JP3718639B2 - 防火性を有するシート防水構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばコンクリート製屋根下地上に断熱材を介して防水シートが敷設される断熱防水屋根等に適用される防火性を有するシート防水構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般家屋の勾配付き屋根等において、軟質合成樹脂製の防水シート用いて屋根葺き施工する技術が採用されつつある。
【0003】
防水シートによる屋根葺き構造においては、図3に示すように、屋根下地(11)上に、断熱材(12a)を介して防水シート(13a)を敷設するものがある。このような構造において、防水シート(13a)は、例えばゴム系、エポキシ樹脂等の接着剤により、防水シート(13a)のほぼ全域を断熱材層に接着するようにした接着工法や、防水シート(13a)の一部を機械的に屋根下地(1)に固定して、残り多くの部分を遊離させるようにした絶縁工法等によって敷設施工される。
【0004】
しかしながら、上記屋根葺き構造において、断熱材(12a)として一般に用いられるスチレンフォーム等の合成樹脂発泡成形体は、可燃性物質であるため、その断熱材(12a)によって、防火性の低下を来す恐れがある。特に、防水シート(13a)が絶縁工法により敷設されるような場合には、防水シート(13a)の下面側に空気層が形成されるため、その空気層によって、燃焼が促進されて、一段と防火性の低下を来す恐れがある。
【0005】
一方、防火性を示す一つの指標として、近時改正される建築基準法において、ISO/CD12468(Test Method for External Fire Exposure to Roofs )の規格(ISO規格)に準拠した屋根の外部加熱試験(飛び火試験)がある。
【0006】
この飛び火試験は、図4に示すように、試験体(10)としての屋根材を載置した設置架台(1)を所定の傾斜角度(θ)で保持しておき、試験体(10)の下端側に載置した火種(2)に着火するとともに、試験体(10)の表面に沿って下側からエアー(A)を吹き付け、その状態で、燃焼状況を観察するものである。そして、試験体(10)の端部にまで燃焼域が広がってしまったり、あるいは火種(2)や燃焼物が試験体(10)から飛散したり落下してしまった場合等には、防火性能が不十分であるとして不合格の評価がなされるものである。
【0007】
この飛び火試験において、例えば上記図3に示す断熱防水屋根の屋根材(12a)(13a)を試験体として、飛び火試験を行った場合、火種(2)直下の防水シート(13a)及び断熱材(12a)が燃焼して、火種(2)が落下したり、断熱材部分が短時間で試験体端部まで燃焼して、不合格となり、所定の防火性を得ることができなかった。
【0008】
【発明の背景】
そこで、本発明者は、上記のような断熱防水屋根において、十分な防火性を確保するため、断熱材(12a)と防水シート(13a)との間に、厚さ5mm以上の石膏、セメント系の不燃ボード(ケイ酸カルシウム板等)を介装するという技術を提案した。この構成では、不燃ボードによって、防水シート(13a)から断熱材(12a)への飛び火を防止でき、十分な防火性を得ることができた。しかしながら、不燃ボードは、高重量、かつ硬質であるため、材料の搬入作業や敷設作業が困難になるばかりか、現場での切断加工作業等も困難となり、施工作業が困難であり、又は雨天時には吸水により有害な変形が生じるという問題が発生した。
【0009】
この発明は、上記の実情に鑑みてなされたもので、施工作業を容易に行えるとともに、十分な防火性を得ることができる防火性を有するシート防水構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、断熱材を用いたシート防水構造に対し、防火性に着目しつつ、綿密な実験研究を繰り返し行ったところ、上記目的を達成可能な特有の構成を見出し、本発明を成すに至った。
【0011】
すなわち、本発明の防火性を有するシート防水構造は、建造物躯体上に設けられる断熱材からなる断熱層と、前記断熱層上に設けられる防水シートからなる防水層とを備え、加熱発泡型の耐火性樹脂組成物が遮炎シート上に積層された耐火遮炎層が、前記断熱層及び前記防水層間に介装されてなるものを要旨としている。
【0012】
本発明のシート防水構造においては、例えば図1に示すように、建造物躯体としての屋根下地(11)上に、断熱層(12)、耐火遮炎層(20)及び防水層(13)が積層されるものである。
【0013】
