JP5371119B2 - 樹脂凸版印刷版の製造方法、樹脂凸版印刷版、及び樹脂凸版印刷版の製造装置 - Google Patents

樹脂凸版印刷版の製造方法、樹脂凸版印刷版、及び樹脂凸版印刷版の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂凸版印刷版の製造方法、樹脂凸版印刷版、及び樹脂凸版印刷版の製造装置に関する。
従来から、凸版印刷(フレキソ印刷やレタープレス、スタンプ版用等)・グラビア印刷(凹版)・オフセット印刷(平版)等、種々の印刷方式が知られている。
特に凸版印刷は簡便な方式であり、低コストで様々な被印刷体に印刷でき、高速印刷も容易なことから多用されている。
また特に、樹脂凸版印刷方式の中でも、ダンボール、紙器、紙袋、軟包装用フィルム等の包装材、壁紙、化粧版等の建装材、ラベル印刷等に用いられるフレキソ印刷は、高精細で汎用性が高く、近年注目されている。
フレキソ印刷版の一般的な製版方法について説明する。
先ず、ポリエステルフィルム等の支持体に、感光性樹脂組成物、保護層あるいは赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層が積層されたフレキソ印刷原版を用意する。
支持体を通して全面に紫外線露光を行い(バック露光)、感光性樹脂組成物を光重合させて硬化層とする。
次に、所定のネガフィルムを介し、あるいは紫外線遮蔽層の上から直接、感光性樹脂層に画像露光(レリーフ露光)を行う。
次に、未露光部分(未硬化部分)を除去して凹凸を付与する。
その後、必要に応じて凹凸の形成された樹脂構成体表面に後処理露光し、目的とするフレキソ印刷版を得る。
前記未露光部分の除去工程においては、現像液を用いて洗い流す方法や、40℃〜200℃に加熱された未露光部分を不織布等の吸収層に接触させ、この吸収層を除去する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
その他の製版方法としては、レーザ彫刻により印刷版を製造する方法がある(例えば、特許文献2参照。)。
また、一方において、所定の材料内部にレーザ焦点を合わせて照射し、照射面で切断する方法が知られている。
例えば、特許文献3には、ガラス等の透明材料内部にレーザ焦点を合わせて照射し、照射面で切断する方法が開示されている。
また、特許文献4には、板状の脆性材料の割断予定線に沿ってレーザ光を照射し、割断する方法が開示されている。
特開平5−19469号公報 国際公開第03/022594号パンフレット 特開平4−111800号公報 特開2006−130691号公報
しかしながら、現像液を用いた方法や、特許文献1の方法においては、現像液での処理を行うため乾燥処理時間が必要となり製版時間が長くなるという点や、廃棄物や汚染廃水副生成物が発生するため、環境負荷の観点から好ましくない。また、未露光部分の感光性樹脂を含む現像液や吸収層を大量に処分するためコスト高を招来し、現像液や吸収層を再利用する場合にも設備コストが増大するというデメリットを有している。
特許文献2に記載の方法では、レーザ装置の光学系を汚染する液状カスの発生を抑制するためには、無機多孔質体を添加する必要が生じ、また、固形カスを含むレーザ彫刻カスの発生が、環境負荷の観点から好ましくない。
また、特許文献3、4の方法は、いずれも2次元状の割断面を形成する技術であり、樹脂凸版印刷版に適用可能な弾性体材料を用いた技術として確立されていないことはもとより、3次元状の割断面を形成することすら開示されていない。
本発明の課題は、廃棄物や汚染廃水副生成物の発生量が極めて少なく環境負荷の低減化が図られ、しかも製版時間が短く低コストで樹脂凸版印刷版を作製可能な、樹脂凸版印刷版の製造方法及び樹脂凸版印刷版を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ光を照射し、パターン形成を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
〔1〕
樹脂凸版印刷版の製造方法であって、
下記に示す工程(3)及び工程(4)を繰り返し行い、固形の樹脂凸版印刷原版の内部に、3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成し、
その後、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥
離する樹脂凸版印刷版の製造方法。
工程(3):樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ光の焦点を合わせ、当該焦点位置を制御
する工程。
工程(4):焦点位置にレーザ光を照射する工程。
〔2〕
厚さを略3mmとした場合における前記樹脂凸版印刷原版の、前記工程(3)及び工程
(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である
前記〔1〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔3〕
前記樹脂凸版印刷原版は、
窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で常温から昇温し、熱重量分析(TGA)し
たとき、重量が初期重量の80%になる温度が150℃以上400℃以下である前記〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔4〕
前記樹脂凸版印刷原版の前記重量が初期重量の80%になる温度と、初期重量20%に
なる温度との差が、100℃以下である前記〔3〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔5〕
前記樹脂凸版印刷原版が、
熱可塑性エラストマー(A1)、
熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、
当該熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光、熱、及び電
子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、
20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光、熱、
及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、
からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種よりなるものである前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔6〕
前記樹脂凸版印刷原版が、
前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の硬化物である前記〔5〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔7〕
前記樹脂凸版印刷原版が、
前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の、熱硬化物である前記〔6〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔8〕
前記樹脂凸版印刷原版が、
前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の、光硬化物である前記〔6〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔9〕
前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)が、重合性モノマーを含有
している前記〔5〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔10〕
前記重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体である前記〔9〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔11〕
前記樹脂凸版印刷原版が少なくとも前記樹脂組成物(A3)の硬化物を含み、前記20
℃の条件下でプラストマーである樹脂が、少なくともウレタン結合を有している樹脂であ
る前記〔5〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔12〕
前記20℃の条件下でプラストマーである樹脂が、さらにエーテル結合、カーボネート
結合、エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を有している樹脂であ
る前記〔11〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔13〕
前記樹脂凸版印刷原版が支持体により支持されている前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔14〕
厚さを略3mmとした場合における前記支持体と前記樹脂凸版印刷原版との積層体の、
記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である前記〔13〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
〔15〕
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法によって製造された樹脂凸版印刷版であって、
厚さを略3mmに換算したときの、記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下となる物性を有する樹脂凸版印刷版。
〔16〕
前記〔15〕に記載の樹脂凸版印刷版の製造装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源からのレーザ光の焦点位置を3次元的に制御する焦点位置制御手段と、
前記レーザ光源に対向して設けられている被照射体保持手段と、
を、有し、
前記焦点位置制御手段によるレーザ光の焦点位置の3次元的な制御により、樹脂凸版印
刷版のパターン形成を行う樹脂凸版印刷版の製造装置。
本発明によれば、廃棄物や汚染廃水副生成物の発生量が少なく、環境負荷の観点から優れており、しかも低コストかつ短時間で製版可能な樹脂凸版印刷版の製造方法、これにより作製される樹脂凸版印刷版、及び樹脂凸版印刷版の製造装置が提供できる。
本実施形態の樹脂凸版印刷版の製造装置の一例の概略構成図を示す。 本実施形態の樹脂凸版印刷版の製造装置の他の一例の概略構成図を示す。 実施例における樹脂凸版印刷版の製造工程を示す概略斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔樹脂凸版印刷版の第1の製造方法〕
本実施形態における樹脂凸版印刷版の製造方法は、下記工程(1)及び工程(2)を繰り返し行い、樹脂凸版印刷原版の内部に、3次元状の分離面を形成するものである。
工程(1):樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ光の焦点を合わせ、当該焦点位置を制御する工程。
工程(2):焦点位置にレーザ光を照射する工程。
〔樹脂凸版印刷版の第2の製造方法〕
下記に示す工程(3)及び工程(4)を繰り返し行い、樹脂凸版印刷原版の内部に、3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成し、その後、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する。
工程(3):樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ光の焦点を合わせ、当該焦点位置を制御する工程。
工程(4):焦点位置にレーザ光を照射する工程。
(樹脂凸版印刷原版)
本実施形態における樹脂凸版印刷版の製造方法に用いる樹脂凸版印刷原版、すなわちレーザ光の被照射体は、熱可塑性エラストマー(A1)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、20℃でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、からなる群より選ばれる少なくとも一種よりなるものであることが好ましい。
樹脂凸版印刷原版は、良好なレーザ加工性を確保する観点から、20℃でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物であることがより好ましい。
また、樹脂凸版印刷版の耐刷性の観点から、上記樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)の光硬化物であることがより好ましい。
「エラストマー」とは、高分子学会編「新版高分子辞典」(日本国、朝倉書店、1988年発行)に記載されているように、顕著な弾性を示す高分子物質であり外力により容易に変形するが、それを除くと直ちに原型にほぼ回復する力学的性質をもつものを意味する。
「プラストマー」とは、上記「新版高分子辞典」に記載されているように、エラストマーと呼ぶことに対応した言葉であり、エラストマーのような高度の弾性変形を示さないが、比較的容易に塑性変形するものを意味する。
樹脂凸版印刷原版は、従来公知の方法により作製でき、特に限定されるものではない。
後述する構成材料を、所定の溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させることにより板状成型する方法や、溶剤を用いずに後述する構成材料を、ニーダー、ロールミルあるいはスクリュウ押出機で混練後、カレンダーロールやプレス等により、所定の支持材上で所望の厚さに成型する方法等が適用できる。
成型した後、ロールラミネートにより密着させ、加熱プレスを行うことにより、厚み精度の良い樹脂凸版印刷原版を作製できる。
特に、樹脂凸版印刷原版の材料として、20℃でプラストマーである樹脂を含む樹脂組成物(A3)を用いる場合、シート状、もしくは円筒状に成形するには、既存の成形方法が適用でき、簡易に作製できる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる方法、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等、スプレー等を用いて噴霧する方法が挙げられる。その際、樹脂組成物が熱分解を起こさない範囲で加熱しながら成形を行ってもよい。
また、必要に応じて、圧延処理、切削処理、研削処理、研磨処理から選択される少なくとも1種類の方法により表面加工処理を施してもよい。例えば、切削加工のみを用いて表面を加工してもよく、切削工程、もしくは研削工程後に研摩加工を行うと樹脂の表面形状をより精密に調節できる。
上記のように、表面加工処理を行った場合、前記工程(2)又は工程(4)において、樹脂凸版印刷原版の内部にレーザビームを照射する際、レーザ光の焦点を樹脂凸版印刷原版の内部に合わせても、表面加工処理を行った面で吸収あるいは乱反射してしまうおそれがあるため、表面の平均粗さ(以下、必要に応じて「Ra」と称する)は0.3μm以下に制御することが好ましい。
表面の平均粗さは、JIS表面粗さ(B0601)の中心線平均粗さであるRaを求めることにより制御できる。
なお、Raは市販の測定器により測定できる。例えば、表面平均粗さはキーエンス製VF−7500を用いて測定できる。
なお、樹脂凸版印刷原版は、後述する構成材料のみを用いて成型することにより作製してもよいが、別途所定の支持体を用意し、この支持体上に材料を塗布成型することにより作製してもよい。
支持体を用いて樹脂凸版印刷原版を作製する場合、最終的に目的とする樹脂凸版印刷版を用いて印刷を行う所定の印刷機のシリンダーを支持体として用いてもよい。この場合、継ぎ目のないシームレススリーブを形成できる利点を有する。
また、スリーブ成形・加工装置(液状の樹脂組成物を円筒状支持体上に塗布し、光を照射して液状の樹脂組成物を硬化させる装置内に、レーザ加工用のレーザ光源を組み込んだもの)を用いて、樹脂凸版印刷原版を得、その後、工程(1)と(2)、又は工程(3)と(4)を連続して行うことにより、樹脂凸版印刷版を作製してもよい。
なお、樹脂凸版印刷原版の材料が、液状である場合や、固形でもレーザ加工時の雰囲気温度によってコールドフローしやすい塑性物である場合には、工程(1)又は工程(3)の前段階として、予め硬化させておくことが好ましい。硬化方法としては、熱硬化、光硬化、電子線硬化が挙げられるが、生産性の観点から、光硬化、特に紫外線硬化が好ましい。なお成形しながら光硬化させてもよい。
樹脂凸版印刷原版を紫外線照射により硬化させて作製する方法に関しては、特に限定されるものではなく、成形後に上下面のいずれの方向側から紫外線を照射してもよく、両面同時に、もしくは別々に紫外線を照射してもよい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、太陽光等が挙げられる。
紫外線硬化方法は、単独で行ってもよく、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。
樹脂凸版印刷原版を熱硬化させて作製する方法についても、特に限定されるものではなく、例えば、成形された樹脂凸版印刷原版をヒーター上に載せる方法、熱風を吹き付ける方法、(近)赤外線ヒーターで加熱する方法、加熱したロールと接触させる方法、加熱オーブン中に入れる方法等が挙げられる。
加熱方法は、単独で行ってもよく、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。
硬化性の観点から、加熱温度は80〜300℃が好ましく、100〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。
赤外線ヒーターで加熱する方法においては、加熱手段に方向性があるが、樹脂凸版印刷原版の上下面のいずれの方向から行ってもよい。
樹脂凸版印刷原版を電子線処理により硬化させて作成する方法についても、特に限定されるものではなく、例えば、10〜5MeVの高エネルギー電子線照射装置、5MeV〜300keVの中エネルギー電子線照射装置、300keV未満の低エネルギー電子線照射装置を用いて照射処理する方法等が挙げられる。
コストの観点からは、低エネルギー電子線照射装置を用いて処理する方法が好ましい。
また、樹脂凸版印刷原版を硬化させる工程については、上述した方法のうち、2以上の方法を採用して行ってもよい。
例えば、露光方法を行った後、熱処理方法を行ってもよい。
さらに、硬化工程の2つ以上を同時に行ってもよい。例えば、加熱ヒーター中で露光方法処理を行ったり、多量の赤外線と紫外線を同時に発するランプにより熱処理方法と露光方法とを同時に行ったりしてもよい。
樹脂凸版印刷原版の厚さについては、特に限定されるものではなく、最終的に目的とする樹脂凸版印刷版を用いて印刷を行った場合、印刷非画像部の印刷を回避する観点から、0.5mm以上が好ましく、印刷版の取扱性の観点から10mm以下が好ましく、1mm以上8mm以下がより好ましい。
(レーザ加工工程)
本実施形態における樹脂凸版印刷版の製造方法においては、樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ光の焦点を合わせ、当該焦点位置を制御し(工程(1)、(3))、焦点位置にレーザ光を照射する(工程(2)、(4))。
これにより、樹脂凸版印刷版の第1の製造方法においては、樹脂凸版印刷原版の内部に、3次元状の分離面を形成する。
また、樹脂凸版印刷版の第2の製造方法においては、樹脂凸版印刷原版の内部に、3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成する。
(樹脂凸版印刷版の製造装置)
図1、図2に、本実施形態における樹脂凸版印刷版の製造方法に適用するレーザ加工装置としての樹脂凸版印刷版の製造装置の一例の概略構成図を示す。
なお、図1、図2においては、被照射体としての樹脂凸版印刷原版10を含めた構成例として示しているが、樹脂凸版印刷版の製造装置としては、被照射体を必須の構成要素に含めるものではない。
図1、図2に示す樹脂凸版印刷版の製造装置は、レーザ光源11と、レーザ光の焦点位置を3次元的に制御する焦点位置制御手段12と、被照射体保持手段20とを具備している。
図1においては、被照射体保持手段20としての円筒状シリンダーに、被照射体としてのシート状樹脂凸版印刷原版10が巻きつけられた構成を有している。
図2においては、被照射体保持手段20としてのXYZステージに、被照射体としてのシート状樹脂凸版印刷原版10が載置された構成を有している。
これらにおいては、いずれも焦点位置制御手段12によるレーザ光の焦点位置の3次元的な制御により、被照射体である樹脂凸版印刷原版10の内部にレーザ光を照射し、所望の樹脂凸版印刷版のパターン形成を行う。
なお、レーザ光の焦点位置の3次元的な制御を行うためには、所定の光学系により構成されている焦点位置制御手段12の制御と合わせて、円筒状のシリンダーやXYZステージよりなる被照射体保持手段20を駆動したり、照射位置制御手段12自体を駆動させたりすることにより、レーザ光の照射位置を操作することもできる。
例えば、図2においては、集光レンズの移動と併せて、図2中の被照射体保持手段20としてのXYZステージを、図2中矢印X、Y、Z方向に移動させることにより、レーザ光の焦点位置を3次元的に走査でき、樹脂凸版印刷原版10の内部に立体的なパターン形成を行うことができる。
レーザ光の焦点を合わせて、焦点位置にレーザ光を照射する(以下、レーザ加工と呼ぶことがある)方法については、特に限定されるものではない。
例えば、レンズやミラーから構成される光学系、例えば、光拡散手段や集光手段を介して樹脂凸版印刷原版内部にレーザ光の焦点を合わせることができる。
光学系の構成要素としては、レーザビームエキスパンダー、アキシコンレンズや球面平凸・平凹・両凸・両凹、円筒平凸・平凹レンズ、メニスカスレンズ、透過型コリメーションレンズ、反射型コリメーションレンズ、ミラー等が挙げられる。
特に光学系を構成する装置を簡便なものとする観点からは、レーザビームエキスパンダーと球面平凸レンズを組み合わせた構成とすることが好ましい。
レーザビームエキスパンダーの倍率は特に制限はないが、最終的に目的とする樹脂凸版印刷版において高い解像度を得る観点からは1.3倍以上とし、樹脂凸版印刷版の生産性を確保する観点からは10倍以下とすることが好ましく、2倍〜8倍がより好ましく、4倍〜8倍がさらに好ましい。
また、焦点位置を制御する工程において、レーザ光を、ガルバノミラーを用いて単軸あるいは2軸方向へ比較的広い幅あるいは領域に走査する場合には、寸法の大きなfθ集光レンズを用いることが好ましい。
レーザ光を照射し、加工位置を制御する機構(焦点位置制御手段や被照射体保持手段20を駆動したり、照射位置制御手段12を駆動させたりする手段)としては、3次元ピエゾステージやステップモーター、エアベアリング等を用いたX−Y−Z位置制御機構;複数のレンズを用いる機構;ガルバノミラー、ガルバノメータ制御の三次元スキャンヘッド(例えば、ARGES社製ELEPHANT、商品名)、レーザ焦点調整レンズを用いた集光(例えば特開2003−23339号公報に記載されている)、ダイナミックフォーカス制御(例えば、非特許文献1:松下電工技報、Vol53、No2、P33に記載されている)等の光学系制御機構;空間光変調素子を用いた機構等が好適である。
