JP6820782B2 - キャリアフィルムおよびその製造方法、ならびに電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板 - Google Patents

キャリアフィルムおよびその製造方法、ならびに電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、電磁波シールドフィルム用キャリアフィルムおよびその製造方法、ならびに電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルムが設けられたプリント配線板に関する。
フレキシブルプリント配線板から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽するために、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する、金属薄膜層および導電性接着剤層から構成される導電層とからなる電磁波シールドフィルムを、絶縁フィルム(カバーレイフィルム)を介してフレキシブルプリント配線板の表面に設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
電磁波シールドフィルムは、例えば、キャリアフィルムの片面に、熱硬化性樹脂と硬化剤と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させて絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層の表面に導電層を設けることによって製造される。
キャリアフィルムは、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルムを、導電性接着剤層が絶縁フィルムに接するように貼り付けた後、絶縁樹脂層から剥離される。
特開2016−086120号公報
しかし、キャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面は、キャリアフィルムの表面の形状が転写されて平滑であり、鏡面光沢度が高い。電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板の最表面となる絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度が高い場合、以下のような不具合がある。
・絶縁樹脂層の表面に印刷を行った場合、光の反射によって印刷された文字や絵柄の視認性が悪くなる。
・光学センサ(カメラモジュールのCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)等の周辺にある絶縁樹脂層からの光の反射によって光学センサ等が影響を受けるおそれがある。
・絶縁樹脂層の表面に生じた傷等が目立ちやすい。
本発明は、キャリアフィルムの第1の主表面に形成される、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層の表面における光の反射を抑えることができるキャリアフィルムおよびその製造方法、ならびにキャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられた電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>絶縁樹脂層と、導電層と、前記絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられるキャリアフィルムであり;キャリアフィルム本体と、前記キャリアフィルム本体の第1の主表面に形成された粘着剤層とを有し;前記粘着剤層が、粘着剤および粒子を含み;前記キャリアフィルム本体の第1の主表面に相対する第2の主表面が粗面化されている、キャリアフィルム。
<2>前記キャリアフィルム本体の第2の主表面が、さらに離型処理されている、前記<1>のキャリアフィルム。
<3>前記粘着剤が、硬化性樹脂と硬化剤との反応物である、前記<1>または<2>のキャリアフィルム。
<4>前記硬化性樹脂が、反応性官能基を有するアクリル樹脂である、前記<3>のキャリアフィルム。
<5>前記硬化剤が、イソシアネート基を有する化合物である、前記<3>または<4>のキャリアフィルム。
<6>前記キャリアフィルム本体の第2の主表面の鏡面光沢度が、5%以上60%以下である、前記<1>〜<5>のいずれかのキャリアフィルム。
<7>前記キャリアフィルム本体の第2の主表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以上3μm以下である、前記<1>〜<6>のいずれかのキャリアフィルム。
<8>前記粒子の平均粒子径が、3μm以上10μm以下であり、前記粒子の変動係数が、1%以上50%以下である、前記<1>〜<7>のいずれかのキャリアフィルム。
<9>前記粘着剤層の表面の鏡面光沢度が、5%以上60%以下である、前記<1>〜<8>のいずれかのキャリアフィルム。
<10>前記<1>〜<9>のいずれかのキャリアフィルムを製造する方法であり;第2の主表面が粗面化された前記キャリアフィルム本体の第1の主表面に前記粘着剤層を形成してキャリアフィルムとし;前記キャリアフィルムを、前記粘着剤層の表面と前記キャリアフィルム本体の第2の主表面とが接するようにロール状に巻き取る、キャリアフィルムの製造方法。
<11>絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し;前記キャリアフィルムが、前記<1>〜<9>のいずれかのキャリアフィルムである、電磁波シールドフィルム。
<12>前記キャリアフィルムを剥離した後の前記絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度が、5%以上60%以下である、前記<11>の電磁波シールドフィルム。
<13>前記導電層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する離型フィルムをさらに有する、前記<11>または<12>の電磁波シールドフィルム。
<14>基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と;前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと;前記導電層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記導電層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された前記<11>または<12>の電磁波シールドフィルムとを有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
本発明のキャリアフィルムは、その第1の主表面に形成される、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層の表面における光の反射を抑えることができる。
本発明の電磁波シールドフィルムは、キャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられる。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、キャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられる。
