JP2017142471A - 加熱体、その加熱体の製造方法、及びその加熱体を有する像加熱装置 - Google Patents

加熱体、その加熱体の製造方法、及びその加熱体を有する像加熱装置 Download PDF

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Hiroyuki Sakakibara
啓之 榊原
村田 直史
Tadashi Murata
直史 村田
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Abstract

【課題】クイックスタート性に優れる加熱体、その加熱体の製造方法、及びその加熱体を有する像加熱装置を提供する。【解決手段】外周面に絶縁層18cを有するアルミニウム製の基板18aの前記絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体18bと、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する定着装置(定着器)に用いれば好適な加熱体、その加熱体の製造方法、及びその加熱体を有する像加熱装置に関する。
電子写真式の複写機やプリンタに搭載する定着装置として、フィルム加熱方式のものが知られている。特許文献1には、このタイプの定着装置が記載されている。この定着装置は、筒状のフィルムと、基板に発熱抵抗体が設けられフィルム内面に摺擦してフィルムを加熱するヒータと、ヒータとフィルムを介してニップ部を形成する加圧ローラと、を有する。未定着トナー画像を担持する記録材はニップ部で搬送されつつ加熱され、これによって記録材上のトナー画像は記録材に定着される。
このタイプの定着装置は、ヒータへの通電を開始し定着可能温度まで昇温する時間が短いというメリットを有する。従って、この定着装置を搭載するプリンタは、プリント指令の入力後、1枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT:First Print Out Time)を短くできる。またこのタイプの定着装置は、プリント指令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもある。
特開平4−44075号公報
ところで、フィルムを用いた定着装置を搭載するプリンタで小サイズの記録材を大サイズの記録材と同じプリント間隔で連続プリントすると、ヒータの記録材が通過しない領域(非通紙部)が過度に昇温(非通紙部昇温)することが知られている。ヒータの非通紙領域が過昇温すると、ヒータを保持するホルダや加圧ローラが熱により損傷する場合がある。
そこで、フィルムを用いた定着装置を搭載するプリンタは、小サイズの記録材に連続プリントする場合、大サイズの記録材に連続プリントする場合よりもプリント間隔を広げる制御を行いヒータの非通紙領域の過昇温を抑えている。
しかしながら、プリント間隔を広げる制御は単位時間当りの出力枚数を減らすものであり、小サイズの記録材の単位時間当りの出力枚数を大サイズの記録材の場合と同等以上に抑えることが望まれる。
本発明の目的は、クイックスタート性に優れる加熱体、その加熱体の製造方法、及びその加熱体を有する像加熱装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係る加熱体は、
外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板の前記絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る加熱体は、
外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板の前記絶縁層の上に、前記絶縁層とは異なる第2の絶縁層を有し、前記第2の絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体)と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする。
本発明に係る加熱体の製造方法は、
アルミニウム製の基板の外周面に陽極酸化処理にて酸化被膜絶縁層を設ける工程と、
前記酸化被膜絶縁層の上に通電により発熱する発熱抵抗体を設ける工程と、
前記酸化被膜絶縁層の上に前記発熱抵抗体に給電するための導電部を設ける工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明に係る加熱体の製造方法は、
アルミニウム製の基板の外周面に陽極酸化処理にて酸化被膜絶縁層を設ける工程と、
前記酸化被膜絶縁層の上に前記酸化被膜絶縁層とは異なる第2の絶縁層を設ける工程と、
前記第2の絶縁層の上に通電により発熱する発熱抵抗体を設ける工程と、
前記第2の絶縁層の上に前記発熱抵抗体に給電するための導電部を設ける工程と、
を有することを特徴とする。
本発明に係る像加熱装置は、
筒状の回転体と、前記回転体の内面に接触する加熱体と、前記回転体を介して前記加熱体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
前記加熱体は、外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板を有し、前記絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る像加熱装置は、
筒状の回転体と、前記回転体の内面に接触する加熱体と、前記回転体を介して前記加熱体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
