JP6595644B2 - 化粧料用顔料分散液、それを用いた水系液体化粧料 - Google Patents

Description

本発明は、顔料である赤色２２８号の分散性、経時安定性に優れた化粧料用顔料分散液、それを用いた水系液体化粧料に関する。

従来より、顔料は、隠蔽性や発色等に優れるため一時染毛料、メイクアップ化粧料などの化粧料の色材として顔料を含むものが多数使用されてきている。また、染毛料等の化粧料に添加する樹脂として両性高分子樹脂が多く用いられている。
一方、顔料である赤色２２８号は、一般名「パーマトンレッド」（Ｃ．Ｉ．１２０８５）と称呼され、メイクアップ化粧料、染毛料などの化粧料組成物の色材に用いられているが、この分散液は分散時間がかかり、分散液の製造においては生産性、経時安定性などが低いなどの課題があるのが現状である。

他方、顔料を含む液体化粧料などにおいて、分散性、経時安定性などに言及した先行技術文献としては、例えば、下記１）〜５）が知られている。
１）水を主溶剤として、特定構造のアクリル系両性高分子樹脂と、酸性染料と、カーボンブラックと、を含有するカラー毛髪化粧料が開示されている（例えば、特許文献１参照）。このアクリル系両性高分子樹脂は、毛髪上で堅牢な樹脂被膜を形成する一方、シャンプーによる洗髪性が悪く、かつ、ごわつき感の強さが問題点として指摘されている。また、染料と顔料を併用した場合、化粧料の経時後の粘度が上昇しやすいことも欠点として挙げられている。

２） 炭素数４以下のアルコール系主溶剤と、分散剤としてアクリル系両性高分子樹脂のＮ−メタクリロイルエチル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム・α−Ｎ−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体と着色成分としてチタンブラックを含む一時染毛料が開示されている（例えば、特許文献２参照）。ここではチタンブラックの外、添加してもよい顔料として赤色２２８号（Ｃ．Ｉ．１２０８５）が挙げられている。この場合、粘度の上昇等については抑制されたものとなっているが、赤色２２８号などの有機顔料の添加については特に言及がないものである。
３） エタノールを主溶剤として、黒酸化チタンと、（メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン／メタクリル酸アルキル）コポリマーと、ヒドロキシプロピルセルロースと、グリセリンと、を含有する一時染毛料が開示されている（例えば、特許文献３参照）。この特許文献３でもチタンブラックの外、添加してもよい顔料として赤色２２８号（Ｃ．Ｉ．１２０８５）が挙げられている。この文献の場合には、化粧料の粘度がＢ型粘度計の測定で５０〜３万ｍＰａ・ｓｅｃと比較的高粘度〜非常に高粘度であり、赤色２０２号及び黄色４０１号含有の例示はあるが、赤２２８の添加については特に言及がないものである。

４） 特定構造の分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、及び、皮膜形成性樹脂を含有し、有機顔料を含んでもよい毛髪着色料組成物が開示されている（例えば、特許文献４参照）。また、（メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン／メタクリル酸アルキル）コポリマーと黒色４０１号、紫色４０１号及び橙色２０５号併用の例示はあるが、赤色２２８号の添加については特に言及がないものである。
５） セピオメラニンと両性化合物と水とを含む液状化粧料が開示されている（例えば、特許文献５参照）。この液状化粧料は、水が主溶剤で、セピオメラニンの分散にユカフォーマー（（メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン／メタクリル酸アルキル）コポリマー）を使用する例が挙げられている。赤色２２８号をはじめとする有機顔料の添加については特に言及がないものである。

特開平１０−２７３４３１号公報（特許請求の範囲、実施例等、要約文） 特開平９−２０８４３６号公報（特許請求の範囲、段落〔００１２〕等） 特開２００８−６３２５１号公報（特許請求の範囲、段落〔００２８〕等） 特開２００８−３０８４３５号公報（特許請求の範囲、実施例等） 特開２００１−１８１１２８号公報（特許請求の範囲、実施例等、要約文）

