JP2011171522A - 硬化性電磁波シールド性接着性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

硬化性電磁波シールド性接着性フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Yuji Nishiyama
祐司 西山
Akifumi Kuwabara
章史 桑原
Kaori Sakaguchi
香織 坂口
Mutsuko Sato
睦子 佐藤
Satoru Kagao
哲 加々尾
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Abstract

【課題】フレキシブルプリント配線板用の電磁波シールド性接着フィルムであって、フレキシブルプリント配線板に貼着した後、従来よりも耐屈曲性に優れると共に、被着体に対する接着力に優れる電磁波シールド性接着フィルムを提供する。
【解決手段】絶縁層(II)、イオン交換層(V)、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体から形成された導電性被膜(VI)、及び平均粒子径が1〜50μmの金属粉を含有する硬化性導電性接着剤層(I)を有する電磁波シールド性接着性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は,繰り返し屈曲を受けるフレキシブルプリント配線板などに貼着して、電気回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する用途に好適に用いられる硬化性電磁波シールド性接着性フィルム及びその製造方法に関する。
フレキシブルプリント配線板は、屈曲性を有することから、近年のOA機器、通信機器、携帯電話などの更なる高性能化、小型化の要請に応えるべく、その狭く複雑な構造からなる筐体内部に電子回路を組み込むために多用されている。そうした電子回路のダウンサイズ化・高周波化に伴い、そこから発生する不要な電磁ノイズに対する対策がますます重要になってきている。そこで、フレキシブルプリント配線板に、電子回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する電磁波シールド性接着フィルムを貼着することが従来よりおこなわれている。
この電磁波シールド性接着フィルム自体には、電磁波シールド性に加えて、貼り合わせたフレキシブルプリント配線板全体の耐屈曲性を損なわないよう、薄さと優れた耐屈曲性が要求される。そのため、電磁波シールド性接着フィルムとしては、厚さの薄い基材フィルム上に導電層を設けてなる基本的構造を有するものが広く知られている。
従来の電磁波シールド性接着フィルムとしては、カバーフィルムの片面に、導電性接着剤層及び必要に応じて金属薄膜層からなるシールド層を有し、他方の面に接着剤層と離型性補強フィルムとが順次積層されてなる補強シールドフィルムが知られている(特許文献1参照)。
また、導電性接着剤層及び/または金属薄膜を有するシールド層と芳香族ポリアミド樹脂からなるベースフィルムを有するシールドフィルムが知られている(特許文献2参照)。
また、セパレートフィルムの片面に樹脂をコーティングしてカバーフィルムを形成し、前記カバーフィルムの表面に金属薄膜層と接着剤層とで構成されるシールド層を設けてなるシールド性接着フィルムが知られている(特許文献3)。
これら特許文献1〜3に開示される蒸着法やスパッタ法により得られる金属薄膜層を有するシールド性接着フィルムにおいては、金属薄膜層が脆い為耐屈曲性が不十分という問題点があった。
さらに特許文献4に開示される電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層中には、電磁波シールド性を向上させる為に導電性フィラーとして大量の銀粉を使用している為に、価格が高いというデメリットや、FPC回路と貼り合わせた場合、より大きな接着力を発現することが難しかった。さらに、導電性フィラーを大量に含むため、屈曲性に対するより高度な要求には応えられなかった。
一方、特許文献5には、保護物質で被覆された導電性物質に対し、イオン交換能を有する物質を作用させて、導電性被膜を製造する方法が記載されている。
特開2003−298285号公報 特開2004−273577号公報 特開2004−95566号公報 国際公開2006/088127号パンフレット 特開2007−317632号公報
そこで、本発明は、フレキシブルプリント配線板などに貼付して電磁ノイズを遮蔽する用途に好適に用いられる電磁波シールド性接着フィルムであって、従来よりも少ない導電性フィラー量で、フレキシブルプリント配線板に貼着した後、十分な電磁波シールド性を発現し、従来よりも耐屈曲性に優れる電磁波シールド性接着フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、このような優れた性能を有する電磁波シールド性接着フィルムを安価かつ安定的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、電磁波シールド性接着性フィルムであって、
前記導電性被膜が、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体から形成された被膜であり、
前記硬化性導電性接着剤層が、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する、ことを特徴とする電磁波シールド性接着性フィルムに関する。
前記本発明の電磁波シールド性接着フィルムにおいて、硬化性導電性接着剤層の単位体積当たりの金属粉の含有量は、0.2〜4.5(g/cm3)であることが好ましく、
導電性被膜の表面抵抗率は1×10−3〜5×10−1(Ω/□)、硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率は1×10-2〜1×10(Ω/□)であり、導電性被膜の表面抵抗率が硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率よりも相対的に小さいことが好ましい。
また、本発明は前記電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法に関し、いずれも絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法である。
本発明により、従来よりも少ない導電性フィラー量で、フレキシブルプリント配線板に貼着した後、十分な電磁波シールド性を発現し、従来よりも耐屈曲性に優れる電磁波シールド性接着フィルムを提供することができる。
電磁波シールド性接着性フィルムのうち第1の態様の模式図。 電磁波シールド性接着性フィルムのうち第2の態様の模式図。 電磁波シールド性接着性フィルムのうち第3の態様の模式図。 電磁波シールド性接着性フィルムのうち第4の態様の模式図。 電磁波シールド性接着性フィルムのうち第5の態様の模式図。
本発明の電磁波シールド性接着性フィルムは、前記したように、導電性被膜と硬化性導電性接着剤層という2つの導電層を具備するものである。本発明は、この2つの導電層を具備することによって、十分な電磁波シールド性を発現し、従来よりも耐屈曲性に優れる電磁波シールド性接着フィルムを提供することができるようになったものである。
導電層のうちの1つ、硬化性導電性接着剤層について説明する。
硬化性導電性接着剤層は、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを被着体に貼着する機能と、後述する導電性被膜との導通を確保し、導電性被膜と一体となって電磁波シールド性を発現する機能を担う。被着体とは、電磁波シールド性接着性フィルムによって電磁波をシールドし、保護したい部材・物品である。
従って、硬化性導電性接着剤層は、接着性発現機能を担う硬化性絶縁性樹脂成分と、導電性発現機能を担う平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有するものであり、単位体積当たりの金属粉の含有量は0.2〜4.5(g/cm3)である事が好ましい。
硬化性絶縁性樹脂成分としては、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂、α,β−不飽和二重結合を有する2官能以上のモノマーおよび/または単官能のモノマーの、ビニル型モノマー、アクリル型モノマー、アクリレート型もしくはメタクリレート型(以下、(メタ)アクリレート型という)モノマー等の電子線照射により硬化するモノマーを使用することができるが、その中でもカルボキシル基を有するポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)を含有する事が好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)及びエポキシ樹脂(B)を含有する接着樹脂組成物は、金属粉を良く分散し、金属粉が含まれていても十分な接着力を発揮し、さらに、熱圧着時の接着剤層のしみ出しが少なく、鉛フリーハンダリフローに耐え得る、優れた耐熱性及び耐屈曲性を得ることができる。
硬化性導電性接着剤層に含有される、硬化性絶縁性樹脂として使用されるポリウレタンポリウレア樹脂(A)は、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)と、数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)及び有機ジイソシアネート(a3)とを反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a4)と、ポリアミノ化合物(a5)とを反応させて得られるものである。
カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸や、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。特に反応性、溶解性点から、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。
数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)は、一般にポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分として知られている、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)以外のポリオールである。前記ポリオール(a2)の数平均分子量(Mn)は、得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A)の耐熱性、接着強度、溶解性等を考慮して適宜決定されるが、好ましくは1000〜5000である。Mnが500未満であると、得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A)中のウレタン結合が多くなり過ぎ、ポリマー骨格の柔軟性が低下してフレキシブルプリント配線板への接着性が低下する傾向があり、また、Mnが8000を越えると、ジオール化合物(a1)由来のカルボキシル基の、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)中における数が減少する。その結果、エポキシ樹脂との反応点が減少するため、得られる導電性硬化接着剤層の耐ハンダリフロー性が低下する傾向にある。
数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)としては、各種のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類等が使用できる。
ポリエーテルポリオール類としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、もしくはダイマージオール等の飽和または不飽和の低分子ジオール類とアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、もしくはセバシン酸等のジカルボン酸類、またはこれらの無水物類を反応させて得られるポリエステルポリオール類や、n−ブチルグリシジルエーテル、又は2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と上記のジカルボン酸類の無水物類とをアルコール類などの水酸基含有化合物の存在下で反応させて得られるポリエステルポリオール類、または環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類としては、例えば、
1)グリコールまたはビスフェノールと炭酸エステルとの反応生成物、あるいは
2)グリコールまたはビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを反応させて得られる反応生成物等が使用できる。
上記1)または2)の場合に用いられるグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2,2,8,10−テトラオキソスピロ〔5.5〕ウンデカンが挙げられる。
また、上記1)または2)の場合に用いられるビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類や、これらのビスフェノール類にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させた化合物等が挙げられる。
また、上記1)の場合に用いられる炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)として例示した各種ポリオールは、単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
更に、得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A)の性能が失われない範囲内で、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)と、数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)及び有機ジイソシアネート(a3)とを反応させる際に、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)以外の低分子ジオール類を併用しても良い。併用可能な低分子ジオール類としては、たとえば、数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)の製造に用いられる各種低分子ジオール等が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(a4)を合成する際に、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)と、数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)とは、数平均分子量500〜8000の他のポリオール(a2)1モルに対して、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)0.1モル〜4.0モルとなる比率で用いることが好ましく、0.2モル〜3.0モルとなる比率で用いることがより好ましい。(a2)1モルに対する(a1)の使用量が0.1モルより少ないと、エポキシ樹脂(B)と架橋可能なカルボキシル基が少なくなり、耐ハンダリフロー性が低下する傾向にある。また、4.0モルより多いと、接着性が低下する傾向にある。
