JP2011144245A - 多孔膜用スラリー及び二次電池 - Google Patents

多孔膜用スラリー及び二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2011144245A
JP2011144245A JP2010005244A JP2010005244A JP2011144245A JP 2011144245 A JP2011144245 A JP 2011144245A JP 2010005244 A JP2010005244 A JP 2010005244A JP 2010005244 A JP2010005244 A JP 2010005244A JP 2011144245 A JP2011144245 A JP 2011144245A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slurry
meth
binder
electrode
porous membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010005244A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5564954B2 (ja
Inventor
Yasuhiro Wakizaka
康尋 脇坂
Yujiro Toyoda
裕次郎 豊田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2010005244A priority Critical patent/JP5564954B2/ja
Publication of JP2011144245A publication Critical patent/JP2011144245A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5564954B2 publication Critical patent/JP5564954B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Cell Separators (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】保存安定性に優れ、得られる多孔膜の薄膜化が可能で、かつ粉落ち性に優れる多孔膜用スラリー、該多孔膜スラリーから形成した多孔膜を有する二次電池を提供する。
【解決手段】非導電性粒子、結着剤及び分散媒を含んでなり、前記非導電性粒子の3軸径を、長径L、厚さt、幅bとしたとき、長径Lが0.1〜20μm、幅bと厚さtとの比(b/t)が1.5〜100であり、、前記結着剤が、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体であり、かつ粘度が10〜300mPa・sである多孔膜用スラリー。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔膜を有するリチウムイオン二次電池などの二次電池に関し、さらに詳しくは多孔膜の薄膜化での安全性維持、摺動性に寄与しうる多孔膜用スラリーに関する。また本発明は、かかる多孔膜用スラリーから形成された多孔膜を備えた二次電池に関する。
実用化されている電池の中でも、リチウムイオン二次電池は最も高いエネルギー密度を示し、特に小型エレクトロニクス用に多く使用されている。また、小型用途に加えて自動車向けへの展開も期待されている。その中で、リチウムイオン二次電池の高容量化・長寿命化と、安全性のさらなる向上が要望されている。
リチウムイオン二次電池には、一般に正極と負極との間の短絡を防ぐ為にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の有機セパレーターが用いられている。ポリオレフィン系の有機セパレーターは200℃以下で溶融する物性を有している為、内部及びまたは外部の刺激により電池が高温になると、収縮や溶融などの体積変化がおこり、その結果、正極及び負極の短絡、電気エネルギーの放出などにより爆発などが起こる恐れがある。
そこで、このような問題を解決するため、従来、電極や有機セパレーターの上に、無機粒子などの非導電性粒子を含む多孔膜を形成させることが提案されている。
例えば、特許文献1では、絶縁性微粒子として板状粒子と、破断伸びが300%以上の結着剤とを有する多孔質膜が開示されている。特許文献1によれば、この多孔質膜は板状粒子が配向するため、球状の粒子を使用するよりも安全性に優れ、さらに、破断伸びが300%以上の結着剤を使用しているため多孔膜の伸びにも優れることが記載されている。
特表2008−210791号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1記載の多孔質膜は、スラリーの保存安定性が悪く、薄膜化を行うと均一な膜にならず、電極やセパレーターを捲回したときの粉落ちが問題となることがわかった。
従って、本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、保存安定性に優れ、得られる多孔膜の薄膜化が可能で、かつ粉落ち性に優れる多孔膜用スラリー、該多孔膜スラリーから形成した多孔膜を有する二次電池を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特許文献1に記載の多孔膜用スラリーは、粘度が高く、さらに保存安定性が低く、非導電性粒子として板状粒子を用いると沈降が起きやすいため、このスラリーを用いて多孔膜を作製する際、乾燥工程時にバインダーが偏在化し、その結果得られる多孔膜から粉落ちするなどの問題があることがわかった。さらに、特許文献1に記載の多孔膜用スラリーは、スラリー性状が薄膜化や塗工性に適しておらず、薄膜化や高速塗工が難しいことがわかった。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、特定形状を有する非導電性粒子、特定の単量体単位を有する結着剤及び分散媒を含み、かつ特定の粘度範囲である多孔膜用スラリーを用いて多孔膜を形成することにより、多孔膜中の非導電性粒子の配向性が向上し、さらに摺動性が向上し、多孔膜が電極やセパレータ等と同時に巻回された際、粉落ちが抑制され、その多孔膜を備える二次電池のサイクル特性が向上することを見出した。さらに、非導電性粒子の配向性が高くなるため、薄膜化した際の安全性を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、下記事項を要旨として含む。
(1)非導電性粒子、結着剤及び分散媒を含んでなり、前記非導電性粒子の3軸径を、長径L、厚さt、幅bとしたとき、長径Lが0.1〜20μm、幅bと厚さtとの比(b/t)が1.5〜100であり、前記結着剤が、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体であり、かつ粘度が10〜300mPa・sである多孔膜用スラリー。
(2)前記多孔膜スラリーのTI値が1.1〜3.0である上記(1)に記載の多孔膜用スラリー。
(3)前記共重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)が、質量比で1/99〜20/80の範囲にある上記(1)又は(2)に記載の多孔膜用スラリー。
(4)電極合剤層用結着剤及び電極活物質を含んでなる電極合剤層が、集電体に付着してなり、かつ電極合剤層上に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔膜用スラリーを塗布・乾燥することにより形成してなる多孔膜を有する二次電池用電極。
(5)有機セパレーター上に、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔膜用スラリーを塗布・乾燥することにより形成してなる多孔膜を有する二次電池用セパレーター。
(6)正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなり、前記正極、負極の少なくとも一方が、上記(4)に記載の二次電池用電極である、二次電池。
(7)正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなり、前記セパレーターが、上記(5)に記載の二次電池用セパレーターである、二次電池。
本発明によれば、かかる多孔膜用スラリーを用いることで、多孔膜を容易に薄膜化しやすく、高速塗工が可能であり、さらに粉落ちが少ない多孔膜を提供することができる。また、前記多孔膜を備える二次電池のサイクル特性を向上することができる。
以下に本発明を詳述する。
(多孔膜用スラリー)
本発明の多孔膜用スラリーは、非導電性粒子、結着剤及び分散媒を含んでなる。
(非導電性粒子)
本発明で用いる非導電性粒子は、この3軸径を、長径L、厚さt、幅bとしたとき、長径Lが0.1〜20μmであり、幅bと厚さtとの比(b/t)が1.5〜100である。
前記非導電性粒子の3軸径は、以下の方法により決めることができる。前記3軸径は、非導電性粒子を下記の方法によって直方体として捉えることにより、各寸法が測定される。すなわち、1個の非導電性粒子がちょうど収まるような三軸径の直方体の箱を考え、この箱の長さの一番長いものを長径Lとし、厚さt、幅bをもってこの非導電性粒子の寸法と定義する。前記寸法には、L>b≧tの関係を持たせ、同一の場合以外はbとtの大きい方を幅bと定義する。具体的には、電子顕微鏡を用いて、倍率10000−20000倍で観察を行い、印刷した写真から直接、非導電性粒子のL、b、tを測長する。無作為に300個の非導電性粒子を測長し、平均化することで非導電性粒子の3軸径を規定する。
本発明に用いる非導電性粒子の幅bと厚さtとの比(b/t)は、1.5〜100であり、好ましくは3〜100であり、より好ましくは5〜100である。非導電性粒子のb/tを前記範囲とすることにより、塗工時に均一に配向し、それにより多孔膜中の非導電性粒子の積層数を適切な数とすることができ、多孔膜を薄膜化しても二次電池の安全性を高めることができる。一方、b/tが前記範囲を外れたものを用いると、多孔膜を薄膜化したときの安全性が低下してしまう。
本発明に用いる非導電性粒子の長径Lは、0.1μm〜20μmであり、好ましくは0.2μm〜15μmであり、より好ましくは0.5μm〜10μmである。非導電性粒子の長径Lを前記範囲にすることにより、リチウムイオン二次電池の安全性を低下させることなく、リチウムイオンの透過性を保ち、リチウムイオン二次電池の出力低下の低下を抑えることができる。一方、長径Lが前記範囲を外れると、多孔膜中のリチウムイオンの透過性が悪くなり出力特性が低下する。
本発明で使用する非導電性粒子の長軸長さLと幅bの比(L/b)は、1〜100であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが特に好ましい。前記非導電性粒子の長径Lと幅bの比(L/b)を前記範囲にすることにより、リチウムイオン二次電池において発生するリチウムデンドライドを効果的に短絡を防ぎ、安全性をより高めることができる。
本発明で使用する非導電性粒子を構成する材料としては、リチウムイオン二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的にも安定であることが望まれる。例えば各種の非導電性の無機粒子、有機粒子を使用することができる。
無機粒子としては、酸化鉄、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化硼素等の窒化物粒子;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子等が用いられる。これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化されていてもかまわず、また単独でも2種以上の組合せで用いてもよい。これらの中でも電解液中での安定性と電位安定性の観点から酸化物粒子であることが好ましい。
有機粒子としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂など各種高分子からなる粒子等が用いられる。粒子を形成する上記高分子は、混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、架橋体等であっても使用できる。粒子内が2種以上の高分子からなっても問題は無い。またカーボンブラック、グラファイト、SnO、ITO、金属粉末などの導電性金属及び導電性を有する化合物や酸化物の微粉末の表面を、非導電性の物質で表面処理することによって、電気絶縁性を持たせて使用することも可能である。これらの非電導電性粒子は、2種以上併用して用いてもかわまない。
本発明に用いる非導電性粒子の平均粒子径(体積平均のD50平均粒子径)は、好ましくは5nm以上10μm以下、より好ましくは10nm以上5μm以下である。非導電性粒子の平均粒子径を前記範囲とすることにより、分散状態の制御と均質な所定の厚さの膜が得られ易くなる。非導電性粒子の平均粒子径を、50nm以上2μm以下の範囲にすると、分散、塗布の容易さ、空隙のコントロール性に優れるので特に好ましい。
また、これらの粒子のBET比表面積は、粒子の凝集を抑制し、スラリーの流動性を好適化する観点から具体的には、0.9〜200m/gであることが好ましく、1.5〜150m/gであることがより好ましい。
(結着剤)
本発明では、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体を結着剤として用いる。結着剤が、前記共重合体であることにより、電解液への溶出を示さずに多孔膜の変形を生じにくくすることができる。さらに、高温においても電解液の膨潤性を保ちながら溶出しにくく、優れた高温特性を示す。これと前記記載の非導電性粒子とを組み合わせることで多孔膜の安全性をさらに向上することができる。この共重合体は、少なくとも、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を与える単量体と、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を与える単量体とを共重合して得られるものである。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を与える単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および側鎖に官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、電解液への膨潤によるリチウムイオンの伝導性を示すこと、小粒径の分散においてポリマーによる橋架け凝集を起こしにくいことから、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数は好ましくは1〜14、更に好ましくは1〜5である。
上記アルキル基の炭素数の上記範囲にしておくことで、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体と非導電性粒子の表面官能基との親和性が高まり、粉落ちのより少ない多孔膜を得ることができる。
