〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図6に基づいて説明すると以下の通りである。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、一本の生産ラインを一つの生産ライン管理装置で管理し、かつ、一本の生産ラインを一人の作業者が担当(管理)する構成について説明する。また、本実施の形態においては、生産ラインを構成する各生産設備は、自設備の不具合により自設備が停止した場合に、生産ライン管理装置に対して、自設備の不具合により自設備が停止したことを示す情報を、リアルタイムに送信する構成とする。
図1は、本実施の形態に係る生産ライン管理装置(以下、管理装置と称する)の構成を示した機能ブロック図である。管理装置1は、同図に示すとおり、データ入力部11、記憶装置12、停止情報受付部(停止情報受付手段)13、滞留検知部14、識別情報受付部(識別情報受付手段)15、損失値算出部(損失値算出手段)16、パターン選択部(選択手段)17、通知部(第1通知手段)18、特定部(特定手段)19、開始情報受付部(開始情報受付手段)20、終了情報受付部(終了情報受付手段)21、時刻生成部22、時刻対応付部(時刻対応付手段)23、復旧時間算出部(復旧時間算出手段)24、設定部(更新手段)25、および、通知部(第2通知手段)26を備えている。
また、データ入力部11は、能力情報対応付部(能力情報対応付手段)31を備えている。さらに、記憶装置12は、設備情報記憶部41および作業員情報記憶部42を備えている。また、損失値算出部16は、第1演算部(第1演算手段)51、第2演算部(第2演算手段)52、第3演算部(第3演算手段)53、および、第4演算部(第4演算手段)54を備えている。
データ入力部11は、外部からのデータを受け付け、この受け付けたデータを記憶装置12に送る。より詳しくは、データ入力部11は、例えばタッチパネルやキーボードのような入力機器を備え、管理装置1の管理者が入力機器を介して入力したデータを、記憶装置12に送る。
記憶装置12は、データ入力部11から送られてくるデータを受け付け、この受け付けたデータを設備情報記憶部41または作業員情報記憶部42に記憶する。ここで、設備情報記憶部41および作業員情報記憶部42に記憶されるデータについて説明する。
設備情報記憶部41には、図2に示すとおり、生産ラインにおける各生産設備の生産能力と、各生産設備の余裕時間とが、生産設備毎に対応付けて記憶される。ここで、生産能力とは、生産設備が単位時間あたりに生産できるワークの個数のことである。また、自設備の上流側に位置する隣の生産設備と自設備との間にワークの滞留が発生した場合、両設備間に滞留可能なワークの最大個数を滞留可能量とすると、余裕時間とは、この滞留化可能量を上記生産能力にて除した値のことである。つまり、余裕時間は、以下の式(1)で示される。
余裕時間=滞留可能量/生産能力 …(1)
作業員情報記憶部42には、図3に示すとおり、習熟度、および、各設備に対する復旧時間の情報が、作業員ID毎に関連付けて記憶されている。ここで、作業員IDとは、作業員を識別する識別子(識別情報)である。また、この作業員IDとして、作業員の氏名を用いてもよい。
また、習熟度とは、生産ラインに関する、作業員の能力を示した能力情報のことである。同図においては、習熟度を、生産ラインでの経験の長さに応じて、ベテラン作業員(習熟度:2)、中堅作業員(習熟度:1)、および初心者(習熟度:0)の3段階に分けた例を示している。なお、作業員IDに対する習熟度の関連付(対応付)は、能力情報対応付部31により行われる。
また、同図では、作業員IDが005の作業者に関する、生産設備Aの復旧時間のデータが、作業員情報記憶部42に記憶されていない場合を示している。このような場合としては、復旧実績がないために、データ入力部からのデータ入力が行われていない場合や、詳しくは後述するが、設定部25によって復旧時間の情報が作業員情報記憶部42に設定(記憶)されていない場合が挙げられる。
さらに、同図では、作業員IDが002の作業者に関する、生産設備Cの復旧時間のデータは、数値データではなく、「×」で示されたデータ(以下、「×」データ)となっている。この「×」データは、この作業者は生産設備Cの復旧能力がなく、該生産設備の復旧は不能であることを示すデータである。この「×」データの利用については、後述する。
停止情報受付部13は、各生産設備から、自設備が停止したことを示す情報を、生産設備毎にリアルタイムに受け付ける。そして、停止情報受付部13は、この情報を受け付けた場合、該情報をリアルタイムに損失値算出部16に送る。このように、停止情報受付部13は、各生産設備から自設備が停止したことを示す情報を受け付けたか否かを判断すると共に、この受け付けた情報を損失値算出部16に送る構成である。
滞留検知部14は、隣同士の生産設備間にワークが存在するか否かを、生産設備間毎にリアルタイムに検知する。そして、検知した場合、ワークが存在することを示す情報をリアルタイムに損失値算出部16に送る。なお、この滞留検知部14は、例えば、近接センサまたは光電センサ等の複数のセンサおよびPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)により構成することができる。
識別情報受付部15は、生産ラインを管理する作業者を識別する情報(作業員ID)の入力を受け付ける。そして、識別情報受付部15は、この受け付けた作業員IDを、損失値算出部16および時刻対応付部23に送る。
次に、損失値算出部16について説明する。
損失値算出部16は、停止情報受付部13から送られてくる情報をリアルタイムに受け付ける。そして、損失値算出部16は、この情報に基づき、停止している生産設備を判断する。また、損失値算出部16は、リアルタイムに滞留検知部14からに送られてくる情報を受け付ける。そして、損失値算出部16は、或る生産設備間にワークが存在することを示した情報を、滞留検知部14から受け付けている間は、この生産設備間には上記滞留可能量のワークが滞留していると判断する。さらに、損失値算出部16は、識別情報受付部15から上記作業員IDを受け付ける。
ここで、損失値算出部16による、生産ライン全体における損失値の算出について説明する。ここで、損失値とは、生産ラインの生産設備が自設備の不具合により停止した場合に、生産ライン全体で生じる生産損失を示す値のことである。より詳細には、損失値とは、生産設備が自設備の不具合により停止した場合に、一つ下流側の生産設備において生産できなくなるワークの推定個数を、自設備の不具合により停止した全ての生産設備に関して、足し合わせることにより求められる値である。
なお、説明の便宜上、単に、「損失値」と記載した場合には、生産ライン全体での損失値を指し、「設備毎損失値」と記載した場合には、一つの生産設備に起因する損失値(生産設備毎の損失値)を指すものとする。
損失値算出部16は、停止情報受付部13から複数の生産設備が自設備の不具合により停止しているとの情報を受け付けた場合、自設備の不具合により停止している生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を算出する。また、この損失値の計算は、停止情報受付部13から、新たに停止した生産設備を示す情報を受け付ける度に行う。なお、上記復旧パターンの生成は、損失値算出部16により行われる。
例えば、図4に示すとおり、生産設備AからHの8つの生産設備を上流側からこの順に有する生産ラインにおいて、生産設備BおよびEが自設備の不具合により停止した場合、2通りの復旧パターンが考えられる。つまり、B→Eの順序で示される復旧パターン(以下、第1パターン)と、E→Bの順序で示される復旧パターン(以下、第2パターン)とが考えられる。仮に、3つの設備が自設備の不具合により停止した場合には、6通りの復旧パターンが考えられる。損失値算出部16は、このような全ての復旧パターンについて、上記損失値を計算する。以下、適宜図4を参照しつつ、具体的な損失値の計算の仕方について説明する。
まず、損失値算出部16は、復旧パターン毎に、第1演算部51、第2演算部52、第3演算部53、および、第4演算部54を用いた演算を行う。つまり、図4に示す場合には、第1パターンおよび第2パターンについて、それぞれに第1から第4演算部(51〜54)を用いた演算を行う。また、以下に示す第1から第3演算部(51〜53)での演算処理は、自設備の不具合により停止した全ての生産設備に関し行われる。つまり、同図では、生産設備BおよびEの両設備に関して行われる。
なお、以下の第1演算部51から第3演算部53における説明では、便宜上、自設備の不具合による停止している生産設備X(Xは任意)に関し、上記設備毎損失値を求める場合について説明する。また、生産設備Xの1つ後の工程の生産設備を生産設備X+1とする。つまり、図4に基づくと、生産設備Xは、生産設備Bおよび生産設備Eに相当し、生産設備X+1は、それぞれ生産設備Cおよび生産設備Fに相当する。
第1演算部51は、受け付けた作業員IDに基づき、作業員IDに対応付けられた、生産設備Xに関する復旧時間の情報(第1情報と称する)を、作業員情報記憶部42から読み出す。ここで、先に復旧処理が行われる生産設備がない場合には、この読み出した生産設備Xに関する復旧時間の情報を第2演算部52に送る。
一方、先に復旧処理が行われる生産設備がある場合には、第1演算部51は、上記第1情報と、上記作業員IDに対応付けられた、先に復旧処理が行われる各生産設備の復旧時間の情報(第2情報と称する)とを読み出すとともに、読み出した両情報(第1情報および第2情報)に基づいて、各情報で示される復旧時間の総和を求める。そして、先に復旧処理が行われる生産設備がある場合には、第1演算部51は上記総和の情報を第2演算部52に送る。
具体的には、上記第1パターンの場合には、生産設備Bに関しては、第1演算部51により、第2演算部52に対して、生産設備Bに関する復旧時間(RTb)の情報のみが送られる。一方、生産設備Eに関しては、第1演算部51により、第2演算部52に対して、生産設備Bに関する復旧時間(RTb)と生産設備Eに関する復旧時間(RTe)との総和の情報が送られる。
また、上記第2パターンの場合には、生産設備Bに関しては、第1演算部51により、第2演算部52に対して、生産設備Bに関する復旧時間(RTb)と生産設備Eに関する復旧時間(RTe)との総和の情報が送られる。一方、生産設備Eに関しては、第1演算部51により、第2演算部52に対して、生産設備Eに関する復旧時間(RTe)の情報が送られる。
第2演算部52は、第1演算部51からの情報を受け付ける。ここで、損失値算出部16が、滞留検知部14から、生産設備Xと生産設備X+1との間において、ワークが存在することを示す情報を受け付けた場合には、第2演算部52は、以下の処理を行う。
第2演算部52は、先に復旧処理が行われる生産設備がない場合には、設備情報記憶部41から生産設備X+1に関する余裕時間の情報を読み出すと共に、受け付けた情報に示された生産設備Xの復旧時間から、上記読み出した情報に示された余裕時間を差し引く。一方、先に復旧処理が行われる各生産設備がある場合には、第2演算部52は、設備情報記憶部41から生産設備X+1に関する余裕時間の情報を読み出すと共に、第1演算部51により求めた値(つまり復旧時間総和)から、上記読み出した情報に示された余裕時間を差し引く。そして、第2演算部52は、何れの場合にも、上記余裕時間を差し引いた値を、第3演算部53に送る。
一方、損失値算出部16が、滞留検知部14から、上記ワークが存在することを示す情報を受け付けていない場合、つまり、ワークが存在しない場合には、第2演算部52は以下の処理を行う。
第2演算部52は、先に復旧処理が行われる生産設備がない場合には、受け付けた情報に示された生産設備Xの復旧時間を、先に復旧処理が行われる各生産設備がある場合には、第1演算部51により求めた値(つまり復旧時間総和)を、第3演算部53に送る。つまり、ワークが存在しない場合の構成は、ワークが存在する場合を基にして考えると、ワークが存在する場合において、設備情報記憶部41から余裕時間を読み出すことなく、余裕時間を0とした構成と同じことになる。
具体的には、ワークが存在する場合であって、かつ、上記第1パターンの場合には、生産設備Bに関しては、第2演算部52により、生産設備Bに関する復旧時間(RTb)から、生産設備Cに関する余裕時間(STc)が差し引かれると共に、この余裕時間を差し引いた値が第3演算部53に送られる。一方、生産設備Eに関しては、第2演算部52により、生産設備Bに関する復旧時間(RTb)と生産設備Eに関する復旧時間(RTd)との総和から、生産設備Fに関する余裕時間(STf)が差し引かれると共に、この余裕時間を差し引いた値が第3演算部53に送られる。
また、ワークが存在する場合であって、かつ、上記第2パターンの場合には、生産設備Bに関しては、第2演算部52により、生産設備Bに関する復旧時間(RTb)と生産設備Eに関する復旧時間(RTe)との総和から、生産設備Cに関する余裕時間(STc)が差し引かれると共に、この余裕時間を差し引いた値が第3演算部53に送られる。一方、生産設備Eに関しては、第2演算部52により、生産設備Eに関する復旧時間(RTe)から、生産設備Fに関する余裕時間(STf)が差し引かれると共に、この余裕時間を差し引いた値が第3演算部53に送られる。
第3演算部53は、第2演算部52からの情報を受け付ける。そして、第3演算部53は、設備情報記憶部41から生産設備X+1に関する生産能力の情報を読み出すと共に、上記受け付けた情報に示された値(つまり、第2演算部52で求めた値)に、上記読み出した情報に示された生産能力を乗じる。そして、第3演算部53は、この生産能力を乗じた値を、第4演算部54に送る。
具体的には、上記第1パターンの場合には、生産設備Bに関しては、第3演算部53により、上記余裕時間(STc)を差し引いた値(つまり、RTb−STc)に、生産設備Cに関する生産能力(PSc)が乗じられる。そして、この生産能力(PSc)が乗じられた値(LVb1=(RTb−STc)×PSc)が、第4演算部54に送られる。一方、生産設備Eに関しては、第3演算部53により、上記余裕時間(STf)を差し引いた値(つまり、RTb+RTe−STf)に、生産設備Fに関する生産能力(PSf)が乗じられる。そして、この生産能力(PSf)が乗じられた値(LVe1=(RTb+RTe−STf)×PSf)が、第4演算部54に送られる。
また、上記第2パターンの場合には、生産設備Bに関しては、第3演算部53により、上記余裕時間(STc)を差し引いた値(つまり、RTb+RTe−STc)に、生産設備Cに関する生産能力(PSc)が乗じられる。そして、この生産能力(PSc)が乗じられた値(LVb2=(RTb+RTe−STc)×PSc)が、第4演算部54に送られる。一方、生産設備Eに関しては、第3演算部53により、上記余裕時間(STf)を差し引いた値(つまり、RTb−STf)に、生産設備Fに関する生産能力(PSf)が乗じられる。そして、この生産能力(PSf)が乗じられた値(LVe2=(RTb−STf)×PSf)が、第4演算部54に送られる。
第4演算部54は、第3演算部53で求めた値を受け付ける。そして、第4演算部54は、自設備の不具合により停止している全ての生産設備Xに関して、第3演算部53で求めた値の総和を求める。
具体的には、第1パターンの場合には、第4演算部54により、上記LVb1とLVe1との和(総和)が求められる。つまり、この第1パターンで復旧させる場合における、生産ラインにおける生産の損失値(LV1)は、以下の式(2)のとおりとなる。
LV1=LVb1+LVe1=(RTb−STc)×PSc+(RTb+RTe−STf)×PSf) … (2)
また、第2パターンの場合には、第4演算部54により、上記LVb2とLVe2との和(総和)が求められる。つまり、この第2パターンで復旧させる場合における、生産ラインにおける生産の損失値(LV2)は、以下の式(3)のとおりとなる。
LV2=LVb2+LVe2=(RTb+RTe−STc)×PSc+(RTb−STf)×PSf) … (3)
以上のように、第1演算部から第4演算部(51〜54)における各演算により、各復旧パターンで生産設備を復旧させた場合における、生産ラインにおける損失値が、復旧パターン毎に求められることになる。
そして、損失値算出部16は、上記損失値(図4の場合には、LV1およびLV2)の情報と、各損失値がどの復旧パターンによる値であるかを示す情報(以下、復旧パターン情報と称する)とをパターン選択部17に送る。ここで、上記損失値の情報および復旧パターン情報は、第4演算部54における演算処理が行われるたびに、損失値算出部16によりパターン選択部17に送られる。
パターン選択部17は、損失値算出部16により、上記損失値の情報および復旧パターン情報を受け付ける。そして、パターン選択部17は、この受け付けた損失値の情報に基づいて、値が最小となる損失値を特定し、かつ、復旧パターンの情報に基づいて、この特定した損失値に対応する復旧パターンを選択する。つまり、パターン選択部17は、損失値が最小となる復旧パターンを選択する。さらに、パターン選択部17は、選択した復旧パターンを示す情報を、通知部18に送る。
通知部18は、例えば、表示画面を備える表示装置、放送装置、パトライト等の警告を表示する装置(警告表示装置)、および/または、通信装置により構成することができる。まず、通知部18は、パターン選択部17より上記復旧パターンを示す情報を受け付ける。
ここで、通知部18が表示装置により構成される場合には、通知部18は、上記復旧パターンを示す情報に基づいて、この復旧パターンにおける復旧順序、あるいは、この復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を、表示装置の表示画面に表示する。なお、復旧順序を表示するか、あるいは、生産設備を表示するかは、操作部(図示せず)により、管理装置1の使用者が予め選択可能な構成としておく。また、通知部18が放送装置で構成される場合には、通知部18は、上記復旧順序、あるいは、上記生産設備を、作業員に音声にて知らせる構成とする。
さらに、通知部18が警告表示装置で構成される場合には、以下のとおりとする。通常、生産ラインにおいては生産設備毎に、点灯および回転することにより自設備の異常を示すパトライトが備えられている。そこで、上記生産設備のパトライトについてのみ、通常の回転速度より早い回転速度で回転させる。これにより、作業員に対して、最初に復旧させる生産設備を知らせることができる。
さらに、通常、生産設備には、パトライトの点灯および回転に伴って、警告音を発生する装置が取り付けられている。このような構成の場合には、最初に復旧させる生産設備についてのみ警告音を発生する構成とすれば、作業員に対して、最初に復旧させる生産設備を知らせることができる。
また、例えば通知部18が通信装置により構成される場合には、この通信装置が、作業員が所持している携帯型通信端末に対して、上記復旧順序、あるいは、上記生産設備を送信する構成とすればよい。この構成とすることにより、通知部18は、作業員に対して、上記復旧順序、あるいは、上記生産設備を知らせることができる。
なお、通知部18の構成は、上記に限定されるものではなく、上記復旧順序、あるいは、上記生産設備を、作業員に対して通知できる構成であればよい。
ここで、通知部18による作業員に対する通知は、既に復旧処理を行っている生産設備がある場合には、該生産設備の復旧処理が完了した時点で行うことが好ましい。このためには、通知部18を、終了情報受付部21から所定の情報を受け付け、かつ、通知部18が該情報を受け付けた後に上記通知を行う構成とすればよい。
以上により、損失値算出部16が受け付けた作業員IDにより特定される作業員が、復旧処理を行う場合における、生産ラインにおいて損失値が最も小さくなる復旧パターンを、該作業員に対して通知することが可能となる。
ところで、損失値算出部16は、上述したとおり、作業員IDを受け付け、この作業員IDに基づいて、作業員情報記憶部42から復旧時間の情報を読み出した。しかしながら、受け付ける作業員IDによっては、例えば図3における作業員IDが005についての生産設備Aのように、設備情報記憶部41に復旧時間の情報が記憶されていない場合もある。そこで、このような場合、損失値算出部16は、特定部19に対して、上記受け付けた作業員IDを送る。
特定部19は、上記復旧時間の情報が記憶されていない場合には、上記受け付けた作業員IDに基づいて、まず、習熟度を確認する。作業員情報記憶部42に記憶されている情報が図3に示すような場合には、特定部19は、作業員IDが005の作業員は、習熟度が1であることを確認する。そして、特定部19は、習熟度が1であることを示した情報に対応付けられている、他の作業員IDを検索する。さらに、特定部19は、上記他の作業員IDを見つけた場合には、この作業員IDに対応付けられた生産設備Aの復旧時間の情報を読み出す。そして、特定部19は、この読み出した復旧時間の情報に示された復旧時間を、損失値算出部16の第1演算部51に送る。これにより、第1演算部51では、特定部19が読み出した復旧時間の情報に示された復旧時間を、上記損失値を計算する際の復旧時間として代用することができる。つまり、図3においては、作業員IDが003の生産設備Aに関する復旧時間(5.9)を用いて、上記損失値が算出されることとなる。
このため、上記のように復旧時間が記憶されていない場合においても、損失値算出部16において、損失値の算出が可能となる。さらに、復旧処理を行う作業員と同等の能力を有する作業員に関する、復旧時間の情報を用いて、上記損失値を算出することができる。したがって、復旧処理を行う作業員についての復旧時間が記憶装置に記憶されていない場合であっても、損失値に関して精度の高い値を算出することができる。
なお、上記作業員IDの検索において、複数の作業員IDが検索された場合には、最初に検索された作業員IDに対応付けられた復旧時間の情報を用いてもよいし、あるいは、検索された全ての作業員IDに対応付けられた復旧時間の平均値を用いてもよい。
開始情報受付部20は、作業員から、各生産設備を互いに識別する情報であって、かつ、一つの生産設備の復旧処理の開始を示す情報を受け付ける。開始情報受付部20は、例えば、生産設備毎に設けられた押し下げ式のボタンスイッチ等により構成され、開始情報受付部20は、この内の一つのボタンスイッチが押し下げることにより、上記情報を受け付けたと認識する。また、開始情報受付部20は、上記情報を受け付けた場合、この情報を時刻生成部22および損失値算出部16に送る。なお、開始情報受付部20は、ボタンスイッチに限定されず、タッチパネル、キーボード等様々な手段を用いて構成可能である。
終了情報受付部21は、作業員から、一つの生産設備の復旧処理の終了(完了)を示す情報を受け付ける。そして、終了情報受付部21は、上記情報を受け付けた場合、この情報を時刻生成部22および通知部18に送る。なお、終了情報受付部21は、開始情報受付部20と同様に、ボタンスイッチ等で構成できる。
また、終了情報受付部21が通知部18に上記情報を送ることにより、上述したとおり、既に復旧処理を行っている生産設備がある場合には、通知部18による作業員に対する通知を、該生産設備の復旧処理が完了した時点で行うことができる。
時刻生成部22は、開始情報受付部20および終了情報受付部21から、上述した情報を受け付ける。また、時刻生成部22は、時計機能を備えている。ここで、時刻生成部22は、開始情報受付部20から情報を受け付けた場合には、時計機能を用いて、この受け付けた時刻を復旧開始時刻とし、この時刻の情報を時刻対応付部23に送る。一方、時刻生成部22は、終了情報受付部21から情報を受け付けた場合には、時計機能を用いて、この受け付けた時刻を復旧終了時刻とし、この時刻の情報を時刻対応付部23に送る。
時刻対応付部23は、時刻生成部22から、復旧開始時刻の情報と、復旧終了時刻の情報とを受け付ける。さらに、時刻対応付部23は、識別情報受付部15から作業員IDを受け付ける。そして、時刻対応付部23は、各生産設備の復旧開始時刻の情報と復旧終了時刻の情報とを、それぞれ、上記作業員IDに対応付けて、復旧時間算出部24に送る。
復旧時間算出部24は、受け付けた両時刻の情報に基づいて、復旧終了時刻から復旧開始時刻を差し引くことにより、各生産設備に関し、復旧に要した時間(復旧時間)を算出する。さらに、復旧時間算出部24は、算出した復旧時間の情報を、作業員IDおよび生産設備を示す情報に対応付けた状態にて、設定部25に送る。