有機ジイソシアネート(a3)としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート、またはこれらの混合物を使用できるが、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、またはキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイシシアネートとしては、例えば、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、またはリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、またはメチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a4)は、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)と、数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)及び有機ジイソシアネート(a3)とを反応させることにより得られる。末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a4)を合成する際の条件は、イソシアネート基が過剰になるようにする他にとくに限定はないが、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.2/1〜3/1の範囲内になるような割合で、カルボキシル基を有するジオール化合物(a1)と、数平均分子量500〜8000である、(a1)以外のポリオール(a2)及び有機ジイソシアネート(a3)とを反応させることが好ましい。また、反応温度は通常常温〜120℃であるが、更に製造時間、副反応の制御の面から好ましくは60〜100℃である。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)は、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a4)と、ポリアミノ化合物(a5)とを反応させて得られる。
ポリアミノ化合物(a5)としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミンの他、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するアミン類も使用することができる。なかでも、イソホロンジアミンが好適に使用される。
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a4)とポリアミノ化合物(a5)とを反応させてポリウレタンポリウレア樹脂(A)を合成するときには、分子量を調整する為に反応停止剤を併用することができる。反応停止剤としては、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類や、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が使用できる。
末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(a4)、ポリアミノ化合物(a5)及び必要に応じて反応停止剤を反応させる際の条件は、とくに限定はないが、ウレタンプレポリマー(a4)が有するイソシアネート基に対する、ポリアミノ化合物(a5)及び反応停止剤中のアミノ基の合計の当量比が0.5〜1.3の範囲内であることが好ましい。当量比が0.5未満の場合には、耐ハンダリフロー性が不十分になりやすく、1.3より多い場合には、ポリアミノ化合物(a5)及び/または反応停止剤が未反応のまま残存し、臭気が残りやすくなる。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)を合成する際に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
得られるポリウレタンポリウレア樹脂(A)の重量平均分子量は、5000〜100000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が5000に満たない場合には、耐ハンダリフロー性が劣る傾向にあり、100000を越える場合には、接着性が低下する傾向にある。
また、硬化性導電性接着剤層に含有されるエポキシ樹脂(B)は、2個以上のエポキシ基を有する樹脂であり、液状であっても固形状であってもよい。
エポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テルペン型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち高接着性、耐熱性の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、またはテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明で用いられる硬化性導電性接着剤層において、エポキシ樹脂(B)とポリウレタンポリウレア樹脂(A)との配合比率は、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)100重量部に対して、エポキシ樹脂(B)3〜200重量部であることが好ましく、5〜100重量部であることがより好ましい。(A)100重量部に対して(B)が3重量部より少ないと、耐ハンダリフロー性が低くなる傾向がある。一方、(B)が200重量部より多いと、接着性が低下する傾向がある
硬化性導電性接着剤層には、耐熱性や耐屈曲性等の性能を損なわない範囲で、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ユリア系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などを含有させることができる。
また、硬化性導電性接着剤層に含有される金属粉は、接着剤層に導電性を付与するものであり、金属粉の種類としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、タングステン、チタン、インジウム、イリジウム、ロジウム、コバルト、鉄、ニッケル等が挙げられる。中でも導電性、コストの面から銀が好ましい。
また、金属粉の形状としては、球状、フレーク状、樹枝状、繊維状などが挙げられる。その中でも少量で導電性が発現することができるフレーク状の金属粉が好ましい。
硬化性導電性接着剤層における金属粉の含有量は、必要とする電磁波シールド効果の度合いによって異なるが、硬化性導電性接着剤層の単位体積当たりの金属粉の含有量が0.2〜4.5(g/cm3)である事が好ましい。金属粉の含有量が0.2(g/cm3)より少ないと、十分なシールド性を得る事ができず、4.5(g/cm3)より多いと、接着性が低下する。
硬化性導電性接着剤層の単位体積当たりの金属粉の含有量は、用いた金属粉の比重と配合量、接着剤層の厚みから理論的に求めることができる。
また、硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率は、1×10-2〜1×10(Ω/□)である事が好ましく、より好ましくは1×10−1〜1×10(Ω/□)である。硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率が1×10−2よりも小さい場合、使用する金属粉の種類によっては金属粉自体の抵抗率よりも小さくなるため実用的ではない。また、1×10よりも大きい場合、後述する導電性被膜と導通がとりにくくなり、その結果として電磁波シールド性が悪くなる。
なお、硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率は、本発明の電磁波シールド性接着性フィルム中の硬化性導電性接着剤層を形成する際と同条件にて、絶縁性シート状に形成した硬化性導電性接着剤層について求めたものである。
さらに本発明で用いられる硬化性導電性接着剤層の厚みは、1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。硬化性導電性接着剤層の厚みが1μmよりも薄いと、接着力が発現しにくく被着体から剥がれやすい。一方、硬化性導電性接着剤層の厚みが20μmよりも厚いと屈曲性が低下する。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との合計100重量部に対して、金属粉は10〜400重量部であることが好ましく、50〜300重量部であることがより好ましく、70〜120重量部であることがさらに好ましい。金属粉の含有量が10重量部を下回ると、金属粉同士が十分に接触せず、高い導電性が得られず、電磁波シールド効果が不十分となりやすい。また、金属粉の含有量が400重量部を超えると、硬化性導電性接着剤層中の金属粉の量が過多となり、硬化性導電性接着剤層の後述する剥離性フィルム1への密着性や被着体への接着力が低下する。
金属粉の粒子径は、1μm〜50μmの範囲内であり、好ましくは3μm〜25μmである。金属粉の粒子径が1μmよりも小さいと、導電性を発現させるために導電性接着剤中に大量の金属粉を添加する必要があり、大量に金属粉を加えると接着力の低下に繋がる。また、粒子径が50μmよりも大きいと、薄膜の導電性接着剤層を設ける際に、表面に凹凸が生じ、均一で平滑な導電性接着剤層が得られなくなり、接着力の低下及び屈曲性低下の原因となる。
なお、上記平均粒子径とは、動的光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、マイクロトラックまたはナノトラック等)により測定された値であり、D50を示す。
硬化性導電性接着剤層には、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との反応や、エポキシ樹脂(B)の単独での反応を促進させる目的で、硬化促進剤、硬化剤を含有させることができる。エポキシ樹脂(B)の硬化促進剤としては、3級アミン化合物、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物等が使用でき、硬化剤としては、ジシアンジアミド、カルボン酸ヒドラジド、酸無水物等が使用できる。
硬化促進剤のうち、3級アミン化合物としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5等が挙げられる。また、ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられ、更にはイミダゾール化合物とエポキシ樹脂を反応させて溶剤に不溶化したタイプ、またはイミダゾール化合物をマイクロカプセルに封入したタイプ等の保存安定性を改良した潜在性硬化促進剤が挙げられるが、これらの中でも、潜在性硬化促進剤が好ましい。
硬化剤としてのカルボン酸ヒドラジドとしては、コハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド等が挙げられる。また、酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
これらの硬化促進剤または硬化剤としては、それぞれ2種類以上を併用してもよく、その使用量は合計で(硬化促進剤または硬化剤のどちらか一方のみを使用する場合も含まれる)、エポキシ樹脂(B)100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲であることが好ましい。
また、硬化性導電性接着剤層には、導電性、接着性、耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲で、シランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤,充填剤,難燃剤等を添加してもよい。
続いて、本発明で用いる絶縁層について説明する。絶縁層は、硬化性電磁波シールド性接着フィルムに機械的強度を与える役割を担う。即ち、特許文献4における基材フィルムに当たる。
絶縁層としては、上記硬化性導電性接着剤層で用いた硬化性絶縁性樹脂や、硬化性を有しない絶縁層を用いる事ができる。
硬化性導電性接着剤層で用いた硬化性絶縁性樹脂としては、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂、α,β−不飽和二重結合を有する2官能以上のモノマーおよび/または単官能のモノマーの、ビニル型モノマー、アクリル型モノマー、アクリレート型もしくはメタクリレート型(以下、(メタ)アクリレート型という)モノマー等の電子線照射により硬化するモノマーを使用することができる。
硬化性を有しない絶縁層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどの各種プラスチックフィルムを使用する事ができる。
中でも絶縁層としては、カルボキシル基を有するジオール化合物(c1)、数平均分子量500〜8000の他のポリオール(c2)および有機ジイソシアネート(c3)を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(c4)と、ポリアミノ化合物(c5)とを反応させて得られるポリウレタンポリウレア樹脂(C)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(D)とを含有する樹脂組成物を使用することが好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂(C)及びエポキシ樹脂(D)を含有する接着樹脂組成物は、熱圧着時の接着剤層のしみ出しが少なく、鉛フリーハンダリフローに耐え得る、優れた耐熱性及び耐屈曲性を得ることができる。
絶縁層に含有されるポリウレタンポリウレア樹脂(C)としては、導電性接着剤層(に含有されるポリウレタンポリウレア樹脂(A)と同様のものを挙げることができる。
エポキシ樹脂(D)についてもエポキシ樹脂(B)と同様のものを挙げることができる。
エポキシ樹脂(D)とポリウレタンポリウレア樹脂(C)との配合比率も、エポキシ樹脂(B)とポリウレタンポリウレア樹脂(A)との配合比率と同様に、ポリウレタンポリウレア樹脂(C)100重量部に対して、エポキシ樹脂(D)3〜200重量部であることが好ましく、5〜100重量部であることがより好ましい。
さらに硬化性導電性接着剤層と同様に、絶縁層には、耐熱性や耐屈曲性等の性能を損なわない範囲で、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ユリア系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などを含有させることができる。
また、ポリウレタンポリウレア樹脂(C)とエポキシ樹脂(D)との反応や、エポキシ樹脂(D)の単独での反応を促進させる目的で、硬化促進剤、硬化剤を含有させることができる点についても、導電性接着剤層の場合と同様である。
また、絶縁層には、導電性接着剤層の場合と同様に、接着性、耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲で、シランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤,充填剤,難燃剤等を添加してもよい。
また、硬化性絶縁層の厚みは、0.5μm〜50μmであることが好ましく、2μm〜30μmであることがより好ましい。硬化性絶縁層の厚さが0.5μm未満の場合には、フィルム強度が低下し、導電性接着剤層の絶縁性支持体としての役割を担うことが難しい。一方で、50μmを超える場合には、電磁波シールド性接着性フィルムの被着体面の凹凸への追従性が低下し、十分なシールド効果が得られなくなるのと共に、十分な屈曲性が得られない。
続いて、2つの導電層のうちの1つ、導電性被膜について説明する。
導電性被膜は、電磁波シールド性機能を担う層であり、前述の硬化性導電性接着剤層とは異なり、硬化性を有しない。導電性被膜は、導電性粒子が保護物質によって被覆されてなる平均粒子径が0.001〜0.5μmの被覆導電性粒子を含む分散体から形成された被膜である。
被覆導電性粒子の分散体に含まれる導電性粒子は、得られる導電性被膜に導電性を付与するためのものである。
このような導電性粒子としては、代表的なものとして導電性の金属物質が挙げられる。例えば、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、チタン、インジウム、イリジウム、ロジウム、アモルファス銅等の金属や、例えば、銀−銅合金等の合金、銀−銅複合体等の金属複合体、銀めっき銅等の金属をさらに他の金属で被覆したもの等が挙げられる。なかでも、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、鉄が好ましく、更に、金、銀、銅、ニッケルが好ましく、更に、導電性、コストの点で銀が好ましい。また、その他の導電性粒子としては、例えば、上記金属で被覆した無機物粉末、酸化銀、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物等の金属酸化物、またはカーボンブラック、グラファイト等を用いることもできる。導電性粒子は、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明で用いられる導電性被膜の厚みは、0.001〜20μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることがより好ましい。導電性被膜の厚みが0.001μmよりも薄いと、被膜の強度が弱く、十分なシールド性が得られないため好ましくない。一方、導電性被膜の厚みが20μmよりも厚いと、被膜の屈曲性が損なわれる恐れがあるため好ましくない。
