JP2019143280A - シート状物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物であって、濃色の色彩を有しながら光照射や摩擦などに対する堅牢性に優れ、かつ耐摩耗性に優れるシート状物に関するものである。【解決手段】本発明のシート状物は、平均単繊維直径が1μm以上8μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記極細繊維は、粒子径の平均が0.3μm以上0.8μm以下かつ前記粒子径の変動係数(CV)が50%以下の顔料を含むポリエステルからなる繊維であることを特徴とするシート状物である。【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリエステル極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなり、濃色でありながら堅牢性、耐摩耗性に優れたシート状物に関するものである。
主としてポリエステル極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体とからなる天然皮革調のシート状物は、耐久性の高さや品質の均一性などの天然皮革対比で優れた特徴を有しており、衣料用素材としてのみならず、車両内装材、インテリアや靴および衣料など様々な分野で使用されるが、シート状物が車両内装材等に使用される際には、しばしば黒色等の濃色の色彩と、実使用に耐えうる高い耐光性が求められる。
しかしながら、ポリエステル繊維は、他の合成繊維であるアセテート繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維などと比較して屈折率が高く発色性に劣るため、濃色への染色が難しいことが知られている。特に極細繊維においては繊維径の低下に伴い増加する表面積の影響によりその傾向が顕著であるが、濃色の色彩を出すために染料の濃度を上げて染色するとシート状物の耐光堅牢度や摩擦堅牢度などの堅牢性が低下してしまうため、ポリエステル極細繊維を使用したシート状物において濃色の色彩と堅牢性を両立するための手法がかねてより求められてきた。
上記の課題に対し、極細繊維を使用したシート状物において濃色の色彩と堅牢性を両立させる手段として、極細繊維に顔料を添加する方法、いわゆる原着繊維を使用する方法が提案されている(特許文献1〜3参照。)。
特許文献1〜3が開示する方法のように、染料に比べ耐光堅牢性に優れる顔料を用いることで、耐光堅牢度の低下を伴わずに濃色化を達成することはある程度可能である。しかしながら、極細繊維に顔料を添加することは紡糸の操業性低下や極細繊維の強度低下ならびに極細繊維からの顔料の脱落を引き起こすため、使用する顔料の添加量や粒子径の大きさについては制限があった。
そこで本発明の目的は、ポリエステル極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物において、濃色の色彩を有しながら耐光堅牢性に優れ、かつ耐摩耗性に優れるシート状物を提供することにある。
上記の目的を達成すべく本発明者らが検討を重ねた結果、極細繊維中に粒子径の大きい顔料を添加した場合でも、粒子径のバラツキを特定の範囲内とすることで紡糸の操業性を損ねることなく加工が可能であるだけでなく、極細繊維からの顔料の脱落を抑えることが可能であることを見出した。
すなわち本発明は、上記の課題を解決せんとするものであって、本発明のシート状物は、平均単繊維直径が1μm以上8μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記極細繊維は粒子径の平均が0.3μm以上0.8μm以下、かつ、前記平均粒子径の変動係数(CV)が50%以下の顔料を含むポリエステルからなる繊維である、シート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の顔料はカーボンブラックである。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の極細繊維に含まれる顔料の含有量が0.1質量%以上5質量%以下である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の極細繊維が芯鞘構造を有する芯鞘複合繊維である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の顔料が、前記の芯鞘複合繊維の鞘成分に含まれない。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記の芯鞘複合繊維の芯成分と鞘成分の質量比が芯成分:鞘成分=95:5〜50:50の範囲である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のポリエステル中に1,2−プロパンジオールを1ppm以上500ppm以下含有する。
本発明によれば、濃色の色彩を有しながら光照射や摩擦などに対する堅牢性に優れ、かつ耐摩耗性に優れるシート状物を得ることができる。また、従来の顔料を添加した極細繊維からなるシート状物で課題となっていた極細繊維からの顔料の脱落の少ないシート状物を得ることができる。
本発明のシート状物は、平均単繊維直径が1μm以上8μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記極細繊維は粒子径の平均が0.3μm以上0.8μm以下かつ変動係数(CV)が50%以下の顔料を含むポリエステルであることを特徴とするシート状物である。以下に、詳細について説明する。
[極細繊維]
本発明で用いられる繊維絡合体を構成する極細繊維としては、耐久性、特には機械的強度、耐熱性等の観点から、ポリエステル繊維とすることが重要である。
本発明で用いられる繊維絡合体を構成する極細繊維としては、耐久性、特には機械的強度、耐熱性等の観点から、ポリエステル繊維とすることが重要である。
極細繊維を構成するポリエステルとしては、繊維化が可能なポリマーであり、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、およびポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。中でも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレート、または主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好適に使用される。
極細繊維の断面形状としては、加工操業性の観点から、丸断面にすることが好ましいが、楕円、扁平および三角などの多角形、扇形および十字型、中空型、Y型、T型、およびU型などの異形断面の断面形状を採用することもできる。
極細繊維の平均単繊維直径は、1μm以上8μm以下とすることが重要である。平均単繊維直径を、8μm以下、好ましくは6μm以下、より好ましくは4.5μm以下とすることにより、緻密でタッチの柔らかい表面品位に優れたシート状物が得られる。一方、平均単繊維直径を1μm以上、好ましくは1.5μm以上とすることにより、染色後の発色性や耐光および摩擦堅牢性、紡糸時の安定性に優れた効果を奏する。
本発明において平均単繊維直径とは、シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに10本選び、単繊維直径を測定して10本の平均値を計算することにより算出されるものとする。ただし、異型断面の極細繊維を採用した場合には、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって単繊維の直径を求めるものとする。
極細繊維を形成するポリエステルには、粒子径の平均が0.3μm以上0.8μm以下、かつ、変動係数(CV)が50%以下の顔料を含むことが重要である。
ここでいう粒子径とは、顔料が極細繊維中に存在している状態での粒子径のことであり、一般に二次粒子径とよばれるもののことをいう。
