JP4723254B2 - プラスミドdnaを精製するための方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、プラスミドDNAを精製するための方法に関連する。本発明は、本発明の方法によって生産されたDNA産物に関連する。このDNA産物は、医薬的な使用に適している。
関連分野
プラスミドは、例えば、抗体の調製、遺伝子解析、スクリーニング、及び研究室での分析に使用されている。最近の生物学における発達は、疾患を治療するためのポリアミノ酸をコードするポリヌクレオチドを使用することの可能性を供している。ヒトに対しての遺伝子デリバリーの1つの方法は、プラスミドDNA、即ち、閉環状のDNA形態を使用することである。
いくつかの場合、ある患者集団に対して有効な治療を供するために、多量のプラスミドDNAが必要とされている。従って、効率的、コスト上有効な生産及び処理時間の短縮を可能にし、そしてラスミドDNAの高い回収率を供する拡張性のある方法が望まれている。
更に、プラスミドDNAは、当該プラスミドDNAを患者に対して投与するようにするために、非常に精製されていなければならない。臨床用途において使用されているプラスミドは典型的に、細菌の例えば、大腸菌(E.coli)によって生産されているので、この精製方法は、効率的に、細菌性のエンドトキシン、タンパク質、炭化水素、及びゲノム(染色体)DNAをプラスミドDNAから、非常に大規模に分離しなければならない。染色体DNA及びプラスミドDNAはそのように類似しているので、特に医薬組成物中で精製したプラスミドを使用するために、特に染色体DNAを除去する際には特に、前記方法は有効であるべき必要がある。
プラスミドDNAを精製するための方法は、例えば、米国特許第5,561,064号、6,214,586号及び6,441,160号並びに米国出願公報2001/0034435に記載されている。しかし、プラスミドDNAを精製するための新規且つ改良された方法が求められており、そしてその方法は、ヒトなどの哺乳動物の治療剤として使用されるべき高純度のプラスミドDNAを多量に生産するために拡張性がある。
発明の概要
本発明は、DNA産物を獲得するために、宿主細胞不純物からプラスミドDNAを精製するための方法に関連し、当該方法は:(a)プラスミドDNAを含む宿主細胞を溶解させて溶解物を獲得し:(b)当該溶解物を清澄化して清澄化された溶解物を獲得し;(c)当該清澄化された溶解物を限外ろ過して、限外ろ過された清澄化した溶解物を獲得し;(d)第一の沈殿剤を、限外ろ過され清澄化した溶解物に対して、プラスミドDNAの沈殿物を獲得するために十分な量で加え;(e)当該沈殿物を溶かして第一溶液を獲得し;(f)第二の沈殿剤を、当該溶液に対して宿主細胞不純物を沈澱させ且つプラスミドDNAを含む溶質を獲得するために十分な量で加え;(g)当該溶質を他のバッファーへと移して第二の溶液を獲得し;(h)当該第二の溶液を陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)物質に対して適用して、プラスミドDNAを含む溶出液を獲得し;そして(i)当該溶出液を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)物質に対して適用してDNA産物を獲得する、ことを含んで成る。
本発明の1つの実施態様において、AEXクロマトグラフィー物質は、セラミックマトリクスを含んで成る。当該AEX支持体のための当該セラミックマトリクスの平均粒経は、約10μm〜約200μmでありうる。当該AEX支持体のための当該セラミックマトリクスの平均孔径は、約750Å〜約2000Åであって良い。セラミックマトリクスを含んで成るAEXクロマトグラフィー物質において、AEXクロマトグラフィー物質の平均孔径は、約10Å〜約100Åでありうる。
本発明のいくつかの実施態様において、HICクロマトグラフィーのための樹脂の平均粒径は、約50μm〜約150μmでありうる。HICクロマトグラフィー物質のための樹脂の平均孔径は、約25nm〜約100nmでありうる。
本発明において、(a)における溶解は、アルカリ溶解によって良い。(b)における清澄化は、珪藻土による深層ろ過(Depth filtration)によって良い。(c)における限外ろ過は中空糸限外ろ過によって良い。(d)における第一の沈殿剤はポリエチレングリコール(PEG)であって良い。(f)における第二の沈殿剤は、酢酸アンモニウムであって良い。(h)における溶出液は、約1M〜約2Mの硫酸アンモニウムの濃度に調整されて良い。(i)におけるHICクロマトグラフィー物質は架橋したアガロース樹脂を含んで成る。(i)におけるDNA産物は硫酸アンモニウムを除去するために更にダイアフィルトレーションされて良い。DNA産物は更にエタノールで沈殿されて良い。
所定の実施態様において、前記方法は、任意の加えられた酵素、有機抽出物、又は突然変異誘発試薬の存在下で行われて良い。
本発明のDNA産物は、更に滅菌されて、処方されて、そして滅菌容器中に詰められて良い。
本発明において、宿主細胞は細菌であって良い。
本発明は、更に本発明の方法によって獲得したDNA産物に対して向けられている。DNA産物は約95重量%以上の環状プラスミドDNAを含んで成る。DNA産物は、RNAを約5重量%未満含んで成りうる。DNA産物は、DNA産物1μgあたり0.002μg未満の宿主DNAを含んで成りうる。DNA産物は、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg未満含んで成りうる。DNA産物は、DNA産物1μgあたり約0.01EU未満含んで成る。
本発明は、環状プラスミドDNAを約95重量%以上含んで成るDNA産物にも向けられており、ここで当該DNA産物は、RNAを約5重量%未満、DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.002μg未満含んで成り、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg未満含んで成り、そしてDNA産物を1μgあたり約0.01EU未満含んで成る。
本発明は、本発明のDNA産物を含んで成る医薬に向けられている。1つの実施態様において、本発明は、DNA産物を含んで成る無菌容器に向けられている。他の実施態様において、本発明は、DNA産物を含んで成るキットに向けられている。DNA産物は医薬的に不活性な剤又は医薬的に活性のある剤を伴い処方されている。かかる剤は、当業者に公知である。
発明の詳細な説明
本発明は、宿主細胞不純物からDNA産物を獲得するためにプラスミドDNAを精製する方法に関連し、当該方法は:(a)プラスミDNAを含んでいる宿主細胞を溶解させて溶解物を獲得し;(b)当該溶解物を清澄化し清澄化された溶解物を獲得し;(c)当該清澄化した溶解物を限外ろ過して限外ろ過された清澄化した溶解物を獲得し;(d)第一の沈殿剤を、当該限外ろ過された清澄化した溶解物に対して、プラスミドDNAの沈殿物を獲得するために十分な量で加え;(e)当該沈殿物を溶かして第一の溶液を獲得し;(f)第二の沈殿剤を、当該溶液に対して当該宿主細胞不純物を沈殿させるため且つプラスミドDNAを含む溶出液を獲得するために十分な量で加え;(g)当該溶質を他のバッファーへと移して第二溶液を獲得し;(h)当該第二の溶液を陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)物質に対して適用して、プラスミドDNAを含む溶出液を獲得し;そして(i)当該溶出液を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)物質に対して適用してDNA産物を獲得する、ことを含んで成る。
