JP2018201055A - 電磁波シールドフィルム、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板、およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101は、フレキシブルプリント配線板130と、絶縁フィルム140と、離型フィルム118を剥離した電磁波シールドフィルム110とを備える。
フレキシブルプリント配線板130は、ベースフィルム132の片面にプリント回路134が設けられたものである。
絶縁フィルム140は、フレキシブルプリント配線板130のプリント回路134が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム110は、絶縁性保護層112と、絶縁性保護層112の第1の表面を覆う金属薄膜層114と、金属薄膜層114の表面を覆う異方導電性接着剤層116と、絶縁性保護層112の第2の表面を覆う離型フィルム118(キャリアフィルム)とを備える。
電磁波シールドフィルム110の異方導電性接着剤層116は、絶縁フィルム140の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層116は、絶縁フィルム140に形成された貫通孔142を通ってプリント回路134に電気的に接続されている。
(i)フレキシブルプリント配線板130のプリント回路134が設けられた側の表面に、プリント回路134のグランドに対応する位置に貫通孔142が形成された絶縁フィルム140を設ける工程。
(ii)電磁波シールドフィルム110を、絶縁フィルム140の表面に、電磁波シールドフィルム110の異方導電性接着剤層116が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルム140の表面に異方導電性接着剤層116を接着し、かつ異方導電性接着剤層116を、貫通孔142を通ってプリント回路134のグランドに電気的に接続する工程。
(iii)熱プレス後、キャリアフィルムとしての役割を終えた離型フィルム118を、絶縁性保護層112から剥離し、取り除くことによって、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101を得る工程。
(1)絶縁性保護層と、表面抵抗が0.01〜0.3Ωである金属薄膜層と、導電性フィラーを含み、表面抵抗が1〜100Ωである等方導電性接着剤層とを順に備え、前記等方導電性接着剤層が、前記導電性フィラーとして、導電性粒子および導電性繊維を含む、電磁波シールドフィルム。
(2)前記導電性フィラーの割合が、前記等方導電性接着剤層の100体積%のうち、30〜80体積%である、(1)の電磁波シールドフィルム。
(3)前記絶縁性保護層の表面に設けられた第1の離型フィルムをさらに備えた、(1)または(2)の電磁波シールドフィルム。
(4)前記等方導電性接着剤層の表面に設けられた第2の離型フィルムをさらに備えた、(3)の電磁波シールドフィルム。
(5)前記(4)の電磁波シールドフィルムを製造する方法であって、下記の工程(a)〜(d)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
(a)第1の離型フィルムの片面に絶縁性保護層を形成する工程。
(b)前記絶縁性保護層の表面に表面抵抗が0.01〜0.3Ωである金属薄膜層を形成することによって、第1の離型フィルムと、絶縁性保護層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
(c)第2の離型フィルムの片面に等方導電性接着剤層を形成することによって、第2の離型フィルムと、導電性フィラーを含み、表面抵抗が1〜100Ωである等方導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
(d)前記第1の積層体と前記第2の積層体とを、前記第1の積層体の前記金属薄膜層と前記第2の積層体の前記等方導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
(6)ベースフィルムの少なくとも片面にプリント回路が設けられたフレキシブルプリント配線板と、前記フレキシブルプリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に設けられた絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの表面に前記等方導電性接着剤層が接着された(1)または(2)の電磁波シールドフィルムとを備え、前記等方導電性接着剤層が、前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板。
(7)下記の工程(e)〜(g)を有する、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法。
(e)ベースフィルムの少なくとも片面にプリント回路を有するフレキシブルプリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に、前記プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板を得る工程。
(f)前記工程(e)の後、前記絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、(1)〜(3)のいずれかの電磁波シールドフィルムとを、前記絶縁フィルムの表面に前記等方導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、前記絶縁フィルムの表面に前記等方導電性接着剤層を接着し、かつ前記等方導電性接着剤層を、前記貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続する工程。
(g)前記電磁波シールドフィルムが第1の離型フィルムを備えている場合は、前記工程(f)の後、前記第1の離型フィルムを剥離する工程。
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法によれば、金属薄膜層にクラックが生じても、電磁波ノイズの遮蔽効果を維持できる電磁波シールドフィルムを製造できる。
本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板は、金属薄膜層にクラックが生じても、電磁波ノイズの遮蔽効果を維持できる。
本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法によれば、金属薄膜層にクラックが生じても、電磁波ノイズの遮蔽効果を維持できる電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造できる。
導電性粒子の平均粒子径は、導電性粒子の電子顕微鏡像から30個の導電性粒子を無作為に選び、それぞれの導電性粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の導電性粒子の粒子径を算術平均して得た値である。
