JPH11109775A - 直接発熱型加熱ローラ - Google Patents

直接発熱型加熱ローラ

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Publication number
JPH11109775A
JPH11109775A JP26641897A JP26641897A JPH11109775A JP H11109775 A JPH11109775 A JP H11109775A JP 26641897 A JP26641897 A JP 26641897A JP 26641897 A JP26641897 A JP 26641897A JP H11109775 A JPH11109775 A JP H11109775A
Authority
JP
Japan
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spiral
heating roller
element layer
heating element
resistance
Prior art date
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Pending
Application number
JP26641897A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Takeoka
健 武岡
Kazuo Kobayashi
一雄 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd filed Critical Noritake Co Ltd
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Publication of JPH11109775A publication Critical patent/JPH11109775A/ja
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  • Control Of Resistance Heating (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】軸心方向および周方向における温度ムラが小さ
く且つ全抵抗値が低い直接発熱型加熱ローラを提供す
る。 【解決手段】加熱ローラ10の抵抗発熱体層34は、二
重螺旋を形成する二本の螺旋状抵抗体層34a、34b
から構成される。そのため、抵抗発熱体層34の全抵抗
値Rは並列する二本の螺旋状抵抗体層34a、34bの
合成抵抗で与えられ、個々の螺旋状抵抗体層34a、3
4bの抵抗値Ra、Rbを低くすることなくその本数に
応じて全抵抗値Rを低くできる。したがって、螺旋状抵
抗体層34a、34bの幅寸法を広くし或いは全長を短
くする場合の周方向或いは軸心方向の温度ムラの増大を
伴うことなく全抵抗値Rを低くできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電複写機等のトナー
定着用等に用いられる加熱ローラに関し、特に円筒状の
外周面を有する電気絶縁性基体上に発熱体を備えた直接
発熱型加熱ローラの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、トナー画像を紙等に転写した後
に定着する複写機においては、トナーが転写された記録
紙等を複写機内に備えられた加熱ローラと加圧ローラと
の間を通過させることにより、加熱と同時に加圧をし
て、トナーを記録紙等に定着させることが行われてい
る。このような加熱ローラの一つに、硬質ガラス等から
成る円筒状の電気絶縁性基体の外周面或いは内周面に抵
抗発熱体層を備えたものがある。例えば、特開昭63−
158582号公報に記載された加熱定着ロールのよう
な表面発熱型加熱ローラや、特開平7−244441号
公報に記載されたガラス製定着ローラのような内面発熱
型加熱ローラがそれである。これらの加熱ローラによれ
ば、電気絶縁性基体上に密着して設けられている発熱体
によってその電気絶縁性基体が直接的に発熱させられる
直接発熱型であるため、従来から用いられてきたハロゲ
ン・ランプ等を内部に備えた内部発熱型に比較して予熱
時間が短く且つ消費電力が少ないという利点がある。
【0003】ところで、加熱ローラの抵抗発熱体層は、
軸心方向における温度分布を可及的に均一にするため
に、両端部における放熱量や記録紙の通過による部分的
な温度低下、或いは抵抗体材料の面積抵抗率等を考慮し
て、例えば、上記特開平7−244441号公報或いは
特開平6−231864号公報等に記載されるような螺
旋状や櫛形状等の種々のパターンに形成することが望ま
れる。このような抵抗発熱体層のパターン形成は、電気
絶縁性基体の外周面に対しては印刷や転写等で行われる
が、内周面にはそれらの簡便且つ信頼性の高い方法を利
用できない。そこで、本願出願人は、先に、特願平8−
8963号において、円筒状の電気絶縁性基体の内周側
に吐出細管を挿入し、その電気絶縁性基体が回転させら
れている状態で、その吐出細管を軸心方向に移動させつ
つその先端から抵抗体ペーストを内周面に向かって吐出
させることによって抵抗発熱体層をパターン形成する方
法を提案した。この方法によれば、抵抗体ペーストが螺
旋状等のパターンで連続的に形成されることから、簡単
な製造工程で電気絶縁性基体の内周面に抵抗発熱体層を
パターン形成できる。しかも、上記特開平7−2444
41号公報に示されるような全面塗布および研削加工に