本発明の方法のDNA産物は、例えば、限定されないが、抗体の調製、遺伝子解析、スクリーニング、研究室分析、及び医薬などとして使用するための医薬等級のDNA製剤の製造に関する。本方法は、非常に高純度のDNA産物をもたらす。この製造方法によって生産されたDNA産物は、本質的に、宿主細胞由来の不純物を含まない、僅かに微量量で含む、又は検出不可能な量で含む。かかる宿主細胞不純物としては、RNA、タンパク質、エンドトキシン、発熱物質、及び宿主染色体DNAが挙げられるがそれらに限定はされない。本発明の方法において、前記方法は、食品医薬局(FDA)など、そして他の国際的な監督官庁が安全であるとして認める塩、バッファー、溶媒、抽出剤及び沈殿剤を含んで良い。FDAは食品添加物を、GRASリストを通じて規制している。食品添加剤とは、食品に対して添加されるが、通常はそれら自身食品として消費される食品である。GRASは、「一般に安全であるとして認識されている(generally recognized as safe)」の頭文字である。GRAリストはFDAによって確立されており、そして科学的な試験、又は1958年以前の広範囲な使用のいずれかを通じて安全であると特定された物質からなる。
前記方法は、拡張性のある単位操作からなる。前記方法により、mg、g及びkgの量のプラスミドDNAの生産が可能になる。
DNA産物は、精製後に、医薬として使用されて良い医薬等級のDNA産物としての規格に適合することを確かめるために分析されて良い。DNA産物は滅菌容器へ充填するために処方されて良い。本発明のDNA産物が入っている滅菌容器は、医薬製品のために必要な基準(同一性、純度、及び有効性)を満たす。
本発明のDNA産物は、医薬的な使用に限定されることはないが、当該産物は、本発明の方法が医薬等級のDNA産物を提供できるので医薬的用途に適している。医薬等級とは、FDAなど、そして他の監督官庁による基準の組を意図している。連邦法は、ヒトの治療における医薬製剤の使用は連邦政府の代理人によって承認されていることを求めている。施行の責任は、FDAの責任であり、FDAは、21 U.S.C. pp.301〜392に詳説されている、かかる承認を保障するための適切な規制を発行する。生物物質、動物の組織から調製した産物を含んで成る、生物物質のための規制、は42 U.S.C.262に供されている。規制は各国ごとに様々であるが、個々の手順は当業者に公知である。
プラスミド及び宿主細胞
本発明の方法により精製されて良いプラスミドDNAは限定されていない。プラスミドとしては、真核ベクター及び原核ベクター、クローニング及び発現ベクター、pBR322及びpUCベクター及びそれらの誘導体が挙げられる。プラスミドは、複製の様々な開始点を組み込むために、例えば、原核複製開始点、例えば、pMB1及びColE1、又は真核の複製開始店の例えば、酵母、真菌、昆虫、及び哺乳動物細胞における複製を促すもの(例えば、SV40 ori)を含むことができる。クローニング及び発現を促すための様々な遺伝子要素を包含するために、プラスミドは、例えば、各種の遺伝子(selectable gene)、ポリリンカー、プロモーター、エンハンサー、リーダーペプチド配列、イントロン、ポリアニル化シグナル、又はそれらの組み合わせを含むことができる。ベクター、複製開始点、及び遺伝子要素の選択は、要求及び当業者に基づいて様々であろう。
プラスミドは更なる所望の遺伝子要素を含むことができる。例えば、プラスミドは、各種マーカーの例えば、抗生物質耐性遺伝子の、例えば、ピューロマイシン耐性、ネオマイシン耐性、ヒグロマイシン耐性、及びチミジンキナーゼ耐性をコードするポリヌクレオチドを含むことができる。
プラスミドは、クローニングを促すために任意の様々な制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む。かかるポリリンカーは、例えば、当該ポリリンカーに対してクローン化されるポリヌクレオチドに対して作用可能式に連結される第二のプロモーターの下流に配置されて良い。従って、プラスミドは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことができ、この場合、当該ポリヌクレオチド(即ち、トランス遺伝子)は、プロモーターに対して作用可能式に連結している。
ポリヌクレオチドは任意の様々なポリペプチドをコードすることができ、それは例えば、限定されないが、エリスロポエチン、アデノシンデアミナーゼ、VIII因子、IX因子、ジストロフィン、β-グロブリン、LDLレセプター、CFTR、インスリン、抗血管新生因子、成長ホルモン、α1-アンチトリプシン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンセターゼ、UDPグルクロニシルトランスフェラーゼ、インターロイキン、及びインターフェロンである。
ポリペプチドをコードするポリヌクレオドを使用する代わりに、当該ポリヌクレオチドがアンチセンスRNAをコードして良い。標的遺伝子の発現を阻害するためにアンチセンスRNAが使用されて良く、それは例えば、その遺伝子の発現が望ましくない(例えば、病原性の遺伝子)場合又は遺伝子の発現が細胞中で望ましくないほどに高い場合である。コードされたアンチセンスRNAは、任意の様々な方法において遺伝子の発現を阻害することができ、それは例えば、複製及び/又は転写に干渉を及ぼすことによる。任意の生命機能と干渉するRNAの機能は、例えば、タンパク質翻訳の部位へのRNAのトランスロケーション、当該RNAからのタンパク質の翻訳、当該RNAのスプライシングにより1又は複数のmRNA種をもたらすこと、及び当該RNAが関与している又は促しうる触媒活性である。例えば、アンチセンスRNAは、調節エレメント(例えば、転写開始部位)及び/又はある遺伝子のコーディング配列の全部もしくは一部とハイブリダイズしてその遺伝子の発現を阻害することができる。アンチセンスRNAによって標的とされて良い遺伝子内領域としては、当該遺伝子のオープンリーディングフレームの翻訳開始部位の領域及び終末コドンの領域が挙げられ、その両方は、分子生物学の常用の原理を使用することで容易に同定されて良い。他の標的は、イントロンとエキソンの間の連結部である。標的核酸機能へのかかる干渉の全体効果は標的遺伝子の発現の調節である。アンチセンスRNAは典型的に、長さが約8ヌクレオチド以上、例えば、約10、12、15、18、20、25ヌクレオチド以上であり、そして一般に、長さが最大約30、50又は100ヌクレオチドであるアンチセンスRNAが十分な長さ(約8〜100nt、約10〜15nt、約又は18〜30nt)である。
プラスミドを含有する宿主又は宿主細胞としては、限定されないが、真核生物及び原核生物の例えば、細菌、酵母、真菌、昆虫及び哺乳類の細胞が挙げられる。宿主としては、微生物細胞、特に大腸菌(E.coli)などの微生物細胞が挙げられる。大腸菌の任意の適切な株が熟考されている。同様に、多様な構造タンパク質(又はペプチド、ポリペプチド、糖タンパク質、リンタンパク質、アミド化タンパク質など)をコードする遺伝子もプラスミドに挿入されて良く、その遺伝子は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、ポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドなどからなりうる。これらの核酸は、例えば、化学合成又は遺伝子操作技術を使用することで獲得されて良く(Sambrook, Fritsch, Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989;及びCurrent Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. & Wiley, 1987を参照のこと)、そして更に、プラスミド中に挿入されて良く、そして当該プラスミドは次に更なる遺伝子操作技術を使用することで宿主細胞中に挿入されて良い(id.)。
宿主細胞中へのプラスミドの導入は、熱ショック、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、又はエレクトロポレーションによって行われて良い(Hanahan, D., J. Mol. Biol. vol. 166: pp. 557〜580 (1983); Davis, L.ら.,Basic Methods in Molecular Biology (1986))。