本発明のキャリアフィルムの一実施形態を示す断面図である。 図1のキャリアフィルムの製造工程を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの一実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。 図3の電磁波シールドフィルムの製造工程を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。 図7の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板からキャリアフィルムを剥離した状態を示す断面図である。 図7および図8の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造工程を示す断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×10Ω以上である導電性接着剤層を意味する。
算術平均粗さRaは、試験片についてレーザー顕微鏡を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線から、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づいて求めた値である。
鏡面光沢度は、JIS Z 8741:1997(対応国際規格ISO 2813:1994,ISO 7668:1986)に準拠し、入射角/受光角が60°/60°の条件で測定された値である。
粒子の平均粒子径は、粒子の顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、それぞれの粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の粒子の粒子径を算術平均して得た値である。導電性粒子の平均粒子径も同様である。
粒子の変動係数は、粒子の顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、30個の粒子の粒子径について標準偏差σおよび平均粒子径Dを求め、下記式から算出したCV値(%)である。
CV=σ/D×100
フィルム(キャリアフィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(粘着剤層、絶縁樹脂層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、デジタル測長機(測定子:3mmφ)を用いて20箇所の厚さを測定し、平均した値である。
表面抵抗は、石英ガラス上に金を蒸着して形成した、2本の薄膜金属電極(長さ10mm、幅5mm、電極間距離10mm)を用い、この電極上に被測定物を置き、被測定物上から、被測定物の10mm×20mmの領域を0.049Nの荷重で押し付け、1mA以下の測定電流で測定される電極間の抵抗である。
図1〜図9における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
<キャリアフィルム>
本発明のキャリアフィルムは、絶縁樹脂層と、導電層と、絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられる。キャリアフィルムは、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層や導電層を形成する際の支持体となるものである。
図1は、本発明のキャリアフィルムの一実施形態を示す断面図である。
キャリアフィルム30は、キャリアフィルム本体32と、キャリアフィルム本体32の第1の主表面に設けられた粘着剤層34とを有する。
粘着剤層34は、粘着剤34aおよび粒子34bを含み、粒子34bによる凹凸を表面に有する。
キャリアフィルム30においては、粘着剤層34の表面の凹凸を維持するために、キャリアフィルム本体32の第1の主表面に相対する第2の主表面が粗面化されている。キャリアフィルム本体32の第2の主表面を粗面化することによって粘着剤層34の表面の凹凸が維持される理由については、後述する作用効果にて説明する。
キャリアフィルム本体32の第2の主表面の鏡面光沢度は、5%以上60%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、5%以上40%以下がさらに好ましい。キャリアフィルム本体32の第2の主表面の鏡面光沢度が前記範囲の下限値以上であれば、技術的に製造しやすい。キャリアフィルム本体32の第2の主表面の鏡面光沢度が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム本体32の第2の主表面が十分に粗面化されており、その結果、粘着剤層34の表面の凹凸が十分に維持される。
キャリアフィルム本体32の第2の主表面の算術平均粗さRaは、0.05μm以上3μm以下が好ましく、0.1μm以上2μm以下がより好ましく、0.2μm以上1μm以下がさらに好ましい。キャリアフィルム本体32の第2の主表面の算術平均粗さRaが前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム本体32の第2の主表面が十分に粗面化されており、その結果、粘着剤層34の表面の凹凸が十分に維持される。キャリアフィルム本体32の第2の主表面の算術平均粗さRaが前記範囲の上限値以下であれば、その後形成される絶縁樹脂層の絶縁性を保持できる。
キャリアフィルム本体32の第2の主表面は、キャリアフィルム30がロール状に巻き取られた際に接することになる粘着剤層34との剥離性を高めるために、さらに離型処理されていることが好ましい。離型処理は、キャリアフィルム本体32の第2の主表面に離型剤を塗布することによって行われる。離型剤としては、公知の離型剤を用いればよいが、電磁波シールドフィルムは電子部品に搭載されることから、低分子シロキサン汚染を避けるために非シリコーン系の離型剤を用いることが望ましい。
キャリアフィルム本体32の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す。)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられる。樹脂材料としては、電磁波シールドフィルム1を製造する際の耐熱性(寸法安定性)および価格の点から、PETが好ましい。
キャリアフィルム本体32は、着色剤(顔料、染料等)およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層と明確に区別でき、熱プレスした後にキャリアフィルム30の剥がし残しに気が付きやすい点から、絶縁樹脂層とは異なる色のものが好ましく、白色顔料、フィラー、または白色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
粘着剤層34に含まれる粒子34bやキャリアフィルム本体32の第2の主表面の粗面化による光の散乱によって粘着剤層34が十分に白色等を呈している場合、キャリアフィルム本体32は、着色剤およびフィラーを含むことなく透明であってもよい。キャリアフィルム本体32が着色剤およびフィラーを含まなければ、キャリアフィルム30を安価に製造できる。
キャリアフィルム本体32の厚さは、3μm以上75μm以下が好ましく、12μm以上50μm以下がより好ましい。キャリアフィルム本体32の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルムのハンドリング性が良好となる。キャリアフィルム本体32の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
粘着剤層34は、例えば、キャリアフィルム本体32の表面に粘着剤34aおよび粒子34bを含む粘着剤組成物を塗布して形成される。キャリアフィルム30が粘着剤層34を有することによって、電磁波シールドフィルムにおいて離型フィルムを導電性接着剤層から剥離する際や電磁波シールドフィルムをプリント配線板等に熱プレスによって貼り付ける際に、キャリアフィルム30が絶縁樹脂層から剥離することが抑えられ、キャリアフィルム30が保護フィルムとしての役割を十分に果たすことができる。
粘着剤34aは、熱プレス前にはキャリアフィルム30が絶縁樹脂層から容易に剥離することなく、熱プレス後にはキャリアフィルム30を絶縁樹脂層から剥離できる程度の適度な粘着性を粘着剤層34に付与するとともに、粒子34bが粘着剤層34から脱落することを抑えるものである。
