JP2008015086A - 加熱部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

加熱部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】例えば、使用時の繰り返し曲げ変形に対する耐久性に優れた加熱部材、耐久性に優れ、画像欠陥を生じ難い定着装置、及び耐久性に優れ、画像欠陥を生じ難い画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に用いられ、電磁誘導により加熱する加熱部材であって、扁平な断面形状を有する金属線5131が螺旋状に巻き上げられて形成された金属層513を備えることを特徴とする定着ベルト51。
【選択図】図4

Description

本発明は、加熱部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
搬送される記録材に画像を定着させる際に用いられる加熱部材や定着装置としては、従来から多くの提案がなされている。
公報記載の従来技術として、電磁誘導を用いた加熱方式の定着装置が提案されている(特許文献1参照)。この定着装置は、電磁誘導によって発生する渦電流による発熱を利用するものであり、効率よく安定的な定着処理が可能な定着装置である。
また、電磁誘導を用いてベルトを発熱させる、ベルト定着装置が提案されている(特許文献2参照)。同文献において、電磁誘導により発熱するベルトの金属発熱層は、めっき法、真空蒸着法、スパッタ法により形成されるものである。
更に、電磁誘導により発熱するベルトの金属発熱層(Cuを含む金属層等)を、電解めっき法により形成することが提案されている(特許文献3参照)。
また更に、上記のようなベルト定着装置に用いられる無端状ベルトの発熱層を、金属を含む繊維状部材で網目状に形成することが提案されている(特許文献4参照)。
特公平5−9027号公報 特開平7−114276号公報 特開2004−70155号公報 特開2005−189404号公報
本発明の目的とするところは、使用時の繰り返し曲げ変形に対する耐久性に優れた加熱部材等を提供することにある。
かかる目的に鑑み、本発明の加熱部材は、画像形成装置に用いられ、電磁誘導により加熱する加熱部材であって、扁平な断面形状を有する金属線が螺旋状に巻き上げられて形成された金属層を備えることを特徴としている。
また、本発明は、定着装置と捉えることができ、本発明の定着装置は、扁平な断面形状を有する金属線が螺旋状に巻き上げられて形成された金属層を有し、記録材上にトナー像を定着させる定着部材と、定着部材に対向して接する加圧部材と、金属層を電磁誘導により発熱させる励磁コイルとを備えることを特徴としている。
更に、本発明は、画像形成装置と捉えることができ、本発明の画像形成装置は、静電潜像保持体と、静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、静電潜像保持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、トナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材上に定着する定着装置と、金属層を電磁誘導により発熱させる励磁コイルとを備え、定着装置は、扁平な断面形状を有する金属線が螺旋状に巻き上げられて形成された無端状の金属層を有する定着ベルトを備えることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、耐久性の良好な加熱部材を提供することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、耐久性に優れ、しかも画像欠陥を生じ難い定着装置を提供することができる。
更に、請求項3に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、耐久性に優れ、しかも画像欠陥を生じ難い画像形成装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。これは所謂タンデム型、所謂中間転写型の画像形成装置である。本実施の形態に係る画像形成装置は、例えば電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数の画像形成ユニット10(具体的には10Y,10M,10C,10K)と、各画像形成ユニット10にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20とを備える。また、本実施の形態に係る画像形成装置は、中間転写ベルト20上に転写された重ね画像を記録材としての用紙P上に二次転写(一括転写)させる二次転写装置30と、二次転写装置30に供給される用紙Pを収容する用紙トレイ40と、二次転写装置30により用紙P上に転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置50とを備える。
