JP2011162897A - 樹脂加工複合繊維織物及びその製造方法 - Google Patents

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央 ▲吉▼村
Hiroshi Yoshimura
Yoshinori Mashita
美紀 真下
Takahiro Kamisaka
貴宏 上坂
Yu Hamanaka
裕 浜中
Koichi Saito
公一 齋藤
Koichi Waki
浩一 脇
Sachiko Sukigara
佐千子 鋤柄
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Abstract

【課題】炭素繊維糸と絹繊維糸とを交織してなる複合繊維織物をかばんや衣服などに加工するときのフライの発生を防止することができる樹脂加工複合繊維織物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂加工複合繊維織物は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して得られる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物を含浸させたり、コーティングしたり、または、柔軟性を有する高分子化合物を含浸させた後、前記高分子化合物と同じ又は異なる柔軟性を有する高分子化合物をコーティングしたりすることにより得られる。複合繊維織物としては、例えば、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより二重織構造を有する複合繊維織物がある。
【選択図】図2

Description

本発明は、炭素繊維と絹繊維の複合繊維織物に樹脂加工を施してなる樹脂加工複合繊維織物であって、特には、衣服やかばんの材料に好適な樹脂加工複合繊維織物及びその製造方法に関する。
炭素繊維は、引張強度や疲労強度が高い、耐熱性に優れる、熱膨張係数が小さい、電磁遮蔽性を有する、といった優れた性質を有する反面、擦れ合ったり強く曲げられたりすると繊維が切断して毛羽立ち(フライ)が発生する、染色できない、という欠点もある。このため、炭素繊維は単独で使用されることはまれで、通常は樹脂・セラミックス・金属などを母材とする複合材料の強化および機能性付与材料として使用されてきた。
これに対して、炭素繊維布帛に柔軟性のある高分子化合物を含浸させて炭素繊維シートとし、これをかばんや衣服等に利用することが提案されている(特許文献1参照)。この炭素繊維シートに用いられる炭素繊維布帛は、炭素繊維に既存のナイロンやポリエステル繊維の他、パラ系アラミド繊維やポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維といった引張強度が1.9GPa以上の高強力繊維を組み合わせて製織されたものである。
一般に、異なる種類の繊維を交織する場合はできるだけ伸度差の小さい繊維を選択する必要がある。これは、伸度差が大きいと織物表面に凹凸が発生し易く、凹凸の発生を抑えるためには各繊維の張力を調整する必要があるからである。炭素繊維は引張抵抗度が24.0ton/mmと高く、破断伸度が2%と非常に小さいため、炭素繊維と組み合わせることができる繊維の種類は限られる。
絹繊維は、優雅な光沢、風合いを有し、しかも染色性に富むという特徴を有することから、古くより着物や帯、洋服、かばん等に広く利用されている。このような絹繊維と炭素繊維を交織すれば、合成繊維と交織するよりも染色性・意匠性に優れた複合繊維織物を得ることができる。なお、絹繊維は引張抵抗度が0.65〜1.2ton/mmと低く、破断伸度が15〜25%程度もあるため炭素繊維との伸度差が非常に大きいが、織物組織を工夫したり、交織時における炭素繊維と絹繊維の張力を調整したりすることで、炭素繊維と絹繊維の複合繊維織物の表面に発生する凹凸を少なくすることができる。このように織物組織を工夫したり、交織時における炭素繊維と絹繊維の張力を調整したりすることにより得られた複合繊維織物の発明については既に特許出願されており、当該特許出願の出願人には本出願人の一部が含まれる。
しかし、炭素繊維と絹繊維と交織して複合繊維織物とした場合でも、擦れ合ったり強く折り曲げられたりすると炭素繊維が切断してフライが発生し、他方、絹繊維においてはスレが発生し易いという問題がある。
特開2007-169867号公報
