JP2018056329A - 電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板 - Google Patents

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稔 久保田
Minoru Kubota
稔 久保田
航 片桐
Wataru Katagiri
航 片桐
吉田 一義
Kazuyoshi Yoshida
一義 吉田
努 佐賀
Tsutomu Saga
努 佐賀
総 松林
Satoshi Matsubayashi
総 松林
裕美 竹澤
Yumi Takezawa
裕美 竹澤
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Abstract

【課題】熱プレスした後に第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすく、かつ安価である電磁波シールドフィルム、および電磁波シールドフィルムの第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすい電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供する。
【解決手段】絶縁樹脂層10と、絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と、絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30とを有する電磁波シールドフィルム1であり;第1の離型フィルム30が、基材層32を有し;基材層32が、第1の基材層36および第2の基材層38を有する多層フィルムである、電磁波シールドフィルム1。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルムが設けられたプリント配線板に関する。
フレキシブルプリント配線板から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽するために、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する、金属薄膜層および導電性接着剤層から構成される導電層とからなる電磁波シールドフィルムを、フレキシブルプリント配線板の表面に設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
図7は、従来の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101は、フレキシブルプリント配線板130と、絶縁フィルム140と、第1の離型フィルム118を剥離した電磁波シールドフィルム110とを備える。
フレキシブルプリント配線板130は、ベースフィルム132の片面にプリント回路134が設けられたものである。
絶縁フィルム140は、フレキシブルプリント配線板130のプリント回路134が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム110は、絶縁樹脂層112と、絶縁樹脂層112に隣接する金属薄膜層114と、金属薄膜層114の絶縁樹脂層112とは反対側に隣接する導電性接着剤層116と、絶縁樹脂層112の金属薄膜層114とは反対側に隣接する第1の離型フィルム118(キャリアフィルム)とを有する。
電磁波シールドフィルム110の導電性接着剤層116は、絶縁フィルム140の表面に接着され、かつ硬化されている。また、導電性接着剤層116は、絶縁フィルム140に形成された貫通孔142を通ってプリント回路134に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101は、例えば、図7に示すように、下記の工程を経て製造される。
工程(i):フレキシブルプリント配線板130のプリント回路134が設けられた側の表面に、プリント回路134のグランドに対応する位置に貫通孔142が形成された絶縁フィルム140を設ける工程。
工程(ii):電磁波シールドフィルム110を、絶縁フィルム140の表面に、電磁波シールドフィルム110の導電性接着剤層116が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルム140の表面に導電性接着剤層116を接着し、かつ導電性接着剤層116を、貫通孔142を通ってプリント回路134のグランドに電気的に接続する工程。
工程(iii):熱プレス後、キャリアフィルムとしての役割を終えた第1の離型フィルム118を、絶縁樹脂層112から剥離し、取り除くことによって、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板101を得る工程。
ところで、第1の離型フィルム118が透明な場合、工程(iii)において、第1の離型フィルム118の剥がし残しに気が付かないことがある。
第1の離型フィルムが透明ではない電磁波シールドフィルムとしては、第1の離型フィルムおよび保護層(絶縁樹脂層)が着色された電磁波シールドフィルムが提案されている(特許文献2)。
特許文献2に記載された電磁波シールドフィルムにおいては、プリント回路の隠蔽性、電磁波シールドフィルムの意匠性の点から、絶縁樹脂層は黒色に着色されている。また、絶縁樹脂層と明確に区別する点から、第1の離型フィルムは白色に着色されている。
特許第4201548号公報 特開2016−054261号公報
しかし、第1の離型フィルムに白色顔料や体質顔料(フィラー)を配合した場合、第1の離型フィルムが高価になる。第1の離型フィルムは使い捨ての部材であるため、できるだけ安価であることが求められる。
第1の離型フィルムの表面をブラスト処理してヘイズを高くすることが考えられるが、透明性の低下は不十分である。
本発明は、熱プレスした後に第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすく、かつ安価である電磁波シールドフィルム、および電磁波シールドフィルムの第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすい電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムとを有する電磁波シールドフィルムであり;前記第1の離型フィルムが、基材層を有し;前記基材層が、第1の基材層および第2の基材層を有する多層フィルムである、電磁波シールドフィルム。
<2>前記第1の離型フィルムが、前記基材層の前記絶縁樹脂層側の表面に設けられた離型剤層または粘着剤層をさらに有する、前記<1>の電磁波シールドフィルム。
<3>前記基材層が、前記第1の基材層および前記第2の基材層の間に設けられた接着剤層を有する、前記<1>または<2>の電磁波シールドフィルム。
<4>前記接着剤層が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含む、前記<3>の電磁波シールドフィルム。
<5>前記第1の基材層および前記第2の基材層のいずれか一方が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含む、前記<1>〜<4>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<6>前記導電層が、前記絶縁樹脂層に隣接する金属薄膜層と、前記導電層において前記絶縁樹脂層とは反対側の最表層となる導電性接着剤層とを有する、前記<1>〜<5>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<7>前記導電層が、等方導電性接着剤層からなる、前記<1>〜<5>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<8>前記導電層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する第2の離型フィルムをさらに有する、前記<1>〜<7>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<9>基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と;前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと;前記導電層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記導電層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された前記<1>〜<7>のいずれかの電磁波シールドフィルムとを有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
