JP2011148887A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、射出成形法が適用でき、圧縮永久歪が小さく、かつ、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーを、成形中のゴム部の架橋である動的架橋を用いず、安価な汎用熱可塑性硬質樹脂を用いて提供することである。
【構成】本発明は、架橋ゴム粒子含有重合体60〜99重量部、及び熱可塑性硬質樹脂1〜40重量部を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記架橋ゴム粒子の体積平均一次粒子径が1nm〜3000nmであり、かつ、前記熱可塑性硬質樹脂が、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアミドからなる群から選ばれる1種以上である熱可塑性エラストマー組成物に関する。前記架橋ゴム粒子は好ましくは、多官能性単量体2〜10重量%を含む架橋ゴム用単量体100重量%の架橋アクリルゴム重合体の粒子である。
【選択図】なし

Description

本発明は熱可塑性エラストマー組成物に関し、特に、その成形性に優れ、成形体の圧縮永久歪が小さく、かつ、耐油性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する。
耐油性の高い熱可塑性エラストマーとして、主に縮重合反応により合成される結晶性ブロック共重合体であって、ハードセグメントが結晶性である熱可塑性エラストマーが知られている。例えば、ハードセグメントがポリエステルからなり、ソフトセグメントがポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー、ハードセグメントがポリアミドからなり、ソフトセグメントがポリエーテルからなるポリアミド系エラストマーなどが知られている。これらは柔軟性に乏しいことから、圧縮永久ひずみが充分でなく、加えて、ハードセグメント中へのソフトセグメントの混合が避けられないことから、高温の圧縮永久歪みが充分でなく、このため、用途が制限されている。この柔軟性を改良するためには、ポリマー中のソフトセグメントの含有量を多くする必要がある。ところが、ソフトセグメントの含有量を多くすると、耐油性・高温の圧縮永久歪みが劣ることが知られている。また、軟質化する他の方法として有機化合物からなる軟化剤を添加する方法が知られているが、ポリエステル系エラストマー、ポリアミドエラストマーは結晶性樹脂であり、軟化剤をあまり吸わないため、その軟化効果は小さい。加えて、使用中にブリード現象が起こるという欠点がある。
特許文献1には、この問題を解決するために、上記ポリエステル系エラストマーである熱可塑性コポリエステルエラストマーや、上記ポリアミド系エラストマーである熱可塑性コポリアミドエラストマーに、コアシェル型のゴムを添加した柔軟でかつ引張永久伸びおよび耐圧縮性に優る熱可塑性エラストマーが開示されている。この技術は、ソフトセグメントの含有量を増やす代わりに、耐油性の優れたコアシェル型のゴム(例えば、アクリルゴム)を添加することで、優れた耐油性を維持したまま、柔軟性を付与することを意図したものであるが、前述したように、熱可塑性コポリアミドエラストマーや熱可塑性コポリエステルエラストマーは、ハードセグメント中へのソフトセグメントの混合が避けられないことから、高温での圧縮永久歪みが充分でなく、用途が制限されている。
一方、優れた耐油性を維持したまま、充分な柔軟性を持たせ、高温の圧縮永久歪みを改良した熱可塑性エラストマーとして、ポリアミドとアクリルゴム・ニトリルゴム・ポリエーテルゴムの動的架橋型熱可塑性エラストマーである特許文献2が知られている。しかし、成形をする際、流動性が悪いという問題があった。加えて、圧縮永久歪みも充分とは言えなかった。更に、このような動的架橋を用いた製造方法においては、原材料の溶融時に架橋剤等の添加条件により得られる熱可塑性エラストマーの物性が大きく変化することから、製造条件の管理が煩雑となるため容易に製造可能な熱可塑性エラストマーが求められている。
一方、圧縮永久ひずみの優れる熱可塑性エラストマーとして、特許文献3に開示されているように有機過酸化物を用いて部分架橋したモノオレフィン共重合体ゴムとポリオレフィン樹脂との熱可塑性ブレンドあるいはモノオレフィン共重合体ゴムとポリオレフィン樹脂に架橋助剤として有機過酸化物を用いて溶融混練を行い、部分架橋した組成物、すなわち動的に熱処理(動的架橋)により得られる組成物がこれに該当する(現在Santpreneという商標でエクソンモービル社から販売されている)。しかし、この組成物はポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィンゴムからなるため、耐油性に劣るという欠点があり、用途が制限されている。また、前述したように動的架橋を用いた製造方法においては、原材料の溶融時に架橋剤の添加条件により得られる熱可塑性エラストマーの物性が大きく変化することから、製造条件の管理が煩雑であるという問題があり、容易に製造可能な熱可塑性エラストマーが求められている。
特開平8−231770号公報 国際公開WO2006/003973パンフレット 特開昭47−018943号公報
本発明の課題は、射出成形法が適用でき、圧縮永久歪が小さく、かつ、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーを、成形中のゴム部の架橋である動的架橋を用いず、安価な汎用熱可塑性硬質樹脂を用いて提供することである。なお、本願において、前記動的架橋とは、本願におけるコアシェルのシェルとマトリックス樹脂との反応を含まず、ゴム重合体を反応時に架橋することを示す。
本発明者らは鋭意検討した結果、射出成形法が適用でき、圧縮永久歪が小さく、かつ、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーを、動的架橋を用いず、安価な汎用熱可塑硬質樹脂と既架橋ゴムとの単純ブレンドにより得ることに成功した。