導電性被膜の形成に用いられる被覆導電性粒子を含む分散体について説明する。
被覆導電性粒子を含む分散体中の被覆導電性粒子の平均粒子径は、0.001〜0.5μmであり、0.001〜0.3μmであることが好ましい。本発明では、導電性粒子の少なくとも一部が保護物質によって被覆されていればよい。
導電性被膜の形成に用いられる被覆導電性粒子の大きさは、例えば、レーザー解析法微粒子径測定装置(コールター社製ナノサイザー)や、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社)により測定された数平均粒子径が、0.001〜0.5μmであり、0.001〜0.3μmであることが好ましい。被覆導電性粒子の平均粒子径が0.5μmよりも大きいと、低温で導電性を発現しにくくなるので好ましくない。また、平均粒子径が0.001μmよりも小さい場合、被覆導電性粒子分散体の安定性が損なわれるため好ましくない。
本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを構成する導電性被膜の表面抵抗率は、1×10−3〜5×10−1(Ω/□)であることが好ましく、より好ましくは1×10−2〜3×10−1(Ω/□)である。導電性被膜の表面抵抗率が1×10−3(Ω/□)よりも小さいと、導電性微粒子自身の抵抗率に近くなり、被膜中に占める微粒子の密度が高くなり、屈曲性が悪くなる為好ましくない。また、5×10−1(Ω/□)よりも大きい場合、十分な電磁波シールド性が悪くなる為好ましくない。
被覆導電性粒子の分散体は、例えば下記(1)〜(3)に挙げるような方法で得ることができ、これら方法は適宜選択することができるが、(1)の方法で得ることが好ましい。
(1)還元により保護物質と導電性粒子とに分離する機能を有する金属塩(例えば、カルボン酸金属塩など)に対し、還元剤、熱、超音波、紫外線等を作用させ、金属塩を還元することにより、導電性粒子が保護物質で被覆されてなる被覆導電性粒子の分散体を得る。
(2)導電性粒子と保護物質とを乾式法または湿式法で混合して、導電性粒子が保護物質により被覆されてなる被覆導電性粒子を得、湿式法の場合はそのまま分散体としたり、乾式法の場合は任意の分散媒に被覆導電性粒子を分散し、分散体を得る。
(3)保護物質を含む溶液中に、導電性粒子を投入することで、導電性粒子を保護物質により被覆してなる被覆導電性粒子の分散体を得る。
被覆導電性粒子の分散体において、保護物質は、導電性粒子の凝集を防ぎ、分散安定性を維持するために必要なものであり、導電性粒子に対する親和性基を化合物中に1個または複数個有する化合物を使用することが好ましい。
前記親和性基としては、イオン性官能基を挙げることができる。
イオン性官能基としては、陰イオン性官能基もしくは陽イオン性官能基が挙げられる。
陰イオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、シアノ基、リン酸エステル基等が挙げられ、カルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の官能基が好ましい。本発明においては、低温かつ短時間での加熱により良好な導電性を示す導電性被膜の形成が可能になるため、保護物質としてカルボキシル基を有するものが好ましい。
陽イオン性官能基としては、例えば、窒素原子および/または硫黄原子を含んでいることが好ましく、例えば、塩基性基として存在していることが好ましい。前記塩基性基としては、例えば、アミノ基、アミド基、メルカプト基、スルフィド基、スルフェニル基、スルファジイル基等が挙げられる。
イオン性官能基を有する保護物質の分子量に特に制限はなく、重量平均分子量1000未満の低分子量化合物も重量平均分子量1000以上の高分子量の樹脂であってもよい。高分子量の樹脂の場合、重量平均分子量は100000未満であることが好ましい。また、高分子量の樹脂の場合、前記のイオン性官能基は、主鎖に含まれていても、側鎖もしくは側鎖と主鎖の双方に含まれていても良い。
保護物質のうち、陰イオン性官能基を有する化合物の1つ、カルボキシル基を有する化合物として、カルボキシル基を有する有機酸を以下に例示する。
カルボキシル基を有する有機酸としては、例えば、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、芳香族カルボン酸等を挙げることができる。
飽和カルボン酸としては、例えば、直鎖飽和カルボン酸として、プロピオン酸、酪酸、吉草酸(別名:ペンタン酸)、カプロン酸(別名:ヘキサン酸)、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等が挙げられ、分岐飽和カルボン酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2‐エチルヘキサン酸、2‐エチルイソヘキサン酸、2‐プロピルヘプタン酸、2‐ブチルオクタン酸、2‐イソブチルイソオクタン酸、2‐ペンチルノナン酸、2‐イソペンチルノナン酸、2‐ヘキシルデカン酸、2‐ヘキシルイソデカン酸、2‐ブチルドデカン酸、2‐イソブチルドデカン酸、2‐ヘプチルウンデカン酸、2‐イソヘプチルウンデカン酸、2‐イソペプチルイソウンデカン酸、2‐ドデシルヘキサン酸、2‐イソドデシルヘキサン酸、2‐オクチルドデカン酸、2‐イソオクチルドデカン酸、2‐オクチルイソドデカン酸、2‐ノニルトリデカン酸、2‐イソノニルイソトリデカン酸、2‐デシルドデカン酸、2‐イソデシルドデカン酸、2‐デシルイソドデカン酸、2‐デシルテトラデカン酸、2‐オクチルヘキサデカン酸、2‐イソオクチルヘキサデカン酸、2‐ウンデシルペンタデカン酸、2‐イソウンデシルペンタデカン酸、2‐ドデシルヘプタデカン酸、2‐イソドデシルイソヘプタデカン酸、2‐デシルオクタデカン酸、2‐デシルイソオクタデカン酸、2‐トリデシルヘプタデカン酸、2‐イソトリデシルイソヘプタデカン酸、2‐テトラデシルオクタデカン酸、2‐イソテトラデシルオクタデカン酸、2‐ヘキサデシルヘキサデカン酸、2‐ヘキサデシルテトラデカン酸、2‐ヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2‐イソヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2‐ペンタデシルノナデカン酸、2‐イソペンタデシルイソノナデカン酸、2‐テトラデシルベヘン酸、2‐イソテトラデシルベヘン酸、2‐テトラデシルイソベヘン酸、2‐イソテトラデシルイソベヘン酸、イソヘプタン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸等が挙げられ、三級カルボン酸としては、例えば、ピバリン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸などが挙げられる。中でも、安定性や低温分解性を考慮するとカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が好ましい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸等が挙げられる。
ジカルボン酸、としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、サリチル酸、クマル酸等が挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
これらのカルボン酸は、低温での導電発現性の観点から、炭素数3〜22のものが好ましく用いられる。また、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、アミノ基を有する化合物としては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン、及びステアリルアミン等の第一級アミン、ジココアミン、ジ水素化タロウアミン、及びジステアリルアミン等の第二級アミン、ドデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、及びトリオクチルアミン等の第三級アミン、第四級アミン塩等のアルキルアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミン等のジアミン、 2-メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ブトキシプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、2-ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、アミド基を有する化合物としては、例えば、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩が挙げられる。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、メルカプト基含有化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオジプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸等の酸チオール類、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、アリルメルカプタン、ジメチルメルカプタン、メルカプトエタノール、アミノエチルメルカプタン、チオジエチルアミン等の脂肪族チオール類、シクロヘキシルチオール等の脂環式チオール類、チオフェノール等の芳香族チオール類、チオジエチレングリコール、チオジグリコール酸、エチレンチオグリコール等のチオグリコール類等が挙げられる。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、スルフィド化合物として、例えば、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド等が挙げられる。
保護物質のうち、イオン性官能基を有する保護物質としては、前記した化合物以外にも、顔料分散剤、界面活性剤、カップリング剤として一般に市販されている化合物も使用することができる。これらは、単独で用いても、複数の形態の化合物を併用してもよい。
前記顔料分散剤は、上述した親和性基を化合物中に1個以上有するものが好ましく、例えば、ポリエーテル類、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられ、イオン交換層に対応する性質を有するものを適宜選択することができる。また、これらは必要に応じて、親和性基を導入するために変性されていても良い。
前記界面活性剤としては、特に限定されず、陰イオン系、非イオン系、両性イオン系、陽イオン系のものあるが、用途に応じて、これらのいずれのものをも用いることができる。
また、これらとは分類形態が異なるものとして、フッ素系界面活性剤、アリル系反応性界面活性剤等の反応性界面活性剤、カチオン性セルロース誘導体、ポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子界面活性剤が挙げられる。本発明ではこのような界面活性剤も含め、保護物質として用いることができる。
また界面活性剤は、1種類を単独で用いることも、また2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
前記カップリング剤としては、一般に、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等を使用することができる。
本発明では、分散性や低温での導電発現性を考慮すると、保護物質としてはカルボキシル基を有する有機酸であることが好ましく、さらに、低温での導電発現性から、有機酸が、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分岐を有する、鎖状の脂肪酸であることが好ましい。
本発明において、保護物質は1種または2種以上を併用して用いてもよく、2種以上を使用する場合は、形態の異なる保護物質を併用することもできる。
上記保護物質は、金属微粒子100重量部に対する保護物質の総量で0.1〜2000の範囲で用いることが好ましいが、1〜100重量部の範囲で用いることが更に好ましい。添加量が0.1重量部未満の場合、被覆導電性粒子の分散を安定に保つことが困難になり、導電性粒子が凝集する恐れがある。また、2000重量部を超える場合、導電性粒子の安定化に寄与しない余剰の保護物質の存在が、導電性被膜の導電性や、その他の物性に悪影響を与える恐れがある。
被覆導電性粒子の分散体は、種々の方法で得ることができ、還元により保護物質と導電性粒子とに分離する機能を有する金属塩(例えば、カルボン酸金属塩など)に対し、還元剤、熱、超音波、紫外線等を作用させ、金属塩を還元することにより、導電性粒子が保護物質で被覆されてなる被覆導電性粒子の分散体を得ることが好ましい旨、前述した。還元剤を用いることが好ましい。
具体的には、液体媒体中、カルボキシル基を有する有機酸と金属の有機酸金属塩に対して、還元剤である下記一般式(1)で示されるカルボジヒドラジドまたは下記一般式(2)で示される多塩基酸ポリヒドラジドを等量以上用いて、前記有機酸金属塩を還元し、有機酸金属塩由来の有機酸が保護物質として、生成した導電性粒子を被覆、安定化してなる被覆導電性粒子の分散体を得ることができる。
前記方法は、還元反応が比較的低温、かつ迅速に進行するため、反応後の被覆導電性粒子の凝集が抑えられ、平均粒子径が小さく、かつ粒子径分布が狭い、被覆導電性粒子の分散体を得ることができる。この方法で得られる被覆導電性粒子の分散体は流動性や安定性に優れているため、低温かつ短時間の加熱により導電性の良好な導電性被膜を形成することができる。
被覆導電性粒子の分散体の前記製造方法をより具体的に説明する。
例えば、金属化合物としてカルボン酸の金属塩の水溶液を用い、これをトルエンなどの水と相分離する非水系溶剤に混合する。この混合液に下記式(1)で示されるカルボジヒドラジド、または下記式(2)で示されるヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基酸ポリヒドラジドの水溶液を滴下して前記カルボン酸金属塩を還元する。還元により、有機酸金属塩由来の有機酸により導電性粒子を被覆してなる被覆導電性粒子が非水系溶剤に分散してなる分散体と水相との混合液が得る。次いで、前記混合液から水相を分離、除去した後、非水系溶剤相に新たな水を加え、不純物を水相に移行させ、水相を分離し、非水系溶剤相を洗浄し、有機酸金属塩由来の有機酸を保護物質とする、被覆導電性粒子を分散質、非水系溶剤を分散媒とする分散体が製造される。
Figure 2011171522
Figure 2011171522
上記式(2)で示されるヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基ポリヒドラジドとしては、例えば、二塩基酸ジヒドラジド、三塩基酸トリヒドラジド、四塩基酸テトラヒドラジド等が挙げられる。
二塩基酸ジヒドラジドとしては、例えば、シュウ酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、タルタロジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、ヘキサデカン酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられ、
三塩基酸トリヒドラジドとしては、例えば、クエン酸トリヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド等があげられる。
四塩基酸テトラヒドラジドとしては、例えば、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等があげられる。