本発明の電磁波シールドフィルムは、熱プレスした後に第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすく、かつ安価である。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板においては、電磁波シールドフィルムの第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすい。
本発明の電磁波シールドフィルムの一実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 図1の電磁波シールドフィルムの製造工程を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。 図5の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造工程を示す断面図である。 従来の電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×10Ω以上である導電性接着剤層を意味する。
算術平均粗さRaは、試験片についてレーザー顕微鏡を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線から、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づいて求めた値である。
導電性粒子の平均粒子径は、導電性粒子の顕微鏡像から30個の導電性粒子を無作為に選び、それぞれの導電性粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の導電性粒子の粒子径を算術平均して得た値である。
フィルム(離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(絶縁樹脂層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出した歪から算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
<電磁波シールドフィルム>
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、図2は、本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図であり、図3は、本発明の電磁波シールドフィルムの第3の実施形態を示す断面図である。
第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と;絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接する第1の離型フィルム30と;導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する第2の離型フィルム40とを有する。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有する例である。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、第2の離型フィルム40に隣接する等方導電性接着剤層26とを有する例である。
第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、等方導電性接着剤層26のみからなる例である。
(絶縁樹脂層)
絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着し、第1の離型フィルム30を剥離した後には、金属薄膜層22の保護層となる。
絶縁樹脂層10としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。ハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板のプリント回路を隠蔽したり、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に意匠性を付与したりするために、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤としては、顔料、染料等が挙げられる。
顔料としては、無機顔料、有機顔料等が挙げられ、例えば、下記のものが挙げられる。
黒色顔料:カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チタンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料等。
緑色顔料:クロムグリーン、ピグメントグリーン等。
青色顔料:コバルトブルー、フタロシアニンブルー等。
赤色顔料:弁柄、アゾ系顔料、キナクリドン等。
黄色顔料:黄鉛、カドミウムイエロー、アゾ系顔料、イソインドリノン等。
白色顔料:亜鉛華、酸化チタン等。
染料としては、水溶性染料(酸性染料、塩基性染料、直接染料、食用染料等)、油溶性染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料等)等が挙げられる。
フィラーとしては、炭酸バリウム、クレー、シリカ、タルク等が挙げられる。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、耐候性、耐熱性、隠蔽性の点から、顔料またはフィラーが好ましく、プリント回路の隠蔽性、意匠性の点から、黒色顔料、または黒色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
絶縁樹脂層10は、難燃剤を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10の180℃における貯蔵弾性率は、5×10Pa以上5×10Pa以下が好ましく、1×10Pa以上1×10Pa以下がより好ましい。絶縁樹脂層10の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁樹脂層10がさらに適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の絶縁樹脂層10における圧力損失をさらに低減できる。その結果、導電性接着剤層とプリント配線板のプリント回路とがさらに十分に接着され、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。絶縁樹脂層10の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1の可とう性がさらによくなる。その結果、電磁波シールドフィルム1が絶縁フィルムの貫通孔内にさらに沈み込みやすくなり、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。絶縁樹脂層10の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁樹脂層10の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、絶縁樹脂層10が保護層としての機能を十分に発揮できる。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