本発明が適用される屋根下地(11)は、例えばコンクリート等により構成されるものであり、勾配を有する傾斜屋根形状であっても、勾配を有しない陸屋根形状であっても、アーチ状の屋根形状であっても良く、材質や形状は特に限定されるものではない。
【0014】
本発明において、断熱層(12)を構成する断熱材(12a)としては、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン等の樹脂発泡体からなるものを好適に用いることができ、中でも特にポリスチレン樹脂発泡体を用いるのが良い。
【0015】
また、断熱層(12)上に設けられる耐火遮炎層(20)は、図2に示すように、遮炎シート(21)と、その上面に積層された耐火性樹脂組成物(22)とを具備する耐火遮炎層用シート部材(20a)により構成されている。
【0016】
遮炎シート(21)としては、アルミニウム箔、スチレンスチール箔等の金属シートからなるものの他、金属繊維、ガラス繊維等の織布からなるものを好適に用いることができ、中でも特に、アルミニウム箔からなるものを用いるのが良い。なお、金属繊維やガラス繊維の不織布は、内部に介在される空気層により、遮炎性に劣る恐れがあるため、好ましくない。
【0017】
本発明において、耐火性樹脂組成物(22)は、加熱発泡型のものにより構成される。具体的には、樹脂結合剤としての第1成分と、発泡剤としての第2成分と、炭素生成剤としての第3成分と、無機質充填剤としての第4成分とを含むものである。
【0018】
樹脂結合剤成分(第1成分)は、上記各成分を結合するためのものであり、具体例としては、酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂からなるものを好適に用いることができ、中でも特に、酢酸ビニル樹脂からなるものは、上記遮炎シート(21)との接着性が良好であるため、より一層好適に用いることができる。
【0019】
この樹脂結合剤成分は、耐火性樹脂組成物全量に対し、10〜30重量%に設定するのが良い。
【0020】
発泡剤成分(第2成分)は、加熱により発泡して、アンモニアガス、炭酸ガス、水蒸気等の不燃ガスを生成するものであり、具体例としては、リン酸アンモニウム、ポリ燐酸アンモニウム、トリアジンアミン等のアンモニウム塩、ジシアンアミド、尿素、メラニン等のアミノ化合物の他、塩素化パラフィン等を、単独又は2種以上併用して用いることができ、中でも特に、リン酸アンモニウムとトリアジンアミンとを組み合わせたものは、より一層好適に用いることができる。
【0021】
この発泡剤成分は、耐火性樹脂組成物全量に対し、10〜40重量%に設定するのが良い。
【0022】
更に発泡剤成分は、樹脂結合剤成分を100重量部としたとき、30〜400重量部の割合で配合するのが良い。すなわち、発泡剤成分が、少な過ぎる場合には、加熱時に不燃ガスの生成量が不十分となり、防火性の低下を来す恐れがあり、好ましくない。逆に発泡剤成分が、多過ぎて、樹脂結合剤成分が少なくなると、各成分を十分に結合することができなかったり、遮炎シート(21)との接着性も十分に確保できなくなる恐れがあり、好ましくない。
【0023】
炭素生成剤成分(第3成分)は、加熱により不燃断熱の炭化層を生成するものであり、具体例としては、デンプン、デキストリン、砂糖等の炭水化物、モノ・ジ・テトラペンタエリスリトール、ポリオール等の多価アルコールの他、膨張性黒鉛等を単独又は2種以上併用して用いることができ、中でも特に、ポリオールは、より一層好適に用いることができる。
【0024】
この炭素生成剤成分は、耐火性樹脂組成物全量に対し、10〜30重量%に設定するのが良い。
【0025】
更に炭素生成剤成分は、樹脂結合剤成分を100重量部としたとき、30〜300重量部の割合で配合するのが良い。すなわち、炭素生成剤成分が、少な過ぎる場合には、加熱時に炭化層を十分に形成できず、防火性の低下を来す恐れがあり、好ましくない。逆に炭素生成剤成分が多過ぎると、相対的に樹脂結合剤成分が少なくり、各成分の結合を十分に行うことができなくなる恐れがあり、好ましくない。
【0026】
無機質充填剤成分(第4成分)は、加熱発泡時における発泡層の形態を良好に維持するための結合材としての機能に加えて、増量剤としての機能等も兼ね備えるものであり、具体例としては、酸化チタン、ケイ酸塩、炭酸塩、酸化アルミニウム、粘土、クレー、シラス、マイカ等の無機質粉末、体質顔料、着色顔料等の無機質顔料の他、アスベスト、ロックウール、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維等の無機質繊維等を単独又は2種以上併用して用いることができ、中でも、無機粉末、特に酸化チタンは、より一層好適に用いることができる。