上記以外の多塩基酸ポリヒドラジドとしては、ポリアクリル酸ポリヒドラジド等が挙げられる。これらの多塩基酸ポリヒドラジドは、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これら還元剤の添加量については、金属化合物の種類や濃度によっても異なるが、通常はすくなくとも金属化合物溶液から金属が還元析出するのに必要な化学量論比の量をしようすればよい。
前記した製造方法に好適に使用される還元剤は、ジヒドラジド、もしくはポリヒドラジド類であり、還元能を有する官能基を化合物中に2個以上有していることから、金属が還元析出するのに必要な化学量論比はヒドラジド基で換算して添加するのが好ましい。還元後に水相を除去する場合には、余剰の還元剤も同時に除去できるため、化学量論比以上の還元剤を使用しても良く、その上限は特に定められるものではないが、洗浄工程やコストを考えると、ヒドラジド換算の化学量論比で金属化合物を還元するのに必要な添加量の6倍以下であることが好ましい。
被覆導電性粒子の分散体に用いられる非水系溶剤を分散媒としては、特に限定されないが、例えば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸(イソ)アミル、乳酸エチル、酢酸3−メトキシブチル、γ−ブチロラクトン、アセト酢酸エチル、エチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート(カルビトールアセテート)、ブチルジグリコールアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、ジヒドロターピネニルアセテート、トリアセチン、二塩基酸エステル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、テレピン油、α−ピネン、β−ピネン、シクロパラフィン系溶剤、流動パラフィン、スチレンモノマー、リグロイン、ミネラルスピリット、石油エーテル、石油ベンジン等の脂肪族炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ソルミックス、4−ブタンジオール、オクタンジオール、グリセリン等や、ターピネオールC、α−ターピネオール、L−α−ターピネオール、ジヒドロターピネオール、パインオイルNT、テルソルブMTPH、ファインオキソコール140N、ファインオキソコール1600、ファインオキソコール180、ファインオキソコール180N、ファインオキソコール2000(日産化学工業株式会社製)等の高級アルコール等のアルコール系溶剤、ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル、その他ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
上記非水系溶剤は、被覆導電性粒子の分散体100重量部中、通常0.01〜99重量部用いることが好ましく、0.1〜95重量部用いることがより好ましい。
次に、被覆導電性粒子の分散体から導電性被膜を形成する一般的な方法について述べる。
保護物質は、分散体の状態では導電性粒子の表面を被覆し、導電性粒子の凝集を防ぎ、分散体としての分散安定性に寄与する。導電性被膜は、以下のような方法で導電性粒子から保護物質を剥がし、導電性粒子を加熱融着させることにより得ることができる。
(i) 分散体を対象に塗工後、加熱により保護物質を分解、揮発させることによって除去し、導電性粒子を加熱融着させることにより、導電性被膜を形成する。
(ii) 被覆導電性粒子の他に、保護物質のイオン性に対応するイオン交換能を有する物質を含む分散体を対象に塗工後、加熱により保護物質を分解、揮発させることによって除去し、導電性粒子を加熱融着させることにより、導電性被膜を形成する。イオン交換能を有する物質が共存することによって、保護物質の分解等が促進されるので、前記(i)の方法よりも効率的に導電性被膜を形成することができる。
(iii)被覆導電性粒子を対象に塗工し、形成された導電性被膜前駆体に、保護物質のイオン性に対応するイオン交換能を有する物質を含むイオン交換層(V)と接触させる、あるいは、保護物質のイオンに対応するイオン交換能を有する物質を含む分散体を対象に塗工し、形成されたイオン交換層(V)と導電性被膜前駆体と接触させる。すると、イオン交換反応により、導電性粒子表面から保護物質が引き剥がされ、活性エネルギーの高い導電性粒子の表面が露出するので、導電性粒子の被膜化が速やかに進行し、導電性被膜をより低温(例えば200℃以下)、短時間で得ることが可能となる。
本発明の電磁波シールド性接着性フィルムは、硬化性導電性接着剤層の他に、イオン交換層及び被覆導電性粒子の分散体から形成される導電性被膜を具備するものであり、前記(ii)イオン交換能を有する物質と導電性被膜が共存する製造方法によって、形成することができる。
イオン交換層と導電性被膜が共存する製造方法にも5つの態様がある。以下に図に基づきながら、5つの態様について説明する。
第1の態様は、図1及び以下に示すように、5つの工程を経て、絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得る方法である。即ち、
(1−1)剥離性フィルム1の一方の面に、硬化性絶縁層(II)を形成する工程、
(1−2)前記硬化性絶縁層(II)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
(1−3)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
(1−4)剥離性フィルム2の一方の面に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程、
(1−5)前記硬化性導電性接着剤層(I)と、前記導電性被膜(VI)とを重ね合わせる。
前記(1−1)の工程における硬化性絶縁層(II)の形成には、上述したように硬化性導電性接着剤層の形成用の組成物に用いられる硬化性絶縁性樹脂組成物を用いることができる。即ち、硬化性絶縁性樹脂組成物を、剥離性フィルム1に塗工・乾燥することにより、硬化性絶縁層(II)を得ることができる。
乾燥条件は、硬化性絶縁性樹脂組成物に含まれる溶剤が十分に揮発し、かつ、硬化性絶縁層(II)が硬化しない条件、具体的には80〜100℃、30秒〜5分程度であることが好ましい。
形成される硬化性絶縁層(II)の厚みは、3〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることが好ましい。硬化性絶縁層(II)の厚みが3μm未満の場合には、フィルム(層)としての強度が低下し、硬化性導電性接着剤層(I)にとっての絶縁性支持体としての役割を担うことが難しくなる。一方、硬化性絶縁層(II)の厚みが50μmを越える場合には、電磁波シールド性接着性フィルムの、被着体面の凹凸への追従性が低下し、十分なシールド効果が得にくくなる
被覆導電性粒子を含む分散体を塗工、乾燥することによって、被覆導電性粒子を含む導電性被膜の前駆体とも言うべき層が形成される。前記(1−3)の工程では、被覆導電性粒子を含む分散体をイオン交換層(V)上に塗工することによって、形成されつつある前駆体層とイオン交換層(V)とが接触できるので、乾燥時の熱を利用して、前駆体層の形成とイオン交換とが、同時にまたは連続して生じ、効率的に導電性被膜(VI)の生成が可能になったものと考察される。
前記(1−3)の工程における加熱条件は、室温でも導電性被膜を形成することが可能であるが、被覆導電性粒子を含む分散体を塗工した後に、加熱処理を施すことで、より短時間で、かつ、高導電の被膜を得ることができる。
このときの加熱処理の温度は300℃以下であることが好ましく、フィルム基材上での導電性被膜形成を考慮すると200℃以下であることが好ましい。さらに160℃以下であることが好ましい。
乾燥の方法については、特に限定されず、例えば、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、紫外線乾燥、電子エネルギー乾燥、熱ロール乾燥等、一般的な乾燥方法を用いることができる。
また、形成される導電性被膜(VI)は、厚みが0.001〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜10μmである。表面抵抗率は、前述したように1×10-2〜1×10(Ω/□)である事が好ましく、より好ましくは1×10−1〜1×10(Ω/□)である。
被覆導電性粒子を含む分散体をイオン交換層(V)上に塗工する際には、印刷やコーティングにより行うことができる。例えば、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、スプレーコート、スピンコート、ダイコート、リップコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、バーコート等、目的に応じて適宜選択することができる。
前記(1−4)の工程における硬化性導電性接着剤層(I)の形成には、上述したように硬化性導電性接着剤層の形成用の組成物を、剥離性フィルム2に塗工・乾燥することにより、硬化性導電性接着剤層(I)を得ることができる。
乾燥条件は、硬化性導電性接着剤組成物に含まれる溶剤が十分に揮発し、かつ、硬化性導電性接着剤層(I)が硬化しない条件、具体的には80〜100℃、30秒〜5分程度であることが好ましい。
形成される硬化性導電性接着剤層(I)の厚みは、1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることが好ましい。硬化性導電性接着剤層(I)の厚みが1μm未満の場合には、電磁波シールド性被着体への接着力を両立することが難しくなる。一方、硬化性導電性接着剤(I)の厚みが20μmを越える場合には、電磁波シールド性接着性フィルムの柔軟性が低下し、耐屈曲性に対する高度な要求に応えられない場合がある。
前記(1−5)の工程における硬化性導電性接着剤層(I)と導電性被膜(VI)との重ね合わせは、一般的に用いられる方法を用いることができ、例えば、プレス機、ラミネーターなどがあげられる。これら機器で重ね合わせる際には、50〜150℃の熱をかけることも可能であるが、基材への熱履歴を考慮すると100℃以下の加熱であることが好ましい。
第2の態様は、図2及び以下に示すように、5つの工程を経て、絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得る方法である。即ち、
(2−1)剥離性フィルム1の一方の面に、硬化性絶縁層(II)を形成する工程、
(2−2)前記硬化性絶縁層(II)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
(2−3)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
(2−4)前記導電性被膜(VI)上に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程、
(2−5)前記硬化性導電性接着剤層(I)に、剥離性フィルム2を重ね合わせる。
前記(2−1)、(2−2)、(2−3)の工程は、それぞれ(1−1)、(1−2)、(1−3)の工程と同様であり、(2−4)の工程にて、導電性被膜上に硬化性導電性接着剤層を設けた後、(2−5)の工程で剥離フィルム2と重ね合わせるが、形成条件、厚み、表面抵抗率等についても第1の態様と同様である。
第3の態様は、図3及び以下に示すように、4つの工程を経て、絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得る方法である。即ち、
(3−1)剥離性フィルム1の一方の面に、硬化性絶縁層(II)を形成する工程、
(3−2)前記硬化性絶縁層(II)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
(3−3)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
(3−4)前記導電性被膜(VI)上に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する。
第3の態様は、第2の態様における(2−5)の工程が省略されただけで、その他については同様である。
第4の態様は、図4及び以下に示すように、4つの工程を経て、絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得る方法である。即ち、
(4−1)硬化性を有しない絶縁フィルム(II’)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
(4−2)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
(4−3)剥離性フィルム2の一方の面に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程、
(4−4)前記導電性被膜 (VI)と、硬化性導電性接着剤層(I)を重ね合わせる。
第4の態様においては、絶縁層として硬化性を有しない絶縁フィルム(II’)を用いた以外は、態様1の工程と同様である。硬化性を有しない絶縁フィルムを用いる場合、導電性被膜を設ける際に熱をかける為、耐熱性を有しているものが好ましい。
第5の態様は、図5及びに以下に示すように、3つの工程を経て、絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得る方法である。即ち、
(5−1)硬化性を有しない絶縁フィルム(II’)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
(5−2)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
(5−3)前記導電性被膜(VI)上に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する。
第5の態様においては、第4の態様の(4−4)の工程が省略された以外は、態様4と同様である。(5−3)の工程で設けた硬化性導電性接着剤層の表面タックが小さい場合この態様になる。
前記5つの態様における「イオン交換」について説明する。本発明では、「イオン交換能を有する」とは、「イオン交換反応を示す」ことを意味している。イオン交換反応とは、一般に、固体または液体中のイオンが、それと接する外部溶液中にある同符号のイオンと交換する現象である。
本発明において、イオン交換能を有する物質を含むイオン交換層(V)と、前記イオン性官能層の交換能と対応する性質を有する保護物質との組合せは、以下の通りである。
即ち、保護物質が陰イオン性官能基を有する場合には、イオン交換層(V)として陰イオン交換能を有する物質を含む陰イオン交換層(Va)を適用する。保護物質が陽イオン性官能基を有する場合には、イオン交換層(V)として陽イオン交換能を有する物質を含む陽イオン交換層(Vc)を適用する。
これらの組み合わせは、用途に応じて選択することができるが、保護物質の導電性粒子表面との親和性とイオン交換能を考慮すると、保護物質として陰イオン性官能基を有するものを選択し、陰イオン交換層(Va)を組み合わせることが好ましい。保護物質としては、カルボキシル基を有する有機酸を用いることがより好ましく、有機酸としては、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分岐を有する、鎖状の脂肪酸を用いることがさらに好ましい。
本発明で用いるイオン交換能を有する物質について説明する。
イオン交換能を有する物質としては、有機材料、無機材料を使用することができる。
イオン交換能を有する有機材料としては、分子中にイオン交換可能なイオン性基を有する樹脂や、イオン交換にあずかるイオン性基を導入した樹脂、および化合物等が挙げられる。
イオン交換能を有する無機材料としては、イオン交換体、固体酸、固体塩基等が挙げられる。
前述したように、本発明では、イオン交換とは、固体または液体中に存在するイオンが、それと接する外部溶液中にある同符号のイオンと交換する現象を意味するが、本発明におけるイオン交換は、該イオン交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されてなる被覆導電性粒子を含む層と、イオン交換層との間で行われる、固層間、液層間もしくは固層−液層間での反応である。
なお、イオン交換能を有する物質についての説明において、化合物とは構造を特定し得る比較的低分子量の物質を指し、樹脂とは構造を特定し難い比較的高分子量の物質を指す。
まず、イオン交換を有する有機材料について説明する。