本発明が解決しようとする課題は、炭素繊維糸と絹繊維糸とを交織してなる複合繊維織物をかばんや衣服などに加工するとき、炭素繊維のフライの発生防止や絹繊維でのスレの発生を防止することができる樹脂加工複合繊維織物及びその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明の第1態様の樹脂加工複合繊維織物は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物を含浸させてなることを特徴とする。
また、本発明の第2態様の樹脂加工複合繊維織物は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物をコーティングしてなることを特徴とする。
さらに、本発明の第3態様の樹脂加工複合繊維織物は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物を含浸させた後、前記高分子化合物と同じ又は異なる柔軟性を有する高分子化合物をコーティングしてなることを特徴とする。
上記第1〜第3態様の樹脂加工複合繊維織物においては、柔軟性を有する高分子化合物を、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂から選ばれる1の高分子化合物あるいは複数の高分子化合物の混合物とすることができる。これら樹脂の中でもアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が好ましい。
また、上記第1〜第3態様の樹脂加工複合繊維織物においては、前記複合繊維織物としては、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより形成された二重織構造を有することが望ましい。
一方、本発明の第4態様は樹脂加工複合繊維織物の製造方法であって、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して複合繊維織物を形成し、前記複合繊維織物に、柔軟性を有する高分子化合物を含浸させ、乾燥及び/又は熱処理することを特徴とする。
また、本発明の第5態様の樹脂加工複合繊維織物の製造方法は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して複合繊維織物を形成し、前記複合繊維織物に、柔軟性を有する高分子化合物をコーティングし、乾燥及び/又は熱処理することを特徴とする。
また、本発明の第6態様の樹脂加工複合繊維織物の製造方法は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して複合繊維織物を形成し、前記複合繊維織物に、柔軟性を有する高分子化合物を含浸させ、乾燥及び/又は熱処理した後、さらに、前記高分子化合物と同じ又は異なる柔軟性を有する高分子化合物をコーティングし、乾燥及び/又は熱処理することを特徴とする。
上記第4〜第6態様の樹脂加工複合繊維織物の製造方法においては、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより二重織構造を有する複合繊維織物を形成することが好ましい。
本発明の樹脂加工複合繊維織物は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物を用いたため、光沢及び風合いを有し、しかも、柔軟性に優れる。また、本発明の樹脂加工複合繊維織物は、柔軟性に優れることに加え、裁断や縫製作業時におけるフライ(毛羽立ち)やスレの発生が少ないことから、かばんや衣服等の材料として好適である。
さらに、複合繊維織物として、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより形成された二重織構造を有するものを用い、紋様組織を染色性を有する絹繊維糸から形成すれば、樹脂加工前に紋様組織部分に適宜の色を染色したり図柄を捺染したりすることができ、意匠性に優れた樹脂加工複合繊維織物を得ることができる。
本発明の樹脂加工複合繊維織物の製造方法は、上述した樹脂加工複合繊維織物を効率良く製造することができる。
樹脂加工複合繊維織物に用いる複合繊維織物の一例を示す断面図。 樹脂加工複合繊維織物に用いる二重織構造を有する複合繊維織物の第1の例を示す断面図。 樹脂加工複合繊維織物に用いる二重織構造を有する複合繊維織物の第2の例を示す断面図。 樹脂加工複合繊維織物に用いる二重織構造を有する複合繊維織物の第3の例を示す断面図。 樹脂加工複合繊維織物に用いる二重織構造を有する複合繊維織物の第4の例を示す断面図。 樹脂加工複合繊維織物に用いる二重織構造を有する複合繊維織物の第5の例を示す断面図。 実施例1〜4の試験結果を示す表。
