JP2003211597A - 筆記用記録材 - Google Patents

筆記用記録材

Info

Publication number
JP2003211597A
JP2003211597A JP2002015712A JP2002015712A JP2003211597A JP 2003211597 A JP2003211597 A JP 2003211597A JP 2002015712 A JP2002015712 A JP 2002015712A JP 2002015712 A JP2002015712 A JP 2002015712A JP 2003211597 A JP2003211597 A JP 2003211597A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
writing
writability
imparting layer
recording material
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002015712A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Sakakura
治 坂倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2002015712A priority Critical patent/JP2003211597A/ja
Publication of JP2003211597A publication Critical patent/JP2003211597A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボールペン、油性ペン、水性ペン、蛍光ペ
ン、万年筆、鉛筆等の通常使用される筆記具の全てに対
して筆記性を示し、耐水性、耐熱性があり、ブロッキン
グすることなく、鉛筆筆記した場合でも消しゴムで奇麗
に消去できる筆記性付与層を有する筆記用記録材を提供
する。 【解決手段】 基材2上に筆記性付与層1を有する筆記
用記録材11において、筆記性付与層1が、ポリビニル
カプロラクタムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピ
ロリドン共重合体と、親水性基を有する(メタ)アクリ
ル樹脂とを含有する組成物からなる筆記用記録材11に
より、上記課題を解決する。上記組成物には、硬化剤又
は/及び微細粒子を含有させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記用記録材に関
し、更に詳しくは、ボールペン、油性ペン、水性ペン、
蛍光ペン、万年筆、鉛筆等の筆記具で鮮明に筆記するこ
とができる、筆記性付与層を有する筆記用記録材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料で作製されたカード、
教育用玩具、袋等のプラスチック製品が知られている。
こうしたプラスチック製品は、表面が極めて平滑である
ことから、その表面にボールペン、油性ペン、水性ペ
ン、蛍光ペン、万年筆、鉛筆等、通常使用される筆記具
で直接筆記することは一般に困難であった。
【0003】プラスチック製品に筆記性を付与する手段
としては、例えば、バインダー中にシリカ等の有機系ま
たは無機系の微細粒子を分散させた塗料を、プラスチッ
ク製品の表面に塗布する方法が提案されている。こうし
て得られたプラスチック製品は、その表面に形成された
粗面層の作用により、ボールペンや鉛筆等で筆記するこ
とが可能となる。しかしながら、プラスチック製品に設
けられた粗面層は、水性インクをはじきやすく、水性ペ
ン等では良好に筆記することができないという問題があ
った。
【0004】こうした問題を解決する手段として特開2
001−181995号公報には、ビニルピロリドンと
酢酸ビニルとの共重合体からなる吸水性樹脂を含有する
筆記性付与層用塗料を塗布して筆記性付与層を形成する
ことが開示されている。こうして形成された筆記性付与
層は、水性インキをはじきやすいという問題が解決さ
れ、水性ペンでも良好に筆記可能な層となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図3に
示すように、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体か
らなる吸水性樹脂で形成された上述の筆記性付与層6
は、水性インキ8を吸収し易く、膨潤し易いという問題
があった。そのため、水性ペン等で筆記した後にその膨
潤部9を擦ったり、その膨潤部9上を水性ペン等でさら