粒子径の平均を0.3μm以上、好ましくは0.35μm以上とすることにより、顔料が極細繊維の内部に把持されるため極細繊維からの脱落が抑制される。また、0.8μm以下、好ましくは0.7μm以下、より好ましくは0.6μm以下とすることにより、紡糸時の安定性に優れたものとなる。
粒子径の変動係数(CV)は50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下であると粒子径の分布が小さくなり、小さい粒子の表面からの脱落や著しく凝集した粒子による紡糸不良等が抑制される。
本発明において、粒子径の平均および変動係数(CV)は以下の方法により算出されるものとする。
(1) 極細繊維の長手方向に垂直な面の断面方向に厚さ5〜10μmの超薄切片を作製する。
(2) 透過型電子顕微鏡(TEM)にて超薄切片中の繊維断面を10000倍で観察する。
(3) 画像解析ソフトを使用して、観察像の2.3μm×2.3μmの視野の中に含まれる顔料の粒子径の円相当径を20点測定する。
(4) 測定した20点の粒子径について、平均値(算術平均)と変動係数(CV)を算出する。なお、本発明において、変動係数は以下の式により算出されるものとする。
・粒子径の変動係数(%)=(粒子径の標準偏差)/(粒子径の算術平均)×100
極細繊維を形成するポリエステルに含まれる顔料の割合は、ポリエステルの質量に対して0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。顔料の割合を0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上とすることにより、濃色の発色性に優れるものとなる。顔料の割合を5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下とすることにより、強伸度などの物理特性に優れるものとなる。
(1) 極細繊維の長手方向に垂直な面の断面方向に厚さ5〜10μmの超薄切片を作製する。
(2) 透過型電子顕微鏡(TEM)にて超薄切片中の繊維断面を10000倍で観察する。
(3) 画像解析ソフトを使用して、観察像の2.3μm×2.3μmの視野の中に含まれる顔料の粒子径の円相当径を20点測定する。
(4) 測定した20点の粒子径について、平均値(算術平均)と変動係数(CV)を算出する。なお、本発明において、変動係数は以下の式により算出されるものとする。
・粒子径の変動係数(%)=(粒子径の標準偏差)/(粒子径の算術平均)×100
極細繊維を形成するポリエステルに含まれる顔料の割合は、ポリエステルの質量に対して0.1質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。顔料の割合を0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上とすることにより、濃色の発色性に優れるものとなる。顔料の割合を5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下とすることにより、強伸度などの物理特性に優れるものとなる。
顔料の種類としては、カーボンブラック、金属化合物および金属酸化物粒子等が挙げられるが、繊維形成性の観点から、カーボンブラックが好ましく用いられる。
本発明で用いられる極細繊維は、芯鞘構造を有する芯鞘複合繊維であることが好ましく、極細繊維からの顔料の脱落を抑制する観点から、芯鞘複合繊維の芯成分のみに顔料を含み、鞘成分には顔料を含まないことがより好ましい。
極細繊維として芯鞘複合繊維を用いる場合に芯成分および鞘成分を構成するポリマーは同一のポリエステルであっても異なるポリエステルであってもよい。
極細繊維として芯鞘複合繊維を用いる場合の芯成分と鞘成分の質量の比率は、芯成分:鞘成分=95:5〜50:50の範囲であることが好ましく、より好ましくは90:10〜60:40の範囲である。芯成分の質量比を95%以下とすることで、鞘成分が芯成分を十分に包み込むことができ、50%以上とすることで、芯成分の着色効果が繊維全体に十分に反映される。
なお、極細繊維を形成するポリエステルには、顔料の他に、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することができる。
極細繊維を形成するポリエステルには、シート状物の耐熱性を向上させるため、1,2−プロパンジオール由来の成分を1〜500ppm含有することも好ましい態様である。
ここでいう1,2−プロパンジオール由来の成分とは、ポリエステルを分解して分析した際に析出される1,2−プロパンジオールの総量であって、ポリマー鎖中に共重合されている1,2−プロパンジオール由来の構造と、ポリマー間に混在している1,2−プロパンジオールの総量を表す。すなわち、この1,2−プロパンジオールは、ポリエステル主鎖中に一部共重合されていてもよく、共重合されずに単体として含有されていることも許容される。
なお、本発明において、ポリエステル中の1,2−プロパンジオール由来の成分の含有量は以下の方法により算出されるものとする。
(I)1,2−プロパンジオールの検量線作成
(1)1,2−ブタンジオールの1000μg/ml水溶液を調製し、これを内部標準液Aとする。
(2)1,2−プロパンジオールの1000μg/ml水溶液を調製し、これを標準母液Bとする。
(3)5mlメスフラスコ中に、標準母液Bを0.003〜0.08mlと、内部標準液Aを0.025ml加え、混合溶媒(メタノール:精製水=2:1、エチレングリコール1.1%含有)で定容してなる標準液Cを、標準母液Bの量を変化させて7種類調製する。
(4)調製した標準液Cを、それぞれガスクロマトグラフィ(注入口:スプリット/スプリットレス注入口、検出器:水素炎イオン化検出器)において、以下の条件で測定を行う。
・インジェクタ温度: 220℃
・キャリアガス: ヘリウム
・試料導入量: 1.0μl
・オーブン昇温開始温度: 60℃ (保持時間2分)
・オーブン昇温停止温度: 220℃ (保持時間2分)
・オーブン昇温速度: 20℃/分(直線傾斜)
(5)得られた1,2−プロパンジオールの内部標準物質のピーク面積比と、標準液C中の1,2−プロパンジオールと内部標準物質の濃度比を、グラフにプロットすることにより、1,2−プロパンジオールの検量線を引く。
(II)試料の含有量測定
(1)試料0.01gをバイアルに秤量し、これに前記の内部標準液Aを6μlと、濃度25質量%のアンモニア水1mlを加えて密栓する。
(2)これをアルミブロックヒーターを用いて150℃で3時間加熱し、その後室温(25℃)まで放冷する。
(3)メタノール2mlとテレフタル酸2.0gを加えた後、15分間振とうする。
(4)さらに、3500rpmで3分間遠心分離する。
(5)上澄み液を取り出し、検量線を作成した時と同条件でガスクロマトグラフィ測定を行う。
(6)得られた1,2−プロパンジオールの内部標準物質のピーク面積比から、検量線を基に1,2−プロパンジオールの濃度(ppm)を算出する。
(I)1,2−プロパンジオールの検量線作成
(1)1,2−ブタンジオールの1000μg/ml水溶液を調製し、これを内部標準液Aとする。
(2)1,2−プロパンジオールの1000μg/ml水溶液を調製し、これを標準母液Bとする。
(3)5mlメスフラスコ中に、標準母液Bを0.003〜0.08mlと、内部標準液Aを0.025ml加え、混合溶媒(メタノール:精製水=2:1、エチレングリコール1.1%含有)で定容してなる標準液Cを、標準母液Bの量を変化させて7種類調製する。
(4)調製した標準液Cを、それぞれガスクロマトグラフィ(注入口:スプリット/スプリットレス注入口、検出器:水素炎イオン化検出器)において、以下の条件で測定を行う。
・インジェクタ温度: 220℃
・キャリアガス: ヘリウム
・試料導入量: 1.0μl
・オーブン昇温開始温度: 60℃ (保持時間2分)
・オーブン昇温停止温度: 220℃ (保持時間2分)
・オーブン昇温速度: 20℃/分(直線傾斜)
(5)得られた1,2−プロパンジオールの内部標準物質のピーク面積比と、標準液C中の1,2−プロパンジオールと内部標準物質の濃度比を、グラフにプロットすることにより、1,2−プロパンジオールの検量線を引く。
