JP2011137102A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】印字濃度と保存安定性とを満足しつつ、再分散性に優れたインクジェット記録用水系インク及びその製造方法を提供する。
【解決手段】顔料を、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及びアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)で分散させた後、前記アニオン性基と反応しうる官能基を有する架橋剤で、前記ポリマーを架橋処理してなる水系インクであり、ポリマー1g当たりの架橋剤量が0.8〜3.0mmol当量/gであり、架橋ポリマー1g当たりのアニオン性基量が1.5〜3.0mmol/gである、インクジェット記録用水系インク及びその製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録用水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
インクジェット記録に使用されるインクとしては、耐水性や耐候性の観点から、近年、顔料、ポリマー、及び水を分散させた顔料系インクが主に使用されている。
顔料系のインクジェット記録用水分散体及び水系インクに関しては、保存安定性を改善するための種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、顔料を、界面活性剤及び/又は水可溶性樹脂を用いて予め水媒体に分散させる第1工程、第1工程で得られた分散液と特定の分子量を有する自己乳化型樹脂を水溶性溶剤に溶解させた液とを混合し、顔料表面に自己乳化型樹脂を固着させる第2工程からなる水性顔料分散体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子を含む水系インクであって、水の含有量が60重量%を超え、着色剤の含有量が10重量%以上であり、架橋ポリマー粒子が着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を架橋剤で架橋して得られるものであり、かつ塩基で中和されたアニオン性基を有するものであるインクジェット記録用水系インクが開示されている。
しかしながら、特許文献1及び2の水分散体及び水系インクは、再分散性において十分に満足のいくものではない。ここで、再分散性とは、インクジェット記録方式において、インク液滴を吐出するノズル孔周辺に付着し乾燥したインクが、インク中に再溶解ないし再分散する性質をいう。再分散性が悪いと、インク中に粗大粒子が発生し、吐出性が悪化するという問題が発生する。
特開2000−239392号公報 特開2009−108115号公報
本発明は、印字濃度と保存安定性とを満足しつつ、再分散性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
本発明者らは、アニオン性基を有する水溶性ポリマーとアニオン性基を有する水不溶性ポリマーとを使用して、顔料を分散させた後、ポリマーを架橋処理してなる水系インクであり、ポリマー1g当たりのアニオン性基量及び架橋剤量が特定範囲にある水系インクが、印字濃度及び保存安定性を満足しつつ、再分散性に優れることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(2)を提供する。
(1)顔料を、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及びアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)で分散させた後、前記アニオン性基と反応しうる官能基を有する架橋剤で、前記ポリマーを架橋処理してなる水系インクであり、ポリマー1g当たりの架橋剤量が0.8〜3.0mmol当量/gであり、架橋処理後のポリマー1g当たりのアニオン性基量が1.5〜3.0mmol/gである、インクジェット記録用水系インク。
(2)下記工程(I)〜(III)を有する、前記(1)のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
工程(I):顔料をアニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及び水で分散し、水分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた水分散体にアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)を添加して更に分散し、顔料を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた分散体に、架橋処理を行う工程
本発明によれば、印字濃度と保存安定性とを満足しつつ、再分散性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することができる。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、顔料を、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及びアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)で分散させた後、前記アニオン性基と反応しうる官能基を有する架橋剤で、前記ポリマーを架橋処理してなる水系インクであり、ポリマー1g当たりの架橋剤量が0.8〜3.0mmol当量/gであって、架橋処理後のポリマー1g当たりのアニオン性基量が1.5〜3.0mmol/gであることを特徴とする。
なお、本発明において、「アニオン性基量」とは、架橋処理後の未中和のアニオン性基と塩基で中和したアニオン性基量の合計量を意味する。
また、「水系」とは、水系インクに含まれる媒体中で、水が最大割合(例えば媒体中50重量%以上)を占めていることを意味するものであり、媒体が水のみの場合もあり、水と一種以上の有機溶媒との混合溶媒の場合も含まれる。
本発明においては、アニオン性基と反応しうる官能基を有する架橋剤を用いることで、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)とアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)とが架橋され、顔料から水溶性ポリマー(x)が脱離するのを抑制して保存安定性を向上させ、更に、アニオン性基量を特定量含有させることにより、乾燥後のポリマーの水系インクへの膨潤性を向上させ、その結果、再分散性を向上させることができると考えられる。再分散性は、乾燥後のインクの分散性の尺度であり、インクジェットインクのノゾルの詰まりと相関があると考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分について説明する。
<顔料>
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、色相は特に限定されず、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーン有機顔料等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
例えば、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
