JP2011176927A - 系統電力平準化装置および画像診断システム - Google Patents

系統電力平準化装置および画像診断システム Download PDF

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Abstract

【課題】負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動しても、系統電力の平準化が可能な系統電力平準化装置を実現させる。
【解決手段】電源1からの電力を負荷3に供給する系統母線9に、スイッチング素子411,412を有する双方向コンバータ41を介して接続されている蓄電デバイス42と、負荷3の消費電力を特定し、その消費電力を基に双方向コンバータ41を制御して蓄電デバイス42の充電/放電を行うと共に、充電/放電の電流または電力を特定する制御回路43とを備えた構成とし、制御回路43は、充電/放電の電流または電力の目標値と特定値との差分が所定の閾値未満になるまでスイッチング素子411(412)のオンまたはオフを保持した後、スイッチング素子411(412)のオン・オフ動作(スイッチング動作)を、パルス幅変調にて、特定値が目標値に近づくようフィードバック制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、双方向コンバータ(converter)と蓄電デバイス(device)とを用いて系統電力を平準化する系統電力平準化装置、および、その装置を備えた画像診断システム(system)に関する。
電気機器を使用する施設の電源設備への負担を軽減するなどの目的のため、その電気機器における系統電力(本書においては、電源から電気機器に供給される電力という意味で用いる)を平準化する方法が種々提案されている。例えば、電気機器における、電源から負荷に電力を供給する系統母線に、双方向コンバータを介して蓄電デバイスを接続する。そして、負荷の消費電力を特定し、その消費電力が小さいときに蓄電デバイスの充電を行い、その消費電力が大きいときに蓄電デバイスの放電を行うよう、双方向コンバータを制御する。すなわち、負荷の消費電力が小さいときには、系統電力の一部を蓄電にまわし、負荷の消費電力が大きいときには、負荷の消費電力の一部を蓄電エネルギー(energy)で補う(例えば、特許文献1,要約等参照)。これにより、系統電力を平準化する。
特開2002−271993号公報
ところで、双方向コンバータは、降圧用のスイッチング(switching)素子と昇圧用のスイッチング素子を備えている。そして、昇圧用のスイッチング素子をオフ(off)した状態で、降圧用のスイッチング素子をスイッチング動作、すなわちオン(on)とオフとを交互に繰り返す動作をさせることにより、降圧型コンバータの動作をさせ、蓄電デバイスの充電を行う。また、降圧用のスイッチング素子をオフした状態で、昇圧用のスイッチング素子をスイッチング動作させることにより、昇圧型コンバータの動作をさせ、蓄電デバイスの放電を行う。なお、このスイッチング動作には、パルス幅変調(PWM;pulse width modulation)を用い、充放電の電流や電力が目標値に近づくよう、PWMのデューティー比(duty ratio)、すなわちオン・オフ1サイクル(cycle)の期間に対するオン期間とオフ期間との比率をPID(Proportional-Integral-Derivative)制御等でフィードバック(feed-back)制御する。また、このフィードバック制御のゲインパラメータ(gain
parameter)は、通常、負荷の消費電力が急激に変動しても充放電の電流がオーバーシュート(over-shoot)等しないよう、比較的穏やかな応答特性が得られるように設定される。
一方、電気機器の種類によっては、正常な稼動状態にあっても、負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動するものがある。例えば、X線CT(Computed Tomography)システム、胸部X線システム、MR(Magnetic
Resonance)システムなどの画像診断システムは、その代表的な例である。これらの画像診断システムは、大電力を消費するX線発生部や磁場発生部などの負荷を備えており、稼動時にはこれらの負荷のオン・オフを瞬間的に繰返し行うことが多い。
このような負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動する電気機器に、上述した電力平準化方法を適用しようとすると、上記のフィードバック制御における穏やかな応答特性により、蓄電デバイスの充放電における電流の目標値への収束が負荷の消費電力の変動に追いつかない。その結果、系統電力が適正に平準化されず、系統電力が定められた所定の電力を超えてしまうリスク(risk)があり、電源設備への負担を軽減できない。
このような事情により、負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動しても、系統電力を平準化することができる系統電力平準化装置、および、その装置を備えた画像診断システムが望まれている。
第1の観点の発明は、電源からの電力を負荷に供給する系統母線に接続されており、第1および第2のスイッチング素子を有する双方向コンバータと、該双方向コンバータに接続されている蓄電デバイスと、前記負荷の消費電力を特定する第1の特定部と、前記第1の特定部により特定された消費電力に基づいて、前記双方向コンバータを制御することにより、前記蓄電デバイスの充電および放電を制御する充放電制御部と、前記充電および放電の電流または電力を特定する第2の特定部とを備えており、前記充放電制御部は、前記充電または放電を行う際に、前記第1および第2のスイッチング素子の一方をオフしたまま、該充電または放電の電流または電力の目標値と前記第2の特定部による特定値との差分が第1の閾値より小さくなるまで、他方をオンまたはオフに保持した後、前記他方のスイッチング素子のオン・オフ動作を、パルス幅変調を用いて、前記特定値が前記目標値に近づくようフィードバック制御する第1のオン・オフ制御部を有している系統電力平準化装置を提供する。
