JP5519185B2 - 筆記シート - Google Patents
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(ii)アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含み、かつ一方のポリマーの重量平均分子量が4万〜20万でガラス転移温度が20℃以上であり、他方のポリマーの重量平均分子量が40万〜100万でガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーを含むフィルム形成樹脂からなるクリアフィルム層、
(iii)ベースフィルム層、及び
(iv)粘着剤層
からなる筆記シートを提供するものである。
本発明の筆記シートは、表面クリア層の凹凸面と反対側の面に、カルボキシル基含有酸性ポリマーとアミノ基含有塩基性ポリマーの混合物を高密度に架橋したポリマーにより形成したクリアフィルム層を有する。かかるクリアフィルム層では、二種のポリマー間の酸塩基相互作用により、筆記シートを加熱した際に発生する凹凸形状の戻り(平面化)を抑制できる。そのため、前記筆記シートをスクリーンとして使用し、プロジェクタによる熱にさらされた場合も、防眩性を維持することができる。
前記表面クリア層は、フッ素官能基を有する紫外線硬化型のオリゴマーおよび/またはフッ素官能基を有する紫外線硬化型のモノマーを構成要素とする樹脂を含む。前記樹脂は、フッ素官能基を有する紫外線硬化型のオリゴマー、フッ素官能基を有する紫外線硬化型のモノマー、またはフッ素官能基を有する紫外線硬化型のオリゴマーとフッ素官能基を有する紫外線硬化型のモノマーとの混合物を構成要素とすることができる。あるいは、フッ素官能基を有する紫外線硬化型のオリゴマーとフッ素官能基を有しない紫外線硬化型のモノマーとの混合物、フッ素官能基を有しない紫外線硬化型のアクリル系オリゴマーとフッ素官能基を有する紫外線硬化型のモノマーとの混合物を構成要素とすることもできる。いずれの場合も、さらに公知の光重合性モノマー、公知のポリマー、および/または公知の光重合開始剤を含んでも良い。
セイカビームP−1301(大日精化工業株式会社製:ポリエーテルウレタンアクリレート、アクリル系モノマー、及び光重合開始剤を含み、フッ素官能基を含まない樹脂:固形分80%)、
SN−5X−7624(サンノプコ株式会社製:ポリエーテルウレタンアクリレート、光重合性モノマー、ポリエステルウレタン、及び光重合開始剤を含み、フッ素官能基を含まない樹脂:固形分40%)、及び
アデカオプトマーKR566(株式会社ADECA製:アクリル系モノマー及び光重合開始剤を含み、フッ素官能基を含まない樹脂:固形分80%)
から選ばれる一つと、
ディフェンサFH−800ME(大日本インキ株式会社製:フッ素官能基含有ウレタンアクリレート、光重合性モノマー、及び光重合開始剤を含む:固形分90%)との混合物を挙げることができる。
(I)セイカビームP−1301、SN−5X−7624、およびアデカオプトマーKR566から選ばれる一つを約100質量部、及び
(II)ディフェンサFH−800MEを、上記(I)100質量部に対して約25質量部〜約100質量部とすることができる。
クリアフィルム層は、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び架橋剤を含むフィルム形成樹脂からなる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを得る方法の一つとしては、モノエチレン性不飽和モノマーと、アミノ基を含有する不飽和モノマーとを共重合することが挙げられる。カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを得る方法の一つとしては、モノエチレン性不飽和モノマーと、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとを共重合することが挙げられる。
これらの共重合は、ラジカル重合により行なうことができる。この場合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の公知の重合方法を用いることができる。開始剤としては過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートのような有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビスー4−シアノバレリアン酸、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル(AVN)等のアゾ系重合開始剤が用いられる。
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、またはカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーのうち一方の重量平均分子量を、例えば、約4万〜約20万とし、他方を、約40万〜約100万とすることができる。
実験機器:HP−1090 Series II (ヒューレットパッカード社製)
カラム :Plgel MIXED−Bx2(300mm、OD 7.5mm、ID5mm、Agilent Technologies社製)
検出器 :RI(refractive index)
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/分