例えば、フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメント・グリーン7、36、37、ピグメント・ブルー16、75、15等が挙げられ、キナクリドン顔料としては、C.I.ピグメント・バイオレット19、42、C.I.ピグメント・レッド122、192、202、207、209等が挙げられ、ジオキサジン顔料としては、C.I.ピグメント・バイオレット23、37等が挙げられ、ペリレン顔料としては、C.I.ピグメント・レッド190、224、C.I.ピグメント・バイオレット29等が挙げられ、ペリノン顔料としては、C.I.ピグメント・オレンジ43、C.I.ピグメント・レッド194等が挙げられ、チオインジゴ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド88等が挙げられ、アントラキノン顔料としては、C.I.ピグメント・イエロー147等が挙げられ、ジアゾ顔料としては、C.I.ピグメント・イエロー13、83、188等が挙げられ、アゾ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド187、170、48、53、247、C.I.ピグメント・イエロー74、150、C.I.ピグメント・オレンジ64等が挙げられる。
また、固溶体顔料も用いることができる。固溶体顔料としては、β型、γ型等の無置換キナクリドンと、2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン、4,11−ジクロルキナクリドン等のジクロロキナクリドンからなるキナクリドン固溶体顔料が挙げられる。
<水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の定義>
本発明において、「アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)」(以下、単に「水溶性ポリマー(x)」ともいう)及び「アニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)」(以下、単に「水不溶性ポリマー(y)」ともいう)とは、それらのポリマーのアニオン性基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和したもの10gが、25℃の純水100gに、全て溶解すれば、該ポリマーは本発明における「水溶性ポリマー(x)」である。なお、市販のポリマーを用いる場合、又は合成時に酢酸又は水酸化ナトリウム以外の中和剤で中和されたポリマーは、100%の中和度に満たない場合は、酢酸又は水酸化ナトリウムを加え、100%中和として前記溶解性を判断する。中和度は後述する方法で求めることができる。
前記の溶解性試験を行い、100%の中和度で溶解しない部分があるポリマーの場合、純水がポリマー内に浸透し難いため、次のような手順(具体的には実施例の方法)で、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)とに分離することができる。
すなわち、予めポリマーをメチルエチルケトン等の有機溶媒に溶解しておき、その100%中和品を純水中に滴下し、有機溶媒を除去して濃度を10重量%にした水分散物を、遠心分離によって分離し、沈殿したポリマーを「水不溶性ポリマー(y)」、溶解しているポリマーを「水溶性ポリマー(x)」とする。ただし、ポリマー中の「水溶性ポリマー(x)」及び「水不溶性ポリマー(y)」の各々の重量%は、小数点一桁目を四捨五入する。
<アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)>
本発明に用いられる水溶性ポリマー(x)に特に制限はないが、顔料の分散を効率よく行う観点から、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられる。それらの中では、保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系が好ましく、(a)アニオン性基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と(b)疎水性モノマー(以下「(b)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物(x)」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーがより好ましい。
〔(a)アニオン性基含有モノマー〕
(a)アニオン性基含有モノマーは、得られるポリマー粒子の分散性を高める観点から用いられる。ポリマー粒子の分散性が高まれば、水系インクの吐出性が向上するものと考えられる。
(a)アニオン性基含有モノマーとしては、カルボン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー等が挙げられる。
カルボン酸基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸基含有モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、ポリマー粒子の分散性の観点から、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、水への溶解性の観点から、アクリル酸が更に好ましい。
〔(b)疎水性モノマー〕
(b)疎水性モノマーは、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられ、顔料との親和性を高め、分散性、安定性を高める観点から、芳香族基含有モノマーが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
芳香族基含有モノマーとしては、スチレン系モノマー及び芳香族基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン及び2−メチルスチレンが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
水溶性ポリマー(x)は、(a)成分に由来する構成単位を、顔料を含有するポリマー粒子の保存安定性と再分散性を高める観点から、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは20〜40重量%含有する。
また、水溶性ポリマー(x)は、(b)成分に由来する構成単位を、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは60〜80重量%含有する。(b)成分に由来する構成単位としては、スチレン系モノマーに由来する構成単位が好ましく、スチレン系モノマーに由来する構成単位の含有量は、水溶性ポリマー(x)の全構成単位中、50〜90重量%が好ましく、60〜80重量%がより好ましい。
水溶性ポリマー(x)は、分散性の観点から、その重量平均分子量が、好ましくは1000〜300,000、より好ましくは2,000〜200,000である。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
水溶性ポリマー(x)の酸価は、好ましくは100〜400KOHmg/g、より好ましくは150〜300KOHmg/g更に好ましくは170〜280KOHmg/gである。
水溶性ポリマー(x)の市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社のジョンクリル(登録商標)57J、同60J、同61J、同63J、同70J、同PD−96J、同501J等が挙げられる。
<アニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)>
本発明に用いられる、アニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)に特に制限はないが、顔料の分散を効率よく行う観点から、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられる。それらの中では、その保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系が好ましく、(a)アニオン性基含有モノマー(前記の(a)成分と同じ)と(b)疎水性モノマー(前記の(b)成分と同じ)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物(y)」ともいう)を共重合させてなるビニル系ポリマーがより好ましい。
