JP2011143672A - 筆記シート - Google Patents

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Abstract

【課題】クレヨンタイプの筆記具を用いた場合でも十分な筆記性及び消去性を発現できる筆記シートを提供する。
【解決手段】本発明に係る筆記シートは、樹脂製基材シートの片面に、硬化性樹脂組成物の硬化層を設けてなり、前記硬化層の筆記面(10)に、エンボス加工によって、凹部が連続し、JIS B0601規定の方法による表面の算術平均粗さが0.5〜5.0μmであり、平均波長が30〜300μmであり、粗さ曲線のスキューネスが−2.0〜−0.01である凹凸構造(11,12)を形成してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の凹凸構造を表面に形成したクレヨンタイプの筆記具のための筆記シートに関する。
硬化樹脂層又はフッ素樹脂層からなる筆記層が設けられ、油性又は水性のペンタイプの筆記具に適した筆記性及び消去性が付与された筆記シートは、ホワイトボード等の筆記表示具として各種提案され、使用されている。さらに、表面への凹凸構造の形成によって光線の反射を抑制する防眩性が付与され、視認性が向上した筆記シートや、効率的なプレゼンテーションのため、筆記表示とともにプロジェクター等の投影表示も可能とする反射スクリーン兼用筆記シートも提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
表面への凹凸構造の形成によって光線の反射を抑制する防眩性の付与を行った場合、この凹凸構造の凹部にインクが残留し易くなることから筆記表示の際の消去性が低下するという問題を生じ、防眩性と筆記性及び消去性の両立が必要となる。
特許文献1,2では筆記面となる硬化樹脂層にエンボス加工を行い、凹凸構造の深さ及び密度を一定範囲とすることが記載されている。すなわち、特許文献1には凹凸のピッチ巾及び深さを1〜50μm程度とすることにより、また、特許文献2には算術平均粗さ(JIS−B−0601)を1.0〜4.0μm、隣接凸部間の平均山間隔(JIS−B−0601)を30〜300μmとすることが記載されている。また、特許文献3にはフッ素樹脂層へのエンボス加工を微細凸部の頂部が平面又は凹曲面、微細凹部の底部がV字溝となっている特定エンボス版を用い、その条痕から転写される凸部がV字型であって、高さ(=凹部の深度)15〜25μm及びピッチ84〜169μmで一定してなり、凹部の底面が平面又は凹曲面である特定の表面凹凸構造とすることが記載されている。
一方、筆記具として、有機溶剤の揮散の問題、乾燥に時間を要し、表記がにじむ等の乾燥性の問題のある従来の液体のインクを用いるペンタイプに替って、固形のクレヨンタイプの筆記具が提案されている(例えば、特許文献4)。このクレヨンタイプの筆記具は、高融点のワックスに顔料、界面活性剤等を配合して得られる固形の筆記具であり、白墨のように筆記時や消去時に粉塵の発生がなく、水性又は油性のインクを用いるペンタイプのように筆記時の溶剤の揮散や、消去時の消去具からの粉塵の発生がなく、人体への悪影響を与えない点で好ましい。
特開昭63−159098号公報 国際公開第01/32440号 特開平11−254885号公報 特開2007−31612号公報
しかしながら、従来の筆記シートは、あくまでもペンタイプの筆記具を用いた場合の筆記性、消去性、防眩性に適した表面凹凸構造を有するものであり、クレヨンタイプの筆記具を用いる場合、十分な筆記性及び消去性の発現が困難であった。
すなわち、クレヨンタイプの筆記具は固形であるがために筆記にあたっては、筆記シートの表面に一定の凹凸構造が必要であるが、従来の凹凸構造を有する筆記シートにクレヨンタイプ筆記具で筆記した場合には、そのペンタイプに適した凹凸構造のため、乾布又は水を浸した布による消去にあたって拭取り抵抗が高く、消去が困難となることがあった。
また、クレヨンタイプの筆記具は従来のペンタイプの筆記具とはインクの組成が異なるため、特に、従来の筆記シートに当該クレヨンタイプ筆記具で筆記後長時間放置した際には、当該筆記シートへのインクの浸透が生じやすく、消去不能となることがあった。
また、従来の筆記シートにクレヨンタイプ筆記具で筆記した場合には、布による拭取り消去時に当該筆記シートの表面にインクが広がり、着色の残留が発生するといった問題や、水を浸した布を用いる水拭きで消去した直後に筆記した際には残留する水で滲みが生じ、筆記の鮮鋭性が低下する(水拭き後の筆記性に劣る)といった問題もあった。
このように、従来の表面凹凸構造を有する筆記シート又は反射スクリーン兼用筆記シートでは、クレヨンタイプの筆記具を用いる場合に筆記性及び消去性が不足する場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、クレヨンタイプの筆記具を用いた場合でも十分な筆記性及び消去性を発現できる筆記シートを提供することをその目的の一つとする。
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る筆記シートは、樹脂製基材シートの片面に、硬化性樹脂組成物の硬化樹脂層を設けてなり、前記硬化樹脂層の筆記面に、エンボス加工によって、凹部が連続し、JIS B0601規定の方法による表面の算術平均粗さが0.5〜5.0μmであり、平均波長が30〜300μmであり、粗さ曲線のスキューネスが−2.0〜−0.01である凹凸構造を形成してなるクレヨンタイプ筆記具用の筆記シートである。本発明によれば、クレヨンタイプの筆記具を用いた場合でも十分な筆記性及び消去性を発現できる筆記シートを提供することができる。
また、前記筆記シートは、前記樹脂製基材シートの前記片面に、乾燥皮膜を形成し得る硬化性樹脂組成物を塗布し乾燥して前記硬化性樹脂組成物の前記乾燥皮膜を形成し、次いで、前記乾燥皮膜の表面に、前記エンボス加工によって前記凹凸構造を形成し、その後、前記硬化性樹脂組成物を硬化させることにより前記硬化樹脂層を設けてなる筆記シートであることとしてもよい。また、この場合、前記硬化性樹脂組成物は、エネルギー線硬化性樹脂組成物であり、前記エネルギー線硬化性樹脂組成物の前記乾燥皮膜を形成後、前記乾燥皮膜にエネルギー線を照射して前記硬化性樹脂組成物を硬化させることとしてもよい。こうすれば、筆記面における凹凸構造の形成を精度よく行うことができ、さらに当該凹凸構造の形成で発生しやすいクラックや剥離等の欠陥が効果的に低減された硬化樹脂層が得られることから、クレヨンタイプ筆記具を用いた場合のインク浸透を一層効果的に防止することが可能となる。