【0027】
この無機質充填剤成分は、耐火性樹脂組成物全量に対し、5〜40重量%、好ましくは上限を20重量%以下に設定するのが良い。
【0028】
更に無機質充填剤成分は、樹脂結合剤成分を100重量部としたとき、16〜400重量部、好ましくは上限値を200重量部以下の割合で配合するのが良い。すなわち、無機質充填剤成分が、少な過ぎる場合には、加熱発泡層の形態を維持できず、発泡層が剥離したり発泡層表面に多数の突起が生じて、断熱防火性の低下を来す恐れがあるばかりか、増量効果に乏しく、コストの増大を来す恐れがあり、好ましくない。逆に無機質充填剤成分が、多過ぎる場合には、相対的に樹脂結合剤成分が少なくなり、遮炎シート(21)との接着性が低下する恐れがあり、好ましくない。
【0029】
本発明における耐火性樹脂組成物(22)は、上記第1ないし第4成分を含むものであるが、言うまでもなく、これらの成分以外にも、必要に応じて、他の成分(添加剤)等を含有させても良い。
【0030】
更に本発明において、第1ないし第4成分の総量は、耐火性樹脂組成物全量に対し、50重量%以上、好ましくは70重量%以上に設定するのが良い。すなわち、この範囲に調整することにより、所定の耐火性能を確実に得ることができる。
【0031】
本発明においては、上記耐火性樹脂組成物(22)を、上記遮炎シート(21)の上面に塗布ないしは塗工して積層一体化し、耐火遮炎層用シート部材(20a)を構成するものである。
【0032】
ここで、耐火性樹脂組成物(22)の積層厚みは、0.1〜3mmに設定するのが良い。すなわち、この厚みが小さ過ぎる場合には、加熱発泡時における断熱消火性を十分に得ることができず、好ましくない。逆に厚みが厚過ぎる場合には、耐火遮炎層用シート部材(20a)の厚みが厚くなって、その取扱が不便となり、施工作業性の低下を来す恐れがあり、好ましくない。
【0033】
本発明においては、上記耐火遮炎層用シート部材(20a)を断熱層(12)上に敷設して、耐火遮炎層(20)を形成するものである。
【0034】
耐火遮炎層(20)の上面には、防水シート(13a)からなる防水層(13)が形成される。
【0035】
本発明において、防水シート(13a)としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の軟質合成樹脂製のものや、合成ゴム製のものを用いることができ、中でも軟質合成樹脂製のものを好適に用いることができる。なお、防水シート(13a)としては、単独の合成樹脂からなる単独シートの他に、複数種の合成樹脂が積層形成された複合シートや、中間に補強層等が介挿さられたものも使用することができる。
【0036】
この防水シート(13a)が、例えば耐火遮炎層(20)上に張り渡された状態で、そのシート(13a)の要所が部分的に屋根下地(11)に固定されることにより、防水層(13)が形成される。
【0037】
本発明のシート防水構造を形成する場合、屋根下地(11)上に、断熱材(12a)、耐火遮炎層用シート部材(20a)及び防水シート(13a)を順次施工していく施工方法を採用することができるが、施工作業性の向上を図るために、あらかじめ断熱材(12a)上に耐火遮炎層用シート部材(20a)が積層一体化された防火断熱パネルを準備しておき、施工現場において、この防火断熱パネルを、屋根下地(11)上に敷設施工して、断熱層(12)及び耐火遮炎層(20)を同時に形成した後、防水シート(13a)を敷設するような施工方法も採用することができる。
【0038】
以上の構成の本発明のシート防水構造において、燃焼物が防水層(13)上に飛散して燃焼した際には、加熱により、耐火遮炎層(20)の耐火性樹脂組成物(22)が発泡膨張し、不燃ガスを放出するとともに、不燃断熱の炭化層を形成する。これにより、消火効果と同時に、延焼防止効果を発揮して、表面防水層での燃焼域の拡大を防止することができる。しかも、炭化層が断熱遮熱層として機能するとともに、遮炎シート(21)により炎の透過を遮断でき、可燃性の断熱層(12)への飛び火や延焼を防止することができる。従って、燃焼域を狭い範囲に抑えることができ、十分な防火性を得ることができる。
【0039】
また、本発明のシート防水構造は、断熱層(12)としての断熱材(12a)上に、耐火遮炎層用シート部材(20a)を介して防水シート(13a)を敷設するだけで、簡単に施工することができる。
【0040】