第2の観点の発明は、前記充放電制御部が、前記充電または放電を開始する際に、前記差分が、前記第1の閾値より大きい第2の閾値より大きいかを判定する判定部と、前記充電または放電を行う際に、前記第1および第2のスイッチング素子の一方をオフしたまま、前記他方のスイッチング素子のオン・オフ動作を、パルス幅変調を用いて、前記特定値が前記目標値に近づくようフィードバック制御する第2のオン・オフ制御部とを有しており、前記判定部により前記差分が前記第2の閾値より大きいと判定された場合に、前記第1のオン・オフ制御部による制御を行わせ、前記判定部により前記差分が前記第2の閾値以下であると判定された場合に、前記第2のオン・オフ制御部による制御を行わせる上記第1の観点の系統電力平準化装置を提供する。
第3の観点の発明は、前記電源が、交流電源であり、前記第1の特定部が、前記交流電源の電圧波形の周期または該周期の所定数分の1の期間ごとに、前記負荷の消費電力を特定し、前記充放電制御部が、前記第1の特定部により特定された直近の所定回数分の消費電力に基づいて、前記充電および放電を制御する上記第1観点または第2の観点の系統電力平準化装置を提供する。
第4の観点の発明は、前記所定回数が、1から10までの範囲の整数である上記第3の観点の系統電力平準化装置を提供する。
第5の観点の発明は、前記第1の特定部が、前記交流電源のゼロクロス(zero-cross)位相に同期して、前記負荷の消費電力を特定する上記第3の観点または第4の観点の系統電力平準化装置を提供する。
ここで、「ゼロクロス位相」とは、交流電源の電圧波形が中性相の電圧(ゼロボルト(zero volt)に規定することが多い)を交差する位相のことである。
第6の観点の発明は、前記充放電制御部が、さらに、前記第1の特定部により特定された直近のN1回分の消費電力の代表値が閾値TH1未満となったときに前記充電を開始して、前記第1の特定部により特定された直近のN2回分の消費電力の代表値が閾値TH2以上となったときに該充電を終了する制御と、前記第1の特定部により特定された直近のN3回分の消費電力の代表値が閾値TH3以上となったときに前記放電を開始して、前記第1の特定部により特定された直近のN4回分の消費電力の代表値が閾値TH4未満となったときに該放電を終了する制御とを行い、前記TH1、TH2、TH3、およびTH4が、TH1≧TH2>TH4≧TH3の関係を有している上記第3の観点から第5の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第7の観点の発明は、前記N1、N2、N3、およびN4が、1から10までの範囲の整数である上記第6の観点の系統電力平準化装置を提供する。
第8の観点の発明は、前記交流電源が、三相交流電源であり、前記第1の特定部が、前記周期の6分の1の期間ごとに前記負荷の消費電力を特定し、前記N1、N2、N3、およびN4が、N1=N2=N3=N4=3である上記第7の観点の系統電力平準化装置を提供する。
第9の観点の発明は、前記TH1およびTH2の組合せと、前記TH3およびTH4の組合せとの少なくとも一方は、互いに異なる値による組合せである上記第6の観点から第8の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第10の観点の発明は、前記放電の電力の目標値が、前記第1の特定部により特定された直近のN5回分の消費電力の代表値から、前記電源に負担させる最大電力を減算して成る電力値である上記第6の観点から第9の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第11の観点の発明は、前記代表値が、平均値、中間値、中央値、または皮相電力相当値である上記第6の観点から第10の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第12の観点の発明は、前記充電の電流の目標値が、所定の固定値である上記第1の観点から第11の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第13の観点の発明は、前記フィードバック制御が、PID制御、H無限大(∞)制御、またはLQI制御を含んでいる上記第1の観点から第12の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第14の観点の発明は、前記蓄電デバイスが、電気二重層キャパシタ(capacitor)を含んでいる上記第1の観点から第13の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を提供する。
第15の観点の発明は、上記第1の観点から第14の観点のいずれか一つの観点の系統電力平準化装置を備えている画像診断システムを提供する。
第16の観点の発明は、前記負荷の少なくとも一部としてX線発生部を備えており、該X線発生部を用いてX線CT撮影を行う上記第15の観点の画像診断システムを提供する。
第17の観点の発明は、前記負荷の少なくとも一部としてX線発生部を備えており、該X線発生部を用いてX線撮影を行う上記第15の観点の画像診断システムを提供する。
第18の観点の発明は、前記負荷の少なくとも一部として磁場発生部を備えており、該磁場発生部を用いてMR撮影を行う上記第15の観点の画像診断システムを提供する。
上記観点の発明の系統電力平準化装置によれば、蓄電デバイスの充電または放電の制御において、双方向コンバータのスイッチング素子を、一旦、オンまたはオフに保持して、充電または放電の電流または電力を目標値の近くまで一気に上昇または下降させた後に、そのスイッチング素子のオン・オフをパルス幅変調にてフィードバック制御することができ、その充電または放電の電流または電力が目標値と離れていても、充放電の電流または電力をオーバーシュート等の過渡的な現象を伴わずに、目標値へ高速に収束させることができる。これにより、負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動しても、系統電力を平準化することができる。
発明の実施形態によるX線CTシステムの構成を概略的に示す図である。 ゼロクロスパルス発生回路の具体例を示す図である。 負荷電流のリップル電流の微分成分と、これを基に生成されるゼロクロスパルスとの関係を示す図である。 X線発生開始時における、電源の電圧波形、ゼロクロスパルス、負荷電流、負荷電圧、および負荷の消費電力の時間変化を、同一時間軸上で見たときの図の一例である。 制御回路による系統電力平準化処理の一例のフローチャート(flowchart)である。 充電/放電制御処理の開始/停止を決定する閾値判定の閾値設定の一例を示す図である。 充電/放電制御処理の一例のフローチャートを示す図である。 充電/放電制御処理の他の例のフローチャートを示す図である。 図5に示す系統電力平準化処理の一例に対応した状態遷移図である。 図7に示す充電/放電制御処理の一例に対応した状態遷移図である。 図8に示す充電/放電制御処理の多の例に対応した状態遷移図である。 充電/放電制御を開始してからのキャパシタ電流の時間変化を示す図である。
