JP2011132249A - 医薬品用のプラスミドdna組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高純度のプラスミドDNAを作成及び単離するための装置を提供する
【解決手段】本発明に係る装置は、細胞の溶解に用いられる装置であって、細胞懸濁液((溶液1)を、細胞を溶解させる溶液(溶液2)と迅速に混合させる乱流手段(B1a)と、乱流手段で作成され該乱流手段から流れ込んだ混合液を、実質的に攪拌することなく培養する層流手段(B1b)とを備えている。また、前記混合液を中性化する溶液(溶液3)を加える手段(M2)をさらに備えており、層流手段で培養された混合液が、層流手段から溶液3を加える手段に流れ込むように構成されている
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る装置は、細胞の溶解に用いられる装置であって、細胞懸濁液((溶液1)を、細胞を溶解させる溶液(溶液2)と迅速に混合させる乱流手段(B1a)と、乱流手段で作成され該乱流手段から流れ込んだ混合液を、実質的に攪拌することなく培養する層流手段(B1b)とを備えている。また、前記混合液を中性化する溶液(溶液3)を加える手段(M2)をさらに備えており、層流手段で培養された混合液が、層流手段から溶液3を加える手段に流れ込むように構成されている
【選択図】図1
Description
本発明は核酸の精製方法に関するものである。詳細には、本発明は、高純度のプラスミドDNA(pDNA)の作成方法に関し、特に、プラスミド療法に使用される医薬品グレードのプラスミドDNAの作成及び単離方法に関するものである。
分子生物学の発展に伴い、特にワクチン及びヒト遺伝子療法の分野では、プラスミド療法が病気治療の効果的な方法であることが明確に示唆されている。しかしながら、臨床的に使用するのに量・質ともに十分なプラスミドDNAを作成することが、この技術における大きな障害となっている。正常遺伝子をヒト細胞内に安全かつ効率的に送達する方法としては、プラスミドDNAを経由させる方法が有望である。プラスミドDNAは、目的とするDNA配列を挿入することができる、閉環状の細菌性DNAである。哺乳類の細胞に導入される目的DNA配列の例としては、ウイルス感染、癌又は血管形成関連疾患を治療するための、外因性遺伝子、機能遺伝子、突然変異遺伝子、アンチセンス配列、RNAi又はdsRNAi配列、リボザイムなどがある。pDNAはヒト細胞に送達されるとすぐに、挿入されたDNA配列の複製及びコピー作成を開始する。したがって、研究者達は、プラスミドDNAを、様々な病状を治療すべく目的DNA配列をヒト細胞内に送達するための有望な送達手段と見なしている。
治療目的のプラスミド・ベース技術を実施するための研究開発には、大量のプラスミドDNAが必要である。遺伝子療法又は他の臨床応用に使用されるプラスミドDNAは、通常は大腸菌(Escherichia coli:E. coli)などの細菌によって作成されるので、細菌性細胞のゲノムDNA(gDNA)から、或いは細菌性細胞の内毒素及びタンパク質から、プラスミドDNAを効率良く分離する方法が求められている。したがって、細菌性細胞からプラスミドDNAを大量に単離することができる、簡単で、頑強で、拡張可能な精製プロセスの必要性が高まっている。
あらゆるプラスミド精製プロセスにおける重要なステップは、その後pDNAが単離される細胞成分を遊離させるための細菌性細胞の溶解を含んでいる。実際には、まず、細胞の再懸濁、細胞の溶解、そして、ホスト不純物の中性化及び沈殿という3つのステップを行う必要がある。細胞の再懸濁は、通常は、手動による攪拌又は磁力攪拌器と、ホモジナイザー又はインペラ混合器を使用して行われ、再懸濁緩衝液中で細胞を再懸濁する。細胞溶解ステップでは、手動攪拌又は磁力攪拌によって、再懸濁細胞を溶解液(希釈されたアルカリ(塩基)及び界面活性剤から成る)と混合させる。そして、溶解を完了させるために、混合物を室温(摂氏20〜25度)又は氷上で一定時間(例えば5分間)保持する。上述したように、手動攪拌及び磁力攪拌は、拡張可能ではない。第3のステップでは、ホスト不純物の中性化及び沈殿が行われる。第2のステップで作成された溶解物は、氷にセットする前に溶解物を酸性化するために、通常は、緩やかな攪拌又は磁力攪拌によって冷たい中性溶液と10〜30分間混合される。このことにより、高分子量の染色体DNA、ホストタンパク質、及び他のホスト分子の変性及び沈殿が容易になる。
一般に、細胞壁は、リゾチームで短時間処理することによって、又はアルカリ性又は酢酸カリウム(KOAc)処理によって、消化される。また通常は、細菌懸濁液のRNAを分解するために、RNA分解酵素(RNase)が加えられる。これらの化学的ステップは、小規模での細胞溶解に効果的である。しかしながら、粘性が増加するため、大規模な処理は非常に困難である。
他のシンプルで迅速なプラスミドの作成方法では、まず、細菌をリゾチーム処理し、適切な緩衝液内において約100℃で20〜40秒間沸騰して、プラスミドをRNAの溶液に主要不純物として残したまま、ゲノムDNA、タンパク質及び破片の不溶性塊を形成する。次に、細胞膜を溶解させるために、NaOHとドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate:SDS)の混合溶液を加える。NaOHは、DNAを部分的に変性させ、RNAと部分的に分解する。SDSは、膜を溶解し、タンパク質を変性させる。続いて、5Nの酢酸カリウム(pH4.8)を加えることによって、SDSタンパク質複合体と細胞破片を沈殿させる。この時、pHは、前記操作で使用されるNaOHの中性化と、プラスミドの復元との両方に重要である。その後、遠心分離によって沈殿物を除去すると、上清内に目的とするプラスミドが得られる。しかしながら、この技術は、5リットル未満の細菌発酵には適しているが、大容量の細菌発酵にスケールアップするのには適していない。また、これら一連の操作では、細菌性染色体DNAが小断片及び凝集体に切断されてプラスミドを汚染するのを避けるために、ゆっくりかつしっかり混合することが求められる。そのため、大規模プロセスで実施するのは困難である。
一般的な他の細胞溶解方法であるアルカリ溶解法では、まず、細菌性細胞の懸濁液(溶液1)をアルカリ溶解液(溶液2)と混合させる。溶液2は、細菌性細胞を溶解させて細胞内物質を遊離させるための界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)など)と、細胞(特にgDNAとRNA)のタンパク質及び核酸を変性させるためのアリカリ(水酸化ナトリウムなど)とから成る。細胞が溶解してDNAが変性するので、溶液の粘性は著しく上昇する。変性後、水酸化ナトリウムを中性化するために、酢酸カリウムなどの酸性溶液(溶液3)を加え、核酸の再生を誘導する。gDNAの長断片が不規則に再結合して、ネットワークを形成する。前記ネットワークは、タンパク質、脂質及び他の核酸を封入する綿状の塊として沈殿する。また、ドデシル硫酸のカリウム塩も沈殿し、タンパク質を関連物質と共に取り除く。pDNAの2つのストランドは、互いに絡み合い、溶液中に残存する最初のプラスミドを再形成するために、規則的に再結合する。
この溶解方法は、バッチモード、すなわち、容器又はタンクに溶液を連続に加えながら異なる複数の溶液を混合する形態で行っている。しかし、アリカリ溶解液は粘弾性流体なので、操作するのは非常に難しい。そのため、この方法では、異なる複数の溶液を混合させる際に問題が生じる。また、gDNAは剪断力によって断片化されるが、断片化されたgDNAをpDNAから分離するのは非常に難しいため、流動体への剪断力の作用を回避できる方法が求められている。さらに、大きいpDNA(すなわち、10キロ塩基対よりも大きい)は、混合中に剪断力によるダメージを受けやすい。細胞懸濁液を含んでいる溶液を溶解液と混合させた後、粘弾性的なアルカリ溶解液は中性化溶液と混合される。繰り返すが、溶液の粘弾性特性が原因で、この混合プロセスには問題がある。
さらに、このバッチ溶解プロセスをスケールアップする際には、DNAの断片化を避けるために剪断力を制限したとしても、異なる流動体を混合する際の効率が問題となる。従来知られているように、断片化ゲノムDNAのクロマトグラフィ挙動は、pDNAの場合と非常に類似しているので、gDNAを標準的な精製手法で除去するのは、事実上不可能である。以上のように、バッチプロセスによって細菌性細胞を溶解させる際のいくつかの問題点が明らかになった。それらの問題点は、例えば、スケールアップ、回収されたpDNAの質が悪いこと(断片化されたDNAによる汚染が原因である)、得られるpDNAの量が比較的少ないことなどである。
バッチ方法とは対照的に、様々な細胞溶解液(cell-lysis solution)を、一連の静的ミキサーを使用して連続的に混合させるいくつかの方法が提案されている。これらの方法では、細胞懸濁液と細胞溶解液は、静的ミキサーに同時に加えられる。第1の静的ミキサーからは、溶解細胞溶液(lysed cell solution)が排出される。排出された溶解細胞溶液は、沈殿剤溶液と共に、第2の静的ミキサーに同時に加えられる。第2の静的ミキサーからは、沈殿した溶解物とプラスミドを含んでいる溶液が排出される。細胞溶解の他の連続モードとしては、貫流式熱交換器(flow-through heat exchanger)を使用して、細胞浮遊液を70〜100℃まで加熱する方法がある。熱交換器で細胞を溶解した後、排出流の連続流又は回分式遠心分離を行って、プラスミドDNAを上清に残したまま、細胞破片とゲノムDNAを沈殿させる。
大量の微生物発酵からプラスミドDNAの大規模な単離及び精製を行うためには、改善されたプラスミド作成プロセスを開発する必要がある。
現在、数々の細菌性細胞の溶解方法があるのにも関わらず、混合中における流動体の粘弾性特性及び剪断力に起因する問題に取り組んでいる方法は1つもなない。したがって、本発明は、大規模で、細菌性細胞の懸濁液を大規模に連続アルカリ溶解するための新規な方法であって、剪断力の制限に関して大きな利点が得られる方法を提供する。
治療目的で核酸を人間又は動物に導入するための方法でにおける他の重要なステップは、高純度の医薬品グレードの核酸を作成することである。そのような精製された核酸は、安全、効能及び有効性の薬物品質基準を満たさなければならない。さらに、多数のg量のDNAを作成するのに使用できる、拡張可能なプロセスが好ましい。したがって、結果として得られる核酸の安全性や有効性を危うくする、有毒化学物質、突然変異誘発物質、有機溶媒、又は他の試薬を必要としない、又はスケールアップが困難又は不可能ではない、高純度の核酸を作成するプロセスが望ましい。また、患者に投与した際に毒性反応を引き起こす汚染内毒素を含まない核酸を作成することが望ましい。プラスミドDNAは、細胞膜の外側の不可欠な要素である内毒素を高レベルで有するグラム陰性細菌源から精製されるので、汚染内毒素の除去は特に重要である。
細菌発酵からプラスミドDNAを単離及び精製する従来の方法は、小規模又は実験室規模のプラスミド作成に適している。プラスミドを含んでいる細菌性ホスト細胞が破壊された後、酢酸塩の中性化が行われ、ホスト細胞ゲノムDNAの沈殿が生じる。そして、タンパク質は、一般的に、例えば遠心分離によって除去される。液相はプラスミドDNAを含んでいる。プラスミドDNAは、アルコール沈殿された後、様々な形態(スーパーコイル状、ギザギザの環状、線形状)のプラスミドDNAを分離するために、臭化エチジウムの存在下でCsCIを使用して等密度遠心分離される。残りの臭化エチジウムを除去するために、ブタノールによるさらなる抽出が必要であり、その後アルコールを使用したDNA沈殿が行われる。その後、ホスト細胞タンパク質を除去するために、さらなる精製ステップが行われる。
これらの現在のプラスミドDNA単離方法は、いくつかの問題を有している。例えば、大量の可燃性の有機溶媒(エタノール、イソプロパノールなど)及び毒性化学物質(臭化エチジウム、フェノール、クロロホルムなど)を使用する精製方法は、一般的に、プラスミドDNAの大規模な単離及び精製には望ましくない。プラスミドDNAの精製には、サイズ排除クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトのクロマトグラフィ、及び、逆相又は陰イオン交換に基づいた様々なクロマトグラフィ方法などの、塩化セシウム遠心分離に対する他の方法を使用することができる。これらの他の方法は、実験室規模の研究材料を少量作成するのには適しているが、一般に、簡単に拡張することはできず、プラスミドDNAを大量に作成することはできない。
しかしながら、前記した化学的分離方法では、分離及び精製プロセスは複雑であり、大量の有機溶剤が必要となる。そのため、廃液の処理などの様々な問題を有している。
化学的分離及び精製方法の他にも、電気泳動によってプラスミドを分離する方法がある。電気泳動方法としては濾紙電気泳動とゲル電気泳動があり、現在はゲル電気泳動が一般的である。しかしながら、電気泳動方法には、分離時間が長い、回収が困難である、サンプルを充填できる量が少ないなどの様々な問題がある。
現在利用可能な2つの形態のプラスミドDNA分離方法は、イオン交換クロマトグラフィ(Duarte et al., Journal of Chromatography A, 606(1998), 31-45)、又はサイズ排除クロマトグラフィ(Prazeres, D. M., Biotechnology Techniques Vol.1, No.6, June 1997, p417-420)を利用し、添加剤(ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)など)、界面活性剤、及び他の成分(ヘキサミン・コバルト、スペルミジン、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone:PVP)など)と共に使用される。しかし、既知の方法では、スーパーコイル状及び切れ目の入った(nicked)(又は弛緩型(relaxed))のDNAの分離を、効率的に及びコスト効率良く行うことはできない。さらに、多くの既知の方法ではPEG又は他の添加剤を使用するが、それらを使用すると余分な分離、除去、及び品質管理が必要となり、複雑になって時間及び費用がかかるので、プラスミドDNAの製造には望ましくない。スーパーコイル状及び弛緩型のプラスミドDNAを分離する既知の方法の他の形態では、非常に高価な専用レジンを利用する。前記専用レジンは、処理中、アセトニトリル、エタノール、及び他の成分(例えば、トリエチルアミン、リン酸テトラブチルアンモニウム)などの溶剤を利用する。スーパーコイル状及び弛緩型DNAを分離する他の方法としては、前記2つの形態のプラスミドDNAをサイズの小さな差に基づいて分離する、サイズ排除クロマトグラフィを使用した方法がある。これらのカラムは比較的長いため、スケールアップに関しては非常に問題があり、大規模製造に使用するのは不可能である。さらに、サイズ排除クロマトグラフィは濃縮されたサンプル溶液を必要とするが、DNAは高粘性であるため、前記濃縮されたサンプル溶液をプラスミドDNA溶液から得ることは不可能である。
また、プラスミドDNA製剤は、細菌性製剤から作成されるため、弛緩型及びスーパーコイルプラスミドDNAの混合物を含んでいることが多い。多くの細菌性ホストから作成された内毒素は炎症反応(プラスミドDNAを受け取ったホストの発熱や敗血症)を引き起こすことが知られているので、多くの場合は内毒素を除去する必要がある(FDAにより要求されている)。これらの内毒素は、一般に、グラム陰性細菌の外膜の成分であるリポポリサッカリド又はその断片であり、ホスト細胞及びホスト細胞膜又は高分子のDNA製剤中に存在する。したがって、内毒素の除去は、治療又は予防に使用されるプラスミドDNAの精製における、重要で必須のステップである。プラスミドDNA溶液からの内毒素の除去は、主に、内毒素が負に帯電していることを利用する。しかしながら、プラスミドDNAも負に帯電しているので、分離は、通常は、それら両方の分子と結合する陰イオン交換樹脂を使用して行われる。陰イオン交換樹脂は、特定の条件下では、たとえ内毒素が結合していたとしても、プラスミドDNAを優先的に溶離する。このような分離では、部分的にしか除去できないため、プラスミドDNAと共に大量の内毒素が溶離する、及び/又は非常に粗末なプラスミドDNAが復元される。
したがって、大量の微生物発酵からプラスミドDNAの大規模な単離及び精製を行うためには、改善されたプラスミド作成プロセスを開発する必要がある。また、大量のプラスミドDNAを、簡単な方法でかつ短時間で分離及び精製するプロセスが求められている。プラスミドの研究及びプラスミド治療にとっては、核酸が、複写可能な状態と同じ構造を保ちながら分離及び精製されることが好ましい。また、不純物の人体への副作用を避けるために、核酸は高純度で分離され精製される必要がある。
前記した従来の方法では、核酸、特にプラスミドDNAを、十分に高い純度、及び、十分に多い量で得ることができないという問題点があった。そこで、本発明は、大量のプラスミドDNAを短時間でかつ非常に高純度で分離可能な、少なくとも2つのクロマトグラフィ・ステップを利用した分離方法を提供することを目的とする。
H. C. Bimboim and J. Doly, A rapid alkaline extraction procedure for screening recombinant plasmid DNA Nucleic Acid Research 7(6):1513-1523 (1979).
D. Stephenson, F. Norman and R. H. Cumming, Shear thickening of DNA inSDS lysates Bioseparation 3: 285-289 (1993).
M. S. Levy, L.A.S. Ciccolini, S. S.S. Yim, J. T. Tsai, N. Titchener-Hooker, P. Ayazi Shamlou and P. Dunnill, The effects of material properties and fluid flow intensity on plasmid DNA recovery during cell lysis Chemical Engineering Science 54: 3171-3178 (1999).
