JP2011140834A - 外壁構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で外断熱の機能を付与しつつ建物の防耐火性能の確保を図ることができる外壁構造を提供する。
【解決手段】建物100の外壁構造1は、石膏ボード11と、石膏ボード11の外側に設けられた密度20〜60kg/m3のフェノールフォーム13と、フェノールフォーム13の外側に設けられた金属外装板15と、を備えており、このような外壁構造1によれば、簡易な構造で外断熱の機能を付与しつつ建物の防耐火性能の確保を図ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】建物100の外壁構造1は、石膏ボード11と、石膏ボード11の外側に設けられた密度20〜60kg/m3のフェノールフォーム13と、フェノールフォーム13の外側に設けられた金属外装板15と、を備えており、このような外壁構造1によれば、簡易な構造で外断熱の機能を付与しつつ建物の防耐火性能の確保を図ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、建物の外壁構造に関するものである。
従来、建物の外壁構造体として下記特許文献1に記載の構造体が知られている。この外壁構造体は、石膏ボードと、当該石膏ボードの外側にアルミニウム板を介して設けられた窯業系材料片とを備えた構造をなしている。通常、外壁構造体が室外側に、断熱材はこの外壁構造体よりも屋内側に施工されて、防耐火性能、断熱性能を有する外壁構造となる。
上記特許文献1の外壁構造体はある程度の防耐火性能を有しているものの、この種の構造体が採用される建物の外壁構造にあっては、簡易な構造であって外断熱の機能を付与しつつ防耐火性能を確保することも望まれている。そこで、本発明は、簡易な構造でありながら、外断熱の機能を付与しつつ防耐火性能の確保を図ることができる外壁構造を提供することを目的とする。
本発明の外壁構造は、建物の外壁構造であって、石膏ボードと、この石膏ボードの外側の面に当接して設けられた密度20〜60kg/m3のフェノールフォームと、このフェノールフォームの外側の面に当接して設けられた金属外装板と、を備えたことを特徴とする。
外壁構造において、発明者は、フェノールフォームはある程度の防耐火性を有すると共に、ある程度の吸水性を有し、石膏ボードの材料である石膏は結晶水を含んでいることに着目した。石膏ボードは、加熱を受けたときに、上記結晶水が熱分解し蒸発することで石膏ボードの温度上昇を抑えるので、石膏ボードは高い防耐火性を示す。この石膏ボードの外側にフェノールフォームを組み合わせた構造によれば、外側から加熱を受けたときに、フェノールフォームがより燃えにくくなる。本発明では、外壁構造の軽量化のために、外装板が金属からなっているので、外装板にタイルや石材を適用した場合に比べて熱伝導率が非常に高く、フェノールフォームは、火による熱の影響を極めて受けやすくなっている。従って、結晶水を含んだ石膏ボードとフェノールフォームとを組み合わせた本発明のような外壁構造は、金属外装板に極めて効果的である。従って、この外壁構造によれば、層構成が単純であるにもかかわらず、外断熱の機能を付与しつつ金属外装板を有する建物の外壁構造の防耐火性能を確保することができる。
また、上記金属外装板は、波形の外装材であることとしてもよい。この場合、金属外装板とフェノールフォームとの間に空気層が形成され、金属外装板から内側に熱が更に伝わり難くなるので、建物外壁の防耐火性能が効率的に向上する。
また、上記フェノールフォームは、発泡剤として炭化水素を含有しているのが好ましく、熱伝導率は0.015W/m・K〜0.030W/m・Kであるのが好ましい。
本発明によれば、簡易な構造で外断熱の機能を付与しつつ防耐火性能の確保を図ることができる外壁構造を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る外壁構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1〜図3に示す建物100の外壁構造1は、石膏ボード11と、石膏ボード11の外側の面に接着されたフェノールフォーム13と、フェノールフォーム13の外側の面に当接する金属外装板15と、を備えている。なお、「外側の面」とは、建物100の外部に向いた面を指す。図1及び図2においては、金属外装板15よりも右側の空間が建物100の外部であり、図3においては、金属外装板15よりも上側の空間が建物100の外部である。