X−Y−Z位置制御システムは、Xのみ、Yのみ、Zのみ、あるいは2つの組合せの方向のみの制御システムでもよい。
また、加工位置を制御する機構は、単独で適用してもよく、2種類以上を組み合わせて適用してもよい。例えば、ガルバノミラーとZ位置制御システムを併用した例が挙げられる。
特に、レーザ加工生産性の観点から、複数のレンズを用いるシステム、ガルバノミラー、ガルバノメータ制御の三次元スキャンヘッド、レーザ焦点調整レンズを用いた集光機構、ダイナミックフォーカス制御等の光学系制御機構が好ましく、ガルバノミラー、ガルバノメータ制御の三次元スキャンヘッドを用いて走査する方式がより好ましい。
上記機構を用いて、例えば、図1に示すように、被照射体保持手段20である円筒状シリンダーに樹脂凸版印刷原版(被照射体)10が担持されており、ガルバノミラーを用いて照射するレーザ光をシリンダーの長軸方向へ走査する場合、円筒状シリンダーを1回転させて1周分のパターンを、シリンダーの長軸方向に分割された画像データに従ってレーザ加工し、その後、ガルバノミラーをシリンダーの長軸方向へ移動させるか、あるいはシリンダーを長軸方向へ移動させる工程を含み、前記の一連の工程を繰り返して実施することにより、全画像データに対応したパターンをレーザ加工により形成できる。
レーザ加工工程は、上記樹脂凸版印刷原版や光学系に限定されるものではなく、従来公知の種々の組み合わせを適用できる。
なお、ガルバノミラーとは、コンピュータの制御によってレーザ光を単軸方向あるいは2軸方向へ走査するための光学部品であり、ガルバノスキャナーとも呼ばれている。
ミラー部の駆動方式により、ムービングコイルタイプとムービングマグネットタイプがあり、使用するレーザの発振周波数、走査精度、走査面積により使い分けることができる。
なお、光学シャッターとしては、音響光学変調器(AOモジュレータ)を用いることが好ましい。
焦点位置にレーザ光を照射する工程、すなわち前記工程(2)、(4)におけるパターニングにおいては、一般に、形成したい画像をデジタル型のデータとしてコンピュータを利用してレーザ装置を操作し、樹脂凸版印刷原版内部にレーザ加工を行い、レリーフ画像を作製する。
レーザ加工において速度を確保する観点から、レーザ加工装置の構成としては、図1に示すように、円筒状シリンダーを装備し、軸回転させながら加工するタイプであることが好ましい。
この場合、シート状の樹脂凸版印刷原版10を用い、これを円筒状シリンダー表面に巻きつけて固定した状態とするか、あるいは円筒状の樹脂凸版印刷原版10を予め円筒状シリンダーに装着した状態として、円筒状シリンダーの長軸を固定し、周方向へ回転させながらレーザ光を照射してレーザ加工を行うことが好ましい。これにより円筒状シリンダーを高速回転させながらレーザ加工を行うことができる。
レーザ光の照射方法としては、レーザ加工における位置精度確保の点から、シリンダーを回転させながら、レーザ光をシリンダーの長軸方向へ走引するか、あるいはガルバノミラーを用いてシリンダーの長軸方向へ走査する方法が好ましい。
特に、円筒状印刷版を製造する場合に好ましい方法である。
本実施形態の樹脂凸版印刷版の製造装置であるレーザ加工装置の加工機構としては、例えば、パルス発振近赤外線レーザ、光学シャッターあるいはメカニカルシャッター、レーザ焦点調整レンズ、レーザビームを集光するための集光レンズを有し、かつシリンダーの長軸を保持する機構、保持したシリンダーを周方向へ回転させる機構、更にはシリンダーをその長軸方向へ移動させる機構を具備する装置;パルス発振近赤外線レーザ、光学シャッターあるいはメカニカルシャッター、レーザビームエキスパンダー、レーザビームを集光するための集光レンズを有し、X−Y−Z位置制御システムを有する装置;パルス発振近赤外線レーザ、光学シャッターあるいはメカニカルシャッター、Z方向(レーザビーム照射方向)の焦点位置を制御する機構、ガルバノミラー、レーザビームを集光するための集光レンズを有し、かつシリンダーの長軸を保持する機構、保持したシリンダーを周方向へ回転させる機構、更に、シリンダーをその長軸方向へ移動させる機構を有する装置;パルス発振近赤外線レーザ、光学シャッターあるいはメカニカルシャッター、ガルバノメータ制御の三次元スキャンヘッドを有する装置が好適な加工機構として挙げられる。
これらにおいては、シート状の樹脂凸版印刷原版をシリンダー表面に巻きつけて固定した状態や、シリンダー表面に装着した状態で、レーザ加工を行うことができる。
本実施形態の樹脂凸版印刷版の第1の製造方法においては、レーザ加工による分離部分が、連続的に繋がった状態にする。ただし、全てのレーザ加工による分離部分が、連続的に繋がった状態にする必要はない。
例えば、レーザ加工前の樹脂凸版印刷原版が、すでに分離面を有していたり、多層構造であり層界面で剥離可能であったりする場合には、レーザ加工により得られた分離部分が、すでに有している分離面や、多層構造の層界面と繋がるようにして連続的につながった状態とすればよい。
また、レーザ加工部の一部が外部にまで及ぶ場合には、それぞれの独立したレーザ加工による分離部分が連続的に繋がった状態であればよい。すなわち、連続した加工パターン箇所が2箇所以上、例えば凹部分の加工箇所と凸部分の加工箇所とがある場合、それぞれの箇所において連続的につながった状態とすればよい。
この場合、所定の方向に順序だって(例えば、図1の例においては、円筒状シリンダーを回転させながら、円筒状シリンダーの長軸方向へと)連続的にレーザ加工を行ってもよいし、断続的にレーザ加工して、最終的に連続した加工状態としてもよい。
なお、レーザ加工において高い生産性を確保する観点から、所定の方向に順序だって連続的にレーザ加工を行うことが好ましい。
また、Z軸方向(レーザ照射方向)のレーザ加工については、例えば、レーザ加工最下部から加工していき、徐々に上部に移動させて加工していくようにしてもよいし、上部から最下部に焦点を移動させて加工していくようにしてもよい。
また、必要に応じて、加工用レーザ光の焦点位置を凡そ確認するために、レーザ加工用のレーザとは異なる波長のレーザを位置確認用教示レーザとして用いてもよい。位置確認用教示レーザとしては、加工用レーザ光の焦点位置を肉眼で確認するため、可視光の波長を持つレーザを用いることが好ましい。
レーザ加工部分においては、樹脂凸版印刷原版を構成する樹脂組成物中に、レーザ光を照射することにより、物質の状態変化(溶融、熱分解、除去等)が行われる。
これにより、樹脂凸版印刷版の第1の製造方法においては樹脂凸版印刷原版の内部に3次元状の分離面が形成され、第2の製造方法においては樹脂凸版印刷原版の内部に3次元状の改質面及び/又は部分的分離面が形成される。
なお、3次元状とは、物理空間において、例えば幅・奥行き・高さを持っており、樹脂凸版印刷版として有用な凹凸部形状を具備した形状を意味する。
また、改質とは、レーザ光を照射することにより、物質の状態変化(溶融、熱分解、除去等)によって、分離はしていないが力を加えることにより容易に分離可能なものの状態を意味し、部分的分離とは、近傍のレーザ加工による分離箇所が連続的に繋がっていない状態を意味する。
レーザ光として、パルス発振のレーザ光を用いた場合、1パルスで加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分(溶融あるいは熱分解あるいは除去等部分)の拡がり(変質部分のもっとも長い方向)は、レーザ出力や光学系や、用いた樹脂組成物によって変化する。
この変質部分の拡がりの範囲は、目的とする樹脂凸版印刷版において高解像度を得る観点から、0.1μm以上、レーザ加工の生産性の観点から50μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、5μm以上20μm以下がさらに好ましい。
なお、上記「変質」とは、分離及び改質を含み、レーザ光照射により樹脂凸版印刷原版の材料に変化が生じ完全に分離してしまっている状態のもの、分離してはいないが力を加えることにより容易に分離可能なもののいずれも含む。
また樹脂凸版印刷原版の変質において、多光子吸収の現象を起こしてもよい(例えば特開2003−236688号公報に記載されている)。1パルスで加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分の拡がりの観点から、多光子吸収の現象を起こすことが好ましい。
レーザ光の照射は、樹脂凸版印刷原版の任意の位置から行うことができる。
例えば、図2に示すように樹脂凸版印刷原版10がシート状である場合には、4方向の端部、円筒状である場合は円筒部の端部(左右2方向)から、レーザ加工を行うことができる。
また、これらに限定されず、中央近傍から照射するようにしてもよい。レーザ加工生産性の観点からは、端部から照射していくことが好ましい。
また、レーザ加工部は、必ずしも樹脂凸版印刷原版の内部のみに限定して留まる必要はなく、一部が外部、例えば所定の支持体の内部、所定の支持体と樹脂凸版印刷原版との界面や樹脂凸版印刷原版の外側(レーザ加工雰囲気中)にまで及んでも差し支えはない。
レーザ照射側の樹脂凸版印刷原版の、レーザ発振波長における光線透過率は、良好なレーザ加工性と加工安定性を確保し、かつ目的とする樹脂凸版印刷版において高い解像度を得る観点から定まる。
具体的には、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下であることが好ましく、20%以上99%以下であることがより好ましく、50%以上98%以下であることがさらに好ましい。
また、樹脂凸版印刷原版が所定の支持体により支持された状態でレーザ照射を行うようにしてもよい。
支持体を通してレーザ加工を行う場合には、前記支持体と前記樹脂凸版印刷原版との積層体(「支持体を具備する樹脂凸版印刷原版」とも称する。)の厚さを3mmに設定して前記光線透過率を測定するものとし、レーザ照射側の積層体の、前記工程(1)及び工程(2)、又は前記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下であることが好ましく、20%以上99%以下であることがより好ましく、50%以上98%以下であることがさらに好ましい。
なお、上記光線透過率とは、厚さ3mmの樹脂凸版印刷原版、又は厚さ3mmの支持体と樹脂凸版印刷原版との積層体を用いて、紫外・可視・近赤外分光光度計における光線透過法により測定される値である。具体的には、紫外・可視・近赤外分光光度計「V−570」(日本分光社製、商品名)を用いて測定できる。
なお、上記「レーザ照射側の樹脂凸版印刷原版」とは、例えば、両面に支持体を有している樹脂凸版印刷原版で、レーザ照射側の支持体を剥離した状態で樹脂凸版印刷原版内部にレーザビームの焦点を合わせる場合には「樹脂凸版印刷原版」のみを意味し、「レーザ照射側の積層体」とは、例えば、両面に支持体を有している樹脂凸版印刷原版を用い、支持体を通して樹脂凸版印刷原版内部にレーザ光の焦点を合わせる場合には、「レーザ照射側の支持体と樹脂凸版印刷原版」を意味する。
なお、厚さ3mmに換算した時の樹脂凸版印刷版のレーザ発振波長における光線透過率は、樹脂凸版印刷版の最大厚みの部分のレーザ発振波長における光線透過率を測定し、その測定値を3mmに換算することで得られる値とする。例えば、樹脂凸版印刷版の最大厚みが1.5mmであり、この部分のレーザ発振波長における光線透過率が90%であれば、81%が厚さ3mmに換算した時の値となる。
レーザ加工に用いるレーザの種類は、特に限定されるものではなく、下記の従来公知のものを適用できる。
照射レーザの種類としては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザ、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザ等の固体レーザの第2高調波レーザ、銅蒸気レーザ、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザ、例えばエキシマレーザ、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザ等の固体レーザ等が挙げられる。
特に、YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザ、可視光線領域に発振波長を有するYAGレーザ等の固体レーザの第2高調波レーザが設備コストの観点から好ましい。
YAGレーザ等の固体レーザ、半導体レーザ等の赤外線あるいは赤外線放出固体レーザや第2高調波レーザ、第3あるいは第4高調波の種類は、特に限定するものではないが、半導体レーザ励起固体レーザあるいはランプ励起固体レーザの基本波やその第2高調波、第3あるいは第4高調波、半導体レーザ、ファイバーレーザ等を挙げることができる。
特に発振の安定性、取り扱いの容易さから半導体レーザ励起固体レーザ、ファイバーレーザが好ましい。
固体レーザの具体例としては、アレキサンドライトレーザ、チタンサファイアレーザ、Cr:LiSAFレーザ、F−Centerレーザ、Co:MgF2レーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4レーザ、Er:ガラスレーザ、Ho:YAGレーザ、Ho:YSGGレーザ、Tm:YAGレーザ、Er:YAGレーザ等が挙げられる。
半導体レーザ励起固体レーザの場合、励起方式がサイドポンプ方式とエンドポンプ方式の2種類存在するが、ビーム形状の優れたものを得るためにはエンドポンプ方式がより好ましい。
ファイバーレーザは、YbやEr等の希土類元素をドープしたコアを有するファイバーを用いたレーザであり、増幅媒質としてファイバーを利用している。
レーザの種類は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、パルス発振近赤外線レーザによる加工と、赤外線レーザによる加工は、同時に実施しても、別々に実施しても構わない。加工に要する時間の短縮の観点からは、同時に実施することが好ましい。但し、レーザ加工装置においてレーザビームの走査方式が異なる場合は、この限りではない。例えば、パルス発振近赤外線レーザがガルバノミラーを用いて走査するのに対し、赤外線レーザがガルバノミラーを用いずにレーザ加工する場合などがある。
レーザのビーム数は、1本以上であるものとする。複数本のレーザビームを用いることで彫刻スピードを大幅に向上させることができる。
また、レーザを分割させて一度に複数の部位を加工するようにしてもよいし、一度に複数の樹脂凸版印刷原版を加工するようにしてもよい。
また、レーザは連続照射でも、パルス照射でも良い。得られる樹脂凸版印刷版の高解像度の観点からは、レーザ加工時の熱影響の小さいパルス照射が好ましい。
パルス繰り返し周波数は20Hz以上500MHz以下であることが好ましく、1kHz以上200MHz以下がより好ましく、10kHz以上100MHz以下がさらに好ましい。
発振周波数が20Hz以上500MHz以下の範囲であることは、高速にレーザビームを走査し内部に焦点を合わせることが可能であり、加工工程に要する時間を短縮することができる点で好ましい。
パルス発振のレーザのパルス幅は、1フェムト秒以上200ナノ秒以下であることが好ましく、10フェムト秒以上100ナノ秒以下がより好ましく、10ピコ秒以上50ナノ秒以下がさらに好ましい。パルス幅が1フェムト秒以上200ナノ秒以下であることは、レーザの平均出力が小さくとも高い尖頭出力が得られるため、極めて短い時間内に大きなエネルギーを投入することができるので、樹脂凸版印刷原版の加工が容易に実施でき、得られるパターンの形状が優れたものになる点で好ましい。
フェムト秒、ピコ秒パルスを得る方法として、モードロック技術を用いることが好ましい。また、尖頭出力の大きな短パルスを得る方法として、Qスイッチを有するレーザが好ましい。
レーザの平均出力は、目的とする樹脂凸版印刷版において、高解像度を得る観点から、0.005W以上で、レーザ加工生産性の観点から1kW以下が好ましく、0.01W以上500W以下がより好ましく、0.05W以上100W以下さらに好ましく、0.05W以上30W以下がさらにより好ましい。0.005W以上1kW以下という範囲の平均出力でレーザ加工を行なうと、微細なパターンを良好に形成でき、得られるパターンのエッジ形状をより鮮明化できることが確かめられた。
パルス発振近赤外線レーザを用いる場合、1パルスあたりの仕事率が1W以上5MW以下であることが好ましく、5W以上1MW以下であることがより好ましく、15W以上500kW以下であることがさらに好ましい。
1パルスあたりの仕事率が1W以上であることは、樹脂凸版印刷原版に対するレーザ加工を確実に行うことができ、得られるパターンのエッジ形状が鮮明となる点で好ましい。
また、1パルスあたりの仕事率が5MW以下であることは、熱の影響が少なく、溶融あるいは除去程度の観点から好ましい。
なお、1パルスあたりの仕事率(単位:W)とは、平均出力(単位:W)を繰り返し周波数(単位:パルス/秒)で割った値を、更にパルス幅(1パルスの時間幅、単位:秒)で割った値と定義する。この値が大きい程、1パルスあたりの仕事率は大きく、先頭出力が大きいことを意味する。
パルス発振近赤外線レーザのレーザビームを用いる場合、これは、極めて微小なスポットへ集光して用いるため、集光前のレーザビームは、単一モード発振、すなわちTEM00モード発振であることが好ましい。
更に、レーザの横モードの品質を表わす指標であるM2(モードクォリティー)値が、1以上2以下であることが好ましく、1以上1.5以下であることがより好ましく、1以上1.3以下であることがさらにより好ましい。
上述した樹脂凸版印刷原版に対するレーザ加工は、酸素含有ガス下、一般には空気存在下又は気流下において実施するが、炭酸ガス、窒素ガス、水等の溶媒下でも実施できる。
レーザ加工は、適用するレーザ波長に対する光線透過性がある支持体等を具備する樹脂凸版印刷原版との積層体に対して行う場合には、支持体側がある方向、支持体が無い方向のいずれからレーザ照射を行ってもよい。
(硬化工程)
樹脂凸版印刷版の耐刷性を向上させたり、改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離しやすくするためには、上述したレーザ加工を行った後、樹脂凸版印刷原版に対して硬化処理を施すことが有効である。
硬化方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光等の紫外線(真空紫外線を含む)を含む活性光線源により処理する露光方法、熱処理方法、電子線処理方法が挙げられる。生産性・コストの観点からは、露光方法が好ましい。
特に、光硬化性を有する樹脂組成物を用いている場合には、露光方法及び/又は電子線処理方法が好ましく、熱硬化性を有する樹脂組成物を用いている場合には、熱処理方法及び/又は電子線処理方法が好ましい。
露光方法としては、例えば大気中で露光する方法や、水等の液体中で露光する方法等が挙げられる。露光強度については特に限定されるものではないが、例えば1〜50mW/cm2とすることができる。なお、露光強度はオーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルターを用いて測定できる。特に、200nm〜380nmの波長の光が好ましい。
光源は、1種類でもよいが、波長の異なる2種類以上の光源を用いて硬化させることにより硬化性の向上が図られるため、2種類以上の光源を用いてもよい。波長の異なる2種類以上の光源を使用する場合は、同時に露光処理しても、別個独立して露光処理を行ってもよい。
熱処理方法としては、例えばヒーターや赤外線ヒーターで加熱したり、加熱オーブン中で加熱したりする方法が挙げられる。熱処理温度としては樹脂凸版印刷原版を固体の状態に維持する観点から、40〜130℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。加熱時間は、特に限定されないが生産性の点から短い方が好ましい。
電子線処理方法としては、例えば10〜5MeVの高エネルギー電子線照射装置、5MeV〜300keVの中エネルギー電子線照射装置、300keV未満の低エネルギー電子線照射装置を用いて処理する方法等が挙げられる。コストの観点から、低エネルギー電子線照射装置を用いて処理する方法が好ましい。
また、硬化工程は、上記の方法のうちの2以上の方法を採用して行ってもよい。例えば、露光方法を行った後、熱処理方法を行ってもよい。
さらに、硬化工程の2つ以上を同時に行ってもよい。例えば、加熱ヒーター中で露光方法処理を行ったり、多量の赤外線と紫外線を同時に発するランプにより熱処理方法と露光方法とを同時に行ったりしてもよい。
また、例えば、レーザ加工後の樹脂凸版印刷原版の上面側及び/又は下面側から、紫外線を含む活性光線源による露光を施してもよい。紫外線を含む活性光線源による露光は、上面側、下面側の両方から同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
改質面及び/又は部分的分離面に沿って良好な剥離性を得るためには、上面側、下面側の両方から同時に、またはこれらを別々に行うことが好ましい。
なお、樹脂凸版印刷版の耐刷性を向上させる目的で、分離された樹脂凸版印刷版、剥離された樹脂凸版印刷版や版洗浄・後処理工程後の樹脂凸版印刷版に、硬化工程を設けてもよい。
(剥離工程)
上述した樹脂凸版印刷版の第2の製造方法に従いレーザ加工を行った後、樹脂凸版印刷原版の内部に3次元状の改質面及び/又は部分的分離面が形成されている場合には、レーザ加工面において、樹脂凸版印刷原版を剥離する。
剥離方法については特に限定されるものではない。例えば、両面に支持体を有する場合には、片方の支持体をテープ等固定しておいて、反対側の支持体の少なくとも一部を引っ張る方法、両方の支持体を引張器具等引っ張り、剥離させる方法が挙げられる。
また、支持体を有しない場合には、直接両側からレーザ加工された樹脂凸版印刷原版の樹脂組成物を剥離する方法等が挙げられる。
得られた樹脂凸版印刷版に傷がつくことを防止するためには、両面に支持体を有しており、片方の支持体をテープ等で固定しておいて、反対側の支持体の少なくとも一部を引っ張る方法が好ましい。
10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離する際、剥離力は一定でなくてもよい。例えば、同一の樹脂凸版印刷原版内に、第1の製造方法の分離面と、第2の製造方法の改質面及び/又は部分的分離面を有する場合には、剥離力は第1の製造方法の分離面の部分でほぼ0N/cmとなる。また多層構造や加工デザイン、レーザ加工条件によっては改質面及び/又は部分的分離面での剥離力が変わることもある。
剥離に必要な力を低減化させるために、剥離工程時に樹脂凸版印刷原版を加温してから剥離することが好ましい。
加温方法は、例えば、樹脂凸版印刷原版をヒーター上に載せる、熱風を吹き付ける、(近)赤外線ヒーターで加熱する、加熱したロールと接触させる、加熱オーブン中に入れる等の方法が挙げられ特に限定されない。
加温温度は50〜180℃が好ましく、70〜180℃がより好ましく、80〜160℃が更に好ましい。加温する場合には樹脂凸版印刷原版の上下どちらの方向からでも構わない。
(版洗浄・後処理工程)