本発明は、高純度のプラスミドDNAを作成及び単離するための方法を提供する。本発明によって作成及び単離されたプラスミドDNAは、染色体DNA、RNA、タンパク質及び内毒素などの不純物を、非常に低い濃度でしか含まない。本発明によって作成されるプラスミドDNAの純度は、プラスミド治療に使用するのに十分な値である。
また、本発明は、高純度のプラスミドDNAを作成及び単離するための方法であって、(a)細胞懸濁液を、細胞を溶解させる溶液と素早く混合させる乱流手段と、(b)前記(a)で作成され、前記乱流手段から流れ込んだ混合液を実質的に攪拌することなく培養する層流手段とを備える装置を使用して細胞溶解を行う方法を提供する。
本発明の他の実施形態では、前記装置は、前記溶解溶液(lysing solution)を中性化する第2の溶液を加える手段をさらに備えており、(b)で培養された混合液が、前記層流手段から前記第2の溶液を加える手段に流れ込むように構成される。
本発明の別の実施形態では、前記装置は、細胞からプラスミドDNAを単離する方法であって、(a)乱流手段によって前記細胞をアルカリ溶解溶液(alkali lysing solution )と混合させるステップと、(b)酸性溶液を加えることによって、前記アルカリ溶解溶液を中性化するステップとを含む方法に使用される。
本発明は、連続的アルカリ細胞溶解装置(continuous alkaline cell lysis device)であって、アルカリ溶液を細胞懸濁液と反対方向に注入する第1の混合器又は注入器と、前記細胞懸濁液と前記アルカリ溶液との混合液中で乱流を発生させる、小径の第1のチューブと、前記混合液中で層流を発生させる、大径の第2のチューブと、その一端に中性化溶液が注入され、溶解物を回収する第2の混合器又は注入器とを備えた装置を提供する。
さらに、本発明は、不純物を実質的に含んでいない医薬品グレードDNAの高純度プラスミドDNAを作成及び単離する方法を提供する。
また、本発明は、核酸及びプラスミドDNAを単離及び精製する方法を提供する。より詳細には、本発明は、研究及びプラスミド治療に利用可能な、医薬品グレードの核酸及びプラスミドDNAを単離及び精製する方法を提供する。本発明に係る方法によって単離されたプラスミドDNA製剤に対しては精製ステップが行われる。前記精製ステップは、少なくとも三重らせんクロマトグラフィを含んでおり、さらには陰イオン交換クロマトグラフィ及び疎水相互作用クロマトグラフィを含み得る。
したがって、これらの方法は、その後の陰イオン交換クロマトグラフィ、及び/又は三重らせんクロマトグラフィ、及び/又はさらなる疎水相互作用クロマトグラフィと組み合わせて行う、連続アルカリ溶解ステップを含んでいる。
また、これらの方法は、その後の陰イオン交換クロマトグラフィ、三重らせんクロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィと組み合わせて行う、連続アルカリ溶解ステップを含んでいる。溶解物の濾過や他の凝集物の除去は、最初のクロマトグラフィの前に行う。
本発明のある目的は、ホスト細胞/プラスミドDNAの組み合わせからのプラスミドDNAの生成量を最大限にすることである。
本発明の他の目的は、細菌性ホストRNAを実質的に含まないプラスミドDNA製剤を作成することである。
本発明の他の目的は、細菌性ホストタンパク質を実質的に含まないプラスミドDNA製剤を作成することである。
本発明の他の目的は、細菌性ホストRNAを実質的に含まないプラスミドDNA製剤を作成することである。
本発明の他の目的は、細菌性ホストタンパク質を実質的に含まないプラスミドDNA製剤を作成することである。
本発明の他の目的は、細菌性ホスト染色体DNAを実質的に含まないプラスミドDNA製剤を作成することである。
本発明の他の目的は、細菌性ホスト内毒素を実質的に含まないプラスミドDNA製剤を作成することである。
本発明の他の目的は、研究及びプラスミド治療に使用できるほど高純度であり、大規模製造へスケールアップすることが可能な、医薬品グレードのプラスミドDNAの作成方法を提供することである。
したがって、本発明は、不純物を実質的に含んでおらず、高純度及び無傷であり、DNAがベクターバックボーン、治療遺伝子及び関連する調節塩基配列を含んでいる医薬品グレードのプラスミドDNAを提供する。
また、本発明は、安定しており室温で長期間変性せず、研究及び人間の治療に利用可能なプラスミドDNAを保存することができるプラスミドDNA液剤を提供する。
(定義)
酸性は、pH7未満の酸のこと、又はその酸を含んでいることである。
酸性は、pH7未満の酸のこと、又はその酸を含んでいることである。
アルカリ性は、pH7より大きいアルカリ又は塩基のこと、又はそのアルカリ又は塩基を含んでいることである。
連続的は、中断されない、中断を含んでいないということである。
ゲノムDNAは、染色体に由来する又は染色体内に存在するDNAを意味する。
層流は、溶液の流れの中で、各粒子が全ての粒子に対して平行に動く流れである。
溶解物は、細胞溶解のプロセスによって生じた物質である。溶解という用語は、溶解物質を含有した溶液を使用した化学的処置によって、緩衝液(すなわち細胞懸濁液)内にある細胞の細胞壁及び/又は細胞膜を破壊する作用を意味する。溶解物質としては、例えば、アルカリ、界面活性剤、有機溶媒、及び酵素がある。好ましい実施形態では、細胞の溶解は、ホスト細胞から無傷プラスミドを遊離させるために行われる。
中性化は、溶液を中性にするために、又は、酸(或いは塩基/アルカリ)が中和反応に耐えられるようにするために行われる。中性化という用語は、溶液を中性化して溶液のpHを5から7の間、好ましくは約7、より好ましくはより以前よりも7に近い値にすることを意味する。
ニュートン流体は、剪断応力が速度勾配と比例し、剪断面に対して垂直である流体である。比例定数は、粘度として知られている。ニュートン流体の例としては、液体や気体がある。
非ニュートン流体は、剪断応力が速度勾配のみに比例せず、剪断面に対して垂直ではない液体である。非ニュートン流体の粘度は、明確ではない。非ニュートン流体としては、塑性固体、指数則流体、粘弾性流体(粘性と弾性特性の両方を有している)、及び時間依存性粘度流体などがある。
プラスミドDNAは、その内部に挿入される非内因性DNA断片を保持する能力を有する、染色体ではないDNAリングから形成される、小型細胞封入体を意味する。ここでは、プラスミドDNA、切断された、処理された、又は、非染色体性DNAからの他の操作がされた、任意の形態のプラスミドDNAである。前記非染色体性DNAとしては、例えば、切れ目の入った環状のプラスミドDNA、弛緩型の環状のプラスミドDNA、スーパーコイル状のプラスミドDNA、切断プラスミドDNA、線状(又は線形)プラスミドDNA、及び、単鎖プラスミドDNAがある。プラスミドを構成するための方法としては、次の文献「Maniatis et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)」に開示されているものがある。本発明のいくつかの態様によって後で処理するために、プラスミドDNAを最初に単離するのには、当該技術分野では周知であるプラスミドDNAのミニプレップ(少量調製)方法(Bimboim and Doly, Nucleic Acids Research 7: 1513 (1979))を使用できる。また、本発明に係る方法によって作成された高純度のサンプルと対比することができる。本発明に係る方法によって作成されたプラスミドDNAは、実質的に閉環状の形態である、又は、約80%、85%、90%、95%或いは99%以上が閉環状の形態である。また、ある治療方法では、開環状、線状、又は多重結合形態よりも効果的である、スーパーコイル状の共有結合した形態のpDNA(ccc)が望ましい。そのため、医薬品グレードのプラスミドDNAは、1つ又は複数の形態のプラスミドから単離又は分離され、実質的に1つ以上の望ましい形態を含む。
本発明の目的のために、流動という用語は、通常はポンプの動作によって、液体が特定の流速(例えば、リットル/分)で混合器(mixer)の中を通って流れることを意味する。混合器中の流速は、溶解、沈殿、及び混合の効率に影響を及ぼすことに留意されたい。
「切れ目の入った(nicked)」又は「弛緩型(relaxed)」のDNAは、スーパーコイル状のDNAではないことを意味する。スーパーコイル状という用語は、当該技術分野では周知である。プラスミドDNAの他の形態も、当該技術分野では周知である。
「汚染不純物」は、DNAを分離又は単離することが望ましい任意の物質である。汚染不純物としては、これらに限定されないが、ホスト細胞タンパク質、内毒素、ホスト細胞DNA(染色体DNA、ゲノムDNAなど)、及び/又はホスト細胞RNAがある。何が汚染不純物と見なされるかは、本発明に係る方法が実施される状況次第であることを留意されたい。汚染不純物は、ホスト細胞由来であってもよいし、そうでなくてもよい。すなわち、ホスト細胞不純物であってもよいし、そうでなくてもよい。
最初の成分(例えばDNA)の「単離」又は「精製」は、他の成分から前記最初の成分を濃縮することを意味する。望ましい及び/又は得られる精製の範囲は、本明細書中で説明する。
「実質的に含まない」及び「高純度」という用語の定義は、純度が約95%、又は好ましくは98.99%より大きいことである。或いは、汚染物質の含有率が5%未満、又は好ましくは1〜2%未満のことである。
医薬品グレードのDNAは、細胞成分(例えば細胞膜)が約5%以下(好ましくは1〜2%)で含まれるDNA製剤と定義される。
医薬品グレードのプラスミドDNAは、百万分率(part per million:ppm)が0.0001%未満(すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.0001mg未満)のゲノムDNA、RNA、及びタンパク質不純物を含むDNA製剤と定義される。
さらに、本発明は、不純物を実質的に含んでいない、医薬品グレードDNAである、高純度のプラスミドDNAの作成及び単離方法を提供する。本発明に係る方法によって作成及び単離されたプラスミドDNAは、非常に低いレベルの、すなわち百万分率のレベルの染色体DNA、RNA、タンパク質、及び内毒素不純物を含んでおり、主に閉環状プラスミドDNAを含んでいる。本発明によって作成されたプラスミドDNAは、研究及びプラスミド治療に使用するのに、また随意的に人間の臨床試験及び人間の遺伝子治療及び臨床試験に使用するのに、十分な純度である。
本発明に係る「医薬品グレードのプラスミドDNA」は、本発明に係る方法によって作成されたプラスミドDNA、及び/又は、少なくとも1つの、後記する純度の「医薬品グレードのプラスミドDNA」を含む組成物である。好ましくは、本発明に係る「医薬品グレードのプラスミドDNA」の純度は、例えば、下記の2つの定義によって規定される。約0.00008%未満の染色体又はゲノムDNA及び約0.00005%未満のタンパク質不純物、又は、約0.00008%未満の染色体又はゲノムDNA及び約0.1EU/mg未満の内毒素。他の純度の組み合わせは、前記定義の値未満に含まれる。当然、医薬品グレードのプラスミドDNA組成物に、さらなる成分を追加することができる。染色体又はゲノムDNA、RNA、内毒素又はタンパク質のレベルは、プラスミドの細胞作成による汚染物質や他の精製プロセスの汚染物質に関係する。
ここでは、「医薬品グレードのプラスミドDNA」は、1ppm未満(<0.0001%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.0001mg未満)のゲノムDNA、RNA及びタンパク質不純物を含むDNA製剤と定義される。
より詳細には、「医薬品グレードプラスミドDNA組成物」は、約0.01%未満、又は0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00008%未満(<0.00008%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00008mg未満)の染色体DNA又はゲノムDNAを含むDNA製剤を意味する。
また、「医薬品グレードプラスミドDNA組成物」は、約0.01%未満、又は0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00002%未満(<0.00002%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00002mg未満)のRNA不純物を含むDNA製剤を意味する。
また、「医薬品グレードプラスミドDNA組成物」は、約0.0001%未満、より好ましくは0.00005%未満(<0.00005%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00005mg未満)のタンパク質不純物を含むDNA製剤を意味する。
「医薬品グレードのプラスミドDNA」は、0.1EU/mg未満の内毒素を含んでいるDNA製剤である。
医薬品グレードのプラスミドDNAは、本明細書中では、好ましくはその大部分が環状であるDNA製剤である。より正確には、80%、85%、90%、95%、又は99%以上が閉環状であるDNA製剤である。
Tチューブは、1つ又は複数の管部材からなる、T字形のチューブである。Tチューブは、3つのアームと、それらのアームを連結するセンター部分とからなる。Tチューブは、2つの成分(流体)を混合するのに使用される。2つの流体は、それぞれアームの1つに流入し、センター部分で合流し、第3のアームから流出する。混合によって、2つの流動体は溶け合う。
乱流は、流体粒子の不規則でランダムな動作である。流体粒子はメインの流れ方向を横断する。また、流体粒子のある点における速度と方向は不規則に変化する。
粘弾性は、粘性と弾性の両方の性質を併せ持つ流動性である。
本発明は、医薬品グレード・プラスミドDNAを高収率で作成する拡張可能な方法の発見に基づいている。特に、本発明は、ホスト細胞の連続アルカリ溶解による高純度のプラスミドDNAの作成及び精製方法の発見に基づいている。
まず、最初のステップでは、ホスト細胞は指数増殖期の細胞に接種され(すなわちプラスミドDNAによって形質転換され)、テトラサイクリンなどの抗生物質を含有しているLB培地を含んでいるプレート上にこすり付けられる。そして、プレートから採取された単一コロニーは、それぞれ、別々の滅菌したプラスチック製のエルレンマイヤー・フラスコに入れられた20mlのLB培地(適切な抗生物質であるテトラサイクリンが添加されている)に接種され、振盪培養器によって37℃で12〜16時間培養される。それらの培養物の1つは、その後、2Lエルレンマイヤー・フラスコに添加された200mlの無菌LB培地に接種するのに使用される。これは、振盪培養器内で、37℃、200rpmで培養され、2つの5Lエルレンマイヤー・フラスコに接種するのに使用される。そして、振盪培養器内で、30℃、200rpmで培養され、指数増殖期の中間のときに、発酵容器に接種するのに使用される(5時間後、2ユニット:OD600nmで)。
ホスト細胞の培養及び接種は、当該技術分野では公知である。一般的に、ホスト細胞は、多量のプラスミドDNAを持つために、その生物量が高くなるまで培養される。そのためには、2つの異なる方法、すなわち回分発酵法と半回分発酵法を用いることができる。
本発明は、医薬品グレード・プラスミドDNAを高収率で作成する拡張可能な方法の発見に基づいている。特に、本発明は、ホスト細胞の連続アルカリ溶解による高純度のプラスミドDNAの作成及び精製方法の発見に基づいている。
まず、最初のステップでは、ホスト細胞は指数増殖期の細胞に接種され(すなわちプラスミドDNAによって形質転換され)、テトラサイクリンなどの抗生物質を含有しているLB培地を含んでいるプレート上にこすり付けられる。そして、プレートから採取された単一コロニーは、それぞれ、別々の滅菌したプラスチック製のエルレンマイヤー・フラスコに入れられた20mlのLB培地(適切な抗生物質であるテトラサイクリンが添加されている)に接種され、振盪培養器によって37℃で12〜16時間培養される。それらの培養物の1つは、その後、2Lエルレンマイヤー・フラスコに添加された200mlの無菌LB培地に接種するのに使用される。これは、振盪培養器内で、37℃、200rpmで培養され、2つの5Lエルレンマイヤー・フラスコに接種するのに使用される。そして、振盪培養器内で、30℃、200rpmで培養され、指数増殖期の中間のときに、発酵容器に接種するのに使用される(5時間後、2ユニット:OD600nmで)。
ホスト細胞の培養及び接種は、当該技術分野では公知である。一般的に、ホスト細胞は、多量のプラスミドDNAを持つために、その生物量が高くなるまで培養される。そのためには、2つの異なる方法、すなわち回分発酵法と半回分発酵法を用いることができる。
回分発酵法は、生育温度及び使用される炭素源の操作により、成長速度を制御することができる。本明細書中では、「回分発酵法」は、接種時に細胞成長及び培養細胞内に含まれておるプラスミドの作成に必要な栄養素が容器内に過剰に存在している(例えば、従来の栄養素の濃度よりも10フォルド以上)細胞培養プロセスを意味する。そのため、殺菌した容器に栄養素を追加する必要がない。また、複雑な供給モデル及び方法も必要ない。
本発明に使用できる他のタイプの発酵方法は、半回分(fed-batch)発酵法である。半回分発酵法では、細胞成長速度は、細胞成長中に、培養物への栄養素の追加により制御することができる。本明細書では、「半回分発酵法」は、発酵中に、培養物への代謝産物の追加を注意深くモニタすることにより、成長速度が制御される細胞培養プロセスを意味する。本発明に係る半回分発酵法では、細胞培養のバイオマスは、回分発酵法よりも高くなる。
50L調合液に対しての、発酵プロセス及び例示的な追加供給レートについては、後述する。また、他の容積、例えば10L、50L、又は500L以上に対しても、装置のサイズに基づいて、後述するこの例示的な供給レートによって行うことができる。
高リッチ化された回分培地及び半回分培地の発酵は、プラスミドの生成量を最大化するための高密度の細胞を作成するのに適していり、指数増殖する高バイオマスの回収を可能にする。
半回分発酵法は、炭素源としてグルコース又はグリセロールを使用する。発酵は、最初の炭素基質(グルコース)が使い果たされるまで、バッチモードで行われる。この点はDOの急激な上昇により分かり、その直後にサンプルのグルコース分析によって確認される。予め用意された供給培地のポンピングが開始される。ポンピング速度は、Curlessらにより作成されたモデル(Bioeng. 38: 1082-1090, 1991)によって決定される(なお、この参照によって本発明に含まれるものとする)。前記モデルは、供給速度の制御を手助けするために設計されている。最初のバッチプロセスでは、非抑制性濃度の基質は、細胞成長によって最大成長速度で消費され、接種後のバイオマスレベルの急激な上昇をもたらす。有毒な代謝物が蓄積するため、培養物はこの速度では成長できない(Fieschio et al. ,"Fermentation Technology Using Recombinant Microorganisms. "In Biotechnology, eds. H. J. Rhem and G. Reed. Weinheim: VCH Verlagsgesellschaft mbH 7b: 117-140, 1989)。モデルは、操作者の設定した成長の半回分相を得るために、フィードバック制御を必要とせずに、対数増殖を継続するための、成長抑制炭素基質の時間ベースの供給速度を計算する。これは、抑制性の異化生成物を形成しないレベルで選択される。そして、高バイオマスを得るのに十分である。
一般的に、回分発酵は、リッチ化された回分培地に存在する高レベル(例えば、従来の濃度よりも4フォルド高い)の先駆物質を使用する。特に、回分培地から抽出される酵母の量は、5g/L(LB培地)から20g/Lにエンリッチ化される。このことにより、大量の成長因子及び核酸前駆物質が得られる。前記培地には、有機性窒素として作用する硫酸アンモニウム(5g/L)が追加される。半回分発酵の供給プロセス中の前駆体物資への追加(硫酸アンモニウムの形態の有機性窒素)は、プラスミドの性質に悪影響を及ぼさないように設計される
本発明に係る方法のある重要な一面は、細胞の溶解である。したがって、本発明は、高純度のプラスミドDNAを作成及び単離する方法を包含している。その方法は、細胞を溶解させるステップを含んでいる。また、その方法は、(a)細胞懸濁液(図1の溶液1)を、細胞を溶解させる溶液(第1の溶液)(図1の溶液2)と素早く混合させる乱流手段と、(b)(a)で作成され、前記乱流手段から流れ込んだ混合液を実質的に攪拌することなく培養する層流手段とを備えた装置を用いて行われる。
本発明のある実施形態では、前記装置は、前記溶解溶液(lysing solution)を中性化する第2の溶液(図1の溶液3)を加える手段をさらに備えており、(b)で培養された混合液が、前記層流手段から前記第2の溶液を加える手段に流れ込むように構成されている。
また、他の実施形態では、前記装置は、細胞からプラスミドDNAを単離する方法に使用される。その方法は、(a)前記乱流手段によって、細胞をアルカリ溶解溶液と混合するステップと、(b)酸性溶液を加えることによって、前記アルカリ溶解溶液を中性化するステップとを含んでいる。
現在、細菌性細胞を溶解させる方法が数多くあるが、どの方法も、混合ステップ中の流動体の粘弾性及び剪断力によって引き起こされる問題を解決していない。本発明の目的の1つは、Tチューブを使用して、細胞懸濁液(溶液1)をアルカリ溶液(溶液2)と均一に、かつ粘弾性流体が現れないよう急速に混合させることである。したがって、本発明に係る連続溶解には、剪断力を制限するという大きな利点がある。一般的に、Tチューブの直径は、混合流動体の接触時間を長くするために小口径であり、通常は1cm以下、好ましくは約2〜8mmであり、より好ましくは約6mmである。しかし、その方法では、チューブを通過させることによる混合を利用することはできない。下記の表1は、乱流手段、層流手段、及び乱流手段の各パラメータ(Bla、Blb、及びB2)の変化と、それに対応する流速(S1、S2、及びS3)を示す。
本発明の他の目的は、Tチューブの代わりに、細胞を溶解液中に分散させることが可能なチューブを有する混合器又は注入装置を提供することである。したがって、チューブを通過する流動体に対する物理的ストレスは、流動体がタンク内のパドルで攪拌される場合と比べると、大幅に減少する。最初の混合の効率は、この流動体は粘弾性特性をまだ持っておらず、小径のチューブで実現される混合は、非常に効果的であるので、流れている2番目よりも大きい。対照的に、混合にTチューブが使われる場合と比べると、最初の混合は流動体が急速に粘弾性的になるのを抑えるだけであり、チューブに流れる間に重要な問題を引き起こす。この部分的混合は、細胞の一部だけを溶解させるので、中性化の前にプラスミドの一部のみを遊離させる。
本発明では、溶解中に、相I及び相IIと名付けられた2つの相が確認される。(I)細胞の溶解と(II)核酸の変性とに対応しているこれら2つの相は、レオロジー的挙動に大きな変化をもたらし、粘弾性的流動体となる。チューブの直径を調節することによって、これら2つの相の要求を満たすことができる。チューブの直径を小さくすれば(B1a)、混合が増大する。これは、相Iに使用される構造である。チューブの直径を大きくすれば(B1b)、混合が減少する。これは、相IIに使用される構造である。
したがって、ここでは、図2に示すM1と呼ばれるミキサーを使用する。なお、本発明で細胞懸濁液を分散させるのには、任意のT字状の器具を使用することができる。このミキサーによって、溶液1は、効果的に分散するために、1つ以上の小径のオリフィスから、アルカリ溶解液に直交して注入される。前記オリフィスの直径は、図2に示した構造では、約0.5〜2mm、好ましくは約1mmである。
ミキサーM1から流出した混合物は、小径のチューブ(図1参照)を短時間(約2.5秒)で通過する。直径と流速の組み合わせは、乱流を保つために、容易に計算される。それらのパラメータのバリエーションの例を、表1に示す。チューブの径は、すべて、チューブの壁部の厚み自体を含むチューブの外径ではなく、チューブの内径を示している。チューブでのこの短時間の通過時間によって、溶液1及び2の急速な均一化が可能となる。相Iでは、溶液1及び2は、まだニュートン流体であると仮定すれば、均一化段階での流れの形態は、乱流である。この第1のチューブの出口では、溶液1及び2は均一化されており、懸濁液中の細胞の溶解が開始される。