に筆記(上書き)したりした場合には、図2(b)に示
すように、筆記性付与層6から膨潤部9が擦り取られて
白抜け5が発生する等の問題があった。
【0006】本発明は、こうした問題を解決すべくなさ
れたものであって、その目的は、ボールペン、油性ペ
ン、水性ペン、蛍光ペン、万年筆、鉛筆等、通常使用さ
れる筆記具、特に水性ペンで良好に筆記できる筆記性付
与層が形成された筆記用記録材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の筆記用記録材は、基材上に筆記性付与層を有する筆
記用記録材において、前記筆記性付与層が、ポリビニル
カプロラクタムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピ
ロリドン共重合体と、親水性基を有する(メタ)アクリ
ル樹脂とを含有する組成物からなることに特徴を有する
ものである。
【0008】この発明によれば、形成された筆記性付与
層は、ポリビニルカプロラクタムまたはビニルカプロラ
クタム−ビニルピロリドン共重合体の作用により適度な
吸水性と耐水性を有するので、水性ペンで筆記した場合
であっても、従来のような筆記性付与層中の樹脂の膨潤
が起こりにくい。その結果、白抜け等の問題の生じない
筆記性付与層を有する筆記用記録材を提供できる。さら
に、ポリビニルカプロラクタムおよびビニルカプロラク
タム−ビニルピロリドン共重合体は、筆記性付与層の硬
度を向上させる作用があるので、形成された筆記性付与
層は鉛筆等で筆記し易い層であると共に、消しゴムで奇
麗に消すことができる層でもある。また、この筆記性付
与層は、親水性基を有する(メタ)アクリル樹脂の作用
により、吸水性が阻害されず、より耐水性を向上させる
ことができる。
【0009】上記本発明の筆記用記録材においては、前
記組成物が硬化剤を含有することが好ましく、硬化剤と
してはイミド系硬化剤が好ましい。
【0010】また、本発明の筆記用記録材においては、
前記組成物に微細粒子を含有させることが好ましい。こ
の発明によれば、微細粒子を含有させた組成物で形成し
た筆記性付与層は、鉛筆やボールペンによる筆記性がよ
り向上すると共に、消しゴムでの消し易さが向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の筆記用記録材につ
いて図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、本発明
の筆記用記録材11の一例を示す断面図であり、本発明
の筆記用記録材11は、少なくとも基材2とその基材上
に設けられた筆記性付与層1とで構成される。
【0012】(基材)基材2は、本発明の筆記用記録材
の使用態様に応じた特性を有するように各種の材料で形
成することができる。特に、筆記性付与層を支持する基
材として使用されることから、強度と耐久性を有する材
料で形成されることが好ましい。
【0013】基材2の材料としては、例えば、プラスチ
ックフィルム、紙、金属シート等が挙げられる。プラス
チックとしては、例えば、セルロースナイトレート、セ
ルローストリアセテート、セルロースジアセテートのよ
うなセルロースエステル;ポリスチレン;ポリアミド;
ビニルクロリドの(共)重合体;ポリビニルアセテー
ト;ポリカーボネート;ポリエチレンやポリプロピレン
等のオレフィンの(共)重合体;ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレートのようなポリエステ
ル等が挙げられる。紙としては、例えば、一部アセチル
化された紙;バライタ;ポリエチレン、ポリプロピレン
等のオレフィンの(共)重合体を表面に塗布またはラミ
ネートして得られる紙等が挙げられる。こうしたフィル
ムまたはシートは、1軸方向または2軸方向に延伸加工
されたものであってもよい。また、複合フィルムで基材
2を構成してもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム(PET)の一面に遮光性を付与するため
の金属蒸着層を設けた蒸着PETと、もう一枚のPET
とを、その金属蒸着層を内側にし接着剤層を介して貼り
合わせた複合フィルムを基材2として用いてもよい。
【0014】なお、基材2の厚さは、通常9〜100μ
m程度である。
【0015】(筆記性付与層)本発明の筆記用記録材1
1を構成する筆記性付与層1は、ポリビニルカプロラク
タムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共
重合体と、親水性基を有する(メタ)アクリル樹脂とを
含有する組成物の硬化物からなるものである。そして、
この組成物には、必要に応じて硬化剤又は/及び微細粒
子を含有させることができる。