上述したようにして得られた樹脂凸版印刷版を洗浄し、あるいは所定の後処理を行うことにより、表面の異物を除去し、表面特性を調整する。
洗浄方法としては、例えば溶剤や界面活性剤の入った水系洗浄剤等を用いる方法、高圧スチームを用いる方法、吸収層を押し当てる方法等が挙げられる。
後処理方法としては、紫外線(真空紫外線を含む)等による後露光方法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、撥水剤や撥インキ成分剤等のコーティング方法、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法;カップリング剤処理法等が挙げられる。
上記樹脂凸版印刷版の洗浄に用いる溶剤としては、例えば、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類;テトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したもの;等が挙げられる。
上記洗浄に用いる水系洗浄液としては、例えば、ノニオン系、アニオン系、カチオン系あるいは両性の界面活性剤を一種又は二種類以上含有する洗浄液が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、平均炭素数8〜16のアルキルを有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、平均炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が4〜10のジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸低級アルキルエステルのスルホン酸塩、平均炭素数10〜20のアルキル硫酸塩、平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを附加したアルキルエーテル硫酸塩、及び平均炭素数10〜22の飽和または不飽和脂肪酸塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アルキルアミンエチレンオキシド付加物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、サパミン型第4級アンモニウム塩、あるいはピリジウム塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール型の高級アルコールアルキレンオキシド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アルキレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキシド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキシド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキシド付加物、油脂のアルキレンオキシド付加物、及びポリプロピレングリコールアルキレンオキシド付加物、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールとソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル及びアルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムやラウリルジメチルベタイン等が挙げられる。
界面活性剤の濃度については、特に限定されるものではないが、通常洗浄液全量に対して0.5〜10質量%の範囲で使用される。
水性洗浄液には、上述した界面活性剤のほかに、必要に応じて、洗浄促進剤やpH調整剤等の洗浄助剤を配合してもよい。
洗浄促進剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、グリコールエーテル類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のアンモニウム塩類、あるいはパラフィン系炭化水素等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、ホウ酸ソーダ、炭酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、コハク酸ソーダ、酢酸ソーダ等が挙げられる。
洗浄助剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
洗浄助剤の沸点は、常圧で130℃以上であることが好ましい。沸点が130℃未満の場合、洗浄液から水を蒸発させて凝縮液として回収する際に洗浄助剤の相当量が水と一緒に蒸発除去される傾向がある。あるいは洗浄助剤を現像液の濃度調整の目的で利用する際に、洗浄液の性能を安定にするために同伴された溶剤の量を測定して調整しなければならないなどの手間がかかる。
洗浄液には、必要に応じて、消泡剤、分散剤、腐食抑制剤、腐敗防止剤を添加してもよい。
樹脂凸版印刷版の洗浄は、例えば、ノズルからの噴射によって、又はブラシによるブラッシングや、高圧スプレーにより行うことができる。
樹脂凸版印刷版の洗浄方法である上記吸収層を押し当てる方法において用いる吸収層としては、例えば、不織布材料、紙素材、繊維織物、連続気泡発泡体、及び多孔質材料が挙げられる。
好ましい吸収層としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンからなる不織布材料、及びこれらの不織布材料の組み合わせが挙げられる。特に好ましい吸収層としては、ナイロン又はポリエステルの不織布連続ウェブが挙げられる。
また、樹脂凸版印刷版に押し当てて吸収させる際、樹脂凸版印刷版や吸収層を加熱して行ってもよい。
加熱温度としては、良好な洗浄性を確保する観点から40〜200℃が好適である。
上記後処理工程の一例である後露光の方法としては、例えば、表面に波長300nm以下の光を照射する方法が一般的に行われる。
必要に応じて、300nmよりも長波長の光を併用してもよい。
上記後処理工程の一例であるコーティング処理の方法としては、撥水剤や撥インキ成分剤等を用いた方法がある。
具体的には、フッ素共重合体溶液等のフッ素系;シリコンオイル等のシリコン系の撥水剤や撥インキ成分剤が挙げられる。
特に、撥インキ性持続性を向上させるために、(メタ)アクリロイル基やアリル基等の重合性不飽和基を有する撥水剤や撥インキ成分剤をコーティング後に後露光を行うことが好ましい。コーティング方法は特に限定されない。
上記後処理工程の一例であるカップリング剤処理の方法としては、例えば、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面水酸基と反応する化合物で処理した被膜形成方法が挙げられる。
汎用されているシランカップリング剤は、樹脂凸版印刷版の表面水酸基との反応性の高い官能基を分子内に有する化合物であり、樹脂凸版印刷版の表面水酸基との反応性の高い官能基とは、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリクロロシリル基、ジエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジモノクロロシリル基、モノエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノクロロシリル基が挙げられる。これらの官能基は分子内に少なくとも1つ以上存在し、樹脂凸版印刷版の表面水酸基と反応することにより樹脂凸版印刷版表面に固定化されるものとする。
さらに、シランカップリング剤を構成する化合物として、分子内に反応性官能基としてアクリロイル基、メタクリロイル基、活性水素含有アミノ基、エポキシ基、ビニル基、パーフルオロアルキル基及びメルカプト基から選ばれた少なくとも1個の官能基を有するもの、あるいは長鎖アルキル基を有するものが挙げられる。
また、チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジ−トリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(オクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルスルフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等の化合物が挙げられる。
表面に固定化したカップリング剤分子が、特に重合性反応基を有する場合、表面への固定化後、光、熱、電子線を照射して硬化させることにより、より強固な被膜を形成できる。
上述したカップリング剤を用いた処理方法について説明する。
必要に応じて、上述した所望のカップリング剤を、水−アルコール混合液又は酢酸水−アルコール混合液で希釈して、処理液を調製する。
処理液中のカップリング剤の濃度は、0.05〜10.0質量%が好ましい。
カップリング剤を含む処理液を樹脂凸版印刷版表面に塗布して表面処理を行う。
塗布方法については特に限定されるものではなく、例えば浸漬法、スプレー法、ロールコート法、あるいは刷毛塗り法等を適用できる。
また、被覆処理温度、被覆処理時間についても特に限定はないが、5〜60℃が好ましく、処理時間は0.1〜60秒が好ましい。
さらに、表面処理液を塗布した後、乾燥処理を加熱下で行うことが好ましく、加熱温度としては50〜150℃が好ましい。
また、カップリング剤による樹脂凸版印刷版表面処理の前段階として、予めキセノンエキシマランプ等の、波長が200nm以下の真空紫外線領域の光を照射したり、樹脂凸版印刷版表面をプラズマ等の高エネルギー雰囲気に曝したりすることにより、樹脂凸版印刷版表面に水酸基を発生させて高密度にカップリング剤を固定化できる。
プラズマ処理法としては、無機多孔質体粒子を含有する樹脂組成物が樹脂凸版印刷版表面に露出している場合、プラズマ等の高エネルギー雰囲気下で処理し、表面の樹脂凸版印刷版組成物を若干エッチング除去することにより、樹脂凸版印刷版表面に微小な凹凸を形成させることができる。この処理により樹脂凸版印刷版表面のタックの低減や表面に露出した無機多孔質体粒子がインクを吸収しやすくすることによるインク濡れ性の向上等の効果も得られる。
上記に亘って説明した工程により作製される樹脂凸版印刷版の形状や形態については、特に限定されるものではない。但し、作製工程中の取り扱いの観点からは、樹脂凸版印刷原版は、シート状や円筒状であることが好ましい。
また、樹脂凸版印刷版は、単層構造であってもよいし多層構造であってもよい。多層構造とする場合には、樹脂凸版印刷原版が上述した支持体の他、クッション層等の所定の機能層、その他層間の接着強度を担保する接着剤層等を設けた構成とすることにより、目的とする樹脂凸版印刷版の機能を任意に調整できる。この場合、支持体や所定の機能層は、レーザ光を照射する前段階で予め設けられているものとしてもよく、レーザ光を照射する工程後に設けてもよい。これら支持体や各機能層については、後述する。
また、使用された樹脂凸版印刷版や、樹脂凸版印刷版と反対側の分離された部分、樹脂凸版印刷版と反対側の剥離された部分は、必要に応じて溶剤に溶解したり、加熱したりすることにより、新たな樹脂凸版印刷原版の原材料として再利用も可能である。特に光及び/又は熱硬化していない材料である場合には、リサイクル価値が高く有用である。
また、使用された樹脂凸版印刷版や、樹脂凸版印刷版と反対側の分離された部分、樹脂凸版印刷版と反対側の剥離された部分を型として、新たに溶融した熱可塑性エラストマーや熱可塑性エラストマーを含有する樹脂組成物、20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物を流し込むことにより、さらに樹脂凸版印刷版を作製することもでき、リサイクル活用が可能である。
次に、樹脂凸版印刷原版を構成する材料について詳細に説明する。
樹脂凸版印刷原版の構成材料としては、後述する熱可塑性エラストマー(A1)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光、熱、及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種よりなるものを使用できる。
また樹脂凸版印刷原版は一層でも多層でもよい。多層の場合、上記少なくともいずれか一種からなるものでもよいし、複数種類を組み合わせてもよい。また多層の場合、層界面が10N/cm以下の力で剥離可能である樹脂凸版印刷原版であってもよい。
(熱可塑性エラストマー(A1))
「熱可塑性エラストマー」とは、20℃でゴム弾性を示し、塑性変形し難く、押出機等で組成物を混合する際に熱により可塑化するエラストマーを意味する。
熱可塑性エラストマー(A1)としては、例えば、スチレン・ブタジエンブロックコポリマー、スチレン・イソプレンブロックコポリマー、スチレン・エチレン/ブチレンブロックコポリマー等が挙げられる。すなわち、少なくとも1つの共役ジエンユニットもしくは共役ジエンユニット水素添加物を主体とする第1の重合体ブロックと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素ユニットを主体とする第2の重合体ブロックとを含む熱可塑性エラストマーブロック共重合体;EPDM(エチレンプロピレンゴム)、プロピレン・エチレン/プロピレンブロックコポリマー等のオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;フッ素系熱可塑性エラストマー;シリコン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、共役ジエンブロックの完全水素添加物のスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体や、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体等を併用してもよい。
樹脂凸版印刷原版の材料としては、少なくとも1つの共役ジエンユニットもしくは共役ジエンユニット水素添加物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1つのビニル芳香族炭化水素ユニットを主体とする重合体ブロックとを含む熱可塑性エラストマーブロック共重合体、及び/又はEPDM、プロピレン・エチレン/プロピレンブロックコポリマー等のオレフィン系熱可塑性エラストマーが、良好な成形性を得る観点から好ましい。
なお、「主体とする」とは、重合体ブロック中に50質量%以上含有されていることを意味し、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
上記共役ジエンユニットを主体とする重合体ブロックが、例えばビニル芳香族炭化水素−ブタジエンの共重合体である場合、共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は、均一に分布していてもよく、不均一(例えばテーパー状)に分布していてもよい。均一に分布した部分及び/又は不均一に分布した部分は、各共重合体ブロック中において複数個共存していてもよい。
熱可塑性エラストマーのブロック共重合体は、例えば、下記の一般式群(I)で表される直鎖状ブロック共重合体、又は下記の一般式群(II)で表される直鎖状ブロック共重合体若しくはラジアルブロック共重合体を包含するものである。
(A−B)n、A−(B−A)n、A−(B−A)n−B、B−(A−B)n・・・(I)
[(A−B)k]m−X、[(A−B)k−A]m−X、[(B−A)k]m−X、[(B−A)k−B]m−X・・・(II)
Aは、例えばビニル芳香族炭化水素ユニットを主体とする重合体ブロックを示す。
Bは、例えば1つの共役ジエンユニットもしくは共役ジエンユニット水素添加物を主体とする重合体ブロックを示す。
Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k及びmは、1以上の整数を示し、例えば1〜5である。
共役ジエンユニットとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3―ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンの単量体が挙げられる。特に、最終的に得られる樹脂凸版印刷版の耐摩耗性の観点から、1,3−ブタジエンが好ましい。これらの共役ジエンユニットは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
共役ジエンを主体とする重合体ブロックの、共役ジエン総量中のビニル含有量、例えば、1、2−ブタジエンや3、4−イソプレンの含有量は、特に限定されない。
また、共役ジエンユニット水素添加物とは、共役ジエンユニットの水素添加物を意味するものとし、水素添加方法については特に限定されない。
上述した共役ジエンユニットの水素添加物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族炭化水素ユニットとしては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、p−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等の単量体が挙げられる。特に、樹脂凸版印刷原版を比較的低温で平滑に成型できる観点から、スチレンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック共重合体全体、すなわち上記AとBの双方を含むブロック共重合体中におけるビニル芳香族炭化水素ユニットの含有量は、樹脂凸版印刷原版の良好な成形性を確保する観点から、25質量%以下が好ましい。
一方において、樹脂凸版印刷原版の耐コールドフロー性が高いという観点から、ビニル芳香族炭化水素ユニットの含有量は、13質量%以上が好ましい。ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素ユニットの含有量は、紫外線分光光度計(例えば、日立製作所製UV200)を用いて波長262nmに対する吸収強度を測定することにより求められる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場合は、目的とする樹脂凸版印刷版について、高解像度特性を得る観点から、エチレンユニット成分が50質量%以上90質量%以下であり、かつジエンユニット成分が10質量%以下であることが好ましい。さらには、エチレンユニット成分が60質量%以上80質量%以下であり、かつジエンユニット成分が5質量%以下であることがより好ましい。
エチレンユニット成分やジエンユニット成分の含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定できる。
熱可塑性エラストマー(A1)の数平均分子量(Mn)は、樹脂凸版印刷原版の耐コールドフロー性を確保する観点から、2万〜25万が好ましく、3万〜20万がより好ましく、4万〜15万がさらに好ましい。
数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算分子量である。
熱可塑性エラストマー(A1)は、軟化温度が50℃以上250℃以下であることが好ましく、60℃以上250℃以下であることがより好ましく、80℃以上200℃以下であることがさらに好ましく、80℃以上140℃以下であることがさらにより好ましい。
軟化温度が50℃以上であれば、常温下で固体であるため、シート状や円筒状に加工したものを変形させることなく容易に取り扱うことができる。
また軟化温度が250℃以下であると、通常の加工装置によりシート状や円筒状に加工でき、さらには混合する他の化合物の変質や分解を防止できる。
軟化温度は、動的粘弾性測定装置により測定できる。具体的には対象物の温度を室温から上昇させ、粘性率が大きく変化する(粘性率曲線の傾きが変化する)最初の温度により定義する。
(樹脂組成物(A2))
樹脂組成物(A2)は、熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物である。
熱可塑性エラストマー(A1)の含有量は、樹脂組成物(A2)の全体量を100質量%としたとき、樹脂凸版印刷原版の耐コールドフロー性を確保する観点から、50質量%以上が好ましく、樹脂凸版印刷原版の良好な成形性を確保する観点から95質量%以下が好ましい。また、上記観点から、60質量%以上90質量%以下の範囲がより好ましく、70質量%以上90質量%以下の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物(A2)は、光・熱・電子線を照射することにより硬化させることができ、これらの硬化物も樹脂凸版印刷原版の材料として用いることができる。効率的な生産性を得る観点から光硬化が好ましい。
光硬化方法には、紫外線硬化(真空紫外線を含む)等の方法があり、設備コストの観点から好適な方法である。
樹脂組成物(A2)の光硬化物は、熱可塑性エラストマー(A1)に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の光硬化物である。この場合、樹脂組成物(A2)を光硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A2)には、必要に応じて光重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
樹脂組成物(A2)の熱硬化物は、熱可塑性エラストマー(A1)に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の熱硬化物である。この場合、樹脂組成物(A2)を熱硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A2)には、必要に応じて熱重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
電子線処理により硬化する方法については、所定の電子線照射装置を用いて照射処理する方法が挙げられる。
(樹脂組成物(A3))
樹脂組成物(A3)は、20℃でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物である。
20℃でプラストマーである樹脂の含有量は、樹脂組成物(A3)の全体量を100質量%としたとき、樹脂凸版印刷版の耐刷性の観点から50質量%以上が好ましく、硬化性の観点から95質量%以下が好ましい。60質量%〜90質量%の範囲がさらに好ましく、65質量%〜85質量%の範囲がさらに好ましい。
樹脂組成物(A3)は、光・熱・電子線等による硬化物を、樹脂凸版印刷原版の材料として用いることができる。効率的な生産性を得る観点から光硬化物が好ましい。
光硬化方法には、紫外線硬化(真空紫外線硬化を含む)等の方法があるが、紫外線硬化が設備コストの観点から好ましい。
樹脂組成物(A3)の光硬化物は、後述する20℃でプラストマーである樹脂に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の光硬化物である。この場合、樹脂組成物(A3)を光硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A3)には、必要に応じて光重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
