JP5673789B1 - 加熱装置、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置において、絶縁層と発熱体の剥離を抑制する。【解決手段】加熱部58は、金属層581、絶縁層582、金属層583、絶縁層584、金属層585を、定着ベルト51の内周面側から軸O1に向かってこの順に重ねて備える。金属層583の発熱により金属層581の一部の領域(加熱領域)が加熱される。金属層581、585、絶縁層582、584及び金属層583は、加熱領域以外の領域において、熱可塑性の接着剤により、金属層581と金属層585の法線方向において連結されている。【選択図】図2
Description
本発明は、加熱装置、定着装置及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、通電によって発熱する抵抗発熱体からなる発熱層を有する加熱部材を用いてトナー像を記録媒体に定着させる定着装置において、加熱部材が、放熱部材と、低硬度良熱伝導部材と、発熱部材と、発熱部材を放熱部材に近接する方向に弾発的に押圧する押圧部材とを含み、放熱部材が、円筒体の一部を成す筒状に形成される筒状部と、筒状部の周方向両端部から内側に屈曲する屈曲片とを含んで構成されることが記載されている。
特許文献2には、ベルト定着方式の定着装置において、定着ベルトを加熱する加熱手段が、抵抗発熱体と絶縁体とを含む面状発熱体と、外周面において定着ベルトと接触する湾曲した基材と、基材の内側表面に対する所定位置に面状発熱体を保持して固定する内側固定部材とを含んで構成される加熱部材を有し、内側固定部材が、面状発熱体の厚み方向一表面に略線接触または略点接触して、面状発熱体の厚み方向他表面が基材の内側表面に面接触するように、面状発熱体を保持して固定することが記載されている。
特許文献2には、ベルト定着方式の定着装置において、定着ベルトを加熱する加熱手段が、抵抗発熱体と絶縁体とを含む面状発熱体と、外周面において定着ベルトと接触する湾曲した基材と、基材の内側表面に対する所定位置に面状発熱体を保持して固定する内側固定部材とを含んで構成される加熱部材を有し、内側固定部材が、面状発熱体の厚み方向一表面に略線接触または略点接触して、面状発熱体の厚み方向他表面が基材の内側表面に面接触するように、面状発熱体を保持して固定することが記載されている。
本発明は、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置において、第1の支持層と第2の支持層とを法線方向において連結しない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することを目的とする。
本発明の請求項1に係る加熱装置は、発熱体と、前記発熱体を挟むように配置された第1の絶縁層及び第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層、前記発熱体、及び前記第2の絶縁層を挟むように配置された、前記第1の絶縁層に接する第1の支持層及び前記第2の絶縁層に接する第2の支持層と、前記第1の支持層と前記第2の支持層と、前記第1の支持層と前記第2の支持層の層間を法線方向において連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記第1の支持層と前記第2の支持層とを、前記第1の支持層と前記第2の支持層の法線方向に前記発熱体が存在しない領域であって、前記発熱体の幅方向両側の領域において前記法線方向に連結する一方で、前記第1の支持層と前記第2の支持層の法線方向に前記発熱体が存在する領域においては前記法線方向に連結しないことを特徴とする、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置である。
本発明の請求項2に係る加熱装置は、請求項1に記載の構成において、前記第1の絶縁層、前記第1の支持層、前記発熱体、前記第2の絶縁層、及び前記第2の支持層を含む積層体が、前記第1の支持層と前記第2の支持層との前記法線方向の連結が行われた状態で湾曲されていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る加熱装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記連結部材は、前記第1の絶縁層、前記第1の支持層、前記発熱体、前記第2の絶縁層、及び前記第2の支持層のうちの互いに隣接する2つを接着する熱可塑性の接着剤を有することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る加熱装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構成において、前記発熱体に連続する非発熱体を有し、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層は前記非発熱体を挟むように配置され、前記連結部材は、前記非発熱体を前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層に連結することを特徴とする。