粘着剤34aとしては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
粘着剤34aとしては、粒子34bの粘着剤34aへの沈み込みを抑えることによって粘着剤層34の表面の粒子34bによる凹凸を十分に維持できる点から、硬化性樹脂と硬化剤との反応物が好ましい。
硬化性樹脂としては、反応性官能基を有するアクリル樹脂、反応性官能基を有するウレタン樹脂、反応性官能基を有するポリエステル樹脂等が挙げられ、コスト、粘着性のコントロールの容易さの点から、反応性官能基を有するアクリル樹脂が好ましい。反応性官能基は、硬化剤と反応し得る基であり、硬化剤がイソシアネート基を有する化合物である場合、例えば水酸基、カルボキシ基である。
硬化剤としては、イソシアネート基、グリシジル基、オキセタン基、アジリジン基、またはオキサゾリン基を有する化合物等が挙げられ、保存性と反応性の両立が取りやすく、製品種が多く、コスト的に有利の点から、イソシアネート基を有する化合物が好ましい。イソシアネート基を有する化合物としては、硬化剤として公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
硬化後の粘着剤34aのガラス転移温度は、−100〜60℃が好ましく、−70〜40℃がより好ましい。
粒子34bは、粘着剤層34の表面に凹凸を付与するものである。
粒子34bとしては、無機粒子、ポリマー粒子等が挙げられる。無機粒子としては、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子等が挙げられる。ポリマー粒子としては、アクリル粒子、メラミン粒子等が挙げられる。粒子34bとしては、粘着剤34aになじみやすく、均一な凹凸を生み出す点から、シリカ粒子およびアクリル粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
粒子34bは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒子34bの平均粒子径は、3μm以上10μm以下が好ましく、3.5μm以上8μm以下がより好ましく、4μm以上7μm以下がさらに好ましい。粒子34bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粘着剤34aの膜厚と同程度なため、粘着剤層34に粒子34bの凹凸が埋もれてしまうことを防ぐことができる。粒子34bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、粒子34bが粘着剤層34から脱離することがない。
粒子34bの変動係数は、1%以上50%以下が好ましく、3%以上30%以下がより好ましく、5%以上20%以下がさらに好ましい。粒子34bの変動係数が前記範囲の下限値以上であれば、コストがあまり高くならない。粒子34bの変動係数が前記範囲の上限値以下であれば、粒子34bが粘着剤層34に埋もれたり、この上の絶縁樹脂層の膜厚を部分的に極端に薄くしたり、突き破ったりする粒子の混入がない。
粒子34bの添加量は、粘着剤34aの固形分100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。粒子34bの添加量が前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が絶縁樹脂層10の表面に十分に転写される。その結果、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面における光の反射が十分に抑えられる。粒子34bの添加量が前記範囲の上限値以下であれば、粒子34bが粘着剤34aの粘着性を阻害せず、粘着剤層34が適度な粘着性を有する。
粘着剤層34の表面の鏡面光沢度は、5%以上60%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、5%以上40%以下がさらに好ましい。粘着剤層34の表面の鏡面光沢度が前記範囲の下限値以上であれば、粘着剤34aの性能を損なわない程度の粒子34bの添加量で粘着剤層34を形成できる。粘着剤層34の表面の鏡面光沢度が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層の表面に十分に転写される。その結果、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が十分に抑えられる。
粘着剤層34の厚さは、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上8μm以下がより好ましく、2μm以上5μm以下がさらに好ましい。粘着剤層34の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、粒子34bが粘着剤層34から脱離することを防ぐとともに、作業性に必要な粘着力を保つことができる。粘着剤層34の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、粒子34bが粘着剤34aに埋もれず均一な凹凸が得られるとともに、軽剥離な粘着剤層34を得ることができる。
キャリアフィルム30の厚さは、25μm以上125μm以下が好ましく、38μm以上100μm以下がより好ましい。キャリアフィルム30の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。キャリアフィルム30の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
(キャリアフィルムの製造方法)
キャリアフィルム30は、例えば、図2に示すように、キャリアフィルム本体32の第2の主表面を粗面化し、キャリアフィルム本体32の第1の主表面に粘着剤層34を形成してキャリアフィルム30とし、キャリアフィルム30を、粘着剤層34の表面とキャリアフィルム本体32の第2の主表面とが接するようにロール状に巻き取ることによって製造される。
キャリアフィルム本体32の第2の主表面を粗面化する方法としては、キャリアフィルム本体32の第2の主表面に砥粒を吹き付ける方法(ブラスト処理)、キャリアフィルム本体32の第2の主表面にエンボスロールの凹凸を転写する方法(エンボス処理)、キャリアフィルム本体32に粒子を含ませる方法等が挙げられる。
粘着剤層34は、例えば、キャリアフィルム本体32の表面に粘着剤34aおよび粒子34bを含む粘着剤組成物を塗布し、乾燥することによって形成される。
ロール状に巻き取き取られたキャリアフィルム30は、キャリアフィルム本体32の第1の主表面に塗布された未硬化の粘着剤34aを硬化させて粘着剤層34の形成を完了させるために、未硬化の粘着剤34aの硬化温度の条件下にしばらく放置される。
(作用効果)
以上説明したキャリアフィルム30にあっては、粘着剤層34が粘着剤34aおよび粒子34bを含むため、粘着剤層34の表面に粒子34bによる凹凸を有する。そのため、粘着剤層34の表面(キャリアフィルム30の第1の主表面)に形成される、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層の表面に、粘着剤層34の表面の凹凸が転写される。そのため、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度が低く抑えられる。その結果、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が抑えられる。
また、キャリアフィルム30においては、キャリアフィルム本体32の第1の主表面に相対する第2の主表面が、粗面化されている。キャリアフィルム本体32の第2の主表面が粗面化されていることによって、下記の理由から、粒子34bによって形成された粘着剤層34の表面の凹凸が維持される。
