JP5550158B2 - 凍上抑制層を有する路盤構造 - Google Patents

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Description

本発明は、路盤構造に関し、特に寒冷地における舗装道路の路盤材料として、ガラスカレットを凍上抑制層に用いた路盤構造に関する。
一般に、舗装道路における路盤の構造は、最下層に路床、その上方側に下層路盤を設け、表層部にはアスファルト舗装を施している。図17は、舗装道路の路盤の構造を概略的に示す断面図であるが、同図に示されるように、寒冷地では冬期間の外気温が低いため冷気が路床部分100に侵入し、路床部分100を構成する土に霜柱を発生させ、いわゆる凍上現象が生じる。凍上現象が発生すると、下層路盤102を持ち上げ、結果的に、アスファルト混合物からなる舗装面104に、ひび割れなどの損傷を及ぼし、損傷部分に車両が通行することで、さらに損傷が進み路面に大きな不陸を生じさせるという悪循環となる。
一般に、凍上による路面の損傷を防止するには置換工法、遮水工法、断熱工法等の各種の対策が存在する。従来における断熱工法の一例としては、特許第4685534号公報(特許文献1)に記載されている凍上防止構造、遮水工法としては特開平11-247119号公報(特許文献2)記載の発明が公知である。
図18は、置換工法によって凍上抑制層が形成された場合の路盤の構造を示す概略断面図である。図18に示されるように、路床部分100を掘り込んで、その一部を凍上抑制材料と置換し、路床部分100と下層路盤102との間に、凍上抑制層106を設けている。置換工法は、路床部分100における土の一部を、凍上しにくい材料で置換して凍上抑制層を構築する工法であり、この置換材料としては細かい粒子を多く混入しない砂や、切込砕石、切込砂利、火山灰などの材料が使用されている。
また、断熱工法及び置換工法を混合した工法の一例として、特開2007-132066号公報(特許文献3)記載の発明が存在する。同公報記載の発明は、所定の圧縮強さを有し、且つ熱伝導率が一定値以下の断熱性ブロックを利用して、凍上抑制層に断熱性ブロックを敷設する工法である。同発明によれば、施工効率の向上、締固めによる破損を防止することが可能とされている。
特許第4685534号公報 特開平11-247119号公報 特開2007-132066号公報
しかしながら、特許文献1記載の「凍上防止構造」に関する発明は、防湿シートや合成樹脂発泡体を断熱材として使用していることから路盤の構造が複雑化するとともに、適用可能な道路が限定されるという課題があった。また、特許文献2記載の発明は有機系球状発泡体やベントナイトなどを凍上抑制用の断熱材として用い、これによって熱伝導率を所定値以下としているが、断熱材の材料としては特殊であり、一般的な道路に適用するのはコスト高を招くという課題が依然としてある。
さらに、前述した特許文献3記載の「路盤の断熱工法」の場合、凍上抑制層を形成するに際し、多くの断熱性ブロックが必要であり、自動車用道路に適用するには設置コストの上昇をもたらすという課題があった。同文献では断熱性ブロックの一例として、木材ブロックが挙げられているが、木材の場合、水分を吸収しやすいこと、腐朽などの課題があり、凍上抑制層の材料としては不適なことが予測される。
本発明は、このような諸事情に対処するために提案されたものであって、寒冷地における道路の凍上対策として行われる凍上抑制層につき、施工性、耐久性並びに凍上抑制性に優れ、環境負荷が少なく低廉なコストで施工可能な路盤構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、表層部に舗装面が形成され、路床の一部を凍上抑制層とした路盤構造であって、該凍上抑制層の材料としてガラスカレットのみを用いて形成し、該凍上抑制層の体積に対して該ガラスカレットの転圧前・敷均し時の体積量を110パーセント〜120パーセントの範囲内とするとともに、敷均し時における該ガラスカレットの転圧回数を5回以下とし、該ガラスカレットの圧密減量の割合が14〜18パーセントの性状を備えていることを特徴としている。


