JP2011143689A - 導電性被膜の製造方法 - Google Patents

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香織 坂口
Mutsuko Sato
睦子 佐藤
Satoru Kagao
哲 加々尾
Yuji Nishiyama
祐司 西山
Akifumi Kuwabara
章史 桑原
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Abstract

【課題】低温短時間での加熱により十分な導電性が発現し、基材との密着性や表面平滑性が良好で、かつ耐久性を損なう恐れのある層を含まない導電性被膜を低コストで形成できる導電性被膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】(1−1)シート状部材(IV)上に、イオン交換能を有する交換層(V)を形成する工程、(1−2)前記イオン交換層(V)上に、導電性被膜(II)を形成する工程、(1−3)前記導電性被膜(II)と、前記導電性被膜(II)に対し付着性を有するシート状受理部材(I)とを重ね合わせる工程、(1−4)前記イオン交換層(V)から、前記導電性被膜(II)を剥がし取り、前記導電性被膜(II)を、前記付着性を有するシート状受理部材(I)に転移させる工程、を含む製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、受理部材上に導電性被膜を形成する方法に関し、より具体的には、シート部材上にイオン交換能を有する交換層を形成し、その上に該交換層と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されてなる被覆導電性微粒子を含む分散体を塗工し、導電性被膜を形成した後に、該導電性被膜と付着性を有するシート状受理部材を重ね合わせ、前記イオン交換層から前記導電性被膜を剥がし取り、シート状受理部材に転移させる方法および該方法によって得られた導電性被膜に関する。
従来、PDPディスプレイなどの電磁波シールド、プリント配線板の導電回路またはRFID用のアンテナ回路などに用いられる導電被膜は、エッチングや無電解めっきなどにより形成されていた。しかし、これらの方法では、前工程としてフォトリソグラフが必要であり、製造コストが高くなること、また、使用したエッチング液やめっき液の廃液処理が必要でありコスト高や環境への悪影響が懸念されることから、エッチングやめっきを使用しない方法が求められていた。そこで、金属の真空蒸着、化学蒸着、イオンスパッタリング等による乾式法や、導電ペーストを基材上に印刷し、さらに高温で加熱することで導電性を発現させる印刷法によって導電性被膜を形成する試みがされてきた。
しかし、前記乾式法では、導電層の厚さが確保できず導電回路に必要な導電性が得られず、さらに被膜の強度が得られないという欠点があった。また、前記印刷法は、導電層の厚さを確保できるため、乾式法と比較すると導電性は良好であったが、その導電性は導電回路に必要なレベルにまで達していなかった。(特許文献1,2参照)
そこで、近年、通常の導電ペーストに替えて、導電金属の粒子径が小さい、いわゆるナノ粒子を用いることで、導電ペーストを超える導電性を発現する導電層の形成が可能になったことが報告されている(特許文献3、4)。
また、転写シート状に金属超微粒子、または表面に当該金属の酸化物被覆層を有する金属超微粒子を含有する分散液を用いて、微細パターンを形成し、250℃程度の加熱処理を行って金属超微粒子を焼結し、この焼結体に被転写基材を高温で加熱、加圧しながら押し付けて、金属超微粒子の焼結体を被転写基材上に転写するという方法が報告されている(特許文献5)。
しかし、上記方法では導電性発現のために、基材上に形成した導電性被膜を200℃以上で加熱処理する必要があり、導電性被膜を、紙上やPETなど汎用プラスチックフィルム上に形成することは困難であった。
また、例えば、導電被膜をアンテナ等に使用する際には、導電性被膜の表面平滑性の高さが求められるが、印刷法により形成された導電性被膜は平滑性が得られにくいという欠点があった。更に、印刷法により得られた導電性被膜は、基材との密着性が劣り、被膜にクラックが入りやすいという課題があった。
さらに、また、近年では細線描画性や密着性を改善するといった観点から、導電性被膜を形成する際に、被印刷基材にプライマー処理や受像層といった処理を施すことがある。導電性被膜を回路基板として用いる場合などには、耐水性、耐久性、耐熱性、耐マイグレーションといった耐久性が求められるが、上記プライマーや受像層などに含まれている成分が、上記耐久性を劣化させる要因となる恐れがあるため、設計が困難であった。
特開2000−260224号公報 特開2003−016836号公報 特開2004−273205号公報 特開2005−081501号公報 特開2004−247572号公報
本発明の目的は、低温短時間での加熱により十分な導電性が発現し、基材との密着性や表面平滑性が良好で、かつ耐久性を損なう恐れのある層を含まない導電性被膜を低コストで形成できる導電性被膜の製造方法を提供することである。
本発明は、 下記工程(1−1)〜(1−4)を含むことを特徴とする、導電性被膜の製造方法に関する。
(1−1)シート状部材(IV)上に、イオン交換能を有する交換層(V)を形成する工程、
(1−2)前記イオン交換層(V)上に、該交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗工し、加熱し、導電性被膜(II)を形成する工程、
(1−3)前記導電性被膜(II)と、前記導電性被膜(II)に対し付着性を有するシート状受理部材(I)とを重ね合わせる工程、
(1−4)前記イオン交換層(V)から、前記導電性被膜(II)を剥がし取り、前記導電性被膜(II)を、前記付着性を有するシート状受理部材(I)に転移させる工程。
前記本発明で、(1−2)の工程において、200℃以下で導電性被膜(II)を形成し、(1−3)の工程において、200℃以下で導電性被膜(II)とシート状受理部材(I)とを重ね合わせることが好ましい。
また、本発明では、導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、および鉄から選ばれる1種であるか、または前記群から選ばれる2種以上からなる合金、または前記群から選ばれる2種以上の混合物であることを好ましく、さらに導電性粒子は、銀であることが好ましい。
また、本発明では、被覆導電性粒子導電性粒子の平均粒子径は、0.001〜0.5μmであることが好ましい。
さらに、本発明では、イオン交換層(V)が陰イオン交換層(Va)であり、導電性粒子を被覆する保護物質がカルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の陰イオン性官能基を有する化合物であることが好ましく、
保護物質は、カルボキシル基を有する有機酸であることが好ましく、
有機酸は、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分枝を有する、鎖状の脂肪酸であることが好ましい。
本発明では、被覆導電性粒子を含む分散体が、液体媒体中、金属化合物に対して、還元剤である下記一般式(1)で示されるカルボジヒドラジドまたは下記一般式(2)で示される多塩基酸ポリヒドラジドを等量以上用いて、前記金属化合物を還元することにより得られた分散液であることが好ましい。
Figure 2011143689
Figure 2011143689
(式中、Rは多塩基酸残基を、nは2以上の自然数を表す。)
さらに、本発明では、付着性を有するシート状受理部材(I)が、硬化性を有する接着性シート(I−1)または導電性被膜(II)に対し付着性を有しない、非硬化性のシート状部材の表面に、感圧性接着層を具備する、感圧性接着性シート(I−2)のいずれかであることが好ましい。
本発明の製造方法により、低温短時間での加熱でも十分な導電性を発現し、基材との密着性や表面平滑性が良好で、かつ耐久性に優れた導電性被膜を低コストで形成可能な導電性被膜を提供することができる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明は本発明の技術的思考を逸脱しない限り、以下の説明あるいは実施の形態に限定されるものではない。
本発明は、被覆導電性粒子の分散体から導電性被膜を形成する方法の一種である。
保護物質は、分散体の状態では導電性粒子の表面を被覆し、導電性粒子の凝集を防ぎ、分散体としての分散安定性に寄与する。分散体を対象に塗工後、加熱により保護物質を分解、揮発させることによって除去し、導電性粒子を加熱融着させることにより、導電性被膜を形成することができる。あるいは、被覆導電性粒子の他に、保護物質のイオン性に対応するイオン交換能を有する物質を含む分散体を対象に塗工後、加熱により保護物質を分解、揮発させることによって除去し、導電性粒子を加熱融着させることにより、導電性被膜を形成することもできる。イオン交換能を有する物質が共存することによって、保護物質の分解等が促進されるので、前記の方法よりも効率的に導電性被膜を形成することができる。
本発明の製造方法は、イオン交換能を有する物質を利用する方法をさらに進化させたものである。
即ち、本発明は、イオン交換能を有するイオン交換層(V)上に、該交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されたなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗工し、被覆導電性粒子とイオン交換能を有する物質とを接触させる。すると、イオン交換反応により、導電性粒子表面から保護物質が引き剥がされ、活性エネルギーの高い導電性粒子の表面が露出する。これにより導電性粒子は、分散安定性を失い凝集して融着しやすくなるため、導電性粒子の融点以下の温度、例えば、フィルムの使用が可能な200℃以下といった低温での被膜形成時においても、導電性粒子の被膜化が速やかに進行し、導電性発現が可能となる。
本発明では、「イオン交換能を有する」とは、「イオン交換反応を示す」ことを意味している。イオン交換反応とは、一般に、固体または液体中のイオンが、それと接する外部溶液中にある同符号のイオンと交換する現象である。
本発明でのイオン交換能を有する物質を含むイオン交換層(V)と、該交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質との組合せとしては、保護物質が陰イオン性を有し、イオン交換能を有するイオン交換層(V)が、陰イオン交換能を有する物質を含む陰イオン交換層(Va)である場合、または、保護物質が陽イオン性を有し、イオン交換能を有するイオン交換層(V)が、陽イオン交換能を有する物質を含む陽イオン交換層(Vc)である場合とがある。
イオン交換能を有する物質としては、有機材料、無機材料を使用することができる。
イオン交換能を有する有機材料としては、分子中にイオン交換可能なイオン性基を有する樹脂や、イオン交換にあずかるイオン性基を導入した樹脂、および化合物等が挙げられる。
イオン交換能を有する無機材料としては、イオン交換体、固体酸、固体塩基等が挙げられる。
前述したように、本発明では、イオン交換とは、固体または液体中に存在するイオンが、それと接する外部溶液中にある同符号のイオンと交換する現象を意味するが、本発明におけるイオン交換は、該イオン交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されてなる被覆導電性粒子を含む層と、イオン交換層との間で行われる、固層間、液層間もしくは固層−液層間での反応である。
なお、イオン交換能を有する物質についての説明において、化合物とは構造を特定し得る比較的低分子量の物質を指し、樹脂とは構造を特定し難い比較的高分子量の物質を指す。
まず、イオン交換を有する有機材料について説明する。
陰イオン交換が可能なイオン性基としては、例えば、ホスホニウム基、スルホニウム基、アミノ基、四級アンモニウム塩等が挙げられ、陰イオン交換能を有する有機物質としては、上記陰イオン交換が可能なイオン性基を有する化合物、樹脂等が挙げられる。
上記、陰イオン交換基を有する化合物としては、例えば、四級アンモニウム塩、または四級アンモニウム塩を有するカチオン性化合物等が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、例えば、N−メチルピペリジンメチオジド、キノリンメチオジド等の環状第4アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルピリジニウム、高級アミンのハロゲン酸塩等が挙げられる。
また、四級アンモニウム塩の酸基としては、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、ClO3 -、SO4 2-、NO3 -、CrO4 -、CO3 2-、PO4 3-、HPO4 2-、H2PO4 -、OH-等いずれの酸基も用いることができる。
陰イオン交換が可能なイオン性基を有する樹脂としては、上記、陰イオン交換が可能なイオン性基を導入した樹脂化合物などが挙げられ、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アリルアミン重合樹脂、ジアリルアミン重合樹脂等が挙げられる。更に、ジシアンジアミジンやジシアンジアミドの重合樹脂等や、樹脂を直接カチオン変性したカチオン変性樹脂や、例えば、アリルアミン重合樹脂を架橋させた樹脂ビーズ等も挙げられる。また、一般に陰イオン交換樹脂として使用されているものを使用することもできる。