(II)試料の含有量測定
(1)試料0.01gをバイアルに秤量し、これに前記の内部標準液Aを6μlと、濃度25質量%のアンモニア水1mlを加えて密栓する。
(2)これをアルミブロックヒーターを用いて150℃で3時間加熱し、その後室温(25℃)まで放冷する。
(3)メタノール2mlとテレフタル酸2.0gを加えた後、15分間振とうする。
(4)さらに、3500rpmで3分間遠心分離する。
(5)上澄み液を取り出し、検量線を作成した時と同条件でガスクロマトグラフィ測定を行う。
(6)得られた1,2−プロパンジオールの内部標準物質のピーク面積比から、検量線を基に1,2−プロパンジオールの濃度(ppm)を算出する。
また、極細繊維を形成するポリエステルは、バイオマス資源由来のものであっても石油由来のものであっても良いが、環境負荷低減の観点からバイオマス資源由来のものであることが好ましい。
[高分子弾性体]
本発明のシート状物を構成する高分子弾性体は、シート状物を構成する極細繊維を把持するバインダーであるため、本発明のシート状物の柔軟な風合いを考慮すると、用いられる高分子弾性体としては、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等が挙げられる。中でも、ポリウレタンを主成分として用いることが好ましい態様である。ポリウレタンを用いることにより、充実感のある触感、皮革様の外観および実使用に耐える物性を備えたシート状物を得ることができる。また、ここでいう主成分とは、高分子弾性体全体の質量に対してポリウレタンの質量が50質量%より多いことをいう。
本発明のシート状物を構成する高分子弾性体は、シート状物を構成する極細繊維を把持するバインダーであるため、本発明のシート状物の柔軟な風合いを考慮すると、用いられる高分子弾性体としては、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等が挙げられる。中でも、ポリウレタンを主成分として用いることが好ましい態様である。ポリウレタンを用いることにより、充実感のある触感、皮革様の外観および実使用に耐える物性を備えたシート状物を得ることができる。また、ここでいう主成分とは、高分子弾性体全体の質量に対してポリウレタンの質量が50質量%より多いことをいう。
本発明においてポリウレタンを用いる場合には、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンと、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンのどちらも採用することができる。また、ポリウレタンとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタンが好ましく用いられる。
また、高分子弾性体には、目的に応じて各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤および染料などを含有させることができる。
シート状物における高分子弾性体の含有量は、使用する高分子弾性体の種類、高分子弾性体の製造方法および風合や物性を考慮して、適宜調整することができる。高分子弾性体の含有量は、繊維絡合体の質量に対して10質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。高分子弾性体の含有量を10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上とすることで、シート状物が耐摩耗性に優れたものとなる。高分子弾性体の含有量を60質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下とすることでシート状物の風合いが柔軟なものとなる。
[シート状物]
本発明のシート状物は、その中において極細繊維が繊維絡合体の形態をなしているものであり、特に、不織布の形態をなしていることが好ましい。不織布とすることにより、表面を起毛した際に均一で優美な外観や風合いを得ることができる。
本発明のシート状物は、その中において極細繊維が繊維絡合体の形態をなしているものであり、特に、不織布の形態をなしていることが好ましい。不織布とすることにより、表面を起毛した際に均一で優美な外観や風合いを得ることができる。
不織布の形態としては、長繊維不織布および短繊維不織布のいずれも用いられるが、製品面の立毛本数が多く優美な外観を得やすいことから、短繊維不織布であることが好ましい態様である。
短繊維不織布を用いた際の極細繊維の繊維長は、25〜90mmの範囲であることが好ましい。繊維長を90mm以下、好ましくは80mm以下、より好ましくは70mm以下とすることにより、良好な品位と風合いを有するシート状物となり、繊維長を25mm以上、好ましくは35mm以上、より好ましくは40mm以上とすることにより、耐摩耗性に優れたシート状物とすることができる。
シート状物を構成する不織布の目付は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.2 単位面積当たりの質量」で測定され、50〜400g/m2の範囲であることが好ましい。不織布の目付を50g/m2以上、好ましくは80g/m2以上とすることでシート状物が充実感のあるものとなる。不織布の目付を400g/m2以下、好ましくは300g/m2以下とすることでシート状物の風合いが柔軟なものとなる。
本発明のシート状物は、強度や形態安定性を向上させる目的で、不織布の内部もしくは片側に織物を積層し絡合一体化させることも好ましい態様である。
織物を絡合一体化させる場合に使用する織物を構成する繊維の種類としては、フィラメントヤーン、紡績糸、革新紡績糸、フィラメントヤーンと紡績糸の混合複合糸などを用いることができるが、紡績糸はその構造上表面に毛羽が多数存在し不織布と織物を絡合する際、その毛羽が脱落し表面に露出すると欠点となるため、フィラメントを用いることがより好ましく、フィラメントとしてはマルチフィラメントを用いることが好ましい。
織物を構成する繊維の単繊維の繊維径は、1〜50μmであることが好ましい。単繊維の繊維径を50μm以下とすることにより、柔軟性に優れたシート状物が得られ、単繊維の繊維径を1μm以上とすることにより、シート状物としての製品の形態安定性が向上する。
織物を構成する糸条の総繊度は、JIS L1013:2010「化学繊維フィラメント糸試験方法」の「8.3 繊度」のB法(簡便法)で測定され、30dtex〜170dtexが好ましい。繊度を170dtex以下とすることにより、柔軟性に優れたシート状物が得られ、総繊度を30dtex以上とすることにより、シート状物としての製品の形態安定性が向上する。このとき、経糸と緯糸のマルチフィラメントの総繊度は同じ総繊度とすることが好ましい。
本発明のシート状物においては、表面に立毛を有することが好ましい態様である。立毛はシート状物の表面のみに有していてもよく、両面に有することも許容される。表面に立毛を有する場合の立毛形態は、意匠効果の観点から指でなぞったときに立毛の方向が変わることで跡が残る、いわゆるフィンガーマークが発する程度の立毛長と方向柔軟性を備えていることが好ましい。より具体的には、表面の立毛長は100μm以上400μm以下であることが好ましく、150μm以上350μm以下であることがさらに好ましい態様である。表面の立毛長は、シート状物の立毛を逆立てた状態でシート状物の断面を倍率50倍でSEM撮影し、立毛部(極細繊維のみからなる層)の高さを10点測定して平均値を計算することにより算出する。
本発明のシート状物は、JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.1 厚さ(ISO法)」のA法で測定される厚みが、0.2〜1.2mmの範囲であることが好ましい。シート状物の厚みを0.2mm以上、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上とすることで製造時の加工性に優れたものとなる。シート状物の厚みを1.2mm以下、好ましくは1.1mm以下、より好ましくは1.0mm以下とすることでシート状物が柔軟なものとなる。