【0016】ポリビニルカプロラクタムまたはビニル
カプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体;ポリビニ
ルカプロラクタムおよびビニルカプロラクタム−ビニル
ピロリドン共重合体は、何れも吸水性を有する樹脂であ
る。本発明においては、筆記性付与層を形成する組成物
中にこれらの吸水性樹脂が含有されているので、水性ペ
ンや万年筆等で筆記された際のインキ中の水分を吸収す
ることができ、筆記時のにじみやカスレを防ぐことがで
きる。さらに、これらの樹脂は、適度な耐水性も有して
いるので、インキ中の水分を吸収しても、過度に膨潤し
ないという利点がある。
【0017】ポリビニルカプロラクタムのガラス転移温
度は150〜180℃程度であり、ビニルカプロラクタ
ム−ビニルピロリドン共重合体のガラス転移温度は15
0〜190℃程度である。これらの樹脂のガラス転移温
度は、従来使用されている酢酸ビニル−ビニルピロリド
ン共重合体に比べて高いので、筆記性付与層の耐熱性を
向上させることができる。さらに、このポリビニルカプ
ロラクタムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピロリ
ドン共重合体を含有する組成物は、形成した筆記性付与
層に適度な硬度を付与することができるので、例えば、
鉛筆で筆記した文字等を消しゴムで容易に消すことがで
きるという利点がある。
【0018】本発明に適用されるビニルカプロラクタム
は、数平均分子量が1万〜50万、好ましくは5万〜2
0万の範囲内であることが好ましく、また、本発明に適
用されるビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重
合体は、数平均分子量が10万〜150万、好ましくは
60万〜120万の範囲内であることが好ましい。こう
した範囲内の数平均分子量を有するビニルカプロラクタ
ムおよびビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重
合体を含有する組成物で形成された筆記性付与層は、吸
水性、耐水性、適度な硬度を奏する。
【0019】なお、ビニルカプロラクタム−ビニルピロ
リドン共重合体におけるビニルカプロラクタムとビニル
ピロリドンの共重合比は、ビニルカプロラクタム:ビニ
ルピロリドンが、1:100〜100:1、好ましくは
5:100〜100:5であることが好ましい。こうし
た範囲の共重合比で構成されたビニルカプロラクタム−
ビニルピロリドン共重合体は、吸水性、耐水性、適度な
硬度を奏する筆記性付与層の形成に好ましく寄与するこ
とができる。
【0020】親水性基を有する(メタ)アクリル樹
脂;親水性基を有する(メタ)アクリル樹脂(以下、
「(メタ)アクリル樹脂」ということがある。)は、組
成物に配合され、その組成物で形成された筆記性付与層
1の耐水性を付与するように作用する。
【0021】(メタ)アクリル樹脂は、親水性基を有す
る化学構造であるので、ポリビニルカプロラクタムまた
はビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体を
含有する組成物で形成された筆記性付与層1の吸水性を
阻害しないように作用すると共に、筆記性付与層1の過
度な吸水を防止してその表面がベタベタしないように作
用する。こうした作用を奏する(メタ)アクリル樹脂
は、数平均分子量が1千〜5万、好ましくは2千〜4万
の範囲内であることが好ましい。
【0022】(メタ)アクリル樹脂としては、親水性基
であるアミノ基や水酸基を有し且つメチルメタクリレー
トを主な単量体とする(メタ)アクリル樹脂が挙げられ
る。例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリ
レート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、トリメ
チロールプロパンモノアクリレート、トリメチロールプ
ロパンモノメタアクリレート、ペンタエリスリトールモ
ノアクリレート、ペンタエリスリトールモノメタアクリ
レート、メチルアミノエチルアクリレート、メチルアミ
ノエチルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルアク
リレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ア
クリルアミド、メタアクリルアミド、モノメチロールア
クリルアミド、モノメチロールメタアクリルアミド等の
重合体またはこれらを含む共重合体が挙げられ、その他
には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチ
ルメタクリレート(PEMA)、ポリエチルヘキシルメ
タクリレート(PEHMA)等のメタクリル酸エステル
の(共)重合体、アクリル酸エステルの(共)重合体、及び
これらの(メタ)アクリル酸エステルとα-メチルスチレ
ン等との共重合体等の一般的なアクリル樹脂が挙げられ
る。
【0023】なお、親水性基としては、アミノ基、水酸
基、カルボキシル基等が挙げられ、それらの親水性基
は、後述する硬化剤により架橋構造を形成し、筆記性付
与層を硬化させるように作用する。架橋構造を有する筆
記性付与層は、耐水性、耐熱性、硬度等が向上するので
好ましく利用される。
【0024】硬化剤;硬化剤は、親水性基を有する
(メタ)アクリル樹脂を架橋させるために配合される。
また、硬化剤は、ポリビニルカプロラクタムや、ビニル
カプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体をも架橋さ
せることができる。
【0025】硬化剤としては、イミド系硬化剤、シラン
カップリング硬化剤、エポキシ系硬化剤、イソシアネー
ト系硬化剤等が挙げられる。このうち、イミド系硬化剤
は、架橋後における筆記性付与層の耐水性、硬度、耐熱
性を向上させる作用に優れているので、より好ましく用
いられる。イミド系硬化剤としては、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、ポリエーテルイミド、カルボジイミド、
またはこれらを複数含有する混合物が用いられる。
【0026】硬化剤は、組成物中に0(含有しない場合
も含む。)〜10重量%の範囲で含有させることが好ま
しい。硬化剤の含有量が10重量%を超えた場合には、
上述の効果が変わらないためにコストが高くなる。硬化
剤の含有量を0〜7重量%とすることがより好ましく、
形成後の筆記性付与層の耐水性や、その層と基材との密
着性を向上させることができる。
【0027】こうした硬化剤の作用で架橋してなる筆記
性付与層は、耐水性、耐熱性、硬度等がより向上するの
で、より好ましい筆記適性が付与される。具体的には、
耐水性の向上は、水性ペン等による筆記性を向上させる
ことができ、耐熱性および硬度の向上は、鉛筆による筆
記性の向上および鉛筆筆記部分の消しゴム消去性の向上
を図ることができる。さらに、筆記性付与層を架橋構造
とすることにより、筆記性付与層中のポリビニルカプロ
ラクタムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピロリド
ン共重合体が膨潤した場合であっても、その膨潤した樹
脂が、筆記性付与層から剥離し難くなるという効果があ
る。また、硬化剤を含有した組成物により形成した筆記
性付与層は、基材との密着性に優れている。
【0028】微細粒子;微細粒子は、鉛筆やボールペ
ンによる筆記性を向上させるために配合される。
【0029】微細粒子としては、高融点のポリマービー
ズ(ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズ、ポリ
スチレンビーズ等)や、シリカ、タルク、炭酸カルシウ
ム、クレー、アルミナ、テフロン(登録商標。ポリテト
ラフルオロエチレン、以下「PTFE」という。)パウ
ダー等の微細粒子が挙げられる。本発明においては、こ
れらの1種または2種以上を組成物に配合することが好
ましい。
【0030】微細粒子として、耐熱性に優れたものを用
いることが好ましい。そうした微細粒子は、筆記用記録
材を加工する際の加熱工程やその他の高温環境下で変形
することがないので、筆記性付与層の筆記性能を好まし
い状態に維持することができる。こうした微細粒子とし
ては、想定される高温環境において溶融することのない
有機材料または無機材料からなる微細粒子を任意に選択
して用いるのが好ましい。
【0031】また、微細粒子は着色されていてもよい。
着色された微細粒子は、筆記性付与層に色調を付与でき
るので、筆記性付与層上に書かれた色が目立つような着
色微細粒子を配合することができる。そうした着色微細
粒子の色としては、白色、黒色、黄色、青色、赤色、緑
色等が挙げられる。
【0032】微細粒子の平均粒径は、1〜10μm、好
ましくは1.5〜9μmである。微細粒子の粒径が10
μmを超えると、筆記面の抵抗が大きくなって書き味が
悪くなり、微細粒子の粒径が1μm未満では、筆記面の
抵抗が少なすぎて十分な筆記濃度が得られなくなる。な
お、微細粒子の平均粒径は、レーザー解析散乱法により
測定される。
【0033】微細粒子は、組成物中に0(含有しない場
合も含む。)〜60重量%の範囲で含有させることが好
ましい。微細粒子の含有量が60重量%を超えると、形
成した筆記性付与層の強度が低下してしまう。微細粒子