均一化された混合物は、その後、第1のチューブよりも直径が大きい第2のチューブ(B1b)を通過する(図1参照)。この第2のチューブの通過中に、細胞の溶解と、粘弾性流体流動体の形成とが起こる。この段階の間、混合は最小限に抑えられる。そして、DNAを断片化するであろう剪断力を最小限に抑えるために、乱流をできる限り制限すべく、溶液は「休憩」することが許される。本発明のある実施形態では、細胞溶解と核酸の変性を完全に行うためには、約1〜3分、又は約2分、好ましくは1分20秒の接触時間で十分である。変性の段階の間は、流動体の流れの形態は層流であり、SDS及び水酸化ナトリウムを細胞成分の方へゆっくりと拡散させる。
このようにして、溶解物が得られ、中和溶液3がM2と呼ばれるYミキサーによって混合される。本発明のある実施形態では、Yミキサーの内径は、約4〜15mm又は約6〜10mmと、約6mm又は約10mmである。小径(約6mm)のチューブは、Yミキサーの出口に位置し、溶液3による溶解物の急速(<1秒)で効率的な混合を可能にする。その後、中性化された溶液は採集タンクに回収される。中性化の間は、pHの急激な低下により、凝集物の形成が増加する(塊が形成される)。一方、部分的に変性したプラスミドは、非常に素早く復元し、溶液中に残る。綿状の塊は採集タンク内で徐々に沈下し、不純物の大部分が取り除かれる。
図1の概略図は、連続溶解(continuous lysis:CL)システムの一実施形態を示している。連続溶解は、そのままで、又は、他のさらなるプロセスと共に使用される。
本発明に係る方法は、いかなるタイプの細胞(原核細胞でも真核細胞でも)にも、溶解に関するいかなる目的(例えば、その後精製される標的細胞から目的とするプラスミドDNAを遊離させる)に対しても使用することができる。好ましい実施形態では、本発明に係る方法は、プラスミドを遊離させるために、プラスミドを含有しているホスト細胞を溶解させるのに使用される。
本発明に係る連続的アルカリ溶解ステップのプロセスは、細胞の生物量が定常期に至っていない細胞を増殖させて、指数増殖期(2〜10乾燥重量/リットル)に至った発酵槽から採取された細胞に対して行われる。連続的アルカリ溶解ステップは、細胞の生物量が高くまで増殖した、しかしこれ以上は指数増殖しない定常期に至った、細胞濃度が約10〜200g乾燥重量/リットル(好ましくは、約12〜60g乾燥重量/リットル)の発酵槽から採取された細胞に対して行われる。
本発明の他の重要な態様では、高純度のプラスミドDNA組成物及び医薬品グレードのプラスミドDNAは、複数のクロマトグラフィ・ステップの組み合わせによって作成される・これらのクロマトグラフィ・ステップは、前述した細胞溶解と組み合わせることができる。したがって、本発明は、不純物を実質的に含んでいない医薬品グレードの高純度プラスミドDNAの作成及び単離方法をさらに含む。本発明に係る方法によって作成され単離されたプラスミドDNAは、汚染された染色体DNA、RNA、タンパク質、及び内毒素を非常に低いレベル、すなわち百万分率(part per millions:ppm)のレベルでしか含有していない。本発明に係る方法により作成されたプラスミドDNAは、研究やプラスミド治療に利用できるほど高純度である。また、上述したように、本発明に係る医薬品グレードのプラスミドDNA組成物は、ある態様では、1つ又はそれ以上の代表的な不純物の(ホスト細胞不純物)の純度レベルによって規定することができる。本発明に係る医薬品グレードのプラスミドDNA組成物は、1ppm未満(<0.0001%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.0001mg未満)のゲノムDNA、RNA及びタンパク質不純物を含む組成物である。より詳細には、医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、約0.01%未満、又は0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00008%未満(<0.00008%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00008mg未満)のホスト細胞染色体DNA又はゲノムDNAを含む組成物である。また、医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、約0.01%未満、又は0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00002%未満(<0.00002%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00002mg未満)のホスト細胞RNA不純物を含む組成物である。また、医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、約0.0001%未満、より好ましくは0.00005%未満(<0.00005%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00005mg未満)のホスト細胞タンパク質不純物を含む組成物である。また、医薬品グレードのプラスミドDNAは、0.1EU/mg未満の内毒素を含む組成物である。特に、上記の純度レベルを、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ含むことが、本発明に含まれる。したがって、約0.01%のホスト細胞ゲノムDNAと、約0.001%のホスト細胞RNAを含む検出レベルの組成物も本発明に含まれる。より好ましくは、医薬品グレードのプラスミドDNA組成物は、約0.00008%未満のホスト細胞ゲノムDNAと、約0.00002%未満のホスト細胞RNAと、約0.00005%未満のホスト細胞タンパク質とを有する。実際には、本発明に係る医薬品グレードのプラスミドDNA組成物には、上記した純度レベルの任意の組み合わせを用いることができる。この組成物は、他の薬学的に許容される成分、緩衝液、安定剤、又は、細胞或いは有機体への遺伝子導入(特にプラスミドDNA導入)を向上させるために組成物を含むことができる。
他の形態では、本発明に係る方法は、少なくとも1つの他のクロマトグラフィの以前又は以後に行われる、三重らせん親和性クロマトグラフィの使用を含む。三重らせん親和性クロマトグラフィは、最終精製ステップ、又は少なくともプラスミド精製スキームの終わりに近いところで行われる。この三重らせん親和性クロマトグラフィは、好ましくは、イオン交換クロマトグラフィ、疎水相互作用クロマトグラフィ、及びゲル浸透クロマトグラフィ又はサイズ排除クロマトグラフィと組み合わせられる。他の技術としては、ヒドロキシアパタイト(I型及びII型)クロマトグラフィ、逆相クロマトグラフィ、及び親和性クロマトグラフィがある。核酸分離を行う他の任意の親和性クロマトグラフィが使用可能である。陰イオン交換クロマトグラフィ又は1つ以上の他のクロマトグラフィのステップ又は技術は、固定相、置換クロマトグラフィ方法、疑似移動床技術、及び/又は連続的床カラム又はシステムを用いることができる。さらに、任意の1つ以上のステップ又は技術は、高性能クロマトグラフィ技術又はシステムを使用できる。
したがって、本発明に係る方法は精製ステップを含んでおり、該精製ステップは、三重らせん親和性クロマトグラフィのステップを含み、イオン交換クロマトグラフィのステップをさらに含み得る。そして、疎水相互作用クロマトグラフィ又はゲル浸透クロマトグラフィのステップをさらに含み得る。イオン交換クロマトグラフィのステップは、流動層イオン交換クロマトグラフィと、軸方向及び/又は放射状高分解能陰イオン交換クロマトグラフィの両方であり得る。
また、この方法は、その後に行われるイオン交換クロマトグラフィ、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィの各ステップ(この順に行われる)と組み合わせて行われるアルカリ溶解ステップを含んでいる。溶解物の濾過又は他の凝集除去は、第1のクロマトグラフィ・ステップの前に行う。本発明に係るプラスミドDNAの精製方法は、拡張可能であり、大規模製造にスケールアップすることが可能である。
本発明のある実施形態では、pDNAを含有している高純度の生成物を得るために、連続溶解にさらなる精製ステップを組み合わせる。例えば、凝集除去(溶解物の濾過、沈殿、遠心分離)、イオン交換クロマトグラフィ(陽イオン交換又は陰イオン交換)、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィの内の少なくとも1つと組み合わせられる。ある実施形態では、連続溶解の後に、イオン交換クロマトグラフィ、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィが、その順番で行われる。他の実施形態では、連続溶解の後に、溶解物の濾過、イオン交換クロマトグラフィ、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィが、その順番で行われる。これらのステップは、今までにないほど高純度なpDNAを大量に作成できる、正確に拡張可能なプラスミド製造プロセスを可能にする。ホストDNA及びRNAも、タンパク質も、サブppmの範囲である。
また、本発明に係る方法は、前述した各ステップに加えて、SEC、逆相クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィなどのさらなるステップを含むことができる。
凝集除去は、結果として得られるpDNA産物の純度を高めるために用いられる。このステップは、沈殿物質(凝集物)の大部分を除去するのに使用される。凝集除去は、例えば、1〜5mm(好ましくは約3.5mm)の格子フィルタによって行う溶解物の濾過ステップと、濾過ステップをさらに向上させるための深層濾過によって行われる。凝集除去の他の方法は、遠心分離又は沈殿によって行われる。
イオン交換クロマトグラフィは、結果として得られるpDNA産物の純度を高めるために用いられる。不純物の性質と溶液のpHに応じて、陰イオン交換クロマトグラフィが選択される。
陰イオン交換クロマトグラフィは、結果として得られるpDNA産物の純度を高めるために用いられる。陰イオン交換クロマトグラフィは、マイナスに帯電した(又は酸性の)分子を、プラスに帯電した担体に結合させることによって作用する。イオン交換クロマトグラフィを用いることによって、分子の電荷に基づいて、前記分子を分離させることができる。この手法によって、分子群(酸性、塩基性、及び中性の)を容易に分離することができる。段階的な溶離スキームは、初期フラクションに溶離された多くの不純物と、後期フラクションに溶離されたpDNAと共に使用される。陰イオン交換は、pDNA調合液からタンパク質と内毒素を除去するのにとても効果的である。
イオン交換クロマトグラフィに関しては、充填剤及びそれの作成方法は、陰イオン交換クロマトグラフィの準備、重合化及び官能化のプロセス、及びプラスミドDNAの溶離及び分離と同様に、当該技術分野では周知である。
陰イオン交換クロマトグラフィ用の充填剤に使用されるベース物質の合成に用いられる化合物は、ベース物質が合成された後に、疎水性を示す様々な官能基、又は様々なイオン交換基を後反応によって導入できれば、どのような化合物であってもよい。単官能基モノマーの例としては、スチレン、o−ハロメチルスチレン、m−ハロメチルスチレン、p−ハロメチルスチレン、o−ハロアルキルスチレン、m−ハロアルキルスチレン、p−ハロアルキルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−o−ハロアルキルスチレン、α−メチル−m−ハロアルキルスチレン、α−メチル−p−ハロアルキルスチレン、o−ヒドロキシメチルスチレン、m−ヒドロキシメチルスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレンン、o−ヒドロキシアルキルスチレン、m−ヒドロキシアルキルスチレン、p−ヒドロキシアルキルスチレンン、α−メチル−o−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシアルキルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ドロキシエチル、及び酢酸ビニルがある。最も好ましい化合物は、芳香環上に置換されたハロアルキル基、ハロゲン(Cl、Br、I、Fなど)、及び炭素原子を2〜15個有する直鎖及び/又は分鎖飽和炭化水素である。多官能性モノマーの例としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルトルエン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、ジメタクリル酸エチレン・グリコール、ジアクリル酸エチレン・グリコール、ジメタクリル酸ジエチレン・グリコール、ジアクリル酸ジエチレン・グリコール、メチレンビスメタクリルアミド、及びメチレンビスアクリルアミドがある。多官能性モノマーの例としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルトルエン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、ジメタクリル酸エチレン・グリコール、ジアクリル酸エチレン・グリコール、ジメタクリル酸ジエチレン・グリコール、ジアクリル酸ジエチレン・グリコール、メチレンビスメタクリルアミド、及び、メチレンビスアクリルアミドがある。
様々なイオン交換基イオン交換基は、後反応によって導入される。ベース物質の作成の第1のステップでは、よく攪拌した後に、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを、適切な割合の、正確に検量された希釈剤及び溶剤で検量する。前記希釈剤及び溶剤は、粒子に形成される微細孔を調節する目的で使用される。前記孔には、正確に検量された重合開始剤が添加される。前記混合液は予め正確に検量した懸濁安定剤が溶解した水溶液に添加され、水中油型懸濁重合される。そして、攪拌することによって目的とするサイズの油滴が形成され、混合溶液を徐々に暖めることによって重合が行われる。単官能性モノマーの多官能性モノマーに対する割合は、ベース物質の粒子が柔らかくなるように、約1モルの単官能性モノマーに対して、約0.01〜0.2モルの多官能性モノマーである。重合開始剤は、特に限定されず、一般的に使用されるアゾビスタイプ及び/又は過酸化物タイプのものが用いられる。
懸濁安定剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両親媒性を有するポリマー、又はそれらの混合物などがある。そのような懸濁安定剤は、油滴同士が凝集するのを防止するために使用される。
プラスミドDNAを精製するためのイオン交換クロマトグラフィ用の充填物資の孔径は、比較的大きいことが好ましく、特に1500〜4000オングストロームの範囲であることが好ましい。イオン交換基をベース物質に導入するための表面改質は、当該技術分野では周知である。
イオン交換クロマトグラフィには、2つのタイプの溶離剤が使用される。第1の溶離剤は低濃度の塩を含んでおり、第2の溶離剤は高濃度の塩を含んでいる。溶離方法は、第1の溶離剤から第2の溶離剤へと段階的に切り替える。そして、勾配溶離方法は、組成物を第1の溶離剤から第2の溶離剤へと連続的に変化させる。イオン交換クロマトグラフィのための前記溶離に一般的に使用される緩衝剤及び塩を用いることができる。低濃度の塩を含んでいる第1の溶離剤としては、緩衝剤の濃度が10〜50mMで、pH値が6〜9の水溶液が特に好ましい。高濃度の塩を含んでいる第2の溶離剤としては、緩衝剤の濃度が0.1〜2Mのナトリウム塩が溶離液組成に加えられた水溶液が特に好ましい。ナトリウム塩としては、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムを用いることができる。
さらに、例えば、大腸菌の溶解物内にあるDNA分解酵素によるプラスミドの分解を抑制するためのエチレンジアミン4酢酸などの、2価金属イオン用のキレート剤を使用することができる。2価金属イオン用のキレート剤の濃度は、好ましくは、0.1〜100mMである。
様々な市販の陰イオン交換マトリックスが本発明での使用に適している。そのような陰イオン交換マトリックスとしては、これらに限定されないが、POROS Anion Exchange Resins、Qiagen、Toso Haas、Sterogene、Spherodex、Nucleopac、及びPharmaciaから入手できるものがある。例えば、カラム(Poros II PI/M, 4.5mm×100)は、初めは、pH7.5及びO.7MのNaCIで、20mMのBis/TRISプロパンによって平衡化されている。サンプルは、同じ初めの緩衝材によって、ロードされ洗浄される。約25カラム体積内の0.5M〜0.85M NaClの溶離勾配がその後適用され、破片が回収される。好ましい陰イオン交換マトリックスとしては、Fractogel TMAE HiCapがある。
また、本発明は、核酸及び/又はプラスミドDNAの分離及び精製方法を提供する。前記方法は、核酸を効率的に取得するために、また、高純度の核酸を大量に取得するために、陰イオン交換クロマトグラフィとトリプルヘリックス親和性クロマトグラフィとを組み合わせて行うステップを含んでいる。
トリプルヘリックス親和性クロマトグラフィは、特に、米国特許第6,319,672号及び第6,287,762号と、国際特許出願WO02/77274に説明されている。
トリプルヘリックス親和性クロマトグラフィは、二本鎖DNA内のオリゴヌクレオチド及び標的配列の特有のハイブリダイゼーション(hybridization)に基づいている。前記オリゴヌクレオチドは、次の塩基を含み得る。
チミン(thymine:T)。二本鎖DNAのA.Tダブレットと共に、トリプレットを形成することができる(Rajagopal et al. , Biochem 28 (1989) 7859)。
アデニン(adenin:A)。二本鎖DNAのA.Tダブレットと共に、トリプレットを形成することができる。
グアニン(guanine:G)。二本鎖DNAのG.Cダブレットと共に、トリプレットを形成することができる。
プロトン化されたシトシン(protonated cytosine:C+)。二本鎖DNAのG.Cダブレットと共に、トリプレットを形成することができる(Rajagopal et al. , loc. cit.)。
ウラシル(uracil:U)。A.U又はA.T塩基対Tダブレットと共に、トリプレットを形成することができる。
好ましくは、オリゴヌクレオチドはシトシンリッチなホモピリミジン配列を含んでおり、DNA内に存在する前記特定配列は、ホモプリン−ホモピリミジン配列である。シトシンの存在により、三重らせん(トリプルへリックス)を持つことができる。三重らせんは、シトシンがプロトン化される酸性pHで安定し、シトシンが中和されるアルカリpHで不安定になる。
DNA内にあるオリゴヌクレオチド及び特定配列は、好ましくは、三重らせんの形成を可能にするために相補的である。十分に相補的なオリゴヌクレオチドと特定配列を使用することによって、最大の生産及び最大の選択性が得られる。そのような例としては、オリゴヌクレオチド・ポリ(CTT)と特定配列ポリ(GAA)がある。好ましいオリゴヌクレオチドは、5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(GAGG(CTT)7)配列(SEQ ID NO:1)を持っている。GAGG塩基は三重らせんを形成しないが、オリゴヌクレオチドが結合腕である配列(CTT)7から分離することを可能にする。これらのオリゴヌクレオチドは、相補的ユニット(GAA)を含んでいる特定配列と共に三重らせんを形成することができる。その問題になっている配列は、特に、7、14又は17GAAユニットを含む領域である(詳しくは実施例で後述する)。
他の特定配列としては、5’−AAGGGAGGGAGGAGAGGAA−3’配列(SEQ ID NO:2)がある。この配列は、オリゴヌクレオチド5’−AAGGAGAGGAGGGAGGGAA−3’(SEQ ID NO:3)又は5’−TTGGTGTGGTGGGTGGGTT−3’(SEQ ID NO:4)と共に三重らせんを形成する。この場合、オリゴヌクレオチドはポリプリン・ストランドに対して逆平行方向に結合する。これらの三重らせんは、Mg2+の存在下でのみ安定する(Vasquez et al., Biochemistry, 1995, 34, 7243-7251; Beal and Dervan, Science, 1991, 251, 1360-1363)。
上述したように、特定配列は、二本鎖DNA内に自然に存在する配列、又は後ほど人為的に導入された合成配列である。二本鎖DNA(例えば、プラスミドの複製起点又は標識遺伝子)内に自然に存在する配列と共に三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドを使うことが特に好ましい。この点に関しては、配列分析によって、これらのDNAのある領域(特に複製起点)は、ホモプリン−ホモピリミジン領域を持つことができることが知られている。天然のホモプリン−ホモピリミジン領域と共の三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドの合成は、好都合なことに、本発明に係る方法を、未修飾プラスミド(特にpUC、pBR322、pSVタイプなどの市販プラスミド)に適用することを可能にする。
二本鎖DNA内に自然に存在するホモプリン−ホモピリミジン配列の内で、大腸菌プラスミドColElの複製起点に存在している5’−CTTCCCGAAGGGAGAAAGG−3’配列(SEQ ID NO:5)の全部又は一部を含んでいる配列について説明する。三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドは、5’−GAAGGGCTTCCCTCTTTCC−3’配列(SEQ ID NO:6)を持っており、二重らせんの2つのストランドと交互に結合する。このことについては、BealとDervanによる「J. Am. Chem. Soc. 1992, 114,4976-4982」、及び、JayasenaとJohnstonによる「Nucleic Acids Res. 1992,20, 5279-5288」に記載されている。また、プラスミドpBR322 βラクタマーゼ遺伝子の5’−GAAAAAGGAAGAG−3’配列(SEQ ID NO:7)についても言及されている(Duval-Valentin et al. , Proc. Natl.Acad Sci. USA, 1992, 89, 504-508)。
特定のオリゴヌクレオチドと共に特定のトリプレックス構造を作成するのに適切した標的配列が、プラスミドColElの複製起点及びプラスミドpCORに存在することが確認されている。pCORプラスミドは、条件付き複製起点のプラスミドであり、特に、US2004/142452及びUS2003/161844に記載されている。ColEl由来プラスミドは、プラスミド複製に含まれているRNA−11転写物の上流にマップされた、12−merのホモプリン配列(5’−AGAAAAAAAGGA−3’)(SEQ ID NO:8)を含んでいる(Lacatena et al., 1981, Nature, 294, 623)。この配列は、12−merの相補的な5’−TCTTTTTTTCCT−3’(SEQ ID NO:9)オリゴヌクレオチドと共に、安定した三重らせん構造を形成する。pCORバックボーンは、pCORのγオリジナル・レプリコンのA+Tリッチセグメントに位置する14の非反復塩基(5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’)(SEQ ID NO:10)のホモプリン・ストレッチ(homopurine stretch)を含んでいる(Levchenko et al., 1996, Nucleic Acids Res., 24, 1936)。この配列は、14−merの相補的な5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(SEQ ID NO:11)と共に、安定した三重らせん構造を形成する。対応するオリゴヌクレオチド5’−TCTTTTTTTCCT−3’(SEQ ID NO:9)及び5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(SEQ ID NO:11)は、ColEl ori又はpCOR(ori γ)の複製起点に位置する前記各配列の相補配列を、効果的に及び特異的に標的にする。実際、三重らせんの完全な不安定化によって単一の非標準トリアッド(triad)(T*GC又はC*AT)が生じる。