本発明のシート状物は、JIS L0849:2013「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」の「9.1 摩擦試験機I型(クロックメータ)法」で測定される摩擦堅牢度、および、JIS L0843:2006「キセノンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法」の「7.2 露光方法」の「a) 第1露光法」で測定される耐光堅牢度が、それぞれ4級以上であることが好ましい。摩擦堅牢度および耐光堅牢度が4級以上であることで、実使用時に色落ちや衣服等への汚染を防ぐことができる。
また、本発明のシート状物はJIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「8.19 摩耗強さ及び摩擦変色性」の「8.19.5 E法(マーチンデール法)」で測定される耐摩耗試験において、20000回の回数を摩耗した後のシート状物の重量減が10mg以下であることが好ましく、8mg以下であることがより好ましく、6mg以下であることがさらに好ましい。重量減が10mg以下であることで、実使用時の毛羽落ちによる汚染を防ぐことができる。
本発明のシート状物は、濃色の色彩を有しながら堅牢性に優れ、かつ十分な強度を有するため、車両用内装材、家具インテリア用素材、建築材料など様々な分野で使用できるが、特に高い耐光性が要求される車両用内装材において好適に用いられる。
[シート状物の製造方法]
次に、本発明のシート状物の製造方法について説明する。
次に、本発明のシート状物の製造方法について説明する。
極細繊維に顔料を含有させる方法としては、予め顔料を0.1〜5%混練したポリエステルチップを用いて紡糸しても、顔料を10〜40%混練したマスターバッチとポリエステルチップを混合して紡糸する方法のいずれも採用することができるが、マスターバッチを用いてポリエステルチップと混合する手法は極細繊維に含まれる顔料の量を適宜調整可能であるため好ましい。
マスターバッチを用いてポリエステルチップと混合する場合、使用するマスターバッチに含まれる顔料の1次粒子径の平均が0.05〜0.1μmであり、変動係数(CV)が30%以下のマスターバッチを使用することが好ましい。1次粒子径が上記の範囲内のマスターバッチを使用することで極細繊維中の粒子径(2次粒子径)を適切な範囲とすることができる。
本発明において、シート状物を構成する極細繊維を得る手段としては、極細繊維発現型繊維を用いることが好ましい態様である。極細繊維発現型繊維をあらかじめ絡合し不織布とした後に、繊維の極細化を行うことによって、極細繊維束が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分(島繊維が芯鞘複合繊維の場合は2または3成分)の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、前記の海成分を、溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維を用いることが、海成分を除去する際に島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるため、シート状物の風合いや表面品位の観点から好ましい。
海島型複合繊維としては、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分(島繊維が芯鞘複合繊維の場合は3成分)を相互配列して紡糸する高分子相互配列体を用いる方式が、均一な単繊維繊度の極細繊維が得られるという観点から好ましい。
海島型複合繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、およびポリ乳酸などを用いることができるが、製糸性や易溶出性等の観点から、ポリスチレンや共重合ポリエステルが好ましく用いられる。
また、不織布の形態としては、前述のように短繊維不織布でも長繊維不織布でも用いることができるが、短繊維不織布であると、シート状物の厚さ方向を向く繊維が長繊維不織布に比べて多くなり、起毛した際のシート状物の表面に高い緻密感を得ることができる。
不織布として短繊維不織布とする場合には、得られた極細繊維発現型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカット加工して原綿を得る。捲縮加工やカット加工は、公知の方法を用いることができる。
次に、得られた原綿を、クロスラッパー等により繊維ウエブとし、絡合させることにより不織布を得る。繊維ウエブを絡合させ不織布を得る方法としては、ニードルパンチ処理やウォータージェットパンチ処理等を用いることができる。
さらに、シート状物が織物を含む場合には、得られた不織布と織物を積層し、そして絡合一体化させる。不織布と織物の絡合一体化には、不織布の片面もしくは両面に織物を積層するか、あるいは複数枚の不織布ウエブの間に織物を挟んだ後に、ニードルパンチ処理やウォータージェットパンチ処理等によって不織布と織物の繊維同士を絡ませることができる。
ニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理後の複合繊維(極細繊維発現型繊維)からなる不織布の見掛け密度は、0.15〜0.45g/cm3であることが好ましい。見掛け密度を好ましくは0.15g/cm3以上とすることにより、人工皮革基材が十分な形態安定性と寸法安定性が得られる。一方、見掛け密度を好ましくは0.45g/cm3以下とすることにより、高分子弾性体を付与するための十分な空間を維持することができる。
前記の不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチームによる熱収縮処理を施すことも好ましい態様である。
次に、前記の不織布に水溶性樹脂の水溶液を含浸し、乾燥することにより水溶性樹脂を付与することもできる。不織布に水溶性樹脂を付与することにより、繊維が固定されて寸法安定性が向上される。
次に、得られた不織布を溶剤で処理して、単繊維の平均単繊維径が1〜8μmの極細繊維を発現させる。
極細繊維の発現処理は、溶剤中に海島型複合繊維からなる不織布を浸漬させて、海島型複合繊維の海成分を溶解除去することにより行うことができる。
極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維の場合、海成分を溶解除去する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができる。また、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができる。また、海成分が水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の場合には、熱水を用いることができる。
次に、不織布(繊維絡合体)に高分子弾性体の溶剤液を含浸し固化して、高分子弾性体を付与する。高分子弾性体を不織布に固定する方法としては、高分子弾性体の溶液を不織布(繊維絡合体)に含浸させた後、湿式凝固または乾式凝固する方法があり、使用する高分子弾性体の種類により適宜これらの方法を選択することができる。
高分子弾性体が付与されたシート状物は、製造効率の観点から、厚み方向に半裁することが好ましい態様である。
高分子弾性体が付与されたシート状物あるいは半裁されたシート状物の表面に、起毛処理を施すことができる。起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理はシート状物の表面のみに施しても、両面に施すことができる。
起毛処理を施す場合には、起毛処理の前にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与することができる。また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシート状物から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる。このようにして、シート状物が形成される。