非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が1〜5である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、およびアクリル酸t−ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロペンチル)エチルなどのアクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、およびメタクリル酸t−ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル;;および、メタクリル酸2−(パーフルオロブチル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロペンチル)エチルメタクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチルなどのメタクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;が挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、およびアクリル酸イソボルニルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、およびメタクリル酸シクロヘキシルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロノニル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロドデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロテトラデシル)エチル、アクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるアクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;メタクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロオクチル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロノニル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロドデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロテトラデシル)エチル、メタクリル酸2−(パーフルオロヘキサデシル)エチルなどの非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6〜18であるメタクリル酸2−(パーフルオロアルキル)エチル;が挙げられる。
本発明に好適に用いる(メタ)アクリロニトリル単量体単位を与える単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
本発明において、共重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル由来の単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は、質量比で、好ましくは1/99〜20/80、より好ましくは1/99〜15/85、さらに好ましくは1/99〜10/90の範囲である。(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率を前記範囲にすることにより、電解液への溶出を示さずに多孔膜の変形を生じにくくすることができる。さらに、高温においても電解液の膨潤性を保ちながら溶出しにくく、優れた高温特性を示す。また、前記非導電性粒子の表面官能基との親和性も高まり、粉落ちがより少ない多孔膜を得ることができる。
本発明において、共重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合が、50質量%〜99.9質量%であることが好ましく、60質量%〜99.5質量%であることがより好ましく、75質量〜99.0質量%であることが特に好ましい。また、共重合体中の前記単位の合計含有割合を前記範囲にすることで、電解液への非導電性粒子の分散性及び多孔膜の柔軟性を共に向上させることができる。
本発明で用いる結着剤は、加熱またはエネルギー線照射により架橋可能であることが好ましい。加熱またはエネルギー線照射により架橋可能な結着剤を架橋して用いることで、加熱やエネルギー線照射の強度により架橋密度を調節できる。また、架橋密度が高いほど膨潤度が小さくなるので、架橋密度を変えることにより膨潤度を調節することができる。
加熱またはエネルギー線照射により架橋可能な結着剤は、結着剤中に架橋剤を含有させる、及び/又は結着剤を構成する共重合体中に架橋性基を含有させることにより得ることができる。
これら中でも、結着剤中に、前記共重合体に加えて熱架橋性の架橋性基を含有する架橋剤を含有させる、及び/又は結着剤を構成する共重合体中に熱架橋性の架橋性基を含有させると、多孔膜形成後に多孔膜に加熱処理を行うことにより、多孔膜を架橋させることができ、さらに電解液への溶解を抑制できるので、強靱で柔軟な多孔膜が得られるので好ましい。
結着剤中に前記共重合体に加えて架橋性基を含有する架橋剤を含有させる場合において、用いる架橋剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物、熱や光により効果を発揮する架橋剤などが用いられる。これらの中でも、熱架橋性の架橋性基を含有する点で、有機過酸化物や熱により効果を発揮する架橋剤が好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシドなどのハイドロパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α′ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパーオキシド類:オクタノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類;パーオキシジカーボネートなどのパーオキシエステル類;が挙げられる。これらの中でも、架橋後の樹脂の性能から、ジアルキルパーオキシドが好ましく、アルキル基の種類は、成形温度によって変えるのがよい。
熱により効果を発揮する架橋剤(硬化剤)は、加熱によって架橋反応させうるものであれば特に限定されないが、ジアミン、トリアミンまたはそれ以上の脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミンビスアジド、酸無水物、ジオール、多価フェノール、ポリアミド、ジイソシアネート、ポリイソシアネートなどが挙げられる。具体的な例としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン類;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミンN−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン類;4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類;4,4−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルホン、4,4′−ジアジドジフェニルメタン、2,2′−ジアジドスチルベンなどのビスアジド類;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ノルボルネン樹脂等の酸無水物類;1,3′ブタンジオール、1,4′−ブタンジール、ヒドロキノンジヒドロキシジエチルエーテル、トリシクロデカンジメタノールなどのジオール類;1,1,1−トリメチロールプロパンなどのトリオール類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などの多価フェノール類;トリシクロデカンジオール、ジフェニルシランジオール、エチレングリコール及びその誘導体、ジエチレングリコール及びその誘導体、トリエチレングリコール及びその誘導体などの多価アルコール類;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;ジイソシアネート類の2量体もしくは3量体、ジオール類もしくはトリオール類へのジイソシアネート類のアダクト物などのポリイソシアネート類;イソシアネート部をブロック剤により保護したブロック化イソシアネート類などが挙げられる。
これらは、1種でも2種以上の混合物として使用してもよい。これらの中でも、多孔膜の強度、密着性に優れるなどの理由により、芳香族ポリアミン類、酸無水物類、多価フェノール類、多価アルコール類が好ましく、中でも4,4−ジアミノジフェニルメタン(芳香族ポリアミン類)、無水マレイン酸変性ノルボルネン樹脂(酸無水物)、多価フェノール類などが特に好ましい。
光により効果を発揮する架橋剤(硬化剤)は、g線、h線、i線等の紫外線、遠紫外線、x線、電子線等の活性光線の照射により、本発明の共重合体と反応し、架橋化合物を生成する光反応性物質であれば特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ビスアジド化合物、光アミン発生剤、光酸発生剤などが挙げられる。
芳香族ビスアジド化合物の具体例としては、4,4′−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)4−メチルシクロヘキサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルフォン、4,4′−ジアジドベンゾフェノン、4,4′−ジアジドジフェニル、2,7−ジアジドフルオレン、4,4′−ジアジドフェニルメタン等が代表例として挙げられる。これらは、1種類でも2種類以上組み合わせても使用できる。
光アミン発生剤の具体例としては、芳香族アミンあるいは脂肪族アミンのo−ニトロベンジロキシカルボニルカーバメート、2,6−ジニトロベンジロキシカルボニルカーバメートあるいはα,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジロキシカルボニルカーバメート体等が挙げられる。より具体的には、アニリン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどのo−ニトロベンジロキシカルボニルカーバメート体が挙げられる。これらは、1種類でも2種類以上組み合わせても使用できる。
光酸発生剤とは、活性光線の照射によって、ブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成する物質であって、例えば、オニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物等が挙げられる。これらの活性光線の照射により解裂して酸を生成可能な化合物は、単独でも2種類以上混合して用いても良い。
これらの架橋剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の配合量は、本発明で結着剤として用いる共重合体100質量部に対して、通常0.001〜30質量部、好ましくは0.01〜25質量部、より好ましくは1〜20質量部の範囲である。これらの架橋剤の配合量がこの範囲にあるときに、架橋性及び架橋物の電解液中でのリチウム伝導度、電解液溶解性および多孔膜強度などの特性が高度にバランスされ好適である。
本発明において架橋剤を用いる場合に、さらに架橋助剤(硬化助剤)を使用することにより、架橋性及び配合剤の分散性をさらに高めることができるので好適である。本発明で使用する架橋助剤は、特に限定されるものではないが、特開昭62−34924号公報等に開示されている公知のものでよく、例えば、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシム・ニトロソ系架橋助剤;N,N−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート系架橋助剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどのビニル系架橋助剤;等が例示される。これらの中でも、アリル系架橋助剤、メタクリレート系架橋助剤が、均一に分散させやすく好ましい。
架橋助剤の添加量は、架橋剤の種類により適宜選択されるが、架橋剤1質量部に対して、通常、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部である。架橋助剤の添加量は、少なすぎると架橋が起こりにくく、逆に、添加量が多すぎると、架橋した結着剤のリチウム伝導性、耐水性が低下するおそれが生じる。
結着剤を構成する共重合体中に熱架橋性の架橋性基を含有する場合において、熱架橋性の架橋性基としては、エポキシ基、N−メチロールアミド基、及びオキサゾリン基からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、エポキシ基が架橋及び架橋密度の調節が容易な点でより好ましい。
熱架橋性の架橋性基は、前記共重合体を製造する際に、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を与える単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体を与える単量体と、熱架橋性の架橋基を含有する単量体、並びに/又はこれらと共重合可能な他の単量体とを共重合することで共重合体中に導入することができる。
エポキシ基を含有する単量体としては、炭素―炭素二重結合およびエポキシ基を含有する単量体とハロゲン原子およびエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
炭素―炭素二重結合およびエポキシ基を含有する単量体としては、たとえば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどの不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエンまたはポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、などの、不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類;が挙げられる。
ハロゲン原子およびエポキシ基を有する単量体としては、たとえば、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリン;p−クロロスチレンオキシド;ジブロモフェニルグリシジルエーテル;が挙げられる。
N−メチロールアミド基を含有する単量体としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのメチロール基を有する(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
オキサゾリン基を含有する単量体としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。
共重合体中の熱架橋性の架橋性基の含有量は、重合時の熱架橋性の架橋性基を含有する単量体量として、単量体全量100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。共重合体中の熱架橋性の架橋性基の含有量は、結着剤を構成する共重合体を製造する時の単量体仕込み比により制御できる。共重合体中の熱架橋性の架橋基の含有量が、上記範囲内にあることで電解液への溶出を抑制し、優れた多孔膜強度と長期サイクル特性を示すことができる。
熱架橋性の架橋性基は、前記共重合体を製造する際に、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を与える単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を与える単量体と、熱架橋性の架橋基を含有する単量体、並びに/又はこれらと共重合可能な他の単量体とを共重合することで共重合体中に導入することができる。