樹脂組成物(A3)の熱硬化物は、後述する20℃でプラストマーである樹脂に後述する重合性モノマーが混合されている樹脂組成物の熱硬化物である。この場合、樹脂組成物(A3)を熱硬化型エラストマーと呼ぶことがある。また、樹脂組成物(A3)には、必要に応じて熱重合開始剤等の添加剤を混合してもよい。
電子線処理により硬化する方法については、所定の電子線照射装置を用いて照射処理する方法が挙げられる。
<20℃でプラストマーである樹脂>
樹脂組成物(A3)に含有される20℃でプラストマーである樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリイソプレン等の炭化水素類;アジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル類;脂肪族ポリカーボネート、ポリカーボネートジオール等のポリカーボネート類;ポリジメチルシロキサン等のシリコン類;(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のポリハロオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポリイミド等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、適宜上記樹脂の共重合体を用いてもよい。
20℃でプラストマーである樹脂は、樹脂凸版印刷版の耐刷性の観点からウレタン結合を有しているものであることが好ましく、さらに凸版印刷インキ耐性の観点からエーテル結合、カーボネート結合、エステル結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を有しているものが好ましい。
上記20℃でプラストマーである樹脂は下記の方法により作製できる。
例えば、エーテル結合、カーボネート結合、エステル結合を有し、かつ、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、アルコキシカルボニル基等の反応性基を1つ又は2つ以上有する分子量が数千程度の化合物と、これらの反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物(例えば、ポリイソシアネート等)とを反応させ、分子量の調節及び分子末端の結合性基への変換等を行い、その後、この分子末端の結合性基と反応し得る官能基と重合性不飽和基を具備する有機化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する方法等により作製できる。
上記各種反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4'−トリイソシアネート等のトリイソシアネート化合物等が挙げられる。
20℃の条件下でプラストマーである樹脂は、上記ウレタン結合に加えて、さらにエーテル結合、カーボネート結合、エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を有している樹脂であることが好ましい。このような樹脂は、後述するエーテル結合を有する化合物、カーボネート結合を有する化合物、エステル結合を有する化合物を樹脂の合成段階において用いて作製できる。
20℃でプラストマーである樹脂の製造に用いられるエーテル結合を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、ポリ1,2−ブチレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンランダムまたはブロック付加物、ポリオキシエチレン/ポリオキシテトラメチレンランダム又はブロック付加物等が挙げられる。
これらの化合物が有する反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
20℃でプラストマーである樹脂の製造に用いられるカーボネート結合を有する化合物としては、例えば、4,6−ポリアルキレンカーボネートジオール、8,9−ポリアルキレンカーボネートジオール、5,6−ポリアルキレンカーボネートジオール等の脂肪族ポリカーボネートジオール、芳香族系分子構造を分子内に有する脂肪族ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
なお、前記ポリカーボネートジオールは、対応するジオールより、公知の方法(例えば、特公平5−29648号公報)により製造できる。
これらの化合物が有する反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。さらに、末端の水酸基やイソシアネート基等の反応性基は、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
20℃でプラストマーである樹脂の製造に用いられるエステル結合を有する化合物としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、シュウ酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼラン酸、セバシン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸化合物あるいはその酸無水物と、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピコナール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、末端水酸基を有する1,4−ポリブタジエン、末端水酸基を有する水添又は非水添1,2−ポリブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とを、
縮合反応させて得られるポリエステル類、ポリカプロラクトン等のポリエステル類等が挙げられる。
これらの化合物が有する反応性基と結合し得る官能基を複数有する化合物を縮合反応させることにより、ウレタン結合を導入するとともに、高分子量化させることができる。さらに、末端の水酸基、カルボキシル基あるいはイソシアネート基を、重合性不飽和基を導入するために用いることもできる。
20℃でプラストマーである樹脂は、目的とする樹脂凸版印刷版の機械的物性を確保する観点から、「分子内」に重合性不飽和基を有している樹脂であることが好ましい。
特に好ましい化合物としては、1分子あたり平均で0.7以上の重合性不飽和基を有する樹脂が挙げられる。重合性不飽和基の含有数を1分子あたり平均で0.7以上とすることは、樹脂凸版印刷版の良好な機械強度を実現する観点から好適である。1分子あたり0.7以上が好ましく、1を越える量が更に好ましい。また、1分子あたりの重合性不飽和基数の上限については特に限定しないが、好ましい範囲としては20以下である。1分子あたりの重合性不飽和基数を20以下とすることは、樹脂凸版印刷版表面近傍でのクラック等の発生を抑制する観点から好適である。1分子あたり平均重合性不飽和基の含有数は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
なお、上記において「分子内」とは、高分子主鎖の末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合等も含まれる。また、重合性不飽和基とは、ラジカル又は付加重合反応に関与する重合性官能基である。
20℃でプラストマーである樹脂に、重合性不飽和基を導入する方法としては、直接、重合性の不飽和基をその分子末端あるいは分子鎖中に導入する方法が挙げられるが、別法としては、他の分子鎖を介して重合性の不飽和基を間接的に導入する方法が挙げられる。
間接的に導入する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。まず、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基等の反応性基を複数有する化合物に、前記反応性基と結合しうる官能基を複数有する結合剤(例えばポリイソシアネート等)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行う。その後、反応によって得られた化合物と、この化合物の末端結合性基と反応する官能基及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて、末端に重合性不飽和基を導入する。
このような方法により、重合性不飽和基を導入できる。
20℃でプラストマーである樹脂は、特に、目的とする樹脂凸版印刷版をフレキソ印刷版として適用する場合のように、柔軟なレリーフ画像に対応する場合を考慮する場合には、20℃でプラストマーである成分の一部もしくは全部に、ガラス転移温度が20℃以下の液状樹脂、さらに好ましくはガラス転移温度0℃以下の液状樹脂を適用することが好ましい。
なお、前記液状樹脂が、20℃でプラストマーである成分中に占める割合としては、30質量%以上100質量%以下が好ましい。
また、最終的に得られる樹脂凸版印刷において、インキとして溶剤系インキ(特に、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル化合物、n−メチルピロリドン等の含窒素化合物を溶剤成分の10体積%以上含むインキ)を用いる場合、これらのインキに対して良好な耐性を確保する観点から、20℃でプラストマーである樹脂は、カーボネート結合、アミド結合、エステル結合、イミド結合、エーテル結合から選択される少なくとも1種類の結合を有するか、脂肪族炭化水素鎖、脂環族炭化水素鎖から選択される少なくとも1種類の分子鎖を有し、かつウレタン結合を有する化合物であることが好ましい。
20℃でプラストマーである樹脂の数平均分子量は、最終的に目的とする樹脂凸版印刷版において、実用上十分な強度を確保する観点から1000以上であることが好ましく、樹脂凸版印刷原版において、良好な加工性を確保する観点から20万以下が好ましい。20℃でプラストマーである樹脂の数平均分子量は、2000以上10万以下であることがより好ましく、5000以上5万以下であることがさらに好ましい。
なお、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定し、分子量既知のポリスチレンで検量し換算した値である。
(重合性モノマー)
上述した樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)は、重合性モノマーを含有しているものとすることができる。
重合性モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ビニルトルエン、スチレン、ジビニルベンゼン等のオレフィン類;アセチレン類;(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体;ハロオレフィン類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその誘導体;酢酸ビニル類;N−ビニルピロリドン;N−ビニルカルバゾール;N−置換マレイミド化合物等が挙げられる。特に、種類の豊富さ、価格、レーザ加工性等の観点から、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体が好ましい。
前記誘導体としては、例えば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基等を有する脂環族化合物、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、あるいはナフタレン骨格、アントラセン骨格、ビフェニル骨格、フェナントレン骨格、フルオレン骨格等を有する芳香族化合物、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、グリシジル基等を有する化合物、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化合物、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物等が挙げられる。また、窒素、硫黄等の元素を含有した複素芳香族化合物であってもよい。
前記(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体の、具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオール等のアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート;イソボロニル(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の製造物である樹脂凸版印刷版において、特に硬度を高くするためには、上記重合性モノマーとして、開環付加反応するエポキシ基を有する化合物を用いることが好ましい。
開環付加反応するエポキシ基を有する化合物としては、種々のジオールやトリオール等のポリオールにエピクロルヒドリンを反応させて得られる化合物、分子中のエチレン結合に過酸を反応させて得られるエポキシ化合物等が挙げられる。
具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが付加した化合物のジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコールアジペート)ジオールジグリシジルエーテル、ポリ(カプロラクトン)ジオールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−1'−メチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、アジピン酸ビス[1−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル]エステル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ポリブタジエンやポリイソプレン等のポリジエンに過酢酸を反応させて得られるポリエポキシ化合物、エポキシ化大豆油等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、重合性モノマーとしては、多官能チオール化合物が挙げられる。
多官能チオール化合物としては、アルキル基にメルカプト基が結合したチオール、チオグリコール酸誘導体、メルカプトプロピオン酸誘導体等が挙げられる。
特に、チオグリコール酸誘導体やメルカプトプロピオン酸誘導体は、任意のポリオールと、グリコール酸やメルカプトプロピオン酸とのエステル化により、さまざまな構造の多価チオールが得られる。アルキル基にメルカプト基が結合したチオールとしては、o−、m−、p−キシレンジチオール等が挙げられる。
チオグリコール酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、及びペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
メルカプトプロピオン酸誘導体としては、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、及びトリヒドロキシエチルトリイソシアヌール酸トリスチオプロピオネート等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上述した重合性モノマーの全体量の、少なくとも20質量%、より好ましくは50〜100質量%が、脂環式官能基及び/又は芳香族官能基を有する化合物であることが好ましい。
脂環式官能基及び/又は芳香族官能基を有する重合性モノマーを用いることにより、目的とする樹脂凸版印刷版の機械的強度及び耐溶剤性の向上が図られる。
重合性モノマーが有する脂環式官能基としては、例えば、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、シクロアルケン骨格及びビシクロアルケン等が挙げられ、脂環式官能基を有する光重合性モノマーとしては、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。重合性モノマーの有する芳香族官能基としては、ベンジル基、フェニル基、フェノキシ基、フルオレン基等が挙げられ、芳香族官能基を有する光重合性モノマーとしては、ベンジルメタクリレートやフェノキシエチルメタクリレート等が挙げられる。芳香族官能基を有する光重合性モノマーは、窒素、硫黄等をヘテロ原子として含有する芳香族化合物であってもよい。
更に、目的とする樹脂凸版印刷版の反撥弾性を高めるためには、印刷版用感光性樹脂に関する公知の技術知見(例えば、日本国特開平7−239548号に記載されているメタクリルモノマー等)を利用して、重合性モノマーを適宜選択することが好ましい。
上述した重合性モノマーの含有量は、樹脂凸版印刷原版を形成する組成物全体量を100質量%としたとき、目的とする樹脂凸版印刷版の凸部において高い耐カケ性を得るという観点からは1質量%以上とし、樹脂凸版印刷版の高い柔軟性を得るという観点からは50質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上30質量%以下の範囲がより好ましく、4質量%以上20質量%以下の範囲がさらに好ましい。
重合性モノマーの数平均分子量(Mn)は、不揮発性確保の観点から100以上であり、ポリマー等の他成分との相溶性の観点から1000未満であることが好ましく、また、重合性モノマーは、重合性不飽和基を有する有機化合物であることが好ましい。
数平均分子量は、200以上800以下であることがより好ましい。
ここで、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリスチレン換算分子量であるものとする。
(光重合開始剤)
前記樹脂凸版印刷原版の構成材料としては、上述した樹脂組成物(A2)及び/又は上述した樹脂組成物(A3)の光硬化物が好ましく用いられる。
前記樹脂凸版印刷原版を構成する材料として、樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)の光硬化物を適用する場合には、光重合開始剤を用いる。
光重合開始剤とは、光のエネルギーを吸収し、ラジカルを発生する化合物であり、崩壊型光重合開始剤、水素引抜き型光重合開始剤、水素引き抜き型光重合開始剤として機能する部位と崩壊型光重合開始剤として機能する部位を同一分子内に有する化合物等が挙げられる。
各種有機カルボニル化合物や、特に芳香族カルボニル化合物が好適である。
光重合開始剤の含有量は、本実施の形態における樹脂凸版印刷版の作製工程において、樹脂凸版印刷版の耐刷性や、樹脂凸版印刷原版の剥離が容易く確実に行われるようにする観点から、樹脂凸版印刷原版を形成する組成物全体量を100質量%としたとき、0.1質量%〜10質量%の範囲とすることが好ましく、0.5質量%〜5質量%の範囲とすることがより好ましい。
光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3',4,4'−テトラメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ミヒラーケトン;ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、トリクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6− トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9−フェニルアクリジン;アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾニウム化合物、テトラゼン化合物等のアゾ化合物類が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(熱重合開始剤)
前記樹脂凸版印刷原版の構成材料としては、上述した樹脂組成物(A2)及び/又は上述した樹脂組成物(A3)の熱硬化物も好適なものとして用いられる。
前記樹脂凸版印刷原版を構成する材料として、樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)の熱硬化物を適用する場合には、熱重合開始剤を用いる。
熱重合開始剤として好適な化合物としては、ラジカル重合反応、開環重合反応に使用できる全ての熱重合開始剤がある。
ラジカル重合反応に用いられる熱重合開始剤として、例えば、有機過酸化物、無機過酸化物、有機珪素過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、チオール化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。
また、開環重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、マイクロカプセル中に熱重合開始材を入れた潜在性熱重合開始剤が好ましい。
熱重合開始剤の含有量は、樹脂凸版印刷原版の組成物全体量を100質量%としたとき、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
熱重合開始剤の含有率が上記範囲であれば、十分な熱硬化を行うことができ、表面の粘着性の低減化が図られる。
熱重合開始剤としては、優れた熱硬化性を有している観点から、有機過酸化物が特に好ましい。
具体例としては、ペルオキシエステル類、例えば、過オクタン酸t−ブチル、過オクタン酸t−アミル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、ペルオキシマレイン酸t−ブチル、過安息香酸t−アミル、ジペルオキシフタール酸ジ−t−ブチル、過安息香酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジペルオキシケタール、例えば、1,1−ジ(t−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン及びエチル3,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチレート、ある種のジアルキルペルオキシド、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及び2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ある種のジアシルペルオキシド、例えば、ジベンゾイルペルオキシド及びジアセチルペルオキシド、ある種のt−アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド及びクミルヒドロペルオキシドが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(補助添加成分)
上述した樹脂組成物(A2)及び樹脂組成物(A3)には、必要に応じて補助添加成分が含有されていてもよい。
