JP2020080345A - 電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波遮蔽性および放熱性に優れた電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供する。【解決手段】電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー10bを含む放熱性絶縁樹脂層10と、金属薄膜層20と、導電性接着剤層(異方性導電性接着剤層24)とを順に有する電磁波シールドフィルム1、または電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、第1の金属薄膜層と、熱伝導性フィラーを含む放熱性接着剤層と、第2の金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する電磁波シールドフィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルムが設けられたプリント配線板に関する。
プリント配線板から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽するために、絶縁樹脂層と導電層とを有する電磁波シールドフィルムを、絶縁フィルム(カバーレイフィルム)を介してプリント配線板の表面に設けることがある(例えば、特許文献1参照)。導電層は、例えば、電磁波を遮蔽するための金属薄膜層と、金属薄膜層とプリント配線板のプリント回路とを電気的に接続するための導電性接着剤層とを有する。
特開2016−086120号公報
プリント配線板に搭載される電子部品における電子回路が高密度化、高周波化するにつれて電子部品からの発熱量が著しく増大してきている。非放熱性である絶縁樹脂層を有する電磁波シールドフィルムをプリント配線板の表面に設けると、プリント配線板からの放熱は困難となり、プリント配線板の著しい温度上昇は避けられない。また、電磁波シールドフィルムにおいては、導電層によって電磁波が反射されるとともに電磁波の一部は熱に変換される。電子部品の発熱や導電層の発熱によって、電磁波シールドフィルムの温度が上昇すると、電磁波シールドフィルムが劣化して電磁波遮蔽性が低下したり、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に熱がこもって電子部品に悪影響を及ぼしたりする。
本発明は、電磁波遮蔽性および放熱性に優れた電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する、電磁波シールドフィルム。
<2>前記放熱性絶縁樹脂層の熱伝導率が、0.5W/(m・K)以上である、前記<1>の電磁波シールドフィルム。
<3>前記放熱性絶縁樹脂層の厚さが、1μm以上30μm以下である、前記<1>または<2>の電磁波シールドフィルム。
<4>前記電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、結晶シリカおよび非結晶シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<1>〜<3>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<5>前記放熱性絶縁樹脂層の表面抵抗が、1×10Ω/sq.以上である、前記<1>〜<4>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<6>電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、第1の金属薄膜層と、熱伝導性フィラーを含む放熱性接着剤層と、第2の金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する、電磁波シールドフィルム。
<7>前記放熱性接着剤層の熱伝導率が、0.5W/(m・K)以上である、前記<6>の電磁波シールドフィルム。
<8>前記放熱性接着剤層の厚さが、1μm以上10μm以下である、前記<6>または<7>の電磁波シールドフィルム。
<9>前記放熱性絶縁樹脂層の熱伝導率が、0.5W/(m・K)以上である、前記<6>〜<8>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<10>前記放熱性絶縁樹脂層の厚さが、1μm以上30μm以下である、前記<6>〜<9>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<11>前記電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、結晶シリカおよび非結晶シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<6>〜<10>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<12>前記放熱性絶縁樹脂層の表面抵抗が、1×10Ω/sq.以上である、前記<6>〜<11>のいずれかの電磁波シールドフィルム。
<13>基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の面に隣接する絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムの前記プリント配線板とは反対側に隣接し、前記導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに接する前記<1>〜<12>のいずれかの電磁波シールドフィルムとを有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
本発明の電磁波シールドフィルムは、電磁波遮蔽性および放熱性に優れる。
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、電磁波シールドフィルムにおいて電磁波遮蔽性および放熱性に優れる。
本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの第3の実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルムの第4の実施形態を示す断面図である。 本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。 図5の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造工程を示す断面図である。 KEC法の測定システムの概略図である。 KEC法測定冶具の断面図である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×10Ω/sq.以上である導電性接着剤層を意味する。
放熱性絶縁樹脂層および放熱性接着剤層の熱伝導率は、JIS R 2616−2:2001(対応国際規格ISO 8894−1:1987)に準拠して測定した値である。
導電性粒子の平均粒子径は、粒子の顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、それぞれの粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の粒子の粒子径を算術平均して得た値である。熱伝導性フィラーの平均粒子径も同様である。
フィルム(キャリアフィルム、離型フィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(放熱性絶縁樹脂層、導電性接着剤層、放熱性接着剤層等)の厚さは、顕微鏡を用いて測定対象の断面を観察し、5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
金属薄膜層の厚さは、渦電流式膜厚計を用いて無作為に選ばれた5箇所の厚さを測定し、平均した値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出したひずみから算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
導電性粒子の10%圧縮強度は、微小圧縮試験機を用いた測定結果から、下記式(α)によって求める。
C(x)=2.48P/πd ・・・(α)
ただし、C(x)は10%圧縮強度(MPa)であり、Pは粒子径の10%変位時の試験力(N)であり、dは粒子径(mm)である。
表面抵抗は、三菱ケミカル社製の種々の抵抗率計のうち、10Ω/sq.未満の場合は商品名:ロレスタ(ロレスタGP、ASPプローブ)を用い、四端子法(JIS K 7194:1994およびJIS R 1637:1998に準拠する方法)で測定される表面抵抗率であり、10Ω/sq.以上の場合は商品名:ハイレスタ(ハイレスタUP、URSプローブ)を用い、二重リング法(JIS K 6911:2006に準拠する方法)で測定される表面抵抗率である。
図1〜図6における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
<電磁波シールドフィルム>
本発明の第1の態様は、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する電磁波シールドフィルム、または、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、第1の金属薄膜層と、熱伝導性フィラーを含む放熱性接着剤層と、第2の金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する電磁波シールドフィルムである。
