JP3004988U - 加熱ローラ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で大幅な低消費電力化と低価格化
とを実現する加熱ローラを提供する。 【構成】 電気不良導体の耐熱性樹脂を主材とする軸体
２の外周に帯状の電気抵抗線３を被定着用の記録媒体Ｓ
の幅以上の軸体２の長さにわたり密着巻きし、耐熱性樹
脂層４を被覆する。リング状給電部５ａおよび５ｂを通
じて電気抵抗線３に通電すると、電気抵抗線３がジュー
ル熱を発生して耐熱性樹脂層４が迅速に加熱されるの
で、互いに圧接する押し付けローラ１０および／または
加熱ローラ１を回転させると、記録媒体Ｓ上のトナーＴ
が熱溶融されてトナーＴが記録媒体Ｓの表面に加熱・加
圧定着される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は加熱ローラに関し、特に電子写真プロセスを用いる複写機，プリンタ 等のハードコピー装置において用いられる加熱ローラに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、熱定着装置の代表であるローラ型熱定着装置は、図３に示すように、加 熱ローラ３１と押し付けローラ３２とにより構成され、加熱ローラ３１は管状ロ ーラ３３の中に発熱管３４が設けられた構造となっていた。この構造は、熱効率 が悪く、必要な加熱ローラ３１の表面温度に対して内部の発熱管３４の温度は１ 桁以上高い温度を必要としていた。例えば、加熱ローラ３１の表面温度１７０゜ Ｃを得るための発熱管３４の温度は１０００゜Ｃ以上を必要としていた。このた め、消費電力は過大であり、機器使用電力の９０％以上は無駄に消費されていた 。

【０００３】 また、発熱温度が高いため、熱遮断のために比較的高価な耐熱部材と複雑な構 造とを必要とし、熱定着装置は比較的高価となっていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上述した従来の熱定着装置では、加熱ローラ３１が管状ローラ３３の中に発熱 管３４が設けられた構造となっていたので、熱効率が悪く消費電力が大きいとと もに構造が複雑で高価であるという問題点があった。

【０００５】 本考案の目的は、上述の点に鑑み、従来の構造に比較して大幅な低消費電力化 と低価格化とを簡単な構造で実現する加熱ローラを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の加熱ローラは、電気不良導体の耐熱性樹脂を主材とする軸体の外周に 帯状の電気抵抗線を被定着用の記録媒体幅以上の軸体長さにわたり密着巻きし、 この電気抵抗線に通電することにより発生するジュール熱と該軸体の回転運動と により熱定着動作を行うことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

本考案の加熱ローラでは、電気抵抗線に通電を行うと、電気抵抗線がジュール 熱を発生し、少ない消費電力で迅速に加熱定着を行うことができる。

【０００８】

【実施例】

次に、本考案について図面を参照して詳細に説明する。

【０００９】 図１（ａ）および（ｂ）は、本考案の一実施例に係る加熱ローラ１を示す断面 図および一部破砕平面図である。本実施例の加熱ローラ１は、電気不良導体の耐 熱性樹脂を主材とする軸体２と、軸体２の外周に被定着用の記録媒体幅以上の軸 体２の長さにわたり密着巻きされた帯状の電気抵抗線３と、電気抵抗線３の外周 に被覆された耐熱性樹脂層４と、電気抵抗線３の両端がそれぞれ電気的結合され ている電気良導体よりなる一対のリング状給電部５ａおよび５ｂとから構成され ている。なお、図１（ｂ）中、符号６ａおよび６ｂは、リング状給電部５ａおよ び５ｂに接触して給電する一対の舌片状ブラシを示す。

【００１０】 軸体２は、電気不良導体の耐熱性樹脂を主材とする中空円筒体で形成されてい る。

【００１１】 電気抵抗線３は、ニクロム等の電気発熱抵抗体を帯状に延伸することによって 製作されており、軸体２の外周に等径の螺旋状となるように密着巻きされている 。

