JP2004136470A - 透湿防水防火シート - Google Patents

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Hiroyoshi Matsuyoshi
松吉 弘喜
Michio Komura
小村 倫生
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】透湿防水シートに、耐火性を備えることによって、防火性能を向上させることが可能な透湿防水防火シートを提供する。
【解決手段】充填材を配合したポリオレフィン系樹脂を溶融成形してなるシートを延伸処理して得られたフィルム又は透湿防水シートの少なくとも片面に無機繊維よりなる不織布又は織布が積層されてなるシートにより防火性能が向上された透湿防水防火シートとなり、このシートを用いた壁構造により防火特性に優れた壁構造が得られる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に建築物の外壁または屋根下地等に使用する透湿防水防火シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、木造家屋等の建築物の外壁の壁体には、グラスウール等の断熱材を柱間に内接する、いわゆる内断熱の構造が用いられ、壁体の構成は、グラスウールの断熱性能維持、構造部材の腐朽防止のため、一般的に微細な孔を有し、透湿性を持つポリオレフィンシートにポリオレフィン不織布を貼りあわせた透湿防水シートを通気層と断熱材の間に挿入することが行われている(特許文献1)。よって、壁体の構成は室外側から、外装材/通気層/透湿防水シート/断熱材/防湿シート/内装材となる。しかし近年、省エネルギーに関する関心の高まりと共に、発泡プラスチック製の断熱材を柱に外接して配置する外貼り断熱構造が多く用いられるようになった。この場合の壁体の構成は、一般的に室外側から、外装材/通気層/透湿防水シート/断熱材/構造面材/内装材となる。さらに、外貼り断熱構造の場合、上記構造面材に、構造用合板を使用していることが多く、室内側の内装材を省いて構造用合板の木目を室内側に表した構成を採用する場合がある。このような構成の場合、室外側から炎が来た場合、外装材が熱せられ、その室内側にある透湿防水シート、及び発泡プラスチック製の断熱材に熱が伝わりやすいので、さらに防火特性の良い壁構造とする検討が行われている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−172800号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に着目してなされたものであり、すなわち透湿防水シートに、耐火性を備えることによって、防火性能を向上させることが可能な透湿防水防火シートを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、本願発明のシートを用いることにより、室外側が炎により熱せられた場合においても当初の、空気層を分割することが可能となり、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、内装材裏面温度上昇を緩和することができることを見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
すなわち本願発明は、 充填材を配合したポリオレフィン系樹脂を溶融成形してなるシートを延伸処理して得られたフィルム又は透湿防水シートの少なくとも片面に無機繊維よりなる不織布又は織布が積層されてなることを特徴とする透湿防水防火シート(請求項1)であり、無機繊維がガラス繊維であり、かつ厚さが0.05〜5mmであることを特徴とする請求項1記載の透湿防水防火シート(請求項2)である。
【0007】
本発明に係る透湿防水防火シートは、充填材を配合したポリオレフィン系樹脂を溶融成形してなるシートを延伸処理して得られたフィルム又はJISA6111に規定される透湿防水シートの少なくとも片面に無機繊維よりなる不織布又は織布が積層されてなるものである。フィルム又は透湿防水シートに無機繊維からなる不織布又は織布が積層されていることで、当該シートが高温にさらされあるいは炎が当たっても、無機繊維よりなる不織布又は織布がにより、当初設けられている空気層を分割維持することが可能であり、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、内装材裏面温度上昇を緩和することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る透湿防水防火シートの一実施例を図面を用いて詳細に説明する。図1は、上記透湿防水防火シートの代表的な一例を示す断面図であり、充填材を配合したポリオレフィン系樹脂を溶融成形してなるシートを延伸処理して得られたフィルムAと、無機繊維からなる不織布又は織布Bとを積層物である。ここで、本発明に用いるポリオレフィン系樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等のモノオレフィン重合体を主成分とするものである。また、充填材としては、無機系、有機系の一般的に使用されている充填剤であれば良いが、例えば好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、マイカ、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、木粉、セルロース粉等を単独又は2種類以上混合して使用される。これらの充填剤を配合したポリオレフィンをフィルム化し、延伸加工するため、次のような添加剤を配合することが好ましい。例えば、脂肪酸金属塩、高級脂肪酸、シアン酸エステル、チタン酸エステル等が挙げられる。これらの配合をインフレーション法、Tダイ法などの一般的なフィルム製膜法でフィルムとした後、一軸又は二軸延伸し、透湿性を有するフィルムAを得ることができる。充填材を配合して得られたシートを、延伸処理して得られるフィルムは多孔性フィルムであることが好ましい。
【0009】
本発明に用いる無機繊維としては、ガラス繊維、鉱物繊維、金属繊維、セラミック繊維等が使用可能であるが、コストが低く、加工性の良いガラス繊維が特に好適である。
【0010】
