JP2004190472A - 木造住宅の防火外断熱壁構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂発泡体を断熱材として用いた外断熱工法の木造住宅において、防火性能を向上させ、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造となることが可能な木造住宅の防火外断熱壁構造を提供する。
【解決手段】木造住宅の外断熱壁構造において、壁の断面構成が、室内側から順に少なくとも面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となることを特徴とする木造住宅の防火外断熱壁により、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造となることが可能な防火外断熱壁となる。
【選択図】 図1
【解決手段】木造住宅の外断熱壁構造において、壁の断面構成が、室内側から順に少なくとも面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となることを特徴とする木造住宅の防火外断熱壁により、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造となることが可能な防火外断熱壁となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造住宅の壁構造に関し、更に詳しくは、木造住宅の防火外断熱壁構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、木造住宅の外壁には、グラスウール等の断熱材を柱間に内接する、いわゆる内断熱の構造が用いられ、壁体の構成は、グラスウールの断熱性能維持、構造部材の腐朽防止のため、ポリオレフィン不織布等からなる透湿防水シートを用いていた。よって、壁体の構成は室外側から、外装材、通気層、透湿防水シート、断熱材、防湿シート、内装材となる構成が採用されている。(例えば特許文献1参照)しかし近年、省エネルギーに関する関心の高まりと共に、合成樹脂発泡体からなる断熱材を柱に外接して配置する外断熱壁構造が多く用いられるようになった。この場合の壁体の断面構成は、一般的に室外側から、外装材、通気層、透湿防水シート、断熱材、面材、柱間柱又はスタッド、内装材となる。さらに、外貼り断熱構造の場合、上記面材に、構造用合板を使用していることが多く、室内側の内装材を省いて構造用合板の木目を室内側に表した構成を採用する場合がある。このような構成の場合、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号の規定を満たす構造ではないために、前記規定に適合するための防火構造とする検討が行われている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−172800(第1図、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に着目してなされたものであり、合成樹脂発泡体断熱材の室外側に無機繊維からなる不織布又は織布を使用することによって防火性能を向上させることが可能な木造住宅の防火外断熱壁構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、室外側が炎により熱せられた場合でも、無機繊維からなる不織布又は織布を使用して、通気胴縁によって形成される壁体内の通気層と断熱材部分を分割することによって、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、内装材を用いない場合であっても、面材室内側面の温度上昇を緩和することができて平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造と出来ることを見出し、本発明に至ったものである。 すなわち、本願発明は以下の構成を取るものである。
木造住宅の外断熱壁構造において、壁の断面構成が、室内側から順に少なくとも面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となることを特徴とする木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項1)
無機繊維からなる不織布又は織布の室内側あるいは室外側の少なくとも一方に透湿防水性を有する不織布又はフィルムを有することを特徴とする請求項1記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項2)
少なくとも面材が柱、間柱あるいはスタッドの間又は室外側にあることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項3)
面材が直接室内に表れていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項4)