設定部25は、復旧時間算出部24から、作業員IDおよび生産設備を示した情報に対応付けられた、復旧時間の情報を受け付ける。そして、作業員情報記憶部42に上記復旧時間の情報が記憶されていない場合には、設定部25は、この受け付けた情報を該作業員情報記憶部42に書き込む。一方、作業員情報記憶部42に上記復旧時間の情報が既に記憶されている場合には、上記受け付けた情報を用いて、復旧時間の情報を更新する。
なお、復旧時間の情報の更新に関しては、上記算出した復旧時間を反映させて更新する構成であってもよいし、あるいは、記憶装置に記憶された復旧時間を、上記算出した復旧時間で置き換える構成であってもよい。ここで、復旧時間を反映させる構成としては、例えば、既に作業員情報記憶部42に記憶されている復旧時間の情報が何回更新されたかを記憶しておき、この更新回数を用いて、復旧時間の平均を求める構成が挙げられる。このような構成とすれば、複数回の復旧処理に要した時間の平均を、復旧時間として記憶できるので、損失値の精度を向上させることができる。
次に、損失値算出部16が、開始情報受付部20から送られてくる情報を受け付けた場合について説明する。つまり、作業員により、復旧処理が開始された場合について説明する。また、以下では、通知部18による作業員に対する通知を、該生産設備の復旧処理が完了した時点で行う構成について説明する。
この場合には、損失値算出部16は、開始情報受付部20から送られてくる情報に基づき、復旧処理が開始されている生産設備を特定する。そして、損失値算出部16は、復旧処理が開始された生産設備を除いた生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、損失値を算出する。つまり、第1演算部から第4演算部(51〜54)による演算を行う。さらに、損失値算出部16は、この算出した損失値をパターン選択部17に送る。
パターン選択部17は、上述したとおり、損失値が最小となる復旧パターンを選択し、かつ、この選択した復旧パターンを示す情報を通知部18に送る。ここで、通知部18は、終了情報受付部21から、上述した復旧処理の終了を示す情報を受け付けたか否かを判断する。そして、通知部18は、この情報を受け付けた後に、上述した通知を行う。以上により、一つの生産設備の復旧処理が終了する度に、少なくとも、次に復旧させるべき生産設備を、作業員に対して通知することができる。
ところで、例えば図3における作業員IDが002ついての生産設備Cのように、設備情報記憶部41に復旧時間の情報が、数値データとて記憶されておらず、「×」データとして記憶されている場合もある。ここで、「×」データは、上述したように、作業員が生産設備の復旧が不能な場合に記憶されるデータであるため、このような場合には、損失値算出部16は、損失値の算出ができない。
そこで、損失値算出部16の第1演算部51が、作業員情報記憶部42から復旧時間の読み出しを試みた際に、読み出した情報が「×」データであった場合には、損失値算出部16は、通知部26に対して所定の情報を送る。
通知部26は、損失値算出部16から上記所定の情報を受け付けた場合には、生産設備の復旧が不能であることを示す情報を、予め定められた者(以下、特定者)に通知する。なお、この情報の通知は、無線あるいは有線を用いたものでもよいし、放送によるものであってもよい。例えば、無線による場合には、上記特定者の携帯型通信端末に対して、メールにて上記情報を送る構成をとればよい。
これにより、生産設備の復旧を行うことができない作業員が生産ラインを担当している場合であっても、別の者が対応可能となり、生産設備の復旧作業が完了しないという事態を避けることができる。
以上のように、本実施の形態に係る管理装置1は、生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合に、前記生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を算出する損失値算出部(損失値算出手段)16と、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択するパターン選択部(選択手段)17と、前記選択された復旧パターンにおける復旧順序を通知する通知部(第1通知手段)18とを備える構成である。
この構成によれば、損失値算出部16により、自設備の不具合により停止した生産設備を各復旧パターンにより復旧させた場合における、復旧パターン毎の、生産ラインにおける生産の損失値を算出することができる。また、パターン選択部17により、生産の損失値が最小となる復旧パターンを選択することができる。さらに、通知部18により、選択された復旧パターンにおける復旧順序を通知することができる。
それゆえ、生産ラインを管理する作業員等が、上記損失値が最小となる復旧順序を知ることができる。したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となるという効果を奏する。
また、通知部18を、上述したように、上記選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を通知する構成としてもよい。このような構成とすることにより、以下の効果が得られる。
例えば、生産設備の復旧作業中に、新たに、自設備の不具合により生産設備が停止することもある。このような場合、復旧作業を行っている生産設備を除いた、自設備の不具合により停止している生産設備に関しては、生産効率を考えると、復旧順序を再検討した方が好ましいと言える。そこで、通知部18により、選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を通知することにより、生産ラインを管理する作業員等が、上記損失値が最小となる復旧順序における最初の生産設備を知ることができる。
このため、生産ラインを管理する作業員は、生産の損失値を計算した時点において、生産ラインにおける損失値が最小となる復旧対象(生産設備)を知ることができる。したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となるという効果を奏する。
また、管理装置1は、以上のように、自設備の不具合により停止している生産設備を示した情報を、リアルタイムに受け付ける停止情報受付部(停止情報受付手段)13を備え、前記通知部18により通知された生産設備の復旧処理が開始されたことを示す情報を受け付けた場合、前記損失値算出部16は、停止情報受付部13により受け付けた情報に示された生産設備のうち、前記復旧処理が開始された生産設備を除いた生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、前記損失値を算出するものであって、パターン選択部17は、前記損失値算出部16が損失値を算出する度に、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択し、通知部18は、パターン選択部17が復旧パターンを選択する度に、前記通知を行う構成でもある。
この構成によれば、停止情報受付部13により、自設備の不具合により停止している生産設備を示した情報を、リアルタイムに受け付けることができる。また、損失値算出部16により、自設備の不具合により停止している生産設備のうち、復旧処理が開始された生産設備を除いた生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、前記損失値を算出できる。さらに、パターン選択部17により、損失値算出部16が損失値を算出する度に、上記損失値が最小となる復旧パターンを選択できる。また、通知部18により、パターン選択部17が復旧パターンを選択する度に、生産ラインを管理する作業員等に、上述した通知を行える。
したがって、作業員等が、リアルタイムに、上記損失値が最小となる復旧順序、あるいは、生産の損失値を計算した時点において、生産ラインにおける損失値が最小となる復旧対象(生産設備)を知ることができる。
また、管理装置1は、以上のように、一つの生産設備に関する復旧処理が終了したことを示す終了情報を受け付ける終了情報受付部(終了情報受付手段)21を備え、パターン選択部17が復旧パターンを選択する度に行われる通知部18による通知は、終了情報受付部21が終了情報を受け付けた後に行われる構成でもある。
この構成によれば、終了情報受付部21により、一つの生産設備に関する生産設備の復旧処理が終了したことを示す終了情報を受け付けることができる。これにより、管理装置は、復旧対象となっていた一つの生産設備に関し、復旧処理が完了したことを知ることができる。
ところで、自設備の不具合により停止している生産設備を示した情報をリアルタイムに受け付ける構成においては、或る生産設備に対して復旧処理を行っている間に、新たに、他の生産設備が自設備の不具合により停止し、その結果、停止情報受付部13が該新たに停止した生産設備を示した情報を受け付ける場合がある。また、或る生産設備に対して復旧処理を行っている間に、複数回の通知が行われる場合も考えられる。
このような状況下において、上記或る生産設備に対して作業員等が復旧処理を行っている間に、通知部18により上述した通知が新たに行われると、作業員等は通知された情報に振り回されるおそれがある。このため、復旧処理の効率化の点からは、あまり好ましくない。
しかしながら、上記の構成では、パターン選択部17が復旧パターンを選択する度に行われる通知部18による通知は、終了情報受付部21が終了情報を受け付けた後に行われるため、通知部18による通知は、復旧対象となっていた一つの生産設備に関して復旧処理が完了した後に行われることとなる。したがって、効率の良い復旧処理が可能となり、生産効率の向上を図ることが可能となる。
また、管理装置1は、以上のように、生産ラインを管理する作業員を識別する作業員ID(識別情報)を受け付ける識別情報受付部(識別情報受付手段)15と、前記各生産設備における、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、作業員ID毎に対応付けられた復旧時間を示す情報とが記憶された記憶装置12とを備え、損失値算出部16は、記憶装置12から、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、前記受け付けた作業員IDに対応付けられた復旧時間の情報とを読み出すと共に、これらの情報を用いて、前記損失値を算出する構成である。
この構成によれば、識別情報受付部15により、生産設備を管理する作業員を識別する作業員IDを受け付けることができる。これにより、管理装置1では、どの作業員が生産ラインを管理しているかが判断できる。また、記憶装置12には、記憶装置12に記憶された、各生産設備における、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、作業員ID毎に対応付けられた復旧時間を示す情報とが記憶されている。つまり、復旧時間に関しては、生産設備毎に、各作業員の復旧時間が記憶されている。
また、損失値算出部16は、記憶装置12に記憶された、各生産設備における、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、識別情報毎に対応付けられた復旧時間を示す情報とを読み出して、上記損失値を算出する。ここで、復旧時間に関しては、上記受け付けた作業員IDに対応付けられた復旧時間を用いるため、作業員に応じた復旧時間を用いて上記損失値を算出することができる。
したがって、生産設備毎の作業員の復旧処理の能力を考慮した上で、損失値の計算を行うことが可能となる。それゆえ、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を、適切に算出することができる。
また、管理装置1は、以上のように、一つの生産設備に関する生産設備の復旧処理が開始されたことを示す開始情報を受け付ける開始情報受付部(開始情報受付手段)20と、前記開始情報を受け付けた時刻を復旧開始時刻と、前記終了情報を受け付けた時刻を復旧終了時刻とすると、各生産設備の復旧開始時刻と復旧終了時刻とを、上記作業員IDに対応付けて受け付ける時刻対応付部(時刻対応付手段)23と、前記受け付けた両時刻から復旧に要した時間を算出する復旧時間算出部(復旧時間算出手段)24と、前記復旧に要した時間を用いて、記憶装置12に記憶された、上記作業員IDに対応付けられた復旧時間の情報を更新する設定部(更新手段)25とを備える構成である。
この構成によれば、開始情報受付部20により、一つの生産設備に関する復旧処理が開始されたことを示す開始情報を受け付けることができる。これにより、管理装置1は、復旧対象となっていた一つの生産設備に関し、復旧処理が開始されたことを知ることができる。
また、時刻対応付部23により、各生産設備の復旧開始時刻と復旧終了時刻とが、上記作業員IDに対応付けて受け付けることができる。さらに、復旧時間算出部24により、両時刻から復旧に要した時間を算出することができる。これにより、生産設備毎に、作業員が復旧に要した時間を算出することができる。また、設定部25により、復旧に要した時間を用いて、記憶装置12に記憶された、上記作業員IDに対応付けられた復旧時間の情報を更新することができる。したがって、損失値の算出に用いる復旧時間の精度を高めることができる。
また、管理装置1は、以上のように、記憶装置12は、上記受け付けた作業員IDを記憶するものであって、上記記憶された作業員IDに、該作業員IDにより識別される作業員の能力を示した能力情報を対応付ける能力情報対応付部(能力情報対応付手段)31と、この能力情報に基づいて、上記受け付けた作業員IDで識別される作業員と同等の能力を有する作業員を示す作業員IDを特定する特定部(特定手段)19とを備え、記憶装置12に、上記受け付けた作業員IDに対応付けられた復旧時間の情報であって、かつ、上記損失値の算出に用いる生産設備の復旧時間の情報が記憶されていない場合、損失値算出部16は、上記特定した作業員IDに対応付けられた復旧時間であって、かつ、前記損失値の算出に用いる生産設備と同一の生産設備の復旧時間を、上記損失値を計算する際の復旧時間として代用する構成でもある。
この構成によれば、能力情報対応付部31により、記憶装置12に記憶された作業員IDに、該作業員IDにより識別される作業員の能力を示した能力情報を対応付けることができる。また、特定部19により、この能力情報に基づいて、上記受け付けた作業員IDで識別される作業員と同等の能力を有する作業員を示す作業員IDを特定することができる。
ここで、記憶装置12に、上記受け付けた作業員IDに対応付けられた復旧時間の情報であって、かつ、上記損失値の算出に用いる生産設備の復旧時間の情報が記憶されていない場合には、このままの状態では上記損失値の算出ができない。
しかしながら、上記の構成では、損失値算出部16により、上記特定した作業員IDに対応付けられた復旧時間であって、かつ、上記損失値の算出に用いる生産設備と同一の生産設備の復旧時間が、損失値を計算する際の復旧時間として代用される。このため、損失値の算出が可能となる。さらに、復旧処理を行う作業員と同等の能力を有する作業員に関する、復旧時間の情報を用いて、上記損失値を算出することができる。
したがって、復旧処理を行う作業員についての復旧時間が記憶装置12に記憶されていない場合であっても、損失値に関して精度の高い値を算出することが可能となる。
また、管理装置1は、以上のように、記憶装置12は、所定の識別情報に対応付けられる復旧時間の情報であって、かつ、所定の生産設備の復旧時間の情報として、該生産設備は復旧不能であることを示した情報を記憶しており、上記損失値の算出に際して、上記所定の生産設備の復旧時間の情報が必要となる場合、所定の作業員に対して、所定の通知を行う通知部(第2通知手段)26を備える構成であるといえる。
ところで、生産ラインには、経験の浅い作業員等が復旧不可能な生産設備が存在することもある。このような状況下、上記の構成では、通知部26により、上記作業員等を示す識別情報に対応付けられた、復旧不可能な生産設備の復旧時間の情報が損失値の算出に必要となる場合、所定の作業員に対して、所定の通知を行うことができる。
したがって、別の作業員が対応可能となり、生産設備の復旧作業が完了しないという事態を避けることができる。
次に、管理装置1における処理フローについて、図5および図6に基づいて説明する。なお、図5は、ステップ1(S1)からステップ12(S12)までの処理を示し、図6は、ステップ12以降の処理を示している。
まず、識別情報受付部15が、作業員IDの入力を受け付ける(S1)。S1の後は、停止情報受付部13により、各生産設備から、自設備の不具合により自設備が停止したことを示す情報(以下、停止情報)を受け付けたか否かが判断される(S2)。S2において、上記停止情報を受け付けていないと判断された場合には、再度S2に戻る。一方、S2において、上記停止情報を受け付けたと判断された場合には、停止情報受付部13により、上記停止情報を複数の生産設備から受け付けたか否かが判断される(S3)。
S3において、複数の生産設備から上記停止情報が受け付けられたと判断された場合、損失値算出部16が、自設備の不具合により停止している生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンを生成する(S4)。一方、S3において、複数の生産設備から上記停止情報が受け付けられていないと判断された場合には、再度、S3に戻る。
S4の後は、第1演算部51が、作業員IDに対応付けられた、上記複数の生産設備(各生産設備)に関する復旧時間の情報(第1情報、もしくは、第1情報および第2情報)を作業員情報記憶部42から読み出す(S5)。
S5の後は、滞留検知部14により、各生産設備(つまり、生産設備X)と、この生産設備の1つ後の工程の生産設備(つまり、生産設備X+1)との間において、滞留が発生しているか否かが判断される(S6)。S6において、滞留が発生していると判断された場合には、第2演算部52が、設備情報記憶部41から生産設備X+1に関する余裕時間の情報を読み出す(S7)。一方、S6において、滞留が発生していないと判断された場合には、余裕時間を読み出さず、余裕時間を0に設定する(S8)。そして、S7またはS8の後は、第3演算部53が、設備情報記憶部41から生産設備X+1に関する生産能力の情報を読み出す(S9)。
S9の後は、損失値算出部16が、全ての復旧パターンのうちで、未だ指定されていない復旧パターンから、1つの復旧パターンを指定する(S10)。そして、S10の後は、損失値算出部16の各演算部(51〜54)により、上記指定された復旧パターンに関して、上述したように、上記生産設備Xの復旧時間と、生産設備X+1に関する生産能力および余裕時間とを用いて、該復旧パターンで生産設備を復旧させた場合における上記損失値が求められる(S11)。
S11の後は、損失値算出部16により、全ての復旧パターンについて、損失値が算出されたか否かが判断される(S12)。S12において、全ての復旧パターンについて損失値が算出されていない場合には、再度、S10に戻る。一方、S12において、全ての復旧パターンについて損失値の算出が行われている場合には、パターン選択部17により、算出した損失値のうち、この値が最小となる復旧パターンが選択される(S13)。
S13の後は、通知部18により、選択された復旧パターンにおける復旧順序(あるいは、選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備)が通知される(S14)。S14の後は、開始情報受付部20により、各生産設備を互いに識別する情報であって、かつ、生産設備の復旧処理の開始を示す情報(以下、開始情報)を受け付けたか否かが判断される(S15)。
S15において、上記開始情報を受け付けていない場合には、停止情報受付部13により、新たに各生産設備から停止情報を受け付けたか否かが判断される(S16)。S16において、新たに停止情報を受け付けたと判断された場合には、再度、S4に戻る。一方、S16において、新たに停止情報を受け付けたと判断されなかった場合、または、S15において、上記開始情報を受け付けた場合には、終了情報受付部により、一つの生産設備の復旧処理の終了を示す情報(以下、終了情報)が受け付けられたか否かが判断される(S17)。
S17において、上記終了情報が受け付けられていない場合には、再度、S16に戻る。一方、S17において、上記終了情報が受け付けられた場合には、時刻対応付部23により、時刻生成部22が生成した、各生産設備の復旧開始時刻の情報と復旧終了時刻の情報とが、それぞれ、上記作業員IDに対応付けられる(S18)。さらに、S18の後は、復旧時間算出部24により、復旧終了時刻から復旧開始時刻を差し引くことにより、各生産設備に関し、復旧時間を算出する(S19)。
S19の後は、設定部25により、作業員情報記憶部42に復旧時間の情報が既に記憶されているか否かが判断される(S20)。S20において、上記復旧時間の情報が既に記憶されている場合には、設定部25により、上記算出した復旧時間の情報を用いて、復旧時間の情報が更新される(S21)。一方、上記復旧時間の情報が未だ記憶されていない場合には、設定部25により、上記算出した復旧時間の情報が作業員情報記憶部42に書き込まれる(S22)。
S21またはS22の後は、停止情報受付部13により、新たに各生産設備から停止情報を受け付けたか否かが判断される(S23)。S23において、新たに上記停止情報を受け付けたと判断された場合には、再度、S4に戻る。一方、S23において、新たに上記停止情報を受け付けたと判断されなかった場合には、処理を終了する。
ところで、上記実施の形態においては、一本の生産ラインを一つの管理装置で管理し、かつ、一本の生産ラインを一人の作業者が担当(管理)する構成について説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、複数の生産ラインを一つの管理装置で管理し、かつ、この複数の生産ラインを一人の作業者が担当する構成にも適用できる。以下、この構成について説明する。
この場合、損失値算出部16を、複数の生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合には、生産ライン毎に上記損失値を算出する構成とする。つまり、損失値算出部16により、各生産ラインにおいて、自設備の不具合により停止している生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を生産ライン毎に算出する構成とする。これにより、生産ライン毎に、各生産ラインにおける各復旧パターンの損失値が算出される。
さらに、パターン選択部17を、全ての生産ラインにおいて損失値が最小となる復旧パターンを選択する構成としておく。つまり、異なる生産ライン間において最も損失値が最小となる、一生産ラインの復旧に関する復旧パターンが選択される。
管理装置1をこのような構成とすることにより、生産ラインが複数あるような場合であっても、生産ラインを管理する作業員等が、損失値が最小となる復旧順序、あるいは、損失値が最小となる復旧順序における最初の生産設備を知ることができる。
ところで、各生産ラインにおいて異なる製品を製造している場合であって、複数の生産ラインが停止した場合には、製造している製品に応じて、製品の利益率または売価等が異なるため、どの生産ラインを優先的に復旧するかを決定すべきであると言える。
このような場合には、損失値算出部16を、自設備の不具合により停止した生産設備に関する復旧時間と、自設備の不具合により停止した生産設備の1つ後の工程の生産設備に関する生産能力および該生産設備に関する余裕時間とに基づいて算出した値に、各生産ラインの重要度に応じて大きくなる値を乗じることにより、上記損失値を算出する構成とすることが好ましい。具体的には、第4演算部54における演算結果に対して、さらに、各生産ラインの重要度に応じて大きくなる値を乗じることが好ましい。なお、上記重要度に応じて大きくなる値は、予め記憶装置12に記憶させておき、第4演算部54が該記憶装置12から逐次読み出す構成としておけばよい。
以上により、生産ラインで製造される製品の種別を考慮した損失値の算出を行うことが可能となる。