陰イオン交換が可能なイオン性基としては、例えば、ホスホニウム基、スルホニウム基、アミノ基、四級アンモニウム塩等が挙げられ、陰イオン交換能を有する有機物質としては、上記陰イオン交換が可能なイオン性基を有する化合物、樹脂等が挙げられる。
上記、陰イオン交換基を有する化合物としては、例えば、四級アンモニウム塩、または四級アンモニウム塩を有するカチオン性化合物等が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、例えば、N−メチルピペリジンメチオジド、キノリンメチオジド等の環状第4アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウム、高級アミンのハロゲン酸塩等が挙げられる。
また、四級アンモニウム塩の酸基としては、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、ClO3 -、SO4 2-、NO3 -、CrO4 -、CO3 2-、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、OH-等いずれの酸基も用いることができる。
陰イオン交換が可能なイオン性基を有する樹脂としては、上記、陰イオン交換が可能なイオン性基を導入した樹脂化合物などが挙げられ、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アリルアミン重合樹脂、ジアリルアミン重合樹脂等が挙げられる。更に、ジシアンジアミジンやジシアンジアミドの重合樹脂等や、樹脂を直接カチオン変性したカチオン変性樹脂や、例えば、アリルアミン重合樹脂を架橋させた樹脂ビーズ等も挙げられる。また、一般に陰イオン交換樹脂として使用されているものを使用することもできる。
陰イオン交換樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体にトリメチルアミンやジメチルエタノールアミン等を用いて四級アンモニウム基を導入したもの等を用いることができる。
次に、イオン交換を有する有機材料のうち、陽イオン交換可能な有機材料について説明する。
陽イオン交換が可能なイオン性基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基、ホスホン酸基、ヒ酸基、セレン酸基等の酸性基等が挙げられ、陽イオン交換能を有する有機物質としては、上記陽イオン交換が可能なイオン性基を有する化合物、樹脂等が挙げられる。
陽イオン交換が可能なイオン性基を有する化合物としては、例えば、アニオン界面活性剤、脂肪酸、およびカルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基を含む化合物およびそれらの塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン界面活性剤として知られているものを使用することができる。例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルコハク酸塩等の高級脂肪酸塩系界面活性剤、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、アルファオレインスルホン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はリン酸エステル塩界面活性剤等が挙げられる。
陽イオン交換が可能なイオン性基を有する樹脂としては、上記、陽イオン交換が可能なイオン性基を導入した樹脂化合物などが挙げられる、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。さらに、樹脂を直接アニオン変性したアニオン変性樹脂も使用することができる。また、一般に陽イオン交換樹脂として使用されているものを使用することもできる。
陽イオン交換樹脂は、イオン交換基としてスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂は強酸性、カルボン酸基は弱酸性として働き、それ以外は中酸性として働くが、本発明では、強酸性、弱酸性、中酸性陽イオン交換樹脂のいずれも使用することができる。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンSK104、ダイヤイオンSK1B、ダイヤイオンSK110、ダイヤイオンSK112、ダイヤイオンPK208、ダイヤイオンPK212、ダイヤイオンPK216、ダイヤイオンPK218、ダイヤイオンPK220、ダイヤイオンPK228、ダイヤイオンUBK08、ダイヤイオンUBK10、ダイヤイオンUBK12、ダイヤイオンUBK510L、ダイヤイオンUBK530、ダイヤイオンUBK550、ダイヤイオンUBK535、ダイヤイオンUBK555(三菱化学株式会社製)が挙げられる。
弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンWK10、ダイヤイオンWK11、ダイヤイオンWK100、ダイヤイオンWK40L(三菱化学株式会社製)が挙げられる。
次に、イオン交換能を有する無機材料について説明する。
陰イオン交換能を有する無機材料としては、例えば、固体塩基として、活性炭や、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、ZnO/ZrO2、MgO/TiO2、CaO/P25、SiO2/CaO/MgO、SiO2/Al23、SiO2/SrO、SiO2/BaO、ZnO/SiO2、TiO2/ZrO2、Al23/TiO2、SiO2/ZrO2、Al23+ZrO2、SiO2/TiO2、MoO3/SiO2、MoO3/Al3、Al23/MgO等の複合酸化物、Na/MgO、K/MgO、Na/Al等の金属蒸着金属酸化物、KNH2/Al23、EuNH/K−Y等のイミン担持金属酸化物、KF/Al23、LiCO3/SiO2等のアルカリ金属塩類等が挙げられる。その他、例えば、無機イオン交換体として、シリカ、コロイダルシリカ、チタニア上に、例えば酸化アルミニウム等で被覆して、表面の電荷をカチオン化したものなども使用することができる。
陽イオン交換能を有する無機材料としては、例えば、固体酸として、ゼオライト、カオリナイト、モンモリロナイト、クロライト、バーミキュライト、ハロイサイト、雲母、脆雲母等の粘土鉱物、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム等の金属酸化物、SiO/CaO、SiO/SrO、ZnO/MgO、ZnO/Sb、SiO/MgO、TiO/B、ZnO/SiO2、ZnO/ZrO、Al/Bi、SiO/WO、SiO/V、Al/MoO、Al/WO、Al/V、SiO/Al、SiO/ZrO、Cr/Al、SiO/BeO、SiO/Y、SiO/La、SiO/Ga、TiO/Al、TiO/ZrO、Al/ZrO、ZnO/Al、SiO/MoO等の複合酸化物等が挙げられる。
上記、イオン交換能を有する無機材料は粒子状であるものが多く、その平均粒子径は0.001〜20μmのものが好ましい。平均粒子径が20μmを超えると、前記無機材料含有塗液の安定性、物性等が低下する恐れや、イオン交換能の低下に伴い導電性発現効果が低下する恐れがある。
上記、イオン交換能を有する物質は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、2種類以上を組み合わせるときには、無機材料、有機材料を組み合わせることも可能である。
前記のイオン交換能を有する物質を用いてイオン交換層(V)を形成する。具体的には、前記のイオン交換能を有する物質に、必要に応じて他の添加剤や液状媒体、樹脂および/またはその前駆体等を加え、例えば、イオン交換能を有する物質を含んだ塗料とする。そして、該塗料を、後述するシート状部材(IV)に塗布、印刷することにより、イオン交換層(V)を形成する。
次に、本発明で用いるイオン交換能を有する物質を含んだ塗料の製造方法について説明する。
本発明で用いる塗料は、前記イオン交換能を有する物質を液状媒体に混合し、更に必要に応じて消泡剤、レベリング剤、滑剤、分散剤、樹脂および/またはその前駆体等を混合し、従来公知の方法で、例えばボールミル、アトライター、サンドミル、ジェットミル、3本ロールミル、ペイントシェーカー等を用いて分散するか、または、従来公知の方法で、例えば、ミキサー、ディソルバーを用いて撹拌、混合することにより、上記塗料を製造することができる。
本発明で用いるイオン交換能を有する物質を含んだ塗料には、シート状部材や塗布方法に応じて液状媒体を使用することができる。
液状媒体としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、水等の前記導電性粒子を製造する際に使用した液状媒体と同じものを用いる事ができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
また、本発明で用いるイオン交換能を有する物質を含んだ塗料には、シート状部材に対する密着性を高めたり、被覆導電性粒子含有分散体から形成される導電性被膜の前駆体層との密着性を高め、前記前駆体とイオン交換層(IV)とのイオン交換の効率を向上させたりする目的で、その他の樹脂および/またはその前駆体を含ませることができる。
その他の樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
また、上記樹脂のうち、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等は、アミン類、酸無水物類、メルカプト類、イミダゾール類、イソシアネート類、ジシアンジアミド類、ジヒドラジド類等の硬化剤と組み合わせることによって、得られた被膜の耐溶剤性や耐薬品性等の物性を高めることができる。
樹脂の前駆体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物等のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。これらエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、単官能であっても、多官能であってもよい。
イオン交換能を有する物質及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有する塗料をシート状部材に塗工し、活性エネルギー線を照射し、前記前駆体を硬化させ、イオン交換層(V)を形成することができる。
エチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート化合物、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能の(メタ)アクリレート化合物、
ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等の単官能のビニルエーテル化合物、
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等の多官能のビニルエーテル化合物や、その他活性エネルギー線硬化性組成物の技術分野で使用される化合物を適宜選択することができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」という場合、アクリル酸およびメタクリル酸を含む意味で使用される。また「(メタ)アクリレート」という場合にも、同様に、アクリレートとメタクリレートを含む意味で用いられる。その他(メタ)アクリロイルなどでも同様である。
活性エネルギー線硬化性塗料を用いてイオン交換層(V)を形成する際、紫外線照射によってイオン交換層(V)を形成する場合には、必要に応じて、光重合開始剤、(熱)重合禁止剤、光重合促進剤、光増感剤等を添加することができる。
更に、本発明で用いるイオン交換能を有する物質を含んだ塗料には、必要に応じてイオン交換能を有さない、有機および/または無機微粒子を含ませることができる。
上記塗料中に上記微粒子が含まれることによって、イオン交換能を有する物質が、イオン交換層中に均一に存在することによって、被覆導電性粒子と接触した際に、イオン交換反応が更に効率良く行われる。
上記イオン交換能を有さない無機微粒子としては、例えば、クレー、珪藻土、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、カオリン、焼成カオリン、サポナイト、モルデナイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄(II)、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉛、リン酸マグネシウム、塩化アルミニウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、モンモリロナイト等が挙げられる。これらの無機微粒子のなかでも、非晶質シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
これらの微粒子は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
有機微粒子としては、例えば、デンプン等の天然物、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン系、スチレン/アクリル系、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12等のナイロン系、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、4フッ化エチレン等のオレフィン系、ポリエステル系、フェノール系、ベンゾグアナミン系の樹脂微粒子が挙げられる。
上記イオン交換能を有さない微粒子は、一次粒子の平均粒子径が0.001〜20.0μmであることが好ましい。平均粒子径が20.0μmを超える微粒子を用いると、イオン交換能向上効果が期待できないばかりでなく、塗料の安定性、物性等も低下するため好ましくない。
上記微粒子の塗料中への添加量は、特に限定されないが、イオン交換層形成用塗料100重量部中、通常1〜99重量部、好ましくは5〜99重量部であるとよい。
本発明において用いられるイオン交換層(V)は、シート状部材(IV)に前記のイオン交換能を有する物質を含む塗料を、印刷・コーティングし、乾燥することにより得られる。
印刷・コーティングの方法としては、例えば、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、スプレーコート、スピンコート、ダイコート、リップコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、バーコート等が挙げられ、適宜選択することができる。
続いてイオン交換能を有する物質を含むイオン交換層(V)を形成させる際に使用されるシート状部材(IV)に関して説明する。シート状部材(IV)としては、プラスチックフィルム、紙などが用いられる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のプラスチック製のフィルムや、
グラシン紙、上質紙、クラフト紙、コート紙等の紙類、
各種の不織布、合成紙、金属箔や、これらを組み合わせた複合フィルムなどが挙げられる。
これらシート状部材(IV)の厚みとしては、5μm〜250μmの範囲であることが好ましい。5μmよりも薄い場合、生産上でのハンドリングが難しく、また、250μmよりも厚いと折り曲げ性が悪くなり、またコストもかかることから好ましくない。
次に本発明にて使用する剥離フィルムについて説明する。
剥離フィルム1は、前記5つの態様のうち、第1(図1)、第2(図2)、第3(図3)の場合に使用されるものである。
剥離フィルム1は、硬化性絶縁層(II)を形成する際に使用され、形成された電磁波シールド性接着性フィルムの硬化性絶縁層(II)の表面を剥離可能に被覆し、電磁波シールド性接着性フィルムを被着体に貼着した後、剥離する。
剥離フィルム2は、前記5つの態様のうち、第1(図1)、第2(図2)、第4(図4)の場合に使用されるものである。
剥離フィルム2は、形成された電磁波シールド性接着性フィルムの硬化性導電性接着剤層(I)の表面を、被着体に貼着するまで、被覆するものである。
剥離フィルム1、2は、片面あるいは両面に離型処理をしたフィルムや、片面あるいは両面に粘着剤を塗布したフィルムなどを使用することができる。