本発明において、結着剤として用いる共重合体は、カルボン酸基、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる親水性基を更に含むものであることが好ましい。共重合体が前記親水性基を含むことにより、非導電性粒子の分散安定性及び非導電性粒子同士の結着性のいずれをも向上させることができる。また、非導電性粒子の表面が親水性を示しやすいことから、結着剤が前記親水性基を含有することにより、非導電性粒子の表面に結着剤が吸着しやすくなり、非導電性粒子の分散性が高く、電極合剤層上又は有機セパレーター上に平滑な多孔膜を形成することができる。
親水性基は、カルボン酸基、水酸基、及びスルホン酸基からなる群から選ばれることが好ましく、非導電性粒子の分散性や結着性をさらに向上できる観点から、スルホン酸基又はカルボン酸基がより好ましい。
親水性基は、前記共重合体を製造する際に、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を与える単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を与える単量体、親水性基を含有する単量体、及び/又はこれらと共重合可能な他の単量体とを共重合することで導入することができる。
カルボン酸基を含有する単量体としては、モノカルボン酸及びその誘導体やジカルボン酸、その酸無水物、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。モノカルボン酸誘導体としては、2−エチルアクリル酸、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α―アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β-E-メトキシアクリル酸、β-ジアミノアクリル酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸誘導体としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸などマレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸エステル;が挙げられる。
水酸基を含有する単量体としては、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどのエチレン性不飽和アルコール;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸−ジ−2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジ−4−ヒドロキシブチル、イタコン酸ジ−2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアルカノールエステル類;一般式CH=CR−COO−(C2nO)m−H(mは2ないし9の整数、nは2ないし4の整数、Rは水素またはメチル基を表す)で表されるポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;
2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシフタレート、2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシサクシネートなどのジカルボン酸のジヒドロキシエステルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−4−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−6−ヒドロキシヘキシルエーテルなどのアルキレングリコールのモノ(メタ)アリルエーテル類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール(メタ)モノアリルエーテル類;グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリル−2−クロロ−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエーテルなどの、(ポリ)アルキレングリコールのハロゲン及びヒドロキシ置換体のモノ(メタ)アリルエーテル;オイゲノール、イソオイゲノールなどの多価フェノールのモノ(メタ)アリルエーテル及びそのハロゲン置換体;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルチオエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルチオエーテルなどのアルキレングリコールの(メタ)アリルチオエーテル類;などが挙げられる。
スルホン酸基を含有する単量体としては、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
これらの中でも、親水性基としては、非導電性粒子の分散性や結着性がさらに向上できる観点から、スルホン酸基やカルボン酸基が好ましい。
共重合体中の親水性基の含有量は、重合時の親水性基を含有する単量体量で、単量体全量100質量%に対して、好ましくは0.1〜40質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%の範囲である。共重合体中の親水性基の含有量は、結着剤を構成する共重合体を製造する時の単量体仕込み比により制御できる。共重合体中の親水性基が上記範囲内にあることで、非導電性粒子をより良好に分散させることができる。
本発明において、結着剤として好適に用いる共重合体において、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を与える単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を与える単量体の他に、熱架橋性の架橋性基及び親水性基を含むことが好ましい。共重合体が、熱架橋性の架橋性基及び親水性基を含むことにより、より架橋密度を上げ易くなり、高強度な多孔膜を得やすくなる。
本発明に用いる結着剤として用いる共重合体は、上記単量体以外に、これらと共重合可能な他の単量体を含んでもよい。他の単量体としては、スチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有単量体; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビエルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、イソプロペニルビニルケトン等のビニルケトン類; N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の複素環含有ビニル化合物;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアミド系単量体;が挙げられる。
共重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位以外の単量体単位の含有割合は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
上記共重合体の製造方法は特に限定はされず、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法も用いることができる。重合方法としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などいずれの方法も用いることができる。重合に用いる重合開始剤としては、たとえば過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、または過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどがあげられる。
本発明において、結着剤として用いる共重合体の製造方法は特に限定はされず、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法も用いることができる。重合方法としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などいずれの方法も用いることができる。重合に用いる重合開始剤としては、たとえば過酸化ラウロイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、または過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどがあげられる。
本発明において結着剤として用いる共重合体は、溶媒に溶解、または分散されていることが好ましく、共重合体を溶解、または分散できる溶媒であれば特に限定はしない。
一般的には溶媒として、水、芳香族炭化水素系としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが、塩素系脂肪族炭化水素としてはメチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等があげられる。その他にはピリジン、アセトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、n−ブチルフタレート、メチルフタレート、エチルフタレート、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチルアセテート、ブチルアセテート、1−ニトロプロパン、二硫化炭素、りん酸トリブチル、シクロヘキサン、シクロペンタン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン等が例示される。これらの溶媒は単独でも混合溶媒でも使用することができる。
これらの中でも特に、結着剤として用いる共重合体の溶解性が高い、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、キシレン、若しくはN−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶媒が好ましい。更に、揮発性が低くスラリー塗工時の作業性に優れる点から、シクロヘキサノン、キシレン、若しくはN−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶媒が特に好ましい。
結着剤として用いる共重合体を分散させる溶媒としては、水が好ましい。
結着剤として用いる共重合体を水に分散する方法は、共重合体が水に分散できれば、特に限定されないが、乳化重合法などのように共重合体を構成する単量体を水に分散してから重合する方法で共重合体を水に分散してもよいし、溶媒に溶解している共重合体を水に分散し、溶媒を気化する方法で水に分散させてもよい。これらの方法には適宜界面活性剤などの分散剤を用いてもよい。
結着剤として用いる共重合体が溶媒に溶解している場合、その粘度は、固形分濃度10%濃度としたときの粘度で、10〜2000mPa・sであることが好ましく、10〜1000mPa・sであることがより好ましい。この値の範囲の溶媒に溶解した結着剤を用いることで、後述する多孔膜用スラリーの粘度、およびTI値を好ましい範囲に調整することができる。結着剤が溶媒に溶解している場合の粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
本発明において、結着剤として用いる上記共重合体のガラス転移温度は、室温において多孔膜に柔軟性を与えることができ、ロール巻き取り時や捲回時のひびや、多孔膜層の欠け等を抑制することができる観点より、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。共重合体のガラス転移温度は、共重合体を構成する単量体の使用割合などを変更することによって調製可能である。
本発明において、結着剤として、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体に加えて、強度や柔軟性、使用する電解液への膨潤性を考慮して、他の結着剤成分を使用してもよい。他の結着剤成分としては、高温において、電解液の膨潤性を保ちながら溶出しにくく、優れた高温特性を示す結着剤であれば、特に限定はしない。例えば、フッ素系重合体、ジエン系重合体、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含まないアクリル系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン系重合体等の高分子化合物が挙げられ、フッ素系重合体、ジエン系重合体又は(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含まないアクリル系重合体が好ましい。
(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含まないアクリル系重合体としては、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ブチルアクリレート・スチレン共重合体などが挙げられる。
ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などが挙げられる。
フッ素系重合体としては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどが挙げられる。
本発明において、結着剤として(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体に加えて、他の結着剤成分を用いる場合、これらの結着剤における含有割合は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
多孔膜用スラリー中の結着剤の合計含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.5〜5質量%、最も好ましくは0.5〜3質量%である。多孔膜用スラリー中の結着剤の合計含有量が、前記範囲にあることで、非導電性粒子同士の結着性及び、電極合剤層もしくは有機セパレーターへの結着性と、柔軟性を維持しながらも、Liの移動を阻害し抵抗が増大することを抑制することができる。
本発明の多孔膜用スラリーに用いる分散媒としては、上記固形分(非導電性粒子及び結着剤など)が均一に分散し得るものであれば特に制限されないが、一般的には、水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、芳香族炭化水素系としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素や、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系脂肪族炭化水素があげられる。その他の有機溶媒としては、ピリジン、アセトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、n−ブチルフタレート、メチルフタレート、エチルフタレート、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチルアセテート、ブチルアセテート、1−ニトロプロパン、二硫化炭素、りん酸トリブチル、シクロヘキサン、シクロペンタン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン等が例示される。これらの溶媒は単独でも混合溶媒でも使用することができる。