導電性繊維の平均繊維長は、導電性繊維の電子顕微鏡像から30本の導電性繊維を無作為に選び、それぞれの導電性繊維について、繊維長を測定し、測定した30本の導電性繊維の繊維長を算術平均して得た値である。
導電性繊維の平均繊維径は、導電性繊維の電子顕微鏡像から30本の導電性繊維を無作為に選び、それぞれの導電性繊維について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一繊維の繊維径とし、測定した30本の導電性繊維の繊維径を算術平均して得た値である。
導電性粒子および導電性繊維の比表面積は、脱気した粒子等を液体窒素に浸漬させ、吸着した窒素量を測定し、この値から算出した値である。
フィルム(離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(絶縁性保護層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、透過型電子顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出した歪から算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの一例を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム10は、絶縁性保護層12と、絶縁性保護層12の第1の表面を覆う金属薄膜層14と、金属薄膜層14の表面を覆う等方導電性接着剤層16と、絶縁性保護層12の第2の表面を覆う第1の離型フィルム18と、等方導電性接着剤層16の表面を覆う第2の離型フィルム20とを備える。
絶縁性保護層12は、金属薄膜層14を形成する際のベース(下地)となり、電磁波シールドフィルム10を、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着した後には、金属薄膜層14を保護する。
絶縁性保護層12の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。絶縁性保護層12の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁性保護層12は、貯蔵弾性率等の特性、材料等が異なる2種以上の層から構成されていてもよい。
金属薄膜層14は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層14は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
等方導電性接着剤層16は、厚さ方向および面方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
等方導電性接着剤層16は、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない異方導電性接着剤層に比べ、電磁波シールド層として十分に機能できる。
熱硬化性の等方導電性接着剤層16は、例えば、熱硬化性接着剤と導電性粒子22と導電性繊維24とを含む。等方導電性接着剤層16は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性接着剤は、等方導電性接着剤層16の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
第1の離型フィルム18は、絶縁性保護層12や金属薄膜層14を形成する際のキャリアフィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム18は、電磁波シールドフィルム10をフレキシブルプリント配線板等に貼り付けた後には、絶縁性保護層12から剥離される。
離型フィルム本体18aの絶縁性保護層12側の表面に、離型剤による離型処理が施されて、離型剤層18bが形成される。第1の離型フィルム18が離型剤層18bを有することによって、後述する工程(g)において第1の離型フィルム18を絶縁性保護層12から剥離する際に、第1の離型フィルム18が剥離しやすく、絶縁性保護層12や硬化後の等方導電性接着剤層16が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
第2の離型フィルム20は、等方導電性接着剤層16を保護するものであり、電磁波シールドフィルム10のハンドリング性を良好にする。第2の離型フィルム20は、電磁波シールドフィルム10をフレキシブルプリント配線板等に貼り付ける前に、等方導電性接着剤層16から剥離される。
第2の離型フィルム20の厚さは、5〜500μmが好ましく、10〜150μmがより好ましく、25〜100μmがさらに好ましい。
離型フィルム本体20aの等方導電性接着剤層16側の表面に、離型剤による離型処理が施されて、離型剤層20bが形成される。第2の離型フィルム20が離型剤層20bを有することによって、後述する工程(g)において第2の離型フィルム20を等方導電性接着剤層16から剥離する際に、第2の離型フィルム20が剥離しやすく、等方導電性接着剤層16が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
電磁波シールドフィルム10の厚さ(離型フィルムを除く)は、10〜45μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。電磁波シールドフィルム10の厚さ(離型フィルムを除く)が10μm以上であれば、第1の離型フィルム18を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム10の厚さ(離型フィルムを除く)が45μm以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を薄くできる。
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)〜(d)を有する方法によって製造できる。
(a)第1の離型フィルムの片面に絶縁性保護層を形成する工程。
(b)絶縁性保護層の表面に金属薄膜層を形成することによって、第1の離型フィルムと、絶縁性保護層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
(c)第2の離型フィルムの片面に等方導電性接着剤層を形成することによって、第2の離型フィルムと、等方導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
(d)第1の積層体と第2の積層体とを、金属薄膜層と等方導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
図2に示すように、第1の離型フィルム18の離型剤層18bの表面に絶縁性保護層12を形成する。
熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料は、必要に応じて溶剤、他の成分を含んでいてもよい。
