JP2011143615A - 3次元形状を有する構造体の製造方法及び3次元形状を有する構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記に示す工程(1)及び工程(2)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように3次元状の分離面を形成する3次元形状を有する構造体の製造方法を提供する。
工程(1):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点位置を合わせる工程。
工程(2):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。
【選択図】図1
Description
例えば、感光性樹脂にフォトマスクを介して光を照射し、光照射部分と非照射部分の溶剤に対する溶解性の差を利用したレジスト材料や印刷版、エレクトロニクス部品の隔壁や絶縁層などの、各種3次元構造を有する構造体の製造方法はよく知られており、様々な分野で工業的に使用されている。また、ドリル等の切削加工を用いて、3次元構造を有する構造体を製造する方法も一般的である。
先ず、ポリエステルフィルム等の支持体に、感光性樹脂組成物、必要に応じて保護層と、赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層が積層されたフレキソ印刷原版を用意する。
支持体を通して全面に紫外線露光を行い(バック露光)、感光性樹脂組成物を光重合させて硬化層とする。
次に、所定のネガフィルムを介し、あるいは紫外線遮蔽層の上から直接、感光性樹脂層に画像露光(レリーフ露光)を行う。
次に、未露光部分(未硬化部分)を除去して凹凸を付与する。
その後、必要に応じて凹凸の形成された樹脂構成体表面に後処理露光し、目的とするフレキソ印刷版を得る。
前記未露光部分の除去工程においては、現像液を用いて洗い流す方法や、40℃〜200℃に加熱された未露光部分を不織布等の吸収層に接触させ、この吸収層を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一例として、ドライフィルムレジストを用いるフォトリソ法による隔壁形成方法を説明する。
先ず、基板と、感光性フィルムレジストからなるドライフィルムレジストを準備する。
次に、基板とドライフィルムレジストとを熱ラミネートして積層する。
続いて、基板上に積層したドライフィルムレジストに対しマスクを介して露光した後、現像・洗浄するフォトリソ法により、基板上に隔壁を形成する。
例えば、ガラス等の透明材料内部にレーザ焦点を合わせて照射し、照射面で切断する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、板状の脆性材料の割断予定線に沿ってレーザ光を照射し、割断する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、特許文献3、4の方法は、いずれも2次元状の割断面を形成する技術であり、3次元状の割断面を形成することすら開示されていない。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
3次元形状を有する構造体の製造方法であって、下記に示す工程(1)及び工程(2)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように3次元状の分離面を形成する3次元形状を有する構造体の製造方法。
工程(1):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点位置を合わせる工程。
工程(2):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。
3次元形状を有する構造体の製造方法であって、下記に示す工程(3)及び工程(4)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成し、その後、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する3次元形状を有する構造体の製造方法。
工程(3):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点を合わせる工程。
工程(4):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。
厚さを略3mmとした場合における前記被加工体の、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である前記〔1〕又は〔2〕に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記被加工体は、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で常温から昇温し、熱重量分析(TGA)したとき、重量が初期重量の80%になる温度が150℃以上400℃以下である樹脂からなる、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記被加工体が、熱可塑性エラストマー(A1)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、当該熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光及び/又は熱及び/又は電子線硬化物、20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光及び/又は熱及び/又は電子線硬化物、からなる群から選ばれる、少なくともいずれか一種よりなるものである前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記被加工体が、前記樹脂組成物(A3)の光及び/又は熱硬化物よりなるものである前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記20℃の条件下でプラストマーである樹脂が、少なくともウレタン結合を有している樹脂である前記〔5〕に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記20℃の条件下でプラストマーである樹脂が、さらにエーテル結合、カーボネート結合、エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を有している樹脂である前記〔7〕に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記被加工体が、前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の光硬化物である前記〔5〕、〔7〕、〔8〕のいずれか一に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)が、重合性モノマーを含有している前記〔6〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体である前記〔10〕に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記被加工体が支持体により支持されている前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
厚さを3mmとした場合における前記支持体と前記被加工体との積層体の、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である前記〔12〕に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の製造方法によって製造された3次元形状を有する構造体であって、厚さ3mmに換算したときの、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下となる物性を有する3次元形状を有する構造体。
電子ペーパー用又は有機EL用の隔壁材である前記〔14〕に記載の3次元形状を有する構造体。
サンドブラスト加工用のレジスト材料である前記〔14〕に記載の3次元形状を有する構造体。
エッチング加工又はめっき加工用のレジスト材料である前記〔14〕に記載の3次元形状を有する構造体。
本実施形態における3次元形状を有する構造体の製造方法は、下記工程(1)及び工程(2)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように、3次元状の分離面を形成するものである。
工程(1):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点位置を合わせる工程。
工程(2):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。
下記に示す工程(3)及び工程(4)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように、3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成し、その後、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する。
工程(3):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点を合わせる工程。
工程(4):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。
先ず、本実施形態における3次元形状を有する構造体の製造方法に用いる被加工体について説明する。
レーザ光の被照射体である被加工体を構成する材料については、後述するが、特に、熱可塑性エラストマー(A1)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、20℃でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
被加工体は、良好なレーザ加工性を確保する観点から、20℃でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物であることがより好ましい。また、3次元形状を有する構造体の強度の観点から、上記樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)の光硬化物であることがより好ましい。
例えば、後述する構成材料を、所定の溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させることにより板状成型する方法や、溶剤を用いずに後述する構成材料を、ニーダー、ロールミルあるいはスクリュウ押出機で混練後、カレンダーロールやプレス等により、所定の支持材上で所望の厚さに成型する方法等が適用できる。
成型した後、ロールラミネートにより密着させ、加熱プレスを行うことにより、厚み精度のよい被加工体を作製できる。
特に、被加工体の材料として、20℃でプラストマーである樹脂を含む樹脂組成物(A3)を用いる場合、シート状、もしくは円筒状に成型するには、既存の成型方法が適用でき、簡易に作製できる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等、スプレー等を用いて噴霧する方法が挙げられる。その際、樹脂組成物が熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成型を行ってもよい。
また、必要に応じて、圧延処理、切削処理、研削処理、研磨処理から選択される少なくとも1種類の方法により表面加工処理を施してもよい。例えば、切削加工のみを用いて表面を加工してもよく、切削工程、もしくは研削工程後に研摩加工を行うと樹脂の表面形状をより精密に調節できる。
表面の平均粗さは、JIS表面粗さ(B0601)の中心線平均粗さであるRaであるものとし、切削処理、研削処理や研磨処理に用いる研磨剤の粗さを選択することにより制御できる。なお、Raは市販の測定器により測定できる。
例えば、表面平均粗さはキーエンス製VF−7500を用いて測定できる。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、太陽光等が挙げられる。
紫外線硬化方法は、単独で行ってもよく、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。
加熱方法は、単独で行ってもよく、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。
硬化性の観点から、加熱温度は80〜300℃が好ましく、100〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。
赤外線ヒーターで加熱する方法においては、加熱手段に方向性があるが、被加工体の上下面あるいは表裏面のいずれの方向から行ってもよい。
コストの観点からは、低エネルギー電子線照射装置を用いて処理する方法が好ましい。
例えば、露光方法を行った後、熱処理方法を行ってもよく、硬化工程の2つ以上を同時に行ってもよい。例えば、加熱ヒーター中で露光方法処理を行ったり、多量の赤外線と紫外線を同時に発するランプにより熱処理方法と露光方法とを同時に行ったりしてもよい。
本実施形態における3次元形状を有する構造体の製造方法においては、上述した被加工体の内部にレーザ光の焦点位置を合わせ(工程(1)、(3))、前記焦点位置にレーザ光を照射する(工程(2)、(4))。
レーザ光を照射することによって、被加工体の内部に破断部を形成でき、得られた破断部が、得られる3次元形状の分離面を形成する。
3次元形状を有する構造体の第1の製造方法においては、被加工体の内部に3次元状の分離面が形成され、3次元形状を有する構造体の第2の製造方法においては、被加工体の内部に、3次元状の改質面及び/又は部分的分離面が形成される。
図1に、本実施形態における3次元形状を有する構造体の製造方法に適用するレーザ加工装置としての3次元形状を有する構造体の製造装置の一例の概略構成図を示す。
なお、図1においては、レーザ被照射体としての被加工体10を含めた構成例として示しているが、3次元形状を有する構造体の製造装置としては、被照射体を必須の構成要素に含めるものではない。
図1においては、被照射体保持手段20としてのXYZステージに、被照射体としてのシート状の被加工体10が載置された構成を有している。
XYZステージは、被加工体10を、図1中の矢印方向に移動させる機能を有している。
また、焦点位置制御手段12によるレーザ光の焦点位置の3次元的な制御により、被照射体である被加工体10の内部にレーザ光を照射し、所望の3次元形状を有する構造体のパターン形成を行う。
なお、3次元状とは、物理空間において、例えば幅・奥行き・高さを持っており、3次元形状を有する構造体として有用な凹凸部形状を具備した形状を意味する。
例えば、図1においては、集光レンズの移動と併せて、図1中の被照射体保持手段20としてのXYZステージを、図2中矢印X、Y、Z方向に移動させることにより、レーザ光の焦点位置を3次元的に走査でき、被加工体10の内部に立体的なパターン形成を行うことができる。
例えば、レンズやミラーから構成される光学系、例えば、光拡散手段や集光手段を介して被加工体内部にレーザ光の焦点を合わせることができる。
特に光学系を構成する装置を簡便なものとする観点からは、レーザビームエキスパンダーと球面平凸レンズを組み合わせた構成とすることが好ましい。
レーザビームエキスパンダーの倍率は特に制限はないが、最終的に目的とする被加工体において高い解像度を得る観点からは1.3倍以上とし、3次元形状を有する構造体の生産性を確保する観点からは10倍以下とすることが好ましく、2倍〜8倍がより好ましく、4倍〜8倍がさらに好ましい。
また、焦点位置を制御する工程において、レーザ光を、ガルバノミラーを用いて単軸あるいは2軸方向へ比較的広い幅あるいは領域に走査する場合には、寸法の大きなfθ集光レンズを用いることが好ましい。
X−Y−Z位置制御システムは、Xのみ、Yのみ、Zのみ、あるいは2つの組合せの方向のみの制御システムでもよい。
また、加工位置を制御する機構は、単独で適用してもよく、2種類以上を組み合わせて適用してもよい。例えば、ガルバノミラーとZ位置制御システムを併用した例が挙げられる。
特に、レーザ加工生産性の観点から、複数のレンズを用いるシステム、ガルバノミラー、ガルバノメータ制御の三次元スキャンヘッド、レーザ焦点調整レンズを用いた集光機構、ダイナミックフォーカス制御等の光学系制御機構が好ましく、ガルバノミラー、ガルバノメータ制御の三次元スキャンヘッドを用いて走査する方式がより好ましい。
ミラー部の駆動方式により、ムービングコイルタイプとムービングマグネットタイプがあり、使用するレーザの発振周波数、走査精度、走査面積により使い分けることができる。
なお、光学シャッターとしては、音響光学変調器(AOモジュレータ)を用いることが好ましい。
例えば、レーザ加工前の被加工体10が、すでに分離面を有していたり、多層構造であり層界面で剥離可能であったりする場合には、レーザ加工により得られた分離部分が、すでに有している分離面や、多層構造の層界面と繋がるようにして連続的につながった状態とすればよい。
また、レーザ加工部の一部が外部にまで及ぶ場合には、それぞれの独立したレーザ加工による分離部分が連続的に繋がった状態であればよい。すなわち、連続した加工パターン箇所が2箇所以上、例えば凹部分の加工箇所と凸部分の加工箇所とがある場合、それぞれの箇所において連続的につながった状態とすればよい。
この場合、所定の方向に順序だって連続的にレーザ加工を行ってもよいし、断続的にレーザ加工して、最終的に連続した加工状態としてもよい。
なお、レーザ加工において高い生産性を確保する観点から、所定の方向に順序だって連続的にレーザ加工を行うことが好ましい。
また、Z軸方向(レーザ照射方向)のレーザ加工については、例えば、レーザ加工最下部から加工していき、徐々に上部に移動させて加工していくようにしてもよいし、上部から最下部に焦点を移動させて加工していくようにしてもよい。
また、必要に応じて、加工用レーザ光の焦点位置を凡そ確認するために、レーザ加工用のレーザとは異なる波長のレーザを位置確認用教示レーザとして用いてもよい。位置確認用教示レーザとしては、加工用レーザ光の焦点位置を肉眼で確認するため、可視光の波長を持つレーザを用いることが好ましい。
これにより、3次元形状を有する構造体の第1の製造方法においては被加工体の内部に3次元状の分離面が形成され、第2の製造方法においては被加工体の内部に3次元状の改質面及び/又は部分的分離面が形成される。
また、改質とは、レーザ光を照射することにより、物質の状態変化(溶融、熱分解、除去等)によって、分離はしていないが力を加えることにより容易に分離可能なものの状態を意味し、部分的分離とは、近傍のレーザ加工による分離箇所が連続的に繋がっていない状態を意味する。
この変質部分の拡がりの範囲は、目的とする3次元形状を有する構造体において高精度を得る観点から0.1μm以上であることが好ましく、レーザ加工の生産性の観点から50μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、5μm以上20μm以下がさらに好ましい。
なお、上記「変質」とは、分離及び改質を含み、レーザ光照射により被加工体10の材料に変化が生じ完全に分離してしまっている状態のもの、分離してはいないが力を加えることにより容易に分離可能なもののいずれも含む。
またレーザ照射において、多光子吸収の現象を起こしてもよい(例えば、特開2003−236688号公報に記載されている。)。1パルスで加工される被加工体の変質部分の拡がりの観点から、多光子吸収の現象を起こすことが好ましい。
例えば、図1に示すように、被加工体10が板状あるいはシート状である場合には、4方向の端部から、レーザ加工を行うことができる。
また、これらに限定されず、中央近傍から照射するようにしてもよい。レーザ加工生産性の観点からは、端部から照射していくことが好ましい。
また、レーザ加工部は、必ずしも被加工体10の内部のみに限定して留まる必要はなく、一部が外部、例えば所定の支持体の内部、所定の支持体と被加工体との界面や被加工体の外側(レーザ加工雰囲気中)にまで及んでも差し支えはない。
具体的には、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下であることが好ましく、20%以上99%以下であることがより好ましく、50%以上98%以下であることがさらに好ましい。