また、前記凹凸構造は、凸部を半球状に形成し、且つ凹部を底部が同一深度の連続した幾何模様に形成してなることとしてもよい。こうすれば、クレヨンタイプ筆記具を用いた場合であっても、一層容易な消去が可能となる。
本発明によれば、クレヨンタイプの筆記具を用いた場合でも十分な筆記性及び消去性を発現できる筆記シートを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る筆記シートの筆記面に形成された凹凸構造の一例を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る筆記シートの筆記性及び消去性を評価した結果の一例を示す説明図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る筆記シートについて説明する。なお、本発明は、本実施例に限られるものではない。
[樹脂製基材シート]
本発明の筆記シートに係る樹脂製基材シートは、支持体として機能する樹脂製のシート状成形体であれば特に限られない。樹脂製基材シートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン及びその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含ハロゲンビニル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリスチレン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂;アクリロニトリル−エチレン及び/またはプロピレン−スチレン共重合樹脂;セルロースアセテートからなる群より選択される1種を使用することができ、又は2種以上の樹脂を含む樹脂混合物を使用することができる。
樹脂製基材シートとしては、上記樹脂又は樹脂混合物のシート又はフィルムを単独で使用することができ、又は2種以上の当該シート又はフィルムを積層してなる積層体を使用することができる。
特に、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、メチルメタクリレート共重合体に架橋アクリルゴム粒子を混合、分散したアクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−エチレン及び/又はプロピレン−スチレン共重合樹脂は、強度、エンボス等の加工性、表面に塗布される硬化性樹脂組成物やその他のコート材又は接着材、粘着材との密着性の点で好ましい。
樹脂製基材シートは、顔料等により着色されてもよく、又は透明でもよい。また、樹脂製基材シートは、部分的に着色されたもの、例えば、塗装や印刷等による絵柄やます目等を有するものでもよい。塗装や印刷は、従来公知の方法で行うことができる。また、樹脂製基材シートは、コート材又は接着材、粘着材との密着性を改良する目的で塩素化ポリプロピレン等のプライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理を表面に施したものでもよい。
樹脂製基材シートの厚みは、例えば、10〜1000μmとすることができ、好ましくは50〜400μmとすることができる。厚みが10μm未満では樹脂製基材シートの強度や加工性が不足する恐れがあり、厚みが1000μm超では樹脂製基材シートの重量が増し、筆記シ−トの使用時に、例えば、壁面への固定時にずれや落下が生じる等の不具合が生じる恐れがある。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の筆記シートに係る硬化性樹脂組成物は、筆記面を有する硬化樹脂層を形成する。硬化性樹脂組成物は、エンボス加工により凹凸構造を形成可能であり、クレヨンタイプの筆記具を用いた場合のインク浸透の低減又は防止、拭き取り消去時の傷付きの低減又は防止が可能な硬化状態となるものであれば特に限定されない。
すなわち、硬化性樹脂組成物としては、例えば、ウレタン架橋、メラミン架橋、エポキシ架橋、加水分解性ケイ素基の加水分解縮合反応等の架橋硬化反応性を有する熱硬化性樹脂組成物や、γ線、電子線,紫外線、可視光線等のエネルギー線の照射によるラジカル重合等の架橋硬化反応性を有するエネルギー線硬化性樹脂組成物を使用することができる。
これらの中でエネルギー線硬化性樹脂組成物は、エネルギー線の照射により短時間で高度な硬化状態とすることができ、上記樹脂製基材シート上に連続的に積層し、そのまま積層面にエネルギー線照射を行って硬化させることで硬化樹脂層を連続的に製造することも可能であることから好ましい。
硬化樹脂層は、当該硬化樹脂層単独を室温でエタノール中に1日浸漬し、取り出して加熱乾燥した後のエタノール抽出残分(ゲル分率)が90重量%以上となるように硬化されていることが好ましい。
硬化樹脂層の厚みは、例えば、1〜200μmとすることができ、好ましくは3〜100μmとすることができる。厚みが1μm未満ではクレヨンタイプ筆記具のインクの浸透防止の効果が不十分となる恐れがあり、厚みが200μm超では硬化反応の収縮の影響で筆記シ−トに反りが生じる等の不具合が生じる恐れがある。
硬化性樹脂組成物は、本発明のエンボス加工による凹凸構造の形成を行うにあたり、エンボス加工時の状態として未硬化、半硬化、完全硬化のいずれの状態であっても構わないが、未硬化又は半硬化状態で乾燥皮膜を形成するものが好ましい。
ここで言う“乾燥皮膜を形成”とは、当該乾燥皮膜の表面を室温で指触した場合に粘着感が小さく、上記樹脂製基材シート上に当該乾燥皮膜を形成してなる積層シートが巻き取り等の取り扱い可能であって、且つ当該乾燥皮膜が塑性変形し又は加熱によって軟化し、当該積層シートのエンボス加工が可能である状態をいう。