このほか、貯蔵弾性率は、熱硬化性樹脂を硬化させる際の温度、時間等の硬化条件を調整する、または熱硬化性を有さない成分として熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂を添加することによって調整できる。
図2に示すように、絶縁性保護層12の表面に金属薄膜層14を形成、第1の積層体10aを得る。
図3に示すように、第2の離型フィルム20の離型剤層20bの表面に等方導電性接着剤層16を形成し、第2の積層体10bを得る。
導電性接着剤組成物としては、上述した熱硬化性接着剤と導電性粒子22と導電性繊維24とを含むものを用いる。
図4に示すように、第1の積層体10aと第2の積層体10bとを、金属薄膜層14と等方導電性接着剤層16とが接触するように貼り合わせる。
以上説明した電磁波シールドフィルム10にあっては、金属薄膜層14の表面抵抗が0.3Ω以下であり、かつ等方導電性接着剤層16の表面抵抗が10Ω以下であるため、以下に説明するように、金属薄膜層14にクラックが生じても、電磁波ノイズの遮蔽効果を維持できる。
モデルケースにおける電磁波シールド層は、幅10mm、長さ20mmの金属薄膜層14と、幅10mm、長さ20mmの等方導電性接着剤層16との積層体である。
金属薄膜層14の表面抵抗Rmsは、長さ10mm、電極間距離10mmの2本の電極間の抵抗であるから、金属薄膜層14の長さ方向(20mm)の全体抵抗、すなわち回路の抵抗は、表面抵抗Rmsの2倍の2Rmsとなる。
等方導電性接着剤層16の表面抵抗Rcsは、長さ10mm、電極間距離10mmの2本の電極間の抵抗であるから、等方導電性接着剤層16の長さ方向(20mm)の全体抵抗は、同様に2Rcsとなる。
電磁波シールド層を、金属薄膜層14と等方導電性接着剤層16との並列回路と見なせば、クラックが生じる前の電磁波シールド層の長さ方向の全体抵抗R1は、並列回路の抵抗、すなわち下記式(1)で表される。
R1=2×Rms・Rcs/(Rms+Rcs) ・・・(1)
金属薄膜層14の長さ方向の中央に、幅方向にわたって間隙0.2mmのクラックが生じたとする。
電磁波シールド層を、幅10mm、長さ9.9mmの金属薄膜層14と等方導電性接着剤層16とからなる並列回路と、幅10mm、長さ0.2mmの等方導電性接着剤層16からなる回路と、幅10mm、長さ9.9mmの金属薄膜層14と等方導電性接着剤層16とからなる並列回路とが、直列に接続していると見なせば、クラックが生じた後の電磁波シールド層の長さ方向の全体抵抗R2は、下記式(2)で表される。
R2=2×0.99×Rms・Rcs/(Rms+Rcs)+0.02×Rcs ・・・(2)
本発明の電磁波シールドフィルムは、絶縁性保護層と、特定の表面抵抗の金属薄膜層と、特定の表面抵抗の等方導電性接着剤層とを順に備えたものであればよく、図1の実施形態に限定はされない。
例えば、等方導電性接着剤層16の表面のタック性が少ない場合は、第2の離型フィルム20を省略しても構わない。
絶縁性保護層12が十分な柔軟性や強度を有する場合は、第1の離型フィルム18を省略しても構わない。
離型フィルムは、離型フィルム本体のみで十分な離型性を有する場合は、離型剤層を有しなくてもよい。
図7は、本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の一例を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1は、フレキシブルプリント配線板30と、絶縁フィルム40と、離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルム10とを備える。
フレキシブルプリント配線板30は、ベースフィルム32の少なくとも片面にプリント回路34が設けられたものである。
絶縁フィルム40は、フレキシブルプリント配線板30のプリント回路34が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム10の等方導電性接着剤層16は、絶縁フィルム40の表面に接着され、かつ硬化されている。また、等方導電性接着剤層16は、絶縁フィルム40に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路34に電気的に接続されている。
貫通孔のある部分を除くプリント回路34と金属薄膜層14との離間距離は、絶縁フィルム40の厚さおよび等方導電性接着剤層16の厚さの総和である。離間距離は、30〜200μmが好ましく、60〜200μmがより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1が厚くなり、可とう性が不足する。
フレキシブルプリント配線板30は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路34(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム32の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム32を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5〜30μmが好ましい。
ベースフィルム32としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム32の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。ベースフィルム32の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
ベースフィルム32の厚さは、5〜200μmが好ましく、屈曲性の点から、6〜25μmがより好ましく、10〜25μmがより好ましい。
プリント回路34(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1〜50μmが好ましく、18〜35μmがより好ましい。
プリント回路34の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム40や電磁波シールドフィルム10に覆われていない。
絶縁フィルム40は、基材フィルム(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
基材フィルムの表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。基材フィルムの表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
基材フィルムとしては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
基材フィルムの厚さは、1〜100μmが好ましく、可とう性の点から、3〜25μmがより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1〜100μmが好ましく、1.5〜60μmがより好ましい。