本実施の形態において、各画像形成ユニット10は、感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)とを備える。また、各画像形成ユニット10は、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像を可視像化する現像器14と、感光体ドラム11上の各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ロール15とを備える。更に、各画像形成ユニット10は、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するクリーナとしてのドラムクリーナ16と、残留トナーが除去された感光体ドラム11表面を除電する除電器17とを備える。各画像形成ユニット10は、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール15、ドラムクリーナ16、及び除電器17といった電子写真用デバイスを、矢線A方向に回転する像保持体としての感光体ドラム11の周囲に、矢線A方向に沿って順次配設したものである。
感光体ドラム11は、金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層を形成したものからなる。
帯電器12は、感光体ドラム11に対して放電を行うことで、感光体ドラム11を例えば−500Vに帯電させるようになっている。
レーザ露光器13は、画像信号に応じた露光を行い、帯電器12によって帯電された感光体ドラム11の表面電位を例えば−200Vへ落とすことで、画像情報に応じた静電潜像を形成する。
現像器14は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーと、磁性体を半導電性の物質でコートしてなるキャリアとを含む二成分現像剤を内蔵する。現像器14は、これらキャリアおよびトナーを攪拌し互いに摩擦させることでトナーを負極性に帯電させる。帯電されたトナーは、その後、現像スリーブ上を搬送され、現像スリーブに印加される現像バイアスにより感光体ドラム11表面の露光部に反転現像される。
一次転写ロール15は、例えば発泡ウレタンゴムからなり、その抵抗値は10Ω〜10Ωに調整されている。
ドラムクリーナ16は、感光体ドラム11の回転方向(A方向)に対向する方向(所謂ドクター方向)に突出して配置されるブレード部材としてのドラムクリーニングブレード16aを有している。
本実施の形態において、中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では3つ)の支持ロール21〜23に掛け渡され、矢線B方向に循環するようになっている。ここで、支持ロール21は中間転写ベルト20の駆動ロールである。また、支持ロール22は中間転写ベルト20の張力を調整するテンションロールである。更に、支持ロール23が後述するように二次転写装置30のバックアップロールである。
ここで、中間転写ベルト20は、ポリイミドあるいはポリアミド等からなる単層ベルトであり、その厚みは、例えば、0.1mmに設定される。また、一次転写ロール15には、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアス(本実施の形態では正極性)が印加されるようになっている。このような逆極性の一次転写バイアスの印加により、感光体ドラム11上のトナー像は、中間転写ベルト20に静電吸引される。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいて各々形成され、中間転写ベルト20に夫々順次静電吸引された各トナー像は、中間転写ベルト20上において重ねトナー像を形成する。
本実施の形態において、二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー担持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール23とを備える。バックアップロール23には、二次転写バイアスを印加する金属製の給電ロール32が接して配置されている。また、二次転写ロール31には、ロールクリーナ33が隣接して配設され、二次転写時に二次転写ロール31に付着したトナー等が除去されるようになっている。
二次転写ロール31は、接地された導電性ロールである。その表面電位を常に接地電位と等電位に保つため、その体積抵抗率は10Ω・cm以下の低抵抗であることが望ましい。
バックアップロール23は、絶縁性ロールに半導電性の薄層フィルムを被覆して形成される。この薄層フィルムは、厚さ10μm〜200μmに形成され、又、その表面抵抗率は10Ω/□〜1011Ω/□(□:単位面積)に調整される。
ロールクリーナ33は、ポリウレタン製のロールクリーニングブレード33aを備える。
二次転写装置30の、中間転写ベルト20の移動方向下流側には、二次転写後の中間転写ベルト20の表面をクリーニングするベルトクリーナ34が設けられている。このベルトクリーナ34は、中間転写ベルト20の循環方向(B方向)に対向する方向(ドクター方向)に突出して配置されるベルトクリーニングブレード34aを有している。
また、二次転写装置30の、中間転写ベルト20の移動方向上流側には、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)における画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)35が配置されている。この基準センサ35は、中間転写ベルト20の非画像部に設けられた所定のマーク20aを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部(図示せず)からの指示により、各画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)が画像形成を開始するように構成されている。
