体シ−トの磨耗は一切無い。従ってク
イック・ヒ−ト・ロ−ラ及びクイック・ヒ−ト・パイプ
の長寿命性が確保される。
【0018】定着用発熱抵抗体シ−トの通電加熱によ
り、円筒体及び半月型パイプの金属表面は、急速に加熱
される。この熱は、ヒ−ト・ロ−ラ及び半月型加熱パイ
プの凸面から定着用エンドレスベルトに熱伝達し、定着
用エンドレスベルトを所望温度に加熱設定する。定着用
エンドレスベルトは、ロ−ラ及び半月型パイプの凸面に
大面積で摺接しているから、熱伝達は大容量で行われ、
定着用エンドレスベルトの急速昇温を容易に実現する。
【0019】記録紙は定着用エンドレスベルトと加圧ロ
−ラの間に狭着状態で挿通され、この時トナ−画像面は
定着用エンドレスベルト面に向いている。従ってトナ−
画像は所望温度に保持された定着用エンドレスベルトで
確実に熱定着され、定着済み記録紙が外部に排出され
る。熱定着によりエンドレスベルトには瞬間的に温度ム
ラが生じるが、ヒ−ト・ロ−ラ又は半月型パイプの凸面
でただちに熱供給が為され温度ムラは急速に解消され、
所定の温度に瞬時に復帰する。
【0020】前記した定着ロ−ラと加圧ロ−ラにクイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラを用いれば定着用エンドレスベルト
の所定温度への復帰は更に高速に行われ大量の記録紙を
定着する場合にも対応できる。このように、この発明の
定着用発熱抵抗体シ−トを利用すれば、クイック・ヒ−
ト・ロ−ラ及びクイック・ヒ−ト・パイプの成形が容易
であるだけでなく、その信頼性、耐久性も保証される。
【0021】以下に、本発明に係わる定着用発熱抵抗体
シ−トと定着用クイック・ヒ−ト・ロ−ラ、定着用クイ
ック・ヒ−ト・パイプ及びこれらを用いたロ−ラ式定着
装置、ベルト式定着装置の実施形態を図面に従って詳細
に説明する。図1は定着用発熱抵抗体シ−トの縦断面図
である。定着用発熱抵抗体シ−ト1は、金属箔4の表面
に発熱抵抗体2を積層して形成され、発熱抵抗体2の左
右端縁には導入端子28、28が構成される。この導入
端子28、28間に電源を接続して発熱抵抗体2を通電
加熱し、この発生熱により円筒体56(図6)または半
月型加熱パイプ36(図10)を所定温度まで急速に昇
温する。
【0022】図2は定着用発熱抵抗体シ−トの第1実施
形態の縦断面図である。金属箔4の表面に形成された発
熱抵抗体2は熱伝達強化層8、発熱抵抗体層10、断熱
強化層12、さらには熱反射層14(図4)及び保護層
16(図4)の5層から構成されている。発熱抵抗体層
10の両端には電極層24、24が設けられ、この電極
層24、24に導入端子28、28を接続し、この導入
端子28、28に電源を接続する。
【0023】金属箔4は、後述する定着用エンドレスベ
ルトに熱を伝導する部材で、例えば、銅、ニッケル、亜
鉛メッキ鋼等から形成される。金属箔4の両面は粗面加
工されており、発熱抵抗体2を積層したときに接着性が
向上し、しかも発熱抵抗体2から金属箔4への熱伝導性
が向上する。また、粗面の方が熱線などを反射せず、金
属箔4の昇温性が高くなる。
【0024】発熱抵抗体層10は通電によって発熱する
部材で、発熱抵抗体層10は金属粉体やカ−ボン粉体等
からなる低温焼成型発熱抵抗体ペ−ストを塗膜形成した
り、所定の電気抵抗を有する抵抗性フイルムを張設した
りすることによって形成する。その厚みを調整すれば抵
抗値を可変でき、発熱電力を自在に調節できる。
【0025】発熱抵抗体材料は、導電剤だけでなく、こ
れにマトリックスを成す耐熱性合成樹脂またはガラスを
添加した混合物を用いることができる。 また、目的に
応じてその他の公知の材料を添加することもできる。導
電剤としては、Ag,Ni,Au,Pd,Mo,Mn,W等の
金属単体や、Ag−Pd,Cu−Ni,Cu−Zn,Cu
−Sn,Mo−Ag等の合金がある。その内でもMo,A
g等の微粉末が好適である。更にRe23 ,Mn23,
LaMnO3等の金属間化合物を用いる。また、マトリ
ックスを成すガラスを用いることにより、加熱冷却サイ
クルによっても抵抗値の変化を少なくすることができ
る。
【0026】特に温度制御型発熱抵抗体層22(図5)
は温度係数が正の抵抗材料、温度制御型発熱抵抗体層2
0(図5)は温度係数が負の抵抗材料から構成されるこ
とを特徴とする。この正温度係数の性質によって、温度
が上昇すると抵抗値が増加し発熱電力も減少し、自己温
度制御性を発揮する。
【0027】つまり、温度制御型発熱抵抗体層の加熱初
期においては、抵抗が小さいから大きな電流が流れ、大
発熱電力で急速に加熱昇温される。温度が上昇するにつ
れ抵抗が大きくなり、電流は減少、発熱電力は小さくな
り、温度制御型発熱抵抗体層は所定の温度に収束し、自
動的に所定温度制御型に設定制御されることになる。
【0028】正温度係数の抵抗材料としては、主材料と
してMo,Ag等の超微粉末材、副材料としてGe,S
i,Sn,Zn等の金属単体やSn-Zn合金及びY3
eO 12等がある。種々の正温度係数に調整することがで
きる。
【0029】温度制御型発熱抵抗体層20の場合、負温
度係数を持つから、発熱抵抗体層が局部的に温度が上昇
すると抵抗が減少し、加熱電力が減少し低温側に、温度
が低減すると抵抗が増加、加熱電力は上昇し高温側に移
動し、前述の自己温度制御性を発揮する。但しこの場
合、定電流電源が必要である。
【0030】負温度係数の抵抗材料としては、半導体材
料がある。半導体では不純物の添加によって物性を調整
することができる。周規律表IV属金属に、III属又はV
属の金属を不純物として添加したものが利用できる。IV
属としてはSi,Ge等があり、III属の金属にはAl,
Ga,In等、V属の金属にはAs,Sb,Bi等があ
る。
【0031】また、その他の半導体として遷移金属酸化
物が利用できる。具体的には、Ni,Ti等の低級酸化
物、例えばNiO2-x ,TiO2-x等がある。
【0032】従って、温度制御型発熱抵抗体層の抵抗材
料としては、Mo,Agの微粉末からなる主材料に、周
規律表IV属の金属にIII属またはV属の不純物を添加し
た副材料或いは、遷移金属酸化物からなる副材料を配合
したものが利用できる。
【0033】熱伝達強化層8は電気絶縁層として機能す
るだけでなく、熱を積極的に金属箔4側に伝導する機能
をも有する。従って熱伝達強化層8を構成する物質は高
熱伝導率を有した電気絶縁性物質であることが望まし
い。しかし、他の構成をとってもよい。例えば、高熱伝
導性物質と電気絶縁性物質を混合してもよいし、高熱伝
導性物質からなる熱伝導層と電気絶縁層とからなる二重
層を熱伝達強化層としてもよい。
【0034】高熱伝導率の絶縁性物質としては金属の酸
化物系物質があり、その中でも高純度アルミナ(Al2
3)等は好適な材料である。この金属酸化物からなる粉体
を後述する電気絶縁性物質、例えば耐熱性有機絶縁物質
に混合してペ−スト化し、加熱硬化させて熱伝達強化層
8とすることができる。
【0035】金属粉を電気絶縁性物質に混合してペ−ス
ト化し、加熱硬化して熱伝達強化層8としてもよい。金
属粉は一般に高熱伝導性を持つから、電気絶縁性物質に
混合して熱伝導性と電気絶縁性を保持できる。しかし、
金属粉自体は電気伝導性をもつから、この場合には電気
絶縁性を確実にするため、電気絶縁性物質の物質量と混
合性に注意の必要がある。電気絶縁性を更に確実にする
ため、この熱伝導層に電気絶縁層を積層して二重層と
し、この二重層を熱伝達強化層8としてもよい。
【0036】前述した電気絶縁性材料としては、無機電
縁材料と有機絶縁材料とに分かれる。無機絶縁材料に
は、酸化物絶縁材料、マイカ、大理石、セラミック、ガ
ラスなどがあり、有機絶縁材料には、遷移プラスチッ
ク、ゴム、ろう、コンパウンド等各種の公知材料があ
り、耐熱性、絶縁度、処理性能等によって使い分ければ
よい。特にポリミイド耐熱性樹脂が耐熱性や絶縁性など
の観点から好適である。
【0037】一般に、電気絶縁層は熱絶縁物質であるこ
とが多く、断熱作用をもつ。しかし、電気絶縁層だけで
は断熱作用が十分でないため、発熱抵抗体層10と熱反
射層14(図4)の間に断熱強化層12(図4)を配置
して、電気絶縁層の断熱機能に加えて断熱機能を増強さ
せることにした。断熱強化層の材料を安価な断熱物質で
構成すれば、断熱強化層を厚くしても安価に設定でき
る。たとえば、液状の耐熱性有機絶縁材料に断熱充填剤
を一様に混合して塗着すればよい。
【0038】液状の耐熱性有機絶縁材料の一種としてポ
リイミドワニスが利用できる。しかし、ポリイミドワニ
スは高価であるから、ポリイミド量を減量し、安価な断
熱充填剤を多く充填混合すれば、全体として安価な断熱
強化材を提供できる。断熱充填材は電気絶縁物質でもあ
り、断熱機能と同時に電気絶縁機能も発揮する。本発明
の実施形態で特によく使用する断熱充填材は酸化物粉末
であり、ZrO2 ,SiO2等がある。
【0039】保護層16(図4)は、発熱抵抗体の耐湿
性を保護する層である。銅・錫面を貼着する場合加圧・
加熱加工される。従って保護層16を押圧したとき、発
熱抵抗体層10を損傷から保護し、しかも剥離を容易に
する剥離層にもなる。従って、保護層16は、保護材料
や剥離材料から形成され、ポリイミド耐熱性樹脂で保護
すれば、耐熱性を有する電気絶縁層にもなり、更にフッ
ソ樹脂を混合すると剥離剤の役割を有する。
【0040】上述した各層の形成にはスクリ−ン印刷法
が利用できる。例えば、低温焼成型発熱抵抗体ペ−スト
で熱抵抗体層10を形成したり、絶縁性抵抗体ペ−スト
で熱伝達強化層8を形成したり、電極層を形成する場合
には、印刷技術のなかでもスクリ−ン印刷法を活用し
て、膜厚の制御等その形成を容易にできる。スクリ−ン
印刷法とは、所望の孔空きパタ−ンを介在させて、使用
するスクリ−ンを変更するだけで任意のパタ−ンを印刷
でき、また膜厚を調整するために2重、3重と多層印刷
することにより、発熱抵抗体層の抵抗値や絶縁体層の絶
縁値を自由に設定することができる。
【0041】スクリ−ン印刷法以外にも、スプレ−法、
刷毛塗り法、ドブ漬法等の公知の方法も利用できる。ま