上記のシート状物は、顔料の色彩と同色の染料にて染色処理を施すことが好ましい。この染色処理としては、例えば、ジッガー染色機や液流染色機を用いた液流染色処理、連続染色機を用いたサーモゾル染色処理等の浸染処理、あるいはローラー捺染、スクリーン捺染、インクジェット方式捺染、昇華捺染および真空昇華捺染等による立毛面への捺染処理等を用いることができる。中でも、柔軟な風合いが得られること等から、品質や品位面から液流染色機を用いることが好ましい。また、必要に応じて、染色後に各種の樹脂仕上げ加工を施すことができる。
また、上記のシート状物には、必要に応じてその表面に意匠性を施すことができる。例えば、パーフォレーション等の穴開け加工、エンボス加工、レーザー加工、ピンソニック加工、およびプリント加工等の後加工処理を施すことができる。
次に、実施例を挙げて本発明のシート状物とその製造方法について説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特段の記載がない事項については、前記の方法に従って測定を実施したものである。
<評価方法>
(1)顔料の粒子径の平均および変動係数(CV):
極細繊維の長手方向に垂直な面の断面方向の超薄切片は、Sorvall社製「ウルトラミクロトーム(MT6000型)」を用いて作製した。得られた切片は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製「H7700型」)を用いて観察した。次いで顔料の粒子径については、画像解析ソフト(三谷商事製「WinROOF」)を用いて測定した
(2)ポリエステル中の1,2−プロパンジオール由来の成分の含有量:
ガスクロマトグラフには、Hewlett Packard社製「5890 seriesII」(注入口:スプリット/スプリットレス注入口、検出器:水素炎イオン化検出器)を用いた。なお、前記されていない測定条件については、以下の設定条件で測定した。
・カラムヘッド圧: 20psi
・試料導入方法: 分割(線流速 25ml/分)
・隔壁パージ: ヘリウム 3.0ml/分
・ディテクタ温度: 220℃
・ガス流量: 水素 40ml/分、空気 400ml/分、窒素 40ml/分
(3)シート状物の明度(L*値):
シート状物の起毛を有する面を測定面として、分光測色計を用いてJIS Z 8781−4「測色−第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間」の3.3で規定されるL*値を計測した。計測はMINOLTA製「CR−310」によって、10回測定し、その平均をシート状物のL*値とした。
(1)顔料の粒子径の平均および変動係数(CV):
極細繊維の長手方向に垂直な面の断面方向の超薄切片は、Sorvall社製「ウルトラミクロトーム(MT6000型)」を用いて作製した。得られた切片は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製「H7700型」)を用いて観察した。次いで顔料の粒子径については、画像解析ソフト(三谷商事製「WinROOF」)を用いて測定した
(2)ポリエステル中の1,2−プロパンジオール由来の成分の含有量:
ガスクロマトグラフには、Hewlett Packard社製「5890 seriesII」(注入口:スプリット/スプリットレス注入口、検出器:水素炎イオン化検出器)を用いた。なお、前記されていない測定条件については、以下の設定条件で測定した。
・カラムヘッド圧: 20psi
・試料導入方法: 分割(線流速 25ml/分)
・隔壁パージ: ヘリウム 3.0ml/分
・ディテクタ温度: 220℃
・ガス流量: 水素 40ml/分、空気 400ml/分、窒素 40ml/分
(3)シート状物の明度(L*値):
シート状物の起毛を有する面を測定面として、分光測色計を用いてJIS Z 8781−4「測色−第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間」の3.3で規定されるL*値を計測した。計測はMINOLTA製「CR−310」によって、10回測定し、その平均をシート状物のL*値とした。
(4)シート状物の摩擦堅牢度:
JIS L0849:2013「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」の「9.1 摩擦試験機I型(クロックメータ)法」に準じて摩擦堅牢度を測定した。測定後のサンプルの汚染度合いをJIS L0805:2005「汚染用グレースケール」に規定の汚染用グレースケールで判定し、4級以上を合格とした。
JIS L0849:2013「摩擦に対する染色堅ろう度試験方法」の「9.1 摩擦試験機I型(クロックメータ)法」に準じて摩擦堅牢度を測定した。測定後のサンプルの汚染度合いをJIS L0805:2005「汚染用グレースケール」に規定の汚染用グレースケールで判定し、4級以上を合格とした。
(5)シート状物の耐光堅牢度:
JIS L0843:2006「キセノンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法」に準じて、耐光堅牢度を測定した。照射後サンプルの変退色度合いをJIS L0804:2004「変退色用グレースケール」の変退色用グレースケールを用いて級判定し、4級以上を合格とした。
JIS L0843:2006「キセノンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法」に準じて、耐光堅牢度を測定した。照射後サンプルの変退色度合いをJIS L0804:2004「変退色用グレースケール」の変退色用グレースケールを用いて級判定し、4級以上を合格とした。
(6)シート状物の耐摩耗性:
JIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の 「8.19 摩耗強さ及び摩擦変色性」の「8.19.5 E法(マーチンデール法)」に準じて測定される耐摩耗試験において、「押圧荷重を家具、カーペット用など」の12.0kPaとし、20000回の回数を摩耗した後のシート状物の重量減を評価し、10mg以下を合格とした。
JIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の 「8.19 摩耗強さ及び摩擦変色性」の「8.19.5 E法(マーチンデール法)」に準じて測定される耐摩耗試験において、「押圧荷重を家具、カーペット用など」の12.0kPaとし、20000回の回数を摩耗した後のシート状物の重量減を評価し、10mg以下を合格とした。
<化学物質の表記>
次の符号をもって、表記する。
・DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
・PVA: ポリビニルアルコール
<原綿Aの製造>
芯成分ポリマー、鞘成分ポリマー、海成分ポリマーからなる3成分海島型複合繊維を、以下の条件で溶融紡糸した。
・芯成分ポリマー: 以下の成分(a)と(b)が94:6の質量比で混合したもの
(a) 1,2−プロパンジオールを15ppm含有し、固有粘度(IV)が0.73のポリエチレンテレフタレートA
(b) 上記ポリエチレンテレフタレートA中に、カーボンブラック(粒子径の平均:0.1μm、粒子径の変動係数:20%)が20質量%含有されている、マスターバッチ
・鞘成分ポリマー: 上記のポリエチレンテレフタレートA
・海成分ポリマー: MFRが65g/10分のポリスチレン
・口金: 島数が16島/ホールの3成分海島型複合用口金
・紡糸温度: 285℃
・芯成分/鞘成分 質量比率: 80/20
・島成分/海成分 質量比率: 80/20
・吐出量: 1.2g/(分・ホール)、
・紡糸速度: 1100m/分