上記のように、石膏ボード11とフェノールフォーム13とを予め接着し複合品とすることで、施工性の向上が図られる。石膏ボード11の厚さは9〜15mmである。また、建物100の断熱材として機能するフェノールフォーム13は、厚さ12〜66mmであり、密度20〜60kg/m3の板状の材料である。また、フェノールフォーム13は、発泡剤として炭化水素を含有しているのが好ましく、熱伝導率は0.015W/m・K〜0.030W/m・Kであるのが好ましい。このようなフェノールフォーム13を外壁構造1の断熱材に用いることにより、建物100の必要な断熱性を確保することができる。
更に、石膏ボード11とフェノールフォーム13との複合品の外側に、金属外装板15が取り付けられている。金属外装板15は、厚さ0.35〜1.2mmであり、山高が10〜40mmの波形をなす建物外壁用の金属製の外装である。金属外装板15は、鋼板からなる上下に細長い一単位の外装材15aを組み合わせて構成される。図3に示されるように、この外装材15aの一端には、縁部が屈曲されてなるジョイント部15bが形成されており、当該ジョイント部15bには隣接する外装材15aの他端縁部15cが挿入される。このようなジョイント部15bによって、外装材15a同士が水平に連結される。石膏ボード11、フェノールフォーム13、及び金属外装板15は、建物100の構造体をなす水平の胴縁101にビス103で止められている。
この外壁構造1において、フェノールフォーム13はある程度の防耐火性を有すると共に、ある程度の吸水性を有している。また、石膏ボード11の材料である石膏は結晶水を含んでいる。そして、石膏ボード11が加熱を受けたときには、上記結晶水が熱分解し蒸発することで石膏ボード11の温度上昇を抑えるので、石膏ボード11は高い防耐火性を示す。この石膏ボード11の外側にフェノールフォーム13を組み合わせた外壁構造1によれば、建物100の外側から加熱を受けたときに、石膏ボード11からの結晶水由来の水分の影響で一定時間、フェノールフォーム13が一層燃えにくくなると考えられる。更に、フェノールフォーム13の外側に金属外装板15が存在することにより、フェノールフォーム13に火が直接侵入することを抑えることができる。また、波形の金属外装板15を採用することにより、金属外装板15とフェノールフォーム13との間に空気層が形成され、金属外装板15から内側に熱が更に伝わり難くなる。従って、この外壁構造1によれば、簡易な構造でありながら、外断熱の機能を付与しつつ建物100の外壁の防耐火性能を確保することができる。
また、金属外装板15はセメント系外装材、セラミック系外装材などの他の外装材に比較して薄型化・軽量化が容易であるので、金属外装板15を用いることで外壁構造1の薄型化・軽量化を図ることができる。ところが、金属外装板15は、セメント系外装材、セラミック系外装材に比較して建物の外側からの熱を外壁の内部に伝導し易い。従って、金属外装板15を用いた外壁構造1では、金属外装板15の内側における防耐火性向上の必要性が特に高く、金属外装板15の内側においてフェノールフォーム13と石膏ボード11とを組み合わせた構造が特に好適である。
以下、外壁構造1の防耐火性能を確認すべく行った発熱性試験について説明する。
〔試験〕
建築基準法の防火材料基準に準拠した発熱性試験(コーンカロリーメーター試験)を、下表1に示す4つの試験体A〜Dについて行った。各試験体A〜Dは、下表1に示す外装材層・断熱材層・下層からなる3層構造体であり、上から見て100mm×100mmの長方形をなす。試験体の製作においては、外装材層・断熱材層・下層の各層同士を酢酸ビニル系接着剤(200g/m2)で接着しデシケータ内で1日養生した。各試験体A〜Dは、加熱中に結晶水由来の水分を封じ込めるべく4つの側面をアルミ箔で覆った。そして、各試験体A〜Dの外装材層側を上(コーンヒータ側)に向け、次の条件で加熱した。
ヒータ強度は、50kW/m2(ヒータ温度約700℃)とした。
試験距離(コーンヒータから試験体までの距離)は、25mmとした。
試験時間は、20分とした。
建築基準法の防火材料基準に準拠した発熱性試験(コーンカロリーメーター試験)を、下表1に示す4つの試験体A〜Dについて行った。各試験体A〜Dは、下表1に示す外装材層・断熱材層・下層からなる3層構造体であり、上から見て100mm×100mmの長方形をなす。試験体の製作においては、外装材層・断熱材層・下層の各層同士を酢酸ビニル系接着剤(200g/m2)で接着しデシケータ内で1日養生した。各試験体A〜Dは、加熱中に結晶水由来の水分を封じ込めるべく4つの側面をアルミ箔で覆った。そして、各試験体A〜Dの外装材層側を上(コーンヒータ側)に向け、次の条件で加熱した。
ヒータ強度は、50kW/m2(ヒータ温度約700℃)とした。
試験距離(コーンヒータから試験体までの距離)は、25mmとした。
試験時間は、20分とした。
〔試験の結果〕