以下、発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態によるX線CTシステムの構成を概略的に示す図である。
X線CTシステム100は、図1に示すように、電源1と接続されており、この電源1から電力の供給を受ける。電源1は、例えば、電力会社等が提供する電力系統に接続された変圧器の出力として実現される。ここでは、電源1は、交流三相電源であり、電源仕様は、例えば480〔VAC〕、50〔Hz〕である。
X線CTシステム100は、図1に示すように、AC−DC変換器2と、X線発生部3とを備えている。X線発生部3は、さらに、高電圧発生回路31と、X線管32とを備えている。AC−DC変換器2は、電源1に接続されており、電源1の電圧を交流から直流に変換する。高電圧発生回路31は、AC−DC変換器2のDC出力側に系統母線9を介して接続されており、X線発生の要求を受けてX線管32に高電圧による電力を供給する。X線管32は、その電力供給を受けてX線を発生させる。X線発生部3は、X線CTシステム100の負荷の一部であり、X線発生時には瞬間的に大電力を消費する。なお、AC−DC変換器2は、例えば、ダイオードブリッジ(diode bridge)などを含む整流器とすることができる。
また、X線CTシステム100は、図1に示すように、系統電力平準化装置4を備えている。系統電力平準化装置4は、双方向コンバータ41と、大容量キャパシタ42と、制御回路43と、ゼロクロスパルス生成回路44と、電圧・電流検出部45とを備えている。ちなみに、キャパシタは、コンデンサ(condenser)ともいう。なお、双方向コンバータ41は、発明における双方コンバータの一例であり、大容量キャパシタ42は、発明における蓄電デバイスの一例であり、制御回路43は、発明における充放電制御部、第1および第2の特定部の一例である。
双方向コンバータ41は、系統母線9と接続されており、大容量キャパシタ42は、双方向コンバータ41と導線10を介して接続されている。大容量キャパシタ42は、ここでは、複数の電気二重層キャパシタにより構成されている。なお、大容量キャパシタ42は、高分子キャパシタにより構成されていてもよい。また、蓄電デバイスとして、大容量キャパシタの代わりに、化学反応により充放電が行われる二次電池等を用いてもよい。
双方向コンバータ41は、第1のスイッチング素子411、第2のスイッチング素子412、リアクトル(reactor)413、第1のダイオード414、および第2のダイオード415を備えている。ちなみに、リアクトルは、コイル(coil)ともいう。第1のスイッチング素子411と第2のスイッチング素子412は直列回路を形成し、系統母線9と接続されている。また、リアクトル413の一端は、これらのスイッチング素子411,412の接続点に接続されている。第1のダイオード414は、電流の流れる向きが第1のスイッチング素子411と逆になるよう、第1のスイッチング素子411と並列に接続されている。第2のダイオード415は、電流の流れる向きが第2のスイッチング素子412と逆になるよう、第2のスイッチング素子412と並列に接続されている。なお、第1および第2のスイッチング素子411,412としては、例えば、トランジスタ等を考えることができる。第1のスイッチング素子411は、昇圧用のスイッチング素子として機能し、第2のスイッチング素子412は、昇圧用のスイッチング素子として機能する。
大容量キャパシタ42は、そのリアクトル413の他端と接続されている。
第2のスイッチング素子412をオフした状態で、第1のスイッチング素子411をスイッチング動作(オン・オフを繰り返す動作)させると、降圧型DC−DCコンバータの動作になり、大容量キャパシタ42の充電が行われる。すなわち、第1のスイッチング素子411がオンすると、電源1、系統母線9、第1のスイッチング素子411、リアクトル413、導線10、大容量キャパシタ42、電源1のループで電流が流れ、その電流値は上昇し続ける。次に第1のスイッチング素子411がオフすると、その電流値は下降し続ける。
一方、第1のスイッチング素子411をオフした状態で、第2のスイッチング素子412をスイッチング動作させると、昇圧型DC−DCコンバータの動作になり、大容量キャパシタ42の放電が行われる。すなわち、第2のスイッチング素子412がオンすると、大容量キャパシタ42、導線10、リアクトル413、第2のスイッチング素子412、大容量キャパシタ42のループで電流が流れ、その電流値は上昇し続ける。このとき、リアクトル413に電気エネルギーが蓄積される。次に第2のスイッチング素子412がオフすると、リアクトル413に蓄積された電気エネルギーが放出され、大容量キャパシタ42、導線10、リアクトル413、第1のダイオード414、系統母線9、X線発生部3、大容量キャパシタ42のループで電流が流れる。その電流値はオフした直後が最も大きく、徐々に下降する。
双方向コンバータ41は、制御回路43の制御を受けて、第1および第2のスイッチング素子411,412のオン・オフ動作を行う。
ゼロクロスパルス生成回路44は、電源1および制御回路43に接続されている。ゼロクロスパルス生成回路44は、電源1である三相交流電源のいずれか一相の電圧波形をモニタ(monitor)し、その電圧波形が、三相交流電源の中性相の電圧(ゼロ電圧)と交差するゼロクロス位相に同期したゼロクロスパルスZCPを生成する。そして、その生成されたゼロクロスパルスZCPを、制御回路43に出力する。図2は、ゼロクロスパルス生成回路44の具体的な構成例を示している。なお、後述するように、電源が交流電源の場合には、負荷電流にリップル(ripple)電流が重畳する。そこで、図3に示すように、負荷電流iLのリップル電流の微分成分ΔiL/ΔtをACコンバータ等で検出し、これを基にゼロクロスパルスZCPを生成するようにしてもよい。