水不溶性ポリマー(y)における(a)塩生成基含有モノマーとしては、ポリマー粒子の分散性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
水不溶性ポリマー(y)における(b)疎水性モノマーとしては、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、水系インクの保存安定性を向上させる観点から、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)における(b)成分は同一であることが好ましい。
更に、任意である(c)マクロマー(以下「(c)成分」ともいう)由来の構成単位を有していてもよく、(a)成分由来の構成単位、(b)成分由来の構成単位、及び(c)成分由来の構成単位を全て含む、水不溶性グラフトポリマーが、顔料と親和性が高く、水不溶性ポリマーで顔料を含有させるために好ましい。
〔(c)マクロマー〕
(c)マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から用いることができる。ポリマーの顔料への親和性が高まれば、ポリマー粒子の分散安定性が向上し、水系インクの吐出性が向上するものと考えられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。その数平均分子量は、500〜100,000であり、1,000〜10,000が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(c)マクロマーとしては、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー、及びシリコーン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン等が挙げられる。
スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亜合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアリールアルキル基又はアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。共重合される他のモノマーとしては、スチレン系モノマー及びアクリロニトリル等が挙げられる。
マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
水不溶性ポリマー(y)における(c)マクロマーとしては、水溶性ポリマー(x)との親和性を高める観点から、水溶性ポリマー(x)における(b)疎水性モノマーと同一のモノマーの重合体を用いることが好ましく、スチレン系マクロマーであることがより好ましい。
〔(d)ノニオン性モノマー〕
モノマー混合物には、更に、(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水不溶性ポリマー(y)中の(a)〜(d)成分に由来する構成単位の含有量は以下のとおりである。
(a)成分に由来する構成単位の含有量は、顔料を含有するポリマー粒子の保存安定性と再分散性を高める観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。
(b)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。特に、スチレンモノマーに由来する構成単位の含有量は、水溶性ポリマー(x)の全構成単位中、20〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。
(c)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(d)成分に由来する構成単位の含有量は、ポリマー粒子の分散性を高める観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
水不溶性ポリマー(y)の重量平均分子量は、顔料水分散体及び水系インクの保存安定性を向上させる観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、該ポリマーの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
水不溶性ポリマー(y)の酸価は、好ましくは80〜300KOHmg/g、より好ましくは90〜200KOHmg/g、更に好ましくは90〜180KOHmg/gである。
〔ポリマーの製造〕
本発明で用いられる水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)(以下、両者を総称して、単に「ポリマー」ともいう)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の脂肪族アルコール;炭素数3〜8のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、アゾ化合物や有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概にはいえないが、通常、重合温度は好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、公知の方法により生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられるポリマーは、アニオン性基を中和剤により中和して用いることが好ましい。中和剤としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の揮発性塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の不揮発性塩基が挙げられる。ここで、揮発性塩基とは、常圧下での沸点が130 ℃未満のものをいい、不揮発性塩基とは、常圧下での沸点が130 ℃以上のものをいう。これらの中では、保存安定性の観点から不揮発性塩基が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましい。
該ポリマーのアニオン性基の中和度は、ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、10〜300%であることが好ましく、20〜200%がより好ましく、30〜150%が更に好ましい。
ポリマーを架橋させる場合は、架橋前のポリマーのアニオン性基の平均中和度は、ポリマー粒子のインク中での分散安定性の観点から、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜70%であることが更に好ましい。
ここで、ポリマーのアニオン性基の平均中和度は、下記式(1)によって求めることができる。
ポリマーの平均中和度(モル%)={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/〔[水溶性ポリマー(x)の酸価(KOHmg/g)×水溶性ポリマー(x)の重量(g)+水不溶性ポリマー(y)の酸価(KOHmg/g)×水不溶性ポリマー(y)の重量(g)]/(56×1000)〕}×100) (1)
酸価は、ポリマーの構成単位から計算で算出することができるし、適当な溶媒(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
〔架橋剤〕