上述した製造方法によって得られたキャリアフィルム30は、ロール状に巻き取き取られた後、未硬化の粘着剤34aの硬化温度の条件下にしばらく放置される。ここで、キャリアフィルム本体32の第1の主表面に形成された粘着剤層34は、ロール状に巻き取られて1周してきたキャリアフィルム30のキャリアフィルム本体32の第2の主表面に接しており、キャリアフィルム本体32によって押さえ込まれている。このような状態にて未硬化の粘着剤34aを硬化温度で加熱した場合、もし、キャリアフィルム本体32の第2の主表面が平坦であれば、粘着剤層34の粒子34bが、未硬化の粘着剤34aに沈み込み、粘着剤層34の表面が平滑化されてしまう。本発明においては、キャリアフィルム本体32の第2の主表面を粗面化することによって、粘着剤層34の表面に重なったキャリアフィルム本体32による、粘着剤層34の粒子34bの未硬化の粘着剤34aへの沈み込みを抑えている。その結果、未硬化の粘着剤34aを硬化させる間も、粒子34bによって形成された粘着剤層34の表面の凹凸を維持している。
<電磁波シールドフィルム>
図3は、本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、図4は、本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図であり、図5は、本発明の電磁波シールドフィルムの第3の実施形態を示す断面図である。
第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と;絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接するキャリアフィルム30と;導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する離型フィルム40とを有する。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有する例である。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、離型フィルム40に隣接する等方導電性接着剤層26とを有する例である。
第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、等方導電性接着剤層26のみからなる例である。
(絶縁樹脂層)
絶縁樹脂層10は、金属薄膜層22を形成する際のベース(下地)となる。また、絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着し、キャリアフィルム30を剥離した後には、金属薄膜層22の保護層となる。
絶縁樹脂層10としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。ハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
絶縁樹脂層10は、プリント配線板のプリント回路を隠蔽したり、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に意匠性を付与したりするために、着色剤(顔料、染料等)およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、耐候性、耐熱性、隠蔽性の点から、顔料またはフィラーが好ましく、プリント回路の隠蔽性、意匠性の点から、黒色顔料、または黒色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
絶縁樹脂層10は、難燃剤を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10の表面は、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が転写されて形成された凹凸を有するため、表面の鏡面光沢度が低く抑えられる。
キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度は、5%以上60%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、5%以上40%以下がさらに好ましい。絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度が前記範囲の下限値以上であれば、粘着剤34aの性能を損なわない程度の粒子34bの添加量で粘着剤層34を形成できる。絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面における光の反射が十分に抑えられる。
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。絶縁樹脂層10の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁樹脂層10の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、絶縁樹脂層10が保護層としての機能を十分に発揮できる。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
(導電層)
導電層20としては、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、導電層20において絶縁樹脂層10とは反対側の最表層となる導電性接着剤層(異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26)とを有する導電層(I);または等方導電性接着剤層26のみからなる導電層(II)が挙げられる。導電層20としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点から、導電層(I)が好ましい。
(金属薄膜層)
金属薄膜層22は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層22は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
金属薄膜層22としては、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)またはCVDによって形成された蒸着膜、めっきによって形成されためっき膜、金属箔等が挙げられる。面方向の導電性に優れる点から、蒸着膜、めっき膜が好ましく、厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスにて簡便に形成できる点から、蒸着膜がより好ましく、物理蒸着による蒸着膜がさらに好ましい。
金属薄膜層22を構成する金属としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられる。電気伝導度の点からは、銅が好ましく、化学的安定性の点からは、導電性セラミックスが好ましい。
金属薄膜層22の表面抵抗は、0.001Ω以上1Ω以下が好ましく、0.001Ω以上0.5Ω以下がより好ましい。金属薄膜層22の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、金属薄膜層22を十分に薄くできる。金属薄膜層22の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
金属薄膜層22の厚さは、0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.05μm以上1μm以下がより好ましい。金属薄膜層22の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが0.05μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の生産性、可とう性がよくなる。
(導電性接着剤層)
導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。導電層(I)における導電性接着剤層としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。