前記加熱体は、外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板を有し、前記絶縁層の上に前記絶縁層とは異なる第2の第2の絶縁層を有し、前記第2の絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、クイックスタート性に優れる加熱体、その加熱体の製造方法、及びその加熱体を有する像加熱装置の提供を実現できる。
定着装置の断面図 定着装置を記録材の搬送方向から見たときの図 図1に示すヒータをホルダ側から見たときの平面図 ヒータの基板に設けられる酸化被膜絶縁層を説明するための図 実施形態に係るヒータの断面図 第2の絶縁層のガラス膜厚及び絶縁層の膜厚と絶縁耐圧の関係を記したグラフ ヒータのフィルムに対する配置態様を説明するための図 ヒータのフィルムに対する配置態様を示す図 ヒータのフィルムに対する配置態様を示す図 ヒータのフィルムに対する配置態様を示す図 比較例のヒータの断面図 画像形成装置の断面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の好適な実施形態は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は以下の実施形態により限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において他の構成に置き換えることは可能である。
(1)画像形成装置
図10を参照して、本発明に係る像加熱装置を定着装置として搭載する画像形成装置を説明する。図10は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(本実施例ではモノクロプリンタ)100の一例の概略構成を表わす断面図である。
画像形成装置100において、記録材Pにトナー画像を形成する画像形成部101は、像担持体としての感光ドラム1と、帯電部材2と、レーザスキャナ3と、を有する。更に画像形成部101は、現像器4と、感光ドラム1の外周面(表面)をクリーニングするクリーナ6と、転写部材5と、を有する。感光ドラム1と、帯電部材2と、現像器4と、クリーナ6は、画像形成装置本体104に取り外し可能に装着されるカートリッジ103として一体的に構成されている。以上の画像形成部101の動作は周知であるので詳細な説明は割愛する。
画像形成装置本体104内のカセット105に収納された記録材Pは、ローラ106の回転によって1枚ずつ繰り出される。そしてこの記録材Pはローラ107の回転によって感光ドラム1と転写部材5とで形成された転写部に搬送される。転写部でトナー画像が転写された記録材Pは像加熱装置としての定着装置(定着部)102に送られ、トナー画像は定着装置で記録材に加熱定着される。定着装置102を出た記録材Pはローラ108の回転によってトレイ109に排出される。
(2)定着装置(像加熱装置)102
定着装置102はフィルム加熱方式の装置である。図1は定着装置102の断面図である。図2は定着装置102を記録材Pの搬送方向(以下、X軸方向と称する)から見たときの図である。図3は図1に示すヒータ18をホルダ17側から見たときの平面図である。
定着装置102は、筒状のフィルム(筒状の回転体)19と、フィルムの内周面(内面)に接触するヒータ(加熱体)18と、を有する。更に定着装置102は、加圧ローラ(加圧部材)20と、ホルダ(保持部材)17と、フランジ(規制部材)14と、を有する。
X軸方向に直交するフィルム19の母線方向(以下、Y軸方向と称する)について、ホルダ17はフィルム19の中空部に挿通されている。ホルダ17のフィルム19側の平坦面にはヒータ18を保持させている。ここで、ホルダ17に保持されたヒータ18は、X軸方向とY軸方向の双方に直交するZ軸方向でフィルム19を介して加圧ローラ20と対向している。ホルダ17は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイト)や液晶ポリマー等の耐熱性樹脂の成形品で出来ている。
ヒータ18は、Y軸方向に沿って配置されたアルミニウム製の細長い基板18aを有する。基板18aはフィルム19の周方向における外周面に絶縁層18cを有する。図1、図3に示すように、絶縁層18cの上には、通電により発熱する発熱抵抗体18bがY軸方向に沿って設けてある。更に絶縁層18cの上には、発熱抵抗体18bに給電するための導電部18hがY軸方向に沿って設けてある。ここで、導電部18hは、給電用電極18eと、この給電用電極と発熱抵抗体18bとを接続する導電パターン18fと、を有する。ヒータ18の構成については(3)項で詳しく説明する。
フィルム19の厚みは、良好な熱伝導性を確保するため20μm以上80μm以下程度が好ましい。
フィルム19は、PTFE・PFA・PPS等の材質の単層フィルム、あるいはPI・PAI・PEEK・PES等の材質のベースフィルムの表面にPTFE・PFA・FEP等を離型層としてコーティングした複合層フィルムが好適である。ここで、PTFEはポリテトラフルオロエチレン、PFAはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルである。PIはポリイミド、PAIはポリアミドイミド、PEEKはポリエーテルエーテルケトン、PESはポリエーテルスルホンである。
また、高熱伝導性を有するSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の純金属、合金等をベースフィルム層に用い、離型層に前述のコーティング処理、フッ素樹脂チューブの被覆を行ったものも好適である。