た、導電性フイルムや絶縁性フイルムを貼る場合にはそ
のまま層として利用でき、使用するフイルムの厚みを変
えたり、枚数を制御して物性の調整が可能となる。
【0042】各層を積層するには次のようにする。一つ
の層を低温焼成型ペ−ストを用いて印刷し、次にこの層
を加熱して、仮乾燥する。印刷、仮乾燥を繰り返しなが
ら、各層を順次積層して行く。最後に全体を、加熱、加
圧処理を行うと、各層が熱硬化され、緻密になって密度
が高まる。特に発熱抵抗体層10は緻密化により抵抗値
が安定し、電流許容量が増加、信頼性と耐久性が向上す
る。更に通電エ−ジングを施した後、貼付け工程に入
る。
【0043】図3は定着用発熱抵抗体シ−トの第2実施
形態の縦断面図である。この第2実施形態は発熱抵抗体
層10の膜厚が一定の分布を有する点で、第1実施形態
と異なり、同一符号を付して異なる点のみを説明する。
発熱抵抗体層10で発生した熱は導入端子28、28か
ら外部に伝導散逸して行くから、導入端子側の温度は、
中央部より低くなるのが常である。しかし、記録紙の熱
定着の均一性を保持するためには、金属箔の加熱温度分
布は場所に依らず一様であるのが好ましい。従って、導
入端子側の発熱電力を中央部より大きくして、結果的に
発熱抵抗体層10の全域の温度を均一化する工夫をす
る。
【0044】図3においては、発熱抵抗体層10の中央
部の膜厚を大きくし、導入端子側の膜厚を小さくするよ
うに膜厚分布を設定している。即ち、中央部の抵抗値は
小さく、導入端子側の抵抗値は大きい。導入端子28、
28間に電源を接続すると、発熱抵抗体層10には電流
Iが流れ、各場所での発熱電力W=I2Rで与えられ
る。従って 、発熱電力を抵抗値に比例して設定できる
ので、導入端子側の発熱電力を中央部より大きくでき
る。膜厚分布の微調整により、加熱温度の微細な均一化
を図ることができる。
【0045】図4は定着用発熱抵抗体シ−トの第3実施
形態の縦断面図である。図2の第1実施形態と同一部分
には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを
次に説明する。発熱抵抗体層10の表面には、断熱強化
層12を介して熱反射層14を設け、この熱反射層14
の表面に保護層16を形成する。
【0046】断熱強化層12は熱遮断性をもつ電気絶縁
物質で構成する。電気絶縁性物質は熱絶縁性をもつ場合
が多い。断熱剤としては、例えば、液状の耐熱性有機絶
縁材料に断熱充填剤を一様に混合して構成する。
【0047】液状の耐熱性有機絶縁材料の一種としてポ
リイミドワニスが利用できる。また。断熱充填材料とし
ては低熱伝導率の耐熱材料が利用できる。断熱充填剤と
しては、ガラス、ガラスウ−ル、各種セラミック、耐火
レンガ、砂粒、各種酸化物、各種金属酸化物等があり、
これらを粉体化し、液状耐熱性有機絶縁材料に混合して
断熱材料とする。
【0048】この断熱強化層12の裏面には熱反射層1
4が形成される。熱反射層14は、温度制御型発熱抵抗
体層22(図5)から熱反射層14まで透過的にまたは
直接的に散逸放射される熱線を金属箔4側に反射して、
金属箔4の昇温時間を短縮させる効果を有する。鏡面を
熱反射面とすればよく、例えばアルミニウム箔等の金属
フィルムの鏡面側を反射面として配置する。この熱反射
層14により自己温度制御型発熱抵抗体シ−トの昇温時
間を著しく短縮でき、昇温特性と省エネルギ−に寄与す
ることができる。
【0049】電極24、24は発熱抵抗体層10、断熱
強化層12及び保護層16の側面に接触するように配置
されているが、電気絶縁のため熱反射層14には非接触
に保持される。従って熱反射層14の両端は保護層16
により絶縁されている。保護層16の構成及び機能は、
前述のとおりである。
【0050】次に第4実施形態(図5)では、発熱抵抗
体2は、熱伝達強化層8、温度制御型発熱抵抗体層2
0、熱伝達強化層8、発熱抵抗体層10、断熱強化層1
2、熱反射層14及び保護層16から層状積層して構成
されており、製作には、スクリ−ン印刷法の適用が合理
的である。
【0051】図5は、定着用発熱抵抗体シ−トの第4実
施形態の縦断面図である。この実施形態では、発熱抵抗
体2は、熱伝達強化層8、負温度係数をもつ温度制御型
発熱抵抗体層20、熱伝達強化層8、通常の発熱抵抗体
層10、断熱強化層12、熱反射層14及び保護層16
を積層して構成されている。更に、発熱抵抗体層10の
駆動用電極層24及び導入端子32、32が設けられ、
温度制御型発熱抵抗体層20の駆動用電極層26及び導
入端子34、34が設けられている。電極層24、24
は電気絶縁層30によって電気的に絶縁されている。導
入端子32、32は通常電源で、導入端子34、34は
定電流電源で加熱制御される。
【0052】図4の第3実施形態と異なる点は、熱伝達
強化層8と温度制御型発熱抵抗体層22の組を、熱伝達
強化層8と温度制御型発熱抵抗体層20の組に重ねたこ
とである。温度制御型発熱抵抗体層22は正温度係数の
抵抗体材料から形成され、通常電源により急速に昇温さ
れる。また、温度制御型発熱抵抗体層20は負温度係数
の抵抗体体材料から形成され、定電流電源に接続されて
おり、前述の如く通紙部の温度低下に対する急速な熱量
の補給、未通紙部の温度上昇の抑制等、温度差を瞬時で
解消する。
【0053】何れの熱伝達強化層8もその構成と作用は
同様であり説明は省略する。特に本実施形態では、発熱
抵抗体層10、20、22の断面は、中央部の膜厚が導
入端子部より大きく設定されており、これにより発熱部
材の温度均一性が保持される。
【0054】大きい正温度係数の温度制御型発熱抵抗体
層22は、制御回路等の事故の際に、温度の上限を規
制、発熱抵抗体の焼損及び通紙の発火などを自動的に制
御する役目を担い、本発熱部材を用いた次世代多機能定
着システムの信頼性に寄与する。表面温度均一性及び高
信頼性を有する完全自己温度制御型発熱抵抗体シ−トで
ある。
【0055】図6は、定着用発熱抵抗体シ−ト1を円筒
体の内周面に備えた、クイック・ヒ−ト・ロ−ラの構成
図である。円筒体の内周面に銅・錫メッキを施し、これ
と定着用発熱抵抗体シ−トの裏面の銅・錫メッキ面とを
内接し、高周波加熱により銅・錫の融点付近で加圧貼付
けする。両端部に絶縁リング62を接続し、導入端子6
0を設けて定着用発熱抵抗体シ−トの導入端子部を接続
し、クイック・ヒ−ト・ロ−ラを完成する。定着用発熱
抵抗体シ−トには、導入端子部を通じて電源に接続す
る。
【0056】図7は、外径φ30mm,肉厚0.3m
m,長さ300mmの亜鉛メッキ円筒体の内周面に銅・
錫メッキを施し、定着用発熱抵抗体シートを貼付けし、
100V,600Wの電力を印加、昇温特性を、ハロゲ
ン・ランプを用いたヒート・ローラと比較したものであ
る。縦軸は表面温度、横軸は時間である。図中一点鎖線
は通常の定着用クイック・ヒート・ローラ、実線は熱反
射層をもつ定着用クイック・ヒート・ローラ、点線はハ
ロゲン・ランプを用いたヒート・ローラの特性である。
ハロゲン・ランプの場合、常温から160℃に昇温する
には約45秒を必要とするが、定着用クイック・ヒート
・ローラでは約1/3の13秒、熱反射層を設けると約
1/5の8秒に昇温時間は短縮され、省エネルギー性は
顕著に改善される。
【0057】図8は、定着用発熱抵抗体シ−ト1を、銅
・錫メッキ52を介し金属基板6に貼付けした、クイッ
ク・ヒ−ト・プレ−トの構成図である。昇温特性、信頼
性、耐久性、低価格等を備えた発熱部材である。図9
は、サーモグラフィによる表面温度分布特性を示す。長
さ360mm,幅60mm,厚さ1mmのアルミニウム
基板に、厚さ0.1mm、100V,600Wの発熱抵
抗体の場合で、実線は発熱抵抗体層の形状が、中央部を
導入端子部より約2倍と厚くした場合の温度分布で、一
点鎖線は膜厚が均一な場合の特性である。膜厚の値を考
慮することにより、表面分布±2%以内に制御できる。
【0058】図10は、半月型加熱パイプの断面図であ
る。図8に示したクイック・ヒ−ト・プレ−トをプレス
加工し、金属基板6を凸面38に湾曲成形し、金属基板
6の端縁を折り畳んで折曲片40、40とする。折曲片
40、40の間は固定用プレ−ト42で連結して断面半
月状の半月型加熱パイプ36を形成する。固定用プレ−
ト42の両端には、電気絶縁層64、64を設けて発熱
抵抗体18と電気的に絶縁する。
【0059】図11は、クイック・ヒート・ローラを用
いたローラ式定着装置の構成図である。図11(A)は
定着用ローラにクイック・ヒート・ローラを用いた場
合、図11(B)は定着用ローラ及び加圧ローラ共にク
イック・ヒート・ローラを用いた場合のローラ式定着装
置の構成を示す。図12(A)、(B)および図13
は、クイック・ヒート・ローラを用いたベルト式定着装
置の構成図である。
【0060】図14(A)、(B)および図15は、半
月型加熱パイプを利用したベルト式定着装置の構成図で
ある。半月型加熱パイプ36の凸面38と定着用ロ−ラ
44のスポンジ体46の周りに定着用エンドレスベルト
48を巻回する。下方から加圧ロ−ラ50を押圧して、
定着用エンドレスベルト48を緊張させ、加圧ロ−ラ5
0と定着用エンドレスベルト48との圧着部54が加熱
領域になる。半月型加熱パイプ36は固定式であり、回
転駆動はされない。
【0061】図12(A)、(B)および図13は、ク
イック・ヒート・ローラを用いたベルト式定着装置の構
成図である。定着ロ−ラを矢印aの方向に、加圧ロ−ラ
50を矢印bの方向に回転させると、未定着のトナ−画
像を転写した記録紙が矢印c方向に引き込まれて行く。
定着エンドレスベルト48は半月型加熱パイプ36と摺
接する間に所定の定着温度に到達し、トナ−画像は圧着
部54にて定着用エンドレスベルト48と密着する間に
熱定着される。この熱定着でトナ−画像は定着画像とな
り、記録紙は矢印d方向に排出される。
【0062】定着ロ−ラ44と加圧ロ−ラ50にクイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラを使用すれば、定着用エンドレスベ
ルト48の恒温性を更に強化することができ、定着装置
の更なる急速昇温性を実現できる。