これらの中でも特に、非導電性粒子の分散性にすぐれ、沸点が低く揮発性が高い溶媒が、短時間でかつ低温で溶媒を除去できるので好ましい。具体的には、水、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、キシレン、若しくはN−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶媒が好ましい。更に、揮発性が低くスラリー塗工時の作業性に優れる点から、水、シクロヘキサノン、キシレン、若しくはN−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶媒が特に好ましい。
本発明の多孔膜用スラリーにおいて、用いる分散媒は、電極合剤層上に多孔膜用スラリーを塗工する場合は水であることが好ましく、有機セパレーター上に多孔膜用スラリーを塗工する場合は有機溶媒であることが好ましい。
電極合剤層上に多孔膜用スラリーを塗工する場合、分散媒が水であると、多孔膜と電極合剤層との密着性をより向上させることができる。
有機セパレーター上に多孔膜用スラリーを塗工する場合、分散媒が有機溶媒であると、多孔膜用スラリーと有機セパレーターとの濡れ性がよく、より塗工性に優れる。
(その他成分)
本発明の多孔膜用スラリーには、上記成分のほかに、さらに分散剤、レベリング剤、消泡剤や電解液分解抑制等の機能を有する電解液添加剤等の他の成分が含まれていてもよい。これらは電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られない。
分散剤としてはアニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物が例示される。
また、スラリー分散媒として水を用いた場合、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらの中でもセルロース誘導体が特に好ましい。
セルロース誘導体は、セルロースの水酸基の少なくとも一部をエーテル化またはエステル化した化合物であり、水溶性のものが好ましい。セルロース誘導体は、通常、ガラス転移点を有さない。具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。また、これらのアンモニウム塩およびアルカリ金属塩が挙げられる。中でも、カルボキシメチルセルロースの塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩が特に好
ましい。セルロース誘導体のエーテル化度は、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.5〜1.5である。なお、ここでエーテル化度とは、セルロースのグルコース単位あたりに3個含まれる水酸基が、平均で何個エーテル化されているかを表す値である。エーテル化度がこの範囲であると、多孔膜用スラリーの安定性が高く、固形分の沈降や凝集が生じにくい。さらに、セルロース誘導体を用いることにより、塗料の塗工性や流動性が向上する。
分散剤の固形分濃度を1%としたときの粘度は、好ましくは10〜10000mPa・s、より好ましくは20〜5000mPa・s、さらに好ましくは50〜1000mPa・sである。この値の範囲の分散剤を用いることで、多孔膜用スラリーの均一塗工性が優れ、高速塗工性やスラリーの経時安定性にも優れる。前記分散剤の固形分濃度を1%したときの粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
本発明に使用される分散剤は用いる非導電性粒子に応じて適宜選択される。多孔膜用スラリー中の分散剤の含有量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、具体的には10質量%以下である。
レベリング剤としてはアルキル系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤を混合することにより、塗工時に発生するはじきを防止したり、電極の平滑性を向上させることができる。その他には、フュームドシリカやフュームドアルミナなどのナノ微粒子が挙げられる。前記ナノ微粒子を混合することにより多孔膜用スラリーのチキソ性をコントロールすることができ、さらにそれにより得られる多孔膜のレベリング性を向上させることができる。
多孔膜用スラリー中のレベリング剤の含有量は、電池特性に影響が及ばない範囲が好ましく、具体的には10質量%以下である。
(多孔膜スラリーの製造方法)
多孔膜用スラリーの製法は、特に限定はされず、非導電性粒子、結着剤、及び溶媒と必要に応じ添加される他の成分を混合して得られる。
混合装置は、上記成分を均一に混合できる装置であれば特に限定はされず、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサーなどを使用することができるが、高い分散シェアを加えることができる、ビーズミル、ロールミル、フィルミックス等の高分散装置を使用することが特に好ましい。
多孔膜用スラリーの固形分濃度は、塗布、浸漬が可能な程度でかつ、流動性を有する粘度になる限り特に限定はされないが、一般的には20〜50質量%程度である。
本発明の多孔膜用スラリーの粘度は、10〜300mPa・sであることが必要である。多孔膜用スラリーの粘度を、前記範囲に調整することで、多孔膜の薄膜化、多孔膜において結着剤の偏在化や非導電性粒子の偏在化がない均一な多孔膜を作製でき、さらに均一塗工性、高速塗工性やスラリー保存安定性にも優れる。本発明において、多孔膜用スラリーの粘度は、好ましくは10〜200mPa・s、より好ましくは20〜100mPa・sである。多孔膜用スラリーの粘度は、E型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
本発明の多孔膜用スラリーは、以下式(1)から計算されるTI値が、1.1〜3.0であることが好ましく、1.2〜2.0であることがより好ましく、1.2〜1.5であることが特に好ましい。
TI値は、スラリーの構造粘性をしめす指数であり、多孔膜用スラリーのTI値を前記範囲にすることで、多孔膜用スラリー中の非導電性粒子がより沈降せず、塗工時に起きる結着剤の偏在化や非導電性粒子の偏在化がより起きにくく、より均一な多孔膜が作製できる。さらに、多孔膜用スラリーのTI値を前記範囲にしておくことで、塗工時せん断を受けても粘度上昇は起きず、均一に塗工でき、高速塗工性も可能となる。
TI値=η6/η60 (1)
なお、式(1)において、ηはE型粘度計を用いて25℃、回転数6rpmで測定した60秒後の粘度、η60はE型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した60秒後の粘度である。
本発明において、多孔膜用スラリーの粘度、およびTI値を前記範囲にする方法としては、以下の方法があげられる。
(1)溶媒に溶解している結着剤を用いる場合
結着剤として、溶媒に溶解している結着剤(以下、「溶剤系結着剤」と記載することがある。)を用いる場合、多孔膜用スラリーの粘度、TI値を決定する因子としては、多孔膜用スラリーの固形分濃度、多孔膜用スラリーの分散媒、溶媒に溶解した結着剤の粘度、及び非導電性粒子の粒径や形状、表面の溶媒への濡れ性などが挙げられる。
本発明においては、溶媒に溶解した結着剤の固形分濃度10%のときの粘度を10〜2000mPa・s、好ましくは10〜1000mPa・sの範囲にすることにより、多孔膜用スラリーの粘度、およびTI値を前記範囲にすることができる。
(2)溶媒に分散している結着剤を用いる場合
溶媒に分散している溶媒分散型の結着剤(以下、「分散系結着剤」と記載することがある。)を用いる場合、多孔膜用スラリーの粘度、TI値を決定する因子としては、多孔膜スラリーの固形分濃度、非導電性粒子を分散するために添加する分散剤、及び非導電性粒子の粒径や形状、表面の溶媒への濡れ性などである。
本発明の多孔膜用スラリーでは、用いる分散剤の固形分濃度1%のときの粘度が10〜10000mPa・s、好ましくは20〜5000mPa・s、より好ましくは50〜1000mPa・sの範囲にある分散剤を用いることで多孔膜用スラリーの粘度、およびTI値を前記範囲にすることができる。
(二次電池用電極)
本発明の二次電池用電極は、電極合剤層用バインダー及び電極活物質を含んでなる電極合剤層が、集電体に付着してなり、かつ電極合剤層上に、本発明の多孔膜用スラリーが塗布・乾燥することにより形成されてなる多孔膜を有する。
本発明に用いる電極合剤層は、電極合剤層用バインダー及び電極活物質を含んでなる。
(電極合剤層用結着剤)
電極合剤層用結着剤としては、様々な樹脂成分を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、下に例示する軟質重合体も電極合剤層用結着剤として使用することができる。
ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、ブチルアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルメタクリレート共重合体などの、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の単独重合体またはそれと共重合可能な単量体との共重合体である、アクリル系軟質重合体;
ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;
ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などジエン系軟質重合体;
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;
液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;
ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などビニル系軟質重合体;
ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;
フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素含有軟質重合体;
天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性により官能基を導入したものであってもよい。
電極合剤層における電極合剤層用結着剤の量は、電極活物質100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜4質量部、特に好ましくは0.5〜3質量部である。電極合剤層における電極合剤層用結着剤量が前記範囲であることにより、電池反応を阻害せずに、電極から活物質が脱落するのを防ぐことができる。
電極合剤層用結着剤は、電極を作製するために溶液もしくは分散液として調製される。その時の粘度は、通常1mPa・S〜300,000mPa・Sの範囲、好ましくは50mPa・S〜10,000mPa・Sである。前記粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
(電極活物質)
リチウムイオン二次電池用電極に用いられる電極活物質は、電解質中で電位をかける事により可逆的にリチウムイオンを挿入放出できるものであればよく、無機化合物でも有機化合物でも用いることができる。
リチウムイオン二次電池正極用の電極活物質(正極活物質)は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Mn等が使用される。正極活物質に使用される無機化合物の具体例としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiFeVOなどのリチウム含有複合金属酸化物;TIS、TIS、非晶質MoS等の遷移金属硫化物;Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13などの遷移金属酸化物が挙げられる。これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。有機化合物からなる正極活物質としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。電気伝導性に乏しい、鉄系酸化物は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた電極活物質として用いてもよい。また、これら化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。正極活物質の粒子径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、50%体積累積径が、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜20μmである。50%体積累積径がこの範囲であると、充放電容量が大きい二次電池を得ることができ、かつ電極用スラリーおよび電極を製造する際の取扱いが容易である。50%体積累積径は、レーザー回折で粒度分布を測定することにより求めることができる。
リチウムイオン二次電池負極用の電極活物質(負極活物質)としては、たとえば、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メゾカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維などの炭素質材料、ポリアセン等の導電性高分子などがあげられる。また、負極活物質としては、ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の金属やこれらの合金、前記金属又は合金の酸化物や硫酸塩が用いられる。加えて、金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金、リチウム遷移金属窒化物、シリコン等を使用できる。電極活物質は、機械的改質法により表面に導電付与材を付着させたものも使用できる。負極活物質の粒径は、電池の他の構成要件との兼ね合いで適宜選択されるが、初期効率、負荷特性、サイクル特性などの電池特性の向上の観点から、50%体積累積径が、通常1〜50μm、好ましくは15〜30μmである。
本発明において、電極合剤層には、導電性付与材や補強材を含有していてもよい。導電付与材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、カーボンナノチューブ等の導電性カーボンを使用することができる。黒鉛などの炭素粉末、各種金属のファイバーや箔などが挙げられる。補強材としては、各種の無機および有機の球状、板状、棒状または繊維状のフィラーが使用できる。導電性付与材を用いることにより電極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、リチウムイオン二次電池に用いる場合に放電レート特性を改善したり、することができる。導電性付与材の使用量は、電極活物質100質量部に対して通常0〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。
電極合剤層は、電極合剤層用結着剤、電極活物質及び溶媒を含むスラリー(以下、「合剤スラリー」と記載することがある。)を集電体に付着させて形成することができる。
溶媒としては、電極合剤層用結着剤を溶解または粒子状に分散するものであればよいが、溶解するものが好ましい。電極合剤層用結着剤を溶解する溶媒を用いると、電極合剤層用結着剤が表面に吸着することにより電極活物質などの分散が安定化する。
