JP2017181531A - 像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、ヒータと定着部材とが接触摺動する領域外の過昇温を抑制することができる像加熱装置を提供する。
【解決手段】 ヒータ22は、記録材Pの搬送方向に対して直交する方向に設けられた導電パターン22d1,22d2と、該導電パターン22d1,22d2の間に該導電パターン22d1,22d2に沿って設けられた発熱抵抗体22b1〜22b3と、を有し、最も高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1が内面ニップ部n内に配置され、該発熱抵抗体22b1よりも低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3が内面ニップ部n外に配置され、導電パターン22d1,22d2と、発熱抵抗体22b1と、発熱抵抗体22b2,22b3とが記録材Pの搬送方向に電気的に直列に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 ヒータ22は、記録材Pの搬送方向に対して直交する方向に設けられた導電パターン22d1,22d2と、該導電パターン22d1,22d2の間に該導電パターン22d1,22d2に沿って設けられた発熱抵抗体22b1〜22b3と、を有し、最も高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1が内面ニップ部n内に配置され、該発熱抵抗体22b1よりも低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3が内面ニップ部n外に配置され、導電パターン22d1,22d2と、発熱抵抗体22b1と、発熱抵抗体22b2,22b3とが記録材Pの搬送方向に電気的に直列に接続されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に設けられる像加熱装置に関するものである。
電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置には、記録材に形成したトナー像を加熱定着する定着装置が搭載されている。定着装置の種類としては、内部に設けたハロゲンヒータからの輻射熱により加熱された定着ローラと、加圧ローラとで記録材を挟持搬送しつつ加熱定着するヒートローラタイプがある。更に、耐熱樹脂や金属をベースにした筒状の定着フィルム(定着フィルムや定着ベルト)の内面にセラミックヒータを接触させ、定着フィルムを介して記録材を加熱するフィルム加熱方式(オンデマンド方式)がある。また、記録材と接触する回転体自体が発熱する電磁誘導加熱方式等の種々の加熱方式が存在する。
このような定着装置を搭載する画像形成装置を用いて小サイズの記録材に連続印刷する。すると、定着ニップ部の長手方向において記録材が通過しない領域(以下、「非通過部」という)の温度が徐々に上昇するという現象(以下、「非通過部の昇温」という)が発生する。記録材が通過しない非通過部の温度が高くなり過ぎると、画像形成装置内に設けられた各部品に昇温によるダメージが発生し易くなる。
そして、記録材が通過しない非通過部に昇温が生じている状態で大サイズの記録材に印刷すると、小サイズの記録材の非通過部に相当する領域で高温オフセットが発生してしまう。尚、高温オフセットとは、必要以上の高温でトナーが加熱された場合、トナーの粘弾性が変化し、トナーと加熱ローラの付着力がトナー粒子の凝集力よりも高くなりトナーが加熱ローラに付着するものである。
特に、ヒータとして低熱容量のヒータを用いるフィルム加熱方式の場合はヒータの長手方向において記録材が通過しない非通過部の昇温が大きい。これによりヒータを支持する支持部材の破損や定着フィルムに圧接される加圧ローラの耐久性能の低下や定着フィルムの長手方向における記録材が通過しない非通過部の高温オフセットも発生し易い。
また、画像形成装置の処理速度が速くなるほど、記録材が通過しない非通過部の昇温は発生し易い。なぜなら、画像形成装置の処理速度の高速化に伴い記録材が定着ニップ部を通過する時間が短くなる。このため加熱定着温度を高くせざるを得ないからである。また、連続印刷を行う場合には、定着ニップ部に記録材が介在しない時間(インターバル)が画像形成装置の処理速度の高速化に伴い減少する。このためインターバル中に温度分布ムラを均すことが難しくなる。
このような非通過部の昇温を抑制するために、小サイズの記録材が連続して印刷される場合のスループット(単位時間あたりの印刷枚数)を下げる。或いは、定着ニップ部の長手方向の温度分布を均一化するための別部材(例えば、加圧ローラに放熱ローラを当接する)を設けたりすることが実施されている。しかし、スループットを下げることは、画像形成装置のスペックダウンになり、別部材を設けるのはコストアップになる。
また、非通過部の昇温を抑える手段として、特許文献1では記録材の搬送方向と直行する方向に伸びた一対の電極と、この一対の電極の間に正の抵抗温度特性を有する発熱抵抗体を配置したヒータを用いる。ここで、正の抵抗温度特性とは、温度が上がると抵抗が上がる特性であり、以下、PTC(Positive Temperature Coefficient)という。これにより非通過部の昇温を抑制することができる。
このような搬送方向給電型ヒータは、一対の電極間に電流が記録材の搬送方向に通電される。非通過部の昇温が発生して記録材が通過しない非通過部の抵抗発熱体の抵抗値が、記録材が通過する通過部の抵抗値よりも相対的に高くなる。すると、電流は抵抗値が低い通過部へと流れ込む。その結果、非通過部の昇温を抑制することが可能となる。非通過部の昇温の抑制効果をより高めるためには、非通過部の抵抗値を通過部の抵抗値に対して相対的に大きくすることが望ましい。そのためには高い正温度係数(PTC)特性を有する材料を発熱抵抗体に用いることが望ましい。
ヒータと定着フィルムの内周面とが接触摺動する領域(以下、「内面ニップ部」という)の定着フィルムの回転方向の幅がヒータの発熱抵抗体の定着フィルムの回転方向の幅よりも狭い場合がある。この場合は、定着フィルムにより熱を奪われない内面ニップ部外の発熱抵抗体が過昇温してしまう。特に、高い正の抵抗温度特性を持った搬送方向給電型ヒータにおいては、内面ニップ部のヒータの基板裏面に配置された検温素子により内面ニップ部内のヒータの温度が制御される。それに伴い必要な電流が内面ニップ部内と、内面ニップ部外の発熱抵抗体に通電される。このため熱が奪われることのない内面ニップ部外の発熱抵抗体は昇温し続けてしまう。
その結果、過昇温した内面ニップ部外のヒータによりヒータを支持する支持部材を破損する恐れがあった。また、搬送方向給電型ヒータにおいて非通過部の昇温を抑制するために著しく高い正の抵抗温度特性を有する材料を発熱抵抗体に用いた場合には、内面ニップ部外の発熱抵抗体が過昇温する。すると、内面ニップ部内よりも内面ニップ部外の発熱抵抗体の抵抗値が大きく上昇してしまう。
このため発熱抵抗体の総発熱量のうちで内面ニップ部内よりも内面ニップ部外の発熱量の比率が大きくなる。これにより内面ニップ部内の発熱量が減少し、内面ニップ部内の抵抗発熱体から定着フィルムに伝わる熱量を十分に得ることができなくなる。このため記録材に担持された未定着トナー像を十分に加熱定着することができなくなる恐れがあった。
これらの対策として、ヒータの発熱抵抗体の定着フィルムの回転方向の幅を内面ニップ部の定着フィルムの回転方向の幅よりも狭くした構成も考えられる。この場合は、発熱抵抗体の発熱領域が狭くなる。このため抵抗発熱体から定着フィルムへと伝わる熱量が少なくなり、定着不良が生じてしまう。そのため良好な定着画像が得られるまでヒータの制御温度を著しく高くする必要があり、この場合もヒータの支持部材が破損する恐れがあった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、ヒータと定着部材とが接触摺動する領域外の過昇温を抑制することができる像加熱装置を提供するものである。