絶縁樹脂層10の表面には、下記の点から、第1の離型フィルム30の表面の凹凸が転写されていてもよい。
・絶縁樹脂層10の表面に生じた傷等を目立たなくする。
・光学センサ(カメラモジュールのCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)の周辺において電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板からの光の正反射を抑える。
(導電層)
導電層20としては、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、導電層20において絶縁樹脂層10とは反対側の最表層となる導電性接着剤層(異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26)とを有する導電層(I);または等方導電性接着剤層26のみからなる導電層(II)が挙げられる。導電層20としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点から、導電層(I)が好ましい。
(金属薄膜層)
金属薄膜層22は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層22は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
金属薄膜層22としては、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)またはCVDによって形成された蒸着膜、めっきによって形成されためっき膜、金属箔等が挙げられる。面方向の導電性に優れる点から、蒸着膜、めっき膜が好ましく、厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスにて簡便に形成できる点から、蒸着膜がより好ましく、物理蒸着による蒸着膜がさらに好ましい。
金属薄膜層22を構成する金属としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられる。電気伝導度の点からは、銅が好ましく、化学的安定性の点からは、導電性セラミックスが好ましい。
金属薄膜層22の表面抵抗は、0.001Ω以上1Ω以下が好ましく、0.001Ω以上0.5Ω以下がより好ましい。金属薄膜層22の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、金属薄膜層22を十分に薄くできる。金属薄膜層22の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
金属薄膜層22の厚さは、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.05μm以上1μm以下がより好ましい。金属薄膜層22の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが0.05μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の生産性、可とう性がよくなる。
(導電性接着剤層)
導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。導電層(I)における導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。
導電性接着剤層としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。
熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。
熱硬化性接着剤としては、接着性を有する熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むものが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、熱硬化性接着剤は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
導電性粒子としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子としては、導電性接着剤層が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失を低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上10体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率は、1×10Pa以上5×10Pa以下が好ましく、5×10Pa以上1×10Pa以下がより好ましい。導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、導電性接着剤層がさらに適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失をさらに低減できる。その結果、導電性接着剤層とプリント配線板のプリント回路とがさらに十分に接着され、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。導電性接着剤層の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1の可とう性がさらによくなる。その結果、電磁波シールドフィルム1が絶縁フィルムの貫通孔内にさらに沈み込みやすくなり、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。
異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×10Ω以上1×1016Ω以下が好ましく、1×10Ω以上1×1014Ω以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω以上2.0Ω以下が好ましく、0.1Ω以上1.0Ω以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましく、7μm以上17μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
(第1の離型フィルム)
第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10や導電層20のキャリアフィルムとなるものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第1の離型フィルム30は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付けた後には、絶縁樹脂層10から剥離される。
第1の離型フィルム30は、基材層32を有する。
第1の離型フィルム30は、基材層32の絶縁樹脂層10側の表面に設けられた離型剤層34をさらに有する。
基材層32は、第1の基材層36および第2の基材層38を有する多層フィルムからなる。
基材層32は、第1の基材層36および第2の基材層38の間に設けられた接着剤層39を有する。
第1の基材層36および第2の基材層38の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す。)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられる。樹脂材料としては、電磁波シールドフィルム1を製造する際の耐熱性(寸法安定性)および価格の点から、PETが好ましい。