そこで、本発明は、上記従来の課題等について、これを解消しようとするものであり、顔料である赤色２２８号の分散性、経時安定性に優れた化粧料用顔料分散液、それを用いた染毛料などに好適な水系液体化粧料を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討を行った結果、少なくとも、水と、水溶性有機溶剤と、赤色２２８号の顔料と、特定成分とを含有し、水の全溶媒に対する比率を特定の範囲とすることなどにより、上記目的の化粧料用顔料分散液、それを用いた染毛料などに好適な水系液体化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の化粧料用顔料分散液は、少なくとも、水と、水溶性有機溶剤と、赤色２２８号の顔料と、（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーとを含有し、水の全溶媒に対する比率が３０〜９５質量％であることを特徴とする。
前記水溶性有機溶剤が炭素数５以下の低級アルコールであることが好ましい。
前記低級アルコールがエタノールであることが好ましい。
本発明の水系液体化粧料は、上記化粧料用顔料分散液を含むことを特徴とする。
前記水系液体化粧料の全溶媒に対する水の比率が３０〜９５質量％であることが好ましい。
前記水系液体化粧料において水以外に炭素数５以下の低級アルコールが含まれることが好ましい。
前記水系液体化粧料の低級アルコールはエタノールであることが好ましい。

本発明によれば、顔料である赤色２２８号の分散性、経時安定性に優れた化粧料用顔料分散液、それを用いた染毛料などに好適な水系液体化粧料が提供される。

以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の化粧料用顔料分散液は、少なくとも、水と、水溶性有機溶剤と、赤色２２８号の顔料と、（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーとを含有し、水の全溶媒に対する比率が３０〜９５質量％であることを特徴とするものである。

本発明に用いる赤色２２８号の顔料は、一般的に化粧品で用いられている法定色素中の色材であり、赤色の粉末であり、一般名「パーマトンレッド」〔Ｃ．Ｉ．１２０８５：１−（２−クロロ−４−ニトロフェニルアゾ）−２−ナフトール（Ｃ_１６Ｈ_１０ＣｌＮ_３Ｏ_３：分子量３２７．７２）〕と称呼されている。
この赤色２２８号の水系分散液は、分散時間がかかり、分散液の製造においては生産性、経時安定性などが低いなどの課題があるものであるが、本発明の配合特性となる分散液とすれば上記課題が解消されるものとなる。

用いる赤色２２８号の含有量は、分散後の安定性の点、化粧料製造の利便性の点から、化粧料用顔料分散液全量に対して、好ましくは、１〜３２質量％、更に好ましくは、２〜２５質量％とすることが望ましい。
この赤色２２８号の含有量を１質量％以上とすることにより、生産性に優れ、また、化粧料へ添加した場合の着色性が優れることとなり、一方、３２質量％以下とすることにより、分散性、経時安定性が更に良好となる。

本発明に用いる水溶性有機溶剤は、化粧料用顔料分散液の溶媒として用いるものであり、炭素数５以下の低級アルコールが挙げられる。具体的には、メチルアルコール（メタノール）、エチルアルコール（エタノール）、ｎ−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−ブチルアルコール、ｓｅｃ−ブチルアルコール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の少なくとも１種（各単独又は２種以上の混合物）が挙げられる。
特に、安全性、取り扱い性などの点から、エチルアルコール（エタノール）の使用が望ましい。

用いる水溶性有機溶剤の含有量は、後述の（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーの溶存安定性の点、更には顔料分散の安定性、特に、低温時の安定性の点から、化粧料用顔料分散液全量に対して、好ましくは、１．０〜６０．０質量％、更に好ましくは、５．０〜３０．０質量％とすることが望ましい。
この水溶性有機溶剤の含有量を１．０質量％以上とすることにより、溶媒の低温時凍結防止に効果を発揮でき、また、僅かではあるが防腐効果が発揮されることとなり、一方、６０．０質量％以下とすることにより、後述の（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーの溶存安定性が更に良好となる。

本発明に用いる（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーは、赤色２２８号の分散性、分散液とした場合の経時安定性を良好とする成分となるものである。
この（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステルからなるモノマー２種以上とメタクリル酸エチルベタインの共重合体、一般名称は、Ｎ−メタクリロイルオキシエチル−Ｎ、Ｎ−ジメチルアンモニウム−α−Ｎ−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体であり、ポリマー構造にベタインユニットを持ち、このベタインユニットをもつポリマーは他のイオン性ポリマーと違って特異な挙動を示すものである。
従来より、（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーは、皮膜形成剤、ヘアスタイリング剤として用いられていた成分であるが、本発明の場合、赤色２２８号の分散性、分散液とした場合の経時安定性を良好とする成分として新規な用途を発揮せしめる成分となるものである。