Y軸方向について、フィルム19の両端部に装着された耐熱樹脂製のフランジ14は定着装置102の左右のフレーム(不図示)に保持されている。各フランジ14は、フィルム19の中空部に挿入された保持部(不図示)でフィルムの内面を保持している。また各フランジ14は、フランジのフィルム19側に設けられた規制面14aに回転運動時のフィルムの端部が当接することでフィルムのY軸方向への寄り移動を規制する。
Z軸方向について、フィルム19を介在させてヒータ18と対向配置される加圧ローラ20は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金20aを有する。更にその芯金20aの外周面上にシリコーンゴム等の材質の弾性層20bを有し、その弾性層の外周面上にPFA等の材質の離型層20cを有する。
図2に示すように、Y軸方向について、加圧ローラ20の芯金20aの両端部は上記の左右のフレームに軸受け13を介して回転自在に保持されている。そして、各フランジ14と左右のフレーム側のバネ受け部材(不図示)との間に、それぞれ、加圧バネ15をZ軸方向に縮設することで各フランジを介してホルダ17に所定の押圧力を作用させている。
ホルダ17に押圧力を与えると、ヒータ18がフィルム19の内周面を押圧してフィルムを加圧ローラ20に圧接する。これにより加圧ローラ20はフィルム19を介してヒータ18と共に所定幅のニップ部N(図1参照)を形成する。
定着装置102の加熱定着処理動作を図1乃至図3を参照しながら説明する。
加圧ローラ20は駆動源であるモータMの駆動により矢印bにて示す方向に回転駆動される。この加圧ローラ20の回転に追従してフィルム19はフィルムの内周面(内面)がヒータ18及びホルダ17に摺動しながら矢印aにて示す方向へ回転する。
電源(不図示)からコネクタ12a,12bを通じてヒータ18の給電用電極18eに給電され、この給電用電極から導電パターン18fを通じて発熱抵抗体18bに通電される。これにより発熱抵抗体18bが発熱してヒータ18は急速に昇温する。
ヒータ18の温度はヒータの発熱抵抗体18bとは反対側で絶縁層18cのY軸方向中央に設けられた温度検知素子(不図示)によって検出される。温度制御部(不図示)は温度検知素子によって検出された温度を基に、発熱抵抗体18bに印加される電圧のデューティー比や波数等を制御することで、ニップ部N内での温調温度を略一定の定着温度(目標温度)に保つ。
未定着のトナー画像Tを担持した記録材Pはニップ部Nで挟持搬送されつつ加熱され、これによってトナー画像は記録材Pに定着される。
(3)ヒータ(加熱体)18
次に、ヒータ18を構成する材料、製造方法等について図3乃至図8を用いて説明する。
ここで、図4はヒータ18の基板18aに設けられる酸化被膜絶縁層18cを説明するための図である。図4の(a)はフィルム19の周方向におけるヒータ18の基板18aの外周面全域に酸化被膜絶縁層18cを設けた場合の図3に示すA−A線断面図である。(b)はフィルム19の周方向におけるヒータ18の基板18aの発熱抵抗体18bの配置面全域と発熱抵抗体18bの配置面とは反対側の非配置面全域に酸化被膜絶縁層18cを設けた場合の図3に示すA−A線断面図である。
図5は本実施例形態に係るヒータ18の図3に示すA−A線断面図である。図5の(a)はヒータ18の基板18aと、酸化被膜絶縁層18cと、第2の絶縁層18−d1,18−d2と、保護層18gを示す図3のA−A線断面図である。(b)はヒータ18の基板18aと、酸化被膜絶縁層18cと、保護層18gを示す図3のA−A線断面図である。
図6は第2の絶縁層18−d1,18−d2のガラス膜厚及び酸化被膜絶縁層18cの膜厚と絶縁耐圧を説明するためのグラフである。図7、図8−1乃至図8−3はヒータ18のフィルム19に対する配置態様を示す図である。
(3−1)基板18a
基板18aの材質はアルミニウム及びアルミニウム合金(以後アルミニウム及びアルミニウム合金をアルミニウム材と称する)からなる。アルミニウム材の種類としては特に限定されず、必要な熱伝導率、機械的強度、(3−2)項で述べる陽極酸化処理による酸化被膜絶縁層18cの形成具合、市場における板材の入手のし易さ等を考慮して適宜選べば良い。しかしながら、アルミニウム材の熱伝導率は非通紙部昇温の抑制、つまり小サイズ生産性には重要な物性値であるため注意が必要である。
一例を挙げると、アルミニウム合金の1000系(99%以上がアルミニウムの純Al系)は熱伝導率(以後λと表記する)が220〜230w/(m・k)、2000系(Al−Cu−Mg系)はλが110〜190w/(m・k)というように異なる。また3000系(Al−Mn系)はλが150〜190w/(m・k)、4000系(Al−Si系)はλが140〜160w/(m・k)というように異なる。また5000系(Al−Mg系)はλが110〜200w/(m・k)、6000系(Al−Mg−Si系)はλが150〜210w/(m・k)というように異なる。
上述したように、アルミニウム材はいずれも高い熱伝導率を有している。金属としては熱伝導率の低い鋼、ステンレス鋼、セラミックヒータの基板として広く用いられているアルミナ(Al)に比べて放熱性に優れるため、従来の課題であった非通紙部昇温の抑制には適している。
基板18aの厚みは、強度や熱容量、放熱性能を考慮して決めれば良い。基板18aの厚みが薄い場合は、熱容量が小さいためクイックスタートには有利だが、薄すぎると(3−4)項で述べる発熱抵抗体18bの加熱成型時の歪み等の問題が生じたり、図3に示すY軸方向の放熱性能が低くなる。逆に基板18aの厚みが厚い場合は、発熱抵抗体18bの加熱成型時の歪み等の面では有利であり、図3に示すY軸方向の放熱性能も良くなるが、厚すぎると熱容量が大きいためクイックスタートには不利となる。