例えば、可塑剤、極性基含有ポリマー、熱重合防止剤、酸化防止剤、微粒子、界面活性剤、シリコンオイル等の表面処理剤、含フッ素モノマー、石油ワックス類、炭化水素鎖を有するモノマー、光ルミネセンスタグ(外部エネルギー源によって励起され、得られたエネルギーを光及び/又は放射線の形で放出する物質)、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料・顔料等が挙げられる。
補助添加成分全成分の添加量は、樹脂凸版印刷原版を構成する樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)の全体量を100質量%としたとき、10質量%〜50質量%であることが好ましく、15質量%〜40質量%であることがより好ましい。
<補助添加成分:可塑剤>
樹脂組成物(A2)、及び樹脂組成物(A3)には、良好なレーザ加工性を得る観点から、可塑剤を含有させることが好ましい。
可塑剤としては、例えば、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油;液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体等の液状のジエンを主体とする共役ジエンゴム;数平均分子量2000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられ、末端にヒドロキシル基やカルボキシル基を有していてもよい。これらには(メタ)アクリロイル基等の光重合性の反応基が付与されていてもよい。
これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤の添加量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、10質量%〜30質量%であることが好ましく、15質量%〜25質量%であることがより好ましい。
<補助添加成分:極性基含有ポリマー>
極性基含有ポリマーとしては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、燐酸基、スルホン酸基等の親水性基、それらの塩等の極性基を有する水溶性又は水分散性共重合体が挙げられる。
さらに具体的には、カルボキシル基含有NBR、カルボキシル基含有SBR、カルボキシル基を含有した脂肪族共役ジエンの重合体、燐酸基、又はカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物の乳化重合体、スルホン酸基含有ポリウレタン、カルボキシル基含有ブタジエンラテックス等が挙げられる。
目的とする樹脂凸版印刷版において高い解像度を得る観点から、カルボキシル基含有ブタジエンラテックスが好ましい。
これらの極性基含有ポリマーは単独でもよく、2つ以上を併用してもよい。
極性基含有ポリマーの添加量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、10質量%〜30質量%であることが好ましく、15質量%〜25質量%であることがより好ましい。
<補助添加成分:熱重合防止剤、酸化防止剤>
熱重合防止剤・酸化防止剤としては、樹脂材料又はゴム材料の分野において通常使用されるものを用いることができる。
具体的には、フェノール系、ホスファイト系の材料が挙げられる。
フェノール系の材料の具体例としては、ビタミンE、テトラキス−(メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4'−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス〔3‐(3,5−ジ−t−ブチル−4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス−(6−t−ブチル−p−クレゾール)、1,3,5−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
また、ホスファイト系の具体例としては、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリスデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト化合物等が挙げられる。
これらの熱重合防止剤・酸化防止剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱重合防止剤・酸化防止剤の含有量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜7.5質量%の範囲がより好ましく、0.1〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
<補助添加成分:微粒子>
樹脂組成物(A2)、及び樹脂組成物(A3)には、更に、無機系微粒子、有機系微粒子、有機無機複合微粒子等の微粒子を添加してもよい。
有機系微粒子としては、例えば、ポリシロキサン骨格、ポリスチレン骨格、ポリ(メタ)アクリル酸エステル骨格、ポリイミド骨格、ポリウレタン骨格、ポリアクリロニトリル骨格から選ばれる少なくとも1種の骨格を有する微粒子;無孔質微粒子が挙げられる。レーザによる変質が無い観点から、無機系微粒子が好ましい。
有機系微粒子の具体例としては、例えば、シリコンゴム、架橋アクリル酸微粒子、架橋アクリル酸多孔質微粒子、架橋ポリスチレン等が挙げられる。
無機系微粒子の具体例としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化錫、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、ホウ素酸アルミニウム、酸化ニッケル、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化鉄、及び酸化セリウムよりなる群から選択される少なくとも1種類を主成分とする化合物が挙げられる。
上記微粒子は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
有機系微粒子を用いる場合、耐熱性の高い微粒子であることが好ましい。
耐熱性の指標として、不活性ガス中での熱重量分析において50質量%減少温度が、400℃以上であることが好ましく、450℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることがさらに好ましい。
耐熱性の高い有機系微粒子を用いることにより、目的とする樹脂凸版印刷版の、高解像度化が測られる。
前記熱重量分析としては、所定のサンプルを用いてこれを加熱して重量を測定する方法を適用する。
微粒子は、表面がシランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の有機化合物等で被覆(表面改質処理)され、より親水性化あるいは疎水性化したものであってもよい。
このような表面処理を行う有機化合物としては、重合性不飽和基を有する化合物を用いることができる。
微粒子として親水化された微粒子を用いることは、得られる樹脂凸版印刷版の解像度の点から好ましい。
微粒子の1次粒子の数平均粒子径は、樹脂凸版印刷原版において良好なレーザ加工性を得る観点から、5nm以上300μm以下であることが好ましく、10nm以上100μm以下であることがより好ましく、10nm以上10μm以下であることがさらに好ましい。
なお、微粒子の1次粒子の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、モニター上に写される画像を基に測定できる。モニター上に写される1次粒子が、少なくとも100個以上存在する状況で、各1次粒子の粒子径が測定される。写真に撮って計測する方法、画像処理ソフトウェアを用いて処理する方法のいずれも適用できる。
微粒子の粒子形状は、特に限定されない。
例えば、球状、扁平状、針状、無定形、あるいは表面に突起のある形状等が挙げられ、特に耐磨耗性を得る観点からは、球状粒子が好ましい。
また、内部が空洞になっている粒子、シリカスポンジ等の均一な細孔径を有する球状顆粒体等も使用できる。例えば、多孔質シリカ、メソポーラスシリカ、シリカ−ジルコニア多孔質ゲル、メソポーラスモレキュラーシーブ、ポーラスアルミナ、多孔質ガラス等が挙げられる。
また、層状粘土化合物等のように、層間に数nm〜100nmの空隙が存在するものも微粒子として適用できる。このような化合物においては、層間に存在する空隙(すなわち面間隔)を細孔径と定義し、層間に存在する空間の総量を細孔容積と定義する。これらの値は、窒素の吸着等温線から求められる。
微粒子の平均細孔径は、目的とする樹脂凸版印刷版において高解像度を得る観点から1nm〜1000nmが好ましく、2nm〜200nmがより好ましく、2nm〜50nmがさらに好ましい。
微粒子の平均細孔径は、窒素吸着法を用いて測定した値であるものとする。
また、細孔径分布も、−196℃における窒素の吸着等温線から求めることができる。
微粒子の細孔容積は、目的とする樹脂凸版印刷版において高解像度を得る観点から、0.1mL/g以上であるものとし、高い機械的強度を得る観点から10mL/g以下が好ましく、0.2mL/g〜5mL/gがより好ましい。
微粒子の細孔容積は、窒素吸着法により求められる。具体的には、−196℃における窒素の吸着等温線から求められる。
微粒子の比表面積は、10m2/g以上1000m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上800m2/g以下がより好ましく、100m2/g以上500m2/g以下がさらに好ましい。比表面積の値をこのような範囲とすることは、目的とする樹脂凸版印刷版において高い解像度を得る観点から好適である。
なお、本実施形態における比表面積は、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる値である。
微粒子の吸油量は、微粒子100gが吸収する油の量と定義する。
本実施形態においては、微粒子の吸油量は、目的とする樹脂凸版印刷版において高い解像度を得る観点から、10mL/100g以上であることが好ましく、高い機械的強度を確保する観点から2000mL/100g以下であることが好ましく、50mL/100g〜1000mL/100gであることがより好ましい。吸油量の測定は、JIS−K5101で行うことができる。
微粒子は、上述した無孔質超微粒子を実現する観点から、火炎加水分解法、アーク法、プラズマ法、沈降法、ゲル化法、溶融固体法のいずれかの方法で製造される微粒子であることが好ましい。
火炎加水分解法、アーク法、プラズマ法は、熱分解法又は高熱法(乾式法)とも呼ばれている。
また、沈降法、ゲル化法は湿式法とも呼ばれる方法である。これらのうち、乾式法、特に火炎加水分解法によるものが好ましい。
微粒子の含有量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.1〜20質量%が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。
<補助添加成分:界面活性剤>
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性の界面活性剤が用いられる。
ノニオン性界面活性剤、特に、水素結合性官能基を有する非イオン性界面活性剤を用いると、微粒子の分散性改善効果が顕著となるため特に好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば「新・界面活性剤入門 藤本武彦著 昭和60年11月1日発行 三洋化成工業株式会社」の92頁 第2・5・1表に記載のあるポリエチレングリコール型及び多価アルコール型のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
前記ポリエチレングリコール型のノニオン性界面活性剤としては、例えば各種疎水性基にエチレンオキサイドを付加させ親水性基を導入した化合物が挙げられる。具体的には、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
多価アルコール型の非イオン性界面活性剤としては、親水性の多価アルコールに疎水性の脂肪酸をエステルあるいはアミド基を介して結合させた化合物が挙げられる。例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。
上述したノニオン性界面活性剤のHLB(親水親油バランス)値は、3〜12が好ましい。
上述した多価アルコール型のノニオン性界面活性剤としては、前記ポリエチレングリコール型界面活性剤として分類される炭素数8〜24の高級アルコールのポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェノールのポリオキシエチレンエーテル、ポリプロピレングリコールのポリオキシエチレンエーテル(プルロニック型)等が好ましい。特に、炭素数8〜24の高級アルコールのポリオキシエチレンエーテルが好ましい。炭素数8〜24の前記高級アルコールのポリオキシエチレンエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン合成アルコールエーテル(合成アルコール中の炭素数12〜15)、ポリオオキシエチレンオレイルエーテル等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合割合は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、樹脂凸版印刷版の機械的強度の観点から0.01質量%以上とし、レーザ加工性の観点から5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。
<補助添加成分:シリコンオイル等の表面処理剤>
シリコンオイル等の表面処理剤としては、シリコンオイルやシランカップリング剤やシラン化合物が挙げられる。
シリコンオイルとは、メチル基を代表とするアルキル基を有するアルキルシロキサンを主たる骨格とするオリゴマーもしくはポリマーのことをいう。樹脂凸版印刷原版内の相溶性の観点から、シリコンオイルを用いるのが好ましい。
シリコンオイルは、反応性のものでも、非反応性のものでもよい。
反応性シリコンオイルとしては、特に限定されないが、例えば、メタクリル変性、アクリル変性、ビニル変性、アリル変性、水酸基変性、エポキシ変性、カルビノール変性、カルボキシル変性、アミノ変性、ウレタン変性、シンナモイル変性、アセチレン変性、チオール変性、オキセタン変性のものが挙げられる。また、トリメチルシロキシエチルメタクリレート等も挙げられる。
非反応性シリコンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、高級アルコキシ変性、フェニル変性、高級脂肪酸アミド変性、フッ素変性のものが挙げられる。
樹脂凸版印刷原版内の相溶性の観点から、反応性シリコンオイルが好ましく、シリコンオイル分子内にラジカル反応基を有するメタクリル変性、アクリル変性、ビニル変性、アリル変性のものがより好ましい。
これらの反応性シリコンオイルの変性基は、珪素原子と直接結合していてもよいし、もしくは珪素原子に結合している炭化水素基の水素原子の1個又は2個以上と置換されていてもよい。
これらのシリコンオイル等の表面処理剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物にシリコンオイル等の表面処理剤を用いる場合の含有量については、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.3〜2質量%がさらに好ましい。
<補助添加成分:含フッ素モノマー>
含フッ素モノマーとしては、重合性の官能基を有する含フッ素モノマーが好ましい。
重合性の官能基を有する含フッ素モノマーとしては、二重結合、三重結合、エポキシ基、オキセタン骨格又はケテンアセタール骨格を有するモノマー等が挙げられる。
具体的には、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという。)、ビニリデンフルオライド(以下、VdFという。)、トリフルオロエチレン、1,2−ジフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという。)、3,3,3−トリフルオロプロペン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、パーフルオロ(ブチルエチレン)等の、直鎖状又は分岐状の脂肪族フルオロオレフィン類、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(以下、PMVEという。)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEという。)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(以下、BVEという。)等のパーフルオロ(アルケニルビニルエーテル)、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(以下、PDDという。)、パーフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等のエーテル性酸素原子含有環状パーフルオロオレフィン、(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(以下、FHAという。)、(パーフルオロヘプチル)メチルアクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート(以下、FOAという。)等の(パーフルオロアルキル)エチルアクリレート、(パーフルオロブチル)エチルメタクリレ−ト、(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート(以下、FHMAという。)、(パーフルオロヘプチル)メチルメタクリレート、(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(以下、FOMAという。)等の(パーフルオロアルキル)エチルメタクリレート、α−フルオロスチレン、β−フルオロスチレン、α,β−ジフルオロスチレン、β,β−ジフルオロスチレン、α,β,β−トリフルオロスチレン、α−トリフルオロメチルスチレン、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、パーフルオロ(スチレン)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−α−メチルスチレン等のフルオロスチレン等が挙げられる。特に、パーフロロオクチルメタクリレート等の長炭素鎖を有する化合物が好ましい。
上述した含フッ素モノマーは、重合性の官能基以外の官能基を有していてもよい。
これらの含フッ素モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物に含フッ素モノマーを用いる場合、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、0.1〜1質量%である。
<補助添加成分:石油ワックス類>
石油ワックス(パラフィン)類は、炭化水素鎖が直鎖状であるn−パラフィン、分岐鎖状であるイソパラフィン、及び環状であるシクロパラフィンに大別される。
特に、融点が65℃以下のものが好ましく、融点が60℃以下のものがさらに好ましい。これにより、樹脂組成物中に添加した際に、ワックスが固形になることを防止できる。
これらの石油ワックス類は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物に石油ワックス類を用いる場合、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。更に好ましい範囲は、0.1〜1.5質量%である。
<補助添加成分:炭化水素鎖を有するモノマー>
炭化水素鎖を有するモノマーとしては、デカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、パルミチン酸ビニルのような脂肪族又は芳香族カルボン酸のビニルエステル類、デカン酸アリル、ステアリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリルのような脂肪族又は芳香族のアリルエステル類、ビニルエチルエーテル及び/又はビニルポリエーテルのようなアルキルビニルエーテル類が挙げられる。
炭化水素鎖を有するモノマーを用いることにより、最終的に得られる樹脂凸版印刷版がインキ汚れしにくくなる傾向がある。
これらの炭化水素鎖を有するモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭化水素鎖を有するモノマーも添加量は、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、0.5〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましく、0.5〜1質量%がさらに好ましい。
<補助添加成分:光ルミネセンスタグ>
樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)には、レーザ加工性を損なわない範囲で、光ルミネセンスタグを含有してもよい。
光ルミネセンスタグとは、公知の技術知見(例えば、日本国特開2006−215545号)に記載されているように、可視光、赤外線または紫外線によって刺激されまたは励起された光及び/又は放射線を発生する物質のことを意味する。たとえば、有機光ルミネセンスタグや無機光ルミネセンスタグが挙げられる。
有機光ルミネセンスタグとしては、例えば、ピレン、ペリレン、クマリン、ルブレン、およびこれらの誘導体等の蛍光化合物;ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)等の共役ポリマーが挙げられる。
また、無機光ルミネセンスタグとしては、例えば、イオウ、セレン、アルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム等)を含む結晶母材である。さらに一種類以上の活性剤を含む。活性剤としては、重金属又は遷移金属、例えばユーロピウム、サマリウム、ビスマス等が挙げられる。
これらの光ルミネセンスタグを有するモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述した光ルミネセンスタグを用いる場合、樹脂組成物(A2)及び/又は(A3)全体量を100質量%としたとき、1000ppm未満が好ましく、750ppm未満がより好ましい。更に好ましい範囲は、200ppm未満である。
<補助添加成分:近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料・顔料>
樹脂組成物(A2)、樹脂組成物(A3)には、レーザ加工性を損なわない範囲で、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料、顔料等を含有してもよい。