陰イオン交換樹脂としては、特に制限はないが、例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体にトリメチルアミンやジメチルエタノールアミン等を用いて四級アンモニウム基を導入したもの等を用いることができる。
陽イオン交換が可能なイオン性基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基、ホスホン酸基、ヒ酸基、セレン酸基等の酸性基等が挙げられ、陽イオン交換能を有する有機物質としては、上記陽イオン交換が可能なイオン性基を有する化合物、樹脂等が挙げられる。
陽イオン交換が可能なイオン性基を有する化合物としては、例えば、アニオン界面活性剤、脂肪酸、およびカルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基を含む化合物およびそれらの塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン界面活性剤として知られているものを使用することができる。例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルコハク酸塩等の高級脂肪酸塩系界面活性剤、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、アルファオレインスルホン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はリン酸エステル塩界面活性剤等が挙げられる。
陽イオン交換が可能なイオン性基を有する樹脂としては、上記、陽イオン交換が可能なイオン性基を導入した樹脂化合物などが挙げられる、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。さらに、樹脂を直接アニオン変性したアニオン変性樹脂も使用することができる。また、一般に陽イオン交換樹脂として使用されているものを使用することもできる。
陽イオン交換樹脂は、イオン交換基としてスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂は強酸性、カルボン酸基は弱酸性として働き、それ以外は中酸性として働くが、本発明では、強酸性、弱酸性、中酸性陽イオン交換樹脂のいずれも使用することができる。
強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンSK104、ダイヤイオンSK1B、ダイヤイオンSK110、ダイヤイオンSK112、ダイヤイオンPK208、ダイヤイオンPK212、ダイヤイオンPK216、ダイヤイオンPK218、ダイヤイオンPK220、ダイヤイオンPK228、ダイヤイオンUBK08、ダイヤイオンUBK10、ダイヤイオンUBK12、ダイヤイオンUBK510L、ダイヤイオンUBK530、ダイヤイオンUBK550、ダイヤイオンUBK535、ダイヤイオンUBK555(三菱化学株式会社製)が挙げられる。
弱酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンWK10、ダイヤイオンWK11、ダイヤイオンWK100、ダイヤイオンWK40L(三菱化学株式会社製)が挙げられる。
次に、イオン交換能を有する無機材料について説明する。
陰イオン交換能を有する無機材料としては、例えば、固体塩基として、活性炭や、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、ZnO/ZrO2、MgO/TiO2、CaO/P25、SiO2/CaO/MgO、SiO2/Al23、SiO2/SrO、SiO2/BaO、ZnO/SiO2、TiO2/ZrO2、Al23/TiO2、SiO2/ZrO2、Al23+ZrO2、SiO2/TiO2、MoO3/SiO2、MoO3/Al3、Al23/MgO等の複合酸化物、Na/MgO、K/MgO、Na/Al等の金属蒸着金属酸化物、KNH2/Al23、EuNH/K−Y等のイミン担持金属酸化物、KF/Al23、LiCO3/SiO2等のアルカリ金属塩類等が挙げられる。その他、例えば、無機イオン交換体として、シリカ、コロイダルシリカ、チタニア上に、例えば酸化アルミニウム等で被覆して、表面の電荷をカチオン化したものなども使用することができる。
陽イオン交換能を有する無機材料としては、例えば、固体酸として、ゼオライト、カオリナイト、モンモリロナイト、クロライト、バーミキュライト、ハロイサイト、雲母、脆雲母等の粘土鉱物、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム等の金属酸化物、SiO/CaO、SiO/SrO、ZnO/MgO、ZnO/Sb、SiO/MgO、TiO/B、ZnO/SiO2、ZnO/ZrO、Al/Bi、SiO/WO、SiO/V、Al/MoO、Al/WO、Al/V、SiO/Al、SiO/ZrO、Cr/Al、SiO/BeO、SiO/Y、SiO/La、SiO/Ga、TiO/Al、TiO/ZrO、Al/ZrO、ZnO/Al、SiO/MoO等の複合酸化物等が挙げられる。
上記、イオン交換能を有する無機材料は粒子状であるものが多く、その平均粒子径は0.001〜20μmのものが好ましい。平均粒子径が20μmを超えると、導電性発現効果の低下や、塗液の安定性、物性等が低下する恐れがある。
上記、イオン交換能を有する物質は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、2種類以上を組み合わせるときには、無機材料、有機材料を組み合わせることも可能である。
本発明で用いるイオン交換能を有する物質は、必要に応じて他の添加剤や液状媒体、樹脂および/またはその前駆体等を含ませて、例えば、イオン交換能を有する物質を含んだ塗料とすることができる。また、基材上に塗布、印刷することにより、イオン交換層(V)を形成するものである。
次に、本発明で用いるイオン交換能を有する物質を含んだ塗料の製造方法について説明する。
本発明で用いる塗料は、前記イオン交換能を有する物質を液状媒体に混合し、更に必要に応じて消泡剤、レベリング剤、滑剤、分散剤、樹脂および/またはその前駆体等を混合し、従来公知の方法で、例えばボールミル、アトライター、サンドミル、ジェットミル、3本ロールミル、ペイントシェーカー等を用いて分散するか、または、従来公知の方法で、例えば、ミキサー、ディソルバーを用いて撹拌、混合することにより、上記塗料を製造することができる。
本発明のイオン交換能を有する物質を含んだ塗料には、導電性被膜を形成する基材、塗布方法に応じて液状媒体を使用することができる。
液状媒体としては、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、水等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
エステル系溶剤としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチルグリコールアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチルジグリコールアセテート(カルビトールアセテート)、ブチルジグリコールアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、二塩基酸エステル、エチル−3−エトキシプロピオネート、トリアセチン、ジヒドロターピネニルアセテート等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン等が挙げられる。
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
また、グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、およびこれらモノエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジアルキルエーテル類等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、例えば、0号ソルベントL、M、H(新日本石油株式会社製)、ノルマルパラフィンSL、L、M、H(新日本石油株式会社製)、シェルゾールTG、シェルゾールTK、シェルゾールTM、シェルゾールMC311、シェルゾールMC421、シェルゾールMC531、シェルゾールMC611、シェルゾールMC721、シェルゾールMC811(シェルケミカルズジャパン株式会社製)等のノルマルパラフィン系溶剤、例えば、イソヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、アイソゾール200、300、400(新日本石油株式会社製)、スーパゾルFP2、25、30、38(出光興産株式会社製)、パラオール100、130、250、850(昭和シェル石油株式会社製)、アイソパーL、M(エクソンモービル有限会社製)等のイソパラフィン系溶剤、例えば、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、ナフテゾール160、200、220、MS20P(新日本石油株式会社製)、AFソルベント4号、5号、6号、7号(新日本石油株式会社製)、工業用揮発油1号、2号、3号、4号、5号、リグロイン、テレピン油、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンT、p−メンタン、ピナン、テルペンダイマー、ディマールH、p−メンタジエン、リモネン等のシクロパラフィン系溶剤、流動パラフィン、スチレンモノマー、リグロイン、ミネラルスピリット、石油エーテル、石油ベンジン等が挙げられる。
芳香族系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ソルベントナフサ等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ヘプタノール、n−ヘキシルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アリルアルコール、エチレンクロロヒドリン、オクチルドデカノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、ソルミックス、1,4−ブタンジオール、オクタンジオール、グリセリン等や、ターピネオールC、α−ターピネオール、L−α−ターピネオール、ジヒドロターピネオール、パインオイルNT、テルソルブMTPH(日本テルペン化学株式会社製)、ファインオキソコール140N、ファインオキソコール1600、ファインオキソコール180、ファインオキソコール180N、ファインオキソコール2000(日産化学工業株式会社製)等の高級アルコール等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、フルフラール、環状エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランが挙げられる。
その他の液状媒体として、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートが挙げられる。
上記液状媒体は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明のイオン交換能を有する物質を含んだ塗料には、使用する基材に対する密着性や、導電性インキとの密着性を高める、あるいは導電性被膜を保護する目的で、その他の樹脂および/またはその前駆体を含ませることができる。
その他の樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
また、上記樹脂のうち、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等は、アミン類、酸無水物類、メルカプト類、イミダゾール類、イソシアネート類、ジシアンジアミド類、ジヒドラジド類等の硬化剤と組み合わせることによって、得られた被膜の耐溶剤性や耐薬品性等の物性を高めることができる。
樹脂の前駆体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物等のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。これらエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、単官能であっても、多官能であってもよい。
イオン交換能を有する物質及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を含有する塗料をシート状部材に塗工し、活性エネルギー線を照射し、前記前駆体を硬化させ、イオン交換層(V)を形成することができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」という場合、アクリル酸およびメタクリル酸を含む意味で使用される。また「(メタ)アクリレート」という場合にも、同様に、アクリレートとメタクリレートを含む意味で用いられる。その他(メタ)アクリロイルなどでも同様である。