本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、以上のように、生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合に、前記生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を算出する損失値算出手段と、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択する選択手段と、前記選択された復旧パターンにおける復旧順序を通知する第1通知手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、損失値算出手段により、自設備の不具合により停止した生産設備を各復旧パターンにより復旧させた場合における、復旧パターン毎の、生産ラインにおける生産の損失値を算出することができる。
また、選択手段により、生産の損失値が最小となる復旧パターンを選択することができる。さらに、第1通知手段により、選択された復旧パターンにおける復旧順序を通知することができる。
それゆえ、生産ラインを管理する作業員等が、上記損失値が最小となる復旧順序を知ることができる。
したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる生産ライン管理装置を提供できるという効果を奏する。
本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、以上のように、生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合に、前記生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を算出する損失値算出手段と、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択する選択手段と、前記選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を通知する第1通知手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、損失値算出手段により、自設備の不具合により停止した生産設備を各復旧パターンにより復旧させた場合における、復旧パターン毎の、生産ラインにおける生産の損失値を算出することができる。
また、選択手段により、生産の損失値が最小となる復旧パターンを選択することができる。
ところで、生産設備の復旧作業中に、新たに、自設備の不具合により生産設備が停止することもある。このような場合、復旧作業を行っている生産設備を除いた、自設備の不具合により停止している生産設備に関しては、生産効率を考えると、復旧順序を再検討した方が好ましいと言える。
そこで、第1通知手段により、選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を通知することにより、生産ラインを管理する作業員等が、上記損失値が最小となる復旧順序における最初の生産設備を知ることができる。
このため、生産ラインを管理する作業員は、生産の損失値を計算した時点において、生産ラインにおける損失値が最小となる復旧対象(生産設備)を知ることができる。
したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる生産ライン管理装置を提供できるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、自設備の不具合により停止している生産設備を示した情報を、リアルタイムに受け付ける停止情報受付手段を備え、前記第1通知手段により通知された生産設備の復旧処理が開始されたことを示す情報を受け付けた場合、前記損失値算出手段は、前記停止情報受付手段により受け付けた情報に示された生産設備のうち、前記復旧処理が開始された生産設備を除いた生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、前記損失値を算出するものであって、前記選択手段は、前記損失値算出手段が損失値を算出する度に、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択し、前記第1通知手段は、前記選択手段が復旧パターンを選択する度に、前記通知を行うことを特徴としている。
上記の構成によれば、停止情報受付手段により、自設備の不具合により停止している生産設備を示した情報を、リアルタイムに受け付けることができる。
また、損失値算出手段により、自設備の不具合により停止している生産設備のうち、復旧処理が開始された生産設備を除いた生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、前記損失値を算出できる。
さらに、選択手段により、損失値算出手段が損失値を算出する度に、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択できる。また、第1通知手段により、前記選択手段が復旧パターンを選択する度に、生産ラインを管理する作業員等に、上述した通知を行える。
したがって、作業員等が、リアルタイムに、上記損失値が最小となる復旧順序、あるいは、生産の損失値を計算した時点において、生産ラインにおける損失値が最小となる復旧対象(生産設備)を知ることができるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、一つの生産設備に関する復旧処理が終了したことを示す終了情報を受け付ける終了情報受付手段を備え、前記選択手段が復旧パターンを選択する度に行われる第1通知手段による通知は、前記終了情報受付手段が終了情報を受け付けた後に行われることを特徴としている。
上記の構成によれば、終了情報受付手段により、一つの生産設備に関する生産設備の復旧処理が終了したことを示す終了情報を受け付けることができる。これにより、生産ライン管理装置は、復旧対象となっていた一つの生産設備に関し、復旧処理が完了したことを知ることができる。
ところで、自設備の不具合により停止している生産設備を示した情報をリアルタイムに受け付ける構成においては、或る生産設備に対して復旧処理を行っている間に、新たに、他の生産設備が自設備の不具合により停止し、その結果、停止情報受付手段が該新たに停止した生産設備を示した情報を受け付ける場合がある。また、或る生産設備に対して復旧処理を行っている間に、複数回の通知が行われる場合も考えられる。
このような状況下において、上記或る生産設備に対して作業員等が復旧処理を行っている間に、第1通知手段により上述した通知が新たに行われると、作業員等は通知された情報に振り回されるおそれがある。このため、復旧処理の効率化の点からは、あまり好ましくない。
しかしながら、本発明の構成では、選択手段が復旧パターンを選択する度に行われる第1通知手段による通知は、終了情報受付手段が終了情報を受け付けた後に行われるため、第1通知手段による通知は、復旧対象となっていた一つの生産設備に関して復旧処理が完了した後に行われることとなる。
したがって、効率の良い復旧処理が可能となり、生産効率の向上を図ることが可能となるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、各生産設備の復旧に要する時間を復旧時間と、各生産設備が単位時間あたりに生産できるワークの個数を生産能力と、1つ前の工程の生産設備が該設備の不具合により停止してから、該停止によりワークが流れてこないことにより自設備が停止するまでの時間を余裕時間とすると、前記損失値算出手段は、自設備の不具合により停止した生産設備に関する復旧時間と、前記生産設備の1つ後の工程の生産設備に関する生産能力および該生産設備に関する余裕時間とに基づいて、前記損失値を算出することを特徴としている。
生産ラインにおける生産損失は、一般に、不具合により停止した生産設備に起因する損失の和として求められる。
また、一つの生産設備が自設備の不具合により停止すると、該生産設備の1つ後の工程の生産設備(直後の生産設備)における生産に影響を及ぼす。また、この影響は、復旧時間に応じたものとなる。さらに、上記余裕時間が復旧時間よりも長い場合には、上記直後の生産設備における生産には影響がでないが、短い場合には、直後の生産設備における生産に影響がでる。また、生産ラインの生産効率は、上記直後の生産設備の生産能力にも関係する。
したがって、自設備の不具合により停止した生産設備に関する復旧時間、および、自設備の不具合により停止した生産設備の1つ後の工程の生産設備に関する生産能力と余裕時間とに基づくことにより、前記損失値を算出することが可能となるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、前記損失値算出手段は、自設備の不具合により停止した各生産設備に関し、前記生産設備の復旧時間と、先に復旧処理が行われる各生産設備の復旧時間との総和を求める第1演算手段と、前記各生産設備に関し、先に復旧処理が行われる生産設備がない場合には、前記生産設備の復旧時間から、1つ後の工程の生産設備に関する余裕時間を差し引く一方、先に復旧処理が行われる生産設備がある場合には、前記第1演算手段により求めた値から、1つ後の工程の生産設備に関する余裕時間を差し引く第2演算手段と、前記各生産設備に関し、前記第2演算手段で求めた値に、1つ後の工程の生産設備に関する生産能力を乗じる第3演算手段と、自設備の不具合により停止した全ての生産設備に関する前記第3演算手段で求めた値についての総和を求める第4演算手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、まず、第1演算手段により、自設備の不具合により停止した各生産設備に関し、生産設備の復旧時間と、先に復旧処理が行われる各生産設備の復旧時間との総和が求められる。また、第2演算手段により、前記各生産設備に関し、先に復旧処理が行われる生産設備がない場合には、前記生産設備の復旧時間から、1つ後の工程の生産設備に関する余裕時間が差し引かれる一方、先に復旧処理が行われる生産設備がある場合には、前記第1演算手段により求めた値から、1つ後の工程の生産設備に関する余裕時間が差し引かれる。さらに、第3演算手段により、前記各生産設備に関し、第2演算手段で求めた値に、1つ後の工程の生産設備に関する生産能力を乗じられる。
以上により、各生産設備で生じる生産の損失値を求めることができる。
さらに、第4演算手段により、自設備の不具合により停止している全ての生産設備に関して、前記第3演算手段で求めた値の総和が求められる。
したがって、生産ライン全体における生産の損失値を求めることが可能となるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、生産ラインを管理する作業員を識別する識別情報を受け付ける識別情報受付手段と、前記各生産設備における、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、識別情報毎に対応付けられた復旧時間を示す情報とが記憶された記憶装置とを備え、前記損失値算出手段は、前記記憶装置から、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、前記受け付けた識別情報に対応付けられた復旧時間の情報とを読み出すと共に、これらの情報を用いて、前記損失値を算出することを特徴としている。
上記の構成によれば、識別情報受付手段により、生産設備を管理する作業員を識別する識別情報を受け付けることができる。これにより、生産ライン管理装置では、どの作業員が生産ラインを管理しているかが判断できる。
また、記憶装置には、記憶装置に記憶された、各生産設備における、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、識別情報毎に対応付けられた復旧時間を示す情報とが記憶されている。つまり、復旧時間に関しては、生産設備毎に、各作業員の復旧時間が記憶されている。
また、損失値算出手段は、記憶装置に記憶された、各生産設備における、生産能力を示す情報と、余裕時間を示す情報と、識別情報毎に対応付けられた復旧時間を示す情報とを読み出して、上記損失値を算出する。ここで、復旧時間に関しては、上記受け付けた識別情報に対応付けられた復旧時間を用いるため、作業員に応じた復旧時間を用いて上記損失値を算出することができる。
したがって、生産設備毎の作業員の復旧処理の能力を考慮した上で、損失値の計算を行うことが可能となる。それゆえ、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を、適切に算出することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、一つの生産設備に関する生産設備の復旧処理が開始されたことを示す開始情報を受け付ける開始情報受付手段と、前記開始情報を受け付けた時刻を復旧開始時刻と、前記終了情報を受け付けた時刻を復旧終了時刻とすると、各生産設備の復旧開始時刻と復旧終了時刻とを、前記識別情報に対応付けて受け付ける時刻対応付手段と、前記受け付けた両時刻から復旧に要した時間を算出する復旧時間算出手段と、前記復旧に要した時間を用いて、前記記憶装置に記憶された、前記識別情報に対応付けられた復旧時間の情報を更新する更新手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、開始情報受付手段により、一つの生産設備に関する復旧処理が開始されたことを示す開始情報を受け付けることができる。これにより、生産ライン管理装置は、復旧対象となっていた一つの生産設備に関し、復旧処理が開始されたことを知ることができる。
また、時刻対応付手段により、各生産設備の復旧開始時刻と復旧終了時刻とが、前記識別情報に対応付けて受け付けることができる。さらに、復旧時間算出手段により、両時刻から復旧に要した時間を算出することができる。これにより、生産設備毎に、作業員が復旧に要した時間を算出することができる。
さらに、更新手段により、復旧に要した時間を用いて、前記記憶装置に記憶された、前記識別情報に対応付けられた復旧時間の情報を更新することができる。
それゆえ、損失値の算出に用いる復旧時間の精度を高めることができるという効果を奏する。
なお、復旧時間の更新に関しては、上記算出した復旧に要した時間を反映させて更新する構成であってもよいし、あるいは、記憶装置に記憶された復旧時間を、上記算出した復旧に要した時間で置き換える構成であってもよい。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、前記記憶装置は、前記受け付けた識別情報を記憶しておりするものであって、前記記憶された識別情報に、該識別情報により識別される作業員の能力を示した能力情報を対応付ける能力情報対応付手段と、前記能力情報に基づいて、前記受け付けた識別情報で識別される作業員と同等の能力を有する作業員を示す識別情報を特定する特定手段とを備え、前記記憶装置に、前記受け付けた識別情報に対応付けられた復旧時間の情報であって、かつ、前記損失値の算出に用いる生産設備の復旧時間の情報が記憶されていない場合、前記損失値算出手段は、前記特定した識別情報に対応付けられた復旧時間であって、かつ、前記損失値の算出に用いる生産設備と同一の生産設備の復旧時間を、前記損失値を計算する際の復旧時間として代用することを特徴としている。
上記の構成によれば、能力情報対応付手段により、前記記憶装置に記憶された識別情報に、該識別情報により識別される作業員の能力を示した能力情報を対応付けることができる。また、特定手段により、前記能力情報に基づいて、前記受け付けた識別情報で識別される作業員と同等の能力を有する作業員を示す識別情報を特定することができる。
ここで、記憶装置に、前記受け付けた識別情報に対応付けられた復旧時間の情報であって、かつ、前記損失値の算出に用いる生産設備の復旧時間の情報が記憶されていない場合には、このままの状態では上記損失値の算出ができない。
しかしながら、本発明の構成では、損失値算出手段により、前記特定した識別情報に対応付けられた復旧時間であって、かつ、前記損失値の算出に用いる生産設備と同一の生産設備の復旧時間が、前記損失値を計算する際の復旧時間として代用される。このため、損失値の算出が可能となる。
さらに、復旧処理を行う作業員と同等の能力を有する作業員に関する、復旧時間の情報を用いて、上記損失値を算出することができる。
したがって、復旧処理を行う作業員についての復旧時間が記憶装置に記憶されていない場合であっても、損失値に関して精度の高い値を算出することが可能となるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、前記記憶装置は、所定の識別情報に対応付けられる復旧時間の情報であって、かつ、所定の生産設備の復旧時間の情報として、該生産設備は復旧不能であることを示した情報を記憶しており、前記損失値の算出に際して、前記所定の生産設備の復旧時間の情報が必要となる場合、所定の作業員に対して、所定の通知を行う第2通知手段を備えることを特徴としている。
生産ラインには、経験の浅い作業員等が復旧不可能な生産設備が存在することもある。このような状況下、上記の構成によれば、第2通知手段により、上記作業員等を示す識別情報に対応付けられた、復旧不可能な生産設備の復旧時間の情報が損失値の算出に必要となる場合、所定の作業員に対して、所定の通知を行うことができる。
したがって、別の作業員が対応可能となり、生産設備の復旧作業が完了しないという事態を避けることができるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、前記損失値算出手段は、複数の生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合には、生産ライン毎に上記損失値を算出するものであり、前記選択手段は、全ての生産ラインにおいて損失値が最小となる復旧パターンを選択することを特徴としている。
上記の構成によれば、損失値算出手段により、複数の生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合には、生産ライン毎に上記損失値が算出される。つまり、損失値算出手段により、各生産ラインにおいて、自設備の不具合により停止している生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値が生産ライン毎に算出される。
また、選択手段により、全ての生産ラインにおいて損失値が最小となる復旧パターンが選択される。つまり、異なる生産ライン間において最も損失値が最小となる、一生産ラインの復旧に関する復旧パターンが選択される。
したがって、生産ラインが複数あるような場合であっても、生産ラインを管理する作業員等が、損失値が最小となる復旧順序、あるいは、損失値が最小となる復旧順序における最初の生産設備を知ることができる。
また、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、各生産設備の復旧に要する時間を復旧時間と、各生産設備が単位時間あたりに生産できるワークの個数を生産能力と、1つ前の工程の生産設備が該設備の不具合により停止してから、該停止によりワークが流れてこないことにより自設備が停止するまでの時間を余裕時間とすると、前記損失値算出手段は、自設備の不具合により停止した生産設備に関する復旧時間と、前記生産設備の1つ後の工程の生産設備に関する生産能力および該生産設備に関する余裕時間とに基づいて算出した値に、各生産ラインの重要度に応じて大きくなる値を乗じることにより、前記損失値を算出することを特徴としている。
生産ラインにおける生産損失は、一般に、不具合により停止した生産設備に起因する損失の和として求められる。
また、一つの生産設備が自設備の不具合により停止すると、該生産設備の1つ後の工程の生産設備(直後の生産設備)における生産に影響を及ぼす。また、この影響は、復旧時間に応じたものとなる。さらに、上記余裕時間が復旧時間よりも長い場合には、上記直後の生産設備における生産には影響がでないが、短い場合には、直後の生産設備における生産に影響がでる。また、生産ラインの生産効率は、上記直後の生産設備の生産能力にも関係する。
それゆえ、少なくとも、自設備の不具合により停止した生産設備に関する復旧時間、および、自設備の不具合により停止した生産設備の1つ後の工程の生産設備に関する生産能力と余裕時間とに基づくことにより、前記損失値を算出することができる。
ところで、各生産ラインにおいて異なる製品を製造している場合であって、複数の生産ラインが停止した場合には、製造している製品に応じて、製品の利益率または売価等が異なるため、どの生産ラインを優先的に復旧するかを決定すべきであると言える。
したがって、上記復旧時間、生産能力、および余裕時間に基づいて算出した値に、各生産ラインの重要度に応じて大きくなる値を乗じて損失値を算出することにより、生産ラインで製造される製品の種別を考慮した損失値の算出を行うことが可能となるという効果を奏する。
本実施の形態に係る生産ライン管理方法は、以上のように、生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合に、前記生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を算出する損失値算出ステップと、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択する選択ステップと、前記選択された復旧パターンにおける復旧順序を通知する通知ステップとを備えることを特徴としている。
上記の方法によれば、損失値算出ステップにより、自設備の不具合により停止した生産設備を各復旧パターンにより復旧させた場合における、復旧パターン毎の、生産ラインにおける生産の損失値を算出することができる。
また、選択ステップにより、生産の損失値が最小となる復旧パターンを選択することができる。さらに、通知ステップにより、選択された復旧パターンにおける復旧順序を通知することができる。
それゆえ、生産ラインを管理する作業員等が、上記損失値が最小となる復旧順序を知ることができる。
したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる生産ライン管理方法を提供できるという効果を奏する。
本実施の形態に係る生産ライン管理方法は、以上のように、生産ラインにおいて複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合に、前記生産設備の復旧順序に関する全ての復旧パターンについて、各復旧パターンで復旧させた際の生産ラインにおける生産の損失値を算出する損失値算出ステップと、前記損失値が最小となる復旧パターンを選択する選択ステップと、前記選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を通知する通知ステップとを備えることを特徴としている。
上記の方法によれば、損失値算出ステップにより、自設備の不具合により停止した生産設備を各復旧パターンにより復旧させた場合における、復旧パターン毎の、生産ラインにおける生産の損失値を算出することができる。
また、選択ステップにより、生産の損失値が最小となる復旧パターンを選択することができる。
ところで、生産設備の復旧作業中に、新たに、自設備の不具合により生産設備が停止することもある。このような場合、復旧作業を行っている生産設備を除いた、自設備の不具合により停止している生産設備に関しては、生産効率を考えると、復旧順序を再検討した方が好ましいと言える。
そこで、通知ステップにより、選択された復旧パターンにおける最初に復旧させる生産設備を通知することにより、生産ラインを管理する作業員等が、上記損失値が最小となる復旧順序における最初の生産設備を知ることができる。
このため、生産ラインを管理する作業員は、生産の損失値を計算した時点において、生産ラインにおける損失値が最小となる復旧対象(生産設備)を知ることができる。
したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる生産ライン管理方法を提供できるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係るプログラムは、上記生産ライン管理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであることを特徴としている。
したがって、上記プログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記生産ライン管理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
また、本実施の形態に係る記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴としている。
したがって、上記記録媒体に記録されているプログラムをコンピュータシステムにロードすることによって、上記生産ライン管理装置をユーザに提供することが可能となるという効果を奏する。
〔実施の形態2〕
本発明の他の一実施形態について図7ないし図43に基づいて説明すると以下の通りである。
図7は、本実施の形態に係る生産ライン管理装置の概略構成を示した図である。同図に示すとおり、生産ライン管理装置100は、センサ110a、110b、110c…、PLC(programable Logic controller)111a、111b、111c…、PLC112a、112b、112c…、稼動状況管理装置116、ビデオカメラ113、映像切出装置114、および、サーバ装置115を備えている。また、稼動状況管理装置116は、同図に示すとおり、停止原因分類装置(分類情報生成装置)120、入力装置121、表示装置122、情報処理装置123、出力装置124、および、保守順位決定装置125を備えている。
各センサ(110a、110b、110c…)は、同一の周期かつ同一時刻に、サンプリングを行う。
ここで、生産ライン管理装置100が管理する生産ラインは、複数の生産設備(同図では、一部の生産設備(M1・M2・M3)のみ図示)により構成されているものとする。また、本実施の形態では、一人の作業員が複数の生産設備を担当するものとする。
さらに、生産ラインは、各生産設備間においてベルトコンベア(同図では、一部のベルトコンベア(C1・C2・C3)のみ図示)を備えている。そして、このベルトコンベアにより、ワークが次工程(下流)の生産設備に搬送される。また、ベルトコンベアと、該ベルトコンベアの下流の生産設備との間には、ワークを一旦溜めるバッファ部(同図では、一部のバッファ部(B1・B2・B3)のみ図示)(バッファ装置)が備えられている。
なお、各バッファ部で溜めることが可能な個数の最大値(以下、最大個数とも称する)は、バッファ毎に予め設定されている。なお、各バッファ部では、ワークがバッファ部に入った順に、バッファ部から生産設備に対して送られるものとする。つまり、各バッファ部では、ワークに関し、先入れ先出しが行われる。
なお、バッファ部Biが生産設備Miとは別に設けられている例を挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、生産設備Miがバッファ部Biを備えた構成としてもよい。
また、各生産設備は、自装置の稼動を停止させるための停止ボタンを備えているものとする。さらに、各生産設備(M1・M2・M3)は、停止ボタンが押し下げられた状態(つまり、停止状態)であるか否かを示す信号を、それぞれ、各PLC(112a・112b・112c)に対して出力するものとする。つまり、各生産設備は、自生産設備が稼動を停止させられたか否かを示す信号を出力する。また、上記信号は、各センサ(110a〜110c)からの出力と同期した状態で出力される。つまり、上記信号は、各センサの出力と同一の周期かつ同一時刻に出力される。
センサ110aは、生産設備M1と、この生産設備M1の1つ上流側の生産設備(図示せず)との間に配置されている。センサ110aは、生産ライン上の所定の位置にワークが存在するか否かを、所定の周期(サンプリング周期)で検知する。そして、センサ110aは、ワークの有無を示す信号をPLC111aに対して、逐次出力する。
PLC111aは、センサ110aからの出力を、逐次受け付ける。そして、PLC111aは、上記受け付けた出力を、日時を示した日時情報と対応付ける。そして、PLC111aは、この対応付けた情報(以下、第1対応付情報)を、稼動状況管理装置116内の停止原因分類装置120へ逐次送る。ここで、ワークが有ることを示す信号を受け付けた場合には、PLC111aは、例えば、図8に示すような第1対応付情報を停止原因分類装置120へ送る。一方、ワークがないことを示す信号を受け付けた場合には、PLC111aは、例えば、図9に示すような第1対応付情報を停止原因分類装置120へ送る。
なお、図8においては、ワークが有ることを示す「出力1」というデータが、日時情報と対応付けられている。また、図9においては、ワークが無いことを示す「出力0」というデータが、日時情報と対応付けられている。
センサ110bは、生産設備M1と、生産設備M2との間に配置されている。センサ110bは、生産ライン上の所定の位置にワークが存在するか否かを、所定の周期で検知する。そして、センサ110bは、ワークの有無を示す信号をPLC111bに対して、逐次出力する。
PLC111bは、センサ110bからの出力を、逐次受け付ける。そして、PLC111bは、上記受け付けた出力を、日時を示した日時情報と対応付ける。そして、PLC111bは、この対応付けた情報(以下、第2対応付情報)を、稼動状況管理装置116内の停止原因分類装置120へ逐次送る。なお、PLC11bが送る第2対応付情報は、PLC111aが送る第1対応付情報と同じ形式の情報である。
センサ110cは、生産設備M2と、この生産設備M2の1つ下流側の生産設備(図示せず)の間に配置されている。センサ110cは、生産ライン上の所定の位置にワークが存在するか否かを、所定の周期で検知する。そして、センサ110cは、ワークの有無を示す信号をPLC111cに対して、逐次出力する。
PLC111cは、センサ110bからの出力を、逐次受け付ける。そして、PLC111cは、上記受け付けた出力を、日時を示した日時情報と対応付ける。そして、PLC111cは、この対応付けた情報(以下、第3対応付情報)を、稼動状況管理装置116内の停止原因分類装置120へ逐次送る。なお、PLC111cが送る第3対応付情報は、PLC111aおよび111bが送る、第1および第2対応付情報と同じ形式の情報である。
PLC112aは、生産設備M1から、生産設備M1が稼動を停止させられたか否かを示す信号を、逐次受け付ける。そして、PLC112aは、この受け付けた信号を、日時を示した日時情報と対応付ける。そして、この対応付けた情報(以下、第4対応付情報)を、稼動状況管理装置116内の停止原因分類装置120へ送る。ここで、稼動を停止させられたことを示す信号を受け付けた場合には、例えば、図10に示すような第4対応付情報を送る。一方、稼動を停止させられたことを示していない信号を受け付けた場合には、例えば、図11に示すような第4対応付情報を送る。
なお、図10においては、生産設備の稼動が停止させられていることを示す「出力1」というデータが、日時情報と対応付けられている。また、図11においては、生産設備の稼動が停止させられていないことを示す「出力0」というデータが、日時情報と対応付けられている。
PLC112bは、生産設備M2から、生産設備M2が稼動を停止させられたか否かを示す信号を、逐次受け付ける。そして、PLC112bは、この受け付けた信号を、日時を示した日時情報と対応付ける。そして、この対応付けた情報(以下、第5対応付情報)を、稼動状況管理装置116内の停止原因分類装置120へ送る。なお、PLC112bが送る第5対応付情報は、PLC112aが送る第4対応付情報と同じ形式の情報である。
PLC112cは、生産設備M3から、生産設備M3が稼動を停止させられたか否かを示す信号を、逐次受け付ける。そして、PLC112cは、この受け付けた信号を、日時を示した日時情報と対応付ける。そして、この対応付けた情報(以下、第6対応付情報)を、稼動状況管理装置116内の停止原因分類装置120へ送る。なお、PLC112cが送る第3対応付情報は、PLC112aおよび112bが送る第4および第5対応付情報と同じ形式の情報である。
ビデオカメラ113は、生産ラインにおける生産設備近辺の映像(動画像)を撮影する。さらに、ビデオカメラ113は、この映像を、逐次、日時を示す日時情報と対応付ける。そして、ビデオカメラ113は、日時情報が対応付された映像を映像切出装置114に送る。
映像切出装置114は、ビデオカメラから上記映像を受け付ける。そして、映像切出装置114は、稼動状況管理装置116から所定の指示を受けた場合には、受け付けた映像から所定の映像を切り出し、この切り出した映像を稼動状況管理装置116に送る。
サーバ装置115は、各作業員を識別する識別情報と、各作業員が担当する生産設備を示す情報とを対応付けて記憶している。また、サーバ装置115は、各作業員の識別情報に対応付けて、各作業員の担当時間を示した担当時間情報を記憶している。
次に、稼動状況管理装置116の各部(120〜124)について説明する。
まず、停止原因分類装置120について説明する。図12は、停止原因分類装置120の構成を示したブロック図である。同図に示すとおり、停止原因分類装置120は、データ書込・読出部(130〜132)、データ格納部(133〜135)、状態検出部136、および、設備状態特定部137を備えている。
データ書込・読出部130は、PLC(111a・111b・111c)から、PLC毎に上記第1〜第3対応付情報を受け付ける。そして、データ書込・読出部130は、この受け付けた対応付情報を、順次、データ格納部133に書き込む。
図13は、データ格納部133に記憶された、一連の第1対応付情報(第1対応付情報群)を示した図である。また、図14は、データ格納部133に記憶された、一連の第2対応付情報(第2対応付情報群)を示した図である。なお、図13および図14は、センサ110aおよび110bのサンプリング周期を1秒とした場合を示している。なお、サンプリング周期は、各生産設備のタクトタイム(1つのワークの処理時間)を考慮し、少なくとも、タクトタイムが一番小さな生産設備のタクトタイム以下とする必要がある。
また、第3対応付情報についても、順次、データ格納部133に記憶される。その結果、データ格納部133には、第1および第2対応付情報と同様な形式で、一連の第3対応付情報(第3対応付情報群)が記憶される。
データ書込・読出部131は、PLC(112a・112b・112c)から、PLC毎に上記第4〜第6対応付情報を受け付ける。そして、データ書込・読出部131は、この受け付けた対応付情報を、順次、データ格納部134に書き込む。図15は、データ格納部134に記憶された、一連の第4対応付情報を示した図である。また、第5および6対応付情報についても、第4対応付情報と同様な形式で、データ格納部134に記憶される。
状態検出部136は、センサ(110a〜110c)の信号の出力時刻毎に、各センサ(110a〜110c)が設置された地点において、ワークが通過しているか否かを検出する。そして、状態検出部136は、検出結果に応じたフラグを各対応付情報に付す。さらに、状態検出部136は、上記フラグが付された一連の各対応付情報(各対応付情報群)を、設備状態特定部137に送る。
以下、状態検出部136が、センサ110aが設置された地点をワークが通過したか否かを検出し、上記フラグを付す場合を例に挙げて、上記検出の仕方を具体的に説明する。
まず、状態検出部136は、センサ110aに関するデータである一連の第1対応付情報を、データ書込・読出部130を介してデータ格納部133から取得する。この後、状態検出部136は、所定の期間の各出力に基づいて、上記期間において出力の変化があるか否かを判断する。そして、変化している場合には、期間の最初の時刻を示した第1対応付情報に、「通過」というフラグを付す。一方、変化していない場合には、上記最初の時刻を示した第1対応付情報に、「停止」というフラグを付す。ここで、図13および図16を用いて説明すると、以下の通りである。
まず、状態検出部136は、図13に示すように、11時25分34秒以降の第1対応付情報を取得する。そして、11時25分34秒から11時25分37秒の期間における各出力(4つの出力)に基づいて、上記期間において出力の変化があるか否かを判断する。この場合、上記期間においては、出力が変化しているため、11時25分34秒(期間の最初の時刻)を示した第1対応付情報に、「通過」というフラグを付す。
次に、期間の時刻を1秒後にずらして、この期間(つまり、11時25分35秒から11時25分38秒の期間)において出力の変化があるか否かを判断し、11時25分35秒を示した第1対応付情報に、判断結果に応じたフラグを付す。この場合には、「通過」というフラグを付す。
以後、順に、期間の時刻を1秒後にずらして、上記と同様の処理を行う。ここで、例えば、11時25分42秒から11時25分45秒の期間においては、出力の変化がないため、11時25分42秒を示した第1対応付情報に、「停止」というフラグを付す。
また、状態検出部36は、「通過」というフラグが付された第1対応付情報であって、かつ、出力の値が「0」である第1対応付情報に関しては、出力の値を「0」から「1」に変更する。このような変更を行う理由は、「出力0 通過」と「出力1 通過」を特に区別する必要がないためである。
以上の処理により、図16に示すような、上記フラグが付された、第1対応付情報群を得ることができる。また、同様の処理により、上記フラグが付された、第2および第3対応付情報群を得ることができる。図17は、上記フラグを付した第2対応付情報群を示している。
なお、上記においては、フラグの付与にあたり、期間を4秒とした(つまり、4つのデータを用いた)が、これに限定されるものではない。しかしながら、生産ラインにおいてタクトタイムが最大値の生産設備により、ライン速度が決定されることを考慮すると、上記期間を、タクトタイムの最大値とすることが好ましい。
また、状態検出部136は、各生産設備(M1〜M3)に関するデータである各一連の対応付情報(対応付情報群)を、データ書込・読出部131を介してデータ格納部134から取得する。そして、この対応付情報群(第4〜第6対応付情報群)を、設備状態特定部137に送る。
設備状態特定部137は、状態検出部136から、上記フラグが付された一連の各対応付情報(各対応付情報群)を受け付ける。なお、以下では、フラグが付された対応付情報群を、フラグ付与情報群(詳しくは、第1フラグ付与情報群、第2フラグ付与情報群、第3フラグ付与情報群)と称すると共に、該フラグ付与情報群を構成する各情報(つまり、フラグが付された対応付情報)をフラグ付与情報と称する。
設備状態特定部37は、生産設備と該生産設備の1つ上流側の生産設備との間に設置されたセンサの出力に基づいて生成されたフラグ付与情報群と、生産設備と該生産設備の1つ下流側の生産設備との間に設置されたセンサの出力に基づいて生成されたフラグ付与情報群とに基づいて、生産設備の稼動状況を生産設備毎かつ時刻毎に特定する。そして、設備状態特定部137は、時刻毎に識別された生産設備の稼動状況を示した情報(詳しくは、生産設備の稼動を示した稼動情報、または、該設備の停止を示した停止情報)を、データ書込・読出部132を介して、データ格納部135に記憶させる。
ここで、以下に、生産設備の稼動状況の特定の仕方について、具体的に説明する。なお、ここでは、生産設備M1の稼動状況の特定を例に挙げて説明する。ただし、生産設備M2および生産設備M3に関しても、生産設備M1と同様である。
設備状態特定部137は、状態検出部136から受け付けた、第4対応付情報群の各対応付情報における「出力」および該出力の「値」に関する情報を消去すると共に、各対応付情報に新たな情報を付加する。具体的には、出力の値が「1」の場合には、「作業員による停止」という新たな情報を付加する。なお、「作業員による停止」という情報が付加された対応付情報(以下、作業員停止(強制停止)情報)は、上記設備の停止を示した停止情報に該当する。
一方、出力の値が「0」の場合には、以下に示す処理が行われる。設備状態特定部137は、或る時刻についての第1フラグ付与情報と、該時刻についての第2フラグ付与情報とに基づいて、該時刻についての第4対応付情報に、以下の新たな情報を付加する。
まず、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力1 通過」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力1 通過」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1は稼動していると判断する(同図のパターン1に対応)。そして、設備状態特定部137は、例えば図19に示すように、新たな情報として「稼動」という情報を付加する。なお、「稼動」という情報が付加された対応付情報は、上記設備の稼動を示した稼動情報に該当する。
また、設備状態特定部37が、第1フラグ付与情報が「出力1 通過」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力1 停止」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1は稼動していると判断する(同図のパターン2に対応)。そして、設備状態特定部137は、新たな情報として「稼動」という情報を付加する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力1 通過」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力0 停止」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1は稼動していると判断する(同図のパターン3に対応)。そして、設備状態特定部137は、新たな情報として「稼動」という情報を付加する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力1 停止」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力1 通過」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1がトラブルにより停止していると判断する(同図のパターン4に対応)。そして、設備状態特定部137は、例えば図19に示すように、新たな情報として「トラブル停止」という情報を付加する。なお、「トラブル停止」という情報が付加された対応付情報(以下、トラブル停止情報)は、上記設備の停止を示した停止情報に該当する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力1 停止」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力1 停止」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部37は、図18に示すように、生産設備M1がワークの搬出待ちにより停止していると判断する(同図のパターン5に対応)。そして、設備状態特定部137は、例えば図20に示すように、新たな情報として「搬出待停止」という情報を付加する。なお、「搬出待停止」という情報が付加された対応付情報(以下、搬出待停止情報)は、上記設備の停止を示した停止情報に該当する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力1 停止」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力0 停止」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図13に示すように、生産設備M1はトラブルにより停止していると判断する(同図のパターン6に対応)。そして、設備状態特定部37は、新たな情報として「トラブル停止」という情報を付加する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力0 停止」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力1 通過」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1がワークの搬入待ちにより停止していると判断する(同図のパターン7に対応)。そして、設備状態特定部137は、新たな情報として「搬入待停止」という情報を付加する。なお、「搬入待停止」という情報が付加された対応付情報(以下、搬入待停止情報)は、上記設備の停止を示した停止情報に該当する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力0 停止」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力1 停止」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1がワークの搬入待ちにより停止していると判断する(同図のパターン8に対応)。そして、設備状態特定部137は、新たな情報として「搬入待停止」という情報を付加する。
また、設備状態特定部137が、第1フラグ付与情報が「出力0 停止」という情報を含んでおり、かつ、第2フラグ付与情報が「出力0 停止」という情報を含んでいると判断した場合には、設備状態特定部137は、図18に示すように、生産設備M1がワークの搬入待ちにより停止していると判断する(同図のパターン9に対応)。そして、設備状態特定部37は、新たな情報として「搬入待停止」という情報を付加する。
データ書込・読出部132は、さらに、情報処理装置123から所定の指示を受け付けた場合、データ格納部135に記憶された上記情報(稼動情報および停止情報)を読み出し、この読み出した情報を情報処理装置123に送る。
ここで、停止原因分類装置120における処理フローを、図21に基づいて説明する。
まず、データ書込・読出部130およびデータ書込・読出部131が、各PLCから、PLC毎に各対応付情報を受け付けると共に、この受け付けた対応付情報を、順次、各データ格納部(33・34)に書き込む(S31)。S31の後は、状態検出部136が、データ格納部133から対応付情報を読み出す(S32)。S32の後は、状態検出部136が、時刻毎に、各センサが設置された箇所をワークが通過したか否かを検出する(S33)。
S33において、ある時刻においてワークが通過したことが検出された場合には、状態検出部136は、PLC111a〜111cを介して得られた情報であって、かつ、この時刻を示す日時情報を含んだ対応付情報に対して、「通過」というフラグを付す(S34)。一方、S33において、或る時刻においてワークが通過してことが検出されなかった場合には、状態検出部136は、PLC11a〜11cを介して得られた情報であって、かつ、この時刻を示す日時情報を含んだ対応付情報に対して、「停止」というフラグを付す(S35)。
S34およびS35の後は、データ格納部133から読み出した全ての対応付情報に、フラグが付されたか否かが、状態検出部136により判断される(S36)。
S36において、上記全ての対応付情報にフラグが付されていないと判断された場合には、再度、S33に戻る。一方、S36において、上記全ての対応付情報にフラグが付されていると判断された場合には、設備状態特定部37が、生産設備の上流側のセンサの出力に基づいて得られた、上記フラグが付された対応付情報(フラグ付与情報)と、該生産設備の下流側のセンサの出力に基づいて得られた、上記フラグが付された対応付情報と、該生産設備に対応して設けられたPLC(つまり、PLC112a、PLC112b、または、PLC112c)の出力とから、生産設備の稼動状況を特定する(S37)。
S37の後は、設備状態特定部137は、データ書込・読出部132を介して、時刻毎に識別された稼動状況を示した情報(稼動情報・停止情報)を、データ格納部135に記憶させる(S38)。以上により、一連の処理が終了する。
入力装置121は、作業員および生産ライン管理者による、情報の入力を受け付ける。入力装置121は、例えば、キーボードやタッチパネル等で構成される。作業員が入力する情報としては、生産設備の停止原因を示す停止原因情報、生産設備の処置内容を示す処置内容情報、作業員の識別情報を示す識別情報、および、表示装置122における表示内容を指示する指示情報等が挙げられる。また、管理者が入力する情報としては、データ検索を行う際の検索情報が挙げられる。
表示装置122は、情報処理装置123から送らてくる情報(後述する描画データ)を受け付ける。そして、表示装置122は、表示装置122の表示画面(図示せず)に、受け付けた情報に基づく画像の表示を行う。
ここで、情報処理装置123について説明する。情報処理装置123は、図22に示すとおり、稼動状況取得部140、データ関連付部141、映像データ取得部142、ID情報受付部143、担当情報取得部144、表示制御部145、停止原因受付部146、処置内容受付部147、判定部148、警告音発生部149、データ送信部150、および、記憶装置151を備えている。また、記憶装置151は、メモリ151aとメモリ151bとを備えている。
