JP7265968B2 - 電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及び回路基板 - Google Patents

電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及び回路基板 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及び回路基板に関する。
フレキシブルプリント配線板から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽するために、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接するシールド層と、シールド層の絶縁樹脂層とは反対側に設けられ導電性接着剤層とを含む電磁波シールドフィルムを、絶縁フィルム(カバーレイフィルム)を介してフレキシブルプリント配線板の表面に設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
電磁波シールドフィルムは、例えば、キャリアフィルムの片面に、絶縁樹脂組成物を塗布し、乾燥させて絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層の表面に金属を蒸着してシールド層を設けることによって製造される。
キャリアフィルムは、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルム(カバーレイフィルム)の表面に、電磁波シールドフィルムを導電性接着剤層が絶縁フィルム(カバーレイフィルム)に接するように貼り付けた後、絶縁樹脂層から剥離される。
特開2016-086120号公報
しかし、キャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面は平滑であり、光沢度が高い。電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の最表面となる絶縁樹脂層の表面の光沢度が高い場合、以下のような不具合がある。
・絶縁樹脂層の表面の意匠性が低い。
・絶縁樹脂層の表面に生じた傷等が目立ちやすい。
・絶縁樹脂層の表面に印刷を行った場合、光の反射によって印刷された文字や絵柄の視認性が悪くなる。
・光学センサ(カメラモジュールのCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)等の周辺にある絶縁樹脂層からの光の反射によって光学センサ等が影響を受けるおそれがある。
一方、電磁波シールド層はフレキシブルプリント配線板の回路を伝わる信号の伝送損失を防ぐため、その表面が平滑であることが求められる。
そこで、本発明は、キャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられ、伝送特性に優れた電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及び回路基板を提供することを課題とする。
[1]
離型フィルム本体及び離型剤層を有する離型フィルムの前記離型剤層上に、樹脂及び粒子を含む絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層付き離型フィルムを製造する工程と、
前記絶縁樹脂層付き離型フィルムと、キャリアフィルム本体及びキャリアフィルム粘着剤層を有するキャリアフィルムとを、前記絶縁樹脂層と前記キャリアフィルム粘着剤層とが対向するように貼り合わせる工程と、
前記離型フィルムを剥離して、前記キャリアフィルムに前記絶縁樹脂層を転写する工程と、
前記絶縁樹脂層の前記キャリアフィルムとは反対側の表面に、金属を蒸着して金属蒸着膜からなるシールド層を形成する工程と、
を備える、
電磁波シールドフィルムの製造方法。
[2]
前記離型剤層の表面の表面粗さRzが0.01~1μmである、[1]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
ここで、表面粗さRzは、JIS B 0601:2013に規定する最大高さRzである。
[3]
前記離型剤層が非シリコーン系離型剤からなる、[1]又は[2]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[4]
前記離型剤層の表面のメチルエチルケトンに対する接触角が20°以下である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[5]
前記離型フィルムを剥離した後、前記金属を蒸着する前に、前記絶縁樹脂層の前記キャリアフィルムとは反対側の表面にコロナ処理、プラズマ処理、金属スパッタ処理及び密着付与剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理を行う、[1]~[4]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[6]
前記離型フィルムを剥離した後、前記金属を蒸着する前の、前記絶縁樹脂層の前記キャリアフィルムとは反対側の表面の光沢度が80%以上であり、
前記キャリアフィルムを剥離した後の、前記絶縁樹脂層の前記シールド層とは反対側の表面の光沢度が20%以下である、
[1]~[5]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[7]
前記絶縁樹脂層において、前記粒子の平均粒子径と前記樹脂の厚みの比〔粒子の平均粒子径/樹脂の厚み〕が1.1~2.5である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[8]
前記粒子が溶剤不溶性有機樹脂粒子又は溶剤不溶性無機粒子である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[9]
前記粒子が溶剤不溶性難燃剤である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[10]
前記離型フィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力が、前記キャリアフィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力よりも小さい、[1]~[9]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[11]
前記離型フィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力が0.1~15g/cmであり、
前記キャリアフィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力が0.5~25g/cmである、
[1]~[10]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[12]
さらに、前記シールド層の前記絶縁樹脂層とは反対側の表面に、絶縁性接着剤又は導電性接着剤を積層して絶縁性接着剤層又は導電性接着剤層を形成する、[1]~[11]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[13]
前記金属が、金、銀、銅、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[12]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
[14]
絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に隣接し、金属蒸着膜からなるシールド層と、前記シールド層の前記絶縁樹脂層とは反対側に設けられた導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルムであって、
前記絶縁樹脂層は樹脂及び粒子を含み、
前記絶縁樹脂層の前記シールド層とは反対側の表面の光沢度が20%以下である、
電磁波シールドフィルム。
[15]
前記絶縁樹脂層の前記シールド層の表面のメチルエチルケトンに対する接触角が20°以下である、[14]に記載の電磁波シールドフィルム。