前記目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の代表的な構成は、ヒータと、前記ヒータと接触摺動する定着部材と、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧体と、を有し、前記ヒータの熱を前記定着部材を介して前記ニップ部を通過する被加熱材に伝達する像加熱装置であって、前記ヒータは、前記被加熱材の搬送方向に対して直交する方向に設けられた一対の導電パターンと、前記一対の導電パターンの間に該一対の導電パターンに沿って設けられた複数の発熱抵抗体と、を有し、前記複数の発熱抵抗体のうちで最も高い抵抗温度係数を有する第一の発熱抵抗体が前記定着部材と前記ヒータとが接触摺動する領域内に配置され、前記第一の発熱抵抗体よりも低い抵抗温度係数を有する第二の発熱抵抗体が前記領域外に配置され、前記一対の導電パターンと、前記第一の発熱抵抗体と、前記第二の発熱抵抗体とが前記被加熱材の搬送方向に電気的に直列に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、ヒータと定着部材とが接触摺動する領域外の過昇温を抑制することができる。
図により本発明に係る像加熱装置を備えた画像形成装置の構成の一実施形態を具体的に説明する。
先ず、図1〜図4を用いて本発明に係る像加熱装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
先ず、図1を用いて本発明に係る像加熱装置を備えた画像形成装置の構成について説明する。図1は本実施形態の像加熱装置を定着手段として装備した画像形成装置の一例を示す断面説明図である。本実施形態の画像形成装置17は、転写式で電子写真プロセスを利用したレーザビームプリンタの一例である。
先ず、図1を用いて本発明に係る像加熱装置を備えた画像形成装置の構成について説明する。図1は本実施形態の像加熱装置を定着手段として装備した画像形成装置の一例を示す断面説明図である。本実施形態の画像形成装置17は、転写式で電子写真プロセスを利用したレーザビームプリンタの一例である。
図1に示す画像形成装置17において、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体からなる感光ドラム1は、図1の矢印a方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム1は、感光材料層を、アルミニウムやニッケル等のシリンダ(ドラム)状の導電性基体の外周面に形成した構成から成る。感光材料層は、OPC(Organic Photo Conductor;有機光半導体)、アモルファスセレン(Se)、アモルファスシリコン(Si)等からなる。
感光ドラム1は、図1の矢印a方向の回転過程で、帯電手段としての帯電ローラ2により所定の極性の電位に一様に帯電処理される。一様に帯電された感光ドラム1の表面に対して像露光手段となるレーザスキャナ3から出射される画像情報に応じて変調制御(ON/OFF制御)されたレーザ光3aが照射されて走査露光される。これにより感光ドラム1の表面に目的の画像情報に応じた静電潜像が形成される。
感光ドラム1の表面に形成された形成潜像は、現像手段となる現像装置4に設けられた現像剤担持体となる現像ローラ4aの表面に担持されたトナーTが供給されてトナー像として現像されて可視化される。尚、現像方法としては、絶縁性トナーを交流バイアスによるジャンピング作用により感光ドラム1の表面に付着させるジャンピング現像法がある。他に、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを使用する二成分現像法がある。
他に、FEED(Floating Electrode Effect Developing)現像法等が用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられる。尚、FEED現像法とは、一成分絶縁性トナーを用いた接触現像法で島状に分離して配置された微細電極(フロート電極)を表面に持つ現像剤担持体にトナー層を形成し、それを静電潜像に摺擦して現像するものである。
一方、給送カセット9内に収容されている被加熱材となる記録材Pは、給送ローラ8が回転駆動されることにより繰り出され、給送カセット9に設けられた分離爪9aとの協働により一枚づつ分離給送される。その後、搬送ガイド10等により構成される搬送路を経て一旦停止したレジストローラ11のニップ部に記録材Pの先端部が突き当てられて該記録材Pの腰の強さにより斜行が補正される。
その後、記録材Pは、感光ドラム1の表面に担持されたトナー像の回転位置に合せて所定のタイミングでレジストローラ11により挟持搬送される。記録材Pは、レジストローラ11により感光ドラム1と、転写手段となる転写ローラ5との圧接部である転写ニップ部18に搬送される。この転写ニップ部18において、感光ドラム1の表面に担持されたトナー像が記録材Pに転写される。
転写ニップ部18を通過した記録材Pは、感光ドラム1の表面から分離された後、搬送装置12により像加熱装置としての定着装置6に搬送される。定着装置6は、定着部材となる定着フィルム23と、該定着フィルム23との間に定着ニップ部Nを形成する加圧体となる加圧ローラ24とを有する。そして、未定着トナー像を担持した記録材Pが該定着ニップ部Nにおいて定着フィルム23の外周面と、加圧ローラ24とにより挟持搬送される過程で加熱及び加圧されて被加熱材となるトナー像が熱溶融して記録材Pに熱定着される。
定着装置6を通過した記録材Pは、搬送ローラ13により搬送され、搬送ガイド14等により構成される搬送路を経て排出ローラ15により排出トレイ16上に排出される。
また、トナー像が転写された後の感光ドラム1の表面は、クリーニング手段となるクリーニング装置7に設けられたクリーニングブレード7aにより転写残トナー等の付着汚染物が掻き取られて除去され清浄面化される。これにより感光ドラム1は、繰り返して作像に供される。
本実施形態では、A4サイズの記録材Pに対応したプロセスピードが200mm/secの画像形成装置17を使用した。また、トナーTは、スチレンアクリル樹脂を主成分とし、これに必要に応じて荷電制御成分、磁性体、シリカ等を内添、外添したガラス転移点が55℃〜65℃のものを使用した。
<像加熱装置>
次に、図2〜図4を用いて本実施形態の像加熱装置となる定着装置6の構成について説明する。図2は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6の構成を示す断面説明図である。図3は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6に設けられるヒータ22の構成を示す平面説明図である。図4は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6に設けられるヒータ22の構成を示す断面説明図である。
次に、図2〜図4を用いて本実施形態の像加熱装置となる定着装置6の構成について説明する。図2は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6の構成を示す断面説明図である。図3は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6に設けられるヒータ22の構成を示す平面説明図である。図4は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6に設けられるヒータ22の構成を示す断面説明図である。
図2に示すように、本実施形態の定着装置6は、定着フィルム23を用いたフィルム加熱方式で構成される。定着装置6は、定着部材となる筒状の定着フィルム23と、定着フィルム23の内周面に接触摺動する発熱体となるヒータ22と、定着フィルム23を介してヒータ22と定着ニップ部Nを形成する加圧体となる加圧ローラ24とを有して構成される。
本実施形態の像加熱装置となる定着装置6は、ヒータ22の熱を定着フィルム23(定着部材)を介して定着ニップ部N(ニップ部)を通過する未定着トナー像が担持された記録材P(被加熱材)に伝達する。本実施形態では、定着フィルム23の内周面とヒータ22とが接触摺動する領域を「内面ニップ部n」という。
