JP6021607B2 - 軒裏天井材 - Google Patents

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Description

本発明は、住宅間での延焼を防ぐ延焼防止性能に富む軒裏天井材に関する。
近年、火災発生時の延焼を考慮して、住宅の建材には無機質板等の耐火材が使用されている。特に、密集地域において、木造住宅で燃え移りやすい軒に対しては防火対策及び延焼を遅らせるために建築基準法で定められた例えば珪酸カルシウム板、スラグ石膏板、VS(火山性ガラス質材料)ボードなどの耐火用の建材が軒裏天井板として使用されている。軒の耐火性をさらに向上させるために建材の厚みや密度を上げることが考えられるが、厚みや密度が増すと建材の施工性、取扱性、運搬性等が劣ってしまう。
このほか、軒裏に耐火断熱層として、膨張断熱シート(延焼・類焼によって軒裏天井板が加熱されると燃えることなく発泡・膨張して断熱性を発揮する。)を軒裏天井板上に敷設することも提案されているが、延焼・類焼によって膨張断熱シートが発泡・膨張して断熱性を発揮する段階では軒裏天井板は既に高温に曝されてその熱気が軒裏天井板を通過し、軒裏全体に敷設されていたとしても、その弱い部分を通って軒裏に熱気が流れ込むことがあり、その場合には、軒裏天井板を少しずつ通過した熱気が軒裏内方空間へと至り、その後、その熱気が急激に増大して軒裏の構成材に燃え移る。
また、軒裏天井板上に熱遮断層として、アルミニウム箔シートを敷設することも提案されているが、この場合も膨張断熱シートと同様、軒裏天井板を少しずつ通過した熱気により軒裏が内部から比較的簡単に加熱破壊されてしまう。
上記耐火断熱層、熱遮断層や熱吸収層などを重複して使用する例も提案されているが、これらの層を重複して使用すると耐火性は格段に向上するものの、費用対効果としてコストが非常に割高となって実用に欠けるばかりか、施工も何重に亙って行う必要があり、軒の施工に手間がかかりすぎるという実用上の問題があった。
特開2009−174301号公報
そこで本発明の主たる課題は、隣家の火焔が隣接する家の軒を舐め始めたとき、延焼時の熱気が軒裏内部空間へ至ろうとする熱気の通過を妨げて軒から簡単に燃え移らないようにした軒裏天井材を提供することを目的とする。
請求項1に記載した発明は、「軒裏3に敷設される軒裏天井材4であって、その比重が0.3〜0.7で且つ水和物を含有しない無機質板状体5と、無機質板状体5の表裏両面に形成された不燃緻密層6a,6bと、軒裏空間3a側に配置される不燃緻密層6bの表面に接着剤7にて接着された熱遮断層8とで構成されたことを特徴とする軒裏天井材4」である。
無機質板状体5は軒裏天井材4の中間層として構成され、その比重が0.3〜0.7で且つ水和物を含有せず、高温環境下でもクラック(割れ)が生じない断熱性と耐熱性とを有するロックウール板等で構成することができる。不燃緻密層6a,6bは無機質板状体5の表裏層として構成され、軽量で難燃性、平滑性、施工性(例えば釘保持力を有する。)、耐変形性、断熱性及び非通気性を有する不燃塗料を無機質板状体5の表裏に塗着することで一体的に構成することができる。熱遮断層8は軒裏空間3a側の最内層として構成され、輻射熱を低く抑える金属箔のような材料で、接着剤7にて接着することで一体的に構成することができる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の軒裏天井材4に関し、「無機質板状体5とその表裏の不燃緻密層6a,6bが予め一体化されている」ことを特徴とする。
無機質板状体5と不燃緻密層6a,6bとは耐火材としての特性を有するものであり、例えば塗装手段または圧縮加工手段により一体化することができる。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の軒裏天井材4に関し、「前記不燃緻密層6a,6bには金属粉が配合されている」ことを特徴とする。