図1は、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1を示す断面図である。図2は、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1を示す断面図である。図3は、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1を示す断面図である。図4は、第4の実施形態の電磁波シールドフィルム1を示す断面図である。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、放熱性絶縁樹脂層10と、放熱性絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層20と、金属薄膜層20に隣接する異方導電性接着剤層24と、放熱性絶縁樹脂層10の金属薄膜層20とは反対側に隣接するキャリアフィルム30と、異方導電性接着剤層24の金属薄膜層20とは反対側に隣接する離型フィルム40とを有する。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1における異方導電性接着剤層24が、等方導電性接着剤層26に置き換わったものである。
第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、放熱性絶縁樹脂層10と、放熱性絶縁樹脂層10に隣接する第1の金属薄膜層21と、第1の金属薄膜層21に隣接する放熱性接着剤層28と、放熱性接着剤層28に隣接する第2の金属薄膜層22と、第2の金属薄膜層22に隣接する異方導電性接着剤層24と、放熱性絶縁樹脂層10の第1の金属薄膜層21とは反対側に隣接するキャリアフィルム30と、異方導電性接着剤層24の第2の金属薄膜層22とは反対側に隣接する離型フィルム40とを有する。
第4の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1における異方導電性接着剤層24が、等方導電性接着剤層26に置き換わったものである。
以下、金属薄膜層20、第1の金属薄膜層21および第2の金属薄膜層22をまとめて「金属薄膜層」と記すことがある。また、異方導電性接着剤層24および等方導電性接着剤層26をまとめて「導電性接着剤層」と記すことがある。
電磁波シールドフィルム1としては、構造が単純であり、生産性がよい点からは、第1の実施形態または第2の実施形態が好ましい。
電磁波シールドフィルム1としては、電磁波遮蔽性等に優れる点からは、第3の実施形態、第4の実施形態、第5の実施形態または第6の実施形態が好ましい。2層の金属薄膜層を有する電磁波シールドフィルム1は、電磁波遮蔽性に優れる。また、2層の金属薄膜層を有する電磁波シールドフィルム1は、2層の金属薄膜の厚さの合計と同じ厚さの1層の金属薄膜を有する電磁波シールドフィルムと同等以上な電磁波遮蔽効果がありながら、より優れた可とう性、耐屈曲性を有する。2層の金属薄膜層を有する電磁波シールドフィルム1は、圧力により変形しやすいため、絶縁フィルムの貫通孔を介した導電性接着剤層とプリント回路との接続性に優れる。
電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く)は、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。キャリアフィルム30および離型フィルム40を含まない電磁波シールドフィルム1の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム30を剥離する際に破断しにくい。キャリアフィルム30および離型フィルム40を含まない電磁波シールドフィルム1の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
(放熱性絶縁樹脂層)
放熱性絶縁樹脂層10は、熱伝導性フィラーを含むことによって、放熱機能を発揮する。また、放熱性絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着し、キャリアフィルム30を剥離した後には、金属薄膜層20または第1の金属薄膜層21の保護層となる。
放熱性絶縁樹脂層10は、例えば、マトリックス樹脂10aと電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー10bとを含む。放熱性絶縁樹脂層10は、必要に応じて難燃剤、着色剤等を含んでいてもよい。放熱性絶縁樹脂層10は、導電タイプの熱伝導性フィラーを含まない。
放熱性絶縁樹脂層10としては、熱硬化性樹脂と硬化剤と熱伝導性フィラー10bとを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂と熱伝導性フィラー10bとを含む塗料を塗布し、乾燥させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂と熱伝導性フィラー10bとを含む組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤と熱伝導性フィラー10bとを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルホン、ポリフェニレンサルフィド、ポリフェニレンサルフィドサルホン、ポリフェニレンサルフィドケトン等が挙げられる。
熱伝導性フィラー10bは、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーである。
電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーとしては、酸化アルミニウム、窒化ホウ素(六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素等)、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素(結晶シリカ、非結晶シリカ等)、酸化亜鉛、酸化カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素等が挙げられる。
電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーとしては、熱伝導率が高い点から、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、結晶シリカおよび非結晶シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭化ケイ素および結晶シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
熱伝導性フィラー10bは、カップリング剤等で表面処理が施されていてもよい。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、 アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
熱伝導性フィラー10bの形状としては、球状、扁平状、鱗片状、針状、フレーク状等が挙げられる。
熱伝導性フィラー10bは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性フィラー10bの平均粒子径は、0.1μm以上20μm以下が好ましく、0.5μm以上10μm以下が好ましい。熱伝導性フィラー10bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、効率的な放熱が行われる。熱伝導性フィラー10bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、放熱性絶縁樹脂層10を薄くできる。
放熱性絶縁樹脂層10における熱伝導性フィラー10bの割合は、放熱性絶縁樹脂層10の100体積%のうち、10体積%以上90体積%以下が好ましく、20体積%以上80体積%以下がより好ましい。熱伝導性フィラー10bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、放熱性絶縁樹脂層10の熱伝導率を十分に高くできる。熱伝導性フィラー10bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
放熱性絶縁樹脂層10の熱伝導率は、0.5W/(m・K)以上が好ましく、1.0W/(m・K)以上がより好ましく、1.5W/(m・K)以上がさらに好ましく、2.0W/(m・K)以上が特に好ましい。放熱性絶縁樹脂層10の熱伝導率が前記範囲の下限値以上であれば、放熱機能を十分に発揮できる。放熱性絶縁樹脂層10の熱伝導率は高ければ高いほどよく上限は限定されない。
放熱性絶縁樹脂層10は、プリント配線板のプリント回路を隠蔽したり、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に意匠性を付与したりするために、着色剤(顔料、染料等)およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、耐候性、耐熱性、隠蔽性の点から、顔料またはフィラーが好ましく、プリント回路の隠蔽性、意匠性の点から、黒色顔料、または黒色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
放熱性絶縁樹脂層10は、難燃剤を含んでいてもよい。
放熱性絶縁樹脂層10は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
放熱性絶縁樹脂層10の表面抵抗は、1×10Ω/sq.以上が好ましく、1×10Ω/sq.以上がより好ましく、1×10Ω/sq.以上がさらに好ましい。放熱性絶縁樹脂層10の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、電気的絶縁性に優れる。放熱性絶縁樹脂層10の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω/sq.以下が好ましい。