プラスミドは、任意の様々なポリペプチドの例えば、限定ではないが、エリスロタンパク質(例えば、貧血症を治療するため)、アデノシンデアミナーゼ、因子VIII、因子IX、ジストロフィン、β-グロブリン、LDLレセプター、CFTR、インスリン、抗血管新生因子、成長ホルモン、α1-アンチトリプシン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンセターゼ、UDP-グルクロニシルトランスフェラーゼ、インターロイキン、及びインターフェロンをコードできる。
プラスミドDNA含有宿主の培養は、上記文献に開示されているような当業者に公知の方法を使用することで行われて良いが、それは例えば、バッチ発酵、フェドバッチ発酵、連続培養、I、II及びIII型の発酵、無菌発酵、コンソーシアム発酵(consortium fermentation)、保護発酵(protected fermentation)などに従い、インキュベーター、バイオリアクター、ファーメンターなどの使用が挙げられるがそれらに限定されない。環境に対して培養の条件(例えば、培地、温度、pH、時間、動揺、曝気など)を合わせることは、経験に基づき且つ当業者に公知である。
細胞ペースト
プラスミドDNA含有宿主細胞を培養した後、当該宿主細胞は、例えば、実験室、パイロットプラント、又は産業スケールの遠心及び/又はろ過、例えば、マイクロフィルタレーション及び/もしくは限外ろ過によって、特異的な適用に依存して、回収されている。回収された細胞は、標準的な方法を使用することで凍結保存されて良く、又はプラスミドDNAの精製をするためにすぐに処理されて良い。本発明の実施態様を、図1の方法のフローチャートに供している。
バッファー中での細胞の再懸濁
細胞を、再懸濁技術を使用しバッファー中で再懸濁している。このバッファーは、限定されず、そしてFDAによって「一般に安全であると認識されている」(GRAS)試薬が挙げられる。かかるバッファーとしては、トリス-HCl、酢酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、一塩基又は二塩基性リン酸ナトリウム又はこれらの混合物が挙げられる。pH及びイオン強度の選択は当業者に周知である。
ある実施態様において、懸濁は、静電ミキサー及び密閉容器を使用することで達成されて良く、それにより(1)より良い細胞懸濁及び溶液の混合;(2)溶解時間のより良い調節;並びに(3)より低いせん断がもたらされ、染色体DNAコンタミネーションの低減が供される。
細胞溶解物
細胞は、DNAを当該細胞から遊離させるために、溶解技術を使用することで溶解されている。いくつかの実施態様において、細胞は、動物酵素さもなくば誘導された酵素の例えば、ライソザイムに頼らずに溶解されている。溶解は、希塩基又は希塩基及びデタージェント中で行われて良く、それらは、GRAS試薬でありうる。かかる塩基としては、限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウムが挙げられる。かかるデタージェントとしては、限定されないが、医薬的に許容できる非イオン性界面活性剤の例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ポリソルベート(Tween(登録商標)の下で市販されている)、ポリオキシエチレンエーテル(Union CarbideによってTriton(登録商標)として市販されている)などが使用されて良い。NaOH及びSDSの組み合わせが有利である。pH及びイオン強度を至適化することは、当業者に周知である。
いくつかの実施態様において、穏やかな混合は静電ミキサーを連続再循環モードで使用することで溶解させる間で供されている。
アルカリ溶解の代わりは、例えば、フレンチプレス、マイクロ流体化装置(microfluidizer)、超音波処理などを使用する機械的な破壊であって良い。
沈殿技術は、非プラスミド又は宿主細胞不純物の例えば、染色体DNA、高分子量RNA、タンパク質及び膜複合体を沈殿させるために使用されて良い。そしてまた、この溶解物は、この段階において、酸性化技術を使用することで、その後、細胞溶解物からもたらされる不溶性物質の除去を促すためにアルカリ処理中に生じた粘性を下げることによって酸性化されて良い。任意の酸が使用されて良い。医薬的使用のために、それはGRAS成分の例えば、氷酢酸、リン酸、クエン酸などである。pH及びイオン強度を合わせるは経験に基づき且つ当業者に周知である。
本発明のいくつかの実施態様は、溶解物からRNA並びに染色体DNA、タンパク質、脂質などを沈殿させるために、アルカリ/デタージェント溶解物に対して加えられて良い、改変された、非酸性の中和溶液の使用を伴う。これは:(1)カラムクロマトグラフィー前に大部分のRNA(特に高分子量)の除去;(2)プラスミドDNAの傷害性酸に対する暴露の除外;及び(3)RNA沈殿の前にプラスミドを部分的に精製する必要性の除外を伴う。中和は、酢酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、又は任意の弱酸の塩基により達成されて良い。いくつかの実施態様において、中和は、3Mの酢酸カリウム、pH5.5を、静電ミキサーじゅうを再循環させる間に加えることによって達成されている。
細胞の破片及び他の不純物の除去
細胞の溶解させる間に放出された細胞の破片及び高分子量不純物は、実験室、パイロットプラント又は産業規模の遠心及び/又はろ過によって除去されている。ろ過により、次なる陽性沈降(positive precipitation)の前に溶解物を清澄化することが確実になる。当業者に周知のように、ろ過は、例えば、セルロース、珪藻土、Celite(登録商標)ろ過支援物などの支援物質を使用することによって、異種又は粘性溶液の流動性を高めるために行われて良い。
物質であって、本発明の方法に従い、それを通過することで溶解物がろ過されるような物質は、プラスミドDNAにろ過液を通過させるためには十分であるが集成されたろ過液が大割合の不溶性物質を維持するのに十分小さいような開口部又は孔を含んで成る(深層ろ過)。孔径は、全体的な効果とは沈殿物を維持することである限り、不規則且つ多彩であって良い。従って、孔径は、約0.1μm〜約100μm、又は約0.5μm〜約50μmであって良い。物質であって、それからフィルターが製造される物質は、合成物質又は有機もしくは無機の天然物質であって良い。ろ過用物質は、有利にオートクレーブ可能、可鍛性(malleable)、強靭であり、そして、独特の実験状況に適合せしめられるよう様々なろ過効率を達成するために層において集成可能でもある。それは非吸着体であって良く、そして疎水性又は親水性であって良いが;しかし、この疎水性によりろ過物の流れが抑制されるべきではない。適切なろ過用物質の例としては、珪藻土(海面量に隆起している海洋堆積物において発見される微細藻類(珪藻)の骨格残留物)、ガラス、プラスチック、又は金属スクリーン、多孔性フィルム、セルロース又は繊維マット、織った布帛もしくは織っていない布帛、又は合成布帛の例えば、ナイロン又はレーヨンの例えば、Miracloth(登録商標)(Calbiochem,カタログNo.475855,La Jolla, CA)、約22〜約25μmの平均孔径を有する合成の織られていないレーヨン布帛である。ろ過は、例えば、遠心力の条件下、加圧条件下又は真空条件下で行われて良い。いくつかの実施態様において、珪藻土を使用した深層ろ過は、溶解物の清澄化及び細胞の破片の除去、例えば、宿主細胞DNA及びタンパク質の除去又は低減をするために使用されて良い。いくつかの実施態様において、約0.45μm(呼び径)のデプスフィルターによる、加圧珪藻土支援深層ろ過(pressure fed diatomite aided depth filtration)が使用されて良い。