また、被加工体が所定の支持体により支持された状態でレーザ照射を行うようにしてもよく、支持体を通してレーザ加工を行う場合には、前記支持体と前記被加工体との積層体の厚さを3mmに設定して前記光線透過率を測定するものとし、レーザ照射側の積層体の、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下であることが好ましく、20%以上99%以下であることがより好ましく、50%以上98%以下であることがさらに好ましい。
なお、上記光線透過率とは、厚さ3mmの被加工体、又は厚さ3mmの支持体と被加工体との積層体を用いて、紫外・可視・近赤外分光光度計における光線透過法により測定される値である。具体的には、紫外・可視・近赤外分光光度計「V−570」(日本分光社製、商品名)を用いて測定できる。
なお、厚さ3mmに換算した時の3次元形状を有する構造体のレーザ発振波長における光線透過率は、3次元形状を有する構造体の最大厚みの部分のレーザ発振波長における光線透過率を測定し、その測定値を3mmに換算することで得られる値とする。例えば、3次元形状を有する構造体の最大厚みが1.5mmであり、この部分のレーザ発振波長における光線透過率が90%であれば、81%が厚さ3mmに換算した時の値となる。
照射レーザの種類としては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザ、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザ等の固体レーザの第2高調波レーザ、銅蒸気レーザ、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザ、例えばエキシマレーザ、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザ等の固体レーザ等が挙げられる。
特に、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザ、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザ等の固体レーザの第2高調波レーザが設備コストの観点から好ましい。
特に発振の安定性、取り扱いの容易さから半導体レーザ励起固体レーザ、ファイバーレーザが好ましい。
固体レーザの具体例としては、アレキサンドライトレーザ、チタンサファイアレーザ、Cr:LiSAFレーザ、F−Centerレーザ、Co:MgF2レーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Er:ガラスレーザ、Ho:YAGレーザ、Ho:YSGGレーザ、Tm:YAGレーザ、Er:YAGレーザ等が挙げられる。
半導体レーザ励起固体レーザの場合、励起方式がサイドポンプ方式とエンドポンプ方式の2種類存在するが、ビーム形状の優れたものを得るためにはエンドポンプ方式がより好ましい。
ファイバーレーザは、YbやEr等の希土類元素をドープしたコアを有するファイバーを用いたレーザであり、増幅媒質としてファイバーを利用している。
レーザの種類は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、パルス発振近赤外線レーザによる加工と、赤外線レーザによる加工は、同時に実施しても、別々に実施しても構わない。加工に要する時間の短縮の観点からは、同時に実施することが好ましい。但し、レーザ加工装置においてレーザ光の走査方式が異なる場合は、この限りではない。例えば、パルス発振近赤外線レーザがガルバノミラーを用いて走査するのに対し、赤外線レーザがガルバノミラーを用いずにレーザ加工する場合などがある。
また、レーザは連続照射でも、パルス照射でも良い。得られる3次元形状を有する構造体の高解像度の観点からは、レーザ加工時の熱影響の小さいパルス照射が好ましい。
パルス繰り返し周波数は20Hz以上500MHz以下であることが好ましく、1kHz以上200MHz以下がより好ましく、10kHz以上100MHz以下がさらに好ましい。
発振周波数が20Hz以上500MHz以下の範囲であることは、高速にレーザ光を走査し内部に焦点を合わせることが可能であり、加工工程に要する時間を短縮することができる点で好ましい。
パルス発振のレーザのパルス幅は、1フェムト秒以上200ナノ秒以下であることが好ましく、10フェムト秒以上100ナノ秒以下がより好ましく、10ピコ秒以上50ナノ秒以下がさらに好ましい。パルス幅が1フェムト秒以上200ナノ秒以下であることは、レーザの平均出力が小さくとも高い尖頭出力が得られるため、極めて短い時間内に大きなエネルギーを投入することができるので、被加工体の加工が容易に実施でき、得られるパターンの形状が優れたものになる点で好ましい。
フェムト秒、ピコ秒パルスを得る方法として、モードロック技術を用いることが好ましい。また、尖頭出力の大きな短パルスを得る方法として、Qスイッチを有するレーザが好ましい。
1パルスあたりの仕事率が1W以上であることは、被加工体10に対するレーザ加工を確実に行うことができ、得られるパターンのエッジ形状が鮮明となる点で好ましい。
また、1パルスあたりの仕事率が5MW以下であることは、熱の影響が少なく、過度に溶融あるいは除去されることを防止する観点から好ましい。
なお、1パルスあたりの仕事率(単位:W)とは、平均出力(単位:W)を繰り返し周波数(単位:パルス/秒)で割った値を、更にパルス幅(1パルスの時間幅、単位:秒)で割った値と定義する。この値が大きい程、1パルスあたりの仕事率は大きく、先頭出力が大きいことを意味する。
更に、レーザの横モードの品質を表わす指標であるM2(モードクォリティー)値が、1以上2以下であることが好ましく、1以上1.5以下であることがより好ましく、1以上1.3以下であることがさらにより好ましい。
レーザ加工は、適用するレーザ波長に対する吸収を有さない支持体等を具備する被加工体10に対して行う場合には、支持体側がある方向、支持体が無い方向のいずれからレーザ照射を行ってもよい。
3次元形状を有する構造体の強度を向上させる場合や、改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する際に、剥離しやすくする場合には、レーザ加工を行った後、被加工体10に対して硬化処理を施すことが有効である。
硬化処理方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光等の紫外線(真空紫外線を含む)を含む活性光線源により処理する露光方法、熱処理方法、電子線処理方法が挙げられる。生産性・コストの観点からは、露光方法が好ましい。
特に、被加工体10として光硬化性を有する樹脂組成物を用いる場合には、露光方法及び/又は電子線処理方法が好ましく、熱硬化性を有する樹脂組成物を用いる場合には、熱処理方法及び/又は電子線処理方法が好ましい。
露光方法としては、例えば大気中で露光する方法や、水等の液体中で露光する方法等が挙げられる。露光強度については特に限定されるものではないが、例えば1〜50mW/cm2とすることができる。なお、露光強度はオーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルターを用いて測定できる。特に、200nm〜380nmの波長の光が好ましい。
光源は、1種類でもよいが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより硬化性の向上が図られるため、2種類以上の光源を用いてもよい。波長の異なる2種類以上の光源を使用する場合は、同時に露光処理しても、別個独立して露光処理を行ってもよい。
熱処理方法としては、例えばヒーターや赤外線ヒーターで加熱したり、加熱オーブン中で加熱したりする方法が挙げられる。熱処理温度としては被加工体を固体の状態に維持する観点から、40〜130℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。加熱時間は、特に限定されないが生産性の点から短い方が好ましい。
電子線処理方法としては、例えば10〜5MeVの高エネルギー電子線照射装置、5MeV〜300keVの中エネルギー電子線照射装置、300keV未満の低エネルギー電子線照射装置を用いて処理する方法等が挙げられる。コストの観点から、低エネルギー電子線照射装置を用いて処理する方法が好ましい。
また、硬化工程は、上記の方法のうちの2以上の方法を採用して行ってもよい。例えば、露光方法を行った後、熱処理方法を行ってもよい。
さらに、硬化工程の2つ以上を同時に行ってもよい。例えば、加熱ヒーター中で露光方法処理を行ったり、多量の赤外線と紫外線を同時に発するランプにより熱処理方法と露光方法とを同時に行ったりしてもよい。
また、例えば、レーザ加工後の被加工体の上面側及び/又は下面側から、紫外線を含む活性光線源による露光を施してもよい。紫外線を含む活性光線源による露光は、上面側、下面側の両方から同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
改質面及び/又は部分的分離面に沿って良好な剥離性を得るためには、上面側、下面側の両方から同時に、またはこれらを別々に行うことが好ましい。
なお、3次元形状を有する構造体の強度を向上させる目的で、分離された被加工体、剥離された3次元形状を有する構造体や洗浄・後処理工程後の3次元形状を有する構造体に、硬化工程を設けてもよい。
上述した3次元形状を有する構造体の第2の製造方法に従いレーザ加工を行った後、被加工体10の内部に3次元状の改質面及び/又は部分的分離面が形成した後、レーザ加工面において両者を剥離し、分離する。
なお、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する。
剥離の際に使用する力は低い方が好ましく、10N/cm以下であれば、剥離面の形状を破壊することなく、所望の3次元形状が得られる。
剥離方法については特に限定されるものではない。例えば、両面に支持体を有する場合には、片方の支持体をテープ等固定しておいて、反対側の支持体の少なくとも一部を引っ張る方法、両方の支持体を引張器具等引っ張り、剥離させる方法が挙げられる。
また、支持体を有しない場合には、直接両側からレーザ加工された被加工体を剥離する方法等が挙げられる。
得られた3次元形状を有する構造体に傷がつくことを防止するためには、両面に支持体を有しており、片方の支持体をテープ等で固定しておいて、反対側の支持体の少なくとも一部を引っ張る方法が好ましい。
剥離に必要な力を低減化させるために、剥離工程時に被加工体を加温してから剥離することが好ましい。
加温方法は、例えば、被加工体をヒーター上に載せる、熱風を吹き付ける、(近)赤外線ヒーターで加熱する、加熱したロールと接触させる、加熱オーブン中に入れる等の方法が挙げられ特に限定されない。
加温温度は50〜180℃が好ましく、70〜180℃がより好ましく、80〜160℃が更に好ましい。加温する場合には被加工体の上下どちらの方向からでも構わない。
上述したようにして得られた3次元形状を有する構造体は、その後、洗浄処理をし、あるいは所定の後処理を行うことにより、表面の異物を除去し、表面特性を調整することが好ましい。
洗浄方法としては、例えば溶剤や界面活性剤の入った水系洗浄剤等を用いる方法、高圧スチームを用いる方法、吸収層を押し当てる方法等が挙げられる。
上記洗浄に用いる水系洗浄液としては、例えば、ノニオン系、アニオン系、カチオン系あるいは両性の界面活性剤を一種又は二種類以上含有する洗浄液が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、平均炭素数8〜16のアルキルを有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、平均炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4〜10のジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸低級アルキルエステルのスルホン酸塩、平均炭素数10〜20のアルキル硫酸塩、平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを附加したアルキルエーテル硫酸塩、及び平均炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキルアミンエチレンオキシド付加物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、サパミン型第4級アンモニウム塩、あるいはピリジウム塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型の高級アルコールアルキレンオキシド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アルキレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキシド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキシド付加物、油脂のアルキレンオキシド付加物、及びポリプロピレングリコールアルキレンオキシド付加物、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールとソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル及びアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムやラウリルジメチルベタイン等が挙げられる。
界面活性剤の濃度については、特に限定されるものではないが、通常洗浄液全量に対して0.5〜10質量%の範囲で使用される。
洗浄促進剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、グリコールエーテル類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のアンモニウム塩類、あるいはパラフィン系炭化水素等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、コハク酸ソーダ、酢酸ソーダ等が挙げられる。
洗浄助剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
洗浄助剤の沸点は、常圧で130℃以上であることが好ましい。沸点が130℃未満の場合、洗浄液から水を蒸発させて凝縮液として回収する際に洗浄助剤の相当量が水と一緒に蒸発除去される傾向がある。あるいは洗浄助剤を現像液の濃度調整の目的で利用する際に、洗浄液の性能を安定にするために同伴された溶剤の量を測定して調整しなければならないなどの手間がかかる。
洗浄液には、必要に応じて、消泡剤、分散剤、腐食抑制剤、腐敗防止剤を添加してもよい。
好ましい吸収層としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる不織布材料、及びこれらの不織布材料の組み合わせが挙げられる。特に好ましい吸収層としては、ナイロン又はポリエステルの不織布連続ウェブが挙げられる。
また、押し当てて吸収させる際、3次元形状を有する構造体や吸収層を加熱して行ってもよい。
加熱温度としては、良好な洗浄性を確保する観点から40〜200℃が好適である。
必要に応じて、300nmよりも長波長の光を併用してもよい。
上記に亘って説明した工程により作製される3次元形状を有する構造体の形状や形態は、特に限定されるものではない。
また、3次元形状を有する構造体は、単層構造であってもよいし多層構造であってもよい。多層構造とする場合には、被加工体が上述した支持体の他、クッション層等の所定の機能層、その他層間の接着強度を担保する接着剤層等を設けた構成とすることにより、目的とする3次元形状を有する構造体の機能を任意に調整できる。この場合、支持体や所定の機能層は、レーザ光を照射する前段階で予め設けられているものとしてもよく、レーザ光を照射する工程後に設けてもよい。これら支持体や各機能層については、後述する。
また、使用された3次元形状を有する構造体や、3次元形状を有する構造体と反対側の分離された部分、3次元形状を有する構造体と反対側の剥離された部分は、必要に応じて溶剤に溶解したり、加熱したりすることにより、新たな被加工体の原材料として再利用も可能である。特に光及び/又は熱硬化していない材料である場合には、リサイクル価値が高く有用である。
また、3次元形状を有する構造体と反対側の剥離された部分を型として、新たに溶融した熱可塑性エラストマーや熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物、例えば、20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物を流し込むことにより、さらに3次元形状を有する構造体を作製することもでき、リサイクル活用が可能である。
次に、被加工体10を構成する材料について詳細に説明する。
被加工体10を構成する材料(原材料)としては、後述する熱可塑性エラストマー(A1)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種よりなるものを使用できる。
また被加工体は一層でも多層でもよい。多層の場合、上記少なくともいずれか一種からなるものでもよいし、複数種類を組み合わせてもよい。また多層の場合、層界面が10N/cm以下の力で剥離可能である被加工体であってもよい。
「熱可塑性エラストマー」とは、20℃でゴム弾性を示し、塑性変形し難く、押出機等で組成物を混合する際に熱により可塑化するエラストマーを意味する。
熱可塑性エラストマー(A1)としては、例えば、スチレン・ブタジエンブロックコポリマー、スチレン・イソプレンブロックコポリマー、スチレン・エチレン/ブチレンブロックコポリマー等が挙げられる。すなわち、少なくとも1つの共役ジエンユニットもしくは共役ジエンユニット水素添加物を主体とする第1の重合体ブロックと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素ユニットを主体とする第2の重合体ブロックとを含む熱可塑性エラストマーブロック共重合体;EPDM(エチレンプロピレンゴム)、プロピレン・エチレン/プロピレンブロックコポリマー等のオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;フッ素系熱可塑性エラストマー;シリコン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、共役ジエンブロックの完全水素添加物のスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体や、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体等を併用してもよい。
なお、「主体とする」とは、重合体ブロック中に50質量%以上含有されていることを意味し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
(A−B)n、A−(B−A)n、A−(B−A)n−B、B−(A−B)n・・・(I)
[(A−B)k]m−X、[(A−B)k−A]m−X、[(B−A)k]m−X、[(B−A)k−B]m−X・・・(II)
Aは、例えば、ビニル芳香族炭化水素ユニットを主体とする重合体ブロックを示す。
Bは、例えば、1つの共役ジエンユニットもしくは共役ジエンユニット水素添加物を主体とする重合体ブロックを示す。
Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k及びmは1以上の整数を示し、例えば1〜5である。
上述した共役ジエンユニットの水素添加物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方において、被加工体の耐コールドフロー性が高いという観点から、ビニル芳香族炭化水素ユニットの含有量は、13質量%以上が好ましい。ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素ユニットの含有量は、紫外線分光光度計(例えば、日立製作所製UV200)を用いて波長262nmに対する吸収強度を測定することにより求められる。
エチレンユニット成分やジエンユニット成分の含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定できる。