【0063】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における
種々の変形例、設計変更などはその技術的範囲内に包含
されることは言うまでもない。
【0064】以下に本発明の具体的な形態を付記する。 (付記1)金属箔(4)の上に発熱抵抗体(2)を備
え、この発熱抵抗体(2)は、金属箔側から少なくと
も、電気絶縁層と発熱抵抗体層(10)を積層して形成
され、この発熱抵抗体層(10)を通電加熱して前記金
属箔を所望の定着温度に設定することを特徴とする定着
用発熱抵抗体シ−ト。 (付記2)前記電気絶縁層は、高熱伝導率を有する電気
絶縁物質からなる熱伝達強化層(8)であり、この熱伝
達強化層(8)を介して通電加熱時に発生熱を効率的に
金属箔側に伝導させる付記1に記載の定着用発熱抵抗体
シ−ト。 (付記3)前記発熱抵抗体層(10)の更に外側に断熱
強化型(12)と熱反射層(14)を設け、この断熱強
化層(12)は熱遮断性を有した絶縁層であり、発熱抵
抗体層(10)で発生した熱の散逸を遮断して効率的に
金属箔側に熱伝導させ、又、熱反射層(14)により金
属箔側へ熱を反射させて昇温時間を著しく短縮すること
を特徴する付記1または2に記載の定着用発熱抵抗体シ
−ト。 (付記4)前記発熱抵抗体(2)は、金属箔側から熱伝
達強化層(8)、発熱抵抗体層(10)、断熱強化層
(12)、熱反射層(14)、保護層(16)をこの順
に積層した層状発熱抵抗体で、発熱抵抗体層(10)で
発生した熱の散逸を遮断し、効率的に前記金属箔側に反
射伝導させ、昇温時間を著しく短縮させることを特徴と
する付記1乃至3のいずれか一項に記載の定着用発熱抵
抗体シ−ト。 (付記5)前記発熱抵抗体層(10)は、導入端子
(6)側の膜厚が中央部より小さくなるようにして、導
入端子(6)側の発熱電力を中央部より大きく設定し、
発熱温度分布を均一化することを特徴とする付記1乃至
4のいずれか一項に記載の定着用発熱抵抗体シ−ト。 (付記6)前記金属箔(4)は銅、ステンレスまたは亜
鉛メッキ鋼から形成され、厚さ100〜300μmで、両面を
粗面加工し、裏面に銅・錫メッキを施すことを特徴とす
る付記1乃至5のいずれか一項に記載の定着用発熱抵抗
体シ−ト。 (付記7)前記定着用発熱抵抗体(2)は、少なくとも
各層をスクリ−ン印刷により作成し、各層の膜厚を多層
印刷により制御し、又成膜後、膜質の緻密化、及び抵抗
値の安定化を図るため、加熱、加圧処理を施し、更に、
通電加熱エ−ジングして、高信頼性、高耐久性を行うこ
とを特徴とする付記1乃至6のいずれか一項に記載の定
着用発熱抵抗体シ−ト。 (付記8)前記金属箔上に発熱抵抗体(2)を備え、こ
の発熱抵抗体(2)は金属箔側から少なくとも熱伝達強
化層(8)と温度制御型発熱抵抗体層(22)を積層し
て形成し、この温度制御型発熱抵抗体層(22)は大き
い正温度係数をもつ抵抗材料で形成され、温度制御型発
熱抵抗体層(22)を通電加熱したとき、400℃以上に
上 昇しないように自動的に温度設定制御することを特
徴とする温度制御型定着用発熱抵抗体シ−ト。 (付記9)前記金属箔上に前記発熱抵抗体(2)を備
え、この発熱抵抗体(2)は前記金属箔側から少なくと
も熱伝達強化層(8)と温度制御型発熱抵抗体層(2
0)と熱伝達強化層(8)と発熱抵抗体層(10)とを
積層して形成され、この温度制御型発熱抵抗体層(2
0)は負温度係数を持つ発熱抵抗体層で、定電流電源で
通電加熱したとき、低温部は高抵抗のため高電力で発熱
し、一方高温部は低抵抗のため小電力で発熱して、発熱
抵抗体層(10)で発熱した表面温度を補完的に補い、
発熱抵抗体シ−トの温度分布を自動的に均一分布制御す
ることを特徴とする自己温度制御型定着用発熱抵抗体シ
ート。 (付記10)熱伝達強化層(8)と正温度係数の温度制
御型発熱抵抗体層(22)の組を、前記熱伝達強化層
(8)と負温度係数の温度制御型発熱抵抗体層(20)
の組に重ねて配置したことを特徴とする完全自己温度制
御型定着用発熱抵抗体シ−ト。 (付記11)前記完全自己温度制御型定着用発熱抵抗体
シ−トにおいて温度制御型発熱抵抗体層(20)は負温
度係数をもち、定電流電源で温度制御され、温度制御型
発熱抵抗体層(22)は正温度係数をもち、通常電源で
温度制御されることを特徴とする付記10に記載の完全
自己温度制御型定着用発熱抵抗体シ−ト。 (付記12)前記発熱抵抗体層(10)は、ポリイミド
ワニスにMo,Ag,等の導電剤にマトリックスを成す
合成樹脂またはガラスを添加した混合物を用い、正温度
係数発熱抵抗体層(22)は、上記Mo,Ag等の超微
粉末を主抵抗材料とし、副材料としてGe,Si,S
n,Zn等の金属単体やSn-Zn合金及びY3FeO12
を使用し、負温度係数発熱抵抗体層(20)は、主抵抗
材料としての周期律表IV属の金属に、III属又はV属の
金属を添加した半導体性副材料か、或いは遷移金属の低
級酸化物粉からなる副材料を配合することを特徴とする
付記1乃至11のいずれか一項に記載の定着用発熱抵抗体
シ−ト。 (付記13)前記定着用発熱抵抗体シ−トを円筒体の内
周面に備え、この発熱抵抗体シ−トを通電加熱し、円筒
体を所望の定着温度に設定することを特徴とする定着用
クイック・ヒ−ト・ロ−ラ。 (付記14)前記定着用発熱抵抗体シ−トを半月型パイ
プの内面に備え、この定着用発熱抵抗体シ−トを通電加
熱し、半月型パイプを所望の定着温度に設定することを
特徴とする定着用クイック・ヒ−ト・パイプ。 (付記15)前記温度制御型定着用発熱抵抗体シ−トを
円筒体の内周面に備え、この発熱抵抗体シ−トを通電加
熱し、円筒体を所望の定着温度に設定することを特徴と
する付記8に記載の温度制御型定着用クイック・ヒ−ト
・ロ−ラ。 (付記16)前記温度制御型定着用発熱抵抗体シ−トを
半月型パイプの内面に備え、この発熱抵抗体シ−トを通
電加熱し、半月型パイプを所望の定着温度に設定するこ
とを特徴とする付記8に記載の温度制御型定着用クイッ
ク・ヒ−ト・パイプ。 (付記17)前記自己温度制御型定着用発熱抵抗体シ−
トを円筒体の内周面に備え、この発熱抵抗体シ−トを通
電加熱し、円筒体を所望の定着温度に設定することを特
徴とする付記9に記載の自己温度制御型定着用クイック
・ヒ−ト・ロ−ラ。 (付記18)前記自己温度制御型定着用発熱抵抗体シ−
トを半月型パイプの内面に備え、この発熱抵抗体シ−ト
を通電加熱し、半月型パイプを所望の定着温度に設定す
ることを特徴とする付記9に記載の自己温度制御型定着
用クイック・ヒ−ト・パイプ。 (付記19)前記完全自己温度制御型定着用発熱抵抗体
シ−トを円筒体の内周面に備え、この発熱抵抗体シ−ト
を通電加熱し、円筒体を所望の定着温度に設定すること
を特徴とする付記9または10に記載の完全自己温度制
御型定着用クイック・ヒ−ト・ロ−ラ。 (付記20)前記完全自己温度制御型定着用発熱抵抗体
シ−トを半月型パイプの内面に備え、この発熱抵抗体シ
−トを通電加熱し金属基板を所望の定着温度に設定する
ことを特徴とする付記10または11に記載の完全自己
温度制御型定着用クイック・ヒ−ト・パイプ。 (付記21)前記円筒体及び半月型パイプは、アルミニ
ウム、ニッケル、鉄、ステンレス等である付記13、1
5、17および19のいずれか一項に記載の定着用クイ
ック・ヒ−ト・ロ−ラ及び凸面となるよう湾曲させた付
記14、16、18および20のいずれか一項に記載の
クイック・ヒ−ト・パイプ。 (付記22)前記円筒体の内周面又は半月型パイプの内
面には銅・錫メッキを施し、各定着用発熱抵抗体シ−ト
の銅・錫メッキ層と加熱・加圧して貼付けることを特徴
とする付記13乃至21のいずれか一項に記載の定着用
クイック・ヒ−ト・ロ−ラ及び定着用クイック・ヒ−ト
・パイプ。 (付記23)前記付記13、15、17、19、21お
よび22のいずれか一項に記載の定着用クイック・ヒ−
ト・ロ−ラと加圧ロ−ラを対抗して配置し、これらロ−
ラ間に、トナ−画像を転写した記録紙を通過させ、加熱
と同時に加圧して画像を記録紙に熱定着させることを特
徴とするロ−ラ式定着装置。 (付記24)前記付記13、15、17、19、21お
よび22のいずれか一項に記載の定着用クイック・ヒ−
ト・ロ−ラに定着用エンドレスベルトをかけて、間接的
に記録紙に接触するように配置したことを特徴とするベ
ルト式定着装置。 (付記25)前記付記14、16、18、20、21お
よび22のいずれか一項に記載の定着用クイック・ヒ−
ト・パイプの凸面と定着ロ−ラ間に定着用エンドレスベ
ルトを巻回し、エンドレスベルトと加圧ロ−ラ間に加重
をかけながら記録紙を通過させ、定着用エンドレスベル
トによりトナ−画像を熱定着させることを特徴とするベ
ルト式定着装置。
【0065】<上記各付記の効果>付記1の発明によれ
ば、金属箔の上に発熱抵抗体を積層した定着用発熱抵抗
体シ−トは、容易に製造することができ、各種定着用発
熱抵抗体シ−トを用いた発熱部材は安価に量産すること
ができる。付記2の発明によれば、熱伝達強化層によっ
て、発熱抵抗体の発生熱を効率よく金属箔に伝達でき、
高速昇温性を向上することができる。
【0066】付記3の発明によれば、発熱抵抗体層の外
側に断熱強化層と熱反射層を設けたから、発熱抵抗体層
で発生した熱流は、裏面側から散逸するのを防止し、長
波長の熱線は熱反射層により金属箔側に反射できるか
ら、発生熱の無駄な散逸を防止でき、昇温性能の更なる
向上が期待することができる。
【0067】付記4の発明によれば、発熱抵抗体層は、
導入端子側の膜厚が中央部より小さくなるように形成さ
れるから、導入端子側の発熱電力を中央部より大きく設
定でき、発熱部材の表面温度分布を均一化することがで
きる。
【0068】付記5の発明によれば、定着用発熱抵抗体
シ−トは、金属箔の上に熱伝達強化層、発熱抵抗体層、
断熱強化層、熱反射層、保護層の多層構成で、発生熱を
効率的に発熱部材に使用することができ、昇温特性の一
層の向上を図ることができる。
【0069】付記6の発明によれば、金属箔の材料は熱
伝導率の大きい、銅、ステンレス、亜鉛メッキ鋼板等、
銅・錫メッキができる低価格金属材料が使用でき、安価
な発熱部材を量産することができる。