用いることができる（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーとしては、市販品では、ＲＡＭレジン−１０００（大阪有機化学工業社製）、プラスサイズＬ−４４０（互応化学工業（株）社製）などを用いることができる。
用いる（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーの含有量は、赤色２２８号の分散性、分散液とした場合の経時安定性を良好とする点から、化粧料用顔料分散液全量に対して、好ましくは、固形分量で、３．０〜１５．０質量％、更に好ましくは、５．０〜１０．０質量％とすることが望ましい。
この（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーの含有量を３．０質量％以上とすることにより、顔料の分散状態が安定となり、また、化粧料へ配合した際の顔料等の固着が良好となり、一方、１５．０質量％以下とすることにより、粘度上昇の抑制により化粧料製造の利便性が更に良好となる。

本発明において、更に好ましくは、用いる上記赤色２２８号と（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーとの配合比率は、質量比率で、赤色２２８号：（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマー＝１：１〜４：１とすることが望ましく、特に好ましくは、２：１〜４：１とすることが望ましい。
この比率を１：１〜４：１とすることにより、赤色２２８号の分散性、経時安定性を更に高度に両立できる化粧料用顔料分散液となる。

本発明に用いる溶媒となる水としては、蒸溜水、イオン交換水、精製水、純水、超純水などを用いることができ、水の全溶媒（水＋水溶性有機溶媒）に対する比率は、３０〜９５質量％（０．３０〜０．９５）とすることが必要であり、好ましくは、６０〜９５質量％とすることが望ましい。
この水の全溶媒に対する比率が３０質量％（０．３０）未満であると、経時安定性が不安定となり、また、顔料分散が不可能となり、一方、９５質量％（０．９５）超過である場合は、各成分に元々含まれる水以外の溶媒のために製造不能である。

本発明の化粧料用顔料分散液は、上記水溶性有機溶剤、赤色２２８号、（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマー、水を含有するものであるが、更なる分散性の向上、各成分の溶存安定性の点から、必要に応じて、ｐＨ調整剤、界面活性剤、粘度調整剤、キレート剤などを適宜用いることができる。
また、本発明の化粧料用顔料分散液の調製は、上記水溶性有機溶剤、赤色２２８号、（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマー、水などの各成分を上記各含有量の範囲等で配合し均一に攪拌・混合することにより、製造することができる。
例えば、赤色２２８号と水溶性溶剤、水などの溶媒を汎用のディスパーなどにて均一になるまで撹拌後、（メタクリル酸エチルベタイン／アクリレーツ）コポリマーを混合した後、更に、ディスパーなどにて均一になるまで、ホモミキサーなどにて撹拌して、化粧料用顔料分散液を調製することができる。

このように構成される本発明の化粧料用顔料分散液は、顔料である赤色２２８号における分散液の分散時間の長さ、経時安定性の低さなどの課題を解消できるものであり、赤色２２８号の分散性に優れると共に、経時安定性に優れた化粧料用顔料分散液が得られるものとなる。
得られる化粧料用顔料分散液は、赤色２２８号を用いる化粧料の用途に好適に用いられるものであり、スキンケア化粧料、頭髪化粧料、制汗化粧料、メイクアップ化粧料、紫外線防御化粧料、ネイル化粧品等が好ましいものとして挙げられ、例えば、乳液、クリーム、ローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アクネ対策化粧料、エッセンスなどの基礎化粧料、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラ、チーク、ネイルカラー、トリートメントネイル、各種ジェルネイル、口紅などのメイクアップ化粧料、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、セット剤、育毛剤、デオドラント、香水などが挙げられる。また、製品の形態についても特に限定は無いが、分散液（水系）であるので、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ムース状、スプレー状等の水系のものに適用が可能である。
特に、本発明の化粧料用顔料分散液の分散特性などから、水系液体化粧料である、染毛料（アイライナー、マスカラーを含む）、水性ネイルカラーなどへの使用が好ましい。

本発明の水系液体化粧料の具体的な実施形態として、以下に、染毛料への使用について説明する。
用いることができる染毛料は、上記赤色２２８号を含む化粧料用顔料分散液と、汎用の染毛料
成分、例えば、樹脂と、低級アルコールと、染毛助剤と、ｐＨ調整剤、水とを少なくとも含むものが挙げられ、更に、染毛料のカラーバリエーションに応じて上記赤色２２８号以外の着色剤を必要に応じて含有することができる。
上記赤色２２８号を含む化粧料用顔料分散液の含有量は、染毛料全量に対して、染毛効果、溶解性、保存安定性などの点から、染毛料全量に対して、０．５〜３０．０質量％が好ましく、更に好ましくは、１．０〜２５．０質量％が望ましい。