請求項2記載の発明は、上記1項において、前記凍上抑制層の熱伝導率は、0.4(W/mK)であることを特徴としている。
上述のように、各請求項記載の発明によれば、ガラスカレットを凍上抑制層の材料として用いた場合に、施工のし易さ、路盤の材料としての耐久性など、各種の試験にて基準値以上の特性を有することが裏付けられた。また、環境負荷や再利用という観点からもガラスカレットを凍上抑制層の材料として用いる優位性が明らかとなった。
本発明に係る凍上抑制層を有する路盤構造について試験施工を行ったガラスカレット工区、並びに隣接する比較工区を示す平面図である。 同じく、本発明の一実施形態に係る凍上抑制層を有する路盤構造の断面を概略的に示す説明図である。 砕石を用いて形成された従来の凍上抑制層を備えた比較工区の路盤の構造を示した説明図である。 ガラスカレット工区と比較工区における施工時の転圧による沈下量を比較して示すグラフである。 試験施工を行った旭川市の施工現場の気温の変動を示すグラフである。 試験施工区間における舗装の温度について、表面付近のアスファルト混合物層における温度を示した図である。 同じく、試験施工区間における深さ53cmの凍上抑制層における温度を示した図である。 同じく、試験施工区間における深さ83cmの路床における温度を示した図である。 ガラスカレット工区と比較工区の凍結深さ、並びに平成23年度冬季間の凍上量をメチレンブルー凍結深度計で測定した際の調査結果を示した図である。 同じく、ガラスカレット工区と比較工区における施工直後(通常期)、並びに一冬経過時の融解期における縦断方向の平坦性を示した図である。 同じく、ガラスカレット工区と比較工区において、施工時に実施した凍上抑制層上面における現場CBR試験を行った際の試験結果を示した図である。 同じく、ガラスカレット工区と比較工区において、施工直後および融解期にFWD試験を行った際の測定結果を示した図である。 ガラスカレットによって形成した凍上抑制層に関し、圧密沈下量の測定を行った試験工区の説明図である。 表3の結果をグラフ化した図である。 表4の結果をグラフ化した図である。 ガラスカレットについて、突き固め後の乾燥密度(縦軸)と、含水比(横軸)との関係を示したグラフである。 一般的な舗装道路の路盤の構造を概略的に示す断面図である。 従来における置換工法によって凍上抑制層が形成された場合の路盤の構造を示す概略断面図である。
以下、本発明に係る凍上抑制層を有する路盤構造の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は試験施工を行ったガラスカレット工区、隣接する比較工区を示す平面図、図2は本発明の一実施形態に係る路盤構造の断面を概略的に示す説明図で、北海道旭川市にて、ガラスカレットを凍上抑制層の材料として試験施工を行ったガラスカレット工区の路盤の構造を示している。また、図3は砕石を用いて形成された従来の凍上抑制層を備えた比較工区の路盤の構造を示した説明図である。図1に示されるように、試験施工箇所では、ガラスカレット工区1と比較工区50とを、長さ14m、15mとなるように設け、路面の変動を様々なデータとして把握し、ガラスカレットの凍上抑制層への適用を検討した。
まず、ガラスカレット工区1における路盤構造は、図2に示されるように、路床土10、凍上抑制層12、下層路盤14,上層路盤16、表層部18の各層によって構成されている。路床土10の上側にはガラスカレットによって形成された凍上抑制層12が深さT=47cmの寸法で設けられ、凍上対策として行われる凍上抑制層12の材料には、ガラスカレットのみを用いて構成している。