(メタ)アクリレート化合物のうち、単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイロキシエチルサクシネート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
また、多官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレート、トリ(2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、1,4−ブタンジオールオリゴアクリレート、1,6−ヘキサンジオールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ステアリルアクリレート、テトラメチルピペジリル(メタ)アクリレート、ロジン変性アクリレート等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物のうち、単官能のビニルエーテル化合物として、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
多官能のビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ビスフェノールAジエトキシジビニルエーテル、グリセロールトリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル等が挙げられる。
また、先に例示した化合物以外のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、例えば、N−ビニルアセトアミド、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、2−メタリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルホルムアミド、等が挙げられる。
これらの樹脂および/またはその前駆体は1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、イオン交換能を有する物質を含んだ塗料に、活性エネルギー線、例えば紫外線の照射によって硬化させることもできる。樹脂および/またはその前駆体を、紫外線を照射することにより硬化させる場合には、必要に応じて、光重合開始剤、(熱)重合禁止剤、光重合促進剤、光増感剤等を添加することができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ビスイミダゾール系、アクリジン系、カルバゾール−フェノン系、トリアジン系、オキシム系等の光重合開始剤を使用することができる。光重合開始剤は、樹脂の前駆体100重量部に対して、1〜20重量部の量で用いることができる。
光重合促進剤および光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル等の脂肪族や芳香族のアミン類が挙げられる。
(熱)重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、2,6−t−ブチル−p−クレゾ−ル、2,3−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、アンスラキノン、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。
更に、本発明のイオン交換能を有する物質を含んだ塗料には、必要に応じてイオン交換能を有する、および/または有さない、有機および/または無機微粒子を含ませることができる。例えば、上記塗料中に上記微粒子が含まれることによって、イオン交換能を有する物質が、イオン交換層中に均一に存在することによって、本発明の導電性粒子と接触した際に、イオン交換反応が更に効率良く行われるためである。
上記イオン交換能を有する、および/または有さない無機微粒子としては、例えば、クレー、珪藻土、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、カオリン、焼成カオリン、サポナイト、モルデナイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸鉄(II)、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉛、リン酸マグネシウム、塩化アルミニウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、モンモリロナイト等が挙げられる。これらの無機微粒子のなかでも、非晶質シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
有機微粒子としては、例えば、デンプン等の天然物、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン系、スチレン/アクリル系、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12等のナイロン系、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、4フッ化エチレン等のオレフィン系、ポリエステル系、フェノール系、ベンゾグアナミン系の樹脂微粒子が挙げられる。
これらの微粒子は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記イオン交換能を有する、および/または有さない微粒子は、一次粒子の平均粒子径が0.001〜20.0μmであることが好ましい。平均粒子径が20.0μmを超える微粒子を用いると、導電性発現効果が劣るだけでなく、塗料の安定性、物性等も低下するため好ましくない。
上記微粒子の塗料中への添加量は、特に限定されないが、イオン交換層形成用組成物100重量部中、通常1〜99重量部、好ましくは5〜99重量部であるとよい。
シート状部材(IV)への上記イオン交換層(V)の形成は、印刷やコーティングにより行うことができる。例えば、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、スプレーコート、スピンコート、ダイコート、リップコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、バーコート等、目的に応じて適宜選択することができる。印刷形態も、全面塗工でも必要な部分のみを印刷してもよく、また、ベタ塗りであってもよいし、配線回路などのパターンであってもよい。
本発明で使用するシート状部材(IV)は、特に限定されないが、プラスチック基材、紙、ガラス、繊維状基材、金属箔など従来公知の材料を使用することができる。基材はフィルム状、シート状、または板材であってもよい。また、基材上に予め他の層が形成されたものを基材として使用してもよい。
プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン類、セロハン、硬質ポリ塩化ビニル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル等のビニル類、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアセタール、三酢酸セルロース、フッ素樹脂版、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、フタル酸ジアリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂のプラスチックフィルム等の通常使用されるプラスチックを使用することができる。紙基材としては、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、コート紙、非コート紙のほか、合成紙、ライナー原紙、ポリエチレンコート紙、含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種加工紙が使用できる。
ガラス基材としては、一般にプリント基板用ガラスとして使用されているものは、いずれも使用することができる。例えば、ソーダライムガラス、マイクロシートガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、バイコールガラス、石英ガラス等が挙げられる。
繊維状基材としては、例えば、綿、麻等の植物繊維、絹、羊毛等の動物繊維、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン等の化学繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ等の再生繊維が挙げられる。また、布の構造体としては、例えば、織物、ニット、不織布東いずれのものも用いることができる。
その他の部材としては、金属箔等が挙げられる。上記部材は、一種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。2種類以上を組み合わせて用いる場合の形態としては、特に限定されず、複合フィルム、2層シートなどの形態であってもよい。
上記基材は、イオン交換層(V)との密着性を高めるため、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式処理や、ポリウレタン、ポリイソシアネート、有機チタネート、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン等の樹脂コーティング材を塗布する湿式処理によるアンカー処理をすることもできる。
次に、被覆導電性粒子について説明する。
被覆導電性粒子の分散体に含まれる導電性粒子は、得られる導電性被膜に導電性を付与するためのものである。
このような導電性粒子としては、代表的なものとして導電性の金属物質が挙げられる。例えば、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、チタン、インジウム、イリジウム、ロジウム、アモルファス銅等の金属や、例えば、銀−銅合金等の合金、銀−銅複合体等の金属複合体、銀めっき銅等の金属をさらに他の金属で被覆したもの等が挙げられる。なかでも、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、鉄が好ましく、更に、金、銀、銅、ニッケルが好ましく、更に、導電性、コストの点で銀が好ましい。また、その他の導電性粒子としては、例えば、上記金属で被覆した無機物粉末、酸化銀、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物等の金属酸化物、またはカーボンブラック、グラファイト等を用いることもできる。導電性粒子は、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上の導電性物質を組み合わせて用いる場合、これら複数の物質は、混合物、混融物、分散物、被覆物など任意の形態であってよい。
本発明で用いられる被覆導電性粒子の大きさは、例えば、レーザー解析法微粒子径測定装置(コールター社製ナノサイザー)や、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社)により測定された数平均粒子径が、0.001〜10μmであることが好ましい。さらに、導電性被膜の形成方法にもよるが、低温での融着反応、導電発現のしやすさを考慮すると、0.001〜0.5μmであることが好ましく、0.001〜0.3μmであることがより好ましい。上記範囲の平均粒子径を有する被覆導電粒子を用いることで、低温かつ短時間で導電性被膜の形成が可能となる。平均粒子径が10μmよりも大きい場合、低温での融着性が劣るため好ましくない。また、平均粒子径が0.001μmよりも小さい場合、被覆導電性粒子分散体の安定性が損なわれるため好ましくない。
被覆導電性粒子の分散体は、例えば下記(1)〜(3)に挙げるような方法で得ることができ、これら方法は適宜選択することができるが、(1)の方法で得ることが好ましい。
(1)還元により保護物質と導電性粒子とに分離する機能を有する金属塩(例えば、カルボン酸金属塩など)に対し、還元剤、熱、超音波、紫外線等を作用させ、金属塩を還元することにより、導電性粒子が保護物質で被覆されてなる被覆導電性粒子の分散体を得る。
(2)導電性粒子と保護物質とを乾式法または湿式法で混合して、導電性粒子が保護物質により被覆されてなる被覆導電性粒子を得、湿式法の場合はそのまま分散体としたり、乾式法の場合は任意の分散媒に被覆導電性粒子を分散し、分散体を得る。
(3)保護物質を含む溶液中に、導電性粒子を投入することで、導電性粒子を保護物質により被覆してなる被覆導電性粒子の分散体を得る。
被覆導電性粒子の分散体において、保護物質は、導電性粒子の凝集を防ぎ、分散安定性を維持するために必要なものであり、導電性粒子に対する親和性基を化合物中に1個または複数個有する化合物を使用することが好ましい。
前記親和性基としては、イオン性官能基を挙げることができる。
イオン性官能基としては、陰イオン性官能基もしくは陽イオン性官能基が挙げられる。
