JP4685534B2 - 凍上防止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、寒冷地における道路、鉄道軌道などの地盤の凍上防止構造に関する。
従来、寒冷地における道路等の凍上対策として断熱工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この断熱工法は、凍上の発生原因の3要素(土質・温度・水分条件)の一つである温度(冷却温度)を抑制するもので、合成樹脂発泡体からなる断熱材を土中内に埋設し、路床等への凍結線(0℃付近の線)の侵入を断熱効果によって緩和するものである。
このような断熱工法では、断熱材は土中内に半永久的に埋設されるため、吸湿しにくく、熱伝導率及び強度等の経年劣化が少ない独立気泡型の合成樹脂発泡体(例えば押出し法発泡ポリスチレン等)が一般的に用いられている。
特開昭62−276101号公報
独立気泡型の合成樹脂発泡体は、一般に水を吸わない材料との認識があるが、常時、水に浸漬される状況で長期間土中内に埋設されて使用される場合における含水率の変化や、これに伴う熱伝導率及び強度等の経年変化については未解明な部分が多い。
仮に、凍上対策として埋設された断熱材に熱伝導率及び強度等の経年劣化が生じた場合には、初期の性能を維持することができず、凍上圧により路面に不陸(波うち)が生じたり、交通荷重等により路面に歪みが生じるなどの重大な問題が発生することとなる。
本発明は、上記の事情に鑑み、実験データ等に基づいた半永久的に凍上防止効果を十分に発揮し得る信頼性の高い地盤の凍上防止構造を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、道路に比較して大きな繰り返し圧縮荷重が作用する鉄道軌道において、実験データ等に基づいた半永久的に凍上防止効果を十分に発揮し得る信頼性の高い凍上防止構造を提供することを目的とするものである。
本発明者は、独立気泡型の合成樹脂発泡体の水分蓄積、土中での断熱材の含水率変化及びこれに伴う熱伝導率の変化について実験およびシュミレーションを重ねた結果、独立気泡型の合成樹脂発泡体であっても、含水率の増加に伴う無視できない熱伝導率の劣化が生じることを知見し、これに対する適切な対策を鋭意検討し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の地盤の凍上防止構造は、90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みが25mm以上50mm未満の場合には透湿抵抗が0.29m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが50mm以上75mm未満の場合には透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが70mm以上の場合には透湿抵抗が0.14m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、積層してなる凍上防止用断熱パネルを、地表と最大凍結深さとの間に設置したことを特徴とする。
また、前記凍上防止用断熱パネルに、摩擦係数を高める処理が施されていることを特徴とする。
また、前記凍上防止用断熱パネルは、全表面が前記防湿シートによって覆われていることを特徴とする。
また、前記合成樹脂発泡体は20N/cm2以上の圧縮強度を有することを特徴とする。
また、本発明の鉄道軌道の凍上防止構造は、路盤コンクリート上に軌道スラブコンクリートを設けた構成を有する鉄道軌道の凍上防止構造であって、
90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みが25mm以上50mm未満の場合には透湿抵抗が0.29m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが50mm以上75mm未満の場合には透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが70mm以上の場合には透湿抵抗が0.14m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、積層してなる凍上防止用断熱パネルを、前記路盤コンクリートの下面に設置したことを特徴とする。
また、前記凍上防止用断熱パネルに、摩擦係数を高める処理が施されていることを特徴とする。
また、前記凍上防止用断熱パネルは、全表面が前記防湿シートによって覆われていることを特徴とする。
また、前記合成樹脂発泡体は40N/cm2以上の圧縮強度を有することを特徴とする。
また、前記凍上防止用断熱パネルを、前記路盤コンクリートの幅方向の外側まで延出させて設置したことを特徴とする。
また、前記路盤コンクリートの下層地盤に凍結線が侵入しない範囲まで、前記凍上防止用断熱パネルを、前記路盤コンクリートの幅方向の外側まで延出させて設置したことを特徴とする。