金属粉は熱気を反射させる成分として有効な素材であり、アルミニウム粉等で構成することができる。
請求項4に記載した発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の軒裏天井材4に関し、「前記接着剤7には膨張材料が添加されている」ことを特徴とする。
接着剤7は熱遮断層8を不燃緻密層6bに全面接着させるものであり、ウレタン接着剤、ビニルウレタン接着剤等で構成することができる。
請求項5に記載した発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の軒裏天井材4に関し、「前記熱遮断層8には発泡ガス抜き用の細孔8aが備えられている」ことを特徴とする。
細孔8aは接着剤7で発生した発泡ガスを通過させる貫通孔であり、熱遮断層8の全面に亘って通気可能な小さな孔を多数穿設するものである。
請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の軒裏天井材4に関し、「前記熱遮断層8の一側辺部8bが無機質板状体5の対応する一側辺5aより外側に延出されている」ことを特徴とする。
一側辺部8bは無機質板状体5の対応する一側辺5aより外側に延出されているので、軒裏天井材4を軒裏に隣接させて施工したとき、先に施工した軒裏天井材4に一側辺5aより外側に延出している前記熱遮断層8の下に、後から施工する軒裏天井材4の無機質板状体5を単に重ねて施工することで、隣接する軒裏天井材4の隣接側辺間に熱遮断層8の切れ目が発生せず、熱の遮断をより確実に行うことができる。
請求項1に記載の発明によれば、軒裏空間3aの下側に開口されている開口面3bを軒裏天井材4が閉塞しているため、軒裏空間3aは軒裏天井材4によって遮蔽された空間となる。よって、下方からもらい火などの影響を受けても軒裏空間3aは軒裏天井材4に保護されて高温化せず、信頼性の高い延焼防止対策となる。特に、軒裏天井材4は下面側の不燃緻密層6aが難燃性や耐変形性を有しているため、軒2の部分を軒下から隣家の火焔が舐めるような状態になったとしても熱気の通過をほとんど制限し、内方の中間層である無機質板状体5への通気量を制限して無機質板状体5を熱気から保護する。これにより、無機質板状体5では熱気によって鉱物繊維が酸化して発火するのを防ぐことができ、無機質板状体5本来の耐火性能を維持することができる。さらに、上面側の不燃緻密層6bにおいても上述した不燃緻密層6aと同様に熱気の通過を制限する作用が得られる。熱遮断層8は気密性が高く熱気や熱輻射を低下させる遮断作用を有している。これにより、軒裏天井材4は下方から上方に向けて不燃緻密層6a、無機質板状体5、不燃緻密層6b、熱遮断層8の順に積層された4層、さらには接着剤7の5層の各特性が有効に発揮されて高い耐火性能を構築したものである。従って、軒裏天井材4が下方から加熱されても、そのときの熱気は軒裏天井材4で妨げられるため、軒裏空間3aでは木造の引火温度(260℃)に至らず、軒2が簡単に燃焼破壊されなくなり、軒2は延焼から長時間に亘って保護されることになる。
また、隣家からの延焼防止対策だけでなく、住宅自体から出火した場合であっても住宅内方からの熱気が室内の天井に沿って通じる該軒裏空間3aへと至るが、ここを閉塞している軒裏天井材4の最内層の熱遮断層8及びその下側の不燃緻密層6bの通気制限作用が働くため、内方から外方に向けての熱気の通過を制限することができる。このため、中間層の無機質板状体5は出火時であっても熱気の影響をほとんど受けず、良好な品質を保って耐火性能を維持することができる。
さらに、裏層側の不燃緻密層6bの表面全体に熱遮断層8を接着剤7により接着することにより、軒裏天井材4は4層(或いは5層)を重ね合わせた一枚板の耐火材となり、単品としての取扱性、施工性、運搬性が優れたものとなる。