ヒータ22は、耐熱樹脂からなる支持部材21により支持されている。支持部材21は、定着フィルム23の矢印c方向の回転をガイドする。加圧ローラ24は、駆動源となるモータMから回転駆動力を受けて図2の矢印b方向に回転する。加圧ローラ24が矢印b方向に回転することにより圧接された定着フィルム23が従動して図2の矢印c方向に回転する。支持部材21は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS;Polyphenylene sulfide)や液晶ポリマー等の耐熱性樹脂の成形品で構成される。
図3及び図4に示すように、ヒータ22は、電気的絶縁性を有する基板22aと、基板22a上に形成された複数の発熱抵抗体22b1〜22b3を有する。更に、ヒータ22は、図2の矢印i方向で示す被加熱材となる記録材Pの搬送方向に対して直交する方向に設けられた一対の導電パターン22d1,22d2を有する。複数の発熱抵抗体22b1〜22b3は、一対の導電パターン22d1,22d2の間に該一対の導電パターン22d1,22d2に沿って設けられる。一対の導電パターン22d1,22d2と、第一の発熱抵抗体22b1と、第二の発熱抵抗体22b2,22b3とは、図2の矢印i方向で示す被加熱材となる記録材Pの搬送方向に電気的に直列に接続されている。
更に、ヒータ22は、発熱抵抗体22b1〜22b3及び導電パターン22d1,22d2を覆う絶縁性を有するガラスからなる保護層22cを有する。導電パターン22d1,22d2の各端部に電気的に接続して設けられた電極22e1,22e2は、図示しない給電用コネクタと電気的に接触して通電される。本実施形態の電極22e1,22e2は、導電パターン22d1,22d2と同材質で一体的に構成される。図2に示すように、基板22aの裏面側には、サーミスタ等の温度検知素子25が当接されている。温度検知素子25により検知した温度に応じて図示しない制御手段により発熱抵抗体22b1〜22b3への通電が制御される。
<定着部材>
定着部材となる定着フィルム23の厚みは、良好な熱伝導性を確保するために20μm以上、且つ60μm以下の範囲が好ましい。定着フィルム23は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;Poly tetra fluoro ethylene)の材質からなる単層フィルムが適用できる。更に、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の材質からなる単層フィルムが適用できる。更に、ポリフェニレンサルファイド(PPS;Poly phenylene sulfide)等の材質からなる単層フィルムが適用できる。
定着部材となる定着フィルム23の厚みは、良好な熱伝導性を確保するために20μm以上、且つ60μm以下の範囲が好ましい。定着フィルム23は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;Poly tetra fluoro ethylene)の材質からなる単層フィルムが適用できる。更に、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の材質からなる単層フィルムが適用できる。更に、ポリフェニレンサルファイド(PPS;Poly phenylene sulfide)等の材質からなる単層フィルムが適用できる。
或いは、定着フィルム23は、ベースフィルムの表面に離型層をコーティングした複合層フィルムが適用出来る。前記ベースフィルムとしては、ポリイミド・ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly ether ether ketone)、ポリエーテルスルホン(PES;Poly Ether Sulfone)等の材質が適用出来る。
前記離型層としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;Poly tetra fluoro ethylene)が適用出来る。更に、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が適用出来る。更に、FEP(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体)等が適用出来る。
<加圧体>
加圧体となる加圧ローラ24は、鉄やアルミニウム等の材質からなる導電性の芯金24aと、シリコーンゴム等の材質からなる弾性層24bとを有する。更に、加圧ローラ24は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の材質からなる離型層24cとを有して構成される。
加圧体となる加圧ローラ24は、鉄やアルミニウム等の材質からなる導電性の芯金24aと、シリコーンゴム等の材質からなる弾性層24bとを有する。更に、加圧ローラ24は、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等の材質からなる離型層24cとを有して構成される。
記録材Pは、定着ニップ部Nにおいて、定着フィルム23の外周面と加圧ローラ24とにより挟持されて図2の矢印i方向に搬送される。これにより記録材P上のトナー像は、加熱及び加圧されて記録材Pに加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは、搬送ローラ13、搬送ガイド14、排出ローラ15を経て排出トレイ16上に排出される。
<ヒータ>
次に、図3及び図4を用いて本実施形態のヒータ22の構成について説明する。図3及び図4において、本実施形態のヒータ22に使用される基板22aの材質は、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスにより構成される。これにより基板22aは、電気的絶縁体として構成される。
次に、図3及び図4を用いて本実施形態のヒータ22の構成について説明する。図3及び図4において、本実施形態のヒータ22に使用される基板22aの材質は、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスにより構成される。これにより基板22aは、電気的絶縁体として構成される。
図2〜図4に示す本実施形態の基板22aの材質はアルミナである。また、図8及び図9に示して後述する第2実施形態の基板22aの材質もアルミナである。また、図6及び図8に示す比較例1に用いた基板22aの材質もアルミナである。また、図2〜図4に示す本実施形態の発熱抵抗体22b1〜22b3は、導電成分Aと、ガラス成分Bと、抵抗温度係数調整成分Cと、有機結着成分Dとを混合した抵抗ペーストを基板22a上に印刷した後、焼成したものである。導電成分Aは、酸化ルテニウム(RuO2)を含む。
ここで、金属の性質上、発熱抵抗体の電気抵抗値は、温度によって変化する。この電気抵抗値の変化の大きさを1℃あたりの百万分率で表した数値が抵抗温度係数(TCR;Temperature Coefficient of Resistance)である。これを調整する成分が抵抗温度係数調整成分Cである。
前記抵抗ペーストを焼成すると、有機結着成分Dが焼失し、導電成分Aと、ガラス成分Bと、抵抗温度係数調整成分Cとが残る。従って、前記抵抗ペーストを焼成した後の基板22a上には、酸化ルテニウムを含む導電成分Aと、ガラス成分Bと、抵抗温度係数調整成分Cと、を含有する発熱抵抗体が形成される。
尚、酸化ルテニウムを含む導電成分Aは、酸化ルテニウム単独か、或いは、酸化ルテニウムと、銀・パラジウム(Ag・Pd)を含む微粉末で構成される。ガラス成分Bは、ガラス成分と無機結着成分とからなるガラス粉末で構成される。
酸化ルテニウムを含む導電成分Aとして用いる酸化ルテニウムは粒径が1μm以下であることが望ましく、更には、粒径が0.2μm以下であることがより好ましい。酸化ルテニウムは、非金属系導電成分であり、固有抵抗値としては、金属系導電成分ほどではないが、十分に抵抗の低い材料であり、抵抗ペースト材料として好適である。例えば、銀の固有抵抗値は、1.62×10−6Ω・cmであり、酸化ルテニウムの固有抵抗値は、4×10−5Ω・cmである。