次いで、90℃とした紡糸用油剤液浴中で2.8倍に延伸した。そして、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理した後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Aを得た。
次の符号をもって、表記する。
・DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
・PVA: ポリビニルアルコール
<原綿Aの製造>
芯成分ポリマー、鞘成分ポリマー、海成分ポリマーからなる3成分海島型複合繊維を、以下の条件で溶融紡糸した。
・芯成分ポリマー: 以下の成分(a)と(b)が94:6の質量比で混合したもの
(a) 1,2−プロパンジオールを15ppm含有し、固有粘度(IV)が0.73のポリエチレンテレフタレートA
(b) 上記ポリエチレンテレフタレートA中に、カーボンブラック(粒子径の平均:0.1μm、粒子径の変動係数:20%)が20質量%含有されている、マスターバッチ
・鞘成分ポリマー: 上記のポリエチレンテレフタレートA
・海成分ポリマー: MFRが65g/10分のポリスチレン
・口金: 島数が16島/ホールの3成分海島型複合用口金
・紡糸温度: 285℃
・芯成分/鞘成分 質量比率: 80/20
・島成分/海成分 質量比率: 80/20
・吐出量: 1.2g/(分・ホール)、
・紡糸速度: 1100m/分
次いで、90℃とした紡糸用油剤液浴中で2.8倍に延伸した。そして、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理した後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Aを得た。
<原綿Bの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.2μm、粒子径の変動係数:30%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Bを得た。
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.2μm、粒子径の変動係数:30%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Bを得た。
<原綿Cの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.05μm、粒子径の変動係数:25%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Cを得た。
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.05μm、粒子径の変動係数:25%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Cを得た。
<原綿Dの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.1μm、粒子径の変動係数:30%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Dを得た。
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.1μm、粒子径の変動係数:30%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Dを得た。
<原綿Eの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.1μm、粒子径の変動係数:30%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Eを得た。
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.1μm、粒子径の変動係数:30%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Eを得た。
<原綿Fの製造>
1,2−プロパンジオールを含むポリエチレンテレフタレートAに替えて、1,2−プロパンジオールを含まないポリエチレンテレフタレートBを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Fを得た。
1,2−プロパンジオールを含むポリエチレンテレフタレートAに替えて、1,2−プロパンジオールを含まないポリエチレンテレフタレートBを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Fを得た。
<原綿Gの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Gを得た。
・芯成分ポリマー: 前記の成分(a)と(b)が91:9の質量比で混合したもの
・芯成分/鞘成分 質量比率: 55/45
<原綿Hの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Hを得た。
・芯成分ポリマー: 前記の成分(a)と(b)が81:19の質量比で混合したもの
<原綿Iの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Iを得た。
・芯成分ポリマー: 以下の成分(c)と(d)が94:6の質量比で混合したもの
(c) 1,2−プロパンジオールを15ppm含有し、固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートC
(d) 上記ポリブチレンテレフタレートC中に、カーボンブラック(粒子径の平均:0.1μm、粒子径の変動係数:20%)が20質量%含有されている、マスターバッチ
・鞘成分ポリマー: 上記のポリブチレンテレフタレートC
<原綿Jの製造>
島成分ポリマー、海成分ポリマーからなる2成分海島型複合繊維を、以下の条件で溶融紡糸した。
・島成分ポリマー: 上記のポリエチレンテレフタレートA
・海成分ポリマー: MFRが65g/10分のポリスチレン
・口金: 島数が16島/ホールの海島型複合用口金
・紡糸温度: 285℃
・島成分/海成分 質量比率: 80/20
・吐出量: 1.2g/(分・ホール)、
・紡糸速度: 1100m/分
次いで、90℃とした紡糸用油剤液浴中で2.8倍に延伸した。そして、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理した後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Jを得た。
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Gを得た。
・芯成分ポリマー: 前記の成分(a)と(b)が91:9の質量比で混合したもの
・芯成分/鞘成分 質量比率: 55/45
<原綿Hの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Hを得た。
・芯成分ポリマー: 前記の成分(a)と(b)が81:19の質量比で混合したもの
<原綿Iの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Iを得た。
・芯成分ポリマー: 以下の成分(c)と(d)が94:6の質量比で混合したもの
(c) 1,2−プロパンジオールを15ppm含有し、固有粘度(IV)が1.75のポリブチレンテレフタレートC
(d) 上記ポリブチレンテレフタレートC中に、カーボンブラック(粒子径の平均:0.1μm、粒子径の変動係数:20%)が20質量%含有されている、マスターバッチ
・鞘成分ポリマー: 上記のポリブチレンテレフタレートC
<原綿Jの製造>
島成分ポリマー、海成分ポリマーからなる2成分海島型複合繊維を、以下の条件で溶融紡糸した。
・島成分ポリマー: 上記のポリエチレンテレフタレートA
・海成分ポリマー: MFRが65g/10分のポリスチレン
・口金: 島数が16島/ホールの海島型複合用口金
・紡糸温度: 285℃