本実施の形態における用紙搬送系は、用紙トレイ40に収容された用紙Pを給紙ロール41にて所定のタイミングで繰り出し、搬送ロール42及び二次転写装置用搬送シュート43を介して二次転写装置30へと搬送する。また、用紙搬送系は、二次転写後の用紙Pを、定着装置用搬送シュート44を介して定着装置50へと搬送する。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作像プロセスについて説明する。ユーザによりスタートスイッチ(図示せず)がオン操作されると、所定の作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置をデジタルカラー複写機として構成する場合には、まず、図示しない原稿台にセットされる原稿から、カラー画像読み取り装置(図示せず)により、カラー画像が信号として読み取られる。次いで、読み取られた信号は、画像信号処理によって色毎のデジタル画像信号に変換され、該当する画像形成ユニットのレーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。なお、この画像形成装置をカラープリンタとして構成する場合には、外部から入力される画像信号に基づいて各色のトナー像作成を行わせるようにすればよい。
各感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置において、中間転写ベルト20上に転写される。より具体的には、一次転写位置において、一次転写ロール15より印加される一次転写バイアスにより、トナー像が感光体ドラム11の表面から中間転写ベルト20表面へと転写される。この場合、中間転写ベルト20表面に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト20上で重ね合わされ、中間転写ベルト20の循環に伴って二次転写位置へと搬送される。なお、一次転写後の感光体ドラム11は、ドラムクリーナ16によって残留トナーが除去された後、除電器17によって除電される。
一方、用紙Pは、所定のタイミングで二次転写装置30へと搬送される。中間転写ベルト20(バックアップロール23)に対して二次転写ロール31が用紙Pを押し付ける。そして、二次転写ロール31とバックアップロール23との間に形成される二次転写電界の作用で、中間転写ベルト20に担持された重ねトナー像は用紙Pに二次転写される。その後、トナー像が転写された用紙Pは定着装置50へと搬送され、トナー像の定着が行われる。一方、二次転写後の中間転写ベルト20表面に残留する残留トナーは、ベルトクリーナ34によって除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置50について説明する。図2は、本実施の形態に係る定着装置50の概略構成図である。図2に示すように、定着装置50の主要部は、加熱部材の一例としての定着ベルト51と、定着ベルト51に加圧する加圧ロール52と、加圧ロール52から定着ベルト51を介して押圧される圧力パッド53と、定着ベルト51を発熱させる磁場発生ユニット60とにより構成されている。磁場発生ユニット60には、定着ベルト51の外周面に近接して配設されて交流磁界を発生させる励磁コイル61が含まれている。また、加圧ロール52は定着ベルト51に対向するように配置され、定着ベルト51との間に接触部Nを形成している。
また、図2においては、剥離の補助手段として接触部Nの下流側に剥離部材70が設置されている。剥離部材70は、定着ベルト51の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に、定着ベルト51と近接する状態で配置される剥離バッフル71と、剥離バッフル71を保持するホルダ72とで構成されている。かかる剥離部材70は、定着ベルト51から剥離された用紙Pを完全に定着ベルト51から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導する。
図2において、加圧ロール52は、図示しない駆動モータにより矢印C方向に、例えば140mm/sのプロセススピードで回転する。そして、この回転に由来する摩擦力によって定着ベルト51も矢印C’方向に回転する。図1に示した画像形成装置の二次転写装置30において、トナー像が静電転写された用紙Pは、定着装置用搬送シュート44により接触部Nに導かれる。そして、用紙Pが接触部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像は接触部Nに作用する圧力と、定着ベルト51から供給される熱とによって定着される。
図2において、定着ベルト51は、定着ベルト51の内部に配置された圧力パッド53と、ベルトガイド部材54と、定着ベルト51の両側端部に配置されたエッジガイド部材(図示せず)とによって循環自在に支持されている。
ここで、定着ベルト51の内周面と圧力パッド53との間には、定着ベルト51の内周面と圧力パッド53との摺動抵抗(摩擦抵抗)を小さくする観点から、低摩擦シート55が設置されている。
また、定着ベルト51の内部には潤滑剤塗布部材56が配設されている。潤滑剤塗布部材56は、定着ベルト51内周面に対して接触するように配置され、定着ベルト51内周面に潤滑剤を適量供給する。これにより、定着ベルト51と低摩擦シート55との間に潤滑剤が供給され、低摩擦シート55を介した定着ベルト51と圧力パッド53との摺動抵抗が低減されることとなり、定着ベルト51の円滑な循環が図られる。また、潤滑剤の供給は、定着ベルト51の内周面や低摩擦シート55表面の摩耗を抑制する効果も有している。