一般に固有抵抗値の低い金属系導電成分は、各種結着成分と配合して合金化されることで発熱抵抗体としての適正なシート抵抗値に調整される。酸化ルテニウムは、単独では抵抗温度係数(TCR)が約3000ppm/℃という高い正の抵抗温度特性を示す。正の抵抗温度特性とは、温度が上がると電気が流れ難くなり、温度が下がると電気が流れ易くなる特性をいう。以下、正の抵抗温度特性をPTC(Positive Temperature Coefficient;正の温度係数)特性という。
その一方で、後述する抵抗温度係数調整成分Cとの組み合わせにより、厚膜抵抗ペーストの抵抗温度係数を負側へシフトさせ、負の抵抗温度特性を示すことも可能となる。負の抵抗温度特性とは、温度が上がると電気が流れ易くなり、温度が下がると電気が流れ難くなる特性をいう。以下、負の抵抗温度特性をNTC(Negative Temperature Coefficient;負の温度係数)特性という。
定着装置6に搭載するヒータ22の発熱抵抗体22b1〜22b3として要求されるシート抵抗値を満足させる。更に、正の抵抗温度特性及び負の抵抗温度特性を達成する。このためには酸化ルテニウムは非常に好適である。
抵抗温度係数調整成分Cは、酸化マンガン(MnO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)が適用出来る。或いは、酸化チタン(TiO2)、酸化アンチモン(Sb2O2)が適用出来る。抵抗温度係数調整成分Cは、抵抗温度係数を負の抵抗温度特性にするために特に重要である。
抵抗温度係数調整成分Cの粒径は、10μm以下であることが望ましく、更には、粒径が5μm以下であることがより好ましい。この抵抗温度係数調整成分Cは、酸化ルテニウムに作用し、抵抗温度係数を負側へシフトさせる効果がある。
尚、導電成分Aは、酸化ルテニウムを主体とする。このような導電成分Aからなる発熱抵抗体22b1〜22b3は、銀・パラジウム(Ag・Pd)に酸化ルテニウムを加えた導電成分よりもシート抵抗値が高くなる傾向にある。
酸化ルテニウムを主体とする場合がある。或いは、酸化ルテニウムに銀・パラジウム(Ag・Pd)を加える場合がある。それらのうちの何れを選択するかは、ヒータ22を設計する上で必要な発熱抵抗体22b1〜22b3の総抵抗値等を考慮して適宜選択、或いは、調整すれば良い。
ところで、銀・パラジウム(Ag・Pd)の合金においては、銀(Ag)とパラジウム(Pd)との混合比率によって抵抗温度係数が変化する。銀(Ag)が95重量%を超え、パラジウム(Pd)が5重量%未満であると、抵抗温度係数が正温度係数(PTC)の方向に大きくなり過ぎてしまう。
このような混合比率で作成された銀・パラジウム(Ag・Pd)の合金に酸化ルテニウム及び抵抗温度係数調整成分Cを混合する。その場合、銀・パラジウム(Ag・Pd)の合金の抵抗温度係数が正の抵抗温度特性の方向に大き過ぎると、負の抵抗温度特性を得ることが難しくなる。
そこで、負の抵抗温度特性を得る場合には、銀・パラジウム(Ag・Pd)の合金の正の抵抗温度特性を小さく抑えるためにパラジウム(Pd)の含有量は5重量%以上、且つ60重量%以下の範囲が好ましい。ただし、パラジウム(Pd)は非常に高価であるため含有量は、5重量%以上、且つ40重量%以下の範囲がより好ましい。
また、前述した酸化ルテニウムを含む導電成分A、ガラス成分B、抵抗温度係数調整成分C、有機結着成分D以外にも他の材料を適宜含めて構成することも出来る。その場合は、本実施形態のヒータ22を設計する上で必要な発熱抵抗体22b1〜22b3の特性を損なわない程度の微量であれば良い。
また、抵抗温度係数調整成分Cのガラス粉末の比率及び具体的な材料の選定は、本実施形態のヒータ22を設計する上で必要な発熱抵抗体22b1〜22b3の特性を損なわない範囲で適宜選択すれば良い。ガラス粉末の抵抗ペースト剤に占める割合としては、5重量%以上、且つ70重量%以下が好ましいが、ガラスの占める割合が大きいと電気抵抗値が大きくなってしまう。このためガラス粉末の抵抗ペースト剤に占める割合としては、30重量%以下がより好適である。
給電用の電極22e1,22e2と、導電パターン22d1,22d2は、導電ペーストを用いてスクリーン印刷法にて形成している。導電ペーストは、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)や銀・白金(Ag・Pt)の合金、銀・パラジウム(Ag・Pd)の合金等を主体とする。
給電用の電極22e1,22e2と、導電パターン22d1,22d2は、発熱抵抗体22b1〜22b3に給電する目的で設けられている。このためこれらの電気抵抗は、発熱抵抗体22b1〜22b3の電気抵抗に対して十分低く設定している。
図4に示すように、電気的絶縁体からなる保護層22cは、発熱抵抗体22b1〜22b3の全体と、導電パターン22d1,22d2の略全体を覆う。各導電パターン22d1,22d2にそれぞれ電気的に接続された電極22e1,22e2は、保護層22cに覆われることなく露出している。
保護層22cは、発熱抵抗体22b1〜22b3と、定着フィルム23の内周面との電気的な絶縁性を確保する。更に、保護層22cは、ヒータ22と定着フィルム23の内周面との摺動性を確保する。本実施形態の保護層22cは、厚さが約50μmの耐熱性ガラス層を用いた。
<ヒータの製造方法>
次に、図3及び図4を用いてヒータ22の製造方法について説明する。先ず、抵抗ペーストを基板22a上にスクリーン印刷して塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥し、焼成炉中で焼成ピーク温度が約850℃で約10分間焼成する。
次に、図3及び図4を用いてヒータ22の製造方法について説明する。先ず、抵抗ペーストを基板22a上にスクリーン印刷して塗膜を形成する。次に、塗膜を乾燥し、焼成炉中で焼成ピーク温度が約850℃で約10分間焼成する。
この焼成により抵抗ペースト中に含まれていたバインダー類は蒸発飛散する。そして、無機結着成分であるガラス成分Bが溶融する。そして、酸化マンガンと酸化ルテニウムのみ、或いは、酸化マンガンと酸化ルテニウムと銀・パラジウム(Ag・Pd)の混合物を基板22a上に固着させる。これにより発熱抵抗体22b1〜22b3を形成する。
次に、発熱抵抗体22b1〜22b3及び基板22a上に前述した導電ペーストをスクリーン印刷により塗布し、乾燥させる。その後、前述した抵抗ペーストの場合と同様に焼成することにより給電用の電極22e1,22e2と導電パターン22d1,22d2とを形成する。
その後、発熱抵抗体22b1〜22b3の全体と、導電パターン22d1,22d2の略全体を覆う保護層22cを形成する。保護層22cは、ガラス粉末と、エチルセルロール(有機結着成分)とともに有機溶剤で混練してなるガラスペーストを発熱抵抗体22b1〜22b3の全体と、導電パターン22d1,22d2の略全体の表面部分に隙間無く連続して塗膜を形成する。ガラス粉末は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)を主成分とした酸化ケイ素(SiO2)−酸化亜鉛(ZnO)−酸化アルミニウム(Al2O3)系で構成される。
そして、この塗膜を乾燥した後、焼成炉中で焼成ピーク温度が約850℃で約10分間焼成する。これにより厚さが15μm〜100μmのガラス質の保護層22cを得る。保護層22cは、必要な厚みに応じて適宜重ねて塗ることも出来る。
図3及び図4に示すように、電極22e1、導電パターン22d1、発熱抵抗体22b2、発熱抵抗体22b1、発熱抵抗体22b3、導電パターン22d2、電極22e2は、電気的に直列に接続されている。これにより図示しない給電用コネクタから電極22e1,22e2間に電圧が印加されると、電気的に直列に接続された発熱抵抗体22b2、発熱抵抗体22b1、発熱抵抗体22b3に通電されて、それぞれがジュール熱により発熱する。
次に、図3及び図4を用いて本実施形態のヒータ22の特性について説明する。図3及び図4に示す本実施形態のヒータ22は、アルミナからなる基板22aのサイズは、図3の左右方向の長さが250.0mmである。また、図3の上下方向の幅が10.0mmである。また、図4の上下方向の厚みが1.0mmである。