離型フィルムの基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のプラスチックシート等、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、コート紙等の紙類、各種の不織布、合成紙、金属箔や、これらを組み合わせた複合フィルムなどが挙げられる。
離型処理方法としては、離型剤をフィルムの片面あるいは両面に塗布したり、物理的にマット化処理する方法がある。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系樹脂、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸石鹸、ワックス、動植物油脂、マイカ、タルク、シリコーン系界面活性剤、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、フッ素系界面活性剤、フッ素樹脂、フッ素含有シリコーン樹脂などが用いられる。
離型剤の塗布方法としては、従来公知の方式、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、ロールコート方式、ナイフコート方式、スプレーコート方式、バーコート方式、スピンコート方式、ディップコート方式等により行うことができる。
最後に本発明の電磁波シールド性接着性フィルムの使い方の具体的態様を説明する。
前記電磁波シールド性接着性フィルムから、一部の態様を除き、剥離性フィルム2を剥がし、硬化性導電性接着剤層(I)を露出させる。その硬化性導電性接着剤層(I)を被着体に重ね合わせ、加熱することにより、硬化性導電性接着剤層(I)及び硬化性絶縁層(II)を硬化させる。両層(I)(II)の硬化に伴い、両層(I)(II)の間に位置する導電性被膜(VI)と両層(I)(II)との接着が確保され、被着体を電磁波から遮蔽することが可能となる。剥離性フィルム1を用いていた場合には、その後、剥離性フィルム1を剥がす。
本発明の硬化性電磁波シールド性接着性フィルムを貼着することのできる被着体としては、例えば、繰り返し屈曲を受けるフレキシブルプリント配線板を代表例として挙げることができる。もちろん、リジッドプリント配線板にも適用できる。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例及び比較例において、「部」及び「%」とあるのは、「重量部」及び「重量%」をそれぞれ意味するものとする。
なお、実施例中に記載したポリウレタンポリウレア樹脂の重量平均分子量、及びポリエステル樹脂の数平均分子量は、GPC測定で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量、及び数平均分子量であり、GPC測定の条件は、以下のとおりである。
装置:Shodex GPC System−21(昭和電工製)
カラム:Shodex KF−802、KF−803L、KF−805L
(昭和電工製)の合計3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.3重量%
試料注入量:100μl
[ポリウレタンポリウレア樹脂(A)、(C)の合成]
[合成例1]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、アジピン酸とテレフタル酸及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下、「Mn」という)=1006であるジオール414部、ジメチロールブタン酸8部、イソホロンジイソシアネート145部、及びトルエン40部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で3時間反応させた。これに、トルエン300部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン27部、ジ−n−ブチルアミン3部、2−プロパノール342部、及びトルエン576部を混合したものに、得られたウレタンプレポリマーの溶液816部を添加し、70℃で3時間反応させ、重量平均分子量(以下、「Mw」という)=54,000、酸価5mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。
これに、トルエン144部、2−プロパノール72部を加えて、固形分30%であるポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−1)(又は(C−1))を得た。
[合成例2]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンカーボネートジオールとから得られるMn=981であるジオール390部、ジメチロールブタン酸16部、イソホロンジイソシアネート158部、及びトルエン40部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で3時間反応させた。これに、トルエン300部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン29部、ジ−n−ブチルアミン3部、2−プロパノール342部、及びトルエン576部を混合したものに、得られたウレタンプレポリマーの溶液814部を添加し、70℃で3時間反応させ、Mw=43,000、酸価10mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。
これに、トルエン144部、2−プロパノール72部を加えて、固形分30%であるポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−2)(又は(C−2))を得た。
[合成例3]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとから得られるMn=1002であるジオール352部、ジメチロールブタン酸32部、イソホロンジイソシアネート176部、及びトルエン40部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で3時間反応させた。これに、トルエン300部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン32部、ジ−n−ブチルアミン4部、2−プロパノール342部、及びトルエン576部を混合したものに、得られたウレタンプレポリマーの溶液810部を添加し、70℃で3時間反応させ、Mw=35,000、酸価21mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。
これに、トルエン144部、2−プロパノール72部を加えて、固形分30%であるポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−3)(又は(C−3))を得た。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例1]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびオレイン酸銀38.9部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)を添加し溶解させた。
その後、還元剤として20%コハク酸ジヒドラジド(以降SUDHと略記する)水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を滴下すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために40℃に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、更にトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄・分離を繰り返し、オレイン酸で保護された銀微粒子がトルエンに分散してなる分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は7±2nmであり、銀濃度は73%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例2]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびプロピオン酸銀18.1部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)、オレイン酸2.8部(金属1molに対し0.1mol倍)を添加し溶解させた。
その後、還元剤として20%SUDH水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を添加すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために40℃に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、更にトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄・分離を繰り返し、プロピオン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子がトルエンに分散してなる分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は75%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 3]
原料の金属塩をペンタン酸銀20.9部に変更した以外は、合成例2と同様にしてペンタン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±1nmであり、銀濃度は82%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 4]
原料の金属塩をヘキサン酸銀22.3部に変更した以外は、合成例2と同様にしてヘキサン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は80%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 5]
原料の金属塩をオクタン酸銀25.1部に変更した以外は、合成例2と同様にしてオクタン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は6±2nmであり、銀濃度は70%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 6]
原料の金属塩をミリスチン酸銀33.5部に変更した以外は、合成例2と同様にしてミリスチン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は8±2nmであり、銀濃度は72%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 7]
原料の金属塩をステアリン酸銀39.1部に変更した以外は、合成例2と同様にしてステアリン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は8±2nmであり、銀濃度は65% であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例8]
原料の金属塩をブタン酸銀19.5部に変更した以外は合成例2と同様にしてブタン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は75%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 9]
原料の金属塩をペンタン酸銅16.5部に、還元剤を20%SUDH水溶液146.2部(金属1molに対しヒドラジド基4molの割合)に変更した以外は合成例2と同様にしてペンタン酸及びオレイン酸で保護された銅微粒子分散体を得た。得られた銅微粒子分散体の銅粒子の平均粒子径は、7±2nmであり、銅濃度は75%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例 10]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびプロピオン酸銀18.1部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)1.1部(金属に対し10重量%)を20%トルエン溶液として添加し溶解させた。
その後、還元剤として20%SUDH水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を添加すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために4 0℃ に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、更にトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄・分離を繰り返し、プロピオン酸及びアジスパーPB821で保護された銀微粒子がトルエンに分散してなる分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は68%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例11]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、窒素ガスを導入しながら1M硝酸銀水溶液を100部仕込み、攪拌しながらソルスパース32000(日本ルーブリゾール株式会社製、重量平均分子量約50000)1.9部を、トルエン10.8 部中に溶解させた溶液を滴下した。室温で30分攪拌した後、ジメチルアミノエタノール38.1部を滴下し、そのまま室温で一晩攪拌し反応を進行させた。水層を取り出し、数回蒸留水で洗浄・分離を繰返すことで過剰の還元剤と不純物の洗浄を行い、ソルスパース32000で保護された銀微粒子がトルエンに分散してなる分散体を得た。得られた銀微粒子分散体は、ペースト状であり、銀微粒子の平均粒子径は25±10nmであり、銀濃度は50%であった。
〔イオン交換層形成用塗液製造例1〕
陰イオン交換能を有する物質として、カチオン変性アクリル系重合体溶液(明成化学工業株式会社製「パルセットJK−510」、不揮発分20%)15部、イオン交換能を有さない物質として、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO」、固形分20%)60部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)25部を混合し、サンドミルを用いて2時間分散し、イオン交換層形成用塗液を得た。
〔イオン交換層形成用塗液製造例2〕
イオン交換能を有さない樹脂としてポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製「ポバールPVA−117」7.5部、陰イオン交換能を有する物質として、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(花王株式会社製「コータミン24P」2.5部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)90部を混合し、ディゾルバーを用いて60分間撹拌して、イオン交換層形成用塗液を得た。
〔イオン交換層形成用塗液製造例3〕
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO−40」、固形分40%)30部と、アミノ基を有するシランカップリング剤(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)1.2部を混合し、ディソルバーを用いて60分間撹拌し、陰イオン交換能を有する表面処理コロイダルシリカを得た。
前記表面処理コロイダルシリカ61.2部と、イオン交換能を有さない樹脂としてポリアセタール樹脂溶液(積水化学工業株式会社製「エスレックKW−1」、固形分20%)15部、液状媒体(水/ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート=4/6)23.8部を混合し、ペイントシェーカーを用いて4時間撹拌し、イオン交換層形成用塗液を得た。
〔イオン交換層形成用塗液製造例4〕