遠心は、細胞の破片及び他の不純物を除去するための他の手段でありうる。細胞を溶解させた後、物質は、当該物質の完全な回収を可能にする十分なg力と時間で回転させられて良い。約×2000g〜約×6500gのg力が使用され、そして約30〜約60分の時間が使用されて良い。遠心が完了した場合、上清はデカンテーションされて更なる処理段階のために保存されて良い。
清澄化したろ過物(又は上清)は、約10〜約15体積の体積減少、しかる後に約4〜約10体積のバッファー交換に、限外ろ過及びダイアフィルトレーション(UF/DF)を使用することで委ねられる。限外ろ過膜は、洗浄可能であり且つ使用される溶液/バッファーと化学的に適合して良い。多くの適切な膜物質が入手可能であり、それは例えば、酢酸セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン又はポリビニルジフルオリドが挙げられ;ポリスルホンは、本発明の方法において使用されて良い膜物質の1つである。多くの種類の限外ろ過物質が入手可能であり、例えば、平らなシート、らせん状巻物(spiral wound)、中空糸又はステアーセル(stir cell)が挙げられる。中空糸接線流れろ過(TFF)がこの方法中で使用されて良い。膜の孔の選択は、膜製造者、DNAサイズ及び構造に依存するだろう。約50kD〜約500kDの分子量カットオフ値が使用されて良く;300kDの膜がこの方法中で使用されて良い。中空糸は、しかも不純物、水及び塩をこの膜を通じて流す(浸透)一方でプラスミドDNA(リテンテート)を維持する。このUF/DF方法段階により、RNA、エンドトキシン及び炭化水素の除去又は低減がもたらされる。
清澄化したろ過物に由来するプラスミドDNA
ポリエチレングリコール(PEG)又は他の類似する高分子量ポリオールが、タンパク質及び核酸回収の両方において、沈殿剤及び抽出剤として使用されて良い。PEG沈殿剤は、DNAを製造するために有利である。それは医薬において許容できる成分である。この段階では、PEGは清澄化されたろ過物に対して、高濃度のPEGをもたらす量で加えられている。PEGの最終濃度を約8%PEG〜約12%PEG、例えば、約10%PEG(重量/体積)にすることが有利でありうる。典型的に、PEG-8000が使用されて良い。しかし、他の様々な分子量のPEG、例えば、限定されないが、PEG-3000〜PEG-2000が使用されて良い。標準的な沈殿技術の適用及びpH選択及びイオン強度の選択は当業者に周知である。
部分的に精製されたDNAの回収
アルコール又はPEG沈殿の結果として形成されたプラスミドDNAの沈殿物は、実験室、パイロットプラント、又は産業スケールの遠心及び/もしくはろ過による通常の方法で分離されている。沈殿させることにより、上清中に維持されているエンドトキシン及び炭化水素の除去又は低減が可能になる。
遠心は、PEG沈殿物を回収する1つの手段として使用されている。物質は、当該物質の完全な回収を可能にするのに十分なg力と時間で回転させられて良い。バッチ遠心について、PEG沈殿させたDNAは適切なサイズの遠心ボトルに移されて良い。約×2000g〜約×6500gのg力が使用され、そして約30〜約60分の時間が使用されて良い。遠心が完了した場合、上清はデカンテーションされて捨てられて良い。
部分的に精製したDNAをバッファー中に溶かすこと及び不純物を沈殿させること
プラスミド沈殿物がバッファー中で再懸濁される場合、当業者に公知の懸濁技術が使用されて良く、そしてバッファーは、限定ではないが、GRAS緩衝剤が使用されて良い。
この段階では、高塩沈殿が、当業者に公知のように、沈殿技術を使用すること及びpH及びイオン濃度を選択することで行われて良い。高塩沈殿は、いくつかのコンタミネーションRNA及び多くのリポポリサッカライドを除去するために、そして更に宿主細胞DNAを減らすために有効である。塩の種類は、GRAS成分であって良いがそれに限定はされない。酢酸アンモニウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが有用である。
沈殿した不純物の除去
高塩沈殿の結果として形成された不純物の沈殿は、実験室、パイロットプラント、又は産業規模の遠心及び/もしくはろ過による通常の方法で分離されている。ろ過は、不純物の沈殿を維持するために有効であり、しかもプラスミドDNAろ過物が回収可能であるような孔径の要請に見合う任意のフィルター物質により行われて良い。有効なろ過は、コンタミネーション物質の最大限の回収及びフィルター上に残るプラスミドが最小であること、即ち、産物の最適フロースルーを特徴とする。適切なフィルターは、約0.1μm〜約100μm、又が約0.1μm〜約50μmの孔径又は孔径の範囲を有して良い。この段階のろ過のためのフィルターはろ過するために上記の物理特性を有して良く、それは即ち、合成もしくは無機の物質からできていること、又は核酸成分でコンタミネーションされていない物質からできていること、オートクレーブに掛けることが可能、強靭及び可鍛性物質からできていることである。
遠心又はろ過の後、上清は、イソプロパノール(IPA)などで沈殿させられて良く、そしてクロマトグラフィー迄−20℃で保存されるかあるいは任意にクロマグラフィーのためにすぐに使用されて良い。
陰イオン交換クロマトグラフィー
イオン交換クロマトグラフィーは、プラスミドDNA分子を、あるpHにおける分子のイオン電荷又は等電点(pI)に基づき、コンタミネーション分子から分離するために行われている。イオン交換カラムには、イオン交換物質を作り上げる、正に帯電したビーズ(陰イオン交換体のために)又は負に帯電したビーズ(陽イオン交換体のために)が充填されている。分子の電荷密度及びpIは、分子を分離するために適している支持マトリクスのイオン容量(ionic capacity)を決定するだろう。
本発明は、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)を使用する。1つの実施態様において、AEXクロマトグラフィー物質はセラミックマトリクスを含む。AEXのためのセラミックマトリクスとは、硬質マクロポーラスセラミックビーズ(「セラミックマトリクス」)からできている吸着体を使用するクロマトグラフィー支持物質の伝達使用(convey use)をすることを目的としている。かかるAEXクロマトグラフィー物質がセラミックマトリクスを含む場合、セラミックマトリックスはコーティングされており、そして機能化させられた(functionalized)(陰イオン性)ヒドロゲル又は樹脂を浸透させられている。かかるAEXクロマトグラフィー物質としては、BioSepra(登録商標)セラミックHyper Dイオン交換体(Ciphergen Biosystems, Inc., Fremont CA)の例えば、BioSepra(登録商標)Q セラミック Hyper Dが挙げられる。BioSepra(登録商標)セラミックHyper Dは生物分子の効率的且つ拡張性のある精製のための高キャパシティー吸着体である。BioSepra(登録商標)セラミックHyper Dイオン交換体は、硬質セミックビーズの孔内でポリマー化した高キャパシティーヒドロゲルを使用する。この設計は、軟質の、高キャパシティーヒドロゲルの所望の特性と硬質セラミックビーズの寸法安定性を組み合わせる。ヒドロゲル中の多くのイオン交換部位は非常にアクセス可能である。高い動的結合キャパシティーを生じるかかるセラミックマトリクスに支持されたAEXは、高い速度で獲得される。動的キャパシティーとは、カラム中に充填されたゲルに対して結合し、そして規定の条件下で動くだろう試料の量である。それは、pH、イオン強度、対イオン、試料及び流速に依存する。一般に、流速が下がれば、動的キャパシティーが高くなる。かかるAEXクロマトグラフィー物質の硬質セラミックマトリクスは、圧縮又は収縮を伴わずとも、より高い線速度を可能にする。ビーズは流体流の下で変形することはない。かかるAEXクロマトグラフィー物質はより高い生産性のために流速を上げるために、そして効率を上げるために、そして高純度にするために使用されて良い。