そして、無機質板状体5としてその比重が0.3〜0.7であって、酸化アルミニウム、トバモライト、エトリンガイドなどの水和物を含有しないものを用いることにより、無機質板状体5の強度低下を抑えることができる。
請求項2に記載の発明によれば、無機質板状体5と不燃緻密層6a,6bが予め一体化されているので、熱遮断層8のみを別途一体化するだけで軒裏天井材4を能率よく構成することができる。このため、生産性、運搬性がよくなる。また、施工現場においても必要に応じて熱遮断層8のみを一体化するだけで軒裏天井材4を得ることができ、経済性・フレキシブル性も向上する。
請求項3に記載の発明によれば、金属粉が配合された高密度の不燃緻密層6a,6bは、熱気を反射させるだけでなく無機質板状体5から発生した際の輻射熱も反射させることができる。このため、軒裏天井材4の耐火性能が一層向上する。
請求項4に記載の発明によれば、接着剤7には膨張材料が添加されているので、接着剤7が熱影響を受けて熱膨張しても接着剤7は膨張によって多孔質構造となり、接着剤7の部分でも断熱性能を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、熱遮断層8には発泡ガス抜き用の細孔8aが備えられているため接着剤7が膨張して発泡ガスを発生しても、その発泡ガスを熱遮断層8の細孔8aより通過させて軒裏空間3aに抜くことができ、発泡ガスの発生によって熱遮断層8が損傷するのを防ぐことができる。
請求項6に記載した発明によれば、先に施工した軒裏天井材4に一側辺5aより外側に延出している前記熱遮断層8の下に、後から施工する軒裏天井材4の無機質板状体5を単に重ねて施工するという通常の施工で、隣接する軒裏天井材4の隣接側辺間に熱遮断層8の切れ目を解消し、熱の遮断をより確実に行うことができる。
本発明の軒裏天井材を軒に備えた要部縦断面図である。 本発明の軒裏天井材の取付状態を示す要部斜視図である。 本発明の軒裏天井材を傾斜した軒に備えた要部縦断面図である。 本発明の軒裏天井材の実験条件及び実験状態を示した概略図である。 図4の実験における軒裏天井材の板裏温度分布曲線を示したグラフである。 図4の実験における軒裏空間に収納された媒体に相当するステンレス板の温度分布曲線を示すグラフである。
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。図1は本発明の軒裏天井材4の使用状態を示し、図2は本発明の軒裏天井材4の取付部分を一部分解して示し、図3は本発明の傾斜した軒での軒裏天井材4の使用状態を示している。図4は軒裏空間を想定した実験状態を示し、図5,図6は実験結果のデータを示している。
図1(a)は木造戸建て住宅1の軒2を示したものであり、この軒2は木造戸建て住宅1の外壁Wより突出して構成され、その突出した軒2の主要構造は屋根の勾配にしたがって棟木(図面省略)から軒桁12に向けて掛け渡された垂木9を有し、この垂木9の軒先部分と、軒先部分で垂木9を横方向に支える軒桁12と、軒桁12と平行して各垂木9の先端部分を隠す鼻隠し11とで構成している。
これにより、軒2の下面側は垂木9と軒桁12と鼻隠し11との3辺で囲まれて例えば側面視直角3角形状の軒裏空間3aが形成され、この軒裏空間3aの下面に開口する開口面3bを後述する軒裏天井材4で閉塞するものである。上述の軒裏天井材4を軒裏3に敷設するため、軒裏空間3aには図2にも示すように、軒裏天井材4の敷設用下地材が備えられている。まず、鼻隠し11裏側の垂木9の先端に軒先吊木10を取り付け、この軒先吊木10の下端部に軒先下木15を吊支している。さらに、軒桁12側の垂木9に軒桁12と平行する軒元上木16を取り付け、この軒元上木16に軒元吊木17を介して軒元下木14を吊支している。さらに、軒先下木15と軒元下木14との間を軒桁12の方向に一定間隔毎に軒天取付木13で水平に連結して軒裏天井材4敷設用の下地材を構成している。