試料濃度:0.1%
標準 :ポリスチレン
前記フィルム形成樹脂において、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、またはカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーのうち一方のTgは20℃以上であり、他方は0℃以下である。
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、FOXの式(下式)より求めることができる。
1/Tg=X1/(Tg1+273.15)+X2/(Tg2+273.15)+・・・+Xn/(Tgn+273.15)
(Tg1:成分1のホモポリマーのガラス転移点
Tg2:成分2のホモポリマーのガラス転移点
X1:重合の際に添加した成分1のモノマーの重量分率
X2:重合の際に添加した成分2のモノマーの重量分率
X1+X2+・・・+Xn=1)
架橋剤としては、カルボキシル基と反応することのできる官能基を有するものを用いることができ特に限定されない。例えば、ビスアミド系架橋剤(例えば、1,1’−イソフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン))、アジリジン系架橋剤(例えば、日本触媒製ケミタイトPZ33、アビシア製NeoCryl CX−100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡製カルボジライトV−03,V−05,V−07)、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学製E−AX,E−5XM,E5C)等を用いることができる。この架橋剤の添加量は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して約0.01〜約10質量部、または約1〜約10質量部とすることができる。
本発明のクリアフィルム層は、例えば1種類以上のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、1種類以上のアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び架橋剤とを従来公知の方法により混合した後、通常のフィルム成形方法により作製することができる。具体的には例えば、これらのポリマー溶液を混合し、必要であれば粘度を調整するために、トルエン、酢酸エチル等の揮発性溶媒を加え、剥離ライナーの剥離面上に塗布し、ポリマー溶液の揮発性溶媒を乾燥させることによりフィルムを作製することができる。この塗布装置としては、通常のコータ、たとえば、バーコータ、ナイフコータ、ロールコータ、ダイコータ等を用いることができる。また、このフィルムは溶融押出成形法によっても作製することができる。
ベースフィルム層は、熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、PETやPET−G等のポリエステル系樹脂、またはセルロース系樹脂等を挙げることができる。これらのフィルムが白色であれば、本発明の筆記シートはホワイトボード様のシートになるが、白色に限定されない。
粘着剤層は、従来公知の粘着剤からなる。このような粘着剤としては特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、またはポリウレタン系粘着剤などを挙げることができる。
本発明の筆記シートは、その粘着剤層の外側面にさらにライナーを積層することができる。このようなライナーは、粘着テープなどの分野で一般的に使用されているものでよく、特定の部材に限定されるものではない。好適なライナーとしては、例えば、紙、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、または酢酸セルロース等のプラスチック材料、あるいはこのようなプラスチック材料で被覆又はそれを積層された紙やその他の材料などを挙げることができる。これらのライナーは、そのまま使用してもよいが、シリコーン処理あるいはその他の方法で処理して剥離特性を向上させた後に使用することができる。
本明細書において、以下の略称を用いることがある。
MMA :メチルメタクリレート
BMA :ブチルメタクリレート
DMAEMA :ジメチルアミノエチルメタクリレート
BA :n−ブチルアクリレート
AA :アクリル酸
2EHA :2−エチルへキシルアクリレート
Vac :酢酸ビニル
AN :アクリロニトリル
EtAc :酢酸エチル
MEK :メチルエチルケトン
厚さ50μmの剥離処理ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム社製)に厚さ100μmの白色PET−Gフィルム(アキレス株式会社製)を熱ラミネートした。ハードポリマー1が100質量部、ソフトポリマー1が70質量部、またソフトポリマー1が100質量部に対して架橋剤1を5質量部添加し(いずれも固形分比)ポリマー溶液を得た。ポリマー同士の相溶性は良好であった。前記白色PET−Gフィルム上に前記ポリマー溶液をナイフコートにより塗布し、95℃で5分間乾燥及び架橋し15μm厚さのクリアフィルム層を得た。
実施例2
クリアフィルム層の厚さを21μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプル作製した。