このような乾燥皮膜を形成し得る硬化性樹脂組成物を使用する場合には、樹脂製基材シートの片面に、当該硬化性樹脂組成物を塗布し乾燥して、未硬化又は半硬化状態の当該硬化性樹脂組成物の乾燥皮膜を形成し、次いで、得られた積層シートの当該乾燥皮膜の表面にエンボス加工を行って凹凸構造を形成し、その後、当該硬化性樹脂組成物を硬化させる。このような工程でエンボス加工を行うことによって、原版(エンボス版)の凹凸構造を乾燥皮膜に精度よく転写でき、転写された凹凸構造を維持したまま当該乾燥皮膜を硬化させることで硬化樹脂層における欠陥の発生を低減することも可能となり、当該硬化樹脂層の筆記面における筆記性及び消去性を向上できる。
乾燥皮膜を形成する方法としては、例えば、軟化点が室温、好ましくは40℃以上である硬化性樹脂組成物を用い、その軟化点以上に加熱して塗布する方法や、当該硬化性樹脂組成物を溶液又は分散液とし、塗布後に溶媒又は分散媒体を揮発させる方法、2種類以上の硬化反応性を有する硬化性樹脂組成物を用い、いずれか一方の硬化反応で乾燥皮膜を形成させる方法(例えば、ウレタン架橋の熱硬化により乾燥皮膜を形成し、エンボス加工後に、エネルギー線照射による架橋硬化反応を行わせる方法)等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物が備える硬化性として好ましいエネルギー線硬化性は、エネルギー線、例えば、γ線、電子線,紫外線、可視光線等の照射により生じる架橋硬化反応性であって、樹脂組成物中に、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基等の官能基を有する化合物と必要に応じて各官能基に対応するエネルギー線重合開始剤を添加して付与される。
特に、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、樹脂組成物での安定性、さらに乾燥皮膜の形成を経る場合の当該乾燥皮膜での安定性に優れ、且つエネルギー線による硬化が容易である点で好ましい。
そのような(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物としては、例えば、多価アルコールのアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが一般に知られ、商業的に入手可能である。
また、(メタ)アクリロイルオキシ基に対応するエネルギー線重合開始剤としては、例えば、紫外線等の光重合開始剤としてベンゾフェノン類、アセトフェノン類、チオキサントン類、増感剤としてアミン類、ホスフィン類が一般に知られ、商業的に入手可能である。
硬化に用いられるエネルギー線は、電子線(EB)又は紫外線(UV)が照射装置の汎用性、安定な硬化が可能である点で好ましい。これらの照射は、電子線ではコツククロフト型、バンプグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア型等の各種電子加速機を用い、紫外線では高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等を用いて行うことができる。
硬化性樹脂組成物の好ましい形態である、乾燥皮膜を形成し得るエネルギー線硬化性樹脂組成物の具体例としては、(1)(メタ)アクリロイルオキシ基を有する又は有せず、軟化点が40℃以上である乾燥皮膜を形成し得る化合物、例えばガラス転移温度40℃以上、重量平均分子量5000〜100000のアルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル樹脂及び/又はポリウレタン樹脂を20〜100重量部と、(2)上記(1)を除く(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、例えば多価アルコールのアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートを0〜80重量部と、を含有し、上記(1)及び(2)の固形分の合計量100重量部に対して、溶剤を25〜2000重量部、その他光重合開始剤、光安定剤等の添加剤を加えた樹脂組成物が挙げられる。なお、上記(1)の化合物が(メタ)アクリロイルオキシ基を有する場合には、硬化性樹脂組成物は、上記(1)の化合物を含み、上記(2)の化合物を含まない樹脂組成物とすることもできる。
この硬化性樹脂組成物は、溶剤の揮散により乾燥皮膜を形成するため、通常のスプレー、コーターによる塗装が適応でき、乾燥のみで安定に乾燥皮膜を得ることができる点で好ましい。なお、この硬化性樹脂組成物には、艶消し材等の固体粒子の添加も可能であるが、樹脂層と当該固体粒子間の界面にインクの浸透が生じる恐れがあり、添加しないことが好ましい。
上記の具体例において、上記(1)の化合物をアルキル(メタ)アクリレート共重合体とすれば、組成の選択範囲が広く、ガラス転移温度の調整や上記(2)の化合物との相溶性の調整が容易であり、硬化樹脂層の耐久性に優れる点でも好ましい。
このアルキル(メタ)アクリレート共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート及びこれと共重合可能なビニル単量体を使用して、従来公知の方法、例えば、溶液中又は水性分散体でのラジカル重合等により製造することができる。アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なビニル単量体として、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル単量体;(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸の酸無水物;2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有ビニル単量体等の官能基含有ビニル単量体を用いることで、アルキル(メタ)アクリレート共重合体への架橋反応による硬化性の付与や、他の官能基を導入する等の変性を行うことができる。
上記の具体例において、上記(1)の化合物が一分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体とすれば、硬化性を高め、筆記及び消去の繰り返しに対する耐久性の一層の向上が可能となることから好ましい。
このような重合体は、官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂にこの官能基と反応可能な基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を反応させる等の方法により製造することができる。