よりパターン形成する場合の研削加工に起因する加熱ロ
ーラの機械的強度の低下も生じ得ない。なお、上記の吐
出細管による塗布方法は外周面にパターン形成する場合
にも適用可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年で
は、静電複写機の時間当たりの処理量を多くして高速化
する目的で直径の大きな加熱ローラを用いることが行わ
れている。加熱ローラおよび加圧ローラの直径が大きく
なるほど、その外周面のうち一時に定着に寄与し得る部
分の周方向長さが長くなることから、加熱および加圧時
間を確保しつつ記録紙の搬送速度を高めることができて
処理量を増大させ得るためである。因みに、加熱ローラ
の直径が20(mm)の場合の処理量を6 〜8(枚/分) とする
と、直径30(mm)の場合には 20(枚/分) 程度まで増大す
る。この場合において、上記のような抵抗体ペーストを
螺旋状等に連続塗布してパターン形成された抵抗発熱体
層を備える加熱ローラでは、抵抗発熱体層が取り得るシ
ート抵抗値Rs(=ρ/t;但し、ρ:抵抗率、t:膜
厚)の範囲が比較的狭いことから、直径が大きくなるほ
ど抵抗発熱体層の全長が長くなって全抵抗値Rが増大
し、予熱時間が長くなるという問題があった。加熱ロー
ラがトナー定着に適切な温度に上昇するまでの時間は供
給電力が大きいほど短くなるが、静電複写機の使用電圧
は100 或いは200(V)に限定されることから全抵抗値Rで
電力が決定されるのである。
【0005】すなわち、上式に示されるように、抵抗発
熱体層のシート抵抗値Rs は抵抗率ρに比例し膜厚tに
反比例する。ところが、抵抗発熱体層は一般に銀合金系
等の金属材料を含む厚膜材料から構成されることから、
高温になる加熱ローラでは膜厚tを厚くするほどガラス
から成る基体と抵抗体との熱膨張率の差に起因して剥離
し易くなる。そのため、加熱ローラに要求される耐久性
を満足し得る十分に高い固着強度を保ち得る膜厚tはせ
いぜい十数 (μm)程度に過ぎない。しかも、一般にトナ
ー定着用加熱ローラでは定電流制御をしている。そのた
め、加熱ローラ内に部分的に温度が高い部分が生じた場
合にその部分の抵抗値が高くなると、その発熱量が増大
して一層高温になり得ることから、抵抗温度係数(TC
R)の比較的小さいことが望まれるため、抵抗発熱体層
の構成材料は実質的に銀合金系の材料に限定されて抵抗
率ρが低い材料を選択することはできない。したがっ
て、抵抗率ρおよび膜厚tの何れも殆ど変化させ得ない
ことから、シート抵抗値Rsを十分に低くすることはで
きなかったのである。このような事情は表面発熱型加熱
ローラにおいても同様である。
【0006】なお、螺旋状等に形成される抵抗発熱体層
のパターン幅(塗布幅寸法)を広くすれば全抵抗値Rを
低くできるが、前記のような塗布方法において幅を広げ
るためには抵抗体ペーストの粘度を低下させて塗布直後
からの広がり幅を大きくしなければならない。そのた
め、粘度を低くするほど周方向の膜厚ムラが生じ易くな
ることから、周方向に抵抗値ムラ延いては温度ムラが生
じないようにするためには粘度を比較的高く保つ必要が
あって、それほど幅を大きくすることはできない。一
方、抵抗発熱体層の全長は螺旋の間隔(ピッチ)と直径
とで決定されることから、全抵抗値Rを低くするために
その全長を短くして間隔を大きくすると軸心方向の温度
ムラが大きくなる。したがって、加熱ローラにおいて
は、記録紙等に接触させられる表面温度をトナーの定着
に適切な数 (℃) 程度の狭い範囲に保つ必要があること
から可及的にその表面温度ムラの小さいことが望まれる
ため、全抵抗値Rを小さくする目的でこれらの方法をと
ることはできないのである。因みに、表面温度が低過ぎ
る場合にはトナーが十分に溶融しないことから定着でき
ず、反対に高過ぎる場合にはトナーが過度に溶融させら
れて光沢が生じる。
【0007】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、軸心方向および周方向に
おける温度ムラが小さく且つ全抵抗値が低い直接発熱型
加熱ローラを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、本発明の要旨とするところは、円筒状の外周面を有
する電気絶縁性基体上に抵抗発熱体層が備えられ、その
抵抗発熱体層によって直接的に発熱させられたその電気
絶縁性基体のその外周面を用いて均等に押圧しつつ加熱
する直接発熱型加熱ローラであって、(a) 前記抵抗発熱
体層は、それぞれ前記電気絶縁性基体の周方向に回転し
つつその軸心方向に連続する螺旋状を成し且つその軸心
方向の中間部において相互に電気的に絶縁させられて多
重螺旋を形成する複数本の螺旋状抵抗体層から構成され
ることにある。
【0009】
【発明の効果】このようにすれば、直接発熱型加熱ロー
ラの抵抗発熱体層は、それぞれ電気絶縁性基体の周方向
に回転しつつその軸心方向に連続する螺旋状を成し且つ
その軸心方向の中間部において相互に電気的に絶縁させ
られて多重螺旋を形成する複数本の螺旋状抵抗体層から
構成される。そのため、加熱ローラには複数本の螺旋状
抵抗体層が相互に電気的に絶縁させられて多重螺旋を形
成するように並列に設けられることから、抵抗発熱体層
の全抵抗値Rは並列する複数本の螺旋状抵抗体層の合成
抵抗として 1/R=Σ(1/Ri)で与えられる。すなわ
ち、個々の螺旋状抵抗体層の抵抗値Ri を低くすること
なくその本数に応じて全抵抗値Rを低くできる。したが
って、全抵抗値Rを低くする目的で螺旋状抵抗体層の幅
寸法を広くし或いは全長を短くする必要がないため、幅
寸法を広くする場合のような周方向の温度ムラの増大、