放熱性絶縁樹脂層10の厚さは、1μm以上30μmが好ましく、5μm以上20μm以下がより好ましい。放熱性絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、放熱機能を十分に発揮できる。放熱性絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
(金属薄膜層)
金属薄膜層は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
金属薄膜層としては、物理蒸着(抵抗加熱蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)またはCVD(化学気相蒸着)によって形成された蒸着膜、めっきによって形成されためっき膜、金属箔等が挙げられる。
金属薄膜層を構成する金属としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられ、電気伝導度の点からは、金、銀または銅、アルミニウムが好ましい。
金属薄膜層のなかでも、電磁波遮蔽性が高く、しかも金属薄膜を容易に形成しやすいことから、金属蒸着層が好ましく、銀蒸着層または銅蒸着層がより好ましい。
金属薄膜層の表面抵抗は、1Ω/sq.以下が好ましく、0.5Ω/sq.以下がより好ましい。金属薄膜層の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
金属薄膜層の厚さは、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.3μm以上3μm以下がより好ましい。金属薄膜層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。金属薄膜層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の生産性、可とう性がよくなる。
(異方導電性接着剤層)
異方導電性接着剤層24は、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さず、かつ、接着性を有する。
異方導電性接着剤層24は、導電性接着剤層を容易に薄くでき、後述する導電性粒子の量を少なくでき、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性が高くなる利点を有する。
異方導電性接着剤層24としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤24aとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤24aは、異方導電性接着剤層24の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。熱硬化性接着剤24aは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分(硬化剤等)を含んでいてもよい。
導電性粒子24bとしては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子24bとしては、異方導電性接着剤層24がさらに適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の異方導電性接着剤層24における圧力損失をさらに低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。
導電性粒子24bの10%圧縮強度は、30MPa以上200MPa以下が好ましく、50MPa以上150MPa以下がより好ましく、70MPa以上100MPa以下がさらに好ましい。導電性粒子24bの10%圧縮強度が前記範囲の下限値以上であれば、熱プレスの際に金属薄膜層にかけられた圧力を大きく損失することなく、異方導電性接着剤層24が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。導電性粒子24bの10%圧縮強度が前記範囲の上限値以下であれば、金属薄膜層との接触がよくなり、電気的接続が確実になる。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、0.2μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上8μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性を確保でき、後述するように異方導電性接着剤層24を絶縁フィルムの貫通孔に押し込んだ際に絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上15体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
異方導電性接着剤層24の180℃における貯蔵弾性率は、1×10Pa以上5×10Pa以下が好ましく、5×10Pa以上1×10Pa以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24がさらに適度な硬さを有するようになり、熱プレスの際の異方導電性接着剤層24における圧力損失を低減できる。その結果、異方導電性接着剤層24とプリント配線板のプリント回路とが十分に接着され、異方導電性接着剤層24が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。異方導電性接着剤層24の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。その結果、電磁波シールドフィルム1が絶縁フィルムの貫通孔内に沈み込みやすくなり、異方導電性接着剤層24が絶縁フィルムの貫通孔を通ってプリント配線板のプリント回路により確実に電気的に接続される。
異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×10Ω/sq.以上1×1016Ω/sq.以下が好ましく、1×10Ω/sq.以上1×1014Ω/sq.以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
異方導電性接着剤層24の厚さは、0.2μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上8μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
(等方導電性接着剤層)
等方導電性接着剤層26は、厚さ方向および面方向に導電性を有し、かつ、接着性を有する。
等方導電性接着剤層26は、電磁波シールドフィルム1の電磁波遮蔽性をより高くできる利点を有する。
等方導電性接着剤層26としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
等方導電性接着剤層26に含まれる熱硬化性接着剤26aの成分および導電性粒子26bの材質は、異方導電性接着剤層24に含まれる熱硬化性接着剤24aの成分および導電性粒子24bの材質と同様である。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
等方導電性接着剤層26の180℃における貯蔵弾性率は、1×10Pa以上5×10Pa以下が好ましく、5×10Pa以上1×10Pa以下がより好ましい。前記範囲が好ましい理由は、異方導電性接着剤層24と同様である。
等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω/sq.以上2.0Ω/sq.以下が好ましく、0.1Ω/sq.以上1.0Ω/sq.以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
等方導電性接着剤層26の厚さは、0.2μm以上10μm以下が好ましく、0.5μm以上8μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
(放熱性接着剤層)
放熱性接着剤層28は、熱伝導性フィラーを含むことによって、放熱機能を発揮する。
放熱性接着剤層28は、例えば、接着剤28aと熱伝導性フィラー28bとを含む。放熱性接着剤層28は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
接着剤28aとしては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む熱硬化性接着剤、熱可塑性樹脂を含むホットメルト接着剤等が挙げられる。耐熱性の点から、熱硬化性接着剤が好ましい。放熱性接着剤層28における熱硬化性接着剤は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよく、硬化の状態であってもよい。
熱硬化性接着剤の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、縮合硬化型シリコーン、付加硬化型シリコーン、熱硬化性アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
熱硬化性接着剤の硬化剤としては、イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート化合物、エポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物等が挙げられ、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択される。
ホットメルト接着剤の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、クロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体またはその水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体またはその水素添加物等が挙げられる。