基板18aの好ましい厚みは量産性やコスト、性能のバランスを考慮した場合0.3mm〜2.0mmである。
(3−2)酸化被膜絶縁層18c
図4に示すように、前記アルミニウム材の基板18aに陽極酸化処理を施すことによって基板18a表面に酸化被膜絶縁層18cが形成される。陽極酸化処理とは基板18aであるアルミニウム材を陽極(+極)として電解処理し、人工的に酸化被膜(アルミニウムの酸化物)を生成させる表面処理のことである。硫酸をベースにした「硫酸浴」とシュウ酸をベースにした「シュウ酸浴」の2種類が主に使用される。形成される被膜は、どちらも酸化アルミニウムであるが、シュウ酸の方が一般的には硬度も高く、耐摩耗性に優れる傾向がある。
陽極酸化処理後の被膜は孔を無数に持つ多孔質被膜であり、その孔を塞ぐ処理(封孔処理)として、蒸気法、純水沸騰水法、酢酸ニッケル法、重クロム酸法、けい酸ナトリウム法などがあり、絶縁耐圧性能を向上させるために封孔処理をすることが好ましい。
形成される酸化被膜絶縁層18cの厚みは10μmから60μm程度にするのが絶縁性能と製造面で好ましい。酸化被膜絶縁層18cの厚みが薄いと一般的に絶縁耐圧性能は低くなる傾向にあるが、酸化被膜絶縁層18cが撓んだ際のクラックには強くなる。逆に厚いと絶縁耐圧性能は高くなる傾向があるが、酸化被膜絶縁層18cが撓んだ際のクラックには弱くなる。ヒータ18にかかる撓み等を加味し、クラックの発生有無と絶縁耐圧性能を考慮して、必要な酸化被膜絶縁層18cの厚みを適宜決めれば良い。
酸化被膜絶縁層18cは図4(a)に示すようにアルミニウム材基板18aの全周に渡り設けても良いし、図4(b)に示すように発熱抵抗体18bの配置面側、及び発熱抵抗体18bの配置面とは反対側の面だけに設けても良い。図4(a)は絶縁耐圧性能には優れるが、アルミニウム材基板18aを予め所望のサイズにカットし、1本ずつ陽極酸化処理を行う必要がある。図4(b)は大サイズのアルミニウム材基板18aを陽極酸化処理してから必要なサイズにカットするため、コスト面と絶縁耐圧性能面での両立が図れる。
また、アルミニウム材基板18aの上の酸化被膜絶縁層18cの厚みの測定は、市販の渦電流式膜厚計で測定することが出来る。
(3−3)第2の絶縁層18d−1及び18d−2
図5(a)に示すように、陽極酸化処理によってアルミニウム材基板18a表層に酸化被膜絶縁層18cを形成した上に、酸化被膜絶縁層とは異なる第2の絶縁層18d−1及び18d−2を設けても良く、どちらか一方だけでも良いし、両側に設けても良い。以後、第2の絶縁層18d−1はその上に発熱抵抗体18bが形成される側の絶縁層と定義する。
第2の絶縁層18d−1及び18d−2の材質は特に限定はされないが、アルミニウム材基板18aの融点より低い温度で軟化溶融する材質を選択し、実使用上の温度を鑑みて耐熱性のある材料を選択する必要がある。
第2の絶縁層18d−1及び18d−2の材質としてはガラスやPI(ポリイミド)が耐熱性の観点で好ましく、ガラスの場合の具体的粉末材料の選定は、本発明の特性を損なわない範囲で適宜選択されれば良い。必要に応じて絶縁性を有する熱伝導フィラーなどを混合させても良い。
第2の絶縁層18d−1と18d−2は同じ材質を用いても、異なる材質を用いても何ら問題はない。厚みに関しても同様に第2の絶縁層18d−1と18d−2で同じにしても良いし、必要に応じて変更しても問題ない。上述の酸化被膜絶縁層18cの厚みが薄くて絶縁耐圧性能が十分に取れない場合や、更に絶縁耐圧性能を高めたい場合等に第2の絶縁層18d−1及び18d−2を設ければ良い。
ここで、絶縁層18d−1と18d−2がガラスのときの膜厚、酸化被膜絶縁層(封孔処理有り)の膜厚、及びこれらの各膜厚と絶縁耐圧の関係を記したグラフを図6に示す。
一般的に、画像形成装置に用いるヒータ18としては絶縁耐圧を1.5KV有するのが好ましい。従って発熱抵抗体18bと基板18a間で絶縁耐圧性能1.5KVを得るには、酸化被膜絶縁層18cとガラスやPI(ポリイミド)等の、酸化被膜絶縁層とは異なる第2の絶縁層18d−1の合計膜厚を35μm以上確保すれば良い。
第2の絶縁層18d−1と18d−2の成型方法としては特に限定されないが、スクリーン印刷法等で平滑に成形することが出来る。
図5(a)のようにアルミニウム材基板18a上に形成された陽極酸化処理による酸化被膜絶縁層18cの上に絶縁層を形成するのではなく、アルミニウム材基板に直接、ガラスやPI(ポリイミド)の絶縁層を形成する場合は次のような問題が生ずる。材料間の熱膨張係数差により絶縁層にクラックが入ったり、剥がれてしまうことがある。
そこで、前述した陽極酸化処理による酸化被膜絶縁層18cが介在することで、第2の絶縁層18d−1及び18d−2のクラックやアルミニウム基板18aとの剥離を抑制することが出来る。これはアルミニウム材基板18a上に形成された酸化被膜絶縁層18cが基板18aの熱膨張係数を下げる効果が働いたと推測できる。
(3−4)発熱抵抗体18b
発熱抵抗体18bは、(A)導電成分、(B)ガラス成分、(C)有機結着成分を混合した発熱抵抗ペーストを陽極酸化処理による酸化被膜絶縁層18c上、或いは第2の絶縁層18d−1上に印刷した後、焼成したものである。発熱抵抗ペーストを焼成すると(C)の有機結着成分が焼失し(A)、(B)成分が残るため、導電成分とガラス成分とを含有する発熱抵抗体18bが形成される。ここで、(A)の導電成分としては、酸化ルテニウム(RuO)、銀・パラジウム(Ag・Pd)等の単独もしくは複合で用いられ、0.1Ω/□〜100KΩ/□のシート抵抗値とするのが好適である。
また、上記(A)〜(C)以外においても本発明に係る加熱体(ヒータ18)の特性を損なわない程度の微量であれば他の材料が発熱抵抗体18bに含まれる事は問題無い。