・島成分/海成分 質量比率: 80/20
・吐出量: 1.2g/(分・ホール)、
・紡糸速度: 1100m/分
次いで、90℃とした紡糸用油剤液浴中で2.8倍に延伸した。そして、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理した後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Jを得た。
<原綿Kの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.0dtexの海島型複合繊維の原綿Kを得た。
・海成分ポリマー: MFRが18g/10分のポリスチレン
・島成分/海成分 質量比率: 55/45
・延伸比率: 3.4倍
<原綿Lの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が4.1dtexの海島型複合繊維の原綿Lを得た。
・海成分ポリマー: MFRが18g/10分のポリスチレン
・島成分/海成分 質量比率: 20/80
<原綿Mの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が7.3dtexの海島型複合繊維の原綿Mを得た。
・口金: 島数が8島/ホールの3成分海島型複合用口金
・島成分/海成分 質量比率: 80/20
<原綿Nの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.1μm、粒子径の変動係数:40%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Nを得た。
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.0dtexの海島型複合繊維の原綿Kを得た。
・海成分ポリマー: MFRが18g/10分のポリスチレン
・島成分/海成分 質量比率: 55/45
・延伸比率: 3.4倍
<原綿Lの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が4.1dtexの海島型複合繊維の原綿Lを得た。
・海成分ポリマー: MFRが18g/10分のポリスチレン
・島成分/海成分 質量比率: 20/80
<原綿Mの製造>
原綿Aの条件から以下の条件を替えた以外は、原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が7.3dtexの海島型複合繊維の原綿Mを得た。
・口金: 島数が8島/ホールの3成分海島型複合用口金
・島成分/海成分 質量比率: 80/20
<原綿Nの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.1μm、粒子径の変動係数:40%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Nを得た。
<原綿Oの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.3μm、粒子径の変動係数:20%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Oを得た。
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.3μm、粒子径の変動係数:20%のものを用いた以外は原綿Aの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Oを得た。
<原綿Pの製造>
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.04μm、粒子径の変動係数:20%のものを用いた以外は原綿Jの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Pを得た。
カーボンブラックとして、粒子の平均径:0.04μm、粒子径の変動係数:20%のものを用いた以外は原綿Jの製造と同様にして、単繊維繊度が3.8dtexの海島型複合繊維の原綿Pを得た。
[実施例1]
<絡合>
まず、原綿Aを用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。そして、2500本/cm2のパンチ本数でニードルパンチ処理して、目付が600g/m2で、厚みが3.0mmの絡合シートを得た。
<絡合>
まず、原綿Aを用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成した。そして、2500本/cm2のパンチ本数でニードルパンチ処理して、目付が600g/m2で、厚みが3.0mmの絡合シートを得た。
<水溶性樹脂の付与、脱海および圧縮>
上記のようにして得られた絡合シートを96℃の熱水で収縮処理させた後、これに、鹸化度が88%で、12質量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸させた。これをさらにロールで絞り、温度120℃の熱風で10分間PVAをマイグレーションさせながら乾燥させ、シート基体の質量に対するPVA質量が30質量%のPVA付シートを得た。このようにして得られたPVA付シートをトリクロロエチレンに浸漬させて、マングルによる搾液と圧縮を10回行った。これによって、海成分の溶解除去とPVA付シートの圧縮処理を行い、PVAが付与された極細繊維束が絡合してなる脱海PVA付シートを得た。
上記のようにして得られた絡合シートを96℃の熱水で収縮処理させた後、これに、鹸化度が88%で、12質量%のPVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸させた。これをさらにロールで絞り、温度120℃の熱風で10分間PVAをマイグレーションさせながら乾燥させ、シート基体の質量に対するPVA質量が30質量%のPVA付シートを得た。このようにして得られたPVA付シートをトリクロロエチレンに浸漬させて、マングルによる搾液と圧縮を10回行った。これによって、海成分の溶解除去とPVA付シートの圧縮処理を行い、PVAが付与された極細繊維束が絡合してなる脱海PVA付シートを得た。
<高分子弾性体の付与>
上記のようにして得られた脱海PVA付シートを、固形分濃度11.3%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬させた後にロールで絞った。次いで、DMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥させた。これによって、厚みが2.2mmで、繊維質基材の質量に対するポリウレタン質量が27質量%のポリウレタン付シートを得た。
上記のようにして得られた脱海PVA付シートを、固形分濃度11.3%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬させた後にロールで絞った。次いで、DMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥させた。これによって、厚みが2.2mmで、繊維質基材の質量に対するポリウレタン質量が27質量%のポリウレタン付シートを得た。
<半裁、起毛>
上記のようにして得られたポリウレタン付シートを厚さ方向に垂直に半裁した。半裁面をサンドペーパー番手180番のエンドレスサンドペーパーで表層部を0.25mm研削し、立毛面を形成させ、厚み0.75mmの立毛シートを得た。
上記のようにして得られたポリウレタン付シートを厚さ方向に垂直に半裁した。半裁面をサンドペーパー番手180番のエンドレスサンドペーパーで表層部を0.25mm研削し、立毛面を形成させ、厚み0.75mmの立毛シートを得た。
<染色、仕上げ>
上記のようにして得られた立毛シートを、液流染色機を用いて、120℃の温度条件下で黒色染料を用いてシート状物のL*値が22となるように調整したレサイプにて染色した。その後、100℃の温度で7分間、乾燥処理を行って、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が230g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