本発明において架橋剤としては、ポリマーのアニオン性基と反応する反応性官能基を、分子中に2以上有する化合物が好ましく用いられる。架橋剤の分子量は、反応のし易さ、及び得られる架橋ポリマー粒子の保存安定性の観点から、120〜2000が好ましく、150〜1500が更に好ましく、150〜1000が特に好ましい。
架橋剤に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。反応性官能基としては、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、及びアミノ基から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
架橋剤は、効率よく、ポリマーを架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは50g以下、更に好ましくは40g以下、より更に好ましくは30g以下である。
架橋剤の具体例としては、次の(a)〜(d)が挙げられる。
(a)分子中に2以上の水酸基を有する化合物:例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルアルコール、ジエタノールアミン、トリジエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール。
(b)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(c)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2〜3個のオキサゾリン基が結合した化合物、より具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(d)分子中に2以上のアミノ基を有する化合物:例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等のポリアミン。
これらの中では、(b)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。
〔インクジェット記録用水系インク〕
本発明の水系インクは、顔料を、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及びアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)で分散させた後、アニオン性基と反応する官能基を有する架橋剤で、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)とを架橋処理することで得ることができる。
分散剤として、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)とアニオン性基を有する水不溶性ポリマーとを併用することで印字濃度に優れる。これは水溶性ポリマー(x)により顔料を微細に分散し、水不溶性ポリマー(y)で凝集を抑制しているためと考えられる。
水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)を架橋処理することで水溶性ポリマー(x)のアニオン性基同士、水不溶性ポリマー(y)のアニオン性基同士、水溶性ポリマー(x)のアニオン性基と水不溶性ポリマー(y)のアニオン性基とが架橋されると考えられる。
インクジェット記録用水系インクは、インクの吐出性等の観点から、インク乾燥後の再分散性に優れることが求められる。
架橋処理後のポリマー1g当たりのアニオン性基量は、インクの保存安定性と再分散性との観点から、1.5〜3.0mmol/gである。ここでの架橋処理後のポリマーとは、水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の合計量をいう。
すなわち、〔アニオン性基量/(水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の合計量)〕が、1.5mmol/g未満であるとポリマーが水に膨潤しにくく再分散性が不十分となり、3.0mmol/gを超えると保存安定性が不十分となる。再分散性と保存安定性との観点から、アニオン性基量は、好ましくは1.8〜2.5mmol/gであり、より好ましくは2.0〜2.5mmol/gである。
なお、アニオン性基量は実施例記載の方法により測定することができ、未中和のアニオン性基と塩基で中和したアニオン性基量の合計量である。
顔料を含有する架橋ポリマー粒子のポリマーには、水不溶性ポリマー(y)と共に水溶性ポリマー(x)を用いているため、ポリマー、特に水溶性ポリマー(x)が顔料から脱離を抑制し、保存安定性を高めることが重要である。保存安定性の劣るインクは、インクが固化した際に、ポリマー粒子同士が凝集してしまい、再分散性も低下する。
ポリマー1g当たりの架橋剤量、すなわち、〔架橋剤の使用量/(水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の合計量)〕は、0.8〜3.0mmol当量/gである。該架橋剤量が、0.8mmol当量/g未満であると架橋が不十分となり、3.0mmol/gを超えると再分散性が不十分となる。インクの再分散性と架橋性との観点から、架橋剤量は、好ましくは1.0〜2.5mmol当量/gであり、より好ましくは1.2〜2.5mmol当量/gである。
ここでmol当量は、架橋剤の重量を架橋剤の当量(分子量/架橋剤1分子中のアニオン性基(カルボキシ基)と反応する官能基の数)で除した値である。
再分散性を向上させるには、アニオン性基量を多くすればよいが、本発明は、水不溶性ポリマー(y)を用いるため、アニオン性基量はある程度以下とする必要がある。更に、保存安定性を高めるには、架橋剤量を多くすればよいが、架橋されたアニオン性基は、再分散性に寄与しない。従って、保存安定性を満足しつつ、再分散性を向上させるためにアニオン性基量と架橋剤量を一定の範囲内にする必要がある。
架橋剤の使用量としては、保存安定性と再分散性の観点から、〔架橋剤/ポリマー〕の重量比で1/100〜50/100が好ましく、5/100〜40/100がより好ましく、5/100〜30/100が更に好ましく、10/100〜25/100が特に好ましい。
下記式(2)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、保存安定性と再分散性の観点から、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜70モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/ポリマーが有する架橋剤と反応し得
る反応性基のモル数]×100 (2)
式(2)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架
橋剤1分子中のカルボキシ基と反応する官能基の数を乗じたものである。
水溶性ポリマー(x)に対する顔料の重量比〔顔料/水溶性ポリマー(x)〕は、分散安定性の観点から、12〜25が好ましく、12〜22がより好ましく、12〜20がより好ましく、12〜18がより好ましく、12〜15が更に好ましい。水不溶性ポリマー(y)に対する顔料の重量比〔顔料/水不溶性ポリマー(y)〕は、ポリマー粒子(A)のインク中での分散安定性の観点から、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が更に好ましい。
分散に用いる水溶性ポリマー(x)と水不溶性ポリマー(y)の合計量[(x)+(y)]に対する顔料の重量比〔顔料/[(x)+(y)]〕は、印字濃度向上の観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜95/5が更に好ましい。
水溶性ポリマー(x)に対する水不溶性ポリマー(y)の重量比〔水不溶性ポリマー(y)/水溶性ポリマー(x)〕は、インクの印字濃度、保存安定性、再分散性の観点から、2.0〜5.0が好ましく、2.5〜5.0がより好ましく、3.0〜5.0がより更に好ましく、3.0〜4.0が更により好ましい。