接着剤28aは、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
熱伝導性フィラー28bとしては、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー、導電タイプの熱伝導性フィラーが挙げられる。
電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーとしては、上述した放熱性絶縁樹脂層10における電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーと同様のものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
導電タイプの熱伝導性フィラーとしては、アルミニウム、銅、金、銀、白金、銅タングステン等が挙げられる。
熱伝導性フィラー28bは、カップリング剤等で表面処理が施されていてもよい。カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、 アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
熱伝導性フィラー28bの形状としては、球状、扁平状、鱗片状、針状、フレーク状等が挙げられる。
熱伝導性フィラー28bは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性フィラー28bの平均粒子径は、0.1μm以上8μm以下が好ましく、0.5μm以上5μm以下が好ましい。熱伝導性フィラー28bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、効率的な放熱が行われる。熱伝導性フィラー28bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、放熱性接着剤層28を薄くできる。
放熱性接着剤層28における熱伝導性フィラー28bの割合は、放熱性接着剤層28の100体積%のうち、10体積%以上90体積%以下が好ましく、20体積%以上80体積%以下がより好ましい。熱伝導性フィラー28bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、放熱性接着剤層28の熱伝導率を十分に高くできる。熱伝導性フィラー28bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
放熱性接着剤層28の熱伝導率は、0.5W/(m・K)以上が好ましく、1.0W/(m・K)以上がより好ましく、1.5W/(m・K)以上がさらに好ましく、2.0W/(m・K)以上が特に好ましい。放熱性接着剤層28の熱伝導率が前記範囲の下限値以上であれば、放熱機能を十分に発揮できる。放熱性接着剤層28の熱伝導率は高ければ高いほどよく上限は限定されない。
放熱性接着剤層28の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上8μm以下がより好ましい。放熱性接着剤層28の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、放熱機能を十分に発揮できる。放熱性接着剤層28の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
(キャリアフィルム)
キャリアフィルム30は、放熱性絶縁樹脂層10、金属薄膜層、放熱性接着剤層28および導電性接着剤層を補強および保護する支持体であり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。特に、放熱性絶縁樹脂層10が薄い場合には、キャリアフィルム30を有することによって、放熱性絶縁樹脂層10の破断を防ぐことができる。
キャリアフィルム30は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付けた後には、放熱性絶縁樹脂層10から剥離される。
本実施形態において使用されるキャリアフィルム30は、キャリアフィルム本体32と、キャリアフィルム本体32の放熱性絶縁樹脂層10側の表面に設けられた離型剤層34とを有する。
キャリアフィルム本体32の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ということもある。)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられる。樹脂材料としては、電磁波シールドフィルム1を製造する際の耐熱性(寸法安定性)および価格の点から、PETが好ましい。
キャリアフィルム本体32は、着色剤(顔料、染料等)およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、放熱性絶縁樹脂層10と明確に区別でき、熱プレスした後にキャリアフィルム30の剥がし残しに気が付きやすい点から、放熱性絶縁樹脂層10とは異なる色のものが好ましく、白色顔料、フィラー、または白色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
キャリアフィルム本体32の180℃における貯蔵弾性率は、8×10Pa以上5×10Paが好ましく、1×10Pa以上8×10Paがより好ましい。キャリアフィルム本体32の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム30が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際のキャリアフィルム30における圧力損失を低減できる。キャリアフィルム本体32の180℃における貯蔵弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム30の柔軟性が良好となる。
キャリアフィルム本体32の厚さは、3μm以上75μm以下が好ましく、12μm以上50μm以下がより好ましい。キャリアフィルム本体32の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。キャリアフィルム本体32の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層(異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26)を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
離型剤層34は、キャリアフィルム本体32の表面を離型剤で処理して形成される。キャリアフィルム30が離型剤層34を有することによって、キャリアフィルム30を放熱性絶縁樹脂層10から剥離する際に、キャリアフィルム30を剥離しやすく、放熱性絶縁樹脂層10が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
離型剤層34の厚さは、0.05μm以上30μm以下が好ましく、0.1μm以上20μm以下がより好ましい。離型剤層34の厚さが前記範囲内であれば、キャリアフィルム30をさらに剥離しやすくなる。
キャリアフィルム30の厚さは、25μm以上125μm以下が好ましく、38μm以上100μm以下がより好ましい。キャリアフィルム30の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。キャリアフィルム30の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
(離型フィルム)
離型フィルム40は、導電性接着剤層を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層から剥離される。
離型フィルム40は、例えば、離型フィルム本体42と、離型フィルム本体42の導電性接着剤層側の表面に設けられた離型剤層44とを有する。
離型フィルム本体42の樹脂材料としては、キャリアフィルム本体32の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
離型フィルム本体42は、着色剤、フィラー等を含んでいてもよい。
離型フィルム本体42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
離型剤層44は、離型フィルム本体42の表面を離型剤で処理して形成される。離型フィルム40が離型剤層44を有することによって、離型フィルム40を導電性接着剤層から剥離する際に、離型フィルム40を剥離しやすく、導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
離型剤層44の厚さは、0.05μm以上30μm以下が好ましく、0.1μm以上20μm以下がより好ましい。離型剤層44の厚さが前記範囲内であれば、離型フィルム40をさらに剥離しやすくなる。
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1を製造する方法としては、下記の方法(A1)または方法(A2)が挙げられる。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1を製造する方法としては、下記の方法(B1)または方法(B2)が挙げられる。
第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1を製造する方法としては、下記の方法(C1)、方法(C2)、方法(C3)または方法(C4)が挙げられる。
第4の実施形態の電磁波シールドフィルム1を製造する方法としては、下記の方法(D1)、方法(D2)、方法(D3)または方法(D4)が挙げられる。
方法(A1)は、下記の工程(A1−1)〜(A1−4)を有する方法である。
工程(A1−1):キャリアフィルム30の片面に放熱性絶縁樹脂層10を形成する工程。
工程(A1−2):放熱性絶縁樹脂層10のキャリアフィルム30とは反対側の面に金属薄膜層20を形成する工程。