すなわち、本発明は、架橋ゴム粒子含有重合体60〜99重量部、及び熱可塑性硬質樹脂1〜40重量部を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記架橋ゴム粒子の体積平均一次粒子径が1nm〜3000nmであり、かつ、前記熱可塑性硬質樹脂が、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアミドからなる群から選ばれる1種以上である熱可塑性エラストマー組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記架橋ゴム粒子含有重合体を、ガラス転移温度が25℃以下の架橋ゴム粒子60〜100重量%からなるコア層、及びシェル重合体0〜40重量%からなるシェル層からなるコアシェル重合体100重量%とすることである。
好ましい実施態様は、前記架橋ゴム粒子を、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、及び、シリコンゴムからなる群から選ばれる1種以上の粒子とすることである。
好ましい実施態様は、前記架橋ゴム粒子を、アクリル酸エステル30〜99.9重量%、多官能性単量0.1〜10重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜69.9重量%からなる架橋ゴム用単量体100重量%の重合体の粒子とすることである。
好ましい実施態様は、前記架橋ゴム用単量体中の前記多官能性単量体を、2〜5重量%とすることである。
好ましい実施態様は、前記熱可塑性エラストマー組成物の成形体の圧縮永久歪みであって、JIS−K6262(70℃、22時間)に準拠して測定された圧縮永久歪みが、60%以下である熱可塑性エラストマー組成物とすることである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、高度に制御された架橋ゴム粒子と特定の熱可塑性硬質樹脂とをブレンドした組成物なので、動的架橋しなくても、安価な汎用熱可塑性硬質樹脂、及び安価な既架橋ゴムとの組み合わせであるにもかかわらず、その成形体は、圧縮永久歪が小さく、柔軟性に優れ、かつ、耐油性・耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーとなる。
(熱可塑性エラストマー組成物)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、架橋ゴム粒子含有重合体60〜99重量部、及び熱可塑性硬質樹脂1〜40重量部を含み、前記架橋ゴム粒子の体積平均一次粒子径が1nm〜3000nmである熱可塑性エラストマー組成物である。
前記熱可塑性硬質樹脂は、本発明に係る低圧縮永久歪や耐熱性を確保する観点から、耐熱性ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアミドからなる群から選ばれる1種以上であることを要し、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を耐油性熱可塑性エラストマーとして用いる場合には、耐油性・高温の圧縮永久歪み・成形性の観点から、ポリエステル、及びポリアミドからなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、耐油性の観点から、さらに好ましくはポリアミドである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、基本的に架橋ゴム粒子、及び熱可塑性硬質樹脂からなり、動的架橋した熱可塑性エラストマーやソフトセグメント、及びハードセグメントからなるブロック共重合体熱可塑性エラストマー等の従来の熱可塑性エラストマーではないが、本発明の組成物の成形体の圧縮永久歪みや耐熱性等の物性を調整するためにこれら従来の熱可塑性エラストマーを適宜添加して使用することもできる。
このような本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体の圧縮永久歪みであって、JIS−K6262(70℃、22時間)に準拠して測定された圧縮永久歪みは、小さければ小さいほど好ましいが、好ましくは60%以下となる。
本発明の組成物は、本発明に係る架橋ゴム粒子、及び本発明に係る熱可塑性硬質樹脂を主成分とし、好ましくは、前記シェル層を形成するシェル重合体を含む、熱可塑性硬質樹脂との比率は、熱可塑性エラストマーの柔らかさの指標である、例えばJIS K 7215に示されている、デュロメータ硬さを低くする観点から、架橋ゴム粒子、及び前記熱可塑性硬質樹脂の合計の重量を100重量部としたときに、架橋ゴム粒子60〜99重量部、及び熱可塑性硬質樹脂1〜40重量部からなることを要し、好ましくは架橋ゴム粒子65〜99重量部、熱可塑性硬質樹脂1〜35重量部とすること、より好ましくは、架橋ゴム粒子70〜97重量部、熱可塑性硬質樹脂3〜30重量部とすること、さらに好ましくは、架橋ゴム粒子80〜97重量部、熱可塑性硬質樹脂3〜20重量部とすることである。特に好ましくは、架橋ゴム粒子85〜95重量部、熱可塑性硬質樹脂5〜15重量部とすることである。
本発明に係る架橋ゴム粒子は、成形前の状態においては、体積平均粒子径1〜3000nmのコア、及び該コアを覆う平均厚み0〜500nmのシェルからなる、体積平均一次粒子径が50〜4000nmのコアシェル構造のコアであることが好ましい。このようなコアシェル構造のグラフト共重合体の一次粒子が、緩やかに凝集し、数平均二次粒子径が10〜5000μmの粉体となっていることがより好ましく、本発明の熱可塑性エラストマー組成物としては、このような粉体、及び本発明に係る熱可塑性硬質樹脂のブレンド物であることが好ましい。
(成形体)
本発明のエラストマー組成物は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法、回転成形法、プレス成形法等の方法で熱成形された成形体として使用に供される。
このような本発明に係る成形体は、好ましくは、前記シェル層を形成するシェル重合体を含む本発明に係る熱可塑性硬質樹脂の海、及び前記架橋ゴム粒子の島からなる海島構造を有し、前記本発明に係る熱可塑性硬質樹脂を主成分とする前記海により成形体自体が高耐熱性を有するだけでなく、架橋密度が高い架橋ゴム粒子を前記島として、好ましくはその島の粒径が揃った状態で含むので、圧縮永久歪みが小さいという優れた特徴を有し、また、結晶性に優れる前記熱可塑性硬質樹脂を主成分とする前記海構造を有する場合には、耐油性に優れるので、自動車用シール部材、ホース部材、ブーツ等に好適に用いられる。