プラスミドの複製起点又は標識遺伝子内に存在する配列と共に三重らせんを形成することができるオリゴヌクレオチドは、前記複製起点又は標識遺伝子を含んでいる任意のDNAを精製することができるので、前記オリゴヌクレオチドを使用することは特に好ましい。したがって、プラスミドや二本鎖DNAの中に人工的な特異配列を組み込むために、プラスミドや二本鎖DNAを修飾する必要はない。
また、完全に相補的な配列が好ましいが、親和性の著しい損失をもたらさないという条件付で、DNA内に存在するオリゴヌクレオチド配列と配列との間のいくつかの不一致は容認されている。大腸菌βラクタマーゼ遺伝子内に存在する5’−AAAAAAGGGAATAAGGG−3’配列(SEQ ID NO:12)について説明する。ポリプリン配列をインタラプトするチミンは、第3ストランドのグアニンによって認識され、その結果、2つのT*ATトリプレットが側面に位置した際に安定するG*TAトリプレットを形成する(Kiessling et al., Biochemistry, 1992,31, 2829-2834)。
特定の実施形態では、本発明に係るオリゴヌクレオチドは、配列(CCT)n、配列(CT)n、又は配列(CTT)nを含む(nは1から15の間の整数である)。配列(CT)n、又は配列(CTT)n配列を使用することが特に好ましい。出願人は、実質的に、精製量はオリゴヌクレオチド内に含まれるCの量によって影響されることを明らかにしている。特に、実施例7に示すように、オリゴヌクレオチドのシトシン含有量が少ないときに、精製量は増加する。また、本発明に係るオリゴヌクレオチドは、(CCT)、(CT)、又は(CTT)ユニットと結合できることが理解されよう。
オリゴヌクレオチドは、天然(未修飾DNA天然塩基)又は化学的に修飾されている。特に、オリゴヌクレオチドは好適にはある化学的修飾を有し、自身のヌクレアーゼに対する耐性或いは防御を、又は特定配列に対する親和性を向上させることができる。また、オリゴヌクレオチドは、核酸への抵抗を高める目的で骨格が修飾された、任意の結合された一連のヌクレオシドを意味すると考えられている。可能性のある修飾の内、DNAと共に三重らせんを形成できるオリゴヌクレオチド・ホスホロチオエート(Xodo et al., Nucleic Acids Res., 1994,22, 3322-3330)や、フォルマセタル(formacetal)又はメチルホスホン酸骨格を有するオリゴヌクレオチドについて言及されている(Matteucci et al., J. Am. Chem. Soc., 1991, 113, 7767-7768)。また、ヌクレオチドのアノマーと合成された、DNAと三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドを使用することも可能である(Le Doan et al., Nucleic Acids Res., 1987, 15, 7749-7760)。骨格の他の修飾としては、ホスホロジアミデート結合がある。例えば、GryaznovとChenによって開示されている、特に安定した三重らせんを形成するオリゴヌクレオチドを与えるN3´−P5´ヌクレオチド間ホスホロジアミデートについて言及されている。(J. Am. Chem. Soc., 1994,116, 3143-3144)骨格の他の修飾の内、2’−O−メチルリボース、ホスホジエステルなどのリボヌクレオチドの使用について言及されている(Sun and Helene, Curr. Opinion Struct. Biol., 116, 3143-3144)。そして、リンをベースにした骨格は、三重らせんを形成することができるPNA(peptide nucleic acid:ペプチド核酸)などで、ポリアミド骨格と置換される(Nielsen etal., Science, 1991, 254, 1497-1500; Kim et al., J. Am. Chem. Soc., 1993, 115, 6477-6481)。あるいは、リンをベースにした骨格は、DNG(deoxyribonucleic guanidine:デオキシリボ核のグアニジン、Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 1995, 92, 6097-6101)などで、又は三重らせんを形成するDNAのポリカチオン性の類似物によって置換される。
また、第3ストランドのチミンを、DNAに対すオリゴヌクレオチドを向上させる5−ブロモウラシルによって置換することもできる(Povsic and Dervan, J. Am. Chem. Soc. , 1989,111, 3059-3061)。また、第3ストランドは、7−デアザ−2´−デオキシキサントシン(Milligan et al. , Nucleic Acids Res., 1993,21, 327-333)、1−(2−デオキシ−p−D−リボフラノシルアデニン)−3−メチル−5−アミノ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−ワン(Koh and Dervan, J. Am. Chem. Soc., 1992, 114, 1470-1478)、8−オキソアデニン、2−アミノプリン、2’−O−メチルプシュードイソチジン(methylpseudoisocytidine)、又は当業者に周知の他の任意の修飾(Sun and Helene, Curr. Opinion Struct.Biol., 1993,3, 345-356を参照されたい)などの非天然塩基を含み得る。
他の種類のオリゴヌクレオチド修飾は、特に、オリゴヌクレオチドと特定配列との間の相互作用及び/又は親和性を向上させるという目標を持っている。特に、メチル化されたオリゴヌクレオチドは、中性に近いpH範囲(>5)で特定配列と安定した三重らせんを形成するという注目すべき性質を示す。したがって、従来のオリゴヌクレオチドよりも高いpH値で、すなわち、プラスミドDNAが変性する危険性がより小さいpH値で、作用することが可能である。
本発明に係る方法で使用されるオリゴヌクレオチドの長さは5から30の間である。オリゴヌクレオチドの長さが10塩基よりも大きいものが好適に使用される。オリゴヌクレオチドの長さは、それぞれの場合に、望ましい相互作用の選択性及び安定性に適合するように、当業者によって調節される。
本発明に係るオリゴヌクレオチドは、任意の公知の手法によって合成される。特に、核酸合成装置を用いて作成される。もちろん、当業者に周知である他の方法を用いることもできる。
担体に共有結合できるようにするため、オリゴヌクレオチドは通常は官能化される。したがって、5’又は3’位置で、チオール、アミン、又はカルボキシル末端基によって修飾される。特に、チオール、アミン、又はカルボキシル基を付け足すことにより、例えば、オリゴヌクレオチドを、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボキシル、エステル、エポキシド、臭化シアン又はアルデヒド機能を支持する担体に結合させることができる。これらの結合は、オリゴヌクレオチドと担体との間のジスルフィド、チオエーテル、エステル、アミド、又はアミノ結合の確立によって形成される。例えば二官能性結合試薬などの、当業者に周知である他の方法を使用することもできる。
さらに、結合したオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションを向上させるために、オリゴヌクレオチドは、塩基の「アーム」又は「スペーサ」配列を含んでいることが好ましい。実際に、オリゴヌクレオチドを担体と選択された距離で結合させるためのアームの使用によって、DNAとの相互作用の状態を向上させることができる。前記アームは、好適には、1〜18個、好ましくは6又は12個の(CH2)基と、カラムへの結合を可能にするアミンを含んでいる炭素線状鎖から構成される。このアームは、オリゴヌクレオチド、又はハイブリダイゼーションを妨げない塩基から成る「スペーサ」のリン酸塩と結合する。したがって、「スペーサ」は、プリン塩基から構成することができる。一例としては、「スペーサ」はGAGG配列から構成することができる。アームは、6又は12個の炭素原子を含んでいる炭素線状鎖から構成することが好ましい。
三重親和性クロマトグラフィは、RNAとゲノムDNAを取り除くのに、とても効率的である。これらは、カラムにまとめてプレパックされた官能化されたクロマトグラフィ担体、官能化されたプラスチック表面、又は官能化されたラテックスビーズ、又は磁石などであり得る。クロマトグラフィ担体を使用することが好ましい。使用可能なクロマトグラフィ担体の例としては、アガロース、アクリルアミド或いはデキストラン(又はそれらの派生物。例えば、セファデックス、セファロース、スーパーロースなど)、ポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)などのポリマー、グラフト化又は非グラフト化シリカなどがある。このクロマトグラフィ・カラムは、拡散又はかん流モードで動作することができる。
精製量をより向上させるためには、プラスミドDNAに、いくつかの位置がオリゴヌクレオチドによってハイブリダイゼーションされた配列を使用することが非常に有益である。いくつかのハイブリダイゼーション位置の存在は、前記配列とオリゴヌクレオチドとの間の相互作用を実質的に促進し、前記相互作用によって精製量は向上する。したがって、n回繰り返された(CCT)、(CT)又は(CTT)モチーフを含んでいるオリゴヌクレオチドに対しては、少なくともn個の相補的モチーフを含んでいる、好ましくはn+1個の相補的モチーフを含んでいるDNA配列を使用することが好ましい。したがって、n+1個の相補的モチーフを持っている配列には、オリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする位置が2つある。有利には、DNA配列には、オリゴヌクレオチドとハイブリダイゼーションする位置を最大11個含んでいる。すなわち、+10個の相補的モチーフを含んでいる。
本発明に係る方法は、いかなる種類の二本鎖DNAを精製にも使用することができる。後述するが、例えばプラスミドなどの環状DNAは、一般的に、1つ又は複数の治療上重要な遺伝子を持っている。このプラスミドもまた、複製基点、標識遺伝子などを持っている。本発明に係る方法は、細胞溶融物に直接適用することができる。この実施形態では、形質転換によって増幅された後、細胞培養されたプラスミドは、細胞を溶融した直後に精製される。また、本発明に係る方法は、溶融物、すなわち細胞溶融物の中和及び遠心分離後に得られる上清を取り除くのに適用される。また、本発明に係る方法は、もちろん、公知の方法により事前に精製された溶液に適用することができる。また、この方法は、異なる配列を持っているDNAを含んでいる混合物から、重要な配列を持っている線状又は環状DNAを精製することを可能にする。また、本発明に係る方法は、二本鎖DNAの精製に使用することもできる。
細胞溶融物には、原核性溶融物と真核性溶融物がある。原核性溶融物としては、細菌、大腸菌、サブチリシン、ネズミチフス菌、又はストレプトマイシンがある。真核性溶融物としては、動物細胞、酵母、菌類などがあり、詳しくは、クルイフェロミケス又はサッカロミケス酵母、COS、CHO、C127、NIH3T3などの細胞がある。
少なくとも三重親和性クロマトグラフィのステップを含んでいる本発明に係る方法は、高純度のpDNA生成物を作成するのに使用される。三重親和性クロマトグラフィでは、オリゴヌクレオチドは、クロマトグラフィ樹脂又は他のマトリックスなどの担体に結合される。その後、サンプルを、結合されたオリゴヌクレオチドと混合される。混合は、例えば、サンプルを、クロマトグラフィ樹脂に結合されたオリゴヌクレオチドを含んでいるクロマトグラフィ・カラムに塗布することにより行う。サンプル内の目的とするプラスミドは、トリプレックスを形成するオリゴヌクレオチドと結合する。オリゴヌクレオチドとプラスミドとの間の結合は、フーグスティーン型結合である。このステップは、pH5未満、高塩濃度、20分以上の接触時間で起こり得る。また、洗浄ステップが用いられる。最終的に、オリゴヌクレオチド結合樹脂からプラスミドを溶出するための中性緩衝液内で、シトシンの脱プロトン化が起こる。
本発明の最も好ましい実施形態では、核酸及び/又はプラスミドDNAの分離及び精製プロセスは、イオン交換クロマトグラフィ、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィを組み合わせたステップを含んでいる。
疎水相互作用クロマトグラフィは、精製するサンプル内の分子内の疎水性領域を引き付けるのに、基板上に疎水性部分を用いる。これらのHIC担体は、「クラスタリング」効果によって機能し、これらの分子が会合したとき、共有又はイオン結合が形成又は共有されないことに留意されたい。疎水相互作用クロマトグラフィは、開環プラスミド形態及び/又は他の不純物(gDNA、RNA、内毒素など)を非常に効率良く除去するので、有益である。疎水相互作用クロマトグラフィ用のベース物質の合成、疎水相互作用クロマトグラフィの準備・重合・官能化、及びプラスミドDNAの溶出・分離は、当該技術分野では周知であり、米国特許第6,441,160号に開示されている(この参照により本発明に含まれるものとする)。
疎水相互作用クロマトグラフィ用の充填物質に使用されるベース物質の合成に用いられる化合物は、ベース物質が合成された後に、疎水性を示す様々な官能基又は様々なイオン交換基を後反応によって導入することができるならば、どのような化合物であってもよい。単官能基モノマーの例としては、スチレン、o−ハロメチルスチレン、m−ハロメチルスチレン、p−ハロメチルスチレン、o−ハロアルキルスチレン、m−ハロアルキルスチレン、p−ハロアルキルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−o−ハロアルキルスチレン、α−メチル−m−ハロアルキルスチレン、α−メチル−p−ハロアルキルスチレン、o−ヒドロキシメチルスチレン、m−ヒドロキシメチルスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレンン、o−ヒドロキシアルキルスチレン、m−ヒドロキシアルキルスチレン、p−ヒドロキシアルキルスチレンン、α−メチル−o−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシアルキルスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシアルキルスチレン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ドロキシエチル、及び、酢酸ビニルがある。最も好ましい化合物は、芳香環上に置換されたハロアルキル基、ハロゲン(Cl、Br、I、Fなど)、及び炭素原子を2〜15個有する直鎖及び/又は分鎖飽和炭化水素である。
多官能性モノマーの例としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルトルエン、ジビニルナフタレン、トリビニルナフタレン、ジメタクリル酸エチレン・グリコール、ジアクリル酸エチレン・グリコール、ジメタクリル酸ジエチレン・グリコール、ジアクリル酸ジエチレン・グリコール、メチレンビスメタクリルアミド、及び、メチレンビスアクリルアミドがある。
様々な疎水性官能基又は様々なイオン交換基は、後反応によって導入される。ベース物質自身が示す疎水性によって分離するのに望ましい目的生成物に対する、又は塩濃度の変化及びpH値の変化によるベース物質自身の膨張又は収縮に対する影響を最小限に抑えるために、ベース物質は、好ましくは比較的に親水性を持つモノマー(例えば、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、ヒドロキシメタクリル酸、酢酸ビニル)を用いて作成される。ベース物質の作成は、よく攪拌した後に、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを、適切な割合の、正確に検量された希釈剤及び溶剤で検量する第1のステップを含んでいる。前記希釈剤及び溶剤は、粒子に形成され、正確に検量された重合開始剤が添加された微細孔を作成する目的で使用される。前記混合液は予め正確に検量した懸濁安定剤が溶解した水溶液に加えられた後、水中油型懸濁重合される。そして、攪拌することによって目的サイズの油滴が形成され、混合溶液を徐々に暖めることによって重合が行われる。
単官能性モノマーの多官能性モノマーに対する割合は、約1モルの単官能性モノマーに対して、約0.01〜0.2モルの多官能性モノマーである。このような割合にすると、柔らかい粒子のベース物質が得られる。硬い粒子のベース物質を得るためには、多官能性モノマーの割合を、約0.02〜0.5モルに増やす。前記粒子をさらに硬くするためには、多官能性モノマーのみを使用する。
重合開始剤は、特に限定されず、一般的に使用されるアゾビスタイプ及び/又は過酸化物タイプが用いられる。
懸濁安定剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両親媒性を有するポリマー、又はそれらの混合物などがある。そのような懸濁安定剤は、油滴同士が凝集するのを防止するために使用される。
形成された粒子の直径は、一般的に約2〜500μmである。形成された粒子の直径は、好ましくは2〜30μmであり、より好ましくは約2〜10μmである。高純度核酸の大量精製を目指す場合は、粒子の直径は約10〜100μmであり、目的生成物を未精製の原液から分離する際は、粒子の直径は約100〜500μm、より好ましくは200〜400μmである。粒子直径を調節するために、重合中に攪拌器の回転速度が調整される。小径の粒子が必要な場合は回転数を増加させ、大きい粒子を所望する場合は回転数を減少させる。用いられる希釈剤は形成された粒子の微細孔を作成するのに使用されるので、希釈剤の選択は特に重要である。基本概念では、重合に使用される溶剤の調節は、モノマーにとって貧溶媒である溶剤と、モノマーにとって良溶媒である溶剤とを様々に組み合わせることによって行われる。孔の直径サイズは、分離するように設計された核酸の分子サイズに基づいて適切に選択される。しかし、疎水相互作用クロマトグラフィの充填剤用には、500〜4000オングストロームの範囲であることが好ましく、イオン交換クロマトグラフィの充填剤用には、1500〜4000オングストロームの範囲であることが好ましい。
核酸を疎水性の違いによって、好ましくは異なる疎水性を有する充填剤を利用して分離する疎水相互作用クロマトグラフィでは、ベース材料の表面改良が重要である。
長鎖又は分鎖から選択される疎水基は、2〜20個の炭素原子を有する飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基を含んでいる。また、芳香環が、炭化水素基中に含まれていることもある。
ただし、nは0から約20であり、メチレン基は直鎖又は分鎖であり。また、mは0から約3であり、炭化水素基は直鎖又は分鎖である。また、AはC=O基又はエーテル基である。ただし、メチレン基は、Aを介さずに、ベース物質と直接的に結合している。
疎水基は、繰り返し単位は0〜20であり、炭素原子が2〜20個のアルキレン・グリコールのエーテル基をさらに含み得る。そして、ベース材料と反応する官能基の反対端は、そのままに残された、又は炭素原子が1〜4個のアルキル基と結合するOH基である。
上述した疎水基は、表面を改質するために、単一で又は混合して使用される。
プラスミドなどの低疎水性には、炭素原子を6〜20個持っているアルキル基の鎖が好ましい。また、人間及び動物の細胞内の大腸菌及びRNAに由来するRNAなどの高疎水性化合物を分離するのには、炭素原子を2〜15個持っているアルキル基の長鎖が好ましい。また、人間及び動物の細胞内の大腸菌及びDNAに由来するDNAなどの疎水性が比較的低い化合物を分離するための、炭素原子数が4〜18のアルキル基が好ましい。
これらの化合物を分離するためには、前記例に限定されることなく、化合物は表面を改質するために適切なものが選択される。実質的に、充填剤の疎水性の程度は、培地中の塩濃度又は吸着用の溶離剤中の塩濃度に応じて変化する。さらに、充填剤の疎水性の程度は、ベース物質中に導入される基の量に応じて変化する。
疎水相互作用クロマトグラフィ用のベース物質の孔径は、特に、500〜4000オングストロームであることが好ましく、分離する核酸の分子サイズに応じて前記範囲から適切に選択される。一般に、充填剤の核酸保持率及び吸収能力(サンプルを導く)は、孔径に応じて異なるが、分子サイズが大きい核酸に対しては、孔径が大きいベース物質を使用し、分子サイズが小さい核酸に対しては、孔径が小さいベース物質を使用することが好ましい。例えば、スチレンベース物質は、ハロゲン含有化合物及び/又はハロゲン化カルボニル及び触媒(FeCI3、SnCl2、AlCl3など)を使用し、フリーデル・クラフト反応によって、アルキル基の長鎖を含んでいる疎水基と反応し、ベース物質の芳香環に、ジハロゲン化化合物及び/又はアシル化化合物として直接的に加えることが可能である。ベース物質が特にハロゲン基を含んでいる場合、例えば、付加される官能基にOHが含まれている化合物(ブタノールなど)を使用して、アルカリ触媒(NaOH、KOHなど)とのウィリアムソン反応を利用する場合、エーテル結合を介して官能基に導入することが可能である。この場合、アミノ基含化合物(ヘキシルアミンなど)に加えたい官能基は、アルカリ触媒(NaOH、KOHなど)を使用し、ジハロゲン酸反応を利用して、加えることが可能である。ベース物質がOH基を含有している場合、逆に、事前に、加えたい官能基にエポキシ基、ハロゲン基、又はハロゲン化カルボニル基を導入する場合は、エーテル又はエステル結合を介して官能基を導入することが可能である。ベース物質がエポキシ基を含有している場合、もし、加えたい官能基に含まれるOH基又はアミノ基を有する化合物と反応させると、エーテル又はアミド結合を介して官能基を導入することができる。さらに、加えたい官能基がハロゲン基を含有している場合は、酸触媒を使用して、エーテル結合を介して官能基を導入することができる。ベース物質に導入される官能基の割合は、分離対象となる生成物の疎水性に影響されるので、限定されるものではないが、一般に、乾燥させたベース物質1gに約0.05〜40mmolの官能基が加えられる充填物質が適している。表面改質に関しては、ベース物質又は粒子の形成後に、官能基を後反応によって加える方法は、前述したとおりである。表面改質は、同じ方法、すなわち、重合前に加えられた前記官能基を有するモノマーを使用して、ベース物質が重合後に形成される方法によって行われる。
ベース物質としては、多孔質シリカゲルを用いることもできる。シリカゲルの製造方法は、例えば、「"Latest High-Speed Liquid Chromatography", page 289ff. (written by Toshio Nambara and Nobuo Ikegawa, published by Tokyo Hirokawa Bookstore in 1988)」に開示されている方法に従って製造された粒子上に直接置かれたアルキルトリメトキシシランなどの化合物を使用したシラン結合を含む。エポキシ基含有シラン結合剤を使用したシラン結合の前又は後に、前述した方法によって官能基を加えることができる。導入される官能基の割合は、乾燥させたベース物質1gに対して約0.05〜4.0mmolが適している。
溶離剤は、疎水相互作用クロマトグラフィの分離又は精製ステップに使用される。一般に、2つのタイプの溶離剤が使用される。第1の溶離剤は高濃度の塩を含んでおり、第2の溶離剤は低濃度の塩を含んでいる。溶離法は、第1の溶離剤から第2の溶離剤へと段階的に切り替える。そして、勾配溶離法は、組成物を第1の溶離剤から第2の溶離剤へと連続的に変化させる。疎水相互作用に一般的に使用される緩衝剤及び塩が用いられる。高濃度の塩を含んでいる溶離剤としては、緩衝剤の濃度が1.0〜4.5Mで、pH値が6〜8の水溶液が特に好ましい。低濃度の塩を含んでいる第2の溶離剤としては、緩衝剤の濃度が0.01〜0.5Mで。pH値が6〜8の水溶液が特に好ましい。一般的に、塩としては、硫酸アンモニウム及び硫酸ナトリウムを使用することができる。