セラミックマトリクスは常用の樹脂と比べてキャパシティーの上昇(3〜4倍)をも可能にする。例えば、直径18cmの単一カラムは直径30cmのQ-セファロースカラム(5.3g)よりも高いDNAキャパシティー(5.7g)を有する。巨大なカラムは充填するのが容易であり、その理由は、樹脂(硬質セラミックビーズ)の性質により、そして巨大カラムを充填することは手順が決まっておりしかも時間がかからないからだ。かかるAEXクロマトグラフィー物質の使用により:(1)処理時間の短縮;(2)高流速;(3)より高い結合キャパシティー;(4)必要な樹脂及びバッファーの減少;(5)必要な処理設備の小型化;及び(6)カラムのコストの低減がもたらされる。
本発明のいくつかの観点において、AEX支持体(ヒドロゲル又は樹脂を伴わない)のためのセラミックマトリクスの平均粒径は約10μm〜約200μmである。AEX支持体(ヒドロゲル又は樹脂を伴わない)のためのセラミックマトリクスの平均孔径は、約750Å〜約3000Åである。かかるAEXクロマトグラフィー物質(コーティングしたヒドロゲル又は樹脂で集成されたセラミックマトリクス)の平均孔径は約10Å〜約100Åでありうる。
試料は、AEXカラム上にロードされる。代わりに、イオン交換操作が、二つの異なる移動層又はバッファーを使用すること(即ち、勾配条件下)で行われて良い。出発バッファーは、低塩又はイオン濃度バッファーであって良い。溶出バッファーは、出発バッファーよりも有意に高いイオン濃度を有する。pHを操作することは試料の溶解度及び支持マトリクスの安定性によって決定されて良い。例えば、イオン交換体は、約6〜約11のpHでそして約0.3M〜約1.0M NaClの間で展開したリニア勾配又は段階的勾配で流されて良い。
溶出曲線は、連続的に記録されるかあるいは、個々の画分を調査することによって、例えば、UV吸光度、アガロースゲル電気泳動、及び他の分析手段によって調べることにより決定されて良い。DNA産物を含有する画分はプールされていて良い。
疎水性相互作用クロマトグラフィー
セラミックAEX溶出ピーク(プールした又はプールしていない)は約1M〜約2Mの硫酸アンモニウム濃度に調節され、任意にろ過され、そして疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムの例えば、オクチルFF HIC (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)、フェニルFF HIC (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)、ブチルFF HIC (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)、及びヘキシルHIC(Tosoh-Haas, Montgomeryville, PA)上に、残留宿主細胞不純物のエンドトキシンなどを除去もしくは低減するために、ロードされて良い。
HICは、分子をそれらの表層の疎水性に基づいて分解するために行われて良い。疎水性基とクロマトグラフィーマトリクスに対して結合した疎水性リガンドとの間での相互作用は、この化学を仲介する。マトリクスの種類、疎水性基の性質、及び吸着と溶出の条件は、関連する分子の独特の特性に適合するようにされている。本発明において使用されるHICクロマトグラフィー物質のためのマトリクスは、限定ではないが、架橋したアガロース樹脂である。
HICは一般に、適切な濃度の塩(例えば、硫酸アンモニウム)を含む水性溶液中の注目の化合物を結合させることによって行われている。所望の物質の溶出は、塩濃度を下げることによって達成されている。揮発性又は可燃性有機溶媒は、必ずしも使用される必要がなく、そして有機改変剤は一般に必要ではない。
市販されて入手可能である様々なHIC樹脂があり、化学的な骨格及び機能の両方において異なる。一般に、それらはプラスミドDNA精製のために働くように調製されており、例えば、オクチルFF HIC (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)、フェニルFF HIC (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)、ブチルFF HIC (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)、及びヘキシルHIC(Tosoh-Haas, Montgomeryville, PA)が挙げられるがそれらに限定されない。HIC段階はフロースルー段階であり、即ち、スーパーコイル及び開環状プラスミドがカラムをフロースルーする間に、RNA、染色体DNA、変性したプラスミドDNA及びエンドトキシンはカラム上に維持されている。
HIC樹脂は、最初に、高イオン強度多価塩の例えば、硫酸アンモニウム中で平衡化されている。これらの条件により疎水性相互作用が高まり、そして様々な分子の維持が高まる。塩濃度を下げることによって、疎水性相互作用が低下し、そして生物分子が、樹脂からそれらの疎水性に依存して溶出し始める。従って、スーパーコイルプラスミドは、望まれていないプラスミド形態(開環状、変性)から、そしてコンタミネーション体から、HICを使用することで精製されて良い。
生物分子とHIC樹脂の相互作用は、選定の多価塩の機能として改変されても良い。一般に、クエン酸ナトリウム及びリン酸カリウムの塩が、硫酸アンモニウムよりも高く、プラスミドDNAの疎水性相互作用を高めることができる。従って、クロマトグラフィー物質及び塩条件の選択を最適化することによって、当業者はあるプラスミド構築体について所定量の精製に影響を与えることができる。かかる最適化を行うことは、当業者に理解されており且つ周知である。
溶出曲線は、連続的に記録されるかあるいは、個々の画分を、例えば、UV吸収、アガロースゲル電気泳動、及び他の分析手段によって調べることによって決定されて良い。DNA産物を含有する画分はプールされて良い。
Octyl HICポリッシング段階で、微量のコンタミネーション物(産物ではない)を結合し、従って、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)に比べて実質的により小さなカラムが必要となる。Hiyper D溶出ピークは、ポリッシングのためにHICカラム状へと即座にロードされて良く、全体のクロマトグラフィー方法手順は単一8時間シフトにおいて熟考されている。QセファロースプレSEC後にDNAを濃縮するためのオーバーナイトアルコール沈殿段階は省かれている(現在の方法において必要である)。
本発明の方法において必要とされるHICの使用は、スループットキャパシティーの有意な増加、同等量の産物を処理するために必要なカラムサイズの低下、処理時間の有意な減少(例えば、SECより高い流速)、拡張性、支持物質の消費の削限(例えば、樹脂及び必要なバッファの減少)及び生産コストの削減を供する。
更なる処理
上記の方法によって獲得されたDNA産物は、限外ろ過によって更に濃縮されて良い。DNA産物は、硫酸アンモニウムを除去するために更にジアフィルトレーションされて良い。DNA産物は、エタノールで更に沈殿させられて良い。
本発明の方法は、任意の酵素、有機抽出物、及び突然変異誘発剤を加えることがなくとも行われて良い。
DNA産物