なお、近赤外線領域とは、波長が700nm以上3000nm以下の領域と定義する。
これらの補助添加成分は、樹脂凸版印刷原版のレーザ光透過率を考慮して含有量を決定する。レーザ発振波長に吸収を有さない成分であれば、含有量は多くてもよい。
例えば、樹脂凸版印刷原版に対して355nmの紫外線波長で加工を行う場合、上記光線透過率の範囲内であれば、355nmに大きな吸収を持たない近赤外線吸収剤を含有してもよい。
同様に、例えば、樹脂凸版印刷原版に対して1064nmの近赤外線波長で加工を行う場合、上記光線透過率の範囲内であれば、1064nmに大きな吸収を持たない紫外線吸収剤を含有してもよい。
近赤外線吸収剤としては、例えば、フタロシアニン色素、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、インドリウム系色素、ベンズインドリウム系色素、ベンゾチアゾリウム系色素、キノリニウム系色素、顕色剤と反応させたフタリド化合物等が挙げられる。これらは、置換基の種類及び分子内における位置、共役結合の数、対イオンの種類、色素分子の存在する周囲の環境等により、光吸収特性が大きく変化する。また、一般に市販されているレーザ色素、過飽和吸収色素、近赤外線吸収色素を使用することもできる。
また、顕色剤と反応させたフタリド化合物(特許第3271226号公報)、リン酸エステル金属化合物(特開平6−345820号公報)、リン酸エステルと銅塩との複合体(WO99/10354号パンフレット)、さらには近赤外線領域に光吸収特性を有する数平均粒子径が0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の微粒子を用いることができる。微粒子の材料としては、酸化イットリウム、酸化錫及び/又は酸化インジウム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、金、銀、パラジウム、白金等の金属が挙げられる。更に、数平均粒子径が5μm以下、より好ましくは1μm以下の、ガラス等の微粒子中に銅、錫、インジウム、イットリウム、クロム、コバルト、チタン、ニッケル、バナジウム、希土類元素のイオン等の金属イオンを添加したものも用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、公知のベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系、金属錯塩系、ヒンダートアミン系の化合物が挙げられる。また下記に示す、染料・顔料を紫外線吸収剤として使用してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾ−ル、2−(3,5)−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−エトキシ−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等がある。
染料を紫外線吸収剤として使用する場合、例えば、C.I.ソルベントイエロ−19、C.I.ソルベントレッド84、C.I.ソルベントブル−2等が挙げられる。
炭素系材料としては、例えば1次粒子の数平均粒子径が5nm〜100nmのカーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
染料・顔料は、視認性向上のための着色手段として有効である。
染料としては、水溶性である塩基性染料、酸性染料、直接染料等が挙げられ、非水溶性である硫化染料、油溶染料、分散染料等が挙げられる。特にアントラキノン系、インジゴイド系、アゾ系構造の染料が好ましく、特にアゾ系油油溶染料等がより好ましい。
顔料としては、天然顔料、合成無機顔料、合成有機顔料等が挙げられ、合成有機顔料としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系が挙げられる。
顔料の具体例としては、「HELIOGEN BLUE D 6700」(商品名、BASF社製)、「PALIOGEN RED K 3580」(商品名、BASF社製)が挙げられる。
上述した近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料・顔料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
目的とする樹脂凸版印刷版の機械的物性を確保する観点から、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、炭素系材料、染料、顔料の含有量は、樹脂組成物(A2)及び/又は樹脂組成物(A3)全体量を100質量%としたとき、10ppm以上20000ppm以下が好ましく、50ppm以上10000ppm以下がより好ましく、100ppm以上5000ppm以下がさらに好ましい。
〔樹脂凸版印刷原版の物性:熱分解性〕
樹脂凸版印刷原版は、良好なレーザ加工性を確保する観点から、熱分解性の高いことが好ましい。
樹脂凸版印刷原版の熱分解性を高める手段としては、熱可塑性エラストマー(A1)を含む樹脂組成物(A2)、20℃でプラストマーである樹脂を含む樹脂組成物(A3)に、熱分解性の高い化合物を含有させることが挙げられる。
例えば、α−メチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合、カルバメート結合等を分子内に有する化合物は、熱分解性の高い化合物として適用できる。これらの中では、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、カーボネート結合を分子内に有する化合物が好ましく、カーボネート結合を分子内に有する化合物がより好ましい。
熱分解性の指標としては、不活性ガス雰囲気中でサンプルを加熱した際の重量減少を測定した熱重量分析法(TGA)のデータを適用できる。
樹脂凸版印刷原版は、例えば窒素雰囲気中、常温すなわち略20℃から昇温していき、重量が初期重量の80%になる温度が150℃以上400℃以下の範囲であるものが好ましく、250℃以上350℃以下の範囲であるものがより好ましく、250℃以上300℃以下の範囲であるものがさらに好ましい。
また、熱分解が狭い温度範囲で起こる化合物が好ましい。その指標として、前記熱重量分析において、重量が初期重量の80%になる温度と、重量が初期重量の20%になる温度との差が、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることがさらに好ましい。
〔支持体、接着剤層〕
上述した樹脂凸版印刷原版は、耐刷性や凸版印刷物の寸法安定性の観点から、支持体により支持されていることが好ましい。
支持体は、上述した工程(2)又は工程(4)の前段階に予め樹脂凸版印刷原版を支持している形態としてもよく、支持体の無い状態で上述した工程(2)又は工程(4)を行い、その後、支持体に付着等させることにより支持体により支持された形態とし、最終的に目的とする樹脂凸版印刷版としてもよい。
効率的な生産性を確保するという観点からは、支持体を工程(2)又は工程(4)の前段階として予め設けておくことが好ましい。
樹脂凸版印刷原版又は樹脂凸版印刷版に支持体を付着させる方法は、特に限定されるものではないが、熱ラミネート法が生産性の観点から好ましい。
工程(2)又は工程(4)の前段階として、樹脂凸版印刷原版が支持体によって支持された形態とする場合であって、支持体及び/又は接着剤層を、適用するレーザ波長に対する吸収性を有しない材料により形成されたものとする場合には、支持体及び/又は接着剤層は、樹脂凸版印刷原版の上下面のいずれに設けてもよい。
しかし、レーザ加工工程でレーザ照射が一方面のみである場合は、支持体や接着面をレーザ照射面とは反対側に設けるのであれば、適用するレーザ波長に対する吸収性を有している材料により形成してもよい。
具体的には、レーザ加工する方向が上側からのみであれば、下側の支持体はレーザ波長において吸収性を有していてもよい。
支持体は、一時的に樹脂凸版印刷原版を支持するものとしてレーザ加工工程の前に剥離してもよく、レーザ加工を行った後に再度付着させて、支持体を担持した樹脂凸版印刷版としてもよい。
支持体の材料について説明する。
例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等、ニッケルやアルミニウムなどの金属が挙げられる。
特に、厚さが75〜300μmの範囲である寸法安定なポリエステル樹脂が好ましい。
また、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の繊維で強化されたポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチック製スリーブ、ポリエチレンテレフタレート等も、円筒状支持体として好適である。
さらには、印刷機のシリンダーを支持体として用いることもできる。
この場合、例えば、シリンダー上に、上述した樹脂凸版印刷原版の構成材料(以下、単に樹脂組成物と言う)を直接成膜する。
上述したように、本実施の形態において、「支持体」とは、シート状支持体、円筒状支持体、シリンダー状支持体のいずれも含むものとする。
支持体として、中空円筒状の材料を適用することにより、支持体を印刷機へ取り付けたり取り外したりすることが容易となる。さらには円筒状の支持体を用いることにより、軸の廻りに回転させながら、上述した樹脂組成物を均一に塗布することができる。
また、中空円筒状支持体が強化プラスチック製であれば、強度を保ちながら接着剤層との接着力を維持できる。
支持体は積層構成としてもよい。
また、支持体は、種々の形態のものを適用できる。例えば、多孔質性のシートや、繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等も適用できる。
多孔質性シートを用いる場合、上述した樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることにより、樹脂組成物と支持体との間に高い接着性を得ることができる。
クロスや不織布を形成する繊維としては、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維等の無機系繊維、木綿、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維が挙げられる。
また、バクテリアが生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製できる材料であり、支持体の材料として好適である。
支持体は、繊維強化プラスチック、フィルム強化プラスチック、金属からなる群より選択される少なくとも1種類を主成分として含むことが、機械的強度を得る観点及び寸法安定性の観点から好適である。
また、寸法安定性の観点から、支持体は線熱膨張係数が小さいものであることが好ましい。
支持体の線熱膨張係数を小さくする方法として、例えば、充填剤を添加する方法、全芳香族ポリアミド等のメッシュ状クロス、ガラスクロス等に、上述した樹脂組成物を含浸させたり、被覆したりする方法が挙げられる。
充填剤としては、従来公知の有機系微粒子、金属酸化物あるいは金属等の無機系微粒子、有機・無機複合微粒子等が挙げられる。また、多孔質微粒子、内部に空洞を有する微粒子、マイクロカプセル粒子、低分子化合物が内部にインターカレーションする層状化合物粒子も用いられる。特に、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ゼオライト等の金属酸化物微粒子、ポリスチレン・ポリブタジエン共重合体からなるラテックス微粒子、高結晶性セルロース等の天然物系の有機系微粒子等が有用である。
上述した支持体と、これの上に成膜する樹脂凸版印刷原版との間には、所定の接着剤層を設けることが好ましい。
接着剤層としては、例えば、ポリウレタンやポリアミド、熱可塑性エラストマー等のバインダーポリマーと、イソシアネート化合物やエチレン性不飽和化合物等の接着有効成分とを含有する組成物が好適である。
さらに接着剤層には、種々の補助添加成分を含有させてもよい。例えば、可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤、光重合開始剤、光重合性モノマー、染料等が挙げられる。
上述した支持体と接着剤層との間において、更に高い接着力を得るために、支持体に予め所定の表面処理を施しておいてもよい。
例えば、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射法、火炎処理、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法等による化学的処理や、下引き層を設けることが好ましい。特に、下引き層を設けることが好ましい。
支持体がポリエステルフィルムである場合、下引き層の成分としては、(メタ)アクリレートの重合物が挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の重合物やその共重合物が用いられる。また、必要に応じて、これらの(共)重合物は、(メタ)アクリル酸やスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル等の共重合させたものであってもよい。
その他の下引き層の成分としては、ウレタン結合を有する化合物が挙げられる。特に、1つ以上の芳香環を有するイソシアネート化合物から得られるウレタン結合を有する化合物が好ましい。具体的には、後述する活性水素を有する化合物とイソシアネート基を有する化合物との反応物が挙げられる。活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、又はそれらのポリエーテルからなるポリエーテルジオール等のジオール類等が挙げられる。さらには、ポリエステル化合物も活性水素を有し得るため、ウレタン結合が生成できる。例えば、ポリエステル化合物の、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸等、アルコール成分としてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、それらのポリエーテルポリオール化合物等が挙げられる。これらジカルボン酸成分とアルコール成分(ジオール、ポリオール)の縮合物を使用ができる。ポリイソシアネートとしてはトルエンジイソシアネートや4,4−ジフェニレンメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが挙げられる。
下引き層は、例えば、上述したポリオールと多官能イソシアネートとの反応物を、所定の溶剤に溶かして支持体上で塗布し、乾燥させることにより形成できる。
〔クッション層〕
樹脂凸版印刷原版には、機能層として所定のクッション層を設けてもよい。
クッション層は、支持体層の下側(すなわち、樹脂凸版印刷原版側とは反対側)に設けてもよく、支持体と樹脂凸版印刷原版との間に設けてもよい。
ただし、独立あるいは連続気泡を層内に有するクッション層やレーザ波長で吸収するクッション層を樹脂凸版印刷原版の構成体の一部として設ける場合は、クッション層が設けられている側とは反対側の面からレーザを照射するようにする。
また、レーザ加工した後、クッション層を設けて、最終的な樹脂凸版印刷版を作製してもよい。
クッション層は、ショアA硬度が10以上70度以下、あるいはASKER−C型硬度計で測定したASKER−C硬度が20度以上85度以下のエラストマー層であることが好ましい。
ショアA硬度が10度以上あるいはASKER−C硬度が20度以上である場合、適度に変形するため、樹脂凸版印刷版を用いて印刷を行う場合、高い品質が確保できる。
また、ショアA硬度が70度以下あるいはASKER−C硬度が85度以下であれば、クッション層として十分に機能する。より好ましいショアA硬度の範囲は20〜60度、ASKER−C硬度では45〜75度の範囲である。ショアA硬度とASKER−C硬度は、クッション層に使用する材質により使い分けることが好ましい。2種類の硬度の違いは、測定に用いる硬度計の押針形状の違いに由来する。均一な樹脂組成の場合、ショアA硬度を用いることが好ましく、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の発泡性基材のように不均一な樹脂組成の場合には、ASKER−C硬度を用いることが好ましい。
なお、ASKER−C硬度は、JIS K7312規格に準拠する測定法である。
前記クッション層の材料は、特に限定されるものではなく、熱可塑性エラストマー、光硬化型エラストマー、熱硬化型エラストマー等のゴム弾性を有するものであれば、従来公知の材料をいずれも用いることができ、微細孔を有する多孔質エラストマー層であってもよい。
特に、シート状あるいは円筒状印刷版への加工性の観点から、光で硬化する液状感光性樹脂組成物を用い、硬化後にエラストマー化する材料(すなわち、光硬化後にエラストマー化する材料)が好ましい。
クッション層に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーであるSBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)やSEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン);オレフィン系熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;エステル系熱可塑性エラストマー;アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
クッション層に用いられる光硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに重合性モノマー、必要に応じて光重合開始剤等を混合したものや、その光硬化物、20℃でプラストマーである樹脂に光重合性モノマー、必要に応じて光重合開始剤等を混合した液状感光性樹脂組成物組成物の光硬化物等が挙げられる。
クッション層に用いられる熱硬化型エラストマーとしては、前記熱可塑性エラストマーに重合性モノマー、熱重合開始剤などを混合したものや、その熱硬化物、20℃でプラストマーである樹脂に重合性モノマー、熱重合開始剤等を混合した液状脂組成物組成物の熱硬化物が挙げられる。
上述したエラストマー類の他にも、硫黄架橋型ゴム、有機過酸化物、フェノール樹脂初期縮合物、キノンジオキシム、金属酸化物、チオ尿素などの非硫黄架橋型ゴム等のほか、テレケリック液状ゴムと反応する硬化剤を用いて3次元架橋させてエラストマー化したものも用いることができる。
クッション層は、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン等の材質よりなり、独立あるいは連続した気泡を層内に有している構成のものであってもよい。
市販品として入手可能なクッション材、クッションテープを使用してもよい。
クッション層は、クッション層の片面あるいは両面に接着剤あるいは粘着剤が塗布されたものであってもよい。
クッション層は、特に厚さが限定されるものではないが、通常0.05mm〜10mmであるものとする。
クッション層の数は特に限定されるものではないが、1層又は2層が好ましい。例えば、樹脂凸版印刷原版に近傍のエラストマー層として、耐インキ性に優れた材料を用い、その下層としてクッション性能の高いエラストマー層を設けた構成としてもよい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
先ず、下記の実施例及び比較例において用いる物性について下記に示す。
〔数平均分子量(Mn)〕
数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算分子量とした。ポリスチレンには分子量500〜1260000のものを使用した。
測定装置に、HLC−8020(東ソー社製、商品名)、カラムにTSKgelGMHXL(東ソー社製、商品名、4.6mmID×30cm)2本を使用した。
オーブン温度40℃、試料として樹脂濃度1質量%のテトラヒドロフラン(THF)溶液を調製し注入量100μLとし、検出器としてはRI検出器、展開液としてテトラヒドロフラン(1.0mL/min)を用いて測定を行った。
〔レーザ波長における光線透過率〕
レーザ波長における光線透過率(%)は、紫外・可視・近赤外分光光度計「V−570」(日本分光社製、商品名)を用いた測定値とした。
測定台として、FLH−467(日本分光社製、商品名)を使用し、ソフトウェアはSpectraManager(日本分光社製、商品名、バージョン1.53.01)を使用し、バンド幅2nm、走査速度400nm/min、データ取り込み間隔2nmで測定を行った。
サンプルとして、支持体を有さない場合は樹脂凸版印刷原版のみ、支持体を有する場合は支持体と樹脂凸版印刷原版との厚さを含めて全体厚を3mmとして測定した。
〔1パルスでレーザ加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分の拡がり〕
樹脂凸版印刷原版を用いて1パルスだけレーザ加工を行い、変質部分の拡がりを測定した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.5未満であり、1パルスあたりの仕事率は、22.7kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光レンズとしてはf60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、樹脂凸版印刷原版を固定し、樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
レーザ焦点部分は、樹脂凸版印刷原版の内部(厚さ方向はステージから1.5mmの箇所)に設定した。
レーザ加工された変質部分をカットし、断面部分を、顕微鏡で観察することで変質部分の拡がりを観測した。最も長い径(例えば楕円であれば長径方向)を、変質部分の拡がりと定義した。
〔熱分解性評価〕
樹脂凸版印刷原版の熱分解性評価は、熱重量分析(TGA)装置として、SII(セイコーインスツルメント)社製、TG/DTA320(商品名)を用いて行った。
測定条件は、窒素雰囲気下(窒素流量250mL/分)、昇温速度10℃/分、測定温度は常温から600℃までの温度範囲とした。
樹脂凸版印刷原版10mgをアルミパン上に配置して上記条件で加熱し、樹脂凸版印刷原版の重量が初期重量の80%になる温度と、初期重量20%になる温度を検出した。
〔改質面及び/又は部分的分離面の剥離力〕
剥離力測定用サンプルは、樹脂凸版印刷原版を、1cm幅×10cm長の短冊状に切断し、中間部分(底部から約1.5mm)を1cm幅×10cm長全面をレーザ加工することで作製した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.5未満であり、1パルスあたりの仕事率は、22.7kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光レンズとしてはf60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、樹脂凸版印刷原版を固定し、樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