合剤スラリーは、溶媒を含有し、電極活物質、及び電極合剤層用結着剤の必須成分、並びに導電性付与材などの任意成分を分散させて得ることができる。溶媒としては、前記結着剤を溶解し得るものを用いると、電極活物質や導電性付与材の分散性に優れるので好ましい。電極合剤層用結着剤が溶媒に溶解した状態で用いることにより、結着剤が電極活物質などの表面に吸着してその体積効果により分散を安定化させていると推測される。
合剤スラリーに用いる溶媒としては、水および有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類:メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類があげられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を混合して、乾燥速度や環境上の観点から適宜選択して用いることができる。中でも、本発明においては水への電極膨張特性の観点から、非水性溶媒を用いることが好ましい。
合剤スラリーには、さらに増粘剤などの各種の機能を発現する添加剤を含有させることができる。増粘剤としては、合剤スラリーに用いる有機溶媒に可溶な重合体が用いられる。具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物などが用いられる。
さらに、合剤スラリーには、上記成分の他に、電池の安定性や寿命を高めるため、トリフルオロプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネート、1,6−ジオキサスピロ[4,4]ノナン−2,7−ジオン、12−クラウン−4−エーテル等が使用できる。また、これらは後述する電解液に含有せしめて用いてもよい。
合剤スラリーにおける溶媒の量は、電極活物質や電極合剤層用結着剤などの種類に応じ、塗工に好適な粘度になるように調整して用いる。具体的には、合剤スラリー中の、電極活物質、電極合剤層用結着剤および他の添加剤を合わせた固形分の濃度が、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%となる量に調整して用いられる。
合剤スラリーは、電極活物質、電極合剤層用結着剤、必要に応じ添加される導電性付与材、その他の添加剤、および溶媒を、混合機を用いて混合して得られる。混合は、上記の各成分を一括して混合機に供給し、混合してもよい。合剤スラリーの構成成分として、電極活物質、電極合剤層用結着剤、導電性付与材及び増粘剤を用いる場合には、導電性付与材および増粘剤を溶媒中で混合して導電材を微粒子状に分散させ、次いで電極合剤層用結着剤、電極活物質を添加してさらに混合することがスラリーの分散性が向上するので好ましい。混合機としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサーなどを用いることができるが、ボールミルを用いると導電性付与材、電極活物質の凝集を抑制できるので好ましい。
合剤スラリーの粒度は、好ましくは35μm以下であり、さらに好ましくは25μm以下である。スラリーの粒度が上記範囲にあると、導電材の分散性が高く、均質な電極が得られる。
集電体は、電気導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。中でも、非水電解質リチウムイオン二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用としては銅が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。集電体は、合剤の接着強度を高めるため、予め粗面化処理して使用するのが好ましい。粗面化方法としては、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、電極合剤層の接着強度や導電性を高めるために、集電体表面に中間層を形成してもよい。
電極合剤層の製造方法は、前記集電体の少なくとも片面、好ましくは両面に電極合剤層を層状に結着させる方法であればよい。例えば、前記合剤スラリーを集電体に塗布、乾燥し、次いで、120℃以上で1時間以上加熱処理して電極合剤層を形成する。合剤スラリーを集電体へ塗布する方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。
次いで、金型プレスやロールプレスなどを用い、加圧処理により電極の合剤の空隙率を低くすることが好ましい。空隙率の好ましい範囲は5%〜15%、より好ましくは7%〜13%である。空隙率が高すぎると充電効率や放電効率が悪化する。空隙率が低すぎる場合は、高い体積容量が得難かったり、合剤が剥がれ易く不良を発生し易いといった問題を生じる。さらに、硬化性の重合体を用いる場合は、硬化させることが好ましい。
電極合剤層の厚さは、正極、負極とも、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜250μmである。
本発明の多孔膜用スラリーを電極合剤層上へ塗布する方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。中でも、均一な多孔膜が得られる点でディップ法やグラビア法が好ましい。
乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥温度は、使用する溶剤の種類によってかえることができる。溶剤を完全に除去するために、例えば溶剤にN−メチルピロリドン等の揮発性の低い溶剤を用いる場合には送風式の乾燥機で120℃以上の高温で乾燥させることが好ましい。逆に揮発性の高い溶剤を用いる場合には100℃以下の低温において乾燥させることもできる。
次いで、必要に応じ、金型プレスやロールプレスなどを用い、加圧処理により電極合剤層と多孔膜との密着性を向上させることもできる。ただし、この際、過度に加圧処理を行うと、多孔膜の空隙率が損なわれることがあるため、圧力および加圧時間を適宜に制御する。
本発明の二次電池用セパレーターは、有機セパレーター上に、上記多孔膜用スラリーを塗布・乾燥することにより形成されてなる多孔膜を有する。
(有機セパレーター)
本発明に用いる有機セパレーターとしては、電子伝導性がなくイオン伝導性があり、有機溶媒の耐性が高い、孔径の微細な多孔質膜が用いられ、例えばポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物あるいは共重合体等の樹脂からなる微多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔膜またはポリオレフィン系の繊維を織ったもの、またはその不織布、絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。これらの中でも、多孔膜用スラリーの塗工性が優れ、セパレーター膜厚を薄くし電池内の活物質比率を上げて体積あたりの容量を上げることができるため、ポリオレフィン系の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
有機セパレーターの厚さは、通常0.5〜40μm、好ましくは1〜30μm、更に好ましくは1〜10μmである。この範囲であると電池内でのセパレーターによる抵抗が小さくなり、またセパレーターへの塗工時の作業性が良い。
本発明において、有機セパレーターの材料として用いるポリオレフィン系の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマー、コポリマー、更にはこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度、中密度、高密度のポリエチレンが挙げられ、突き刺し強度や機械的な強度の観点から、高密度のポリエチレンが好ましい。また、これらのポリエチレンは柔軟性を付与する目的から2種以上を混合しても良い。これらポリエチレンに用いる重合触媒も特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。機械強度と高透過性を両立させる観点から、ポリエチレンの粘度平均分子量は10万以上1200万以下が好ましく、より好ましくは20万以上300万以下である。ポリプロピレンとしては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーが挙げられ、一種類または二種類以上を混合して使用することができる。また重合触媒も特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。また立体規則性にも特に制限はなく、アイソタクチックやシンジオタクチックやアタクチックを使用することができるが、安価である点からアイソタクチックポリプロピレンを使用するのが望ましい。さらに本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオレフィンにはポリエチレン或いはポリプロピレン以外のポリオレフィン及び酸化防止剤、核剤などの添加剤を適量添加してもよい。
ポリオレフィン系の有機セパレーターを作製する方法としては、公知公用のものが用いられ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンを溶融押し出しフィルム製膜した後に、低温でアニーリングさせ結晶ドメインを成長させて、この状態で延伸を行い非晶領域を延ばす事で微多孔膜を形成する乾式方法;炭化水素溶媒やその他低分子材料とポリプロピレン、ポリエチレンを混合した後に、フィルム形成させて、次いで、非晶相に溶媒や低分子が集まり島相を形成し始めたフィルムを、この溶媒や低分子を他の揮発し易い溶媒を用いて除去する事で微多孔膜が形成される湿式方法;などが選ばれる。この中でも、抵抗を下げる目的で、大きな空隙を得やすい点で、乾式方法が好ましい。
本発明に用いる有機セパレーターは、強度や硬度、熱収縮率を制御する目的で、非導電性粒子以外の他のフィラーや繊維化合物を含んでも良い。また、非導電性粒子及び結着剤を含む多孔膜の層を積層する際に、密着性を向上させたり、電解液との表面張力を下げて液の含浸性を向上させる目的で、あらかじめ低分子化合物や高分子化合物でセパレーター表面を、被覆処理したり、紫外線などの電磁線処理、コロナ放電・プラズマガスなどのプラズマ処理を行っても良い。特に、電解液の含浸性が高く、非導電性粒子及び結着剤を含む多孔膜の層との密着性を得やすい点から、カルボン酸基、水酸基及びスルホン酸基などの極性基を含有する高分子化合物で被覆処理するのが好ましい。
本発明に用いる有機セパレーターは、引き裂き強度や、突き刺し強度を上げる目的で、前記有機セパレーター同士の多層構造であってもよい。具体的には、ポリエチレン微多孔膜とポリプロピレン微多孔膜の積層体、不織布とポリオレフィン系セパレーターとの積層体などが上げられる。
本発明の多孔膜用スラリーを、有機セパレーター上へ塗布する方法は、特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。中でも、均一な多孔膜が得られる点でディップ法やグラビア法が好ましい。
有機セパレーター上に塗布した多孔膜用スラリーを乾燥する方法としては、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法を用いることができる。
乾燥温度としては、多孔膜用スラリーに使用する溶剤の種類によってかえることができる。溶剤を完全に除去するために、例えば溶剤にN−メチルピロリドン等の揮発性の低い溶剤を用いる場合には送風式の乾燥機で120℃以上の高温で乾燥させることが好ましい。逆に揮発性の高い溶剤を用いる場合には100℃以下の低温において乾燥させることもできる。
有機セパレーター上に多孔膜用スラリーを塗布した場合、基材である有機セパレーターが収縮しない温度であれば、なるべく高い方が好ましいが、50〜90℃の範囲が好ましい。
電極合剤層上又は有機セパレーター上に形成される多孔膜の膜厚は、特に限定はされず、多孔膜の用途あるいは適用分野に応じて適宜に設定されるが、厚すぎると電池内での体積(質量)あたりの容量(capacity)が減ることから、0.5〜50μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。
電極合剤層上又は有機セパレーター上に形成される多孔膜は、非導電性粒子が結着剤を介して結着されてなり、非導電性粒子間の空隙が形成された構造を有する。この空隙中には電解液が浸透可能であるため、電池反応を阻害することはない。
(二次電池)
本発明の二次電池は、正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなり、前記正極、負極の少なくとも一方が、前記二次電池用電極である(以下、「第一の二次電池」と記載することがある。)。
本発明の二次電池のもう一態様は、正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなり、前記セパレーターが、前記二次電池用セパレーターである(以下、「第二の二次電池」と記載することがある。)
前記二次電池としては、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等挙げられるが、安全性向上が最も求められており多孔膜導入効果が最も高いことなどの点からリチウムイオン二次電池が好ましい。以下、リチウムイオン二次電池に使用する場合について説明する。
(電解液)
リチウムイオン二次電池用の電解液としては、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に制限はないが、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどが挙げられる。中でも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiが好ましい。これらは、二種以上を併用してもよい。解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
リチウムイオン二次電池用の電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などのカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;が好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類が好ましい。用いる溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、溶媒の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
リチウムイオン二次電池用の電解液中における支持電解質の濃度は、通常1〜30質量%、好ましくは5質量%〜20質量%である。また、支持電解質の種類に応じて、通常0.5〜2.5モル/Lの濃度で用いられる。支持電解質の濃度が低すぎても高すぎてもイオン導電度は低下する傾向にある。用いる電解液の濃度が低いほど重合体粒子の膨潤度が大きくなるので、電解液の濃度によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
上記第一の二次電池において、セパレーターとしては、上述の二次電池用セパレーターで例示された有機セパレーターが挙げられる。正極及び負極としては、前記二次電池用電極を用いればよい。
上記第二の二次電池において、前記多孔膜が積層されてなる正極や負極としては、前記二次電池用電極で例示された電極合剤層用結着剤及び電極活物質を含んでなる電極合剤層が集電体に付着してなるものが挙げられる。セパレーターとしては、前記二次電池用セパレーターをセパレーターとして用いればよい。
本発明の二次電池において、正極や負極として前記二次電池用電極を用い、かつ、セパレーターとして前記二次電池用セパレーターを用いてもよい。