用いることができる赤色２２８号以外の着色剤としては、一般的に染毛料で用いられている色素を用いることができ、例えば、無機顔料として、カーボンブラック、黒酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、グンジョウ、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カルミン、シコニンなどが挙げられ、有機顔料として、赤色２号、赤色３号、赤色１０２号、赤色１０４号の（１）、赤色１０５号の（１）、赤色１０６号、赤色２２７号、赤色２３０号の（１）、赤色２３０号の（２）、赤色２３１号、赤色２３２号、黄色４号、黄色５号、黄色２０２号の（１）、黄色２０２号の（２）、黄色２０３号、緑色３号、緑色２０１号、緑色２０４号、緑色２０５号、青色１号、青色２号、青色２０２号、青色２０５号、だいだい色２０５号、だいだい色２０７号、かっ色２０１号など水溶性染料のバリウム、カルシウム、ジルコニウムもしくはアルミニウムレ−キ顔料、赤色２０１号、赤色２０２号、赤色２０３号、赤色２０４号、赤色２０５号、赤色２０６号、赤色２０７号、赤色２０８号、赤色２１５号、赤色２１８号、赤色２１９号、赤色２２０号、赤色２２１号、赤色２２３号、赤色２２５号、赤色２２６号、黄色２０１号、黄色２０４号、黄色２０５号、緑色２０２号、青色２０１号、青色２０４号、青色４０４号、だいだい色２０１号、だいだい色２０３号、だいだい色２０４号、だいだい色２０６号、だいだい色４０１号、だいだい色４０２号、だいだい色４０３号、紫色２０１号などが挙げられ、これらは少なくとも１種用いることができる。
これらの着色剤を用いる場合の含有量は、染毛効果、溶解性、保存安定性などの点から、染毛料全量に対して、０．１〜２５．０質量％である。

用いることができる樹脂としては、乾燥時に耐水性を有しているもの、造膜性を有しているものなどが挙げられ、例えば、（メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン／メタクリル酸アルキル）コポリマー、（オクチルアクリルアミド／アクリル酸ヒドロキシプロピル／メタクリル酸ブチルアミノエチル）コポリマー、（アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリル酸ブチル／アクリル酸メトキシエチル）コポリマー、Ｎ−メタクリロイルエチル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアンモニウム・α−Ｎ−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、（メタクリル酸エチルベタイン ／アクリレーツ）コポリマーなどの少なくとも１種が挙げられる。
これらの樹脂の含有量は、染毛料全量に対して、耐水性、毛髪塗布後の風合いの点、塗布性など の点から、固形分量で０．１〜１０．０質量％、好ましくは、０．５〜５．０質量％であることが望ましい。

用いることができる低級アルコールは、低温安定性、乾燥性、低刺激性などの点から、好ましく用いることできる。用いる低級アルコールとしては、炭素数５以下の低級アルコールが挙げられる。具体的には、メチルアルコール（メタノール）、エチルアルコール（エタノール）、ｎ−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ｎ−ブチルアルコール、ｓｅｃ−ブチルアルコール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール等の少なくとも１種（各単独又は２種以上の混合物）が挙げられる。
特に、安全性、取り扱い性などの点から、エチルアルコール（エタノール）の使用が望ましい。
これらの低級アルコールの含有量は、染毛料全量に対して、好ましくは、１０〜８０質量％、更に好ましくは、１５〜７０質量％であり、特に好ましくは１５〜６５質量％である。

用いることができる染毛助剤は、染毛効果の更なる向上の点から用いるものあり、例えば、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノシキエタノール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、エトキシジグリコール、Ｎ−メチルピロリドン、Ｎ−メチル−２ピロリドン等の少なくとも１種が挙げられる。
これらの染毛助剤の含有量は、更なる染毛効果の点、色移り防止の点から、全染毛料全量に対して、好ましくは、２．０〜２０．０％、更に好ましくは、５．０〜１５．０％であり、特に好ましくは３．０〜５．０％である。

用いることができるｐＨ調整剤は、着色性向上、皮膚刺激防止、皮膚染着トラブル防止のため用いるものであり、このｐＨ調整剤により、染毛料のｐＨを２〜５に調整することが好ましく、より好ましくは、ｐＨを３．５〜５．０に調整することが望ましい。
用いることができるｐＨ調整剤としては、例えば、蟻酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸や無機酸又はその塩、場合によってはトリエタノールアミンなどのアルカリを用いて行うことができる。