いくつかの観点において、本発明は、本発明の精製方法によって獲得されたDNA産物に向けられている。本発明の方法によって獲得されたDNA産物は、直接使用されるもしくは更に精製されるもしくは処理されて良い。本発明のDNA産物は、環状プラスミドDNAを約95重量%以上含むことができる。DNA産物はRNAを約5%未満、例えば、RNAを約5重量%〜約0.00001%未満、又は0.0001%未満含むことができる。DNA産物は、DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.002μg未満、例えば、DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.002μg〜DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.00002μg、又はプラスミドDNA1μgあたり宿主DNAを約0.00004μg未満含んで良い。DNA産物は、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg未満、例えば、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg〜DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.00000001μg含む。DNA産物は、DNA産物1μgあたり約0.01EU未満、例えば、約0.0001EU/μg〜約0.0002EU/μg含む(EU:エンドトキシンユニット;エンドトキシンの測定はUSPファイル<85>に従って達成した値)。本発明の方法によって獲得したDNA産物は、約95重量%以上の環状プラスミドDNAを含んで成り、ここで、当該DNA産物は、DNA産物1μgあたりRNAを約5重量%未満、宿主DNAを約0.002μg未満、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg未満含み、そしてDNA産物1μgあたり約0.01EU未満である。
いくつかの観点において、本発明は、環状プラスミドDNAを約95重量%以上含んで成るDNA産物に向けられており、ここで当該DNA産物は、RNAを約5重量%未満、DNA産物1μgあたり、宿主DNAを約0.002μg未満、DNA産物1μgあたりタンパク質を0.001μg未満含み、そしてDNA産物1μgあたり約0.01EU未満である。DNA産物は、RNAを約5重量%未満、例えば、RNAを約5重量%〜約0.00001%、又は約0.0001%未満含む。DNA産物は、DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.002μg未満、例えば、DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.002μg〜DNA産物1μgあたり宿主DNAを約0.00002μg含み、又はプラスミドDNA1μgあたり宿主DNAを0.00004μg未満含む。DNA産物は、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg未満、例えば、DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.001μg〜DNA産物1μgあたりタンパク質を約0.00000001μg含む。DNA産物は、DNA産物1μgあたり約0.01EU未満、例えば、約0.0001EU/μg〜約0.0002EU/μg(EU:エンドトキシンユニット;エンドトキシンの測定は、USPファイル<85>に従って達成した)である。
DNA、RNA、タンパク質又はエンドトキシンの量を測定するための方法は、当業者に公知である。例えば、エンドトキシンの量は、LALアッセイによって測定されて良い。宿主細胞染色体DNA量は、サザンブロットアッセイ又はクロマトグラフィーの例えばHPLCによって測定されて良い。タンパク質は、比色分析の例えば、BCA及びタンパク質配列決定において使用されるようなアミノ酸分析によって測定されて良い。RNAはノーザンブロットアッセイ、エチジウムブロミドアガロースゲル分析、又はクロマトグラフィーの例えば、HPLCによって測定されて良い。
医薬等級プラスミドDNA
本発明の方法のDNA産物を獲得することにより、当該DNA産物は、限定ではないが、本発明の方法は医薬等級のDNA産物を提供することができるので、医薬として使用されて良い。DNA産物は処方バッファーの例えば、乳酸を加えられたしたリンガー0.9%生理食塩水もしくはPBS注射ビヒクルもしくは他の無害なバッファー化されたデリバリービヒクル中で希釈されて良く、又はそれは沈殿もしくは濃縮されそして当業者に公知であろう技術を使用することで製剤バッファー中に至らしめら手良い。
この段階において、医薬等級のプラスミドDNAを含む溶液は滅菌されて良い。任意のいくつかの滅菌技術が使用されて良い。例えば、滅菌はろ過によって達成されて良い。
フィルター物質が実装されて良く、それは、ろ過物を効率的に通過させるために十分に大きいが、当該フィルターが微生物などを維持するために十分小さい直径の孔を有することを特徴とする。従って、孔径は、約0.01μm〜約10μm、例えば、約0.1μm〜約1μmであって良い。物質であって、それよりフィルターが製造される物質は、合成物質又は有機もしくは無機の天然物質であって良いが;プラスミドDNAを結合する傾向がなくあるべきだ。更に、物質に制限をする傾向も無くあるべきであり、それは、フィルターがプラスミドDNA共に、例えば、処方バッファーなどからなる成分をフロースルーさせることを意味する。加えて、それは非発熱性であるべきだ。いくつかの実施態様において、フィルター物質は、約0.2μmの平均孔径を有する。このフィルターも滅菌されて良い。
滅菌は、100フード等級(class 100 hood)又は同等の無菌条件下で有利に行われている。プラスミドDNAは、滅菌ろ過及び処方バッファー中で再懸濁させる前もしくは後のいずれかに沈殿もしくは濃縮されて良いことが熟考されている。滅菌はDNA産物が処方される前又は後に行われて良い。
医薬のための処方製剤としては、限定されないが、リン酸カルシウム、ウィルスタンパク質、脂溶性剤、DNAデリバリーに役立つ任意の物質、又は当該医薬の生物活性を増強する全ての物質が挙げられる。
トランスフェクション促進物質
本発明のDNA産物の製剤は、ポリヌクレオチドを細胞の内部、及び/もしくは細胞内の所望の場所に対してデリバリーすることを促す1もしくは複数のトランスフェクション促進物質をも含むことができる。トランスフェクション促進物質の例としては、限定ではないが、脂質の例えば陽イオン脂質;無機物質の例えばリン酸カルシウム、及び金属(例えば、金又はタングステン)粒子(例えば、「粉末」型デリバリー溶液);ペプチドの例えば、陽イオンペプチド、所定の細胞又は細胞内オルガネラの例えば核又は核小体に対して選択的デリバリーするためのターゲティングペプチド、及び両親媒性ペプチド、即ち、ヘリックス形成又はポア形成ペプチド;塩基性タンパク質の例えばヒストン;アシアロタンパク質(asialoproteins);ウィルスタンパク質(例えば、センダイウィルスコートタンパク質);孔形成タンパク質;及びポリマーの例えば、デンドリマー、スターポリマー、「同種」ポリアミノ酸(例えば、ポリリジン、ポリアルキニン)、「異種」ポリアミノ酸(例えば、リジンとグリシンの混合物)、コポリマー(例えば、ブロックコポリマー及びポロキサマー)、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
トランスフェクション促進物質は、単独でかあるいは1又は複数の他のトランスフェクション促進物質との組み合わせにおいて使用されて良い。2以上のトランスフェクション促進物質が化学的結合(例えば脂質付加ポリリジン、PEG化ポリリジン中の共有及びイオン結合)(Toncheva, V.,らBiochim. Biophys. Acta Vol. 1380 (No.3): pp. 354〜368(1998))、機械的混合(例えば、液層又は固層において自由に移動する物質の例えば「ポリリジン+陽イオン性脂質」)(Gao, X., 及びHuang, L., Biochemistry Vol. 35: pp. 1027-1036 (1996); Trubetskoy, V.S.,らBiochem. Biophys. Acta Vol. 1131: pp. 311〜313 (1992))及び凝集(例えば、共沈、ゲル形成例えば、陽イオン性脂質+ポリラクチドコガラクチド、及びポリシン+ゼラチンにおいて)によって組み合わされて良い。