或いは全長を短くする場合のような螺旋間隔の増大延い
ては軸心方向の温度ムラの増大を伴うことなく全抵抗値
Rを低くできる。しかも、一定の全抵抗値Rを得る場合
には、螺旋状抵抗体層の本数を多くするほど各々の全長
を長くして抵抗値を高くする必要があって螺旋の間隔が
短くなるため、軸心方向の温度ムラは一層小さくなる。
更に、基体上には軸心方向に沿って複数本の螺旋状抵抗
体層が順次配列されることから、螺旋に沿って抵抗値の
バラツキが生じた螺旋状抵抗体層があっても、そのバラ
ツキが他の螺旋状抵抗体層で緩和されるため、その軸心
方向および周方向における抵抗値バラツキ延いては温度
ムラも生じ難くなる。上記により、軸心方向および周方
向における温度ムラが小さく且つ全抵抗値が低い直接発
熱型加熱ローラが得られる。
【0010】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記複数本の螺
旋状抵抗体層は、前記電気絶縁性基体の軸心方向の中間
部の各位置において周方向における配置が均等となるよ
うに設けられたものである。このようにすれば、軸心方
向の中間部の各位置において複数本の螺旋状抵抗体層が
周方向に均等な位置に配列されることから、その周方向
における温度分布が一層一様になる。しかも、周方向に
均等に配置されることは複数本の螺旋状抵抗体層の一組
毎の相互間隔が軸心方向においても一様であることを意
味するため、その軸心方向の温度分布も一層一様とな
る。
【0011】また、好適には、前記複数本の螺旋状抵抗
体層は、前記電気絶縁性基体の軸心方向に沿った方向に
おいて隣接して位置するもの相互の中心間隔が5(mm) 以
下となるように設けられたものである。このようにすれ
ば、軸心方向に沿った方向における抵抗体層の配列間隔
が十分に小さくされることから、その軸心方向における
加熱ローラの表面温度のバラツキ範囲が8(℃) 程度以下
と小さい一層一様な温度分布が得られる。すなわち、加
熱ローラの表面温度は、発熱源である螺旋状を成す抵抗
体層から軸心方向に沿った方向に離隔するほど低くなる
ことから、可及的に一様な温度分布を得るためには、螺
旋状抵抗体層の軸心方向における相互間隔が小さいこと
が望まれる。そのため、例えばトナーの定着等に適切な
温度範囲にその表面温度を保持するためには、その温度
バラツキが8(℃) 程度以下であることが望ましいため、
螺旋状抵抗体層の中心間隔を5(mm) 以下することが望ま
れるのである。なお、一層好適には、上記の中心間隔は
4(mm) 以下である。このようにすれば、温度バラツキを
3(℃) 程度以下を一層小さくできる。また、更に好適に
は、上記の中心間隔を3(mm) 以下とすれば、温度バラツ
キを2(℃) 程度以下と一層小さくできる。
【0012】また、好適には、前記複数本の螺旋状抵抗
体層は、前記電気絶縁性基体の内周面に備えられている
ものである。このようにすれば、抵抗発熱体層が内周面
に備えられ、記録紙等に接触させられる基体の外周面に
備えられていないことから、螺旋状抵抗体層のパターン
形状に起因する外周面の凹凸が生じず、トナー定着用途
等に好適な高い平坦度を備えて記録紙への押圧力が一様
な加熱ローラが得られる。しかも、このような内面発熱
型加熱ローラでは、基体によって記録紙、接触型温度セ
ンサや加圧ローラとの摺動から抵抗発熱体層が保護され
ることから、その損傷や発熱量の変化が生じない。その
ため、トナー定着用途に適用された場合にも定着ムラが
生じ難い加熱ローラが得られる。
【0013】因みに、表面発熱型加熱ローラのように外
周面に抵抗発熱体層を設ける場合には、外周面の凹凸を
可及的に小さくする必要があるためにパターン設計の自
由度が低く、しかも、トナー定着用途においては記録紙
等との摺動に起因して抵抗発熱体層が損傷し易いのであ
る。なお、トナー定着用加熱ローラの外周面には、記録
紙表面に転写させられたトナーがその外周面に付着する
ことを防止する目的でフッ素樹脂等から成る被覆層が設
けられ、この被覆層は表面発熱型加熱ローラにおいては
抵抗発熱体層を磨耗から保護する保護層としても機能す
る。しかしながら、通常その厚さは十数 (μm)程度に過
ぎないため、保護層としての機能は短期間しか維持され
得ず、パターン形成した抵抗発熱体層の凹凸を緩和する
効果は殆ど得られないのである。
【0014】また、好適には、前記複数本の螺旋状抵抗
体層は、前記電気絶縁性基体の軸心方向の両端部間の抵
抗値が何れも同様な値である。このようにすれば、同様
な抵抗値を有して発熱量が同様な複数本の螺旋状抵抗体
層が周方向および軸心方向に沿った方向に順次配列され
ることとなるため、加熱ローラの軸心方向および周方向
における温度分布が一層一様になる。
【0015】また、好適には、前記複数本の螺旋状抵抗
体層は、前記電気絶縁性基体をその軸心回りに回転させ
た状態で、その電気絶縁性基体上に吐出細管の先端から
抵抗体ペーストを吐出しつつその吐出細管をその電気絶
縁性基体の軸心方向に沿って相対移動させることによっ
て複数本の螺旋状ペースト膜を形成し、その螺旋状ペー
スト膜を加熱処理することによって形成されたものであ
る。このようにすれば、塗布および加熱処理するだけの
簡単な工程で螺旋状抵抗体層を形成できることから、研
削加工を施してパターン形成する場合の工数の増大や電
気絶縁性基体の強度低下を抑制しつつ、抵抗発熱体層の
全抵抗値を容易に低下させ得る。すなわち、抵抗体ペー
ストを用いて電気絶縁性基体上に直接パターン形成する
場合には、前述のように製造工程が簡単である反面、螺
旋状抵抗体層の厚さや幅寸法を大きくすると固着強度の
低下し膜厚ムラが増大することから抵抗発熱体層の全抵
抗値を低下させることが一層困難であったため、本発明