ビンを破砕することによって製造されるガラスカレットの利用率は、平成元年度以降年々増加し、平成19年度には95.6%となり、資源有効利用促進法における平成22年度までの目標91%に達している。凍上抑制層12の上方には、40mm級砕石からなる下層路盤14が深さT=25cmの寸法で形成されている。下層路盤14は、道路上を通過する車輌の荷重を分散する役割を持つ重要な層であり、用いられる材料には、すりへり減量など一定以上の品質が求められる。さらに、その上方には上層路盤16、表層部18がアスファルトを主材料として形成されている。一方、図3に示される従来の比較工区50の凍上抑制層20では80mm級砕石を用いている。
(室内土質試験)
試験施工に先立ち、ガラスカレットについて室内土質および骨材試験を実施し、凍上抑制層に一般的に用いられる80mm級切込砕石との材料物性を比較し、以下の結果を得た。

Figure 0005550158
ガラスカレットを、舗装の凍上抑制層に適用する場合、最も重要となる性質は冬期の低温に対して凍上しないことである。凍上試験の結果、ガラスカレットの凍上率は0.3%で凍結様式はコンクリート状であり、ガラスカレットは凍上しないことがわかる。これに付随して、凍上性の目安である微粒分量試験結果を行った。凍上抑制層に一般的に用いられる80mm級切込砕石は14.3%(基準:15%以下)なのに対して、ガラスカレットは0.7%と非常に小さい。ここで、微粒分量試験とは0.075mmの篩を通過する微粉末の全質量に対する割合を示し、JISに規定された試験のことである。
吸水率も80mm切込砕石が2.33%なのに対して0.19%と低いため、凍上に対しては有利な試験結果となっている。材料そのものの耐久性を表す粗骨材のすり減り試験結果では、80mm級切込砕石が21.6%なのに対してガラスカレットは26.0%と多少高い値を示した。アスファルト舗装構造において、下層路盤におけるすり減りの規格値は45%であるが、凍上抑制層は路床とみなすことから、すり減りなどの規格値はない。
次に、材料の支持力を表すCBR値であるが、80mm級切込砕石が153.6%なのに対して27.2%と比較的小さいが、設計CBRの上限は20であり凍上抑制層材料としての支持力は確保されている。ここで、CBRとは、路盤材料に直径5.0cmのピストンを2.5mm又は5.0mm貫入させたときの荷重を、標準荷重に対しパーセント表示した値である。
また、凍結融解作用を与えた後のCBR保存率は、80mm切込砕石が58.3%なのに対して82.0%と高く、80mm級切込砕石と比較した場合に、ガラスカレットは凍結融解に対する支持力低下を起こしにくい材料といえる。
(溶出試験)
ガラスカレットについて溶出試験を実施し、環境に悪影響を及ぼす物質が溶出しないか否か分析を行った。以下の表2に示されるように、今回の分析において、環境上問題となる計量値は測定されなかった。

Figure 0005550158
(試験施工)
ガラスカレットの試験施工において、転圧機械と密度の関係を把握するため、転圧1回当たりの沈下量を測定した。具体的には振動ローラによる転圧を図1に示される測線No.1,No.2に沿って行った。ガラスカレット工区と比較工区では、ローラの転圧方法が異なることから単純な比較はできないが、ガラスカレットは80mm級の砕石と比較して粒度が細かく比較的均一であるため、図4(a)に示されるように、転圧回数が6回程度で沈下が収束する。また、沈下量も3〜4cm程度となっている。
一方、80mm級の砕石を用いた比較工区では、図4(b)に示されるように、タイヤローラを用いた転圧において、転圧回数が8回程度で沈下が収束し、沈下量も4〜7cm程度となった。このことから、ガラスカレットは、従来の80mm級の砕石と比較して所定の密度を得られやすく、より均一な施工が可能と考えられる。