本実施形態では、各導電パターン22d1,22d2に発熱抵抗体22b2,22b3がそれぞれ電気的に接続される。第二の発熱抵抗体22b2,22b3の抵抗温度係数は、該発熱抵抗体22b2,22b3の間に電気的に接続された第一の発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数よりも低い値に設定されている。
即ち、複数の発熱抵抗体22b1〜22b3のうちで、最も高い抵抗温度係数を有する第一の発熱抵抗体22b1が定着フィルム23(定着部材)とヒータ22とが接触摺動する領域内(内面ニップ部n内)に配置される。そして、第一の発熱抵抗体22b1よりも低い抵抗温度係数を有する第二の発熱抵抗体22b2,22b3が前記領域外(内面ニップ部n外)に配置される。
尚、以下の説明では、第一の発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数を高い抵抗温度係数という。また、第二の発熱抵抗体22b2,22b3の抵抗温度係数を低い抵抗温度係数という。例えば、本実施形態では、前述した酸化ルテニウムからなる発熱抵抗体22b1〜22b3を用いている。
そして、抵抗温度係数調整成分Cを調整することにより低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3の抵抗温度係数を300ppm/℃の正の抵抗温度特性に設定する。一方、高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数を3000ppm/℃の正の抵抗温度特性に設定した。尚、抵抗温度係数を表わす「ppm(parts per million)」は、百万分率(100万分の1)である。
高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1のサイズは、図3の左右方向の長さが216.0mmである。また、図3の上下方向の幅が2.0mmである。一方、低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3のそれぞれサイズは同一で、図3の左右方向の長さが216.0mmである。また、図3の上下方向の幅が3.0mmである。
図3の左右方向で示す各発熱抵抗体22b1〜22b3の長手方向における中央位置と、定着ニップ部Nを図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向と直交する方向の長手方向における中央位置とが一致するようにヒータ22が配置されている。
低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3上に導電パターン22d1,22d2をそれぞれ形成する。導電パターン22d1,22d2は、長手方向の一端部を該発熱抵抗体22b2,22b3よりも長く形成して保護層22cから露出させる。保護層22cから露出した導電パターン22d1,22d2の一端部にそれぞれ給電用の電極22e1,22e2が形成されている。
図3に示す本実施形態では、給電用の電極22e1,22e2をアルミナからなる基板22aの一端部の同じ側(図3の右側)に設けた一例である。他に、基板22aの両端部にそれぞれの給電用の電極22e1,22e2の何れか一方ずつを設けても良い。
また、図2に示す定着フィルム23の内周面とヒータ22とが接触摺動する領域が内面ニップ部nである。内面ニップ部nの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向における中央位置Sは、ヒータ22の図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向における中央位置Sと一致している。内面ニップ部nのサイズは、図2に示す図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図2の左右方向)の幅が4.0mmである。また、図2の紙面に直交する長手方向の長さが230mmである。
図4に示すヒータ22の基板22aの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図4の左右方向)の幅hは、10mmである。基板22aの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図4の左右方向)の両端部からそれぞれ中央に向かう距離dが1.0mmの位置が22f1,22f2である。位置22f1,22f2から更に中央に向かう距離eが3.0mmの位置が22g1,22g2である。基板22a上で位置22f1,22f2と位置22g1,22g2との間に図4の上下方向の厚みが10μmで低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3をそれぞれ形成する。
更に、低い抵抗温度係数を有する二つの発熱抵抗体22b2,22b3の間に高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1を形成している。二つの発熱抵抗体22b2,22b3の間の図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図4の左右方向)の幅fは2.0mmである。発熱抵抗体22b1の図4の上下方向の厚みは10μmである。
更に、位置22f1,22f2から更に中央に向かう距離gが1.0mmの位置が22h1,22h2である。低い抵抗温度係数を有する各発熱抵抗体22b2,22b3上で位置22f1,22f2と位置22h1,22h2との間に導電パターン22d1,22d2をそれぞれ図4の上下方向の厚みが10μmで形成する。
最後に発熱抵抗体22b1〜22b3の全体と、導電パターン22d1,22d2の略全体を図4の上下方向の厚みが50μmのガラス層からなる保護層22cで覆った構成としている。基板22a上で該基板22aの長手方向の一端部に設けられた給電用の電極22e1,22e2は、保護層22cから露出している。
図示しない給電用コネクタから給電用の電極22e1,22e2に給電される。すると、二つの導電パターン22d1,22d2の間に電気的に直列に接続された二つの発熱抵抗体22b2,22b3と、発熱抵抗体22b1との間で図4の矢印i方向に電流が流れる。
各発熱抵抗体22b1〜22b3の室温における電気抵抗値は、低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3の一本あたりの電気抵抗値を5.0Ωとした。また、高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1の電気抵抗値を5.0Ωとした。これにより発熱抵抗体22b1〜22b3の総電気抵抗値は15.0Ω(=5.0Ω×3本)となるように設定した。
本実施形態では、図2〜図4の矢印i方向で示す記録材Pの搬送方向に電流が流れて給電されるヒータ22の複数の発熱抵抗体22b1〜22b3が一対の電極22e1,22e2間に直列に配置される。そして、定着フィルム23の内周面とヒータ22とが接触摺動する領域である内面ニップ部n内に該複数の発熱抵抗体22b1〜22b3のうちで最も高い正の抵抗温度特性からなる抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1を配置する。一方、内面ニップ部nの両外側には、該内面ニップ部n内に設けた発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数と比較して十分低い正の抵抗温度特性、或いは、負の抵抗温度特性からなる抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を配置する。
本実施形態のようにヒータ22に設けられた発熱抵抗体22b1〜22b3に対して記録材Pの搬送方向に給電を行う搬送方向給電型のヒータ22を用いた際に内面ニップ部nが発熱抵抗体の幅よりも狭くなる場合がある。その場合に高い正の抵抗温度特性を有する材料を発熱抵抗体に用いも内面ニップ部n外の発熱量を低く抑えることが可能である。これにより内面ニップ部n外でヒータ22を支持する支持部材21等の破損を防ぐことが可能となる。