数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算分子量である。
軟化温度が50℃以上であれば、常温下で固体であるため、容易に取り扱うことができる。
また軟化温度が250℃以下であると、通常の加工装置により加工でき、さらには混合する他の化合物の変質や分解を防止できる。
軟化温度は、動的粘弾性測定装置により測定できる。具体的には対象物の温度を室温から上昇させ、粘性率が大きく変化する(粘性率曲線の傾きが変化する)最初の温度により定義する。
樹脂組成物(A2)は、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物である。
熱可塑性エラストマー(A1)の含有量は、樹脂組成物(A2)の全体量を100質量%としたとき、被加工体の耐コールドフロー性を確保する観点から、50質量%以上が好ましく、被加工体の良好な成型性を確保する観点から95質量%以下が好ましい。また、上記観点から、60質量%以上90質量%以下の範囲がより好ましく、70質量%以上90質量%以下の範囲がさらに好ましい。
光硬化方法には、紫外線硬化(真空紫外線を含む)等の方法があり、設備コストの観点から好適な方法である。
樹脂組成物(A2)の光硬化物は、熱可塑性エラストマー(A1)に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の光硬化物である。この場合、樹脂組成物(A2)を光硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A2)には、必要に応じて光重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
樹脂組成物(A2)の熱硬化物は、熱可塑性エラストマー(A1)に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の熱硬化物である。この場合、樹脂組成物(A2)を熱硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A2)には、必要に応じて熱重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
電子線処理により硬化する方法については、所定の電子線照射装置を用いて照射処理する方法が挙げられる。
樹脂組成物(A3)は、20℃でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物である。
20℃でプラストマーである樹脂の含有量は、樹脂組成物(A3)の全体量を100質量%としたとき、3次元形状を有する構造体の耐摩耗性の観点から50質量%以上が好ましく、硬化性の観点から95質量%以下が好ましい。60質量%〜90質量%の範囲がより好ましく、65質量%〜85質量%の範囲がさらに好ましい。
光硬化方法には、紫外線硬化(真空紫外線硬化を含む)等の方法があるが、紫外線硬化が設備コストの観点から好ましい。
樹脂組成物(A3)の光硬化物は、後述する20℃でプラストマーである樹脂に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の光硬化物である。この場合、樹脂組成物(A3)を光硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A3)には、必要に応じて光重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
樹脂組成物(A3)の熱硬化物は、後述する20℃でプラストマーである樹脂に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の熱硬化物である。この場合、樹脂組成物(A3)を熱硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A3)には、必要に応じて熱重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
電子線処理により硬化する方法については、所定の電子線照射装置を用いて照射処理する方法が挙げられる。
樹脂組成物(A3)に含有される20℃でプラストマーである樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン等の炭化水素類;アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート、ポリカーボネートジオール等のポリカーボネート類;ポリジメチルシロキサン等のシリコン類;(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、適宜上記樹脂の共重合体を用いてもよい。
20℃でプラストマーである樹脂は、3次元形状を有する構造体の耐摩耗性の観点からウレタン結合を有しているものであることが好ましく、さらに耐溶剤性の観点からエーテル結合、カーボネート結合、エステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を有しているものが好ましい。
例えば、エーテル結合、カーボネート結合、エステル結合を有し、かつ、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基等の反応性基を1つ又は2つ以上有する分子量が数千程度の化合物と、これらの反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物(例えば、ポリイソシアネート等)とを反応させ、分子量の調節及び分子末端の結合性基への変換等を行い、その後、この分子末端の結合性基と反応し得る官能基と重合性不飽和基を具備する有機化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する方法等により作製できる。
上記各種反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4'−トリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物等が挙げられる。
20℃でプラストマーである樹脂の製造に用いられるエーテル結合を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、ポリ1,2−ブチレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンランダムまたはブロック付加物、ポリオキシエチレン/ポリオキシテトラメチレンランダム又はブロック付加物等が挙げられる。
これらの化合物が有する反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
なお、前記ポリカーボネートジオールは、対応するジオールより、公知の方法(例えば、特公平5−29648号公報)により製造できる。
これらの化合物が有する反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピコナール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、末端水酸基を有する1,4−ポリブタジエン、末端水酸基を有する水添又は非水添1,2−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを、
縮合反応させて得られるポリエステル類、ポリカプロラクトン等のポリエステル類等が挙げられる。
これらの化合物が有する反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基、カルボキシル基あるいはイソシアネート基を、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
特に好ましい化合物としては、1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有する樹脂が挙げられる。重合性不飽和基の含有数を1分子あたり平均で0.7以上とすることは、3次元形状を有する構造体の良好な機械強度を実現する観点から好適である。1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。また、1分子あたりの重合性不飽和基数の上限については特に限定しないが、好ましい範囲としては20以下である。1分子あたりの重合性不飽和基数を20以下とすることは、3次元形状を有する構造体表面近傍でのクラック等の発生を抑制する観点から好適である。1分子あたり平均重合性不飽和基の含有数は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
なお、上記において「分子内」とは、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合等も含まれる。また、重合性不飽和基とは、ラジカル又は付加重合反応に関与する重合性官能基である。
20℃でプラストマーである樹脂に、重合性不飽和基を導入する方法としては、直接、重合性の不飽和基をその分子末端あるいは分子鎖中に導入する方法が挙げられるが、別法としては、他の分子鎖を介して重合性の不飽和基を間接的に導入する方法が挙げられる。
間接的に導入する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。まず、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基等の反応性基を複数有する化合物に、前記反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えばポリイソシアネート等)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行う。その後、反応によって得られた化合物と、この化合物の末端結合性基と反応する官能基及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する。このような方法により、重合性不飽和基を導入できる。
なお、前記液状樹脂が、20℃でプラストマーである成分中に占める割合としては、30質量%以上100質量%以下が好ましい。
なお、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
上述した樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)は、重合性モノマーを含有するものとすることができる。
重合性モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ビニルトルエン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類;アセチレン類;(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体;ハロオレフィン類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾール;N−置換マレイミド化合物等が挙げられる。特に、種類の豊富さ、価格、レーザ加工性等の観点から、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体が好ましい。
前記(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の、具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオール等のアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート;イソボロニル(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
開環付加反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオール等のポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物等が挙げられる。
具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多官能チオール化合物としては、アルキル基にメルカプト基が結合したチオール、チオグリコール酸誘導体、メルカプトプロピオン酸誘導体等が挙げられる。
特に、チオグリコール酸誘導体やメルカプトプロピオン酸誘導体は、任意のポリオールと、グリコール酸やメルカプトプロピオン酸とのエステル化により、さまざまな構造の多価チオールが得られる。アルキル基にメルカプト基が結合したチオールとしては、o−、m−、p−キシレンジチオール等が挙げられる。
チオグリコール酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、及びペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
メルカプトプロピオン酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、及びトリヒドロキシエチルトリイソシアヌール酸トリスチオプロピオネート等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能チオール化合物としては、アルキル基にメルカプト基が結合したチオール、チオグリコール酸誘導体、メルカプトプロピオン酸誘導体等が挙げられる。
特に、チオグリコール酸誘導体やメルカプトプロピオン酸誘導体は、任意のポリオールと、グリコール酸やメルカプトプロピオン酸とのエステル化により、さまざまな構造の多価チオールが得られる。アルキル基にメルカプト基が結合したチオールとしては、o−、m−、p−キシレンジチオール等が挙げられる。
チオグリコール酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、及びペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
メルカプトプロピオン酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、及びトリヒドロキシエチルトリイソシアヌール酸トリスチオプロピオネート等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環式官能基及び/又は芳香族官能基を有する重合性モノマーを用いることにより、目的とする3次元形状を有する構造体の機械的強度及び耐溶剤性の向上が図られる。
重合性モノマーが有する脂環式官能基としては、例えば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン骨格及びビシクロアルケン等が挙げられ、脂環式官能基を有する光重合性モノマーとしては、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。重合性モノマーの有する芳香族官能基としては、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレン基等が挙げられ、芳香族官能基を有する光重合性モノマーとしては、ベンジルメタクリレートやフェノキシエチルメタクリレート等が挙げられる。芳香族官能基を有する光重合性モノマーは、窒素、硫黄等をヘテロ原子として含有する芳香族化合物であってもよい。
数平均分子量は、200以上800以下であることがより好ましい。
ここで、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリスチレン換算分子量であるものとする。
前記被加工体10の構成材料としては、上述した樹脂組成物(A2)及び/又は上述した樹脂組成物(A3)の光硬化物が好ましく用いられる。
前記被加工体を構成する材料として、樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)の光硬化物を適用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤とは、光のエネルギーを吸収し、ラジカルを発生する化合物であり、崩壊型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物等が挙げられる。
各種有機カルボニル化合物や、特に芳香族カルボニル化合物が好適である。
光重合開始剤の含有量は、本実施の形態における3次元形状を有する構造体の作製工程において、3次元形状を有する構造体の耐摩耗性や、被加工体の剥離が容易く確実に行われるようにする観点から、被加工体を形成する組成物全体量を100質量%としたとき、0.1質量%〜10質量%の範囲とすることが好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記被加工体10の構成材料としては、上述した樹脂組成物(A2)及び/又は上述した樹脂組成物(A3)の熱硬化物も好適なものとして用いられる。
前記被加工体10を構成する材料として、樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)の熱硬化物を適用する場合には、熱重合開始剤を用いることが好ましい。
熱重合開始剤として好適な化合物としては、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤がある。
ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。
また、開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始材を入れた潜在性熱重合開始剤が好ましい。
熱重合開始剤の含有量は、被加工体の組成物全体量を100質量%としたとき、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
熱重合開始剤の含有率が上記範囲であれば、十分な熱硬化を行うことができ、表面の粘着性の低減化が図られる。
具体例としては、ペルオキシエステル類、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジペルオキシケタール、例えば、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン及びエチル、3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、ある種のジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及び2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジアシルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシド及びジアセチルペルオキシド、ある種のt−アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した樹脂組成物(A2)及び樹脂組成物(A3)には、必要に応じて補助添加成分を含有してもよい。
例えば、可塑剤、極性基含有ポリマー、熱重合防止剤、酸化防止剤、微粒子、界面活性剤、シリコンオイル等の表面処理剤、含フッ素モノマー、石油ワックス類、炭化水素鎖を有するモノマー、光ルミネセンスタグ(外部エネルギー源によって励起され、得られたエネルギーを光及び/又は放射線の形で放出する物質)、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料・顔料等が挙げられる。
補助添加成分全成分の添加量は、被加工体を構成する樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)の全体量を100質量%としたとき、10質量%〜50質量%であることが好ましく、15質量%〜40質量%であることがより好ましい。
上述した樹脂組成物(A2)及び樹脂組成物(A3)には、良好なレーザ加工性を得る観点から、可塑剤を含有させることが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油;液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体等の液状のジエンを主体とする共役ジエンゴム;数平均分子量2000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられ、末端にヒドロキシル基やカルボキシル基を有していてもよい。これらには(メタ)アクリロイル基等の光重合性の反応基が付与されていてもよい。
これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤の添加量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、10質量%〜30質量%であることが好ましく、15質量%〜25質量%であることがより好ましい。
極性基含有ポリマーとしては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、燐酸基、スルホン酸基等の親水性基、それらの塩等の極性基を有する水溶性又は水分散性共重合体が挙げられる。
さらに具体的には、カルボキシル基含有NBR、カルボキシル基含有SBR、カルボキシル基を含有した脂肪族共役ジエンの重合体、燐酸基、又はカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の乳化重合体、スルホン酸基含有ポリウレタン、カルボキシル基含有ブタジエンラテックス等が挙げられる。
目的とする3次元形状を有する構造体において高い解像度を得る観点から、カルボキシル基含有ブタジエンラテックスが好ましい。
これらの極性基含有ポリマーは単独でもよく、2つ以上を併用してもよい。
極性基含有ポリマーの添加量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、10質量%〜30質量%であることが好ましく、15質量%〜25質量%であることがより好ましい。
熱重合防止剤・酸化防止剤としては、樹脂材料又はゴム材料の分野において通常使用されるものを用いることができる。
具体的には、フェノール系、ホスファイト系の材料が挙げられる。
フェノール系の材料の具体例としては、ビタミンE、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス〔3‐(3,5−ジ−t−ブチル−4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス−(6−t−ブチル−p−クレゾール)、1,3,5−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
また、ホスファイト系の具体例としては、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリスデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−t−ブチル−3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト化合物等が挙げられる。
これらの熱重合防止剤・酸化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱重合防止剤・酸化防止剤の含有量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜7.5質量%の範囲がより好ましく、0.1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
上述した樹脂組成物(A2)及び樹脂組成物(A3)には、更に、無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子等の微粒子を添加してもよい。
有機系微粒子としては、例えば、ポリシロキサン骨格、ポリスチレン骨格、ポリ(メタ)アクリル酸エステル骨格、ポリイミド骨格、ポリウレタン骨格、ポリアクリロニトリル骨格から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する微粒子;無孔質微粒子が挙げられる。レーザによる変質がない観点から、無機系微粒子が好ましい。
有機系微粒子の具体例としては、例えば、シリコーンゴム、架橋アクリル酸微粒子、架橋アクリル酸多孔質微粒子、架橋ポリスチレン等が挙げられる。
無機系微粒子の具体例としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化錫、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、ホウ素酸アルミニウム、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化鉄、及び酸化セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種類を主成分とする化合物が挙げられる。
上記微粒子は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
耐熱性の指標として、不活性ガス中での熱重量分析において50質量%減少温度が、400℃以上であることが好ましく、450℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることがさらに好ましい。
耐熱性の高い有機系微粒子を用いることにより、目的とする3次元形状を有する構造体の、高解像度化が図られる。
前記熱重量分析としては、所定のサンプルを用いてこれを加熱して重量を測定する方法を適用する。
このような表面処理を行う有機化合物としては、重合性不飽和基を有する化合物を用いることができる。
なお、微粒子の1次粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、モニター上に写される画像を基に測定できる。モニター上に写される1次粒子が、少なくとも100個以上存在する状況で、各1次粒子の粒子径が測定される。写真に撮って計測する方法、画像処理ソフトウェアを用いて処理する方法のいずれも適用できる。
例えば、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある形状等が挙げられ、特に耐磨耗性を得る観点からは、球状粒子が好ましい。
また、内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体等も使用できる。例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、メソポーラスモレキュラーシーブ、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等が挙げられる。
また、層状粘土化合物等のように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものも微粒子として適用できる。このような化合物においては、層間に存在する空隙(すなわち面間隔)を細孔径と定義し、層間に存在する空間の総量を細孔容積と定義する。これらの値は、窒素の吸着等温線から求められる。
微粒子の平均細孔径は、目的とする3次元形状を有する構造体において高解像度を得る観点から1nm〜1000nmが好ましく、2nm〜200nmがより好ましく、2nm〜50nmがさらに好ましい。
微粒子の平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値であるものとする。
また、細孔径分布も、−196℃における窒素の吸着等温線から求めることができる。
微粒子の細孔容積は、目的とする3次元形状を有する構造体において高解像度を得る観点から、0.1mL/g以上であるものとし、高い機械的強度を得る観点から10mL/g以下が好ましく、0.2mL/g〜5mL/gがより好ましい。
微粒子の細孔容積は、窒素吸着法により求められる。具体的には、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
微粒子の比表面積は、10m2/g以上1000m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上800m2/g以下がより好ましく、100m2/g以上500m2/g以下がさらに好ましい。比表面積の値をこのような範囲とすることは、目的とする3次元形状を有する構造体において高い解像度を得る観点から好適である。
なお、微粒子の比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる値である。
微粒子の吸油量は、目的とする3次元形状を有する構造体において高い解像度を得る観点から、10mL/100g以上であることが好ましく、高い機械的強度を確保する観点から2000mL/100g以下であることが好ましく、50mL/100g〜1000mL/100gであることがより好ましい。吸油量の測定は、JIS−K5101で行うことができる。
火炎加水分解法、アーク法、プラズマ法は、熱分解法又は高熱法(乾式法)とも呼ばれている。
また、沈降法、ゲル化法は湿式法とも呼ばれる方法である。これらのうち、乾式法、特に火炎加水分解法によるものが好ましい。
微粒子の含有量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.1〜20質量%が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性の界面活性剤が用いられる。
ノニオン性界面活性剤、特に、水素結合性官能基を有する非イオン性界面活性剤を用いると、微粒子の分散性改善効果が顕著となるため特に好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば「新・界面活性剤入門 藤本武彦著 昭和60年11月1日発行 三洋化成工業株式会社」の92頁 第2・5・1表に記載のあるポリエチレングリコール型及び多価アルコール型のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
前記ポリエチレングリコール型のノニオン性界面活性剤としては、例えば各種疎水性基にエチレンオキサイドを付加させ親水性基を導入した化合物が挙げられる。具体的には、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価アルコール型の非イオン性界面活性剤としては、親水性の多価アルコールに疎水性の脂肪酸をエステルあるいはアミド基を介して結合させた化合物が挙げられる。例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
上述したノニオン性界面活性剤のHLB(親水親油バランス)値は、3〜12が好ましい。
上述した多価アルコール型のノニオン性界面活性剤としては、前記ポリエチレングリコール型界面活性剤として分類される炭素数8〜24の高級アルコールのポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノールのポリオキシエチレンエーテル、ポリプロピレングリコールのポリオキシエチレンエーテル(プルロニック型)等が好ましい。特に、炭素数8〜24の高級アルコールのポリオキシエチレンエーテルが好ましい。炭素数8〜24の前記高級アルコールのポリオキシエチレンエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン合成アルコールエーテル(合成アルコール中の炭素数12〜15)、ポリオオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合割合は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、3次元形状を有する構造体の機械的強度の観点から0.01質量%以上が好ましく、レーザ加工性の観点から5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。
シリコンオイル等の表面処理剤としては、シリコンオイルやシランカップリング剤やシラン化合物が挙げられる。
シリコンオイルとは、メチル基を代表とするアルキル基を有するアルキルシロキサンを主たる骨格とするオリゴマーもしくはポリマーのことをいう。被加工体内の相溶性の観点から、シリコンオイルを用いるのが好ましい。
シリコンオイルは、反応性のものでも、非反応性のものでもよい。
反応性シリコンオイルとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル変性、アクリル変性、ビニル変性、アリル変性、水酸基変性、エポキシ変性、カルビノール変性、カルボキシル変性、アミノ変性、ウレタン変性、シンナモイル変性、アセチレン変性、チオール変性、オキセタン変性のものが挙げられる。また、トリメチルシロキシエチルメタクリレート等も挙げられる。
非反応性シリコンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、フェニル変性、高級脂肪酸アミド変性、フッ素変性のものが挙げられる。
被加工体内の相溶性の観点から、反応性シリコンオイルが好ましく、シリコンオイル分子内にラジカル反応基を有するメタクリル変性、アクリル変性、ビニル変性、アリル変性のものがより好ましい。
これらの反応性シリコンオイルの変性基は、珪素原子と直接結合していてもよいし、もしくは珪素原子に結合している炭化水素基の水素原子の1個又は2個以上と置換されていてもよい。
これらのシリコンオイル等の表面処理剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物にシリコンオイル等の表面処理剤を用いる場合の含有量については、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.3〜2質量%がさらに好ましい。
含フッ素モノマーとしては、重合性の官能基を有する含フッ素モノマーが好ましい。
重合性の官能基を有する含フッ素モノマーとしては、二重結合、三重結合、エポキシ基、オキセタン骨格又はケテンアセタール骨格を有するモノマー等が挙げられる。
具体的には、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという。)、ビニリデンフルオライド(以下、VdFという。)、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという。)、3,3,3−トリフルオロプロペン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、パーフルオロ(ブチルエチレン)等の、直鎖状又は分岐状の脂肪族フルオロオレフィン類、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、PMVEという。)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEという。)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(以下、BVEという。)等のパーフルオロ(アルケニルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(以下、PDDという。)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等のエーテル性酸素原子含有環状パーフルオロオレフィン、(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(以下、FHAという。)、(パーフルオロヘプチル)メチルアクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(以下、FOAという。)等の(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート、(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(以下、FHMAという。)、(パーフルオロヘプチル)メチルメタクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(以下、FOMAという。)等の、(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレート、α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジブルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、パーフルオロ(スチレン)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレン等のフルオロスチレン等が挙げられる。上述した含フッ素モノマーは、重合性の官能基以外の官能基を有していてもよい。
これらの含フッ素モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物に含フッ素モノマーを用いる場合、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、0.1〜1質量%である。
石油ワックス(パラフィン)類は、炭化水素鎖が直鎖状であるn−パラフィン、分岐鎖状であるイソパラフィン、及び環状であるシクロパラフィンに大別される。
特に、融点が65℃以下のものが好ましく、融点が60℃以下のものがさらに好ましい。これにより、樹脂組成物中に添加した際に、ワックスが固形になることを防止できる。
これらの石油ワックス類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物に石油ワックス類を用いる場合、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、0.1〜1.5質量%である。
炭化水素鎖を有するモノマーとしては、デカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、パルミチン酸ビニルのような脂肪族又は芳香族カルボン酸のビニルエステル類、デカン酸アリル、ステアリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリルのような脂肪族又は芳香族のアリルエステル類、ビニルエチルエーテル及び/又はビニルポリエーテルのようなアルキルビニルエーテル類が挙げられる。
炭化水素鎖を有するモノマーを用いることにより、最終的に得られる3次元形状を有する構造体がインキ汚れしにくくなる傾向がある。
これらの炭化水素鎖を有するモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭化水素鎖を有するモノマーも添加量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.5〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましく、0.5〜1質量%がさらに好ましい。
上述した樹脂組成物(A2)及び樹脂組成物(A3)には、レーザ加工性を損なわない範囲で、光ルミネセンスタグを含有してもよい。
光ルミネセンスタグとは、公知の技術知見(例えば、特開2006−215545号)に記載されているように、可視光、赤外線または紫外線によって刺激されまたは励起された光及び/又は放射線を発生する物質のことを意味する。たとえば、有機光ルミネセンスタグや無機光ルミネセンスタグが挙げられる。
有機光ルミネセンスタグとしては、例えば、ピレン、ペリレン、クマリン、ルブレン、およびこれらの誘導体等の蛍光化合物;ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)等の共役ポリマーが挙げられる。
また、無機光ルミネセンスタグとしては、例えば、イオウ、セレン、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム等)を含む結晶母材である。さらに一種類以上の活性剤を含む。活性剤としては、重金属又は遷移金属、例えばユーロピウム、サマリウム、ビスマス等が挙げられる。
これらの光ルミネセンスタグを有するモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述した光ルミネセンスタグを用いる場合、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、1000ppm未満が好ましく、750ppm未満がより好ましい。更に好ましい範囲は、200ppm未満である。
樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)には、レーザ加工性を損なわない範囲で、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料、顔料等を含有してもよい。