(熱可塑性硬質樹脂)
本発明に係る熱可塑性硬質樹脂は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成形体において、好ましくは前記シェル層を形成するシェル重合体と共に、上述の海島構造の海となる部分であり、上述したように耐熱性ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアミドからなる群から選ばれる1種以上であることを要し、高温での圧縮永久歪みの観点から、耐熱性ポリエステル、ポリアミドの場合は、その融点が150℃以上であることが好ましく、より好ましくは170℃以上であること、さらに好ましくは190℃以上であること、特に好ましくは200℃以上である。また、ポリカーボネートの場合は、そのガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上である。
(ポリアミド)
本発明に用いるポリアミド樹脂(A)は、酸アミド結合(−CONH−)を有する重合体であれば限定されないが、例えば、ジアミンと二塩基酸との重縮合により得られる重合体、ジホルミルなどのジアミン誘導体と二塩基酸との重縮合により得られる重合体、ジメチルエステルなどの二塩基酸誘導体とジアミンとの重縮合により得られる重合体、ジニトリル又はジアミドとホルムアルデヒドとの反応により得られる重合体、ジイソシアナートと二塩基酸との重付加により得られる重合体、アミノ酸又はその誘導体の自己縮合により得られる重合体、ラクタムの開環重合により得られる重合体などが挙げられる。また、これらのポリアミド樹脂は、ポリエーテルブロックを含有していてもよい。
これらのポリアミド樹脂の具体例としては、脂肪族ポリアミドであるナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10−ナイロン、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン7、9ナイロン、芳香族ポリアミドであるナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9TナイロンM5Tなどが挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点から、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11及びナイロン12が好ましい。さらに耐熱性の観点から、ナイロン6、ナイロン66がより好ましい。
本発明で用いるポリアミドは、融点が、通常、160〜300℃、好ましくは165〜270℃、より好ましくは170〜230℃のものである。融点が低すぎると得られる熱可塑性エラストマーの耐熱性が劣るおそれがあり、逆に高すぎると高い加工温度が必要となり、加工時にゴム(B)が劣化する可能性がある。
(ポリエステル)
前記ポリエステルとは、ジカルボン酸、又はジカルボン酸のアルキルエステルのような誘導体と、ジオールとの重縮合物によって得られたものや、一分子中にカルボン酸、又はカルボン酸のアルキルエステルのような誘導体と水酸基とを共に有する単量体を重縮合したもの、一分子中に環状エステル構造を有する単量体を開環重合したものである、飽和ポリエステル樹脂である。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。ジオールとしては、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。一分子中にカルボン酸、又はカルボン酸のアルキルエステルのような誘導体と水酸基を共に有する単量体としては乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシヘキサン酸等のヒドロキシアルカン酸が挙げられる。一分子中に環状エステル構造を有する単量体としてはカプロラクトン等が挙げられる。
前記ポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシヘキサン酸)、ポリコハク酸エチレン、ポリコハク酸ブチレン、ポリアジピン酸ブチレン、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(α−オキシ酸)や、これらの共重合体、これらのブレンド物が例示されるが、本発明においてはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸が特に好ましい。
(ポリカーボネート)
前記ポリカーボネートとは、二価フェノールと、ホスゲン、又はカーボネート前駆体と、を反応させて得られるポリカーボネート樹脂を主成分とする樹脂である。
(架橋ゴム粒子含有重合体)
本発明に係る架橋ゴム粒子含有重合体は、体積平均一次粒子径が1nm〜3000nmの架橋ゴム粒子を含む重合体であって、好ましくは、ガラス転移温度が25℃以下の本発明に係る架橋ゴム粒子60〜100重量%からなるコア層、及びシェル重合体0〜40重量%からなるシェル層からなるコアシェル重合体100重量%である。
なお、重合体のガラス転移温度(以下,Tgとも言う)は、例えば、示差熱走査熱量系により測定することができるが、本発明においては、ポリマーハンドブック[Polymer Hand Book (J.Brandrup,Interscience1989)]に記載されている値を使用してFoxの式を用いて算出した値を用いることにする。
(架橋ゴム粒子)
本発明に係る架橋ゴム粒子は乳化重合法、分散重合法、マイクロ懸濁重合法、懸濁重合法などによって調製できるが、目的とする一次粒子径とするために、乳化重合法、分散重合法、マイクロ懸濁重合法が好ましく、揃った一次粒子径とするために、乳化重合法、分散重合法が好ましい。
本発明に係る架橋ゴム粒子は、前記成形体中で、上述したように海島構造の島部を構成する部分であり、ゴム弾性付与の観点から、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、及びシリコンゴムからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、その中でも耐油性の観点から、アクリルゴム、及びシリコンゴムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、特に好ましくは、ゴム弾性、及び耐油性に優れるアクリルゴムである。