(3−5)給電用電極18e、及び導電パターン18f
図3に示す給電用電極18eと導電パターン18fは、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)や銀・白金(Ag・Pt)合金、銀・パラジウム(Ag・Pd)合金などを主体としたものである。発熱抵抗ペーストと同様に(A)導電成分、(B)ガラス成分、(C)有機結着成分を混合したペーストを陽極酸化処理による酸化被膜絶縁層18c上、或いは第2の絶縁層18d−1上に印刷した後、焼成したものである。
給電用電極18eと導電パターン18fは発熱抵抗体18bに給電する目的で設けられており、抵抗は発熱抵抗体に対して十分低くしている。ここで、前述の発熱抵抗ペースト及び給電用電極及び導電パターンペーストは、共に、アルミニウム材基板18aの融点より低い温度で軟化溶融する材質を選択し、実使用上の温度を鑑みて耐熱性のある材料を選択する必要がある。
また、図5(a)のように酸化被膜絶縁層18cの上に第2の絶縁層18d−1を形成する場合は、アルミニウム材基板18aの融点と第2の絶縁層より低い温度で軟化溶融する材質を選択し、実使用上の温度を鑑みて耐熱性のある材料を選択する必要がある。前述したペースト材は(A)導電成分の粒径や(B)ガラス成分の調整によって低融点化が可能であり、溶融温度400℃〜600℃のものを市場で手に入れることができる。
(3−6)保護層18g
図5(a)、図5(b)に示す保護層18gは、発熱抵抗体18b、及び導電パターン18f(不図示)を保護するための保護層である。図7のように発熱抵抗体18bをヒータ18のフィルム19と摺動する側に配置した場合は、保護層18gは発熱抵抗体18bとフィルム19との電気的な絶縁性を確保すること、及びヒータ18とフィルム19との摺動性を確保するための保護層として設ける。保護層18gの材質としてはガラスやPI(ポリイミド)が耐熱性の観点で好ましく、必要に応じて絶縁性を有する熱伝導フィラーなどを混合させても良い。
図7のように発熱抵抗体18bを配置し、保護層18gの材質としてガラスを用いて、発熱抵抗体18bとフィルム19間の絶縁耐圧性能1.5KVを得るには、一例としてのガラスであれば35μm以上の厚みを設ければ良い。
(3−7)ヒータ18の製造方法
(3−7−1)酸化被膜絶縁層18cを有するヒータ18について
1)このヒータ18の製造方法は、
・アルミニウム製の基板18aの外周面に陽極酸化処理にて酸化被膜絶縁層18cを設ける工程と、
・前記酸化被膜絶縁層の上に通電により発熱する発熱抵抗体18bを設ける工程と、
・前記酸化被膜絶縁層の上に前記発熱抵抗体に給電するための導電部18hを設ける工程と、
を有することを特徴とする。
2)上記1)のヒータ18の製造方法において、
・前記酸化被膜絶縁層18cを設ける工程と前記発熱抵抗体18bを設ける工程との間に、前記酸化被膜絶縁層18cを封孔処理する工程を有することを特徴とする。
3)上記1)又は2)のヒータ18の製造方法において、
・前記導電部18hを設ける工程の後に、前記発熱抵抗体の上に前記発熱抵抗体を保護するための保護層18gを設ける工程を有することを特徴とする。
(3−7−2)酸化被膜絶縁層18c、及び第2の絶縁層18d−1,18d−2を有するヒータ18について
1)このヒータ18の製造方法は、
・アルミニウム製の基板18aの外周面に陽極酸化処理にて酸化被膜絶縁層18cを設ける工程と、
・前記酸化被膜絶縁層18cの上に前記酸化被膜絶縁層とは異なる第2の絶縁層18d−1,18−2を設ける工程と、
・前記第2の絶縁層の上に通電により発熱する発熱抵抗体18bを設ける工程と、
・前記第2の絶縁層の上に前記発熱抵抗体に給電するための導電部18hを設ける工程と、
を有することを特徴とする。
2)上記1)のヒータ18の製造方法において、
・前記酸化被膜絶縁層18cを設ける工程と前記第2の絶縁層18d−1,18−2を設ける工程との間に、前記酸化被膜絶縁層18cを封孔処理する工程を有することを特徴とする。
3)上記1)又は2)のヒータ18の製造方法において、
・前記導電部18hを設ける工程の後に、前記発熱抵抗体の上に前記発熱抵抗体を保護するための保護層を設ける工程を有することを特徴とする。
これまで述べてきたように、第2の絶縁層18d−1,18d−2と、保護層18gは必要に応じて設ければ良い。発熱抵抗体18bを設ける位置をヒータ18のフィルム19と摺動する側(フィルム側)とするかフィルムと摺動しない側(反フィルム側)とするかでヒータの種類は以下の表1及び図8−1、図8−2、図8−3(No1)〜(No12)のように分けられる。なお、表1では発熱抵抗体18bを発熱体18bと表記している。
[実施例1]
まず本実施例1では基板18aとして幅100mm・長さ300mm・厚さ0.6mmの純アルミニウム系基板(JISアルミニウム合金番号A1050:99.5%以上がアルミニウム、熱伝導率230w/(m・k))を準備した。
次に前述のアルミニウム材基板にシュウ酸をベースにした「シュウ酸浴」の陽極酸化処理を施し、40μm厚みの酸化被膜絶縁層18cを形成し、その後酢酸ニッケル法にて封孔処理を行った。その後幅10mm・長さ260mm・厚さ0.6mmのサイズにアルミニウム材基板をカットし、酸化被膜絶縁層形成済みアルミニウム材基板(以後アルミニウム材基板Aと称す)を得た。
その後、銀・パラジウム(Ag・Pd)を導電成分とし、その他ガラス成分、有機結着成分を混合した450℃軟化溶融タイプ発熱抵抗体ペースト(以後発熱抵抗体ペーストAと称す)を用意する。次に、銀を導電成分とし、その他ガラス成分、有機結着成分を混合した450℃軟化溶融タイプ給電用電極及び導電パターン用のペースト(以後給電用電極及び導電パターンペーストAと称す)を用意する。そして、アルミニウム材基板Aにスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥及び450℃の焼成を経て、発熱抵抗体18bと給電用電極18e及び導電パターン18fを形成した。