ポリマーの架橋前の平均中和度は、架橋反応による、インクの保存安定性の観点から70モル%以下が好ましく、カルボキシ基の塩中和による、インクの再分散性の観点から30モル%以上が好ましく、30〜70モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。平均中和度は実施例に記載の方法で計算することができる。
〔インクジェット記録用水系インクの製造〕
本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法に特に制限はないが、下記工程(I)〜(III)を有する方法により水分散体を得た後、そのまま水系インクとして、あるいは必要により、後述する水系インクに通常用いられる添加剤等を加えることにより、水系インクを効率的に製造することができる。
工程(I):顔料をアニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及び水で分散し、水分散体を得る工程
工程(II):工程(I)で得られた水分散体にアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)を添加して更に分散し、顔料を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程
工程(III):工程(II)で得られた分散体に、架橋処理を行う工程
工程(I)
工程(I)は、顔料を水溶性ポリマー(x)で分散し、水分散体を得る工程であるが、まず、水溶性ポリマー(x)、顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤、有機溶媒等を混合し、混合物を得、該混合物を分散機にて分散する方法が好ましい。
混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、7〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、2〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましく、水溶性ポリマー(x)は、0.2〜10重量%が好ましく、0.3〜8重量%がより好ましく、水は、20〜90重量%が好ましく、30〜90重量%がより好ましい。水溶性ポリマー(x)に対する顔料の重量比は、前記のとおりである。
中和剤を用いて中和する場合、最終的に得られる水分散体のpHが7〜11であるように中和することが好ましい。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。また、水溶性ポリマー(x)を予め中和しておいてもよい。
工程(I)における混合物の分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、顔料粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。工程(I)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、1〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料粒子を小粒子径化する観点及び分散体を安定化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましい。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られた水分散体に水不溶性ポリマー(y)を添加して更に分散し、顔料を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程である。工程(II)は、得られる水系インクの保存安定性の観点から、工程(I)で得られた水分散体と、水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、及び水を含有する水不溶性ポリマー(y)の分散体、即ち、「有機溶媒を含む水不溶性ポリマー(y)のエマルジョン」とを混合し、分散して、着色剤を含有するポリマー粒子(A)を含む乳化状態の分散体を得る工程であることがより好ましい。
工程(II)で得られる分散体中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、6〜40重量%がより好ましく、水不溶性ポリマー(y)は、1〜40重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましく、水溶性ポリマー(x)は、0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がより好ましく、有機溶媒は、3〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましく、水は、30〜90重量%が好ましく、50〜85重量%がより好ましく、pH(20℃)が7〜10となるように調整することが好ましい。水不溶性ポリマー(y)に対する顔料の重量比は、前記のとおりである。
ここで、有機溶媒を含む水不溶性ポリマー(y)のエマルジョンの調製方法としては、先ず水不溶性ポリマー(y)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤、水の順に仕込み、必要に応じて界面活性剤等を添加して、所望の平均粒径を有する水中油型の乳化物(エマルジョン)となるまで撹拌混合を行う方法が挙げられる。乳化しにくい場合には、必要に応じて高速撹拌機や分散機等の機械的な力を作用させてもよく、平均粒径として0.01〜2μmの範囲となるように調整するのが好ましい。
また、乳化状態の分散体の調製法としては、転相法や順相法等を用いることができる。その場合、(i)水と中和剤の混合液を調製しておき、そこに水不溶性ポリマー(y)と有機溶媒の混合液を滴下する方法、(ii)水に水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、中和剤の混合物を滴下する方法等が挙げられる。乳化時の温度は、得られるポリマー粒子の粒径、粘度の安定性の観点から、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。
乳化物中の各成分比率としては、有機溶媒は好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、水不溶性ポリマー(y)(固形分含有量)は好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%であり、水は好ましくは50〜90重量%、より好ましくは55〜85重量%である。
中和剤量は、最終的に得られる水系インクのポリマー1g当たりの、塩基で中和されたアニオン性基量(計算値)が前記の範囲内になるように用いる。また、アニオン性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該有機溶媒の水100gに対する溶解量は、20℃において、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上であり、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
工程(II)における混合物の分散方法は、工程(I)と同様に、特に制限はなく、本分散だけでポリマー粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行ってもよい。工程(II)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、前記の混合撹拌装置等が好ましく用いられる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、前記の混練機、高圧ホモジナイザー、メディア式分散機が挙げられる。これらの中では、ポリマー粒子(A)を小粒子径化する観点及び分散体を安定化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