また、内面ニップ部n内の発熱量を十分得ることができるため良好な定着画像を得ることができる。また、内面ニップ部n内に設けた高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1により定着ニップ部Nにおいて記録材Pが通過しない非通過部の昇温が発生した際の非通過部への電流の流れ込みを抑制することができる。これにより非通過部の昇温の抑制効果も発揮することができる。これによりヒータ22と定着フィルム23の内周面とが接触摺動する領域外の過昇温を抑制することができる。
次に、図5〜図9を用いて本発明に係る像加熱装置を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
本実施形態の像加熱装置となる定着装置6は、ヒータ22以外の構成は、前記第1実施形態と同様に構成される。即ち、本実施形態では、ヒータ22は、アルミナからなる基板22aと、酸化ルテニウムからなる高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1と、低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3とを有する。更に、ヒータ22は、導電パターン22d1,22d2と、ガラス層からなる保護層22cとを有する。内面ニップ部nのサイズ及び各部材の配置は、前記第1実施形態と同様に構成される。
本実施形態において、前記第1実施形態と異なる構成は、発熱抵抗体22b2,22b3の低い抵抗温度係数が−100ppm/℃の負の抵抗温度特性になるように調整した。一方、発熱抵抗体22b1の高い抵抗温度係数は、前記第1実施形態と同様に3000ppm/℃の正の抵抗温度特性を有する構成とした。
各発熱抵抗体22b1〜22b3の室温における電気抵抗値は以下の通りである。前記第1実施形態と同様に低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3の一本あたりの電気抵抗値は5.0Ωである。また、高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1の電気抵抗値は5.0Ωである。これにより電極22e1,22e2間に直列に接続された発熱抵抗体22b1〜22b3の室温における総電気抵抗値は15.0Ω(=5.0Ω×3本)となるようにした。
<比較例1>
次に、図5及び図6を用いて比較例1の像加熱装置となる定着装置6のヒータ22の構成について説明する。図5は、比較例1のヒータ22の構成を示す平面説明図である。図6は、比較例1のヒータ22の構成を示す断面説明図である。比較例1の像加熱装置となる定着装置6は、ヒータ22以外の構成は、前記第1実施形態と同様に構成される。
次に、図5及び図6を用いて比較例1の像加熱装置となる定着装置6のヒータ22の構成について説明する。図5は、比較例1のヒータ22の構成を示す平面説明図である。図6は、比較例1のヒータ22の構成を示す断面説明図である。比較例1の像加熱装置となる定着装置6は、ヒータ22以外の構成は、前記第1実施形態と同様に構成される。
図5に示すように、本比較例1のヒータ22は、ヒータ22のアルミナからなる基板22aと、導電パターン22d1,22d2と、ガラス層からなる保護層22cと、内面ニップ部nのサイズ及び各部材の配置は、前記第1実施形態と同様に構成される。
本比較例1において、前記第1実施形態と異なる構成は、電極22e1,22e2間に電気的に接続された発熱抵抗体は、高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1のみとした。高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1のサイズは、図5の左右方向の長さが216.0mmである。また、図5の上下方向の幅が8.0mmである。
図6に示すように、本比較例1におけるヒータ22のアルミナからなる基板22aの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向の幅hは10mmである。基板22aの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図6の左右方向)の両端部からそれぞれ中央に向かう距離dが1.0mmの位置が22f1,22f2である。そして、基板22a上で該位置22f1,22f2の間に高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1を図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向の幅fが8.0mmで、図6の上下方向の厚みが10μmで形成する。
更に、位置22f1,22f2から更に図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図6の左右方向)の中央に向かう距離gが1.0mmの位置が22h1,22h2である。そして、発熱抵抗体22b1上で位置22f1,22f2と位置22h1,22h2との間にそれぞれ導電パターン22d1,22d2を図6の上下方向の厚みが10μmで形成する。最後に発熱抵抗体22b1の全体と、導電パターン22d1,22d2の略全体とを図6の上下方向の厚みが50μmのガラス層からなる保護層22cで覆った構成をしている。
高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1は、前記第1実施形態と同様に酸化ルテニウムからなる発熱抵抗体を用いており、抵抗温度係数を3000ppm/℃の正温度係数(PTC)とし、室温における電気抵抗値が15.0Ωとなるようにした。
<比較例2>
次に、図7を用いて比較例2の像加熱装置となる定着装置6のヒータ22の構成について説明する。図7は、比較例2のヒータ22の構成を示す平面説明図である。比較例2の像加熱装置となる定着装置6は、ヒータ22以外の構成は、前記第1実施形態と同様に構成される。
次に、図7を用いて比較例2の像加熱装置となる定着装置6のヒータ22の構成について説明する。図7は、比較例2のヒータ22の構成を示す平面説明図である。比較例2の像加熱装置となる定着装置6は、ヒータ22以外の構成は、前記第1実施形態と同様に構成される。
本比較例2では、図7に示すように、銀・パラジウム(Ag・Pd)からなる抵抗温度係数が500ppm/℃の正の抵抗温度特性を有する一対の発熱抵抗体22i1,22i2の長手方向の一端部を導電パターン22d3を介して電気的に直列接続する。そして、該発熱抵抗体22i1,22i2の長手方向の他端部にそれぞれ導電パターン22d1,22d2を電気的に接続する。そして、該導電パターン22d1,22d2にそれぞれ給電用の電極22e1,22e2を接続する。本比較例2では、図7に示すように、発熱抵抗体22i1,22i2の長手方向の一端部を直列に接続してそれぞれの長手方向に通電するという一般的なヒータ22を使用した場合について説明する。
図7に示す本比較例2のヒータ22は、前記第1実施形態と同様に、アルミナからなる基板22aのサイズは、厚みが1mmで、図7の左右方向の長さが240mmで、図7の上下方向の幅が10mmである。発熱抵抗体22i1,22i2は、銀・パラジウム(Ag・Pd)からなる電気抵抗材料をスクリーン印刷により形成した。発熱抵抗体22i1,22i2は、図7の左右方向の全長が216mmで塗工し、合計で2本形成した。発熱抵抗体22i1,22i2のそれぞれの厚みは約10μmである。また、図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向(図7の上下方向)の幅は1.0mmである。
これら2本の発熱抵抗体22i1,22i2は、図7の左側において、導電パターン22d3により電気的に直列に接続されている。一方、図7の右側において発熱抵抗体22i1,22i2に給電するための導電パターン22d1,22d2がそれぞれ電気的に接続され、該導電パターン22d1,22d2に給電用の電極22e1,22e2が電気的に接続されている。