合成樹脂発泡体が熱可塑性樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項5)
合成樹脂発泡体がポリスチレン発泡体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項6)
合成樹脂発泡体からなる断熱材と通気胴縁との間に無機繊維からなる不織布又は織布を配置したことにより、室外側が炎により熱せられた場合でも、無機繊維からなる不織布又は織布により、壁体内の通気層と合成樹脂発泡体製断熱材の設置部分の空気層が分割され、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、室内側の温度上昇を緩和することが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る木造住宅の防火外断熱壁構造の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は、防火外断熱壁構造の実施例を示す説明図である。室内側の柱6,間柱7の室外側に室内側から順に、面材5、断熱材4、無機繊維からなる不織布又は織布3、通気胴縁8、外装材1を配置した構造となっている。
【0007】
また、無機繊維からなる不織布又は織布3の厚さは、薄すぎるとシートの強度が不足するため、0.05mm以上が、より好ましくは0.07mm以上、特には0.1mm以上が好ましく、厚すぎると外壁の納まりに問題が出るため、5mm以下より好ましくは4mm以下、特には3mm以下が好ましい。
【0008】
本発明に用いる無機繊維からなる不織布又は織布3としては、ガラス繊維、ロックウールなどの鉱物繊維、ステンレス鋼などの金属繊維、セラミックファイバーなどのセラミック繊維等からなる不織布又は織布が例示でき使用可能であるが、コストが低く、加工性の良いガラス繊維からなる不織布又は織布が特に好適である。
【0009】
これら無機繊維からなる不織布又は織布3の室内側又は室外側に、透湿防水性を有する不織布、織布又はフィルムを配置することで、壁体を水から保護すると共に、壁体内の湿気を外部に放出することができるため、より好ましい。前記透湿防水性を有する不織布又はフィルムは、JISA6111に規定される透湿防水シートA又は透湿防水シートBの全ての性能を満足していることが好ましい。すなわち、透湿抵抗が0.19m2・s・Pa/μg以下が好ましく、更には0.17m2・s・Pa/μg以下、特には0.15m2・s・Pa/μg以下が好ましく、0.13m2・s・Pa/μg以下が最も好ましい。無機繊維からなる不織布あるいは織布が透湿防水性を有する場合は、無機繊維からなる不織布又は織布3を省略する事も可能であり好ましい。
【0010】
透湿性を有する無機繊維の不織布あるいは織布は、無機繊維に、合成樹脂を含浸、塗布し、成形したり、無機繊維の不織布あるいは織布に合成樹脂を含浸あるいは塗布すること等により得ることが出来る。含浸する合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ウレタン系、酢酸ビニル系等の接着剤等を用いることが可能である。
【0011】
無機繊維からなる不織布又は織布は、予め断熱材表面に設けておいても良いが、通気胴縁を設ける際に断熱材表面に取り付けることが可能であり、その場合、無機繊維からなる不織布又は織布に加えて、透湿防水性を有する不織布、織布又はフィルムを配置する場合に適宜設ける位置(無機繊維からなる不織布又は織布の室内側か室外側)を選択できる上、施工性の面からも好ましい。
【0012】
合成樹脂発泡体からなる断熱材4としては、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の熱可塑性樹脂発泡体や、塩化ビニルフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、メラミンフォーム等の熱硬化性樹脂発泡体が使用できるが熱可塑性樹脂発泡体を使用した場合により効果的に室内側の温度上昇を緩和することができ好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡体の中でも、断熱性能の高いポリスチレンフォームが、壁体の総厚さを小さくできる為、好ましい。
【0013】
外装材1は通気層2の屋外側に配して屋外に面しており、通常は通気胴縁8を介して壁面に取り付けられている部材であり、材質、形状は特に限定されるものではないが、JISA5422に規定される窯業系サイディング材(木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板)、モルタル、金属サイディング材を含む金属板等が使用可能である。金属サイディング材は、金属製の表面材単独あるいは、裏面に不織布、紙、合成樹脂シート等をラミネートしたものが用いられる。
【0014】
また、面材5としては、特に限定される物ではないが、室内側に別途内装材等を設けなくても断熱材が直接室内側に表れていないようにする面材であれば良く、硬質合成樹脂板、軟質合成樹脂フィルム、合板、化粧合板、石膏板等の無機質を基材とした無機質板、構造用合板、火山性ガラス質複層板、パーティクルボード等が例示できるが、合板が好ましく、厚さ9〜15mm程度の構造用合板を用いた場合、壁の強度が向上するのでより好ましい。