本発明の地盤および鉄道軌道の凍上防止構造によれば、90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みに応じて所定の透湿抵抗を有する防湿シートを積層してなる凍上防止用断熱パネルを用いることにより、土中での合成樹脂発泡体の含水率の増加を抑え、熱伝導率及び強度等の経年劣化を抑制することができ、半永久的に凍上防止効果を十分に発揮し得る信頼性の高い凍上防止構造が実現される。
また、凍上防止用断熱パネルに摩擦係数を高める処理が施されている場合には、防湿シートを積層したことによって基礎地盤上あるいは敷砂上に設置される凍上防止用断熱パネルの横ずれに対する抵抗が低下するのを回避でき、半永久的に凍上防止効果を十分に発揮し得る安定性及び信頼性の高い凍上防止構造が実現される。
本発明の地盤および鉄道軌道の凍上防止構造では、90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、所定の透湿抵抗を有する防湿シートを積層してなる凍上防止用断熱パネルを用いる。なお、合成樹脂発泡体の独立気泡率とは、ASTM D 2856のA法に準じてエアーピクノメーター法によって測定された値である。
まず、合成樹脂発泡体の土中での含水率変化及びこれに伴う熱伝導率の変化について本発明者が行った検討内容を説明する。
合成樹脂発泡体への水分蓄積の要因としては、1)内部結露による含水量、2)水に浸漬した場合の吸水量、がある。上記内部結露による含水量は、内部結露が生じる断面構成の前提では、内外の水蒸気圧力差、合成樹脂発泡体の透湿率に依存し、同一材料であれば、内外の水蒸気圧力差が小さいほど、厚みが厚いほど単位時間当たりの含水率(結露水量)は小さくなる。また、上記吸水量は、水温、合成樹脂発泡体の表面積および透湿率に依存し、同一材料であれば水温が低く、厚みが厚く、幅・長さが大きいほど単位時間当たりの含水率(吸水量)は小さくなる。
土中での含水率は、上記1)、2)の要因により決まる。内部結露は通年を通して発生するのではなく季節要因が作用し、発生位置は上下材料の透湿係数に依存する。吸水については、水位が合成樹脂発泡体より低い場合は、土中温度に依存する平衡含水率になると想定される。
本発明者は、まず図1のように、コンクリート(厚さ:200mm、熱伝導率:1.6W/mK、透湿比抵抗:0.336m2・s・Pa/ng)の下側に下記の断熱材A、Bが有る場合の内部結露を計算した。その結果を表1に示す。尚、外気温、外気絶対湿度、土中温度は、拡張アメダス気象データの札幌標準年EA気象データ(1981年から1995年までの15年間EA気象データから、算出された仮想の1年間の気象データ)より4半期毎に平均、最大、最低を求めた。また、土中温度は、測定例を元に土中2mの計算値の日平均値を用いた。
断熱材A:ダウ化工(株)製スタイロフォームDX−35(厚み:50mm、熱伝導率:0.028W/mK、透湿比抵抗:0.768m2・s・Pa/ng、独立気泡率:99%)
断熱材B:ダウ化工(株)製スタイロフォームHD(厚み:50mm、熱伝導率:0.028W/mK、透湿比抵抗:0.768m2・s・Pa/ng、独立気泡率:95%)の上下面に防湿フィルム(透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng)を積層
Figure 0004685534
次に、吸水による含水量は最悪のケースを想定し、上記断熱材A,Bが水中に10日間浸漬した状態とし、吸水試験を行った。そして、この試験結果から1年当たりの含水率を求めた結果、断熱材Aでは0.22Vol%/year、断熱材Bでは0.08Vol%/year、であった。
また、実測例によるスタイロフォームの含水率と熱伝導率の関係を図2に示した。
これらの結果を元に、100年後の含水率と熱伝導率とを求めた結果を表2に示す。
Figure 0004685534
断熱材Aはスキン層を有する独立気泡率が99%の厚さ50mmの合成樹脂発泡体であり、従来、一般に水を吸わない材料と認識されており、水の影響による経年劣化が問われることはなかった。しかしながら、本発明者による上記の実験およびシュミレーションの結果から、従来仕様の断熱材Aでは含水率の変化に伴う100年後の熱伝導率は初期の4倍以上となり、凍上対策としての初期の性能を十分維持できない可能性があることが分かった。
これに対し、独立気泡率が95%の厚さ50mmの合成樹脂発泡体の上下面に、透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ngの防湿シートを積層した断熱材Bでは、100年後の熱伝導率を初期の1.5倍以下に抑えることができ、半永久的に十分な凍上防止効果を有するものと判断できる。