第1の基材層36の樹脂材料と、第2の基材層38の樹脂材料とは、同じ樹脂材料であってもよく、異なる樹脂材料であってもよい。第1の離型フィルム30の価格を抑える点および第1の離型フィルム30の反りを抑える点からは、同じ樹脂材料が好ましい。第1の基材層36と第2の基材層38との界面における光の反射等が大きくなり、第1の離型フィルム30の透明性が低下する点からは、異なる樹脂材料が好ましい。ここで、同じ樹脂材料とは、樹脂の種類が同じでかつ物性も同じであることを意味し、異なる樹脂材料は、樹脂の種類が異なる、または同じ種類でも物性が異なることを意味する。
第1の基材層36と第2の基材層38とは、光の透過率が異なっていてもよい。例えば、第1の基材層36および第2の基材層38のいずれか一方が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。第1の基材層36および第2の基材層38のいずれか一方が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいれば、第1の離型フィルム30の透明性がさらに低下する。第1の基材層36および第2の基材層38のいずれか一方が着色剤またはフィラーを含んでいても、他方が着色剤またはフィラーを含んでいなければ、基材層32すべてが着色剤またはフィラーを含んでいる場合に比べ、着色剤またはフィラーの含有量を減らすことができ、第1の離型フィルム30の価格を抑えることができる。
着色剤およびフィラーとしては、絶縁樹脂層10に含ませるものとして例示したものが挙げられる。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、絶縁樹脂層10と明確に区別でき、熱プレスした後に第1の離型フィルム30の剥がし残しに気が付きやすい点から、絶縁樹脂層10とは異なる色のものが好ましく、白色顔料;フィラー;または白色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
第1の基材層36および第2の基材層38の180℃における貯蔵弾性率は、8×10Pa以上5×10Paが好ましく、1×10Pa以上8×10Paがより好ましい。第1の基材層36および第2の基材層38の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、第1の離型フィルム30が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の第1の離型フィルム30における圧力損失を低減できる。第1の基材層36および第2の基材層38の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、第1の離型フィルム30の柔軟性が良好となる。
第1の基材層36および第2の基材層38の厚さは、それぞれ3μm以上75μm以下が好ましく、12μm以上50μm以下がより好ましい。第1の基材層36および第2の基材層38の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、第1の離型フィルム30の透明性が十分に低下する。また、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。第1の基材層36および第2の基材層38の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
接着剤層39は、第1の基材層36と第2の基材層38とを接着するとともに、第1の基材層36または第2の基材層38との界面における光の反射等によって、第1の離型フィルム30の透明性を低下させる。
接着剤層39としては、接着性を有する熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むもの、または接着性を有する熱可塑性樹脂を含むもの、またはゴム弾性により接着性を有するエラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、変性アクリル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、接着性に優れる点および第1の基材層36または第2の基材層38との界面における光の反射等が大きくなり、第1の離型フィルム30の透明性が低下する点から、ウレタン樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、シアノアクリレート、セルロース等が挙げられる。
エラストマーとしては、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、熱可塑性エラストマー、ブチルゴム、シリコーン、変性シリコン、シリル化ウレタン、ウレタンゴム、ポリサルファイド等が挙げられる。
接着剤層39は、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。接着剤層39が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいれば、第1の離型フィルム30の透明性がさらに低下する。
着色剤およびフィラーとしては、絶縁樹脂層10に含ませるものとして例示したものが挙げられる。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、絶縁樹脂層10と明確に区別でき、熱プレスした後に第1の離型フィルム30の剥がし残しに気が付きやすい点から、絶縁樹脂層10とは異なる色のものが好ましく、白色顔料;フィラー;または白色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
接着剤層39の厚さは、0.05μm以上50μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。接着剤層39の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、第1の基材層36と第2の基材層38とを十分に接着できる。また、第1の離型フィルム30の透明性が十分に低下する。接着剤層39の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
離型剤層34は、基材層32の表面に、離型剤による離型処理を施して形成されたものである。第1の離型フィルム30が離型剤層34を有することによって、第1の離型フィルム30を絶縁樹脂層10から剥離する際に、第1の離型フィルム30を剥離しやすく、絶縁樹脂層10や硬化後の導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
離型剤層34の厚さは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましい。離型剤層34の厚さが前記範囲内であれば、第1の離型フィルム30をさらに剥離しやすくなる。
第1の離型フィルム30の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaは、0.05μm以上2.0μm以下が好ましく、0.1μm以上1.5μm以下がより好ましい。
第1の離型フィルム30の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の下限値以上であれば、下記の点を満足する凹凸が絶縁樹脂層10の表面に形成される。
・絶縁樹脂層10の表面に生じた傷等を目立たなくする。
・光学センサの周辺において電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板からの光の正反射を抑える。
第1の離型フィルム30の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の上限値以下であれば、第1の離型フィルム30と絶縁樹脂層10との接着性が高くなりすぎず、第1の離型フィルム30を絶縁樹脂層10から剥離しやすい。