本発明は、DNA産物の投与前に、後に、又は同時に投与される、本発明のDNA産物及び助剤を含んで成る組成物又は医薬を含む。本明細書中で使用された場合、「助剤」とは、組成物の効能を、助剤を含んでいない組成物に比べて、プラスミドの哺乳類細胞中へのin vivoでの侵入、及び/又はかかるポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドのin vivo発現を高めさせる当該組成物の能力を高めるために組成物中に含まれる物質である。所定の助剤は、ポリヌクレオチドが細胞へと侵入することを増強することに加えて、当該ポリヌクレオチドによってコードされた免疫源に対する免疫反応を増強する。本発明の、助剤としては、例えば、非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、両性界面活性剤又はデタージェント、キレート物質、DNAase、阻害物質、ポロキサマー、核酸を凝集又は濃縮する剤、乳化又は安定化剤、湿潤剤、ゲル形成剤、及びバッファーが挙げられる。
本発明の所定の実施態様において、本発明のDNA産物を含んで成る組成物又は医薬は、プラスミド投与の前、後、又は同時に投与されるアジュバントを含む。非常に様々な物質が、様々な機構を通じてアジュバント活性を有することが示されている。プラスミドによってコードされるポリペプチドの発現、抗原性又は免疫源性を高めることができる全ての化合物が有効なアジュバントである。様々なアジュバントの例としては、限定はされないが、不活性担体の例えば、ミョウバン、ベントナイト、ラテックス、及びアクリル粒子;プルロニックブロックポリマーの例えば、TiterMax(登録商標);デポット形態の例えば、Freundsアジュバント、界面活性物質の例えば、サポニン、リゾレシチン、レチナール、Quil A、リポソーム、及びプルロニックポリマー製剤;マクロファージ刺激物質の例えば、細菌性リポポリサッカライド;代替経路補体活性化物質の例えば、インスリン、ザイモサン、エンドトキシン及びレバミゾール;並びに、非イオン性界面活性剤の例えば、ポロキサマー、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)トリブロックコポリマー;及びサイトカインの例えば、GM-CSF及びIL-2が挙げられる。
医薬キット
更に最後に、最終的に処方されたDNA産物は容器の例えば、ガラス容器、プラスチック容器、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、もしくは他の容器手段、又はDNA産物及び任意の他の所望の剤が配置されて、適切にアリコートされて良いプラスチックもしくは紙の一片へと詰められて良いことが更に熟考されている。更なる成分が含まれる場合、一般に、第二の容器又は他の容器であってその中に容器が配置され、個別に計画された用量の投与を可能にする容器を含んで良い。かかるキットは無菌の、医薬的に許容できるバッファー又は他の希釈剤を含むための第二/第三の容器手段を含んでも良い。キットは、本発明のDNA産物を含んで成る医薬を動物もしくは患者に対して投与するための手段、例えば、1もしくは複数のシリンジもしくはニードル、又点眼器、ピペット、又は製剤を動物に対して注射できるかあるいは体の所望の場所に対して適用できうる装置をも含んで良い。本発明のキットは、典型的に、バイアルなどの容器、並びに他の要素を、市販するために密接に閉じ込めた状態において含むための手段の例えば、射出成型もしく噴射成型されたプラスチック容器(所望の容器及び他の装置が配置されて維持される)をも含むだろう。いくつかの実施態様において、本発明のキットは、1つのバイアル中で処方されたDNA物質を、密接に閉じ込めた状態で含むための手段及び他の処方剤(例えば、担体、希釈剤、賦形剤、トランスフェクション促進物質)又は使用前に組み合わされて良い医薬的に許容できる剤を伴う他のバイアルのための手段を含んで良い。
医薬キットの各々は、更に投与手段を含んで成ることができる。投与のための手段としては、限定ではないが、シリンジ及びニードル、カテーテル、微粒子銃、粒子加速器、即ち、「遺伝子銃」、空圧式「ニードルレス」インジェクター、ゲルフォームスポンジデポット、他の商業上入手可能なデポット物質の例えば、ヒドロゲル、浸透圧ポンプ、及びデカンティング物質、ポリヌクレオチドコーティング縫合物質、皮膚パッチ、又は手術中の局所適用物が挙げられる。
各々の医薬キットは更に、組成物を哺乳動物に対して投与するための説明書を含んで成って良い。本発明のプラスミド成分は、液体溶液として提供されて良く、又はそれらは、乾燥粉末もしくはケーキとして凍結乾燥形態において提供されて良い。もしプラスミドが凍結乾燥した形態で提供されていれば、乾燥粉末又はケーキも任意の塩、助剤、トランスフェクション促進剤、及び乾燥形態における組成物の添加剤を含むこともできる。かかるキットは更に、キットの凍結乾燥させられている成分の正確な再生をするために、病原体フリーの水を厳密な量で有する。
プラスミドもしくは他のキット成分が使用前に詰め込まれている容器は、ある量の凍結乾燥製剤もしくは溶液を封じ込めるハーメチックシールされた容器(医薬的に許容できるその用量のために適している製剤又は多数の有効な用量が入っている)を含んで成りうる。キットの成分は典型的に、滅菌容器中に詰め込まれており、そしてハーメチックシールされた容器は、使用までの医薬製剤の滅菌性を維持するように設計されている。任意に、容器には、使用するための投与手段及び/又は説明が伴っていて良い。
本明細書中で記載された全ての様々な観点、実施態様及び選択は、任意にそして全ての変法で組み合わされて良い。
本発明の特定の観点は、以下の例を参照することにより一層容易に理解されて良く、以下の例は、例示の目的であり、特定の例示した実施態様に発明の範囲を限定することが無い。
実施例
実施例1
細菌細胞の溶解及びプラスミドの回収
図1において本方法の1つの実施態様の概要を示している。
段階(a)アルカリ溶解。およそ800gの大腸菌細胞(pBR322由来の6800bpのプラスミドDNAを含む)をアルカリ溶解法の変法を使用することで溶解させた。細胞の再懸濁、溶解、及び中和を、1”ID12エレメント静電ミキサー及びぺリスターポンプを連続循環モードで使用することで30LのASME316Lステンレス鋼圧力容器中で達成した。細胞の再懸濁、溶解及び中和を室温で約45分において達成した。
溶解物の清澄化(段階b)を、溶解物に対しておよそ720gのセライトSuperCel HyFlo(酸洗浄した)を加え、混合し、そして12インチの9セルCuno SP60デプスフィルター(Cuno Inc.,Meriden,CT)を通じて圧力を供給することによって達成した。清澄化後、このデプスフィルターを4LのTE(10mMのTris、1mMのEDTA、pH 8.0)でフラッシングし回収を最大にした。
次いで、清澄化した溶解物を、体積を減らし、そして溶解物溶液とバッファー溶液を交換するためにTFF(300kDの中空糸膜;A/G Technology Corp., Needham, MA)による300kDのNMWC中空糸システムを使用して限外ろ過してジアフィルトレーションした(段階C)。体積を10〜15倍減らし、しかる後に4体積のバッファーを交換した。
段階(d)において、濃縮した溶解物を、DNAの更に濃縮するために、0.53MのNaCl中、ポリエチレングリコール(PEG-8000)を最終濃度10%で使用することで選択的に沈殿させた。DNA沈殿物を遠心によって回収し(段階e)、次いで、TEバッファー中に溶かした(段階f)。完全に溶けた場合、酢酸アンモニウム(段階g)をこの溶液に対して加えて最終濃度を2.5Mにし、コンタミネーション物質を選択的に沈殿させた。
コンタミネーション物質を遠心によって取り除き;DNAを含む上清を冷イソプロパノールで、クロマトグラフィーまで保存するために、沈殿させた。