[16]
前記絶縁樹脂層において、前記粒子の平均粒子径と前記樹脂の厚みの比〔粒子の平均粒子径/樹脂の厚み〕が1.1~2.5である、[14]又は[15]に記載の電磁波シールドフィルム。
[17]
前記粒子が溶剤不溶性有機樹脂粒子又は溶剤不溶性無機粒子である、[14]~[16]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルム。
[18]
前記粒子が溶剤不溶性難燃剤である、[14]~[17]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルム。
[19]
前記金属蒸着膜が、金、銀、銅、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を蒸着した膜である、[14]~[18]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルム。
[20]
基板の少なくとも一方の面に回路が設けられた回路基板本体と、
前記一方の面に接して配置された絶縁フィルムと、
前記絶縁フィルムの前記回路基板本体とは反対側に隣接する[14]~[19]のいずれか1つに記載の電磁波シールドフィルムと、を備え、
前記電磁波シールドフィルムにおける前記導電性接着剤層が、前記絶縁フィルムに接着している、回路基板。
本発明によれば、キャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられ、伝送特性に優れた電磁波シールドフィルムの製造方法、電磁波シールドフィルム及び回路基板を提供できる。
図1は本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法の一例を示す断面図である。 図2は、本発明の電磁波シールドフィルムの実施形態の一例を示す断面図である。 図3は、本発明の回路基板の実施形態の一例を示す断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の両側の数値を範囲内に含むものとする。
フィルム(キャリアフィルム、保護フィルム等)、電磁波シールドフィルムの各層の厚みは、デジタル測長機(ミツトヨ社製、ライトマチックVL-50-B)を用いて無作為に選ばれた5箇所の厚みを測定し、平均した値である。
シールド層の厚みは、渦電流式膜厚計を用いて無作為に選ばれた5箇所の厚みを測定し、平均した値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出したひずみから算出され、温度又は時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
表面抵抗は、10Ω/□未満の場合は、低抵抗抵抗率計(例えば、三菱ケミカル社製、ロレスタGP、ASPプローブ)を用い、四端子法(JIS K 7194:1994及びJIS R 1637:1998に準拠する方法)で測定される表面抵抗率であり、10Ω/□以上の場合は、高抵抗抵抗率計(例えば、三菱ケミカル社製、ハイレスタUP、URSプローブ)を用い、二重リング法(JIS K 6911:2006に準拠する方法)で測定される表面抵抗率である。
「エポキシ」とは、炭素鎖によって結合されている2原子の炭素と結合する-O-原子団に対する基名である。
「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。
「等方導電性接着剤層」とは、厚み方向及び面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚み方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×10Ω/□以上である導電性接着剤層を意味する。
「PET」とは、polyethylene telephthalate(ポリエチレンテレフタラート)を意味する。
「OPP」とは、oriented polypropylene(延伸ポリプロピレン)を意味する。
図1~3における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
本発明は、後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り種々の変形が可能である。
[電磁波シールドフィルムの製造方法]
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、以下の工程(a)~(d)を備える。
工程(a):離型フィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁樹脂層付き離型フィルムをキャリアフィルムと貼り合わせる工程。
工程(c):工程(b)の後、離型フィルムを剥離して絶縁樹脂層をキャリアフィルムに転写する工程。
工程(d):絶縁樹脂層の表面に金属を蒸着してシールド層を形成する工程。
さらに、以下の工程(e)を備えてもよい。
工程(e):シールド層の表面に、導電性接着剤を積層して導電性接着剤層を形成する。
さらに、以下の工程(f)を備えてもよい。
工程(f):導電性接着剤層の表面に、保護フィルムを貼り付ける。
以下、本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法の一例を、図1を参照しながら説明する。
<工程(a)>
工程(a)では、離型フィルム本体41及び離型剤層42を有する離型フィルム40の離型剤層42上に、樹脂10a及び粒子10bを含む絶縁樹脂組成物を塗布して、絶縁樹脂層10を形成し、絶縁樹脂層付き離型フィルムを製造する(図1(A)、図1(B)参照)。
まず、離型フィルム40を用意する。
離型フィルム40は、離型フィルム本体41の一方の表面に離型剤層42を形成したものである。
離型剤層42の表面の表面粗さが後に絶縁樹脂層に転写して絶縁樹脂層の表面粗さとなり、更にその上に蒸着するシールド層の表面の表面粗さとなることから、伝送特性の向上のためには、後述するように、離型剤層42の表面の表面粗さができる限り小さいことが望まれる。
絶縁樹脂層10の離型フィルム40とは反対側の表面には、粒子10bに由来する凹凸が存在する。
この凹凸は、当該表面における表面粗さRzとして表される。
前記表面粗さRzは、0.01~1μmが好ましく、0.02~0.8μmがより好ましく、0.03~0.5μmがさらに好ましい。
ここで、表面粗さRzは、試験片についてレーザー顕微鏡を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線から、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づいて求めた最大高さである。
離型フィルム本体41を構成するフィルムは、樹脂フィルムが好ましい。この樹脂フィルムの樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム及び液晶ポリマーが例示される。樹脂材料としては、強度が高く、低コストであることから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
離型フィルム本体41の180℃における貯蔵弾性率は、8×10~5×10Paが好ましく、1×10~8×10Paがより好ましい。離型フィルム本体41の180℃における貯蔵弾性率がこの範囲内であると、離型フィルム40が適度な硬さと柔軟性を有するようになり、より剥離しやすくなる。
離型剤層42を構成する離型剤としては、オレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の公知の離型剤が例示される。これらの中でも、ブリードアウトしづらいことから、非シリコーン系離型剤が好ましい。
離型フィルム40の厚みは、5~500μmが好ましく、10~150μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。
離型フィルム40の厚みがこの範囲内であると、離型フィルム40が適度な硬さと柔軟性を有するようになり、より剥離しやすくなる。
離型フィルム本体41の一方の表面に離型剤層42を形成する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、離型フィルム本体41の一方の表面に離型剤を塗布し、必要により乾燥させることによって、離型フィルム本体41の一方の表面に離型剤層42を形成できる。