なお、定着装置50において、圧力パッド53、ベルトガイド部材54、低摩擦シート55、及び潤滑剤塗布部材56は、ホルダ57に保持されている。
定着ベルト51は、継ぎ目に起因する欠陥が出力画像に生じないように、原形が円筒形状に形成された、例えば直径が30mmの継ぎ目がないエンドレスベルトとして形成されている。なお、定着ベルト51については後に詳述する。
圧力パッド53は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体や、板バネ等を用いて構成することができる。より具体的には、例えば、ゴム硬度が20°(JIS−A)のシリコーンゴムを用い、その幅は8.5mm、厚みは5mm程度とすることができる。
図2において、圧力パッド53の加圧ロール52側の面は、略フラットな平面状に形成されている。また、図2において、接触部Nを通過した後の定着ベルト51は、接触部Nを通過直後に急激な曲率の変化を生じている。
ベルトガイド部材54を形成する素材としては、定着ベルト51の内周面と擦れるため、摩擦係数が低く、かつ、定着ベルト51から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適している。具体的には、例えば、PFAやPPS等の耐熱性樹脂を用いることができる。
低摩擦シート55を形成する素材としては、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、例えば、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、また、ガラス繊維にフッ素樹脂からなるスカイブフィルムシートを加熱融着サンドした積層シート、等を用いることができる。なお、低摩擦シート55は、圧力パッド53に対し、別体に構成しても、一体に構成してもよい。図2において、低摩擦シート55は圧力パッド53と別体に構成され、両端がホルダ57に固定されている。
また、低摩擦シート55は、表面に凹凸を有するとともに、潤滑剤に対する浸潤性、透過性のない材質で形成されることが望ましい。
潤滑剤塗布部材56により供給される潤滑剤としては、定着温度環境下での長期使用に対する耐久性を有し、かつ、定着ベルト51内周面との濡れ性を維持できるものが適している。例えば、シリコーンオイルやフッ素オイル等の液体状オイル、固形物質と液体とを混合させたグリース等、更には、これらを組み合わせたものを用いることができる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等が挙げられるが、摺動抵抗を低減させる効果や取り扱い性の観点から、アミノ変性シリコーンオイルが好適である。
一方、本実施の形態において、加圧ロール52は金属製のコア(中実の芯金)521の周囲に耐熱性弾性体層522、および離型層523を積層して構成されている。
コア521を形成する素材としては、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属が挙げられる。また、コア521の外径としては、通常、10mm〜30mmである。 なお、コア521の形態としては円筒状の形態を採用することもでき、その場合の肉厚としては、アルミニウムを用いた場合で通常1mm〜3mm程度であり、SUSや鉄を用いた場合で通常0.5mm〜1.5mm程度である。
耐熱性弾性体層522を構成する素材としては、耐熱性の高い弾性体を好適に用いることができる。特に、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましく、具体的には、例えば、シリコーンスポンジ、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。なお、耐熱性弾性体層522の厚さとしては、通常、0.5mm〜5mm程度である。
離型層523を構成する素材としては、耐熱性ゴムや耐熱性樹脂を好適に用いることができる。耐熱性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができるが、離型層523のトナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)や、それらの複合材料が挙げられる。また、フッ素樹脂としては、それらの樹脂にカーボンやアルミナ、硫酸バリウムのようなフィラーを配合したものも用いることができる。
離型層523の厚みとしては、好ましくは10μm〜100μm、より好ましくは20μm〜80μmである。
磁場発生ユニット60は、磁界を発生させる励磁コイル61と、励磁コイル61を保持するコイル支持部材62と、励磁コイル61に電流を供給する励磁回路63とで構成されている。磁場発生ユニット60は、断面が定着ベルト51の形状に沿って湾曲している形状で形成され、定着ベルト51の外周表面と0.5〜2mm程度の間隙を保持して設置される。また、磁場発生ユニット60は、定着ベルト51の移動方向と直交する方向を長手方向として、定着ベルト51の全幅に亘って伸びた長方形状で形成されている。
励磁コイル61としては、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を20本束ねたリッツ線を長円形状や楕円形状、長方形状等の閉ループ状に巻いたものが用いられる。そして、励磁コイル61は接着剤によって固められ、その形状を維持している。