例えば、上記(1)の化合物がアルキル(メタ)アクリレート共重合体であれば、上記の方法でアルキル(メタ)アクリレートと官能基含有ビニル単量体の共重合体を得た後、この官能基と反応可能な基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を反応させる等の方法が挙げられる。
また、例えば、エポキシ基含有ビニル単量体又はイソシアネート基含有ビニル単量体の共重合体に水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の活性水素基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を反応させる方法や、カルボキシル基含有ビニル単量体の共重合体にエポキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。
[エンボス加工]
本発明に係る筆記シートの筆記面には、クレヨンタイプの筆記具に適した本発明に特有の凹凸構造がエンボス加工により形成されている。エンボス加工は、従来公知の方法によって行うことができ、例えば、エンボス版又はエンボス形状のフィルムをシートに積層してプレスする方法、エンボスロールによる方法等が挙げられる。これらの中でエンボスロールによる方法が連続的な加工が可能であり、筆記シートの製造が容易である点で好ましい。エンボスロールによる方法は、エンボスロールを加温するとともに、ヒーターによるプレヒート等により加熱されたシートを当該エンボスロールと圧着させることにより行う。
[筆記シートの作製]
本発明に係る筆記シートの作製に好ましい態様として、樹脂製基材シートの片面に、乾燥皮膜を形成し得るエネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布乾燥してなる積層シートの当該乾燥皮膜表面にエンボス加工により凹凸構造を形成した後、エネルギー線を照射して当該エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる方法が挙げられる。
この場合、まず、エネルギー線硬化性樹脂組成物を樹脂製基材シート上に塗布するとともに乾燥して、当該樹脂製基材シートと乾燥皮膜とを有する積層シートを得る。エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗布は、従来公知の方法によって行うことができる。すなわち、例えば、エネルギー線硬化性樹脂組成物が液体であれば、ディッピング、スプレー、刷毛塗り、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等による塗装又は印刷を行うことができ、当該エネルギー線硬化性樹脂組成物が熱溶融性であれば、Tダイ等による積層を行うことができる。
エネルギー線硬化性樹脂組成物の乾燥は、当該エネルギー線硬化性樹脂組成物の皮膜形成の方法に応じ、例えば、当該エネルギー線硬化性樹脂組成物として溶液又は分散液を用いる場合であれば、溶媒又は分散媒体の揮発により行うことができ、また、エネルギー線による硬化反応以外の架橋硬化反応を用いる場合であれば、当該架橋硬化反応が可能な状態となるように適切にヒーター、オーブン等によって当該エネルギー線硬化性樹脂組成物を加熱、養生等することにより行うことができる。
次いで、樹脂製基材シートの片面に、乾燥皮膜を形成し得るエネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布乾燥してなる積層シートの当該乾燥皮膜の表面にエンボス加工により凹凸構造を形成する。
この乾燥皮膜に対するエンボス加工により、筆記シートの筆記面に、クレヨンタイプの筆記具に適した本発明に特有の高深度の凹凸構造を精度よく付与することができる。このエンボス加工において、筆記シートの加熱温度は、樹脂製基材シート及びエネルギー線硬化性樹脂組成物の乾燥皮膜の軟化温度以上とすることが好ましい。これにより、乾燥皮膜から樹脂製基材シートに至る高深度の凹凸構造が精度よく、鮮鋭に転写可能となる。
そして、積層シートの乾燥皮膜の表面にエンボス加工により凹凸構造を形成した後、当該乾燥皮膜にエネルギー線を照射して当該エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる。これにより、所望の表面形状、特にクレヨンタイプの筆記具での筆記に適した表面凹凸構造を欠陥なく形成させた乾燥皮膜を、その形状を損なうことなく架橋硬化させることができる。
この硬化は、硬化性樹脂組成物のエネルギー線硬化性に対応するエネルギー線を所要線量照射することにより行うことができる。例えば、表面凹凸構造の形成をエンボスロールにより連続的に行う場合、この加工ライン中に照射器を設置して、エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗布面にエネルギー線を連続的に照射する方法や、積層シートを所望の形状に切断、賦形後又は他の物品に貼り付け後にエネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
[表面凹凸構造]
本発明に係る筆記シートは、硬化樹脂層の筆記面に特定の凹凸構造を形成してなる。すなわち、この筆記シートは、凹部が連続し、JIS B0601記載の方法による表面の算術平均粗さ(SRa)が0.5〜5.0μm、平均波長(Sλa)が30〜300μm、粗さ曲線のスキューネス(SRsk)が−2.0〜−0.01である深度、間隔、形状の凹凸構造が形成された筆記面を有することにより、クレヨンタイプの筆記具を用いた滑らかな筆記と消去が可能となる。また、この凹凸構造によって、例えば、室内での筆記シートの使用における照明器具、窓からの光等の側方より入射する光線に対する防眩性も向上する。
本発明の表面凹凸構造を特徴付ける粗さ曲線のスキューネス(SRsk)は中心面に対する表面形状の高さ方向の対称性を表すが、SRskが0未満となる断面形状は、凸部が広く、凹部が狭い形状であって、例えば、凸部が半球状又は頂部が台形状をなし、凹部がV字型をなす形状が挙げられる。