本発明の請求項5に係る定着装置は、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトと、前記第1の支持層が前記ベルトに接するように配置された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加熱装置とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、加熱により媒体に定着される未定着の画像を媒体に形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により未定着の画像が形成された媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されてくる媒体に未定着の画像を定着させる請求項5に記載の定着装置とを備えることを特徴とする。
請求項1、5及び6に係る発明によれば、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置において、第1の支持層と第2の支持層とを法線方向において連結しない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。また、発熱体がない領域において連結を行わない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の支持層と第2の支持層との法線方向の連結が行われた状態で湾曲されていない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置において、第1の支持層と第2の支持層とを法線方向において熱可塑性の接着剤で連結しない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、非発熱体を第1の絶縁層及び第2の絶縁層に連結しない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、第1の支持層と第2の支持層との法線方向の連結が行われた状態で湾曲されていない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置において、第1の支持層と第2の支持層とを法線方向において熱可塑性の接着剤で連結しない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、非発熱体を第1の絶縁層及び第2の絶縁層に連結しない場合と比べて、絶縁層と発熱体の剥離を抑制することができる。
1.実施形態
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は電子写真方式で画像を形成する装置である。本実施形態に係る画像形成装置1は、所謂タンデム型であり、画像を表す画像データに基づいて媒体の一例である用紙Pに画像を形成する。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUがROMや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出して実行することにより画像形成装置1の各部を制御する。記憶部12はハードディスクドライブ等の大容量の記憶手段であり、制御部11のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。操作部17は各種の指示を入力するための操作ボタン等を備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は電子写真方式で画像を形成する装置である。本実施形態に係る画像形成装置1は、所謂タンデム型であり、画像を表す画像データに基づいて媒体の一例である用紙Pに画像を形成する。図において、制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUがROMや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出して実行することにより画像形成装置1の各部を制御する。記憶部12はハードディスクドライブ等の大容量の記憶手段であり、制御部11のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。操作部17は各種の指示を入力するための操作ボタン等を備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。
現像部13Y,13M,13C,13Kは、用紙Pにトナー像を形成する。なお、符号のY,M,C,Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーに対応した構成であることを意味している。現像部13Y,13M,13C,13Kのそれぞれは、用いるトナーが異なるものの、その構成に大きな差異はない。以下、現像部13Y,13M,13C,13Kのそれぞれを特に区別する必要がない場合には、トナーの色を示す符号末尾のアルファベットを省略して「現像部13」とする。