第1の離型フィルム30の厚さは、25μm以上125μm以下が好ましく、38μm以上100μm以下がより好ましい。第1の離型フィルム30の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、第1の離型フィルム30の透明性が十分に低下する。また、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。第1の離型フィルム30の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
(第2の離型フィルム)
第2の離型フィルム40は、導電性接着剤層を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。第2の離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層から剥離される。
第2の離型フィルム40は、例えば、基材層42と、基材層42の導電性接着剤層側の表面に設けられた離型剤層または粘着剤層44とを有する。
基材層42の樹脂材料としては、基材層32の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
基材層42は、着色剤、フィラー等を含んでいてもよい。
基材層42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
離型剤層または粘着剤層44は、基材層42の表面に、離型剤または粘着剤を施して形成されたものである。第2の離型フィルム40が離型剤層または粘着剤層44を有することによって、第2の離型フィルム40を導電性接着剤層から剥離する際に、第2の離型フィルム40を剥離しやすく、導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤または粘着剤は、公知の離型剤または粘着剤を用いればよい。
離型剤層または粘着剤層44の厚さは、0.05μm以上30μm以下が好ましく、0.1μm以上20μm以下がより好ましい。離型剤層または粘着剤層44の厚さが前記範囲内であれば、第2の離型フィルム40をさらに剥離しやすくなる。
(電磁波シールドフィルムの厚さ)
電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)は、5μm以上50μm以下が好ましく、8μm以上30μm以下がより好ましい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が前記範囲の下限値以上であれば、第1の離型フィルム30を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(離型フィルムを除く)が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)〜(c)を有する方法(α)によって製造できる。
工程(a):第1の離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁樹脂層の表面に導電層を形成する工程。
工程(c):工程(b)の後、導電層の表面に第2の離型フィルムを貼り付ける工程。
また、本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a’)、(b’1)、(b’2)、(c’)を有する方法(β)によって製造できる。
工程(a’):第1の離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b’1):絶縁樹脂層の表面に金属薄膜層を形成することによって、第1の離型フィルムと、絶縁樹脂層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
工程(b’2):第2の離型フィルムの片面に導電性接着剤層を形成することによって、第2の離型フィルムと、導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
工程(c’):第1の積層体と第2の積層体とを、金属薄膜層と導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
以下、図1に示す電磁波シールドフィルム1を方法(α)によって製造する方法について、図4を参照しながら説明する。
工程(a):
図4に示すように、第1の離型フィルム30の片面に絶縁樹脂層10を形成する。
絶縁樹脂層10の形成方法としては、リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させる方法が好ましい。
熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料は、必要に応じて溶剤、着色剤、フィラー、難燃剤、または他の成分を含んでいてもよい。
工程(b):
図4に示すように、絶縁樹脂層10の表面に金属薄膜層22を形成し(工程(b1))、金属薄膜層22の表面に異方導電性接着剤層24を形成する(工程(b2))。
金属薄膜層22の形成方法としては、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、めっきによってめっき膜を形成する方法、金属箔を貼り付ける方法等が挙げられる。面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、またはめっきによってめっき膜を形成する方法が好ましく、金属薄膜層22の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成でき、ドライプロセスにて簡便に金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法がより好ましく、物理蒸着によって蒸着膜を形成する方法がさらに好ましい。
異方導電性接着剤層24の形成方法としては、金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。
熱硬化性導電性接着剤組成物としては、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含むものを用いる。
工程(c):
図4に示すように、異方導電性接着剤層24の表面に第2の離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得る。
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム1にあっては、基材層32が第1の基材層36と第2の基材層38とを有する多層フィルムであるため、各層の界面における光の反射等によって第1の離型フィルム30の透明性が低下する。そのため、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板に電磁波シールドフィルム1を熱プレスした後に第1の離型フィルム30の剥がし残しに気が付きやすい。
また、以上説明した電磁波シールドフィルム1にあっては、着色剤やフィラーを基材層32の全体に含ませることによって第1の離型フィルム30の透明性を低下させる必要がないため、安価である。なお、基材層の全体に着色剤やフィラーを含ませた着色フィルムよりも、基材層を2層以上に多層化した多層フィルムの方が安価になる。
(他の実施形態)
本発明の電磁波シールドフィルムは、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する導電層と、絶縁樹脂層の導電層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムとを有し;第1の離型フィルムが、基材層を有し;基材層が、第1の基材層および第2の基材層を有する多層フィルムであるものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、第1の離型フィルムは、離型剤層の代わりに粘着剤層を有していてもよい。