を適用する効果が顕著に得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。なお、以下の実施例において、各部
の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
【0017】図1は、本発明の直接発熱型加熱ローラの
一実施例であるトナー定着用加熱ローラ(以下、加熱ロ
ーラという)10が適用された複写機のトナー定着部の
要部断面を模式的に示す図である。図において、上下に
所定の間隔をもって固定されたハウジング12,14内
に、上記加熱ローラ10と例えばアルミニウム製円柱1
6の外周面にシリコーンゴム18が固着されて成る加圧
ローラ20とが図示しない軸受により回転可能に取り付
けられており、加熱ローラ10および加圧ローラ20は
所定の力で互いに押圧されている。また、ハウジング1
2の内周面と加熱ローラ10の外周面との間隔は約1(m
m) 程度と小さくされており、ハウジング12の内周面
にはサーミスタ等から構成される温度センサ22が加熱
ローラ10に接触した状態で取り付けられて、その加熱
ローラ10の表面温度を検出し、図示しない制御回路に
より加熱ローラ10に印加される電圧が制御され、その
表面温度が適正な温度に保たれるようにされている。そ
して、図示しない転写装置によりトナーが転写された記
録紙24等が搬入口26から送り込まれると、加熱ロー
ラ10および上記加圧ローラ20間で加熱されつつ加圧
される過程でトナーに含まれる樹脂が溶融して、その記
録紙24等にトナーが定着させられる。
【0018】上記加熱ローラ10は、図2に中間部を切
り欠いて示すように、ガラス円筒28と、その円筒状の
内周面30の両端部近傍において環状に設けられた一対
の電極32、32と、その内周面30上のそれら一対の
電極32、32の間に設けられて電極32、32の間に
流された電流により発熱する抵抗発熱体層34と、トナ
ーの付着を防止するためにガラス円筒28の外周面を覆
って設けられた被覆層36とを備えている。
【0019】上記のガラス円筒28は、円筒状の外周面
を有して加熱ローラ10の基体として機能しており、例
えば、全長360(mm) 、外径30(mm)、肉厚0.6(mm) 程度の
寸法の引き抜き加工により製造された硬質ガラス[例え
ば、SiO2 72.0(wt%) 、B2O310.5(wt%) 、Al2O3 7.0(w
t%) 、および少量のアルカリ金属、アルカリ土類金属
から成り、その特性が熱伝導率 0.0026(cal/sec・cm・
℃) 、比熱 0.17(cal/g・℃) 、軟化点 790(℃) 程度
のガラス等]製円筒である。したがって、ガラス円筒2
8の内半径はr=14.4(mm)程度である。
【0020】また、前記一対の電極32、32は、例え
ばAg、Ag−Pd合金、或いはAg−Pt合金等から成るもので
あって、例えばガラス円筒28の両端よりも10(mm)程度
内側の位置から軸心方向に10(mm)程度の幅で5(μm)程度
の厚さを以て設けられている。また、前記抵抗発熱体層
34は、それぞれ電極32と同様にAg−Pd合金等から成
って螺旋状を成す(すなわち螺旋に沿って連続する)二
本の抵抗体層34a、34bから構成されたものであ
り、例えば厚さt= 16(μm)程度、線幅w=1.2(mm) 程
度の断面形状に形成されている。なお、抵抗発熱体層3
4を構成する抵抗体材料のTCRは500(ppm)程度であ
る。また、前記被覆層36は、例えば熱収縮性PFA
(パーフルオロアルコキシ樹脂)等のフッ素樹脂から成
り、例えば20〜25(μm)程度の厚さで、両端部が電極3
2、32が設けられている位置と重なるように設けられ
ている。
【0021】図3は加熱ローラ10の軸心方向に沿った
断面を模式的に示すものである。図において一点鎖線
は、抵抗発熱体層34の断面に示されている部分の中間
部すなわち断面に現れていない部分を表している。図に
示されるように、上記の二本の螺旋状抵抗体層34a、
34bは、両端部において同一の電極32、32に連続
して形成されて同時に電圧を印加され且つ発熱させられ
るようになっているが、中間部においてはガラス円筒2
8の軸心方向に沿った方向における相互の中心間隔が例
えばp=2.97(mm)程度となるように設けられて互いに電
気的に絶縁させられている。加熱ローラ10の加熱範囲
は電極間距離に等しいこの絶縁させられている範囲Wで
あり、軸心方向に沿った方向における発熱幅はW=320
(mm) 程度である。すなわち、抵抗発熱体層34は、そ
れぞれガラス円筒28の周方向に回転しつつその軸心方
向に連続する螺旋状を成し且つその軸心方向の中間部に
おいて相互に電気的に絶縁させられて二重螺旋を形成す
る二本の螺旋状抵抗体層34a、34bから構成されて
いる。上記の被覆層36は、この320(mm) 程度の発熱幅
Wの全体を覆うように、その発熱幅Wよりも広い範囲に
設けられている。
【0022】また、螺旋状抵抗体層34a、34bは、
それぞれpa =pb = 2pの互いに同様な中心間隔(ピ
ッチ)で全体として一定の中心間隔を以て設けられてお
り、ガラス円筒28の内周面30上の周方向においては
互いに180 度ずれて位置させられている。そのため、内
周面30上の発熱幅Wの範囲内では、軸心方向に沿った
方向および周方向の何れにおいても螺旋状抵抗体層34
a、34bが均等に配置されている。このように中心間
隔がpa =pb と等しいことからそれぞれの全長La、
Lbは同様な長さL=4888(mm)程度になっており、更
に、前記のように構成材料、厚さt、線幅wも同様であ
るため、螺旋状抵抗体層34a、34bのそれぞれの全
