JP6897944B2 - 顔料水分散体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、顔料水分散体の製造方法、及び該顔料水分散体を用いた水系インクの製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインクの液滴を記録媒体に直接吐出、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式はフルカラー化が容易でかつ安価、記録媒体として普通紙が使用可能、被印刷物に対して非接触という数多くの利点があるため普及が著しく、近年は家庭用途のみならずオフィス用途、商業用途へと拡大している。これら用途において、印刷物の耐光性や耐水性の観点から顔料系インクが主流となってきており、顔料粒子が小粒径で発色性に優れる顔料水分散体が要望されている。
特許文献1には、C.I.ピグメント・イエロー74と酸価100〜250のスチレンアクリル系樹脂、及び塩基性化合物を含有するインクジェットインク用水性顔料分散液であって、特定のモノマー組成のスチレンアクリル系樹脂を用いることが開示され、分散安定性等に優れ、良好な着色力を有して高品質の印刷画像を得ることができる該水性顔料分散液を用いたインクが開示されている。そして、実施例ではC.I.ピグメント・イエロー74、スチレンアクリル系樹脂を含む樹脂溶液、ジエチレングリコール、精製水、ジルコニアビーズを仕込んだペイントシェーカーを用いる水性顔料分散液の製造方法が記載されている。
特許文献2には、着色剤分散体と有機溶媒を含む水不溶性ポリマーエマルジョンを混合する工程と、得られた混合物を分散処理し、着色剤に水不溶性ポリマーが付着した分散体を得る工程と、得られた分散体から有機溶媒を除去する工程を有するインクジェット記録用水分散体の製造方法が開示され、高印字濃度を発現することが開示されている。そして、具体的には、メチルエチルケトンを含む水溶性ポリマーの水溶液に、C.I.ピグメント・イエロー74を加え、ディスパー翼で混合後、メディア式分散機を用いて循環方式による分散処理を行い、さらにポリマーエマルジョンを添加して高圧ホモジナイザーで分散処理した後に、メチルエチルケトンを除去する水分散体の製造方法が記載されている。
特開2006−77201号公報 特開2010−144095号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、小粒径な顔料粒子の水分散体を得るには未だ不十分である。
また、特許文献2には、メチルエチルケトンの存在下での分散処理を含む、C.I.ピグメント・イエロー74の水分散体の製造方法が開示されているが、他の顔料、例えばC.I.ピグメント・ブルー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・ブラック等の顔料と、C.I.ピグメント・イエロー74とは区別されていない。さらに、C.I.ピグメント・イエロー74をメチルエチルケトン等の水溶性有機溶剤の存在下で分散処理する工程を有する顔料水分散体の製造方法において、他の顔料と比べて小粒径な顔料粒子の水分散体が安定して得られないことが判明した。これは、C.I.ピグメント・イエロー74は、他の顔料と比べて水溶性有機溶剤に対する溶解性が高く、ポリマーの顔料への吸着性が劣るため、水溶性有機溶剤存在下での顔料粒子の滞留安定性が低く、顔料粒子の凝集や合一が生じて平均粒径が大きくなることに起因すると考えられる。
なお、本発明において「滞留安定性」とは、顔料水分散体の製造における中間工程、すなわち水溶性有機溶媒の存在下で顔料を分散処理する工程後から水溶性有機溶剤を除去して顔料水分散体を得る工程開始までの間の水溶性有機溶媒を含む分散体の安定性(以下、「滞留安定性」ともいう)を意味する。滞留安定性が劣ると前記中間工程で分散体の凝集や合一が生じて最終的に得られる顔料水分散体の平均粒径が大きくなる傾向にある。
本発明は、C.I.ピグメント・イエロー74を水溶性有機溶剤の存在下で分散処理する工程を有する顔料水分散体の製造方法において、水溶性有機溶媒を含む分散体の滞留安定性に優れ、かつ平均粒径が小さい(例えば平均粒径が130nm以下)微細な顔料粒子が得られる顔料水分散体の製造方法、及び該顔料水分散体を用いた水系インクの製造方法を提供することを課題とする。
なお、本明細書において、「印刷」とは、文字や画像を記録する印刷、印字を含む概念であり、「印刷物」とは、文字や画像が記録された印刷物、印字物を含む概念であり、「水系」とは、インクに含有される媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
本発明者らは、顔料としてC.I.ピグメント・イエロー74、特定の分散ポリマー、水溶性有機溶媒及び水を含む顔料混合物を特定の条件で分散処理することにより、前記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1] 下記工程(I)及び(II)を有する顔料水分散体の製造方法であって、
工程(I):顔料としてC.I.ピグメント・イエロー74、分散ポリマー、水溶性有機溶媒(b−1)及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散体Aを得る工程
工程(II):分散体Aから水溶性有機溶媒(b−1)を除去して顔料水分散体を得る工程
分散ポリマーが酸性基を有し、かつ酸価が150mgKOH/g以上260mgKOH/g以下であり、工程(I)における分散ポリマーの酸性基の中和度が50mol%以上90mol%以下である、顔料水分散体の製造方法。
[2] 前記[1]に記載の製造方法によって得られた顔料水分散体と、水溶性有機溶媒(b−2)を混合する工程を有する、水系インクの製造方法。
本発明によれば、優れた滞留安定性を有し、かつ平均粒径が小さい微細な顔料粒子が得られる顔料水分散体の製造方法、及び該顔料水分散体を用いた水系インクの製造方法を提供することができる。
[顔料水分散体の製造方法]
本発明は、下記工程(I)及び(II)を有する顔料水分散体の製造方法であって、
工程(I):顔料としてC.I.ピグメント・イエロー74、分散ポリマー、水溶性有機溶媒(b−1)及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散体Aを得る工程
工程(II):分散体Aから水溶性有機溶媒(b−1)を除去して顔料水分散体を得る工程
分散ポリマーが酸性基を有し、かつ酸価が150mgKOH/g以上260mgKOH/g以下であり、工程(I)における分散ポリマーの酸性基の中和度が50mol%以上90mol%以下である。
本発明は、優れた滞留安定性を有し、かつ平均粒径が小さい微細な顔料粒子の水分散体が得られるという格別の効果を奏する。その理由は定かではないが、顔料としてC.I.ピグメント・イエロー74を水溶性有機溶剤の存在下で分散処理する際、用いる分散ポリマーが酸性基を有し、かつ酸価が特定の範囲であり、該分散ポリマーの酸性基の中和度を特定の範囲に調整することによって、分散ポリマーの静電反発による分散能を制御し、水溶性有機溶媒存在下における顔料粒子の凝集や合一を抑制し、水溶性有機溶媒を含む分散体の滞留安定性が向上する。その結果、平均粒径の小さい微細な顔料粒子の水分散体を得ることができると考えられる。
以下、本発明に用いる各成分、各工程等について説明する。
<顔料>
本発明に用いる顔料は、C.I.ピグメント・イエロー74(以下、「PY74」ともいう)である。市販品としては、例えば、FY7141(山陽色素株式会社の商品名)等が挙げられる。
顔料であるPY74の平均粒径は、顔料の生産性の観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、更に好ましくは200nm以上であり、そして、顔料水分散体の生産性の観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは350nm以下である。
なお、顔料の平均粒径は、透過電子顕微鏡を用いて測定することができ、具体的には透過電子顕微鏡を用いて、画像解析で500個の顔料一次粒子を抽出してその粒子径を測定し、その平均を算出した重量平均粒子径で表される。また、顔料に長径と短径がある場合は、長径を用いて算出する。
<分散ポリマー>
本発明に用いる分散ポリマーは酸性基を有し、かつ酸価が150mgKOH/g以上260mgKOH/g以下である。酸性基としてはカルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられ、滞留安定性を向上させる観点から、好ましくはカルボキシ基である。
本発明において、「分散ポリマー」とは顔料を常温で水又は水を主成分とする水系媒体に分散させる能力を有するポリマーを意味する。
分散ポリマーとしては、滞留安定性及びインクの印字濃度を向上させる観点から、好ましくはビニル単量体の付加重合により得られるビニル系ポリマーであり、より好ましくは酸性基含有モノマー(a−1)(以下、「モノマー(a−1)」ともいう)由来の構成単位と、疎水性モノマー(a−2)(以下、「モノマー(a−2)」ともいう)由来の構成単位を含むビニル系ポリマーの共重合体である。該共重合体は、モノマー(a−1)と、モノマー(a−2)を含むモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」ともいう)を共重合させて得られる。
〔酸性基含有モノマー(a−1)〕