疎水相互作用クロマトグラフィのプラスミドDNA精製ステップは、次々と、弱疎水性の官能基が導入された充填物質を、強疎水性の官能基が導入された充填物質と混合させることにより行われる。実質的に、大腸菌が培養された培地は、様々な疎水性の異なる成分(多糖類、大腸菌ゲノムDNA、RNAプラスミド、及び/又はタンパク質)を大量に含んでいる。また、核酸同士でさえ、疎水性が異なることが知られている。不純物となるタンパク質は、プラスミドよりも疎水性が高い。
疎水相互作用クロマトグラフィ樹脂は、Fractogelプロピル、Toyopearl、Sourceイソプロピル、又は疎水基を有するその他の樹脂など数多く市販されている。最も好ましい樹脂は、Toyopearlバルク重合培地である。Toyopearlは、物理的及び化学的安定性の高いメタクリル酸ポリマーである。樹脂は、非官能化「HW」シリーズとして入手可能であり、イオン交換クロマトグラフィ又は疎水相互作用クロマトグラフィ用の界面化学によって誘導体化される。異なる界面化学及び疎水性レベルの特性を有する、4つのタイプのToyopearl HIC樹脂を使用することができる。Toyopearl HIC樹脂の疎水性は、エーテル、フェニル、ブチル及びヘキシルのシリーズを介して増加する。1000オングストロームの孔径を有する好ましいToyopearl HIC樹脂(Toyopearl HW-65など)の構造を下に示す。
上述したToyopearl樹脂の粒子サイズは様々である。Toyopearl 650Cの粒子サイズは約50〜150μmであり、好ましくは約100μmである。Toyopearl 650Mの粒子サイズは約40〜90μmであり、好ましくは約65μmである。Toyopearl 650Sの粒子サイズは約20〜50μmであり、好ましくは約35μmである。粒子サイズは、分解能力に影響を与えることは周知である。分解能力は、粒子サイズが小さくなるほど向上する。すなわち、分解能力は、S、M、Cの順に高い。本発明に係る分離及び精製プロセス中のHIC(疎水相互作用)クロマトグラフィ・ステップに使用されるもっとも好ましいToyopearl樹脂は、Tosoh Bioscienceから市販されているToyopearl 650Sである。
好ましい実施形態では、さらなる透析濾過ステップが行われる。標準的な市販されている透析濾過物質は、当該技術分野では周知の標準的な方法によって、このプロセスで使用するのに適している。好ましい透析濾過方法は、プラスミドのサイズに応じた、30,000〜50,000の範囲の分画分子量を有する限外濾過膜を使用した透析濾過である。この透析濾過ステップは、その後、緩衝液交換及び濃縮が行われることを可能にする。ステップ12の溶出は、約2.5〜3.0mg/mLの標的濃度への接線流濾過作用(膜区画、30kDa)によって3〜4フォルドに濃縮される。そして、濃縮物は、透析濾過によって10容積の食塩水と共に、一定容積で緩衝液交換され、食塩水によって標的プラスミド濃度に調節される。NV1FGF濃度は、濃縮物のサンプルの260nmでの吸収度から算出される。NV1FGF溶液は、0.2μmのカプセルフィルターによって濾過した後、いくつかのアリコートに分けられる。アリコートは、次の処理までの間、容器中で、2〜8℃の涼しい場所で保存される。このことにより、スーパーコイル状のプラスミドの濃度が約70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び好ましくは99%のプラスミドDNAを有する精製された濃縮物を生成する。このプロセスによる全部のプラスミドの回収は、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%及び80%であり、平均的な回収は60%である。
この実施形態では、透析濾過ステップは次の条件に従って行われる。ステップ(a)及び(b)は、緩衝装置を使用して行う。
(i)12.5〜13.0容積の、50mMのTris/HCI、150mMのNaCI、pH7.4(バッファI)に対しての第1の透析濾過(ステップa)、及び
(ii)ステップaからの残余ガス(retentate)の、3.0〜3.5容積の塩類賦形剤(150mMのNaCI)に対しての第2の透析濾過(ステップb)。この好ましい本発明に係る透析濾過ステップは、硫酸アンモニウム及びEDTAを効率的及び広範囲に除去する。また、この透析濾過ステップの後で、適切な生理学的なNaCI濃度(約150mM)及び最終的に1mM以下のTris濃度(200μM〜1mM)が得られる。
(i)12.5〜13.0容積の、50mMのTris/HCI、150mMのNaCI、pH7.4(バッファI)に対しての第1の透析濾過(ステップa)、及び
(ii)ステップaからの残余ガス(retentate)の、3.0〜3.5容積の塩類賦形剤(150mMのNaCI)に対しての第2の透析濾過(ステップb)。この好ましい本発明に係る透析濾過ステップは、硫酸アンモニウム及びEDTAを効率的及び広範囲に除去する。また、この透析濾過ステップの後で、適切な生理学的なNaCI濃度(約150mM)及び最終的に1mM以下のTris濃度(200μM〜1mM)が得られる。
この透析濾過ステップを使用して得られるプラスミドDNA組成物は、塩類賦形剤(NaCIなど)と、pH値を7〜7.5に保持又は作成するための適切な濃度のTris緩衝液を含有している。本発明に係るプラスミドDNA組成物は、プラスミドDNAは意外なことに5〜25℃で、長期間、安定した非分解性の形態で保存されるので、特に有益である。
上述したように、本発明に係る分離方法によれば、従来の方法よりも簡単な操作によって、高純度プラスミドDNAが大量に得られる。
プラスミドを生成するプロセスは、上述した連続的溶解方法(又は当該技術分野では周知の他の溶解方法)の後に行われる。例えば、プラスミドを含んでいる微生物細胞の貫流加熱溶解(flow-through heat lysis)が使用される。この方法は、国際公開WO96/02658号に開示されている。10フィート×0.25インチO.D.ステンレス鋼管から成る特別な熱交換器がコイル中に成形される。コイルは、常時高温の水槽中に完全に浸される。コイルのホールドアップ体積は約50mLである。温度計及び温度計は入口温度、出口温度、及び水槽温度をそれぞれ測定するのに使用される。生産物の流れは、シリコンチューブを有するMasterflex蠕動ポンプを使用して、加熱コイル中に注入される。コイルから出る細胞溶融物は、浄化するために、その後、Beckman J-21バッジ式遠心分離機によって遠心分離される。遠心分離した後、プラスミドDNAは、本発明に係る精製方法によって精製される。
他の細胞溶解は、直列に配置された静的ミキサーを使用して行うことができる。実際には、W097/23601に開示されているように、第1の静的ミキサーによって細胞を溶解させ、第2の静的ミキサーによって細胞溶融物を沈殿させる方法を、本発明に係るプラスミドDNA精製方法の前に細胞を溶解させる他の方法として用いることができる。静的ミキサーを使用して、大量の細胞を穏やかに連続的に溶解させることができる。希釈及び沈殿などの他の機能を実施すべく、他の静的ミキサーは一列に配置される。本発明に係る方法に有用である適切な静的ミキサーとしては、当該技術分野では静的又は固定ミキサーと呼ばれている、本発明のプロセスを行うのに十分な長さを有する任意の貫流装置を使用することができる。例えば、細胞を溶解させる目的では、静的ミキサーでは、ミキサー中を通過する対象細胞を溶解させるために、溶解溶液(lysing solution)と細胞との接触時間は十分な長さである必要がある。好ましい実施形態では、適切な静的ミキサーは、2つの液体を反対方法の旋回流で互いに接触させ、両液体を乱流で混合するらせん内部構造を有している。
本発明に係るプラスミドDNAの分離及び精製方法は、いかなるタイプのいかなるサイズのベクターの分離及び精製に使用できる。本発明に係る方法により分離される、約3kbのベクターバックボーン、治療遺伝子、及び隣接した調節塩基配列を含有するプラスミドDNAのサイズの範囲は、約5kb〜約50kb、好ましくは約15kb〜約50kbである。したがって、本発明に有用であるベクターバックボーンは、約10〜50kb又はそれ以上の挿入断片を運ぶことができる。挿入断片は、任意の有機体(好ましくは哺乳類のオリジン)に由来するDNAを含み得る。また、挿入断片は、治療タンパク質をエンコードしている遺伝子、調節塩基配列(プロモーター遺伝子など)、ポリアデニル化配列、エンハンサー、遺伝子座調節領域などを含み得る。治療タンパク質をエンコードしている遺伝子はゲノム起源である(そのため、ゲノム機構に反映されるようにエクソンとイントロンを含んでいる)、又は相補的DNAに由来する。そのようなベクターは、例えば、大量のコピー数の複製物を複製可能なベクターバックボーンがある。ベクターバックボーンは、治療遺伝子を挿入するためのポリリンカー、選択可能なマーカー(例えば、SupPhe tRNA)をエンコードしている遺伝子、テトラサイクリン・カナマイシン耐性遺伝子を持っており、物理的に小さいて安定している。プラスミドのベクターバックボーンは、哺乳類、他の真核性、原核生物又はウイルスのDNA断片の挿入を有利に可能にし、その結果生成されたプラスミドは生成され、インビボ又はエクスビボのプラスミド治療に使用される。本発明に係る方法によって、コピー数が比較的多いベクター(20〜40コピー/細胞から1000〜2000コピー/細胞の範囲)を分離して、精製することができる。本発明に係る方法では、例えば、pUC複製起点を含んでいるベクターが好ましい。pUC複製起点は、プラスミドDNAのより効率的な複製を可能にし、プラスミドのコピー数/細胞を10倍増にする(例えば、pBR322オリジン)。好ましくは、US2003/1618445に開示されているような又はp複製起点という条件付のプラスミドDNAは、本発明に係る方法によって分離される。その結果、大量のコピー数は、染色体DNA、RNA、細胞タンパク質、及び補因子に対するプラスミドDNAの割合を著しく増加させ、プラスミドの生産率を向上させ、ダウンストリーム精製を容易にする。
したがって、本発明には、任意のベクター(プラスミドDNA)を使用できる。代表的なベクターは、これに限定されないが、NV1FGFプラスミドを含んでいる。末梢動脈閉塞疾患(peripheral arterial occlusive disease:PAOD)又は末梢動脈閉塞疾患(peripheral arterial disease:PAD)の末期患者の治療に有用な酸性線維芽細胞増殖因子又は線維芽細胞増殖因子タイプI(FGF−1)をエンコードしているプラスミドであるNV1FGFは、安全要求事項を満たす。Camerotaら(J Vasc. Surg., 2002,35,5:930-936)は、再建不可能なPAD末期の、安静時痛と組織壊死という症状を有する51人の患者に、虚血性の子牛の大腿部に、NV1FGFを筋肉注射によって単回又は複数回投与したことを開示している。例えば、経皮酸素圧、ABI(Ankle Brachial Index)、TBI(Toe Brachial Index)、痛み評価、及び潰瘍治癒などの様々なパラメータは、その後評価される。NV1FGF投与後の、上腕血圧指数(brachial indexe)の著しい増加は、痛みを和らげ、潰瘍のサイズを小さくし、血流を向上させることが確認された。
本発明に使用可能なホスト細胞はどのような種類の細菌でもよく、グラム陽性菌(大腸菌など)とグラム陰性菌(ネズミチフス菌などの)両方を含む。また、上述したプラスミドの多数のコピー(例えば、20〜200のコピー)を保持可能な細菌を含む。本発明に使用可能な大腸菌のホスト株としては、HB101、DH1及びDH5αF、XAC−1及びXAC−lpir116、TEX2及びTEX2pir42がある(WO04/033664)。Fプラスミドはプラスミド治療薬と同時に精製されるので、一般的に、Fプラスミド又はFプラスミド派生物(例えばJM109)は好ましくない。
本発明の他の実施形態では、不純物を実質的に含んでいない又は不純物をsub-ppmの範囲でしか含んでいない、高度に純化されたプラスミドDNAを含んでいる組成物(医薬品グレードDNA)を提供する。本発明に係る医薬品グレードプラスミドDNAは、gDNA、RNA及びタンパク質不純物を、sub-ppm(0.0001%未満。すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.0001mg未満)でしか含んでいない。
前記医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、染色体DNA又はゲノムDNAを、約0.01%未満、又は0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00008%未満(<0.00008%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00008mg未満)でしか含んでいない。
前記医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、RNA不純物を、約0.01%未満、又は0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00002%未満(<0.00002%、すなわち、プラスミドDNA100mg中で0.00002mg未満)でしか含んでいない。
前記医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、タンパク質不純物を、約0.0001%未満、より好ましくは0.00005%未満でしか含んでいない。
前記医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、内毒素を、0.1EU/mg未満でしか含んでいない。
前記医薬品グレードプラスミドDNA組成物は、主に環状形状のものを含んでいる。より正確には、80%、85%、90%、95%、又は99%以上の閉環状のプラスミドDNAを含んでいる。
また、本発明は、長期間安定し室温で分解しない、研究又は人間の治療に使用されるプラスミドDNAの保存に有用なプラスミドDNA液剤を提供する。
したがって、本発明に係る安定プラスミドDNA組成物は、プラスミドDNAと、十分に希釈した緩衝溶液と、生理塩類賦形剤(saline excipient)とを含んでいる。前記緩衝溶液は、前記組成物のpHを7から7.5の間で維持するための濃度で存在している。
前記組成物のpHを7から7.5の間で維持することができる緩衝溶液は、トリス[トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン]又はリジンと、強酸(塩酸など)又は弱酸(マレイン酸、リンゴ酸、酢酸など)とを含んでいる酸/塩基系から成る。或いは、前記緩衝溶液は、HEPES[2−(4−(2−ヒドロキシエチル・ピペラジン)−1−イル)エタンスルホン酸]と強塩基(水酸化ナトリウムなど)とを含んでいる酸/塩基システムから成る。また、前記緩衝溶液は、トリス/HCl、リジン/HCl、トリス/マレイン酸、トリス/リンゴ酸、トリス/酢酸、又は、HEPES/水酸化ナトリウムから成る。
好ましくは、pHは、7と7.5の間に保たれる。より好ましくは、pHは、約7.2に保たれる。
本発明に係る組成物に使用される生理塩類賦形剤の濃度は、好ましくは100から200mMの間であり、より好ましくは約150mMである。また、生理塩類賦形剤は、酢酸塩、リン酸塩、炭酸塩、SO2− 4、Cl−、Br−、N03 −、Mg2+、Li+、Na+、K+、及びNH4 +から構成することもできる。
前記緩衝溶液のモル濃度は、限られた期間及び量で、pH値が7と7.5との間で安定させるように緩衝効果を及ぼすように決定される。したがって、本発明に係る安定して保存されるプラスミドDNA組成物は、生理塩類賦形剤と緩衝溶液とを含んでいる。前記緩衝溶液の濃度は、前記組成物のpHを7と7.5との間に保つために、1mM以下、好ましくは250μMと1mMとの間、より好ましくは400μMと1mMとの間である。
本発明に係る緩衝系の中では、濃度が400μMのトリス緩衝溶液が、特に満足のいく結果が得られ、本発明に係るプラスミド組成物に適している。
後記する実施例に示すように、本発明に係るプラスミドDNA組成物は、4℃と室温(例えば20℃又は25℃)との両方で優れた安定性を示す。特に、プラスミドDNA組成物は、4℃又は室温での、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、そして最大12ヶ月までの長期間の使用に有用である。
したがって、本発明は、プラスミドDNAと、緩衝溶液と、生理塩類賦形剤とを含んでいる組成物を提供する。前記生理塩類賦形剤は、4℃から25℃の間でプラスミドDNAを安定した形態で保存するのに十分な濃度で存在している。
また、本発明は、プラスミドDNAと、緩衝溶液と、生理塩類賦形剤とを含んでいる組成物を提供する。前記緩衝溶液は、4℃から25℃の間で、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、そして最大12ヶ月までの長期間、プラスミドDNAを安定した形態で保存するのに十分な濃度で存在している。
実際、5℃又は室温で長期間保存されるプラスミドDNAは、脱プリン及び開環速度は非常に遅く、1カ月当たり20%、15%、10%、5%、又は1%未満である。
また、本発明に係る組成物は、例えば、ポリエチレン・グリコール、プルロニック或いはポリソルベート糖、又はアルコールから成る群より選択されるポリマーなどの補助剤をさらに含み得る。
また、本発明は、組成物内のプラスミドDNAを保存する方法を提供する。前記方法は、(a)プラスミドDNAの精製サンプルを作成するステップと、(b)前記プラスミドDNAの精製サンプルを、生理食塩水賦形及び緩衝溶液と混合させるステップとを含んでいる。前記緩衝溶液は、作成された組成物のpHを7と7.5の間に保つ役割を果たす。
また、本発明は、組成物内のプラスミドDNAを20℃以下で保存する方法を提供する。この方法は、(a)プラスミドDNAの精製サンプルを作成するステップと、(b)プラスミドDNAの精製サンプルを、生理塩類賦形剤及び濃度が1mM以下又は250μMから1mMの間、好ましくは400μMの緩衝溶液と混合させるステップと、(c)プラスミドDNA組成物を約4℃から20℃の間で保存するステップとを含んでいる。
クローニング及び分子生物学の一般的な技術。
制限酵素による消化、ゲル電気泳動、大腸菌の形質転換、核酸の沈着などの分子生物学に関する従来の方法は、次の文献に開示されている。「Maniatis et al., T., E. F. Fritsch, and J. Sambrook, 1989. Molecular cloning: a laboratory manual, second edition. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York; Ausubel F. M., R. Brent, R. E. Kinston, D. D. Moore, J. A. Smith, J. G. Seidman and K. Struhl. 1987. Current protocols in molecular biology 1987-1988. John Willey and Sons, New York」
制限酵素による消化、ゲル電気泳動、大腸菌の形質転換、核酸の沈着などの分子生物学に関する従来の方法は、次の文献に開示されている。「Maniatis et al., T., E. F. Fritsch, and J. Sambrook, 1989. Molecular cloning: a laboratory manual, second edition. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York; Ausubel F. M., R. Brent, R. E. Kinston, D. D. Moore, J. A. Smith, J. G. Seidman and K. Struhl. 1987. Current protocols in molecular biology 1987-1988. John Willey and Sons, New York」
ヌクレオチド配列は、既存の方法であるチェーン・ターミネーション法(Ausubel et al., 1987)によって決定される。
制限酵素は、米国マサチューセッツ州ベバリーのNew England Biolabsから入手できる。連結反応を実施するために、DNA断片を緩衝液中で培養する。前記緩衝液は、T4ファージのDNAリガーゼ(Biolabs)の存在下で、50mMのTris−HCl(pH7.4)、10mMのMgCl2、10mMのDTT、2mMのATPを含んでいる。
オリゴヌクレオチドは、シアノエチル基によってβ位置で保護されるホスホラミダイトと化学反応するホスホラミダイトを使用して、製造会社のアドバイスにしたがってBiosearch8600DNA自動合成装置によって合成される(Sinha, N. D., J. Biernat, J. McManus and H. Koster, 1984. Polymer support oligonucleotide synthesis, XVIII: Use of, B-cyanoethyl-N, N-dialkylamino-/N-morpholino phosphoramidite of deoxynucleosides for the synthesis of DNA fragments simplifying deprotection and isolation of the final product. Nucl. Acids Res., 12, 4539-4557: Giles, J. W. 1985. Advances in automated DNA synthesis. Am. Biotechnol., Nov./Dec.)。
結紮したDNA又はそれらの形質転換の有効性が検査されるDNAは、次の株がレンダリングされたコンピーテント(competent)の形質転換に使用される。大腸菌DH5α[F/endAl、hsdR17、supE44、thi−1、recAl、gyrA96、relAl、Δ(lacZYA−arqF)U169、deoR、Φ8Odlac(lacZΔM15)](任意のCol E1プラスミドに対して)、又は大腸菌XAC−pir(任意のpCor由来プラスミドに対して)
プラスミドDNAの少量調製は、Kleinら(1980)の方法に従って行われる。
大腸菌株の培養にはLB培地が使用される(Maniatisら、1982)。菌株は37℃で培養される。細菌は、適切な抗生剤が追加されたLB培地の皿に蒔かれる。
≪実施例1≫
流速に対しての直径の調節は、連続溶解システムのコイルのレイノルズ数を計算することにより行う。以下の分析では、流体はニュートン流動すると仮定しているため、下記の表はB1に対してのみ有効であり、B2に対して一部有効である。レイノルズ数の値は、当業者に対して、衝突の仕方を明確にする。ここでは、チューブ内での流動についてのみ取り扱う(水力工学)。
流速に対しての直径の調節は、連続溶解システムのコイルのレイノルズ数を計算することにより行う。以下の分析では、流体はニュートン流動すると仮定しているため、下記の表はB1に対してのみ有効であり、B2に対して一部有効である。レイノルズ数の値は、当業者に対して、衝突の仕方を明確にする。ここでは、チューブ内での流動についてのみ取り扱う(水力工学)。
[1]非ニュートン性流体
産業面で最も一般的に出会う非ニュートン性流体は、BinghamとOstwald de Waeleとの2種類である。この場合、レイノルズ数(Re)は次のように計算する。
ReNは、一般化レイノルズ数である。
ReN=(l/(2n−3))×(n/3n+l)n×((ρ×Dn×w2−n)/m)……(1)
D:断面の内径(m)
ρ:流体の単位容積質量(kg/m3)
w:流体の空間速度(m/s)
n:流動作用指数(無次元)
m:流体の一致係数(dyn.sn/cm2)
なお、n及びmは、実験的に決定される(レオロジー的挙動の実験によって)
産業面で最も一般的に出会う非ニュートン性流体は、BinghamとOstwald de Waeleとの2種類である。この場合、レイノルズ数(Re)は次のように計算する。
ReNは、一般化レイノルズ数である。
ReN=(l/(2n−3))×(n/3n+l)n×((ρ×Dn×w2−n)/m)……(1)
D:断面の内径(m)
ρ:流体の単位容積質量(kg/m3)
w:流体の空間速度(m/s)
n:流動作用指数(無次元)
m:流体の一致係数(dyn.sn/cm2)