導電性接着剤層としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。
熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。
熱硬化性接着剤としては、接着性を有する熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むものが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、熱硬化性接着剤は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
導電性粒子としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子としては、導電性接着剤層が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失を低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、2μm以上26μm以下が好ましく、4μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上10体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×10Ω以上1×1016Ω以下が好ましく、1×10Ω以上1×1014Ω以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω以上2.0Ω以下が好ましく、0.1Ω以上1.0Ω以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
異方導電性接着剤層24の厚さは、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましく、7μm以上17μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
(キャリアフィルム)
キャリアフィルム30は、絶縁樹脂層10や導電層20を形成する際の支持体となるものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。キャリアフィルム30は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付けた後には、絶縁樹脂層10から剥離される。
キャリアフィルム30としては、本発明のキャリアフィルムを用いる。
キャリアフィルム30は、キャリアフィルム30の粘着剤層34と絶縁樹脂層10とが接するように設けられる。
(離型フィルム)
離型フィルム40は、導電性接着剤層を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層から剥離される。
離型フィルム40は、例えば、離型フィルム本体42と、離型フィルム本体42の導電性接着剤層側の表面に設けられた離型剤層44とを有する。
離型フィルム本体42の樹脂材料としては、キャリアフィルム本体32の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
離型フィルム本体42は、着色剤、フィラー等を含んでいてもよい。
離型フィルム本体42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
離型剤層44は、離型フィルム本体42の表面を離型剤で処理して形成される。離型フィルム40が離型剤層44を有することによって、離型フィルム40を導電性接着剤層から剥離する際に、離型フィルム40を剥離しやすく、導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
離型剤層44の厚さは、0.05μm以上30μm以下が好ましく、0.1μm以上20μm以下がより好ましい。離型剤層44の厚さが前記範囲内であれば、離型フィルム40をさらに剥離しやすくなる。
(電磁波シールドフィルムの厚さ)
電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く。)は、5μm以上50μm以下が好ましく、8μm以上30μm以下がより好ましい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く。)が前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム30を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く。)が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)〜(c)を有する方法(α)によって製造できる。
工程(a):キャリアフィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁樹脂層の表面に導電層を形成する工程。
工程(c):工程(b)の後、導電層の表面に離型フィルムを貼り付ける工程。
また、本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a’)、(b’1)、(b’2)、(c’)を有する方法(β)によって製造できる。
工程(a’):キャリアフィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b’1):絶縁樹脂層の表面に金属薄膜層を形成することによって、キャリアフィルムと、絶縁樹脂層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
工程(b’2):離型フィルムの片面に導電性接着剤層を形成することによって、離型フィルムと、導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
工程(c’):第1の積層体と第2の積層体とを、金属薄膜層と導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
以下、図3に示す電磁波シールドフィルム1を方法(α)によって製造する方法について、図6を参照しながら説明する。
工程(a):
図6に示すように、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面に絶縁樹脂層10を形成する。
絶縁樹脂層10の形成方法としては、リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む絶縁樹脂層形成用塗料を塗布し、半硬化または硬化させる方法が好ましい。
絶縁樹脂層形成用塗料は、必要に応じて溶剤、着色剤、フィラー、難燃剤、または他の成分を含んでいてもよい。
工程(b):
図6に示すように、絶縁樹脂層10の表面に金属薄膜層22を形成し(工程(b1))、金属薄膜層22の表面に異方導電性接着剤層24を形成する(工程(b2))。
金属薄膜層22の形成方法としては、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、めっきによってめっき膜を形成する方法、金属箔を貼り付ける方法等が挙げられる。面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、またはめっきによってめっき膜を形成する方法が好ましく、金属薄膜層22の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成でき、ドライプロセスにて簡便に金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法がより好ましく、物理蒸着によって蒸着膜を形成する方法がさらに好ましい。
異方導電性接着剤層24の形成方法としては、金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。