【0015】
図−3で示すように、面材が柱あるいは間柱の間にあることも可能である。その場合は、面材だけが間にあることも可能であるが、合成樹脂発泡体からなる断熱材の一部が柱あるいは間柱の間にあっても良い。断熱性の面から図−3で示すように柱あるいは間柱の外側に断熱材が設けられている構造であることが好ましい。
【0016】
図−1で示すように、面材が柱、間柱あるいはスタッドの室外側にあると壁の強度が向上するので好ましい。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の態様について、実施例、比較例により具体的に説明する。
【0018】
(実施例1)
図1の防火外断熱壁構造の実施例を示す説明図において、面材5として厚さ9mmの構造用合板を用い、合成樹脂発泡体からなる断熱材4として厚さ50mmの押出し法ポリスチレンフォーム保温板3種(商品名:カネライトスーパーEIIIb、鐘淵化学工業株式会社製)を用い、無機繊維からなる不織布又は織布3としてガラス繊維織布(目付210g/m2、厚さ0.18mm、商品名:グラスロンクロスHS 180 1160 4NT 4232、旭ファイバーグラス株式会社製)を用い、通気胴縁8として厚さ17mmの杉材を用い、外装材1として厚さ12mmの木繊維混入セメントけい酸カルシウム板(商品名:モエンエクセラード、ニチハ株式会社製)を用いた。
(実施例2)
無機繊維からなる不織布又は織布3を、ガラス繊維不織布(目付180g/m2、厚さ1.30mm、商品名:グラベストSAP−180、オリベスト株式会社)にした以外は実施例1と同様にした。
(実施例3)
無機繊維からなる不織布又は織布3と合成樹脂発泡体からなる断熱材4との間に、ポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)(商品名:タイベック ハウスラップ、デュポン社製)を配置した以外は実施例2と同様にした。
(実施例4)
無機繊維からなる不織布又は織布3と通気胴縁8との間に、実施例3で用いたのと同じポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)を配置した以外は実施例2と同様にした。
【0019】
(比較例)
実施例1で用いたガラス繊維織布を、実施例3で用いたのと同じポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)に変更した以外は実施例1と同じ構成とした。
【0020】
これら実施例及び比較例の防火性能を比較するために、以下の方法を用いた。図3に示す断面図のように、外壁の構成を550mm角で作製し、外装材1の表面側を加熱炉13にセットし、ガスバーナー12により、外装材1の表面から100mmの位置に設置した炉内熱電対11によって測定される炉内温度の時間経過が、次の式1で表される数値となるように30分間加熱し、構造用合板5の室内側に取り付けた熱電対14で30分加熱前後の面材の室内側温度を測定し、温度上昇を比較した。
炉内温度(℃)=345log10(8×経過時間(分)+1)+20 −式1
実施例および比較例の30分加熱後の面材の室内側温度上昇を表1に示す。
【0021】
【表1】
表1より、実施例1〜4は、比較例と比べて、30分加熱後の面材室内側温度上昇を、略30K低く抑えることができ、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造を満たすものとすることが可能となることがわかる。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係る木造住宅の防火外断熱壁構造は、室内側から順に面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となるものである。合成樹脂発泡体からなる断熱材と通気胴縁との間に無機繊維からなる不織布又は織布を配置したことにより、室外側が炎により熱せられた場合でも、無機繊維からなる不織布又は織布により、壁体内の通気層と合成樹脂発泡体からなるプラスチック製断熱材が設置された箇所の空気層が分割され、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、室内側の温度上昇を緩和できて平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木造住宅の防火外断熱壁構造実施例の説明図。
【図2】本発明による防火外断熱壁構造の一実施例及び比較例の性能比較の為の試験体及び試験装置を示す断面図。
【図3】本発明の木造住宅の他の防火外断熱壁構造実施例の説明図。
【符号の説明】
1 外装材
2 通気層
3 無機繊維からなる不織布又は織布
4 断熱材
5 面材
6 柱
7 間柱
8 通気胴縁
9 土台
10 木材
11 炉内熱電対
12 ガスバーナー
13 加熱炉
14 熱電対