本発明の樹脂加工複合繊維織物は、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織した複合繊維織物に樹脂加工を施したものである。炭素繊維糸と絹繊維糸を交織する方法(織り方)には様々な方法があるが、例えば炭素繊維糸及び絹繊維糸のいずれか一方を経糸、他方を緯糸として交織する一般的な複合繊維織物の他、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより形成された二重織構造を有する複合繊維織物を用いることができる。
本出願の一部の発明者は、樹脂加工複合繊維織物の開発に先立ち、炭素繊維糸と絹繊維糸の複合繊維織物に適した交織方法の検討を行った結果、織物組織を工夫することで、織り縮みを少なくできることを見出した。上記した二重織構造を有する複合繊維織物は、織物組織を工夫した例の一つである。
炭素繊維の破断伸度は2%程度であるのに対して絹繊維の破断伸度は15〜25%もあるため、炭素繊維糸と絹繊維糸を交織する際の張力をうまく調整しなければ、織り縮みが発生する。これに対して、上述の二重織構造を有する複合繊維織物は、炭素繊維糸だけで地組織が形成され、絹繊維糸だけで紋様組織が形成されている。このように炭素繊維糸からなる部分と絹繊維糸からなる部分が分離しているため、織り縮みの発生を極力抑えることができたと思われる。
図1に炭素繊維糸及び絹繊維糸のいずれか一方を経糸、他方を緯糸として交織した複合繊維織物の例を、図2〜図6に二重織構造を有する複合繊維織物の例を示す。いずれも複合繊維織物の断面構造を示している。
図1は炭素繊維糸を経糸、絹繊維糸を緯糸とした平織の複合繊維織物1を示している。複合繊維織物1の織り方としては平織の他、綾織、朱子織、斜紋織及びこれらの変化組織等などでもよい。
図2は、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする平織の地組織11と、絹繊維糸を緯糸として形成された紋様組織12からなる複合繊維織物10を示している。この複合繊維織物10は、経糸を一重にし、緯糸を表裏二重にした緯(よこ)二重織構造を有する。紋様組織の形状は円形や多角形等の幾何学形状が適しているが、動植物や季節の風物等をモチーフにしたような不規則な形状であっても良い。また、地組織及び紋様組織を共に同じ大きさの正方形状とすれば市松模様の織物となる。他の二重織構造を有する複合繊維織物においても同様である。
図3に示す複合繊維織物10Aは、図2に示す複合繊維織物10において、地組織11の裏側に回った絹繊維糸及び紋様組織12の絹繊維糸をそれぞれ8枚朱子織で地組織11に綴じたものである。
図4に示す複合繊維織物10Bは、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする平織の地組織11と、絹繊維糸を経糸及び緯糸とする紋様組織12とからなる経緯(たてよこ)二重織構造を有する。経糸及び緯糸は、いずれも炭素繊維糸及び絹繊維糸が1本ずつ交互に挿入され、上下に配置される。地組織11の裏側に回った絹繊維糸は綴じられていないが、紋様組織12の絹繊維糸は8枚朱子織により経糸の絹繊維糸で綴じられている。
図5に示す複合繊維織物10Cは、図4に示す複合繊維織物10Bにおいて地組織11の裏側に回った絹繊維糸及び紋様組織12の絹繊維の両方を8枚朱子織により地組織11で綴じたものである。
図6に示す複合繊維織物10Dは、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする平織の地組織11と、絹繊維糸を経糸及び緯糸とする平織の紋様組織12を有する風通織からなる。
本発明の樹脂加工複合繊維織物に用いられる柔軟性を有する高分子化合物は、特に限定されるものではないが、フライ(毛羽立ち)及び、スレの発生を極力抑えることができる点で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等から選ばれる1ないし複数の高分子化合物が望ましく、特には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が望ましい。
また、樹脂加工の方法としては、複合繊維織物に高分子化合物を含浸させる方法、複合繊維織物に高分子化合物をコーティングする方法、複合繊維織物に高分子化合物を含浸させた後、コーティングする方法が挙げられる。
次に、本発明に係る樹脂加工複合繊維織物の具体的な実施例について説明する。
各実施例では、複合繊維織物、炭素繊維織物、絹繊維織物に樹脂加工を施し、樹脂加工による作用・効果を評価した。
複合繊維織物は、炭素繊維糸を経糸、絹繊維糸及び炭素繊維糸を緯糸として緯(よこ)二重織組織により作製した。また、織物全体における炭素繊維の重量が70%となるようにした。