抵抗値(電極32、32間の抵抗値)Ra、Rbは同様
な値である。本実施例においては、それぞれの全抵抗値
は直流抵抗値で例えば 28(Ω) 程度であることから、こ
れらが並列して構成された抵抗発熱体層34の全抵抗値
Rは1/R=(1/Ra) +(1/Rb) で与えられて 14
(Ω) 程度である。このため、全抵抗値Rが比較的低い
ことから、加熱ローラ10の表面温度が180(℃) に上昇
するまでの立ち上がり時間が例えば10秒以下と短くなっ
ている。因みに、加熱ローラの立ち上がり時間は印加電
力P(=E2 /R)が大きいほど短くなるが、静電複写
機においては、印加電圧Eは100 或いは200(V)に限定さ
れている。したがって、図4に印加電圧E=100(V)の場
合を示すように、全抵抗値Rが高くなるほど立ち上がり
時間すなわち予熱時間が長くなるのである。
【0023】しかも、加熱ローラ10では、全抵抗値R
が低くされているにも拘わらず、前述のように抵抗発熱
体層34のピッチ(中心間隔)が、p=2.97(mm)程度と
小さくされている。そのため、ガラス円筒28の軸心方
向に沿った方向における抵抗発熱体層34のピッチpが
十分に小さいことから、その軸心方向に沿った方向の表
面温度バラツキ(すなわち最高温度と最低温度との温度
差)は極めて小さく2(℃) 以下になっている。すなわ
ち、加熱ローラ10の表面温度は熱源となる抵抗発熱体
層34から軸心方向に沿った方向に離隔するほど低下さ
せられるため、ピッチpが大きくなるほどその表面の最
低温度が低くなり延いては温度バラツキが大きくなる一
方、ピッチpが小さくなるほど最低温度が高められて温
度バラツキが小さくなるのである。ここで、多重螺旋と
するときの個々の螺旋状抵抗体層34の全長Lは下記
(1) 式で与えられる。なお、Rs は膜厚tを20 (μm)と
したときのシート抵抗値、nは螺旋状抵抗体層34の本
数であり、本実施例においてはRs =5.50(mΩ/□) 程
度、n=2である。したがって、全抵抗値Rを 14(Ω)
とするとき、前記各数値を(1) 式に代入してL=4888(m
m)程度であることから、(2) 式に従ってp=2.97(mm)程
度と定められているのである。このピッチpは、下記
(1) 、(2) 式から明らかなように、一本の螺旋状抵抗体
層から抵抗発熱体層34が構成される場合のピッチp
(n=1)=11.95(mm) に対して略n-2倍程度の大きさ
に短縮されている。すなわち、加熱ローラ10は、抵抗
発熱体層34が多重螺旋(本実施例においては二重螺
旋)で構成されることに基づいて個々の螺旋状抵抗体層
34a、34bの全長Lを長くできるため、ピッチpが
小さくなっているのである。 L= (R・w/Rs)× (t/20) ×n ・・・(1) p= 2πr/{n×[(L2 /W2)−1]1/2}・・・(2)
【0024】なお、上記(1) 、(2) 式から明らかなよう
に、抵抗発熱体層34の膜厚tを厚くすれば、単螺旋か
ら構成してもその全長Lを長くしてピッチpを短くでき
る。しかしながら、硬質ガラスから成るガラス円筒28
とAg−Pd合金等から成る抵抗発熱体層34とは熱膨張率
が大きく異なるため、膜厚tを厚くするほど焼付け時に
抵抗発熱体層34の剥離が生じ易く、不良率が増大する
という問題がある。すなわち、図5に抵抗発熱体層34
の膜厚tと抵抗剥離による不良率との関係を示すよう
に、t= 16(μm)程度を越えると不良率の増大が著しく
なる。したがって、本実施例の加熱ローラ10における
膜厚t= 16(μm)程度が実用的な膜厚の上限であり、膜
厚を厚くすることによってピッチpを短くすることはで
きない。
【0025】ところで、図6に示されるような螺旋状の
抵抗発熱体層38を備えた加熱ローラ40で加熱試験を
した結果によれば、その外周面上の任意の位置における
軸心方向に沿った表面温度は、図7に示されるように抵
抗体の存在する位置(図6における位置1〜5)で最も
高くそれらの間の中央位置で最も低くなり、温度差aが
生じる。なお、上記の加熱ローラ40は、螺旋状の抵抗
発熱体層38が一本だけとされている他は加熱ローラ1
0と同様に構成されている。この加熱ローラ40に700
(W)の電力を印加して10秒経過後の表面温度を熱電対で
測定し、温度差aとピッチpとの関係を調べた結果を図
8に示す。温度差aは前述した理由に基づいて生じるも
のであって螺旋状の抵抗体発熱層38では避けられない
が、図に示されるように、ピッチpが大きくなるほど温
度差aが増大する傾向にあって、p=4(mm) 程度を越え
ると急激な曲線を描き、5(mm) を越えると温度差aが8
(℃)にもなる。上記の図8は螺旋状の抵抗発熱体層38
が一本備えられている場合の実験結果であるが、温度差
aは専らピッチpだけで決定されるため、加熱ローラ1
0のように二本の螺旋状抵抗体層34a、34bを備え
る場合、或いは更に多数の螺旋状抵抗体層34を備える
場合にも同様な結果を期待できる。
【0026】したがって、トナー定着用途では記録紙2
4等を加熱する外周面全体を定着に適切な温度範囲に保
って定着ムラを抑制するために、例えば8(℃) 程度以下
の温度差aが望まれることから、ピッチpは少なくとも
5(mm) 以下であることが必要である。そして、加熱ロー
ラ10のようにピッチが3(mm) 以下とされていれば、2
(℃) 以下の極めて良好な温度分布が得られるのであ
る。すなわち、前記(1) 、(2) 式から明らかなように、
ピッチpはガラス円筒28の内径rが大きくなるほど長
く(荒く)なる。このため、外径が30(mm)程度と大きい
ガラス円筒28を用いている加熱ローラ10において
は、全長L延いては全抵抗値Rを外径20(mm)程度の小径