また、本発明に係る架橋ゴム粒子のガラス転移温度は、上述のデュロメータ硬さを低くする観点から、25℃以下であることが好ましく、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下、特に好ましくは、−20℃以下である。
このような架橋ゴム粒子は、架橋ゴム用単量体を重合してなる重合体、即ち、架橋ゴム用単量体の重合体の粒子であり、前記架橋ゴム用単量体中の前記多官能性単量体は、低圧縮永久歪みとするために、好ましくは2〜5重量%である。
さらに、本発明に係る架橋ゴム粒子は、上述のように、体積平均一次粒子径が1〜3000nmのコア層であるが、成形体中において前記島部を形成した時に、より優れた圧縮永久歪み得られる組成物とする観点からは、前記体積平均粒子径は、50〜2000nmであることが好ましく、より好ましくは、80〜1000nmであり、
乳化重合で平均一次粒子径を揃えて重合できるので更に好ましくは50〜800nm、特に好ましくは200〜300nmとすることである。混練レベルの低い混練機を用いる場合は、架橋ゴム粒子の分散性の観点から、体積平均粒子径は100〜3000nmが好ましく、より好ましくは、300〜2000nmが好ましい。加えて、この一次粒子径は揃っていることが好ましく、体積平均粒子径の変動係数は100以下が好ましく、より好ましくは70以下、さらに好ましくは30以下、さらに好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは1以下、特に好ましくは0.5以下である。
前記アクリルゴムは、アクリルモノマーを主成分として重合される重合体であり、このようなアクリルモノマーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、から選ばれる1種以上が、ゴム特性、耐油性が優れていることから好ましいが、特に好ましくは、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチルである。
前記シリコンゴムとしては、例えばジメチルシリルオキシ、ジエチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ等の、アルキル或いはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系重合体が好ましく例示され、具体的には、1,3,5,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)に代表される環状シロキサンや、好ましくは重量平均分子量が500〜20,000以下の直鎖状、又は分岐状のオルガノシロキサンオリゴマーを主成分とするオルガノシロキサン系ゴム重合体形成用単量体を、酸や、アルカリ、塩、フッ素化合物などの触媒を用いて、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法で重合したポリオルガノシロキサンの粒子を好ましく例示することができる。
また、前記オルガノシロキサン系ゴム重合体形成用単量体100重量%中には、架橋構造を形成する観点から、メチルトリエトキシシラン、テトラプロピルオキシシランなどの3官能以上のアルコキシシラン、及びメチルオルソシリケートなどの3官能以上のシランの縮合体からなる群から選ばれる1種以上が、0.1〜20重量%含まれていることが好ましいく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
さらに、前記オルガノシロキサン系ゴム重合体形成用単量体100重量%中には、アリル置換基をこのオルガノシロキサン系ゴム重合体に導入することで、本発明に係るシェル重合体(S)を、このシロキサンゴムに接してグラフト重合することにより、シリコンゴムのシェル重合体(S)による被覆を十分なものとして、上述した海島構造を意図通りに形成し、永久圧縮歪みを小さくする観点から、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルフェニルジメトキシメチルシランなどの2官能の加水分解性基、及びビニル基を含有するシラン化合物であるグラフト交叉剤が、0重量%〜50重量%含まれていることが好ましい。
(架橋ゴム用単量体)
本発明に係る架橋ゴム用単量体100重量%は、耐油性、及び圧縮永久歪みを小さくする観点から、本発明の架橋ゴム用単量体を好ましくはアクリルゴムとした場合には、アクリル酸エステル化合物30〜99.9重量%、多官能性単量体0.1〜10重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜69.9重量%からなることが好ましく、より好ましくは、アクリル酸エステル化合物50〜99.5重量%、多官能性単量体0.5〜5重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%とすること、さらに好ましくは、アクリル酸エステル化合物60〜99重量%、多官能性単量体1〜5重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜39重量%とすること、特に好ましくは、アクリル酸エステル化合物70〜98重量%、多官能性単量体2〜5重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜28重量%とすることである。
(アクリル酸エステル化合物)
前記架橋ゴム用単量体に用いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル類;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有し、ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル類;アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有するアクリル酸エステル類;アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有し、アルコキシル基を有するアクリル酸エステル類が挙げられる。前記アクリル酸エステル類のアルキル基の炭素数については必ずしも制限されるものではないが、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、アルキル基の炭素数が22以下のアクリル酸エステル類が好適に使用されうる。中でも、重合性が優れ、安価で汎用的に用いられている、アルキル基の炭素数が12以下のアクリル酸エステル類が好適に使用される。特に耐油性、圧縮永久歪みの観点から、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチルが好適に使用され得る。なお、これらは単独で用いても良く、2種以上組み合わせても良い。