そして、軒裏空間3aの開口面3bに対し、図2に示すように各軒裏天井材4を平面的に隙間なく対接させた状態で軒裏天井材4の周囲をビス、釘、タッピンネジ等の止め具18で下方から打ち込んで上方の軒天取付木13、軒元下木14、軒先下木15に固定するものである。これにより、軒裏天井材4が軒裏3に取り付けられる。図1(a)では軒裏天井材4の先端縁が鼻隠し11の内面に当接し、軒裏天井材4の基端縁が外壁W側に隙間なく当接した状態に取り付けられる。なお、軒裏天井材4の先端部は図示しない軒先取付金具を用いて補強してもよく、また基端部は図示しない外壁取付金具で補強してもよい。
軒裏天井材4は、図1(b)に示すように、無機質板状体5と、無機質板状体5の表面側に形成された不燃緻密層6aと、無機質板状体5の裏面側に形成された不燃緻密層6bと、不燃緻密層6bの表面に接着剤7で接着された熱遮断層8との4層(接着剤7に断熱性を持たせれば5層になる。)を一体形成して一枚板に構成したものである。
無機質板状体5は、低密度で熱伝導率が低く断熱材の無機質板であればよく、ロックウール板、グラスウール板、VSボード等の従来から建築材料或いは軒天井板として用いられている任意のものを使用するとよい。また、無機質材料と繊維状物を板状に一体化しても得ることができる。例えば、シラスバルーン等の無機発泡体と、パルプ、ポリプロピレン等の繊維状物と、澱粉、ポリビニルアルコール、イソシアネート等の結合剤とを混合して板状に一体化すれば無機質板状体5を製作することができる。
さらに、無機質板状体5は軽量で施工性がよい比重0.2〜0.9のものがよく、特に好ましくは比重0.3〜0.7が適している。その理由は無機質板状体5の比重が0.9を超える高比重の場合や厚さが厚い場合は耐火性能が向上する反面、重量が増して作業性が悪く、ビスや釘打ちもしずらく、施工性が劣ってしまう。また、比重が0.2を下回る場合には強度が不足してビスや釘打ちが困難となってしまうためである。
また、無機質板状体5は水酸化アルミニウム、トバモライト、エトリンガイドなどの水和物が添加されていないことが望ましい。水和物が添加されていると延焼時に水分を放出させて温度上昇を抑える反面、無機質板状体5の強度を低下させてしまうためである。
不燃緻密層6a,6bは、不燃材で硬度の高い緻密な層であり、一例としてロックウール、スラグウール、グラスウール、バーミキュライト等の鉱物質繊維、炭酸カルシウム、珪砂、スラグ、マイクロシリカ等の無機粉状体、澱粉、ポリビニルアルコール、イソシアネート等の結合剤を含む不燃性の金属粉配合塗料で形成することができる。この金属粉配合塗料を無機質板状体5の表裏全面に平滑で密に塗装して無機質板状体5と一体化するものである。さらに、ここに含まれるアルミニウム粉等の金属粉は緻密性を高め、不燃材と相まって熱気を遮蔽する役目を有しているので、軒裏天井材4が燃焼されようとしても該不燃緻密層6aが燃え難く熱気を遮蔽して軒裏天井材4の内部に炎を達し難くする。また、加熱された無機質板状体5そのものから発生する輻射熱も金属粉によって効率よく反射させる機能を有している。
熱遮断層8は、無機質板状体5の内部を通過した燃焼ガスや水蒸気が軒裏空間3aへ通過しないように遮蔽する層であり、特に高温度(600〜900℃)に対しても溶融や破損しない材料からなる層である。例えば、金属箔(アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、銅、真鍮など)、雲母プレート、ガラス板、セラミック板、アルミ複層紙などの薄膜状の層で構成されるものである。例えば、金属箔であれば、10〜200μmの厚さのものがよい。10μmに満たない金属箔では熱の遮蔽効果を維持できなくなり、200μmを超える厚さの金属箔では熱の遮蔽効果がさほど変わらないためである。さらに、金属箔のうち、表裏で艶消し面と艶面とが異なる金属箔であれば、艶消し面の方が輻射熱の反射効果が高いので艶消し面側を不燃緻密層6b側に接着するとよい。この際は、耐熱効果の向上が一層期待できる。熱遮断層8を構成する薄膜状層は接着剤7で無機質板状体5の軒裏空間3a側の面に無機質板状体5の全面に亙って接着される。他の実施例ではさらに熱遮断層8の一側辺部8bが無機質板状体5の対応する一側辺5a全長に亙って該一側辺5aより外側に延出される。