の場合と同様に保とうとするとピッチpが長くなって温
度差aが大きくなるという問題が生じる。これに対し
て、本実施例においては並列する二本の螺旋状抵抗体層
34a、34bから抵抗発熱体層34が構成されること
から、全抵抗値Rが合成抵抗として与えられて低くなる
ため、全長Lを長くしても全抵抗値Rが高くならず、全
抵抗値Rを低く保ちながらピッチpを短くできる。換言
すれば、本実施例によれば、ピッチpを大きくすること
なく全抵抗値Rを変化させ得るため、例えば従来外径30
(mm)の場合に全抵抗値Rが35〜 90(Ω)程度の範囲であ
った場合に、好適な温度分布が得られるピッチpの範囲
内で、12〜 90(Ω) と全抵抗値Rを取り得る範囲を大き
く広げることができる。なお、前記のように単螺旋から
成る抵抗発熱体層34で全抵抗値Rを 14(Ω) 程度とす
るためにp=11.95(mm) 程度となる場合には、温度差a
が少なくとも 20(℃) 以上になってトナー定着に適切な
温度を得ることが困難である。
【0027】なお、加熱ローラ10は、例えば図9に示
す工程に従って作製されたものである。先ず、工程1−
1において、例えば引き抜き加工した硬質ガラス円筒を
所定の長さに切断することにより前記の寸法・形状のガ
ラス円筒28を作製する。一方、工程1−2において、
例えばAg−Pd合金パウダを 75(wt%) 程度と、鉛系低軟
化点ガラスパウダ[軟化点 500(℃) ]を5(wt%) 程度
と、セルロース系樹脂およびターピネオール系溶剤を 2
0(wt%) 程度とを混合し、15000(cp) 程度の粘度に調整
して抵抗体ペーストを作製する。次いで、工程2におい
ては、ガラス円筒28の内周面30に抵抗体ペーストを
塗布する。この抵抗体ペーストの塗布は、例えば、図1
0に示されるように、鉤状の吐出細管42を先端に備え
た供給細管44をガラス円筒28内に挿入し、図に矢印
Rで示されるようにガラス円筒28を軸心回りに回転さ
せた状態で、図示しないペースト供給装置によってその
供給細管44を介して供給される抵抗体ペーストを吐出
細管42からその内周面30に一定の吐出圧で吐出させ
つつ、図の矢印Tで示されるように供給細管44を後退
させることで行われる。
【0028】これにより、吐出細管42がガラス円筒2
8の内周面30上を螺旋状に移動させられるが、このと
き、ガラス円筒28の回転速度および供給細管44の後
退速度やペーストの吐出圧力等は、ガラス円筒28の両
端部において抵抗体ペーストの連続膜が形成され、且つ
中間部の320(mm) 程度の領域において螺旋状の膜が形成
されると共にそれぞれ前記の膜厚が得られるように設定
される。そのため、図11に示されるように、ペースト
膜46はガラス円筒28の端部近傍の前記発熱幅Wの外
側位置においてはその軸心方向に重なりながら塗布形成
される一方、その発熱幅Wの範囲内においては一定のピ
ッチpaを以て隙間を開けて塗布形成されて螺旋状膜4
6aとなる。そして、一本の螺旋状膜46aがガラス円
筒28の両端部間の内周面30に形成された後、再び吐
出細管42をガラス円筒28内に挿入し、同様にして先
に形成した螺旋状膜46aのピッチの中間位置を通るよ
うにもう一本の螺旋状膜46b(図示せず)を形成す
る。なお、上記の図11は、一本の螺旋状膜46aが形
成された状態を示している。この図11においては、ガ
ラス円筒28の内周面30に軸心方向に連続するように
抵抗体ペーストを塗布して形成された膜46に、塗布時
の螺旋形状に従った凹凸が描かれているが、抵抗体ペー
スト46は比較的高い流動性を有するため、連続膜46
の表面は塗布直後から比較的滑らかな小さな凹凸形状と
なる。
【0029】図9に戻って、続く工程3においては、例
えばガラス円筒28を25(rpm) 程度の所定の回転速度で
回転させることにより、前記図11に示されるようにそ
の内周面30に塗布形成されたペースト膜46のレベリ
ングが行われて塗布厚さが均一にされる。次いで、工程
4においては、回転を継続したまま、例えば 80(℃)程
度の所定の温度の熱風を吹きつけて仮乾燥を施す。これ
により、塗布形成されたペースト膜46がその膜厚を維
持できる程度に乾燥させられる。その後、工程5におい
て、例えば150(℃) 程度の所定の温度の乾燥機内に静置
して完全に乾燥し、更に、工程6において、所定の温度
サイクル[例えば昇温速度 13(℃/min)、最高温度600
(℃) 程度で15分程度保持、降温速度10℃/min]にて加
熱処理(焼成)することにより、螺旋状膜46a、46
bから前記の二本の螺旋状抵抗体層34a、34bすな
わち抵抗発熱体層34が、連続膜46から前記の電極3
2、32がそれぞれ形成される。そして、工程7におい
て、例えば熱収縮性PFAチューブをガラス円筒28の
外周面に被せ、所定の温度で加熱処理して収縮させて外
周面に密着させることにより、加熱ローラ10が得られ
る。
【0030】以上、説明したように、本実施例において
は、加熱ローラ10の抵抗発熱体層34は、それぞれガ
ラス円筒28の周方向に回転しつつその軸心方向に連続
する螺旋状を成し且つその軸心方向の中間部において相
互に電気的に絶縁させられて二重螺旋を形成する二本の
螺旋状抵抗体層34a、34bから構成される。そのた
め、加熱ローラには二本の螺旋状抵抗体層34a、34
bが相互に電気的に絶縁させられて二重螺旋を形成する
ように並列に設けられることから、抵抗発熱体層34の
全抵抗値Rは並列する二本の螺旋状抵抗体層34a、3
4bの合成抵抗として 1/R=(1/Ra+ 1/Rb) で
与えられる。すなわち、個々の螺旋状抵抗体層34a、
34bの抵抗値Ra、Rbを低くすることなくその本数