陰イオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、シアノ基、リン酸エステル基等が挙げられ、カルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の官能基が好ましい。本発明においては、低温かつ短時間での加熱により良好な導電性を示す導電性被膜の形成が可能になるため、保護物質としてカルボキシル基を有するものが好ましい。
陽イオン性官能基としては、例えば、窒素原子および/または硫黄原子を含んでいることが好ましく、例えば、塩基性基として存在していることが好ましい。前記塩基性基としては、例えば、アミノ基、アミド基、メルカプト基、スルフィド基、スルフェニル基、スルファジイル基等が挙げられる。
イオン性官能基を有する保護物質の分子量に特に制限はなく、重量平均分子量1000未満の低分子量化合物も重量平均分子量1000以上の高分子量の樹脂であってもよい。高分子量の樹脂の場合、重量平均分子量は100000未満であることが好ましい。また、高分子量の樹脂の場合、前記のイオン性官能基は、主鎖に含まれていても、側鎖もしくは側鎖と主鎖の双方に含まれていても良い。
保護物質のうち、陰イオン性官能基を有する化合物の1つ、カルボキシル基を有する化合物として、カルボキシル基を有する有機酸を以下に例示する。
カルボキシル基を有する有機酸としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物としては、特に制限されないが、カルボン酸等の有機酸を使用することができ、例えば、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、芳香族カルボン酸等を挙げることができる。
飽和カルボン酸としては、例えば、直鎖飽和カルボン酸として、プロピオン酸、酪酸、吉草酸(別名:ペンタン酸)、カプロン酸(別名:ヘキサン酸)、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等が挙げられ、分岐飽和カルボン酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2‐エチルヘキサン酸、2‐エチルイソヘキサン酸、2‐プロピルヘプタン酸、2‐ブチルオクタン酸、2‐イソブチルイソオクタン酸、2‐ペンチルノナン酸、2‐イソペンチルノナン酸、2‐ヘキシルデカン酸、2‐ヘキシルイソデカン酸、2‐ブチルドデカン酸、2‐イソブチルドデカン酸、2‐ヘプチルウンデカン酸、2‐イソヘプチルウンデカン酸、2‐イソペプチルイソウンデカン酸、2‐ドデシルヘキサン酸、2‐イソドデシルヘキサン酸、2‐オクチルドデカン酸、2‐イソオクチルドデカン酸、2‐オクチルイソドデカン酸、2‐ノニルトリデカン酸、2‐イソノニルイソトリデカン酸、2‐デシルドデカン酸、2‐イソデシルドデカン酸、2‐デシルイソドデカン酸、2‐デシルテトラデカン酸、2‐オクチルヘキサデカン酸、2‐イソオクチルヘキサデカン酸、2‐ウンデシルペンタデカン酸、2‐イソウンデシルペンタデカン酸、2‐ドデシルヘプタデカン酸、2‐イソドデシルイソヘプタデカン酸、2‐デシルオクタデカン酸、2‐デシルイソオクタデカン酸、2‐トリデシルヘプタデカン酸、2‐イソトリデシルイソヘプタデカン酸、2‐テトラデシルオクタデカン酸、2‐イソテトラデシルオクタデカン酸、2‐ヘキサデシルヘキサデカン酸、2‐ヘキサデシルテトラデカン酸、2‐ヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2‐イソヘキサデシルイソヘキサデカン酸、2‐ペンタデシルノナデカン酸、2‐イソペンタデシルイソノナデカン酸、2‐テトラデシルベヘン酸、2‐イソテトラデシルベヘン酸、2‐テトラデシルイソベヘン酸、2‐イソテトラデシルイソベヘン酸、イソヘプタン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸等が挙げられ、三級カルボン酸としては、例えば、ピバリン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸などが挙げられる。中でも、安定性や低温分解性を考慮するとカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が好ましい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸等が挙げられる。
ジカルボン酸、としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、サリチル酸、クマル酸等が挙げられる。
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等が挙げられる。
これらのカルボン酸は、低温での導電発現性の観点から、炭素数3〜22のものが好ましく用いられる。また、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、アミノ基を有する化合物としては、例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アミン塩等のアルキルアミン、ジアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
第一級アミンとしては、例えば、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘクサドデシルアミン、オクタデシルアミン、ココアミン、タロウアミン、水素化タロウアミン、オレイルアミン、ラウリルアミン、及びステアリルアミン等、
第二級アミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジココアミン、ジ水素化タロウアミン、及びジステアリルアミン等、
第三級アミンとしては、トリエチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ジドデシルモノメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、ココジメチルアミン、ドデシルテトラデシルジメチルアミン、及びトリオクチルアミン等が挙げられる。
その他、ナフタレンジアミン、ステアリルプロピレンジアミン、オクタメチレンジアミン、及びノナンジアミン等のジアミン、
2-メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ブトキシプロピルアミン、ジエチルメチルアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、アミド基を有する化合物としては、例えば、カルボン酸アミド、アミノカルボン酸塩が挙げられる。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、メルカプト基含有化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、チオジプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸等の酸チオール類、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、アリルメルカプタン、ジメチルメルカプタン、メルカプトエタノール、アミノエチルメルカプタン、チオジエチルアミン等の脂肪族チオール類、シクロヘキシルチオール等の脂環式チオール類、チオフェノール等の芳香族チオール類、チオジエチレングリコール、チオジグリコール酸、エチレンチオグリコール等のチオグリコール類等が挙げられる。
保護物質のうち、陽イオン性官能基を有する化合物の1つ、スルフィド化合物として、例えば、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド等が挙げられる。
保護物質のうち、イオン性官能基を有する保護物質としては、前記した化合物以外にも、顔料分散剤、界面活性剤、カップリング剤として一般に市販されている化合物も使用することができる。これらは、単独で用いても、複数の形態の化合物を併用してもよい。
前記顔料分散剤は、上述した親和性基を化合物中に1個以上有するものが好ましく、例えば、ポリエーテル類、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース、ベンジルセルロース、セルロース(トリ)アセテート、カゼイン、シェラック、ゼラチン、ギルソナイト、ロジン、ロジンエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルニトロセルロース、エチレン/ビニルアルコール樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、変性塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリウレタン樹脂等が挙げられ、イオン交換層に対応する性質を有するものを適宜選択することができる。また、これらは必要に応じて、親和性基を導入するために変性されていても良い。
前記界面活性剤としては、陰イオン系、非イオン系、両性イオン系、陽イオン系のものあるが、用途に応じて、これらのいずれのものをも用いることができる。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、アルファスルホ脂肪酸メチルエステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルファオレインスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、メチルタウリン酸塩等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸モノグリセリド等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アミノ酸、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、N‐メチルビスヒドロキシエチルアミン脂肪酸エステル塩酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム等が挙げられる。
また、これらとは分類形態が異なるものとして、フッ素系界面活性剤、アリル系反応性界面活性剤等の反応性界面活性剤、カチオン性セルロース誘導体、ポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子界面活性剤が挙げられる。本発明ではこのような界面活性剤も含め、保護物質として用いることができる。
また界面活性剤は、1種類を単独で用いることも、また2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
前記カップリング剤としては、一般に、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等を使用することができる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p‐スチリルトリメトキシシラン‐3‐メタクリロキシプロピル、メチルジメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐トリエトキシシリル-N(1,3‐ジメチル-ブチリデン)、プロピルアミンN‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(ビニルベンジル)‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、チタネート系カップリング剤としては、例えば、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート等が挙げられる。
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アルミニウムアルキルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムオキサイドイソプロポキサイドトリマー、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネート、ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。これらのカップリング剤は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、分散体の分散性や低温での導電発現性を考慮すると、保護物質としてはカルボキシル基を有する有機酸が好ましく、さらに、低温での導電発現性から、有機酸が、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分岐を有する、鎖状の脂肪酸であることが好ましい。
本発明において、保護物質は1種または2種以上を併用して用いてもよく、2種以上を使用する場合は、形態の異なる保護物質を併用することもできる。
上記保護物質は、導電性粒子100重量部に対して0.1〜2000重量部を用いることが好ましく、1〜100重量部がより好ましい。添加量が0.1重量部未満の場合、導電性粒子が凝集する恐れがある。また、2000重量部を超える場合、導電性粒子の安定化に寄与しない余剰の保護物質の存在が、導電性インキから形成した導電性被膜の導電性や、その他の物性に悪影響を与える恐れがある。