モノマー(a−1)は、滞留安定性を向上させる観点から用いられる。
モノマー(a−1)としては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
これらの中でも、滞留安定性を向上させる観点から、好ましくはカルボン酸モノマー及びスルホン酸モノマーから選ばれる1種以上であり、より好ましくはカルボン酸モノマーであり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸及びマレイン酸から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは(メタ)アクリル酸、より更に好ましくはアクリル酸である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる1種以上を意味する。以下における「(メタ)アクリル酸」及び「(メタ)アクリレート」も同義である。
〔疎水性モノマー(a−2)〕
モノマー(a−2)は、分散ポリマーの顔料への親和性を高める観点から用いられ、アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、芳香環含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソセチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数3以上30以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ドデシル(メタ)アクリルアミド等の炭素数1以上22以下のアルキル基を有する(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
芳香環含有モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアリールエステル;エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等の炭素数6以上22以下の芳香族基含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、好ましくは芳香環含有モノマーであり、より好ましくはスチレン系モノマーであり、更に好ましくはスチレン及びα−メチルスチレンから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはスチレンとα−メチルスチレンとの併用である。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選ばれる1種以上を意味する。また、以下における「(メタ)アクリルアミド」も同義である。
〔モノマー(a−3)〕
分散ポリマーは、滞留安定性を向上させる観点から、さらにモノマー(a−3)(以下、「モノマー(a−3)」ともいう)としてマクロマー由来の構成単位を有してもよい。モノマー(a−3)としては、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー、及びシリコーン系マクロマーを用いることができる。
スチレン系マクロマーの市販品としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亜合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7以上12以下のアリールアルキル基又はアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
〔ノニオン性モノマー(a−4)〕
分散ポリマーは、滞留安定性を向上させる観点から、さらにノニオン性モノマー(a−4)(以下、「モノマー(a−4)」ともいう)由来の構成単位を有してもよい。
モノマー(a−4)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)/プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール/プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(n=1〜15)/ポリプロピレングリコール(n=1〜15)/メタクリレート等が挙げられる。
モノマー(a−4)の市販品としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−40G、同90G、同230G、日油株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。
上記モノマー(a−1)〜(a−4)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散ポリマーは、好ましくはモノマー(a−1)由来の構成単位及びモノマー(a−2)由来の構成単位を有し、さらに必要に応じてモノマー(a−3)由来の構成単位及びモノマー(a−4)由来の構成単位を有する。
分散ポリマーの全構成単位中のモノマー(a−1)由来の構成単位の含有量は、滞留安定性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32質量%以下である。
分散ポリマーの全構成単位中のモノマー(a−2)由来の構成単位の含有量は、分散ポリマーの顔料への親和性を高める観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは68質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
分散ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、モノマー(a−1)由来の構成単位及びモノマー(a−2)由来の構成単位以外の構成単位を有してもよいが、モノマー(a−1)由来の構成単位及びモノマー(a−2)由来の構成単位の合計含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくはモノマー(a−1)由来の構成単位及びモノマー(a−2)由来の構成単位のみからなることが好ましい。
(分散ポリマーの製造)
分散ポリマーは、モノマー(a−1)及び(a−2)、さらに必要に応じてモノマー(a−3)及び(a−4)を含むモノマー混合物を公知の重合法により共重合させることによって製造することができるが、分子量を制御する観点から、溶液重合法が好ましい。
分散ポリマー製造時における、モノマー(a−1)及びモノマー(a−2)を含むモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)は、前述の分散ポリマー中におけるモノマー(a−1)及びモノマー(a−2)由来の構成単位の含有量と同様である。
溶液重合法で用いる溶媒に制限はないが、後述する顔料混合物を製造する際に溶媒を除去することなくそのまま用いる観点から、工程(I)で用いる水溶性有機溶媒(b−1)を用いることが好ましく、炭素数3以上8以下のケトン類がより好ましく、メチルエチルエトンが更に好ましい。
重合開始剤としては、通常の溶液重合に用いるものであればいずれも使用できるが、好ましくはアゾ化合物、より好ましくは2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)である。
連鎖移動剤としては、好ましくはメルカプタン類、より好ましくは2−メルカプトエタノールである。
好ましい重合条件は、重合開始剤の種類等によって異なるが、重合温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは4時間以上、更に好ましくは6時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは15時間以下、更に好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することができる。
分散ポリマーは、好ましくはアクリル系樹脂であり、より好ましくはモノマー(a−1)由来の構成単位及びモノマー(a−2)由来の構成単位を有し、さらに必要に応じてモノマー(a−3)由来の構成単位及びモノマー(a−4)由来の構成単位を有するアクリル系樹脂であり、更に好ましくは酸性基含有モノマー(a−1)由来の構成単位と疎水性モノマー(a−2)由来の構成単位とを有するアクリル系樹脂である。
前記アクリル系樹脂は、好ましくはカルボン酸モノマー由来の構成単位と、アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド及び芳香環含有モノマーから選ばれる1種以上由来の構成単位とを有するアクリル系樹脂であり、より好ましくはカルボン酸モノマー由来の構成単位と、アルキル(メタ)アクリレート及び芳香環含有モノマーから選ばれる1種以上由来の構成単位とを有するアクリル系樹脂であり、更に好ましくはカルボン酸モノマー由来の構成単位と芳香環含有モノマー由来の構成単位とを有するアクリル系樹脂である。また、滞留安定性を制御する観点から、アクリル系樹脂の中でも3元系ポリマーであることがより更に好ましい。