【0070】付記7の発明によれば、発熱抵抗体はスク
リ−ン印刷法により簡単に積層でき、多層印刷により膜
厚を自在に調整することができる。また成膜後加圧・加
熱硬化通電エ−ジング等の処理により、信頼性、耐久性
を飛躍的に向上できる。
【0071】付記8の発明によれば、正温度係数をもつ
温度制御型発熱抵抗体によって、発熱部材の最高温度を
300〜400℃に制御でき、発熱抵抗体、通過紙等の焼損等
信頼性の向上に大きく貢献できる。
【0072】付記9の発明によれば、負温度係数をもつ
温度制御型発熱抵抗体によって、発熱部材の表面温度分
布を自己温度制御する自己温度制御型発熱抵抗体シ−ト
を実現できる。
【0073】付記10の発明によれば、正温度係数をもつ
温度制御型発熱抵抗体と負温度係数をもつ温度制御型発
熱抵抗体を組合せて、前者は表面温度の上限設定を、後
者は表面温度分布の均一化を、それぞれ分担し、完全自
己温度制御型発熱抵抗体シ−トを実現できる。
【0074】付記11の発明によれば、完全自己温度制御
型発熱抵抗体シ−トの温度制御に当り正温度係数の発熱
抵抗体には通常の電源、負温度係数の発熱抵抗体には定
電流電源をそれぞれ用いて温度制御する。
【0075】付記12の発明によれば、発熱抵抗体の主材
料は、Mo、Agとマトリックスをなす合成樹脂、ガラ
スで、正温度係数の発熱抵抗体には特定の金属単体を、
負温度係数の発熱抵抗体には周規律表IV属の金属にII
I、V属の不純物を添加したものを用いることができる。
【0076】付記13の発明によれば、定着用発熱抵抗体
シ−トを、内周面に銅・錫メッキを施した円筒体に、銅
・錫の溶融温度で貼付けて、クイック・ヒ−ト・ロ−ラ
を製作できる。
【0077】付記14の発明によれば、定着用発熱抵抗体
シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施した金属基板に、銅
・錫の溶融温度で貼付けて、クイック・ヒ−ト・プレ−
トを製作できる。
【0078】付記15の発明によれば、温度制御型定着用
発熱抵抗体シ−トを、内周面に銅・錫メッキを施した円
筒体に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、温度制御型クイ
ック・ヒ−ト・ロ−ラを製作できる。
【0079】付記16の発明によれば、温度制御型定着用
発熱抵抗体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施した金属
基板に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、温度制御型クイ
ック・ヒ−ト・プレ−トを製作できる。
【0080】付記17の発明によれば、自己温度制御型定
着用発熱抵抗体シ−トを、内周面に銅・錫メッキを施し
た円筒体に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、自己温度制
御型クイック・ヒ−ト・ロ−ラを製作できる。
【0081】付記18の発明によれば、自己温度制御型定
着用発熱抵抗体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施した
金属基板に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、自己温度制
御型クイック・ヒ−ト・プレ−トを製作できる。
【0082】付記19の発明によれば、完全自己温度制御
型定着用発熱抵抗体シ−トを、内周面に銅・錫メッキを
施した円筒体に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、完全自
己温度制御型クイック・ヒ−ト・ロ−ラを製作できる。
【0083】付記20の発明によれば、完全自己温度制御
型定着用発熱抵抗体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施
した金属基板に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、自己温
度制御型クイック・ヒ−ト・プレ−トを製作できる。
【0084】付記21の発明によれば、円筒体及び金属基
板の材質は、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステン
レスを用いることができる。
【0085】付記22の発明によれば、円筒体の内周面及
び金属基板の裏面に銅・錫メッキを施し、各発熱抵抗体
シ−トの裏面の銅・錫メッキ層と加熱、加圧して貼着
し、クイック・ヒ−ト・ロ−ラ及びクイック・ヒ−ト・
プレ−トを製作することができる。
【0086】付記23の発明によれば、各クイック・ヒ−
ト・ロ−ラに定着用エンドレスベルトをかけ、ベルト式
定着装置が製作できる。
【0087】付記24の発明によれば、各クイック・ヒ−
ト・プレ−トを金属基板が凸面となるように加工して半
月型加熱パイプが製作できる。
【0088】付記25の発明によれば、半月型加熱パイプ
に定着用エンドレスベルトをかけ、ベルト式定着装置が
製作できる。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、金属箔の上に発熱抵抗
体を積層した定着用発熱抵抗体シートは、容易に製造す
ることができ、各種定着用発熱抵抗体シートを用いた発
熱部材は安価に量産することができる。熱伝達強化層に
よって、発熱抵抗体の発生熱を効率よく金属箔に伝達で
き、高速昇温性を向上させることができる。また、負温
度係数をもつ温度制御型発熱抵抗体によって、発熱部材
の表面温度分布を自己温度制御する自己温度制御型発熱
抵抗体シートを実現できる。更に本発明によれば、短時
間で所定の温度に達することが可能な定着装置を実現す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着用発熱抵抗体シ−トの縦断面図である。
【図2】定着用発熱抵抗体シ−トの第1実施形態の縦断
面図である。
【図3】定着用発熱抵抗体シ−トの第2実施形態の縦断
面図である。
【図4】定着用発熱抵抗体シ−トの第3実施形態の縦断
面図である。
【図5】定着用発熱抵抗体シ−トの第4実施形態の縦断
面図である。
【図6】各定着用発熱抵抗体シ−トを用いたクイック・
ヒ−ト・ロ−ラの構成図である。
【図7】各種ヒート・ローラの昇温特性を示す図であ
る。
【図8】各定着用発熱抵抗体シ−トを用いたクイック・
ヒ−ト・プレ−トの構成図である。
【図9】温度制御型発熱抵抗体層の有無での表面温度分
布特性を示す図である。
【図10】クイック・ヒ−ト・プレ−トを用いた半月型
加熱パイプの断面図である。
【図11】(A)、(B)はクイック・ヒ−ト・ロ−ラ
を用いたローラ式定着装置の構成図である。
【図12】(A)、(B)はクイック・ヒ−ト・ロ−ラ
を用いたベルト式定着装置の構成図である。
【図13】クイック・ヒート・ローラを用いたベルト式
定着装置の斜視図である。
【図14】(A)、(B)は半月型加熱パイプを用いた
ベルト式定着装置の構成図である。
【図15】半月型加熱パイプを用いたベルト式定着装置
の斜視図である。
【符号の説明】
1…発熱抵抗体シート 2…発熱抵抗体 4…金属箔 6…金属基板 8…熱伝達強化層 10…発熱抵抗体層 12…断熱強化層 14…熱反射層 16…保護層 20…温度制御型発熱抵抗体層(負温度係数) 22…温度制御型発熱抵抗体層(正温度係数) 24…電極層 26…電極層 28…導入端子 30…電気絶縁層 32…導入端子(通常電源) 34…導入端子(定電流電源) 36…半月型加熱パイプ 38…凸面 40…折曲片 42…固定用プレート 44…定着ローラ 46…スポンジ体 48…定着用エンドレスベルト 50…加圧ローラ 52…銅・錫メッキ 54…圧着部 56…円筒体 58…クイック・ヒート・ローラ 60…導入端子 62…絶縁リング 64…電気絶縁層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月21日(2001.5.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 定着用発熱抵抗体シ−トおよび定着装
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
等の電子写真装置におけるトナ−定着用の発熱部材に関
し、更に詳細には、高信頼性・高耐久性で高速加熱が可
能な新規な定着用発熱抵抗体シ−ト、温度制御性をも
ち、発熱抵抗体層の上限温度を設定制御する新規な温度
制御型発熱抵抗体シ−ト、所定の温度分布を瞬時に自動
的に設定制御する新規な自己温度制御型発熱抵抗体シ−
トおよびこれらの機能を兼備えた新規な完全自己温度制
御型発熱抵抗体シ−ト等と、これを用いたヒ−ト・ロ−
ラ、半月型加熱パイプ等の発熱部材、更にこれを装着し
た定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機、プリンタ等の電子写真
装置におけるトナ−定着装置では、発熱手段を備えたヒ
−ト・ロ−ラと、加圧ロ−ラを対向して配置し、これら
ロ−ラ間にトナ−画像を転写した記録紙を通過させ、加
熱と同時に加圧してトナ−画像を記録紙に熱定着してい
る。
【0003】従来から実用化されているヒ−ト・ロ−ラ
は、アルミニウムやステンレス等の金属パイプの内部に
ハロゲンランプ等の発光加熱管を内装したものである。
しかし、このヒ−ト・ロ−ラは輻射熱を利用するため、
発熱効率が悪く、熱定着に必要な所定の温度、例えば1
60℃に昇温するには、数十秒〜数分を要していた。特
に、複写機を停止状態又は小休止状態からオン状態にす
る際、使用可能になるまでの長い待機時間は利用者の作
業効率の低下を招いていた。
【0004】近年では複写機やプリンタを他のOA機器
と連動させて使用するため、待機時に入力信号があった
場合、ヒ−ト・ロ−ラの昇温時間が長いとシステムが進
行せず、システム全体の高速化を阻害させる主要因とな
る。すなわち電子装置が如何に高速化さされても、トナ
−定着部の高速昇温に関する抜本的解決策がない限り、