【００１２】 耐熱性樹脂層４は、フッ素系樹脂またはポリイミド系樹脂でなる、あるいはフ ッ素系樹脂またはポリイミド系樹脂を主材とする耐熱性樹脂の薄層でなり、加熱 ローラ１へのトナーＴの付着を防止するとともに、絶縁膜としての役目もする。

【００１３】 本実施例の加熱ローラ１に対して、図１（ａ）に示すように、金属中空軸１１ の外周にエラストマ層１２を肉厚に被着してなる押し付けローラ１０が加圧機構 （図示せず）によって圧接するように配置されている。

【００１４】 次に、このように構成された本実施例の加熱ローラ１の機能について、熱定着 装置の動作とともに説明する。

【００１５】 リング状給電部５ａおよび５ｂを通じて電気抵抗線３に数アンペア程度の通電 を行うと、電気抵抗線３がその抵抗値に応じたジュール熱を発生して、加熱ロー ラ１の表面にある耐熱性樹脂層４が迅速に高温となる。

【００１６】 図２は、本実施例の加熱ローラ１を所定温度に加熱するために要する電流値の 変化を、図３に示した従来の加熱ローラ３１と比較して示すグラフである。この グラフからも分かるように、本実施例の加熱ローラ１では、従来の加熱ローラ３ １に比べて、数分の１の電流値でかつ迅速に所定温度まで昇温させることができ る。

【００１７】 このような加熱状態で、押し付けローラ１０または加熱ローラ１を回転させ、 加熱ローラ１と押し付けローラ１０との間にトナーＴが表面に付着された記録媒 体Ｓを送り込むと、加熱ローラ１が記録媒体Ｓの表面に接触してトナーＴを熱溶 融させると同時に、熱溶融されたトナーＴが押し付けローラ１０からの均一な接 触圧力で加圧されて記録媒体Ｓの表面に確実に定着される。トナーＴを定着され た記録媒体Ｓは、加熱ローラ１および加圧ローラ６の回転に伴って熱定着装置外 に送り出される。

【００１８】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、電気不良導体の耐熱性樹脂を主材とす る軸体の外周に帯状の電気抵抗線を被定着用の記録媒体幅以上の軸体長さにわた り密着巻きし、この電気抵抗線に通電することにより発生するジュール熱と該軸 体の回転運動とにより熱定着動作を行うようにしたので、従来の加熱ローラに比 較して大幅な低消費電力化と低価格化とを簡単な構造で実現することができると いう効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）および（ｂ）は本考案の一実施例に係る
加熱ローラを示す断面図および一部破砕平面図である。

【図２】本実施例の加熱ローラを所定温度に加熱するの
に要する電流値の時間変化を、従来の加熱ローラと対比
して示すグラフである。

【図３】従来の加熱ローラの一例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 加熱ローラ ２ 軸体 ３ 電気抵抗線 ４ 耐熱性樹脂層 ５ａ，５ｂ リング状給電部 ６ａ，６ｂ 舌片状ブラシ １０ 押し付けローラ １１ 金属中空軸 １２ エラストマ層

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電気不良導体の耐熱性樹脂を主材とする
   軸体の外周に帯状の電気抵抗線を被定着用の記録媒体幅
   以上の軸体長さにわたり密着巻きし、この電気抵抗線に
   通電することにより発生するジュール熱と該軸体の回転
   運動とにより熱定着動作を行うことを特徴とする加熱ロ
   ーラ。
2. 【請求項２】 前記電気抵抗線の外周には、フッ素系樹
   脂あるいはポリイミド系樹脂を主材とする耐熱性樹脂の
   薄層が施されている請求項１記載の加熱ローラ。
3. 【請求項３】 前記電気抵抗線の外周には、フッ素系樹
   脂あるいはポリイミド系樹脂でなる耐熱性樹脂の薄層が
   施されている請求項１記載の加熱ローラ。
4. 【請求項４】 前記軸体の両端には、巻き付けられてい
   る電気抵抗線の両端がそれぞれ電気的結合されている電
   気良導体よりなる一対のリング状給電部が設けられ、こ
   れらリング状給電部より接触給電することにより前記電
   気抵抗線を発熱させる請求項１ないし３記載の加熱ロー
   ラ。