接着剤7は、熱遮断層8を不燃緻密層6bに全面接着するものであり、ウレタン接着剤またはビニルウレタン接着剤等の耐熱性のある接着剤7が適している。さらに、接着剤7の色においても透明系の接着剤7を用いる。これにより、接着する熱遮断層8の輻射効果を損なわなくなり、無機質板状体5と熱遮断層8の能力を最大限に発揮させることができる。また、接着剤7には膨張材料を添加するのが適しており、膨張材料は加熱によって膨張し、接着剤7での断熱性能を向上させることができる。但し、膨張によって発泡ガスが発生するため、熱遮断層8には多数の細孔8aを穿設していることが望ましい。この細孔8aにより発泡ガスが軒裏空間3aに抜けて熱遮断層8の破損を防ぐことができる。
次に、軒裏天井材4を用いて軒裏空間3aの開口面3bに敷設する取付状態及び耐火状態について説明する。
軒裏天井材4は上側から下側にかけて熱遮断層8、不燃緻密層6b、無機質板状体5、不燃緻密層6aとの耐火材として必要な4層(接着剤7に断熱性を持たせれば5層)を一体化した一枚板で形成されている。そして、一枚板であるため持ち運びし易く、また取り付けに際しても軒裏空間3aの開口面3bに対する取付位置に1枚ずつ平面的に敷設し、その周縁部を止め具18で打ち込めば簡単に取り付けることができる。よって、軒裏天井材4は取扱性、施工性、運搬性において優れたものとなる。
この軒裏天井材4が軒裏空間3aの開口面3bに敷設された後、仮に軒2が、隣家からの火災の影響を受けて延焼されようとしても、軒2の下面に取り付けられている軒裏天井材4が耐火材となって火炎の熱気を遮蔽する。このとき、火炎が直接当たる下面側の不燃緻密層6aが熱気を受けるが、この不燃緻密層6aは緻密で熱気に対する通気抵抗が高いため軒裏天井材4の内方への通気を制限する。よって、内方に位置する例えばロックウール板等の無機質板状体5では多孔質で熱気が通過しやすく、熱気によって無機質板状体5の鉱物繊維が酸化されると発熱が大きくなって発火してしまうが、この無機質板状体5への熱気の通過が少ないため本来の耐火性能を損なわず維持することができる。さらに、軒裏天井材4の上面側となる不燃緻密層(裏層)6bにおいても上述した下面側の不燃緻密層6aと同様に熱気の通過を制限する通過制限効果が得られ、より一層、耐火性が高まる。さらに、熱遮断層8が最内層として不燃緻密層6bの上面に接着剤7で接着して覆っているため熱気や熱伝導を確実に遮断する。この結果、軒裏天井材4が下方からの火炎により加熱されても、そのときの熱気が軒裏天井材4によって制限されるため軒裏空間3aへは熱気がほとんど流入せず、熱気の通過量を制限できるため軒2が簡単に燃焼破壊されず、長時間に亘って安定した耐火性能が得られる。
さらに、軒裏天井材4は一枚板で形成されているため、取付後は長期使用されても位置ズレせず、また取付後に延焼時の火力の影響を受けても、該軒裏天井材4を一体化構成している4層(または5層)はズレたり、隙間が生じたりしないため、本来の耐火機能が損なわれる心配がなく、常に安定した耐火性能を維持することができる。
さらに、軒裏天井材4を軒裏3に取り付ける際、一側片部8bを有していない軒裏天井材4を1枚ずつ隣接させて取り付けてもよいが、図2に示すように一側片部8bを備えた軒裏天井材4を隣接させて施工した場合は、先に施工した軒裏天井材4に一側辺5aより外側に延出している熱遮断層8の下に、後から施工する軒裏天井材4の無機質板状体5を単に重ねて施工することで、隣接する軒裏天井材4の隣接側辺間に熱遮断層8の切れ目が発生せず、熱の遮断をより確実に行うことができる。