(ビニルシアン化合物)
前記ビニルシアン化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられるが、硬さの観点から好ましくは、アクリロニトリルである。
(多官能性単量体)
前記多官能性モノマーとしては、ブタジエンは含まれず、アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレート等のアリルアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、グリシジルジアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。特に好ましくはアリルメタアクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン(DVB)である。
(これらと共重合可能な不飽和単量体)
前記これらと共重合可能な不飽和単量体としては、前記(メタ)アクリル酸エステル化合物、前記ビニルシアン化合物、及び前記多官能性単量体以外の二重結合を有する化合物であって、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−又は2−ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン等のビニルアレーン類;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メサコン酸等のビニルカルボン酸類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類等が挙げられる。耐油性、熱可塑性硬質樹脂との接着性の観点から好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。これらのビニル系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(シェル重合体)
前記シェル重合体は、シェル重合体用単量体を重合してなる重合体、即ち、シェル重合体用単量体の重合体である。
このようなシェル重合体用単量体100重量%は、耐油性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル化合物、及びビニルシアン化合物からなる群から選ばれる1種以上の単量体50〜100重量%、多官能性単量体0〜10重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜50重量%からなることが好ましく、耐油性をさらに向上させる観点から、より好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル化合物、及びビニルシアン化合物からなる群から選ばれる1種以上の単量体60〜100重量%、多官能性単量体0〜10重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜40重量%とすることである。
熱可塑性硬質樹脂との接着性の観点からグリシジル基、酸基、ヒドロキシル基等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルと反応しうる官能基を有する単量体を使用することが好ましい。
((メタ)アクリル酸エステル化合物)
前記シェル重合体用単量体に用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有し、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有し、アルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。前記(メタ)アクリル酸エステル類のアルキル基の炭素数については必ずしも制限されるものではないが、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、アルキル基の炭素数が22以下の(メタ)アクリル酸エステル類が好適に使用されうる。中でも、重合性が優れ、安価で汎用的に用いられている、アルキル基の炭素数が12以下の(メタ)アクリル酸エステル類が好適に使用される。特に耐油性、圧縮永久歪みの観点から、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルが好適に使用され得る。加えて、熱可塑性硬質樹脂との接着性の観点からグリシジル基、酸基、ヒドロキシル基等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルと反応しうる官能基を有する単量体を使用することが好ましい。なお、これらは単独で用いても良く、2種以上組み合わせても良い。
(配合剤)
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、通常使用される配合剤を適宜添加することができる。そのような添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、繊維強化剤、充填剤、酸化防止剤、顔料、導電性付与剤、加水分解抑制剤、増粘剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動性改良剤、離型剤、相溶化剤、熱安定剤等が挙げられる。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(硬さ試験)