に応じて全抵抗値Rを低くできる。したがって、全抵抗
値Rを低くする目的で螺旋状抵抗体層34a、34bの
幅寸法wを広くし或いは全長Lを短くする必要がないた
め、幅寸法wを広くする場合のような周方向の温度ムラ
の増大、或いは全長Lを短くする場合のような螺旋間隔
すなわちピッチpの増大延いては軸心方向の温度ムラの
増大を伴うことなく全抵抗値Rを低くできる。しかも、
一定の全抵抗値Rを得る場合には、螺旋状抵抗体層34
a、34bの本数を多くするほど各々の全長を長くして
抵抗値Ra、Rbを高くする必要があって螺旋の間隔p
が短くなるため、軸心方向の温度ムラは一層小さくな
る。更に、ガラス円筒28上には軸心方向に沿って二本
の螺旋状抵抗体層34a、34bが順次配列されること
から、それら螺旋状抵抗体層34a、34bの一方の抵
抗値に螺旋に沿ってバラツキが生じても、そのバラツキ
が他方の螺旋状抵抗体層34a、34bで緩和されるた
め、その軸心方向および周方向における抵抗値バラツキ
延いては温度ムラも生じ難くなる。上記により、軸心方
向および周方向における温度ムラが小さく且つ全抵抗値
が低い加熱ローラ10が得られる。
【0031】また、本実施例においては、二本の螺旋状
抵抗体層34a、34bは、ガラス円筒28の軸心方向
の中間部の各位置において周方向における配置が均等と
なるように設けられている。そのため、軸心方向の中間
部の各位置において二本の螺旋状抵抗体層34a、34
bが周方向に均等な位置に配列されることから、その周
方向における温度分布が一層一様になる。しかも、周方
向に均等に配置されることは図3等からも明らかなよう
に二本の螺旋状抵抗体層34a、34bの一組毎の相互
間隔が軸心方向においても一様であることを意味するた
め、その軸心方向の温度分布も一層一様となる。
【0032】また、本実施例においては、二本の螺旋状
抵抗体層34a、34bは、全体としてピッチpが2.97
(mm)程度に設けられている。そのため、軸心方向に沿っ
た方向における抵抗体層34a、34bのピッチpすな
わち配列間隔が十分に小さいことから、その軸心方向に
おける加熱ローラ10の表面温度のバラツキ範囲が2
(℃) 以下程度と小さい一層一様な温度分布が得られ
る。
【0033】また、本実施例においては、抵抗発熱体層
34すなわち二本の螺旋状抵抗体層34a、34bは、
ガラス円筒28の内周面30に備えられている。そのた
め、抵抗発熱体層34が内周面30に備えられ、記録紙
24等に接触させられるガラス円筒28の外周面に備え
られていないことから、螺旋状抵抗体層34a、34b
のパターン形状に起因する外周面の凹凸が生じず、高い
平坦度を備えて記録紙24への押圧力が一様な加熱ロー
ラ10が得られる。しかも、このような内面発熱型加熱
ローラ10では、ガラス円筒28によって記録紙24、
接触型温度センサ22や加圧ローラ20との摺動から抵
抗発熱体層34が保護されることから、その損傷や発熱
量の変化が生じない。そのため、一層定着ムラが生じ難
い加熱ローラ10が得られる。
【0034】また、本実施例においては、二本の螺旋状
抵抗体層34a、34bは、ガラス円筒28の軸心方向
の両端部間の抵抗値Ra、Rbが何れも 28(Ω) 程度と
同様な値である。そのため、同様な抵抗値を有して発熱
量が同様な二本の螺旋状抵抗体層34a、34bが周方
向および軸心方向に沿った方向に順次配列されているた
め、加熱ローラ10の軸心方向および周方向における温
度分布が一層一様になる。
【0035】また、本実施例においては、二本の螺旋状
抵抗体層34a、34bは、ガラス円筒28をその軸心
回りに回転させた状態で、そのガラス円筒28上に吐出
細管42の先端から抵抗体ペーストを吐出しつつその吐
出細管42をそのガラス円筒28の軸心方向に沿って相
対移動させることによって複数本の螺旋状ペースト膜4
6a、46bを形成し、その螺旋状ペースト膜46a、
46bを加熱処理することによって形成されたものであ
る。そのため、塗布および加熱処理するだけの簡単な工
程で螺旋状抵抗体層34a、34bが形成されることか
ら、研削加工を施してパターン形成する場合の工数の増
大やガラス円筒28の強度低下を抑制しつつ、抵抗発熱
体層34の全抵抗値Rを容易に低下させ得る。
【0036】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0037】例えば、前述の実施例においては、抵抗発
熱体層34が二本の螺旋状抵抗体層34a、34bから
構成されていたが、螺旋状抵抗体層34の本数は所望の
温度差a以下となるピッチpが得られるように、全抵抗
値R、ガラス円筒28の内径、膜厚t、抵抗体材料等に
応じて適宜定められる。なお、実施例においては、二本
の螺旋状抵抗体層34a、34bを一本の吐出細管42
および供給細管44で順次塗布形成していたが、例え
ば、螺旋状抵抗体層の本数に応じた本数の吐出細管42
および供給細管44を同時にガラス円筒28内に挿入し
て複数本の螺旋状抵抗体層を同時に形成してもよい。
【0038】また、実施例においては、抵抗発熱体層3
4が発熱幅Wの範囲内において一定のピッチpで設けら
れていたが、軸心方向における使用時の温度バラツキを
考慮して両端部と中央部とのピッチpを異なるものとし
てもよい。
【0039】また、実施例においては、螺旋状抵抗体層
34a、34bが周方向における配置が均等となるよう
に設けられていたが、必ずしも均等に配置されていなく
ともよい。すなわち、本発明によれば、抵抗発熱体層3
4の螺旋状抵抗体層の本数nの二乗に略比例してピッチ
pを飛躍的に短くできることから、たとえ均等に配置さ
れていなくとも、従来の単螺旋から構成されている場合