染毛料の残部は、水（精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、水道水等）で調整される。
この水の含有量としては、水の全溶媒（水＋水溶性有機溶媒）に対する比率は、３０〜９５質量％（０．３０〜０．９５）とすることが好ましく、より好ましくは、３０〜８０質量％とすることが望ましい。
この水の全溶媒に対する比率が３０質量％（０．３０）未満であると、経時安定性に劣ることとなり、また、水溶性の成分を添加した場合の溶存安定性が悪く、一方、９５質量％（０．９５）超過であると、抗菌性に劣る可能性が大きくなる。

このように構成される染毛料は、上記赤色２２８号を含む化粧料用顔料分散液と、樹脂と、低級アルコールと、染毛助剤と、ｐＨ調整剤とを少なくとも含むものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の原材料、例えば、増粘剤、各種界面活性剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、還元防止剤、キレート剤、油性成分、香料、動植物抽出物などを適宜含有することができる。

用いることができる増粘剤は、塗布性、保存安定性、顔料の沈降抑制などの点から、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、セルロースにカチオン性官能基を付加したカチオン化セルロースなどのセルロース系増粘剤、ポリビニルアルコール、アクリル酸などの樹脂系増粘剤、ベントナイト等の粘土系増粘剤などが挙げられる。

染毛料の粘度は、適正な粘性及び染料の溶解安定性、毛髪に滑らかさ、しなやかさ、しっとり感を付与して感触を改善すると共に、耐水性の向上、塗布体に用いた場合の使用性及び塗布性を更に向上させる点、毛髪への適用の点から、２５℃における粘度（コーンプレート型粘度計：５０ｒｐｍ）が１．０〜２００ｍＰａ・ｓ、好ましくは、１．０〜５０ｍＰａ・ｓ、更に好ましくは４．０〜１０．０ｍＰａ・ｓとすることが望ましい。
上記粘度範囲（１．０〜２００ｍＰａ・ｓ）の調整は、用いる上記各成分の各量、上記好ましく用いる増粘剤種及びその量などを好適に調整することにより調製することができる。
この染毛料の粘度を１．０ｍＰａ・ｓ以上とすることにより、容器等からの液漏れが起きにくくなり、また、頭皮に付着しずらくなり、また、衣服を汚しすることもなく、一方、２００ｍＰａ・ｓ以下とすることにより、使用者がブラシ等の塗布体に絡まる液量のコントロールをしやすくなり、また、頭髪へ薄く均一に塗り延ばすことができることとなる。

本実施形態の染毛料は、常法により調製することができ、上記赤色２２８号を含む化粧料用顔料分散液と、樹脂と、低級アルコールと、染毛助剤と、ｐＨ調整剤、水などの各成分を上記各含有量の範囲で配合し、更に好適な混練機などを用いて、均一に攪拌・混合することにより、上記好ましい粘度範囲、ｐＨ範囲となる染毛料が製造することができる。
例えば、樹脂、低級アルコールなどのアルコール相と、赤色２２８号を含む着色剤と水などの水相とを各々を汎用のディスパーなどにて均一になるまで撹拌後、アルコール相と水相を混合した後、更にｐＨ調整剤、増粘剤などを加え、ディスパーなどにて均一になるまで撹拌後、ホモミキサーなどにて撹拌して、目的の染毛料を調製することができる。

このように構成される本実施形態の染毛料を使用に供するにあたっては、汎用の毛髪用塗布具を用いることができ、用いる毛髪用塗布具の形状、構造等は特に限定されるものでなく、例えば、ノック式のバルブ装置を備えた塗布具、ヘアマスカラタイプの塗布具、チューブタイプの塗布具、ピストン押圧機構を備えた塗布具などが挙げられる。

このように構成される本実施形態の染毛料は、上記赤色２２８号を含む化粧料用顔料分散液と、樹脂と、低級アルコールと、染毛助剤と、ｐＨ調整剤、水とを少なくとも含むことにより、赤色２２８号の分散性、経時安定性に優れるので、染毛料の着色成分を安定に分散でき、保存安定性に優れ、耐水性、使用性、塗布性、低温安定性、乾燥性、低刺激性などに優れた染毛料が得られることとなる。