リチウムイオン二次電池の具体的な製造方法としては、正極と負極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。本発明の多孔膜は正極又は負極、セパレーターのいずれかに形成されてなる。また独立で多孔膜のみでの積層も可能である。必要に応じてエキスパンドメタルや、ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子、リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電の防止をする事もできる。電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など何れであってもよい。
(実施例)
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、本実施例における部および%は、特記しない限り質量基準である。
実施例および比較例において、各種物性は以下のように評価する。
<結着剤、分散剤の粘度>
溶媒に溶解している結着剤の粘度、および水に溶解している分散剤の粘度は、JIS Z8803:1991に準じて単一円筒形回転粘度計(25℃、回転数:60rpm、スピンドル形状:1〜4)により測定し、測定開始60秒後の値を求める。
<多孔膜用スラリーの粘度>
多孔膜用スラリーの粘度は、JIS Z8803:1991に準じて、円すい−板形回転粘度計(25℃、回転数:6rpm、60rpm、プレートNo:42)により測定し、測定開始60秒後の値を求める。
TI値(チクソトロピックインデックス値)は、回転数6rpm、60秒後の粘度ηと、回転数60rpm、60秒後の粘度η60から、下記式(1)を用いて算出する。
TI値=η6/η60 (1)
(非導電性粒子の体積平均粒子径の測定)
非導電性粒子の体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000:島津製作所社製)で測定する。
(非導電性粒子の形状測定)
非導電性粒子の長径L、幅b、厚さtは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察を行い、印刷した写真から直接測定する。これらを、無作為に300個測定して、これらの平均値として求める。
<多孔膜スラリー特性:スラリー保存安定性>
レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2000:島津製作所社製)を用いて、多孔膜用スラリー調製1日後の体積平均粒子径(d50)と5日後の体積平均粒子径(d50)を測定し、スラリー中の非導電性粒子の体積粒子径変化率(=d50/d50)を求め、下記の基準でスラリーの凝集性を判定する。体積平均粒子径の変化率が小さいほど、スラリー保存安定性に優れることを示す。
A:体積平均粒子径(d50)の変化率が1.5倍未満
B:体積平均粒子径(d50)の変化率が1.5倍以上2.0倍未満
C:体積平均粒子径(d50)の変化率が2.0倍以上
<柔軟性および粉落ち性>
電極またはセパレーターを幅1cm×長さ5cmの矩形に切って試験片とする。試験片の集電体側の面を下にして机上に置き、長さ方向の中央(端部から2.5cmの位置)、集電体側の面に直径1mmのステンレス棒を短手方向に横たえて設置する。このステンレス棒を中心にして試験片を多孔膜層が外側になるように180度折り曲げる。10枚の試験片について試験し、各試験片の多孔膜層の折り曲げた部分について、ひび割れまたは粉落ちの有無を観察し、下記の基準により判定する。ひび割れ、剥がれ粉落ちが少ないほど、電極合剤層上または有機セパレーター上に形成した多孔膜が柔軟性及び粉落ち性に優れることを示す。
A:10枚中全てに、ひび割れ及び粉落ちがみられない。
B:10枚中1〜3枚に、ひび割れまたは粉落ちがみられる。
C:10枚中4〜9枚に、ひび割れまたは粉落ちがみられる。
D:10枚中全てに、ひび割れまたは粉落ちがみられる。
<サイクル特性>
10セルのコイン型電池を0.2Cの定電流法によって4.3Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電を繰り返し、電気容量を測定する。10セルの平均値を測定値とし、50サイクル終了時の電気容量と5サイクル終了時の電気容量の比(%)で表される充放電容量保持率を求め、下記基準でサイクル特性を評価する。この値が高いほどサイクル特性に優れている。
A:80%以上
B:70%以上80%未満
C:60%以上70%未満
D:50%以上60%未満
E:40%以上50%未満
F:30%以上40%未満
G:30%未満
(実施例1)
<重合体の作製>
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水300部、n−ブチルアクリレート93.8部、アクリロニトリル2部、アリルグリシジルエーテル1.0部、メタクリル酸2.0部、N‐メチロールアクリルアミド1.2部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.05部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を入れ、十分に撹拌した後、70℃に加温して重合し、重合体粒子水分散液を得た。固形分濃度から求めた重合転化率はほぼ99%であった。この重合体粒子水分散液100部にNMP320部を加え、減圧下に水を蒸発させて、共重合体(以下、「溶剤系結着剤A」という。)のNMP溶液を得た。溶剤系結着剤Aの溶液の固形分濃度は10%で、粘度は240mPa・sであった。この溶剤系結着剤Aのガラス転移温度は−46℃であった。溶剤系結着剤A中の、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は2/98、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合は95.8%、熱架橋性の架橋性基(エポキシ基、N−メチロールアミド基)の含有割合は熱架橋性の架橋性基を含有する単量体(アリルグリシジルエーテル、N−メチロールアクリルアミド)の割合で3%、親水性基(カルボン酸基)の含有割合は親水性基を含有する単量体(メタクリル酸)の割合で2%であった。
<多孔膜用スラリーの作製>
L/bが1.5、b/tが50、Lが5μm、体積平均粒径が0.6μmであるアルミナ粒子と、溶剤系結着剤Aとを、固形分相当比で、100:2.5となるように混合し、更にN−メチルピロリドンを固形分濃度が40%になるように混合し、次いでビーズミルを用いて分散させて多孔膜用スラリー1を調製した。得られた多孔膜用スラリー1の、6rpmでの粘度ηは41mPa・s、60rpmでのη60は35mPa・s、TI値は1.2であった。得られた多孔膜用スラリー1の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
<多孔膜付セパレーターの作製>
前記多孔膜用スラリー1を、幅65mm、長さ500mm、厚さ25μmの乾式法により製造された単層のポリプロピレン製セパレーター(気孔率55%)上に乾燥後の厚さが2.5μmになるようにグラビアコーターを用いて13m/minの速度で塗工し、次いで60℃の乾燥炉で乾燥し、巻き取ることにより多孔膜付セパレーター1を作製した。作製した多孔膜付セパレーター1の柔軟性および粉落ち性を評価した。結果を表2に示す。
<負極電極の製造>
負極活物質として粒子径20μm、比表面積4.2m/gのグラファイト98部と、バインダーとしてSBR(ガラス転移温度:−10℃)を固形分相当で1部とを混合し、更にカルボキシメチルセルロース(CMC)を1部加えてプラネタリーミキサーで混合してスラリー状の負極用合剤スラリーを調製した。この負極用合剤スラリーを厚さ0.01mmの銅箔の片面に塗布し、120℃で3時間乾燥した後、ロールプレスして負極合剤層の厚さが80μmの負極電極を得た。
<電池の作製>
次いで、得られた負極電極を直径13mmΦの円形に、厚さ0.5mmのリチウム金属箔を直径16mmΦの円形に、得られた多孔膜付セパレーター1を18mmΦの円形に、それぞれ打ち抜いた。そして、負極電極の合剤層面に多孔膜付セパレーター1、リチウム金属箔をこの順に積層し、これをポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器中に収納した。この容器中に電解液(EC/DEC=1/2、1M LiPF)を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約3.2mmのリチウムイオン二次電池を製造した(コインセルCR2032)。得られた電池についてサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(実施例2)
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水300部、エチルアクリレート80部、アクリロニトリル15部、アリルグリシジルエーテル5部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.05部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を入れ、十分に撹拌した後、70℃に加温して重合し、重合体粒子水分散液を得た。固形分濃度から求めた重合転化率はほぼ99%であった。この重合体粒子水分散液100部にNMP320部を加え、減圧下に水を蒸発させて、共重合体(以下、「溶剤系結着剤B」という。)NMP溶液を得た。溶剤系結着剤Bの溶液の固形分濃度は10質量%で、粘度は76mPa・sであった。また、この溶剤系結着剤Bのガラス転移温度は9℃であった。溶剤系結着剤B中の、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は16/84、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合は95%、熱架橋性の架橋性基(エポキシ基)の含有割合は熱架橋性の架橋性基を含有する単量体(アリルグリシジルエーテル)の割合で5%であった。
溶剤系結着剤Aのかわりに溶剤系結着剤Bを用いたこと以外は、実施例1と同様に多孔膜スラリー2、多孔膜付セパレーター2を作製した。作製した多孔膜用スラリー1の保存安定性、作製した多孔膜付セパレーター2の柔軟性および粉落ち性を評価した。その結果を表1及び表2に示す。また、多孔膜付セパレーター1のかわりに、多孔膜付セパレーター2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
なお、得られた多孔膜用スラリー2の、6rpmでの粘度ηは25mPa・s、60rpmでのη60は20mPa・s、TI値は1.3であった。
(実施例3)
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水300部、n−ブチルアクリレート93.8部、アクリロニトリル2部、アリルグリシジエーテル1.0部、メタクリル酸2.0部、N‐メチロールアクリルアミド1.2部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.05部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を入れ、十分に撹拌した後、70℃に加温して重合し、固形分濃度40%の重合体粒子水分散液(以下、「水分散系結着剤A」という。)を得た。固形分濃度から求めた重合転化率はほぼ99%であった。この水分散系結着剤Aのガラス転移温度は−46℃であった。水分散系結着剤A中の、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は2/98、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合は95.8%、熱架橋性の架橋性基(エポキシ基、N−メチロールアミド基)の含有割合は熱架橋性の架橋性基を含有する単量体(アリルグリシジルエーテル、N−メチロールアクリルアミド)の割合で2.2%、親水性基(カルボン酸基)の含有割合は親水性基を含有する単量体(メタクリル酸)の割合で2%であった。
<多孔膜用スラリーの作製>
L/bで1.5、b/tが50、Lが5μm、体積平均粒径が0.6μmであるアルミナ粒子と100部と、カルボキシメチルセルロース(CMC)の1質量%水溶液(粘度70mPa・s)を固形分相当量で2部となるよう加えて、ビーズミルを用いて分散させた後、水分散系結着剤Aを固形分相当量で4部加え、更にイオン交換水を固形分濃度が25%になるように混合して多孔膜用スラリー3を調製した。得られた多孔膜スラリー3の6rpmでの粘度ηは46mPa・s、60rpmでのη60は35mPa・s、TI値は1.3であった。作製した多孔膜用スラリー3の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
<多孔膜付電極の作製>
前記多孔膜用スラリー3を、実施例1と同様にして得られた負極に負極合剤層が完全に覆われるように、かつ乾燥後の厚さが3μmとなるようにグラビアコーターを用いて20m/minの速度で塗工し、次いで90℃で乾燥し、巻き取ることにより多孔膜付電極1を得た。得られた多孔膜付電極1の柔軟性および粉落ち性を評価した。その結果を表2に示す。
<電池の作製>
次いで、得られた多孔膜付電極1を直径13mmΦの円形に、厚さ0.5mmのリチウム金属箔を直径16mmΦの円形に、幅65mm、長さ500mm、厚さ25μmの乾式法により製造された単層のポリプロピレン製セパレーター(気孔率55%)を18mmΦの円形に、それぞれ打ち抜いた。そして、負極電極の合剤層面にセパレーター、リチウム金属膜をこの順に積層し、これをポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器中に収納した。この容器中に電解液(EC/DEC=1/2、1M LiPF)を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、直径20mm、厚さ約3.2mmのリチウムイオン二次電池を製造した(コインセルCR2032)。得られた電池についてサイクル特性を測定した結果を表2に示す。
(実施例4)
多孔膜用スラリーの作製時に使用するカルボキシメチルセルロース(CMC)として、1質量%水溶液の粘度が70mPa・sであるもののかわりに1700mPa・sであるものを使用したこと以外は、実施例3と同様に多孔膜用スラリー4を作製した。得られた多孔膜用スラリー4の6rpmでの粘度ηは233mPa・s、60rpmでのη60は145mPa・s、TI値は1.6であった。作製した多孔膜用スラリー4の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
多孔膜用スラリー3のかわりに多孔膜用スラリー4を用い、グラビアコーターの速度を16m/minとしたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜付電極2を作製した。作製した多孔膜付電極2の柔軟性および粉落ち性を評価した。そして、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極2を用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(実施例5)
多孔膜用スラリーの作製時に使用するカルボキシメチルセルロース(CMC)として、1質量%水溶液の粘度が70mPa・sであるもののかわりに4000mPa・sであるものを使用したこと以外は、実施例3と同様に多孔膜用スラリー5を作製した。得られた多孔膜スラリー5の6rpmでの粘度ηは397mPa・s、60rpmでのη60は139mPa・s、TI値は2.9であった。作製した多孔膜用スラリー5の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