しかも、耐火遮炎層用シート部材(20a)は、例えば石膏、セメント系の不燃ボードと比べて、軽量で、柔軟性も備えるものであるため、搬入作業や敷設作業等を容易に行うことができるとともに、寸法合わせ等の切断加工も容易に行うことができ、より一層、簡単に敷設施工することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明に関連した実施例と、その効果を検証するための比較例について説明する。
【0042】
<実施例>
樹脂結合剤(第1成分)として酢酸ビニル樹脂20重量部、発泡剤(第2成分)として燐酸アンモニウム15重量部及びトリアジンアミン20重量部、炭素生成剤(第3成分)としてポリオール20重量部、無機質充填剤として酸化チタン5重量部を配合して、耐火性樹脂組成物(耐火塗料)を作製した。このとき、第1ないし第4成分の総量は、耐火性樹脂組成物全量に対し80重量%とした。
【0043】
続いて、厚さ50μmのアルミニウム箔(遮炎シート)に、上記耐火樹脂組成物を厚さ0.2mmで均一に塗布して、耐火遮炎層用シート部材を作製した。
【0044】
更に上記耐火遮炎層用シート部材を、厚さ50mmのポリスチレン樹脂発泡体(ポリスチレンフォーム)からなる断熱材上に積層一体化して、防火断熱パネルを作製した。
【0045】
そして下表1に示すように、この防火断熱パネルを用いて本発明に関連したシート防水構造を作製して、ISO/CD12468に準拠した飛び火試験(図4参照)を行った。
【0046】
すなわち、試験装置の設置架台上に、上記防火断熱パネルを敷設施工して断熱層及び耐火遮炎層を形成した後、その上に、ポリオレフィン系樹脂製の防水シート(オレフィンシート)を敷設施工した。このとき防水シートは、多くの部分は遊離させた状態で、一部のみを機械的に固定するようにした絶縁工法により敷設した。
【0047】
こうして作製したシート防水構造(試験体)に対し、ISO規格に準拠して試験を行ったところ、同表に示すように、屋根表面の勾配方向の延焼を狭い範囲にとどめることができ、その上更に、断熱層への飛び火や延焼も抑制することができ、ISO規格の防火性能を十分に満たすという結果が得られた。
【0048】
【表1】
Figure 0003718639
【0049】
<比較例1>
上表1に示すように、厚さ50mmの難燃性の高いフェノールフォームからなる断熱層上に、上記実施例と同様の防水シートを敷設して、シート防水構造を作製した。このとき、防水シートは、そのほぼ全域を接着剤により接着固定するようにした接着工法により敷設した。
【0050】
そして、上記と同様の試験を行ったところ、断熱層の燃焼は抑制することができたものの、屋根表面の防水シートが延焼して、勾配方向の延焼を十分に抑制することができず、ISO規格の防火性能を満たすものではなかった。
【0051】
<比較例2>
上表1に示すように、断熱層上に、上記の遮炎シートを介して、防水シートを絶縁工法により敷設した。つまり、耐火遮炎層として、上記耐火遮炎層用シート部材に代えて、遮炎シートのみを単独で用いた以外は、上記実施例と同様に、シート防水構造を作製し、上記と同様の試験を行った。
【0052】
その結果、屋根表面の勾配方向の延焼や、断熱層の飛び火や延焼を十分に抑制することができず、ISO規格の防火性能を満たすものではなかった。
【0053】
<比較例3>
目付150g/m2 のガラス不織布上に、上記の耐火性樹脂組成物を同厚みで塗布して、耐火遮炎層用布製品を作製した。そして、耐火遮炎層として、上記耐火遮炎層用シート部材に代えて、耐火遮炎層用布製品を用いた以外は、上記実施例と同様に、シート防水構造を作製した。なお、防水シートは、上記実施例と同様に、絶縁工法により敷設した。
【0054】
そして、上記と同様の試験を行ったところ、屋根表面の勾配方向の延焼はある程度狭い範囲に抑えることができたものの、断熱層の飛び火や延焼を十分に抑制することができず、ISO規格の防火性能を満たすものではなかった。
【0055】
<参照例>
耐火遮炎層として、上記耐火遮炎層用シート部材に代えて、厚さ5mmのケイ酸カルシウム板を用いた以外は、実施例と同様に、シート防水構造を作製した。なお、防水シートは、上記実施例と同様に、絶縁工法により敷設した。
【0056】
そして、上記と同様の試験を行ったところ、実施例と同様に、ISO規格の防火性能を満たすという結果が得られた。
【0057】
<総評>
以上の試験結果から明らかなように、本発明に関連した実施例のシート防水構造は、ISO規格に合格し、十分な防火性能を備えるものであった。更に、実施例のシート防水構造において、耐火遮炎層としてのシート部材が、軽量で、柔軟性も備えており、取扱が非常に容易であった。しかも、寸法合わせ等の裁断加工も容易に行うことができた。