実施例3
ソフトポリマーをS2に変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプル作製した。
実施例4
ソフトポリマーをS3、クリアフィルム層の厚さを23μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプル作製した。
実施例5
ソフトポリマーをS4に変更した以外は、実施例2と同様にしてサンプル作製した。
比較例1
クリアフィルム層を有しない以外は、実施例1と同様にしてサンプル作製した。
比較例2
クリアフィルム層の厚さを10μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプル作製した。
比較例3
クリアフィルム層の厚さを10μmに変更した以外は、実施例4と同様にしてサンプル作製した。
比較例4
クリアフィルム層の厚さを9μmに変更した以外は、実施例5と同様にしてサンプル作製した。
算術平均粗さ(Ra)測定
実施例・比較例で得られた各サンプルについて、ハンディサーフ(東京精密株式会社製)を用いて測定した。
凸部間の平均間隔(Sm)、及び最大断面高さ(Rt)の測定
実施例・比較例で得られた各サンプルについて、高性能非接触3次元表面粗さ測定システム(日本ビーコ株式会社製)を用いて測定した。
筆記性試験
評価用マーカーで試験片に碁盤目を書き、インクはじきの有無を目視で判断した。次のマーカーを評価に用いた。インクはじきがない場合“Good”、インクはじきがある場合“Poor”と判断した。結果を表3に示す。
Whiteboard marker補充タイプ中字太型(黒、赤、青、緑:パイロット株式会社製)
ホワイトボードマーカーノックル中字(黒、赤、青、緑:ぺんてる株式会社製)
アスクルオリジナルホワイトボードマーカー(黒、赤、青:ASKUL株式会社製)
ホワイトボードマーカー中字丸芯(黒、赤、青、緑:株式会社カウネット製)
ホワイトボードマーカー中字(黒、赤、青、緑:三菱鉛筆株式会社製)
消去性試験
筆記性試験で使用した試験片を12時間室温で養生後、評価用イレーザーを用いて碁盤目の消去性を目視で判断した。次のマーカーを評価に用いた。2往復以内で消えた場合を“Good”、3往復以上4往復以内で消えた場合を“Fair”、5往復以上でも消えない場合は“Poor”と判断した。結果を表3に示す。
ボードイレーザー(プラス株式会社製)
ホワイトボードイレーザーヨクキエール(コクヨ株式会社製)
axisホワイトボードイレーザー(株式会社デビカ製)
光沢値測定(加熱前)
携帯用光沢計(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて60度鏡面光沢度を測定した。結果を表3に示す。
光沢値測定(加熱後)
30mm×50mmの大きさのサンプルを固定し、30mm垂直に離した位置から1400Wのドライヤーを30秒間当て、携帯用光沢計(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて、60度鏡面光沢度を測定した。結果を表3に示す。
光沢値保持性試験
加熱前と加熱後の光沢値の差を求めた。加熱前後の光沢値の差が3以下の場合は“Good”、3を越えて5以下の場合は“Fair”、5を超えた場合は“Poor”と判断した。結果を表3に示す。
10 表面クリア層
12 クリアフィルム層
14 ベースフィルム層
16 粘着剤層
18 ライナー
Claims (5)
- (i)凹凸を有し、フッ素官能基を有する紫外線硬化型のオリゴマーおよび/またはフッ素官能基を有する紫外線硬化型のモノマーを構成要素とする樹脂を含む塗膜であり、かつ前記樹脂が固形分換算で0.02質量%〜0.1質量%のフッ素を含む表面クリア層、
(ii)アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含み、かつ一方のポリマーの重量平均分子量が4万〜20万でガラス転移温度が20℃以上であり、他方のポリマーの重量平均分子量が40万〜100万でガラス転移温度が0℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーを含むフィルム形成樹脂からなるクリアフィルム層、
(iii)ベースフィルム層、及び
(iv)粘着剤層
からなる筆記シート。 - 前記フッ素官能基を有する紫外線硬化型のオリゴマーが、アクリル系オリゴマーまたはアクリルウレタン系オリゴマーである請求項1に記載の筆記シート。
- 前記クリアフィルム層が、 重量平均分子量が4万〜20万でガラス転移温度が20℃以上のアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、重量平均分子量が40万〜100万でガラス転移温度が0℃以下のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び架橋剤を含む(メタ)アクリル系ポリマーからなる請求項1または2に記載の筆記シート。
- 前記凹凸が、エンボス加工によるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の筆記シート。
- 前記表面クリア層表面の60度鏡面光沢度が30%以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の筆記シート。
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