具体例としては、例えば、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/メチルスチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/α−メチルスチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸共重合体等の(メタ)アクリル酸系共重合体;スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/メチルスチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル/マレイン酸共重合体等のマレイン酸系共重合体;スチレン/(メタ)アクリル酸エステル/スチレンスルホン酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル/アリルスルホン酸共重合体等のスルホン酸系共重合体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
前記アクリル系樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステルは、好ましくは低級アルキル基の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数1以上4以下の低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
これらの中でも、滞留安定性を向上させ、微細な顔料粒子を得る観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸系共重合体であり、より好ましくはスチレン/α−メチルスチレン/アクリル酸共重合体である。
分散ポリマーの酸価は、滞留安定性を向上させ、微細な顔料粒子を得る観点から、150mgKOH/g以上であり、好ましくは160mgKOH/g以上、より好ましくは180mgKOH/g以上、更に好ましくは200mgKOH/g以上、より更に好ましくは210mgKOH/g以上、より更に好ましくは220mgKOH/g以上であり、そして、前記と同様の観点から、260mgKOH/g以下であり、好ましくは250mgKOH/g以下、より好ましくは240mgKOH/g以下である。
本発明において、酸価は分散ポリマーの構成単位から計算で算出することができる。又は、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)に分散ポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
分散ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、滞留安定性を向上させる観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下、より更に好ましくは20,000以下である。
なお、重量平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
<水溶性有機溶媒(b−1)>
水溶性有機溶媒(b−1)は、水と任意に混和するものを用いてもよく、顔料の水への濡れ性を向上させ、滞留安定性を向上させる観点から、該水溶性有機溶媒(b−1)の20℃における水100gに対する溶解度は、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上、更に好ましくは15g以上であり、そして、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下である。
水溶性有機溶剤(b−1)としては、例えばアルコール系溶媒、ケトン系溶媒等が挙げられ、好ましくはケトン系溶媒である。具体的には、好ましくはメタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン及びメチルエチルケトンから選ばれる1種以上、より好ましくはアセトン及びメチルエチルケトンから選ばれる1種以上、更に好ましくはメチルエチルケトンを含むことが好ましい。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
水溶性有機溶媒(b−1)としてメチルエチルケトンを含む場合、メチルエチルケトンの含有量は、水溶性有機溶媒(b−1)中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
<水>
本発明に係る顔料混合物は、滞留安定性を向上させ、顔料を十分に微細化する観点から、水を含む。
(顔料水分散体の製造)
本発明の製造方法は、下記工程(I)及び(II)を有する。これにより、水溶性有機溶媒を含む分散体であっても該分散体の滞留安定性が向上し、微細な顔料粒子が得られる顔料水分散体を効率的に製造することができる。
工程(I):顔料としてPY74、分散ポリマー、水溶性有機溶媒(b−1)及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散体Aを得る工程
工程(II):分散体Aから水溶性有機溶媒(b−1)を除去して顔料水分散体を得る工程
(工程(I−1))
本発明において、用いる顔料混合物を得る際の顔料、分散ポリマー、水溶性有機溶媒(b−1)及び水の添加順序に特に制限はないが、顔料の分散性を高める観点から、さらに、工程(I)より前に下記工程(I−1)を有することが好ましい。
工程(I−1):分散ポリマーを水溶性有機溶媒(b−1)に溶解させて得られる分散ポリマーの溶液に、水、必要に応じてさらに水溶性有機溶媒(b−1)を加えて乳化物を得た後、顔料を加えて顔料混合物を得る工程
工程(I−1)において、溶媒は水系溶媒であり、顔料の分散性を高め、顔料の濡れ性及び分散ポリマーの顔料への吸着性を促進する観点から、さらに水溶性有機溶剤(b−1)を加えることが好ましい。該水溶性有機溶媒(b−1)は前述のものが挙げられる。
また、工程(I−1)において、分散ポリマーの溶液は、顔料水分散体の生産性の観点から、分散ポリマーの製造の際、重合反応に水溶性有機溶媒を用いた場合には、該溶媒を除去せずにそのまま分散ポリマーの溶液として用いることが好ましい。
混合方法には特に制限はなく、均一に混合できる方法であればよい。
〔工程(I)〕
工程(I)は、顔料としてPY74、分散ポリマー、水溶性有機溶媒(b−1)及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散体Aを得る工程である。
工程(I)における分散ポリマーの酸性基の中和度は、滞留安定性を向上させる観点から、50mol%以上であり、好ましくは60mol%以上、より好ましくは70mol%以上であり、そして、前記と同様の観点から、90mol%以下であり、好ましくは80mol%以下である。
ここで、酸性基の中和度は、下記式(1)によって算出される値である。
中和度={[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[分散ポリマーの酸価(mgKOH/g)×分散ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100 (1)
前記中和度は、工程(I)において分散ポリマーの酸性基を中和剤により中和して調整することが好ましい。工程(I−1)を含む場合には、顔料水分散体の生産性の観点から、工程(I−1)において分散ポリマーの溶液に、さらに中和剤を添加して分散ポリマーを中和することが好ましい。
中和剤としては、例えば、アンモニア;エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の塩基が挙げられる。滞留安定性を向上させる観点から、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
これらの中和剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中和剤は、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、十分に中和を促進させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
工程(I)において、水溶性有機溶媒(b−1)の含有量は、滞留安定性を向上させ、微細な顔料粒子を得る観点から、顔料混合物中、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは13質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下である。
顔料混合物中の不揮発成分率は、滞留安定性を向上させ、微細な顔料粒子を得る観点から、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは13質量%以下である。
本発明において不揮発成分とは、分散ポリマー、顔料、必要に応じて加える中和剤及び界面活性剤である。以下における「不揮発成分」も同義である。
なお、顔料混合物中の「不揮発成分率」は、下記式(2)によって算出される値である。
不揮発成分率(質量%)=〔(不揮発成分の合計質量)/(顔料混合物の質量)〕×100 (2)
不揮発成分中の顔料比率〔顔料/(不揮発成分の合計量)〕は、滞留安定性を向上させ、微細な顔料粒子を得る観点から、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