この励磁コイル61には、励磁回路63によって所定の周波数の交流電流が印加される。これによって励磁コイル61の周囲には交流磁界Hが発生する。なお、励磁コイル61に印加される交流電流の周波数としては、例えば、10kHz〜50kHz程度である。
コイル支持部材62としては、耐熱性のある非磁性材料で構成するのが好ましい。より具体的には、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、又は、これらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂を用いることができる。なお、励磁コイル61で発生した磁束Hを効率よく集中させ、定着ベルト51に対する加熱効率を上げる観点から、コイル支持部材62の中央部にフェライト等の強磁性体を配設してもよい。
次いで、本実施の形態の定着ベルト51の構成について詳述する。
図3は、本実施の形態に係る定着ベルト51の概略構成図である。図3に示すように、定着ベルト51は、最外層を形成して加圧ロール52に表面が接する離型層511と、離型層511の内側に積層される弾性層512と、弾性層512の内側に積層される金属層513と、金属層513の内側に積層され、低摩擦シート55に内表面が接する基材層514とを備える。
離型層511を形成する素材としては、優れた耐熱性と表面離型性とを得る観点から、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられる。フッ素樹脂としては、例えば、PFA、PTFE、FEPや、それらの複合材料、又は、それらの樹脂にカーボンやアルミナ、硫酸バリウムのようなフィラーを配合したものを挙げることができる。また、離型層511の厚みとしては、通常5μm〜30μm、好ましくは10μm〜20μmである。
なお、このような離型層511の形成方法としては、例えば、静電粉体塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、遠心製膜法等が適用される。
弾性層512を形成する素材としては、優れた耐熱性と弾性とを得る観点から、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられる。弾性層512の厚みとしては、通常50μm〜300μm、好ましくは100μm〜200μmである。
なお、このような弾性層512の形成方法としては、例えば、リング塗布法、フローコート法、浸漬塗布法、注入成型法等が適用される。
基材層514を形成する素材としては、特に限定されるものではなく、無機材料、有機材料、及びそれらの複合材料のいずれも使用することができる。中でも、機械的強度を確保し得る材料を用いることが好ましい。そのような好ましい材料としては、例えば有機材料として、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン等の合成樹脂等を挙げることができる。なお、基材層514の厚みとしては、通常30μm〜100μm、好ましくは50μm〜80μmである。
次に、金属層513について詳述する。図4は、扁平な断面形状を有する金属線が金属層513を形成する様子を説明するための図であり、図4(A)は金属層513の平面図、図4(B)は図4(A)におけるX−X断面図である。なお、説明の便宜上、金属層513に隣接して積層される基材層514や弾性層512については、図示を省略している。また、本実施の形態において「扁平」とは、「平たい状態」を指す語句として使用されている。そして、「扁平な断面形状」には、楕円形状、矩形状(角部が曲線で構成されている形状を含む)、多角形状(角部が曲線で構成されている形状を含む)が含まれる。一方、上記楕円形状には円形の断面形状は含まれない。また、上記矩形状には正方形の断面形状は含まれず、上記多角形状には正多角形は含まれない。
図4において金属層513は、テープ形状の金属線5131が螺旋状に巻き上げられて形成されている。金属線5131を形成する素材としては、電磁誘導加熱によって良好に発熱するといった観点から、例えば、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、チタン、コバルト、錫、鉛、又はこれらの合金の金属材料が好適に用いられる。
なお、テープ形状の金属線5131を螺旋状に巻き上げる際の間隔(互いに隣接する金属線5131間に存する溝部の幅)としては、通常50μm以下、好ましくは30μm〜0μmである。当該間隔が過度に大きいと、定着画像に欠陥が生じる場合がある。
上記螺旋の軸方向に沿った金属線5131の幅Lとしては、通常10μm〜100μm、好ましくは30μm〜50μmである。また、上記螺旋の軸方向に対して直交する方向に沿った、金属線5131の高さHとしては、通常5μm〜50μm、好ましくは7μm〜20μmである。
更に、上記Lと上記Hとの比(アスペクト比,L/H)としては、通常、20/1〜5/1、好ましくは10/1〜7/1である。当該アスペクト比が上記範囲を逸脱すると、定着画像に欠陥が生じる場合がある。
このような金属層513の形成方法としては、例えば、金属材料を塑性加工(圧延)法により扁平な断面形状を有するテープ状の金属線材に加工した後、例えば、円筒状の芯材の表面に巻き上げる方法が挙げられる。