また、本発明者は、合成樹脂発泡体の厚さのみを変えて上記と同様の実験およびシュミレーションを行った結果、合成樹脂発泡体の厚みが25mm以上50mm未満の場合には透湿抵抗が0.29m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、合成樹脂発泡体の厚みが50mm以上75mm未満の場合には透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、合成樹脂発泡体の厚みが70mm以上の場合には透湿抵抗が0.14m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを積層したものでは、100年後の熱伝導率を初期の1.5倍以下に抑えることができることが判明した。
また、本発明者の検討によれば、合成樹脂発泡体の独立気泡率が90%を下回ると、合成樹脂発泡体の上下面に防湿シートを積層したものであっても、合成樹脂発泡体の小口面(端面)からの吸水の影響によって、含水率の増加に伴う無視できない熱伝導率の劣化が生じることが分かった。
このため、本発明の凍上防止構造では、90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みが25mm以上50mm未満の場合には透湿抵抗が0.29m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが50mm以上75mm未満の場合には透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが70mm以上の場合には透湿抵抗が0.14m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、積層してなる凍上防止用断熱パネルを用いることとした。
防湿シートの材質は特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、不織布、合成樹脂フィルムと不織布もしくはアルミ箔等からなる複層構造のもの等が挙げられる。
上記の防湿シートは、少なくとも合成樹脂発泡体の上下面に積層することにより前述したような十分な防湿効果が得られるが、より信頼性を高めるために、小口面(端面)も含め、合成樹脂発泡体の全表面を覆うように設けることが好ましい。また、防湿シートを合成樹脂発泡体から延出させたり、合成樹脂発泡体の端部に相じゃくり加工を施すなどして、合成樹脂発泡体相互の目地部を通しての合成樹脂発泡体端部からの吸水を防止するように構成することも好ましい。
合成樹脂発泡体の上下面に防湿シートを積層する方法は特に限定されないが、製造コスト及び剥離強度等の点で以下に示す熱熱ラミネーション方式が好ましい。具体的には、例えば、スチレン系樹脂発泡体にポリエステルフィルムを積層する場合には、予めポリエステルフィルムにポリスチレンフィルムを接着剤によって接着しておき、スチレン系樹脂発泡体と接着の相性のよいポリスチレンフィルム側をスチレン系樹脂発泡体に重ねた状態で熱ラミネーションすることによって一体化することができる。また、スチレン系樹脂発泡体にポリエチレンフィルムを積層する場合には、予めポリエチレンフィルムにポリエチレン−酢酸ビニルフィルムを接着剤によって接着しておき、スチレン系樹脂発泡体にポリエチレン−酢酸ビニルフィルム側を重ねた状態で熱ラミネーションすることによって一体化することができる。
また、防湿シートを合成樹脂発泡体の全表面を覆うように設ける場合には、防湿シートとして例えばポリエチレン製等のシュリンクフィルムを用いてシュリンクパックすることができる。
次に、合成樹脂発泡体の上下面に防湿シートを積層した際の摩擦係数に関する検討を行った。
従来から凍上防止用断熱パネルとして用いられている合成樹脂発泡体は、表面の微細な凹凸等によって所定の摩擦係数を有し、従来の実績からして基礎地盤上あるいは敷砂上に設置された際の横ずれに対する十分な抵抗を有しているものである。一方、防湿シートを上下面に積層した場合には、この横ずれに対する抵抗が低下し、凍上防止構造の安定性の低下が危惧される。
そこで本発明者は、下記供試体C、Dと湿潤砂(厚さ40mm)との摩擦係数を、図6に示すようにして測定した。すなわち、湿潤砂61の上に供試体62を置き、供試体に荷重Wを均等に加え、台車63を引張り、滑りだし時の張力Fをバネ量り64で測定した。この場合、砂と供試体との摩擦係数μはF/Wで算定される。
供試体C:ダウ化工(株)製スタイロフォームDX−45(厚み:50mm)
供試体D:ダウ化工(株)製スタイロフォームDX−45(厚み:50mm)の表面に、ポリエチレンフィルムにポリエチレン−酢酸ビニルフィルムを接着剤によって接着した防湿シートを熱ラミネーションしたもの。
その結果、供試体Cと砂との摩擦係数は0.38、供試体Dと砂との摩擦係数は0.20であった。このように、合成樹脂発泡体に防湿シートを積層したもの(供試体D)は、単体の合成樹脂発泡体(供試体C)に比べて著しく摩擦係数が低下することが判明した。このため、本発明においては、凍上防止用断熱パネルとして合成樹脂発泡体の上下面に防湿シートを積層したものを用いるに際し、従来から用いられている合成樹脂発泡体の摩擦係数と同等もしくはこれ以上の摩擦係数を持たせるために、摩擦係数を高める処理を施すのが好ましい。具体的には、例えば、表面にエンボス加工、スクラッチ加工を施したり、ホットメルトタイプの接着剤を部分的に塗布する方法が挙げられる。なお、これらの処理は、予め防湿シートに施しておいても良いし、合成樹脂発泡体に防湿シートを積層した後に行っても良い。また、これらの中でも、エンボス加工が特に好ましく、容易に合成樹脂発泡体単体の摩擦係数と同等以上の摩擦係数を持たせることができる。図7は、合成樹脂発泡体71に防湿シート72を積層した後に、表面に凹凸加工73を施した凍上防止用断熱パネルの一例を模式的に示したものである。