不揮発成分中の分散ポリマーに対する顔料の質量比〔顔料/分散ポリマー〕は、インクの印字濃度を向上させる観点から、好ましくは30/70以上、より好ましくは40/60以上、更に好ましくは50/50以上であり、そして、滞留安定性を向上させる観点から、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下、より更に好ましくは60/40以下である。
(予備分散処理)
工程(I)における分散処理は、一度の分散で処理してもよいが、均一な分散体を得る観点から、顔料混合物を予備分散した後、さらに本分散することが好ましい。
予備分散に用いる分散機としては、好ましくはアンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置であり、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(淺田鉄工株式会社、商品名)、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
予備分散の温度は、水溶性有機溶媒を含む分散体の低粘度化の観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは18℃以上であり、そして、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは27℃以下である。
予備分散の時間は、顔料を十分に微細化する観点から、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であり、そして、顔料水分散体の生産性の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
予備分散処理した後、本分散処理を行う前に、必要に応じて水を添加し、不揮発成分率を調整してもよい。予備分散処理後の予備分散体の不揮発成分率は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
(本分散処理)
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機;高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー;マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー;ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(淺田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
工程(I)の分散処理は、顔料を十分に微細化する観点から、高圧分散処理を含むことが好ましい。具体的には、顔料混合液を予備分散した後、さらに本分散処理として高圧分散処理して分散体Aを得ることが好ましく、予備分散として高速撹拌混合装置により分散処理した後、さらに本分散として高圧分散処理して分散体Aを得ることがより好ましい。
ここで、「高圧分散」とは、20MPa以上の分散圧力で分散することを意味し、分散圧力は、顔料を均一に分散させる観点から、好ましくは50MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは130MPa以上であり、そして、分散処理の操作性の観点から、好ましくは250MPa以下、より好ましくは200MPa以下である。
高圧分散処理のパス数は、顔料を均一に分散させる観点から、好ましくは3パス以上、より好ましくは5パス以上、更に好ましくは10パス以上であり、そして、分散処理の効率の観点から、好ましくは20パス以下、より好ましくは18パス以下である。運転方式としては、循環方式、連続方式のいずれも採用しうるが、パス回数により分布が生じることを抑制する観点から、連続方式が好ましい。
高圧分散処理時の温度は特に限定されないが、5℃以上80℃以下が好ましい。
用いる高圧分散機は、分散処理に要する時間及び生産コストの観点から、好ましくは高圧ホモジナイザーであり、前記ホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、前記チャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
工程(I)より得られる分散体A中の分散ポリマーで分散した顔料粒子の平均粒径は、滞留安定性を向上させる観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下である。前記平均粒径は、後述する実施例に記載した方法により測定することができる。
〔工程(II)〕
工程(II)は、分散体Aから水溶性有機溶媒(b−1)を除去して顔料水分散体を得る工程である。
工程(II)において、工程(I)で得られた分散体Aから、公知の方法で水溶性有機溶媒(b−1)を除去して水系にすることで、本発明に係る顔料水分散体を得ることができる。
水溶性有機溶媒(b−1)を除去する方法としては、例えば、加熱又は減圧下で水溶性有機溶媒を留去する方法、濾過等が挙げられ、顔料水分散体の生産性の観点から、加熱及び減圧下で水溶性有機溶媒を留去する方法が好ましい。
加熱温度は、水溶性有機溶媒(b−1)の種類にもよるが、顔料水分散体の生産性の観点から、減圧下、好ましくは35℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、熱分解等を抑制する観点から、好ましくは85℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは65℃以下である。このときの圧力は、好ましくは0.005MPa以上、より好ましくは0.01MPa以上であり、そして、好ましくは0.5MPa以下、より好ましくは0.2MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以下である。
水溶性有機溶媒(b−1)の除去は、上記条件で、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは5時間以上であり、そして、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下、更に好ましくは10時間以下で保持して行う。
得られた顔料水分散体中の水溶性有機溶媒(b−1)は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。顔料水分散体中の残留する水溶性有機溶媒(b−1)の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
また、水溶性有機溶媒(b−1)を除去した後、必要に応じて水を添加し、固形分濃度を調整してもよい。得られた顔料水分散体の固形分濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは12質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
〔工程(III)〕
本発明は、インクの印字濃度を向上させる観点から、さらに、工程(II)より後に下記工程(III)を有することが好ましい。
工程(III):分散ポリマーを、架橋剤を用いて架橋する工程
工程(III)に用いる架橋剤の例としては次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
(ii)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
(iii)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、有機ポリイソシアネート、イソシアネート基末端プレポリマーが挙げられ、該有機ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート;それらのウレタン変性体等の変性体が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは(i)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、より好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルから選ばれる1種以上、更に好ましくはトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルである。
架橋剤の使用量は、下記式(3)によって算出される架橋された分散ポリマー(以下、「架橋ポリマー」ともいう)の架橋率(モル%)において、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下、より更に好ましくは40モル%以下である。
架橋率は、下記式(3)により、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、分散ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できる該ポリマーの反応性基のモル数から算出される値である。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/分散ポリマーが有する架橋剤と反応し得る反応性基のモル数]×100 (3)
上記式(3)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