炭素繊維織物は、上述の炭素繊維糸を経糸及び緯糸とし、平織により作製した。
絹繊維織物は、上述の絹繊維糸を経糸及び緯糸とし、平織により作製した。
複合繊維織物、炭素繊維織物、絹繊維織物には以下の炭素繊維糸、絹繊維糸を用いた。
・炭素繊維糸:三菱レイヨン株式会社製 商品名:パイロフィル3K
炭素繊維の数3,000本、200テックス、
引張強度:4.41GPa、引張弾性率:234GPa、伸度1.9%
・絹繊維糸:練糸、21中24本4本合せ、168テックス、伸度20%
このように、複合繊維織物、炭素繊維織物及び絹繊維織物のそれぞれに樹脂加工を施して効果を評価した理由は次の通りである。図1に示すような平織や綾織、朱子織等からなる複合繊維織物は炭素繊維糸と絹繊維糸が混在しているが、図2〜図6に示すような二重織構造を有する複合繊維織物は炭素繊維糸からなる部分(地組織部分)と絹繊維糸からなる部分(紋様組織部分)が分離する。このため、二重織構造を有する複合繊維織物では、炭素繊維糸のみからなる部分及び絹繊維糸のみからなる部分に樹脂加工が施されることになる。そこで、ここでは、炭素繊維糸と絹繊維糸の平織構造を有する複合繊維織物だけでなく、炭素繊維糸のみからなる織物、絹繊維糸のみから成る織物についても樹脂加工を施し、その効果を評価することとした。
上述の複合繊維織物、炭素繊維織物、絹繊維織物をそれぞれ、パラゾールP−8N(ポリアクリル系樹脂、大原パラヂウム化学株式会社製)100部に対して架橋剤としてPGW−4(ブロックイソシアネート系、大原パラヂウム化学株式会社製)を3部添加した水溶性エマルション中に十分浸漬し、試験用マングルにて約30%に絞り、一定の含浸率とした。その後、110℃で3分間、乾燥を行い、続いて160℃で2分、熱処理を行った。
得られた樹脂加工複合繊維織物は適度な柔軟性を有しつつ、且つ、炭素繊維の欠点であるフライ(毛羽立ち)の発生防止効果があった。また、樹脂加工により織物表面に被膜(樹脂層)が形成されることから、樹脂加工複合繊維織物は樹脂加工前複合繊維織物に比べると耐摩耗性を有することが推測された。
上述の複合繊維織物、炭素繊維織物、絹繊維織物のそれぞれに、パラゾールPNA−295(ウレタンポリマー及びアクリル樹脂混合物、大原パラヂウム化学株式会社製)100部に対して、架橋剤としてパラキャットPGE(ブロックイソシアネート系、大原パラヂウム化学株式会社製)を3部、増粘剤として大原パラヂウム化学株式会社製のパラゾールV−10(ウレタン(エーテル)系)を3部添加した水溶性エマルションを用いてコーティング加工を行った。塗布量(Wet時)が約70g/mとなるようにコーティングした後、110℃で3分間、乾燥を行い、続いて160℃で2分間熱処理を行った。得られた樹脂加工複合繊維織物は適度な柔軟性を有しつつ、且つ、炭素繊維の欠点であるフライ(毛羽立ち)の発生防止効果があった。また、実施例1と同様、樹脂加工前の複合繊維織物に比べると実施例2の樹脂加工複合繊維織物も耐摩耗性を有することが推測された。
実施例1の樹脂加工織物物に、さらにパラゾールPNA−295(ウレタンポリマー及びアクリル樹脂混合物、大原パラヂウム化学株式会社製)100部に対して、架橋剤としてパラキャットPGE(ブロックイソシアネート系、大原パラヂウム化学株式会社製)を3部、増粘剤としてパラゾールV−10(ウレタン(エーテル)系、大原パラヂウム化学株式会社製)を3部添加した水溶性エマルションを用いてコーティング加工を行った。塗布量(Wet時)が約70g/m2となるようにコーティング後、110℃で3分間、乾燥を行い、続いて160℃で2分間、熱処理を行った。
得られた樹脂加工複合繊維織物は適度な柔軟性を有しつつ、且つ、炭素繊維の欠点であるフライの発生防止効果があった。また、実施例1と同様、樹脂加工前の複合繊維織物に比べると実施例3の樹脂加工複合繊維織物も耐摩耗性を有することが推測された。
上述の複合繊維織物、炭素繊維織物、絹繊維織物のそれぞれを、パラゾールPN−20(ウレタン系樹脂、大原パラヂウム化学株式会社製)100部に対して、架橋剤としてPGW−4(ブロックイソシアネート系、大原パラヂウム化学株式会社製)を3部添加した水溶性エマルション中に十分浸漬し、試験用マングルにて約30%に絞り、一定の含浸率とした。その後、110℃で3分間、乾燥を行い、続いて160℃で2分間、熱処理を行った。得られた樹脂加工複合繊維織物は硬めの風合いとなり、実施例1〜3に比べると、フライの発生防止効果も小さかった。また、実施例1〜3ほどではないが、実施例4の樹脂加工複合繊維織物も樹脂加工前の複合繊維織物に比べると実施例4の樹脂加工複合繊維織物も耐摩耗性を有することが推測された。