被覆導電性粒子の分散体は、種々の方法で得ることができ、還元により保護物質と導電性粒子とに分離する機能を有する金属塩(例えば、カルボン酸金属塩など)に対し、還元剤、熱、超音波、紫外線等を作用させ、金属塩を還元することにより、導電性粒子が保護物質で被覆されてなる被覆導電性粒子の分散体を得ることが好ましい旨、前述した。還元剤を用いることが好ましい。
具体的には、液体媒体中、カルボキシル基を有する有機酸と金属の有機酸金属塩に対して、還元剤である下記一般式(1)で示されるカルボジヒドラジドまたは下記一般式(2)で示される多塩基酸ポリヒドラジドを等量以上用いて、前記有機酸金属塩を還元し、有機酸金属塩由来の有機酸が保護物質として、生成した導電性粒子を被覆、安定化してなる被覆導電性粒子の分散体を得ることができる。
前記方法は、還元反応が比較的低温、かつ迅速に進行するため、反応後の被覆導電性粒子の凝集が抑えられ、平均粒子径が小さく、かつ粒子径分布が狭い、被覆導電性粒子の分散体を得ることができる。この方法で得られる被覆導電性粒子の分散体は流動性や安定性に優れているため、低温かつ短時間の加熱により導電性の良好な導電性被膜を形成することができる。
被覆導電性粒子の分散体の前記製造方法をより具体的に説明する。
例えば、金属化合物としてカルボン酸の金属塩の水溶液を用い、これをトルエンなどの水と相分離する非水系溶剤に混合する。この混合液に下記式(1)で示されるカルボジヒドラジド、または下記式(2)で示されるようにヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基酸ポリヒドラジドの水溶液を滴下して前記カルボン酸金属塩を還元する。還元により、有機酸金属塩由来の有機酸により導電性粒子を被覆してなる被覆導電性粒子が非水系溶剤に分散してなる分散体と水相との混合液が得る。次いで、前記混合液から水相を分離、除去した後、非水系溶剤相に新たな水を加え、不純物を水相に移行させ、水相を分離し、非水系溶剤相を洗浄し、有機酸金属塩由来の有機酸を保護物質とする、被覆導電性粒子を分散質、非水系溶剤を分散媒とする分散体が製造される。
Figure 2011143689
Figure 2011143689
(式中、Rは多塩基酸残基を、nは2以上の自然数を表す。)
上記式(2)で示されるヒドラジド基を分子中に2つ以上有する多塩基ポリヒドラジドとしては、例えば、二塩基酸ジヒドラジド、三塩基酸トリヒドラジド、四塩基酸テトラヒドラジド等が挙げられる。
二塩基酸ジヒドラジドとしては、例えば、シュウ酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、タルタロジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、ヘキサデカン酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられ、
三塩基酸トリヒドラジドとしては、例えば、クエン酸トリヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド等があげられる。
四塩基酸テトラヒドラジドとしては、例えば、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等があげられる。
上記以外の多塩基酸ポリヒドラジドとしては、ポリアクリル酸ポリヒドラジド等が挙げられる。これらの多塩基酸ポリヒドラジドは、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これら還元剤の添加量については、金属化合物の種類や濃度によっても異なるが、通常はすくなくとも金属化合物溶液から金属が還元析出するのに必要な化学量論比の量を使用すればよい。
被覆導電性粒子の分散体の製造方法に使用される還元剤は、ジヒドラジド、もしくはポリヒドラジド類であり、還元能を有する官能基を化合物中に2個以上有していることから、金属が還元析出するのに必要な化学量論比はヒドラジド基で換算して添加するのが好ましい。還元後に水相を除去する場合には、余剰の還元剤も同時に除去できるため、化学量論比以上の還元剤を使用しても良く、その上限は特に定められるものではないが、洗浄工程やコストを考えると、ヒドラジド換算の化学量論比で金属化合物を還元するのに必要な添加量の6倍以下であることが好ましい。
被覆導電性粒子の分散体に用いられる非水系溶剤を分散媒としては、特に限定されないが、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤等を使用することができ、2種類以上を混合して使用することもできる。
エステル系溶剤としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、エチルグリコールアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチルジグリコールアセテート(カルビトールアセテート)、ブチルジグリコールアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、二塩基酸エステル、エチル−3−エトキシプロピオネート、トリアセチン、ジヒドロターピネニルアセテート等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2−(1−シクロヘキセニル)シクロヘキサノン等が挙げられる。
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
また、グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、およびこれらモノエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のジアルキルエーテル類等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、例えば、0号ソルベントL、M、H(新日本石油株式会社製)、ノルマルパラフィンSL、L、M、H(新日本石油株式会社製)、シェルゾールTG、シェルゾールTK、シェルゾールTM、シェルゾールMC311、シェルゾールMC421、シェルゾールMC531、シェルゾールMC611、シェルゾールMC721、シェルゾールMC811(シェルケミカルズジャパン株式会社製)等のノルマルパラフィン系溶剤、例えば、イソヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、アイソゾール200、300、400(新日本石油株式会社製)、スーパゾルFP2、25、30、38(出光興産株式会社製)、パラオール100、130、250、850(昭和シェル石油株式会社製)、アイソパーL、M(エクソンモービル有限会社製)等のイソパラフィン系溶剤、例えば、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタリン、デカヒドロナフタリン、ナフテゾール160、200、220、MS20P(新日本石油株式会社製)、AFソルベント4号、5号、6号、7号(新日本石油株式会社製)、工業用揮発油1号、2号、3号、4号、5号、リグロイン、テレピン油、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテンT、p−メンタン、ピナン、テルペンダイマー、ディマールH、p−メンタジエン、リモネン等のシクロパラフィン系溶剤、流動パラフィン、スチレンモノマー、リグロイン、ミネラルスピリット、石油エーテル、石油ベンジン等が挙げられる。
芳香族系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ソルベントナフサ等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ヘプタノール、n−ヘキシルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アリルアルコール、エチレンクロロヒドリン、オクチルドデカノール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール、ソルミックス、1,4−ブタンジオール、オクタンジオール、グリセリン等や、ターピネオールC、α−ターピネオール、L−α−ターピネオール、ジヒドロターピネオール、パインオイルNT、テルソルブMTPH(日本テルペン化学株式会社製)、ファインオキソコール140N、ファインオキソコール1600、ファインオキソコール180、ファインオキソコール180N、ファインオキソコール2000(日産化学工業株式会社製)等の高級アルコール等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル、ジヒドロターピニルメチルエーテル、フルフラール、環状エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランが挙げられる。
その他の液状媒体として、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートが挙げられる。
上記非水系溶剤は、被覆導電性粒子の分散体100重量部中、通常0.01〜99重量部用いることが好ましく、0.1〜95重量部用いることがより好ましい。
上記液状媒体は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、被覆導電性粒子の分散体から導電性被膜を形成する、本発明の方法について述べる。
イオン交換層(V)上へ、該交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗工し、室温で乾燥することによって、導電性被膜(II)を得ることが可能である。しかし、本発明では、被覆導電性粒子を含む分散体を塗工し、加熱処理を施すことで、より短時間で、かつ、高導電性の被膜を得ることができる。
このときの加熱処理の温度は300℃以下であることが好ましく、フィルム基材上での導電性被膜形成を考慮すると200℃以下であることが好ましい。さらに、160℃以下であることが好ましい。
イオン交換層(V)上へ、被覆導電性粒子を含む分散体を塗工する方法としては、例えば、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、スプレーコート、スピンコート、ダイコート、リップコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、バーコート等、目的に応じて適宜選択することができる。印刷形態も、全面塗工でも必要な部分のみを印刷してもよく、また、ベタ塗りであってもよいし、配線回路などのパターンであってもよい。なお、本発明でいう「塗工」とは、印刷をも含む意である。
次いで、本発明では、前記導電性被膜(II)に対し付着性を有するシート状受理部材(I)を前記導電性被膜(II)と重ね合わせ、導電性被膜(II)から、シート状部材(IV)及びイオン交換層(V)を剥がしとり(分離させ)、前記シート状受理部材(I)上に前記導電性被膜(II)を転移させる。転移という工程を経ることによって、シート状受理部材(I)との密着性が向上し、導電性被膜(II)の表面平滑性が向上する。
シート状受理部材(I)上に転移された導電性被膜(II)は、例えば、非接触型ICメディアのアンテナ回路や、プリント基板の導電回路、印刷エレクトロニクス、タッチパネルおよび太陽電池等の各種電極材、電磁波シールド用メッシュ形成、電磁波シールド用導電性被膜、静電気帯電防止膜、例えば導電布等の導電性物への導電性付与膜、めっき代替等に用いることができる。
前記導電性被膜(II)と、前記導電性被膜(II)に対し付着性を有するシート状受理部材(I)とを重ね合わせる方法については、一般的に用いられる方法を用いることができ、例えば、プレス機、ラミネーターなどがあげられる。これら機器で重ね合わせる際には、50〜150℃の熱をかけることも可能であるが、基材への熱履歴を考慮すると100℃以下の加熱であることが好ましい。
ここでいうシート状部材は下記(I−1)〜(I−2)のいずれかであることが好ましい。
(I−1)硬化性を有する接着性シート
(I−2)導電性被膜(II)に対し付着性を有しない、非硬化性のシート状部材の表面に、感圧性接着層を具備する、感圧性接着性シート。
本発明でいう、「付着性を有する」とは、イオン交換層(V)と導電性被膜(II)との付着状態よりも強固に導電性被膜(II)と付着し、(1−4)の工程において、導電性被膜(II)を付着性を有するシート状受理部材(I)に転移させることのできる付着力を持つという意味である。
硬化性を有する接着性シートとは、例えば、熱やエネルギー線などにより架橋反応し、硬化する接着層を有するシートのことをいう。このとき、接着性の形態としては、硬化した接着層そのものがシートとして機能するものでも、導電性被膜(II)に対し付着性を有しない、非硬化性のシート状部材の表面に硬化性を有する接着層を有するものであっても良い。
熱硬化型の接着層に使用される接着剤としては、硬化剤を内在する1液型、硬化剤を別添加する2液型とがあり、硬化温度も中温度(40〜100℃)、高温(100〜150℃)、超高温(150〜250℃)、超々高温(250℃以上)の種類があるが、いずれのものも用いることができる。熱硬化性接着剤としては、例えば、ユリア系、メラミン系、エポキシ系、ポリイミド系、ウレタン系、フェノール系等が挙げられる。