架橋反応の条件として、反応温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下である。また、反応時間は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、そして、好ましくは7時間以下、より好ましくは5時間以下である。
架橋剤は工程(I)から工程(III)のいずれか、もしくは複数の工程で添加してもよいが、好ましくは工程(II)より後に添加することが好ましい。
(濾過工程)
本発明は、粗大粒子を除去する観点から、工程(II)又は工程(III)の後にフィルターで濾過する工程を含むことが好ましい。本発明で得られる顔料水分散体は微細な顔料粒子を含み濾過性に優れるため、濾過工程を効率よく進めることができる。濾過に用いるフィルターの目開きは、粗大粒子を除去する観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下であり、そして、濾過処理の時間を短縮する観点から、好ましくは1μm以上である。
得られた顔料水分散体の固形分濃度は、顔料水分散体の調製を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは18質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
<顔料水分散体の組成>
顔料の含有量は、微細な顔料粒子を得る観点から、及びインクの印字濃度を向上させる観点から、顔料水分散体中、好ましくは3.0質量%以上であり、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは17質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
分散ポリマー又は架橋された分散ポリマー(以下、「(架橋)分散ポリマー」ともいう)の含有量は、微細な顔料粒子を得る観点から、顔料水分散体中、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
水の含有量は、微細な顔料粒子を得る観点から、顔料水分散体中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
顔料水分散体における(架橋)分散ポリマーに対する顔料の質量比〔顔料/(架橋)分散ポリマー〕は、微細な顔料粒子を得る観点から、及びインクの印字濃度を向上させる観点から、好ましくは30/70以上、より好ましくは40/60以上、更に好ましくは50/50以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下、より更に好ましくは60/40以下である。
顔料水分散体中の(架橋)分散ポリマーで分散した顔料粒子の平均粒径は、インクの印字濃度を向上させる観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上、より更に好ましくは80nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、更に好ましくは130nm以下である。
顔料水分散体中の前記顔料粒子の平均粒径は、分散体Aにおける平均粒径と同様の実施例に記載の方法により測定することができる。
35℃における顔料水分散体の粘度は、微細な顔料粒子を得る観点から、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは3.0mPa・s以上、更に好ましくは3.5mPa・s以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは12mPa・s以下、より好ましくは9.0mPa・s以下、更に好ましくは7.0mPa・s以下、より更に好ましくは5.5mPa・s以下、より更に好ましくは4.5mPa・s以下である。
なお、35℃における粘度は、E型粘度計「TV−25」(東機産業株式会社製、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数50rpm)を用いて測定することができる。
25℃における顔料水分散体のpHは、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは9.5以下、より更に好ましくは9.0以下である。
なお、25℃におけるpHは、pH電極「6337−10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F−71」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。
本発明の製造方法により得られた顔料水分散体は、水系インクに通常用いる溶媒、界面活性剤、湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加して、そのままフレキソ印刷用、グラビア印刷用、又はインクジェット記録用の水系インク、好ましくはインクジェット記録用水系インクとして用いることができる。
[水系インクの製造方法]
本発明は、前記製造方法によって得られた顔料水分散体と、水溶性有機溶媒(b−2)、必要に応じて水、界面活性剤、及び各種添加剤を混合する工程を有する、水系インク(以下、単に「インク」ともいう)の製造方法である。
本発明に係るインクには、さらに、通常用いる湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤、防腐剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加することができる。
本発明に係るインク中における各成分、水系インクの組成及び物性は、以下のとおりである。
<水溶性有機溶媒(b−2)>
水溶性有機溶媒(b−2)としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは多価アルコールであり、より好ましくはジエチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはプロピレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種以上である。
これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<界面活性剤>
本発明に係るインクは、保存安定性の観点から、さらに界面活性剤を混合することが好ましい。
界面活性剤としては、インクの保存安定性の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、例えば、(1)炭素数8以上22以下の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の高級アルコール、多価アルコール、又は芳香族アルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドを付加したポリオキシアルキレンのアルキルエーテル、アルケニルエーテル、アルキニルエーテル又はアリールエーテル、(2)炭素数8以上22以下の飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する高級アルコールと多価脂肪酸とのエステル、(3)炭素数8以上20以下の直鎖又は分岐鎖の、アルキル基又はアルケニル基を有する、ポリオキシアルキレン脂肪族アミン、(4)炭素数8以上22以下の高級脂肪酸と、多価アルコールのエステル化合物又はそれにエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドを付加した化合物等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の中では、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましく、その具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、及びこれらのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上が挙げられ、より好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、及びこれらのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及びそのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上である。
ノニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、エアープロダクツ社製の「サーフィノール104PG−50(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのプロピレングリコール溶液、有効分50%)」、「サーフィノール465(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド(以下、「EO」ともいう)付加物、EO平均付加モル数:10)」、「サーフィノール485(同EO付加物、EO平均付加モル数:30)」、「オルフィンE1010(同EO付加物、EO平均付加モル数:10)」、川研ファインケミカル株式会社製の「アセチレノールE81(EO平均付加モル数:8.1)」、「アセチレノールE100(EO平均付加モル数:10)」、「アセチレノールE200(EO平均付加モル数:20)」、花王株式会社製の「エマルゲン120(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)」等が挙げられる。