電圧・電流検出部45は、さらに、第1の電圧検出部451と、第1の電流検出部452と、第2の電圧検出部453と、第2の電流検出部454とを備えている。第1の電圧検出部451は、系統母線9の電圧、すなわち高電圧発生回路31への入力電圧を、負荷電圧VSとして検出する。第1の電流検出部452は、系統母線9の高電圧発生回路31側で流れる電流、すなわち高電圧発生回路31への入力電流を、負荷電流iLとして検出する。第2の電圧検出部453は、導線10の電圧、すなわち大容量キャパシタ42の電圧をキャパシタ電圧VCとして検出する。第2の電流検出部454は、導線10に流れる電流、すなわち大容量キャパシタ42に流れる電流(=リアクトル413に流れる電流)を、キャパシタ電流iCとして検出する。電圧・電流検出部45は、制御回路43と接続されており、検出された負荷電圧VS、負荷電流iL、キャパシタ電圧VC、およびキャパシタ電流iCを、制御回路43に出力する。
制御回路43は、双方向コンバータ41、ゼロクロスパルス生成回路44、および電圧・電流検出部45と接続されている。制御回路43は、入力されてくるゼロクロスパルスZCP、負荷電圧VS、および負荷電流iLに基づいて、X線発生部3の消費電力Pを所定のタイミング(timing)で逐次特定する。そして、その特定された消費電力Pの閾値判定により、大容量キャパシタ42の充電制御の開始と終了、および、放電制御の開始と終了を決定する。また、制御回路43は、充電制御および放電制御において、入力されてくるキャパシタ電圧VCおよびキャパシタ電流iCに基づいて、大容量キャパシタ42の充電および放電の電流または電力を逐次特定する。そして、その特定された電流または電力が、所定の目標値に収束するよう、双方向コンバータ41の第1および第2のスイッチング素子411,412のオン・オフを制御する。これにより、系統電力の平準化が行われる。
以下、制御回路43による系統電力平準化処理について、詳しく説明する。
図4は、X線発生開始時における、電源1の電圧波形VZ、ゼロクロスパルスZCP、負荷電流iL、負荷電圧VS、および負荷の消費電力Pnのそれぞれの時間変化を、同一時間軸t上で見たときの図の一例である。
まず、X線発生部3の消費電力Pの特定方法と、消費電力Pの閾値判定による充電/放電の開始/終了の決定方法について説明する。
一般的に、電源が交流電源である場合、図4のiLにて示すように、負荷電流にリップル電流が重畳する。そして、このリップル電流は、交流電源の周波数に応じた所定の周波数で脈動する。例えば、単相交流電源を半波整流すると、その単相交流電源の周波数と同じ周波数で脈動し、単相交流電源を全波整流すると、その単相交流電源の周波数の2倍の周波数で脈動する。また、三相交流電源を半波整流すると、その三相交流電源の周波数の3倍の周波数で脈動し、三相交流電源を全波整流すると、その三相交流電源の周波数の6倍の周波数で脈動する。一方、負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動するシステムにおいて、系統電力の平準化を行うには、蓄電デバイスの放電/充電の開始/終了を高速に決定する必要があり、負荷の消費電力の特定にも高速性が要求される。例えば、X線CTシステムでは、X線を発生させる100〜200〔mS〕程度の期間だけ、負荷の消費電力が30〜50〔kW〕程度増大するようなケース(case)も考えられる。そのため、充電と放電の開始と終了がこの変動に追従できる程度の高速性を持って、負荷の消費電力を特定したい。このような場合に、負荷の消費電力の閾値判定における判定結果のバタツキを無くし、充放電制御を安定させるには、リップルの周期と同じ期間またはその数倍の期間における負荷の消費電力を特定するのがよい。
また、交流電源の周波数は、規格上は50〔Hz〕や60〔Hz〕のように規定されるが、実際の電圧波形の周波数は、無負荷の状態で±数%の範囲、有負荷の状態で+数%〜−20%程度の範囲まで変動することが多い。そのため、交流電源の規格上の周波数ではなく、実際の電圧波形の周波数に同調して、負荷の消費電力を特定するのが望ましい。
さらに、交流電源が三相交流電源である場合には、相アンバランス(unbalance)、例えば各相間の電圧の不均一性などに応じて、個々のリップル間でアンバランスが生じることがある。そのため、負荷の消費電力の閾値判定は、例えばリップル1個分〜10個分程度の期間における負荷の消費電力に対して行うのが望ましい。三相交流電源の場合には、リップル3個分ごとに同じリップルのパターン(pattern)を繰り返すことが多い。したがって、リップル3個分またはその倍数分の期間における負荷の消費電力に対して閾値判定を行うようにすれば、その判定結果のバタツキをさらに抑えることができる。
本実施形態では、負荷電流iLに重畳するリップル電流は、図4のVZにて示すように、電源1の三相交流電源における各相の電圧波形VZ1〜VZ3ごとに、その半周期を周期として出現する。各相の電圧波形の位相は、それぞれ120°ずつシフト(shift)しているので、この三相交流電源における一電圧波形の1周期の1/6の周期でリップルが現れることになる。
そこで、制御回路43は、図4のGPにて示すように、入力されてくるゼロクロスパルスZCPに基づいて、このゼロクロスパルスZCPに同調しており、このゼロクロスパルスZCPの1周期Tの1/3の周期(三相交流電源における一電圧波形の1周期の1/6の周期)T′で繰り返されるパルスGPを内部で生成する。
そして、図4のPnにて示すように、この生成されたパルスGPに同期して、周期T′の期間ごとに、負荷電圧VSの実効値電圧と負荷電流iLの実効値電流とを求め、これらの実効値電圧と実効値電流に基づいて、X線発生部3の消費電力(例えば、皮相電力)Pnを特定する。
制御回路43は、直近に特定されたN回数分のX線発生部3の消費電力Pnの代表値に対して閾値判定を行い、大容量キャパシタ42の充電制御/放電制御の開始/終了の決定を行う。この代表値としては、例えば、平均値、中間値、中央値、皮相電力相当値などを考えることができるが、ここでは、一例として平均値を用いる。図4のΣPn/3は、一例として、回数N=3とした場合におけるX線発生部3の消費電力Pnの平均値ΣPn/3を示している。なお、これ以降、直近に特定されたN回数分のX線発生部3の消費電力Pnの平均値を直近負荷電力と称し、ΣPn/Nで表すことにする。
このようにすれば、負荷の消費電力の閾値判定における判定結果のバタツキを無くして充放電制御を安定させることができる。また、X線CTシステムが設置される施設に応じて微妙に変動する電源周波数、相アンバランスにも対応できる。さらに、三相交流電源と単相交流電源のいずれにも対応できる。