硬さ試験はJIS K−6253に準じて、タイプAデュロメータ硬さ試験で、厚さ2.0mmの試験片を3枚重ねた試験片に、1.0kgの荷重をかけ、荷重が試験片の加圧面に密着してから1秒以内の標準硬さを読み取ることで実施した。
(永久歪み試験)
永久ひずみ試験はJIS K−6262に準じて、大形試験片を用い、70℃もしくは150℃、22時間、試験片を圧縮する割合25%の条件で実施し、圧縮解除後、23℃、30分放置後の圧縮変形残存量を、前記25%を100%として測定した。
(耐油性試験)
耐油性試験はJIS K−6258に準じて、サンプルをJISの規定によるNo.3油に、70℃、72時間浸漬し、浸漬前後の重量変化率を測定することで実施した。
(実施例1)
(架橋ゴム粒子含有重合体Aのラテックスの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水140重量部、パルミチン酸カリウム0.05重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら40℃に昇温した。次にブチルアクリレート(以下BAとも言う)8.39重量部、アリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.11重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。60分攪拌後、そこにパルミチン酸カリウム0.08重量部仕込んだ。10分攪拌後、そこにBA80.44重量部、AMA1.06重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.2重量部からなる単量体の混合物を360分を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1,0重量部のパルミチン酸カリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを360分にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、60分攪拌を続け、架橋ゴム粒子のラテックスを得た。
そこに、シェル成分として、メチルメタクリレート(以下、MMAとも言う)9.5重量部、ブチルアクリレート(以下、BAとも言う)0.5重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を45℃で60分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.1重量部を添加し、さらに60分攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.3%であった。
以上により、体積平均一次粒子径が270nm、変動係数0.13でガラス転移温度(以下、Tgとも言う)が−54℃の架橋ゴム粒子90重量%からなるコア層、Tgが92℃のシェル重合体10重量%からなるシェル層からなるコアシェル重合体100重量%であり、また、架橋ゴム用単量体中の多官能性単量体が1.3重量%である架橋ゴム粒子含有重合体Aのラテックスを得た。なお、この架橋ゴム粒子含有重合体Aの体積平均粒子径は、動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)を測定原理とするMICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)により測定し、同時に測定される粒度分布より計算される体積平均粒子径の標準偏差を、この体積平均粒子径で除したものを変動係数とした。
(架橋ゴム粒子含有重合体Aの粉末の作製)
架橋ゴム粒子含有共重合体Aのラテックスを温度30℃に冷却し、加圧ノズルの一種である旋回流式円錐ノズルでノズル径0.6mmを用い、噴霧圧力3.7kg/cm2にて、塔底部液面からの高さ5m、直径60cmの円筒状の装置中に、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧した。それと同時に、35重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、塩化カルシウム固形分がコアシェル重合体Aの固形分100重量部に対し5〜15重量部となるように二流体ノズルにて空気と混合しながら、液滴径0.1〜10μmで噴霧した。塔内を落下したラテックス液滴は、塔底部にて30℃の1.0重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を入れた受槽に投入され、これを回収した。
得られた凝固ラテックス粒子水溶液に、5重量%濃度のパルミチン酸カリウム水溶液をパルミチン酸カリウム固形分がコアシェル重合体A固形分100重量部に対し1.5重量部となるよう添加し、熱処理した後脱水、乾燥することにより、白色樹脂粉末を調製した。
調整した架橋ゴム粒子含有重合体Aの組成等を、後述する架橋ゴム粒子含有重合体B〜Dの組成等と共に表1に示す。
Figure 2011148887
(熱可塑性エラストマー成形体の調製)
架橋ゴム粒子含有重合体A粉末70重量部と融点が220℃の6ナイロン(宇部興産製 UBEナイロン1013B)30重量部を混合し、日本製鋼所製TEX44を用い、C2−3/C4/C5/C6−7/C8/C9/DIE=220/220/230/230/240/240/240℃、スクリュー回転数70rpm、クマエンジニアリング社製のフィーダー、アキュレート型式102を用い回転数400rpmの条件でペレット化を行った。
得られたペレットをファナック社製FANUC AUTOSHOT−MODEL 100Bを用い、ノズル温度240℃、シリンダー温度はノズルに近い側から250℃、230℃、195℃、金型温度80℃で射出成型を行い、厚さ2.0mmの成型板を得た。
(熱可塑性エラストマー成形体の評価)
得られた成形体から各種評価試験片の切り出しを行い、硬さ試験、永久ひずみ試験、及び耐油性試験を実施した。試験結果を表2に後述する各実施例、及び各比較例の結果と共に示す。
Figure 2011148887
(実施例2)