の含有量を0〜45重量%とすることがより好ましく、
この範囲内とすることにより、鉛筆での筆記性を特に向
上させることができる。
【0034】なお、こうした微細粒子は、筆記性付与層
に滑り性を付与することができるので、筆記性付与層と
他のプラスチック製品とのブロッキングを防ぐことがで
きるという好ましい効果も併せて有している。
【0035】組成物;組成物は、ポリビニルカプロラ
クタムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン
共重合体と、親水性基を有する(メタ)アクリル樹脂と
を含有するものであり、筆記性付与層を形成するために
使用される。この組成物には、必要に応じて、上述した
硬化剤や微細粒子を含有させることが好ましい。なお、
以下の重量%は、ポリビニルカプロラクタムまたはビニ
ルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体および親
水性基を有する(メタ)アクリル樹脂の総重量を100
重量%としたとき、また、必要に応じて硬化剤や微細粒
子が添加される場合には、それらを含めた総重量を10
0重量%としたときのそれぞれの含有率を示している。
【0036】組成物は、ポリビニルカプロラクタムまた
はビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体を
5〜50重量%含有する。ポリビニルカプロラクタムま
たはビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体
の含有率が5重量%未満の場合は、形成した筆記性付与
層が十分な吸水性を有さず、その含有率が50重量%を
超えると、形成した筆記性付与層が十分な耐水性を有し
ない。なお、ポリビニルカプロラクタムまたはビニルカ
プロラクタム−ビニルピロリドン共重合体のより好まし
い含有率は、10〜40重量%であり、この範囲とする
ことにより、適度な吸水性と耐水性を有する筆記性付与
層を形成できる組成物が調製される。
【0037】また、組成物は、(メタ)アクリル樹脂が
20〜90重量%の割合で含有されていることが好まし
い。(メタ)アクリル樹脂の含有率が20重量%未満の
場合は、形成した筆記性付与層が十分な耐水性を有さ
ず、その含有量が90重量%を超えると、形成した筆記
性付与層が十分な吸水性を有しない。なお、(メタ)ア
クリル樹脂のより好ましい含有量は、30〜70重量%
であり、この範囲とすることにより、適度な吸水性と耐
水性を有する筆記性付与層を形成できる組成物が調製さ
れる。
【0038】こうした重量割合で配合されるポリビニル
カプロラクタムまたはビニルカプロラクタム−ビニルピ
ロリドン共重合体(A)と、(メタ)アクリル樹脂
(B)とを重量配合比(A/B)で表せば、10/90
〜85/15、好ましくは20/80〜75/25が適
当である。また、樹脂総固形分(A+B)と硬化剤
(C)との重量配合比((A+B)/C)は、100/
0〜100/10、好ましくは100/0〜100/7
が適当である。また、樹脂総固形分(A+B)と微細粒
子(D)との重量配合比((A+B)/D)は、100
/0〜100/60、好ましくは100/0〜100/
45が適当である。
【0039】また、組成物が適切な塗工性能を有するよ
うに、通常、イソプロピルアルコール等の溶媒が、全体
の15〜95重量%の範囲内で任意に含有される。
【0040】筆記性付与層;筆記性付与層1は、上述
した組成物の適量を基材上に塗布し、乾燥した後、硬化
反応させることにより形成される。組成物の塗布方法と
しては、ドクターコート、エクストルージョンコート、
スライドコート、ローラーコート、グラビアコート等の
方法が挙げられる。
【0041】筆記性付与層の厚さは、0.1〜10μm
程度とする。筆記性付与層の厚さが0.1μm未満で
は、筆記性が低下する場合があり、筆記性付与層の厚さ
が10μmを超えると、筆記性がそれ程向上しないので
コストが高くなる。
【0042】こうして形成された筆記性付与層1は、水
性ペン等で筆記した部分を擦ったり、また、二回・三回
上書きした場合であっても、吸水した筆記部分が剥離す
ることが無く、筆記性付与層1に白抜け部分が発生する
ことがない。そして、筆記性付与層の表面は、ボールペ
ン、油性ペン、水性ペン、蛍光ペン、万年筆、鉛筆等、
通常使用される筆記具の全てに対して優れた筆記性を示
すという効果がある。
【0043】さらに、この筆記性付与層は、他のプラス
チック製品とブロッキングせず、さらに、筆記性付与層
に鉛筆筆記した部分は、消しゴムで奇麗に消去すること
ができ、消しゴム消去後に鉛筆のかすれた跡が残らない
という効果を有する。
【0044】さらに、筆記性付与層は、水性筆記具の水