エネルギー硬化型の接着層に使用される接着剤としては、エネルギー線として、例えば、紫外線、電子線、放射線等により架橋反応し、接着性を有するものを用いることができる。このタイプは、接着剤に揮発性モノマーを含まないため、臭気が少なく、塗布しやすく硬化が速く行われるため効率よく接着することができるが、光の照射の点から、被着体の両方、もしくは片方が光を透過するものでなければならないという性質がある。エネルギー線型接着剤としては、例えば、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等のアクリルオリゴマーを用いることができる。
感圧性接着剤層としては、常温で形態保持できる程度の軟化温度を有する接着剤組成物をフィルム、テープ上に成形したものを、接着面にはさみ、加熱、加圧して接着力を発現させるタイプの接着剤である。常温で形態保持できる程度の軟化温度を有する接着剤組成物としては、例えば、低融点樹脂、ホットメルト型接着剤等を用いることができる。感圧性接着剤層に用いられる接着剤としては、例えば、粘着性アクリル樹脂、天然および合成のシス−1,4−ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、部分加硫ブチルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、シリコンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ウレタン樹脂、カゼイン、ポリオレフィン、フェノール、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリアミド等が挙げられる。
導電性被膜(II)に付着性を有しない、非硬化性のシート状部材としては、特に限定されないが、前記イオン交換層(V)から、前記導電性被膜(II)を剥がし取り、前期導電性被膜(II)を接着性を有するシート状部材(I)に転移させるという工程を考慮すると、可とう性のある部材であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック、布等の繊維状基材等を使用することができる。
紙基材としては、例えば、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、コート紙、非コート紙のほか、合成紙、ライナー原紙、ポリエチレンコート紙、含浸紙、耐水加工紙、絶縁加工紙、伸縮加工紙等の各種加工紙等を使用することができる。
プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン類、セロハン、硬質ポリ塩化ビニル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル等のビニル類、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアセタール、三酢酸セルロース、フッ素樹脂版、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリウレタン、フタル酸ジアリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂のプラスチックフィルム等の通常使用されるプラスチックを使用することができる。これらのプラスチック基材は、前記樹脂を単層で用いることもできるが、2種以上を積層して多層樹脂として用いることもできる。
繊維状基材としては、例えば、綿、麻等の植物繊維、絹、羊毛等の動物繊維、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ビニロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン等の化学繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ等の再生繊維が挙げられる。また、布の構造体としては、例えば、織物、ニット、不織布東いずれのものも用いることができる。
その他の部材としては、金属箔等が挙げられる。上記部材は、一種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。2種類以上を組み合わせて用いる場合の形態としては、特に限定されず、複合フィルム、2層シートなどの形態であってもよい。
上記部材は、接着層等との密着性を高めるため、コロナ放電処理やプラズマ処理などの乾式処理や、ポリウレタン、ポリイソシアネート、有機チタネート、ポリエチレンイミン、ポリブタジエン等の樹脂コーティング剤を塗布する湿式処理によるアンカー処理をすることもできる。これにより、接着層とシート状部材との接着力が強くなり、導電性被膜(II)をイオン交換層(V)から引き剥がす際に有利になるため好ましい。
導電性被膜(II)に付着性を有しない非硬化性のシート状部材上に硬化性を有する接着層、または、感圧性接着層を形成する場合、硬化性を有する接着層、または、感圧性接着層の形成には、印刷もしくは塗工により行うことが好ましい。印刷方法、または塗工方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサー印刷、スプレーコート、スピンコート、ダイコート、リップコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、バーコート等を用いることができる。印刷形態としては、ベタ塗りでも、配線回路などのパターン印刷であっても良い。
シート状受理部材(I)に転移した後の導電性被膜(II)は、回路、導電被膜等の用途としてそのまま用いることもできるし、ICチップを実装したり、さらに、例えば、導電性被膜(II)上に硬化性絶縁層、導電性接着剤層、硬化性絶縁樹脂などを形成し、積層デバイスとして使用することもでき、適宜、用途に応じて加工することができる。
本発明の製造方法により得られた導電性被膜の表面抵抗率は、用途によっても異なるが、例えば、導電性回路や電磁波シールド用途として使用する場合には、1×10−3〜5×10−1(Ω/□)であることが好ましく、より好ましくは1×10−2〜3×10−1(Ω/□)である。導電性被膜の表面抵抗率が1×10−3(Ω/□)よりも小さいと、導電性微粒子自身の抵抗率に近くなり、被膜中に占める微粒子の密度が高くなり、屈曲性が悪くなる為好ましくない。また、5×10−1(Ω/□)よりも大きい場合、導電性被膜としての物性が悪くなる為好ましくない。
回路、導電性被膜としてそのまま使用する場合には、その表面保護を目的として、オーバープリントワニス、各種コーティング剤を塗工したり、紙、プラスチックフィルム等をオーバーラミネートすることも好ましい。これらの各種ワニスやコーティング剤としては、従来用いられているものを利用することができ、通常の熱乾燥型、活性エネルギー線硬化型等のいずれも使用することができる。
積層体として用いる場合には、例えば、硬化性絶縁層、導電性接着剤層、硬化性絶縁樹脂等を、得られた導電性被膜(II)上に構成し、積層体とすることができる。このとき、硬化性絶縁層、導電性接着剤層、硬化性絶縁樹脂等は、従来用いられているものを利用することができ、各種必要に応じて加工することが可能である。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例および比較例において、「部」および「%」とあるのは、「重量部」および「重量%」をそれぞれ意味するものとする。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例1]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびオレイン酸銀38.9部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)を添加し溶解させた。
その後、還元剤として20%コハク酸ジヒドラジド(以降SUDHと略記する)水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を滴下すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。さらに反応を促進させるために40℃に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、更にトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄・分離を繰り返し、オレイン酸で保護された銀微粒子分散体トルエン溶液を得た。得られた銀粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は7±2nmであり、銀濃度は73%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例2]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびプロピオン酸銀18.1部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)、オレイン酸2.8部(金属1molに対し0.1mol倍)を添加し溶解させた。
その後、還元剤として20%SUDH水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を添加すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために40℃に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、更にトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄・分離を繰り返し、プロピオン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体トルエン溶液を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は75%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例3]
原料の金属塩をペンタン酸銀20.9部に変更した以外は、合成例2と同様にしてペンタン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±1nmであり、銀濃度は82%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例4]
原料の金属塩をヘキサン酸銀22.3部に変更した以外は、合成例2と同様にしてヘキサン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は80%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例5]
原料の金属塩をミリスチン酸銀33.5部に変更した以外は、合成例2と同様にしてミリスチン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は8±2nmであり、銀濃度は72%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例6]
原料の金属塩をステアリン酸銀39.1部に変更した以外は、合成例2と同様にしてステアリン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は8±2nmであり、銀濃度は65%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電微粒子の分散体 合成例7]
原料の金属塩をブタン酸銀19.5部に変更した以外は、合成例2と同様にしてブタン酸及びオレイン酸で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体の銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は75%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例8]
原料の金属塩をペンタン酸銅16.5部に、還元剤を20%SUDH水溶液146.2部(金属1molに対しヒドラジド基4molの割合)に変更した以外は合成例2と同様にしてペンタン酸及びオレイン酸で保護された銅微粒子分散体を得た。得られた銅微粒子分散体の銅粒子の平均粒子径は、7±2nmであり、銅濃度は75%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性粒子の分散体 合成例9]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付け、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながらトルエン200部およびプロピオン酸銀18.1部を仕込み、0.5Mの溶液とした後に、分散剤としてジエチルアミノエタノール2.3部(金属1molに対し0.2mol倍)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)1.1部(金属に対し10重量%)を20%トルエン溶液として添加し溶解させた。