第1の離型フィルムは、離型剤層または粘着剤層を有さず、基材層のみからなるものであってもよい。
基材層は、第3の基材層、またはそれ以上の基材層をさらに有していてもよい。
基材層は、接着剤層を有することなく、第1の基材層と第2の基材層とが直接積層されたものであってもよい。
絶縁樹脂層は、2層以上であってもよい。
導電性接着剤層の表面のタック性が少ない場合は、第2の離型フィルムは、離型剤層の代わりに粘着剤層を有していてもよい。さらに、第2の離型フィルムを省略しても構わない。
<電磁波シールドフィルム付きプリント配線板>
図5は、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、第2の離型フィルム40は、異方導電性接着剤層24から剥離されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2において第1の離型フィルム30が不要になった際には、第1の離型フィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22が、絶縁フィルム60および異方導電性接着剤層24を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と金属薄膜層22との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、30μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上200μm以下がより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
(フレキシブルプリント配線板)
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
(ベースフィルム)
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、6μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
(プリント回路)
プリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われていない。
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム60は、絶縁フィルム本体(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
絶縁フィルム本体の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。絶縁フィルム本体の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁フィルム本体としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
絶縁フィルム本体の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔62の開口部の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、例えば、下記の工程(d)〜(g)を有する方法によって製造できる。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):工程(d)の後、絶縁フィルム付きプリント配線板と、第2の離型フィルムを剥離した本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層を接着し、かつ導電性接着剤層を、貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(f):工程(e)の後、第1の離型フィルムが不要になった際に第1の離型フィルムを剥離する工程。
工程(g):必要に応じて、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層を本硬化させる工程。
以下、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造する方法について、図6を参照しながら説明する。
(工程(d))
図6に示すように、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ね、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(g)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
(工程(e))
図6に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、第2の離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着され、かつ異方導電性接着剤層24が、貫通孔62を通ってプリント回路54に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。
異方導電性接着剤層24の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下であり、30秒以上30分以下がさらに好ましい。熱プレスの時間が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、絶縁樹脂層10が十分に硬化し、絶縁樹脂層10と第1の離型フィルム30との界面における剥離力が十分に低下する。熱プレスの時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
熱プレスの温度(プレス機の熱盤の温度)は、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上175℃以下がより好ましい。熱プレスの温度が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。また、絶縁樹脂層10が十分に硬化し、絶縁樹脂層10と第1の離型フィルム30との界面における剥離力が十分に低下する。熱プレスの温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
熱プレスの圧力は、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、1MPa以上16MPa以下がより好ましい。熱プレスの圧力が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの圧力が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の破損等を抑えることができる。
(工程(f))
図6に示すように、第1の離型フィルムが不要になった際に、絶縁樹脂層10から第1の離型フィルム30を剥離する。
(工程(g))
工程(e)における熱プレスの時間が20秒以上10分以下の短時間である場合、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層24の本硬化を行うことが好ましい。
異方導電性接着剤層24の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15分以上120分以下であり、30分以上60分以下が好ましい。加熱時間が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24を十分に硬化できる。加熱時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下が好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2にあっては、電磁波シールドフィルム1を用いているため、電磁波シールドフィルム1の第1の離型フィルム30の剥がし残しに気が付きやすい。