図3は軒裏天井材4を傾斜設置した他の設置例を示し、傾斜した垂木9の傾斜下面に沿って軒天取付木13、軒元下木14、軒先下木15を同傾斜姿勢で垂木9に直接固定し、これら軒天取付木13、軒元下木14、軒先下木15の下面に軒裏天井材4を1枚ずつ直接止め具18によって固着したものである。この場合は、垂木9の下面側に軒裏空間3aを設けない無空間の部分に軒裏天井材4を取り付けたものであり、軒裏空間3aが省略された状態となっている。このように軒2への取付形態が異なっても軒裏天井材4は上述したように熱気の通過を抑制する特性を有しているため熱気抑制効果が十分に得られ、軒2の部分を高温化させず、安定した耐火性を維持することができる。
次に、軒裏天井材4の耐火性能を3種類の試験片A〜Cを用いて実験した結果を、図4〜図6を参照して説明する。
実験条件として高温大型電気炉(岡山セラミックスセンター)を利用し、炉内の温度を750℃に一定に設定した環境雰囲気で、図4に示す軒裏空間3aに見立てた凹形容器41の開口面41aを閉塞するように軒裏天井用の試験片A〜Cを設置し、且つその内方の凹形空間41bに試験片A〜C毎に損傷検出試験片としてのステンレス板42を収納して、これらの裏面温度の変化を各温度検出ライン43,44を介して図示しない高温温度計で測定した。そして、実験開始から25分経過後に試験片A〜Cとステンレス板42とを炉外に取り出して傷み具合を観察した。
軒裏天井材4の実験について、下記の[表1]に示すように、第1比較試験片A、第2比較試験片B、本発明試験片(軒裏天井材4)Cとの3種類の構成条件が異なる試験片A〜Cを実験に用いて比較した。
[表1]
表1ではロックウールと略同成分を有するダイロートンを軒裏天井材4の中間層となる無機質板状体5として用いた。また、ダイロートンの表面には種類別の試験片B,Cに不燃緻密層6aとして不燃塗装を施し、ダイロートンの裏面には種類別の試験片B,Cに不燃緻密層6bとして不燃塗装を施し、且つ熱遮断層8として厚さ100μmのアルミ箔を施したものを用いた。
そして、実験結果のうち、3種類の試験片A〜Cについての板裏の温度変化状態を図5の温度分布曲線グラフA〜Cで表し、図6に同試験条件での損傷試験片としてのステンレス板42の板裏の温度変化状態を温度分布曲線グラフA〜Cで表している。また、図5と図6とに対応した比較試験片A、Bと、本発明試験片Cについての実験結果と考察結果を[表2]で表した。
[表2]
この結果、第1比較試験片Aについて、ここに用いられた基材は軽量な無機質板状体5で構成されたダイロートンを用いたものであり、高温度にさらされてもクラックが生じず、十分な強度を有しており、高温環境下で優れた耐熱伝導性及び断熱性を有する材料であることが認められた。一方、軒裏空間3aに存在されている物体として見立てられたステンレス板42は第1比較試験片Aで保護されていても加熱された際の影響を受けて表面の汚れが激しくなっていることが認められた。
第2比較試験片Bについて、ここに用いられた基材はダイロートンの表裏に不燃緻密層6a,6bを施したものを用いた。この結果、裏面塗装は剥離せず、表面塗装にのみクラックが入り剥離した。但し、剥離した膜の強度は高強度を有していた。この場合も、基材は高温度にさらされてもクラックが生じず、十分な強度を有しているほか、ステンレス板42においても表面の汚れが少なく不燃緻密層6a,6bによる熱気を制限する効果が認められた。このように不燃緻密層6a,6bを塗布することにより高温時の断熱性がさらに向上することが認められた。高温では熱気が基材を通り抜ける形で熱が伝導されると考えられるが、その熱気の流れを不燃緻密層6a,6bが顕著に抑えると考察される。