なお、近赤外線領域とは、波長が700nm以上3000nm以下の領域と定義する。
これらの補助添加成分は、被加工体のレーザ光透過率を考慮して含有量を決定する。レーザ発振波長に吸収を有さない成分であれば、含有量は多くてもよい。
例えば、被加工体に対して355nmの紫外線波長で加工を行う場合、上記光線透過率の範囲内であれば、355nmに大きな吸収を持たない近赤外線吸収剤を含有してもよい。
同様に、例えば、被加工体に対して1064nmの近赤外線波長で加工を行う場合、上記光線透過率の範囲内であれば、1064nmに大きな吸収を持たない紫外線吸収剤を含有してもよい。
また、顕色剤と反応させたフタリド化合物(特許第3271226号公報)、リン酸エステル金属化合物(特開平6−345820号公報)、リン酸エステルと銅塩との複合体(WO99/10354号パンフレット)、さらには近赤外線領域に光吸収特性を有する数平均粒子径が0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の微粒子を用いることができる。微粒子の材料としては、酸化イットリウム、酸化錫及び/又は酸化インジウム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、金、銀、パラジウム、白金等の金属が挙げられる。更に、数平均粒子径が5μm以下、より好ましくは1μm以下の、ガラス等の微粒子中に銅、錫、インジウム、イットリウム、クロム、コバルト、チタン、ニッケル、バナジウム、希土類元素のイオン等の金属イオンを添加したものも用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾ−ル、2−(3,5)−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−エトキシ−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等がある。
染料を紫外線吸収剤として使用する場合、例えば、C.I.ソルベントイエロ−19、C.I.ソルベントレッド84、C.I.ソルベントブル−2等が挙げられる。
炭素系材料としては、例えば1次粒子の数平均粒子径が5nm〜100nmのカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
染料としては、水溶性である塩基性染料、酸性染料、直接染料等が挙げられ、非水溶性である硫化染料、油溶染料、分散染料等が挙げられる。特にアントラキノン系、インジゴイド系、アゾ系構造の染料が好ましく、特にアゾ系油油溶染料等がより好ましい。
顔料としては、天然顔料、合成無機顔料、合成有機顔料等が挙げられ、合成有機顔料としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系が挙げられる。
顔料の具体例としては、「HELIOGEN BLUE D 6700」(商品名、BASF社製)、「PALIOGEN RED K 3580」(商品名、BASF社製)が挙げられる。
目的とする3次元形状を有する構造体の機械的物性を確保する観点から、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料、顔料の含有量は、樹脂組成物(A2)及び/又は樹脂組成物(A3)全体量を100質量%としたとき、10ppm以上20000ppm以下が好ましく、50ppm以上10000ppm以下がより好ましく、100ppm以上5000ppm以下がさらに好ましい。
本実施形態の3次元形状を有する構造体の製造方法に用いる被加工体10は、良好なレーザ加工性を確保する観点から、熱分解性が高いことが好ましい。
被加工体の熱分解性を高める手段としては、熱可塑性エラストマー(A1)を含む樹脂組成物(A2)、20℃でプラストマーである樹脂を含む樹脂組成物(A3)に、熱分解性の高い化合物を含有させることが挙げられる。
例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合、カルバメート結合等を分子内に有する化合物は、熱分解性の高い化合物として適用できる。これらの中では、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合を分子内に有する化合物が好ましく、カーボネート結合を分子内に有する化合物がより好ましい。
被加工体は、例えば窒素雰囲気中、常温すなわち略20℃から昇温していき、重量が初期重量の80%になる温度が150℃以上400℃以下の範囲であるものが好ましく、250℃以上350℃以下の範囲であるものがより好ましく、250℃以上300℃以下の範囲であるものがさらに好ましい。
上述した被加工体10は、耐刷性の観点から、支持体により支持されていることが好ましい。
支持体は、上述した工程(2)又は工程(4)の前段階に予め被加工体を支持している形態としてもよく、支持体の無い状態で上述した工程(2)又は工程(4)を行い、その後、支持体に付着等させることにより支持体により支持された形態とし、最終的に目的とする3次元形状を有する構造体としてもよい。
効率的な生産性を確保するという観点からは、支持体を工程(2)又は工程(4)の前段階として予め設けておくことが好ましい。
被加工体又は3次元形状を有する構造体に支持体を付着させる方法は、特に限定されるものではないが、生産性の観点から熱ラミネート法が好ましい。
支持体として、ガラス板やプリント配線板用銅張積層板を用いて、それぞれ耐サンドブラスト性を有するレジスト材料および耐銅エッチング液性を有するレジスト材料をラミネート等の方法で積層して、本発明法により、所望の形状にレジスト材料を加工することにより、被加工基板上にレジスト材を形成できる。本法によれば、レジスト材料は感光性や現像性を有する必要は無く、レジスト材料の選択範囲が広がり、高耐サンドブラスト性や高エッチング特性の材料を選択することが可能となる。
しかし、レーザ加工工程でレーザ照射が一方面のみである場合は、支持体や接着面をレーザ照射面とは反対側に設けるのであれば、適用するレーザ波長に対する吸収性を有している材料により形成してもよい。
具体的には、レーザ加工する方向が上側からのみであれば、下側の支持体はレーザ波長において吸収性を有していてもよい。
例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等、ニッケルやアルミニウムなどの金属が挙げられる。
特に、厚さが75〜300μmの範囲である寸法安定なポリエステル樹脂が好ましい。
また、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で強化されたポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック製スリーブ、ポリエチレンテレフタレート等も、円筒状支持体として好適である。
また、支持体は、種々の形態のものを適用できる。例えば、多孔質性のシートや、繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等も適用できる。
多孔質性シートを用いる場合、上述した樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることにより、樹脂組成物と支持体との間に高い接着性を得ることができる。
クロスや不織布を形成する繊維としては、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維等の無機系繊維、木綿、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維が挙げられる。
また、バクテリアが生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製できる材料であり、支持体の材料として好適である。
支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、例えば、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロス等に、上述した樹脂組成物を含浸させたり、被覆したりする方法が挙げられる。
充填剤としては、従来公知の有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子等が挙げられる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子も用いられる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
接着剤層としては、例えば、ポリウレタンやポリアミド、熱可塑性エラストマー等のバインダーポリマーと、イソシアネート化合物やエチレン性不飽和化合物等の接着有効成分とを含有する組成物が好適である。
さらに接着剤層には、種々の補助添加成分を含有させてもよい。例えば、可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤、光重合開始剤、光重合性モノマー、染料等が挙げられる。
クッション層は、支持体層の下側(すなわち、被加工体側とは反対側)に設けてもよく、支持体と被加工体との間に設けてもよい。
但し、独立あるいは連続気泡を層内に有するクッション層やレーザ波長で吸収するクッション層を被加工体の構成体の一部として設ける場合は、クッション層が設けられている側とは反対側の面から、レーザを照射するようにする。
また、レーザ加工した後、クッション層を設けてもよい。
ショアA硬度が10度以上あるいはASKER−C硬度が20度以上である場合、適度に変形するため好ましい。
また、ショアA硬度が70度以下あるいはASKER−C硬度が85度以下であれば、クッション層として充分に機能する。
より好ましいショアA硬度の範囲は20〜60度、ASKER−C硬度では45〜75度の範囲である。
ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。
2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。
均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。
なお、ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
特に、シート状の加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料(すなわち、光硬化後にエラストマー化する材料)が好ましい。
クッション層に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性であるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)や、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン);オレフィン系熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;エステル系熱可塑性エラストマー;アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
クッション層に用いられる熱硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに重合性モノマー、必要に応じて光重合開始剤を混合したものや、その光硬化物、20℃でプラストマーである樹脂に光重合性モノマー、必要に応じて光重合開始剤等を混合した液状感光性樹脂組成物の光硬化物等が挙げられる。
クッション層に用いられる熱硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに重合性モノマー、熱重合開始剤などを混合したものや、その熱硬化物、20℃でプラストマーである樹脂に重合性モノマー、熱重合開始剤等を混合した組成物の熱硬化物などが挙げられる。
上述したエラストマー類の他にも、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素などの非硫黄架橋型ゴム等のほか、テレケリック液状ゴムと反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものも用いることができる。
市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用してもよい。
クッション層は、クッション層の片面あるいは両面に接着剤あるいは粘着剤が塗布されたものであってもよい。
クッション層の数は、特に限定されるものではないが、1層又は2層が好ましい。
例えば、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウェットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法、火炎処理、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法等による化学的処理や、下引き層を設けることが好ましい。特に、下引き層を設けることが好ましい。
支持体がポリエステルフィルムである場合、下引き層の成分としては、(メタ)アクリレートの重合物が挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の重合物やその共重合物が用いられる。また、必要に応じて、これらの(共)重合物は、(メタ)アクリル酸やスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル等の共重合させたものであってもよい。
その他の下引き層の成分としては、ウレタン結合を有する化合物が挙げられる。特に、1つ以上の芳香環を有するイソシアネート化合物から得られるウレタン結合を有する化合物が好ましい。具体的には、後述する活性水素を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物との反応物が挙げられる。活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、又はそれらのポリエーテルからなるポリエーテルジオール等のジオール類等が挙げられる。さらには、ポリエステル化合物も活性水素を有し得るため、ウレタン結合が生成できる。例えば、ポリエステル化合物の、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸等、アルコール成分としてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、それらのポリエーテルポリオール化合物等が挙げられる。これらジカルボン酸成分とアルコール成分(ジオール、ポリオール)の縮合物を使用ができる。ポリイソシアネートとしてはトルエンジイソシアネートや4,4−ジフェニレンメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが挙げられる。
下引き層は、例えば、上述したポリオールと多官能イソシアネートとの反応物を、所定の溶剤に溶かして支持体上で塗布し、乾燥させることにより形成できる。
更に、熱可塑性エラストマー(a)が、モノアルケニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロック、及び共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックとからなるブロック共重合体を含んでいることがより好ましい。上記ブロック共重合体が、分岐状ブロック共重合体であることが更に好ましい。
ここで言う熱可塑性エラストマー(a)(以下、TPEとも言う)とは、「高温で可塑化されてプラスチックスと同様に成型でき、常温ではゴム弾性体(エラストマー)の性質を示す高分子材料」(大柳 康ら著、工業調査会出版、「熱可塑性エラストマーの新展開」)のことを言う。
例えば、タフプレン(登録商標、旭化成ケミカルズ(株)社製)、タフテック(登録商標、旭化成ケミカルズ(株)社製)、KRATON(登録商標、Schell Chemical)、パラプレン(商品名、日本ポリウレタン(株)社製)、パンデックス(商品名、大日本インキ化学(株)社製)KRATON(Kraton Polymers)に代表されるスチレン系TPE、住友TPE(住友化学工業(株)製)及びミラストマー(登録商標、三井化学(株)社製)に代表されるオレフィン系TPE、スミフレックス(登録商標、アプコ(株)社製)、シンエツ塩ビコンパウンド(信越ポリマー(株)社製)、EZ−800(信越ポリマー)に代表される塩化ビニル系TPE、パラプレン(日本ポリウレタン)、パンデックス(大日本インキ化学)に代表されるウレタン系TPE、ARNITEL(登録商標、Omnexus)、ペルプレン(登録商標、東洋紡績(株)社製)に代表されるエステル系TPE、PEBAX(登録商標、Arkema)、グリラックス(登録商標、大日本インキ化学工業(株))に代表されるアミド系TPEなどが挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。熱可塑性エラストマーの中でも、スチレン系TPEが好ましい。
感光性を有しない場合には、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、更に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
熱可塑性エラストマー(a)、光重合性不飽和単量体(b)、及び光重合開始剤(c)を含有して、感光性のサンドブラスト用レジスト材料とする場合には、熱可塑性エラストマー(a)の含有量は、サンドブラスト用レジスト材料中、30質量%以上80質量%以下の範囲が好ましい。優れた耐サンドブラスト性を発揮する観点から30質量%以上が好ましく、光硬化性を十分に発揮する点から80質量%以下が好ましい。より好ましくは40質量%以上70質量%以下である。
上記ブロック共重合体において、モノアルケニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどの単量体が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。
上記ブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエンなどの単量体が挙げられ、中でも1,3−ブタジエンが好ましい。これらの単量体は、単独でも二種以上の併用でもよい。
共役ジエン化合物の含有量は、耐サンドブラスト性を発揮する観点から、ブロック共重合体中の50質量%以上90質量%以下、とりわけ60質量%以上85質量%以下であることが好ましい。
また、上記ブロック共重合体中における共役ジエン部分のビニル結合量は、ブロック共重合体の耐サンドブラスト性と熱安定性の観点から、0mol%以上30mol%以下が好ましい。より好ましくは0mol%以上25mol%以下、さらに好ましくは0mol%以上20mol%以下である。
このような分岐状ブロック共重合体としては、例えば、下記式(1)〜(3)により示されるブロック共重合体が挙げられる。
(A−B)m−X ・・・(1)
{(A−B)nA}m−X ・・・(2)
{(B−A)nB}m−X ・・・(3)
式(1)〜(3)中、Aはモノアルケニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックであり、nは1以上の整数で、mは3以上5以下の整数で、Xは3官能以上のカップリング剤残基を示す。
例えば、上記式(2):{(A−B)nA}m−X、(n=2、m=3)の場合、A−B−A−B−A−がXから3方向に出ているブロック共重合体である。
得られる熱可塑性エラストマーの耐熱性、得られるサンドブラスト用レジスト材料の吸湿性の観点から、カップリング剤としては、非ハロゲン化合物が好ましく、特にアルコキシシラン化合物が好ましい。
また、前記のカップリング剤化合物は単独で使用してもよいし、2種以上の混合物で使用してもよい。
また、上述した分岐状ブロック共重合体は、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエンを重合させ、多官能カップリング剤を所定量添加することでポリマー溶液として得ることができる。
乾燥が必要な場合は、例えばスチームストリッピングなどを行って重合溶媒を分離した後、熱ロール等で乾燥する。