導電パターン22d1,22d2,22d3及び電極22e1,22e2は、スクリーン印刷により厚みが約10μmで塗工して形成した。最後に発熱抵抗体22i1,22i2と導電パターン22d3の全体と、導電パターン22d1,22d2の略全体とを表層ガラス層からなる保護層22cを約50μmの厚みでスクリーン印刷により形成して覆った。
<温度特性>
次に、図8及び図9を用いて前記第1、第2実施形態、比較例1、2の温度特性について説明する。図8は、第1、第2実施形態と比較例1のそれぞれのヒータ22において図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向におけるヒータ22の裏面温度を示す図である。
次に、図8及び図9を用いて前記第1、第2実施形態、比較例1、2の温度特性について説明する。図8は、第1、第2実施形態と比較例1のそれぞれのヒータ22において図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向におけるヒータ22の裏面温度を示す図である。
<内面ニップ部外の昇温抑制効果>
先ず、図8を用いて内面ニップ部n外の昇温抑制効果について説明する。図8では、第1、第2実施形態及び比較例1における記録材Pの搬送速度を200mm/秒とした。使用した記録材Pは、幅が216mm、長さが280mm、坪量が80g/m2である。記録材Pを1分間に印刷するページ数は35ppm(page per minute)で連続して500枚印刷した。そのときの各ヒータ22の裏面温度として支持部材21の表面温度を示す。
先ず、図8を用いて内面ニップ部n外の昇温抑制効果について説明する。図8では、第1、第2実施形態及び比較例1における記録材Pの搬送速度を200mm/秒とした。使用した記録材Pは、幅が216mm、長さが280mm、坪量が80g/m2である。記録材Pを1分間に印刷するページ数は35ppm(page per minute)で連続して500枚印刷した。そのときの各ヒータ22の裏面温度として支持部材21の表面温度を示す。
図2に示すように、支持部材21に支持された温度検知素子25がヒータ22の裏面の図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向の中央(内面ニップ部nの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向の中央)に接触する。そして、温度検知素子25によりヒータ22の裏面温度を検知する。
第1、第2実施形態及び比較例1では、印刷中の内面ニップ部nの図2の矢印i方向に搬送される記録材Pの搬送方向の中央におけるヒータ22の裏面温度が210℃になるように温度制御している。図2に示す定着フィルム23及び加圧ローラ24の回転方向(記録材Pの矢印i方向で示す搬送方向)に熱が流れる傾向がある。このため記録材Pの矢印i方向で示す搬送方向(図8の左側)に向かってヒータ22の裏面温度が高くなっている。
図8に示すように、内面ニップ部n内においては各ヒータ22の裏面温度は、図3に示す第1、第2実施形態の各ヒータ22の図8に示すグラフJ1,J2、図5に示す比較例1のヒータ22のグラフH1は、温調温度の210℃前後で維持されている。これに対して、内面ニップ部n外においては、記録材PやトナーT等の定着部材により熱が奪われないためにヒータ22の裏面温度が急激に上昇している。
特に、図5に示す比較例1のヒータ22は、内面ニップ部n内外に亘って3000ppm/℃の正の抵抗温度特性からなる高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1のみが配置されている。このため図8のグラフH1に示すように、内面ニップ部n外の温度上昇が最も高くなっている。その結果、図2の矢印i方向で示す記録材Pの搬送方向下流側(図2の右側、図8の左側)の内面ニップ部n外のヒータ22の裏面温度が280℃程度まで昇温し、ヒータ22を支持する支持部材21の耐熱温度である約250℃を超えてしまう。このため支持部材21が破損してしまった。尚、図8に示す中央位置Sは、図2に示すヒータ22の図2の矢印i方向で示す記録材Pの搬送方向における中央位置Sである。
一方、図3に示す第1実施形態のヒータ22は、内面ニップ部n外に300ppm/℃の正の抵抗温度特性からなる低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を用いている。このため図5に示す比較例1に対して内面ニップ部n外の昇温を抑制することが可能となる。その結果、図8のグラフJ1に示すように、図2の矢印i方向で示す記録材Pの搬送方向下流側(図2の右側、図8の左側)の内面ニップ部n外のヒータ22の裏面温度を約240℃まで低下させることが可能となった。
更に、第2実施形態のヒータ22は、内面ニップ部n外に−100ppm/℃の負の抵抗温度特性からなる低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を用いている。このため図8のグラフJ2に示すように、内面ニップ部n外のヒータ22の裏面温度を図8のグラフJ1で示す第1実施形態に対して更に5℃程度温度を低下することが可能となった。ここで、内面ニップ部n外とは、図2の矢印i方向で示す記録材Pの搬送方向における内面ニップ部nの上流側(図2の左側、図8の右側)及び下流側(図2の右側、図8の左側)である。
また、図3に示す第1実施形態及び第2実施形態に記載のヒータ22を用いた際には、良好な定着画像が得られた。このように、内面ニップ部n外の第二の発熱抵抗体22b2,22b3の抵抗温度係数を内面ニップ部n内の第一の発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数に対して、1/10以下に設定する。これによりヒータ22を支持する支持部材21の耐熱温度を超えないように内面ニップ部n外の発熱を抑制することができる。
例えば、第1実施形態のヒータ22では、内面ニップ部n外に設けられる第二の発熱抵抗体22b2,22b3の抵抗温度係数が300ppm/℃の正の抵抗温度特性を有する。一方、内面ニップ部n内に設けられる第一の発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数が3000ppm/℃の正の抵抗温度特性を有する。両者の比率は、(300ppm/℃)/(3000ppm/℃)=1/10である。これらの比率が1/10以下となるようにそれぞれの抵抗温度係数を適宜設定する。
また、第2実施形態のヒータ22では、内面ニップ部n外に設けられる第二の発熱抵抗体22b2,22b3の抵抗温度係数が−100ppm/℃の負の抵抗温度特性を有する。一方、内面ニップ部n内に設けられる第一の発熱抵抗体22b1の抵抗温度係数が3000ppm/℃の正の抵抗温度特性を有する。両者の比率は、(−100ppm/℃)/(3000ppm/℃)=−1/30である。両者の比率は、やはり1/10以下の範囲に含まれる。
<非通過部の昇温抑制効果>
次に、図9を用いてヒータ22の長手方向において記録材Pが通過しない非通過部の昇温抑制効果について説明する。図9は、第1、第2実施形態と比較例2のそれぞれのヒータ22の長手方向において記録材Pが通過しない非通過部におけるヒータ22の裏面温度を示す図である。
次に、図9を用いてヒータ22の長手方向において記録材Pが通過しない非通過部の昇温抑制効果について説明する。図9は、第1、第2実施形態と比較例2のそれぞれのヒータ22の長手方向において記録材Pが通過しない非通過部におけるヒータ22の裏面温度を示す図である。
図9では、小サイズの記録材Pを使用して記録材Pが通過しない非通過部における各ヒータ22の裏面温度として支持部材21の表面温度を示したものである。ヒータ22の長手方向における発熱領域幅は216mmである。これに対して小サイズの記録材Pの搬送方向に直交する幅が105mmで、搬送方向の長さが240mmで、坪量が80g/m2である。