稼動状況取得部140は、停止原因分類装置120のデータ書込・読出部132に対して、上述した所定の指示を送る。そして、稼動状況取得部140は、停止原因分類装置120のデータ格納部135に記憶された、上記時刻毎に生産設備の稼動状況を示した情報(稼動状況情報)を受け付ける。つまり、稼動状況取得部140は、例えば図19、20、および、23に示したような、生産設備の稼動を示した稼動情報と、該設備の停止を示した停止情報(作業員停止情報・トラブル停止情報・搬出待停止情報・搬入待停止情報)とを、生産設備毎に順次取得する。さらに、稼動状況取得部140は、この取得した情報をデータ関連付部141に送る。
データ関連付部141は、稼動状況取得部140より上記稼動状況情報を、生産設備毎に受け付ける。そして、データ関連付部141は、停止情報に含まれる時刻情報を映像データ取得部142に送る。
映像データ取得部142は、データ関連付部141から上記時刻情報を受け付ける。そして、この時刻情報で示される時刻の前後の時間を含めて、一定時間の映像情報を映像切出装置114から取得する。この後、映像データ取得部142は、取得した映像情報を、データ関連付部141に送る。
データ関連付部141は、各停止情報と、該各停止情報に対応する時間の映像情報とを関連付け、この関連付けた情報をメモリ151aに記憶させる。なお、このメモリ151aとして、例えば、不揮発性のRAM(Random Access Memory)を用いることができる。
ID情報受付部143は、入力装置121を介して入力された、作業員を識別するID情報を受け付ける。そして、ID情報受付部143は、このID情報を担当情報取得部144に送る。
ここで、ID情報を入力する際の入力装置121に対する操作は、作業員により行われる。この場合には、例えば、表示制御部145が、図24に示すような、ログイン画面を表示させる描画データを作成し、表示装置122の表示画面に上記ログイン画面を表示する構成とすればよい。そして、ログイン画面のOKを示したアイコンを選択することにより、ID情報受付部143が、ID情報を担当情報取得部144に送る構成とすればよい。
担当情報取得部144は、ID情報受付部143から上記ID情報を受け付ける。さらに、担当情報取得部144は、サーバ装置115から、前記受け付けた識別情報に基づいて、上記ID情報で特定される作業員が担当した生産設備を示す情報、および、該作業員の担当時間情報を取得する。そして、担当情報取得部144は、この取得した、生産設備を示す情報と、担当時間情報とを表示制御部145に送る。
ここで、作業員によるデータ入力に関する所定の指示が、入力装置121を介して、表示制御部45に入力された場合、表示制御部145は、メモリ151aから、上記生産設備を示す情報に示された生産設備、および、担当時間情報に示された時間についての、上記関連付けされた情報を読み出す。そして、表示制御部145は、この読み出した情報に基づいて、データ入力用の描画データを作成する。さらに、表示制御部145は、作成した描画データを表示装置122に送る。この場合、表示装置122の表示画面には、入力受け付け画面として、例えば図25に示すような画面(入力用画面)が表示される。同図には、ID情報で特定された作業員が、少なくとも生産設備M1〜M3を担当した場合であって、担当時間帯の一部の時間帯(時刻T1〜時刻T2)に関する表示がなされている。
なお、表示制御部145は、作業員等による画面スクロール指示を受け付けると、表示装置122の表示画面に、画面を上下および左右にスクロールした状態の画面を表示させる。これにより、作業担当者が担当した他の設備、および、T2以降の稼動状況等を表示画面に表示することができる。
以下、上記データ入力用の描画データを構成する各描画データの作成について説明する。
まず、表示制御部145は、各生産設備に関し、稼動情報と停止情報とに基づき、時系列に沿って、各情報を視認可能に区別した矩形波に関する描画データを作成する。同図に基づいて説明すると、表示制御部145は、稼動情報に含まれる時刻に関しては縦軸がHIGH状態の位置にドットをプロットし、停止情報に含まれる時刻に関しては縦軸がLOW状態の位置にドットをプロットすると共に、プロットされたドットを時系列に沿って線分で結ぶ描画を行う描画データを作成する。また、表示制御部145は、時刻を一定間隔で表した時間軸を示す描画データも併せて作成する。
また、表示制御部145は、生産設備の停止原因を入力するためのコメントボックス(同図のCB1)と、該停止原因による停止に関し、生産設備に対して行った処置内容を入力するコメントコメントボックス(同図のCB2)とを表示装置122に表示させるための描画データを作成する。ここで、表示制御部145は、両コメントボックスが、停止を示した描画に対応した位置に配されるように、描画データを作成する。なお、以下では、停止原因を入力するためのコメントボックスを停止原因ボックスと、処置内容を入力するコメントコメントボックスを処置内容ボックスと称する。
さらに、表示制御部145は、各停止を示した描画に対応した位置に、停止情報の種類(つまり、作業員停止情報、トラブル停止情報、搬出待停止情報、および、搬入待停止情報)に応じた、識別子(例えば、図形)を表示する描画データを作成する。同図においては、識別子として図形を用いた場合であって、かつ、作業員停止情報、トラブル停止情報、搬出待停止情報、および、搬入待停止情報の場合、それぞれ、菱形の図形(◆)、星形の図形(★)、下向き三角の図形(▼)、および、上向き三角の図形(▲)を示した表示例を示している。なお、各停止情報の図形の形は、互いに識別できるのであれば、どのような形でもよい。
また、表示制御部145は、各停止に関して、停止時の映像情報に関連付けされたクリック可能なアイコン(同図のICON1)が、停止を示した描画に対応した位置に配されるように、描画データを作成する。そして、表示制御部145は、該アイコンがクリックされたことを入力装置121(表示装置122がタッチパネル式の場合には該表示装置122)からの入力により検知すると、表示装置122の表示画面上に、このアイコンに関連づけされた停止に関する、上記一定時間の映像情報を動画表示する。なお、表示画面における映像情報の表示位置またはサイズは特に限定されるものではない。
さらに、表示制御部145は、入力用の画面に示される内容を変更する設定画面を呼び出すためのクリック可能なアイコン(同図のICON2)が、入力用の画面の所定位置に配されるように、描画データを作成する。ここで、表示制御部145は、該アイコンがクリックされたことを入力装置121等からの入力により検知すると、表示装置122の表示画面の表示内容を、上記設定画面に切り替える。ここで、設定画面は、例えば、上記担当時間帯(作業開始時刻から作業終了時刻で示される時間帯)等を変更するための画面である。なお、設定画面の例については、後述する。
また、表示制御部145は、詳しくは後述するが、情報処理装置123に入力された情報を保存するためのクリック可能なアイコン(同図のICON3)が、入力用の画面の所定位置に配されるように、描画データを作成する。ここで、入力装置121等から、該アイコンがクリックされたことを示す情報が情報処理装置123に入力されると、メモリ151aに一時記憶されていた情報と同じ情報がメモリ151bに送られ、この情報がメモリ151bに記憶される。メモリ151bとしては、例えば、ハードディスクドライブを用いることができる。
なお、以下では、上記設定画面を呼び出すためのクリック可能なアイコンを、設定アイコンと、上記情報処理装置123に入力された情報を保存するためのクリック可能なアイコンを、保存アイコンと称する。
次に、作業員により入力される情報の処理について説明する。
停止原因受付部146は、入力装置121を介して入力された、生産設備の停止の原因を示した停止原因情報の入力を、各生産設備の停止毎に受け付ける。そして、停止原因受付部146は、受け付けた停止原因情報を、データ関連付部141に送る。
データ関連付部141は、停止原因受付部146から、各生産設備の停止毎の停止原因情報を受け付ける。ここで、データ関連付部141は、停止原因情報を、上記停止毎に、メモリ151aに記憶された上記関連付けた情報(つまり、各停止情報と、該各停止情報に対応する時間の映像情報とを関連付けた情報)に関連付ける。この関連付けが終了すると、データ関連付部141は、表示制御部145に対して、関連付けが終了したことを示す情報(第1終了情報)を送る。
表示制御部145は、データ関連付部141から上記第1終了情報を受け付けると、表示画面上の各停止原因ボックスの枠内に、各停止に対応した停止原因情報を表示する描画データを作成する。この描画データは表示装置122に送られ、表示画面上に該描画データに基づいた表示が行われる。
処置内容受付部147は、入力装置121を介して入力された、停止に対する処置内容を示した処置内容情報の入力を、各生産設備の停止毎に受け付ける。そして、処置内容受付部147は、受け付けた処置内容情報を、データ関連付部141に送る。
データ関連付部141は、処置内容受付部147から、各生産設備の停止毎の処置内容情報を受け付ける。ここで、データ関連付部141は、処置内容情報を、上記停止毎に、メモリ151aに記憶された上記関連付けた情報(つまり、各停止情報と、該各停止情報に対応する時間の映像情報と、各停止原因情報とを関連付けた情報)に関連付ける。この関連付けが終了すると、データ関連付部141は、表示制御部145に対して、関連付けが終了したことを示す情報(第2終了情報)を送る。
表示制御部145は、データ関連付部141から上記第2終了情報を受け付けると、表示画面上の各処置内容ボックスの枠内に、各停止に対応した処置内容情報を表示する描画データを作成する。この描画データは表示装置122に送られ、表示画面上に該描画データに基づいた表示が行われる。
ここで、図26に、停止原因情報と処置内容情報とが入力された後の、入力用画面を示す。
なお、メモリ151aに停止原因情報および/または処置内容情報が一時記憶された状態で、作業員により、表示画面上の保存アイコンがクリックされると、メモリ151aに一時記憶された全ての情報がメモリ151bに記憶される。
判定部148は、停止原因ボックスに入力する停止原因情報に対して設定された、メモリ151bの記憶領域に、停止原因情報が入力されているか否かを、全ての停止原因ボックスに関し判定する。さらに、判定部148は、処置内容ボックスに入力する処置内容情報に対して設定された、メモリ151bの記憶領域に、処置内容情報が入力されているか否かを、全ての処置内容ボックスに関し判定する。
そして、判定部148が、停止原因情報および処置内容情報が全て入力されていないと判定した場合には、判定部148は、表示制御部145および警告音発生部149に対して、所定の情報を送る。
表示制御部145が、判定部148から上記所定の情報を受け付けた場合、表示制御部145は、表示装置122の表示画面上に警告を示す表示を行う描画データを作成する。この場合、この描画データに基づいて、表示装置122の表示画面上には、警告を示す表示がなされる。
警告音発生部149は、アンプおよびスピーカーで構成されており、判定部148から上記所定の情報を受け付けた場合、警告音を外部に発生する。
ここで、全ての停止原因情報および処置内容情報の入力が完了し、保存アイコンがクリックされると、ID情報で特定された作業者に関する、情報処理装置123に対する一連の入力処理が完了することとなる。なお、このような処理は、作業者毎に行われる。
データ送信部150は、入力装置121から所定の指示を受け付けた場合、メモリ151bから該装置に記憶された情報を読み出し、出力装置124に送る。出力装置124は、データ送信部150から上記の情報を受け付けると、リスト形式でプリントアウトする。
次に、稼動状況管理装置116に備えられた保守順位決定装置125について説明する。保守順位決定装置125は、図27に示すとおり、記憶部161、停止時間算出部(停止時間算出手段)162、記憶部163、ロス個数算出部164、稼動率算出部165、および、表示制御部(通知制御手段)166を備えている。
記憶部161には、予め、生産設備の生産能力(単位時間あたりの生産個数)と、この生産設備と該生産設備の一つ上流側の生産設備との間のバッファ部で溜めることが可能なワークの個数の最大値(最大個数)とが、生産設備毎に、対応付けて記憶されている。例えば、記憶部161には、図28に示すような、テーブルが記憶されている。なお、ボトルネックである生産設備の単位時間あたりの生産個数を示した情報を、以下では、生産個数情報と称する。また、ボトルネックについては、後述する。
停止時間算出部162は、まず、情報処理装置123における記憶装置151のメモリ151aから、生産設備毎に、上述した停止情報のうちのトラブル停止情報および作業員停止情報を取得する。そして、停止時間算出部162は、この取得した両情報に基づいて、生産設備毎に、トラブルにより生産設備が停止した時間と、作業員により生産設備が停止させられた時間とを算出する。さらに、停止時間算出部162は、トラブルにより生産設備が停止した時間と、作業員により生産設備が停止させられた時間との合計時間(以下、停止時間Taと称する)を算出する。この際、停止時間算出部162は、上記算出した停止時間Taを示す情報を、各停止の開始の時刻を示した情報(第1停止開始時刻情報)と対応付けて、記憶部163に記憶させる。
また、上記トラブルにより生産設備が停止した時間を示した情報と、作業員により生産設備が停止させられた時間とを示した情報とは、停止時間算出部162により、リアルタイムにロス個数算出部164に送られる。
さらに、停止時間算出部162は、生産設備毎に、トラブルにより生産設備が停止した時間と、作業員により生産設備が停止させられた時間と、搬入待ちにより生産設備が停止した時間と、搬出待ちにより生産設備が停止した時間との合計時間(以下、停止時間Tbと称する)を算出する。この際、停止時間算出部162は、メモリ51aから、生産設備毎に、上述した停止情報(ここでは、トラブル停止情報、作業員停止情報、搬入待停止情報、搬出待停止情報)を取得する。そして、停止時間算出部162は、この取得した停止情報に基づいて、生産設備毎に、生産設備の停止時間Tbを算出する。この際、停止時間算出部162は、上記算出した停止時間Tbを示す情報を、Taと同様に、各停止の開始の時刻を示した情報(第2停止開始時刻情報)と対応付けて、記憶部163に記憶させる。
なお、上記TaおよびTbに関しては、所定時間内(例えば直近の24時間)の値を取得すればよい。また、該所定時間の値自体や、所定時間の開始時刻(あるいは終了時刻)については、例えば、入力装置121を介してユーザが設定可能な構成とすればよい。
以上のように、停止時間算出部162は、少なくとも、生産ラインの稼動状況に基づいて、停止時間(つまり、生産設備が自設備の不具合により連続して停止している時間)を生産設備毎に算出する。
ロス個数算出部164は、生産設備の停止により生じた生産損失(つまり、停止がなければ生産(処理)できたであろうワークの個数(以下、ロス個数))を、生産設備毎に算出する。この算出においては、記憶部161に記憶された情報と、記憶部163に記憶された情報とを用いる。そして、ロス個数算出部164は、算出したロス個数を、生産設備毎に記憶部163に記憶させる。
より詳しくは、ロス個数算出部164は、図27に示すとおり、最大個数取得部(最大個数取得手段)164a、差分算出部(差分算出手段)164b、および加算部(加算手段)164cを備えている。
最大個数取得部164aは、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部Biの最大個数を示した各情報を、記憶装置から取得する。
差分算出部164bは、各停止に関し、最大個数取得部164aにより取得した各情報に示された最大個数の総数を算出すると共に、記憶装置161に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値と、前記算出した総数との差分を算出する。
加算部164cは、差分算出部164bにより算出された差分を、上記各停止に関し生産設備毎に加算する。
そして、ロス個数算出部164は、加算部164cによる加算結果を、上記ロス個数として、記憶部163に記憶させる。
以下、上記ロス個数の算出について、具体例を挙げて説明する。ここでは、図29に示すとおり、上流側から生産設備M1・M2・…・M7を備えた生産ラインを例に挙げて説明する。なお、同図では、Xを生産ラインの起点、Yを生産ラインの終点としている。つまり、Xから投入されたワークが、各生産設備M1〜M7を介して、Yに製品として搬出される。なお、生産設備M7からYへの移動時間は、説明の便宜上、0とする。
また、生産設備M1〜M7にワークを搬送するベルトコンベアを、それぞれ、ベルトコンベアC1〜C7とする。さらに、ベルトコンベアCiと生産設備Miとの間のバッファ部を、それぞれ、バッファ部Biとする(ただし、1≦i≦7、かつ整数)。また、以下では、生産設備Miの生産能力(ここでは、1秒あたりの生産量(処理個数))を、Viとする。さらに、ベルトコンベアCiによる搬送に要する時間(搬送時間)を、ti(秒)とする。また、バッファ部Biで溜めることが可能なワークの個数の最大値を、biとする。さらに、各生産設備Miでの処理時間を、説明の便宜上、0秒としておく。
また、通常、生産ラインにおいては、ボトルネックとなる生産設備が存在する。なお、ボトルネックとは、全ての生産設備のうち、単位時間あたりの生産個数が最も少ない生産設備をいう。なお、同図の生産ラインの例では、生産設備M4がボトルネックであるとする。また、ボトルネックの特定に関しては、記憶部161に記憶されたテーブル(図28参照)をロス個数算出部164が読み込み、最大個数の最も小さい生産設備を、ボトルネックと特定すればよい。また、ユーザが、ボトルネックである生産設備を、生産ライン管理装置に入力することにより、該装置がボトルネックを認識する構成としてもよい。
ここで、ボトルネック(生産設備M4)がT秒間停止した場合におけるロス個数を、図30(a)(b)に基づいて説明する。
まず、生産設備M4の停止直前のワークの滞留個数(ベルトコンベア上のワーク数と、バッファ部に溜められたワーク数との総和)について説明する。
この場合、図30(a)に示すとおり、生産設備M4の停止直前における、Xと生産設備M1との間におけるワークの滞留個数(以下、X−M1滞留個数)は、V4×t1+b1となる。また、上記停止直前における、生産設備M1と生産設備M2との間におけるワークの滞留個数(以下、M1−M2滞留個数)は、V4×t2+b2となる。また、上記停止直前における、生産設備M2と生産設備M3との間におけるワークの滞留個数(以下、M2−M3滞留個数)は、V4×t3+b3となる。また、上記停止直前における、生産設備M3と生産設備M4との間におけるワークの滞留個数(以下、M3−M4滞留個数)は、V4×t4+b4となる。
一方、上記停止直前における、生産設備M4と生産設備M5との間におけるワークの滞留個数(以下、M4−M5滞留個数)は、V4×t5となる。このような滞留個数となるのは、ボトルネックの下流側となるバッファ部B5には、ワークが滞留しないためである。また、同様の理由により、上記停止直前における、生産設備M5と生産設備M6との間におけるワークの滞留個数(以下、M5−M6滞留個数)は、V4×t6となる。また、上記停止直前における、生産設備M6と生産設備M7との間におけるワークの滞留個数(以下、M6−M7滞留個数)は、V4×t7となる。
次に、生産設備M4の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図30(a)に示すとおり、生産設備M4の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M4の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、0となる。これは、ボトルネックである生産設備M4よりも下流では、生産設備M4の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。つまり、生産設備M4の停止後、t5+t6+t7秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続ける。
一方、生産設備M4が停止後、T秒後(t5+t6+t7<Tとする)に生産設備M4が稼動を再開した場合、Yに製品が搬出されるのは、図30(b)に示すとおり、生産設備M4の停止後からT+t5+t6+t7秒経過した後となる。
したがって、生産設備M4がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(4)で示されるように、V4×Tとなる。
L=V4×{(T+t5+t6+t7)−(t5+t6+t7)}=V4×T … (4)
以上のように、ボトルネックである生産設備M4がT秒間連続して停止した場合、ボトルネックの生産能力に停止時間(T)を乗じた個数だけ、生産のロスが生じることとなる。
次に、ボトルネック(生産設備M4)の上流側の生産設備である生産設備M2が、T秒間停止した場合におけるロス個数を、図31(a)(b)に基づいて説明する。
まず、生産設備M2の停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図31(a)に示すとおり、生産設備M2の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、図30(a)で示した場合と同様になる。つまり、上述した、各滞留個数は、生産設備M4が停止したと仮定した場合と同じ値である。
次に、生産設備M2の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M2の停止後における、X−M1滞留個数、およびM1−M2滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M2の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、0となる。これは、生産設備M2よりも下流では、生産設備M2の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。
ところで、生産設備M2の下流にある生産設備M4がボトルネックであるため、生産設備M2の停止直後には、バッファ部B3にはb3個のワークが、バッファ部B4にはb4個のワークが溜まっている。したがって、生産ラインにおいては、生産設備M2の停止後、t3+t4+t5+t6+t7+(b3+b4)/V4秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続けることになる。
一方、生産設備M2が停止後、T秒後(t3+t4+t5+t6+t7+(b3+b4)/V4<Tとする)に生産設備M2が稼動を再開した場合、Yに製品が搬出されるのは、図31(b)に示すとおり、生産設備M2の停止後からT+t3+t4+t5+t6+t7秒経過した後となる。
したがって、生産設備M2がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(5)で示されるように、V4×T−(b3+b4)となる。
L=V4×{(T+t3+t4+t5+t6+t7)−(t3+t4+t5+t6+t7+b3/V4+b4/V4)}=V4×T−(b3+b4) … (5)
以上のように、ボトルネックの上流の生産設備がT秒間連続して停止した場合、ボトルネックの生産能力に停止時間(T)を乗じた個数から、停止した生産設備とボトルネックとの間のバッファ部に溜まったワークの個数を差し引いた数だけ、生産のロスが生じることとなる。
次に、ボトルネック(生産設備M4)の下流側の生産設備である生産設備M6が、T秒間停止した場合におけるロス個数を、図32(a)(b)に基づいて説明する。
まず、生産設備M6停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図32(a)に示すとおり、生産設備M6の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、図30(a)で示した場合と同様になる。つまり、上述した、各滞留個数は、生産設備M4が停止したと仮定した場合と同じ値である。