各現像部13は、感光体ドラム31と、帯電器32と、露光装置33と、現像器34と、一次転写ロール35と、ドラムクリーナ36とを備えている。感光体ドラム31は電荷発生層や電荷輸送層を有する像保持体であり、図示しない駆動部により図中の矢線D13の方向に回転させられる。帯電器32は感光体ドラム31の表面を帯電させる。露光装置33はレーザー発光源やポリゴンミラー等(いずれも図示せず)を備え、制御部11の制御の下、画像データに応じたレーザー光を、帯電器32により帯電させられた後の感光体ドラム31に向けて照射する。これにより、各感光体ドラム31には潜像が保持される。なお、上記の画像データは、制御部11が図示しない通信部を介して外部装置から取得したものであってもよい。外部装置とは、例えば原画像を読み取る読取装置や画像を示すデータを記憶した記憶装置等である。
現像器34はY,M,C,Kのいずれかの色のトナーと、フェライト粉等の磁性キャリアを含む二成分現像剤を収容する。そして現像器34に形成された磁気ブラシの穂先が感光体ドラム31の表面に接触することで、トナーは感光体ドラム31表面で露光装置33により露光された部分、すなわち静電潜像の画線部に付着し、感光体ドラム31に画像が形成(現像)される。
一次転写ロール35は転写部14の中間転写ベルト41が感光体ドラム31と対向する位置において予め定めた電位差を生じさせ、この電位差によって中間転写ベルト41に画像を転写する。ドラムクリーナ36は、画像の転写後に感光体ドラム31の表面に残留している未転写のトナーを取り除き、感光体ドラム31表面を除電する。即ち、ドラムクリーナ36は、次の画像形成に備えて、感光体ドラム31から不要なトナーや電荷を除去するものである。
転写部14は、中間転写ベルト41と、二次転写ロール42と、ベルト搬送ロール43と、バックアップロール44とを備えており、現像部13によって形成された画像を、ユーザの操作に応じて決められた紙種の用紙Pに転写する転写部である。中間転写ベルト41は無端のベルト部材であり、ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44はこの中間転写ベルト41を張架する。ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44の少なくとも1つには駆動部(図示せず)が備えられており、中間転写ベルト41を図中の矢印D14方向に移動させる。なお、駆動部を有さないベルト搬送ロール43またはバックアップロール44は、中間転写ベルト41の移動に従動して回転する。中間転写ベルト41が図中の矢印D14方向に移動して回転することにより、中間転写ベルト41上の画像は、二次転写ロール42とバックアップロール44とに挟まれる領域に移動させられる。
二次転写ロール42は、中間転写ベルト41との電位差によって、中間転写ベルト41上の画像を搬送部16から搬送されてきた用紙Pに転写させる。ベルトクリーナ49は、中間転写ベルト41の表面に残留している未転写のトナーを取り除く。そして、転写部14または搬送部16は、画像が転写された用紙Pを定着部15へと搬送する。なお、現像部13および転写部14は、本発明における媒体に画像を形成する画像形成手段の一例である。
搬送部16(搬送手段の一例)は、容器と搬送ロールとを有する。容器には、予め定められたサイズにカットされた、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体の一例としての用紙Pが収容される。用紙Pのサイズのうち搬送方向に対して垂直な方向、すなわち幅方向には少なくとも2つ以上の異なるサイズが定められている。ここでは、最大幅用紙P1と、最大幅用紙P1よりも幅の狭い小幅用紙P2の2種類の用紙Pが用いられる。最大幅用紙P1とは、画像形成装置1で取り扱う用紙Pのうち、幅方向のサイズが最大のものである。これら2種類の用紙Pは収容されている容器によって制御部11に区別される。各容器に収容されている用紙Pは、制御部11の指示により搬送ロールによって1枚ずつ取り出され、用紙搬送路を経由して転写部14へと搬送される。なお、媒体は用紙に限らず、例えば樹脂製のシート等であってもよい。要するに、媒体は、表面に画像を形成し得るものであればよい。
定着部15(定着装置の一例)は、加熱によって用紙Pに転写された画像を定着させる。図2は、定着部15の概要を示す図である。以下、図において、定着部15の各構成の配置を説明するため、各構成が配置される空間をxyz右手系座標空間として表す。また、図に示す座標記号のうち、内側が白い円の中に黒い円を描いた記号は、紙面奥側から手前側に向かう矢印を表している。空間においてx軸に沿う方向をx軸方向という。また、x軸方向のうち、x成分が増加する方向を+x方向といい、x成分が減少する方向を−x方向という。y、z成分についても、y軸方向、+y方向、−y方向、z軸方向、+z方向、−z方向を定義する。また、用紙Pは定着部15を通過する際に、画像が形成された面を+y方向に向けた状態で、z軸方向に搬送される。すなわち、z軸方向は用紙Pの搬送方向であり、x軸方向は用紙Pの幅方向である。
定着部15は、定着ベルト51と、加圧ロール52と、押圧パッド56と、ホルダ57と、加熱部58とを備えている。図2に示すように定着ベルト51はx軸方向に平行な軸O1を中心に矢印D51方向に回転する。また、図2に示すように加圧ロール52は、金属製の円筒状の芯材521と、この芯材521の表面に設けられた弾性層522とを備える。芯材521は、軸O1に平行な軸であって軸O1の−y方向に配置された軸である軸O2を中心に矢印D52方向に回転し、これに伴って弾性層522が矢印D52方向に回転する。弾性層522の材質は、例えばシリコーンゴム層や、フッ素ゴム層等である。また、弾性層522は、その表面に表面離型層(フッ素樹脂層)を備えてもよい。加圧ロール52は、図示しない駆動部により回転しつつ搬送部16により搬送された用紙Pを定着ベルト51に押し付けることにより、定着ベルト51による用紙Pの加熱を補助する。定着ベルト51は、加圧ロール52からの摩擦力によって加圧ロール52に従動回転する。