(他の実施形態)
なお、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、プリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、導電層が絶縁フィルムに隣接し、かつ導電層が絶縁フィルムに形成された貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続された本発明の電磁波シールドフィルムを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1等を用いてもよい。
以下、実施例を示す。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
(貯蔵弾性率)
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(米国レオメトリック・サイエンティフィック社製、RSAII)を用い、温度:180℃、周波数:1Hz、昇温速度:10℃/分の条件で測定した。
(算術平均粗さRa)
第1の離型フィルムの離型剤層側の表面の算術平均粗さRaは、3D測定レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製、LEXT OLS4000)を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線からJIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づいて求めた。
(全光線透過率)
全光線透過率は、光線透過率測定機(ビック・ガードナー社製、HAZE−GARD PLUS)を用いて、JIS K 7361−1:1997(対応国際規格ISO 13468−1:1996)に準拠して測定した。
(実施例1)
透明なPETフィルム(東洋紡社製、E5100、厚さ:25μm、180℃における貯蔵弾性率:2.4×10Pa)を用意した。
ドライラミネート用ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、IS−704/CR−085)の100質量部に酸化チタンの10質量部を加え、白色に着色したものを用意した。
2枚のPETフィルムを、白色に着色したウレタン系接着剤を用いてドライラミネートし、PETフィルムからなる第1の基材層/白色接着剤層(厚さ:7μm)/PETフィルムからなる第2の基材層の層構成を有する多層フィルムを得た。
多層フィルムの片面をブラスト処理して凹凸を形成した。多層フィルムのブラスト処理された表面を、非シリコーン系離型剤にて離型処理して、多層フィルムからなる基材層と離型剤層(厚さ:0.2μm)とを有する第1の離型フィルムを得た。第1の離型フィルムの離型剤層側の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaは、0.75μmであった。第1の離型フィルムの全光線透過率は、35%であった。
第2の離型フィルムとして、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたPETフィルム(リンテック社製、T157、基材層の厚さ:50μm、離型剤層の厚さ:0.1μm)を用意した。
絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(昭和電工社製、ショウアミンX(登録商標))の20質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾールの2質量部、カーボンブラックの2質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
熱硬化性導電性接着剤組成物として、熱硬化性接着剤(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、および導電性粒子(平均粒子径7.5μmの銅粒子)の40質量部を、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解または分散させたものを用意した。
工程(a):
第1の離型フィルムの離型剤層側の表面に絶縁樹脂層形成用塗料を塗布し、60℃で2分間加熱し、塗料を乾燥、半硬化させて、絶縁樹脂層(厚さ:10μm、180℃における貯蔵弾性率:1.8×10Pa)を形成した。
工程(b1):
絶縁樹脂層10の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、金属薄膜層(蒸着膜、厚さ:0.07μm、表面抵抗:0.3Ω)を形成した。
工程(b2):
金属薄膜層の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層(厚さ:7μm、銅粒子:4.5体積%、180℃における貯蔵弾性率:1×10Pa)を形成した。
工程(c):
異方導電性接着剤層の表面に第2の離型フィルムを貼り付けて、図1に示すような電磁波シールドフィルムを得た。
工程(d):
厚さ25μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×1017Ω)(絶縁フィルム本体)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、接着剤層を形成し、絶縁フィルム(厚さ:50μm)を得た。プリント回路54のグランドに対応する位置に貫通孔(孔径:150μm)を形成した。
厚さ12μmのポリイミドフィルム(表面抵抗:1×1017Ω)(ベースフィルム)の表面に、プリント回路が形成されたフレキシブルプリント配線板を用意した。
フレキシブルプリント配線板に絶縁フィルムを熱プレスにより貼り付けて、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
工程(e):
絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板に、第2の離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルムを重ね、ホットプレス装置(折原製作所社製、G−12)を用い、熱盤温度:170℃、圧力:2MPaで120秒間熱プレスし、絶縁フィルムの表面に異方導電性接着剤層を仮接着して、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
工程(f)、(g):
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)を用い、温度:160℃で1時間加熱することによって、異方導電性接着剤層を本硬化させた。
第1の離型フィルム側から電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を見たところ、白色の第1の離型フィルムの存在をはっきりと確認でき、第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすい状態であった。
絶縁樹脂層から第1の離型フィルムを剥離した。
(実施例2)
透明なPETフィルム(東洋紡社製、E5100、厚さ:25μm、180℃における貯蔵弾性率:2.4×10Pa)を用意した。
白色に着色された練り込み白色PETフィルム(厚さ:25μm、180℃における貯蔵弾性率:2.0×10Pa)を用意した。
透明なドライラミネート用ウレタン系接着剤(東洋モートン社製、IS−704/CR−085)を用意した。
透明なPETフィルムと白色に着色された練り込み白色PETフィルムとを、透明なウレタン系接着剤を用いてドライラミネートし、練り込み白色PETフィルムからなる第1の基材層/接着剤層(厚さ:7μm)/PETフィルムからなる第2の基材層の層構成を有する多層フィルムを得た。