次に、生産設備M6の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M6の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M6の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M4−M5滞留個数およびM5−M6滞留個数は、それぞれ、V4×t5+b5とV4×t6+b6となる。つまり、バッファ部B5とバッファ部B6とに、それぞれ上限数量までワークが溜められる。これは、生産設備M6が停止しても、Xからワークが送られてくるためである。また、M6−M7滞留個数は0となる。これは、生産設備M6よりも下流では、生産設備M6の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。つまり、生産設備M6の停止後、t7秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続ける。
一方、生産設備M6が停止後、T秒後(t7<Tとする)に生産設備M6が稼動を再開した場合、Yに製品が搬出されるのは、図32(b)に示すとおり、生産設備M6の停止後からT+t7秒経過した後となる。
したがって、生産設備M6がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(6)で示されるように、V4×T−(b5+b6)となる。
L=V4×T−{(V4×t5+b5−V4×t5)+(V4×t6+b6−V4×t6)}=V4×T−(b5+b6) … (6)
このように、生産設備M6が停止した場合には、ボトルネック(生産設備M4)が停止した場合に比べて、ロス個数がb5+b6個少なくなる。これは、以下の理由による。
まず、生産設備M6の停止により、生産設備M6が停止するまではワークが溜められなかった、バッファ部B5およびバッファ部B6にワークが溜められる。そして、生産設備M6の稼動の再開に伴い、該溜められたワークが順次処理される。ここで、ボトルネックは生産設備M6の上流であるため、バッファ部B5およびB6に溜められるワークの個数は、順次減少して、ある程度時間が経過すると0となる。この結果として、生産設備M6の停止により、バッファ部B5およびバッファ部B6に溜められたワークの個数だけ、ロス個数が減少することになる(図32(b)参照)。
以上のように、ボトルネックの下流の生産設備がT秒間連続して停止した場合、ボトルネックの生産能力に停止時間(T)を乗じた個数から、ボトルネックと停止した生産設備との間のバッファ部に溜まったワークの個数を差し引いた数だけ、生産のロスが生じることとなる。
次に、上記の考察に基づいて、ロス個数を一般化した数式を用いて示す。なお、以下においては、停止した生産設備をMj(ただし、jは自然数)、ボトルネックである生産設備をMbn(ただし、bnは自然数)とする。また、一般化に伴い、ここでは、iを自然数とする。さらに、ボトルネックの生産能力をVbnとする。なお、式(7)〜(10)に示すロス個数は、一度の停止(連続した停止)により生じるロス個数である。
・j=bnの場合
L=Vbn×T … (7)
・j<bnの場合
・j>bnの場合
但し、式(8)および式(9)において、Lの値が負になる場合には、それぞれ、L=0とする。なお、このように、Lの値が負になる場合としては、生産設備において比較的短い時間の停止が起こった場合であって、かつ、該生産設備の下流のバッファ部に溜められたワークを処理することで、Yに製品を遅滞なく搬出させた場合が挙げられる。
ここで、上記式(7)から(9)における演算は、差分算出部164bにより行われる。つまり、上記式(7)から(9)におけるVbn×Tが、生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値に該当し、Σで示された項が、最大個数取得部164aにより取得した各情報に示された最大個数の総数に該当する。
加算部164cは、各停止に関し、差分算出部164bにより算出された差分(つまり、式(7)〜(10)の何れかの式で求められる値)を、生産設備毎に加算する。つまり、自装置の不具合により停止した生産設備毎に、ロス個数の総和が求められる。
なお、ロス個数の総和の算出に当たっては、上述した所定時間内(例えば、直近の24時間)の総和を求める構成とすればよい。
次に、稼動率算出部165について説明する。稼動率算出部165は、上述した所定時間内における、各生産設備の実稼動率W1と単なる稼動率W2とを算出する。
具体的に説明すると、稼動率算出部165は、まず、記憶部163から、停止時間Taを示した情報および停止時間Tbを示した情報を取得する。そして、稼動率算出部165は、取得した停止時間Taを用いて、以下の式(10)で示される実稼動率W1を算出する。さらに、稼動率算出部165は、取得した停止時間Tbを用いて、以下の式(11)で示される稼動率W2を算出する。なお、式(10)および式(11)では、生産設備の稼動時間(つまり、上記の所定時間)をTzとしている。
W1=(Tz−Ta)/Tz×100 … (10)
W2=(Tz−Tb)/Tz×100 … (11)
そして、稼動率算出部165は、生産設備毎に、算出した実稼動率W1および稼動率W2を、記憶部163に記憶させる。
次に、表示制御部166について説明する。
表示制御部166は、記憶部163に記憶された情報に基づいて、生産設備毎に、ロス個数算出部164で算出したロス個数、停止時間Ta、実稼動率W1、および稼動率W2を表示装置122に表示させる。例えば、表示制御部166は、図33に示す表を表示装置に表示させる。この場合、表示制御部166は、同図に示すとおり、ロス個数の多い順に、生産設備名、該生産設備に関する、停止時間、実稼動率W1、および稼動率W2を表示させる。
同図の例では、生産設備M4と生産設備M1の欄からも分かるように、停止時間Taが生産設備M1よりも短い生産設備M4の方が、ロス個数が多くなっている。このように、通常は、停止時間Taの大小とロス個数の大小とは必ずしも比例しない。
さらに、表示制御部166は、入力装置121を介して稼動状況管理装置116がユーザから所定の指示を受け付けた場合、図34に示すとおり、生産設備別に層別して、出現頻度(ロス個数)の大きさの順に並べるとともに、累積和を全生産設備におけるロス個数の総和で除して得られた割合をパーセント表示した図を、表示装置122に表示させる。つまり、いわゆるパレート表示を行う。
また、表示制御部166は、入力装置121を介して稼動状況管理装置116がユーザから生産設備を選択する指示を受け付けた場合、図35に示すとおり、選択された生産設備(図では生産設備M4)に関して、上述した停止原因と、該停止原因が原因となったロス個数および停止時間とを、停止原因毎に表示装置122に表示させる。
さらに、表示制御部166は、入力装置121を介して稼動状況管理装置116がユーザから所定の指示を受け付けた場合、図36に示すとおり、停止原因別に層別して、出現頻度(ロス個数)の大きさの順に並べるとともに、累積和を全生産設備におけるロス個数の総和で除して得られた割合をパーセント表示した図を、表示装置122に表示させる。
以上のように、生産ライン管理装置100は、生産ラインの稼動状況に基づいて、上記停止時間を生産設備毎に算出する停止時間算出部(停止時間算出手段)162と、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部の最大個数を示した各情報を、記憶装置161から取得する最大個数取得部(最大個数取得手段)164aと、上記各停止に関し、最大個数取得部164aにより取得した各情報に示された最大個数の総数を算出すると共に、記憶装置161に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値と、上記算出した総数との差分を算出する差分算出部(差分算出手段)164bと、差分算出部164bにより算出された差分を、上記各停止に関し生産設備毎に加算する加算部(加算手段)164cと、加算部164cによる加算結果を表示装置(通知装置)122に表示(通知)させる表示制御部(通知制御手段)166とを備える構成である。
この構成によれば、停止時間算出部162により、生産ラインの稼動状況に基づいて、停止時間を生産設備毎に算出することができる。また、最大個数取得部164aにより、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置するバッファ部の最大個数を示した各情報を取得することができる。さらに、差分算出部164bにより、上記各停止に関し、最大個数取得部164aにより取得した各情報に示された最大個数の総数を算出すると共に、記憶装置161に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値と、上記算出した総数との差分を算出することができる。つまり、差分算出部164bにより、各停止に関し、生産設備が停止したことにより生じた生産ロスを、生産設備毎に算出することができる。
また、加算部164cにより、上記差分を、上記各停止に関し、生産設備毎に加算することができる。つまり、加算部164cにより、生産設備毎に、上記生産ロスの総和を算出することができる。さらに、表示制御部166により、加算部164cによる加算結果を、表示装置122に表示させることができる。
それゆえ、ユーザは、自設備が不具合により停止することにより生じた生産ロスを、生産設備毎に知ることができる。したがって、ユーザは、生産効率の観点から、少なくとも、優先して保守すべき生産設備を知ることが可能となる。
ところで、上記においては、図28に示したようなテーブルを利用する例を挙げて説明を行った。しかしながら、これに限定されるものではない。
例えば、図37に示すとおり、まず、センサ110aを、バッファ部B1の入り口(つまり、ベルトコンベヤC1の終点側)に設置する。また、センサ110bをバッファ部B2の入り口に、センサ110cをバッファ部B3の入り口に設置する。他のバッファ部に関しても、同様の位置に、センサを設置する。
また、上記の各センサとは別に、生産ラインに、新たにセンサ117a、117b、117c…を設ける。より詳しくは、センサ117aを、バッファ部B1の出口(つまり、生産設備M1の近傍)に設置する。さらに、センサ117bをバッファ部B2の出口に、センサ117cをバッファ部B3の出口に設置する。他のバッファ部に関しても、同様の位置(各バッファ部の出口)に、センサを設置する。
つまり、バッファ部B1の入り口にはセンサ110aが、該バッファ部B1の出口にはセンサ117aが設置される。また、バッファ部B2の入り口にはセンサ110bが、該バッファ部B2の出口にはセンサ117bが設置される。さらに、バッファ部B3の入り口にはセンサ110cが、該バッファ部B3の出口にはセンサ117cが設置される。
ここで、センサ117a、117b、117c…は、センサ110a、110b、110c…と同様にサンプリングを行う。そして、センサ117a、117b、117c…は、それぞれ、サンプリングの結果を、PLC111a、111b、111c…に送る。
また、停止原因分類装置120に、図38に示すとおり、バッファ部個数算出部(検出手段)138および格納部139を設けておく。
そして、バッファ部個数算出部138が、センサ110a、110b、110c…の検出結果と、センサ117a、117b、117c…の検出結果とから、各バッファ部Biに溜まっているワークの個数を算出する。例えば、バッファ部個数算出部138が、図39(a)に示すとおり、センサ110aを通過したワークの個数を、時刻情報と関連付けて格納部139に記憶しておく。また、バッファ部個数算出部138が、図39(b)に示すとおり、センサ117aを通過したワークの個数を、時刻情報と関連付けて格納部139に記憶しておく。
さらに、バッファ部個数算出部138は、図39(c)に示すように、或る時刻迄にセンサ110aを通過したワークの個数から、上記或る時刻の一秒前(一サンプリング周期前)迄にセンサ117aを通過したワークの個数を差し引く。また、バッファ部個数算出部138は、上記差し引いた後のワークの個数を、上記或る時刻に関連付けて格納部139に格納する。
以上により、各時刻においてバッファ部B1に溜められたワークの個数が算出され、かつ、格納される。また、他のバッファ部B2、B3…についても同様に、各時刻においてバッファ部Biに溜められたワークの個数がバッファ部個数算出部138により算出され、かつ、この算出された値が格納部139に格納される。
また、このように新たにセンサ17a…を用いる構成の場合には、差分算出部164bの構成を、各停止に関し、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの上記停止時における総数を、バッファ部個数算出部138の検出結果に基づいて算出すると共に、記憶装置161に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値と、上記算出した総数との差分を算出する構成とすればよい。
上記構成の場合には、保守順位決定装置125が、格納部139に格納されたワークの個数の情報(生産設備が停止する直前の時刻における個数の情報、停止後から或る時間経過した時刻における個数の情報等)を参照することにより、上述したテーブルは不要となる。
以上のように、上記構成の場合、生産ライン管理装置は、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出するバッファ部個数算出部(検出手段)138と、生産ラインの稼動状況に基づいて、上記停止時間を生産設備毎に算出する停止時間算出部(停止時間算出手段)162と、上記各停止に関し、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの上記停止時における総数を、バッファ部個数算出部138の検出結果に基づいて算出すると共に、記憶装置161に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値と、上記算出した総数との差分を算出する差分算出部(差分算出手段)164bと、差分算出部164bにより算出された差分を、上記各停止に関し生産設備毎に加算する加算部(加算手段)164cと、加算部164cによる加算結果を表示装置(通知装置)122に表示させる表示制御部(通知制御手段)166とを備える構成であるといえる。
上記の構成によれば、バッファ部個数算出部138により、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出することができる。また、停止時間算出部162により、生産ラインの稼動状況に基づいて、停止時間を生産設備毎に算出することができる。さらに、差分算出部164bにより、上記各停止に関し、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの上記停止時における総数を、バッファ部個数算出部138の検出結果に基づいて算出すると共に、記憶装置161に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値と、上記算出した総数との差分を算出することができる。つまり、差分算出部164bにより、各停止に関し、生産設備が停止したことにより生じた生産ロスを、生産設備毎に算出することができる。
また、加算部164cにより、上記差分を、上記各停止に関し、生産設備毎に加算することができる。つまり、加算部164cにより、生産設備毎に、上記生産ロスの総和を算出することができる。さらに、表示制御部166により、加算部164cによる加算結果を、表示装置122に表示させることができる。
それゆえ、ユーザは、自設備が不具合により停止することにより生じた生産ロスを、生産設備毎に知ることができる。したがって、ユーザは、生産効率の観点から、少なくとも、優先して保守すべき生産設備を知ることが可能となる。
ところで、上記においては、生産ラインにボトルネックが1つ存在する場合を例に挙げて説明した。以下では、生産ラインにボトルネックが2つ存在する場合について説明する。また、以下では、図40に示すとおり、上述した、生産設備M1・M2・…・M7を備えた生産ラインにおいて、生産設備M3と生産設備M5とがボトルネックであるとして説明を行う。また、以下では、生産ラインが、上記センサ117a、117b、117c…を備えているものとして説明を行う。
さらに、以下では、上述したセンサの組み合わせにより検出される、バッファ部Biに溜められているワークの個数をqiとする。また、ボトルネックである生産設備M3と生産設備M5との生産能力を、Vbnと記載する。
ここで、ボトルネックの一つである生産設備M5がT秒間停止した場合におけるロス個数を、図41に基づいて説明する。
まず、生産設備M6の停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図41に示すとおり、生産設備M5の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、および、M2−M3滞留個数は、それぞれ、Vbn×t1+q1、Vbn×t2+q2、およびVbn×t3+q3となる。なお、q1、q2、およびq3の値は、それぞれ、上述したb1、b2、およびb3と同じ値となる。一方、生産設備M5の停止直前における、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、および、M6−M7滞留個数は、それぞれ、Vbn×t4、Vbn×t5、Vbn×t6、およびVbn×t7となる。つまり、q4=q5=q6=q7=0となる。なお、上記M3−M4滞留個数、およびM4−M5滞留個数は、一例であり、これに限定されるものではない。説明の便宜上、q4=q5=0の状態を例に挙げている。
次に、生産設備M5の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図41に示すとおり、生産設備M5の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、および、M2−M3滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M5の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M3−M4滞留個数、およびM4−M5滞留個数は、それぞれ、Vbn×t4+q4、およびVbn×t5+q5となる。なお、停止後、十分な時間が経過した場合には、q4=b4、q5=b5となる。また、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は0となる。つまり、q6=q7=0の状態が継続する。
一方、生産設備M5が停止後、T秒後(t6+t7<Tとする)に生産設備M5が稼動を再開した場合、Yに製品が搬出されるのは、生産設備M5の停止後からT+t6+t7秒経過した後となる。
したがって、生産設備M5がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(12)で示されるように、V4×Tとなる。
L=Vbn×{(T+t6+t7)−(t6+t7)}=Vbn×T … (12)
以上のように、ボトルネックである生産設備M5が停止した場合、ボトルネックの生産能力に停止時間を乗じた個数だけ、生産のロスが生じることとなる。
なお、生産設備M5の稼動が上記のように再開した場合、生産設備M3と生産設備M5とがボトルネックであるため、必ずしもq4=q5=0の状態に戻らない。つまり、停止時間が長くなると、同図における定常状態後の滞留個数の箇所に示すとおり、生産ラインのバッファ部における状態が変化する。
また、ボトルネックである生産設備M3が上記T秒間停止した場合、およびボトルネックに挟まれた生産設備M4が上記T秒間停止した場合も、生産設備M5がT秒間停止した場合と同じだけのロス個数が発生する。
次に、ボトルネック(生産設備M3およびM5)の上流側の生産設備である生産設備M2が、T秒間停止した場合におけるロス個数を、図42に基づいて説明する。
まず、生産設備M2停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図42に示すとおり、生産設備M2の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、図41で示した場合と同様になる。つまり、上述した、各滞留個数は、生産設備M5が停止したと仮定した場合と同じ値である。
次に、生産設備M2の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M2の停止後における、X−M1滞留個数、およびM1−M2滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M2の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、0となる。これは、生産設備M2よりも下流では、生産設備M2の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。
ところで、生産設備M2の下流に位置する生産設備M3およびM5がボトルネックであるため、生産設備M2の停止直後には、バッファ部B3にはq3個のワークが溜まっている。したがって、生産ラインにおいては、生産設備M2の停止後、t3+q3/Vbn+t4+t5+t6+t7秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続けることになる。
一方、生産設備M2が停止後、T秒後(t3+q3/Vbn+t4+t5+t6+t7<Tとする)に生産設備M2が稼動を再開した場合、Yに製品が搬出されるのは、生産設備M2の停止後からT+t3+t4+t5+t6+t7秒経過した後となる。
したがって、生産設備M2がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(13)で示されるように、Vbn×T−q3となる。ただし、この場合、q3としては、生産設備M2が停止した瞬間の値を用いる。
L=Vbn×{(T+t3+t4+t5+t6+t7)−(t3+q3/Vbn+t4+t5+t6+t7)}=Vbn×T−q3 … (13)
ただし、上記の説明では、生産設備M2の停止直前において、q4=q5=0となっている状態を例に挙げて説明したが、生産設備M2の停止直前において、q4=q5=0となっていない場合もある。例えば、最初に生産設備M5の停止後、該生産設備M5が再稼動し、この再稼動の後に生産設備M2が停止した場合等が上記事例に該当する。この場合には、生産設備M2がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(14)で示されるように、Vbn×T−(q3+q4+q5)となる。なお、この場合も、q3〜q5としては、それぞれ、生産設備M2が停止した瞬間の値を用いる。
L=Vbn×{(T+t3+t4+t5+t6+t7)−(t3+q3/Vbn+t4+q4/Vbn+t5+q5/Vbn+t6+t7)}=Vbn×T−(q3+q4+q5) … (14)
つまり、式(13)は、式(14)において、q4=q5=0とした場合を示している。
以上のように、ボトルネックの上流の生産設備が停止した場合、ボトルネックの生産能力に停止時間を乗じた個数から、停止した生産設備と下流側のボトルネックとの間のバッファ部に溜まったワークの個数を差し引いた数だけ、生産のロスが生じることとなる。
なお、生産設備M2の稼動が上記のように再開した場合、生産設備M2は生産設備M3と生産設備M5との上流側に位置するため、同図における定常状態後の滞留個数の箇所に示すとおり、停止直前の滞留個数と、該停止後定常状態となった場合の滞留個数とは同じ値となる。
次に、ボトルネック(生産設備M3およびM5)の下流側の生産設備である生産設備M6が、T秒間停止した場合におけるロス個数を、図43に基づいて説明する。
まず、生産設備M6停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図43に示すとおり、生産設備M6の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、図41および図42で示した場合と同様になる。つまり、上述した、各滞留個数は、生産設備M2が停止したと仮定した場合と同じ値である。