工程(A1−3):金属薄膜層20の放熱性絶縁樹脂層10とは反対側の面に異方導電性接着剤層24を形成する工程。
工程(A1−4):異方導電性接着剤層24の金属薄膜層20とは反対側の面に離型フィルム40を積層する工程。
以下、方法(A1)の各工程について詳細に説明する。
工程(A1−1)における放熱性絶縁樹脂層10の形成方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
・キャリアフィルム30の離型剤層34側の面に、熱硬化性樹脂と硬化剤と熱伝導性フィラー10bとを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させる方法。
・キャリアフィルム30の離型剤層34側の面に、熱可塑性樹脂と熱伝導性フィラー10bとを含む塗料を塗布し、乾燥させる方法。
・キャリアフィルム30の離型剤層34側の面に、熱可塑性樹脂と熱伝導性フィラー10bとを含む組成物を押出成形により成形したフィルムを直接積層する方法。
これらの方法のなかでも、はんだ付け等の際の耐熱性の点から、キャリアフィルム30の離型剤層34側の面に、熱硬化性樹脂と硬化剤と熱伝導性フィラー10bとを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させる方法が好ましい。
塗料の塗布方法としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の各種コーターを用いた方法を適用することができる。
熱硬化性樹脂を半硬化または硬化させる際には、ヒータ、赤外線ランプ等の加熱器を用いて加熱すればよい。
工程(A1−2)における金属薄膜層20の形成方法としては、物理蒸着、CVD(化学気相蒸着)によって蒸着膜を形成する方法、めっきによってめっき膜を形成する方法、金属箔を貼り付ける方法等が挙げられる。面方向の導電性に優れる金属薄膜層20を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、またはめっきによってめっき膜を形成する方法が好ましい。金属薄膜層20の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる金属薄膜層20を形成でき、ドライプロセスにて簡便に金属薄膜層20を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法がより好ましく、物理蒸着によって蒸着膜を形成する方法がさらに好ましい。
工程(A1−3)では、金属薄膜層20の放熱性絶縁樹脂層10とは反対側の面に、導電性接着剤塗料を塗布する。
導電性接着剤塗料は、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bと溶剤とを含有する。
導電性接着剤塗料に含まれる溶剤としては、エステル(酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリールモノメチルエーテル、プロピレングルコール等)等が挙げられる。
導電性接着剤塗料の塗布方法は、工程(A1−1)における塗料の塗布方法と同様である。
塗布した導電性接着剤塗料より溶剤を揮発させることにより、異方導電性接着剤層24を形成する。
工程(A1−4)では、離型フィルム40を、異方導電性接着剤層24の金属薄膜層20とは反対側の面に、離型剤層44が異方導電性接着剤層24に接するように積層する。
離型フィルム40を異方導電性接着剤層24に積層した後には、各層同士の密着性を高めるための加圧処理を施してもよい。
加圧処理における圧力としては、0.1kPa以上100kPa以下が好ましく、0.1kPa以上20kPa以下がより好ましく、1kPa以上10kPa以下がさらに好ましい。
加圧処理と同時に加熱してもよい。その際の加熱温度としては50℃以上100℃以下が好ましい。
方法(A2)は、下記の工程(A2−1)〜(A2−4)を有する方法である。
工程(A2−1):キャリアフィルム30の片面に放熱性絶縁樹脂層10を形成する工程。
工程(A2−2):放熱性絶縁樹脂層10のキャリアフィルム30とは反対側の面に金属薄膜層20を形成して積層体Iを得る工程。
工程(A2−3):離型フィルム40の片面に異方導電性接着剤層24を形成して積層体IIを得る工程。
工程(A2−4):積層体Iと積層体IIとを、積層体Iの金属薄膜層20と積層体IIの異方導電性接着剤層24とが接するように貼り合せる工程。
工程(A2−1)および工程(A2−2)は、前記方法(A1)における工程(A1−1)および工程(A1−2)と同様である。
工程(A2−3)では、離型フィルム40の離型剤層44が設けられた面に導電性接着剤塗料を塗布する。塗布した導電性接着剤塗料より溶剤を揮発させることにより、異方導電性接着剤層24を形成する。導電性接着剤塗料および塗布方法は、前記方法(A1)における工程(A1−3)と同様である。
工程(A2−4)における積層体Iと積層体IIとの貼り合せでは、積層体Iと積層体IIとの密着性を高めるための加圧処理を施してもよい。加圧条件は、工程(A1−4)における加圧処理と同様である。また、工程(A2−4)においても、工程(A1−4)と同様に加熱してもよい。
方法(B1)および方法(B2)は、導電性接着剤塗料を熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bと溶剤とを含む塗料に変更して等方導電性接着剤層26を形成したこと以外は方法(A1)および方法(A2)と同様の方法である。
方法(C1)は、下記の工程(C1−1)〜(C1−6)を有する方法である。
工程(C1−1):キャリアフィルム30の片面に放熱性絶縁樹脂層10を形成する工程。
工程(C1−2):放熱性絶縁樹脂層10のキャリアフィルム30とは反対側の面に第1の金属薄膜層21を形成する工程。
工程(C1−3):第1の金属薄膜層21の放熱性絶縁樹脂層10とは反対側の面に放熱性接着剤層28を形成する工程。
工程(C1−4):放熱性接着剤層28の第1の金属薄膜層21とは反対側の面に第2の金属薄膜層22を形成する工程。
工程(C1−5):第2の金属薄膜層22の放熱性接着剤層28とは反対側の面に異方導電性接着剤層24を形成する工程。
工程(C1−6):異方導電性接着剤層24の第2の金属薄膜層22とは反対側の面に離型フィルム40を積層する工程。
以下、方法(C1)の各工程について詳細に説明する。
工程(C1−1)における放熱性絶縁樹脂層10の形成方法としては、工程(A1−1)における放熱性絶縁樹脂層10の形成方法と同様の方法が挙げられ、好ましい形態も同様である。
工程(C1−2)における第1の金属薄膜層21の形成方法としては、工程(A1−2)における金属薄膜層20の形成方法と同様の方法が挙げられ、好ましい形態も同様である。
工程(C1−3)では、第1の金属薄膜層21の放熱性絶縁樹脂層10とは反対側の面に、放熱性接着剤塗料を塗布する。
放熱性接着剤塗料は、接着剤28aと熱伝導性フィラー28bと溶剤とを含む。
放熱性接着剤塗料に含まれる溶剤としては、導電性接着剤塗料に含まれる溶剤と同様のものが挙げられる。
放熱性接着剤塗料の塗布方法は、工程(A1−1)における塗料の塗布方法と同様である。
塗布した放熱性接着剤塗料より溶剤を揮発させることにより、放熱性接着剤層28を形成する。
工程(C1−4)における第2の金属薄膜層22の形成方法としては、工程(C1−2)における第1の金属薄膜層21の形成方法と同様の方法が挙げられ、好ましい形態も同様である。
工程(C1−5)は、金属薄膜層20ではなく、第2の金属薄膜層22の放熱性接着剤層28とは反対側の面に、熱硬化性接着剤24aおよび導電性粒子24bを含む導電性接着剤塗料を塗布して異方導電性接着剤層24を形成すること以外は前記の工程(A1−3)と同様である。
工程(C1−6)では、離型フィルム40を、異方導電性接着剤層24の第2の金属薄膜層22とは反対側の面に、離型剤層44が異方導電性接着剤層24に接するように積層する。
離型フィルム40を異方導電性接着剤層24に積層した後には、各層同士の密着性を高めるための加圧処理を施してもよい。加圧条件は、工程(A1−4)における加圧処理と同様である。また、工程(C1−6)においても、工程(A1−4)と同様に加熱してもよい。
方法(C2)は、下記の工程(C2−1)〜(C2−6)を有する方法である。
工程(C2−1):キャリアフィルム30の片面に放熱性絶縁樹脂層10を形成する工程。
工程(C2−2):放熱性絶縁樹脂層10のキャリアフィルム30とは反対側の面に第1の金属薄膜層21を形成する工程。
工程(C2−3):第1の金属薄膜層21の放熱性絶縁樹脂層10とは反対側の面に放熱性接着剤層28を形成する工程。
工程(C2−4):放熱性接着剤層28の第1の金属薄膜層21とは反対側の面に第2の金属薄膜層22を形成して積層体IIIを得る工程。
工程(C2−5):離型フィルム40の片面に異方導電性接着剤層24を形成して積層体IVを得る工程。
工程(C2−6):積層体IIIと積層体IVとを、積層体IIIの第2の金属薄膜層22と積層体IVの異方導電性接着剤層24とが接するように貼り合せる工程。
工程(C2−1)、工程(C2−2)、工程(C2−3)および工程(C2−4)は、各々、前記の工程(C1−1)、工程(C1−2)、工程(C1−3)および工程(C1−4)と同様である。
工程(C2−5)は、第2の金属薄膜層22ではなく、離型フィルム40の離型剤層44が設けられている面に、熱硬化性接着剤24aおよび導電性粒子24bを含む導電性接着剤塗料を塗布して異方導電性接着剤層24を形成すること以外は前記の工程(C1−5)と同様である。
工程(C2−6)における積層体IIIと積層体IVとの貼り合せでは、積層体IIIと積層体IVとの密着性を高めるための加圧処理を施してもよい。加圧条件は、工程(A1−4)における加圧処理と同様である。また、工程(C2−6)においても、工程(A1−4)と同様に加熱してもよい。
方法(C3)は、下記の工程(C3−1)〜(C3−6)を有する方法である。
工程(C3−1):キャリアフィルム30の片面に放熱性絶縁樹脂層10を形成する工程。