上記のようにして得られた立毛シートを、液流染色機を用いて、120℃の温度条件下で黒色染料を用いてシート状物のL*値が22となるように調整したレサイプにて染色した。その後、100℃の温度で7分間、乾燥処理を行って、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が230g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
[実施例2〜10]
原綿B〜Jを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が235g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
原綿B〜Jを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が235g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
[実施例11]
原綿Kを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が3.1μmで、目付が233g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
原綿Kを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が3.1μmで、目付が233g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
[実施例12]
原綿Lを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が1.2μmで、目付が238g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
原綿Lを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が1.2μmで、目付が238g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
[実施例13]
原綿Mを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が7.7μmで、目付が231g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
原綿Mを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が7.7μmで、目付が231g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、優れた堅牢性と耐摩耗性を有していた。結果を表1に示す。
[比較例1]
原綿Nを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が229g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、摩擦堅牢度と耐摩耗性に劣るものであった。結果を表1に示す。
原綿Nを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が229g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、摩擦堅牢度と耐摩耗性に劣るものであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
原綿Oを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が229g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、耐摩耗性に劣るものであった。結果を表1に示す。
原綿Oを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が229g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、耐摩耗性に劣るものであった。結果を表1に示す。
[比較例3]
原綿Pを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が229g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、摩擦堅牢度に劣るものであった。結果を表1に示す。
原綿Pを用いた以外は実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が4.4μmで、目付が229g/m2、厚みが0.85mmのシート状物を得た。得られたシート状物は、摩擦堅牢度に劣るものであった。結果を表1に示す。
表1の実施例1〜13に示すように、顔料を含むポリエステル極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物において、顔料の粒子径の平均が0.3〜0.8μmかつ変動係数(CV)が50%以下の場合、L*値22の濃色に染色した場合でも堅牢性および耐摩耗性に優れたものとなる。
これに対し、比較例3のように粒子径の平均が小さい顔料を用いると、粒子径の小さい顔料が極細繊維から脱落しやすいため摩擦堅牢度と耐光堅牢度に劣るものとなる。また、比較例2のように粒子径の平均が大きすぎると、極細繊維の強度が低下するため耐摩耗性が劣るものとなる。粒子径の平均が0.3〜0.8μmであっても、比較例1のように変動係数が大きく粒子径のバラツキが多いと、粒子径の小さい顔料が脱落しやすく、また粒子径の大きい顔料が極細繊維の強度低下を招くため、摩擦堅牢度と耐摩耗性に劣るものとなる。
Claims (7)
- 平均単繊維直径が1μm以上8μm以下の極細繊維からなる繊維絡合体と高分子弾性体からなるシート状物であって、前記極細繊維は、粒子径の平均が0.3μm以上0.8μm以下、かつ、前記粒子径の変動係数(CV)が50%以下の顔料を含むポリエステルからなる繊維である、シート状物。
- 前記顔料が、カーボンブラックである、請求項1に記載のシート状物。
- 前記極細繊維に含まれる顔料の含有量が、0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1または2に記載のシート状物。
- 前記極細繊維が、芯鞘構造を有する芯鞘複合繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物。
- 前記顔料が、前記芯鞘複合繊維のうち、鞘成分に含まれない、請求項4に記載のシート状物。
- 前記芯鞘複合繊維の芯成分と鞘成分の質量比が、芯成分:鞘成分=95:5〜50:50の範囲である、請求項4または5に記載のシート状物。
- 前記ポリエステル中に1,2−プロパンジオールを1ppm以上500ppm以下含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のシート状物。
Applications Claiming Priority (2)
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WO2020189592A1 (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 東レ株式会社 | シート状物 |
JP2021055206A (ja) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 | 東レ株式会社 | 人工皮革およびその製造方法 |
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