次に、生産設備M6の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M6の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M6の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、およびM5−M6滞留個数は、それぞれ、Vbn×t4+q4、Vbn×t5+q5、およびVbn×t6+q6となる。これは、生産設備M6が停止しても、Xからワークが送られてくるためである。また、M6−M7滞留個数は0となる。これは、生産設備M6よりも下流では、生産設備M6の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。つまり、生産設備M6の停止後、t7秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続ける。
一方、生産設備M6が停止後、T秒後(t6<Tとする)に生産設備M6が稼動を再開した場合、Yに製品が搬出されるのは、生産設備M6の停止後からT+t6秒経過した後となる。
したがって、生産設備M6がT秒間停止した場合のロス個数Lは、以下の式(15)で示されるように、Vbn×T−q6となる。ただし、この場合、q6としては、生産設備M6が稼動を再開する直前の値を用いる。この点が、ボトルネックの上流側の生産設備が停止した場合と異なっている。
L=Vbn×{(T+t6)−(t6+q6/Vbn)}=Vbn×T−q6 … (15)
以上のように、ボトルネックの下流の生産設備が停止した場合、ボトルネックの生産能力に停止時間を乗じた個数から、下流側のボトルネックと停止した生産設備との間のバッファ部に溜まったワークの個数を差し引いた数だけ、生産のロスが生じることとなる。
なお、生産設備M6の稼動が上記のように再開した場合、生産設備M3と生産設備M5とがボトルネックであるため、必ずしもq4=q5=0の状態に戻らない。つまり、停止時間が長くなると、同図における定常状態後の滞留個数の箇所に示すとおり、生産ラインのバッファ部における状態が変化する。
なお、上記の式(12)〜(15)の各演算は、ボトルネックが1つの場合と同様に、差分算出部164bが行う。
上記のようにボトルネックが2つある場合には、この2つのボトルネックと、該両ボトルネックに挟まれた生産設備とを、ひとまとまりの設備と捉える。そして、このひとまとまりの設備を、仮想的に1つのボトルネック(以下、仮想ボトルネック)と考えると、以下のように整理することができる。
まず、仮想ボトルネックの上流側の生産設備がT秒間停止した場合には、Vbn×Tから、停止直前において、停止した生産設備と仮想的ボトルネックとの間のバッファ部に溜められたワークの個数を引いたものがロス個数となる。
また、仮想ボトルネックの下流側の生産設備がT秒間停止した場合には、Vbn×Tから、稼動再開の直前において、仮想的ボトルネックと停止した生産設備との間のバッファ部に溜められたワークの個数を引いたものがロス個数となる。
また、仮想ボトルネックがT秒間停止した場合(つまり、2つのボトルネック、および該両ボトルネックに挟まれた生産設備のうち何れかの生産設備が停止した場合)には、Vbn×Tがロス個数となる。
ところで、上記の説明においては、ボトルネックが2つの場合を例に挙げたが、3つ以上であっても同様である。この場合、差分算出部164bの構成を、自設備の不具合により停止した生産設備と、複数のボトルネックのうち、生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの上記停止時における総数を算出する構成とすればよい。
以上のように、生産ライン管理装置100は、ボトルネックが生産ラインに複数存在する場合、最大個数取得部164aは、自設備の不具合により停止した生産設備と、上記複数のボトルネックのうち、生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ装置の最大個数を示した各情報を記憶装置161から取得する構成である。
上述したように、ボトルネックが生産ラインに複数存在する場合、記憶装置151に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値から、上記複数のボトルネックのうち、生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ装置の最大個数の総和を差し引くことにより、一度の停止(連続した停止)による生産ロスが求まる。
したがって、自設備の不具合により停止した生産設備と、上記複数のボトルネックのうち、生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ装置の最大個数を示した各情報を最大個数取得部164aが記憶装置151から取得することにより、上記生産ロスの総和を生産設備毎に算出することができる。
また、生産ライン管理装置100は、ボトルネックが前記生産ラインに複数存在する場合、差分算出部164bは、自設備の不具合により停止した生産設備と、上記複数のボトルネックのうち、生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの停止時における総数を算出する構成である。
ボトルネックが生産ラインに複数存在する場合、記憶装置151に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値から、上記複数のボトルネックのうち、生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ装置の最大個数の総和を差し引くことにより、一度の停止(連続した停止)による生産ロスが求まる。
したがって、記憶装置151に記憶された生産個数情報で示される生産個数に対して該生産設備の停止時間を乗じて得られた値から、自設備の不具合により停止した生産設備と、上記複数のボトルネックのうち生産ラインのライン上において該生産設備との距離が最も離れたボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの前記停止時における総数を差分算出部164bが差し引くことにより、上記生産ロスの総和を生産設備毎に算出することができる。
また、生産ライン管理装置100は、バッファ部にワークが搬入される位置と、バッファ部からワークが搬出される位置とに、それぞれワークの通過を検知するセンサをバッファ部毎に備え、バッファ部個数算出部138は、上記センサによる検知結果に基づいて、ワークの個数を検出する構成である。
この構成によれば、バッファ部毎に、バッファ部にワークが搬入される位置と、バッファ部からワークが搬出される位置とに備えられた一対の上記センサにより、各バッファ部に溜められているワークの個数を検出することができる。
また、生産ライン管理装置100は、自設備の不具合により停止した生産設備がボトルネックよりも下流側に位置する場合には、バッファ部個数算出部138は、復旧直前のワークの個数を検出する構成である。
自設備の不具合により停止している生産設備が、前記ボトルネックの下流側に位置する場合、停止直後においては、上記下流側の生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークが0となる場合がある。
したがって、自設備の不具合により停止した生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの上記停止時における総数を用いて、生産ロスの総和を求めても、精度の高い生産ロス値を得られない。
しかしながら、上記の構成のように、ボトルネックの下流側に位置している生産設備に関しては、バッファ部個数算出部138が復旧直前のワークの個数を検出することにより、検出手段が停止時のワークの個数を検出した場合に比べて、精度の高い生産ロス値を得ることができる。
また、生産ライン管理装置100は、表示制御部166は、加算部164cによる加算結果の値が大きい順に、生産設備名を表示装置122に表示させる構成である。したがって、ユーザは、生産効率の観点に基づいた、生産設備の保守の順位を視認することができる。
また、生産ライン管理装置100は、各停止を示す情報に対して、停止原因を示した情報を関連付ける関連付部を備え、差分算出部164bは、上記停止原因の種別毎に差分を算出し、加算部164cは、上記停止原因の種別毎に差分を加算し、表示制御部166は、さらに、上記停止原因の種別毎に算出された加算結果を表示装置122に表示させる構成である。
この構成によれば、関連付部により、各停止を示す情報に対して、停止原因を示した情報を関連付けることができる。また、差分算出部164bにより、上記停止原因の種別毎に差分が算出できる。さらに、加算部164cにより、上記停止原因の種別毎に前記差分が算出できる。したがって、表示制御部166が、上記停止原因の種別毎に算出された加算結果を表示装置122に表示させることにより、ユーザは、各生産設備に関し、停止原因の種別毎に生産ロスの総数を知ることが可能となる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の一実施形態について図44ないし図50に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施の形態1および2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、稼動状況管理装置116内の保守順位決定装置125の代わりに復旧順位指示装置を備える点を除き、実施の形態2の生産ライン管理装置100と同様の構成を有している(図44参照)。また、上述した、センサ117a、117b、117c…を備え、q1〜q7を求める構成であるとして説明を行う。さらに、停止原因分類装置120には、バッファ部個数算出部(検出手段)138および格納部139を設けておく(図38参照)。
復旧順序指示装置126は、情報処理装置123における記憶装置151のメモリ151aに記憶された停止情報に基づいて、トラブルにより停止している生産設備、および作業員により停止させられた生産設備を示す情報を取得する。つまり、復旧順序指示装置126は、自設備の不具合により停止している生産設備を示す情報を取得する。また、復旧順序指示装置126は、図44に示すとおり、総数算出部(総数算出手段)171、特定部(特定手段)172、および表示制御部(通知制御手段)173を備えている。
以下では、トラブルにより停止している生産設備、または作業員により停止させられた生産設備が、生産ラインにおいて2つある場合を例に挙げて説明する。
この場合、復旧順序指示装置126は、以下に示す処理を行う。なお、以下では、ボトルネックの上流側の生産設備と下流側の生産設備とが停止した場合、ボトルネックの上流側の生産設備が2つ停止した場合、ボトルネックの下流側の生産設備が2つ停止した場合の3つの場合に分けて説明する。
まず、ボトルネックの上流側の生産設備(1台)と下流側の生産設備(1台)とが停止した場合について説明する。この場合には、まず、復旧順序指示装置126の総数算出部171が、該上流側の生産設備とボトルネックとの間に位置するバッファ部に溜められたワークの個数(該バッファ部が複数の場合はワークの総和)と、ボトルネックと該下流側の生産設備との間に位置するバッファ部に溜められたワークの個数(総和)とを、それぞれ算出する。そして、特定部172が、上記両個数(総和同士)を比較する。
ここで、上記比較の結果、上流側の生産設備とボトルネックとの間に位置するバッファ部に溜められたワークの個数が、ボトルネックと下流側の生産設備との間に位置するバッファ部に溜められたワークの個数よりも多い場合、復旧順序指示装置126の表示制御部173は、下流側の生産設備を先に復旧し、その後、上流側の生産設備を復旧する旨の表示を、表示装置122にさせる。一方、逆に、ボトルネックと下流側の生産設備との間に位置するバッファ部に溜められたワークの個数が、上流側の生産設備とボトルネックとの間に位置するバッファ部に溜められたワークの個数よりも多い場合、表示制御部173は、上流側の生産設備を先に復旧し、その後、下流側の生産設備を復旧することを指示する旨の表示を、表示装置122にさせる。
このような復旧の順序を、表示制御部173が表示装置122に表示させる理由は、以下の通りである。以下では、一例として、ボトルネックが生産設備M4、停止した上流側の生産設備が生産設備M2、停止した下流側の生産設備が生産設備M6であるとして説明する。
最初に、生産設備M2を最初に復旧し、その後、生産設備M6を復旧する場合における、ロス個数を検討する。なお、生産設備M2の停止時間をT1(ただし、t7<T1)と、生産設備M6の停止時間をT1+T2とする。また、説明を簡略化するため、生産設備M2と生産設備M6とが略同時に停止したものとする。
まず、生産設備M2およびM6の停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図45(a)に示すとおり、生産設備M2およびM6の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数は、それぞれ、V4×t1+q1、V4×t2+q2、V4×t3+q3、およびV4×t4+q4となる。また、生産設備M2およびM6の停止直前における、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、V4×t5、V4×t6、およびV4×t7となる。
次に、生産設備M2およびM6の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M2およびM6が停止してからt7秒間は、図45(b)に示すとおり、Yに製品が搬出される。生産設備M2およびM6の停止後における、X−M1滞留個数、およびM1−M2滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M2およびM6の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、およびM5−M6滞留個数は、それぞれ、V4×t3+q3−A、V4×t4+q4−B、V4×t5+C、およびV4×t6+Dとなる。ただし、A、B、C、およびDは、時間に関する変数であって、A+B=C+Dを満たす変数である。このような滞留個数となるのは、生産設備M6が停止しているためである。
また、M6−M7滞留個数は0となる。これは、生産設備M2よりも下流では、生産設備M2の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。
ここで、生産設備M2を先に復旧した場合、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、V4×t1+q1、V4×t2+q2、V4×t3+q3、V4×t4+q4、V4×t5+q5、およびV4×t6+q6となる。つまり、生産設備M2からワークが生産設備M3に供給され始め、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数の個数が変化する。しかし、生産設備M6は復旧していないので、M6−M7滞留個数は、依然として0のままである。
そして、生産設備M2が復旧してT2経過した後、生産設備M6を復旧した場合、生産ラインにおけるロス個数は、以下の式(16)で示されるように、V4×(T1+T2)−(q5+q6)となる。
L=V4×(T1+T2)−{(V4×t5+q5−V4×t5)+(V4×t6+q6−V4×t6)}=V4×(T1+T2)−(q5+q6) … (16)
つまり、上記式(16)は、実施の形態2で示した式(6)において、TをT1+T2で置き換え、b5およびb6をそれぞれq5およびq6としたものと同様となる。
このように、ロス個数が、V4×(T1+T2)から(q5+q6)だけ分少なくなる理由は、以下の通りである。まず、生産設備M6の稼動の再開に伴い、該バッファ部B5およびB6に溜められたワークが順次処理される。そして、ボトルネックは生産設備M6の上流であるため、バッファ部B5およびB6に溜められるワークの個数は、順次減少して、ある程度時間が経過すると0となる。この結果として、生産設備M2およびM6の停止により、バッファ部B5およびバッファ部B6に溜められたワークの個数だけ、ロス個数が減少することになる(図45(b)参照)。
次に、生産設備M6を最初に復旧し、その後、生産設備M2を復旧する場合における、ロス個数を検討する。なお、生産設備M6の停止時間をT2(ただし、t7<T2)と、生産設備M2の停止時間をT2+T1とする。また、説明を簡略化するため、生産設備M2と生産設備M6とが略同時に停止したものとする。
この場合、図46(a)に示すとおり、生産設備M2およびM6の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、図45(a)で示した場合と同様である。また、生産設備M2およびM6の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数についても、それぞれ、図45(a)で示した場合と同様である。
ここで、生産設備M6を先に復旧した場合、図46(b)にも示すとおり、生産設備M2およびM6が停止してT2+t7秒後に、Yに製品が搬出される。そして、生産設備M2の復旧に或る程度時間を要する場合には、生産設備M6の復旧直前にベルトコンベヤC3〜C6上のワークの数およびバッファ部B3〜B6に溜められたワークの数の和と同数のワークが、生産設備M2の復旧よりも前に生産設備M6から搬出される。この場合、図46(b)に示すとおり、t3+t4+t5+t6+q3/V4+q4/V4秒間にわたり、生産設備M6からワークが搬出される。
その後、生産設備M2が復旧すると、生産設備M2が復旧してからt3+t4+t5+t6+t7秒後に、Yに製品が搬出される。
したがって、この場合のロス個数Lは、以下の式(17)で示すとおり、V4×(T1+T2)−(q3+q4)となる。
L=V4×(T2+t7−t7)+V4{(T1+T2+t3+t4+t5+t6+t7)−(T2+t3+t4+t5+t6+t7+q3/V4+q4/V4)}=V4×T2+V4×T1−q3−q4=V4(T1+T2)−(q3+q4) … (17)
以上のように、生産設備M2を最初に復旧し、その後生産設備M6を復旧した場合には、ロス個数は、V4×(T1+T2)−(q5+q6)となる。一方、生産設備M6を最初に復旧し、その後生産設備M2を復旧した場合には、ロス個数は、V4×(T1+T2)−(q3+q4)となる。
したがって、q5+q6の値とq3+q4の値とを比べ、q5+q6の値の方が大きければ、先に生産設備M2を復旧すると、生産設備M6を先に復旧するよりもロス個数を少なくできる。一方、q3+q4の値の方が大きければ、先に生産設備M6を復旧すると、生産設備M2を先に復旧するよりも、ロス個数を少なくできる。
以上の理由により、上述した復旧の順序を、復旧順序指示装置126の表示制御部173が表示装置に表示させている。
次に、ボトルネックの上流側の生産設備が2台停止した場合について説明する。
この場合には、復旧順序指示装置126の表示制御部173は、ボトルネック寄りの生産設備を先に復旧し、その後、該生産設備よりも上流側の生産設備を復旧することを指示する旨の表示を、表示装置122にさせる。つまり、表示制御部173は、ボトルネックに近い生産設備から順に復旧することを指示する旨の表示を、表示装置122に行わせる。
このような復旧の順序を、表示制御部173が表示装置に表示させる理由は、以下の通りである。
最初に、生産設備M2を最初に復旧し、その後、生産設備M3を復旧する場合における、ロス個数を検討する。なお、生産設備M2の停止時間をT1(ただし、t4+t5+t6+t7+q4/V4<T1)と、生産設備M3の停止時間をT1+T2とする。また、説明を簡略化するため、生産設備M2と生産設備M3とが略同時に停止したものとする。
まず、生産設備M2およびM3の停止直前のワークの滞留個数について説明する。
この場合、図47(a)に示すとおり、生産設備M2およびM3の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、図45(a)および図46(a)で示した場合と同様になる。
次に、生産設備M2およびM3の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M2およびM6の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、およびM2−M3滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M2およびM3の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は0となる。これは、生産設備M3よりも下流では、生産設備M2およびM3の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。つまり、生産設備M2およびM6の停止後、t4+t5+t6+t7+q4/V4秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続ける。
ここで、生産設備M2を先に復旧した場合、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、生産設備M2およびM3の停止後のワークの滞留個数と同じである。つまり、生産設備M3は復旧していないので、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、依然として0のままである。
そして、生産設備M2が復旧してT2経過した後、生産設備M3を復旧した場合、生産設備M3の復旧からt4+t5+t6+t7秒後にYに製品が搬出されるため、生産ラインにおけるロス個数は、以下の式(18)で示されるように、V4×(T1+T2)−q4となる。
L=V4{(T1+T2+t4+t5+t6+t7)−(t4+t5+t6+t7+q4/V4)}=V4(T1+T2)−q4 … (18)
次に、生産設備M3を最初に復旧し、その後、生産設備M2を復旧する場合における、ロス個数を検討する。なお、生産設備M3の停止時間をT2(ただし、t7<T2)と、生産設備M2の停止時間をT2+T1とする。また、この場合にも説明を簡略化するため、生産設備M2と生産設備M3とが略同時に停止したものとする。
この場合、図48(a)に示すとおり、生産設備M2およびM3の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、図47(a)で示した場合と同様である。また、生産設備M2およびM3の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数についても、それぞれ、図47(a)で示した場合と同様である。
ここで、生産設備M3を先に復旧した場合、図48(b)にも示すとおり、生産設備M2およびM3が停止してT2+t4+t5+t6+t7秒後に、Yに製品が搬出される。そして、生産設備M3の復旧にある程度時間を要する場合には、生産設備M3の復旧直前にベルトコンベヤC3上のワークの数およびバッファ部B3に溜められたワークの数の和と同数のワークが、生産設備M2の復旧よりも前に生産設備M3から搬出される。この場合、図48(b)に示すとおり、t3+q3/V4秒間にわたり、生産設備M3からワークが搬出される。
その後、生産設備M2が復旧すると、生産設備M2が復旧してからt3+t4+t5+t6+t7秒後に、Yに製品が搬出される。
したがって、この場合のロス個数Lは、以下の式(19)で示すとおり、V4×(T1+T2)−(q3+q4)となる。
L=V4×{(T2+t4+t5+t6+t7)−(t4+t5+t6+t7+q4/V4)}+V4×{(T1+T2+t3+t4+t5+t6+t7)−(T2+t3+t4+t5+t6+t7+q3/V4)}=V4×(T1+T2)−(q3+q4) … (19)
以上のように、生産設備M2を最初に復旧し、その後生産設備M3を復旧した場合には、ロス個数は、V4×(T1+T2)−q4となる。一方、生産設備M3を最初に復旧し、その後生産設備M2を復旧した場合には、ロス個数は、V4×(T1+T2)−(q3+q4)となる。
したがって、先に生産設備M3を復旧すると、生産設備M2を先に復旧するよりもロス個数を少なくできる。以上の理由により、上述した復旧の順序を、復旧順序指示装置126の表示制御部173が表示装置に表示させている。