ここで、圧延法を用いて形成された金属線材を用いて形成された金属層513は、めっき法等により形成された金属層よりもクラック等が生じ難く、より耐久性に優れた金属層となり得る。また、扁平な断面形状を有するテープ状の金属線材を用いて巻き上げ形成された金属層513の表面は、円形の断面形状を有する金属線材を用いて巻き上げ形成された金属層の表面に比べ、より凹凸が少なくなる傾向となる。
なお、圧延法を用いてシームレスパイプを薄肉に成形することを考えた場合、成形されるパイプの厚みとしては、一般に、30μm〜40μm程度が限界と考えられている。上記のような形成方法を採用することにより、高強度の成形品が得られるという圧延法の特色を損なうことなく、より薄い厚みを有するシームレスパイプ(無端ベルト)の形成が可能である。
更に、金属層513を形成する際には、金属線5131を無端状に巻き上げた後、熱処理を施して隣接する金属線間の接点を拡散接合することができる。このような拡散接合により、金属層513全体としての機械的強度や、電気伝導度の均一性を改善することができる。
ここで、拡散接合を行なう際の熱処理温度としては、使用する金属線の素材により適宜設定されるが、通常600℃〜1200℃、好ましくは800℃〜1000℃である。
なお、本実施の形態における金属層513は、金属線5131が1層の状態で巻き上げられて形成されたものである(図4(B))が、積層数としては2以上とすることも可能である。
ここで、金属層513をそのような複数層の態様で形成する場合、第1層目を形成する金属線5131と第2層目を形成する金属線5131とが交差するように金属線5131を巻回することが、金属層513の表面の平滑度を向上させる観点、金属層513の機械的強度を改善する観点、又は、上記拡散接合による電気伝導度の均一性向上効果をより良好に実現する観点から好適である。
本実施の形態において、定着ベルト51は4層構造を有するものであるが、本実施の形態の目的を損なわない範囲で他の層構成を採用することもできる。離型層511、弾性層512、及び基材層514のいずれか1層又は2層以上については、適宜省略することも可能である。
ここで、定着ベルト51の最内層が金属層513にて形成される場合、定着ベルト51の内側の表面に金属層513表面の凹凸面がそのまま現われることとなる。この場合、かかる凹凸面は潤滑剤塗布部材56により供給されるオイル(潤滑剤)を良好に保持し得ることとなり好適である。
なお、本実施の形態においては加熱部材としての定着ベルトを例示したが、本実施の形態の金属層513を、定着ベルト以外の加熱部材に転用することも可能である。また、その態様としても無端ベルトに限定されるものではない。定着装置の構成によっては、シート状の金属層を形成することも可能である。
以下、実施例により本実施の形態を具体的に説明する。但し、本実施例は、本実施の形態を限定するものではない。
(実施例1)
まず、図3に示す構成の定着ベルト51を形成した。線径80μmの無酸素銅線を圧延加工し、厚さ20μm、幅300μmのテープ状に加工した。このテープ材を、外径30mmのアルミナ製のパイプの表面に巻き上げて無端状ベルトを形成した。更に、この無端状ベルトを700℃の不活性雰囲気にて2時間熱処理し、テープ材同士の接点を拡散接合した。このようにして、内径30mm、長さ340mm、肉厚50μmの無端状ベルト(金属層513)を形成した。
次に、上記無端状ベルトの内面に、市販のポリイミド前駆体溶液(UワニスS、宇部興産社製)を塗布し、塗布膜を形成した。更に、この塗布膜を100℃で30分間乾燥し、前記塗布膜中の溶剤を揮発させた後、380℃で30分間焼成することにより、イミド化反応を進行させて膜厚50μmのポリイミド皮膜(基材層514)を形成した。
次に、上記無端状ベルトの外面に、JISタイプAで規定される硬度が35°となるように調整された液状シリコーンゴム(KE1940−35、液状シリコーンゴム35°品、信越化学工業社製)を膜厚が200μmとなるように塗布し、乾燥させた。
更に、上記乾燥したシリコーンゴム膜上に、PFAディスパージョン(500CL、三井・デュポンフロロケミカル社製)を膜厚30μmとなるように塗布した。その後、380℃で焼成することにより、シリコーンゴムからなる弾性層(弾性層512)と、PFAからなる離型層(離型層511)とを備える定着ベルト51を得た。
得られた定着ベルト51の表面について、表面粗さ測定機としてサーフコム(東京精密社製)を用い、JIS B0601(2001年)に準拠し、測定長0.4mm、測定速度0.3mm/s、カットオフ波長0.8mmの測定条件にて、その算術平均表面高さRaを測定したところ、Ra=0.039μmであった。
こうして作製された定着ベルト51を、図2に示す態様の定着装置50に装着した。
ここで、エッジガイド部材(図示せず)、及びホルダとしては、交流電流による誘導起電力の発生がなく、定着温度領域での耐熱性を有する樹脂(PPS等)を用いて形成した。
また、加圧ロール52については、フッ素樹脂チューブ(離型層523)と、金属製の中空芯金コア(コア521)とを成形金型内にセットし、当該フッ素樹脂チューブと中空芯金コアとの間に液状発泡シリコーンゴムを注入して形成したものを用いた。用いたフッ素樹脂チューブは、内面に接着用プライマーを塗布した外径50mm、長さ340mm、厚さ30μmのチューブであった。また、液状発泡シリコーンゴムの注入後の厚みは2mmであった。液状発泡シリコーンゴムの注入後、更に加熱処理(150度×2hrs)を施してシリコーンゴムを加硫、発泡させ、弾性層(耐熱性弾性体層522)を形成した。
更に、こうして作製された定着装置50を、画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620)に装着した。