システムの高速化は困難な情勢である。
【0005】また、最近では複写機も単一機能ではな
く、複写機能、プリンタ機能、通信機能(ファクシミ
リ)を持つ所謂複合機時代が到来し、モノクロからフル
カラ−化が急速に進展している。これらの機器において
は、転写紙は、A−5版、B−5版から、A−4版、B
−4版さらにA−3版等多岐に及ぶ。A−5版又はB−
5版と小型紙を多用した場合、通紙部の発熱部材は、定
着により表面温度が低下、未通紙部は逆に表面温度は上
昇、表面温度分布に大きな差異を生じる。ハロゲンラン
プを使用した従来の定着装置においては、通紙部と未通
紙部の表面温度の差は更に大きく、この温度境界が記録
紙に発現するという弱点があった。特に高速機器ではそ
の現象が著しく、温度分布の差異が記録紙に直接出現す
ることが多かった。モノクロの場合差程問題が無かった
が、カラ−機器では、熱定着機能とフルカラ−発色機能
の二つの機能が同時に必要で、これらを解消するために
は、省エネルギ−性を満足し且つ、定着温度160℃に
到達する昇温時間は10秒以下、発熱部材の表面温度分
布が±5%以内の変動幅内で均一化されることが要求さ
れている。デジタル技術時代において、定着装置の開発
目標は、消費電力の軽減と昇温時間の短縮及び温度分布
の自動的制御技術等多岐に渉る。特にカラ−機器では、
高速昇温と温度分布の均一性が高画質の最大の要因とな
る。
【0006】そこで、本発明者等は、ハロゲンランプ等
の発光加熱管の代わりに発熱抵抗体層を通電加熱する方
式を創案した。即ち、金属素管の内周面又は外周面に電
気絶縁層を介して発熱抵抗体層を形成し、この発熱抵抗
体層に通電加熱すると、金属素管を急速に昇温すること
が可能となる。この急速昇温が可能なヒ−ト・ロ−ラを
クイック・ヒ−ト・ロ−ラと称している。
【0007】このクイック・ヒ−ト・ロ−ラの性能を種
々の面から検討したところ、昇温特性においては、ハロ
ゲンランプ方式より数倍速いことが実証された。したが
って、複写機等の電子写真機器の定着装置として利用で
きることが分かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、クイック・ヒ
−ト・ロ−ラの良好な昇温性能にもかかわらず、クイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラの形成方法や寿命性には種々の問題
があることが分かった。
【0009】発熱抵抗体層を金属素管の外周面に形成す
る場合は、その成型方法は比較的簡単である。外周面に
各種材料をスプレ−法や浸漬法等により形成すればよ
い。しかし、この場合には信頼性において問題がある。
クイック・ヒ−ト・ロ−ラの外周面には、記録紙、温度
検出用サ−ミスタ、剥離爪等が常時接触する。この機械
的接触は、発熱部材体の各層を常に磨耗するためクイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラの寿命を害う欠点がある。特に磨耗
が発熱抵抗体層に到ると漏電、焼損などの危険性が生じ
る。
【0010】発熱抵抗体を金属素管の内周面に形成する
場合には、記録紙等との接触磨耗は生じないので、クイ
ック・ヒ−ト・ロ−ラの長寿命性が確保される。しか
し、金属素管の内周面に発熱抵抗体層を均一に形成する
方法は極めて難しい。本発明者等は、各層を絶縁シ−ト
に塗布して発熱抵抗体シ−トをまず製作し、この発熱抵
抗体シ−トを金属素管の内周面に貼着する方法を創案し
た。しかし、貼着の均一性、強度、信頼性等を保証しつ
つ量産性を確保することは容易ではない。
【0011】従って、本発明の第1目的は、成形方法が
容易で、しかも信頼性を保証できる発熱抵抗体を利用し
た発熱部材及び定着装置を実現することである。本発明
の第2の目的は、発熱抵抗体の上限温度を自動的に設定
して、過熱、焼損の発生しない耐久性、信頼性に富む発
熱部材を実現することである。本発明の第3の目的は、
発熱部材の温度分布を所定の温度に自動的に制御する温
度制御型、自己温度制御型、完全自己温度制御型等の発
熱抵抗体シ−ト等を開発し、省エネルギ−性と同時に多
機能性発熱部材を実現することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、金属
箔の上に発熱抵抗体を備え、この発熱抵抗体は、金属箔
側から少なくとも、電気絶縁層と発熱抵抗体層を積層し
て形成され、この発熱抵抗体層を通電加熱して前記金属
箔を所望の定着温度に設定することを特徴とする定着用
発熱抵抗体シートである。請求項の発明は、前記発熱
抵抗体は、金属箔側から熱伝達強化層、発熱抵抗体層、
断熱強化層、熱反射層、保護層の順に積層した層状発熱
抵抗体で、発熱抵抗体層で発生した熱の散逸を遮断し、
前記金属箔側に反射伝導させることを特徴とする請求項
1に記載の定着用発熱抵抗体シートである。請求項
発明は、前記金属箔上に前記発熱抵抗体を備え、この発
熱抵抗体は前記金属箔側から少なくとも熱伝達強化層と
温度制御型発熱抵抗体層と熱伝達強化層と発熱抵抗体層
とを積層して形成され、この温度制御型発熱抵抗体層は
負温度係数を持つ発熱抵抗体層で、定電流電源で通電加
熱することを特徴とする請求項1またはに記載の定着
用発熱抵抗体シートである。請求項23,24および2
の発明は、上記に記載の定着用発熱抵抗体シートを用
いることを特徴とする定着装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者等は、成形方法の容易性
と信頼性の両者を確保するために、鋭意検討した結果、
絶縁層上に発熱抵抗体を形成することを止めて、金属箔
上に形成する方法を想到するに到った。まず、裏面に銅
・錫メッキを施した金属箔に絶縁層、発熱抵抗体層等の
各層を塗着して発熱抵抗体を構成し、これを定着用発熱
抵抗体シ−トと称する。金属箔に各層を順次積層するだ
けであるから、定着用発熱抵抗体シ−トの製造は、絶縁
層のように、伸縮しないから、信頼性、量産性に富み、
極めて容易に製作できる。
【0014】次に、内周面に銅・錫メッキを施した円筒
体を銅・錫の溶融温度に加熱し、内周面に空気圧により
定着用発熱抵抗体シ−トを銅・錫(鉛フリーハンダ)で
貼付けし、定着用クイック・ヒ−ト・ロ−ラを製作す
る。
【0015】又、亜鉛メッキ鋼板をプレス成形して金属
板を凸面に加工し、この凸面を形成した金属板を半月型
パイプと称す。この半月型パイプの内周面に銅・錫メッ
キを施し内側に前述と同様に定着用発熱抵抗体シ−トを
貼着し定着用クイック・ヒ−ト・パイプ(半月型加熱パ
イプ)を製作する。
【0016】この半月型パイプの断面は真円ではないか
ら、回転して使用されることはなく、常に所定位置に固
定状態で配置される。半月型加熱パイプの凸面と定着用
ロ−ラ間に定着用エンドレスベルトを巻回し、定着用ロ
−ラの回転により、定着用エンドレスベルトを半月型加
熱パイプの凸面に摺接させながら回転させる。
【0017】更に、記録紙を走行定着させるために、加
圧ロ−ラを、定着用エンドレスベルトを緊張させながら
定着用ロ−ラに圧接させる。定着用ロ−ラと加圧ロ−ラ
は協力して定着用エンドレスベルトを回転させ、固定さ
れた半月型加熱パイプの凸面に定着用エンドレスベルト
を確実に摺接させる。エンドレスベルトが凸面に摺接し
ても、凸面は金属面であるため磨耗せず、内部に位置す
る定着用発熱抵抗体シ−トの磨耗は一切無い。従ってク
イック・ヒ−ト・ロ−ラ及びクイック・ヒ−ト・パイプ
の長寿命性が確保される。
【0018】定着用発熱抵抗体シ−トの通電加熱によ
り、円筒体及び半月型パイプの金属表面は、急速に加熱
される。この熱は、ヒ−ト・ロ−ラ及び半月型加熱パイ
プの凸面から定着用エンドレスベルトに熱伝達し、定着
用エンドレスベルトを所望温度に加熱設定する。定着用
エンドレスベルトは、ロ−ラ及び半月型パイプの凸面に
大面積で摺接しているから、熱伝達は大容量で行われ、
定着用エンドレスベルトの急速昇温を容易に実現する。
【0019】記録紙は定着用エンドレスベルトと加圧ロ
−ラの間に狭着状態で挿通され、この時トナ−画像面は
定着用エンドレスベルト面に向いている。従ってトナ−
画像は所望温度に保持された定着用エンドレスベルトで
確実に熱定着され、定着済み記録紙が外部に排出され
る。熱定着によりエンドレスベルトには瞬間的に温度ム
ラが生じるが、ヒ−ト・ロ−ラ又は半月型パイプの凸面
でただちに熱供給が為され温度ムラは急速に解消され、
所定の温度に瞬時に復帰する。
【0020】前記した定着ロ−ラと加圧ロ−ラにクイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラを用いれば定着用エンドレスベルト
の所定温度への復帰は更に高速に行われ大量の記録紙を
定着する場合にも対応できる。このように、この発明の
定着用発熱抵抗体シ−トを利用すれば、クイック・ヒ−
ト・ロ−ラ及びクイック・ヒ−ト・パイプの成形が容易
であるだけでなく、その信頼性、耐久性も保証される。
【0021】以下に、本発明に係わる定着用発熱抵抗体
シ−トと定着用クイック・ヒ−ト・ロ−ラ、定着用クイ
ック・ヒ−ト・パイプ及びこれらを用いたロ−ラ式定着
装置、ベルト式定着装置の実施形態を図面に従って詳細
に説明する。図1は定着用発熱抵抗体シ−トの縦断面図
である。定着用発熱抵抗体シ−ト1は、金属箔4の表面
に発熱抵抗体2を積層して形成され、発熱抵抗体2の左
右端縁には導入端子28、28が構成される。この導入
端子28、28間に電源を接続して発熱抵抗体2を通電
加熱し、この発生熱により円筒体56(図6)または半
月型加熱パイプ36(図10)を所定温度まで急速に昇
温する。
【0022】図2は定着用発熱抵抗体シ−トの第1実施
形態の縦断面図である。金属箔4の表面に形成された発
熱抵抗体2は熱伝達強化層8、発熱抵抗体層10、断熱
強化層12、さらには熱反射層14(図4)及び保護層
16(図4)の5層から構成されている。発熱抵抗体層
10の両端には電極層24、24が設けられ、この電極
層24、24に導入端子28、28を接続し、この導入
端子28、28に電源を接続する。
【0023】金属箔4は、後述する定着用エンドレスベ