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造住宅の壁構造に関し、更に詳しくは、木造住宅の防火外断熱壁構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、木造住宅の外壁には、グラスウール等の断熱材を柱間に内接する、いわゆる内断熱の構造が用いられ、壁体の構成は、グラスウールの断熱性能維持、構造部材の腐朽防止のため、ポリオレフィン不織布等からなる透湿防水シートを用いていた。よって、壁体の構成は室外側から、外装材、通気層、透湿防水シート、断熱材、防湿シート、内装材となる構成が採用されている。(例えば特許文献1参照)しかし近年、省エネルギーに関する関心の高まりと共に、合成樹脂発泡体からなる断熱材を柱に外接して配置する外断熱壁構造が多く用いられるようになった。この場合の壁体の断面構成は、一般的に室外側から、外装材、通気層、透湿防水シート、断熱材、面材、柱間柱又はスタッド、内装材となる。さらに、外貼り断熱構造の場合、上記面材に、構造用合板を使用していることが多く、室内側の内装材を省いて構造用合板の木目を室内側に表した構成を採用する場合がある。このような構成の場合、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号の規定を満たす構造ではないために、前記規定に適合するための防火構造とする検討が行われている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−172800(第1図、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に着目してなされたものであり、合成樹脂発泡体断熱材の室外側に無機繊維からなる不織布又は織布を使用することによって防火性能を向上させることが可能な木造住宅の防火外断熱壁構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、室外側が炎により熱せられた場合でも、無機繊維からなる不織布又は織布を使用して、通気胴縁によって形成される壁体内の通気層と断熱材部分を分割することによって、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、内装材を用いない場合であっても、面材室内側面の温度上昇を緩和することができて平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造と出来ることを見出し、本発明に至ったものである。 すなわち、本願発明は以下の構成を取るものである。
木造住宅の外断熱壁構造において、壁の断面構成が、室内側から順に少なくとも面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となることを特徴とする木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項1)
無機繊維からなる不織布又は織布の室内側あるいは室外側の少なくとも一方に透湿防水性を有する不織布又はフィルムを有することを特徴とする請求項1記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項2)
少なくとも面材が柱、間柱あるいはスタッドの間又は室外側にあることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項3)
面材が直接室内に表れていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項4)
合成樹脂発泡体が熱可塑性樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項5)
合成樹脂発泡体がポリスチレン発泡体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。(請求項6)
合成樹脂発泡体からなる断熱材と通気胴縁との間に無機繊維からなる不織布又は織布を配置したことにより、室外側が炎により熱せられた場合でも、無機繊維からなる不織布又は織布により、壁体内の通気層と合成樹脂発泡体製断熱材の設置部分の空気層が分割され、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、室内側の温度上昇を緩和することが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る木造住宅の防火外断熱壁構造の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は、防火外断熱壁構造の実施例を示す説明図である。室内側の柱6,間柱7の室外側に室内側から順に、面材5、断熱材4、無機繊維からなる不織布又は織布3、通気胴縁8、外装材1を配置した構造となっている。
【0007】
また、無機繊維からなる不織布又は織布3の厚さは、薄すぎるとシートの強度が不足するため、0.05mm以上が、より好ましくは0.07mm以上、特には0.1mm以上が好ましく、厚すぎると外壁の納まりに問題が出るため、5mm以下より好ましくは4mm以下、特には3mm以下が好ましい。