なお、n及びmは、実験的に決定される(レオロジー的挙動の実験によって)
[2]ニュートン性流体
式(1)の第1の部分に関しては、n及びmはμの関数なので、Re=f(内径、μ、ρ及びu)である。
Re=(u×D×ρ)/μ……(2)
ρ:流体の単位容積質量(kg/m3)
μ:流体の粘性(Pa.s,及び1mPa.s=1cP)
D:断面の内径(m)
u:平均空間速度(m/s)
式(1)でn=1で、式(2)を変形する。
Q=流速(m3/h)で、S=断面の表面領域(m2)で、cPのμが与えられれば、次の式が得られる。
Re=(4×(Q/3600)×ρ)/((μ/1000)×Π×D)……(3)
式(1)の第1の部分に関しては、n及びmはμの関数なので、Re=f(内径、μ、ρ及びu)である。
Re=(u×D×ρ)/μ……(2)
ρ:流体の単位容積質量(kg/m3)
μ:流体の粘性(Pa.s,及び1mPa.s=1cP)
D:断面の内径(m)
u:平均空間速度(m/s)
式(1)でn=1で、式(2)を変形する。
Q=流速(m3/h)で、S=断面の表面領域(m2)で、cPのμが与えられれば、次の式が得られる。
Re=(4×(Q/3600)×ρ)/((μ/1000)×Π×D)……(3)
円形の導管では、レイノルズ数が2500未満の場合は層流であり、イノルズ数が2000〜50.000の場合は水力学的に滑らかな乱流である。境界は意図的におおよそ両方のタイプの性質がその後起こることを決定するのに使用される2000〜2500の間であり、選択は事後に決定される。
[3]計算
n及びmは一般的に知られていないため、傾向を推定するために次の近似値が用いられる。
[3]計算
n及びmは一般的に知られていないため、傾向を推定するために次の近似値が用いられる。
ニュートン流体(全ての断面で)
ρ=1000kg/m3(全流体で)
μ=5cP(B1a)、40cP(B1b)(我々のデータでは)、2.5cP(B2)(我々のデータでは)
ρ=1000kg/m3(全流体で)
μ=5cP(B1a)、40cP(B1b)(我々のデータでは)、2.5cP(B2)(我々のデータでは)
これらの構造では、すべての段階で流体は層流であり、複数の溶液は互いに十分に混合しない。
チューブの直径と流速を調節することにより、所定のレイノルズ値が得られることは明らかである。
当業者であれば、B2又はB1の他の2つの部分(B1a及びB1b)における、直径と長さの様々組み合わせを想定できよう。例えば、長さを短くし攪拌を向上させるために、B1の第1の部分を6mmから3mmに短くすることもできる。また、n及びmは、流体のレオロジー的挙動の実験から決定され、チューブの適切な特性を決定するのに使用される。
攪拌の効率に加えて、攪拌の継続期間は、本発明のある実施形態ではコイルの長さを調節することによって調整できる。
非ニュートン流体では、チューブの直径又は流体の粘性は、式(1)によって決定されるようには見えない(データは示さない)。言い換えれば、B1b及びB2において式(1)を計算に使用するならば、流速を変更するよりも直径を変更する方が効率的だとは思われない。流速が早いほうが望ましいが、直径は流速に応じて変更することができる。
これらの原則は、攪拌を制限する根拠に用いることができる。また、DNAの断片化を防ぐためにB1b及びB2に適用することもできる。
溶解中は、攪拌はgDNAが変性しない程度に力強く行われる。B1の開始部で直径を減少させることによって、攪拌を増大させる(Reを増加させる)ことが可能となり、溶液2と細胞を十分に混合させることができる。また、細胞が溶解したときは、攪拌と壁に対する摩擦力は減少し、核酸の断片化を防ぐことができる。直径の増加は攪拌を減少させ(Reを減少させる)、摩擦力を減少させる(粘性を低下させる)ことができる。
M1:流体の混合
B1a:溶解の開始時における混合の微調整:対流現象(マクロ混合)
B1b:変性の発生により、プラスの拡散現象を生じる(ミクロ混合)
M1:流体の混合
B1a:溶解の開始時における混合の微調整:対流現象(マクロ混合)
B1b:変性の発生により、プラスの拡散現象を生じる(ミクロ混合)
従来のレイノルズ数がニュートン流体を持つように、一般的なレイノルズ数が非ニュートン流体と同じ意味を持つと判断される。特に、円形断面の導管における層流形態の境界線は、ReN<2300である。
B2において中性化が行われる。高流量は、力強い攪拌と壁で摩擦力(機械的ストレス)を発生させ、ゲノムDNAの断片化を増大させる。直径の大きいチューブを使用することにより、攪拌(Re)と摩擦力(粘性)を減少させることが可能となる。ここでは、十分な攪拌が得るために、直径の小さい(6mm)のチューブを使用している。中性化された溶解物を激しくかつ素早く攪拌するためには、B2チューブの直径は小さくするとよいことが分かった。
≪実施例2≫
CLシステムは、5つのステップに分けることができる。ある特定の実施形態では、次のように行われる。
(1)細胞(溶液1内の)と溶液2を混合する(M1+長さ3m、直径6mmのチューブ)。SDSによって細胞の溶解は開始される。変性しない間は、DNAが断片化する危険性はない。
(2)溶解の終了、及びgDNAの変性(長さ13m、直径16mmのチューブ)
(3)溶解物と溶液3の混合(M2+長さ3m、直径6mmのチューブ)
(4)4℃で中性化された溶解物を回収する。
(5)gDNAの大きい断片を氷上におき、4℃で一晩おく。
CLシステムは、5つのステップに分けることができる。ある特定の実施形態では、次のように行われる。
(1)細胞(溶液1内の)と溶液2を混合する(M1+長さ3m、直径6mmのチューブ)。SDSによって細胞の溶解は開始される。変性しない間は、DNAが断片化する危険性はない。
(2)溶解の終了、及びgDNAの変性(長さ13m、直径16mmのチューブ)
(3)溶解物と溶液3の混合(M2+長さ3m、直径6mmのチューブ)
(4)4℃で中性化された溶解物を回収する。
(5)gDNAの大きい断片を氷上におき、4℃で一晩おく。
連続溶解を行うための条件は次の通りである。
溶液1:EDTA 10mM、グルコース(Glc)9g/1及びTrisHCI 25mM、pH7.2。
溶液2:SDS 1%、NaOH 0.2N
溶液3:酢酸2M、酢酸カリウム3M
流速 60L/h:溶液1及び溶液2
流速 90L/h:溶液3
細胞は溶液1内に38.5g/L含まれる。
溶液1内の細胞は3つのノズルを通過して、反対方向から流れてくる溶液2内に分散される。
ミキサーM1は、2つの流体の混合を最適に行うための形状を有している(図2参照)。
ミキサーM1の後におけるチューブの最初の部分はB1aであり、次の部分がB1bである。
B1a:長さ3m、直径6mm、滞留時間2.5秒
B1b:長さ13m、直径16mm、滞留時間77秒
溶液1:EDTA 10mM、グルコース(Glc)9g/1及びTrisHCI 25mM、pH7.2。
溶液2:SDS 1%、NaOH 0.2N
溶液3:酢酸2M、酢酸カリウム3M
流速 60L/h:溶液1及び溶液2
流速 90L/h:溶液3
細胞は溶液1内に38.5g/L含まれる。
溶液1内の細胞は3つのノズルを通過して、反対方向から流れてくる溶液2内に分散される。
ミキサーM1は、2つの流体の混合を最適に行うための形状を有している(図2参照)。
ミキサーM1の後におけるチューブの最初の部分はB1aであり、次の部分がB1bである。
B1a:長さ3m、直径6mm、滞留時間2.5秒
B1b:長さ13m、直径16mm、滞留時間77秒
本発明に係る方法は、効率面での利益、つまり、分散、素早い力強い混合、及び拡散による緩やかな混合を提供する。本発明に係る方法を使用すると、多くの細胞の溶解が増大するため、pDNAの復元量が増大する。それらの流体を混合させるときの困難性は、それらの性質、特に粘弾性に起因するため、拡散のアイデアは特に重要である。本発明に係る方法は、剪断力を制限することが可能であり、その結果、gDNAの断片化を制限することができる。また、その後のクロマトグラフィ精製中の除去を促進する。
問題は、4℃に冷却された溶液3との混合である。
ある実施形態では、本発明に係る方法は、内径が約10mmのY型のミキサーM2を使用する。チューブB2の部分は、ミキサーM2の後に配置される。
B2:長さ2m、直径6mm、滞留時間1秒
B2:長さ2m、直径6mm、滞留時間1秒
≪実施例3≫
カラムは、蠕動ポンプ(<1ml/分)に接続されるNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、ファルマシア)によって作動される1mlのHiTrapカラムを使用する。5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(GAGG(CTT)7)配列(SEQ ID NO:1)の5´端にNH2基を持っている特有のオリゴヌクレオチドを使用する。この実施形態では、緩衝液は次のものを使用する。
結合緩衝液:0.2M NaHC03、0.5 MNaCI、pH8.3
緩衝液A:0.5M エタノールアミン、0.5M NaCI、pH8.3
緩衝液B:0.1M アセテート、0.5M NaCI、pH4
カラムは、蠕動ポンプ(<1ml/分)に接続されるNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド、ファルマシア)によって作動される1mlのHiTrapカラムを使用する。5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(GAGG(CTT)7)配列(SEQ ID NO:1)の5´端にNH2基を持っている特有のオリゴヌクレオチドを使用する。この実施形態では、緩衝液は次のものを使用する。
結合緩衝液:0.2M NaHC03、0.5 MNaCI、pH8.3
緩衝液A:0.5M エタノールアミン、0.5M NaCI、pH8.3
緩衝液B:0.1M アセテート、0.5M NaCI、pH4
カラムは6mlの1mM HClによって洗浄し、結合緩衝液(1ml中に50nmol)内に希釈されているオリゴヌクレオチドは、その後カラムに塗り付けられ、室温で30分間置かれる。カラムは、6mlの緩衝液Aで連続して3回洗浄され、その後6mlの緩衝液Bで洗浄される。したがって、オリゴヌクレオチドは、CONH結合を介してカラムと共有結合する。カラムはPBS、0.1% NaN3内に4℃で貯蔵され、少なくと4回は使用される。次の2つのオリゴヌクレオチドが合成される。
オリゴヌクレオチド4817
5’−GATCCGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAG AA GAAGAAGG−3’配列(SEQ ID NO:13)
オリゴヌクレオチド4818
5’−AATTCCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCG−3’配列(SEQ ID NO:14)
オリゴヌクレオチド4817
5’−GATCCGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAGAAG AA GAAGAAGG−3’配列(SEQ ID NO:13)
オリゴヌクレオチド4818
5’−AATTCCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTTCG−3’配列(SEQ ID NO:14)
これらのオリゴヌクレオチドは、ハイブリッド化されプラスミド内にクローン化されたときは、上述したように、対応するプラスミド内に、ホモプリン・ホモピリミジン配列(GAA)17(SEQ ID NO:15)を導入する。
これら2つのハイブリッド化されたオリゴヌクレオチドは、アンピシリン耐性遺伝子を有するプラスミドpBKS+(Stratagene Cloning System, La Jolla CA)の多数のクローン部位でクローンされる。このために、オリゴヌクレオチドは、以下のようにしてハイブリッド化される。これら2つのオリゴヌクレオチド1μgを、50mMのTris−HCl、pH7.4、10mMのMgCl2を含んでいる最終緩衝液40ml内に入れる。この混合物は95℃に加熱され、その後温度がゆっくり下がるように室温におかれる。ハイブリッド化されたオリゴヌクレオチドの混合物ngは、30ゲル内のBamHI及びEcoRIに消化された200ngのプラスミドpBKS+(Stratagene Cloning System, La Jolla CA)とライゲーションされる。ライゲーション後、アリコートはDH5αに形質転換される。形質転換された混合物は、アンピシリン(50mg/l)及びX−gal(20mg/l)が追加されたL培地上に蒔かれる。親プラスミド(pBKS+)は大腸菌ガラクトシダーゼの断片ωの相補性を容認するのに反して、組み換えクローンは、この培地上に青い着色がないこと示す。6クローンからのプラスミドDNAの少量調製の後、それらは全て、pBKS+の部位であるEcoRIとBamHIとの間に位置するPstI部位の消失を示す。1つのクローンが選択され、対応するプラスミドはpXL2563が指定される。クローン化された配列は、プライマー20(5’−TGACCGGCAGCAAAATG−3’(SEQ ID NO:16))を使用してシークエンシングすることにより確認される(Viera J. and J. Messing. 1982)。pUCプラスミド、挿入突然変異のM13mp7由来系、プラスミドpBKS+(Stratagene Cloning System, La Jolla CA)用の合成された一般的なプライマー(Gene, 19,259-268)をシークエンシングする。プラスミドpXL2563は、Wizard Megaprepキット(Promega Corp. Madison, WI)によって精製される。このプラスミドDNAは、以下の実施例で使用される。
プラスミドpXL2563は、プラスミドpBKS+をも含んでいる溶液から、1.1で説明した、オリゴヌクレオチドと結合したHiTrapカラム上に精製される。この精製では、次の緩衝液を使用する。
緩衝液F:2M NaCI、0.2Mアセテート、pH4.5〜5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
緩衝液F:2M NaCI、0.2Mアセテート、pH4.5〜5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
カラムは、6mlの緩衝液Fで洗浄され、プラスミドはカラムに塗り付けられ、室温で2時間培養される(400μlの緩衝液F内の、20uμgのpXL2563、及び20μgのpBKS+)。カラムは10mlの緩衝液Fで洗浄され、その後緩衝液Eを用いて溶離が行われる。プラスミドは1%アガロースゲル上の電気泳動の後に検出され、臭化エチジウムで染色される。溶液中のプラスミドの割合は、大腸菌上のプラスミドの形質転換活性によって推定される。
30%のpXL2563及び70%のpBKS+の混合から開始して、カラムの出口に100%のpXL2563を含んでいる溶液が回収される。260〜280nmのOD割合が1.9〜2.5に上昇することから、本発明に係る方法によって夾雑タンパク質が除去されて、純粋だと推定される。
≪実施例4≫
オリゴヌクレオチド(5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(SEQ ID NO:1))のカラムへの結合は、実施例3で説明したようにして行う。結合させるためには、オリゴヌクレオチドの5´端は、6個の炭素原子を含んでいるアームによってスペーサーのリン酸塩と結合されているアミノ基によって修飾される(Modified oligonucleotide Eurogentec SA, Belgium)。プラスミドpXL2563は、Wizard Megaprepキットを使用して精製される。この実施例では、次の緩衝液を使用する。
緩衝液F:0〜2M NaCI、0.2Mアセテート、pH4.5〜5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
オリゴヌクレオチド(5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(SEQ ID NO:1))のカラムへの結合は、実施例3で説明したようにして行う。結合させるためには、オリゴヌクレオチドの5´端は、6個の炭素原子を含んでいるアームによってスペーサーのリン酸塩と結合されているアミノ基によって修飾される(Modified oligonucleotide Eurogentec SA, Belgium)。プラスミドpXL2563は、Wizard Megaprepキットを使用して精製される。この実施例では、次の緩衝液を使用する。
緩衝液F:0〜2M NaCI、0.2Mアセテート、pH4.5〜5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
カラムは、6mlの緩衝液Fで洗浄され、400μlの緩衝液内に希釈されている100μgのプラスミドpXL2563は、カラムに塗り付けられ、室温で2時間培養される。カラムは10mlの緩衝液Fで洗浄され、その後、緩衝液Eを用いて溶離が行われる。プラスミドは、260nmで光学密度を測定することによって、定量化される。
実施例では、結合は、NaCIのモル濃度が0〜2Mの間で変動する緩衝液(緩衝液F)内で行われる。NaCIのモル濃度が低いとき、精製量は減少する。結合緩衝液のpHは、4.5〜5の間で変動する。他の基礎pHの溶出緩衝液を使用することも可能である。溶出は、50mMのホウ酸塩、pH9、0.5mM EDTAを含んでいる緩衝液によって行われる。
オリゴヌクレオチド(5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(SEQ ID NO:1))のカラムへの結合は、実施例3で説明したようにして行う。
プラスミドpXL2563は、Wizard Megaprepキット(Promega Corp., Madison, WI)を使用して精製される。この実施例では、次の緩衝液を使用する。
緩衝液F:0・1M NaCI、0.2Mアセテート、pH5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
プラスミドpXL2563は、Wizard Megaprepキット(Promega Corp., Madison, WI)を使用して精製される。この実施例では、次の緩衝液を使用する。
緩衝液F:0・1M NaCI、0.2Mアセテート、pH5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
カラムは、6mlの緩衝液Fで洗浄され、400μlの緩衝液内に希釈されている100μgのプラスミドpXL2563は、カラムに塗り付けられ、室温で1時間培養される。カラムは10mlの緩衝液Fで洗浄され、その後、緩衝液Eを用いて溶離が行われる。プラスミドは、260nmで光学密度を測定することによって、定量化される。オリゴヌクレオチド・カラム内を通過する前及び後の、プラスミド試料内に存在するゲノム又は染色体大腸菌DNAの成分を測定する。ゲノムDNAは、大腸菌内のプライマーを用いて、PCRによって定量化される。以下の手順では、これらのプライマーの配列は、Debouckらによって開示されている(Nucleic Acids Res. 1985, 13, 1841-1853)。
5’−CCGAATTCTGGGGACCAAAGCAGTTTC−3’(SEQ ID NO:17)
5’−CCAAGCTTCACTGTTCACGACGGGTOT−3’(SEQ ID NO:18)
5’−CCGAATTCTGGGGACCAAAGCAGTTTC−3’(SEQ ID NO:17)
5’−CCAAGCTTCACTGTTCACGACGGGTOT−3’(SEQ ID NO:18)
反応媒質としては、25μlのPCR緩衝液(Promega France, Charbonnieres)、1.5mM MgCl2、0.2mM dXTP(Pharmacia, Orsay)、0.5μMプライマー、20U/ml Taqポリメラーゼ(Promega)がある。
この反応は、次の配列によって行われる。
5分、95℃
30回繰り返される、10秒、95℃。
30秒、60℃
1分、78℃
30秒、60℃
1分、78℃
増幅DNA断片、長さ124塩基対は、 SybrGreen I(Molecular Probes, Eugene, USA)の存在下で、3%アガロースゲル上の電気泳動法により分離される。その後、大腸菌株B(Sigma, ref D4889)からの超高純度ゲノムDNAシリーズを参照することにより定量化される。
≪実施例5≫
この実施例では、「ミニプレップ(miniprep)」と呼ばれるスケールでの、細菌培養物のクリアな溶解物からのプラスミドDNAの精製について説明する。一晩培養した、プラスミドpXL2563を含んでいるDHSα株1.5mlの遠心分離を行う。そして、ペレットは、100μlの50mMのグルコース、25mMのTris−HCl、pH8の10mMのEDTA内で再懸濁される。200μlの0.2MのNaOH、1%のSDSを加える。チューブは混合のため反転される。3Mの酢酸カリウム150μl、pH5が加えられ、チューブは混合のため反転される。遠心分離の後、上清は回収され、オリゴヌクレオチド・カラムにロードされる(実施例1で説明したように)。結合、洗浄、及び溶離は、実施例3と同様である。1.5mlの培養から約1gのプラスミドが回収される。アガロースゲル電気泳動法及び臭化エチジウム染色によって得られた分析されたプラスミドは、スーパーコイル環状DNAの単結合の形をとる。精製されたプラスミドには、高分子量(染色体)DNA又はRNAの痕跡が全く検出されなかった。
この実施例では、「ミニプレップ(miniprep)」と呼ばれるスケールでの、細菌培養物のクリアな溶解物からのプラスミドDNAの精製について説明する。一晩培養した、プラスミドpXL2563を含んでいるDHSα株1.5mlの遠心分離を行う。そして、ペレットは、100μlの50mMのグルコース、25mMのTris−HCl、pH8の10mMのEDTA内で再懸濁される。200μlの0.2MのNaOH、1%のSDSを加える。チューブは混合のため反転される。3Mの酢酸カリウム150μl、pH5が加えられ、チューブは混合のため反転される。遠心分離の後、上清は回収され、オリゴヌクレオチド・カラムにロードされる(実施例1で説明したように)。結合、洗浄、及び溶離は、実施例3と同様である。1.5mlの培養から約1gのプラスミドが回収される。アガロースゲル電気泳動法及び臭化エチジウム染色によって得られた分析されたプラスミドは、スーパーコイル環状DNAの単結合の形をとる。精製されたプラスミドには、高分子量(染色体)DNA又はRNAの痕跡が全く検出されなかった。
≪実施例6≫
この実施例では、実施例5と同条件下で行う、プラスミドDNAの精製について説明する。プラスミドpXL2563を含んでいるDH5α株の細菌培養物20mlから始める。細胞ペレットは、1.5ml、50mMのグルコース、25mM Tris−HCI、pH8、10mM EDTAに溶解される。溶解は、0.2M NaOH、1% SDSにより行われ、1.5mlの3Mの酢酸カリウムによって中性化される。DNAは、その後、3mlの2−プロパノールによって沈殿させられる。そして、細胞ペレットは、0.5mlの0.2Mの酢酸ナトリウム、pH5の0.1MのNaClに溶解される。そして、上記実施例で前述したオリゴヌクレオチド・カラムに装填される。結合、カラムの洗浄、及び溶離は、緩衝液の洗浄以外は、上記の実施例のようにして行う。Naclのモル濃度は、0.1Mである。
この実施例では、実施例5と同条件下で行う、プラスミドDNAの精製について説明する。プラスミドpXL2563を含んでいるDH5α株の細菌培養物20mlから始める。細胞ペレットは、1.5ml、50mMのグルコース、25mM Tris−HCI、pH8、10mM EDTAに溶解される。溶解は、0.2M NaOH、1% SDSにより行われ、1.5mlの3Mの酢酸カリウムによって中性化される。DNAは、その後、3mlの2−プロパノールによって沈殿させられる。そして、細胞ペレットは、0.5mlの0.2Mの酢酸ナトリウム、pH5の0.1MのNaClに溶解される。そして、上記実施例で前述したオリゴヌクレオチド・カラムに装填される。結合、カラムの洗浄、及び溶離は、緩衝液の洗浄以外は、上記の実施例のようにして行う。Naclのモル濃度は、0.1Mである。