ルトに熱を伝導する部材で、例えば、銅、ニッケル、亜
鉛メッキ鋼等から形成される。金属箔4の両面は粗面加
工されており、発熱抵抗体2を積層したときに接着性が
向上し、しかも発熱抵抗体2から金属箔4への熱伝導性
が向上する。また、粗面の方が熱線などを反射せず、金
属箔4の昇温性が高くなる。
【0024】発熱抵抗体層10は通電によって発熱する
部材で、発熱抵抗体層10は金属粉体やカ−ボン粉体等
からなる低温焼成型発熱抵抗体ペ−ストを塗膜形成した
り、所定の電気抵抗を有する抵抗性フイルムを張設した
りすることによって形成する。その厚みを調整すれば抵
抗値を可変でき、発熱電力を自在に調節できる。
【0025】発熱抵抗体材料は、導電剤だけでなく、こ
れにマトリックスを成す耐熱性合成樹脂またはガラスを
添加した混合物を用いることができる。 また、目的に
応じてその他の公知の材料を添加することもできる。導
電剤としては、Ag,Ni,Au,Pd,Mo,Mn,W等の
金属単体や、Ag−Pd,Cu−Ni,Cu−Zn,Cu
−Sn,Mo−Ag等の合金がある。その内でもMo,A
g等の微粉末が好適である。更にRe23 ,Mn23,
LaMnO3等の金属間化合物を用いる。また、マトリ
ックスを成すガラスを用いることにより、加熱冷却サイ
クルによっても抵抗値の変化を少なくすることができ
る。
【0026】特に温度制御型発熱抵抗体層22(図5)
は温度係数が正の抵抗材料、温度制御型発熱抵抗体層2
0(図5)は温度係数が負の抵抗材料から構成されるこ
とを特徴とする。この正温度係数の性質によって、温度
が上昇すると抵抗値が増加し発熱電力も減少し、自己温
度制御性を発揮する。
【0027】つまり、温度制御型発熱抵抗体層の加熱初
期においては、抵抗が小さいから大きな電流が流れ、大
発熱電力で急速に加熱昇温される。温度が上昇するにつ
れ抵抗が大きくなり、電流は減少、発熱電力は小さくな
り、温度制御型発熱抵抗体層は所定の温度に収束し、自
動的に所定温度制御型に設定制御されることになる。
【0028】正温度係数の抵抗材料としては、主材料と
してMo,Ag等の超微粉末材、副材料としてGe,S
i,Sn,Zn等の金属単体やSn-Zn合金及びY3
eO 12等がある。種々の正温度係数に調整することがで
きる。
【0029】温度制御型発熱抵抗体層20の場合、負温
度係数を持つから、発熱抵抗体層が局部的に温度が上昇
すると抵抗が減少し、加熱電力が減少し低温側に、温度
が低減すると抵抗が増加、加熱電力は上昇し高温側に移
動し、前述の自己温度制御性を発揮する。但しこの場
合、定電流電源が必要である。
【0030】負温度係数の抵抗材料としては、半導体材
料がある。半導体では不純物の添加によって物性を調整
することができる。周規律表IV属金属に、III属又はV
属の金属を不純物として添加したものが利用できる。IV
属としてはSi,Ge等があり、III属の金属にはAl,
Ga,In等、V属の金属にはAs,Sb,Bi等があ
る。
【0031】また、その他の半導体として遷移金属酸化
物が利用できる。具体的には、Ni,Ti等の低級酸化
物、例えばNiO2-x ,TiO2-x等がある。
【0032】従って、温度制御型発熱抵抗体層の抵抗材
料としては、Mo,Agの微粉末からなる主材料に、周
規律表IV属の金属にIII属またはV属の不純物を添加し
た副材料或いは、遷移金属酸化物からなる副材料を配合
したものが利用できる。
【0033】熱伝達強化層8は電気絶縁層として機能す
るだけでなく、熱を積極的に金属箔4側に伝導する機能
をも有する。従って熱伝達強化層8を構成する物質は高
熱伝導率を有した電気絶縁性物質であることが望まし
い。しかし、他の構成をとってもよい。例えば、高熱伝
導性物質と電気絶縁性物質を混合してもよいし、高熱伝
導性物質からなる熱伝導層と電気絶縁層とからなる二重
層を熱伝達強化層としてもよい。
【0034】高熱伝導率の絶縁性物質としては金属の酸
化物系物質があり、その中でも高純度アルミナ(Al2
3)等は好適な材料である。この金属酸化物からなる粉体
を後述する電気絶縁性物質、例えば耐熱性有機絶縁物質
に混合してペ−スト化し、加熱硬化させて熱伝達強化層
8とすることができる。
【0035】金属粉を電気絶縁性物質に混合してペ−ス
ト化し、加熱硬化して熱伝達強化層8としてもよい。金
属粉は一般に高熱伝導性を持つから、電気絶縁性物質に
混合して熱伝導性と電気絶縁性を保持できる。しかし、
金属粉自体は電気伝導性をもつから、この場合には電気
絶縁性を確実にするため、電気絶縁性物質の物質量と混
合性に注意の必要がある。電気絶縁性を更に確実にする
ため、この熱伝導層に電気絶縁層を積層して二重層と
し、この二重層を熱伝達強化層8としてもよい。
【0036】前述した電気絶縁性材料としては、無機電
縁材料と有機絶縁材料とに分かれる。無機絶縁材料に
は、酸化物絶縁材料、マイカ、大理石、セラミック、ガ
ラスなどがあり、有機絶縁材料には、遷移プラスチッ
ク、ゴム、ろう、コンパウンド等各種の公知材料があ
り、耐熱性、絶縁度、処理性能等によって使い分ければ
よい。特にポリミイド耐熱性樹脂が耐熱性や絶縁性など
の観点から好適である。
【0037】一般に、電気絶縁層は熱絶縁物質であるこ
とが多く、断熱作用をもつ。しかし、電気絶縁層だけで
は断熱作用が十分でないため、発熱抵抗体層10と熱反
射層14(図4)の間に断熱強化層12(図4)を配置
して、電気絶縁層の断熱機能に加えて断熱機能を増強さ
せることにした。断熱強化層の材料を安価な断熱物質で
構成すれば、断熱強化層を厚くしても安価に設定でき
る。たとえば、液状の耐熱性有機絶縁材料に断熱充填剤
を一様に混合して塗着すればよい。
【0038】液状の耐熱性有機絶縁材料の一種としてポ
リイミドワニスが利用できる。しかし、ポリイミドワニ
スは高価であるから、ポリイミド量を減量し、安価な断
熱充填剤を多く充填混合すれば、全体として安価な断熱
強化材を提供できる。断熱充填材は電気絶縁物質でもあ
り、断熱機能と同時に電気絶縁機能も発揮する。本発明
の実施形態で特によく使用する断熱充填材は酸化物粉末
であり、ZrO2 ,SiO2等がある。
【0039】保護層16(図4)は、発熱抵抗体の耐湿
性を保護する層である。銅・錫面を貼着する場合加圧・
加熱加工される。従って保護層16を押圧したとき、発
熱抵抗体層10を損傷から保護し、しかも剥離を容易に
する剥離層にもなる。従って、保護層16は、保護材料
や剥離材料から形成され、ポリイミド耐熱性樹脂で保護
すれば、耐熱性を有する電気絶縁層にもなり、更にフッ
ソ樹脂を混合すると剥離剤の役割を有する。
【0040】上述した各層の形成にはスクリ−ン印刷法
が利用できる。例えば、低温焼成型発熱抵抗体ペ−スト
で熱抵抗体層10を形成したり、絶縁性抵抗体ペ−スト
で熱伝達強化層8を形成したり、電極層を形成する場合
には、印刷技術のなかでもスクリ−ン印刷法を活用し
て、膜厚の制御等その形成を容易にできる。スクリ−ン
印刷法とは、所望の孔空きパタ−ンを介在させて、使用
するスクリ−ンを変更するだけで任意のパタ−ンを印刷
でき、また膜厚を調整するために2重、3重と多層印刷
することにより、発熱抵抗体層の抵抗値や絶縁体層の絶
縁値を自由に設定することができる。
【0041】スクリ−ン印刷法以外にも、スプレ−法、
刷毛塗り法、ドブ漬法等の公知の方法も利用できる。ま
た、導電性フイルムや絶縁性フイルムを貼る場合にはそ
のまま層として利用でき、使用するフイルムの厚みを変
えたり、枚数を制御して物性の調整が可能となる。
【0042】各層を積層するには次のようにする。一つ
の層を低温焼成型ペ−ストを用いて印刷し、次にこの層
を加熱して、仮乾燥する。印刷、仮乾燥を繰り返しなが
ら、各層を順次積層して行く。最後に全体を、加熱、加
圧処理を行うと、各層が熱硬化され、緻密になって密度
が高まる。特に発熱抵抗体層10は緻密化により抵抗値
が安定し、電流許容量が増加、信頼性と耐久性が向上す
る。更に通電エ−ジングを施した後、貼付け工程に入
る。
【0043】図3は定着用発熱抵抗体シ−トの第2実施
形態の縦断面図である。この第2実施形態は発熱抵抗体
層10の膜厚が一定の分布を有する点で、第1実施形態
と異なり、同一符号を付して異なる点のみを説明する。
発熱抵抗体層10で発生した熱は導入端子28、28か
ら外部に伝導散逸して行くから、導入端子側の温度は、
中央部より低くなるのが常である。しかし、記録紙の熱
定着の均一性を保持するためには、金属箔の加熱温度分
布は場所に依らず一様であるのが好ましい。従って、導
入端子側の発熱電力を中央部より大きくして、結果的に
発熱抵抗体層10の全域の温度を均一化する工夫をす
る。
【0044】図3においては、発熱抵抗体層10の中央
部の膜厚を大きくし、導入端子側の膜厚を小さくするよ
うに膜厚分布を設定している。即ち、中央部の抵抗値は
小さく、導入端子側の抵抗値は大きい。導入端子28、
28間に電源を接続すると、発熱抵抗体層10には電流
Iが流れ、各場所での発熱電力W=I2Rで与えられ
る。従って 、発熱電力を抵抗値に比例して設定できる
ので、導入端子側の発熱電力を中央部より大きくでき
る。膜厚分布の微調整により、加熱温度の微細な均一化
を図ることができる。
【0045】図4は定着用発熱抵抗体シ−トの第3実施
形態の縦断面図である。図2の第1実施形態と同一部分
には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを
次に説明する。発熱抵抗体層10の表面には、断熱強化
層12を介して熱反射層14を設け、この熱反射層14
の表面に保護層16を形成する。
【0046】断熱強化層12は熱遮断性をもつ電気絶縁
物質で構成する。電気絶縁性物質は熱絶縁性をもつ場合
が多い。断熱剤としては、例えば、液状の耐熱性有機絶
縁材料に断熱充填剤を一様に混合して構成する。
【0047】液状の耐熱性有機絶縁材料の一種としてポ
リイミドワニスが利用できる。また。断熱充填材料とし
ては低熱伝導率の耐熱材料が利用できる。断熱充填剤と
しては、ガラス、ガラスウ−ル、各種セラミック、耐火
レンガ、砂粒、各種酸化物、各種金属酸化物等があり、