最後に、ボトルネックの下流側の生産設備が2台停止した場合について説明する。
この場合には、復旧順序指示装置126の表示制御部173は、ボトルネック寄りの生産設備を先に復旧し、その後、該生産設備よりも下流側の生産設備を復旧することを指示する旨の表示を、表示装置122にさせる。つまり、ボトルネックの上流側の生産設備が2つ停止した場合と同様に、表示制御部173は、ボトルネックに近い生産設備から順に復旧することを指示する旨の表示を、表示装置122に行わせる。
このような復旧の順序を、表示制御部173が表示装置122に表示させる理由は、以下の通りである。
最初に、生産設備M5を最初に復旧し、その後、生産設備M6を復旧する場合における、ロス個数を検討する。なお、生産設備M5の停止時間をT1(ただし、t7<T1)と、生産設備M6の停止時間をT1+T2とする。また、説明を簡略化するため、生産設備M5と生産設備M6とが略同時に停止したものとする。
この場合、図49(a)に示すとおり、生産設備M5およびM6の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、例えば図45(a)および図47(a)等で示した場合と同様になる。
次に、生産設備M5およびM6の停止後のワークの滞留個数について説明する。
この場合、生産設備M5およびM6の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数は、それぞれ、上記生産設備M5およびM6の停止直前の滞留個数と同じ値となる。一方、M4−M5滞留個数は、生産設備M5が停止しているため、V4×t5+q5となる。つまり、バッファ部B5にワークが溜められる。また、M5−M6滞留個数は、生産設備M6が停止しているため、V4×t6のままである。
また、M6−M7滞留個数は、図49(a)(b)にも示すとおり、生産設備M5およびM6の停止からt7秒後には0となる。これは、生産設備M6よりも下流では、生産設備M5およびM6の停止後であっても、ワークが供給される限り、生産が行われるためである。つまり、生産設備M5およびM6の停止後、t7秒が経過するまでは、Yに製品が搬出され続ける。
ここで、生産設備M5を先に復旧した場合、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、M3−M4滞留個数、およびM4−M5滞留個数は、それぞれ、生産設備M5およびM6の停止後のワークの滞留個数と同じである。また、M5−M6滞留個数は、生産設備M6が復旧していないため、V4×t6+q6となる。つまり、バッファ部B6にワークが溜められる。またM6−M7滞留個数は、生産設備M6は復旧していないのため、依然として0のままである。
そして、生産設備M5が復旧してT2経過した後、生産設備M6を復旧した場合、図49(b)に示すとおり、生産設備M6の復旧からt7秒後にYに製品が搬出されるため、生産ラインにおけるロス個数Lは、以下の式(20)で示すとおり、V4×(T1+T2)−(q5+q6)となる。
L=V4×{(T1+T2+t7)−t7}−(q5+q6)=V4×(T1+T2)−(q5+q6) … (20)
このように、ロス個数が、V4×(T1+T2)から(q5+q6)だけ分少なくなる理由は、以下の通りである。まず、生産設備M6の稼動の再開に伴い、該バッファ部B5およびB6に溜められたワークが順次処理される。そして、ボトルネックは生産設備M6の上流であるため、バッファ部B5およびB6に溜められるワークの個数は、順次減少して、ある程度時間が経過すると0となる。この結果として、生産設備M6の停止により、バッファ部B5およびバッファ部B6に溜められたワークの個数だけ、ロス個数が減少することになる(図49(b)参照)。
次に、生産設備M6を最初に復旧し、その後、生産設備M5を復旧する場合における、ロス個数を検討する。なお、生産設備M6の停止時間をT2(ただし、t7<T2)と、生産設備M5の停止時間をT2+T1とする。また、この場合にも説明を簡略化するため、生産設備M5と生産設備M6とが略同時に停止したものとする。
この場合、図50(a)に示すとおり、生産設備M5およびM6の停止直前における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M2−M3滞留個数、およびM3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数は、それぞれ、図49(a)で示した場合と同様である。また、生産設備M5およびM6の停止後における、X−M1滞留個数、M1−M2滞留個数、M3−M4滞留個数、M4−M5滞留個数、M5−M6滞留個数、およびM6−M7滞留個数についても、それぞれ、図49(a)で示した場合と同様である。
ここで、生産設備M6を先に復旧した場合、図50(b)にも示すとおり、生産設備M5およびM6が停止してt7秒後に、Yに製品が搬出される。そして、生産設備M6の復旧にある程度時間を要する場合には、生産設備M6の復旧直前にベルトコンベヤC6上のワークの数およびバッファ部B6に溜められたワークの数の和と同数のワークが、生産設備M5の復旧よりも前に生産設備M6から搬出される。この場合、図50(b)に示すとおり、t6秒間にわたり、生産設備M6からワークが搬出される。
その後、生産設備M5が復旧すると、生産設備M5が復旧してからt6+t7秒後に、Yに製品が搬出される。
したがって、この場合のロス個数Lは、以下の式(21)で示すとおり、V4×(T1+T2)−q5となる。
L=V4×{(T1+T2+t6+t7)−t6−t7}−q5=V4×(T1+T2)−q5 … (21)
このように、ロス個数が、V4×(T1+T2)からq5だけ分少なくなる理由は、以下の通りである。まず、生産設備M5の停止に伴い、該バッファ部B5に溜められたワークが順次処理される。そして、ボトルネックは生産設備M5の上流であるため、バッファ部B5に溜められるワークの個数は、順次減少して、ある程度時間が経過すると0となる。この結果として、生産設備M5の停止により、バッファ部B5に溜められたワークの個数だけ、ロス個数が減少することになる(図50(b)参照)。
以上のように、生産設備M5を最初に復旧し、その後生産設備M6を復旧した場合には、ロス個数は、V4×(T1+T2)−(q5+q6)となる。一方、生産設備M6を最初に復旧し、その後生産設備M5を復旧した場合には、ロス個数は、V4×(T1+T2)−q5となる。
したがって、先に生産設備M5を復旧すると、生産設備M6を先に復旧するよりもロス個数を少なくできる。以上の理由により、上述した復旧の順序を、復旧順序指示装置126の表示制御部173が表示装置に表示させている。
以上のように、本実施の形態に係る生産ライン管理装置は、各バッファ部に溜められているワークの個数を検出するバッファ部個数算出部(検出手段)138と、複数の生産設備が、自設備の不具合により停止している場合、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの総数を、上記停止直後におけるバッファ部個数算出部138の検出結果に基づいて、該停止している生産設備毎に算出する総数算出部(総数算出手段)171と、総数算出部171の算出結果に基づいて、総数が最も少ない生産設備を特定する特定部(特定手段)172と、特定部172により特定された生産設備を、表示装置122に表示させる表示制御部(通知制御手段)173とを備える構成である。
上記の構成によれば、バッファ部個数算出部138により、各バッファ部に溜められているワークの個数を検出することができる。また、複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合、総数算出部171により、上記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの総数を、該停止している生産設備毎に算出することができる。また、特定部172により、総数算出部171の算出結果に基づいて、上記総数が最も少ない生産設備を特定することができる。
ここで、複数の生産設備が停止した場合、自設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜まっているワークの個数が少ない、自設備の不具合により停止している生産設備から、復旧処理を開始すると、生産ラインにおける生産ロスが最小となる。
それゆえ、表示制御部173により、特定部172により特定された生産設備を表示装置122に表示させることにより、ユーザは、最初に復旧すべき生産設備を知ることができる。したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる。
また、生産ライン管理装置は、自設備の不具合により停止している生産設備の全てが、ボトルネックの上流側または下流側に位置する場合、表示制御部173は、該停止している生産設備のうち、生産ラインのライン上においてボトルネックからの距離が最も近い生産設備を、表示装置に表示させる構成である。
自設備の不具合により停止している生産設備の全てが、前記ボトルネックの上流側または下流側に位置する場合には、生産ラインのライン上においてボトルネックからの距離が最も近い生産設備から復旧処理を開始することにより、生産ラインにおける生産ロスが最小となる。
したがって、上記の場合には、上記総数を算出することなく、本発明の構成のように、単に、上記自設備の不具合により停止している生産設備のうち生産ラインのライン上においてボトルネックからの距離が最も近い生産設備を表示制御部173が表示装置122に表示させることにより、ユーザは最初に復旧すべき生産設備を知ることができる。
また、生産ライン管理装置の構成を、各バッファ部に溜められているワークの個数を検出するバッファ部個数算出部138と、複数の生産設備が、自設備の不具合により停止している場合、自設備の不具合により停止している生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの総数を、上記停止直後におけるバッファ部個数算出部138の検出結果に基づいて、該停止している生産設備毎に算出する総数算出部171と、総数算出部171の算出結果に基づいて、総数が少ない順に生産設備を特定する特定部172と、特定部172により特定された生産設備の順番を、表示装置122に表示させる表示制御部173とを備える構成としてもよい。
この構成に場合には、特定部172により、総数算出部171の算出結果に基づいて、上記総数が多い順に生産設備を特定することができる。
ここで、複数の生産設備が停止した場合、自設備の不具合により停止している生産設備のうち、自設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜まっているワークの個数が少ない生産設備から復旧処理を開始すると、生産ラインにおける生産ロスが最小となる。
それゆえ、表示制御部173により、特定部172により特定された順を表示装置122に表示させることにより、ユーザは、該停止した生産設備に関し復旧すべき順序を知ることができる。したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる。
また、本発明に係る生産ライン管理装置は、自設備の不具合により停止している生産設備が、ボトルネックの上流側および下流側に位置する場合、総数算出部171は、ボトルネックの下流側に位置している生産設備に関しては、バッファ部個数算出部138で検出したワークの個数の代わりに、予め定めた数値(例えば、上記最大個数)を用いて、ワークの総数を算出する構成であるといえる。
自設備の不具合により停止している生産設備が、前記ボトルネックの上流側および下流側に位置する場合、停止直後においては、上記下流側の生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークが0となる場合がある。
したがって、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ部に溜められているワークの総数に基づいて、上記総数が最も少ない生産設備を特定または上記総数が少ない順に生産設備を特定し、かつ、それぞれ最初に復旧すべき生産設備または復旧すべき順序を通知しても、生産ロスを最小にする設備あるいは順序が通知されないおそれがある。
しかしながら、上記のように、ボトルネックの下流側に位置している生産設備に関しては、バッファ部個数算出部138で検出したワークの個数の代わりに予め定めた数値を用いてワークの総数を算出することにより、下流側に関してはバッファ部個数算出部138で検出するよりも、生産ロスを最小にする設備あるいは順序が通知される確度を高くすることができる。
また、上記においては、バッファ部が生産設備とは別に備えられた構成を例に挙げて説明したが、生産設備がバッファ部を自設備内に備えた構成であってもよい。
ところで、上記の実施の形態2および3においては、表示制御部が表示装置122に所定の情報を表示させる構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。表示の代わりに、音声等でユーザに通知する構成としてもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上記実施形態の生産ライン管理装置の各部(記憶装置や通知部の表示画面等の一部構成を除く)や各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、キーボードなどの入力手段、ディスプレイなどの出力手段、あるいは、インターフェース回路などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態の生産ライン管理装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
本発明に係る生産ライン管理装置は、上記の課題を解決するために、ワークを下流側の生産設備に搬送する搬送手段と前記生産設備との間に、ワークを一時的に溜めるバッファ装置を生産設備毎に備えた生産ラインを管理する生産ライン管理装置において、全ての生産設備のうち、単位時間当たりの生産個数が最も少ない生産設備をボトルネックとすると、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出する検出手段と、複数の生産設備が、自設備の不具合により停止している場合、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数を、前記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、該停止している生産設備毎に算出する総数算出手段と、前記総数算出手段の算出結果に基づいて、総数が少ない順に生産設備を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された生産設備の順番を、通知装置に通知させる通知制御手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、検出手段により、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出することができる。また、複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合、総数算出手段により、前記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数を、該停止している生産設備毎に算出することができる。また、特定手段により、総数算出手段の算出結果に基づいて、上記総数が少ない順に生産設備を特定することができる。
ここで、複数の生産設備が停止した場合、自設備の不具合により停止している生産設備のうち、自設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜まっているワークの個数が少ない生産設備から復旧処理を開始すると、生産ラインにおける生産ロスが最小となる。
それゆえ、通知制御手段により、特定手段により特定された順を通知装置に通知させることにより、ユーザは、該停止した生産設備に関し復旧すべき順序を知ることができる。
したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる生産ライン管理装置を提供することができるという効果を奏する。
なお、各生産設備が、それぞれにバッファ装置を含んでいる構成であってもよい。
また、本発明に係る生産ライン管理装置は、上記の課題を解決するために、ワークを下流側の生産設備に搬送する搬送手段と前記生産設備との間に、ワークを一時的に溜めるバッファ装置を生産設備毎に備えた生産ラインを管理する生産ライン管理装置において、全ての生産設備のうち、単位時間当たりの生産個数が最も少ない生産設備をボトルネックとすると、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出する検出手段と、複数の生産設備が、自設備の不具合により停止している場合、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数を、前記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、該停止している生産設備毎に算出する総数算出手段と、前記総数算出手段の算出結果に基づいて、総数が最も少ない生産設備を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された生産設備を、通知装置に通知させる通知制御手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、検出手段により、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出することができる。また、複数の生産設備が自設備の不具合により停止している場合、総数算出手段により、前記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数を、該停止している生産設備毎に算出することができる。また、特定手段により、総数算出手段の算出結果に基づいて、上記総数が最も少ない生産設備を特定することができる。
ここで、複数の生産設備が停止した場合、自設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜まっているワークの個数が少ない、自設備の不具合により停止している生産設備から、復旧処理を開始すると、生産ラインにおける生産ロスが最小となる。
それゆえ、通知制御手段により、特定手段により特定された生産設備を通知装置に通知させることにより、ユーザは、最初に復旧すべき生産設備を知ることができる。
したがって、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となる生産ライン管理装置を提供することができるという効果を奏する。
なお、各生産設備が、それぞれにバッファ装置を含んでいる構成であってもよい。
また、本発明に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、自設備の不具合により停止している生産設備の全てが、前記ボトルネックの上流側または下流側に位置する場合、通知制御手段は、該停止している生産設備のうち、生産ラインのライン上においてボトルネックからの距離が最も近い生産設備を、通知装置に通知させることを特徴としている。
自設備の不具合により停止している生産設備の全てが、前記ボトルネックの上流側または下流側に位置する場合には、生産ラインのライン上においてボトルネックからの距離が最も近い生産設備から復旧処理を開始することにより、生産ラインにおける生産ロスが最小となる。
したがって、上記の場合には、上記総数を算出することなく、本発明の構成のように、単に、該停止している生産設備のうち生産ラインのライン上においてボトルネックからの距離が最も近い生産設備を通知制御手段が通知装置に通知させることにより、ユーザは最初に復旧すべき生産設備を知ることができるという効果を奏する。
また、本発明に係る生産ライン管理装置は、上記の生産ライン管理装置において、自設備の不具合により停止している生産設備が、前記ボトルネックの上流側および下流側に位置する場合、総数算出手段は、ボトルネックの下流側に位置している生産設備に関しては、検出手段で検出したワークの個数の代わりに、予め定めた数値を用いて、前記ワークの総数を算出することを特徴としている。
自設備の不具合により停止している生産設備が、前記ボトルネックの上流側および下流側に位置する場合、停止直後においては、上記下流側の生産設備とボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークが0となる場合がある。
したがって、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数に基づいて、上記総数が最も少ない生産設備を特定または上記総数が少ない順に生産設備を特定し、かつ、それぞれ最初に復旧すべき生産設備または復旧すべき順序を通知しても、生産ロスを最小にする設備あるいは順序が通知されないおそれがある。
しかしながら、本発明のように、ボトルネックの下流側に位置している生産設備に関しては、検出手段で検出したワークの個数の代わりに予め定めた数値を用いて前記ワークの総数を算出することにより、下流側に関しては検出手段で検出するよりも、生産ロスを最小にする設備あるいは順序が通知される確度を高くすることができるという効果を奏する。
なお、予め定めた数値としては、例えば、各バッファ装置が溜めることが可能なワークの個数の最大値を用いればよい。
また、本発明に係る生産ライン管理方法は、上記の課題を解決するために、ワークを下流側の生産設備に搬送する搬送手段と前記生産設備との間に、ワークを一時的に溜めるバッファ装置を生産設備毎に備えた生産ラインを管理する生産ライン管理方法において、全ての生産設備のうち、単位時間当たりの生産個数が最も少ない生産設備をボトルネックとすると、検出手段により、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出する検出ステップと、複数の生産設備が、自設備の不具合により停止している場合、総数算出手段により、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数を、前記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、該停止している生産設備毎に算出する総数算出ステップと、前記総数算出ステップでの算出結果に基づいて、特定手段により、総数が少ない順に生産設備を特定する特定ステップと、通知制御手段により、前記特定手ステップにより特定された生産設備の順番を、通知装置に通知させる通知制御ステップとを備えることを特徴としている。
したがって、本発明の生産ライン管理方法では、上述した生産ライン管理装置と同様に、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となるという効果を奏する。
また、本発明に係る生産ライン管理方法は、上記の課題を解決するため、ワークを下流側の生産設備に搬送する搬送手段と前記生産設備との間に、ワークを一時的に溜めるバッファ装置を生産設備毎に備えた生産ラインを管理する生産ライン管理方法において、全ての生産設備のうち、単位時間当たりの生産個数が最も少ない生産設備をボトルネックとすると、検出手段により、各バッファ装置に溜められているワークの個数を検出する検出ステップと、複数の生産設備が、自設備の不具合により停止している場合、総数算出手段により、自設備の不具合により停止している生産設備と前記ボトルネックとの間に位置する各バッファ装置に溜められているワークの総数を、前記停止直後における検出手段の検出結果に基づいて、該停止している生産設備毎に算出する総数算出ステップと、前記総数算出ステップでの算出結果に基づいて、特定手段により、総数が最も少ない生産設備を特定する特定ステップと、通知制御手段により、前記特定ステップにより特定された生産設備を、通知装置に通知させる通知制御ステップとを備えることを特徴としている。
したがって、本発明の生産ライン管理方法では、上述した生産ライン管理装置と同様に、生産ラインにおける生産効率を向上させることが可能となるという効果を奏する。