一方、一般的な艶消しの形状である梨地は断面が一般的には正弦波形状となるため、SRskが0以上である。また、例えば、上記特許文献3(特開平11−254885号公報)に示される凸部がV字型をなし、凹部の底面が平面又は凹曲面をなす断面形状は、凸部が狭く、凹部が広い形状となるため、SRskは0以上となる。
クレヨンタイプの筆記具に適した筆記シートの表面凹凸構造に関する本発明者らの検討では、ペンタイプの液状インクに比較して、クレヨンタイプの固形インクは油脂状で粘着的であり、且つ付着量が多くなるため、凹部が独立している(不連続な窪みを形成している)場合、及び凹部が一定以上の広さを有する場合、凹部底面へ付着したインクが除去され難く、また、凸部が狭まった形状である場合、インクの付着は良好となるものの消去時にシート表面(筆記面)へのインクの広がりや拭取り抵抗が助長される等、特に消去性への形状の影響が大きいことがわかった。
これに対し、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、凹部が連続し、SRa、Sλa、SRskがそれぞれ上記の範囲となり、一定の深度、間隔に加えて、広がった凸部に狭まった凹部を有する凹凸構造を筆記面に付与することにより、上記の問題を解決できることを見出した。
また、水拭き消去後の筆記性、すなわち残留水分によるインク滲みについては、筆記シート上での水の残留形態が水膜又は大きな水滴が形成される場合が問題となるが、本発明に特有の上記表面凹凸構造においては、残留水は細かな水滴となるため、当該表面凹凸構造は、当該インク滲みの改善についても有効であった。
本発明の表面凹凸構造においては、好ましくは、表面の算術平均粗さを0.5〜3.0μmとし、平均波長を40〜150μmとし、粗さ曲線のスキューネスを−1.0〜−0.05とすることで、筆記性及び消去性のバランスが良好となる。
また、表面の算術平均粗さを0.5〜3.0μmとし、平均波長を40〜150μmとし、粗さ曲線のスキューネスを−1.0〜−0.11とすることで、筆記性及び消去性のバランスがさらに良好となる。
さらに、表面の算術平均粗さを1.2〜3.0μmとし、平均波長を40〜150μmとし、粗さ曲線のスキューネスを−1.0〜−0.20とするとすることで、筆記性(特に、水拭き後の筆記性)と消去性とを極めて良好に両立させることができる。
また、表面凹凸構造として、凸部を半球状に形成し、凹部を底部が同一深度の連続した幾何模様に形成することにより、当該凹部底面へ付着したインクの除去及び拭取り抵抗の低減が可能となり、一層容易な消去が可能となる。
[表面形状測定]
本発明に係る筆記シートの表面凹凸構造を規定する、JIS B0601記載の方法による表面の算術平均粗さ、平均波長、粗さ曲線のスキューネスは、触針式の表面形状測定器の測定値により定められる。例えば、株式会社小坂研究所製の表面形状測定器「サーフコーダ;SE−30K」を用いて、筆記面のうち、1mm×1mm〜3mm×3mmの領域を測定することで、その表面形状を測定することができる。この際に生データは最小二乗法によってレベリングされたものであり、カットオフを用いずに算術平均粗さ、平均波長、粗さ曲線のスキューネスを算出する。
[算術平均粗さ]
算術平均粗さ(SRa)は、JIS−B0601−1994に記載されている2次元粗さパラメータの算術平均粗さ(Ra)を、3次元に面として計算させたもので、粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X、Y軸を置き、中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面をf(X、Y)、基準面の大きさ(平均粗さを求める測定範囲)をLx×Lyとしたとき、下記の式(I)で与えられる値であり、単位はμmである。
Figure 2011143672
[平均波長]
平均波長(Sλa)は、正弦波(y=Asinωx)で表面形状を想定した場合の波長の平均値であり、粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X、Y軸を置き中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面をf(X、Y)、基準面の大きさをLx×Lyとしたとき、下記の式(II)で与えられる値であり、単位はμmである。
Figure 2011143672
但し、上記の式(II)において、SRaは上記の式(I)で与えられる算術平均粗さであり、SΔaは下記の式(III)で与えられる平均傾斜勾配である。SΔaの値が高いほど急峻な面を多く含む表面となる。
Figure 2011143672
[粗さ曲線のスキューネス]
粗さ曲線のスキューネス(SRsk)は、JIS−B0601−2001に記載されている2次元粗さパラメータの粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を、3次元に面として計算させたもので、粗さ曲面の中心面上に直交座標軸X、Y軸を置き中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面をf(X、Y)、基準面の大きさをLx×Lyとしたとき、下記の式(IV)で与えられる値である。この値は、中心面に対し、表面形状の高さ方向の対称性を表したものであり、無次元数である。
Figure 2011143672
但し、上記の式(IV)において、SRqは下記の式(V)で与えられる二乗平均平方根粗さである。
Figure 2011143672
[凹凸構造をなす凹部の形成]
本発明に係る筆記シートの表面凹凸構造において、凹部の底部を同一深度の連続する幾何形状となすことにより、一層容易な消去が可能となる。ここで言う凹部の形状は、筆記シートの筆記面上からの観察(平面視)において凹部のなす形状であり、例えば、一般的な艶消しのエンボスである梨地は不定(ランダム)形状となるが、本発明に係る連続する幾何形状は、三角、四角又は六角等の多角形の規則的な模様をなしている状態を示す。この状態で凹部の底部を一定深度とすることにより、当該凹部の連続性が向上し、布等での拭取り消去する際の当該凹部へのインクの残留がさらに減少し、消去性が向上する。
さらに、本発明に係る筆記シートの表面凹凸構造において、凸部を半球状とすることにより、筆記する際の筆捌き、拭取り消去する際の拭取り抵抗の低減が可能となる。