【0008】
本発明に用いる無機繊維からなる不織布又は織布3としては、ガラス繊維、ロックウールなどの鉱物繊維、ステンレス鋼などの金属繊維、セラミックファイバーなどのセラミック繊維等からなる不織布又は織布が例示でき使用可能であるが、コストが低く、加工性の良いガラス繊維からなる不織布又は織布が特に好適である。
【0009】
これら無機繊維からなる不織布又は織布3の室内側又は室外側に、透湿防水性を有する不織布、織布又はフィルムを配置することで、壁体を水から保護すると共に、壁体内の湿気を外部に放出することができるため、より好ましい。前記透湿防水性を有する不織布又はフィルムは、JISA6111に規定される透湿防水シートA又は透湿防水シートBの全ての性能を満足していることが好ましい。すなわち、透湿抵抗が0.19m2・s・Pa/μg以下が好ましく、更には0.17m2・s・Pa/μg以下、特には0.15m2・s・Pa/μg以下が好ましく、0.13m2・s・Pa/μg以下が最も好ましい。無機繊維からなる不織布あるいは織布が透湿防水性を有する場合は、無機繊維からなる不織布又は織布3を省略する事も可能であり好ましい。
【0010】
透湿性を有する無機繊維の不織布あるいは織布は、無機繊維に、合成樹脂を含浸、塗布し、成形したり、無機繊維の不織布あるいは織布に合成樹脂を含浸あるいは塗布すること等により得ることが出来る。含浸する合成樹脂としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ウレタン系、酢酸ビニル系等の接着剤等を用いることが可能である。
【0011】
無機繊維からなる不織布又は織布は、予め断熱材表面に設けておいても良いが、通気胴縁を設ける際に断熱材表面に取り付けることが可能であり、その場合、無機繊維からなる不織布又は織布に加えて、透湿防水性を有する不織布、織布又はフィルムを配置する場合に適宜設ける位置(無機繊維からなる不織布又は織布の室内側か室外側)を選択できる上、施工性の面からも好ましい。
【0012】
合成樹脂発泡体からなる断熱材4としては、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等の熱可塑性樹脂発泡体や、塩化ビニルフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、メラミンフォーム等の熱硬化性樹脂発泡体が使用できるが熱可塑性樹脂発泡体を使用した場合により効果的に室内側の温度上昇を緩和することができ好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡体の中でも、断熱性能の高いポリスチレンフォームが、壁体の総厚さを小さくできる為、好ましい。
【0013】
外装材1は通気層2の屋外側に配して屋外に面しており、通常は通気胴縁8を介して壁面に取り付けられている部材であり、材質、形状は特に限定されるものではないが、JISA5422に規定される窯業系サイディング材(木繊維補強セメント板、繊維補強セメント板、繊維補強セメント・ケイ酸カルシウム板)、モルタル、金属サイディング材を含む金属板等が使用可能である。金属サイディング材は、金属製の表面材単独あるいは、裏面に不織布、紙、合成樹脂シート等をラミネートしたものが用いられる。
【0014】
また、面材5としては、特に限定される物ではないが、室内側に別途内装材等を設けなくても断熱材が直接室内側に表れていないようにする面材であれば良く、硬質合成樹脂板、軟質合成樹脂フィルム、合板、化粧合板、石膏板等の無機質を基材とした無機質板、構造用合板、火山性ガラス質複層板、パーティクルボード等が例示できるが、合板が好ましく、厚さ9〜15mm程度の構造用合板を用いた場合、壁の強度が向上するのでより好ましい。
【0015】
図−3で示すように、面材が柱あるいは間柱の間にあることも可能である。その場合は、面材だけが間にあることも可能であるが、合成樹脂発泡体からなる断熱材の一部が柱あるいは間柱の間にあっても良い。断熱性の面から図−3で示すように柱あるいは間柱の外側に断熱材が設けられている構造であることが好ましい。
【0016】
図−1で示すように、面材が柱、間柱あるいはスタッドの室外側にあると壁の強度が向上するので好ましい。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の態様について、実施例、比較例により具体的に説明する。
【0018】
(実施例1)
図1の防火外断熱壁構造の実施例を示す説明図において、面材5として厚さ9mmの構造用合板を用い、合成樹脂発泡体からなる断熱材4として厚さ50mmの押出し法ポリスチレンフォーム保温板3種(商品名:カネライトスーパーEIIIb、鐘淵化学工業株式会社製)を用い、無機繊維からなる不織布又は織布3としてガラス繊維織布(目付210g/m2、厚さ0.18mm、商品名:グラスロンクロスHS 180 1160 4NT 4232、旭ファイバーグラス株式会社製)を用い、通気胴縁8として厚さ17mmの杉材を用い、外装材1として厚さ12mmの木繊維混入セメントけい酸カルシウム板(商品名:モエンエクセラード、ニチハ株式会社製)を用いた。