【0058】
これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較例1〜3のシート防水構造は、ISO規格に不合格で、防火性能に劣るものであった。なお、参照例のシート防水構造は、ISO規格に合格するものではあるが、高重量かつ硬質のケイ酸カルシウム板(ケイカル板)を使用するものであるため、搬入等の取扱作業や切断加工等が面倒であり、実際に施工する場合には、作業性の低下を来すものと考えられる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、この発明の防火性を有するシート防水構造によれば、表面防水層での燃焼域の拡大を防止できる上、断熱層への飛び火や延焼を防止することができ、燃焼を狭い範囲に抑えることができ、十分な防火性を得ることができる。更に、断熱層としての断熱材上に、耐火遮炎層用シート部材を介して防水シートを敷設するだけで、簡単に施工することができる。しかも、耐火遮炎層用シート部材は、例えば石膏、セメント系の不燃ボードと比べて、軽量で、柔軟性も備えるものであるため、搬入作業等の取扱を容易に行うことができるとともに、切断加工等も容易に行うことでき、より一層、簡単に敷設施工することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に関連したシート防水構造を示す断面図である。
【図2】この発明に関連したシート防水構造に適用された耐火遮炎層用シート部材を拡大して示す断面図である。
【図3】従来の断熱防水屋根構造を示す断面図である。
【図4】ISO規格の飛び火試験装置を模式化して示す側面図である。
【符号の説明】
11…屋根下地
12…断熱層
12a…断熱材
13…防水層
13a…防水シート
20…耐火遮炎層
21…遮炎シート
22…耐火性樹脂組成物

Claims (9)

  1. 建造物躯体上に設けられる断熱材からなる断熱層と、
    前記断熱層上に設けられる防水シートからなる防水層とを備え、
    加熱発泡型の耐火性樹脂組成物が遮炎シート上に積層された耐火遮炎層が、前記断熱層及び前記防水層間に介装され
    前記遮炎シートが、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維の織布により構成されてなることを特徴とする防火性を有するシート防水構造。
  2. 前記耐火性樹脂組成物が、樹脂結合剤からなる第1成分と、加熱により発泡して不燃ガスを生成する発泡剤からなる第2成分と、加熱により炭化層を形成する炭素生成剤からなる第3成分と、無機質充填剤からなる第4成分とを含む請求項1記載の防火性を有するシート防水構造。
  3. 前記第1成分として、酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂の中から選択されるものが用いられてなる請求項2記載の防火性を有するシート防水構造。
  4. 前記第2成分として、リン酸アンモニウム、ポリ燐酸アンモニウム、トリアジンアミン等のアンモニウム塩、ジシアンアミド、尿素、メラニン等のアミノ化合物、塩素化パラフィンの中から選択されるものが用いられてなる請求項2又は3記載の防火性を有するシート防水構造。
  5. 前記第3成分として、デンプン、デキストリン、砂糖等の炭水化物、モノ・ジ・テトラペンタエリスリトール、ポリオール等の多価アルコール、膨張性黒鉛の中から選択されるものが用いられてなる請求項2ないし4のいずれかに記載の防火性を有するシート防水構造。
  6. 前記第4成分として、酸化チタン、ケイ酸塩、炭酸塩、酸化アルミニウム、粘土、クレー、シラス、マイカ等の無機質粉末、体質顔料、着色顔料等の無機質顔料の中から選択されるものが用いられてなる請求項2ないし5のいずれかに記載の防火性を有するシート防水構造。
  7. 前記第1成分100重量部に対し、第2成分が30〜400重量部、第3成分が30〜300重量部、第4成分が16〜400重量部配合されてなる請求項2ないし6のいずれかに記載の防火性を有するシート防水構造。
  8. 第1ないし第4成分の総量が、前記耐火性樹脂組成物の全量に対し、50重量%以上配合されてなる請求項2ないし7のいずれかに記載の防火性を有するシート防水構造。
  9. 前記耐火性樹脂組成物の積層厚みが、0.1〜3mmに設定されてなる請求項1ないし8のいずれかに記載の防火性を有するシート防水構造。
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