(水系インクの組成)
顔料の水系インク中の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、そして、分散安定性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8.0質量%以下である。
分散ポリマーの水系インク中の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは0.10質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.20質量%以上であり、そして、印字濃度の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。
である。
水溶性有機溶媒(b−2)の水系インク中の含有量は、印字濃度の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、そして、分散安定性の観点から、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下である。
界面活性剤の水系インク中の含有量は、保存安定性の観点から、好ましくは0.10質量%以上であり、より好ましくは0.20質量%以上、更に好ましくは0.30質量%以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下である。
水の水系インク中の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、そして、印字濃度の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは88質量%以下である。
(水系インクの物性)
35℃における水系インクの粘度は、印字濃度の観点から、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上、更に好ましくは2.0mPa・s以上であり、そして、分散安定性の観点から、好ましくは10mPa・s以下、より好ましくは7.0mPa・s以下、更に好ましくは4.0mPa・s以下である。
なお、35℃における粘度は、E型粘度計「TV−25」(東機産業株式会社製、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数50rpm)を用いて測定することができる。
25℃における水系インクのpHは、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.0以下、更に好ましくは9.5以下、より更に好ましくは9.0以下である。
なお、25℃におけるpHは、pH電極「6337−10D」(株式会社堀場製作所製)を使用した卓上型pH計「F−71」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。
水系インク中の(架橋)分散ポリマーで分散した顔料粒子の平均粒径は、該粒子の膨潤や収縮、該粒子間の凝集が生じないことが好ましく、顔料水分散体中の平均粒径と同じであることがより好ましい。水系インク中の(架橋)分散ポリマーで分散した顔料粒子の好ましい平均粒径の態様は、前述の顔料水分散体中の平均粒径の好ましい態様と同じである。
水系インク中の(架橋)分散ポリマーで分散した顔料粒子の平均粒径は、分散体Aにおける平均粒径と同様の実施例に記載の方法により測定することができる。
以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
なお、実施例及び比較例で用いた分散ポリマーの重量平均分子量、顔料水分散体の固形分濃度、分散体Aの平均粒径、滞留安定性の評価、及び印字濃度の評価を、下記方法により行った。
(1)分散ポリマーの重量平均分子量
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いて測定した。
(2)顔料水分散体の固形分濃度
30mlのポリプロピレン製容器(φ=40mm、高さ=30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへサンプル約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量し、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、さらにデシケーター内で15分間放置し、質量を測定した。揮発分除去後のサンプルの質量を固形分として、添加したサンプルの質量で除して固形分濃度とした。
(3)平均粒径の測定
工程(I)で得られた分散体Aの平均粒径を、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システム「ELS−8000」(キュムラント解析)を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度は、5×10-3%(固形分濃度換算)で行い、以下の基準により評価した。結果を表1〜4に示す。
A:平均粒径が130nm以下
B:平均粒径が130nm超
(4)分散体Aの滞留安定性の評価
工程(I)で得られた分散体A 8gを10mlのスクリュー管に充填、密閉し、25℃にて1日間静置保持した。保持前後の平均粒径をそれぞれ上記(3)の方法により測定し、分散体Aの滞留安定性を以下の基準により評価した。結果を表1〜4に示す。
(評価基準)
A:平均粒径の粒径増加が6nm未満
B:平均粒径の粒径増加が6nm以上15nm未満
C:平均粒径の粒径増加が15nm以上、又は保持後にゲル化した。
(5)印刷物の印字濃度評価
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて実施例及び比較例で得られた水系インクを汎用コート紙OKトップコート(王子製紙株式会社製、横216mm×縦279mm)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン、印字速度:6枚/min〕し、90℃で2分間加熱、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:スペクトロアイ)で印刷物(5.1cm×8.0cm)の中心及び四隅の計5点を測定し、その平均値を求めた。印字濃度は、数値が大きいほど良好である。結果を表3に示す。
(分散ポリマーの調製)
調製例1
アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)62g、スチレン(和光純薬工業株式会社製)129g、α−メチルスチレン(和光純薬工業株式会社製、試薬)9gを混合しモノマー混合液を調製した。
別途、反応容器内に、メチルエチルケトン(以下、「MEK」ともいう)20g、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.3g、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
次いで、滴下ロートに、前記モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27g、MEK60g及びアゾ系ラジカル重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))2.2gの混合液を入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の前記モノマー混合液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3gをMEK5gに溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させた。これにMEKを220g加えることで、酸性基としてカルボキシ基を有する分散ポリマー溶液(a)(分散ポリマーの重量平均分子量:16,000、酸価240mgKOH/g、分散ポリマー濃度40%)を得た。
調製例2
アクリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)54g、スチレン(和光純薬工業株式会社製)137g、α−メチルスチレン(和光純薬工業株式会社製、試薬)9gを混合しモノマー混合液を調製した。
別途、反応容器内に、MEK20g、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.3g、及び前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
次いで、滴下ロートに、前記モノマー混合液の残りの90%、前記重合連鎖移動剤0.27g、MEK60g及びアゾ系ラジカル重合開始剤(V−65)2.2gの混合液を入れ、以降は調製例1と同様にして、酸性基としてカルボキシ基を有する分散ポリマー溶液(b)(分散ポリマーの重量平均分子量:14,000、酸価213mgKOH/g、分散ポリマー濃度40%)を得た。
(顔料水分散体の製造)
実施例1
(1)工程(I−1):顔料混合物を得る工程
調製例1で得られた分散ポリマー溶液(a)333gにイオン交換水1000g、5N水酸化ナトリウム水溶液を81g、メチルエチルケトン120gを加え、乳化液を得た。