熱可塑性エラストマー(a)には、上記ブロック共重合体の他に、モノアルケニル芳香族化合物を主体とする1個の重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする1個の重合体ブロックとからなるブロック共重合体を含有していてもよい。
また、上記熱可塑性エラストマー(a)には、必要に応じて酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤の添加は任意の方法でよく、例えば前記ブロック共重合体の重合終了後、溶液中に添加してもよいし、乾燥後、例えばロール等で添加混練してもよい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
酸化防止剤を添加する場合の含有量は、ブロック共重合体中において、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
光重合性不飽和単量体(b)とは、分子内に不飽和二重結合を持っており、この不飽和二重結合が光重合性であって、使用温度において液状もしくは固体状である化合物であれば、どのような化合物でも用いることができる。
被加工体の原材料組成物中に占める光重合性不飽和単量体(b)の含有量は、19質量%以上69質量%以下の範囲が好ましい。光硬化物としたときのより良好なレーザ化構成の観点から19質量%以上が好ましく、優れた耐サンドブラスト性を発揮する観点から69質量%以下が好ましい。より好ましくは29質量%以上59質量%以下である。
例えば、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)クリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルポリオールポリ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコール(メタ)アクリレート、ノナメチレングリコール(メタ)アクリレート、メチロールプロパン(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドビスフェノールA(メタ)アクリレート、アルキルジ(メタ)アクリレート、シクロアルキルジ(メタ)アクリレート、ハロゲン化アルキルジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキルジ(メタ)アクリレート、アミノアルキルジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルジ(メタ)アクリレート、アリルジ(メタ)アクリレート、グリシジルジ(メタ)アクリレート、ベンジルジ(メタ)アクリレート、フェノキシジ(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルジ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキルポリオールポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを表す。以下同様である。
また、多価イソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートと、ヒドロキシアクリレート化合物、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとのジ(メタ)アクリルウレタン化合物も光重合性不飽和単量体(b)として用いることができる。
さらに、光重合性不飽和単量体(b)としては、マレイン化変成ポリブタジエン、アクリレート変成ポリブタジエン、マレイミド化合物も用いることができる。マレイミド化合物の具体例には、ラウリルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
光重合開始剤(c)とは、光のエネルギーを吸収してラジカルを発生する化合物であり、公知の各種のものを用いることができる。
例えば、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピルケタール、ベンジルジフェニルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α、α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、フェニルグリシン、N−フェニルグリシン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(o−ベンゾイルカルボニル)−オキシム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸及びp−ジイソプロピルアミノ安息香酸並びにこれらのアルコールとのエステル化物、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール類やテトラゾール類が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光硬化物としたときに、良好なレーザ加工性を発揮する観点から、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上8質量%以下である。
その他、被加工体の原材料組成物中には、前記した必須成分の他に、直鎖上の3個以上のブロックを有するスチレンブタジエンブロック共重合体やスチレンイソプレンブロック共重合体を併用してもよい。また、所望に応じ種々の補助添加成分、例えば可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤などを添加することができる。
液状ポリイソプレンとしては、LIR−305(クラレ製、商品名)、流動パラフィンとしては、炭化水素スモイルP350P(村松石油製、商品名)が市販されている。
また、被加工体の原材料組成物は、支持体上に被加工体の原材料組成物からなる層を積層しフィルムとすることもできる。
ここで用いられる支持体としては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。ヘーズは5以下のものが好ましい。フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要等から、10〜30μmのものが好ましく用いられる。
例えば、上記適当な溶剤で被加工体の原材料組成物を溶解しておき、バーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥することにより作製する方法や、溶剤を用いず、ニーダーあるいはロールミルでサンドブラスト用レジスト材料を混練後、押出し成型、プレスなどにより支持体の上に成型して作製する方法が挙げられる。
積層した場合の被加工体の原材料組成物からなる層の膜厚としては、0.1μm以上100μm以下が好ましい。優れた耐サンドブラスト性を発揮する点から0.1μm以上が好ましく、十分な解像性を発揮する点から100μm以下が好ましい。より好ましくは、1μm以上50μm以下である。更に好ましくは、5μm以上40μm以下である。
研磨剤粒径は、0.1μm以上20μm以下が好ましい。より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。
〔数平均分子量(Mn)〕
数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算分子量とした。ポリスチレンには分子量500〜1260000のものを使用した。
測定装置に、HLC−8020(東ソー社製、商品名)、カラムにTSKgelGMHXL(東ソー社製、商品名、4.6mmID×30cm)2本を使用した。
オーブン温度40℃、試料として樹脂濃度1質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を調製し注入量100μLとし、検出器としてはRI検出器、展開液としてテトラヒドロフラン(1.0mL/min)を用いて測定を行った。
レーザ波長における光線透過率(%)は、紫外・可視・近赤外分光光度計「V−570」(日本分光社製、商品名)を用いた測定値とした。
測定台として、FLH−467(日本分光社製、商品名)を使用し、ソフトウェアはSpectraManager(日本分光社製、商品名、バージョン1.53.01)を使用し、バンド幅2nm、走査速度400nm/min、データ取り込み間隔2nmで測定を行った。
サンプルとして、支持体を有さない場合は被加工体のみ、支持体を有する場合は支持体と被加工体との厚さを含めて全体厚を3mmとして測定した。
被加工体を用いて1パルスだけレーザ加工を行い、変質部分の拡がりを測定した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.5未満であり、1パルスあたりの仕事率は、22.7kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光レンズとしてはf60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、被加工体を固定し、被加工体の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
レーザ焦点部分は、被加工体の内部(厚さ方向はステージから1.5mmの箇所)に設定した。
レーザ加工された変質部分をカットし、断面部分を、顕微鏡で観察することで変質部分の拡がりを観測した。最も長い径(例えば楕円であれば長径方向)を、変質部分の拡がりと定義した。
被加工体の熱分解性評価は、熱重量分析(TGA)装置として、SII(セイコーインスツルメント)社製、TG/DTA320(商品名)を用いて行った。
測定条件は、窒素雰囲気下(窒素流量250mL/分)、昇温速度10℃/分、測定温度は常温から600℃までの温度範囲とした。
被加工体10mgをアルミパン上に配置して上記条件で加熱し、被加工体の重量が初期重量の80%になる温度と、初期重量20%になる温度を検出した。
剥離力測定用サンプルは、被加工体を、1cm幅×10cm長の短冊状に切断し、中間部分(底部から約1.5mm)を1cm幅×10cm長全面をレーザ加工することで作製した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.5未満であり、1パルスあたりの仕事率は、22.7kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光レンズとしてはf60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、被加工体を固定し、被加工体の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
レーザ焦点部分は、被加工体の内部(厚さ方向はステージから1.5mmの箇所)に設定した。
レーザ加工したサンプルを温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に一日放置した後、5cm長程度強制的に改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離した後、引っ張り試験機を用いて、180゜の角度で、50mm/分の速度で、支持体あるいはレーザ加工された被加工体を引張することにより、改質面及び/又は部分的分離面に沿って、強制剥離部分から改質面及び/又は部分的分離面での剥離を進行させて測定した。
引っ張り試験機は、「AUTOGRAPH AGS−100G」(株式会社島津製作所製、商品名)を使用した。
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物1を作製した。
先ず、以下の方法により、20℃でプラストマーである樹脂成分を調製した。
1000gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ジオール(水酸基価:37KOHmg/g)と、1000gのポリオキシエチレン(EO)−オキシプロピレン(PO)ブロック共重合ジオール(水酸基価:44KOHmg/g、EO含量30質量%)とを混合し、この混合物に対して45ppmのジブチル錫ジラウレート(以下、BTLと記載する。)を加え、40℃で均一になるまで攪拌した。
次に、148.5gのトリレンジイソシアネート(以下、TDIと記載する。)を加え、さらに攪拌して均一にし、80℃まで昇温した後、約4〜5時間反応させて、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー前駆体とした。
さらに、436.0gのポリ(オキシプロピレン)グリコールモノメタアクリレート(平均分子量380、以下PPMAと記載する)を加えて、約2時間反応させ、その後、サンプルを一部取り出してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確認し、上記(GPC)により求めた数平均分子量が17000の、20℃でプラストマーである樹脂成分のポリウレタン系不飽和プレポリマー1を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー1は、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しないプラストマーであることが確認された。
上記のようにして作製したポリウレタン系不飽和プレポリマー1を74質量部、重合性モノマーであるラウリルメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるポリプロピレン(平均n=5)グリコールモノメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを12質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを0.75質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.6質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1質量部調合し、攪拌羽根とモータ(商品名:スリーワンモーター)を設けたセパラブルフラスコに加え、60℃、空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。得られた混合物を40℃まで冷却し、そのまま40℃で放置することで脱泡した。これにより、20℃でプラストマーである成分を含有する樹脂組成物1が得られた。
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物2を作製した。
先ず、以下の方法により、20℃でプラストマーである樹脂成分を調製した。
1000gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ジオール(水酸基価:37KOHmg/g)と1000gのポリオキシエチレン(EO)−オキシプロピレン(PO)ブロック共重合ジオール(水酸基価:44KOHmg/g、EO含量30質量%)とを混合し、この混合物に対して45ppmのBTLを加え40℃で均一になるまで攪拌した。
次に、189.5gのTDIを加えてさらに攪拌して均一とし、80℃まで昇温した後、約4〜5時間反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー前駆体とした。
さらに、462.5gのPPMAを加えて、約2時間反応させた後、サンプルを一部取り出してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確認し、前記(GPC)により求めた数平均分子量が8500の、20℃でプラストマーである樹脂成分として、ポリウレタン系不飽和プレポリマー2を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー2は、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しないプラストマーであることが確認された。
得られたポリウレタン不飽和プレポリマー2を80質量部、重合性モノマーであるポリプロピレン(平均n=5)グリコールモノメタクリレートを8質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを8質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを4.5質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.25質量部、光重合開始剤であるベンゾフェノンを0.2質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1質量部調合し、攪拌羽根とモータ(商品名:スリーワンモーター)を設けたセパラブルフラスコに加え、60℃、空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。
得られた混合物を40℃まで冷却し、そのまま40℃で放置することで脱泡した。
これにより、20℃でプラストマーである成分を含有する樹脂組成物2が得られた。
3次元形状を有する構造体1を作製した。
先ず、被加工体1を作製した。
成型と露光のそれぞれの機能を兼ね備えた装置として、波長370nmに中心波長領域を有する40Wの紫外線蛍光灯を具備するAWF−213E型製版機(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を使用した。
この製版機は、紫外線測定器UV−MO2(オーク製作所製、商品名)のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて測定したガラス越し光照射強度が、上部3.0mW/cm2、下部4.0mW/cm2であることが確かめられた。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例1〕で作製した樹脂組成物1を充填し、全体版厚が3mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順により成型した。
先ず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)としてBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、その上に、樹脂組成物1を積層塗工し、さらにその上部からBF−444(上側支持体フィルム)を用いてラミネートした。
次に、大気中で前記製版機の上部光源から露光量200mJ/cm2、下部光源から露光量500mJ/cm2で露光を行い、上下両面に支持体を具備している20cm角のシート状の被加工体1を得た。
なお上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.2未満であり、1パルスあたりの仕事率は、20kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光平凸レンズとしては、f60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、上側支持体フィルムが下ステージに接するようにした状態で被加工体を固定し、被加工体の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
レーザ加工を開始する最初の部分は、被加工体の端部であり、厚さ方向はステージ面から1.5mmの箇所としてスタートし、上記レーザ加工パターンの3次元形状を有する構造体が作製できるように、X−Y−Zステージを移動させた。
X−Y−Zステージの移動速度は、X−Y(水平)方向は20cm/秒、Z(垂直:レーザ照射方向)方向5mm/秒とした。X−Y−Zステージが移動している間、レーザ光を常時出力させた。
約5分間のレーザ加工を行い、加工工程を終了した。
レーザ加工後、被加工体は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された3次元形状を有する構造体1として得られた。
3次元形状を有する構造体1のパターンのエッジは極めて鮮明であることが確認された。
また、被加工体の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の変質部分の拡がりは50μmであった。
3次元形状を有する構造体2を作製した。