分によっても大きく膨潤しないという作用があるので、
水性筆記具で筆記した部分をさわった場合や、水性筆記
具で二重に筆記した場合であっても、筆記性付与層の一
部が剥離せず、白抜けが発生しないという効果を奏す
る。
【0045】(筆記用記録材)本発明の筆記用記録材1
1は、上述のように基材2上に筆記性付与層1を設けて
構成されるが、基材2と筆記性付与層1との間の筆記性
領域に、下地層を介在させることもできる。下地層は、
白色などの顔料を添加した組成物で形成することがで
き、基材2を隠蔽することができる。さらに、基材2と
筆記性付与層1との間、基材2と下地層との間、また
は、下地層と筆記性付与層1との間に接着性がない場合
には、プライマーとなるような層を各層間に設けて接着
性を向上させることもできる。また、本発明の目的に反
しない限り、他の層を設けてもよい。
【0046】
【実施例】(実施例1)ポリビニルカプロラクタム、カ
チオン系アクリル樹脂(IN−177A、高松油脂
(株))、イミド系硬化剤(カルボジライト、日清紡
(株))を、表1に記載の配合割合で配合し、十分に混
練して組成物を調製した。なお、ポリビニルカプロラク
タムは40%エタノール溶液として、カチオン系アクリ
ル樹脂は25%水溶液として組成物に用いたが、表1に
記載の値は溶媒を除いた固形分のみの値を重量部で示し
た。
【0047】次に、厚さ12μmの二軸延伸PETフィ
ルムの片面に、上記の組成物を乾燥後の厚みが約2g/
2(約2μm)になるようにグラビアコーティング方
式で塗工し、40℃雰囲気下で4日間乾燥(硬化)さ
せ、筆記用記録材を製造した。
【0048】(実施例2〜8)ポリビニルカプロラクタ
ム、カチオン系アクリル樹脂、イミド系硬化剤、シリカ
(平均粒径4μm)、PTFEパウダー(平均粒径7μ
m)を、実施例1と同様に、表1に記載の配合割合で配
合し、十分に混練して組成物を調製した。その他は実施
例1と同様の方法で筆記用記録材を製造した。
【0049】(実施例9)ビニルカプロラクタム−ビニ
ルピロリドン共重合体、カチオン系アクリル樹脂、イミ
ド系硬化剤、シリカ、PTFEパウダーを、実施例1と
同様に、表1に記載の配合割合で配合し、十分に混練し
て組成物を調製した。なお、ビニルカプロラクタム−ビ
ニルピロリドン共重合体は30%エタノール溶液として
用いたが、表1に記載の値(重量部)は、溶媒を除いた
固形分のみの値である。その他は実施例1と同様の方法
で筆記用記録材を製造した。
【0050】
【表1】 (筆記用記録材の評価方法)実施例1〜9により製造さ
れた筆記用記録材については、筆記性、インキ受容性、
定着性、耐水性、乾燥性、消しゴム消去性、滑り性の評
価を行った。
【0051】筆記性については、ボールペン、油性ペ
ン、水性ペン、蛍光ペン、万年筆、鉛筆の各筆記具によ
り筆記用記録材に書き込んだ際に、引っかかりがある場
合等には△、引っかかりがなくスムーズに書き込めた場
合を程度に応じて◎、○とした。
【0052】インキ受容性および定着性については、筆
記性評価と同様に筆記用記録材に各筆記具により筆記
し、その5秒後に筆記部分を指で擦って樹脂が剥がれ、
白抜け部分ができた場合等を△とし、それ以外の場合を
程度に応じて◎、○とした。
【0053】耐水性については、筆記用記録材に水性ゲ
ルインキペンにより筆記し、その5秒後に、指で擦って
インキがかすれた場合等を△とし、かすれが生じなかっ
た場合を程度に応じて◎、○とした。
【0054】乾燥性については、筆記用記録材に水性ペ
ンにより筆記した後に、その筆記部分に吸い取り紙をあ
ててインキが吸い込まれた場合等をインキが乾燥してい
ないとして△とし、それ以外の場合を程度に応じて◎、
○とした。
【0055】鉛筆筆記後の消しゴム消去性については、
筆記用記録材に鉛筆により筆記した後に、消しゴムにて
その筆記部分を消去し、鉛筆筆記跡が残った場合等を△
とし、鉛筆筆記跡がきれいに消去できた場合を程度に応
じて◎、○とした。
【0056】滑り性については、筆記用記録材につい
て、相手材料を厚さ25μmのPETフィルムとしてJ
IS−K7125の試験を行い、最大静摩擦係数の値が
0.5以下の場合を◎とし、0.5を超えて0.6以下
の場合を○とし、0.6を超える場合を△とした。
【0057】これらの評価結果を表2に示す。
【0058】
【表2】 (筆記用記録材の評価結果)実施例1〜9により得られ
た筆記用記録材は、ボールペン、油性ペン、水性ペン、
蛍光ペン、万年筆、鉛筆の筆記具により、文字、記号、
絵柄、図形等を極めて鮮明に筆記することができた。ま
た、同様の筆記用記録材には、表2に示されるように、
インキ受容性、定着性、耐水性、乾燥性、消しゴム消去
性、滑り性等が良好であった。