アガロースゲル電気泳動法及び臭化エチジウム染色により得られ分析されたプラスミドは、スーパーコイル環状DNAの単結合の形をとる。精製されたプラスミドには、高分子量(染色体)DNA又はRNAの痕跡が全く検出されなかった。制限酵素によるプラスミドの消化により、期待された3キロ塩基の分子量の単結合が得られる。プラスミドとしては、サイトメガロ・ウイルス・プロモーター、発光酵素をコードしている遺伝子、及びプラスミドpXL2563由来のホモプリン・ホモピリミジン配列(GAA)17(SEQ ID NO:15)を含んでいるカセットを使用することができる。このプラスミドを含んでいるDH1菌(Maniatisら、1989)は、7リットルの発酵槽内で培養される。クリアな溶解物は、200グラムの細胞から作成される。前記細胞ペレットは、2Lの0.2MNaOH、1%のSDSが加えられた、2リットルのグルコース(25mM、pH6.8、50mM)、10mMのEDTAに溶解される。溶解物は、1リットルの酢酸カリウム(3M)を加えることにより中性化さる。透析濾過の後、4mlのこの溶解物は、実施例3で説明した方法によって、オリゴヌクレオチド配列5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(SEQ ID NO:1)と結合した5mlのHiTrap−NHSカラムに塗り付けられる。洗浄及び溶離は、上記した実施例で説明したようにして行われる。
≪実施例7≫
この実施例ではオリゴヌクレオチドを支持するメチル化シトシンについて説明する。次のオリゴヌクレオチド配列が使用される。
5’−GAGGMeCTTMeCTTMeCTTMeCTTMeCCTMeCTTMeCTT−3’(SEQ ID NO:19)。
この実施例ではオリゴヌクレオチドを支持するメチル化シトシンについて説明する。次のオリゴヌクレオチド配列が使用される。
5’−GAGGMeCTTMeCTTMeCTTMeCTTMeCCTMeCTTMeCTT−3’(SEQ ID NO:19)。
このオリゴヌクレオチド配列は、5’端でNH2基を保持する。MeC=5−メチルシトシン。このオリゴヌクレオチドは、実施例1の条件下で、pH5の結合緩衝液プラスミドpXL2563が精製されることを可能にする(そのため、プラスミドが分解する危険性は減少する)。
≪実施例8≫
上記した実施例では、使用されるオリゴヌクレオチドは、6個の炭素原子を有するアームを介してリン酸塩と結合したアミノ基(NH2−(CH2)6)によって、5´端末側終端で修飾されている。オリゴヌクレオチドの結合及び通過(カラムへの)は、緩衝液F(2MのNaCl、0.2Mのアセテート、pH4.5)を使用してm実施例3で説明したようにして行われる。このオリゴヌクレオチドは、よりよい精製量を得ることを可能にする。同じ条件では、6個の炭素原子を有するオリゴヌクレオチドの精製量は45%程度なのに対して、このオリゴヌクレオチドの精製量は53%である。
上記した実施例では、使用されるオリゴヌクレオチドは、6個の炭素原子を有するアームを介してリン酸塩と結合したアミノ基(NH2−(CH2)6)によって、5´端末側終端で修飾されている。オリゴヌクレオチドの結合及び通過(カラムへの)は、緩衝液F(2MのNaCl、0.2Mのアセテート、pH4.5)を使用してm実施例3で説明したようにして行われる。このオリゴヌクレオチドは、よりよい精製量を得ることを可能にする。同じ条件では、6個の炭素原子を有するオリゴヌクレオチドの精製量は45%程度なのに対して、このオリゴヌクレオチドの精製量は53%である。
≪実施例9≫
実施例3で説明されたクローン手法の後、他の2つのプラスミドをキャリーするホモプリンン・ホモピリミジン配列が構成される。(GGA)16(SEQ ID NO:20)配列を含むプラスミドpXL2725と、(GA)25(SEQ ID NO:21)配列を含むプラスミドpXL2726である。プラスミドpXL2563に類似するプラスミドpXL2725及びpXL2726は、次のオリゴヌクレオチドのペアを使用して、実施例3で説明されたクローン手法によって構成される。
5986:5’−GATCC(GA)25GGG−3’(SEQ ID NO:22)
5987:5’−AATTCCC(TC)25G−3’(SEQ ID NO:23)
5981:5’−GATCC(GGA)17GG−3’(SEQ ID NO:24)
5982:5’−AATT(CCT)17CCG−3’(SEQ ID NO:25)
実施例3で説明されたクローン手法の後、他の2つのプラスミドをキャリーするホモプリンン・ホモピリミジン配列が構成される。(GGA)16(SEQ ID NO:20)配列を含むプラスミドpXL2725と、(GA)25(SEQ ID NO:21)配列を含むプラスミドpXL2726である。プラスミドpXL2563に類似するプラスミドpXL2725及びpXL2726は、次のオリゴヌクレオチドのペアを使用して、実施例3で説明されたクローン手法によって構成される。
5986:5’−GATCC(GA)25GGG−3’(SEQ ID NO:22)
5987:5’−AATTCCC(TC)25G−3’(SEQ ID NO:23)
5981:5’−GATCC(GGA)17GG−3’(SEQ ID NO:24)
5982:5’−AATT(CCT)17CCG−3’(SEQ ID NO:25)
オリゴヌクレオチドのペア5986と5987は、オリゴヌクレオチドのクローン作成によって、pBKS+(Stratagene Cloning System, La Jolla CA)のBamHI及びEcoRI部位で、プラスミドpXL2726を構成するのに使用される。また、オリゴヌクレオチド5981と5982は、プラスミドpXL2725を構成するのに使用される。プラスミドpXL2563の構成には、同じ実験条件が用いられ、オリゴヌクレオチドのペアが替わるだけである。同様に、クローン配列は、プラスミドのシークエンシングにより確認される。このことにより、プラスミドpXL2725は、17回繰り返されるGGA配列の代わりに、目的とする配列に対して、修飾を保持するように見える。GGAGA(GGA)15(SEQ ID NO:26)。
≪実施例10≫
これらのホモプリン配列と共に3重らせんを形成するオリゴヌクレオチドは、実施例1で説明した方法によって、HiTrapカラムと結合する。プラスミドpXL2725の精製には、5’−AATGCCTCCTCCTCCTCCTCCTCCT−3’(SEQ ID NO:27)配列のオリゴヌクレオチドが使用される。また、プラスミドpXL2726の精製には、5’−AGTGCTCTCTCTCTCTCTCTCTCTCT−3’(SEQ ID NO:28)配列のオリゴヌクレオチドが使用される。したがって、実施例2で説明した方法によって、次の緩衝液を使用して、プラスミドを精製できる2つのカラムが得られる。
緩衝液F:2MのNaCl、0.2Mのアセテート、pH4.5
緩衝液E:1MのTris−HC1、pH9、0.5mMのEDTA
得られる精製量は、pXL2727及びpXL2726は、それぞれ、23%と31%である。
これらのホモプリン配列と共に3重らせんを形成するオリゴヌクレオチドは、実施例1で説明した方法によって、HiTrapカラムと結合する。プラスミドpXL2725の精製には、5’−AATGCCTCCTCCTCCTCCTCCTCCT−3’(SEQ ID NO:27)配列のオリゴヌクレオチドが使用される。また、プラスミドpXL2726の精製には、5’−AGTGCTCTCTCTCTCTCTCTCTCTCT−3’(SEQ ID NO:28)配列のオリゴヌクレオチドが使用される。したがって、実施例2で説明した方法によって、次の緩衝液を使用して、プラスミドを精製できる2つのカラムが得られる。
緩衝液F:2MのNaCl、0.2Mのアセテート、pH4.5
緩衝液E:1MのTris−HC1、pH9、0.5mMのEDTA
得られる精製量は、pXL2727及びpXL2726は、それぞれ、23%と31%である。
≪実施例11≫
この実施例では、プラスミド内に存在する特定配列の長さが精製量へ及ぼす影響について説明する。本発明に係る組成物の活性を実証するために、これらの実験で使用されるレポーター遺伝子は、発光酵素(luciferase:Luc)をコードしている遺伝子である。プラスミドpXL2621は、661−bpのサイトメガロ・ウイルス(cytomegalovirus:CMV)プロモーター遺伝子を含んでいるカセットを含んでいる。前記CMVプロモーター遺伝子は、遺伝子の上流でクローン化された制限酵素MluI及びHindIIIによって開裂させることにより、pcDNA3(Invitrogen Corp., San Diego, CA)から抽出される(MluI及びHindIII部位で、ベクターpGL塩基性Vector(Promega Corp., Madison, WI)内に)。このプラスミドは、分子生物学における標準的な手法を使用して作成される。
この実施例では、プラスミド内に存在する特定配列の長さが精製量へ及ぼす影響について説明する。本発明に係る組成物の活性を実証するために、これらの実験で使用されるレポーター遺伝子は、発光酵素(luciferase:Luc)をコードしている遺伝子である。プラスミドpXL2621は、661−bpのサイトメガロ・ウイルス(cytomegalovirus:CMV)プロモーター遺伝子を含んでいるカセットを含んでいる。前記CMVプロモーター遺伝子は、遺伝子の上流でクローン化された制限酵素MluI及びHindIIIによって開裂させることにより、pcDNA3(Invitrogen Corp., San Diego, CA)から抽出される(MluI及びHindIII部位で、ベクターpGL塩基性Vector(Promega Corp., Madison, WI)内に)。このプラスミドは、分子生物学における標準的な手法を使用して作成される。
プラスミドpXL2727−1及びpXL2727−2は、以下の方法で作成される。
2マイクログラムのプラスミドpXL2621は、BamHIによって線形化される。前記酵素は、65℃で10分間培養される。同時に、オリゴヌクレオチド6006及び6008は、既述したように、プラスミドpXL2563を作成するためにハイブリッドされる。
6006:5’−GATCT(GAA)17CTGCAGATCT−3’(SEQ ID NO:29)
6008:5’−GATCAGATCTGCAG(TTC)17A−3’(SEQ ID NO:30)
6006:5’−GATCT(GAA)17CTGCAGATCT−3’(SEQ ID NO:29)
6008:5’−GATCAGATCTGCAG(TTC)17A−3’(SEQ ID NO:30)
このハイブリッド混合物は、プラスミドpXL2621のBamHI終端でクローン化される。そして、DHSαに形質転換した後、組み換えクローンは、PstI制限酵素分析によって識別される(オリゴヌクレオチドはPstI部位を導入するため)。2つのクローンが選択され、クローン化断片のヌクレオチド配列は、シークエンシング反応プライマーであるプライマー(6282、5’−ACAGTCATAAGTGCGGCGACG−3’(SEQ ID NO:31))を使用して確認される(Viera J. and J. Messing, 1982. The pUC plasmids an M13mp7-derived system for insertion mutagenesis and sequencing with synthetic universal primers. Gene 19: 259-268)。
第1のクローン(pXL2727−1)は、10回繰り返されるGAA配列を含んでいる。第2のクローン(pXL2727−2)は、5’−GAAGAAGAG(GAA)7GGAAGAGAA−3’(SEQ ID NO:32)配列を含んでいる。
実施例3で説明したようなものであり、オリゴヌクレオチド5’−GAGGCTTCTTCTTCTTCTTCTTCTT−3’(SEQ ID NO:1)と結合するカラムが使用される。
プラスミドpXL2727−1は、14回繰り返されるGAA配列を含んでいる。上述した7回しか繰り返されない対応するハイブリッド形成配列を含んでいるオリゴヌクレオチドは、そのため、8つの異なる位置でプラスミドによってハイブリッド化される。一方、プラスミドpXL2727−2は、ハイブリッド化配列(GAA)7(SEQ ID NO:36)を持っている(カラムに結合されるオリゴヌクレオチドの長さと同じ長さである)。オリゴヌクレオチドは、そのため、pXL2727−2の1つの位置でのみハイブリッド化される。
この実験は実施例4で説明したものと同一であり、次の緩衝液を使用する。
緩衝液F:2M NaCl、0.2M アセテート、pH4.5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
緩衝液F:2M NaCl、0.2M アセテート、pH4.5
緩衝液E:1M Tris−HCI、pH9、0.5mM EDTA
精製量は、プラスミドpXL2727−1は29%、pXL2727−2は19%である。
細胞は、NIH 3T3細胞が使用される。実験の前日に24ウエル培養プレートに接種される(50,000細胞/ウエルで)。プラスミドは150mMのNaCI内に希釈され、リポフェクタント(lipofectant)RPR115335と混合される。リポフェクタント正電荷/DNA負電荷の割合は6である。混合物は渦巻き、室温で10分間そのままにされる。そしてウシ胎仔血清以外の媒体で希釈され、培養ウエルあたり1μgのDNAの割合で細胞に加えられる。37℃で2時間後、10%量/ウシ胎仔血清の量が加えられ、細胞は、5%のCO2の存在下で、37℃で48時間培養される。細胞は、PBSで2回洗浄され、ルシフェラーゼ活性が測定される。前記測定は、Lumat LB9501照度計(EG and G Berthold, Evry)を使用して行われる(Promega kit, Promega Corp. Madison, WI)。実施例8.2で説明した方法で精製したプラスミドpXL2727−lは、Wizard Megaprepキット(Promega Corp. Madison, WI)を使用して精製したプラスミドと比べると、2倍のトランスフェクション量が得られる。
≪実施例12≫
この実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィを使用した、pCOR由来プラスミドの精製について説明する。この方法によって、核酸不純物(特にホストゲノムDNA及びRNA)を従来のクロマトグラフィ方法では達成できなかったレベルにまで除去できることができる。
この実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィを使用した、pCOR由来プラスミドの精製について説明する。この方法によって、核酸不純物(特にホストゲノムDNA及びRNA)を従来のクロマトグラフィ方法では達成できなかったレベルにまで除去できることができる。
三重らせん親和性ゲルは、クロマトグラフィ・マトリックスのSephacryl S-1000 SF(Amersham-Pharmacia Biotech)により合成される。Sephacryl S-1000は、まずは、0.2M酢酸ナトリウム内のm過ヨウ素酸塩ナトリウム(3mM、室温、1時間)によって活性化される。そして、オリゴヌクレオチドは、その5’−NH2端末部分を介して、活性化されたマトリックスのアルデヒド基と結合する。前記結合は、タンパク質の結合において前述したように、アスコルビン酸の存在下で、還元的アミノ化によって行われる(Hornsey et al., J. Immunol. Methods, 1986,93, 83-88)。これらの実験に使用されるホモピリミジン・オリゴヌクレオチド(from Eurogentec, HPLC-purified)は、pCORプラスミドの複製起点(oriγ)に存在する14merの短いホモプリン配列(5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’)(SEQ ID NO:10)に対して相互補完的である配列を持っている(Soubrier etal., Gene Therapy, 1999,6,1482-1488)。上述したように、ホモピリミジン・オリゴヌクレオチド配列は、5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(SEQ ID NO:11)である。
次のプラスミドはクロマトグラフにかけられる。pXL3296(トランス遺伝子を持たないpCOR、2.0kpb)、pXL3179(pCOR−FGF、2.4kpb)、pXL3579(pCOR−VEGFB、2.5kbp)、pXL3678(pCOR−AFP、3.7kbp)、pXL3227(pCOR−lacZ、5.4kbp)、及びpXL3397(pCOR−Bdeleted FVIII、6.6kbp)。これら全てのプラスミドは、実施例4で説明したようにして、クリアな溶解物から2つの陰イオン交換クロマトグラフィによって精製される。CsCl内で超遠心分離法によって精製されるプラスミドpBKS+(pBluescript II KS + from Stratagene)、ColEl由来プラスミドについても検討される。使用される全てのプラスミドは、トポロジー状態でスーパーコイル状である(>95%)。
各プラスミドDNA精製実験は、2MのNaCI6ml、0.2M酢酸カリウム(pH5.0)内の300μgのプラスミドが、上述したオリゴヌクレオチド5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(SEQ ID NO:11)を含んでいる親和性カラムに、流速30cm/hでロードされる。カラムを同じ緩衝液5容積で洗浄した後、結合したプラスミドを1MのTris/HCI、0.5mMのEDTA(pH9.0)によって溶出させる。そして、UV(260nm)及びイオン交換クロマトグラフィ(Millipore Gen-Pakカラムを有する、(Marquet et al., BioPharm, 1995, 8, 26-37)によって測定する。回収された断片から復元されたプラスミドは、pXL3296は207μg、pXL3179は196μg、pXL3579は192μg、pXL3678は139μg、pXL3227は97μg、pXL3397は79μgである。
PBKSがカラム上でクロマトグラフにかけられた際は、結合しているプラスミドは検出されなかった(<3μg)。このことは、オリゴヌクレオチド5’−TTCTTTTTTTTCTT−3’(SEQ ID NO:11)は、pCOR(oriγ)内に存在する相補的な14mer配列5’−AAGAAAAAAAAGAA−3’(SEQ ID NO:10)と共に三重らせん構造を形成するが、pBKS内に存在する近縁種である5’−AGAAAAAAAGGA−3’(SEQ ID NO:8)とは三重らせん構造を形成しないことを示している。このことは、単一の非標準的トライアッド(triad)(この場合はT*GC)の導入によって、三重らせん構造は完全に不安定化することを示している。
対照では、pXL3179が、厳密に同条件で合成された(ただしオリゴヌクレオチドはない)ブランクカラム上でクロマトグラフにかけられた際は、プラスミド結合が観察されなかった(<1μg)。
ここに示した条件で、前記親和性精製を行うことにより、pXL3296作成時の、ホストゲノムDNAによる汚染濃度は、2.6%から0.07%に減少した。同様に、同じ親和性カラムによってクロマトグラフした際は、pXL3179作成時の、ホストDNAによる汚染濃度は、0.5%から0.08%に減少した。
≪実施例13≫
この実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィを使用した、ColEl由来プラスミドの精製について説明する。この方法によって、核酸不純物(特にホストゲノムDNA及びRNA)を従来のクロマトグラフィ方法では達成できなかったレベルにまで除去できることができる。
この実施例は、三重らせん親和性クロマトグラフィを使用した、ColEl由来プラスミドの精製について説明する。この方法によって、核酸不純物(特にホストゲノムDNA及びRNA)を従来のクロマトグラフィ方法では達成できなかったレベルにまで除去できることができる。
三重らせん親和性ゲルは、前述した実施例で説明したように、5’−TCTTTTTTTCCT−3’(SEQ ID NO:9)配列を有するオリゴヌクレオチドを過ヨウ素酸塩が酸化されたSephacryl S-1000 SFと結合させることにより合成される。
プラスミドpXL3296(トランス遺伝子を持たないpCOR)及びpBKS、ColEl由来プラスミドは、実施例9の条件で、オリゴヌクレオチド5’−TCTTTTTTTCCT−3’(SEQ ID NO:9)を含んでいる1mlのカラム上でクロマトグラフされる。回収された断片から復元されたプラスミドは、pBKSは175μg、pXL3296は<1μgである。このことは、オリゴヌクレオチド5’−TCTTTTTTTCCT−3’(SEQ ID NO:9)は、pBKS内に存在する相補的な12merの配列(5’−AGAAAAAAAGGA−3’)(SEQ ID NO:8)と共に安定した三重らせん構造を形成するが、pCOR内に存在する近縁種である12merの配列5’−AGAAAAAAAGGA−3’(SEQ ID NO:8)とは三重らせん構造を形成しないことを示している。このことは、単一の非標準的トライアッド(triad)(この場合はC*AT)の導入によって、三重らせん構造は完全に不安定化することを示している。
≪実施例14≫
以下の方法によって、種培養をErlenrneyerフラスコ内(unbaffled)で作成する。機能細胞バンクは、シード割合0.2%(v/v)で、M9modG5培地を含んでいるErlenrneyerフラスコ内に接種される。この株は、ロータリーシェーカー内で、220rpm、37℃±1、18±2時間でグルコースを使い果たすまで培養される。その結果、200mlの種培養が得られる。前記培養の光学濃度はA600約2〜3であると予想される。
以下の方法によって、種培養をErlenrneyerフラスコ内(unbaffled)で作成する。機能細胞バンクは、シード割合0.2%(v/v)で、M9modG5培地を含んでいるErlenrneyerフラスコ内に接種される。この株は、ロータリーシェーカー内で、220rpm、37℃±1、18±2時間でグルコースを使い果たすまで培養される。その結果、200mlの種培養が得られる。前記培養の光学濃度はA600約2〜3であると予想される。
その後、第1の発酵槽での前培養が行われる。種培養は、M9modG5培地を含んでいるプレ発酵槽へ無菌で移動され、0.2%(v/v)のシードレート(seed rate)で、エアレーション及び攪拌しながら培養される。pO2は、40%以上の飽和状態に保たれる。培養物は、16時間後グルコースが消費されたら回収される。その結果、30リットルのプレ培養物が得られる。前記培養物の光学濃度は、A600、約2〜3と予想される。
その後第2の発酵槽でメインの培養物が作成される。30リットルのプレ培養物が、シードレートが10%(v/v)以上になるように、270リットルの殺菌されたFmodG2培地を含んでいる発酵槽に、無菌で移動される。培養は、あるバイオマスにすべく、バッチモードで開始される。グルコース供給は、約4時間後に最初の糖が消費されたらすぐに開始される。エアレーション、攪拌、pO2
(40%)、pH(6.9±1)、温度(37±1℃)、及びグルコース供給は、成長速度が0.09h−1に近くなるように制御される。培養物は、供給した約35時間後に終了する。その結果、約400リットルの培養物が得られる。前記培養物の光学濃度は、A600、約100と予想される。
(40%)、pH(6.9±1)、温度(37±1℃)、及びグルコース供給は、成長速度が0.09h−1に近くなるように制御される。培養物は、供給した約35時間後に終了する。その結果、約400リットルの培養物が得られる。前記培養物の光学濃度は、A600、約100と予想される。
細胞回収と呼ばれる第1の分離ステップが行われる。バイオマスは、ディスク・スタック(disk stack)遠心分離によって回収される。培養液は、使用済みの培養培地を除去するために3〜4フォルドに濃縮され、400リットルの殺菌されたS1緩衝液内で継続的に再懸濁される。その結果、約500リトルの調整前のバイオマスが得られる。DCW=25±5g/L。
濃縮ステップと呼ばれる第2の分離ステップが行われる。S1緩衝液内での再懸濁/均一化の後、濃縮されたスラリーを生成するために、細胞はセパレーターによって再び処理される。その結果、約60〜80リットルの洗浄及び濃縮されたスラリーが得られる。DCW=150±30g/L、pDNA=300±60mg/L。
その後、凍結ステップが行われる。前記スラリーは、20-LFlexboyTMバッグに無菌で移される(バッグの容量の50%を満たす)。そして、その後、−20±5℃で冷凍される(さらなる後処理プロセスを行う前に)。その結果、冷凍バイオマスが得られる。pDNA=300±60mg/L、スーパーコイル状形態>95%