熱硬化性導電性接着剤組成物としては、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含むものを用いる。
工程(c):
図6に示すように、異方導電性接着剤層24の表面に離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得る。
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム1にあっては、キャリアフィルム30が、絶縁樹脂層10に接する粘着剤層34を有し、かつ粘着剤層34が、粘着剤34aおよび粒子34bを含むため、絶縁樹脂層10が、粘着剤層34の表面の凹凸が転写されて形成された凹凸を有する。そのため、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度が低く抑えられる。その結果、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面における光の反射が抑えられる。そして、絶縁樹脂層10の表面における光の反射が抑えられることによって、下記の利点が得られる。
・絶縁樹脂層10の表面に印刷を行った場合、文字や絵柄の視認性がよい。
・光学センサ等の周辺において絶縁樹脂層10からの光の反射が抑えられ、光学センサ等が光の反射の影響を受けにくい。
・絶縁樹脂層の表面に生じた傷等が目立ちにくい。
(他の実施形態)
本発明の電磁波シールドフィルムは、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する導電層と、絶縁樹脂層の導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し;キャリアフィルムが、本発明のキャリアフィルムであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、離型フィルムは、導電性接着剤層の表面のタック性が少ない場合は、離型剤層の代わりに粘着剤層を有していてもよい。または、離型フィルムを省略しても構わない。
離型フィルムは、離型フィルム本体の離型性が高い場合は、離型剤層を有さず、離型フィルム本体のみからなるものであってもよい。
絶縁樹脂層は、2層以上であってもよい。
<電磁波シールドフィルム付きプリント配線板>
図7は、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、離型フィルム40は、異方導電性接着剤層24から剥離されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においてキャリアフィルム30が不要になった際には、図8に示すように、キャリアフィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。キャリアフィルム30を剥離した後、絶縁樹脂層10の表面には、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が転写されて形成された凹凸が露出する。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22が、絶縁フィルム60および異方導電性接着剤層24を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と金属薄膜層22との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、30μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上200μm以下がより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
(フレキシブルプリント配線板)
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
(ベースフィルム)
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、6μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
(プリント回路)
プリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われていない。
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム60(カバーレイフィルム)は、絶縁フィルム本体(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
絶縁フィルム本体の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω以上が好ましい。絶縁フィルム本体の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω以下が好ましい。
絶縁フィルム本体としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
絶縁フィルム本体の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔62の開口部の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、例えば、下記の工程(d)〜(g)を有する方法によって製造できる。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):工程(d)の後、絶縁フィルム付きプリント配線板と、離型フィルムを剥離した本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層を接着し、かつ導電性接着剤層を、貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(f):工程(e)の後、キャリアフィルムが不要になった際にキャリアフィルムを剥離する工程。
工程(g):必要に応じて、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層を本硬化させる工程。
以下、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造する方法について、図9を参照しながら説明する。
(工程(d))
図9に示すように、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ね、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(g)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
(工程(e))
図9に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着され、かつ異方導電性接着剤層24が、貫通孔62を通ってプリント回路54に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。
異方導電性接着剤層24の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下であり、30秒以上30分以下がさらに好ましい。熱プレスの時間が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、絶縁樹脂層10が十分に硬化し、絶縁樹脂層10とキャリアフィルム30との界面における剥離力が十分に低下する。熱プレスの時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