陽イオン交換能を有する物質として、アニオン性樹脂(日本合成化学株式会社製「ゴーセナールT−350」)15部、イオン交換能を有さない物質としてコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックス」、固形分20%)60部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)25部を混合し、サンドミルを用いて2時間分散し、イオン交換層形成用塗液を得た。
[実施例1]第1の実施態様(図1参照)
<工程(1−1)>
片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(C−1)333部に対して、エポキシ樹脂(D−1)20部を加えた絶縁性樹脂を塗工し、100℃×2分乾燥させて、硬化性絶縁層(II)を具備するフィルム(1)を作製した。
<工程(1−2)及び(1−3)>
続いて、フィルム(1)の硬化性絶縁層(II)面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥させた後、該イオン交換層上に[被覆導電性微粒子の分散体 合成例1]で得られた分散体を塗工し、180℃×10分乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(2)を作製した。前記導電性被膜(VI)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、0.1(Ω/□)であった。また、前記導電性被膜(VI)の厚みを後述する方法で求めたところ、0.8μmであった。
<工程(1−4)>
別途、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−1)333部に対して、エポキシ樹脂(B−1)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(平均粒子径7μmの銀粉、福田金属箔粉工業製:AgXF301)120部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)とエポキシ樹脂(B−1)との合計100重量部に対して、導電フィラー100部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた硬化性導電性接着剤を、片面に剥離処理を施した75μmのPETフィルムの剥離処理面に塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が1.2(g/cm3)、膜厚約7μmの硬化性導電性接着剤層(I)を具備するフィルム(3)を作製した。なお、硬化性導電性接着剤層(I)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、0.2(Ω/□)であった。
<工程(1−5)>
フィルム(3)の硬化性導電性接着剤層(I)面とフィルム(2)の導電性被膜(VI)面とをラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せて、電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例2]第2の実施態様(図2参照)
<工程(2−1)>
片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(C−2)333部に対して、エポキシ樹脂(D−1)20部を加えた絶縁性樹脂を塗工し、100℃×2分乾燥させて、硬化性絶縁層(II)を具備するフィルム(1)を作製した。
<工程(2−2)及び(2−3)>
続いて、フィルム(1)の硬化性絶縁層(II)面に、[イオン交換層形成用塗液製造例2]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥させた後、該イオン交換層上に[被覆導電性微粒子の分散体 合成例2]で得られた分散体を塗工し、180℃×10分乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(2)を作製した。前記導電性被膜(VI)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、0.03(Ω/□)であった。また、前記導電性被膜(VI)の厚みを後述する方法で求めたところ、0.5μmであった。
<工程(2−4)>
別途、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−2)333部に対して、エポキシ樹脂(B−1)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(平均粒子径5μmの銀粉、福田金属箔粉工業製:AgC222)120部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−2)とエポキシ樹脂(B−1)との合計100重量部に対して、導電フィラー100部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた硬化性導電性接着剤を、フィルム(2)の導電性被膜面に塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が1.6(g/cm3)、膜厚約7μmの硬化性導電性接着剤層(I)を具備するフィルム(3)を作製した。なお、硬化性導電性接着剤層(I)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、1.2(Ω/□)であった。
<工程(2−5)>
フィルム(3)の硬化性導電性接着剤層(I)面と片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面(剥離フィルム2)とをラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せて、電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例3]第3の実施態様(図3参照)
<工程(3−1)>
両面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの一方の剥離処理面に、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(C−3)333部に対して、エポキシ樹脂(D−1)20部を加えた絶縁性樹脂を塗工し、100℃×2分乾燥させて、硬化性絶縁層(II)を具備するフィルム(1)を作製した。
<工程(3−2)及び(3−3)>
続いて、フィルム(1)の硬化性絶縁層面に[イオン交換層形成用塗液製造例3]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥させた後、イオン交換層上に[被覆導電性微粒子の分散体 合成例3]で得られた分散体を塗工し、120℃×10分乾燥させて、前記導電性被膜(VI)を具備するフィルム(2)を作製した。前記導電性被膜(VI)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、0.05(Ω/□)であった。また、前記導電性被膜(VI)の厚みを後述する方法で求めたところ、0.1μmであった。
<工程(3−4)>
別途、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−3)333部に対して、エポキシ樹脂(B−1)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(平均粒子径5μmの銀粉、福田金属箔粉工業製:AgC2011)120部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−3)とエポキシ樹脂(B−1)との合計100重量部に対して、導電フィラー100部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた硬化性導電性接着剤を、フィルム(2)の導電性被膜(VI)上に塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が2.0(g/cm3)、膜厚約7μmの硬化性導電性接着剤層(I)を形成し、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
なお、前記硬化性接着剤組成物を厚み100μmPETフィルムに塗工し、同様の条件にて乾燥させ、同様の膜厚の硬化性導電性接着剤層を得、その表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、5(Ω/□)であった。
[実施例4]第4の実施態様(図4参照)
<工程(4−1)及び(4−2)>
厚み12.5μmポリイミドフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥させた後、イオン交換層上に[被覆導電性微粒子の分散体 合成例4]で得られた分散体を塗工し、150℃×5分乾燥させて、前記導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。前記導電性被膜(VI)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、0.08(Ω/□)であった。また、前記導電性被膜(VI)の厚みを後述する方法で求めたところ、0.2μmであった。
<工程(4−3)>
続いて、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−1)333部に対して、エポキシ樹脂(B−2)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(平均粒子径31μmの銀コート銅粉、福田金属箔粉工業製:Agコート2L3)120部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)とエポキシ樹脂(B−2)との合計100重量部に対して、導電フィラー100部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた硬化性導電性接着剤を、片面に剥離処理を施した75μmのPETフィルムの剥離処理面に塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が1.8(g/cm3)、膜厚約7μmの硬化性導電性接着剤層(I)を具備するフィルム(2)を作製した。硬化性導電性接着剤層(I)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、7.0(Ω/□)であった。
<工程(4−4)>
上記作製したフィルム(1)の導電性被膜(VI)面とフィルム(2)の硬化性導電性接着剤層(I)面とをラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)を用いて貼り合せて、電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例5]第5の態様(図5参照)
<工程(5−1)及び(5−2)>
厚み12.5μmポリイミドフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例2]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥させた後、イオン交換層上に[被覆導電性微粒子の分散体 合成例5]で得られた分散体を塗工し、160℃×2分乾燥させて、前記導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。前記導電性被膜(VI)の表面抵抗率を後述する方法で求めたところ、0.1(Ω/□)であった。また、前記導電性被膜(VI)の厚みを後述する方法で求めたところ、0.05μmであった。
<工程(5−3)>
続いて、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−1)333部に対して、エポキシ樹脂(B−1)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(福田金属箔粉工業製:AgXF301)180部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)とエポキシ樹脂(B−3)との合計100重量部に対して、導電フィラー150部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた硬化性導電性接着剤を、フィルム(1)の導電性被膜(VI)面に塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が1.4(g/cm3)、膜厚約7μmの硬化性導電性接着剤層(I)を形成し、本発明の電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例6]
イオン交換層形成用塗液、導電性微粒子種及びに導電性フィラー配合量を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例7]
イオン交換層形成用塗液、導電性微粒子種及びに導電性フィラー種類・配合量を表1の通りに変更した以外は実施例2と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例8]
イオン交換層形成用塗液、導電性微粒子種及びに導電性フィラー種類・配合量を表1の通りに変更した以外は実施例3と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例9]
導電性微粒子種、導電性フィラー種類・配合量、エポキシ樹脂配合量を表1の通りに変更した以外は実施例4と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例10]
導電性微粒子種及びに導電性フィラー種類・配合量を表1の通りに変更した以外は実施例5と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例11]
イオン交換層形成用塗液、導電性微粒子種及びに導電性フィラー種類・配合量を表1の通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[実施例12]
イオン交換層形成用塗液、導電性微粒子種及びに導電性フィラー種類・配合量を表1の通りに変更した以外は実施例2と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[比較例1]
片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(C−1)333部に対して、エポキシ樹脂(D−1)20部を加えた絶縁性樹脂を塗工し、100℃×2分乾燥させて、硬化性絶縁層を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−1)333部に対して、エポキシ樹脂(B−1)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(福田金属箔粉工業製:AgXF301)120部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)とエポキシ樹脂(B−1)との合計100重量部に対して、導電フィラー100部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた導電性接着剤を、片面に剥離処理を施した75μmのPETフィルムの剥離処理面に、塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が1.2(g/cm3)の硬化性導電性接着剤層を具備するフィルム(2)を作製した。硬化性導電性接着剤層の膜厚は約7μm、表面抵抗率は0.2(Ω/□)であった。
得られたフィルム(2)の硬化性導電性接着剤層面とフィルム(1)の硬化性絶縁層面とをラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せて電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
実施例1の電磁波シールド性接着性フィルムと比較例1の電磁波シールド性接着性フィルムとは、イオン交換層を利用して形成した導電性被膜(VI)を具備するか否かの点で相違する。
[比較例2]