次に、用意した離型フィルム40に絶縁樹脂層を形成する。
具体的には、離型フィルム40の離型剤層42上に、樹脂10a及び粒子10bを含む絶縁樹脂組成物を塗布して、絶縁樹脂層10を形成する。
絶縁樹脂層10は、シールド層20を形成する際のベース(下地)となり、電磁波シールドフィルムを、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着した後には、シールド層20の保護層となる。
前記絶縁樹脂組成物は、樹脂10a及び粒子10bを含む。
樹脂10aとしては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂10aが熱硬化性樹脂であるときは、前記絶縁樹脂組成物は、さらに硬化剤を含むことが好ましい。
前記熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム及び紫外線硬化アクリレート樹脂が例示される。前記熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂又はエポキシ樹脂が好ましい。
前記硬化剤としては、前記熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。前記硬化剤としては、熱硬化性樹脂を半硬化状態にしやすい点から、遅硬化型硬化剤が好ましい。また、通常の硬化剤と硬化遅延剤とを併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリウレタン(PUR)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリルニトリルスチレン樹脂(AS)及びアクリル樹脂(PMMA)が例示される。
粒子10bとしては、溶剤不溶性樹脂粒子及び溶剤不溶性無機粒子が挙げられる。
前記溶剤不溶性樹脂粒子としては、架橋アクリル樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等が例示される。
前記溶剤不溶性無機粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタン粒子、セラミック粒子等が例示される。
粒子10bとしては、特に、溶剤不溶性難燃剤が好ましい。前記溶剤不溶性難燃剤としては、リン酸塩、ホスフィン酸塩、ポリリン酸塩、及びメラミン誘導体等が挙げられ、具体的には、リン酸アルミニウム、ホスフィン酸アルミニウム、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、ポリリン酸メラミン(ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩を含む)、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、ホウ酸メラミン等が例示される。これらの中でも、難燃効果が高いことから、メラミン誘導体とリン系難燃剤とを併用することが好ましい。
ここで、「溶剤不溶性」は、溶剤(「有機溶剤」をいう。)100gに対する溶解度が0.1g以下であることをいう。なお、溶剤は、メチルエチルケトンである。
粒子10bの平均粒子径は、1~20μmが好ましく、2~10μmがより好ましく、3~8μmがさらに好ましい。
粒子10bの平均粒子径がこの範囲内であると、絶縁樹脂層の厚み及び光沢度の調整が容易になる。
ここで、粒子10bの平均粒子径は、粒子10bの顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、それぞれの粒子について、最小径及び最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の粒子の粒子径を算術平均して得た値である。
絶縁樹脂層10の厚みは、0.1~30μmが好ましく、0.5~20μmがより好ましく、1~15μmがさらに好ましい。
絶縁樹脂層10の厚みがこの範囲内であると、絶縁樹脂層10がシールド層20の保護層としての機能を十分に発揮できる。また、電磁波シールドフィルムの厚みをより薄くできる。
また、粒子10bの平均粒子径と、絶縁樹脂層10における樹脂10aの厚みとの比〔粒子の平均粒子径/樹脂の厚み〕は、1.1~2.5が好ましく、1.3~2.3がより好ましく、1.5~2.0がさらに好ましい。
前記比がこの範囲内であると、絶縁樹脂層10のシールド層20とは反対側の表面の光沢度をより適切な範囲内とすることができる。光沢度については後述する。
絶縁樹脂層10の180℃における貯蔵弾性率は、5×10~5×10Paが好ましく、3×10~3×10Paがより好ましく、1×10~1×10Paがさらに好ましい。
絶縁樹脂層10の180℃における貯蔵弾性率がこの範囲内であると、絶縁樹脂層10がより適度な硬さを有するようになり、熱プレスの際の絶縁樹脂層10における圧力損失をさらに低減できる。その結果、導電性接着剤層30とプリント配線板3の絶縁フィルム70とがさらに十分に接着され、導電性接着剤層30が絶縁フィルム70の貫通孔を通って回路84により確実に電気的に接続される。また、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する。その結果、電磁波シールドフィルムが絶縁フィルム70の貫通孔内にさらに沈み込みやすくなり、導電性接着剤層30が絶縁フィルム70の貫通孔を通ってプリント配線板3の回路84により確実に電気的に接続される。
絶縁樹脂層10の離型剤層42とは反対側の表面の23℃でのメチルエチルケトンに対する接触角MEKCAは、20°以下が好ましく、10°以下がより好ましく、8°以下がさらに好ましい。メチルエチルケトンに対する接触角MEKCAの下限は、通常0°であり、5°が好ましい。
メチルエチルケトンに対する接触角MEKCAがこの範囲内であると、絶縁樹脂組成物塗料を離型剤層上にコーティング等により形成する際に、ピンホールなどを発生しづらく良好な絶縁樹脂層が得られる。
ここで、メチルエチルケトンに対する接触角MEKCAは、協和界面科学製DMs-301などの公知の接触角計を用いて測定される。
絶縁樹脂層10は、回路基板2に意匠性を付与するために、着色されていてもよい。
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10~1×1019Ωが好ましい。
<工程(b)>
工程(b)では、工程(a)で製造した絶縁樹脂層付き離型フィルムと、キャリアフィルム本体51及びキャリアフィルム粘着剤層52を有するキャリアフィルム50とを、絶縁樹脂層10とキャリアフィルム粘着剤層52とが対向するように貼り合わせる(図1(C)参照)。
キャリアフィルム50は、絶縁樹脂層10及びシールド層20を補強及び保護する支持体であり、電磁波シールドフィルムのハンドリング性を良好にする。特に、絶縁樹脂層10の厚みが薄い場合、具体的には、絶縁樹脂層10の厚みが1~10μmである場合には、キャリアフィルム50によって、絶縁樹脂層10の破断を防ぐことができる。
キャリアフィルム50は、電磁波シールドフィルムをプリント配線板3に貼り付けた後には、絶縁樹脂層10から剥離される。
キャリアフィルム本体51の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下「「PET」という場合がある。)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム及び液晶ポリマーが例示される。前記樹脂材料としては、電磁波シールドフィルムを製造する際の耐熱性(寸法安定性)及びコストの点から、PETが好ましい。
キャリアフィルム本体51は、着色剤(顔料、染料等)及びフィラーのいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。
着色剤及びフィラーのいずれか一方又は両方としては、絶縁樹脂層10と明確に区別でき、熱プレスした後にキャリアフィルム50の剥がし残しに気が付きやすい点から、絶縁樹脂層10とは異なる色のものが好ましく、白色顔料若しくはフィラー又は白色顔料と他の顔料若しくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