前述のように構成したガラスカレット工区1、比較工区50について各種の試験を行った。試験の内容、結果について以下に示す。
(試験施工現場の気温、路盤内部の温度)
平成22年11月24日から、翌年3月31日まで、試験施工を行った旭川市の施工現場の気温の変動を図5に示す。凍結指数では今冬期の温度状況は概ね平年並みであるが、気温の最低値は1月28日においてマイナス15°Cを観測しており、試験施工位置が寒冷な状況であることがわかる。
試験施工区間における舗装の温度について、表面付近のアスファルト混合物層、深さ53cmの凍上抑制層、深さ83cmの路床の温度について、それぞれ図6〜8に示す。 図6に示されるように、アスファルト混合物層の温度は、ガラスカレット工区1と比較工区50においてほとんど差は無く、舗装表面の雰囲気温度は両者とも同一と考えられる。図7に示されるように、凍上抑制層における深さ53cmの内部温度は、ガラスカレット工区1と比較工区50で差があり、ガラスカレット工区1の方が比較工区50に対して、2.5°C程度高い値で推移している。また、図8に示されるように、深さ83cmの路床の温度も凍上抑制層と同様な傾向を示しており、比較工区50の路床の温度がマイナスとなる期間は19日間であるのに対して、ガラスカレット区1では0日であった。これらの結果からガラスカレットによる凍上抑制層は、断熱性・保温性を備えていることを意味しており、凍上抑制材料として優れた性質を有していると理解される。
(凍結深さ、凍上量)
凍結深さ、凍上量につき、メチレンブルー凍結深度計で測定した、ガラスカレット工区1と比較工区50の凍結深さ、並びに平成23年度冬季の凍上量の調査結果を図9A〜9Cに示す。図9Aに示される位置にて、凍結深度計による凍結深さの測定を、それぞれの工区にて行った。図9Bに示されるように、80mm級の砕石を凍上抑制層に用いた比較工区50より、ガラスカレットを凍上抑制層に用いたガラスカレット工区1における凍結深さが小さい結果となった。ガラスカレット工区1は、80mm級の砕石を凍上抑制層に用いた比較工区50より、その差が−9〜−11cmとなり、凍結深さが小さくなっている。
凍上量は、図9Aに示されるように、SP3.9〜SP34.9の7測線あたり5箇所で測定を行い、そのうち、最大の凍上量の推移を図9Cに示した。同図に示されるように、80m級の砕石を凍上抑制層に用いた比較工区より、ガラスカレットを凍上抑制層に用いたガラスカレット工区の凍上量は明らかに小さく、比較工区の期間を通した最大凍上量が2cm以上であるのに対して、ガラスカレット工区では0.5cm程度となっている。これは、比較工区では路床まで凍結が進入していたのに対し、ガラスカレット工区は路床が凍結しなかったためであり、値は計測誤差で凍上そのものは発生しなかったものと考えられる。
(平坦性)
次に、施工直後(通常期)、並びに一冬経過時の融解期における縦断方向の平坦性について、図10に示す。同図に示されるように、ガラスカレット工区の平坦性は、比較工区より大きいが、これは測定延長が14mと極端に短いためと考えられる。ガラスカレット工区の施工直後における上り下りを平均した平坦性は2.4mmであり、融解期における値は2.00mmと、大きな変化は無いことが分かる。このことから、ガラスカレットを凍上抑制層に使用しても路面の平坦性に大きな影響を与えないことがわかる。
(現場CBR試験)
施工時に実施した凍上抑制層上面における現場CBR試験の結果を図11に示す。ガラスカレットを凍上抑制層に用いた工区での現場CBR試験の結果は、比較工区におけるCBR試験の結果よりも小さい。この傾向は、前述した表1における室内でのCBR試験の結果と同様である。
一方、現場密度試験による凍上抑制層の締固め度は、CBR値とは逆にガラスカレット工区が比較工区より高い値を示し、締固めが容易であることを示している。
(FWD試験)