本発明に係る筆記シートの表面凹凸構造として特に好ましい態様は、図1に示すように、凸部が半球状であり、凹部の底部が同一深度の連続した六角(ハニカム)である形状である。
すなわち、図1は、本発明に係る筆記シートの筆記面10の一部を顕微鏡下で撮影して得られた画像である。図1に示すように、この例に係る表面凹凸構造は、規則的に配置され平面視にて六角形を形成する凸部11と、当該凸部11の外周を囲む六角形の網目状に連続して形成された凹部12と、を有している。凹部12の底部が同一深度であるとは、例えば、図1に示す表面凹凸構造を切断して得られる断面図(不図示)において、凹部12の底部(最も深い部分)が、ほぼ同一平面上に配置されることを意味する。また、凹部が連続した幾何形状であるとは、例えば、図1に示すように、凹部12が、平面視において当該幾何形状(図1の例では六角形)が互いに連なってなる溝として形成されていることを意味する。そして、凸部11は、この凹部12から上方に隆起した半球状(ドーム状)に形成されている。
[筆記シートの使用]
本発明に係る筆記シートは、他の物品上に固定して使用する等のために、硬化樹脂層を設けた筆記面とは反対の裏面(一方の表面に硬化樹脂層を設けた樹脂製基材シートの他方の表面)に固定用の加工を行うことができる。このような固定用の加工としては、例えば、粘接着材層の形成、平面上の物品に可逆的に固定するための吸盤加工されたシートの積層、鉄製の物品に可逆的に固定するための可とう性の磁気付着シートの積層等が挙げられる。これらの固定用の加工は、使用状況に応じて裏面の一部、又は全面であってよい。例えば、本発明に係る筆記シートとして透明なものを用い、その裏面に透明な粘着材層を形成したものは、他の表示機器画面、例えば、液晶表示画面上に貼り付け固定を行えば、機器画面の表示を隠ぺいせず、筆記具による表記も可能となり、電子黒板等での表記の自由度を向上させることもできる。
次に、本発明に係る筆記具の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[UV照射]
エネルギー線として紫外線(UV)を用いた。UV照射は、高圧水銀灯(HLR100T−2、セン特殊光源株式会社製、)(出力170mW/cm)を用いて行った。
[硬化樹脂層単独でのエタノール抽出残分の測定]
エネルギー線硬化性樹脂組成物を平滑な離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーターを用いて塗布し、膜厚20〜30μmの乾燥皮膜を形成した後、当該乾燥皮膜に上記のUV照射を所要量行って硬化樹脂層単独フィルムを作製した。この硬化樹脂層を室温にて試薬特級エタノールに1日浸漬後、80℃のオーブン中で2時間乾燥し、エタノール浸積前の初期重量に対する抽出及び乾燥後の重量の比をエタノール抽出残分(重量%)として算出した。
[60°光沢の測定]
60°光沢計(ユニグロス60、ミノルタ株式会社製)を用い、JIS K 7105記載の方法に準じて表面の60°光沢を測定した。
[表面形状の測定]
表面形状測定器(サーフコーダ;SE−30K、株式会社小坂研究所製)を用いて、筆記シートの筆記面のうち3mm×3mmの領域の測定を行った。生データは最小二乗法によってレベリングされたもので、カットオフを用いずに上記の式(I)、式(II)及び式(IV)から算術平均粗さSRa、平均波長Sλa及び粗さ曲線のスキューネスSRskをそれぞれ算出した。
[クレヨンタイプ筆記具]
筆記具として、クレヨンタイプ筆記具(キットパス、日本理化学工業株式会社製)の黒を用い、筆記性及び消去性を以下のように評価した。
[筆記性]
筆記面が乾燥した筆記シートに、クレヨンタイプ筆記具を用いて線の太さが3〜5mm程度となるように書き込む場合の重さを次の基準で判定した;「◎」:筆圧を意識せず、軽く書ける、「○」:筆圧を若干上げれば書ける、「△」:筆圧をかなり上げれば書ける、「×」:色のりが薄く、数回筆記する必要がある(平滑なシート上と同様)。
[水拭き後の筆記性]
水を含ませた布で筆記面を数回拭き取ってやや濡れた状態とした筆記シートに、クレヨンタイプ筆記具を用いて線の太さが3〜5mm程度となるように書き込む場合の重さを次の基準で判定した;「◎」:乾燥面と同様の筆記ができる、「○」:若干の滲みが見られるが、書き込まれた線の太さに変化なく筆記内容の読み取りに問題はない、「△」:滲みにより書き込まれた線が乱れるが筆記内容の読み取りは可能、「×」:滲みにより書き込まれた線が乱れ筆記内容の読み取りが不能。
[消去性]
クレヨンタイプ筆記具を用いて筆記シートに線の太さが3〜5mm程度となるように筆記を行い、筆記直後、及び筆記された当該筆記シートを40℃のオーブン中に7日放置後(40℃放置後)に水を含ませた布で拭き取った場合の証拠性を下記の基準で判定した;「◎」:拭き取り1〜2回で消える、「○」:拭き取りを強く繰り返せば消える、「△」:筆記の跡が残る、「×」:筆記が殆ど拭き取れない。
[製造例1]
窒素導入管、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、メチルエチルケトン420gを入れ、80℃に昇温した。窒素雰囲気、攪拌下でメチルメタクリレート135g、ブチルアクリレート60g、グリシジルメタクリレート105g及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル1.8gの混合物を7時間で滴下した。その後、メチルエチルケトン30gとアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2gの混合物を30分で滴下した。80℃で約3時間後重合を行い、これにアクリル酸30g、テトラメチルアンモニウムブロマイド3g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1gを添加し、還流状態で8時間反応させた。冷却後、反応物をフラスコより取り出し、アクリロイルオキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体のポリマー溶液(以下、「ポリマー溶液(b1)」という。)を得た。
このポリマー溶液b1は、ポリマー固形分量が約40質量%、テトラヒドロフランを溶離溶剤としたゲルパーミエーションクロマトグラフ分析によるポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量が約60000であった。