得られた画像形成装置につき、定着ベルト51を電磁誘導加熱した状態で連続200時間空回転させる、電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。その結果、200時間空回転させた後でも、発熱層(金属層513)のクラックや永久変形による発熱不良故障は発生せず、安定した電磁誘導加熱による定着を行うことができた。
(実施例2)
線径50μmの炭素鋼線材を圧延加工し、厚さ20μm、幅200μmのテープ状に加工した。このテープ材を、外径30mmのアルミナ製のパイプの表面に巻き上げて無端状ベルトを形成した。更に、この無端状ベルトを1000℃の不活性雰囲気にて2時間熱処理し、テープ材同士の接点を拡散接合した。このようにして、内径30mm、長さ340mm、肉厚50μmの無端状ベルト(金属層513)を形成した。
その他の事項については、上記実施例1と同様にして定着装置50を形成し、画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620)に装着した。なお、得られた定着ベルトの算術平均表面高さRaは0.033μmであった。
得られた画像形成装置につき、定着ベルト51を電磁誘導加熱した状態で連続200時間空回転させる、電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。その結果、200時間空回転させた後でも、発熱層(金属層513)のクラックや永久変形による発熱不良故障は発生せず、安定した電磁誘導加熱による定着を行うことができた。
(実施例3)
線径60μmのCu−Ni20%線材を圧延加工し、厚さ20μm、幅200μmのテープ状に加工した。このテープ材を、外径30mmのアルミナ製のパイプの表面に巻き上げて無端状ベルトを形成した。更に、この無端状ベルトを800℃の不活性雰囲気にて3時間熱処理し、テープ材同士の接点を拡散接合した。このようにして、内径30mm、長さ340mm、肉厚60μmの無端状ベルト(金属層513)を形成した。
その他の事項については、上記実施例1と同様にして定着装置50を形成し、画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620)に装着した。なお、得られた定着ベルトの算術平均表面高さRaは0.035μmであった。
得られた画像形成装置につき、定着ベルト51を電磁誘導加熱した状態で連続200時間空回転させる、電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。その結果、200時間空回転させた後でも、発熱層(金属層513)のクラックや永久変形による発熱不良故障は発生せず、安定した電磁誘導加熱による定着を行うことができた。
(実施例4)
線径70μmのAl線材を圧延加工し、厚さ20μm、幅250μmのテープ状に加工した。このテープ材を、外径30mmのアルミナ製のパイプの表面に巻き上げて無端状ベルトを形成した。このようにして、内径30mm、長さ340mm、肉厚60μmの無端状ベルト(金属層513)を形成した。
その他の事項については、上記実施例1と同様にして定着装置50を形成し、画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620)に装着した。なお、得られた定着ベルトの算術平均表面高さRaは0.072μmであった。
得られた画像形成装置につき、定着ベルト51を電磁誘導加熱した状態で連続200時間空回転させる、電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。その結果、200時間空回転させた後でも、発熱層(金属層513)のクラックや永久変形による発熱不良故障は発生せず、安定した電磁誘導加熱による定着を行うことができた。
(比較例1)(Cuメッキ)
30mmφの円筒状ステンレス型の表面に、市販のポリイミド前駆体溶液(UワニスS、宇部興産社製)を塗布し、塗布膜を形成した。更に、この塗布膜を100℃で30分間乾燥し、前記塗布膜中の溶剤を揮発させた後、380℃で30分間焼成することによりイミド化反応を進行させた。冷却後、ステンレス型表面からポリイミド皮膜を剥離させることにより、内径30mmφ、膜厚60μmのポリイミドチューブ(基材層514)を形成した。
次に、上記ポリイミドチューブの外面に、膜厚が0.3μmの無電解銅めっき膜を形成した。更に、このめっき膜を電極として膜厚が10μmの電解銅めっき膜(金属層513に対応する層)を形成した。
その他の事項については、上記実施例1と同様にして定着装置を形成し、画像形成装置(富士ゼロックス製、Docu Print C620)に装着した。
得られた画像形成装置につき、定着ベルトを電磁誘導加熱した状態で連続200時間空回転させる、電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。その結果、50時間空回転させた時点で発熱層(金属層513に対応する層)にクラックが発生し、発熱不良故障が発生した。
(比較例2)(Niメッキ)
ポリイミドチューブ(基材層514)の外面に、膜厚が0.3μmの無電解ニッケルめっき膜を形成し、更に、このめっき膜を電極として膜厚が15μmの電解ニッケルめっき膜(金属層513に対応する層)を形成した以外は、上記比較例1と同様にして電磁誘導発熱空回転耐久評価を実施した。その結果、30時間空回転させた時点で発熱層(金属層513に対応する層)にクラックが発生し、発熱不良故障が発生した。