本発明試験片Cについて、ダイロートンのような無機質板状体5の表裏に不燃緻密層6a,6bを施し、且つ裏面に熱遮断層8としてのアルミ箔を接着して一枚板にしたものを用いた。この結果、裏面塗装は剥離せず、表面塗装にのみクラックが入り剥離した。また、不燃緻密層6bと接着して裏面に施されているアルミ箔は熱影響を受けて表面に個々の小さなアルミ箔の膨らみ部が生じた。この場合も、不燃緻密層6aのみ剥離した膜の強度は高強度を有していることが認められた。さらにダイロートンは高温度にさらされてもクラックが生じず、十分な強度を有しているほか、ステンレス板42においても加熱された影響を受けるが汚れが少ないことが認められた。また、アルミ箔を備えることによって、本発明試験片Cの裏面温度はさほど影響を受けず、ステンレス板42の裏面のみ昇温速度が遅くなることが認められた。これは、アルミ箔が輻射率の低い材料であり、輻射熱を低下させる効果が得られたためと考察できる。
以上説明したように、高温時でもクラックを生じない無機質板状体5の表裏面に不燃緻密層6a,6bを施し、且つ裏面に熱遮断層8としてのアルミ箔を接着したことにより、伝導、通気(対流)、輻射の熱伝導要素を同時に低下させる構造となり、耐火性能のよい軒裏天井材4の構築が可能となる。したがって、軒裏天井材4が火災の影響を受けて加熱されても不安定にならず、より軽量で、より薄く、また施工性及び取扱性が良く、しかも高耐火性を有する軒裏天井材4を構築できる。
なお、上述の実施例では無機質板状体5の表裏に不燃塗料の不燃緻密層6a,6bを塗布して製作した例を示したが、これに限らず、無機質板状体5とその表裏の不燃緻密層6a,6bと略同成分を無機質板状体5の成形時に同時に圧縮加工して一体化してもよい。また、不燃緻密層6a,6bが予め一体化されている無機質板状体5の不燃緻密層6a表面にさらに不燃緻密層を設けると、より高い延焼防止効果が見込める。
1…住宅
2…軒
3…軒裏
3a…軒裏空間
3b…開口面
4…軒裏天井材
5…無機質板状体
5a…無機質板状体一側辺
6a…表層の不燃緻密層
6b…裏層の不燃緻密層
7…接着剤
8…熱遮断層
8a…発泡ガス抜き用の細孔
8b…熱遮断層の一側辺部
9…垂木
10…軒先吊木
11…鼻隠し
12…軒桁
13…軒天取付木
14…軒元下木
15…軒先下木
16…軒元上木
17…軒元吊木
18…止め具
41…凹形容器
41a…開口面
41b…凹形空間
42…ステンレス板
43,44…温度検出ライン
A…第1比較試験片
B…第2比較試験片
C…本発明試験片
W…外壁

Claims (6)

  1. 軒裏に敷設される軒裏天井材であって、
    その比重が0.3〜0.7で且つ水和物を含有しない無機質板状体と、無機質板状体の表裏両面に形成された不燃緻密層と、軒裏空間側に配置される不燃緻密層の表面に接着剤にて接着された熱遮断層とで構成されたことを特徴とする軒裏天井材。
  2. 無機質板状体とその表裏の不燃緻密層が予め一体化されていることを特徴とする請求項1に記載の軒裏天井材。
  3. 前記不燃緻密層には金属粉が配合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の軒裏天井材。
  4. 前記接着剤には膨張材料が添加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の軒裏天井材。
  5. 前記熱遮断層には発泡ガス抜き用の細孔が備えられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の軒裏天井材。
  6. 前記熱遮断層の一側辺部が無機質板状体の対応する一側辺より外側に延出されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の軒裏天井材。
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