(溶媒除去工程)
前記水系インクの製造方法においては、任意の工程として、工程(II)の後に、工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、ポリマー粒子(A)の水分散体を得ることができる。本工程は工程(II)の後に行ってもよい。
得られたポリマー粒子(A)の水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に追加で除去すればよい。最終的に得られたポリマー粒子(A)の水分散体中の残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。 得られたポリマー粒子(A)の水分散体は、該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子(A)の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該ポリマーに顔料が内包された粒子形態、該ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、該ポリマー粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
工程(III)
工程(III)は、工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体に架橋処理を行う工程である。前記工程(II)で得られたポリマー粒子(A)を含む分散体、又は工程(II)で得られた分散体に有機溶媒が含まれている場合、該分散体から有機溶媒を除去して得られたポリマー粒子(A)の水分散体に架橋剤を添加して、水溶性ポリマー(x)及び水不溶性ポリマー(y)を架橋した架橋ポリマー粒子を含有する水分散体を得ることができる。工程(III)は、水系インクの粘度を低減し、印字濃度を向上させ、保存安定性と再分散性の観点から、ポリマー1g当たりの架橋剤量が、前述の範囲となるように、架橋することが必要である。
ポリマーの架橋は、前記工程(II)で得られた顔料を含有するポリマー粒子(A)の分散体と架橋剤とを混合して行う場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記溶媒除去工程と同様に行うことによっても、水分散体を得ることができる。
〔水系インクの組成、物性等〕
本発明の水系インク中の顔料の含有量は、印字濃度と保存安定性等の観点から、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは4〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%、特に好ましくは4〜13重量である。水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
水系インクには、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等の添加剤を添加することができる。例えば、浸透剤として、1,2−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の炭素数2〜8のアルカンジオール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコールアルキル(炭素数2〜6)エーテル類、湿潤剤として、グリセリン、ジオキサン、2−ピロリドン等が挙げられる。
本発明の水系インクの表面張力(20℃)は、好ましくは23〜50mN/m、より好ましくは23〜45mN/m、更に好ましくは25〜45mN/mである。
水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出信頼性を維持するために、好ましくは2〜20mPa・sであり、より好ましくは2.5〜16mPa・s、更に好ましくは2.5〜12mPa・sである。
本発明の水系インクを適用するインクジェット記録方式は特に制限されないが、顔料等の分散性色材やポリマー粒子等を含有する分散液の吐出に適したピエゾ方式のインクジェットプリンターに好適である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量、ポリマーの水不溶性/水溶性比率、顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径、水分散体のアニオン性基量の測定、並びに水系インクの保存安定性、再分散性の評価は、以下の方法により行った。
(1)ポリマーの重量平均分子量
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶媒として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)ポリマーの水不溶性/水溶性比率
(i)水溶性ポリマー(1)の場合
水溶性ポリマー(1)(ジョンクリル61J、(a)アクリル酸/(b)スチレン=25/75(重量比)、BASFジャパン株式会社製、重量平均分子量16000、アンモニア100%中和品)の水溶液に純水を添加し、ポリマー濃度を10重量%としたポリマー溶液は全て溶解していた。
(ii)水不溶性ポリマーP1の場合
製造例1で得られた水不溶性ポリマー(2)のメチルエチルケトン溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、100%中和とし、ポリマー純分換算で10gを量り取った。これを純水中に滴下し、ロータリーエバポレーターで、メチルエチルケトン及び水の一部を除去し、ポリマー濃度を10重量%とした分散物を遠心分離し、沈降した部分を水不溶性ポリマー(y-2)、溶解部分を水溶性ポリマー(x-2)とすると、小数点一桁目を四捨五入すると、水不溶性ポリマー(y-2)/水溶性ポリマー(x-2)比率=100/0であった。
(iii)水不溶性ポリマーP2の場合
製造例2で得られた水不溶性ポリマー(3)のメチルエチルケトン溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、100%中和とし、ポリマー純分換算で10gを量り取った。これを純水中に滴下し、ロータリーエバポレーターで、メチルエチルケトン及び水の一部を除去し、ポリマー濃度を10重量%とした分散物を遠心分離し、沈降した部分を水不溶性ポリマー(y-2)、溶解部分を水溶性ポリマー(x-2)とすると、水不溶性ポリマー(y-2)/水溶性ポリマー(x-2)比率=99/1であった。
表2には、各実施例毎に、使用したポリマーの水不溶性/水溶性比率を示した。表1において、水溶性ポリマー(x)の量は、水溶性ポリマー(x-1)+(x-2)の量であり、水不溶性ポリマー(y)の量は、水不溶性ポリマー(y-1)+(y-2)の量である。
(3)顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、約5×10-3重量%で行った。
(4)インク中の顔料含有架橋ポリマー粒子のアニオン性基量の測定
(測定条件)
装置:京都電子工業株式会社製、電位差自動滴定装置、AT−610
試薬:0.1N−NaOHは、和光純薬工業株式会社製、0.1mol/L水酸化ナトリウム(容量分析用)、0.1N−HClは、和光純薬工業株式会社(株)製、0.1mol/L塩酸(容量分析用)を使用した。
(測定方法)
水系インク5gとなるように精秤し、イオン交換水を加え50mlとし、0.1N−NaOHを6ml(過剰量)添加し30分間攪拌することにより、アニオン性基を全てNa塩とした。