その後、還元剤として20%SUDH水溶液73.1部(金属1molに対しヒドラジド基2mol倍)を添加すると液色が淡黄色から濃茶色に変化した。更に反応を促進させるために40℃に昇温し、反応を進行させた。静置、分離した後、水層を取り出すことで過剰の還元剤や不純物を除去し、更にトルエン層に数回蒸留水を加え、洗浄・分離を繰り返し、プロピオン酸及びアジスパーPB821で保護された銀微粒子分散体トルエン溶液を得た。得られた銀微粒子分散体の、銀微粒子の平均粒子径は5±2nmであり、銀濃度は68%であり、40℃で一ヶ月保存した後でも粒子径に変化はなく安定であった。
[被覆導電性微粒子の分散体 合成例10]
セパラブル4口フラスコに冷却管、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付け、窒素ガスを導入しながら1M硝酸銀水溶液を100部仕込み、攪拌しながらソルスパース32000(日本ルーブリゾール株式会社製、重量平均分子量約50000)1.9部を、トルエン10.8部中に溶解させた溶液を滴下した。室温で30分攪拌した後、ジメチルアミノエタノール38.1部を滴下し、そのまま室温で一晩攪拌し反応を進行させた。水層を取り出し、数回蒸留水で洗浄・分離を繰返すことで過剰の還元剤と不純物の洗浄を行い、ソルスパース32000で保護された銀微粒子分散体を得た。得られた銀微粒子分散体は、ペースト状であり、銀微粒子の平均粒子径は25±10nmであり、銀濃度は50%であった。
〔イオン交換層形成用塗液製造例1〕
陰イオン交換能を有する物質として、カチオン変性アクリル系重合体溶液(明成化学工業株式会社製「パルセットJK−510」、不揮発分20%)15部、イオン交換能を有さない物質として、コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO」、固形分20%)60部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)25部を混合し、サンドミルを用いて2時間分散し、イオン交換層形成用塗液を得た。
〔イオン交換層形成用塗液製造例2〕
イオン交換能を有さない樹脂としてポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製「ポバールPVA−117」7.5部、陰イオン交換能を有する物質として、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム(花王株式会社製「コータミン24P」2.5部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)90部を混合し、ディゾルバーを用いて60分間撹拌して、イオン交換層形成用塗液を得た。
〔イオン交換層形成用塗液製造例3〕
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックスO−40」、固形分40%)30部と、アミノ基を有するシランカップリング剤(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)1.2部を混合し、ディソルバーを用いて60分間撹拌し、陰イオン交換能を有する表面処理コロイダルシリカを得た。
前記表面処理コロイダルシリカ61.2部と、イオン交換能を有さない樹脂としてポリアセタール樹脂溶液(積水化学工業株式会社製「エスレックKW−1」、固形分20%)15部、液状媒体(水/ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート=4/6)23.8部を混合し、ペイントシェーカーを用いて4時間撹拌し、イオン交換層形成用塗液を得た。
〔イオン交換層形成用塗液製造例4〕
陽イオン交換能を有する物質として、アニオン性樹脂(日本合成化学株式会社製「ゴーセナールT−350」)15部、イオン交換能を有さない物質としてコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「スノーテックス」、固形分20%)60部、液状媒体(水/イソプロピルアルコール=1/1)25部を混合し、サンドミルを用いて2時間分散し、イオン交換層形成用塗液を得た。
[ポリウレタン樹脂の製造例]
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、アジピン酸とテレフタル酸及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られる数平均分子量(以下、「Mn」という)=1006であるジオール414部、ジメチロールブタン酸8部、イソホロンジイソシアネート145部、及びトルエン40部を仕込み、窒素雰囲気下90℃で3時間反応させた。これに、トルエン300部を加えて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。
次に、イソホロンジアミン27部、ジ−n−ブチルアミン3部、2−プロパノール342部、及びトルエン576部を混合したものに、得られたウレタンプレポリマーの溶液816部を添加し、70℃で3時間反応させ、重量平均分子量(以下、「Mw」という)=54,000、酸価5mgKOH/gであるポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。
これに、トルエン144部、2−プロパノール72部を加えて、固形分30%であるポリウレタンポリウレア樹脂の溶液を得た。
なお、上記ポリウレタンポリウレア樹脂の重量平均分子量の数平均分子量は、GPC測定で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量、及び数平均分子量であり、GPC測定の条件は、以下のとおりである。
装置:Shodex GPC System−21(昭和電工製)
カラム:Shodex KF−802、KF−803L、KF−805L
(昭和電工製)の合計3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.3重量%
試料注入量:100μl
[実施例1]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に[被覆導電性微粒子の分散体 合成例1]で得られた分散体を、マイクログラビアを用いてラインスピード 10m/分で塗工し、150℃で乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリイミドフィルム上に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂100部(固形分)に、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製の「JER828」20部を加えた硬化性樹脂組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材を得た。
次いで、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材とを、導電性被膜(VI)と硬化性樹脂組成物層とが接触するようにし、ラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せ、さらに150℃で15分加熱することによって、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
次いで、イオン交換層から、導電性被膜(VI)、硬化したポリウレタンポリウレア樹脂層及びポリイミドフィルムを剥がし取り、導電性被膜(VI)をシート状受理部材に転移させて、導電性被膜を得た。
[実施例2]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例2]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例2]で得られた分散体を、マイクログラビアを用いてラインスピード 10m/分で塗工し、100℃で加熱乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリイミドフィルム上にアクリル系粘着剤を塗工・乾燥し、粘着シートを得た。
次いで、前記粘着シートの粘着剤面と導電性被膜とをラミネーターを用いて80℃の条件で貼り合わせた後、イオン交換層から、導電性被膜(VI)及び粘着シートを剥がし取り、導電性被膜を、粘着シート=付着性を有するシート状部材に転移させて導電性被膜を得た。
[実施例3]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例3]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、インクジェット印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例3]で得られた分散体を用いてアンテナ状回路を形成し、130℃で10分加熱乾燥させて、回路状の導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂100部(固形分)に、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製の「JER828」20部を加えた硬化性樹脂組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材を得た。
次いで、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材とを、導電性被膜(VI)と硬化性樹脂組成物層とが接触するようにし、ラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せ、さらに150℃で15分加熱することによって、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
次いで、イオン交換層から、導電性被膜(VI)及び硬化したポリウレタンポリウレア樹脂層を剥がし取り、導電性被膜(VI)を、硬化したポリウレタンポリウレア樹脂層(=シート状受理部材)に転移させて、導電性被膜を得た。
[実施例4]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、グラビア印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例4]で得られた分散体を用いて、ラインスピード 15m/分のグラビア印刷でアンテナ状回路を形成し、150℃で加熱乾燥させて、回路状の導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリイミドフィルム上にアクリル系粘着剤を塗工・乾燥し、粘着シートを得た。
次いで、前記粘着シートの粘着剤面と導電性被膜とをラミネーターを用いて60℃で貼り合わせた後、イオン交換層から、導電性被膜(VI)及び粘着シートを剥がし取り、導電性被膜を、粘着シート(=付着性を有するシート状部材)に転移させて導電性被膜を得た。
[実施例5]
厚さ1mmのポリカーボネート樹脂板の片面に、[[イオン交換層形成用塗液製造例3]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、グラビアオフセット印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例5]で得られた分散体を用いて、ラインスピード 10m/分でアンテナ状回路を形成し、150℃で加熱乾燥させて、回路状の導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリイミドフィルム上にウレタン系粘着剤を塗工・乾燥し、粘着シートを得た。
次いで、前記粘着シートの粘着剤面と導電性被膜とをラミネーターを用いて100℃で貼り合わせた後、イオン交換層から、導電性被膜(VI)及び粘着シートを剥がし取り、導電性被膜を、粘着シート(=付着性を有するシート状部材)に転移させて導電性被膜を得た。
[実施例6]
厚さ100μmのポリイミドフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、ラインスピード 15m/分のカーテンコートで、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例6]で得られた分散体を塗工し、180℃で加熱乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリイミドフィルム上にポリエステル系樹脂(東洋紡:バイロン200)を塗工・乾燥し、付着性を有するシート状受理部材を得た。
次いで、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材とを、導電性被膜(VI)と硬化性樹脂組成物層とが接触するようにし、ラミネーター(100℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せ、さらに150℃で15分加熱することによって、硬化性樹脂組成物層を硬化させた。
次いで、イオン交換層から、導電性被膜(VI)、硬化したポリウレタンポリウレア樹脂層及びポリイミドフィルムを剥がし取り、導電性被膜(VI)をシート状受理部材に転移させて、導電性被膜を得た。
[実施例7]