この乳化液に、イエロー顔料PY74(C.I.ピグメント・イエロー74、山陽色素株式会社、商品名:FY7414)を200g加え、顔料混合物を得た。
(2)工程(I):分散処理工程
工程(I−1)で得られた顔料混合物を、ディスパー翼を用いて20℃で1時間予備分散処理を行って、予備分散体(前記式(2)によって算出された不揮発成分率20%)を得た。得られた予備分散体に対し、メチルエチルケトンを105g、イオン交換水1051gを加えた後、高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による本分散処理を行って、分散体A1を得た。
(3)工程(II):有機溶媒の除去工程
工程(I)で得られた分散体A1を、減圧下、温水加熱媒体を用いて60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。
なお、工程(I)終了から工程(II)開始するまでに、約30分の時間を要した。
(4)工程(III):架橋工程
工程(II)で得られた顔料水分散体300gに対し、デナコールEX−321L(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)を5.4g、イオン交換水を70g加え、90℃で90分間撹拌した。室温まで冷却後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の顔料水分散体1を得た。
実施例2
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)を調製例2で得られた分散ポリマー溶液(b)に代え、イオン交換水を996g、5N水酸化ナトリウム水溶液を96g、及びメチルエチルケトンを123gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを106g、及びイオン交換水を1059gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体2を得た。架橋率は34モル%であった。
実施例3
実施例1の工程(I−1)において、イオン交換水を992g、5N水酸化ナトリウム水溶液を108g、及びメチルエチルケトンを125gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを107g、及びイオン交換水を1065gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体3を得た。架橋率は36モル%であった。
実施例4
実施例1の工程(I−1)において、イオン交換水を988g、5N水酸化ナトリウム水溶液を121g、及びメチルエチルケトンを127gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを107g、及びイオン交換水を1072gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体4を得た。
実施例5
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)を500g、イオン交換水を1180g、5N水酸化ナトリウム水溶液を162g、及びメチルエチルケトンを94gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを130g、及びイオン交換水を1295gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体5を得た。
実施例6
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)333gを分散ポリマー溶液(b)500gに代え、イオン交換水を1197g、及び5N水酸化ナトリウム水溶液を108gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを127g、及びイオン交換水を1267gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体6を得た。
実施例7
工程(II)までを実施例2と同様の操作を行い、工程(III)を実施せずに固形分濃度25%の顔料水分散体7を得た。
実施例8
工程(II)までを実施例3と同様の操作を行い、工程(III)を実施せずに固形分濃度25%の顔料水分散体8を得た。
比較例1
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)を分散ポリマー溶液(b)に代え、イオン交換水を1014g、5N水酸化ナトリウム水溶液を36g、及びメチルエチルケトンを113gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを131g、及びイオン交換水を435gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体C1を得た。
比較例2
(1)工程(I−1)’:顔料混合物を得る工程
分散ポリマー溶液(b)を減圧乾燥して得られたポリマー133g、イオン交換水988g、5N水酸化ナトリウム水溶液36gを混合し90℃で10時間撹拌し、乳化物を得た。この乳化液に、イエロー顔料PY74(C.I.ピグメント・イエロー74、山陽色素株式会社製、商品名:FY7414)を200g加え、水溶性有機溶媒を含まない顔料混合物を得た。
(2)工程(I)’:分散処理工程
工程(I−1)’で得られた顔料混合物を、ディスパー翼を用いて20℃で1時間予備分散処理を行って、予備分散体(前記式(2)によって算出された不揮発成分率25%)を得た。得られた予備分散体を高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による本分散処理を行って、分散体AC2を得た。
(3)工程(III)’:架橋工程
工程(I)’で得られた分散体AC2 300gに対し、デナコールEX‐321Lを5.4g、イオン交換水を70g加え、90℃で90分間撹拌した。室温まで冷却後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の顔料水分散体C2を得た。
比較例3
(1)工程(I−1)’:顔料混合物を得る工程
分散ポリマー溶液(b)を減圧乾燥して得られたポリマー133g、イオン交換水976g、5N水酸化ナトリウム水溶液72gを混合し90℃で10時間撹拌し、乳化物を得た。この乳化液に、イエロー顔料PY74(C.I.ピグメント・イエロー74、山陽色素株式会社、商品名:FY7414)を200g加え、水溶性有機溶媒を含まない顔料混合物を得た。
(2)工程(I)’:分散処理工程
工程(I−1)’で得られた顔料混合物を、ディスパー翼を用いて20℃で1時間予備分散処理を行って、予備分散体(前記式(2)によって算出された不揮発成分率25%)を得た。得られた予備分散体にイオン交換水1497gを加えた後、高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による本分散処理を行って、分散体AC3を得た。
(3)工程(III)’:架橋工程
工程(I)’で得られた分散体AC3 300gに対し、デナコールEX−321Lを5.4g、イオン交換水を70g加え、90℃で90分間撹拌した。室温まで冷却後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の顔料水分散体C3を得た。
比較例4
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)を分散ポリマー溶液(b)に代え、イオン交換水を1014g、5N水酸化ナトリウム水溶液を36g、及びメチルエチルケトンを113gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを74g、及びイオン交換水を492gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体C4を得た。
比較例5
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)を分散ポリマー溶液(b)に代え、イオン交換水を1010g、5N水酸化ナトリウム水溶液を48g、及びメチルエチルケトンを115gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを74g、及びイオン交換水を495gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体C5を得た。
比較例6
実施例1の工程(I−1)において、分散ポリマー溶液(a)を分散ポリマー溶液(b)に代え、イオン交換水を1011g、5N水酸化ナトリウム水溶液を48g、及びメチルエチルケトンを115gに変更し、工程(I)におけるメチルエチルケトンを103g、及びイオン交換水を1035gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体C6を得た。
比較例7
実施例1の工程(I−1)において、イオン交換水を1009g、5N水酸化ナトリウム水溶液を54g、及びメチルエチルケトンを116gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを104g、及びイオン交換水を1038gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体C7を得た。