ちなみに、制御回路43は、アナログ(analog)回路ではなく、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのコンフィギュアラブル(configurable)なデジタルIC(digital IC)で構成し、その制御をデジタル制御で行うのが望ましい。デジタル制御であれば、電力計算のための回路が複雑になることもなく、柔軟な設定変更も可能になる。例えば、各施設の系統能力または蓄電容量に応じた管理電力(系統電力が負担する最大電力)の変更が容易になる。また例えば、放電を開始する負荷の消費電力の閾値や、充電を開始する負荷の消費電力の閾値などの設定変更も容易になる。
なお、本実施形態では、ゼロクロスパルス生成回路44を備え、このゼロクロスパルスを基に、交流電源である電源1の実際の電圧波形の周波数に同調して消費電力Pnを特定している。しかし、ゼロクロスパルス生成回路に代えて、交流電源である電源1の規格上の周波数若しくはその所定倍の周波数に周波数を固定してパルスを生成するパルス生成回路を備え、このパルスを基に、電源1の規格上の周波数に同調して消費電力Pnを特定してもよい。このようにしても、例えば、電源1の実際の電圧波形の周波数の変動が少なく、相バランスもよい場合には、比較的安定した充放電制御を行うことができる。
次に、系統電力平準化処理の流れについて説明する。
図5は、制御回路43による系統電力平準化処理のフローチャートである。
ステップ(step)S1では、制御回路43は、直近負荷電力ΣPn/N1を求め、この直近負荷電力ΣPn/N1が、第1の閾値TH1以上であるか否かを判定する。直近負荷電力ΣPn/N1が第1の閾値TH1以上であると判定されたときには、系統電力が大きく、系統への負担が重いと認識し、ステップS2に進む。一方、直近負荷電力ΣPn/N1が第1の閾値TH1未満であると判定されたときには、ステップS5に進む。
ステップS2では、制御回路43は、大容量キャパシタ43の放電制御処理を開始する。その後、ステップS3に進む。なお、この放電制御処理については、後ほど詳しく説明する。
ステップS3では、制御回路43は、直近負荷電力ΣPn/N2を求め、直近負荷電力ΣPn/N2が第2の閾値TH2(≦TH1)未満であるか否かを判定する。直近負荷電力ΣPn/N2が第2の閾値TH2未満であると判定されたときには、系統電力は大きくなく、系統への負担は重くないと認識し、ステップS4に進む。一方、直近負荷電力ΣPn/N2が第2の閾値TH2以上であると判定されたときには、系統への負担は依然として重いと認識し、ステップS3に戻り、大容量キャパシタ43の放電制御処理を継続する。
ステップS4では、大容量キャパシタ43の放電制御処理を終了する。その後、ステップS10に進む。
ステップS5では、制御回路43は、直近負荷電力ΣPn/N3を求め、この直近負荷電力ΣPn/N3が、第3の閾値TH3(<TH2)未満であるか否かを判定する。直近負荷電力ΣPn/N3が第3の閾値TH3未満であると判定されたときには、系統電力が小さく、系統への負担が軽いと認識し、ステップS6に進む。一方、直近負荷電力ΣPn/N3が第3の閾値TH3以上であると判定されたときには、系統電力が小さくなく、系統への負担が軽くないと認識し、ステップS10に進む。
ステップS6では、制御回路43は、大容量キャパシタ43の充電制御処理を開始する。その後、ステップS7に進む。なお、この充電制御処理については、後ほど詳しく説明する。
ステップS7では、制御回路43は、キャパシタ電圧VCの現在値VCmが、キャパシタ電圧VCの目標値VCt以上であるか否かを判定する。目標値VCtは、通常、大容量キャパシタ43の定格電圧の90〜98%程度に設定される。現在値VCmが目標値VCt以上であると判定されたときには、大容量キャパシタ43が満タンに充電されたと認識し、ステップS9に進む。一方、現在値VCmが目標値VCt未満であると判定されたときには、ステップS8に進む。
ステップS8では、制御回路43は、直近負荷電力ΣPn/N4を求め、この直近負荷電力ΣPn/N4が、第4の閾値TH4(<TH2,≧TH3)以上であるか否かを判定する。直近負荷電力ΣPn/N4が第4の閾値TH4以上であると判定されたときには、系統電力が小さくなく、系統への負担が軽くないと認識し、ステップS9に進む。一方、直近負荷電力ΣPn/N4が第4の閾値TH4未満であると判定されたときには、ステップS7に戻る。
ステップS9では、大容量キャパシタ43の充電制御処理を終了する。その後、ステップS10に進む。
ステップS10では、諸種の情報に基づいて、系統電力平準化処理を終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合には、系統電力平準化処理を終了する。一方、継続すると判定された場合には、ステップS1に戻って、系統電力平準化処理を継続する。
ただし、閾値TH1〜TH4は、TH1≧TH2>TH4≧TH3の関係を有している。ここで、回数N1〜N4および閾値TH1〜TH4の数値は、充電/放電制御処理の開始/終了を決定する上での、X線発生部3の実際の消費電力の変動に対する感度を決める性格を持つ。回数N1〜N4を小さくすれば、X線発生部3の実効消費電力の平均値に寄与するサンプル数が減るので、その平均値の変動は高速になり、その変動幅は大きくなる。この場合、上記の感度は高くなる。逆に、回数N1〜N4を大きくすれば、実効消費電力の平均値に寄与するサンプル数が増えるので、実効消費電力の平均値の変動は低速になり、その変動幅は小さくなる。この場合、上記の感度は低くなる。また、閾値を、TH1>TH2,TH4>TH3の関係にすれば、充電/放電制御処理の開始/終了の決定に係る、X線発生部3の実効消費電力の平均値の閾値判定において、「開始」の決定に用いる閾値と、「終了」の決定に用いる閾値とに差ができので、これらの閾値判定において、いわゆるヒステリシス(hysteresis)を持たせることなる。そして、閾値TH1とTH2の差分、閾値TH3とTH4の差分を大きくすれば、「開始」の決定に用いる閾値と、「終了」の決定に用いる閾値との差が大きくなるので、その閾値判定におけるヒステリシスを大きくすることなる。この場合、上記の感度は低くなる。