厚さ100μmのポリイミドフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例2]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、ラインスピード 15m/分のカーテンコートで、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例7]で得られた分散体を塗工し、140℃で加熱乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、ポリイミドフィルム上にアクリル系粘着剤を塗工・乾燥し、粘着シートを得た。
次いで、前記粘着シートの粘着剤面と導電性被膜とをラミネーターを用いて60℃で貼り合わせた後、イオン交換層から導電性被膜(VI)及び粘着シートを剥がし取り、導電性被膜を、粘着シート(=付着性を有するシート状部材)に転移させて導電性被膜を得た。
[実施例8]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例3]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、ラインスピード 10m/分のマイクログラビア印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例8]で得られた銅の分散体を塗工、150℃で加熱乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
別途、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂100部(固形分)に、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製の「JER828」20部を加えた硬化性樹脂組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材を得た。
次いで、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材とを、導電性被膜(VI)と硬化性樹脂組成物層とが接触するようにし、ラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せた。
次いで、イオン交換層から導電性被膜(VI)、硬化性樹脂組成物層及び50μmのPETフィルムを剥がし取り、導電性被膜(VI)をシート状受理部材に転移させて、導電性被膜を得た。
[実施例9]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例4]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、ラインスピード 10m/分のマイクログラビア印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例9]で得られた分散体を塗工、150℃で加熱乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
続いて、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタン樹脂100部にエポキシ樹脂20部を加えた樹脂を塗工・乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材を得た。
別途、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂100部(固形分)に、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製の「JER828」20部を加えた硬化性樹脂組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材を得た。
次いで、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材とを、導電性被膜(VI)と硬化性樹脂組成物層とが接触するようにし、ラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せた。
次いで、イオン交換層から導電性被膜(VI)、硬化性樹脂組成物層及び50μmのPETフィルムを剥がし取り、導電性被膜(VI)をシート状受理部材に転移させて、導電性被膜を得た。
[実施例10]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、ラインスピード 10m/分のマイクログラビア印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例10]で得られた分散体を塗工、160℃で加熱乾燥させて、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)を作製した。
続いて、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタン樹脂100部にエポキシ樹脂20部を加えた樹脂を塗工・乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材を得た。
別途、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂100部(固形分)に、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン製の「JER828」20部を加えた硬化性樹脂組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材を得た。
次いで、導電性被膜(VI)を具備するフィルム(1)と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状受理部材とを、導電性被膜(VI)と硬化性樹脂組成物層とが接触するようにし、ラミネーター(80℃、圧力2MPa、ラインスピード 2m/分)により貼り合せた。
次いで、イオン交換層から導電性被膜(VI)、硬化性樹脂組成物層及び50μmのPETフィルムを剥がし取り、導電性被膜(VI)をシート状受理部材に転移させて、導電性被膜を得た。
[比較例1]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、[イオン交換層形成用塗液製造例1]で得られたイオン交換層形成用塗液を塗工・乾燥した後、イオン交換層上に、グラビア印刷で、平均粒子径2μmの銀フレークを含有するペーストを塗工し、150℃で加熱乾燥させて導電性被膜を有する基材を形成した。
続いて、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタン樹脂100部にエポキシ樹脂20部を加えた樹脂を塗工・乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材を得た。
上記導電性被膜と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材とを、ラミネーターを用いて、80℃で貼り合わせた後、イオン交換層から導電性被膜及び硬化性樹脂組成物層を剥がし取り、導電性被膜を、付着性を有するシート状部材に転移させて導電性被膜を得た。
[比較例2]
厚さ100μmのPETフィルムの片面に、マイクログラビア印刷で、[被覆導電性微粒子の分散体 合成例1]で得られた銀微粒子を塗工し、150℃で加熱乾燥させて導電性被膜を有する基材を形成した。
続いて、片面に剥離処理を施した50μmPETフィルムの剥離処理面に、ポリウレタン樹脂100部にエポキシ樹脂20部を加えた樹脂を塗工・乾燥し、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材を得た。
上記導電性被膜と、導電性被膜に対して付着性を有するシート状部材とを、ラミネーターを用いて、80℃で貼り合わせた後、イオン交換層から導電性被膜及び硬化性樹脂組成物層を剥がし取り、導電性被膜を、付着性を有するシート状部材に転移させて導電性被膜を得た。
各実施例および各比較例で得られた導電性被膜について、転移されたシート状部材との密着性、表面抵抗(Ω/□)、表面平滑度、耐湿熱性、耐屈曲性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
(1)表面抵抗値(初期、耐湿熱性試験後)
JISK7194に則って、表面抵抗率測定器(ロレスターGP:株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて、 得られた導電性被膜の表面抵抗値を測定した後(初期)、温度85℃湿度85%の条件下に100時間暴露し、暴露後の表面抵抗値を同様に測定し、その変化の程度を、下記基準により評価した(耐湿熱試験後)。
(評価基準)
○:変化率20%未満
△:変化率20%以上50%未満
×:変化率50%以上
(2)表面平滑度
導電被膜について、レーザーフォーカス変位計(株式会社キーエンス製、LT−8010型)を使用して、算術表面粗さRa値(μm)を測定した。
(3)密着性の評価
転移後の導電性被膜に、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、幅12mm)を貼り付け、セロハン粘着テープを急激に引き剥がしたとき、剥離した塗膜の程度を、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
○:ほとんど剥離しない(剥離面積10%未満)
△:部分的に剥離した(剥離面積10%以上50%未満)
×:ほとんど剥離した(剥離面積50%以上)
Figure 2011143689

Claims (10)

  1. 下記工程(1−1)〜(1−4)を含むことを特徴とする、導電性被膜の製造方法。
    (1−1)シート状部材(IV)上に、イオン交換能を有する交換層(V)を形成する工程、
    (1−2)前記イオン交換層(V)上に、該交換層の交換能と対応する性質を有する保護物質によって導電性粒子が被覆されてなる被覆導電性粒子を含む分散体を塗工し、加熱し、導電性被膜(II)を形成する工程、
    (1−3)前記導電性被膜(II)と、前記導電性被膜(II)に対し付着性を有するシート状受理部材(I)とを重ね合わせる工程、
    (1−4)前記イオン交換層(V)から、前記導電性被膜(II)を剥がし取り、前記導電性被膜(II)を、前記付着性を有するシート状受理部材(I)に転移させる工程。
  2. (1−2)の工程において、200℃以下で導電性被膜(II)を形成し、(1−3)の工程において、200℃以下で導電性被膜(II)とシート状受理部材(I)とを重ね合わせることを特徴とする請求項1記載の導電性被膜の製造方法。
  3. 導電性粒子が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、および鉄から選ばれる1種であるか、または前記群から選ばれる2種以上からなる合金、または前記群から選ばれる2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性被膜の製造方法。
  4. 導電性粒子が、銀であることを特徴とする請求項3記載の導電性被膜の製造方法。
  5. 被覆導電性粒子導電性粒子の平均粒子径が、0.001〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の導電性被膜の製造方法。
  6. イオン交換層(V)が陰イオン交換層(Va)であり、導電性粒子を被覆する保護物質がカルボキシル基、スルホン酸基およびリン酸基からなる群から選択される1種以上の陰イオン性官能基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の導電性被膜の製造方法。
  7. 保護物質が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする請求項6に記載の導電性被膜の製造方法。
  8. 有機酸が、炭素数3〜22である、飽和または不飽和の、直鎖または分枝を有する、鎖状の脂肪酸であることを特徴とする請求項7記載の導電性被膜の製造方法。
  9. 被覆導電性粒子を含む分散体が、液体媒体中、金属化合物に対して、還元剤である下記一般式(1)で示されるカルボジヒドラジドまたは下記一般式(2)で示される多塩基酸ポリヒドラジドを等量以上用いて、前記金属化合物を還元することにより得られた分散液であることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の導電性被膜の製造方法。
    Figure 2011143689
    Figure 2011143689
    (式中、Rは多塩基酸残基を、nは2以上の自然数を表す。)
  10. 付着性を有するシート状受理部材(I)が、下記(I−1)〜(I−2)のいずれかであることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の導電性被膜の製造方法。
    (I−1)硬化性を有する接着性シート。
    (I−2)導電性被膜(II)に対し付着性を有しない、非硬化性のシート状部材の表面に、感圧性接着層を具備する、感圧性接着性シート。
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