次に、前記実施例1〜4について、以下の(1)剛軟度試験、(2)フライ(毛羽立ち)発生試験、(3)滑脱抵抗力(試験)、(4)耐スレ性試験を行い、樹脂加工の効果を評価した。なお、樹脂加工する前の複合繊維織物、炭素繊維織物、絹繊維織物(これらをまとめて「樹脂加工前織物」と称す)についても同じ試験を行い評価した。評価結果を図7に示す。
(1)剛軟度試験
剛軟度試験は、不織布芯地や一般織物等の剛軟度を測定する試験としてJIS規格で規定されているガーレ法(JIS L1096 8.20.1 A)により行った。
ガーレ法は、荷重曲げに対する曲げ反発性を測定して素材の剛軟性を求める方法である。ガーレ法では、短冊状試験片の一端を固定した可動アームを定速回転させ、平衡振子に接する試験片の自由端が該平衡振子を離れる瞬間に振子の指針が指し示す目盛を読み取り、その目盛の値を規定の基本式に代入して剛軟度(mN)を算出する。
繊維織物を衣服やかばん、カーテンなどに加工する際は、当該織物を折り返す作業やミシン掛け作業等が必要となるため、繊維織物には、適度な柔軟性と、折り返しても繊維が切断されず、フライ(毛羽立ち)が発生しない性能が求められる。縫製に関する専門家によると、ガーレ法で測定される剛軟度が35mN以下であれば、折り返し作業やミシン掛け作業で不具合が生じない程度に十分な柔軟性を有するとされている。
図7に示すように、剛軟度試験は、炭素繊維織物を用いた全ての実施例、複合繊維織物を用いた実施例1〜3について行った。図7から明らかなように、複合繊維織物及び炭素繊維織物を用いた実施例1〜3は、樹脂加工前の炭素繊維織物よりも剛軟度が大きいものの、いずれも35mN以下であった。一方、炭素繊維織物を用いた実施例4の剛軟度は35mNを上回ったことから、折り返す作業やミシン掛け作業時に不具合が発生することが予想された。
なお、絹繊維織物は樹脂加工前及び樹脂加工後のいずれにおいてもガーレ法の検出限界以下であり、剛軟性に関しては全く問題がなかった。
(2)フライ(毛羽立ち)発生試験
フライの発生試験は回転摩擦運動による方法と直線往復摩擦運動による方法の2方法で行った。フライは炭素繊維が擦れ合ったり曲げられたりしたときに発生することから、フライ発生試験は樹脂加工前の炭素繊維織物、炭素繊維織物を用いた実施例についてのみ行った。
(a)回転摩擦運動による方法
JIS規格で規定されているニット生地試験方法(JIS L 1018)のうち18.1.1 A法(ユニホーム法)に規定されているユニホーム形摩耗試験機を使用して試験を行った。摩擦子として綿ブロードを使用し、摩擦面を直径25.4cm、引張荷重を26.7N、押圧荷重を22.3Nとして試験を行った。
各試料について3枚ずつ試験片を採取し、各試験片を500回ずつ摩擦した。その後、摩擦子表面の任意の一定面積をデジタルマイクロスコープで拡大撮影し、得られた画像をグレースケールに変換して2値化することにより、汚染部ピクセル数と総ピクセル数の比率を算出した。一般的に、衣服やかばんに用いられる織物生地は汚染部ピクセル数と総ピクセル数の比率は1.00以下が望ましい。
(b)直線往復摩擦運動による方法
この方法は、JIS規格で規定されている摩擦に対する染色堅ろう度試験(JIS L 0849)に従い試験を行った。また、摩擦試験器II型(学振型)を用いてたて方向の乾燥試験・湿潤試験を行い、炭素繊維のフライの付着を色濃度にて評価した。評価は、JIS規格に規定されている判定基準に準じて、1級(悪い)〜5級(良い)とした。一般的に、衣服やかばん、カーテンなどに加工する織物生地は4級以上が望ましい。
回転摩擦運動によるフライ発生試験の結果は、全ての実施例1〜4において1.00以下となった。なお、樹脂加工前の炭素繊維織物は強度が低く、試験片を100〜300回摩擦させると破れてしまったため、評価できなかった。
直線往復摩擦運動によるフライ発生試験の結果は、炭素繊維織物を用いた実施例3のみ4級であった。
(3)滑脱抵抗力
滑脱抵抗力は、JIS規格で規定されている糸引き抜き法のA法(JIS L 1096 8.21.2)に基づき測定した。ここでは、樹脂加工前の炭素繊維織物と炭素繊維織物を用いた実施例について滑脱抵抗力を求めた。ただし、炭素繊維織物に使用されている糸は3Kと非常に太く、織物組織が粗いため、糸引き抜き法のA法(JIS L 1096 8.21.2)で規定されているサイズ(2cm×7cm)ではサンプル(試験片)の形態を保つことができず、正確な測定ができない。そこで、サンプルのサイズを5cm×11cmとすると共に、つかみ間隔が5cmとなるようにサンプルを調整し、糸1本を引き抜くのにかかる荷重をオートグラフで測定した。なお、引張り速度は10cm/minとした。一般的に、糸1本を引き抜くために必要な荷重は50N以上であることが望ましいとされている。