本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板は、例えば、下記の工程(e)〜(g)を有する方法によって製造できる。
(e)ベースフィルムの少なくとも片面にプリント回路を有するフレキシブルプリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板を得る工程。
(f)工程(e)の後、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に等方導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に等方導電性接着剤層を接着し、かつ等方導電性接着剤層を、貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続する工程。
(g)工程(f)の後、第1の離型フィルムを剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得る工程。
図8に示すように、フレキシブルプリント配線板30に、プリント回路34に対応する位置に貫通孔42が形成された絶縁フィルム40を重ね、フレキシブルプリント配線板30の表面に絶縁フィルム40の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。フレキシブルプリント配線板30の表面に絶縁フィルム40の接着剤層を仮接着し、工程(f)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
図8に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板2に、第2の離型フィルム20を剥離した電磁波シールドフィルム10を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム40の表面に等方導電性接着剤層16が接着され、かつ等方導電性接着剤層16が、貫通孔42を通ってプリント回路34に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3を得る。
熱プレスの時間は、20秒〜60分間であり、30秒〜30分間がさらに好ましい。熱プレスの時間が20秒以上であれば、絶縁フィルム40の表面に等方導電性接着剤層16が接着される。熱プレスの時間が60分以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1の製造時間を短縮できる。
図8に示すように、絶縁性保護層12から第1の離型フィルム18を剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を得る。
等方導電性接着剤層16の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15〜120分間であり、30〜60分間が好ましい。加熱時間が15分以上であれば、等方導電性接着剤層16を十分に硬化できる。加熱時間が120分以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120〜180℃が好ましく、120〜150℃が好ましい。加熱温度が120℃以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が160℃以下であれば、電磁波シールドフィルム10、フレキシブルプリント配線板30等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1にあっては、金属薄膜層14の表面抵抗が0.3Ω以下であり、かつ等方導電性接着剤層16の表面抵抗が10Ω以下であるため、金属薄膜層14にクラックが生じても、電磁波ノイズの遮蔽効果を維持できる。
本発明の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板と、絶縁フィルムと、本発明の電磁波シールドフィルムとを備えたものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、RSAII)を用いて測定した。
第1の離型フィルム18および第2の離型フィルム20として、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、T157、厚さ:50μm、160℃における貯蔵弾性率:6×108Pa)を用意した。
第1の離型フィルム18の離型剤層18bの表面に、溶剤溶解性アミド樹脂(ティーアンドケイ東華社製、TPAE−617C)および硬化剤(トルエンジイソシアネート)をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した塗料を塗布し、150℃で0.4時間加熱し、アミド樹脂を硬化させて、絶縁性保護層12(厚さ:5μm、160℃における貯蔵弾性率:8×106Pa、表面抵抗:8×1012Ω)を形成した。
絶縁性保護層12の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、厚さ0.07μm、表面抵抗0.3Ωの蒸着膜(金属薄膜層14)を形成し、第1の積層体10aを得た。
第2の離型フィルム20の離型剤層20bの表面に、硬化性エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)との混合物、導電性粒子22として銀粒子(DOWAエレクトロニクス社製、AG 6−11、平均粒子径:3.6μm、比表面積:0.21m2/g、真密度:10.5g/cm3)およびカーボンナノファイバ(昭和電工社製、VGCF、平均繊維長:6μm、平均繊維径:0.15μm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、真密度:2.1g/cm3)を溶剤(メチルエチルケトン)に溶解または分散させた導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させて、等方導電性接着剤層16(厚さ:10μm、銀粒子:58体積%、カーボンナノファイバ:15体積%、表面抵抗:80Ω)を形成し、第2の積層体10bを得た。
第1の積層体10aと第2の積層体10bとを、金属薄膜層14と等方導電性接着剤層16とが接触するように重ね、ホットプレス装置(VIGOR社製、VFPC−05R)を用い、温度:90℃、圧力:2MPaで3秒間熱プレスし、電磁波シールドフィルム10を得た。
厚さ25μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×1017Ω)(基材フィルム)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム40(厚さ:50μm)を得た。
フレキシブルプリント配線板30に絶縁フィルム40を熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得た。