なお、回数N1〜N4は、X線発生部3の消費電力の変動に対する高速性やその変動幅等を考慮して、例えば1〜10の範囲の整数にすることが望ましい。また、閾値TH1〜TH4は、実際の充放電制御における回路動作を見て決めるのが望ましい。ここでは、一例として、N1=N2=N3=N4=3とし、TH1=TH2=Po>TH4=TH3=Puとする。閾値Po,Puは、例えば、図6に示すように、PoをX線発生時の直近負荷電力ΣPn/3より少しだけ小さい値とし、PuをX線非発生時の直近負荷電力ΣPn/3より少しだけ大きい値とする。
次に、制御回路43による充電/放電制御処理について説明する。なお、充電/放電制御処理では、大容量キャパシタ42の充電/放電電力を制御する方法もあるが、ここでは、制御がより容易になるよう、大容量キャパシタ42の充電/放電電流を制御する方法を採用する。また、キャパシタ電流iCは、充電制御では充電時に大容量キャパシタ42に流れる電流の向きを正とし、放電制御では、放電時に大容量キャパシタ42に流れる電流の向きを正とする。
図7は、充電/放電制御処理のフローチャートを示す図である。
ステップT1では、充電/放電制御におけるキャパシタ電流iCの目標値iCtを設定する。
放電制御の場合、ここでは、X線発生部3の消費電力のうち、管理電力(系統母線電力に負担させる最大電力)を除いたものを、大容量キャパシタ42の放電による電力で補う。そこで、目標値iCtは、{直近負荷電力ΣPn/N5−管理電力Pa}/キャパシタ電圧VCに設定する。なお、回数N5は、例えば1〜10の整数で、一例として、N5=3である。また、放電制御における目標値iCtは、逐次更新される変動値である。
充電制御の場合、目標値iCtは、X線発生部3の消費電力に応じて逐次更新させる変動値としてもよいが、ここでは、充電の管理が容易になるよう、目標値iCtを固定値i1とする。固定値i1は、一例として、i1=20〔A〕程度とする。
ステップT2では、キャパシタ電流iCの目標値iCtと現在値iCmとの差分|iCt−iCm|が、所定の閾値ie1(発明における第2の閾値)より小さいか否かを判定する。ここで、閾値ie1は、目標値iCtと現在値iCmとが離れていると判断できる基準として設定された値である。差分|iCt−iCm|が閾値ie1より大きいと判定されたときには、ステップT3に進む。一方、差分|iCt−iCm|が閾値ie1以下であると判定されたときには、ステップT5に進む。
ステップT3では、次に示すように、条件に応じて、第1のスイッチング素子411をオンまたはオフに保持し、第2のスイッチング素子412をオンまたはオフに保持する制御を開始する。
放電制御の場合であって、目標値iCt>現在値iCmであれば、第1のスイッチング素子411をオフしたまま、第2のスイッチング素子412をオンに保持する。この状態では、キャパシタ電流iCは上昇し続ける。
放電制御の場合であって、目標値iCt<現在値iCmであれば、第1のスイッチング素子411をオフしたまま、第2のスイッチング素子412をオフに保持する。この状態では、キャパシタ電流iCは下降し続ける。
充電制御の場合であって、目標値iCt>現在値iCmであれば、第2のスイッチング素子412をオフしたまま、第1のスイッチング素子411をオンに保持する。この状態では、キャパシタ電流iCは上昇し続ける。
充電制御の場合であって、目標値iCt<現在値iCmであれば、第2のスイッチング素子412をオフしたまま、第1のスイッチング素子411をオフに保持する。この状態では、キャパシタ電流iCは下降し続ける。
ステップT3の後は、ステップT4に進む。
ステップT4では、キャパシタ電流iCの目標値iCtと現在値iCmとの差分|iCt−iCm|が、閾値ie1より小さい値である閾値ie2(発明における第1の閾値)より小さいか否かを判定する。ここで、閾値ie2は、目標値iCtと現在値iCmとが近いと判断できる基準として設定された値である。なお、閾値ie1およびie2は、例えば、リアクトル413の定数、第2のスイッチング素子412のスイッチング周波数、キャパシタ電流の目標値iCt、大容量キャパシタ42の容量、X線発生部3の消費電力のサンプリング周波数等を考慮して設定される。
この判定において、差分|iCt−iCm|が、閾値ie2より小さいと判定されたときには、ステップT5に進む。一方、差分|iCt−iCm|が、閾値ie2以上であると判定されたときには、ステップT3に戻る。
ステップT5では、第1のスイッチング素子411および第2のスイッチング素子412の一方をオフしたまま、他方をパルス幅変調にてスイッチング動作させるとともに、キャパシタ電流iCの現在値iCmが目標値iCtに近づくよう、そのパルス幅変調のデューティー比をフィードバック制御する制御を開始(既に開始していれば継続)する。
この制御では、放電制御の場合は、第1のスイッチング素子411をオフして、第2のスイッチング素子412をスイッチング動作させる。充電制御の場合は、第2のスイッチング素子412をオフして、第1のスイッチング素子411をスイッチング動作させる。ステップT5の後は、ステップT6に進む。
なお、上記のフィードバック制御としては、例えば、PID制御、H無限大(∞)制御、またはLQI制御を含むものを考えることができる。
ステップT6では、キャパシタ電流iCの目標値iCtと現在値iCmとの差分|iCt−iCm|が、閾値ie2より小さいか否かを判定する。差分|iCt−iCm|が、閾値ie2より小さいと判定されたときには、ステップT5に戻る。一方、差分|iCt−iCm|が、閾値ie2以上であると判定されたときには、ステップT3に戻る。
このような充電/放電制御処理によれば、まず、キャパシタ電流iCの目標値iCtと現在値iCmとの差分|iCt−iCm|が閾値ie1より大きいか否かを判定することにより、キャパシタ電流iCの目標値と現在値とが離れているかどうかを確認する。そして、差分|iCt−iCm|が閾値ie1より大きいと判定されたとき、すなわち、キャパシタ電流iCの目標値と現在値とが離れていると認められたときには、差分|iCt−iCm|が閾値ie2より小さくなるまで、第2のスイッチング素子412をオンまたはオフに保持する制御(以下、この制御をオン・オフ保持制御という)を行う。これにより、キャパシタ電流iCを目標値の付近まで一気に上昇または下降させる。オン・オフ保持制御は、フィードバック制御ではないので、オーバーシュート等の過渡的な現象を伴うことはない。その後、第2のスイッチング素子412のスイッチング動作をパルス幅変調にて行うとともに、キャパシタ電流iCの現在値iCmが目標値iCtに近づくよう、パルス幅変調のデューティー比をフィードバック制御する制御(以下、この制御をPWMフィードバック制御という)に切り換える。これにより、目標値の付近まで上昇または下降したキャパシタ電流iCを、さらに目標値に近づけてゆく。