キャリアフィルム本体51の180℃における貯蔵弾性率は、8×10~5×10Paが好ましく、1×10~8×10Paがより好ましく、2×10~7×10Paがさらに好ましい。
キャリアフィルム本体51の180℃における貯蔵弾性率がこの範囲内であると、キャリアフィルム50がより適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際のキャリアフィルム50における圧力損失を低減できる。また、キャリアフィルムの柔軟性がより良好となる。
キャリアフィルム本体51の厚みは、3~125μmが好ましく、12~75μmがより好ましく、25~50μmがさらに好ましい。
キャリアフィルム本体51の厚みがこの範囲内であると、電磁波シールドフィルムのハンドリング性がより良好となる。また、プリント配線板に電磁波シールドフィルムを熱プレスする際に導電性接着剤層30に熱が伝わりやすい。
キャリアフィルム粘着剤層52は、例えば、キャリアフィルム本体51の表面に粘着剤を含む粘着剤組成物を塗布して形成される。キャリアフィルム50がキャリアフィルム粘着剤層52を有することによって、電磁波シールドフィルムを取り扱う際に、キャリアフィルム50が絶縁樹脂層10から意図せずに剥離することが抑えられる。その結果、キャリアフィルム50が保護フィルムとしての役割を十分に果たすことができる。
前記粘着剤は、熱プレス前にはキャリアフィルム50が絶縁樹脂層10から容易に剥離することなく、熱プレス後にはキャリアフィルム50を絶縁樹脂層10から剥離できる程度の適度な粘着性を粘着剤層に付与するものであることが好ましい。
前記粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
前記粘着剤のガラス転移温度は、-100~60℃が好ましく、-80~50℃がより好ましく、-60~40℃がさらに好ましい。
キャリアフィルム50の厚みは、12~125μmが好ましく、25~100μmがより好ましく、38~75μmがさらに好ましい。
キャリアフィルム50の厚みがこの範囲内であると、電磁波シールドフィルムのハンドリング性がより良好となる。また、プリント配線板に電磁波シールドフィルムを熱プレスする際に導電性接着剤層30に熱がより伝わりやすい。
<工程(c)>
工程(c)では、工程(b)でキャリアフィルム50を貼り付けた絶縁樹脂層付き離型フィルムから、離型フィルム40を剥離して、キャリアフィルム50に絶縁樹脂層10を転写する(図1(D)参照)。
離型フィルム40を剥離する方法は特に限定されない。
離型フィルム40と絶縁樹脂層10との間の剥離力は、キャリアフィルム50と絶縁樹脂層10との間の剥離力よりも小さいことが好ましい。
より詳細には、離型フィルム40と絶縁樹脂層との間の剥離力は、0.1~20g/cmが好ましく、0.1~15g/cmがより好ましく、0.1~10g/cmがさらに好ましく、キャリアフィルム50と絶縁樹脂層10との間の剥離力は、0.5~25g/cmが好ましく、1~18g/cmがより好ましく、2~13g/cmがさらに好ましい。
離型フィルム40と絶縁樹脂層10との間の剥離力と、キャリアフィルム50と絶縁樹脂層10との間の剥離力との関係が上記のとおりであると、本工程において、絶縁樹脂層付き離型フィルムから、離型フィルム40を剥離する際に、キャリアフィルム50が絶縁樹脂層10から剥がれてしまう危険が小さくなる。
<工程(d)>
工程(d)は、絶縁樹脂層10のキャリアフィルム50とは反対側の表面に、金属を蒸着して金属蒸着膜からなるシールド層20を形成する工程である(図1(E)参照)。
工程(c)において絶縁樹脂層10から離型フィルム40を剥離した後、本工程において絶縁樹脂層10のキャリアフィルム50とは反対側の表面に金属を蒸着する前に、その表面にコロナ処理、プラズマ処理、金属スパッタ処理及び密着付与剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理を行うことが好ましい。
これらの処理を行うことにより、絶縁樹脂層10の金属を蒸着する表面の表面を改質することにより、金属を蒸着して得られる金属蒸着膜であるシールド層20と絶縁樹脂層10との密着性がより向上する。
蒸着する金属は、金、銀、銅、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、電磁波シールド特性が優れ、低コストであることから、銅がより好ましい。
蒸着は、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)及び化学蒸着のいずれによって行ってもよい。形成される金属蒸着膜の厚みを薄くでき、かつ、厚みが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスで簡便に行えることから、物理蒸着がより好ましい。
シールド層20の表面抵抗は、0.001~1Ω/□が好ましく、0.001~0.5Ω/□がより好ましく、0.001~0.1Ω/□がさらに好ましい。
シールド層20の表面抵抗がこの範囲内であると、シールド層20を十分に薄くできる。また、シールド層20が電磁波シールド層として十分に機能できる。
シールド層20の厚みは、0.01~3μmが好ましく、0.05~2μmがより好ましく、0.1~1.5μmがさらに好ましい。
シールド層20の厚みがこの範囲内であると、面方向の導電性がより良好になるとともに、電磁波ノイズの遮蔽効果がより良好になる。また、電磁波シールドフィルムを薄くでき、電磁波シールドフィルムの生産性及び可とう性がより向上する。
工程(c)において絶縁樹脂層10から離型フィルム40を剥離した後、本工程において絶縁樹脂層10のキャリアフィルム50とは反対側の表面に金属を蒸着する前の、その表面の光沢度は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。上限は、通常、97%である。
前記光沢度がこの範囲内であると、絶縁樹脂層10の金属を蒸着しようとする表面がより平滑であり、均一な厚みの金属蒸着膜を形成しやすい。
また、絶縁樹脂層10からキャリアフィルム50を剥離した後の、絶縁樹脂層10のシールド層20とは反対側の表面の光沢度は、20%以下が好ましく、17%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。下限は、通常、5%である。
前記光沢度がこの範囲内であると、絶縁樹脂層10のキャリアフィルム50を剥離した後の表面がより艶消しとなっており、意匠性に優れるとともに、光の反射をより抑制できる。
ここで、光沢度は、JIS Z 8741:1997(対応国際規格ISO 2813:1994,ISO 7668:1986)に準拠し、入射角/受光角が60°/60°の条件で測定された値である。
<工程(e)>
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、さらに、シールド層20の絶縁樹脂層10とは反対側の表面に、導電性接着剤を積層して、導電性接着剤層30を形成する工程を備えていてもよい(図1(F)参照)。
導電性接着剤層30は、少なくとも厚み方向に導電性を有し、かつ、接着性を有する。
導電性接着剤層30としては、厚み方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層、又は厚み方向及び面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層が挙げられる。
導電性接着剤層30としては、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する点からは、異方導電性接着剤層が好ましく、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層が好ましい。
導電性接着剤層30としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の導電性接着剤層は、例えば、熱硬化性接着剤と導電性粒子とを含む。
前記熱硬化性接着剤としては、接着性を有する熱硬化性樹脂及び硬化剤を含むものが挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