これら無機繊維からなる不織布又は織布BとフィルムA又は透湿防水シートとを、透湿性を損なわないように一部、又は全面接着、粘着又は熱融着することで積層されたシートを得ることができる。積層されたシートの厚さは、薄すぎるとシートの強度が不足するため、0.05mm以上が、より好ましくは0.07mm以上、特には0.1mm以上が好ましく、厚すぎると外壁の納まりに問題が出るため、5mm以下、より好ましくは4mm以下、特には3mm以下が好ましい。
【0011】
このようにして得られた透湿防水防火シートは、JISA6111に規定される透湿防水シートA又は透湿防水シートBの透湿性(透湿抵抗)を有していることが好ましい。すなわち0.19m・s・Pa/μg以下が好ましく、更には0.17m・s・Pa/μg以下、特には0.15m・s・Pa/μg以下が好ましく、0.13m・s・Pa/μg以下が最も好ましい。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の態様について、実施例、比較例により具体的に説明する。
【0013】
(実施例1)
図2は、本発明の透湿防水防火シートを住宅の外張り断熱構造の構造体あらわし仕様の外壁部に応用した実施例の説明図である。室内側の柱6,間柱7に厚さ9mmの構造用合板5を釘留めし、断熱材4、透湿防水防火シート3(ガラス繊維織布(目付210g/m、厚さ0.18mm)とポリエチレン多孔フィルム(メルトインデックス(2.2kg、190℃)1.0g/10分、密度0.95g/cmの線状低密度ポリエチレン50重量部、重質炭酸カルシウム粉末50重量部の混合物に対して、ステアリン酸カルシウムを2重量部、2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェノールを0.1重量部配合したペレットを、インフレーション成形したフィルムを一軸ロール延伸機により、3倍に延伸したフィルム、厚さ0.07mm)を、ウレタン系接着剤でピッチ20mm、幅2mmの格子状に接着した厚さ0.25mm、透湿抵抗0.13m・s・Pa/μgのシート)を通気胴縁上8から断熱材4、透湿防水防火シート3、構造用合板5を貫通して柱6及び間柱7に釘留めし、その室外側に外装材1を通気胴縁に釘留めした。
(実施例2)
透湿防水防火シート3を、ガラス繊維不織布(目付180g/m、厚さ1.30mm)とポリエチレン多孔フィルムを、ウレタン系接着剤でピッチ20mm、幅2mmの格子状に接着し、厚さ1.37mmとした以外は実施例1と同様にした。
(実施例3)
透湿防水防火シート3を、ガラス繊維不織布(目付180g/m、厚さ1.30mm)とポリエチレン製の不織布からなる透湿防水シート(厚さ0.17mm)を、ウレタン系接着剤でピッチ20mm、幅2mmの格子状に接着し、厚さ1.47mmとした以外は実施例1と同様にした。
【0014】
(比較例1)
実施例1に示す透湿防水防火シート3を、ポリエチレン不織布(厚さ0.17mm)に変更した以外は実施例と同じ構成とした。
これら実施例及び比較例の防火性能を比較するために、以下の方法を用いた。図3に示す断面図のように、外壁の構成を550mm角で作製し、外装材1の表面側を加熱炉13にセットし、ガスバーナー12により、外装材1の表面から100mmの位置に設置した炉内熱電対11によって測定される炉内温度の時間経過が、次の式1で表される数値となるように30分間加熱し、構造用合板5の室内側に取り付けた熱電対14で30分加熱前後の構造用面材の室内側温度を測定し、温度上昇を比較した。
【0015】
炉内温度(℃)=345log10(8×経過時間(分)+1)+20 (式1)
実施例および比較例の各部詳細と測定結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
Figure 2004136470
表1より、従来のポリエチレン不織布を用いた場合と比べ、本願発明の透湿防水防火シートを用いることで温度上昇が略30K低く抑えることができ、防火特性の改良された壁構造とすることが可能となることがわかる。
【0017】
【発明の効果】
本発明に係る透湿防水防火シートは、充填材を配合したポリオレフィン系樹脂を溶融成形してなるシートを延伸処理して得られたフィルムの少なくとも片面に無機繊維よりなる不織布又は織布が積層されてなるものである。フィルムに無機繊維からなる不織布又は織布が積層されていることで、防火特性を付与出来、又無機繊維よりなる不織布又は織布により壁体内の空気層を分割することによって、室外側から室内側への熱伝導を抑制し、内装材裏面温度上昇を緩和することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透湿防水防火シートの一実施例を示す断面図。
【図2】本発明の透湿防水防火シートを住宅の外張り断熱構造の構造体あらわし仕様の外壁部に応用した実施例の説明図。
【図3】本発明による透湿防水防火シートの一実施例及び比較例の性能比較の為の試験体を示す断面図。
【符号の説明】
A フィルムまたは透湿防水シート
B 無機繊維からなる不織布又は織布
1 外装材
2 通気層
3 透湿防水防火シート
4 断熱材
5 構造用面材
6 柱
7 間柱
8 仕上げ層
9 土台
10 木材
11 炉内熱電対
12 ガスバーナー
13 加熱炉
14 熱電対

Claims (2)

  1. 充填材を配合したポリオレフィン系樹脂を溶融成形してなるシートを延伸処理して得られたフィルム又は透湿防水シートの少なくとも片面に無機繊維よりなる不織布又は織布が積層されてなることを特徴とする透湿防水防火シート。
  2. 無機繊維がガラス繊維であり、かつ厚さが0.05〜5mmであることを特徴とする請求項1記載の透湿防水防火シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009540149A (ja) * 2006-06-08 2009-11-19 ロダ エス・ア・エール・エル 屋根下遮蔽材
JP2014148800A (ja) * 2013-01-31 2014-08-21 Achilles Corp 断熱構造
JP2020152084A (ja) * 2019-03-22 2020-09-24 凸版印刷株式会社 耐火構造用補完下地材、及び耐火構造用補完下地材の製造方法

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