[製造例2]
窒素導入管、攪拌機、コンデンサー及び温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、メチルエチルケトン420gを入れ、80℃に昇温した。窒素雰囲気、攪拌下でメチルメタクリレート230g、ブチルアクリレート70g及びアゾビス−2−メチルブチロニトリル1.8gの混合物を7時間で滴下した。その後、メチルエチルケトン30gとアゾビス−2−メチルブチロニトリル0.2gの混合物を30分で滴下した。80℃で約3時間後重合を行った。冷却後、反応物をフラスコより取り出し、アクリロイルオキシ基を有しないアルキル(メタ)アクリレート共重合体のポリマー溶液(以下、「ポリマー溶液(b2)」という。)を得た。
このポリマー溶液b2は、ポリマー固形分量が約40質量%、テトラヒドロフランを溶離溶剤としたゲルパーミエーションクロマトグラフ分析によるポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量が約60000であった。
[実施例1]
上述の製造例1で調製したポリマー溶液(b1)100gに、光重合開始剤(イルガキュアー184、チバ・スペシャリティ社製)を0.8g及びメチルエチルケトン35g添加し、ディスパーで約10分混合してエネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物A」という。)を得た。
樹脂組成物Aを用いて形成された硬化樹脂層のエタノール抽出残分(樹脂組成物Aを平滑な離型処理したPETフィルム上にバーコーターNo.34で塗布し、80℃オーブン中で3分乾燥することにより、約25℃の室温で粘着感のない乾燥皮膜を形成し、この乾燥塗膜にUV照射を600mJ/cm相当行ったもののエタノール抽出残分)は98重量%であった。
この樹脂組成物Aを、30cm×30cmに切り出した厚み250μm、平滑、白色のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)製基材シート表面にバーコーターNo.34で塗布し、80℃オーブン中で3分乾燥することにより、厚さ約20μmの当該樹脂組成物Aの乾燥皮膜が形成された複合シート(積層シート)を得た。
次に、図1に示すような凸部が半球状、凹部がハニカム形状且つ60°光沢が3.5となる表面形状を形成可能な金属製のエンボス版(以下、「エンボス版a」という。)を上記複合シートの樹脂組成物Aの乾燥皮膜の表面に積載し、最高温度170℃で熱プレスすることによるエンボス加工を行い、当該乾燥皮膜に表面凹凸形状を付与した。
そして、このエンボス加工後の複合シートにUV照射を600mJ/cm相当行い、乾燥皮膜を構成する樹脂組成物Aを硬化させることにより、当該樹脂組成物Aの硬化樹脂層を有する筆記シート(以下、「筆記シート1」という。)を得た。
[実施例2]
ポリマー溶液(b1)100gに、市販の紫外線硬化性樹脂(サンラッドRC−610R、三洋化成株式会社製)(固形分100%)10g、光重合開始剤(イルガキュアー184、チバ・スペシャリティ社製)0.8g及びメチルエチルケトン55gを添加し、ディスパーで約10分混合してエネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物B」という。)を得た。上述の実施例1と同様に樹脂組成物Bを用いて形成された硬化樹脂層単独でのエタノール抽出残分は98重量%であった。
この樹脂組成物Bを用い、上述の実施例1と同様の手順で筆記シート(以下、「筆記シート2」という。)を得た。
[実施例3]
上述の実施例2と同様に、樹脂組成物Bを用いて、ABS製基材シート上に厚さ約20μmの当該樹脂組成物Bの乾燥皮膜が形成された複合シートを得た。
そして、梨地状で凹部が連続し、凸部が広い形状且つ60°光沢が10となる表面形状を形成可能なシリコーンゴム製のエンボス版(以下、「エンボス版b」という。)を用い、上述の実施例2と同様の手順で筆記シート(以下、「筆記シート3」という。)を得た。
[実施例4]
上述の実施例2と同様に、樹脂組成物Bを用いて、ABS製基材シート上に厚さ約20μmの当該樹脂組成物Bの乾燥皮膜が形成された複合シートを得た。次に、この乾燥皮膜に対してUV照射を600mJ/cm相当行い、当該乾燥皮膜を構成する樹脂組成物Bを硬化させ、当該樹脂組成物Bの硬化樹脂層を有する平滑な複合シートを得た。
この複合シートに対して、実施例2と同様にエンボス版aを用いたエンボス加工を行い、筆記シート(以下、「筆記シート4」という。)を得た。
[実施例5]
ポリマー溶液(b2)75gに、紫外線硬化性樹脂(サンラッドRC−610R、三洋化成株式会社製)20g、光重合開始剤(イルガキュアー184、チバ・スペシャリティ社製)0.8g及びメチルエチルケトン70gを添加し、ディスパーで約10分混合してエネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物C」という。)を得た。上述の実施例1と同様に樹脂組成物Cを用いて形成された硬化樹脂層単独でのエタノール抽出残分は95重量%であった。
この樹脂組成物Cを用い、実施例1と同様の手順で筆記シート(以下、「筆記シート5」という。)を得た。
[比較例1]
上述の実施例2と同様に、樹脂組成物Bを用いて、ABS製基材シート上に厚さ約20μmの当該樹脂組成物Bの乾燥皮膜が形成された複合シートを得た。
そして、梨地状で凹部が連続し、断面が正弦波形状且つ60°光沢が3.5となるシリコーンゴム製のエンボス版(以下、「エンボス版c」という。)を用い、上述の実施例2と同様の手順で筆記シート(以下、「筆記シート6」という。)を得た。
[比較例2]
上述の実施例2と同様に、樹脂組成物Bを用いて、ABS製基材シート上に厚さ約20μmの当該樹脂組成物Bの乾燥皮膜が形成された複合シートを得た。
そして、梨地状で凹部が連続し、断面が正弦波形状且つ60°光沢が8となる金属製のエンボス版(以下、「エンボス版d」という。)を用い、上述の実施例2と同様の手順で筆記シート(以下、「筆記シート7」という。)を得た。
[比較例3]
上述の実施例2と同様に、樹脂組成物Bを用いて、ABS製基材シート上に厚さ約20μmの当該樹脂組成物Bの乾燥皮膜が形成された複合シートを得た。