このような小サイズの記録材Pを搬送速度が200mm/秒で、1分間に印刷するページ数が35ppm(page per minute)でヒータ22の温調温度を210℃に設定してヒータ22の長手方向の中央位置に連続して50枚印刷した。そのときの記録材Pが通過しない非通過部における各ヒータ22の裏面温度として支持部材21の表面温度を示した。
図7に示す比較例2のヒータ22では、図9のグラフH2に示すように、記録材Pが通過しない非通過部の昇温が大きく、ヒータ22の裏面温度が280℃まで到達した。このため記録材Pが通過しない非通過部の支持部材21の破損が見られた。記録材Pが通過しない非通過部の昇温を抑制するためには、印刷速度を遅くしたり、先行する記録材Pと、その直後に後続する記録材Pとの間隔を空けることで対応出来るが、このため小サイズの記録材Pの生産性が低下する。
一方、図3に示す第1実施形態のヒータ22の記録材Pが通過しない非通過部の裏面温度は図9のグラフJ1に示す。図7に示す比較例2のヒータ22の記録材Pが通過しない非通過部の裏面温度は図9のグラフH2に示す。第1実施形態のグラフJ1は、比較例2のグラフH2と比べて、50枚の記録材Pを連続印刷した時刻t1において約30℃(≒280℃−250℃)の温度低下効果が得られていることが分かる。
これは、図3に示す第1実施形態のヒータ22の内面ニップ部n内に3000ppm/℃の正の抵抗温度特性からなる高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1を配置したことによる。この高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1の作用によりヒータ22の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部へ流れる電流が抑制される。
即ち、ヒータ22の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部が昇温すると、発熱抵抗体22b1の正の抵抗温度特性により該発熱抵抗体22b1の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部に電気が流れ難くなる。これにより該発熱抵抗体22b1に直列に接続された発熱抵抗体22b2,22b3の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部にも電気が流れ難くなる。その結果、記録材Pが通過しない非通過部の発熱抵抗体22b1〜22b3の発熱量が抑制され、記録材Pが通過しない非通過部の昇温が抑制される。
また、第2実施形態のヒータ22は、内面ニップ部n外に−100ppm/℃の負の抵抗温度特性からなる低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を用いている。これによりヒータ22の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部が昇温すると、発熱抵抗体22b2,22b3の負の抵抗温度特性により該発熱抵抗体22b2,22b3の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部に電気が流れ易くなる。このため該発熱抵抗体22b2,22b3の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部の電気抵抗値は低くなる。
第1実施形態のヒータ22は、内面ニップ部n外に300ppm/℃の正の抵抗温度特性からなる低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を用いている。一方、第2実施形態のヒータ22は、内面ニップ部n外に−100ppm/℃の負の抵抗温度特性からなる低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を用いている。これにより各ヒータ22の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部が昇温すると、第2実施形態のヒータ22は、第1実施形態のヒータ22に比べて、記録材Pが通過しない非通過部における発熱抵抗体22b1〜22b3の総電気抵抗値が低くなってしまう。
このためヒータ22の長手方向の記録材Pが通過しない非通過部の昇温が発生したときに、記録材Pが通過しない非通過部における発熱抵抗体22b1〜22b3に流れ込む電流を抑制する効果が第1実施形態に比べて低くなる。このため図9のグラフJ2で示す第2実施形態の記録材Pが通過しない非通過部のヒータ22の裏面温度は、図9のグラフJ1で示す第1実施形態の記録材Pが通過しない非通過部のヒータ22の裏面温度よりも若干高い値を示している。しかしながら、図9のグラフH2で示す比較例2の記録材Pが通過しない非通過部のヒータ22の裏面温度と比べると、記録材Pが通過しない非通過部のヒータ22の裏面温度を低く抑えることができている。
このように、ヒータ22の内面ニップ部n外に低い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b2,22b3を用いる。また、内面ニップ部n内に高い抵抗温度係数を有する発熱抵抗体22b1を用いる。これにより内面ニップ部n外の昇温を抑えることができ、同時に記録材Pが通過しない非通過部の昇温も抑制することが可能となった。
また、本実施形態では、正の抵抗温度特性及び負の抵抗温度特性を示す発熱抵抗体の材料として酸化ルテニウム系の材料を用いた。他に、正の抵抗温度特性を示す発熱抵抗体の材料として、銀・パラジウム(Ag・Pd)系の材料や、チタン酸バリウム(BaTiO3)系の材料を用いても良い。一方、負の抵抗温度特性を示す発熱抵抗体の材料として、カーボン(C)系の材料やシリコンカーバイト(SiC)系の材料等を用いても良い。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
n…内面ニップ部(定着フィルム23の内周面とヒータ22とが接触摺動する領域)
P…記録材(被加熱材)
22…ヒータ
22d1,22d2…導電パターン
22b1…高い抵抗温度係数(TCR)を有する発熱抵抗体(第一の発熱抵抗体)
22b2,22b3…低い抵抗温度係数(TCR)を有する発熱抵抗体
P…記録材(被加熱材)
22…ヒータ
22d1,22d2…導電パターン
22b1…高い抵抗温度係数(TCR)を有する発熱抵抗体(第一の発熱抵抗体)
22b2,22b3…低い抵抗温度係数(TCR)を有する発熱抵抗体
Claims (4)
- ヒータと、
前記ヒータと接触摺動する定着部材と、
前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧体と、
を有し、
前記ヒータの熱を前記定着部材を介して前記ニップ部を通過する被加熱材に伝達する像加熱装置であって、
前記ヒータは、
前記被加熱材の搬送方向に対して直交する方向に設けられた一対の導電パターンと、
前記一対の導電パターンの間に該一対の導電パターンに沿って設けられた複数の発熱抵抗体と、
を有し、
前記複数の発熱抵抗体のうちで最も高い抵抗温度係数を有する第一の発熱抵抗体が前記定着部材と前記ヒータとが接触摺動する領域内に配置され、
前記第一の発熱抵抗体よりも低い抵抗温度係数を有する第二の発熱抵抗体が前記領域外に配置され、
前記一対の導電パターンと、前記第一の発熱抵抗体と、前記第二の発熱抵抗体とが前記被加熱材の搬送方向に電気的に直列に接続されていることを特徴とする像加熱装置。 - 前記第二の発熱抵抗体は、負の抵抗温度特性を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 前記第二の発熱抵抗体の抵抗温度係数は、前記第一の発熱抵抗体の抵抗温度係数の1/10以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の像加熱装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の像加熱装置を定着手段として装備したことを特徴とする画像形成装置。
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