押圧パッド56、ホルダ57、および加熱部58は、定着ベルト51の内周側に配置されている。ホルダ57は、x軸方向に伸びる棒状の部材であり、図示しない両端部が画像形成装置1の筐体に固定されている。ホルダ57は、例えば、ガラス混入PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂や、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)または銅(Cu)等の非磁性金属等を材料に用いて形成されている。ホルダ57は、押圧パッド56を図2に示す矢印D56方向(−y方向)、すなわち加圧ロール52に向かう方向に押圧するように支持する。
押圧パッド56は、LCP(Liquid Crystal Polymer)等の耐熱性樹脂で構成され、加圧ロール52と対向する位置でホルダ57に支持される。押圧パッド56は、定着ベルト51を介して加圧ロール52から押圧される状態で配置され、加圧ロール52の方向(−y方向)に向けて定着ベルト51を内側から押圧する。これにより、定着ベルト51と加圧ロール52との間にニップ領域R1が形成される。用紙Pは、ニップ領域R1を通過するように搬送される。ニップ領域R1において押圧パッド56は、加圧ロール52の押圧によって軸O1に向かって凹むように変形しており、定着ベルト51はこの変形した押圧パッド56の形状に沿った形状となる。なお、押圧パッド56は、シリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成されていてもよい。
加熱部58は、定着ベルト51を加熱する部材である。加熱部58は本発明に係る加熱装置の一例である。加熱部58は、金属層581(第1の支持層の一例)、絶縁層582、金属層583、絶縁層584、金属層585(第2の支持層の一例)を、定着ベルト51の内周面側から軸O1に向かってこの順に重ねて備える。加熱部58は、金属層581、絶縁層582、金属層583、絶縁層584、金属層585が積層された矩形の板状の部材が、軸O1を中心とした円弧状に湾曲した形状をしている。湾曲していない状態における加熱部58の平面サイズは例えば約100mm×400mmである。加熱部58は、平面状の金属層581、絶縁層582、金属層583、絶縁層584、金属層585を積層した後に湾曲させて形成されてもよく、また、湾曲した形状の金属層581、絶縁層582、金属層583、絶縁層584、金属層585を積層することにより形成されてもよい。
金属層581は、本実施形態においては厚さが10μm〜100μmのステンレスの層である。金属層581は、温度の均一化や蓄熱体としての機能を有する。また、金属層581は、金属層583や絶縁層582、584の熱膨張によるうきやはがれを、その剛性によって防ぐ機能を有する。金属層581において絶縁層582と反対側の面、即ち、加熱部58が円弧状となったときに外側となる表面は、定着ベルト51に接触して定着ベルト51を支持する。金属層581の形状は、上記の厚みを有する円筒形状に形成された合金から、或る決められた中心角の範囲(例えば30°〜180°)に相当する部分を切り出した形状等が挙げられるが、特に制限はない。
金属層583は、絶縁層582で覆われて金属層581の内側に位置している。本実施形態においては、金属層583は、定着ベルト51の移動方向である矢印D51の方向に交差する方向(加熱部58の長手方向)へ渡って設けられている。
図3a、図3bは、図2における矢視IIIから、金属層581及び絶縁層582を透過して金属層583をみた図である。また、図3a、図3bにおいては、金属層583の構成を理解しやすくするために、加熱部58が湾曲しておらず平面形状である場合の金属層583及び絶縁層584を図示している。金属層583は、本実施形態においては厚さが10μm〜100μmのステンレスの薄板を図3a、図3bに示す形状に切り抜いたものである。なお、金属層583の素材は、発熱するものであれば他の素材であってもよい。
金属層583は、図3bに示すように、発熱部831(発熱体の一例)と、非発熱部832、833(非発熱体の一例)とを備える。発熱部831と非発熱部832、833とは、図3aに示されるように一体として形成されており、金属層583は或る程度の剛性を有する。金属層583には電極P11〜P13と、電極Qが設けられており、電極P11〜P13の各々と電極Qとの間には、図示せぬ電源が接続されている。これらの電源から電流が流れることにより発熱部831が発熱する。発熱部831の発熱により、金属層581の発熱部831に相対する領域(以下「加熱領域」という。)が加熱され、この加熱領域と接する定着ベルト51に熱が伝わることにより、定着ベルト51が加熱される。なお、非発熱部832、833においても若干の発熱が行われるが、定着ベルト51を加熱しうる程度の発熱は非発熱部832、833においては行われない。