工程(C3−2):放熱性絶縁樹脂層10のキャリアフィルム30とは反対側の面に第1の金属薄膜層21を形成する工程。
工程(C3−3):第1の金属薄膜層21の放熱性絶縁樹脂層10とは反対側の面に放熱性接着剤層28を形成して積層体Vを得る工程。
工程(C3−4):離型フィルム40の片面に異方導電性接着剤層24を形成する工程。
工程(C3−5):異方導電性接着剤層24の離型フィルム40とは反対側の面に第2の金属薄膜層22を形成して積層体VIを得る工程。
工程(C3−6):積層体Vと積層体VIとを、積層体Vの放熱性接着剤層28と積層体VIの第2の金属薄膜層22とが接するように貼り合せる工程。
工程(C3−1)、工程(C3−2)および工程(C3−3)は、各々、前記の工程(C1−1)、工程(C1−2)および工程(C1−3)と同様である。
工程(C3−4)は、第2の金属薄膜層22ではなく、離型フィルム40の離型剤層44が設けられている面に、熱硬化性接着剤24aおよび導電性粒子24bを含む導電性接着剤塗料を塗布して異方導電性接着剤層24を形成すること以外は前記の工程(C1−5)と同様である。
工程(C3−5)は、放熱性接着剤層28ではなく、異方導電性接着剤層24の離型フィルム40とは反対側の面に第2の金属薄膜層22を形成すること以外は前記の工程(C1−4)と同様である。
工程(C3−6)における積層体Vと積層体VIとの貼り合せでは、積層体Vと積層体VIとの密着性を高めるための加圧処理を施してもよい。加圧条件は、工程(A1−4)における加圧処理と同様である。また、工程(C3−6)においても、工程(A1−4)と同様に加熱してもよい。
方法(C4)は、下記の工程(C4−1)〜(C4−6)を有する方法である。
工程(C4−1):キャリアフィルム30の片面に放熱性絶縁樹脂層10を形成する工程。
工程(C4−2):放熱性絶縁樹脂層10のキャリアフィルム30とは反対側の面に第1の金属薄膜層21を形成して積層体VIIを得る工程。
工程(C4−3):離型フィルム40の片面に異方導電性接着剤層24を形成する工程。
工程(C4−4):異方導電性接着剤層24の離型フィルム40とは反対側の面に第2の金属薄膜層22を形成する工程。
工程(C4−5):第2の金属薄膜層22の異方導電性接着剤層24とは反対側の面に放熱性接着剤層28を形成して積層体VIIIを得る工程。
工程(C4−6):積層体VIIと積層体VIIIとを、積層体VIIの第1の金属薄膜層21と積層体VIIIの放熱性接着剤層28とが接するように貼り合せる工程。
工程(C4−1)および工程(C4−2)は、各々、前記の工程(C1−1)および工程(C1−2)と同様である。
工程(C4−3)および工程(C4−4)は、各々、前記の工程(C3−4)および工程(C3−5)と同様である。
工程(C4−5)は、第1の金属薄膜層21ではなく、第2の金属薄膜層22の異方導電性接着剤層24とは反対側の面に、接着剤28aおよび熱伝導性フィラー28bを含む放熱性接着剤塗料を塗布して放熱性接着剤層28を形成すること以外は前記の工程(C1−3)と同様である。
工程(C4−6)における積層体VIIと積層体VIIIとの貼り合せでは、積層体VIIと積層体VIIIとの密着性を高めるための加圧処理を施してもよい。加圧条件は、工程(A1−4)における加圧処理と同様である。また、工程(C4−6)においても、工程(A1−4)と同様に加熱してもよい。
方法(D1)、方法(D2)、方法(D3)および方法(D4)は、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bと溶剤とを含む導電性接着剤塗料を用いて異方導電性接着剤層24を形成する代わりに、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bと溶剤とを含む導電性接着剤塗料を用いて等方導電性接着剤層26を形成すること以外は方法(C1)、方法(C2)、方法(C3)および方法(C4)と同様の方法である。
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム1にあっては、金属薄膜層を有するため、電磁波遮蔽性に優れる。
また、電磁波シールドフィルム1にあっては、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー10bを含む放熱性絶縁樹脂層10および熱伝導性フィラー28bを含む放熱性接着剤層28のいずれか一方または両方を有するため、放熱性に優れる。
(他の実施形態)
本態様の電磁波シールドフィルムは、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有するもの、または、放熱性絶縁樹脂層と、第1の金属薄膜層と、熱伝導性フィラーを含む放熱性接着剤層と、第2の金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有するものであればよく、図示例の第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態に限定されない。
例えば、放熱性絶縁樹脂層10が十分な柔軟性や強度を有する場合は、キャリアフィルム30を省略しても構わない。
異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26の表面の粘着力が小さい場合には、離型フィルム40を省略しても構わない。
キャリアフィルム30は、キャリアフィルム本体32が自己粘着性を有するフィルムである場合には、離型剤層34を有しなくてもよい。
キャリアフィルム30は、離型剤層34の代わりに粘着剤層を有していてもよい。
離型フィルム40は、離型フィルム本体42のみで十分な離型性を有する場合は、離型剤層44を有しなくてもよい。
<電磁波シールドフィルム付きプリント配線板>
本発明の第2の態様は、基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、導電性接着剤層が絶縁フィルムに隣接するように設けられた前記態様の電磁波シールドフィルムとを有する電磁波シールドフィルム付きプリント配線板である。
図5は、本態様の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2においては、キャリアフィルムおよび離型フィルムは、電磁波シールドフィルム1から剥離されている。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層20が、絶縁フィルム60および異方導電性接着剤層24を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と金属薄膜層20との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、30μm以上200μm以下が好ましく、60μm以上200μm以下がより好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
(フレキシブルプリント配線板)
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路54としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω/sq.以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω/sq.以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、6μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
プリント回路54を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。プリント回路54は、信号回路、グランド回路、グランド層等として使用される。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われず、露出している。
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム60(カバーレイフィルム)は、絶縁フィルム本体(図示略)の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
絶縁フィルム本体の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×10Ω/sq.以上が好ましい。絶縁フィルム本体の表面抵抗は、実用上の点から、1×1019Ω/sq.以下が好ましい。
絶縁フィルム本体としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましく、ポリイミドフィルムがさらに好ましい。
絶縁フィルム本体の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
絶縁フィルム60に形成される貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔の開口部の形状としては、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法)
電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2は、例えば、下記の工程(a)〜(d)を有する方法によって製造できる(図6参照)。
工程(a):フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を設け、絶縁フィルム付きプリント配線板3を得る工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁フィルム付きプリント配線板3と、離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1とを、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接触するように重ね、これらを圧着する工程。