そして、エンボス版aを反転させた、凸部がハニカム形状で連続し、凹部が半球状で独立し且つ60°光沢が3.5となる表面形状を形成可能なシリコーンゴム製のエンボス版(以下、「エンボス版e」という。)を用い、上述の実施例2と同様の手順で筆記シート(以下、「筆記シート8」という。)を得た。
[結果]
図2には、上述の実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた筆記シート1〜8の60°光沢、SRa、Sλa、SRsk、筆記性及び消去性の評価結果を示す。
図2に示すように、実施例1、2及び5で得られた筆記シート1、2及び5は、乾燥皮膜を形成する樹脂組成物A、B及びCを用い、その乾燥皮膜を形成した複合シートに凸部半球状、凹部ハニカム形状且つ60°光沢が3.5となる表面形状を形成可能な金属製のエンボス版aを用いてエンボス加工を行った後、UV照射を行って得た筆記シートであり、クレヨンタイプの筆記具を用いて表面の状態によらず滑らかな筆記が可能でありながら消去性も良好であった。
実施例3で得られた筆記シート3は、実施例2のエンボス加工条件を、梨地状で凹部が連続し、凸部が広い形状且つ60°光沢が10となる表面形状を形成可能なシリコーンゴム製のエンボス版bに変更して得られた筆記シートであり、その消去性は良好であり、筆記性は問題ないレベルであった。
実施例4で得られた筆記シート4は、実施例2のシート加工手順をUV照射後、エンボス加工するように変更して得られた筆記シートであり、筆記面への凹凸構造の転写が比較的浅いもののSRaが1.05、Sλaが103、SRskが−0.37であり、消去性は良好であり、筆記性は問題ないレベルであった。
これらに対し、比較例1で得られた筆記シート6は、実施例2のエンボス加工条件を、梨地状で凹部が連続し、断面が正弦波形状且つ60°光沢が3.5となるシリコーンゴム製のエンボス版cに変更して得られた筆記シートであり、その筆記面に形成された凹凸構造は、凹部が連続し、SRaが1.10、Sλaが74であるが、SRskが0.00であるために凹部が広い凹凸構造となっており、筆記性は問題ないレベルであったが、消去性に問題が見られた。
比較例2で得られた筆記シート7は、実施例2のエンボス加工条件を、梨地状で凹部が連続し、断面が正弦波形状且つ60°光沢が8となる金属製のエンボス版dに変更して得られた筆記シートであり、その筆記面に形成された凹凸構造は、凹部が連続し、SRaが0.48、Sλaが48、SRskが0.82であり、SRaが低く、SRskが正となる凹部が広い凹凸構造であるため、水拭き後の筆記性、消去性に問題が見られた。
比較例3で得られた筆記シート8は、実施例2のエンボス加工条件を、エンボス版aを反転させた、凸部がハニカム形状で連続し、凹部が半球状で独立し且つ60°光沢が3.5となる表面形状を形成可能なシリコーンゴム製のエンボス版eに変更して得られた筆記シートであり、その筆記面に形成された凹凸構造は、凹部が独立し、SRaが0.84、Sλaが64、SRskが−0.29であり、凹部が独立した窪みとして形成されているため、消去性に大きな問題が見られた。
このような実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた結果の比較より、樹脂製基材シートの片面に、硬化性樹脂組成物の硬化樹脂層を設けてなり、エンボス加工によって当該硬化樹脂層の筆記面に、エンボス加工によって、凹部が連続し、JIS B0601規定の方法による表面の算術平均粗さが0.5〜5.0μmであり、平均波長が30〜300μmであり、粗さ曲線のスキューネスが−2.0〜−0.01である、一定の深度、間隔に加えて広がった凸部に狭まった凹部を有する形状の凹凸構造を形成してなる本発明に係る筆記シートは、クレヨンタイプの筆記具を用いて筆記面の状態によらず滑らかな筆記が可能でありながら、その筆記の消去性は筆記直後のみならず長時間放置した後であっても良好であることが明らかであった。
また、乾燥皮膜を形成し得るエネルギー線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂組成物を用い、これを塗布乾燥した積層シートの乾燥皮膜表面にエンボス加工により凹凸構造を形成した後、エネルギー線の照射等により当該硬化性樹脂組成物を硬化させることにより凹凸構造の形成を精度よく行うことができることが明らかであった。
さらに、凹凸構造として、凸部を半球状に形成し、且つ凹部を底部が同一深度の連続した幾何模様に形成することにより、一層容易な消去が可能となることが明らかであった。
本発明に係る筆記シートは、筆記表示具として有用であり、特にクレヨンタイプの筆記具を用いた場合の筆記性及び消去性に優れることから、筆記具として当該クレヨンタイプを用いる筆記シートとして有効に使用することができる。
10 筆記面、11 凸部、12 凹部。

Claims (4)

  1. 樹脂製基材シートの片面に、硬化性樹脂組成物の硬化樹脂層を設けてなり、前記硬化樹脂層の筆記面に、エンボス加工によって、凹部が連続し、JIS B0601規定の方法による表面の算術平均粗さが0.5〜5.0μmであり、平均波長が30〜300μmであり、粗さ曲線のスキューネスが−2.0〜−0.01である凹凸構造を形成してなるクレヨンタイプ筆記具用の筆記シート。
  2. 前記樹脂製基材シートの前記片面に、乾燥皮膜を形成し得る硬化性樹脂組成物を塗布し乾燥して前記硬化性樹脂組成物の前記乾燥皮膜を形成し、次いで、前記乾燥皮膜の表面に、前記エンボス加工によって前記凹凸構造を形成し、その後、前記硬化性樹脂組成物を硬化させることにより前記硬化樹脂層を設けてなる請求項1に記載の筆記シート。
  3. 前記硬化性樹脂組成物は、エネルギー線硬化性樹脂組成物であり、前記エネルギー線硬化性樹脂組成物の前記乾燥皮膜を形成後、前記乾燥皮膜にエネルギー線を照射して前記硬化性樹脂組成物を硬化させる請求項2に記載の筆記シート。
  4. 前記凹凸構造は、凸部を半球状に形成し、且つ凹部を底部が同一深度の連続した幾何模様に形成してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の筆記シート。
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