これらを粉体化し、液状耐熱性有機絶縁材料に混合して
断熱材料とする。
【0048】この断熱強化層12の裏面には熱反射層1
4が形成される。熱反射層14は、温度制御型発熱抵抗
体層22(図5)から熱反射層14まで透過的にまたは
直接的に散逸放射される熱線を金属箔4側に反射して、
金属箔4の昇温時間を短縮させる効果を有する。鏡面を
熱反射面とすればよく、例えばアルミニウム箔等の金属
フィルムの鏡面側を反射面として配置する。この熱反射
層14により自己温度制御型発熱抵抗体シ−トの昇温時
間を著しく短縮でき、昇温特性と省エネルギ−に寄与す
ることができる。
【0049】電極24、24は発熱抵抗体層10、断熱
強化層12及び保護層16の側面に接触するように配置
されているが、電気絶縁のため熱反射層14には非接触
に保持される。従って熱反射層14の両端は保護層16
により絶縁されている。保護層16の構成及び機能は、
前述のとおりである。
【0050】次に第4実施形態(図5)では、発熱抵抗
体2は、熱伝達強化層8、温度制御型発熱抵抗体層2
0、熱伝達強化層8、発熱抵抗体層10、断熱強化層1
2、熱反射層14及び保護層16から層状積層して構成
されており、製作には、スクリ−ン印刷法の適用が合理
的である。
【0051】図5は、定着用発熱抵抗体シ−トの第4実
施形態の縦断面図である。この実施形態では、発熱抵抗
体2は、熱伝達強化層8、負温度係数をもつ温度制御型
発熱抵抗体層20、熱伝達強化層8、通常の発熱抵抗体
層10、断熱強化層12、熱反射層14及び保護層16
を積層して構成されている。更に、発熱抵抗体層10の
駆動用電極層24及び導入端子32、32が設けられ、
温度制御型発熱抵抗体層20の駆動用電極層26及び導
入端子34、34が設けられている。電極層24、24
は電気絶縁層30によって電気的に絶縁されている。導
入端子32、32は通常電源で、導入端子34、34は
定電流電源で加熱制御される。
【0052】図4の第3実施形態と異なる点は、熱伝達
強化層8と温度制御型発熱抵抗体層22の組を、熱伝達
強化層8と温度制御型発熱抵抗体層20の組に重ねたこ
とである。温度制御型発熱抵抗体層22は正温度係数の
抵抗体材料から形成され、通常電源により急速に昇温さ
れる。また、温度制御型発熱抵抗体層20は負温度係数
の抵抗体体材料から形成され、定電流電源に接続されて
おり、前述の如く通紙部の温度低下に対する急速な熱量
の補給、未通紙部の温度上昇の抑制等、温度差を瞬時で
解消する。
【0053】何れの熱伝達強化層8もその構成と作用は
同様であり説明は省略する。特に本実施形態では、発熱
抵抗体層10、20、22の断面は、中央部の膜厚が導
入端子部より大きく設定されており、これにより発熱部
材の温度均一性が保持される。
【0054】大きい正温度係数の温度制御型発熱抵抗体
層22は、制御回路等の事故の際に、温度の上限を規
制、発熱抵抗体の焼損及び通紙の発火などを自動的に制
御する役目を担い、本発熱部材を用いた次世代多機能定
着システムの信頼性に寄与する。表面温度均一性及び高
信頼性を有する完全自己温度制御型発熱抵抗体シ−トで
ある。
【0055】図6は、定着用発熱抵抗体シ−ト1を円筒
体の内周面に備えた、クイック・ヒ−ト・ロ−ラの構成
図である。円筒体の内周面に銅・錫メッキを施し、これ
と定着用発熱抵抗体シ−トの裏面の銅・錫メッキ面とを
内接し、高周波加熱により銅・錫の融点付近で加圧貼付
けする。両端部に絶縁リング62を接続し、導入端子6
0を設けて定着用発熱抵抗体シ−トの導入端子部を接続
し、クイック・ヒ−ト・ロ−ラを完成する。定着用発熱
抵抗体シ−トには、導入端子部を通じて電源に接続す
る。
【0056】図7は、外径φ30mm,肉厚0.3m
m,長さ300mmの亜鉛メッキ円筒体の内周面に銅・
錫メッキを施し、定着用発熱抵抗体シートを貼付けし、
100V,600Wの電力を印加、昇温特性を、ハロゲ
ン・ランプを用いたヒート・ローラと比較したものであ
る。縦軸は表面温度、横軸は時間である。図中一点鎖線
は通常の定着用クイック・ヒート・ローラ、実線は熱反
射層をもつ定着用クイック・ヒート・ローラ、点線はハ
ロゲン・ランプを用いたヒート・ローラの特性である。
ハロゲン・ランプの場合、常温から160℃に昇温する
には約45秒を必要とするが、定着用クイック・ヒート
・ローラでは約1/3の13秒、熱反射層を設けると約
1/5の8秒に昇温時間は短縮され、省エネルギー性は
顕著に改善される。
【0057】図8は、定着用発熱抵抗体シ−ト1を、銅
・錫メッキ52を介し金属基板6に貼付けした、クイッ
ク・ヒ−ト・プレ−トの構成図である。昇温特性、信頼
性、耐久性、低価格等を備えた発熱部材である。図9
は、サーモグラフィによる表面温度分布特性を示す。長
さ360mm,幅60mm,厚さ1mmのアルミニウム
基板に、厚さ0.1mm、100V,600Wの発熱抵
抗体の場合で、実線は発熱抵抗体層の形状が、中央部を
導入端子部より約2倍と厚くした場合の温度分布で、一
点鎖線は膜厚が均一な場合の特性である。膜厚の値を考
慮することにより、表面分布±2%以内に制御できる。
【0058】図10は、半月型加熱パイプの断面図であ
る。図8に示したクイック・ヒ−ト・プレ−トをプレス
加工し、金属基板6を凸面38に湾曲成形し、金属基板
6の端縁を折り畳んで折曲片40、40とする。折曲片
40、40の間は固定用プレ−ト42で連結して断面半
月状の半月型加熱パイプ36を形成する。固定用プレ−
ト42の両端には、電気絶縁層64、64を設けて発熱
抵抗体18と電気的に絶縁する。
【0059】図11は、クイック・ヒート・ローラを用
いたローラ式定着装置の構成図である。図11(A)は
定着用ローラにクイック・ヒート・ローラを用いた場
合、図11(B)は定着用ローラ及び加圧ローラ共にク
イック・ヒート・ローラを用いた場合のローラ式定着装
置の構成を示す。図12(A)、(B)および図13
は、クイック・ヒート・ローラを用いたベルト式定着装
置の構成図である。
【0060】図14(A)、(B)および図15は、半
月型加熱パイプを利用したベルト式定着装置の構成図で
ある。半月型加熱パイプ36の凸面38と定着用ロ−ラ
44のスポンジ体46の周りに定着用エンドレスベルト
48を巻回する。下方から加圧ロ−ラ50を押圧して、
定着用エンドレスベルト48を緊張させ、加圧ロ−ラ5
0と定着用エンドレスベルト48との圧着部54が加熱
領域になる。半月型加熱パイプ36は固定式であり、回
転駆動はされない。
【0061】図12(A)、(B)および図13は、ク
イック・ヒート・ローラを用いたベルト式定着装置の構
成図である。定着ロ−ラを矢印aの方向に、加圧ロ−ラ
50を矢印bの方向に回転させると、未定着のトナ−画
像を転写した記録紙が矢印c方向に引き込まれて行く。
定着エンドレスベルト48は半月型加熱パイプ36と摺
接する間に所定の定着温度に到達し、トナ−画像は圧着
部54にて定着用エンドレスベルト48と密着する間に
熱定着される。この熱定着でトナ−画像は定着画像とな
り、記録紙は矢印d方向に排出される。
【0062】定着ロ−ラ44と加圧ロ−ラ50にクイッ
ク・ヒ−ト・ロ−ラを使用すれば、定着用エンドレスベ
ルト48の恒温性を更に強化することができ、定着装置
の更なる急速昇温性を実現できる。
【0063】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における
種々の変形例、設計変更などはその技術的範囲内に包含
されることは言うまでもない。
【0064】
【0065】<各請求項の効果>請求項1の発明によれ
ば、金属箔の上に発熱抵抗体を積層した定着用発熱抵抗
体シ−トは、容易に製造することができ、各種定着用発
熱抵抗体シ−トを用いた発熱部材は安価に量産すること
ができる。請求項2の発明によれば、熱伝達強化層によ
って、発熱抵抗体の発生熱を効率よく金属箔に伝達で
き、高速昇温性を向上することができる。
【0066】請求項3の発明によれば、発熱抵抗体層の
外側に断熱強化層と熱反射層を設けたから、発熱抵抗体
層で発生した熱流は、裏面側から散逸するのを防止し、
長波長の熱線は熱反射層により金属箔側に反射できるか
ら、発生熱の無駄な散逸を防止でき、昇温性能の更なる
向上が期待することができる。
【0067】請求項4の発明によれば、発熱抵抗体層
は、導入端子側の膜厚が中央部より小さくなるように形
成されるから、導入端子側の発熱電力を中央部より大き
く設定でき、発熱部材の表面温度分布を均一化すること
ができる。
【0068】請求項5の発明によれば、定着用発熱抵抗
体シ−トは、金属箔の上に熱伝達強化層、発熱抵抗体
層、断熱強化層、熱反射層、保護層の多層構成で、発生
熱を効率的に発熱部材に使用することができ、昇温特性
の一層の向上を図ることができる。
【0069】請求項6の発明によれば、金属箔の材料は
熱伝導率の大きい、銅、ステンレス、亜鉛メッキ鋼板
等、銅・錫メッキができる低価格金属材料が使用でき、
安価な発熱部材を量産することができる。
【0070】請求項7の発明によれば、発熱抵抗体はス
クリ−ン印刷法により簡単に積層でき、多層印刷により
膜厚を自在に調整することができる。また成膜後加圧・
加熱硬化通電エ−ジング等の処理により、信頼性、耐久
性を飛躍的に向上できる。
【0071】請求項8の発明によれば、正温度係数をも
つ温度制御型発熱抵抗体によって、発熱部材の最高温度
を300〜400℃に制御でき、発熱抵抗体、通過紙等の焼損
等信頼性の向上に大きく貢献できる。
【0072】請求項9の発明によれば、負温度係数をも
つ温度制御型発熱抵抗体によって、発熱部材の表面温度
分布を自己温度制御する自己温度制御型発熱抵抗体シ−
トを実現できる。
【0073】請求項10の発明によれば、正温度係数をも
つ温度制御型発熱抵抗体と負温度係数をもつ温度制御型
発熱抵抗体を組合せて、前者は表面温度の上限設定を、
後者は表面温度分布の均一化を、それぞれ分担し、完全
自己温度制御型発熱抵抗体シ−トを実現できる。
【0074】請求項11の発明によれば、完全自己温度制
御型発熱抵抗体シ−トの温度制御に当り正温度係数の発
熱抵抗体には通常の電源、負温度係数の発熱抵抗体には