レーザ焦点部分は、樹脂凸版印刷原版の内部(厚さ方向はステージから1.5mmの箇所)に設定した。
レーザ加工したサンプルを温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室内に一日放置した後、5cm長程度強制的に改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥離した後、引っ張り試験機を用いて、180゜の角度で、50mm/分の速度で、支持体あるいはレーザ加工された樹脂凸版印刷原版を引張することにより、改質面及び/又は部分的分離面に沿って、強制剥離部分から改質面及び/又は部分的分離面での剥離を進行させて測定した。
引っ張り試験機は、「AUTOGRAPH AGS−100G」(株式会社島津製作所製、商品名)を使用した。
[参考例1]
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物1を作製した。
先ず、以下の方法により、20℃でプラストマーである樹脂成分を調製した。
1000gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ジオール(水酸基価:37KOHmg/g)と、1000gのポリオキシエチレン(EO)−オキシプロピレン(PO)ブロック共重合ジオール(水酸基価:44KOHmg/g、EO含量30質量%)とを混合し、この混合物に対して45ppmのジブチル錫ジラウレート(以下、BTLと記載する。)を加え、40℃で均一になるまで攪拌した。
次に、148.5gのトリレンジイソシアネート(以下、TDIと記載する。)を加え、さらに攪拌して均一にし、80℃まで昇温した後、約4〜5時間反応させて、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー前駆体とした。
さらに、436.0gのポリ(オキシプロピレン)グリコールモノメタアクリレート(平均分子量380、以下PPMAと記載する)を加えて、約2時間反応させ、その後、サンプルを一部取り出してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確認し、上記(GPC)により求めた数平均分子量が17000の、20℃でプラストマーである樹脂成分のポリウレタン系不飽和プレポリマー1を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー1は、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しないプラストマーであることが確認された。
上記のようにして作製したポリウレタン系不飽和プレポリマー1を74質量部、重合性モノマーであるラウリルメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるポリプロピレン(平均n=5)グリコールモノメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを12質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを0.75質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.6質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1質量部調合し、攪拌羽根とモータ(商品名:スリーワンモーター)を設けたセパラブルフラスコに加え、60℃、空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。得られた混合物を40℃まで冷却し、そのまま40℃で放置することで脱泡した。これにより、20℃でプラストマーである成分を含有する樹脂組成物1が得られた。
[参考例2]
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物2を作製した。
先ず、以下の方法により、20℃でプラストマーである樹脂成分を調製した。
1000gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ジオール(水酸基価:37KOHmg/g)と1000gのポリオキシエチレン(EO)−オキシプロピレン(PO)ブロック共重合ジオール(水酸基価:44KOHmg/g、EO含量30wt%)とを混合し、この混合物に対して45ppmのBTLを加え40℃で均一になるまで攪拌した。
次に、189.5gのTDIを加えてさらに攪拌して均一とし、80℃まで昇温した後、約4〜5時間反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー前駆体とした。
さらに、462.5gのPPMAを加えて、約2時間反応させた後、サンプルを一部取り出してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確認し、前記(GPC)により求めた数平均分子量が8500の、20℃でプラストマーである樹脂成分として、ポリウレタン系不飽和プレポリマー2を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー2は、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しないプラストマーであることが確認された。
得られたポリウレタン不飽和プレポリマー2を80質量部、重合性モノマーであるポリプロピレン(平均n=5)グリコールモノメタクリレートを8質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを8質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを4.5質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.25質量部、光重合開始剤であるベンゾフェノンを0.2質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1質量部調合し、攪拌羽根とモータ(商品名:スリーワンモーター)を設けたセパラブルフラスコに加え、60℃、空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。
得られた混合物を40℃まで冷却し、そのまま40℃で放置することで脱泡した。
これにより、20℃でプラストマーである成分を含有する樹脂組成物2が得られた。
[実施例1]
樹脂凸版印刷版1を作製した。
先ず、樹脂凸版印刷版原版を作製した。
成型と露光のそれぞれの機能を兼ね備えた装置として、波長370nmに中心波長領域を有する40Wの紫外線蛍光灯を具備するAWF−213E型製版機(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を使用した。
この製版機は、紫外線測定器UV−MO2(オーク製作所製、商品名)のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて測定したガラス越し光照射強度が、上部3.0mW/cm2、下部4.0mW/cm2であることが確かめられた。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記[参考例1]で作製した樹脂組成物1を充填し、全体版厚が3mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順により成型した。
先ず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)としてBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、その上に、樹脂組成物1を積層塗工し、さらにその上部からBF−444(上側支持体フィルム)を用いてラミネートした。
次に、大気中で前記製版機の上部光源から露光量200mJ/cm2、下部光源から露光量500mJ/cm2で露光を行い、上下両面に支持体を具備している20cm角のシート状の樹脂凸版印刷原版1を得た。
なお上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)
を用いて算出した。
次に、前記樹脂凸版印刷原版1を用いてレーザ加工を行い、樹脂凸版印刷版1を作製した。
レーザ加工は、レーザ光源としてパルス発振固体レーザ「HIPPO−106Q」(スペクトラフィジックス社製、商品名)を用いた。
レーザ波長は1064nm、レーザの繰り返し周波数は50kHz、パルス幅は15ナノ秒、平均出力は15Wとした。
レーザ光のクォリティーを示すM2値は1.2未満であり、1パルスあたりの仕事率は、20kWであった。
出力光は、8倍のビームエキスパンダーを通り、集光レンズとしてはf60mmのものを使用し、X−Y−Zステージ上に、上側支持体フィルムが下ステージに接するようにした状態で樹脂凸版印刷原版を固定し、樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ焦点が合うように位置制御を行った。
レーザ加工パターンは、図3に示すように、幅が500μm、100μm、30μm、10μmの4種類とし、長さが20cmの細線とした。細線の高さ(レリーフ深度)は約1mmとし、各細線の間隔は1mmに設定した。
レーザ加工を開始する最初の部分は、樹脂凸版印刷原版の端部であり、厚さ方向はステージ面から1.5mmの箇所としてスタートし、上記レーザ加工パターンの樹脂凸版印刷版が作製できるように、X−Y−Zステージを移動させた。
X−Y−Zステージの移動速度は、X−Y(水平)方向は20cm/秒、Z(垂直:レーザ照射方向)方向5mm/秒とした。X−Y−Zステージが移動している間、レーザ光を常時出力させた。
約5分間のレーザ加工を行い、加工工程を終了した。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版1として得られた。
樹脂凸版印刷版1のパターンのエッジは極めて鮮明であることが確認された。
なお、この例において上下両面に支持体を具備している樹脂凸版印刷原版1のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は90%であった。
また、樹脂凸版印刷原版の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分の拡がりは50μmであった。
[実施例2]
樹脂凸版印刷版2を作製した。
先ず、樹脂凸版印刷版原版2を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記[参考例2]で作製した樹脂組成物2を充填し、全体版厚が3.2mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に厚さ100μmのシリコン処理されたポリエステルフィルム(三菱樹脂製、商品名「MR−100」):(上側一時的支持体フィルム)を置き、樹脂組成物2を積層塗工し、さらに上部からシリコン処理されたポリエステルフィルム(下側一時的支持体フィルム)によりラミネートした。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量200mJ/cm2、下部光源から露光量500mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に一時的支持体フィルムを具備する20cm角のシート状の樹脂凸版印刷原版が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
レーザ光の照射工程後、両側の一時的支持体フィルムを剥離し、支持体を具備しない状態の樹脂凸版印刷原版2を作製した。
次に、樹脂凸版印刷原版2を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、樹脂凸版印刷版2を作製した。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版2は加工した面で分離しており、分離した下側に、上方に向けた面に所望のパターンが形成された樹脂凸版印刷版2として得られた。
なお、樹脂凸版印刷原版2のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は93%であった。
樹脂凸版印刷原版の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分の拡がりは30μmであった。
[参考例3]
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物3を作製した。
温度計、攪拌機、還流器を具備する1Lのセパラブルフラスコに、数平均分子量が約2500のポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロック共重合体508g、数平均分子量が約3000のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)339g、トリレンジイソシアネート60.5gを加え、60℃に加温した状態で約3時間反応を行った。
その後、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート40.6gと、数平均分子量が380のポリプロピレングリコールモノメタクリレート50.1gを添加し、さらに2時間反応を行った。
上記反応工程後、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)であり、数平均分子量約22500の、20℃でプラストマーである樹脂成分、ポリウレタン系不飽和プレポリマー3を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー3は、20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
次に、ポリウレタン系不飽和プレポリマー3を65質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコールモノブチルエーテルモノメタクリレートを15質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを2質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを10質量部、微粒子であるAEROSIL 200(日本アエロジル社製、商品名、乾式(火炎加水分解法)シリカ。数平均粒子径:透過型電子顕微鏡で観察したところ約12nm、比表面積は200m2/g。一次粒子の形状は球状、細孔容積は0.1mL/g未満)を2質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.6質量部、光重合開始剤であるベンゾフェノンを1質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1質量部調合し、攪拌羽根とモータ(商標:スリーワンモーター)を設けたセパラブルフラスコに加え、80℃、空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。
混合物を40℃に冷却し、そのまま40℃で放置して脱泡し、樹脂組成物3を得た。
[参考例4]
20℃でプラストマーである樹脂成分を含有する樹脂組成物4を作製した。
温度計、攪拌機、還流器を具備する1Lのセパラブルフラスコに、旭化成ケミカルズ株式会社製ポリカーボネートジオール 商品名:「PCDL L4672」、数平均分子量1990、OH価56.4)とトリレンジイソシアナートとを加え、80℃に加温した条件下で約3時間反応させて、両末端が水酸基のポリカーボネートポリウレタンを得た。
その後、両末端の水酸基に、2−メタクリロイルオキシイソシアネートを反応させ、末端がメタアクリル基(分子内の重合性不飽和基が1分子あたり平均約2個)であり、1.の方法で数平均分子量約10000の、20℃でプラストマーである樹脂成分、ポリウレタン系不飽和プレポリマー4を得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマー4は20℃では水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しなかった。
次に、ポリウレタン系不飽和プレポリマー4を100質量部、重合性モノマーであるラウリルメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるポリプロピレングリコールモノメタクリレートを15質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルメタクリレートを25質量部、重合性モノマーであるテトラエチレングリコールジメタクリレートを2質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを2質量部、微粒子であるC−1504(富士シリシア化学株式会社製、商品名、多孔質性シリカ、数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察した結果約8μm、比表面積は300m2/g、細孔容積は1.25mL/g)を5質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.6質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを0.5質量部調合し、攪拌羽根とモータ(商品名:スリーワンモーター)を設けたセパラブルフラスコに加え、80℃、空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。
この混合物を40℃に冷却し、そのまま40℃で放置して脱泡し、樹脂組成物4を得た。
[実施例3]
樹脂凸版印刷版3を作製した。
先ず、樹脂凸版印刷版原版3を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記[参考例3]で作製した樹脂組成物3を充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)であるBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、樹脂組成物3を積層塗工し、さらに上部からBF−444(上側支持体フィルム)によりラミネートを施した。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量1000mJ/cm2、下部光源から露光量2000mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版3が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
次に、樹脂凸版印刷原版3を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、樹脂凸版印刷版3を作製した。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版3は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版3として得られた。
なお、上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版3のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は16%であった。
樹脂凸版印刷原版の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分の拡がりは40μmであった。
[実施例4]
樹脂凸版印刷版4を作製した。
先ず、樹脂凸版印刷版原版4を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記[参考例4]で作製した樹脂組成物4を充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(下側支持体フィルム)であるBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を載置し、樹脂組成物4を積層塗工し、さらに上部からBF−444(上側支持体フィルム)によりラミネートを施した。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量2000mJ/cm2、下部光源から露光量1000mJ/cm2の条件で露光し、上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版4が得られた。
なお、上記露光量は、UV−MO2のUV−35フィルター(オーク製作所製、商品名)を用いて算出した。
次に、樹脂凸版印刷原版4を用いて、上述した実施例1と同様のレーザ加工を行い、樹脂凸版印刷版4を作製した。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版4は加工した面で分離しており、分離した下側(上側支持体フィルムを具備する側)に、上方に向けた面に所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版4として得られた。
なお、上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版4のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は15%であった。
樹脂凸版印刷原版の厚み中央部において、1パルスでレーザ加工される樹脂凸版印刷原版の変質部分の拡がりは40μmであった。
[比較例1]
この例においては、水系洗浄液を用いて樹脂凸版印刷版を作製した。
先ず、樹脂凸版印刷版作製用の原版を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記[参考例1]で作製した樹脂組成物1を所定量充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
まず、下ガラス上に、線幅が500μm、100μm、30μm、10μmの4種類であり、長さが20cmの細線(各細線の間隔1mm)がパターン化されたネガフィルムを配置し、その上にカバーフィルムを密着ラミネートした。
次に、樹脂組成物1を積層塗工し、樹脂接着層を有する厚さ180μmのポリエステルフィルム(支持体フィルム)であるBF−444(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名)を上部からラミネートし、洗浄後得られる樹脂凸版印刷版のレリーフ深度が1mmとなるように、上部光源から適正露光量で露光を行い、さらに下部光源から露光量500mJ/cm2で露光を行った。
露光終了後、カバーフィルムを剥離し、未硬化部を現像するために、AL−400W型現像機(旭化成ケミカルズ製、商品名)と水系洗浄液W−10(旭化成ケミカルズ製、商品名、アニオン界面活性剤水溶液)を1.5質量%加えた水系洗浄液を作製し、洗浄液温度30℃、スプレー圧0.2MPa、現像時間10分で現像を実施した。