FWD(Falling Weight Deflectometer〜重錘落下式たわみ測定装置)試験は、舗装反力の支持力を調査する非破壊試験であり、図12(a)に示される位置で、施工直後および融解期に試験を行い、支持力の変動を測定した。
試験結果は図12(b)に示されるように、重錘直下の沈下量を測定した結果、ガラスカレット工区1の施工直後における撓みは、813μmであり、融解期の821μmとなった値と比較した場合に、僅かな変動しか無いことが分かる。このことから、ガラスカレットを凍上抑制層に使用しても融解期の支持力低下は発生しないことが明らかとなった。
以上のように、5mm以下のガラスカレットを、道路の凍上抑制層材料として使用した場合に、以下の知見が得られた。
(1)ガラスカレットの施工性
ガラスカレットの振動ローラによる転圧において、転圧回数が6回程度で沈下が収束し、沈下量は3〜4cm程度となった。一方、凍上抑制層として80mm級の砕石を用いた場合、タイヤローラによる転圧において、転圧回数が8回程度で沈下が収束し、沈下量は4〜7cm程度であった。このことから、ガラスカレットは、従来の80mm級の砕石と比較して所定の密度を得られやすく、より均一な施工が可能と考えられる。
(2)ガラスカレットの力学的性質
ガラスカレットの凍上率は0.3%で凍結様式はコンクリート状であり、ガラスカレット自体は材料的に凍上しない。また、凍上性の目安である微粒分量試験結果や吸水率も80mm級切込砕石と比較して、凍上に対して有利な試験結果となった。
材料の支持力を表すCBR値は、80mm級切込砕石と比較すれば値は小さいが、設計CBRの上限値は満足している。
一方、凍結融解作用を与えた後のCBR保存率は、82.0%と高く、一般的に用いられる80mm級切込砕石と比較して、ガラスカレットは凍結融解に対する支持力低下を起こしにくい材料である。
(3)ガラスカレットの科学的性質
ガラスカレットについて溶出試験を実施し、環境に悪影響を及ぼす物質が溶出しないか分析を行った結果、環境上問題となる計量値は測定されなかった。
(4)凍結深さ
ガラスカレットを凍上抑制層に用いた断面の凍結深さは、80mm級の砕石を凍上抑制層に用いた断面の凍結深さより小さい結果となっており、その差は80mm級の砕石を凍上抑制層に用いた場合より−9〜11cmとなった。
(5)凍上量
今年度の気象条件において、ガラスカレットを凍上抑制層に用いた断面の凍上量は80mm級の砕石を凍上抑制層に用いた断面より小さかった。これは、比較工区では路床まで凍結が進入していたのに対して、ガラスカレット工区は路床が凍結しなかったためである。
(6)支持力
施工時に実施した、ガラスカレットを凍上抑制層に用いた断面のCBR値は、比較工区におけるCBR値よりも小さく、この傾向は室内試験におけるCBR試験結果と同様である。しかし、ガラスカレット工区の施工直後におけるDたわみと、融解期における値はほとんど変化が無いことから、ガラスカレットを凍上抑制層に使用しても融解期の支持力低下は発生しない。
(7)熱伝導率
ガラスカレットによって形成された凍上抑制層の熱伝導率は、計算によれば、0.4(W/mK)あるのに対し、80mm級の砕石の凍上抑制層は0.7(W/mK)と、ガラスカレットの場合は小さく、熱を伝えにくい性質を有することが確認された。このことは、冷気の路盤への侵入を抑え、凍上に対し有効に作用することから、ガラスカレットによる凍上抑制層は耐凍上性に優れた性質を有することを示している。
(8)圧密量試験
次に、圧密量試験の結果を示す。
図13はガラスカレットによって形成した凍上抑制層に関し、圧密沈下量の測定を行った試験工区の説明図である。
試験工区でのガラス敷均しは人力及びバックホウを併用し、転圧は振動ローラ4t(起振時5.0t)を使用した。そして、転圧1回毎にC通り1〜4の4点にて、ガラスカレットによって形成された1層目、2層目の転圧回数毎の圧密量を測定した。試験工区の面積は3.00m×9.00m=27.0m2、対象試験範囲は2.25m×6.0m=13.5m2である。