前記硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、熱硬化性接着剤は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
前記熱硬化性接着剤は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
前記熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
前記熱硬化性接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
前記導電性粒子としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。前記導電性粒子としては、前記導電性接着剤層が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の前記導電性接着剤層における圧力損失を低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。
前記異方導電性接着剤層における前記導電性粒子の平均粒子径は、2~30μmが好ましく、3~20μmがより好ましく、4~15μmがさらに好ましい。
前記導電性粒子の平均粒子径がこの範囲内であると、前記異方導電性接着剤層の厚みを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。また、前記異方導電性接着剤層の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
前記異方導電性接着剤層における前記導電性粒子の割合は、異方導電性接着剤層の100体積%のうち、1~30体積%が好ましく、2~15体積%がより好ましい。
前記導電性粒子の割合がこの範囲内であると、前記前記異方導電性接着剤層の導電性がより良好になる。また、前記異方導電性接着剤層の接着性及び流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)がより良好になる。さらに、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する。
前記異方導電性接着剤層の表面抵抗は、1×10~1×1016Ω/□が好ましく、1×10~1×1014Ω/□がより好ましい。
前記異方導電性接着剤層の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、前記導電性粒子の含有量が低く抑えられる。また、実用上、異方性に問題がない。
前記異方導電性接着剤層の厚みは、1~25μmが好ましく、3~20μmがより好ましく、5~15がさらに好ましい。
前記異方導電性接着剤層の厚みがこの範囲内であると、前記異方導電性接着剤層の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。また、電磁波シールドフィルムを薄くできる。さらに、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する。
前記等方導電性接着剤層における前記導電性粒子の平均粒子径は、0.01~10μmが好ましく、0.02~1μmがより好ましい。
前記導電性粒子の平均粒子径がこの範囲内であると、前記導電性粒子の接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。また、前記等方導電性接着剤層の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
前記等方導電性接着剤層における前記導電性粒子の割合は、前記等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50~80体積%が好ましく、60~70体積%がより好ましい。
前記導電性粒子の割合がこの範囲内であると、前記等方導電性接着剤層の導電性がより良好になる。また、前記等方導電性接着剤層の接着性及び流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)がより良好になる。さらに、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する。
前記等方導電性接着剤層の表面抵抗は、0.05~2.0Ω/□が好ましく、0.1~1.0Ω/□がより好ましい。
前記等方導電性接着剤層の表面抵抗がこの範囲内であると、前記導電性粒子の含有量が低く抑えられ、前記導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となるとともに、前記等方導電性接着剤層の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。また、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
前記等方導電性接着剤層の厚みは、1~20μmが好ましく、3~15μmがより好ましく、5~10μmがさらに好ましい。
前記等方導電性接着剤層の厚みがこの範囲内であると、前記等方導電性接着剤層の導電性がより良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できるとともに、前記等方導電性接着剤層の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても前記等方導電性接着剤層が断裂することはない。また、電磁波シールドフィルムを薄くできる。さらに、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する。
導電性接着剤層30の180℃における貯蔵弾性率は、1×10~5×10Paが好ましく、5×10~1×10Pa以下がより好ましい。
導電性接着剤層30の180℃における貯蔵弾性率がこの範囲内であると、導電性接着剤層30がより適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層30における圧力損失をより低減できる。その結果、導電性接着剤層30とプリント配線板の回路とが十分に接着され、導電性接着剤層30が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板の回路により確実に電気的に接続される。また、電磁波シールドフィルムの可とう性がより向上する。その結果、電磁波シールドフィルムが絶縁フィルムの貫通孔内に沈み込みやすくなり、導電性接着剤層が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。
<工程(e’)>
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、工程(e)に代えて、導電性接着剤層30の代わりに絶縁性接着剤層(図示省略)を形成する工程を備えていてもよい。
絶縁性接着剤層は、シールド層20の絶縁樹脂層10とは反対側の表面に、絶縁性接着剤を積層して、形成する。
前記絶縁性接着剤層は、例えば、光硬化性樹脂及び光ラジカル重合開始剤を含む絶縁性接着剤を塗布し、半硬化又は硬化させて形成したもの、熱硬化性樹脂及び硬化剤を含む絶縁性接着剤を塗布し、半硬化又は硬化させて形成したもの、熱可塑性樹脂を含む絶縁性接着剤を塗布し、乾燥させて形成したものである。
前記絶縁性接着剤層は、はんだリフロー工程に供される際の耐熱性(半田耐熱性)の点から、光硬化性樹脂及び光ラジカル重合開始剤を含む絶縁性接着剤を塗布し、半硬化又は硬化させて形成したもの、又は熱硬化性樹脂及び硬化剤を含む絶縁性接着剤を塗布し、半硬化又は硬化させて形成したものが好ましい。
前記光硬化性樹脂としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物等が挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、光硬化性樹脂の種類に応じた公知の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。前記熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