ここで、発熱抵抗体18bと給電用電極18e及び導電パターン18fはヒータ18のフィルム19と摺動しない側に配置してある。焼成後の発熱抵抗体18bの厚みは15μm、長さは220mm、幅は3mmとした。また本実施例1のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−1のNo1とした。
[実施例2]
ガラス成分、有機結着成分を混合した400℃軟化溶融タイプの保護層ガラスペースト(以後保護層ガラスペーストAと称す)を準備する。そして、実施例1のヒータ18にて、発熱抵抗体18b及び導電パターン18f上に保護層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥及び400℃の焼成を経て、保護層18gを形成した。
焼成後の保護層18gの厚みは50μmとした。また本実施例2のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−1のNo2とした。
[実施例3]
アルミホーロー用のガラス粉末(日本フリット株式会社VQ0028M5)をペースト化した520℃軟化溶融タイプの絶縁層ガラスペースト(以後絶縁層ガラスペーストAと称す)をアルミニウム材基板Aにスクリーン印刷にて塗工する。しかる後に、180℃の乾燥及び520℃の焼成を経て第2の絶縁層18d−2を形成した。焼成後の第2の絶縁層18d−2の厚みは10μmでアルミニウム材基板Aのほぼ片側全面に形成した。
その後、絶縁層18d−2とは反対側の面に、実施例1に記載したものと同じ発熱抵抗体18b及び給電用電極18e、導電パターン18fを同様の条件にて形成した。また本実施例3のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−1のNo3とした。
[実施例4]
実施例3のヒータ18にて、発熱抵抗体18b上に実施例2と同様にガラスの保護層18gを形成した。また本実施例4のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−1のNo4とした。
[実施例5]
アルミニウム材基板Aに、絶縁層18d−1として絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥及び520℃の焼成を経て第2の絶縁層18d−1を形成した。焼成後の第2の絶縁層18d−1の厚みは10μmでアルミニウム材基板Aのほぼ片側全面に形成した。
その後、第2の絶縁層18d−1上に、実施例1に記載したものと同じ発熱抵抗体18b及び給電用電極18e、導電パターン18fを同様の条件にて形成した。また本実施例5のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−2のNo5とした。
[実施例6]
実施例5のヒータ18にて、発熱抵抗体18b及び導電パターン18f上に、実施例2と同様にガラスの保護層18gを形成した。また本実施例6のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−2のNo6とした。
[実施例7]
アルミニウム材基板Aに、第2の絶縁層18d−1として絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥を行った。次にアルミニウム材基板Aの第2の絶縁層18d−1とは反対側の面に絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥及び520℃の焼成を経て第2の絶縁層18d−1及び18d−2を形成した。焼成後の第2の絶縁層18d−1及び18d−2の厚みは共に10μmで、それぞれアルミニウム材基板Aのほぼ全面に形成した。
その後、第2の絶縁層18d−1の上に実施例1に記載したものと同じ発熱抵抗体18b及び給電用電極18e、導電パターン18fを同様の条件にて形成した。また本実施例7のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−2のNo7とした。
[実施例8]
実施例7のヒータ18にて、発熱抵抗体18b及び導電パターン18f上に、実施例2と同様にガラスの保護層18gを形成した。また本実施例8のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−2のNo8とした。
[実施例9]
実施例2で作成したヒータ18を定着装置102に実装する際に、発熱抵抗体18bをヒータ18のフィルム19と摺動する側に配置した。また本実施例9のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−3のNo9とした。
[実施例10]
実施例4で作成したヒータ18を定着装置102に実装する際に、発熱抵抗体18bをヒータ18のフィルム19と摺動する側に配置した。また本実施例10のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−3のNo10とした。
[実施例11]
実施例6で作成したヒータ18を定着装置102に実装する際に、発熱抵抗体18bをヒータ18のフィルム19と摺動する側に配置した。また本実施例11のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−3のNo11とした。
[実施例12]