(実施例2)
無機繊維からなる不織布又は織布3を、ガラス繊維不織布(目付180g/m2、厚さ1.30mm、商品名:グラベストSAP−180、オリベスト株式会社)にした以外は実施例1と同様にした。
(実施例3)
無機繊維からなる不織布又は織布3と合成樹脂発泡体からなる断熱材4との間に、ポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)(商品名:タイベック ハウスラップ、デュポン社製)を配置した以外は実施例2と同様にした。
(実施例4)
無機繊維からなる不織布又は織布3と通気胴縁8との間に、実施例3で用いたのと同じポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)を配置した以外は実施例2と同様にした。
【0019】
(比較例)
実施例1で用いたガラス繊維織布を、実施例3で用いたのと同じポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)に変更した以外は実施例1と同じ構成とした。
【0020】
これら実施例及び比較例の防火性能を比較するために、以下の方法を用いた。図3に示す断面図のように、外壁の構成を550mm角で作製し、外装材1の表面側を加熱炉13にセットし、ガスバーナー12により、外装材1の表面から100mmの位置に設置した炉内熱電対11によって測定される炉内温度の時間経過が、次の式1で表される数値となるように30分間加熱し、構造用合板5の室内側に取り付けた熱電対14で30分加熱前後の面材の室内側温度を測定し、温度上昇を比較した。
炉内温度(℃)=345log10(8×経過時間(分)+1)+20 −式1
実施例および比較例の30分加熱後の面材の室内側温度上昇を表1に示す。
【0021】
【表1】
表1より、実施例1〜4は、比較例と比べて、30分加熱後の面材室内側温度上昇を、略30K低く抑えることができ、平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造を満たすものとすることが可能となることがわかる。
【0022】
【発明の効果】
本発明に係る木造住宅の防火外断熱壁構造は、室内側から順に面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となるものである。合成樹脂発泡体からなる断熱材と通気胴縁との間に無機繊維からなる不織布又は織布を配置したことにより、室外側が炎により熱せられた場合でも、無機繊維からなる不織布又は織布により、壁体内の通気層と合成樹脂発泡体からなるプラスチック製断熱材が設置された箇所の空気層が分割され、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、室内側の温度上昇を緩和できて平成14年6月施行の建築基準法第2条第8号に規定される防火構造とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木造住宅の防火外断熱壁構造実施例の説明図。
【図2】本発明による防火外断熱壁構造の一実施例及び比較例の性能比較の為の試験体及び試験装置を示す断面図。
【図3】本発明の木造住宅の他の防火外断熱壁構造実施例の説明図。
【符号の説明】
1 外装材
2 通気層
3 無機繊維からなる不織布又は織布
4 断熱材
5 面材
6 柱
7 間柱
8 通気胴縁
9 土台
10 木材
11 炉内熱電対
12 ガスバーナー
13 加熱炉
14 熱電対
Claims (6)
- 木造住宅の外断熱壁構造において、壁の断面構成が、室内側から順に少なくとも面材、合成樹脂発泡体からなる断熱材、無機繊維からなる不織布又は織布、通気胴縁、外装材となることを特徴とする木造住宅の防火外断熱壁構造。
- 無機繊維からなる不織布又は織布の室内側あるいは室外側の少なくとも一方に透湿防水性を有する不織布又はフィルムを有することを特徴とする請求項1記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。
- 少なくとも面材が柱、間柱あるいはスタッドの間又は室外側にあることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。
- 面材が直接室内に表れていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。
- 合成樹脂発泡体が熱可塑性樹脂発泡体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。
- 合成樹脂発泡体がポリスチレン発泡体であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の木造住宅の防火外断熱壁構造。
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