【0059】シリカ又は/及びPTFEパウダーを配合
した組成物からなる筆記性付与層を有する筆記用記録材
は、鉛筆筆記性が特に良好であり、鉛筆筆記部分を消し
ゴムによって奇麗に消去することができるものであっ
た。PTFEパウダーを配合した組成物からなる筆記性
付与層を有する筆記用記録材は、筆記性付与層表面に特
に優れた滑り性を有していた。
【0060】また、実施例1〜9により得られた筆記用
記録材は、150℃程度に加熱しても筆記性付与層の硬
化物が軟化することがなく、耐熱性にも優れたものであ
った。従って、本発明の筆記用記録材は、製造後に加工
等をしやすいものである。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の筆記用記
録材によれば、インキ受容性、定着性、耐水性、乾燥性
等が良好であり、且つ、ボールペン、油性ペン、水性ペ
ン、蛍光ペン、万年筆、鉛筆等の筆記具により、文字、
記号、絵柄、図形等を極めて鮮明に筆記することができ
る。具体的には、本発明の筆記用記録材によれば、多量
の水分を含む水性筆記具により筆記しても、筆記性付与
層中の樹脂が過度に膨潤せず、その樹脂の剥離が起こら
ない。また、鉛筆筆記部分を消しゴムで奇麗に消去でき
る筆記性付与層を有し、さらにブロッキングを生じない
筆記性付与層を有する筆記用記録材とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る筆記用記録材の一例を示す模式的
断面図である。
【図2】筆記用記録材に水性筆記具にて筆記した跡の一
例を示す模式図である。
【図3】従来の筆記用記録材に、水性筆記具にて筆記し
た場合の経過の一例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1…筆記性付与層 2、7…基材 3…水性筆記具による筆記部分 4…水性筆記具による二重筆記部分 5…水性筆記具による二重筆記部分であって樹脂が剥離
した部分 6…従来の筆記性付与層 8…水性インキ 9…従来の筆記性付与層中の水性インキによって膨潤し
た樹脂部分 10…従来の筆記性付与層から剥離した樹脂 11…筆記用記録材 12…従来の筆記用記録材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に筆記性付与層を有する筆記用記
    録材において、 前記筆記性付与層が、ポリビニルカプロラクタムまたは
    ビニルカプロラクタム−ビニルピロリドン共重合体と、
    親水性基を有する(メタ)アクリル樹脂とを含有する組
    成物からなることを特徴とする筆記用記録材。
  2. 【請求項2】 前記組成物が、硬化剤を含有することを
    特徴とする請求項1に記載の筆記用記録材。
  3. 【請求項3】 前記硬化剤が、イミド系硬化剤であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の筆記用記録材。
  4. 【請求項4】 前記組成物が、微細粒子を含有すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載
    の筆記用記録材。
JP2002015712A 2002-01-24 2002-01-24 筆記用記録材 Pending JP2003211597A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002015712A JP2003211597A (ja) 2002-01-24 2002-01-24 筆記用記録材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002015712A JP2003211597A (ja) 2002-01-24 2002-01-24 筆記用記録材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003211597A true JP2003211597A (ja) 2003-07-29

Family

ID=27652013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002015712A Pending JP2003211597A (ja) 2002-01-24 2002-01-24 筆記用記録材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003211597A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010269494A (ja) * 2009-05-20 2010-12-02 Three M Innovative Properties Co 筆記シート