実施例8で作成したヒータ18を定着装置102に実装する際に、発熱抵抗体18bをヒータ18のフィルム19と摺動する側に配置した。また本実施例12のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−3のNo12とした。
[実施例13]
実施例1と同様の寸法の純アルミニウム系基板を準備し、前述のアルミニウム材基板にシュウ酸をベースにした「シュウ酸浴」の陽極酸化処理を施し、10μm厚みの酸化被膜絶縁層18cを形成し、酢酸ニッケル法にて封孔処理を行った。その後、幅10mm・長さ260mm・厚さ0.6mmのサイズにアルミニウム材基板をカットし、酸化被膜絶縁層形成済みアルミニウム基板(以後アルミニウム材基板Bと称す)を得た。
アルミニウム材基板Bに、第2の絶縁層18d−1として絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥を行った。次にアルミニウム材基板Bの第2の絶縁層18d−1とは反対側の面に絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥及び520℃の焼成を経て2の絶縁層18d−2を形成した。焼成後の第2の絶縁層18d−1の厚みは30μm、第2の絶縁層18d−2の厚みは10μmで、それぞれアルミニウム材基板Bのほぼ全面に形成した。
その後、第2の絶縁層18d−1の上に実施例1に記載したものと同じ発熱抵抗体18b及び給電用電極18e、導電パターン18fを同様の条件にて形成した。その後更に、発熱抵抗体18b及び導電パターン18f上に、ガラスペーストAを用いて焼成後の厚みが50μmの保護層18gを形成した。また本実施例13のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−3のNo12とした。
[実施例14]
まず本実施例では基板18aとして幅100mm・長さ300mm・厚さ1.0mmの純アルミニウム系基板(JISアルミニウム合金番号A1050:99.5%以上がアルミニウム、熱伝導率230w/(m・k))を準備した。
次に前述のアルミニウム材基板18aにシュウ酸をベースにした「シュウ酸浴」の陽極酸化処理を施し、40μm厚みの酸化被膜絶縁層18cを形成し、その後酢酸ニッケル法にて封孔処理を行った。その後、幅10mm・長さ260mm・厚さ1.0mmのサイズにアルミニウム材基板18aをカットし、酸化被膜絶縁層形成済みアルミニウム材基板(以後アルミニウム材基板Cと称す)を得た。
アルミニウム材基板Cに、第2の絶縁層18d−1として絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥を行った。次に第2の絶縁層18d−1とは反対側の面に絶縁層ガラスペーストAをスクリーン印刷にて塗工後、180℃の乾燥及び520℃の焼成を経て第2の絶縁層18d−2を形成した。焼成後の第2の絶縁層18d−1の厚みは10μm、第2の絶縁層18d−2の厚みは10μmで、それぞれアルミニウム材基板Cのほぼ全面に形成した。
その後、第2の絶縁層18d−1の上に実施例1に記載したものと同じ発熱抵抗体18b及び給電用電極18e、導電パターン18fを同様の条件にて形成した。その後更に、発熱抵抗体18b及び導電パターン18f上に、ガラスペーストAを用いて焼成後の厚みが50μmの保護層18gを形成した。また本実施例14のヒータ18及び定着装置102での使用タイプとしては表1及び図8−3のNo12とした。
[比較例1]
本比較例のヒータ18Aの断面図を図9に示す。まず基板18hとして幅10mm・長さ260mm・厚さ0.6mmのセラミックス材であるアルミナ基板(Al)を準備した。その後発熱抵抗体ペーストAと電極及び導電パターンペーストAを用いて、実施例1と同様に前記アルミナ基板上に発熱抵抗体18bと給電用電極18e(不図示)及び導電パターン18f(不図示)を形成した。その後更に発熱抵抗体18b及び導電パターン18f(不図示)上に、ガラスペーストAを用いて焼成後の厚みが50μmの保護層18gを形成した。
ここで、実施例1から実施例14、及び比較例1の加熱体における発熱抵抗体18bの抵抗値は全て11Ωで作成した。
<評価>
実施例1〜14、比較例1のヒータ18Aをそれぞれ個別に定着装置102に搭載し、その定着装置102をSATERA LBP6710i(商品名、キヤノン株式会社製)に設置して、以下のように、小サイズ生産性の評価、定着装置レディタイムの評価を行った。
<評価1:小サイズ生産性の評価方法>
各実施例及び比較例で示したヒータ18,18Aを上記定着装置102に搭載した。プロセススピードは236mm/sec、入力電圧値は120Vとした。B5サイズのキヤノン環境用評価紙CS−680を、印刷面の短辺が記録材の搬送方向となる向きで、連続して毎分40枚のスピードで供給し、加圧ローラ20が220℃に達するまでの通紙枚数を記録した。ここで、評価紙CS−680はキヤノンマーケティングジャパン社製;坪量:68g/mである。
<評価2:定着装置レディタイムの評価方法>
各実施例及び比較例で示したヒータ18,18Aを上記定着装置102に搭載した。プロセススピードは236mm/sec、入力電圧値は120Vとし、定着装置102がコールド状態から回転駆動開始と同時に加熱体を加熱し、定着装置のフィルム温度が195℃に到達するまでの時間を計測した。評価は、室温23℃、相対湿度15%で行った。
<結果>
小サイズ生産性の評価(評価1)、定着装置レディタイムの評価(評価2)の結果を表2に示した。なお、表2でも発熱抵抗体18bを発熱体18bと表記している。
実施例1から実施例13において、定着装置レディタイム(クイックスタート性)を同等以下にしつつ、小サイズ生産性を増すことが可能となるヒータ18及びそのヒータを有する定着装置を提供することができた。