熱プレスの温度(プレス機の熱盤の温度)は、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上175℃以下がより好ましい。熱プレスの温度が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。また、絶縁樹脂層10が十分に硬化し、絶縁樹脂層10とキャリアフィルム30との界面における剥離力が十分に低下する。熱プレスの温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
熱プレスの圧力は、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、1MPa以上16MPa以下がより好ましい。熱プレスの圧力が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの圧力が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の破損等を抑えることができる。
(工程(f))
図9に示すように、キャリアフィルムが不要になった際に、絶縁樹脂層10からキャリアフィルム30を剥離する。
(工程(g))
工程(e)における熱プレスの時間が20秒以上10分以下の短時間である場合、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層24の本硬化を行うことが好ましい。
異方導電性接着剤層24の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15分以上120分以下であり、30分以上60分以下が好ましい。加熱時間が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24を十分に硬化できる。加熱時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下が好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2にあっては、電磁波シールドフィルム1を用いているため、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面における光の反射が抑えられる。
(他の実施形態)
なお、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、プリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、導電層が絶縁フィルムに隣接し、かつ導電層が絶縁フィルムに形成された貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続された本発明の電磁波シールドフィルムを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1等を用いてもよい。
以下、実施例を示す。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
(厚さ)
粘着剤層および絶縁樹脂層の厚さは、高精度デジタル測長機(ミツトヨ社製、ライトマチック(登録商標)VL−50−B、測定子:3mmφ)を用いて20箇所の厚さを測定し、平均して求めた。
(算術平均粗さRa)
キャリアフィルムの粘着剤層の表面の算術平均粗さRaは、3D測定レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製、LEXT OLS4000)を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線からJIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づいて求めた。
(鏡面光沢度)
キャリアフィルムのキャリアフィルム本体の第2の主表面、粘着剤層の表面、およびキャリアフィルムを剥離した後の絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度は、ハンディ光沢計(堀場製作所社製、グロスチェッカIG−320)を用いて、JIS Z 8741:1997(対応国際規格ISO 2813:1994,ISO 7668:1986)に準拠し、入射角/受光角が60°/60°の条件で測定した。
(実施例1)
温度計、撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)0.05モル、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)0.85モル、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.06モル、アクリル酸(AA)0.04モル、酢酸エチル(EAc)2.3モルおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002モルを入れ、該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌下に窒素雰囲気中で、該反応容器の内容物温度を65℃に昇温させて6時間反応させ、さらに70℃に昇温させて2時間反応させた。反応終了後、得られたアクリル樹脂(ガラス転移温度:−60℃)を酢酸エチルで希釈して、固形分15質量%のアクリル樹脂溶液を得た。
アクリル樹脂溶液に、アクリル樹脂の固形分の100質量部に対して15質量部のシリカ粒子(平均粒子径:3.5μm、変動係数:15%)を添加し、さらにアクリル樹脂の水酸基価および酸価の合計に対して当量×1.05のトリレンジイソシアネートを添加して粘着剤組成物を調製した。
第2の主表面が粗面化されたロール状の透明PETフィルム(第2の主表面の鏡面光沢度:20%、第2の主表面の算術平均粗さRa:0.35μm)を用意した。PETフィルムの第2の主表面を非シリコーン系離型剤(アシオ産業社製、アシオレジン(登録商標))にて離型処理した。ロールから巻き出したPETフィルムの第1の主表面に粘着剤組成物をグラビアコータを用いて21g/m(ウェット膜厚:20μm)で塗布し、100℃で1分間乾燥し、ロール状に巻き取った。ロール状のPETフィルムを50℃の恒温槽内で24時間放置し、キャリアフィルムを得た。キャリアフィルムの粘着剤層の厚さは3.0μmであり、粘着剤層の表面の鏡面光沢度は20%であった。
絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(三菱化学社製、jERキュア(登録商標)ST12)の40質量部、カーボンブラック(三菱化学社製、MA100)の5質量部を溶剤(メチルエチルケトン)で固形分40質量%に調整した塗料を用意した。
キャリアフィルムの粘着剤層の表面に絶縁樹脂層形成用塗料をウェット膜厚20μmで塗布し、120℃で5分間乾燥し、厚さ8μmの絶縁樹脂層を形成した。
絶縁樹脂層からキャリアフィルムを剥離した。絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度は20%であった。
(実施例2)
温度計、撹拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた反応器内に、n−ブチルアクリレート(BA)0.7モル、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)0.1モル、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)0.1モル、アクリル酸(AA)0.1モル、酢酸エチル(EAc)2.3モルおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.002モルを入れ、該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、撹拌下に窒素雰囲気中で、該反応容器の内容物温度を65℃に昇温させて6時間反応させ、さらに70℃に昇温させて2時間反応させた。反応終了後、得られたアクリル樹脂(ガラス転移温度:−45℃)を酢酸エチルで希釈して、固形分15質量%のアクリル樹脂溶液を得た。