次に、本発明の凍上防止構造の実施形態例を説明するが、本発明はかかる形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で適宜の変更を加えることができる。
図3は、本発明の地盤の凍上防止構造を道路(車道および歩道)に適用する場合の一実施形態例を示す断面図である。図中、31は基礎地盤(路床)、32および34は保護砂層、33は90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みに応じて前述したような所定の透湿抵抗を有する防湿シートを積層してなる凍上防止用断熱パネル、35は上部路床、36は粒状路盤材層、37はアスファルト安定処理層、38は基層、39は表層である。
凍上防止用断熱パネル33に用いる90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体としては、具体的にはスチレン系樹脂発泡体、エチレン系樹脂発泡体並びにプロピレン系樹脂発泡体等のオレフィン系樹脂発泡体及び、ウレタン系樹脂発泡体、フェノール系樹脂発泡体等が挙げられる。これらの中でも押出ポリスチレン発泡体は、高い断熱性能に加え、吸水率が小さく、耐水性に優れる点で特に好ましい。
また、本例のような一般的な道路の凍上防止構造では、交通荷重により路面に歪みが生じないように、凍上防止用断熱パネル33の合成樹脂発泡体は20N/cm2以上の圧縮強度(圧縮強度測定方法:JIS K 7220に準拠して測定した値)を有するものが好ましい。
凍上防止用断熱パネル33は、地表と最大凍結深さとの間に設置される。なお、最大凍結深さは、地中温度が0℃になる位置までの地表からの深さとして定義され、気温などの気象条件の他、土質や含水率によって支配される。
実測によって凍結深さを求める方法としては、1)メチレンブルー凍結深度計を利用する方法、2)地盤中の各層に測温抵抗体温度計や熱電対を埋設する方法、3)調査孔を掘削して凍結期の地中の温度および凍結の様相を観測する方法、などがある。
また、計算によって凍結深さを求める場合には、原則として気温から計算される理論最大凍結深さDmaxを求め推定する。Dmaxは最寄りの気象観測データ式を用いて推定する。
Dmax=C√Fmax
ここに、C:定数
Fmax:最近10ヶ年の最大凍結深さ
定数Cは現場条件により変化するが、通常の場合は表3の値を用いることができる。
Figure 0004685534
表3中の凍結指数は、冬の凍結期間における氷点下の温度の大きさとその継続期間の積で表されるもので、気象観測所の気温から以下のようにして求めることができる。すなわち、凍結指数は、日平均気温が+から−に変わる日を初日とし、翌春日平均気温が−から+に変わる日までの温度を積算し、日平均気温積算値の+と−の最大値の絶対値を加えたものである。なお、理論最大凍結深さDmaxの算出には、最近10年間の最大凍結指数を用いることもできる。
本例の凍上防止構造によれば、90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、所定の透湿抵抗を有する防湿シートを積層してなる凍上防止用断熱パネル33を用いることにより、土中での合成樹脂発泡体の含水率の増加を抑え、経年劣化を抑制することができ、半永久的に凍上防止効果を十分に発揮し得る信頼性の高い地盤の凍上防止構造が実現される。
図4は、本発明の鉄道軌道の凍上防止構造の一実施形態例を示す断面図である。図中、41は基礎地盤(路床)、42は90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みに応じて前述したような所定の透湿抵抗を有する防湿シートを積層してなる凍上防止用断熱パネル、43は路盤コンクリート、44は軌道スラブコンクリート、45はレールである。
凍上防止用断熱パネル42に用いる合成樹脂発泡体としては、前記凍上防止用断熱パネル33と同様のものを用いることができるが、本例のような鉄道軌道の凍上防止構造では、道路に比較して大きな繰り返し圧縮荷重が作用するため、軌道に歪みが生じないように、凍上防止用断熱パネル42の合成樹脂発泡体は40N/cm2以上の圧縮強度を有するものが好ましい。
凍上防止用断熱パネル42は、凍上防止の観点からすれば、図4に示すように少なくとも路盤コンクリート43の下面全面に設置するのが好ましく、更に好ましくは図5に示すように、路盤コンクリート43の幅方向の外側まで延出させて設置するのがよい。この場合、路盤コンクリート43の下層地盤に凍結線51が侵入しない範囲まで、凍上防止用断熱パネル42を延出させることにより、路盤コンクリート43に凍上圧が作用するのを確実に防止することができる。