多孔膜用スラリー3のかわりに多孔膜用スラリー5を用い、グラビアコーターの速度を13m/minとしたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜付電極3を作製した。作製した多孔膜付電極3の柔軟性および粉落ち性を評価した。結果を表2に示す。また、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極3を用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(実施例6)
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水300部、n−ブチルアクリレート41部、エチルアクリレート41.5部、アクリロニトリル15部、グリシジルメタクリレート2.0部、2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸0.5部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.05部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を入れ、十分に撹拌した後、70℃に加温して重合し、固形分濃度40%の重合体粒子分散液(以下、「水分散系結着剤B」という。)を得た。固形分濃度から求めた重合転化率はほぼ99%であった。また、この水分散系結着剤Bのガラス転移温度は2.6℃であった。水分散系結着剤B中の、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は15/85、(メタ)アクリロニトリルの由来の単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合は97.5%、熱架橋性の架橋性基(エポキシ基)の含有割合は熱架橋性の架橋性基を含有する単量体(グリシジルメタクリレート)の割合で2%、親水性基(スルホン酸基)の含有割合は親水性基を含有する単量体(2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸)の割合で0.5%であった。
水分散系結着剤Aのかわりに水分散系結着剤Bを用いたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜用スラリー6、多孔膜付電極4を作製した。作製した多孔膜用スラリー6の保存安定性、作製した多孔膜付電極4の柔軟性および粉落ち性を評価した。結果を表1及び表2に示す。また、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極4を用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
なお、得られた多孔膜用スラリー6の、6rpmでの粘度ηは50mPa・s、60rpmでのη60は36mPa・s、TI値は1.4であった。
(実施例7)
L/bで1.5、b/tが50、Lが5μm、体積平均粒径が0.6μmであるアルミナ粒子のかわりに、L/bで1.5、b/tが10、Lが3μm、体積平均粒径が0.8μmであるアルミナ粒子を用いたこと以外は、実施例6と同様に多孔膜用スラリー7を作製した。得られた多孔膜スラリー7の6rpmでの粘度ηは55mPa・s、60rpmでのη60は43mPa・s、TI値は1.3であった。作製した多孔膜用スラリー7の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
多孔膜用スラリー6のかわりに多孔膜用スラリー7を用い、グラビアコーターの速度を15m/minとしたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜付電極5を作製した。作製した多孔膜付電極5の柔軟性および粉落ち性を評価した。結果を表2に示す。また、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極5を用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水300部、エチルアクリレート80部、アクリロニトリル15部、アリルグリシジルエーテル5部および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を入れ、十分に撹拌した後、70℃に加温して重合し、重合体粒子水分散液を得た。固形分濃度から求めた重合転化率はほぼ99%であった。この重合体粒子水分散液100部にNMP320部を加え、減圧下に水を蒸発させて、共重合体(以下、「溶剤系結着剤C」という。)NMP溶液を得た。溶剤系結着剤Cの溶液の固形分濃度は10質量%で、粘度は9mPa・sであった。また、この溶剤系結着剤Cのガラス転移温度は5℃であった。溶剤系結着剤C中の、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は15/80、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合は95%、熱架橋性の架橋性基(エポキシ基)の含有割合は熱架橋性の架橋性基を含有する単量体(アリルグリシジルエーテル)の割合で5%であった。
溶剤系結着剤Aのかわりに、溶剤系結着剤Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして多孔膜用スラリー8を得た。得られた多孔膜用スラリー7の6rpmでの粘度ηは13mPa・s、60rpmでのη60は6mPa・s、TI値は2.2であった。作製した多孔膜用スラリー8の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
多孔膜用スラリー1のかわりに、多孔膜用スラリー8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、多孔膜付セパレーター3を作製した。作製した多孔膜付セパレーター3の柔軟性および粉落ち性を評価した。結果を表2に示す。また、多孔膜付セパレーター1のかわりに、多孔膜付セパレーター3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(比較例2)
多孔膜用スラリーの作製時に使用するカルボキシメチルセルロース(CMC)として、1質量%水溶液の粘度が70mPa・sであるもののかわりに13000mPa・sであるものを使用したこと以外は、実施例3と同様に多孔膜用スラリー9を作製した。得られた多孔膜用スラリー9の6rpmでの粘度ηは1075mPa・s、60rpmでのη60は330mPa・s、TI値は3.3であった。作製した多孔膜用スラリー8の凝集性を評価した。結果を表1に示す。
多孔膜用スラリーとして、多孔膜用スラリー9を用い、グラビアコーターの速度を6m/minとしたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜付電極6を作製した。作製した多孔膜付電極6の柔軟性および粉落ち性を評価した。その結果を表2に示す。得られた多孔膜の膜厚は7μmであった。また、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極6を用いたこと以外は、実施例3と同様に電池を作製し、得られた電池についてサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
L/bで1.5、b/tが50、Lが5μm、体積平均粒径が0.6μmであるアルミナ粒子のかわりに、L/bで1で、b/tが1で、Lが1μm、体積平均粒径が0.3μmであるアルミナ粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様に多孔膜用スラリー10を作製した。得られた多孔膜用スラリー10の6rpmでの粘度ηは41mPa・s、60rpmでのη60は35mPa・s、TI値は1.2であった。作製した多孔膜用スラリー10の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
多孔膜用スラリー3のかわりに多孔膜用スラリー10を用い、グラビアコーターの速度を13m/minとしたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜付電極を作製した。作製した多孔膜付電極7の柔軟性および粉落ち性を評価した。その結果を表2に示す。得られた多孔膜の膜厚は5μmであった。また、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極7を用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製し、そのサイクル特性を測定した。結果を表2に示す。
(比較例4)
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水300部、n−ブチルアクリレート81.3部、エチルメタクリレート16.3部、メタクリル酸2.4部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を入れ、十分に撹拌した後、70℃に加温して重合し、固形分濃度40%の重合体粒子分散液(以下、「水分散系結着剤B」という。)を得た。固形分濃度から求めた重合転化率はほぼ99%であった。また、この水分散系結着剤Cのガラス転移温度は-27.5℃であった。水分散系結着剤C中の、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)は0/100、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の合計含有割合は97.6%、親水性基(カルボン酸)の含有割合は親水性基を含有する単量体(メタクリル酸)の割合で2.4%であった。
水分散系結着剤Aのかわりに水分散系結着剤Cを用いたこと以外は、実施例3と同様に多孔膜用スラリー11、多孔膜付電極8を作製した。作製した多孔膜用スラリー11の保存安定性、作製した多孔膜付電極4の柔軟性および粉落ち性を評価した。結果を表1及び表2に示す。また、多孔膜付電極1のかわりに多孔膜付電極8を用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製し、得られた電池についてサイクル特性を測定した結果を表2に示す。
なお、得られた多孔膜用スラリー11の、6rpmでの粘度ηは50mPa・s、60rpmでのη60は34mPa・s、TI値は1.5であった。
(表1)
Figure 2011144245
(表2)
Figure 2011144245
表1及び表2の結果から以下のことがわかる。本発明によれば、実施例1〜6に示すように、多孔膜用スラリーの粘度を10〜300mPa・sにすることにより、保存安定性に優れるスラリーとすることができ、さらに高速塗工が可能であり、粉落ちの少ない、薄膜の多孔膜を得ることができる。また、この多孔膜を備える二次電池のサイクル特性が向上する。また、実施例の中でも、結着剤として、(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率が1/90〜10/90の範囲にある結着剤を用い、粘度が20〜100mPa・sの範囲にある多孔膜用スラリーを用いたもの(実施例1、実施例3)は、保存安定性、柔軟性及び粉落ち性、サイクル特性が特に優れる。
一方、多孔膜用スラリーの粘度が本件の範囲外のもの(比較例1や比較例2)や、非導電性粒子として3軸径の幅bと厚さtとの比(b/t)が範囲外のものを用いたもの(比較例3)、結着剤として(メタ)アクリロニトリル単量体単位を含まない結着剤を用いたもの(比較例4)は、保存安定性、柔軟性、粉落ち性、サイクル特性が著しく劣る。また、比較例2は薄膜化が難しく、塗工速度も劣る。

Claims (7)

  1. 非導電性粒子、結着剤及び分散媒を含んでなり、
    前記非導電性粒子の3軸径を、長径L、厚さt、幅bとしたとき、長径Lが0.1〜20μm、幅bと厚さtとの比(b/t)が1.5〜100であり、
    前記結着剤が、(メタ)アクリロニトリル単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体であり、
    かつ粘度が10〜300mPa・sである多孔膜用スラリー。
  2. 前記多孔膜スラリーのTI値が1.1〜3.0である請求項1に記載の多孔膜用スラリー。
  3. 前記共重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との比率(=(メタ)アクリロニトリル単量体単位/(メタ)アクリル酸エステル単量体単位)が、質量比で1/99〜20/80の範囲にある請求項1又は2に記載の多孔膜用スラリー。
  4. 電極合剤層用結着剤及び電極活物質を含んでなる電極合剤層が、集電体に付着してなり、かつ電極合剤層上に、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔膜用スラリーを塗布・乾燥することにより形成してなる多孔膜を有する二次電池用電極。
  5. 有機セパレーター上に、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔膜用スラリーを塗布・乾燥することにより形成してなる多孔膜を有する二次電池用セパレーター。
  6. 正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなり、前記正極、負極の少なくとも一方が、請求項4に記載の二次電池用電極である、二次電池。
  7. 正極、負極、セパレーター及び電解液を備えてなり、前記セパレーターが、請求項5に記載の二次電池用セパレーターである、二次電池。
JP2010005244A 2010-01-13 2010-01-13 多孔膜用スラリー及び二次電池 Active JP5564954B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010005244A JP5564954B2 (ja) 2010-01-13 2010-01-13 多孔膜用スラリー及び二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010005244A JP5564954B2 (ja) 2010-01-13 2010-01-13 多孔膜用スラリー及び二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011144245A true JP2011144245A (ja) 2011-07-28
JP5564954B2 JP5564954B2 (ja) 2014-08-06

Family

ID=44459391

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010005244A Active JP5564954B2 (ja) 2010-01-13 2010-01-13 多孔膜用スラリー及び二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5564954B2 (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012115252A1 (ja) * 2011-02-25 2012-08-30 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池多孔膜用スラリー及び二次電池