実施例1で用いた導電フィラーを平均粒子径が75μmの銀粉(福田金属箔粉工業製:CE6)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
[比較例3]
片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(C−1)333部に対して、エポキシ樹脂(D−1)20部を加えた絶縁性樹脂を塗工し、100℃×2分乾燥させて、硬化性絶縁層を具備するフィルム(1)を作製した。
さらにフィルム(1)の硬化性絶縁性層面に、0.1μm厚みの銀蒸着をし、フィルム(2)を作製した。
別途、ポリウレタンポリウレア樹脂溶液(A−1)333部に対して、エポキシ樹脂(B−1)20部を加えて接着樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物353部に対して、導電フィラー(福田金属箔粉工業製:AgXF301)120部を加えて攪拌混合し、ポリウレタンポリウレア樹脂(A−1)とエポキシ樹脂(B−1)との合計100重量部に対して、導電フィラー100部を含有する、硬化性導電性接着剤を得た。
得られた導電性接着剤を、片面に剥離処理を施した75μmのPETフィルムの剥離処理面に塗工し、100℃×2分乾燥させて、単位体積当たりの金属粉の含有量が1.2(g/cm3)の硬化性導電性接着剤層を具備するフィルム(3)を得た。硬化性導電性接着剤層の膜厚は約7μm、表面抵効率は0.2(Ω/□)であった。
フィルム(3)の硬化性導電性接着剤層面とフィルム(2)の銀蒸着面とをラミネーター(100℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せて電磁波シールド性接着性フィルムを得た。
各実施例及び各比較例で得られた電磁波シールド性接着性フィルムについて、ポリイミドフィルム接着性、耐屈曲性、電磁波シールド性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)ポリイミドフィルム接着性の評価
幅10mm、長さ70mmの硬化性電磁波シールド性接着性フィルムを用意し、75μm厚みの剥離PETフィルムを剥がし、露出した硬化性導電性接着剤層に、厚さが50μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を150℃、1.0MPa、30minの条件で圧着し、硬化性導電性接着剤層(I)及び硬化性絶縁層(II)を硬化させた。
圧着後、測定用の補強のために、50μm厚みの剥離PETフィルムを除去し、露出した硬化絶縁層に、ポリウレタンポリウレア系の接着シートを用い、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)を、150℃、1MPa、30minの条件で圧着した。
23℃相対湿度50%の雰囲気下、引っ張り速度50mm/min、剥離角度90°で、硬化した導電性接着剤層とポリイミドフィルムとの間を剥離し、剥離力の中心値をポリイミドフィルム接着強度(N/cm)とした。
(2)耐屈曲性の評価
幅6mm、長さ120mmの硬化性電磁波シールド性接着性フィルムから75μm厚みの剥離PETフィルムを剥がし、露出した硬化性導電性接着剤層(I)を、別に作製したフレキシブルプリント配線板(厚み25μmのポリイミドフィルム上に、厚み12μmの銅箔からなる回路パターンが形成されており、さらに回路パターン上に、接着剤付きの、厚み40μmのカバーフィルムが積層されてなる配線板)のカバーフィルム面に、150℃、1MPa、30minの条件で圧着し、硬化性導電性接着剤層(I)及び硬化性絶縁層(II)を硬化させた。
50μm厚みの剥離PETフィルムを除去し、曲率半径0.38mm、荷重500g、速度180回/minの条件でMIT屈曲試験機にかけ、回路パターンが断線するまでの回数により耐屈曲性を評価した。評価基準は以下の通りである。
○:4000回以上
△:3500回以上4000回未満
×:3500回未満
(3)電磁波シールド性
幅20cm、長さ20cmの電磁波シールド性フィルムを用意し、KEC法により電磁波シールド性(電界)測定を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:周波数1GHzにおける電磁波シールド性が60dB以上
○:周波数1GHzにおける電磁波シールド性が50dB以上60dB未満
△:周波数1GHzにおける電磁波シールド性が40dB以上50dB未満
×:周波数1GHzにおける電磁波シールド性が40dB未満
<表面抵抗値の測定>
表1中に表面抵抗値を記載したが、本発明においては、三菱化学アナリテック製「ロレスターGP」の四探針プローブを用いて、電磁波シールド性フィルムの表面抵抗値を測定した。
<膜厚の測定>
本発明においては、導電回路の膜厚は膜厚計(株式会社仙台ニコン製「MH−15M型」)、および透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社)により測定した。
Figure 2011171522
Figure 2011171522
Figure 2011171522
(I):硬化性導電性接着剤層
(II):絶縁層
(II’):硬化性を有しない絶縁フィルム
(V):イオン交換層
(VI):導電性被膜
1、2:剥離性フィルム

Claims (23)

  1. 絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する、電磁波シールド性接着性フィルムであって、
    前記導電性被膜が、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体から形成された被膜であり、
    前記硬化性導電性接着剤層が、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する、
    ことを特徴とする電磁波シールド性接着性フィルム。
  2. 硬化性導電性接着剤層の単位体積当たりの金属粉の含有量が0.2〜4.5(g/cm3)であることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  3. 導電性被膜の表面抵抗率が1×10−3〜5×10−1(Ω/□)、硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率が1×10-2〜1×10(Ω/□)であり、導電性被膜の表面抵抗率が硬化性導電性接着剤層の表面抵抗率よりも相対的に小さいことを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  4. 導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、および鉄から選ばれる1種であるか、または前記群から選ばれる2種以上からなる合金、または前記群から選ばれる2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜3記載いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  5. 導電性粒子が、銀であることを特徴とする、請求項4記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  6. 保護物質が、イオン性官能基を有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  7. 保護物質が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする請求項6記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  8. 有機酸が、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分岐を有する、鎖状の脂肪酸であることを特徴とする請求項7記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  9. 導電性被膜が、保護物質のイオン性に対応した性質を有するイオン交換能を有した、イオン交換層と、保護物質によって被覆されてなる導電性粒子とを接触させることにより得られたものであることを特徴とする、請求項6〜8いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  10. 硬化性導電性接着剤層が、カルボキシル基を有するポリウレタンポリウレア樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)とを含有し、前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との合計100重量部に対して、金属粉:5〜400重量部を含有することを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  11. 絶縁層が、硬化性絶縁層であることを請求項1〜10いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  12. 硬化性絶縁層が、カルボキシル基を有するポリウレタンポリウレア樹脂(C)と、エポキシ樹脂(D)とを含有する硬化性絶縁層であることを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルム。
  13. 絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法であって、
    下記工程(1−1)〜(1−5)を含むことを特徴とする、電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
    (1−1)剥離性フィルム1の一方の面に、硬化性絶縁層(II)を形成する工程、
    (1−2)前記硬化性絶縁層(II)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
    (1−3)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
    (1−4)剥離性フィルム2の一方の面に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程、
    (1−5)前記硬化性導電性接着剤層(I)と、前記導電性被膜(VI)とを重ね合わせる工程。
  14. 絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法であって、
    下記工程(2−1)〜(2−5)を含むことを特徴とする、電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
    (2−1)剥離性フィルム1の一方の面に、硬化性絶縁層(II)を形成する工程、
    (2−2)前記硬化性絶縁層(II)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
    (2−3)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
    (2−4)前記導電性被膜(VI)上に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程、
    (2−5)前記硬化性導電性接着剤層(I)に、剥離性フィルム2を重ね合わせる工程。
  15. 絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法であって、
    下記工程(3−1)〜(3−3)を含むことを特徴とする電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
    (3−1)剥離性フィルム1の一方の面に、硬化性絶縁層(II)を形成する工程、
    (3−2)前記硬化性絶縁層(II)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
    (3−3)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
    (3−4)前記導電性被膜(VI)上に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程。
  16. 絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法であって、
    下記工程(4−1)〜(4−3)を含むことを特徴とする電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
    (4−1)硬化性を有しない絶縁フィルム(II’)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
    (4−2)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
    (4−3)剥離性フィルム2の一方の面に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程、
    (4−4)前記導電性被膜 (VI)と、硬化性導電性接着剤層(I)を重ね合わせる工程。
  17. 絶縁層、イオン交換層、導電性被膜、及び硬化性導電性接着剤層をこの順序で具備する電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法であって、
    下記工程(5−1)〜(5−3)を含むことを特徴とする電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
    (5−1)硬化性を有しない絶縁フィルム(II’)上に、イオン交換能を有する物質を含む塗液を塗工し、乾燥し、イオン交換層(V)を形成する工程、
    (5−2)前記イオン交換層(V)上に、平均粒子径が0.001〜0.5μmの導電性粒子が、前記交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗布し、加熱し、導電性被膜 (VI)を形成する工程、
    (5−3)前記導電性被膜(VI)上に、硬化性絶縁性樹脂と、平均粒子径が1〜50μmの金属粉とを含有する硬化性導電性接着剤を塗工し、乾燥し、硬化性導電性接着剤層(I)を形成する工程。
  18. 保護物質が、イオン性官能基を有することを特徴とする請求項13〜17いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
  19. 保護物質が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする請求項18記載の電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
  20. 有機酸が、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分岐を有する、鎖状の脂肪酸であることを特徴とする請求項18記載の電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
  21. 導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、および鉄から選ばれる1種であるか、または前記群から選ばれる2種以上からなる合金、または前記群から選ばれる2種以上の混合物であることを特徴とする請求項13〜20記載いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
  22. 導電性粒子が、銀であることを特徴とする、請求項20記載の電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
  23. 硬化性導電性接着剤層が、カルボキシル基を有するポリウレタンポリウレア樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)とを含有し、前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)とエポキシ樹脂(B)との合計100重量部に対して、金属粉:5〜400重量部を含有することを特徴とする請求項13〜22いずれか記載の電磁波シールド性接着性フィルムの製造方法。
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