前記硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルホン、ポリフェニレンサルフィド、ポリフェニレンサルフィドサルホン、ポリフェニレンサルフィドケトン等が挙げられる。
前記絶縁性接着剤層は、回路基板の回路を隠蔽したり、電磁波シールドフィルム付き回路基板に意匠性を付与したりするために、着色剤(顔料、染料等)及びフィラーのいずれか一方又は両方を含んでいてもよい。
前記着色剤及びフィラーのいずれか一方又は両方としては、耐候性、耐熱性、隠蔽性の点から、顔料又はフィラーが好ましく、回路の隠蔽性、意匠性の点から、黒色顔料、又は黒色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
前記絶縁性接着剤層は、さらに、難燃剤を含んでいてもよい。前記絶縁性接着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
前記絶縁性接着剤層の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10~1×1019Ω/□以下が好ましい。
前記絶縁性接着剤層の厚みは、0.1~30μmが好ましく、0.5~20μmがより好ましく、1~15μmがさらに好ましい。
前記絶縁性接着剤層の厚みがこの範囲内であると、接着力と薄さのバランスが良い。
<工程(f)>
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法は、さらに、導電性接着剤層30のシールド層20とは反対側の表面に、保護フィルム60を設ける工程を備えていてもよい。保護フィルム60は保護フィルム本体61のみからなるもの、保護フィルム本体61及び保護フィルム粘着剤層62を有するものなどがある(図1(G)参照)。
保護フィルム60は、導電性接着剤層30を保護するものであり、電磁波シールドフィルムのハンドリング性をより良好にする。保護フィルム60は、電磁波シールドフィルムをプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層30から剥離される。
保護フィルム60は、例えば、保護フィルム本体61と、保護フィルム本体61の導電性接着剤層側の表面に設けられた保護フィルム粘着剤層62とを有する。
保護フィルム本体61の樹脂材料としては、キャリアフィルム本体51の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
保護フィルム本体61は、着色剤、フィラー等を含んでいてもよい。
保護フィルム本体61の厚みは、5~500μmが好ましく、10~150μmがより好ましく、25~100μmがさらに好ましい。
保護フィルム粘着剤層62は、保護フィルム本体61の表面を粘着剤で処理して形成される。保護フィルム60が保護フィルム粘着剤層62を有することによって、保護フィルム60を導電性接着剤層から剥離する際に、保護フィルム60を剥離しやすく、導電性接着剤層が破断しにくくなる。
前記粘着剤としては、公知の粘着剤を用いればよい。
保護フィルム粘着剤層62の厚みは、0.05~30μmが好ましく、0.1~20μmがより好ましい。保護フィルム粘着剤層62の厚みがこの範囲内であると、保護フィルム60をさらに剥離しやすくなる。
<工程(f’)>
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法が、工程(e)に代えて工程(e’)を備える場合は、工程(f)に代えて、絶縁性接着剤層(図示省略)のシールド層20とは反対側の表面に、保護フィルム60を貼り付ける工程を備えていてもよい。
[電磁波シールドフィルム]
図2に示す本実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と、絶縁樹脂層10に隣接し、金属蒸着膜からなるシールド層20と、シールド層20の絶縁樹脂層10とは反対側に設けられた導電性接着剤層30と、を備える。
絶縁樹脂層10、シールド層20及び導電性接着剤層30は、上述した本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法において説明したとおりである。
[回路基板]
図3に示す本実施形態の回路基板2は、基板82の少なくとも一方の面に回路84が設けられた回路基板本体80と、前記一方の面に接して配置された絶縁フィルム70と、絶縁フィルム70の回路基板本体80とは反対側に隣接する、上述した電磁波シールドフィルム1と、を備え、電磁波シールドフィルム1における導電性接着剤層30が、絶縁フィルム70に接着している。
<電磁波シールドフィルム>
電磁波シールドフィルム1は、上述したものである。
<回路基板本体>
回路基板本体80は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工して回路84としたものである。
銅張積層板としては、基板82の片面又は両面に接着剤層(図示省略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面に基板82を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚みは、0.5~30μmが好ましい。
(回路)
回路84を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。回路84は、例えば、信号回路、グランド回路、グランド層等として使用される。
銅箔の厚みは、1~50μmが好ましく、18~35μmがより好ましい。
回路84の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、電磁波シールドフィルム1に覆われず、露出している。
(基板)
基板82としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
基板82の表面抵抗は、電気的絶縁性を高くすることから、1.0×10Ω/□以上が好ましく、5.0×10Ω/□以上がより好ましい。基板82の表面抵抗の上限は、特に限定されないが、実用上、1.0×1019Ω/□が好ましい。
基板82の厚みは、5~200μmが好ましく、屈曲性がより良好になることから、6~50μmがより好ましく、10~25μmがより好ましい。
<絶縁フィルム>
絶縁フィルム70(カバーレイフィルム)は、絶縁フィルム本体(図示省略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示省略)を形成したものである。
絶縁フィルム本体の表面抵抗は、電気的絶縁性を高くすることから、1.0×10Ω/□以上が好ましく、5.0×10Ω/□以上がより好ましい。絶縁フィルム本体の表面抵抗の上限は、特に限定されないが、実用上、1.0×1019Ω/□が好ましい。
絶縁フィルム本体としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
絶縁フィルム本体の厚みは、1~100μmが好ましく、可とう性がより良好になることから、3~75μmがより好ましく、5~50μmがさらに好ましい。
接着剤層の材料は、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン又はポリオレフィンである。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚みは、1~100μmが好ましく、1.5~60μmがより好ましく、2~40μmがさらに好ましい。
絶縁フィルム70には、通常、貫通孔(図示省略)が形成される。
貫通孔は、回路基板本体80の回路84に対応する位置に形成される。電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層30は、絶縁フィルム70に形成された貫通孔を通って回路84に電気的に接続される。
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔の開口部の形状としては、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
<回路基板の製造方法>
図3に示す本実施形態の回路基板2は、例えば、下記の工程を有する方法によって製造できる。