図7に示すように、たて方向及びよこ方向の両方について引き抜き荷重が50N以上となったのは、実施例2と実施例3だけであった。
(4)耐スレ性試験
耐スレ性試験は、JIS規格に規定されている摩擦に対する染色堅ろう度試験(JIS L 0849)に基づき、摩擦試験器II型(学振型)を用いて行った。評価は、試験布に対してたて方向の湿潤試験を行った後、試験布のスレの発生具合を目視により行った。具体的には、試験布に全くスレのない状態をA、試験布の1/2程度にスレが発生しているものをC、全面にスレが発生しているものをE、さらにスレの発生度合いがAとCの間のものをB、CとEの間のものをDと、5段階で評価した。耐スレ性試験は、樹脂加工前の絹繊維織物と絹繊維織物を用いた実施例についてのみ行った。
図7に示すように、絹繊維織物を用いた実施例3では試験布に全くスレが発生しなかった(評価A)。一方、樹脂加工前の絹繊維織物では試験布全面に、絹繊維織物を用いた実施例4では試験布の1/2以上にスレが発生していた(評価E)。
以上より、本発明の樹脂加工複合繊維織物は、樹脂加工前の複合繊維織物に比べると、剛軟度、フライ(毛羽立ち)、滑脱抵抗力、スレの発生防止において優れており、特に実施例3の樹脂加工複合繊維織物は非常に優れていることが分かる。
また、フライ発生試験(回転摩擦運動)の結果から樹脂加工により炭素繊維織物の耐摩耗性が向上したことが分かる。さらに、耐スレ性試験の結果から樹脂加工により絹繊維織物の耐摩耗性が向上したことが分かる。このことから、炭素繊維と絹繊維からなる複合繊維織物についても樹脂加工により耐摩耗性が向上すると推測され、上述の推測結果(段落「0031」参照)と一致した。
10,10A,10B,10C,10D…複合繊維織物
11…地組織
12…紋様組織

Claims (9)

  1. 炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物を含浸させてなる樹脂加工複合繊維織物。
  2. 炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物をコーティングしてなる樹脂加工複合繊維織物。
  3. 炭素繊維糸と絹繊維糸を交織してなる複合繊維織物に柔軟性を有する高分子化合物を含浸させた後、前記高分子化合物と同じ又は異なる柔軟性を有する高分子化合物をコーティングしてなる樹脂加工複合繊維織物。
  4. 前記複合繊維織物が、炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより形成された二重織構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂加工複合繊維織物。
  5. 柔軟性を有する高分子化合物が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂から選ばれる1の高分子化合物あるいは複数の高分子化合物の混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂加工複合繊維織物。
  6. 炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して複合繊維織物を形成し、前記複合繊維織物に、柔軟性を有する高分子化合物を含浸させ、乾燥及び/又は熱処理することを特徴とする樹脂加工複合繊維織物の製造方法。
  7. 炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して複合繊維織物を形成し、前記複合繊維織物に、柔軟性を有する高分子化合物をコーティングし、乾燥及び/又は熱処理することを特徴とする樹脂加工複合繊維織物の製造方法。
  8. 炭素繊維糸と絹繊維糸を交織して複合繊維織物を形成し、前記複合繊維織物に、柔軟性を有する高分子化合物を含浸させ、乾燥及び/又は熱処理した後、さらに、前記高分子化合物と同じ又は異なる柔軟性を有する高分子化合物をコーティングし、乾燥及び/又は熱処理することを特徴とする樹脂加工複合繊維織物の製造方法。
  9. 炭素繊維糸を経糸及び緯糸とする地組織に絹繊維糸で紋様組織を織り込むことにより二重織構造を有する複合繊維織物を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の樹脂加工複合繊維織物の製造方法。
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