多層フィルムの練り込み白色PETフィルム側の表面をブラスト処理して凹凸を形成した。多層フィルムのブラスト処理された表面を、非シリコーン系離型剤にて離型処理して、多層フィルムからなる基材層と離型剤層(厚さ:0.2μm)とを有する第1の離型フィルムを得た。第1の離型フィルムの離型剤層側の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaは、0.75μmであった。第1の離型フィルムの全光線透過率は、23%であった。
実施例2の第1の離型フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
絶縁樹脂層から第1の離型フィルムを剥離する前に、第1の離型フィルム側から電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を見たところ、白色の第1の離型フィルムの存在をはっきりと確認でき、第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすい状態であった。
(実施例3)
透明なPETのペレット(デュポン社製、Rynite FR530、180℃における貯蔵弾性率:2.0×10Pa)を用意した。
PETのペレットを共押し出しして、PETフィルムからなる第1の基材層/PETフィルムからなる第2の基材層の層構成を有する半透明な多層フィルムを得た。
多層フィルムの片面をブラスト処理して凹凸を形成した。多層フィルムのブラスト処理された表面を、非シリコーン系離型剤にて離型処理して、多層フィルムからなる基材層と離型剤層(厚さ:0.2μm)とを有する第1の離型フィルムを得た。第1の離型フィルムの離型剤層側の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaは、0.75μmであった。第1の離型フィルムの全光線透過率は、63%であった。
実施例3の第1の離型フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
絶縁樹脂層から第1の離型フィルムを剥離する前に、第1の離型フィルム側から電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を見たところ、半透明の第1の離型フィルムの存在を確認でき、第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きやすい状態であった。
(比較例1)
第1の離型フィルムとして、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理された透明なPETフィルム(リンテック社製、T157、基材層の厚さ:50μm、離型剤層の厚さ:0.2μm)を用意した。第1の離型フィルムの離型剤層側の絶縁樹脂層10側の表面の算術平均粗さRaは、0.04μmであった。第1の離型フィルムの全光線透過率は、92%であった。
比較例1の第1の離型フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を得た。
絶縁樹脂層から第1の離型フィルムを剥離する前に、第1の離型フィルム側から電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を見たところ、第1の離型フィルム越しに下層の絶縁樹脂層の黒色がはっきりと透けて見え、第1の離型フィルムの剥がし残しに気が付きにくい状態であった。
本発明の電磁波シールドフィルムは、スマートフォン、携帯電話、光モジュール、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコン、医療器具等の電子機器用のフレキシブルプリント配線板における、電磁波シールド用部材として有用である。
1 電磁波シールドフィルム、
2 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板、
3 絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板、
10 絶縁樹脂層、
20 導電層、
22 金属薄膜層、
24 異方導電性接着剤層、
24a 熱硬化性接着剤、
24b 導電性粒子、
26 等方導電性接着剤層、
26a 熱硬化性接着剤、
26b 導電性粒子、
30 第1の離型フィルム、
32 基材層、
34 離型剤層、
36 第1の基材層、
38 第2の基材層、
39 接着剤層、
40 第2の離型フィルム、
42 基材層、
44 離型剤層または粘着剤層、
50 フレキシブルプリント配線板、
52 ベースフィルム、
54 プリント回路、
60 絶縁フィルム、
62 貫通孔、
101 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板、
110 電磁波シールドフィルム、
112 絶縁樹脂層、
114 金属薄膜層、
116 導電性接着剤層、
118 第1の離型フィルム、
130 フレキシブルプリント配線板、
132 ベースフィルム、
134 プリント回路、
140 絶縁フィルム、
142 貫通孔。

Claims (9)

  1. 絶縁樹脂層と、
    前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、
    前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接する第1の離型フィルムと
    を有する電磁波シールドフィルムであり、
    前記第1の離型フィルムが、基材層を有し、
    前記基材層が、第1の基材層および第2の基材層を有する多層フィルムである、電磁波シールドフィルム。
  2. 前記第1の離型フィルムが、前記基材層の前記絶縁樹脂層側の表面に設けられた離型剤層または粘着剤層をさらに有する、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
  3. 前記基材層が、前記第1の基材層および前記第2の基材層の間に設けられた接着剤層を有する、請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルム。
  4. 前記接着剤層が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含む、請求項3に記載の電磁波シールドフィルム。
  5. 前記第1の基材層および前記第2の基材層のいずれか一方が、着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  6. 前記導電層が、前記絶縁樹脂層に隣接する金属薄膜層と、前記導電層において前記絶縁樹脂層とは反対側の最表層となる導電性接着剤層とを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  7. 前記導電層が、等方導電性接着剤層からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  8. 前記導電層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する第2の離型フィルムをさらに有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  9. 基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、
    前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、
    前記導電層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記導電層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムと
    を有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
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