なお、充電制御の場合、オン・オフ保持制御で第1のスイッチング素子411をオンしている間も、PWMフィードバック制御に切り換わって第1のスイッチング素子411をオン・オフしている間も、系統母線9から双方向コンバータ4に電流が流れる。放電制御の場合、オン・オフ保持制御で第2のスイッチング素子412をオンしている間は、双方向コンバータ4から系統母線9には電流が流れず、PWMフィードバック制御に切り換わって第2のスイッチング素子412が初めてオフしたときに、大容量キャパシタ42の放電によりリアクトル413に蓄積された電気エネルギーが系統母線9に大きな電流となって流れる。
一方、ステップT2の判定で、差分|iCt−iCm|が閾値ie1以下であると判定されたとき、すなわち、キャパシタ電流iCの目標値と現在値とが近いと認められたときには、即、PWMフィードバック制御を行う。これにより、キャパシタ電流iCを目標値に収束させる。
また、PWMフィードバック制御を行っている最中に、差分|iCt−iCm|が閾値ie1を超えることがあれば、オン・オフ保持制御に移行する。
このように、オン・オフ保持制御とPWMフィードバック制御をうまく使い分けて制御する、言わばハイブリッド(hybrid)制御を行うことにより、放電制御におけるキャパシタ電流iCすなわち大容量キャパシタ42の充電/放電電流を、オーバーシュート等の過渡的な現象を伴わずに、目標値へ高速に収束させることが可能となる。
なお、充電/放電制御処理は、図8に示すように、上記のステップT2の、差分|iCt−iCm|の閾値判定を省き、ステップT1の後、ステップT3に進んで、即、オン・オフ保持制御を開始するようにしてもよい。
ちなみに、図9〜図11は、制御回路43をステートマシン(state
machine)として考えた場合の状態遷移図であり、図9は、図5に示す系統電力平準化処理の一例、図10は、図7に示す充電/放電制御処理の一例、図11は、図8に示す充電/放電制御処理の他の例にそれぞれ対応している。これらの図において、「Idle」状態は、充電制御と放電制御のいずれも行っていない状態である。また、充電/放電制御において、オン・オフ保持制御からPWMフィードバック制御に移行するときは、オン・オフ保持制御にて用いられた制御用パラメータが、そのPWMフィードバック制御の開始時に用いられる。
図12は、充電/放電制御を開始してからのキャパシタ電流iCの時間変化を示す図である。各グラフ(graph)において、横軸は時間t、縦軸はキャパシタ電流iCである。図12(a)のグラフは、キャパシタ電流iCの目標値と現在値とが離れている状態で、双方向コンバータ41におけるスイッチング素子のスイッチング動作を、従来通り、PWMを用いたPID制御で開始した場合の例である。図12(b)のグラフは、キャパシタ電流iCの目標値と現在値とが離れている状態で、双方向コンバータ41におけるスイッチング素子のスイッチング動作を、本実施形態のハイブリッド制御で開始した場合の例である。また、図12(c)のグラフは、キャパシタ電流iCの目標値と現在値とが近い状態で、双方向コンバータ41におけるスイッチング素子のスイッチング動作を、本実施形態のハイブリッド制御で開始した場合の例である。
図12(a)に示すように、従来のPWMを用いたPID制御では、制御開始からスイッチング素子のスイッチング動作を行うので、キャパシタ電流iCは、上昇と下降を繰り返しながら、徐々に目標値へ近づいてゆく。そのため、制御開始時にキャパシタ電流iCが目標値iCtから離れていると、キャパシタ電流iCが目標値iCtに収束するまでの時間taが長くなる。
一方、図12(b)に示すように、本実施形態のハイブリッド制御では、制御開始時にキャパシタ電流iCが目標値iCtから離れていると、スイッチング素子をオンまたはオフに保持し、キャパシタ電流iCをiCt±ie2の範囲まで一気に上昇または下降させて目標値iCtに近づけるので、キャパシタ電流iCが目標値iCtに収束するまでの時間taが短縮できる。
ちなみに、図12(c)に示すように、本実施形態のハイブリッド制御では、制御開始時にキャパシタ電流iCがiCt±ie1の範囲に入るくらい目標値iCtに近ければ、従来と同様のPWMを用いたPID制御を開始するので、キャパシタ電流iCは、従来通り自然な動作で目標値iCtに収束してゆく。
このように、本実施形態によれば、大容量キャパシタ42の充電または放電の制御において、双方向コンバータ41のスイッチング素子のオン・オフをいきなりパルス幅変調でフィードバック制御するのではなく、一旦、オンまたはオフに保持して、その充電または放電の電流を目標値の近くまで一気に上昇または下降させた後に、そのスイッチング素子のオン・オフをパルス幅変調にてフィードバック制御するので、その充電または放電の電流が目標値と離れていても、充放電の電流または電力を、オーバーシュート等の過渡的な現象を伴わずに、目標値へ高速に収束させることができ、負荷の消費電力が高速かつ大幅に変動しても、系統電力を平準化することができる。
なお、発明の実施形態は、本実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
例えば、本実施形態では、電源1は、三相交流電源であるが、単相交流電源であってもよいし、直流電源であってもよい。電源1が単相交流電源ある場合には、X線発生部3の消費電力Pnは、例えば、ゼロクロスパルスZCPに同期して特定するようにする。また、電源1が直流電源である場合には、AC−DC変換器2およびゼロクロスパルス発生回路44は不要であり、X線発生部3の消費電力Pnは、適当な時間間隔で特定するようにする。
また、例えば、本実施形態は、X線CT撮影を行う画像診断システムに、系統電力平準化装置を適用した例である。しかし、例えば、負荷の一部としてX線発生部を備えており、単純なX線撮影を行う画像診断システムや、負荷の一部として磁場発生部を備えており、MR撮影を行う画像診断システム等に、系統電力平準化装置を適用した例もまた、発明の実施形態として考えられる。また、このような画像診断システム以外の電気機器に系統電力平準化装置を適用した例も、もちろん、発明の実施形態として考えられる。
1 電源
2 AC−DC変換器
3 X線発生部(負荷)
31 高電圧発生回路
32 X線管
4 系統電力平準化装置
41 双方向コンバータ(双方向コンバータ)