本実施の形態の課題をまとめると、以下のようになる。
即ち、乾式トナーを用いる電子写真方式の画像形成装置において、トナー像は定着装置により加熱及び加圧され、記録媒体表面に定着される。定着装置としては、従来、金属の芯金の外周面にトナー離型層を設け、前記芯金の内部に加熱用のハロゲンヒーターを有する定着ロールが用いられていた。
ここで、無端状ベルトを定着装置や画像形成装置の部材として用いる場合、無端状ベルトを大きな曲率で曲げ回すことによって、当該無端状ベルトを限られたスペース内に配置することができる。また、無端状ベルトを定着ベルトとして用いた場合、大きな曲率で曲げ回すことによって、無端状ベルトと当該無端状ベルトに押圧される加圧部材との間に送り込まれた記録媒体を、無端状ベルトから良好に剥離することができる。そして、このような観点から、無端状ベルトの厚みは、できるだけ薄く設定することが望ましい。
しかしながら、そのような薄い厚みと、実用上の要求特性とを両立する無端状ベルトの実現は困難であった。
即ち、めっき法、真空蒸着法、スパッタ法等により形成された金属発熱層については、長期にわたって安定した発熱量を得るという観点からは、なお改善の余地を有するものであった。金属発熱層を備える無端状ベルトを大きな曲率で曲げ回すと、当該無端状ベルトの各層には曲げ変形によるひずみが生じる。そして、無端状ベルトを周回駆動し、無端状ベルトの金属発熱層に繰り返しひずみが生じると、当該金属発熱層が疲労すれば、クラックや永久変形が生じる傾向となる。そして、クラックが発生すると、金属発熱層の導電性は著しく低下し、もはや電磁誘導加熱によって有効に発熱させることができない。めっき法、真空蒸着法、スパッタ法等により形成された金属発熱層は、塑性加工(圧延)法を用いて形成される金属層に比し、金属疲労を起こし易い。
なお、上記無端状ベルトの金属発熱層を、圧延法を用いて継ぎ目の無い態様にて形成することが考えられる。しかし、既存の技術では、薄い厚み(例えば、10μm程度)の無端状金属発熱層を、圧延法を用いて形成することは困難である。
一方、繊維状部材は、圧延法により形成された繊維状金属線材を用いて構成することができるため、金属発熱層の疲労によるクラック等の問題が生じ難い。しかし、繊維状金属線材を網目状に組み合わせて金属層を形成する場合、得られる金属層の表面には凹凸が多く生じる。かかる凹凸は、トナーを記録材上に定着させる際に画像欠陥を引き起こす場合があった。しかも、網目状に組み合わされた繊維状金属線材の交点における接合が不十分であると、金属発熱層の抵抗値にばらつきが発生したり(即ち、発熱量にばらつきが発生したり)、無端状ベルト自体の強度が不足したりする場合があった。
本実施の形態は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、例えば、使用時の繰り返し曲げ変形によりクラックが生じ難く、耐久性に優れた加熱部材を提供することにある。また、耐久性に優れ、しかも画像欠陥を生じ難い定着装置、及び当該定着装置を用いた画像形成装置を提供することにある。
本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 本実施の形態に係る定着装置の概略構成図である。 本実施の形態に係る定着ベルトの概略構成図である。 扁平な断面形状を有する金属線が金属層を形成する様子を説明するための図である。
符号の説明
10Y,10M,10C,10K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…一次転写ロール、16…ドラムクリーナ、17…除電器、20…中間転写ベルト、30…二次転写装置、40…用紙トレイ、50…定着装置、51…定着ベルト、52…加圧ロール、53…圧力パッド、60…磁場発生ユニット、61…励磁コイル、511,523…離型層、512…弾性層、513…金属層、514…基材層、5131…金属線、H…磁束

Claims (3)

  1. 画像形成装置に用いられ、電磁誘導により加熱する加熱部材であって、
    扁平な断面形状を有する金属線が螺旋状に巻き上げられて形成された金属層を備えることを特徴とする加熱部材。
  2. 扁平な断面形状を有する金属線が螺旋状に巻き上げられて形成された金属層を有し、記録材上にトナー像を定着させる定着部材と、
    前記定着部材に対向して接する加圧部材と、
    前記金属層を電磁誘導により発熱させる励磁コイルと
    を備えることを特徴とする定着装置。
  3. 静電潜像保持体と、
    前記静電潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、
    前記静電潜像保持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像とする現像手段と、
    前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材上に定着する定着装置と、
    前記金属層を電磁誘導により発熱させる励磁コイルとを備え、
    前記定着装置は、扁平な断面形状を有する金属線が螺旋状に巻き上げられて形成された無端状の金属層を有する定着ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
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