図2の説明に戻る。絶縁層582、584は、本実施形態においてはポリイミド樹脂、絶縁蒸着膜、薄膜セラミック等の高耐熱絶縁層である。絶縁層582は金属層581の下面側に設けられ、金属層583を覆って保護する。絶縁層584は金属層585の上面側に設けられ、金属層583を覆って保護する。なお、絶縁層582、584は、ポリイミド樹脂に限定されるものではなく、耐熱性を有するものであればよく、例えば他の樹脂であってもよい。
金属層585は、本実施形態においては厚さが10μm〜100μmのステンレスの層である。金属層585は、金属層583、絶縁層582及び絶縁層584を支持し、金属層583や絶縁層582、584の熱膨張によるうきやはがれを、その剛性によって防ぐ機能を有する。金属層585の形状は、上記の厚みを有する円筒形状に形成された合金から、或る決められた中心角の範囲(例えば30°〜180°)に相当する部分を切り出した形状等が挙げられるが、特に制限はない。
図4は、加熱部58の一部を拡大して示す断面図である。金属層581、585、絶縁層582、584、及び金属層583は、加熱領域以外の領域(以下「非加熱領域」という。)の全部又は一部において、熱可塑性の接着剤586(連結部材の一例)により接着されている。すなわち、金属層581、585、絶縁層582、584、及び金属層583は、図3a,図3bに示す発熱部831が位置する領域以外の領域において接着がなされている。なお、図4に示した金属層581、絶縁層582、金属層583、絶縁層584、金属層585、およびそれらの間の接着剤586の形状は一例であって、それらの部材の剛性や粘性等により様々に変化し得る。接着剤586は、金属層581、585、絶縁層582、584、及び金属層583の対向する表面同士を接着する。すなわち、接着剤586は、金属層581と金属層585とを、金属層581と金属層585の法線方向において連結する。
ところで、従来の定着装置において、発熱部と絶縁層の熱膨張率が同等である場合や、発熱部の熱膨張率のほうが絶縁層の熱膨張率よりも大きい場合、特に発熱の開始直後のタイミングにおいて発熱部のほうが絶縁層よりも温度が高くなるため、発熱部の膨張量が絶縁層の膨張量よりも大きくなり、発熱体と絶縁層のギャップ(うき・はがれ)が発生することがあった。これは、異常高温下での経時使用によって発熱体と絶縁層の接着力が低下した場合に、より顕著に発生する。そして、発熱部と絶縁層にギャップが発生すると、発熱部で発生した熱が定着ベルトへ移動できず、定着ベルトを予め定められた温度に加熱できないことから、定着不良が発生する場合があった。
また、別の問題として、発熱体と定着ベルトが接触する側に金属板が積層されている場合、ギャップ(うき・はがれ)が発生すると、発熱体が単独加熱状態(いわゆる空焚き状態)となり、異常高温が発生し、高耐熱樹脂絶縁層の、脆化・炭化等の変化が生じる。結果、絶縁機能が低下して発熱体を流れる電流が金属層にリークし、回路上、低抵抗領域が形成され、発熱部の合成抵抗が低下し異常発熱などが発生する場合がある。
それに対し本実施形態では、金属層581と金属層585が、それらの面の法線方向において接着剤により連結されているため、金属層581と金属層585の間に挟まれた絶縁層582と絶縁層584が、それらの間に配置された金属層583に対し外側から押圧される。その結果、金属層583と絶縁層582、584のギャップ形成(うき・はがれ発生)が抑制される。
また、本実施形態では、絶縁層582と金属層583と絶縁層584の積層体を挟むように配置され、この積層体に対し接着された金属層581と金属層585が、湾曲するように変形されることにより加熱部58が形成されている。加熱部58の内側面における円周方向の距離が加熱部58の外側面における円周方向の距離よりも短いため、湾曲変形において、接着剤586により面に沿った方向へのずれが抑制されている金属層585は、面の法線方向外側に向かう力を生じ、絶縁層582と金属層583と絶縁層584の積層体を金属層581に対し押し付ける。その結果、湾曲変形を行わない場合と比較して、絶縁層582と金属層583の間、及び金属層583と絶縁層584の間の密着性が高まり、ギャップ形成が抑制される。
また、本実施形態では、接着剤586として熱可塑性接着剤が採用されている。そのため、金属層583が発熱し高温になると、その周辺の接着剤586の流動性が高まり、加熱部58を構成する層間に熱膨張率の違いによるズレが生じても、接着剤586がそのズレを許容しつつ接着状態を維持する。その後、金属層583の発熱が停止し温度が低下すると、その周辺の接着剤586は徐々に流動性を低下させながらズレを許容しつつ接着状態を維持する。そのため、例えば熱硬化性接着剤やネジ等の他の手段により加熱部58を構成する層間の連結が行われる場合と比較して、金属層583と絶縁層582、584におけるギャップ形成が抑制される。また、接着剤586と絶縁層582ないしは絶縁層584は当初より一体形成されているフィルムであってもよい。さらに、熱可塑性樹脂の上述のような効果がない場合、すなわち、熱硬化性樹脂単独で金属層581と絶縁層582等が接着している場合も、適切な応力条件と温度条件であれば本発明は実施可能となる。
2.変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を組み合わせてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその例を示す。なお、以下の各態様を組み合わせてもよい。