WO2013005796A1 (ja) * 2011-07-06 2013-01-10 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池用セパレーター及び二次電池
JP2013115031A (ja) * 2011-12-01 2013-06-10 Mitsubishi Paper Mills Ltd リチウムイオン電池セパレータ用塗工液およびリチウムイオン電池セパレータ
JP2013145763A (ja) * 2013-04-30 2013-07-25 Nippon Zeon Co Ltd 二次電池多孔膜用スラリー組成物、二次電池用電極、二次電池用セパレータおよび二次電池
WO2013125645A1 (ja) * 2012-02-23 2013-08-29 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池用電極、二次電池用セパレーター及び二次電池
WO2014136813A1 (ja) * 2013-03-05 2014-09-12 協立化学産業株式会社 電池電極又はセパレーターコーティング膜組成物、これを用いて得られるコーティング膜を有する電池電極又はセパレーター、及びこの電池電極又はセパレーターを有する電池
KR101457544B1 (ko) 2012-07-11 2014-11-04 주식회사 엘지화학 접착력과 수명 특성이 우수한 이차전지의 음극용 바인더
KR20140137348A (ko) * 2012-02-27 2014-12-02 제온 코포레이션 2 차 전지 부극용 바인더 조성물, 2 차 전지용 부극, 2 차 전지 부극용 슬러리 조성물, 제조 방법 및 2 차 전지
WO2015105009A1 (ja) * 2014-01-07 2015-07-16 三菱樹脂株式会社 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池
JP2015534710A (ja) * 2012-11-30 2015-12-03 エルジー・ケム・リミテッド 改善された分散性を有するスラリー及びその用途
KR101822250B1 (ko) * 2013-05-15 2018-01-25 가부시끼가이샤 구레하 비수전해질 이차 전지용 구조체, 비수전해질 이차 전지 및 당해 구조체의 제조 방법
US10158111B2 (en) * 2014-04-01 2018-12-18 Lg Chem, Ltd. Preparation method of separator having organic-inorganic composite porous coating layer, separator formed therefrom, and electrochemical device containing the same
CN111129597A (zh) * 2019-12-27 2020-05-08 惠州市豪鹏科技有限公司 电解液和锂离子电池
CN112216929A (zh) * 2020-10-29 2021-01-12 中材锂膜有限公司 一种高浸润特性的锂电池隔膜及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009064566A (ja) * 2007-09-04 2009-03-26 Hitachi Maxell Ltd 電池用セパレータおよび非水電解質電池
WO2009123168A1 (ja) * 2008-03-31 2009-10-08 日本ゼオン株式会社 多孔膜および二次電池電極
WO2010074202A1 (ja) * 2008-12-26 2010-07-01 日本ゼオン株式会社 リチウムイオン二次電池用セパレーター及びリチウムイオン二次電池

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009064566A (ja) * 2007-09-04 2009-03-26 Hitachi Maxell Ltd 電池用セパレータおよび非水電解質電池
WO2009123168A1 (ja) * 2008-03-31 2009-10-08 日本ゼオン株式会社 多孔膜および二次電池電極
WO2010074202A1 (ja) * 2008-12-26 2010-07-01 日本ゼオン株式会社 リチウムイオン二次電池用セパレーター及びリチウムイオン二次電池

Cited By (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5804048B2 (ja) * 2011-02-25 2015-11-04 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池多孔膜用スラリー及び二次電池
JPWO2012115252A1 (ja) * 2011-02-25 2014-07-07 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池多孔膜用スラリー及び二次電池
US9293753B2 (en) 2011-02-25 2016-03-22 Zeon Corporation Porous membrane for secondary battery, slurry for secondary battery porous membrane and secondary battery
WO2012115252A1 (ja) * 2011-02-25 2012-08-30 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池多孔膜用スラリー及び二次電池
WO2013005796A1 (ja) * 2011-07-06 2013-01-10 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池用セパレーター及び二次電池
JP2013115031A (ja) * 2011-12-01 2013-06-10 Mitsubishi Paper Mills Ltd リチウムイオン電池セパレータ用塗工液およびリチウムイオン電池セパレータ
WO2013125645A1 (ja) * 2012-02-23 2013-08-29 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池用電極、二次電池用セパレーター及び二次電池
JPWO2013125645A1 (ja) * 2012-02-23 2015-07-30 日本ゼオン株式会社 二次電池用多孔膜、二次電池用電極、二次電池用セパレーター及び二次電池
KR102015376B1 (ko) 2012-02-27 2019-08-28 제온 코포레이션 2 차 전지 부극용 바인더 조성물, 2 차 전지용 부극, 2 차 전지 부극용 슬러리 조성물, 제조 방법 및 2 차 전지
KR20140137348A (ko) * 2012-02-27 2014-12-02 제온 코포레이션 2 차 전지 부극용 바인더 조성물, 2 차 전지용 부극, 2 차 전지 부극용 슬러리 조성물, 제조 방법 및 2 차 전지
KR101457544B1 (ko) 2012-07-11 2014-11-04 주식회사 엘지화학 접착력과 수명 특성이 우수한 이차전지의 음극용 바인더
JP2015534710A (ja) * 2012-11-30 2015-12-03 エルジー・ケム・リミテッド 改善された分散性を有するスラリー及びその用途
US11031656B2 (en) 2012-11-30 2021-06-08 Lg Chem, Ltd. Composite separator including porous coating layer made from slurry having improved dispersibility
US9991491B2 (en) 2012-11-30 2018-06-05 Lg Chem, Ltd. Slurry including inorganic particles with improve dispersibility by controlling particle size and slurry viscosity
KR102009736B1 (ko) * 2013-03-05 2019-08-12 교리쯔 가가꾸 산교 가부시키가이샤 전지 전극 또는 세퍼레이터 코팅막 조성물, 이를 사용해서 얻어지는 코팅막을 갖는 전지 전극 또는 세퍼레이터, 및 이 전지 전극 또는 세퍼레이터를 갖는 전지
KR20150125700A (ko) * 2013-03-05 2015-11-09 교리쯔 가가꾸 산교 가부시키가이샤 전지 전극 또는 세퍼레이터 코팅막 조성물, 이를 사용해서 얻어지는 코팅막을 갖는 전지 전극 또는 세퍼레이터, 및 이 전지 전극 또는 세퍼레이터를 갖는 전지
WO2014136813A1 (ja) * 2013-03-05 2014-09-12 協立化学産業株式会社 電池電極又はセパレーターコーティング膜組成物、これを用いて得られるコーティング膜を有する電池電極又はセパレーター、及びこの電池電極又はセパレーターを有する電池
JP6058783B2 (ja) * 2013-03-05 2017-01-11 協立化学産業株式会社 電池電極又はセパレーターコーティング膜組成物、これを用いて得られるコーティング膜を有する電池電極又はセパレーター、及びこの電池電極又はセパレーターを有する電池
JPWO2014136813A1 (ja) * 2013-03-05 2017-02-16 協立化学産業株式会社 電池電極又はセパレーターコーティング膜組成物、これを用いて得られるコーティング膜を有する電池電極又はセパレーター、及びこの電池電極又はセパレーターを有する電池
CN105027328B (zh) * 2013-03-05 2017-10-27 协立化学产业株式会社 电池电极涂膜组合物或隔板涂膜组合物、具有使用该涂膜组合物得到的涂膜的电池电极或隔板、以及具有该电池电极或隔板的电池
CN105027328A (zh) * 2013-03-05 2015-11-04 协立化学产业株式会社 电池电极涂膜组合物或隔板涂膜组合物、具有使用该涂膜组合物得到的涂膜的电池电极或隔板、以及具有该电池电极或隔板的电池
JP2013145763A (ja) * 2013-04-30 2013-07-25 Nippon Zeon Co Ltd 二次電池多孔膜用スラリー組成物、二次電池用電極、二次電池用セパレータおよび二次電池
KR101822250B1 (ko) * 2013-05-15 2018-01-25 가부시끼가이샤 구레하 비수전해질 이차 전지용 구조체, 비수전해질 이차 전지 및 당해 구조체의 제조 방법
US10074841B2 (en) 2013-05-15 2018-09-11 Kureha Corporation Structure for non-aqueous electrolyte secondary battery, non-aqueous electrolyte secondary battery, and method for manufacturing same structure
JP5931290B2 (ja) * 2014-01-07 2016-06-08 三菱樹脂株式会社 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池
WO2015105009A1 (ja) * 2014-01-07 2015-07-16 三菱樹脂株式会社 積層多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、及び非水電解液二次電池
US10158111B2 (en) * 2014-04-01 2018-12-18 Lg Chem, Ltd. Preparation method of separator having organic-inorganic composite porous coating layer, separator formed therefrom, and electrochemical device containing the same
US10910620B2 (en) 2014-04-01 2021-02-02 Lg Chem, Ltd. Preparation method of separator having organic-inorganic composite porous coating layer, separator formed therefrom, and electrochemical device containing the same
CN111129597A (zh) * 2019-12-27 2020-05-08 惠州市豪鹏科技有限公司 电解液和锂离子电池
CN112216929A (zh) * 2020-10-29 2021-01-12 中材锂膜有限公司 一种高浸润特性的锂电池隔膜及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5564954B2 (ja) 2014-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5564954B2 (ja) 多孔膜用スラリー及び二次電池
JP5804048B2 (ja) 二次電池用多孔膜、二次電池多孔膜用スラリー及び二次電池
JP4569718B2 (ja) リチウムイオン二次電池用セパレーター及びリチウムイオン二次電池
JP5569515B2 (ja) リチウムイオン二次電池用電極
JP5747919B2 (ja) 電池多孔膜用スラリー組成物、二次電池用多孔膜の製造方法、二次電池用多孔膜、二次電池用電極、二次電池用セパレーター及び二次電池
JP5601472B2 (ja) 多孔膜、二次電池電極及びリチウムイオン二次電池
JP5928464B2 (ja) 二次電池用多孔膜、二次電池用セパレーター及び二次電池
JP5765228B2 (ja) 二次電池用多孔膜及び二次電池
JP6064986B2 (ja) 二次電池用多孔膜、二次電池用電極、二次電池用セパレーター及び二次電池
WO2013151144A1 (ja) 二次電池用セパレータ
WO2012043729A1 (ja) 二次電池多孔膜スラリー、二次電池多孔膜、二次電池電極、二次電池セパレーター、二次電池、及び二次電池多孔膜の製造方法
WO2010016476A1 (ja) リチウムイオン二次電池用電極
JP2014149936A (ja) 二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法及び二次電池
JP2014149935A (ja) 二次電池用セパレータ、二次電池用セパレータの製造方法及び二次電池
WO2011013604A1 (ja) 二次電池用多孔膜及び二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130813

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130822

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140520

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140602

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5564954

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250