その結果を以下の表に示す。
Figure 0005550158

Figure 0005550158
図14は表3の結果をグラフ化したもの、図15は表4の結果をグラフ化したものである。図14に示されるように、1層目及び2層目ともに転圧回数4回を超えると概ね転圧が収束し始めている。
転圧後の締固め度は、JIS A1214現場密度試験(砂置換)で管理するが、ガラスカレットは砂と材料物性が近いことから、球体落下試験が有効な管理方法と考えられる。1層目につき球体落下試験を行ったところ、転圧回数1回で9.2cm、転圧回数2回で9.08cm、転圧回数4回で8.18cm、転圧回数6回目で7.73cmの結果となり、砂(シルト分2%未満)の規格値であるD=9.7cm以下を転圧回数1回目からクリアしている。これらの結果より、ガラスカレットによって形成された凍上抑制層は前述した図4と同様、従来の砕石を使用した場合に比較し、転圧回数が少なくて済み、施工効率に優れていることが分かった。
次に、転圧前・転圧後の容積の変化量を圧密試験の結果より考察する。表5,6は、1層目、2層目の沈下収束時点での圧密量を示す。

Figure 0005550158

Figure 0005550158
上記表5及び6の圧密試験結果から、敷均し容積(転圧前容積)・転圧後容積の変化量、変化率を計算すると以下の通りとなる。
・1層目
敷均し容積(転圧前容積)=0.2168(平均厚)×13.50(面積)=2.9268m3
転圧後容積=0.0321(平均圧密量)×13.50(面積)=0.43335m3
減容積率は(0.43335/2.9268)×100=14.81%
・2層目
敷均し容積(転圧前容積)=0.2125(平均厚)×13.50(面積)=2.86875m3
転圧後容積=0.036(平均圧密量)×13.50(面積)=0.486m3
減容積率は(0.486/2.86875)×100=16.94%
以上のことから、ガラスカレットにおける転圧後の圧密減量は14〜18%程度と考察される。従って、転圧前・敷均し時に必要なガラスカレットの容積としては、余裕を見て、110パーセント〜125パーセント、より好ましくは112パーセント〜120パーセントの範囲とすることが好ましい。
一方、砕石における圧密減量は27パーセント前後であり、施行現場では余裕を見て135%前後の容積となるように砕石を用意した上で、施工現場に搬入し、敷き均しを行う必要がある。これらのことは、砕石に比較してガラスカレットでは凍上抑制層を施工する上で、必要な容積量を大幅に減量でき、且つ転圧回数が少なくて済むことを意味し、施工現場までの運搬に際しても輸送回数の低減に繋がるなど、材料面、施工面からの経済性向上に資する。
また、転圧回数が少なくて済むということは、カレット自体の強度が高く、抑制層内部での安定性が砕石よりも優れ、転圧回数を多く必要とする砕石よりも内部崩壊が少ないことを裏付けている。このため、抑制層内部における空気の保持量を多くでき、結果として熱伝導率を低くすることができるので、ガラスカレットは凍上抑制材料として適した性質を備えている。
(水の影響の比較)
図16はガラスカレットについて、突き固め後の乾燥密度(縦軸)と、含水比(横軸)との関係を示したグラフである。
ガラスカレットの吸水率は0.21%前後、砂は2.20パーセント前後である。ガラスカレットは元々水を吸収しにくいが、凍上抑制に大きな影響を及ぼす最大乾燥密度、含水比、最適含水比について、ガラスカレット、80〜0mm級切込砕石、路床土のそれぞれの数値を以下に示す。また、図16の乾燥密度―含水比曲線から密度差を算出した。
ガラスカレット: 最大乾燥密度 1.64(g/cm
含水比 1.9〜8.8%
最適含水比 3.2%