比較例8
実施例1の工程(I−1)において、イオン交換水を984g、5N水酸化ナトリウム水溶液を135g、及びメチルエチルケトンを129gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを108g、及びイオン交換水を1079gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体C8を得た。
参考例1
(1)工程(I−1)”:顔料混合物を得る工程
分散ポリマー溶液(a)を減圧乾燥して得られたポリマー133g、イオン交換水946g、5N水酸化ナトリウム水溶液40g、メチルエチルケトン97gを混合し、90℃で10時間撹拌し、乳化物を得た。この乳化液に、顔料PBk7(C.I.ピグメント・ブラック7、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク社製、商品名:モナーク717)を200g加え、顔料混合物を得た。
(2)工程(I)”:分散処理工程
工程(I−1)”で得られた顔料混合物を、ディスパー翼を用いて20℃で1時間予備分散処理を行って、予備分散体(前記式(2)によって算出された不揮発成分率24%)を得た。得られた予備分散体を高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による本分散処理を行って、分散体AR1を得た。
(3)工程(II)”:有機溶媒の除去工程
工程(I)”で得られた分散体AR1にイオン交換水を472g加え、減圧下、温水加熱媒体を用いて60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度25%の顔料水分散体を得た。
(4)工程(III)”:架橋工程
工程(II)”で得られた顔料水分散体 300gに対し、デナコールEX−321Lを5.4g、イオン交換水を70g加え、90℃で90分間撹拌した。室温まで冷却後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の顔料水分散体R1を得た。
参考例2
(1)工程(I−1)”:顔料混合物を得る工程
分散ポリマー溶液(b)を減圧乾燥して得られたポリマー133g、イオン交換水517g、5N水酸化ナトリウム水溶液48gを混合し90℃で10時間撹拌し、乳化物を得た。この乳化液に、顔料PR122(C.I.ピグメント・レッド122、大日精化工業株式会社、商品名:CFR6111T)を200g加え、顔料混合物を得た。
(2)工程(I)”:分散処理工程
工程(I−1)”で得られた顔料混合物を、ディスパー翼を用いて20℃で1時間予備分散処理を行って、予備分散体(前記式(2)によって算出された不揮発成分率38%)を得た。得られた予備分散体にイオン交換水467gを加えた後、高圧ホモジナイザー(Microfluidics 社製、商品名:マイクロフルイダイザー)を用いて、150MPaの圧力で15パスの連続方式による本分散処理を行って、分散体AR2を得た。
(3)工程(III)”:架橋工程
工程(I)”で得られた分散体AR2 300gに対し、デナコールEX−321Lを5.4g、イオン交換水を70g加え、90℃で90分間撹拌した。室温まで冷却後、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度20%の顔料水分散体R2を得た。
参考例3
実施例1の工程(I−1)において、顔料をPB15:3(C.I.ピグメント・ブルー15:3、DIC株式会社、商品名:TGR−SD)に代え、イオン交換水を1106g、5N水酸化ナトリウム水溶液を54gに変更し、工程(I)において、メチルエチルケトンを0g、及びイオン交換水を302gに変更した以外は、実施例1と同様に操作を行い、固形分濃度20%の顔料水分散体R3を得た。
(水系インクの製造)
実施例2〜3及び実施例6〜7で得られた各顔料水分散体、水溶性有機溶媒(b−2)としてグリセリン及びプロピレングリコール、界面活性剤としてサーフィノール465〔エアープロダクツ社製、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのEO付加物(EO平均付加モル数:10)〕を混合し、さらに水を加えて、顔料混合液を得た。
得られた顔料混合液を前記5μmフィルター及び針なしシリンジで同様に濾過し、粗大粒子を除去することにより、顔料の含有量が5%、分散ポリマーの含有量が3%、水溶性有機溶媒(b−2)の合計含有量が4.5%(グリセリン1.5%、プロピレングリコール3%)、界面活性剤の含有量が0.5%及び水の含有量が87%である各水系インク20gを得た。
なお、表中に示す各成分は以下のとおりである。
(顔料)
PY74:C.I.ピグメント・イエロー74
PBk7:C.I.ピグメント・ブラック7
PR122:C.I.ピグメント・レッド122
PB15:3 :C.I.ピグメント・ブルー15:3
(水溶性有機溶媒(b−1))
MEK:メチルエチルケトン
Figure 0006897944
Figure 0006897944
Figure 0006897944
Figure 0006897944
表1に示されるように、水溶性有機溶媒を用いた、分散ポリマーの酸性基の中和度が60〜90%であった実施例1〜4は、比較例1〜8と比較して、平均粒径が小さく、水溶性有機溶媒を含む分散体Aの滞留安定性が良好であった。
表2に示されるように、不揮発成分中の顔料比率〔顔料/(不揮発成分の合計量)〕が低い実施例5及び6であっても平均粒径が小さく、水溶性有機溶媒を含む分散体Aの滞留安定性が良好であった。
表3に示されるように、架橋工程を有する実施例2及び3は、架橋工程を有しない実施例7及び8と比較して、印字濃度が良好であった。
表4に示されるように、PY74以外の他の顔料を用いた参考例2では、水溶性有機溶媒を用いなくても、平均粒径が小さく、滞留安定性は良好であった。また、参考例1及び3では、分散ポリマーの中和度が30〜40%であり、水溶性有機溶媒を用いても、平均粒径が小さく、水溶性有機溶媒を含む分散体Aの滞留安定性は良好であった。
実施例1〜8の水溶性有機溶媒を含む分散体Aの平均粒径は小さく微細であるため、該分散体Aから得られる顔料水分散体も平均粒径が小さく微細なものとなる。
本発明の製造方法は、優れた滞留安定性を有し、かつ微細な顔料粒子が得られるため、顔料水分散体の製造方法、及び該顔料水分散体を用いた水系インクの製造方法として好適である。

Claims (7)

  1. 下記工程(I)及び(II)を有する顔料水分散体の製造方法であって、
    工程(I):顔料としてC.I.ピグメント・イエロー74、分散ポリマー、水溶性有機溶媒(b−1)及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散体Aを得る工程
    工程(II):分散体Aから水溶性有機溶媒(b−1)を除去して顔料水分散体を得る工程
    分散ポリマーが酸性基を有し、かつ酸価が200mgKOH/g以上260mgKOH/g以下であり、該分散ポリマーが酸性基含有モノマー(a−1)由来の構成単位と疎水性モノマー(a−2)由来の構成単位を含むビニル系ポリマーの共重合体であり、該分散ポリマーの全構成単位中の酸性基含有モノマー(a−1)由来の構成単位及び疎水性モノマー(a−2)由来の構成単位の合計含有量が70質量%以上であり、疎水性モノマー(a−2)が、炭素数3以上30以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸のアリールエステル、及び炭素数6以上22以下の芳香族基含有ビニルモノマーから選ばれる1種以上であり、
    工程(I)における分散ポリマーの酸性基の中和度が50mol%以上90mol%以下であり、工程(I)における顔料混合物中の水溶性有機溶媒(b−1)の含有量が20質量%以下であり、工程(I)における顔料混合物中の不揮発成分中の分散ポリマーに対する顔料の質量比〔顔料/分散ポリマー〕が30/70以上90/10以下である、顔料水分散体の製造方法。
  2. 工程(I)の分散処理が高圧分散処理を含む、請求項1に記載の顔料水分散体の製造方法。
  3. 水溶性有機溶媒(b−1)がメチルエチルケトンを含む、請求項1又は2に記載の顔料水分散体の製造方法。
  4. 工程(I)における顔料混合物中の不揮発成分中の顔料比率〔顔料/(不揮発成分の合計量)〕が、35質量%以上70質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の顔料水分散体の製造方法。
  5. 工程(I)より得られる分散体A中の分散ポリマーで分散した顔料粒子の平均粒径が、130nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の顔料水分散体の製造方法。
  6. さらに、工程(II)より後に下記工程(III)を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の顔料水分散体の製造方法。
    工程(III):分散ポリマーを、架橋剤を用いて架橋する工程
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法によって得られた顔料水分散体と、水溶性有機溶媒(b−2)を混合する工程を有する、水系インクの製造方法。
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