フレキシブルプリント配線板30に、第2の離型フィルム20を剥離した電磁波シールドフィルム10を重ね、ホットプレス装置(VIGOR社製、VFPC−05R)を用い、温度:170℃、圧力:15MPaで30秒間熱プレスし、絶縁フィルム40の表面に等方導電性接着剤層16を接着して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3を得た。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体3を、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)を用い、温度:170℃で30分間加熱することによって、等方導電性接着剤層16を本硬化させた。
絶縁性保護層12から第1の離型フィルム18を剥離し、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板1を得た。
工程(a)〜(b):
実施例1と同様にして、第1の積層体を得た。
第2の離型フィルムの離型剤層の表面に、硬化性エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)との混合物、導電性粒子22として焼成カーボン粒子(エア・ウォーター・ベルパール社製、CR2−800SR、平均粒子径:5.0μm、比表面積:0.8m2/g、真密度:1.34g/cm3)を溶剤(メチルエチルケトン)に溶解または分散させた導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させて、等方導電性接着剤層(厚さ:10μm、焼成カーボン粒子:75体積%、カーボンナノファイバ:10体積%、表面抵抗:620Ω)を形成し、第2の積層体を得た。
第2の積層体として、比較例1の工程(c)で得られた第2の積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルムを得た。
電磁波シールドフィルムとして、比較例1の工程(d)で得られた電磁波シールドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
2 絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板
3 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の前駆体
10 電磁波シールドフィルム
10a 第1の積層体
10b 第2の積層体
12 絶縁性保護層
14 金属薄膜層
16 等方導電性接着剤層
18 第1の離型フィルム
18a 離型フィルム本体
18b 離型剤層
20 第2の離型フィルム
20a 離型フィルム本体
20b 離型剤層
22 導電性粒子
24 導電性繊維
30 フレキシブルプリント配線板
32 ベースフィルム
34 プリント回路
40 絶縁フィルム
42 貫通孔
101 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板
110 電磁波シールドフィルム
112 絶縁性保護層
114 金属薄膜層
116 異方導電性接着剤層
118 離型フィルム
130 フレキシブルプリント配線板
132 ベースフィルム
134 プリント回路
140 絶縁フィルム
142 貫通孔
Claims (7)
- 絶縁性保護層と、
表面抵抗が0.01〜0.3Ωである金属薄膜層と、
導電性フィラーを含み、表面抵抗が1〜100Ωである等方導電性接着剤層と
を順に備え、
前記等方導電性接着剤層が、前記導電性フィラーとして、導電性粒子および導電性繊維を含む、電磁波シールドフィルム。 - 前記導電性フィラーの割合が、前記等方導電性接着剤層の100体積%のうち、30〜80体積%である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記絶縁性保護層の表面に設けられた第1の離型フィルムをさらに備えた、請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルム。
- 前記等方導電性接着剤層の表面に設けられた第2の離型フィルムをさらに備えた、請求項3に記載の電磁波シールドフィルム。
- 請求項4に記載の電磁波シールドフィルムを製造する方法であって、
下記の工程(a)〜(d)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
(a)第1の離型フィルムの片面に絶縁性保護層を形成する工程。
(b)前記絶縁性保護層の表面に表面抵抗が0.01〜0.3Ωである金属薄膜層を形成することによって、第1の離型フィルムと、絶縁性保護層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
(c)第2の離型フィルムの片面に等方導電性接着剤層を形成することによって、第2の離型フィルムと、導電性フィラーを含み、表面抵抗が1〜100Ωである等方導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
(d)前記第1の積層体と前記第2の積層体とを、前記第1の積層体の前記金属薄膜層と前記第2の積層体の前記等方導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。 - ベースフィルムの少なくとも片面にプリント回路が設けられたフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に設けられた絶縁フィルムと、
前記絶縁フィルムの表面に前記等方導電性接着剤層が接着された請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルムと
を備え、
前記等方導電性接着剤層が、前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板。 - 下記の工程(e)〜(g)を有する、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造方法。
(e)ベースフィルムの少なくとも片面にプリント回路を有するフレキシブルプリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に、前記プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板を得る工程。
(f)前記工程(e)の後、前記絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムとを、前記絶縁フィルムの表面に前記等方導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、前記絶縁フィルムの表面に前記等方導電性接着剤層を接着し、かつ前記等方導電性接着剤層を、前記貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続する工程。
(g)前記電磁波シールドフィルムが第1の離型フィルムを備えている場合は、前記工程(f)の後、前記第1の離型フィルムを剥離する工程。
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