工程(α):回路基板本体80の回路84が設けられた側の表面に、絶縁フィルム70を設け、プリント配線板3を得る。
工程(β):工程(α)の後、プリント配線板3の絶縁フィルム70の表面に、電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層30が接触するように重ね、これらを圧着することによって、絶縁フィルム70の表面に導電性接着剤層30を接着する。この際、絶縁樹脂層10及び導電性接着剤層30を加熱しながらプレスしてもよい。この後、絶縁樹脂層10及び導電性接着剤層30をさらに加熱することによって、絶縁樹脂層10の硬化性樹脂組成物を硬化させてもよい。
工程(α)は、回路基板本体80に絶縁フィルム70を積層して、プリント配線板3を得る工程である。
具体的には、まず、回路基板本体80に、絶縁フィルム70を重ねる。このとき、絶縁フィルム70には、回路84に対応する位置に貫通孔が形成されていることが好ましい。次いで、回路基板本体80の表面に絶縁フィルム70の接着剤層(図示省略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、プリント配線板3を得る。回路基板本体80の表面に絶縁フィルム70の接着剤層を仮接着し、工程(β)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着及び硬化は、例えば、プレス機(図示省略)等による熱プレスによって行うことが好ましい。
工程(β)は、プリント配線板3に電磁波シールドフィルム1を圧着する工程である。
具体的には、プリント配線板3に、電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレス等により圧着する。これにより、絶縁フィルム70の表面に導電性接着剤層30を接着する。絶縁フィルム70の回路84に対応する位置に貫通孔が形成されていれば、導電性接着剤層30が貫通孔内に押し込まれ、貫通孔内を埋めて回路84に電気的に接続する。これにより、回路基板2を得る。
導電性接着剤層30の接着及び硬化は、例えば、プレス機(図示省略)等による熱プレスによって行うことが好ましい。
熱プレスの時間は、20秒~60分が好ましく、30秒~30分がより好ましい。熱プレスの時間がこの範囲内であると、絶縁フィルム70の表面に導電性接着剤層30を容易に接着でき、かつ、回路基板の製造時間を短縮できる。
熱プレスの温度(プレス機の熱盤の温度)は、140~190℃が好ましく、150~175℃がより好ましい。熱プレスの温度がこの範囲内であると、絶縁フィルム70の表面に導電性接着剤層30を容易に接着でき、かつ、電磁波シールドフィルム1、プリント配線板3等の劣化等を容易に抑えることができる。
熱プレスの圧力は、0.5~20MPaが好ましく、1~16MPaがより好ましい。熱プレスの圧力がこの範囲内であると、絶縁フィルム70の表面に導電性接着剤層30を容易に接着でき、熱プレスの時間を短縮できるとともに、電磁波シールドフィルム1、プリント配線板3等の破損等を抑えることができる。
電磁波シールドフィルム1が離型フィルムを有する場合は、工程(β)の間に、さらに、離型フィルムを剥離する工程〔工程(γ)〕を有していてもよい。
具体的には、工程(γ)は、電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層30から離型フィルムを剥離する工程である。
電磁波シールドフィルム1がキャリアフィルムを有する場合は、工程(β)の後に、さらに、キャリアフィルムを剥離する工程〔工程(δ)〕を有していてもよい。
具体的には、工程(δ)は、キャリアフィルムが不要になった際に、絶縁樹脂層10からキャリアフィルムを剥離する工程である。
(難燃試験)
各実施例で得た電磁波シールドフィルムを厚さ125μmのポリイミドフィルムに180℃3MPa4分で圧着し、150℃60分のオーブンに入れたサンプルをUL(アメリカ保険業者安全試験所:Underwriters Laboratories Inc.)規格のVTM試験(ASTM D4804)により判定した。
(原材料)
導電性接着剤組成物として、熱硬化性接着剤(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA-4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN-23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、難燃剤(9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド)40質量部、導電性粒子(体積平均粒子径5μmの銅粒子)の20質量部を、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解または分散させたものを用意した。
離型フィルムとして、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたPETフィルム(リンテック社製、T157、離型フィルム本体の厚さ:50μm、離型剤層の厚さ:0.1μm、離型剤層の表面粗さRz0.2μ)を用意した。
キャリアフィルムとして、アクリル系粘着剤を15μmの厚みで備えた厚さ50μmのPETフィルムを用意した。
保護フィルムとして、厚さ30μmのOPPフィルムを用意した。
(実施例1)
絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(昭和電工社製、ショウアミンX(登録商標))の20質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾールの2質量部、およびポリリン酸アンモニウム(Cas.68333-79-9、体積平均粒子径9μm、メチルエチルケトンに対する溶解度0.1g/100g未満)の50質量部、メラミンシアヌレート(Cas.37640-57-6、体積平均粒子径9μm、メチルエチルケトンに対する溶解度0.1g/100g未満)の50質量部、カーボンブラックの2質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
離型フィルムの離型剤層の表面に絶縁樹脂層形成用塗料を塗布し、100℃で2分間加熱し、塗料を乾燥、半硬化させて、絶縁樹脂層(厚さ:6μm)を形成した。形成した絶縁樹脂層の表面の光沢度(A1)、Rz(B1)を測定し、表1に示した。
絶縁樹脂層の上にキャリアフィルムの粘着剤面を貼り合わせ、次いで、絶縁樹脂層から離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した絶縁樹脂層の表面の光沢度(A2)、Rz(B2)を測定し、表1に示した。
離型フィルムを剥離した絶縁樹脂層の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、シールド層(蒸着膜、厚さ:300nm)を形成した。シールド層表面の光沢度(A3)、Rz(B3)を測定し、表1に示した。
シールド層の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層(接着剤の厚さ5μm、銅粒子:8質量%)を形成した。
異方導電性接着剤層の表面に保護フィルムを貼り付けて、実施例1の電磁波シールドフィルムを得た。
(実施例2)
絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(昭和電工社製、ショウアミンX(登録商標))の20質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾールの2質量部、および架橋アクリル樹脂粒子(体積平均粒子径10μm、メチルエチルケトンに対する溶解度0.1g/100g未満)の50質量部、カーボンブラックの2質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
この絶縁樹脂層形成用塗料を用いた他は、実施例1と同様にして実施例2の電磁波シールドフィルムを得た。
(実施例3)
絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(昭和電工社製、ショウアミンX(登録商標))の20質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾールの2質量部、およびシリカ粒子(体積平均粒子径8μm、メチルエチルケトンに対する溶解度0.1g/100g未満)の50質量部、カーボンブラックの2質量部を溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部に溶解した塗料を用意した。
この絶縁樹脂層形成用塗料を用いた他は、実施例1と同様にして実施例の電磁波シールドフィルムを得た。
Figure 0007265968000001
本発明の電磁波シールドフィルムの製造方法によって製造された電磁波シールドフィルムは、スマートフォン、携帯電話、光モジュール、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコン、医療器具等の電子機器用のフレキシブルプリント配線板における、電磁波シールド用部材として有用である。
1,1’ 電磁波シールドフィルム
2 回路基板
3 プリント配線板
10 絶縁樹脂層
10a 樹脂
10b 粒子
20 シールド層
30 導電性接着剤層
40 離型フィルム
41 離型フィルム本体
42 離型剤層
50 キャリアフィルム
51 キャリアフィルム本体
52 キャリアフィルム粘着剤層
60 保護フィルム
61 保護フィルム本体
62 保護フィルム粘着剤層
70 絶縁フィルム
80 回路基板本体
82 基板
84 回路

Claims (20)

  1. 離型フィルム本体及び離型剤層を有する離型フィルムの前記離型剤層上に、樹脂及び粒子を含む絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層付き離型フィルムを製造する工程と、
    前記絶縁樹脂層付き離型フィルムと、キャリアフィルム本体及びキャリアフィルム粘着剤層を有するキャリアフィルムとを、前記絶縁樹脂層と前記キャリアフィルム粘着剤層とが対向するように貼り合わせる工程と、
    前記離型フィルムを剥離して、前記キャリアフィルムに前記絶縁樹脂層を転写する工程と、
    前記絶縁樹脂層の前記キャリアフィルムとは反対側の表面に、金属を蒸着して金属蒸着膜からなるシールド層を形成する工程と、
    を備え
    前記絶縁樹脂層において、前記粒子の平均粒子径と前記樹脂の厚みの比〔粒子の平均粒子径/樹脂の厚み〕が1.1~2.5である、
    電磁波シールドフィルムの製造方法。
  2. 前記離型剤層の表面の表面粗さRzが0.01~1μmである、請求項1に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
    ここで、表面粗さRzは、JIS B 0601:2013に規定する最大高さRzである。
  3. 前記離型剤層が非シリコーン系離型剤からなる、請求項1又は2に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  4. 前記離型剤層の表面のメチルエチルケトンに対する接触角が20°以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  5. 前記離型フィルムを剥離した後、前記金属を蒸着する前に、前記絶縁樹脂層の前記キャリアフィルムとは反対側の表面にコロナ処理、プラズマ処理、金属スパッタ処理及び密着付与剤処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  6. 前記離型フィルムを剥離した後、前記金属を蒸着する前の、前記絶縁樹脂層の前記キャリアフィルムとは反対側の表面の光沢度が80%以上であり、
    前記キャリアフィルムを剥離した後の、前記絶縁樹脂層の前記シールド層とは反対側の表面の光沢度が20%以下である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  7. 記粒子の平均粒子径が1~20μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  8. 前記粒子が溶剤不溶性有機樹脂粒子又は溶剤不溶性無機粒子である、請求項1~7のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  9. 前記粒子が溶剤不溶性難燃剤である、請求項1~8のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  10. 前記離型フィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力が、前記キャリアフィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力よりも小さい、請求項1~9のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  11. 前記離型フィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力が0.1~15g/cmであり、
    前記キャリアフィルムと前記絶縁樹脂層との間の剥離力が0.5~25g/cmである、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  12. さらに、前記シールド層の前記絶縁樹脂層とは反対側の表面に、絶縁性接着剤又は導電性接着剤を積層して絶縁性接着剤層又は導電性接着剤層を形成する、請求項1~11のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  13. 前記金属が、金、銀、銅、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~12のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
  14. 絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に隣接し、金属蒸着膜からなるシールド層と、前記シールド層の前記絶縁樹脂層とは反対側に設けられた導電性接着剤層と、を備える電磁波シールドフィルムであって、
    前記絶縁樹脂層は樹脂及び粒子を含み、
    前記絶縁樹脂層の前記シールド層とは反対側の表面の光沢度が20%以下であり、
    前記絶縁樹脂層の前記シールド層とは反対側の表面における表面粗さRzが0.01~1μmであり、
    前記絶縁樹脂層において、前記粒子の平均粒子径と前記樹脂の厚みの比〔粒子の平均粒子径/樹脂の厚み〕が1.1~2.5である、
    電磁波シールドフィルム。
    ここで、表面粗さRzは、JIS B 0601:2013に規定する最大高さRzである。
  15. 前記絶縁樹脂層の前記シールド層の表面のメチルエチルケトンに対する接触角が20°以下である、請求項14に記載の電磁波シールドフィルム。
  16. 記粒子の平均粒子径が1~20μmである、請求項14又は15に記載の電磁波シールドフィルム。
  17. 前記粒子が溶剤不溶性有機樹脂粒子又は溶剤不溶性無機粒子である、請求項14~16のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
  18. 前記粒子が溶剤不溶性難燃剤である、請求項14~17のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
  19. 前記金属蒸着膜が、金、銀、銅、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種を蒸着した膜である、請求項14~18のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルム。
  20. 基板の少なくとも一方の面に回路が設けられた回路基板本体と、
    前記一方の面に接して配置された絶縁フィルムと、
    前記絶縁フィルムの前記回路基板本体とは反対側に隣接する請求項14~19のいずれか1項に記載の電磁波シールドフィルムと、を備え、
    前記電磁波シールドフィルムにおける前記導電性接着剤層が、前記絶縁フィルムに接着している、回路基板。
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