さらに、ALF−DRYER(旭化成ケミカルズ製、商品名)を用いて約10分間乾燥処理を行い、樹脂凸版印刷版を得た。
[比較例2]
この例においては、レーザ彫刻を用いて樹脂凸版印刷版を作製した。
先ず、樹脂凸版印刷版作製用の原版を作製した。
AWF−213E型製版機の樹脂バケットに、上記[参考例3]で作製した樹脂組成物3を充填し、全体版厚が3.0mmになるように設定し、その他装置上定められたウォームアップを行い、以下の手順で成型工程を実施した。
先ず、下ガラス上にカバーフィルムを置き、樹脂組成物3を積層塗工し、さらに上部からBF−444(支持体フィルム)によりラミネートを施した。
次に、大気中で製版機の上部光源から露光量1000mJ/cm2、下部光源から露光量2000mJ/cm2の条件で露光を行い、上下両面に支持体を有する樹脂凸版印刷版用原版を作製した。
カバーフィルムを剥離し、支持体フィルムを具備する側とは反対側から、BAASEL 社製の炭酸ガスレーザ彫刻機を用いて、線幅が500μm、100μm、30μm、10μmの4種類であり、長さが20cmの細線(各細線の間隔1mm、レリーフ深度1mm)のパターンを、レーザ彫刻により作製した。レーザ彫刻工程においては彫刻カスが発生したため、これをバキューム装置とフィルターを用いて除去した。
実施例1〜4の樹脂凸版印刷版の製造方法によれば、廃棄物や汚染廃水副生成物の発生量が極めて少なく、環境負荷の低減化が図られた。また、製版時間が短く、低コストで樹脂凸版印刷版が作製できた。
比較例1、2の樹脂凸版印刷版の製造方法によれば、現像工程やレーザ彫刻工程で廃棄物が発生し、環境負荷の観点から好ましくなく、また、製造時間も長く、コストの観点からも上記実施例1〜4に劣る結果となった。
次に、[実施例5〜9]においては、樹脂凸版印刷原版を窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で常温から昇温し、熱重量分析(TGA)したときの、重量が初期重量の80%になる温度と初期重量20%になる温度とを測定し、この値と、樹脂凸版印刷版の凹凸の精度との関係について検証した。
[実施例5]
ポリカーボネート系ポリウレタン熱可塑性エラストマー「レザミンP890」(大日精化工業株式会社製 商品名)を74質量部、重合性モノマーであるラウリルメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるポリプロピレン(平均n=5)グリコールモノメタクリレートを6質量部、重合性モノマーであるジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレートを12質量部、重合性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを0.75質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.6質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1質量部を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練して、樹脂凸版印刷原版の原料となる組成物を得た。
120℃の熱プレス機を使用し、厚さ100μmのシリコン処理されたポリエステルフィルム(三菱樹脂製、商品名「MR−100」):(一時的支持体フィルム)2枚の間に、上記のようにして作製した樹脂凸版印刷原版の原料となる組成物を挟み、全体版厚が3.2mmとなるように成型し、上下両面に一時的支持体を具備している20cm角のシート状の樹脂凸版印刷原版を作製した。その後、両側の支持体フィルムを剥離して樹脂凸版印刷原版5を得、上述した実施例1と同様にしてレーザ光を照射し、樹脂凸版印刷版5を作製した。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版5は加工面で分離しており、分離した下側面に、上方に向けた面に所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版5として得られた。
上記方法により測定した樹脂凸版印刷原版5のレーザ光(波長1064nm)における光線透過率は90%であった。
また、樹脂凸版印刷原版の厚さの中央部において、1パルスでレーザ加工される樹脂凸版印刷用原版の、変質部分の拡がりは60μmであった。
上述した方法による熱分解評価において、重量減少が、初期重量の80%になる温度は315℃であり、初期重量の20%になる温度は380℃であった。
[実施例6]
スチレンとイソプレンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー「D−1161」(クレイトンポリマージャパン株式会社製 商品名 Mn18万、スチレン含有量15質量%)を81質量部、可塑剤である液状ポリブタジエン「B2000」(株式会社日本曹達製 商品名)10質量部、光重合性モノマーである1,9−ノナンメチレンジアクリレート5質量部、光重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン3質量部、熱重合防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1質量部を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練し、樹脂凸版印刷原版の原料となる組成物を得た。
さらに、ウレタン系の接着剤層を有する、全厚135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体を下記のようにして作製した。
まず、下引き層を有する厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体を作製した。
続いて、エチレングリコール93g、ネオペンチルグリコール374g、及びフタル酸382gを空気雰囲気中、反応温度180℃、1330Paの減圧下で6時間縮合反応させた後、4,4−ジフェニレンジイソシアネート125gを加え、更に80℃で5時間反応させて樹脂を得た。
この樹脂を10%水溶液とし、上記厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布後、2軸延伸し、下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。下引き層の厚みは0.05μmであった。
次に、下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム支持体にウレタン系の接着剤層を塗布した。
ネオペンチルグリコール624g、エチレングリコール93g、セバシン酸485g、及びイソフタル酸382gを空気雰囲気中、反応温度180℃、1330Paの減圧下で6時間縮合反応させ、その後、トリメチレンジイソシアネートを87g加えて、更に5時間反応させてポリオールを得た。
このポリオール15質量部に対して、キシレンジイソシアネート1質量部を加え、酢酸エチルに溶解させ、均一な溶液とし、ナイフコーターを用いて下引き層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、80℃で3分間乾燥させ、厚さ10μmの接着剤層を形成した。これにより、接着剤層の厚さを合わせて135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体が得られた。
次に、120℃の熱プレス機を使用し、接着剤層を有する厚さ135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(支持体フィルム)2枚の間に、上記組成物を挟み、全体版厚が3mmとなるよう成型し、その後、AFP−1500露光機(旭化成ケミカルズ製、商品名)上で、上側ランプの370nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、2枚の支持体両面側から5000mJ/cm2の露光を行い、これにより、上下両面に支持体を具備している20cmの角のシート状の樹脂凸版印刷原版6を作製した。このとき支持体フィルムを剥離しなかった。
なお、このときの露光強度について、オーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−35フィルターを用いて紫外線の測定を行ったところ、強度は7.8mW/cm2であった。
次に、実施例1と同様にしてレーザ光照射を行い、レーザ加工を行った。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版6は加工面で分離していなかった。
その後、室温環境下で支持体フィルムを引っ張り、レーザ加工での変質面に沿って剥離させることにより所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版6を得た。
なお上記、改質面及び/又は部分的分離面の剥離力に記載の方法で測定した剥離力は、4N/cmであった。
上述した方法により測定した上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版6のレーザ光(波長1064nm)における光線透過率は90%であった。
また、樹脂凸版印刷原版の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは40μmであった。
上述した方法による熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度は360℃であり、初期重量の20%になる温度は430℃であった。
[実施例7]
400gのポリエステルジオール「クラレポリオールP3010」(クラレ株式会社、商品名、数平均分子量3160、OH価35.5)と、19.13gのTDIとを加えて均一になるまで攪拌し、80℃に昇温した。その後、約3時間反応させ、プレポリマー前駆体を得た。さらに、2−メタクリロイルオキシイソシアネート6.74gを添加し、3時間反応させて、末端がメタアクリル基で、上述した方法のGPCにより求めた数平均分子量が25000の、20℃でプラストマーである成分であるポリウレタン系不飽和プレポリマーを得た。
このポリウレタン系不飽和プレポリマーは、20℃で水飴状であり、外力を加えると流動し、かつ外力を除いても元の形状を回復しないプラストマーだった。
このポリウレタン系不飽和プレポリマーを100質量部、重合性モノマーのフェノキシエチルメタクリレートを37質量部、重合性モノマーのブトキシジエチレングリコールメタクリレートを12質量部、光重合開始剤の2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを0.9質量部、光重合開始剤のベンゾフェノンを1.5質量部、熱重合防止剤の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを0.5質量部調合し、攪拌羽とモータ(商品名:スリーワンモーター)を具備するセパラブルフラスコを用いて、60℃で空気の存在下で2時間程度攪拌混合した。
この混合物を40℃に冷却し、温度を保ったまま脱泡し、樹脂凸版印刷原版の組成物を得た。
上記組成物を用いて、上述した実施例1と同様にして樹脂凸版印刷原版7を成型し、さらにはレーザ加工を行い、樹脂凸版印刷版7を作製した。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版7は加工面で分離しており、分離した下側の部分で、上方に向けた面に所望のパターンが形成された樹脂凸版印刷版7として得られた。
なお、上述した方法により測定した上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版7のレーザ波長(1064nm)における光線透過率は95%であった。
また、樹脂凸版印刷原版の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは30μmであった。
上述した方法による熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度は350℃であり、初期重量の20%になる温度は410℃であった。
[実施例8]
スチレンとブタジエンのブロック共重合体である熱可塑性エラストマー(クレイトンポリマージャパン株式会社製 商品名「KX−405」、Mn10万、スチレン含有量24質量%)を、130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練して、樹脂凸版印刷原版の原料となる組成物を得た。
120℃の熱プレス機を使用し、実施例6に記載したウレタン系の接着剤層を有する厚さ135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(支持体フィルム)2枚の間に、上記組成物を挟み、全体版厚が3mmとなるように成型し、上下両面に支持体を具備している20cmの角のシート状の樹脂凸版印刷原版8を作製した。なお、このとき支持体フィルムを剥離しなかった。
次に、実施例1と同様にしてレーザ光照射し、レーザ加工を行った。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版8は加工面で分離していなかった。
その後、室温環境下で支持体フィルムを引っ張り、加工により変質した面に沿って剥離させることで、所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版8を得た。
なお上記、改質面及び/又は部分的分離面の剥離力に記載の方法で測定した剥離力は、7N/cmであった。
なお、上述した方法により測定した上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版8のレーザ波長(1064nm)に対する透過率は93%であった。
また、樹脂凸版印刷原版の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは80μmであった。
上述した方法により測定した熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度が410℃であり、初期重量の20%になる温度は520℃であった。
[実施例9]
EPDM(エチレンプロピレンゴム)である熱可塑性エラストマー「BUNA EPG6170」(ランクセス社製、商品名、エチレンユニット成分71質量%、ジエンユニット成分1.5質量%、分子量17万)100質量部を130℃に熱したニーダーを用いて均一に混練して、樹脂凸版印刷原版の原料となる組成物を得た。
120℃の熱プレス機を使用し、実施例6に記載したウレタン系の接着剤層を有する厚さ135μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(支持体フィルム)2枚の間に、上記組成物を挟み、全体版厚が3mmとなるように成型し、上下両面に支持体を具備している20cmの角のシート状の樹脂凸版印刷原版9を作製した。このとき支持体フィルムを剥離しなかった。
次に、実施例1と同様にしてレーザ光照射によりレーザ加工を行った。
レーザ加工後、樹脂凸版印刷原版9は加工面で分離していなかった。
その後、室温環境下で支持体フィルムを引っ張り、レーザ加工での変質面に沿って剥離させることで、所望パターンが形成された樹脂凸版印刷版9を得た。
なお、改質面及び/又は部分的分離面の剥離力に記載の方法で測定した剥離力は、9N/cmであった。
なお、上述した方法により測定した上下両面に支持体を具備する樹脂凸版印刷原版9のレーザ波長(1064nm)における透過率は90%であった。
また、樹脂凸版印刷原版の厚さ方向の中央部において、1パルスでレーザ加工される変質部分の拡がりは80μmであった。
上述した方法で測定した熱分解評価において、重量減少が初期重量の80%になる温度が470℃であり、初期重量の20%になる温度が600℃までの範囲に確認できなかった。
実施例5〜7において作製した樹脂凸版印刷版においては、印刷版面において極めてシャープなエッジが形成できた。
一方、実施例8、9においては、樹脂凸版印刷版の印刷版面に形成した凹凸は、実施例5〜7と比較すると、シャープさが若干劣ったものとなったが、実用上は良好なエッジが形成された。
本出願は、2008年9月12日に日本国特許庁へ出願された、日本特許出願(特願2008−235718)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の樹脂凸版印刷版の製造技術は、廃棄物や汚染廃水や副生成物等の発生量を抑制し、低コストで製版時間の短縮を図りつつ樹脂凸版印刷版を製造する技術として、産業上の利用可能性がある。
10 樹脂凸版印刷原版
11 レーザ光源
12 焦点位置制御手段
20 被照射体保持手段

Claims (16)

  1. 樹脂凸版印刷版の製造方法であって、
    下記に示す工程(3)及び工程(4)を繰り返し行い、固形の樹脂凸版印刷原版の内部に、
    3次元状の改質面及び/又は部分的分離面を形成し、
    その後、10N/cm以下の力により、前記改質面及び/又は部分的分離面に沿って剥
    離する樹脂凸版印刷版の製造方法。
    工程(3):樹脂凸版印刷原版の内部にレーザ光の焦点を合わせ、当該焦点位置を制御
    する工程。
    工程(4):焦点位置にレーザ光を照射する工程。
  2. 厚さを略3mmとした場合における前記樹脂凸版印刷原版の、前記工程(3)及び工程
    (4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である
    請求項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  3. 前記樹脂凸版印刷原版は、
    窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で常温から昇温し、熱重量分析(TGA)し
    たとき、重量が初期重量の80%になる温度が150℃以上400℃以下である請求項1又は2に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  4. 前記樹脂凸版印刷原版の前記重量が初期重量の80%になる温度と、初期重量20%に
    なる温度との差が、100℃以下である請求項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  5. 前記樹脂凸版印刷原版が、
    熱可塑性エラストマー(A1)、
    熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)、
    当該熱可塑性エラストマー(A1)を含有する樹脂組成物(A2)の、光、熱、及び電
    子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、
    20℃の条件下でプラストマーである樹脂を含有する樹脂組成物(A3)の、光、熱、
    及び電子線のうちの少なくともいずれかによる硬化物、
    からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種よりなるものである請求項1乃至のいずれか一項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  6. 前記樹脂凸版印刷原版が、
    前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の硬化物である請求項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  7. 前記樹脂凸版印刷原版が、
    前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の、熱硬化物である請求項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  8. 前記樹脂凸版印刷原版が、
    前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)の、光硬化物である請求項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  9. 前記樹脂組成物(A2)及び/又は前記樹脂組成物(A3)が、重合性モノマーを含有
    している請求項5乃至8のいずれか一項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  10. 前記重合性モノマーが、(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体である請求項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  11. 前記樹脂凸版印刷原版が少なくとも前記樹脂組成物(A3)の硬化物を含み、前記20
    ℃の条件下でプラストマーである樹脂が、少なくともウレタン結合を有している樹脂であ
    る請求項5乃至10のいずれか一項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  12. 前記20℃の条件下でプラストマーである樹脂が、さらにエーテル結合、カーボネート
    結合、エステル結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を有している樹脂であ
    る請求項11に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  13. 前記樹脂凸版印刷原版が支持体により支持されている請求項1乃至12のいずれか一項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  14. 厚さを略3mmとした場合における前記支持体と前記樹脂凸版印刷原版との積層体の、記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下である請求項13に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法。
  15. 請求項1乃至14のいずれか一項に記載の樹脂凸版印刷版の製造方法によって製造された樹脂凸版印刷版であって、
    厚さを略3mmに換算したときの、記工程(3)及び工程(4)において用いるレーザ波長における光線透過率が、10%以上100%以下となる物性を有する樹脂凸版印刷版。
  16. 請求項15に記載の樹脂凸版印刷版の製造装置であって、
    レーザ光源と、
    前記レーザ光源からのレーザ光の焦点位置を3次元的に制御する焦点位置制御手段と、
    前記レーザ光源に対向して設けられている被照射体保持手段と、
    を、有し、
    前記焦点位置制御手段によるレーザ光の焦点位置の3次元的な制御により、樹脂凸版印
    刷版のパターン形成を行う樹脂凸版印刷版の製造装置。
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