0.1N−HClを0.1mlずつ、30秒間隔で、分散液を攪拌しながら滴下し、pHを測定する。過剰アルカリが中和される中和点(変曲点1)を起点として、続いて起こる中和変曲点の中で最も酸性よりの中和点(変曲点2)を終点としたときの、変曲点2−変曲点1の間の0.1N−HClの使用量からアニオン性基(カルボキシ基)量を算出し、ポリマー1g当りのモル数として求めた。測定は20℃で行った。
(5)保存安定性
スクリュー管にインクを充填、密閉し、70℃の恒温槽にて2週間保存した。保存前後の平均粒径を上記(3)の方法により測定し、下記計算式により平均粒径の変化率(%)の値として求め、インク保存安定性の評価を行った。数値が100%に近い方が、保存安定性が良い。
平均粒径の変化率(%)=〔[保存後の平均粒径(nm)−保存前の平均粒径(nm)]/[初期平均粒径(nm)]〕×100
〔評価基準〕
A:平均粒径の変化率(%)が105%未満
B:平均粒径の変化率(%)が105以上110%未満
C:平均粒径の変化率(%)が110%以上
(6)再分散性
インク0.1gをシャーレに入れ40℃で24時間放置し乾燥させた後、実施例1(6)の水系インクの調製で用いた「混合溶液」を2cc加え、5分間放置し、更に5分間、60rpmで振とうさせた後、下記の基準により再分散性を評価した。
A:混合液が顔料色に着色され、未溶解物がまったく見られない。
B:混合液が顔料色に着色されるが、細かい未溶解物がわずかに存在する。
C:混合液が顔料色に若干着色されるが、細かい未溶解物が存在する。
D:混合液が顔料色に着色されず、大きな未溶解物が存在する。
製造例1(水不溶性ポリマーP1の製造)
メタクリル酸((a)成分)21部、スチレン((b)成分)39部、スチレンマクロマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS−6S、固形分50%、(c)成分)20部(有効分として10部)、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマー43PAPE−600B、エチレンオキシド平均付加モル数=6、プロピレンオキシド平均付加モル数=6、(d−1)成分)15部、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(日油株式会社製、商品名:ブレンマーPP−800、プロピレンオキシド平均付加モル数=13、(d−2)成分)15部を混合し、モノマー混合液を調製した。
反応容器内に、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)10部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.025部、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、前記モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.225部、MEK30部、及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))0.6部の混合液を入れ、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.15部をMEK2.5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、さらにMEK57.5部加え、30分間攪拌し、水不溶性ポリマーP1の溶液((a)/(b)/(c)/(d−1)/(d−2)=25/35/10/15/15(重量比)、固形分含有量40%、水不溶性ポリマーP1の重量平均分子量:100,000、水不溶性/水溶性比率=100/0、酸価137)を得た。得られたポリマーの組成と重量平均分子量を表1に示す。
製造例2(水不溶性ポリマーP2の製造)
製造例1と同様にして、表1に示すモノマー混合液を調製し、そのモノマー混合液を用いて製造例1と同様にして、水不溶性ポリマーP2の溶液((a)/(b)/(c)/(d−1)/(d−2)=25/35/10/15/15(重量比)、固形分含有量40%、水不溶性ポリマーP2の重量平均分子量:100,000、水不溶性/水溶性比率=99/1、酸価162)を得た。得られたポリマーの組成と重量平均分子量を表1に示す。
Figure 2011137102
実施例1
(1)顔料水分散体の調製
水溶性ポリマー(1)(商品名:ジョンクリル61J:BASFジャパン株式会社製、スチレン/アクリル酸=75/25(重量比)の共重合体、重量平均分子量16000、酸価195)31.85%水溶液30.0gにイオン交換水773.0g、25%アンモニア水溶液9.9g及びMEK101gを加え、水溶性ポリマー(1)の水溶液を得た。
得られた水溶性ポリマー(1)水溶液に、C.I.ピグメント・イエロー74(商品名:FY615、大日精化工業株式会社製)を150g加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合後、さらにイオン交換水532gを加え、予備分散体を得た。
得られた予備分散体1596gをビーズミル型分散機(商品名:ウルトラ・アペックス・ミルUAM-05、寿工業株式会社製)を用いて、メディア粒子として粒径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズ充填率70体積%、撹拌翼周速8m/s、循環流量200cc/minの条件で60分間(ミル内における総平均滞留時間:10分)、循環方式による分散処理を行い、顔料を水溶性ポリマー(1)で分散した水分散体を得た。
(2)水不溶性ポリマーの乳化液の調製
製造例1で得られた水不溶性ポリマーP1の溶液82.6gにMEK8.2gを加え、そこに5N水酸化ナトリウム水溶液10.8g及びイオン交換水120.1gを加え、スターラーにより混合し水不溶性ポリマー(2)の乳化液を調製した。
(3)顔料水分散体と水不溶性ポリマーの乳化液の混合物の分散処理
前記(1)で得られた、顔料を水溶性ポリマー(1)で分散した水分散体をスターラーで混合しながら、前記(2)で得られた水不溶性ポリマー(2)の乳化液を添加して、混合物を得た。
得られた混合物を高圧ホモジナイザー(商品名:マイクロフルイダイザー、Microfluidics 社製、圧力:150MPa、10パスの連続方式)を用いて、分散処理し、分散体を得た。
(4)有機溶媒の除去
前記(3)で得られた分散体を、減圧下、温水加熱媒体を用いてMEK、アンモニア及び一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度31%の未架橋水分散体を得た。このポリマーの平均中和度は、前記式(1)から計算すると40モル%であった。
すなわち、5N水酸化ナトリウム(10.8g)の比重1.185、水溶性ポリマー(31.85%水溶液30.0g)の酸価195、水不溶性ポリマー(固形分40%、82.6g)の酸価137を前記式(1)に入れて計算すると、ポリマーの平均中和度は下記のとおり求められる。
195×9.5+137×33=6374
[5×0.0108/1.185/(6374/56000)]×100=40モル%
(5)水分散体の架橋工程
前記(4)で得られた水分散体40g(固形分12.4g中の組成は、顔料9.7g(78%)、水不溶性ポリマー2.1g(17%)、水溶性ポリマー0.6g(5%))に、イオン交換水2.5gと架橋剤(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、商品名:デナコールEX321、ナガセケムテックス株式会社製、エポキシ当量130、水100gへの溶解量約27g(25℃))を0.51g加え、90℃下で1時間攪拌を行った。攪拌後、冷却し、5.0μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を用いて濾過を行い、固形分濃度30%(顔料濃度22.5%)の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。