アクリル樹脂溶液に、アクリル樹脂の固形分の100質量部に対して10質量部の架橋アクリル粒子(平均粒子径:5μm、変動係数:10%)を添加し、さらにアクリル樹脂の水酸基価および酸価の合計に対して当量×1.05のトリレンジイソシアネートを添加して粘着剤組成物を調製した。
第2の主表面が粗面化されたロール状の白色PETフィルム(第2の主表面の鏡面光沢度:30%、第2の主表面の算術平均粗さRa:0.26μm)を用意した。ロールから巻き出したPETフィルムの第1の主表面に粘着剤組成物をグラビアコータを用いて25.3g/m(ウェット膜厚:24μm)で塗布し、100℃で1分間乾燥し、ロール状に巻き取った。ロール状のPETフィルムを50℃の恒温槽内で24時間放置し、キャリアフィルムを得た。キャリアフィルムの粘着剤層の厚さは3.6μmであり、粘着剤層の表面の鏡面光沢度は30%であった。
キャリアフィルムの粘着剤層の表面に実施例1と同じ絶縁樹脂層形成用塗料をウェット膜厚20μmで塗布し、120℃で5分間乾燥し、厚さ8μmの絶縁樹脂層を形成した。
絶縁樹脂層からキャリアフィルムを剥離した。絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度は30%であった。
(比較例1)
第2の主表面が粗面化されていないロール状の透明PETフィルム(第2の主表面の鏡面光沢度:94%、第2の主表面の算術平均粗さRa:0.04μm)を用意した。ロールから巻き出したPETフィルムの第1の主表面に実施例2と同じ粘着剤組成物をグラビアコータを用いて25.3g/m(ウェット膜厚:24μm)で塗布し、100℃で1分間乾燥し、ロール状に巻き取った。ロール状のPETフィルムを50℃の恒温槽内で24時間放置し、キャリアフィルムを得た。キャリアフィルムの粘着剤層の厚さは3.6μmであり、粘着剤層の表面の鏡面光沢度は105%であった。
キャリアフィルムの粘着剤層の表面に実施例1と同じ絶縁樹脂層形成用塗料をウェット膜厚20μmで塗布し、120℃で5分間乾燥し、厚さ8μmの絶縁樹脂層を形成した。
絶縁樹脂層からキャリアフィルムを剥離した。絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度は105%であった。
(比較例2)
第2の主表面が粗面化されたロール状の透明PETフィルム(第2の主表面の鏡面光沢度:20%、第2の主表面の算術平均粗さRa:0.35μm)を用意した。ロールから巻き出したPETフィルムの第1の主表面に実施例2で作製したアクリル樹脂溶液をグラビアコータを用いて25.3g/m(ウェット膜厚:24μm)で塗布し、100℃で1分間乾燥し、ロール状に巻き取った。ロール状のPETフィルムを50℃の恒温槽内で24時間放置し、キャリアフィルムを得た。キャリアフィルムの粘着剤層の厚さは3.6μmであり、粘着剤層の表面の鏡面光沢度は85%であった。
キャリアフィルムの粘着剤層の表面に実施例1と同じ絶縁樹脂層形成用塗料をウェット膜厚20μmで塗布し、120℃で5分間乾燥し、厚さ8μmの絶縁樹脂層を形成した。
絶縁樹脂層からキャリアフィルムを剥離した。絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度は83%であった。
本発明の電磁波シールドフィルムは、スマートフォン、携帯電話、光モジュール、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコン、医療器具等の電子機器用のフレキシブルプリント配線板における、電磁波シールド用部材として有用である。
1 電磁波シールドフィルム、
2 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板、
3 絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板、
10 絶縁樹脂層、
20 導電層、
22 金属薄膜層、
24 異方導電性接着剤層、
24a 熱硬化性接着剤、
24b 導電性粒子、
26 等方導電性接着剤層、
26a 熱硬化性接着剤、
26b 導電性粒子、
30 キャリアフィルム、
32 キャリアフィルム本体、
34 粘着剤層、
34a 粘着剤、
34b 粒子、
40 離型フィルム、
42 離型フィルム本体、
44 離型剤層、
50 フレキシブルプリント配線板、
52 ベースフィルム、
54 プリント回路、
60 絶縁フィルム、
62 貫通孔。

Claims (13)

  1. 絶縁樹脂層と、導電層と、前記絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられるキャリアフィルムであり、
    キャリアフィルム本体と、前記キャリアフィルム本体の第1の主表面に形成された粘着剤層とを有し、
    前記粘着剤層が、粘着剤および粒子を含み、
    前記キャリアフィルム本体の第1の主表面に相対する第2の主表面が粗面化され
    前記キャリアフィルム本体の第2の主表面の算術平均粗さRaが0.26〜3μmである、キャリアフィルム。
  2. 前記キャリアフィルム本体の第2の主表面が、さらに離型処理されている、請求項1に記載のキャリアフィルム。
  3. 前記粘着剤が、硬化性樹脂と硬化剤との反応物である、請求項1または2に記載のキャリアフィルム。
  4. 前記硬化性樹脂が、反応性官能基を有するアクリル樹脂である、請求項3に記載のキャリアフィルム。
  5. 前記硬化剤が、イソシアネート基を有する化合物である、請求項3または4に記載のキャリアフィルム。
  6. 前記キャリアフィルム本体の第2の主表面の鏡面光沢度が、5%以上60%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
  7. 前記粒子の平均粒子径が、3μm以上10μm以下であり、前記粒子の変動係数が、1%以上50%以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
  8. 前記粘着剤層の表面の鏡面光沢度が、5%以上60%以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリアフィルムを製造する方法であり、
    第2の主表面が粗面化された前記キャリアフィルム本体の第1の主表面に前記粘着剤層を形成してキャリアフィルムとし、
    前記キャリアフィルムを、前記粘着剤層の表面と前記キャリアフィルム本体の第2の主表面とが接するようにロール状に巻き取る、キャリアフィルムの製造方法。
  10. 絶縁樹脂層と、
    前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、
    前記絶縁樹脂層の前記導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し、
    前記キャリアフィルムが、請求項1〜のいずれか一項に記載のキャリアフィルムである、電磁波シールドフィルム。
  11. 前記キャリアフィルムを剥離した後の前記絶縁樹脂層の表面の鏡面光沢度が、5%以上60%以下である、請求項10に記載の電磁波シールドフィルム。
  12. 前記導電層の前記絶縁樹脂層とは反対側に隣接する離型フィルムをさらに有する、請求項10または11に記載の電磁波シールドフィルム。
  13. 基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、
    前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、
    前記導電層が前記絶縁フィルムに隣接し、かつ前記導電層が前記絶縁フィルムに形成された貫通孔を通って前記プリント回路に電気的に接続された請求項10または11に記載の電磁波シールドフィルムと
    を有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
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