411 第1のスイッチング素子
412 第2のスイッチング素子
413 リアクトル
414 第1のダイオード
415 第2のダイオード
42 大容量キャパシタ(蓄電デバイス)
43 制御回路(充放電制御部,第1の特定部,第2の特定部)
44 ゼロクロスパルス生成回路
45 電圧・電流検出部
451 第1の電圧検出部
452 第1の電流検出部
453 第2の電圧検出部
454 第2の電流検出部
9 系統母線
10 導線

Claims (18)

  1. 電源からの電力を負荷に供給する系統母線に接続されており、第1および第2のスイッチング素子を有する双方向コンバータと、
    該双方向コンバータに接続されている蓄電デバイスと、
    前記負荷の消費電力を特定する第1の特定部と、
    前記第1の特定部により特定された消費電力に基づいて、前記双方向コンバータを制御することにより、前記蓄電デバイスの充電および放電を制御する充放電制御部と、
    前記充電および放電の電流または電力を特定する第2の特定部とを備えており、
    前記充放電制御部は、前記充電または放電を行う際に、前記第1および第2のスイッチング素子の一方をオフしたまま、該充電または放電の電流または電力の目標値と前記第2の特定部による特定値との差分が第1の閾値より小さくなるまで、他方をオンまたはオフに保持した後、前記他方のスイッチング素子のオン・オフ動作を、パルス幅変調を用いて、前記特定値が前記目標値に近づくようフィードバック制御する第1のオン・オフ制御部を有している系統電力平準化装置。
  2. 前記充放電制御部は、
    前記充電または放電を開始する際に、前記差分が、前記第1の閾値より大きい第2の閾値より大きいかを判定する判定部と、
    前記充電または放電を行う際に、前記第1および第2のスイッチング素子の一方をオフしたまま、前記他方のスイッチング素子のオン・オフ動作を、パルス幅変調を用いて、前記特定値が前記目標値に近づくようフィードバック制御する第2のオン・オフ制御部とを有しており、
    前記判定部により前記差分が前記第2の閾値より大きいと判定された場合に、前記第1のオン・オフ制御部による制御を行わせ、前記判定部により前記差分が前記第2の閾値以下であると判定された場合に、前記第2のオン・オフ制御部による制御を行わせる請求項1に記載の系統電力平準化装置。
  3. 前記電源は、交流電源であり、
    前記第1の特定部は、前記交流電源の電圧波形の周期または該周期の所定数分の1の期間ごとに、前記負荷の消費電力を特定し、
    前記充放電制御部は、前記第1の特定部により特定された直近の所定回数分の消費電力に基づいて、前記充電および放電を制御する請求項1または請求項2に記載の系統電力平準化装置。
  4. 前記所定回数は、1から10までの範囲の整数である請求項3に記載の系統電力平準化装置。
  5. 前記第1の特定部は、前記交流電源のゼロクロス位相に同期して、前記負荷の消費電力を特定する請求項3または請求項4に記載の系統電力平準化装置。
  6. 前記充放電制御部は、さらに、前記第1の特定部により特定された直近のN1回分の消費電力の代表値が閾値TH1未満となったときに前記充電を開始して、前記第1の特定部により特定された直近のN2回分の消費電力の代表値が閾値TH2以上となったときに該充電を終了する制御と、前記第1の特定部により特定された直近のN3回分の消費電力の代表値が閾値TH3以上となったときに前記放電を開始して、前記第1の特定部により特定された直近のN4回分の消費電力の代表値が閾値TH4未満となったときに該放電を終了する制御とを行い、
    前記TH1、TH2、TH3、およびTH4は、TH1≧TH2>TH4≧TH3の関係を有している請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  7. 前記N1、N2、N3、およびN4は、1から10までの範囲の整数である請求項6に記載の系統電力平準化装置。
  8. 前記交流電源は、三相交流電源であり、
    前記第1の特定部は、前記周期の6分の1の期間ごとに前記負荷の消費電力を特定し、
    前記N1、N2、N3、およびN4は、N1=N2=N3=N4=3である請求項7に記載の系統電力平準化装置。
  9. 前記TH1およびTH2の組合せと、前記TH3およびTH4の組合せとの少なくとも一方は、互いに異なる値による組合せである請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  10. 前記放電の電力の目標値は、前記第1の特定部により特定された直近のN5回分の消費電力の代表値から、前記電源に負担させる最大電力を減算して成る電力値である請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  11. 前記代表値は、平均値、中間値、中央値、または皮相電力相当値である請求項請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  12. 前記充電の電流の目標値は、所定の固定値である請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  13. 前記フィードバック制御は、PID制御、H無限大(∞)制御、またはLQI制御を含んでいる請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  14. 前記蓄電デバイスは、電気二重層キャパシタを含んでいる請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置。
  15. 請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の系統電力平準化装置を備えている画像診断システム。
  16. 前記負荷の少なくとも一部としてX線発生部を備えており、該X線発生部を用いてX線CT撮影を行う請求項15に記載の画像診断システム。
  17. 前記負荷の少なくとも一部としてX線発生部を備えており、該X線発生部を用いてX線撮影を行う請求項15に記載の画像診断システム。
  18. 前記負荷の少なくとも一部として磁場発生部を備えており、該磁場発生部を用いてMR撮影を行う請求項15に記載の画像診断システム。
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