次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により制限されるものではない。

〔実施例１〜１２及び比較例１〜４：化粧料用顔料分散液の調製〕
下記表１に示す配合処方で、ビーズミルで分散して化粧料用顔料分散液を調製した。
得られた実施例１〜１２及び比較例１〜４の化粧料用顔料分散液について、下記評価法により、化粧料用顔料分散液の粒子径、経時安定性の評価を行った。
これらの評価結果を下記表１に示す。

（化粧料用顔料分散液の粒子径の測定）
得られた各化粧料用顔料分散液について、２５℃で、粒度分布測定装置〔ＦＰＡＲ−１０００（大塚電子社製）〕を用いて粒子径（散乱光強度分布によるヒストグラム平均粒子径：Ｄ_５０）を測定した。

（経時安定性：５０℃、１ヶ月後）
得られた各化粧料用顔料分散液について、蓋付きガラス製保存容器に収容し、５０℃、１ヶ月放置後の各分散液を下記評価基準で評価した。
評価基準：
Ａ：粒子径が２００ｎｍ以下で安定（沈降も凝集もなく均一に分散安定）。
Ｂ：初期で粒子径が２００ｎｍを超える。もしくは経時的に粒子径が上昇する。
Ｃ：ゲル化。

上記表１の結果から明らかなように、本発明の実施例１〜１２は、本発明の範囲外となる比較例１〜４に較べ、粒子径も良好で分散性、経時安定性の全てにおいて優れていることが確認された。

〔実施例１３〜１８及び比較例５：染毛料の調整〕
上記で得られた各化粧料用顔料分散液を用いて、下記表２に示す配合処方で撹拌して染毛料を調製した。
得られた各染毛料について、上記測定法で粒子径、経時安定性を測定すると共に、下記各評価方法で粘度、ｐＨ、染着性、乾燥性について評価を行った。
これらの結果を下記表２に示す。

（粘度の測定方法）
上記方法で得られた実施例１３〜１８、比較例５の各染毛料について、２５℃における粘度（コーンプレート型粘度計：５０ｒｐｍによる粘度）を測定した。
（ｐＨの測定方法）
上記方法で得られた実施例１３〜１８、比較例５の各染毛料をガラス電極ｐＨ計にて、２５℃におけるｐＨを測定した。

（染着性の評価方法）
得られた各染毛料０．２ｇを刷毛を用いて人毛毛束（１０ｃｍ，１ｇ）に塗布後、室温で乾燥して、染まり具合を下記評価基準で官能評価した。
評価基準：
Ａ：よく染まり、染着が持続する。
Ｂ：あまり良く染まらないが、色むらはない。
Ｃ：よく染まらない、もしくは色むらがある。

（乾燥性の評価方法）
得られた各染毛料について、刷毛を用いて人毛毛束（１０ｃｍ，１ｇ）に塗布後、室温で乾燥して下記評価基準で評価した。
評価基準：
Ａ：５分後、色移りしない。
Ｂ：５分経過後も色移りする。

上記表２の結果から明らかなように、実施例１３〜１８の各染毛料は、比較例５の染毛料に較べ、粘度、ｐＨも良好であり、粒子径も良好で分散性、経時安定性の全てにおいて優れると共に、染毛料としての染着性、乾燥性も高度に両立することが確認された。

顔料である赤色２２８号の分散性、経時安定性に優れた化粧料用顔料分散液、それを用いた染毛料などに好適な水系液体化粧料が得られる。

Claims (7)

1. 少なくとも、水と、水溶性有機溶剤と、赤色２２８号の顔料と、（メタクリル酸エチルベタイン ／アクリレーツ）コポリマーとを含有し、水の全溶媒に対する比率が３０〜９５質量％であることを特徴とする化粧料用顔料分散液。
2. 前記水溶性有機溶剤が炭素数５以下の低級アルコールであることを特徴とする請求項１に記載の化粧料用顔料分散液。
3. 前記低級アルコールがエタノールであることを特徴とする請求項２に記載の化粧料用顔料分散液。
4. 請求項１〜３の何れか一項に記載の化粧料用顔料分散液を含むことを特徴とする水系液体化粧料。
5. 前記水系液体化粧料の全溶媒に対する水の比率が３０〜９５質量％であることを特徴とする請求項４に記載の水系液体化粧料。
6. 前記水系液体化粧料において水以外に炭素数５以下の低級アルコールが含まれることを特徴とする請求項５に記載の水系液体化粧料。
7. 前記低級アルコールがエタノールであることを特徴とする請求項６に記載の水系液体化粧料。