定電流電源をそれぞれ用いて温度制御する。
【0075】請求項12の発明によれば、発熱抵抗体の主
材料は、Mo、Agとマトリックスをなす合成樹脂、ガ
ラスで、正温度係数の発熱抵抗体には特定の金属単体
を、負温度係数の発熱抵抗体には周規律表IV属の金属に
III 、V属の不純物を添加したものを用いることができ
る。
【0076】請求項13の発明によれば、定着用発熱抵抗
体シ−トを、内周面に銅・錫メッキを施した円筒体に、
銅・錫の溶融温度で貼付けて、クイック・ヒ−ト・ロ−
ラを製作できる。
【0077】請求項14の発明によれば、定着用発熱抵抗
体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施した金属基板に、
銅・錫の溶融温度で貼付けて、クイック・ヒ−ト・プレ
−トを製作できる。
【0078】請求項15の発明によれば、温度制御型定着
用発熱抵抗体シ−トを、内周面に銅・錫メッキを施した
円筒体に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、温度制御型ク
イック・ヒ−ト・ロ−ラを製作できる。
【0079】請求項16の発明によれば、温度制御型定着
用発熱抵抗体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施した金
属基板に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、温度制御型ク
イック・ヒ−ト・プレ−トを製作できる。
【0080】請求項17の発明によれば、自己温度制御型
定着用発熱抵抗体シ−トを、内周面に銅・錫メッキを施
した円筒体に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、自己温度
制御型クイック・ヒ−ト・ロ−ラを製作できる。
【0081】請求項18の発明によれば、自己温度制御型
定着用発熱抵抗体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを施し
た金属基板に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、自己温度
制御型クイック・ヒ−ト・プレ−トを製作できる。
【0082】請求項19の発明によれば、完全自己温度制
御型定着用発熱抵抗体シ−トを、内周面に銅・錫メッキ
を施した円筒体に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、完全
自己温度制御型クイック・ヒ−ト・ロ−ラを製作でき
る。
【0083】請求項20の発明によれば、完全自己温度制
御型定着用発熱抵抗体シ−トを、裏面に銅・錫メッキを
施した金属基板に、銅・錫の溶融温度で貼付けて、自己
温度制御型クイック・ヒ−ト・プレ−トを製作できる。
【0084】請求項21の発明によれば、円筒体及び金属
基板の材質は、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステ
ンレスを用いることができる。
【0085】請求項22の発明によれば、円筒体の内周面
及び金属基板の裏面に銅・錫メッキを施し、各発熱抵抗
体シ−トの裏面の銅・錫メッキ層と加熱、加圧して貼着
し、クイック・ヒ−ト・ロ−ラ及びクイック・ヒ−ト・
プレ−トを製作することができる。
【0086】請求項23の発明によれば、各クイック・ヒ
−ト・ロ−ラに定着用エンドレスベルトをかけ、ベルト
式定着装置が製作できる。
【0087】請求項24の発明によれば、各クイック・ヒ
−ト・プレ−トを金属基板が凸面となるように加工して
半月型加熱パイプが製作できる。
【0088】請求項25の発明によれば、半月型加熱パイ
プに定着用エンドレスベルトをかけ、ベルト式定着装置
が製作できる。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、金属箔の上に発熱抵抗
体を積層した定着用発熱抵抗体シートは、容易に製造す
ることができ、各種定着用発熱抵抗体シートを用いた発
熱部材は安価に量産することができる。熱伝達強化層に
よって、発熱抵抗体の発生熱を効率よく金属箔に伝達で
き、高速昇温性を向上させることができる。また、負温
度係数をもつ温度制御型発熱抵抗体によって、発熱部材
の表面温度分布を自己温度制御する自己温度制御型発熱
抵抗体シートを実現できる。更に本発明によれば、短時
間で所定の温度に達することが可能な定着装置を実現す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着用発熱抵抗体シ−トの縦断面図である。
【図2】定着用発熱抵抗体シ−トの第1実施形態の縦断
面図である。
【図3】定着用発熱抵抗体シ−トの第2実施形態の縦断
面図である。
【図4】定着用発熱抵抗体シ−トの第3実施形態の縦断
面図である。
【図5】定着用発熱抵抗体シ−トの第4実施形態の縦断
面図である。
【図6】各定着用発熱抵抗体シ−トを用いたクイック・
ヒ−ト・ロ−ラの構成図である。
【図7】各種ヒート・ローラの昇温特性を示す図であ
る。
【図8】各定着用発熱抵抗体シ−トを用いたクイック・
ヒ−ト・プレ−トの構成図である。
【図9】温度制御型発熱抵抗体層の有無での表面温度分
布特性を示す図である。
【図10】クイック・ヒ−ト・プレ−トを用いた半月型
加熱パイプの断面図である。
【図11】(A)、(B)はクイック・ヒ−ト・ロ−ラ
を用いたローラ式定着装置の構成図である。
【図12】(A)、(B)はクイック・ヒ−ト・ロ−ラ
を用いたベルト式定着装置の構成図である。
【図13】クイック・ヒート・ローラを用いたベルト式
定着装置の斜視図である。
【図14】(A)、(B)は半月型加熱パイプを用いた
ベルト式定着装置の構成図である。
【図15】半月型加熱パイプを用いたベルト式定着装置
の斜視図である。
【符号の説明】 1…発熱抵抗体シート 2…発熱抵抗体 4…金属箔 6…金属基板 8…熱伝達強化層 10…発熱抵抗体層 12…断熱強化層 14…熱反射層 16…保護層 20…温度制御型発熱抵抗体層(負温度係数) 22…温度制御型発熱抵抗体層(正温度係数) 24…電極層 26…電極層 28…導入端子 30…電気絶縁層 32…導入端子(通常電源) 34…導入端子(定電流電源) 36…半月型加熱パイプ 38…凸面 40…折曲片 42…固定用プレート 44…定着ローラ 46…スポンジ体 48…定着用エンドレスベルト 50…加圧ローラ 52…銅・錫メッキ 54…圧着部 56…円筒体 58…クイック・ヒート・ローラ 60…導入端子 62…絶縁リング 64…電気絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 3/20 330 H05B 3/20 330 (72)発明者 三瓶 浩一 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 森 光広 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 矢野 昭雄 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 木村 正利 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 小西 正雄 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 (72)発明者 河村 孝夫 大阪府堺市高倉台1丁目17番11号 (72)発明者 原田 昭雄 大阪府大阪市城東区放出西2丁目7番19号 大研化学工業株式会社内 (72)発明者 西 毅 大阪府大阪市城東区放出西2丁目7番19号 大研化学工業株式会社内 (72)発明者 山本 之雄 大阪府大阪市城東区放出西2丁目7番19号 大研化学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA30 BA25 BB19 3K034 AA02 AA04 AA07 AA15 AA34 BB02 BC12 HA07 HA10 JA09 3K058 AA12 AA94 BA18 CA62 CA63 CB10 CE13 CE19 CE21 DA04 DA11 3K092 PP18 QA06 QB02 QB03 QB21 QB22 QB30 QB68 QB76 RF02 RF09 RF22 SS12 SS47 TT30 VV03 VV25 VV40

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属箔の上に発熱抵抗体を備え、この発
    熱抵抗体は、金属箔側から少なくとも、電気絶縁層と発
    熱抵抗体層を積層して形成され、この発熱抵抗体層を通
    電加熱して前記金属箔を所望の定着温度に設定すること
    を特徴とする定着用発熱抵抗体シ−ト。
  2. 【請求項2】 前記発熱抵抗体は、金属箔側から熱伝達
    強化層、発熱抵抗体層、断熱強化層、熱反射層、保護層
    の順に積層した層状発熱抵抗体で、発熱抵抗体層で発生
    した熱の散逸を遮断し、前記金属箔側に反射伝導させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着用発熱抵抗体シ
    −ト。
  3. 【請求項3】 前記金属箔上に前記発熱抵抗体を備え、
    この発熱抵抗体は前記金属箔側から少なくとも熱伝達強
    化層と温度制御型発熱抵抗体層と熱伝達強化層と発熱抵
    抗体層とを積層して形成され、この温度制御型発熱抵抗
    体層は負温度係数を持つ発熱抵抗体層で、定電流電源で
    通電加熱することを特徴とする請求項1または2に記載
    の定着用発熱抵抗体シート。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    定着用発熱抵抗体シートを用いることを特徴とする定着
    装置。
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