(架橋ゴム粒子含有重合体Bのラテックスの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水140重量部、パルミチン酸カリウム0.05重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら40℃に昇温した。次にブチルアクリレート(以下BAとも言う)8.33重量部、アリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.17重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。60分攪拌後、そこにパルミチン酸カリウム0.08重量部仕込んだ。10分攪拌後、そこにBA79.87重量部、AMA1.63重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.2重量部からなる単量体の混合物を360分を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1.0重量部のパルミチン酸カリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを360分にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、60分攪拌を続け、架橋ゴム粒子のラテックスを得た。
そこに、シェル成分として、メチルメタクリレート(以下、MMAとも言う)9.5重量部、ブチルアクリレート(以下、BAとも言う)0.5重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を45℃で60分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.1重量部を添加し、さらに60分攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.0%であった。
以上により、体積平均一次粒子径が270nm、変動係数0.13でTgが−54℃の架橋ゴム粒子90重量%らなるコア層、Tgが92℃のシェル重合体10重量%からなるシェル層からなるコアシェル重合体100重量%であり、また、架橋ゴム用単量体中の多官能性単量体が2重量%である架橋ゴム粒子含有重合体Bのラテックスを得た。なお、この体積平均粒子径等は実施例1と同様にして測定した。
(コアシェル重合体Bの粉末の作製)
実施例1と同様の方法で白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性エラストマー成形体の調製)
実施例1と同様の方法で厚さ2.0mmの成形板を得た。
(熱可塑性エラストマー成形体の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。
(実施例3)
(架橋ゴム粒子含有重合体Cのラテックスの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水140重量部、パルミチン酸カリウム0.05重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら40℃に昇温した。次にブチルアクリレート(以下BAとも言う)8.07重量部、アリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.43重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。60分攪拌後、そこにパルミチン酸カリウム0.08重量部仕込んだ。10分攪拌後、そこにBA77.42重量部、AMA4.08重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.2重量部からなる単量体の混合物を360分を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1.0重量部のパルミチン酸カリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを360分にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.1重量部を添加し、さらに60分攪拌を続けて重合を完結させ、架橋ゴム粒子のラテックスを得た。
そこに、シェル成分として、メチルメタクリレート(以下、MMAとも言う)9.5重量部、ブチルアクリレート(以下、BAとも言う)0.5重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を45℃で60分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.1重量部を添加し、さらに60分攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.1%であった。
以上により、体積平均一次粒子径が270nm、変動係数0.13でTgが−54℃の架橋ゴム粒子90重量%らなるコア層、Tgが92℃のシェル重合体10重量%からなるシェル層からなるコアシェル重合体100重量%であり、また、架橋ゴム用単量体中の多官能性単量体が5重量%である架橋ゴム粒子含有重合体Cのラテックスを得た。なお、この体積平均粒子径等は実施例1と同様にして測定した。
(コアシェル重合体C粉末の作製)
実施例1と同様の方法で白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性エラストマー成形体の調製)
実施例1と同様の方法で厚さ2.0mmの成形板を得た。
(熱可塑性エラストマー成形体の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。
(実施例4)
(架橋ゴム粒子含有重合体Dのラテックスの作製)