JP2013006344A (ja) * 2011-06-24 2013-01-10 Dynicjuno Corp ノートブック用背部材及びそれを用いたノートブック
US20210147699A1 (en) * 2017-06-29 2021-05-20 Mitsubishi Pencil Company, Limited Oil-based ink composition for writing implements

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010269494A (ja) * 2009-05-20 2010-12-02 Three M Innovative Properties Co 筆記シート
JP2013006344A (ja) * 2011-06-24 2013-01-10 Dynicjuno Corp ノートブック用背部材及びそれを用いたノートブック
US20210147699A1 (en) * 2017-06-29 2021-05-20 Mitsubishi Pencil Company, Limited Oil-based ink composition for writing implements
US11795336B2 (en) * 2017-06-29 2023-10-24 Mitsubishi Pencil Company, Limited Oil-based ink composition for writing implements

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4940628A (en) Erasable system including marking surface and erasable ink composition
JPS60214989A (ja) インキ印刷可能シート,その製法,およびそれを含む画像付き透明体
US5316843A (en) Matted film containing a matting agent consisting of an organic filler and an inorganic filler
US5145749A (en) Coating composition and coated paper
US3776864A (en) Transfer coating for carbon paper and the like
JP2983947B2 (ja) 艶消しコーティング剤及びそれを硬化させた白板の筆記シート
JP2003211597A (ja) 筆記用記録材
JPH08164700A (ja) 消去性筆記シート
JPH04107186A (ja) 透明印刷用紙
JPH02124985A (ja) ボードマーカー用インキ組成物
EP0486733B1 (en) Matted film
KR100510629B1 (ko) 정보 표시면 형성용 코팅재 및 표시매체
JP2542506B2 (ja) 熱転写用ohpシ―ト
KR0178064B1 (ko) 기록용 필름
JPS5941174B2 (ja) 筆記性を付与したフイルム
JP4676588B2 (ja) 筆記記録用基材
JPH08183256A (ja) 感熱記録媒体
JP2001260589A (ja) 筆記可能シートと筆記可能シートの製造方法
KR970010598B1 (ko) 매트층 형성 코팅 조성물 및 이를 사용한 제도용 매트 필름
JPH03295681A (ja) 透明印刷用紙
JPS5951908B2 (ja) マツトフイルム
JPS63178074A (ja) 透明記録用フイルム
JP3293701B2 (ja) 可逆性感熱記録媒体
JP2002121506A (ja) 粘着テ−プ
JPH1017731A (ja) オレフィン系樹脂製シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20050118

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070124

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070220

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070322

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070717

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02