密度差 0.05(g/cm

80〜0mm級切込砕石:最大乾燥密度 2.043(g/cm
含水比 3.4〜9.1%
最適含水比 7.8%
密度差 0.277(g/cm

路床土: 最大乾燥密度 1.799(g/cm
含水比 12.2〜19.4%
最適含水比 16.5%
密度差 0.114(g/cm
施工現場での含水比管理は、施工条件、気象条件、保管・運搬条件等が異なることから、常時、一定値に管理することは困難を伴う。しかし、前述したようにガラスカレットは吸水率が低く、含水比の大小に拘わらず最も密度差が少ない。つまり、図18のグラフにも示されるように、含水比が変化してもガラスカレットの乾燥密度差は小さい。つまり、ガラスカレットは切込砕石や路床土と比較し、水の影響が少ない材料といえるが、この点はガラスカレットは材料の粒径幅が小さく粒度が均等なため、個々の材料の密度差が小さいことが要因と考えられる。
また、凍上抑制層に使用するガラスカレットの含水比は、図16のグラフ、各種の実験から、0.5〜15.0パーセント、より好ましくは1.5〜9.0パーセントの範囲内が凍上抑制層の材料として適している。
一方、80〜0mm級切込砕石では、好ましくは5〜9パーセントの範囲内に管理する必要があり、ガラスカレットと比較し、要求される含水比の範囲が狭いため管理が煩雑であった。これに対し、ガラスカレットは適する含水比の幅が広いため、施工現場のみならず、保管場所等においても含水比管理を容易且つ的確に行うことができるメリットがあり、結果的に施工効率の向上に繋がる。特に、切込砕石の含水比の下限値は、5パーセント前後とガラスカレットと比較して高いため、施工時に散水しつつ転圧を行う必要があったが、ガラスカレットでは、その必要性を大幅に減ずることができることから、施工性並びに経済性の向上に寄与する。
本実施形態によれば、ガラスカレットを凍上抑制層に用いた路盤構造にて、その断面の凍結深さは、80mm級の砕石を凍上抑制層に用いた従来の路盤構造の凍結深さより小さい結果となった。つまり、ガラスカレットを利用した凍上抑制層は、凍上の抑制性に優れることは勿論、転圧回数が少なくて済むため施工し易く、且つ再利用可能なことから環境負荷の低減にも寄与する。
なお、本実施形態では、基本的に粒度5mm以下のガラスカレットを利用しているが、粒度5mmを超えると、カレットの形状が扁平となって割れ易くなるなど、路面から伝わる繰り返し荷重により、耐久性に悪影響を及ぼすことなどを考慮したものである。
以上説明したように、本発明によれば、凍上に対し、従来の砕石の場合よりも優れた抑制効果を得ることが可能となった。また、平坦性や支持力に関しても基準値以上の値を確保することができ、凍上抑制層の材料として、ガラスカレットを使用することの優位性を証明することができ、環境負荷の低減を図ることが可能である。
1 ガラスカレット工区
10 路床土
12 凍上抑制層
14 下層路盤
16 上層路盤
18 表層
50 ガラスカレット工区
100 路床
102 下層路盤
103 霜柱
104 舗装面
106 凍上抑制層

Claims (2)

  1. 表層部に舗装面が形成され、路床の一部を凍上抑制層とした路盤構造であって、該凍上抑制層の材料としてガラスカレットのみを用いて形成し、該凍上抑制層の体積に対して該ガラスカレットの転圧前・敷均し時の体積量を110パーセント〜120パーセントの範囲内とするとともに、敷均し時における該ガラスカレットの転圧回数を5回以下とし、該ガラスカレットの圧密減量の割合が14〜18パーセントの性状を備えていることを特徴とする凍上抑制層を有する路盤構造。
  2. 前記凍上抑制層の熱伝導率は、0.4(W/mK)であることを特徴とする請求項1に記載の凍上抑制層を有する路盤構造。
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