先ず、被加工体2を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例2〕で作製した樹脂組成物2を充填し、全体版厚が3.2mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に厚さ100μmのシリコン処理されたポリエステルフィルム(三菱樹脂製、商品名「MR−100」):(上側一時的支持体フィルム)を置き、樹脂組成物2を積層塗工し、さらに上部からシリコン処理されたポリエステルフィルム(下側一時的支持体フィルム)によりラミネートした。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量200mJ/cm2、下部光源から露光量500mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に一時的支持体フィルムを具備する20cm角のシート状の被加工体が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
次に、被加工体2を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、3次元形状を有する構造体2を作製した。
レーザ加工後、被加工体2は加工した面で分離しており、分離した下側に、上方に向けた面に所望のパターンが形成された3次元形状を有する構造体2として得られた。
なお、被加工体2のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は93%であった。
被加工体の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の変質部分の拡がりは30μmであった。
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物3を作製した。
温度計、攪拌機、還流器を具備する1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量が約2500のポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロック共重合体508g、数平均分子量が約3000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)339g、トリレンジイソシアネート60.5gを加え、60℃に加温した状態で約3時間反応を行った。
その後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート40.6gと、数平均分子量が380のポリプロピレングリコールモノメタクリレート50.1gを添加し、さらに2時間反応を行った。
上記反応工程後、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)であり、数平均分子量約22500の、20℃でプラストマーである樹脂成分、ポリウレタン系不飽和プレポリマー3を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー3は、20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
混合物を40℃に冷却し、そのまま40℃で放置して脱泡し、樹脂組成物3を得た。
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物4を作製した。
温度計、攪拌機、還流器を具備する1Lのセパラブルフラスコに、旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール 商品名:「PCDL L4672」、数平均分子量1990、OH価56.4)とトリレンジイソシアナートとを加え、80℃に加温した条件下で約3時間反応させて、両末端が水酸基のポリカーボネートポリウレタンを得た。
その後、両末端の水酸基に、2−メタクリロイルオキシイソシアネートを反応させ、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)であり、上記〔数平均分子量(Mn)〕により説明した方法により測定される数平均分子量約10000の、20℃でプラストマーである樹脂成分、ポリウレタン系不飽和プレポリマー4を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー4は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
この混合物を40℃に冷却し、そのまま40℃で放置して脱泡し、樹脂組成物4を得た。
3次元形状を有する構造体3を作製した。
先ず、被加工体3を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例3〕で作製した樹脂組成物3を充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)であるBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、樹脂組成物3を積層塗工し、さらに上部からBF−444(上側支持体フィルム)によりラミネートを施した。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量1000mJ/cm2、下部光源から露光量2000mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に支持体を具備する被加工体3が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
次に、被加工体3を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、3次元形状を有する構造体3を作製した。
レーザ加工後、被加工体3は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された3次元形状を有する構造体3として得られた。
なお、上下両面に支持体を具備する被加工体3のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は90%であった。
被加工体の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の変質部分の拡がりは40μmであった。
3次元形状を有する構造体4を作製した。
先ず、被加工体4を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例4〕で作製した樹脂組成物4を充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)であるBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、樹脂組成物4を積層塗工し、さらに上部からBF−444(上側支持体フィルム)によりラミネートを施した。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量2000mJ/cm2、下部光源から露光量1000mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に支持体を具備する被加工体4が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
次に、被加工体4を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、3次元形状を有する構造体4を作製した。
レーザ加工後、被加工体4は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された3次元形状を有する構造体4として得られた。
なお、上下両面に支持体を具備する被加工体4のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は85%であった。
被加工体の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の変質部分の拡がりは40μmであった。
この例においては、水系洗浄液を用いて3次元形状を有する構造体を作製した。
先ず、3次元形状を有する構造体作製用の被加工体を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例1〕で作製した樹脂組成物1を所定量充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に、線幅が500μm、100μm、30μm、10μmの4種類であり、長さが20cmの細線(各細線の間隔1mm)がパターン化されたネガフィルムを配置し、その上にカバーフィルムを密着ラミネートした。
次に、樹脂組成物1を積層塗工し、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(支持体フィルム)であるBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を上部からラミネートし、洗浄後得られる3次元形状を有する構造体のレリーフ深度が1mmとなるように、上部光源から適正露光量で露光を行い、さらに下部光源から露光量500mJ/cm2で露光を行った。
露光終了後、カバーフィルムを剥離し、未硬化部を現像するために、AL−400W型現像機(旭化成ケミカルズ製、商品名)と水系洗浄液W−10(旭化成ケミカルズ製、商品名、アニオン界面活性剤水溶液)を1.5質量%加えた水系洗浄液を作製し、洗浄液温度30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間10分で現像を実施した。
さらに、ALF−DRYER(旭化成ケミカルズ製、商品名)を用いて約10分間乾燥処理を行い、3次元形状を有する構造体を得た。
また、3次元形状を有する構造体の作製時間が短く、低コストで3次元形状を有する構造体が作製できた。
比較例1の3次元形状を有する構造体の製造方法によれば、現像工程やレーザ彫刻工程で廃棄物が発生し、環境負荷の観点から好ましくなく、また、製造時間も長く、コストの観点からも上記実施例1〜4に劣る結果となった。
ポリカーボネート系ポリウレタン熱可塑性エラストマー「レザミンP890」(大日精化工業株式会社製 商品名)を74質量部、重合性モノマーであるラウリルメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるポリプロピレン(平均n=5)グリコールモノメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを12質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを0.75質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.6質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1質量部を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練して、樹脂凸版印刷原版の原料となる組成物を得た。
上記方法により測定した被加工体5のレーザ光(波長1064nm)における光線透過率は90%であった。
また、被加工体の厚さの中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の、変質部分の拡がりは30μmであった。
スチレンとイソプレンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー「D−1161」(クレイトンポリマージャパン株式会社製 商品名 Mn18万、スチレン含有量15質量%)を81質量部、可塑剤である液状ポリブタジエン「B2000」(株式会社日本曹達製 商品名)10質量部、光重合性モノマーである1,9−ノナンメチレンジアクリレート5質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン3質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1質量部を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練し、被加工体の原料となる組成物を得た。
さらに、ウレタン系の接着剤層を有する、全厚135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体を下記のようにして作製した。
まず、下引き層を有する厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体を作製した。
続いて、エチレングリコール93g、ネオペンチルグリコール374g、及びフタル酸382gを空気雰囲気中、反応温度180℃、1330Paの減圧下で6時間縮合反応させた後、4,4−ジフェニレンジイソシアネート125gを加え、更に80℃で5時間反応させて樹脂を得た。
この樹脂を10%水溶液とし、上記厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布後、2軸延伸し、下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。下引き層の厚みは0.05μmであった。
次に、下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム支持体にウレタン系の接着剤層を塗布した。
ネオペンチルグリコール624g、エチレングリコール93g、セバシン酸485g、及びイソフタル酸382gを、空気雰囲気中、反応温度180℃、1330Paの減圧下で6時間縮合反応させ、その後、トリメチレンジイソシアネートを87g加えて、更に5時間反応させてポリオールを得た。
このポリオール15質量部に対して、キシレンジイソシアネート1質量部を加え、酢酸エチルに溶解させ、均一な溶液とし、ナイフコーターを用いて下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、80℃で3分間乾燥させ、厚さ10μmの接着剤層を形成した。これにより、接着剤層の厚さを合わせて135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体が得られた。
次に、120℃の熱プレス機を使用し、接着剤層を有する厚さ135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(支持体フィルム)2枚の間に、上記組成物を挟み、全体版厚が3mmとなるよう成型し、その後、AFP−1500露光機(旭化成ケミカルズ製、商品名)上で、上側ランプの370nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、2枚の支持体両面側から5000mJ/cm2の露光を行い、これにより、上下両面に支持体を具備している20cmの角のシート状の被加工体6を作製した。このとき支持体フィルムを剥離しなかった。
なお、このときの露光強度について、オーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルターを用いて紫外線の測定を行ったところ、強度は7.8mW/cm2であった。
次に、実施例1と同様にしてレーザ光照射を行い、レーザ加工を行った。
レーザ加工後、被加工体6は加工面で分離していなかった。
その後、室温環境下で支持体フィルムを引っ張り、レーザ加工での変質面に沿って剥離させることにより所望パターンが形成された3次元形状を有する構造体6を得た。
なお上記〔改質面及び/又は部分的分離面の剥離力〕の欄に記載の方法で測定した剥離力は、4N/cmであった。
また、被加工体の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは40μmであった。
上述した方法による熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度は360℃であった。
400gのポリエステルジオール「クラレポリオールP3010」(クラレ株式会社、商品名、数平均分子量3160、OH価35.5)と、19.13gのTDIとを加えて均一になるまで攪拌し、80℃に昇温した。その後、約3時間反応させ、プレポリマー前駆体を得た。さらに、2−メタクリロイルオキシイソシアネート6.74gを添加し、3時間反応させて、末端がメタアクリル基で、上述した方法のGPCにより求めた数平均分子量が25000の、20℃でプラストマーである成分であるポリウレタン系不飽和プレポリマーを得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマーは、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しないプラストマーだった。
この混合物を40℃に冷却し、温度を保ったまま脱泡し、被加工体の組成物を得た。
レーザ加工後、被加工体7は加工面で分離しており、分離した下側の部分で、上方に向けた面に所望のパターンが形成された3次元形状を有する構造体7として得られた。
なお、上述した方法により測定した上下両面に支持体を具備する被加工体7のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は95%であった。
また、被加工体の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは30μmであった。
上述した方法による熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度は350℃であった。
スチレンとブタジエンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー(クレイトンポリマージャパン株式会社製 商品名「KX−405」、Mn10万、スチレン含有量24質量%)を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練して、被加工体の原料となる組成物を得た。
120℃の熱プレス機を使用し、実施例6に記載したウレタン系の接着剤層を有する厚さ135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(支持体フィルム)2枚の間に、上記組成物を挟み、全体版厚が3mmとなるように成型し、上下両面に支持体を具備している20cmの角のシート状の被加工体8を作製した。なお、このとき支持体フィルムを剥離しなかった。
次に、実施例1と同様にしてレーザ光照射し、レーザ加工を行った。
レーザ加工後、被加工体8は加工面で分離していなかった。
その後、室温環境下で支持体フィルムを引っ張り、加工により変質した面に沿って剥離させることで、所望パターンが形成された3次元形状を有する構造体8を得た。
なお上記〔改質面及び/又は部分的分離面の剥離力〕の欄に記載の方法で測定した剥離力は、7N/cmであった。
なお、上述した方法により測定した上下両面に支持体を具備する被加工体8のレーザ波長(1064nm)に対する透過率は93%であった。
また、被加工体の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは80μmであった。
上述した方法により測定した熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度が410℃であった。
EPDM(エチレンプロピレンゴム)である熱可塑性エラストマー「BUNA EPG6170」(ランクセス社製、商品名、エチレンユニット成分71質量%、ジエンユニット成分1.5質量%、分子量17万)100質量部を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練して、被加工対の原料となる組成物を得た。
120℃の熱プレス機を使用し、実施例6に記載したウレタン系の接着剤層を有する厚さ135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(支持体フィルム)2枚の間に、上記組成物を挟み、全体版厚が3mmとなるように成型し、上下両面に支持体を具備している20cmの角のシート状の被加工体9を作製した。このとき支持体フィルムを剥離しなかった。
次に、実施例1と同様にしてレーザ光照射によりレーザ加工を行った。
レーザ加工後、被加工体9は加工面で分離していなかった。