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水140重量部、パルミチン酸カリウム0.05重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら40℃に昇温した。次にブチルアクリレート(以下BAとも言う)8.33重量部、アリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.17重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.006重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。60分攪拌後、そこにパルミチン酸カリウム0.08重量部仕込んだ。10分攪拌後、そこにBA89.67重量部、AMA1.83重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.2重量部からなる単量体の混合物を360分を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1.0重量部のパルミチン酸カリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを360分にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.1重量部を添加し、さらに60分攪拌を続けて重合を完結させ、架橋ゴム粒子のラテックスを得た。単量体成分の重合転化率は99.1%であった。
以上により、体積平均一次粒子径が280nm、変動係数0.13でTgが−54℃の架橋ゴム粒子100重量%らなる架橋ゴム粒子含有重合体100重量%であり、また、架橋ゴム用単量体中の多官能性単量体が2重量%である架橋ゴム粒子含有重合体Dのラテックスを得た。なお、この体積平均粒子径等は実施例1と同様にして測定した。
(コアシェル重合体D粉末の作製)
実施例1と同様の方法で白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性エラストマー成形体の調製)
実施例1と同様の方法で厚さ2.0mmの成形板を得た。
(熱可塑性エラストマー成形体の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で白色樹脂粉末を調製した。
(熱可塑性エラストマー成形体の調製)
コアシェル重合体Aをファナック社製FANUC AUTOSHOT−MODEL 100Bを用い、ノズル温度240℃、シリンダー温度はノズルに近い側から250℃、230℃、195℃、金型温度80℃で射出成型を行ったが、金型の端部まで樹脂が流れず成形不良となった。
(熱可塑性エラストマー成形体の評価)
成形不良であったため、評価は行わなかった。
(比較例2)
動的架橋した熱可塑性エラストマーであるエクソンモービル社製Santprene211−75を、ファナック社製FANUC AUTOSHOT−MODEL 100Bを用い、ノズル温度210℃、シリンダー温度はノズルに近い側から200℃、190℃、180℃、金型温度60℃で射出成型を行い、厚さ2.0mmの成型板を得て、実施例1と同様の方法で評価した。
(比較例3)
アクリルゴムと、ナイロン6を組み合わせた動的架橋熱可塑性エラストマーであるゼオンケミカルL.P社製ゼオサーム(登録商標)ZEOTHERM110−70Bを、ファナック社製FANUC AUTOSHOT−MODEL 100Bを用い、ノズル温度240℃、シリンダー温度はノズルに近い側から250℃、230℃、195℃、金型温度80℃で射出成型を行い、厚さ2.0mmの成型板の作成を試みたが平滑な表面の成型板は得られなかった。得られた表面が平滑でない成型板を、実施例1と同様の方法で評価した。
(比較例4)
熱可塑性コポリエステル系エラストマーである東レ・デュポン(株)製ハイトレル(登録商標)Hytrel5557を、ファナック社製FANUC AUTOSHOT−MODEL 100Bを用い、ノズル温度240℃、シリンダー温度はノズルに近い側から250℃、230℃、195℃、金型温度80℃で射出成型を行い、厚さ2.0mmの成型板を得て、実施例1と同様の方法で評価した。
実施例1、2、3、4および比較例1、4の比較により、熱可塑性エラストマーが本発明で規定する範囲内のものであれば、優れた射出成型性を有していることが分かる。
また、実施例2、3、4および比較例3、4の比較により、熱可塑性エラストマーが本発明で規定する範囲内のものであれば、優れた圧縮永久ひずみを有していることが分かる。
さらに、実施例1、2、3、4および比較例2の比較により、熱可塑性エラストマーが本発明で規定する範囲内のものであれば、優れた耐油性を有していることが分かる。

Claims (6)

  1. 架橋ゴム粒子含有重合体60〜99重量部、及び熱可塑性硬質樹脂1〜40重量部を含む熱可塑性エラストマー組成物であって、
    該架橋ゴム粒子の体積平均一次粒子径が1nm〜3000nmであり、かつ、
    該熱可塑性硬質樹脂が、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリアミドからなる群から選ばれる1種以上である熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記架橋ゴム粒子含有重合体が、ガラス転移温度が25℃以下の架橋ゴム粒子60〜100重量%からなるコア層、及びシェル重合体0〜40重量%からなるシェル層からなるコアシェル重合体100重量%である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記架橋ゴム粒子が、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、及び、シリコンゴムからなる群から選ばれる1種以上の粒子である請求項1、又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物
  4. 前記架橋ゴム粒子が、アクリル酸エステル30〜99.9重量%、多官能性単量0.1〜10重量%、及びこれらと共重合可能な不飽和単量体0〜69.9重量%からなる架橋ゴム用単量体100重量%の重合体の粒子である請求項3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記架橋ゴム用単量体中の前記多官能性単量体が、2〜5重量%であることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記熱可塑性エラストマー組成物の成形体の圧縮永久歪みであって、JIS−K6262(70℃、22時間)に準拠して測定された圧縮永久歪みが、60%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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