工程(c):工程(b)の後、キャリアフィルム30が不要になった際にキャリアフィルム30を剥離する工程。
工程(d):必要に応じて、工程(a)と工程(b)との間、または工程(c)の後に異方導電性接着剤層24を本硬化させる工程。
以下、各工程について、図6を参照しながら詳細に説明する。
工程(a):
工程(a)は、フレキシブルプリント配線板50に絶縁フィルム60を積層して、絶縁フィルム付きプリント配線板3を得る工程である。
具体的には、まず、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ねる。次いで、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(d)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
工程(b):
工程(b)は、絶縁フィルム付きプリント配線板3に電磁波シールドフィルム1を圧着する工程である。
具体的には、絶縁フィルム付きプリント配線板3に、離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレス等により圧着する。これにより、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24を接着するとともに、異方導電性接着剤層24を貫通孔62内に押し込み、貫通孔62内を埋めてプリント回路54に電気的に接続する。これにより、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2を得る。
異方導電性接着剤層24の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下が好ましく、30秒以上30分以下がより好ましい。熱プレスの時間が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24を容易に接着できる。熱プレスの時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
熱プレスの温度(プレス機の熱盤の温度)は、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上175℃以下がより好ましい。熱プレスの温度が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24を容易に接着できる。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を容易に抑えることができる。
熱プレスの圧力は、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、1MPa以上16MPa以下がより好ましい。熱プレスの圧力が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの圧力が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の破損等を抑えることができる。
工程(c):
工程(c)は、キャリアフィルム30を剥離する工程である。
具体的には、キャリアフィルムが不要になった際に、放熱性絶縁樹脂層10からキャリアフィルム30を剥離する。
工程(d):
工程(d)は、異方導電性接着剤層24を本硬化させる工程である。
工程(b)における熱プレスの時間が20秒以上10分以下の短時間である場合、工程(b)と工程(c)との間、または工程(c)の後に異方導電性接着剤層24の本硬化を行うことが好ましい。
異方導電性接着剤層24の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15分以上120分以下であり、30分以上60分以下がより好ましい。
加熱時間が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24を十分に硬化できる。加熱時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
(作用効果)
以上説明した電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2にあっては、電磁波シールドフィルム1が金属薄膜層20を有するため、電磁波シールドフィルム1において電磁波遮蔽性に優れる。
また、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板2にあっては、電磁波シールドフィルム1が電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー10bを含む放熱性絶縁樹脂層10を有するため、電磁波シールドフィルム1において放熱性に優れる。
(他の実施形態)
本態様の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の面に隣接する絶縁フィルムと、絶縁フィルムのプリント配線板とは反対側に隣接し、導電性接着剤層が絶縁フィルムに接する本発明の第1の態様の電磁波シールドフィルムとを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定されない。
例えば、フレキシブルプリント配線板50は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板50は、両面にプリント回路54を有し、両面に絶縁フィルム60および電磁波シールドフィルム1が貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板50の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1、第4の実施形態の電磁波シールドフィルム1を用いてもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
(熱伝導率)
迅速熱伝導率計(京都電子工業社製、QTM−500)を用いて放熱性絶縁樹脂層または放熱性接着剤層の熱伝導を測定し、基準物質との比較により熱伝導率(単位:W/(m・K))を求めた。基準物質としては、発泡ポリエチレン(熱伝導率:0.0357W/(m・K))、シリコーンゴム(熱伝導率:0.238W/(m・K))、および石英ガラス(熱伝導率:1.409W/(m・K))の3種類を用いた。
(電磁波遮蔽性)
図7に示すKEC法の測定システム(テクノサイエンスジャパン社製、KEC法シールド特性測定システム)および図8に示すKEC法冶具を用い、測定試料(たて×よこ=10cm×11cm)の電磁波遮蔽性を評価した。KEC法は関西電子工業振興センターで開発された公知方法である。
図8に示すように、KEC法冶具104は送信用冶具(送信アンテナ107を備える側)と、受信用冶具(受信アンテナ109を備える側)とに分かれており、その間に測定試料108を入れるようになっている。KEC法では、KEC法冶具を用いて、受信側でどれだけ信号が減衰するかを評価する方法である。
まず、図7に示すように、信号発生器102から出力した信号を、アッテネータ103を通して、KEC法冶具104の送信アンテナ107に入力した。受信側では、受信アンテナ109に到達した信号をプリアンプ105で増幅してから、スペクトラムアナライザ106により信号レベルを測定した。以上の操作をパソコン101で制御した。
以下の評価基準で、測定試料の電磁波遮蔽性を評価した。
◎:1GHz時の電波減衰量が80dB以上。
○:1GHz時の電波減衰量が60dB以上80dB未満。
△:1GHz時の電波減衰量が40dB以上60dB未満。
×:1GHz時の電波減衰量が40dB未満。
(放熱性)
電磁波遮蔽性を評価した測定試料の表面の温度を測定した。この測定試料に2分間連続通電した後、サーモグラフィを用いて試料の表面の温度を測定した。通電前後の温度変化から下記の基準にて放熱性を評価した。
◎:通電後の温度上昇が軽微であった。
×:通電後の温度上昇が明確であった。
(原材料)
放熱性絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(昭和電工社製、ショウアミンX(登録商標))の20質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾールの2質量部、カーボンブラックの2質量部、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー(平均粒子径1μmの酸化アルミニウム粒子)の50質量部、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部を混合した塗料を用意した。
放熱性接着剤塗料(1)として、熱硬化性接着剤(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、導電タイプの熱伝導性フィラー(平均粒子径0.5μmのアルミニウム粒子)の100質量部、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部を混合した塗料を用意した。
放熱性接着剤塗料(2)として、熱硬化性接着剤(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、電気絶縁タイプの熱伝導性フィラー(平均粒子径0.5μmの酸化アルミニウム粒子)の100質量部、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部を混合した塗料を用意した。
導電性接着剤塗料として、熱硬化性接着剤(エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)の100質量部と硬化剤(味の素ファインテクノ社製、PN−23)の20質量部とを混合してなる潜在硬化性エポキシ樹脂)、導電性粒子(平均粒子径5μmの銅粒子)の40質量部、溶剤(メチルエチルケトン)の200質量部を混合した塗料を用意した。