各試験体A〜Dの総発熱量及び最大発熱速度を、下表2に示した。また、試験終了後の試験体A,B,C,Dの外観の写真を、それぞれ、図4,5,6,7に示した。
各試験体A〜Dの総発熱量及び最大発熱速度を、下表2に示した。また、試験終了後の試験体A,B,C,Dの外観の写真を、それぞれ、図4,5,6,7に示した。
〔試験の結果の考察〕
表2において、試験体AとBとを比較し、試験体CとDとを比較すれば、下層に石膏ボードを用いた場合は木毛セメント板を用いた場合よりも、総発熱量、最大発熱速度共に低く、防耐火性が良好であることが判る。断熱材層にイソシアヌレートフォームを用いた場合(試験体C,D)には、試験開始直後にイソシアヌレートフォームが発火し、最終的には、図7,8に示すように断熱材層が原型を残さない程度に燃えたが、この場合も、下層に石膏ボードを用いた試験体Cの方が、木毛セメント板を用いた試験体Dよりも防耐火性に優れることが判る。
表2において、試験体AとBとを比較し、試験体CとDとを比較すれば、下層に石膏ボードを用いた場合は木毛セメント板を用いた場合よりも、総発熱量、最大発熱速度共に低く、防耐火性が良好であることが判る。断熱材層にイソシアヌレートフォームを用いた場合(試験体C,D)には、試験開始直後にイソシアヌレートフォームが発火し、最終的には、図7,8に示すように断熱材層が原型を残さない程度に燃えたが、この場合も、下層に石膏ボードを用いた試験体Cの方が、木毛セメント板を用いた試験体Dよりも防耐火性に優れることが判る。
断熱材層にフェノールフォームを用いた場合(試験体A,B)、図4,5に示すように、断熱材層は炭化するのみで燃え上がらず原型をとどめていた。試験体A(図4)と試験体B(図5)における各断熱材層では、共に、未炭化の部分(写真で白っぽく見える部分)が、下層に近い位置に存在している。ところが、試験体Aの未炭化部分は、試験体Bの未炭化部分よりも大きいことから、試験体Aでは、試験体Bに比べて断熱材層の炭化の度合いが少ないと言える。このように、試験体A,Bにおける試験後の断熱材層の状況からも、下層の石膏ボードによって20分間における防耐火性能が向上していることが判る。
これは、木毛セメント板に含まれる水分は比較的少ないところ、前述の通り石膏ボードには結晶水が含まれており、当該結晶水に由来する水分が一定時間フェノールフォームの燃えにくさに寄与しているものと考えられる。
また、表2において、試験体AとCとを比較し、試験体BとDとを比較すれば、断熱材層にフェノールフォームを用いた場合はイソシアヌレートフォームを用いた場合よりも、総発熱量、最大発熱速度共に圧倒的に低く、防耐火性が断然に良好であることが判る。また、試験後の試験体の状況について、図4(試験体A)と図6(試験体C)とを比較し、図5(試験体B)と図7(試験体D)とを比較しても、断熱材層にフェノールフォームを用いることによって防耐火性能が向上していると言える。
これは、石膏ボードとフェノールフォームとを組み合わせた試験体Aの構造において、フェノールフォーム側から加熱を受けたときに、フェノールフォームの適度な吸水性により、石膏ボードから発生する結晶水由来の水分がフェノールフォームで有効に利用されやすいからであると考えられる。そして、フェノールフォームで結晶水由来の水分が有効に作用することで、フェノールフォームが一層燃えにくくなったものと考えられる。これに対して、石膏ボードとイソシアヌレートフォームとを組み合わせた試験体Cの構造では、イソシアヌレートフォームにおいて結晶水由来の水分が有効に作用せず、イソシアヌレートが燃えてしまったものと考えられる。
以上の試験結果より、石膏ボードとフェノールフォームと金属外装板とを積層した試験体Aが20分間において最も良好な防耐火性能を示すことが判明した。従って、試験体Aの層構造をもつ建物100の外壁構造1によって、簡易な構造であっても、外断熱の機能を付与しつつ建物外壁の防耐火性能の確保が可能であることが示された。
1…外壁構造 11…石膏ボード 13…フェノールフォーム 15…金属外装板 100…建物
Claims (3)
- 建物の外壁構造であって、
石膏ボードと、
前記石膏ボードの外側の面に当接して設けられた密度20〜60kg/m3のフェノールフォームと、
前記フェノールフォームの外側の面に当接して設けられた金属外装板と、を備えたことを特徴とする外壁構造。 - 前記金属外装板は、波形の外装材であることを特徴とする請求項1に記載の外壁構造。
- 前記フェノールフォームは、発泡剤として炭化水素を含有し、熱伝導率は0.015W/m・K〜0.030W/m・Kであることを特徴とする請求項1又は2に記載の外壁構造。
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