実施例14に示すとおり、アルミニウム材基板の厚みを厚くすることで、定着装置レディタイム(クイックスタート性)をほぼ同等レベルにしつつ、小サイズ生産性を大幅に上げることができた。
発熱抵抗体18bをヒータ18のフィルム19と摺動する側に配置するかフィルムと摺動しない側に配置するかは、フィルムへの熱伝達性が良い側を選ぶことで、定着装置レディタイムを短縮することが出来るため適宜実施構成に応じて選べば良い。
(4)他の実施例
本発明に係る像加熱装置は実施例のような定着装置としての使用に限られない。記録材に一旦定着された画像(定着済み画像)、或いは仮定着された画像(半定着画像)の光沢度などを改質するために当該画像を加熱する像加熱装置としても使用できる。
18 ヒータ、18a 基板、18b 発熱抵抗体、18c 絶縁層、18h 導電部、18d−1,18d−2 第2の絶縁層、19 筒状のフィルム、20 加圧ローラ、N ニップ部、P 記録材、T トナー画像

Claims (16)

  1. 外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板の前記絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする加熱体。
  2. 前記発熱抵抗体の上に、前記発熱抵抗体を保護するための保護層を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱体。
  3. 前記絶縁層は酸化被膜絶縁層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱体。
  4. 前記酸化被膜絶縁層は封孔処理されていることを特徴とする請求項3に記載の加熱体。
  5. 外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板の前記絶縁層の上に、前記絶縁層とは異なる第2の絶縁層を有し、前記第2の絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする加熱体。
  6. 前記発熱抵抗体の上に、前記発熱抵抗体を保護するための保護層を有することを特徴とする請求項5に記載の加熱体。
  7. 前記絶縁層は酸化被膜絶縁層であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の加熱体。
  8. 前記酸化被膜絶縁層は封孔処理されていることを特徴とする請求項7に記載の加熱体。
  9. アルミニウム製の基板の外周面に陽極酸化処理にて酸化被膜絶縁層を設ける工程と、
    前記酸化被膜絶縁層の上に通電により発熱する発熱抵抗体を設ける工程と、
    前記酸化被膜絶縁層の上に前記発熱抵抗体に給電するための導電部を設ける工程と、
    を有することを特徴とする加熱体の製造方法。
  10. 前記酸化被膜絶縁層を設ける工程と前記発熱抵抗体を設ける工程との間に、前記酸化被膜絶縁層を封孔処理する工程を有することを特徴とする請求項9に記載の加熱体の製造方法。
  11. 前記導電部を設ける工程の後に、前記発熱抵抗体の上に前記発熱抵抗体を保護するための保護層を設ける工程を有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の加熱体の製造方法。
  12. アルミニウム製の基板の外周面に陽極酸化処理にて酸化被膜絶縁層を設ける工程と、
    前記酸化被膜絶縁層の上に前記酸化被膜絶縁層とは異なる第2の絶縁層を設ける工程と、
    前記第2の絶縁層の上に通電により発熱する発熱抵抗体を設ける工程と、
    前記第2の絶縁層の上に前記発熱抵抗体に給電するための導電部を設ける工程と、
    を有することを特徴とする加熱体の製造方法。
  13. 前記酸化被膜絶縁層を設ける工程と前記第2の絶縁層を設ける工程との間に、前記酸化被膜絶縁層を封孔処理する工程を有することを特徴とする請求項12に記載の加熱体の製造方法。
  14. 前記導電部を設ける工程の後に、前記発熱抵抗体の上に前記発熱抵抗体を保護するための保護層を設ける工程を有することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の加熱体の製造方法。
  15. 筒状の回転体と、前記回転体の内面に接触する加熱体と、前記回転体を介して前記加熱体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
    前記加熱体は、外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板を有し、前記絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする像加熱装置。
  16. 筒状の回転体と、前記回転体の内面に接触する加熱体と、前記回転体を介して前記加熱体と共にニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する像加熱装置において、
    前記加熱体は、外周面に絶縁層を有するアルミニウム製の基板を有し、前記絶縁層の上に前記絶縁層とは異なる第2の絶縁層を有し、前記第2の絶縁層の上に、通電により発熱する発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体に給電するための導電部と、を有することを特徴とする像加熱装置。
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