に比較すれば十分に温度バラツキが抑制される。
【0040】また、実施例においては、抵抗発熱体層3
4のピッチpが2.97(mm)程度とされていたが、ピッチp
の大きさは許容される温度差a等に応じて適宜変更され
る。但し、トナー定着用に用いる場合には、温度差aが
8(℃) 以下であることが望まれるため、p≦5(mm) に設
定されることが望ましい。
【0041】また、実施例においては、ガラス円筒28
の内周面30に抵抗発熱体層34が備えられた内面発熱
型加熱ローラ10に本発明が適用された場合を説明した
が、本発明は表面発熱型加熱ローラにも同様に適用され
る。この場合には、本発明によればピッチpを小さくで
きることから、パターンに起因する凹凸を容易に緩和で
きるため、表面発熱型においても高い平坦度を得ること
が容易となる。
【0042】また、実施例においては、電極32、32
と抵抗発熱体層34とが同一材料から構成されていた
が、これらは相互に別材料から構成されていても差し支
えない。
【0043】また、実施例においては、抵抗発熱体層3
4の表面上(加熱ローラ10の内周表面上)には何等保
護層が形成されていなかったが、抵抗発熱体層34の耐
久性を向上させるために低軟化点ガラスや耐熱・電気絶
縁性樹脂等から成る保護層を形成しても良い。
【0044】また、実施例においては、円筒状の電気絶
縁性基体として硬質ガラスから成るガラス円筒28が用
いられていたが、抵抗発熱体層34が設けられる面(実
施例においては内周面30、表面発熱型においては外周
面)が電気絶縁性を有する円筒状体であれば、種々の材
料から電気絶縁性基体を構成することができる。例え
ば、ホーロ−等の絶縁皮膜が少なくとも抵抗発熱体層3
4の形成面に施された金属管や、アルミナ、ムライト、
ステアタイト等のセラミック円筒等から電気絶縁性基体
を構成しても良い。
【0045】また、実施例においては、本発明がトナー
定着用加熱ローラ10の製造に適用された場合を説明し
たが、本発明は、円筒状の電気絶縁性基体上に抵抗発熱
体層34が設けられてその外周面を用いて均等に押圧し
つつ加熱する種々の加熱ローラに適用され得る。
【0046】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更が加えられるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の加熱ローラが用いられる複
写機等のトナー定着部の構造を模式的に示す図である。
【図2】図1の加熱ローラの構造を一部切り欠いて示す
図である。
【図3】図2の加熱ローラの軸心方向に沿った断面構造
を示す図である。
【図4】図2の加熱ローラにおいて全抵抗値と立ち上が
り時間との関係を説明する図である。
【図5】抵抗発熱体層の膜厚と不良率との関係を説明す
る図である。
【図6】温度分布評価用の加熱ローラの構成を説明する
図である。
【図7】図6の加熱ローラの軸心方向の温度バラツキを
説明する図である。
【図8】図6の加熱ローラにおいて抵抗発熱体層のピッ
チと温度バラツキとの関係を説明する図である。
【図9】図2の加熱ローラの製造方法を示す工程流れ図
である。
【図10】図9の製造工程におけるペースト塗布方法を
説明する図である。
【図11】ガラス円筒の内周面にペースト膜が形成され
た状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10:トナー定着用加熱ローラ(直接発熱型加熱ロー
ラ) 28:ガラス円筒(電気絶縁性基体) 34:抵抗発熱体層 34a、34b:螺旋状抵抗体層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の外周面を有する電気絶縁性基体
    上に抵抗発熱体層が備えられ、該抵抗発熱体層によって
    直接的に発熱させられた該電気絶縁性基体の該外周面を
    用いて均等に押圧しつつ加熱する直接発熱型加熱ローラ
    であって、 前記抵抗発熱体層は、それぞれ前記電気絶縁性基体の周
    方向に回転しつつその軸心方向に連続する螺旋状を成し
    且つ該軸心方向の中間部において相互に電気的に絶縁さ
    せられて多重螺旋を形成する複数本の螺旋状抵抗体層か
    ら構成されることを特徴とする直接発熱型加熱ローラ。
  2. 【請求項2】 前記複数本の螺旋状抵抗体層は、前記電
    気絶縁性基体の軸心方向の中間部の各位置において周方
    向における配置が均等となるように設けられたものであ
    る請求項1の直接発熱型加熱ローラ。
  3. 【請求項3】 前記複数本の螺旋状抵抗体層は、前記電
    気絶縁性基体の軸心方向に沿った方向において隣接して
    位置するもの相互の中心間隔が5(mm) 以下となるように
    設けられたものである請求項1または2の直接発熱型加
    熱ローラ。
  4. 【請求項4】 前記複数本の螺旋状抵抗体層は、前記電
    気絶縁性基体の内周面に備えられているものである請求
    項1乃至3の何れかの直接発熱型加熱ローラ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008015086A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Fuji Xerox Co Ltd 加熱部材、定着装置、及び画像形成装置
JP2017223820A (ja) * 2016-06-15 2017-12-21 キヤノン株式会社 加熱回転体及び画像加熱装置

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