その後、室温環境下で支持体フィルムを引っ張り、レーザ加工での変質面に沿って剥離させることで、所望パターンが形成された3次元形状を有する構造体9を得た。
なお、〔改質面及び/又は部分的分離面の剥離力〕の欄に記載の方法で測定した剥離力は、9N/cmであった。
なお、上述した方法により測定した、上下両面に支持体を具備する被加工体9のレーザ波長(1064nm)における透過率は90%であった。
また、被加工体の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは80μmであった。
上述した方法で測定した熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度が470℃であった。
一方、実施例8、9においては、3次元形状を有する構造体の剥離面に形成した凹凸は、実施例5〜7と比較すると、シャープさが若干劣ったものとなったが、実用上は良好なエッジが形成された。
本実施例においては、3次元形状を有する構造体としてのインプリント金型用原版1を作製した。
先ず、被加工体を作製した。
成型と露光のそれぞれの機能を兼ね備えた装置として、波長370nmに中心波長領域を有する40Wの紫外線蛍光灯を具備するAWF−213E型製版機(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を使用した。
この製版機は、紫外線測定器UV−MO2(オーク製作所製、商品名)のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて測定したガラス越し光照射強度が、上部3.0mW/cm2、下部4.0mW/cm2であることが確かめられた。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例1〕で作製した樹脂組成物1を充填し、全体版厚が3mmになるように設定し、その他、装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順により成型した。
先ず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)としてBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、その上に、樹脂組成物1を積層塗工し、さらにその上部からBF−444(上側支持体フィルム)を用いてラミネートした。
次に大気中で前記製版機の上部光源から露光量200mJ/cm2、下部光源から露光量500mJ/cm2で露光を行い、上下両面に支持体を具備している20cm角のシート状の被加工体10を得た。
なお上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.2未満であり、1パルスあたりの仕事率は、20kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光レンズとしてはf60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、上側支持体フィルムが下ステージに接するようにした状態で被加工体を固定し、被加工体の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
細線の高さ(レリーフ深度)は約1mmとし、各細線の立ち上がりは45°、各細線の間隔は1mmに設定した。
レーザ加工を開始する最初の部分は、被加工体の端部であり、厚さ方向はステージ面から1.5mmの箇所としてスタートし、上記レーザ加工パターンの3次元形状を有する構造体が作製できるように、X−Y−Zステージを移動させた。
X−Y−Zステージの移動速度は、X−Y(水平)方向は20cm/秒、Z(垂直:レーザ照射方向)方向5mm/秒とした。X−Y−Zステージが移動している間、レーザ光を常時出力させた。
約5分間のレーザ加工を行い、加工工程を終了した。
レーザ加工後、被加工体は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された3次元形状を有するインプリント金型用原版1として得られた。
インプリント金型用原版1のパターンのエッジは極めて鮮明であることが確認された。
本原版の表面を水洗浄処理し、通常の無電解めっき処理の方法に従い、Pd系触媒を付与した後に、Cuシード層を約0.3μm無電開めっきし、その後Ni電解めっき層を15μm形成した。
Ni金型層をインプリント金型用原版から剥がし、インプリント用金型を得た。
また、被加工体の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の変質部分の拡がりは50μmであった。
本実施例においては、3次元形状を有する構造体としての山岳地形模型1を作製した。
先ず、被加工体11を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記〔製造例2〕で作製した樹脂組成物2を充填し、全体版厚が3.2mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に厚さ100μmのシリコン処理されたポリエステルフィルム(三菱樹脂製、商品名「MR−100」):(上側一時的支持体フィルム)を置き、樹脂組成物2を積層塗工し、さらに上部からシリコン処理されたポリエステルフィルム(下側一時的支持体フィルム)によりラミネートした。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量200mJ/cm2、下部光源から露光量500mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に一時的支持体フィルムを具備する20cm角のシート状の被加工体が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
次に、被加工体11を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、3次元形状を有する山岳地形模型1を作製した。
レーザ加工後、被加工体11は、加工した面で分離しており、分離した下側に、上方に向けた面に所望パターンが形成された3次元形状を有する山岳地形模型1として得られた。
なお、被加工体11のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は93%であった。
被加工体の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される被加工体の変質部分の拡がりは30μmであった。
本実施例においては、電子ペーパー用隔壁材を作製した。
まず、下記に示す感光性樹脂積層体を作製した。
(感光性樹脂積層体の作製)
下記に示す7種類の材料を混合した感光性樹脂組成物100質量部に対して、トルエンを300質量部添加して溶液を作製した後、支持体として厚さ19μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、得られた溶液をバーコーターを用いて均一に塗布し、90℃の乾燥機中で2分間乾燥して20μm厚みの感光性樹脂層を形成した。
更に感光性樹脂層上に保護層として、厚み30μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
液状ゴムLBR−305(クラレ製、商品名) :25質量部
炭化水素スモイルP350P(村松石油製、商品名):10質量部
1,9−ノナンジオールジアクリレート :3.0重量部
1,9−ノナンジオールジメタクリレート :5.0重量部
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン :1.5質量部
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール :0.5質量部
ジャケットと攪拌機の付いた10Lのステンレス製反応器を充分に窒素置換した後、シクロヘキサン6500g、テトラヒドロフラン1.2g、スチレン220gを仕込み、ジャケットに温水を通して内容物を約55℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分1.25g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから3分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)780gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度約90℃に達してから4分後に、カップリング剤として、テトラメトキシシランを0.92g添加し、カップリング反応させた。
スチレンを仕込んだ直後からカップリング反応終了まで、攪拌機により系内を連続的に攪拌してブロック共重合体を得た。
次に、得られた含水クラムを熱ロールにより脱水乾燥させて、熱可塑性エラストマー(a−1)を得た。
このようにして得られた熱可塑性エラストマー(a−1)を分析した結果、スチレン(モノアルケニル芳香族化合物)の全ブロック共重合体中の含有量は、22質量%であった。
また、得られた熱可塑性エラストマーのブロック共重合体は、分岐状ブロック共重合体を含んでいた。
全ブロック共重合体中の分岐状ブロック共重合体中の含有量は82質量%であった。
分岐状ブロック共重合体の数平均分子量は270000であった。
以下に、熱可塑性エラストマーの分析方法を示す。
(1)ブロック共重合体中のスチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度により算出した。
(2)ブロック共重合体の数平均分子量、並びにモノアルケニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック及び分岐状ブロック共重合体の全ブロック共重合体中の含有量
GPC(装置はウォーターズ社製、カラムはポリマーラボラトリー社製のMINIMIXが3本の組み合わせ。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃、流速0.4mL/分、試料濃度0.1質量%、注入量40μLである。)のクロマトグラムより、モノアルケニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック、及び分岐状ブロック共重合体の全ブロック共重合体中の含有量を、チャート面積比率により求めた。
なお、数平均分子量は、以下の標準ポリスチレン(ウォーターズ社製。1.54×106、4.1×105、1.10×105、3.5×104、8.5×103)検量線からの換算値である。
上記のようにして得られた感光性樹脂積層体からポリエチレンフィルムを剥がしながら、5インチサイズのシリコンウエハ上にホットロールラミネーター(旭化成エンジニアリング(株)製「AL70」)により105℃で支持体付きの状態で感光性樹脂層をラミネートした。
エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.0m/minとした。
その後、60℃で2時間乾燥して、厚み20μmの膜を形成した。
集光平凸レンズとして、f20mmのものを使用し、レーザ平均出力を11Wとした以外は、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、ハニカム状のレーザ加工を行った。
加工面から剥離分離することにより、シリコンウエハ上にハニカム状の構造を有する隔壁を得た。
隔壁の厚みは20μmであり、ハニカムの直径は100μmに加工された。
上記のようにして得られたハニカム状構造隔壁は、電子ペーパー用隔壁として使用可能
であった。
本実施例においては、サンドブラスト加工用レジスト材としての、3次元形状を有する構造体を下記の方法により作製した。
本実施例においては、上述した熱可塑性エラストマー(a−1)と、後述する熱可塑性エラストマー(a−2)を使用した。
ジャケットと攪拌機のついた10Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン6,500g、テトラヒドロフラン1.2g、スチレン220gを仕込み、ジャケットに温水を通して内容物を約55℃に設定した。
この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分1.25g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンがほぼ完全に重合してから3分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)780gを添加し重合を継続し、ブタジエンをほぼ完全に重合した。
スチレンを仕込んだ直後から、この間、攪拌機により系内を連続的に攪拌して、ブロック共重合体を得た。
次に、得られた含水クラムを熱ロールにより脱水乾燥させて熱可塑性エラストマー(a−2)を得た。
得られた熱可塑性エラストマー(a−2)を分析した結果、スチレン(モノアルケニル芳香族化合物)の全ブロック共重合体中の含有量は、22質量%であった。
得られた熱可塑性エラストマー(a−2)のブロック共重合体は分岐状ブロック共重合体を含んでいなかった。
上述のようにして得られた熱可塑性エラストマー(a−1)、(a−2)の熱可塑性エラストマー100質量部に対し、それぞれトルエン300質量部を添加した後、攪拌し、2種の25質量%の溶液を作製した。
上述のようにして得られた熱可塑性エラストマー(a−1)を含有する溶液、及び(a−2)を含有する溶液を、それぞれ5インチサイズのシリコンウエハ上にスクリーン印刷して、2種の20ミクロンの厚みの膜を得た。
集光平凸レンズとして、f20mmのものを使用し、レーザ平均出力を11Wとした以外は、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、加工面で剥離分離して、サンドブラスト加工用レジスト材料をシリコンウエハ上に形成した。
レジスト材の厚みは20μmであり、レジスト幅は100μmでレジスト間のスペースは100μmに加工された。
下記の条件により、サンドブラスト処理を実施し、それぞれ熱可塑性エラストマー(a−1)又は(a−2)を用いた被加工体で、それぞれシリコンウエハに対し、ウエハ表面部分の開口がそれぞれ105μm、108μmで、長さがそれぞれ10mm、10mmで加工された底面部分までの深さが80μm、90μmの溝状の加工ができた。
<サンドブラスト処理条件>
加工装置:ELP−1TR(株式会社エルフォテック製)
研磨剤:GC(グリーンカーボランダム)#2000(不二製作所社製)
研磨剤噴射量:20rpm
ノズル種類:丸φ5
ノズル−基板間距離:70mm
研磨剤送圧エアー圧力:0.215MPa
ホース内圧:0.195MPa
コンベアー速度:20mm/min
ノズル速度:5m/min
11 レーザ光源
12 焦点位置制御手段
20 被照射体保持手段
Claims (17)
- 3次元形状を有する構造体の製造方法であって、
下記に示す工程(1)及び工程(2)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように3次元状の分離面を形成する3次元形状を有する構造体の製造方法。
工程(1):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点位置を合わせる工程。
工程(2):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。 - 3次元形状を有する構造体の製造方法であって、
下記に示す工程(3)及び工程(4)を繰り返し行い、被加工体の内部に、所望の3次元形状を有する構造体が得られるように3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成し、
その後、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する3次元形状を有する構造体の製造方法。
工程(3):前記被加工体の内部にレーザ光の焦点を合わせる工程。
工程(4):前記焦点位置にレーザ光を照射する工程。 - 厚さを略3mmとした場合における前記被加工体の、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である請求項1又は2に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 前記被加工体は、
窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で常温から昇温し、熱重量分析(TGA)したとき、重量が初期重量の80%になる温度が150℃以上400℃以下である樹脂からなる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。 - 前記被加工体が、
熱可塑性エラストマー(A1)、
熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、
当該熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光及び/又は熱及び/又は電子線硬化物、
20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光及び/又は熱及び/又は電子線硬化物、
からなる群から選ばれる、少なくともいずれか一種よりなるものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。 - 前記被加工体が、
前記樹脂組成物(A3)の光及び/又は熱硬化物よりなるものである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。 - 前記20℃の条件下でプラストマーである樹脂が、少なくともウレタン結合を有している樹脂である請求項5に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 前記20℃の条件下でプラストマーである樹脂が、さらにエーテル結合、カーボネート結合、エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を有している樹脂である請求項7に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 前記被加工体が、
前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の光硬化物である請求項5、7、8のいずれか一項に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。 - 前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)が、重合性モノマーを含有している請求項6乃至9のいずれか一項に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 前記重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体である請求項10に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 前記被加工体が支持体により支持されている請求項1乃至11のいずれか一項に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 厚さを3mmとした場合における前記支持体と前記被加工体との積層体の、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である請求項12に記載の3次元形状を有する構造体の製造方法。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された3次元形状を有する構造体であって、
厚さ3mmに換算したときの、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下となる物性を有する3次元形状を有する構造体。 - 電子ペーパー用又は有機EL用の隔壁材である請求項14に記載の3次元形状を有する構造体。
- サンドブラスト加工用のレジスト材料である請求項14に記載の3次元形状を有する構造体。
- エッチング加工又はめっき加工用のレジスト材料である請求項14に記載の3次元形状を有する構造体。
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