本例の鉄道軌道の凍上防止構造によれば、90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、所定の透湿抵抗を有する防湿シートを積層してなる凍上防止用断熱パネル42を用いることにより、土中での合成樹脂発泡体の含水率の増加を抑え、経年劣化を抑制することができ、半永久的に凍上防止効果を十分に発揮し得る信頼性の高い鉄道軌道の凍上防止構造が実現される。
内部結露による合成樹脂発泡体への水分蓄積について説明するための図である。 実測例による合成樹脂発泡体の含水率と熱伝導率の関係を示す図である。 本発明の地盤の凍上防止構造を道路(車道および歩道)に適用する場合の一実施形態例を示す断面図である。 本発明の鉄道軌道の凍上防止構造の一実施形態例を示す断面図である。 本発明の鉄道軌道の凍上防止構造の別の実施形態例を示す断面図である。 断熱パネルの摩擦係数の測定方法を説明するための図である。 表面に凹凸加工を施した凍上防止用断熱パネルの一例を示す断面模式図である。
符号の説明
31 基礎地盤(路床)
32、34 保護砂層
33 凍上防止用断熱パネル
35 上部路床
36 粒状路盤材層
37 アスファルト安定処理層
38 基層
39 表層
41 基礎地盤(路床)
42 凍上防止用断熱パネル
43 路盤コンクリート
44 軌道スラブコンクリート
45 レール
51 凍上線
61 湿潤砂
62 供試体
63 台車
64 バネ量り
71 合成樹脂発泡体
72 防湿シート
73 凹凸加工

Claims (10)

  1. 90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みが25mm以上50mm未満の場合には透湿抵抗が0.29m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが50mm以上75mm未満の場合には透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが70mm以上の場合には透湿抵抗が0.14m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、積層してなる凍上防止用断熱パネルを、地表と最大凍結深さとの間に設置したことを特徴とする地盤の凍上防止構造。
  2. 前記凍上防止用断熱パネルに、摩擦係数を高める処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の地盤の凍上防止構造。
  3. 前記凍上防止用断熱パネルは、全表面が前記防湿シートによって覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤の凍上防止構造。
  4. 前記合成樹脂発泡体は20N/cm2以上の圧縮強度を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の地盤の凍上防止構造。
  5. 路盤コンクリート上に軌道スラブコンクリートを設けた構成を有する鉄道軌道の凍上防止構造であって、
    90%以上の独立気泡率を有する合成樹脂発泡体の少なくとも上下面に、該合成樹脂発泡体の厚みが25mm以上50mm未満の場合には透湿抵抗が0.29m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが50mm以上75mm未満の場合には透湿抵抗が0.24m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、該合成樹脂発泡体の厚みが70mm以上の場合には透湿抵抗が0.14m2・s・Pa/ng以上の防湿シートを、積層してなる凍上防止用断熱パネルを、前記路盤コンクリートの下面に設置したことを特徴とする鉄道軌道の凍上防止構造。
  6. 前記凍上防止用断熱パネルに、摩擦係数を高める処理が施されていることを特徴とする請求項5に記載の鉄道軌道の凍上防止構造。
  7. 前記凍上防止用断熱パネルは、全表面が前記防湿シートによって覆われていることを特徴とする請求項5又は6に記載の鉄道軌道の凍上防止構造。
  8. 前記合成樹脂発泡体は40N/cm2以上の圧縮強度を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の地盤の凍上防止構造。
  9. 前記凍上防止用断熱パネルを、前記路盤コンクリートの幅方向の外側まで延出させて設置したことを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の鉄道軌道の凍上防止構造。
  10. 前記路盤コンクリートの下層地盤に凍結線が侵入しない範囲まで、前記凍上防止用断熱パネルを、前記路盤コンクリートの幅方向の外側まで延出させて設置したことを特徴とする請求項9に記載の鉄道軌道の凍上防止構造。
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