(1)上述の実施形態では、金属層581の非加熱領域において、金属層581、585、絶縁層582、584及び金属層583を接着したが、加熱領域と非加熱領域の両方を接着する構成としてもよい。この場合も、非加熱領域において金属層や絶縁層が接着されることにより、発熱体や絶縁層におけるギャップ形成が抑制される。また、加熱領域においても接着がなされることにより、ギャップ形成の抑制力が高まる。
(2)上述の実施形態では、発熱部831と非発熱部832、833とを有する金属層583を用いたが、例えば、非発熱部832、833を有しない金属層583B(図5参照)を用いる構成としてもよい。
(3)上述の実施形態では、湾曲した形状の加熱部58を用いたが、加熱部の形状は上述の実施形態で示したものに限られない。例えば、加熱部は、湾曲していない形状であってもよい。この場合も、非加熱領域で金属層や絶縁層を接着することにより、発熱体や絶縁層におけるギャップの発生が抑制される。
(4)上述の実施形態では、金属層や絶縁層を連結する連結部材として、熱可塑性の接着剤を用いたが、連結部材は上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、図6に示すように、非加熱領域をネジ等の固定部材587により機械的に固定してもよい。また、連結部材として、接着剤とネジ等の固定部材587とが組み合わせて用いられてもよい。
(5)定着部15を備える画像形成装置は、上述した実施形態のタンデム型に限定されるものではなく、ロータリー型など他の構成であってもよい。また、定着部15を備える画像形成装置は、複数色のトナー像を重ねて画像を形成する画像形成装置に限定されるものではなく、単一の色のトナー像を形成する画像形成装置であってもよい。
1…画像形成装置、11…制御部、12…記憶部、13Y,13M,13C,13K…現像部、14…転写部、15…定着部、17…操作部、31…感光体ドラム、32…帯電器、33…露光装置、34…現像器、35…一次転写ロール、36…ドラムクリーナ、41…中間転写ベルト、42…二次転写ロール、43…ベルト搬送ロール、44…バックアップロール、49…ベルトクリーナ、51…定着ベルト、58…加熱部、581…金属層、582…絶縁層、583…金属層、584…絶縁層、585…金属層、586…接着剤。
Claims (6)
- 発熱体と、
前記発熱体を挟むように配置された第1の絶縁層及び第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層、前記発熱体、及び前記第2の絶縁層を挟むように配置された、前記第1の絶縁層に接する第1の支持層及び前記第2の絶縁層に接する第2の支持層と、
前記第1の支持層と前記第2の支持層の層間を法線方向において連結する連結部材と
を備え、
前記連結部材は、前記第1の支持層と前記第2の支持層とを、前記第1の支持層と前記第2の支持層の法線方向に前記発熱体が存在しない領域であって、前記発熱体の幅方向両側の領域において前記法線方向に連結する一方で、前記第1の支持層と前記第2の支持層の法線方向に前記発熱体が存在する領域においては前記法線方向に連結しないことを特徴とする、加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトを加熱する加熱装置。 - 前記第1の絶縁層、前記第1の支持層、前記発熱体、前記第2の絶縁層、及び前記第2の支持層を含む積層体が、前記第1の支持層と前記第2の支持層との前記法線方向の連結が行われた状態で湾曲されている
請求項1に記載の加熱装置。 - 前記連結部材は、前記第1の絶縁層、前記第1の支持層、前記発熱体、前記第2の絶縁層、及び前記第2の支持層のうちの互いに隣接する2つを接着する熱可塑性の接着剤を有する
請求項1又は2に記載の加熱装置。 - 前記発熱体に連続する非発熱体を有し、
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層は前記非発熱体を挟むように配置され、
前記連結部材は、前記非発熱体を前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層に連結する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加熱装置。 - 加熱により媒体に定着される未定着の画像が形成された媒体を搬送するベルトと、
前記第1の支持層が前記ベルトに接するように配置された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加熱装置と
を備える定着装置。 - 加熱により媒体に定着される未定着の画像を媒体に形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により未定着の画像が形成された媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送されてくる媒体に未定着の画像を定着させる請求項5に記載の定着装置と
を備える画像形成装置。
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