キャリアフィルムおよび離型フィルムとして、非シリコーン系離型剤にて片面が離型処理されたPETフィルム(リンテック社製、T157、離型フィルム本体の厚さ:50μm、離型剤層の厚さ:0.1μm)を用意した。
絶縁フィルムとして、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、カプトン100H)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が25μmになるように塗布し、接着剤層を形成したフィルム(全厚さ:50μm)を用意した。
(実施例1)
キャリアフィルムの離型剤層の表面に放熱性絶縁樹脂層形成用塗料を塗布し、60℃で2分間加熱し、塗料を乾燥、半硬化させて、放熱性絶縁樹脂層(厚さ:10μm、酸化アルミニウム粒子:20体積%、熱伝導率:3W/(m・K)、表面抵抗:10Ω/sq.)を形成した。
放熱性絶縁樹脂層の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、金属薄膜層(厚さ:0.5μm、表面抵抗:10−2Ω/sq.)を形成した。
金属薄膜層の表面に導電性接着剤塗料を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層(厚さ:4.5μm、銅粒子:18.3体積%、表面抵抗:10−1Ω/sq.)を形成した。
異方導電性接着剤層の表面に離型フィルムを貼り付けて、図1に示すような電磁波シールドフィルムを得た。
絶縁フィルムに、離型フィルムを剥離した電磁波シールドフィルムを重ね、絶縁フィルムに異方導電性接着剤層が接した状態で、ホットプレス装置(折原製作所社製、G−12)を用い、熱盤温度:170℃、圧力:15MPaで120秒間熱プレスした。これにより、絶縁フィルムの表面に異方導電性接着剤層を仮接着した、電磁波シールドフィルム付き絶縁フィルムを得た。
電磁波シールドフィルム付き絶縁フィルムを、高温恒温器(楠本化成社製、HT210)に入れて、温度:150℃で1時間加熱することによって、電磁波シールドフィルム中の異方導電性接着剤層を本硬化させた。
電磁波シールドフィルム付き絶縁フィルムを所定のサイズにカットして測定試料を作製し、電磁波遮蔽性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
キャリアフィルムの離型剤層の表面に放熱性絶縁樹脂層形成用塗料を塗布し、60℃で2分間加熱し、塗料を乾燥、半硬化させて、放熱性絶縁樹脂層(厚さ:10μm、酸化アルミニウム粒子:20体積%、熱伝導率:3W/(m・K)、表面抵抗:10Ω/sq.)を形成した。
放熱性絶縁樹脂層の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、第1の金属薄膜層(厚さ:0.5μm、表面抵抗:10−2Ω/sq.)を形成した。
第1の金属薄膜層の表面に放熱性接着剤塗料(1)を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、放熱性接着剤層(厚さ:2.0μm、アルミニウム粒子:20体積%、熱伝導率:3W/(m・K)、表面抵抗:10−1Ω/sq.)を形成した。
放熱性接着剤層の表面に、電子ビーム蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、第2の金属薄膜層(蒸着膜、厚さ:0.5μm、表面抵抗:10−3Ω/sq.)を形成した。
第2の金属薄膜層の表面に導電性接着剤塗料を、ダイコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発させてBステージ化することによって、異方導電性接着剤層(厚さ:4.5μm、銅粒子:18.3体積%、表面抵抗:10−1Ω/sq.)を形成した。
異方導電性接着剤層の表面に離型フィルムを貼り付けて、図3に示すような電磁波シールドフィルムを得た。
実施例1と同様にして測定試料を作製し、電磁波遮蔽性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
放熱性接着剤塗料(1)を放熱性接着剤塗料(2)に変更した以外は、実施例2と同様にして図3に示すような電磁波シールドフィルムを得た。
実施例1と同様にして測定試料を作製し、電磁波遮蔽性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
放熱性絶縁樹脂層形成用塗料を、熱伝導性フィラーを含まない絶縁樹脂層形成用塗料に変更した以外は、実施例1と同様にして電磁波シールドフィルムを得た。
実施例1と同様にして測定試料を作製し、電磁波遮蔽性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020080345
放熱性絶縁樹脂層を有する実施例1、放熱性絶縁樹脂層および放熱性接着剤層を有する実施例2、3は、放熱性に優れているため、通電試験後の温度上昇はなく、長期にわたって優れた電磁波遮蔽性を維持できた。
放熱性絶縁樹脂層および放熱性接着剤層を有さない比較例1は、放熱性に劣るため、通電試験後の温度上昇はあり、長期にわたって優れた電磁波遮蔽性を維持できなかった。
本発明の第1の態様である電磁波シールドフィルムは、スマートフォン、携帯電話、光モジュール、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコン、医療器具等の電子機器用のフレキシブルプリント配線板における、電磁波シールド用部材として有用である。
1 電磁波シールドフィルム、
2 電磁波シールドフィルム付きプリント配線板、
3 絶縁フィルム付きプリント配線板、
10 放熱性絶縁樹脂層、
10a マトリックス樹脂、
10b 熱伝導性フィラー、
20 金属薄膜層、
21 第1の金属薄膜層、
22 第2の金属薄膜層、
24 異方導電性接着剤層、
24a 熱硬化性接着剤、
24b 導電性粒子、
26 等方導電性接着剤層、
26a 熱硬化性接着剤、
26b 導電性粒子、
28 放熱性接着剤層、
28a 接着剤、
28b 熱伝導性フィラー、
30 キャリアフィルム、
32 キャリアフィルム本体、
34 離型剤層、
40 離型フィルム、
42 離型フィルム本体、
44 離型剤層、
50 フレキシブルプリント配線板、
52 ベースフィルム、
54 プリント回路、
60 絶縁フィルム、
62 貫通孔、
100 KEC法の測定システム、
101 パソコン、
102 信号発生器、
103 アッテネータ、
104 KEC法冶具、
105 プリアンプ、
106 スペクトラムアナライザ、
107 送信アンテナ、
108 測定試料、
109 受信アンテナ。

Claims (13)

  1. 電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する、電磁波シールドフィルム。
  2. 前記放熱性絶縁樹脂層の熱伝導率が、0.5W/(m・K)以上である、請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
  3. 前記放熱性絶縁樹脂層の厚さが、1μm以上30μm以下である、請求項1または2に記載の電磁波シールドフィルム。
  4. 前記電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、結晶シリカおよび非結晶シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  5. 前記放熱性絶縁樹脂層の表面抵抗が、1×10Ω/sq.以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  6. 電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーを含む放熱性絶縁樹脂層と、第1の金属薄膜層と、熱伝導性フィラーを含む放熱性接着剤層と、第2の金属薄膜層と、導電性接着剤層とを順に有する、電磁波シールドフィルム。
  7. 前記放熱性接着剤層の熱伝導率が、0.5W/(m・K)以上である、請求項6に記載の電磁波シールドフィルム。
  8. 前記放熱性接着剤層の厚さが、1μm以上10μm以下である、請求項6または7に記載の電磁波シールドフィルム。
  9. 前記放熱性絶縁樹脂層の熱伝導率が、0.5W/(m・K)以上である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  10. 前記放熱性絶縁樹脂層の厚さが、1μm以上30μm以下である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  11. 前記電気絶縁タイプの熱伝導性フィラーが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、結晶シリカおよび非結晶シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  12. 前記放熱性絶縁樹脂層の表面抵抗が、1×10Ω/sq.以上である、請求項6〜11のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルム。
  13. 基板の少なくとも片面にプリント回路が設けられたプリント配線板と、
    前記プリント配線板の前記プリント回路が設けられた側の面に隣接する絶縁フィルムと、
    前記絶縁フィルムの前記プリント配線板とは反対側に隣接し、前記導電性接着剤層が前記絶縁フィルムに接する請求項1〜12のいずれか一項に記載の電磁波シールドフィルムと
    を有する、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板。
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