その後、細胞解凍ステップが行われる。冷凍されたバッグは、20℃に暖められ、前記細胞スラリーは、40g/L、pH8.0、100mMTris塩酸塩、10mMのEDTA、20mMグルコースに希釈される。そして、懸濁液は、細胞溶解前に20℃で1時間攪拌される。その結果、バイオマススラリーは解凍される。pH=8.0±0.2。
このステップの間の温度は約20℃である。
その後、アルカリ溶解ステップが行われる。細胞溶解ステップは、希釈された細胞懸濁液は、0.2NのNaOH、35mMのSDS(溶液S2)と共に、インラインミキサーを介してポンピングされる。その後、コイル・チューブ内で、連続的接触ステップが行われる。連続的接触ステップにより、完全な細胞溶解とゲノムDNA及びタンパク質の変性とが確実に行われる。溶解された細胞の溶液は、冷却された攪拌層で回収される前に、冷却された3Mの酢酸カリウム−2N酢酸の溶液3(S3)とインラインで混合される。溶液3を加えることにより、ゲノムDNA、RNA、タンパク質、及びKDSが沈殿する。
その後、溶解物の濾過が行われる。中性化された溶解物は、その後、攪拌することなく、5±3℃で2〜24時間培養される。そして、沈殿物資(綿状の相)の大半を除去するために、3〜5mmのグリッドフィルタで濾過される。その後、濾過ステップをさらに向上させるための深層濾過が行われる。その結果、スーパーコイル状のプラスミドの濃度が90%以上であるクリアな溶解物が得られる。
その後、陰イオン交換クロマトグラフィが行われる。透明な溶解溶液は、目的とする伝導値50mS/cmとなるように精製水で希釈される。そして2層フィルタ(3μm〜0.8μm)によって濾過し、陰イオン交換クロマトグラフィ・カラムにロードされる。カラムは、11.0L Fractogel(R)TMAE HiCap(M)レジン(Merck;#1.10316.5000)が充填された300mmのものが使用される。透明な溶解溶液はカラムにロードされ、NaCl勾配ステップを使用して溶離が行われる。カラムに結合した汚染物質の大部分は、約61mS/cmで、NaCl溶液によって溶離する。そして、プラスミドDNAは、約72mS/cmで、NaCl溶液によって溶離する。その結果、陰イオン交換クロマトグラフィ溶出液は、高濃度のプラスミドDNAを有する。
その後、三重親和性クロマトグラフィが行われる。陰イオン交換クロマトグラフィ・カラムから溶出された溶出液は、約0.5容積の、4.8MのNaClを含んでいる500mM酢酸ナトリウムによって希釈され、2MのNaClを含んでいる50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)によって平衡化された三重親和性クロマトグラフィ・カラムに送り出される。カラムの直径は300mmであり、10.0LのTHAC SephacrylTM S-1000ゲル(Amersham Biosciences;Piscataway,NJ)を含んでいる。そして、カラムは、1MのNaCl及びNV1FGFを含んでいる50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)で洗浄され、0.5mMのEDTAを含んでいる100mMのTris(pH9.0)によって溶出される。その結果、三重親和性クロマトグラフィ溶出液は、高濃度のプラスミドを有する。
その後、疎水相互作用クロマトグラフィが行われる。三重親和性クロマトグラフィ・カラムから溶出された溶出液は、3.6容積の溶液、3.8Mの硫酸アンモニウムを含んでいるTris(pH8.0)によって希釈される。0.45μmのフィルタによって濾過した後、ろ液は、9.0LのToyopearl(R)ブチル−650Sレジン(TosoH corp.,Grove City,OH)が充填された疎水相互作用カラム(直径300mm)に60cm/hでロードされる。そして、カラムは、硫酸アンモニウム溶液で240mS/cmで洗浄され、NV1FGFは硫酸アンモニウム溶液で220mS/cmで溶出される。その結果、HIC溶出液には、リラックス形態が含まれない。
本発明の好ましい実施形態では、さらなる透析濾過ステップが行われる。標準的な市販されている透析濾過材料は、当該技術分野では公知の標準的な方法に従って、このプロセスに使用するのに適している。好ましい透析濾過方法は、分子量がプラスミドのサイズに基づいて30,000〜50.000の範囲にカットオフされた透析濾過膜を使用した透析濾過である。この透析濾過ステップは、緩衝液交換が可能である、その後濃縮が行われる。ステップ12の溶出液は、目標濃度が約2.5〜3.0mg/mLとなるように接線流濾過(膜はカットオフされる、30kDa)によって3〜4フォルドに濃縮される。そして濃縮物は、透析濾過によって一定容積(生理食塩水10容積)で緩衝液交換され、生理食塩水によって目的のプラスミド濃度に調節される。NV1FGFの濃度は、濃縮物のサンプルの260nmでの吸光度から算出される。NV1FGF溶液は、0.2μmのカプセルフィルタによって濾過され、次の処理まで、容器内で2〜8℃の涼しい場所で保存される。このことにより、スーパーコイル状のプラスミドの濃度が約70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び好ましくは99%であるプラスミドDNAを有する精製された濃縮物が生成される。このプロセスによる全てのプラスミドの復元は、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、及び80%
であり、復元の平均値は60%である。
であり、復元の平均値は60%である。
≪実施例15≫
上記した実施例の方法は、イオン交換クロマトグラフィ・ステップ、三重らせん親和性クロマトグラフィ・ステップ、及び、疎水相互作用クロマトグラフィ・ステップを含み、従来の公知の方法よりも、より高純度に精製されたプラスミドDNAを作成することができる。この新規な方法によって作成されたpDNAは、従来の公知の方法よりも、ゲノムDNA、RNA、タンパク質、及び内毒素の含有量が少ない。このことは表6示されている。これらの実験結果は、AEC、THAC、及びHICは、全ての不純物を除去するために2つのステップを組み合わせた場合と比べると、驚くほど高い精製量を提供することを示している。これらのステップの組み合わせは、他の生物学的物質(タンパク質、内毒素、RNA、及びゲノムDNA)からのプラスミドDNAの分離の有効性に関して、明らかな相互作用を提供する。開環プラスミドの場合も同様である。さらに、相乗作用ステップの組み合わせ、すなわち本発明に係るAEC/THAC/HICは、高純度の医療グレードのプラスミドDNAを得るためだけではなく、高純度で完全にスーパーコイル化された(80%、85%、90%、95%、及び99%以上の)プラスミドDNAを構成することができる。
上記した実施例の方法は、イオン交換クロマトグラフィ・ステップ、三重らせん親和性クロマトグラフィ・ステップ、及び、疎水相互作用クロマトグラフィ・ステップを含み、従来の公知の方法よりも、より高純度に精製されたプラスミドDNAを作成することができる。この新規な方法によって作成されたpDNAは、従来の公知の方法よりも、ゲノムDNA、RNA、タンパク質、及び内毒素の含有量が少ない。このことは表6示されている。これらの実験結果は、AEC、THAC、及びHICは、全ての不純物を除去するために2つのステップを組み合わせた場合と比べると、驚くほど高い精製量を提供することを示している。これらのステップの組み合わせは、他の生物学的物質(タンパク質、内毒素、RNA、及びゲノムDNA)からのプラスミドDNAの分離の有効性に関して、明らかな相互作用を提供する。開環プラスミドの場合も同様である。さらに、相乗作用ステップの組み合わせ、すなわち本発明に係るAEC/THAC/HICは、高純度の医療グレードのプラスミドDNAを得るためだけではなく、高純度で完全にスーパーコイル化された(80%、85%、90%、95%、及び99%以上の)プラスミドDNAを構成することができる。
≪実施例16≫
イオン交換クロマトグラフィのステップ、三重らせん親和性クロマトグラフィのステップ、及び、疎水相互作用クロマトグラフィのステップを含む上記の実施例を、従来の公知の方法と比較した。図3に示すように、本発明に係る方法によって作成されるpDNAは、驚くべきことに、従来の公知の方法によって作成されるpDNAと比べると、ゲノムDNA、RNA、タンパク質、及び内毒素の含有量が著しく少ない(サブppmの範囲である)。図4に示すように、本発明に係る方法は、最大10gの製品品質が得られることを示す。
イオン交換クロマトグラフィのステップ、三重らせん親和性クロマトグラフィのステップ、及び、疎水相互作用クロマトグラフィのステップを含む上記の実施例を、従来の公知の方法と比較した。図3に示すように、本発明に係る方法によって作成されるpDNAは、驚くべきことに、従来の公知の方法によって作成されるpDNAと比べると、ゲノムDNA、RNA、タンパク質、及び内毒素の含有量が著しく少ない(サブppmの範囲である)。図4に示すように、本発明に係る方法は、最大10gの製品品質が得られることを示す。
≪実施例17≫
実施例14で説明した透析濾過のステップは、次の条件に従って行われる。ステップa及びステップb用の緩衝液が最良の条件を決定するのに使用される
(iii)12.5〜13.0量の50mM Tris/HCI、150mM NaCl、pH7.4(緩衝液I)に対する透析濾過(ステップa)
(iv)3.0〜3.5量の生理食塩水賦形剤(150mM NaCI)に対する、上記ステップaの残液(retentate)の第2の透析濾過(ステップb)
実施例14で説明した透析濾過のステップは、次の条件に従って行われる。ステップa及びステップb用の緩衝液が最良の条件を決定するのに使用される
(iii)12.5〜13.0量の50mM Tris/HCI、150mM NaCl、pH7.4(緩衝液I)に対する透析濾過(ステップa)
(iv)3.0〜3.5量の生理食塩水賦形剤(150mM NaCI)に対する、上記ステップaの残液(retentate)の第2の透析濾過(ステップb)
本発明に係る他の透析濾過のステップは、硫酸アンモニウム及びSDTAを効率的に及び広範囲に除去する。また、この透析濾過のステップの後には、適切な標的NaCl濃度(約150mM)と、最終的なTris濃度(400μM〜1mM)が得られる。プラスミドDNA組成物の例は、下記の表6に示す。
≪実施例18≫
LS06と呼ばれるプラスミドDNA NV1FGF API(有効薬剤成分)の技術上のバッチは、実施例17で説明した透析濾過方法によって、実施例13に従って製造される。溶出液は、まず、約2mgAPI/mLで、約13容積の緩衝液Iに対して透析濾過される。そして、その結果得られる残液(retentate)は、3容積の生理食塩水賦形剤に対して透析濾過される。最終的な残液は、その後、0.2μmフイルタによって濾過され、1mg/mLに調整される。最終的なAPI(pH7.24)は、DP製造まで、Duranガラス瓶に5℃で保存される
LS06と呼ばれるプラスミドDNA NV1FGF API(有効薬剤成分)の技術上のバッチは、実施例17で説明した透析濾過方法によって、実施例13に従って製造される。溶出液は、まず、約2mgAPI/mLで、約13容積の緩衝液Iに対して透析濾過される。そして、その結果得られる残液(retentate)は、3容積の生理食塩水賦形剤に対して透析濾過される。最終的な残液は、その後、0.2μmフイルタによって濾過され、1mg/mLに調整される。最終的なAPI(pH7.24)は、DP製造まで、Duranガラス瓶に5℃で保存される
Duranガラス瓶(API)、同様に製剤製造に使用される8mLのガラス瓶に保存されていたLS06のサンプルに対して、安定性の試験が行われた。90日後、+5℃では、すべてのサンプルで脱プリン化及び開環はほとんど検出されなかった(0.3%)。90日後、+25℃でも、同様に、LS06サンプルの脱プリン化及び開環の割合は極めて低かった(<1%/月)。
この実験により、pH値が7〜7.5に保たれる本発明に係る組成物では、プラスミドDNA NV1FGFの安定性は、非常に安定的であることが実証される。脱プリン反応のレート及びプラスミドが切断されるレートは、一般的に、25℃のときに協力促進される。本出願には、プラスミドDNAが、RTでさえ、非分解形態で長期間安定に保たれることを示している
Claims (47)
- 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物の作成方法であって、
まず、細胞をアルカリ溶解法によって溶解し、抽出及び濾過によって前記細胞の膜及びゲノムDNAを除去して、プラスミドDNAを含有している細胞抽出物作成するステップと、
その後、1つは三重らせん親和性クロマトグラフィであり、もう1つは陰イオン交換クロマトグラフィ、ゲル浸透クロマトグラフィ及び疎水相互作用クロマトグラフィの中から選択される、少なくとも2つのクロマトグラフィを行うステップとを含み、
前記組成物に、約0.0001%未満のホスト細胞ゲノムDNA不純物が含まれるようにした方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記少なくとも2つのクロマトグラフィ・ステップは、
陰イオン交換クロマトグラフィ、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィをその順番で行う3つのステップを含むことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1のクロマトグラフィ・ステップの前に、溶解物を濾過することを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1のクロマトグラフィ・ステップの前に、凝集物を除去することを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.0001%未満のホスト細胞RNA不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.0001%未満のホスト細胞タンパク質不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項5に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.0001%未満のホスト細胞タンパク質不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.1EU/mg未満の内毒素が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項7に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.1EU/mg未満の内毒素が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1又は2に記載の方法であって、
前記組成物に、
約0.1EU/mg未満の内毒素、
約0.00008%未満のホスト細胞タンパク質不純物、
約0.00008%未満のホスト細胞RNA不純物、及び
約0.00008%未満のホスト細胞ゲノムDNA不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項2に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.00005%未満のホスト細胞ゲノムDNA不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項2に記載の方法であって、
前記組成物に、約0.00008%未満のホスト細胞ゲノムDNA不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1又は2に記載の方法であって、
前記組成物に、
約0.1EU/mg未満の内毒素、及び
約0.00005%未満のホスト細胞タンパク質不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
前記組成物に、
約0.00002%未満のホスト細胞RNA不純物、及び
約0.00008%未満のホスト細胞ゲノムDNA不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1又は2に記載の方法であって、
前記組成物に、
約0.1EU/mg未満の内毒素、及び
約0.00002%未満のホスト細胞RNA不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1又は2に記載の方法であって、
前記組成物に、
約0.1EU/mg未満の内毒素、及び
約0.00005%未満のホスト細胞タンパク質不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1又は2に記載の方法であって、
前記組成物に、
0.00002%以下のホスト細胞RNA不純物、及び
0.00005%以下のホスト細胞タンパク質不純物が含まれるようにしたことを特徴とする方法。 - 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法であって、
大規模製造へのスケールアップに適していることを特徴とする方法。 - 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法によって作成されたプラスミドDNA組成物。
- 請求項19に記載のプラスミドDNA組成物であって、
少なくとも1つの、プラスミドDNAを細胞内へ導入するためのポリマーをさらに含んでいることを特徴とする組成物。 - 請求項19に記載のプラスミドDNA組成物であって、
薬学的に許容される媒体又は賦形剤をさらに含んでいることを特徴とする組成物。 - 請求項19に記載のプラスミドDNA組成物であって、
注射、静脈注射、筋肉注射、腫瘍内投与、小粒子照射、又は組織への局所適用によって送達するように作成された組成物。 - 請求項19に記載のプラスミドDNA組成物であって、
前記プラスミドDNAは、実質的にスーパーコイル状閉鎖型DNAの形態であることを特徴とする組成物。 - 高純度のプラスミドDNAの大規模製造方法であって、
ホスト細胞を含んでいるプラスミドDNAを、連続的な層流でのアルカリ溶解によって溶解するステップと、
結果として得られた抽出物を中和するステップと、
前記抽出物内のプラスミドDNAは、陰イオン交換クロマトグラフィ、三重らせん親和性クロマトグラフィ、及び疎水相互作用クロマトグラフィをその順番に行うことによって単離するステップとを含む方法。 - 医薬品グレードのプラスミドDNAの作成及び精製方法であって、
(a)プラスミドDNAを含有している細胞を作成するステップと、
(b)前記細胞を連続的アルカリ溶解法によって前記細胞を破壊して、前記プラスミドDNA含有細胞の溶解物を作成するステップと、
(c)前記溶解された細胞を沈殿させて濃縮するステップと、
(d)陰イオン交換クロマトグラフィを行うステップと、
(e)三重らせん親和性クロマトグラフィを行うステップと、
(f)疎水相互作用クロマトグラフィを行うステップと、
(g)透析濾過及び/又は緩衝液交換を行うステップとを含むことを特徴とする方法。 - 請求項24又は25に記載の方法であって、
溶液中に存在する精製されたプラスミドDNAには、
約0.1EU/mg未満の内毒素、
約0.00005%未満のホスト細胞タンパク質不純物、
約0.00002%未満のホスト細胞RNA不純物、及び
約0.00008%未満のホスト細胞ゲノムDNA不純物が含まれることを特徴とする方法。 - 請求項24乃至27のいずれか1項に記載の方法であって、
前記溶液を格子状フィルタに通すこと又は深層濾過を行うことによって凝集物を除去する事前のステップをさらに含むことを特徴とする方法。 - 請求項24乃至27のいずれか1項に記載の方法であって、
最後のクロマトグラフィ・ステップの後に行われる透析濾過ステップをさらに含むことを特徴とする方法。 - 請求項28に記載の方法であって、
前記透析濾過ステップによって、医薬品組成物を作成するの使用される最終組成物に適した塩、緩衝液、pH値が得られることを特徴とする方法。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって
sub−ppm(<0.00001%)のホスト細胞gDNA、RNA及びタンパク質不純物を含んでいることを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって
gDNA、RNA及びタンパク質不純物を実質的に含まないことを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって
細菌性ホスト染色体DNAを実質的に含まないことを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
約0.01%未満、約0.001%未満、約0.0001%未満、好ましくは0.00008%未満の染色体DNA又はゲノムDNAを含んでいることを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
ホスト細胞RNAを実質的に含まないことを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
約0.01%未満、0.001%未満、好ましくは0.0001%未満、より好ましくは0.00002%未満のホスト細胞RNA不純物を含んでいることを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
ホスト細胞タンパク質不純物を実質的に含まないことを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
約0.0001%未満、より好ましくは0.00005%未満のホスト細胞タンパク質不純物を含んでいることを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
内毒素不純物を実質的に含まないことを特徴とする組成物。 - 医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
0.1EU/mg未満の内毒素を含んでいることを特徴とする組成物。 - 請求項30乃至39のいずれか1項に記載の医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
実質的にスーパーコイル状のプラスミドDNAを含んでいることを特徴とする組成物。 - 請求項30乃至39のいずれか1項に記載の医薬品グレードのプラスミドDNA組成物であって、
約99%以上の閉環状プラスミドDNAを含んでいることを特徴とする組成物。 - 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法であって、
殺菌濾過、製剤、及び精製されたプラスミドDNAをガラスビンに充填するステップをさらに含むことを特徴とする方法。 - 請求項42に記載の方法によって得られた、精製されたプラスミドDNAが充填されたガラスビン。
- 請求項43に記載のガラスビンであって、
前記精製されたプラスミドDNAは、NV1FGF指定プラスミドであることを特徴とするバイアル。 - 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法であって、
前記1つ以上のクロマトグラフィ・ステップは、
有機、無機又は複合材料から成り、多孔性、超多孔性又は非多孔性であり、クロマトグラフ分離に適しており、ポリ(アルケン・グリコール)、アルケン、アルキン、アレーン又は該固定担体に疎水性を付与する他の分子によって誘導体化された固定床の上で行われることを特徴とする方法。 - 請求項1乃至18又は請求項24乃至29のいずれか1項に記載の方法であって、
前記1つ以上のクロマトグラフィ・ステップは、
置換クロマトグラフィ、疑似移動床クロマトグラフィ、連続床クロマトグラフィ、高速タンパク質液体クロマトグラフィ、又は高速液体クロマトグラフとして行われることを特徴とする方法。 - 請求項1乃至18又は請求項24乃至29のいずれか1項に記載の方法であって、
前記疎水相互作用クロマトグラフィは、固定床又は膨張床上で行われることを特徴とする方法。
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