ポリマー1g当たりの架橋剤量は、1.45mmol当量/g(=0.51/130/2.7)となる。
(6)インクの調製
混合溶液は、水溶性有機溶媒として1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製、溶解度パラメーター13.15)3.0g、2−ピロリドン(和光純薬株式会社製、溶解度パラメーター13.66)3.0g、グリセリン(花王株式会社製、溶解度パラメーター19.40)5.0g、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルトリグリコール、日本乳化剤株式会社製、溶解度パラメーター10.21)24.0g、ノニオン界面活性剤としてサーフィノール465(日信化学工業株式会社製)0.5g、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)0.5g、防腐剤としてプロキセルXL2(アビシア株式会社製、)0.3g、及びイオン交換水19.3g部をマグネチックスターラーで撹拌しながら混合し、更に室温で15分間攪拌して「混合溶液」を得た。
次に、前記(5)で得られた水分散体44.4gをマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液55.6gを添加し、5μmのフィルター(酢酸セルロース膜、ザルトリウス社製)で濾過し、顔料分換算が10.0%となる水系インクを得た。
実施例2
実施例1(5)の架橋工程において、イオン交換水を2.2g、架橋剤(デナコールEX321)を0.38gへ変更した以外は、実施例1(1)〜(5)と同様にして固形分濃度30%の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。この水分散体を用いて、実施例1(6)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
実施例3
実施例1(2)の水不溶性ポリマーの乳化液の調製において、MEKを8.2g、5N水酸化ナトリウム水溶液を9.5g、イオン交換水を121.2gに変更した以外は、実施例1(1)〜(5)と同様にして固形分濃度30%の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。この水分散体を用いて、実施例1(6)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。実施例1と比較してカルボキシ量が増加したのは、中和度が低く、架橋剤の反応率が低下したためと考えられる。
実施例4
実施例1(5)の架橋工程において、イオン交換水を2.9g、架橋剤(デナコールEX321)を0.66gへ変更した以外は、実施例1(1)〜(5)と同様にして固形分濃度30%の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。この水分散体を用いて、実施例1(6)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
実施例5
実施例1(2)の水不溶性ポリマーの乳化液の調製において、水不溶性ポリマーをP2へ変更し、さらに実施例1(5)の架橋工程において、イオン交換水を3.0g、架橋剤(デナコールEX321)を0.69gへ変更した以外は、実施例1(1)〜(5)と同様にして固形分濃度30%の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。この水分散体を用いて、実施例1(6)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
比較例1
実施例1(5)の架橋工程において、イオン交換水を1.3g、架橋剤(デナコールEX321)を0gへ変更した以外は、実施例1(1)〜(5)と同様にして固形分濃度30%の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。この水分散体を用いて、実施例1(6)と同様にして水系インクを得た。結果を表2に示す。
比較例2
実施例1(2)の水不溶性ポリマーの乳化液の調製において、MEKを8.2g、5N水酸化ナトリウム水溶液を16.3g、イオン交換水を115.6gに変更し、実施例1(5)の架橋工程において、イオン交換水を2.2g、架橋剤(デナコールEX321)を0.38gへ変更した以外は、実施例1(1)〜(5)と同様にして固形分濃度30%の顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。この水分散体を用いて、実施例1(6)と同様にして水系インクを得た。
Figure 2011137102
表2から、本発明の実施例1〜5の水系インクは、再分散性に優れ、保存安定性も優れていることが分かる。比較例1は、架橋されていないため保存安定性が悪く、凝集してしまい、再分散性も低下した。
また、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:EM−930C、ピエゾ式)を用いて、実施例及び比較例の水系インクを市販の上質普通紙(ゼロックス株式会社製、商品名:XEROX 4200)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:スペクトロアイ)で印字物の中心及び四隅の計5点を測定し、その平均値を求めたところ、実施例の水系インクの印字濃度は、1.05以上でいずれも高かった。

Claims (6)

  1. 顔料を、アニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及びアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)で分散させた後、前記アニオン性基と反応しうる官能基を有する架橋剤で、前記ポリマーを架橋処理してなる水系インクであり、ポリマー1g当たりの架橋剤量が0.8〜3.0mmol当量/gであり、架橋処理後のポリマー1g当たりのアニオン性基量が1.5〜3.0mmol/gである、インクジェット記録用水系インク。
  2. 〔水不溶性ポリマー(y)/水溶性ポリマー(x)〕の重量比が2.0〜5.0である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
  3. 架橋前のポリマーのアニオン性基の平均中和度が10〜90モル%である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インク。
  4. 水不溶性ポリマー(y)が、グラフトポリマーである、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
  5. 下記工程(I)〜(III)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
    工程(I):顔料をアニオン性基を有する水溶性ポリマー(x)及び水で分散し、水分散体を得る工程
    工程(II):工程(I)で得られた水分散体にアニオン性基を有する水不溶性ポリマー(y)を添加して更に分散し、顔料を含有するポリマー粒子(A)を含む分散体を得る工程
    工程(III):工程(II)で得られた分散体に、架橋処理を行う工程
  6. 工程(II)が、工程(I)で得られた水分散体と、水不溶性ポリマー(y)、有機溶媒、及び水を含有する水不溶性ポリマー(y)の分散体とを混合し、分散する工程である、請求項5に記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
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