クロマトグラフィー
約60mgのIPA沈殿させたDNAを取り出して遠心によって回収した。DNAのペレットを50mMのトリス(pH 8.0)、1mMのEDTA、0.65MのNaCl(pH8.0)中に溶かした。
1.6×12cmのカラムにQ セラミック Hyper D強力陰イオン交換樹脂を充填した。このカラムをバッファーA(50mMのトリスpH8、1mMのEDTA、0.65MのNaCl、pH8.0)(線流速=150cm/時間)で平衡にした。このカラムに試料をロードした後(段階h)、5CV(カラム体積)の0%バッファーB(50mMのトリスpH8、1mMのEDTA、1MのNaCl、pH8.0)で洗浄して、止めて、更なる5CVの6%バッファーBにし、そして止めて、100%のバッファーBにし、精製されたDNAを溶出させた。
最終ポリッシングクロマトグラフィー段階(i)を、Octyl Sepharose Fast Flow樹脂を使用することで達成した。この段階により、プラスミドがカラムを通過する間にコンタミネーション物質を結合させることによって、エンドトキシン及び宿主細胞染色体DNAの残留量が減る。
Hyper Dピーク溶出液を沈殿させて、そしてDNAペレットを2Mの硫酸アンモニウム、50mMのトリス、1mMのEDTA、pH8.0に溶かして、次いで同バッファーで平衡化させた2.6×2.5cmカラム上にロードした(線流速=75cm/時間)。最終精製プラスミドDNAを含むフロースルーピークを回収して透析し塩を除去した。
プラスミドDNAの品質分析では、LALアッセイによってエンドトキシン量はDNA産物1μgあたり0.0002EU、そしてサザンブロットアッセイによって宿主細胞染色体DNA量はDNA産物1μgあたり0.0004μgであることが示された。HPLC分析によるスーパーコイルDNAの%は95%であった。
実施例2
VCL-1005の説明、構築、及び培養は米国特許第5,561,064号に記載されている。VCL-1005プラスミドDNA(4900bp)を含有する凍結した大腸菌細胞を25mMのトリスHCl、10mMのEDTA、及び55mMのグルコース(pH 8.0)中で再懸濁させた。溶解が、0.2MのNaOH、1%のSDSを加えて8分に渡りインキュベーションした後に起こった。細胞片の沈殿が、3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を加えて、更なる8分のインキュベーション後に生じた。この細胞片の除去及び体積の減少を、珪藻土添加深層ろ過、しかる後の限外ろ過及びダイアフィルタレーションによって達成した。
プラスミドDNAを、更に、コンタミネーション物質を減らすために、PEG沈殿させ、しかる後に酢酸アンモニウム沈殿させた。上清を含む最終プラスミドを、陰イオン交換クロマトグラフィーまで保存するためにIPA沈殿させた。
Q-セファロース陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製したIPA沈殿させたプラスミドDNAを遠心によって回収した。このDNAペレットを2Mの硫酸アンモニウムバッファーに溶かし、次いで同バッファーで平衡にした2.6×2.5cmのOctyl HICカラムにロードした。フロースルー画分を回収してTEバッファーに対して透析して塩を除去した。透析の完了後、宿主細胞DNA量はDNA産物1μgあたり、0.00025μg宿主細胞DNAであり、そしてエンドトキシン量はDNA産物1μgあたり0.0002EUであった。
実施例3
pBR322の部分を含む6800bpのプラスミドDNAを含む凍結させた大腸菌細胞を25mMのトリスHCl、10mMのEDTA、及び55mMのグルコース(pH 8.0)中で再懸濁させた。溶解は、0.2MのNaOH、1%のSDSを加えて8分に渡りインキュベーションした後に起こった。細胞片の沈殿が、3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を加えて、更なる8分のインキュベーション後に生じた。この細胞片の除去及び体積の減少を、珪藻土添加深層ろ過、しかる後の限外ろ過及びダイアフィルタレーションによって達成した。
プラスミドDNAを、更に、コンタミネーション物質を減らすために、PEG沈殿させ、しかる後に酢酸アンモニウム沈殿させた。上清を含む最終プラスミドを、陰イオン交換クロマトグラフィーまで保存するためにIPA沈殿させた。
Q-セラミックセファロース陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製したIPA沈殿させたプラスミドDNAを遠心によって回収した。このDNAペレットを2Mの硫酸アンモニウムバッファーに溶かし、次いで同バッファーで平衡にした2.6×2.5cmのOctyl HICカラムにロードした。フロースルー画分を回収してTEバッファーに対して透析して塩を除去した。透析の完了後、宿主細胞DNA量はDNA産物1μgあたり、0.00029μg宿主細胞DNAであり、そしてエンドトキシン量はDNA産物1μgあたり0.0001EUであった。
実施例4
VCL-1005プラスミドDNA(4900bp)を含有する凍結した大腸菌細胞を25mMのトリスHCl、10mMのEDTA、及び55mMのグルコース(pH 8.0)中で再懸濁させた。溶解が、0.2MのNaOH、1%のSDSを加えて8分に渡りインキュベーションした後に起こった。細胞片の沈殿が、3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を加えて、更なる8分のインキュベーション後に生じた。この細胞片の除去及び体積の減少を、珪藻土添加深層ろ過、しかる後に限外ろ過及びダイアフィルタレーションによって達成した。
プラスミドDNAを、更に、コンタミネーション物質を減らすために、PEG沈殿させ、しかる後に酢酸アンモニウム沈殿させた。上清を含む最終プラスミドを、陰イオン交換クロマトグラフィーまで保存するためにIPA沈殿させた。
Q-セラミックセファロース陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製したDNAを4Mの硫酸アンモニウムバッファーで1:1に希釈し、次いで2Mの硫酸アンモニウムバッファーで平衡にした2.6×2.5cmのOctyl HICカラムにロードした。フロースルー画分を回収してTEバッファーに対して透析して塩を除去した。透析の完了後、宿主細胞DNA量は、DNA産物1μgあたり、0.001μgの宿主細胞DNAであり、そしてエンドトキシン量はDNA産物1μgあたり0.0006EUであった。
実施例5
プラスミドDNA(6694bp)を含有する凍結した大腸菌細胞を25mMのトリスHCl、10mMのEDTA、及び55mMのグルコース(pH 8.0)中で再懸濁させた。溶解が、0.2MのNaOH、1%のSDSを加えて8分に渡りインキュベーションした後に起こった。細胞片の沈殿が、3Mのリン酸カリウム(pH5.5)を加えて、更なる8分のインキュベーション後に生じた。この細胞片の除去及び体積の減少を、珪藻土添加深層ろ過、しかる後に限外ろ過及びダイアフィルタレーションによって達成した。
プラスミドDNAを、更に、コンタミネーション物質を減らすために、PEG沈殿させ、しかる後に酢酸アンモニウム沈殿させた。上清を含む最終プラスミドを、陰イオン交換クロマトグラフィーまで保存するためにIPA沈殿させた。
Qセファロース陰イオン交換クロマトグラフィーによって精製したIPA沈殿させたDNAを遠心によって回収した。DNAペレットを2Mの硫酸アンモニウムバッファーに溶かして、次いで、同バッファーで平衡にした2.6×2.5cmのOctyl HICカラムにロードした。フロースルー画分を回収してTEバッファーに対して透析して塩を除去した。透析の完了後、宿主細胞DNA量は、DNA産物1μgあたり、0.0002μgの宿主細胞DNAであり、そしてエンドトキシン量はDNA産物1μgあたり0.01EUであった。
実施例6
大規模細菌細胞溶解物及びプラスミド回収
VR-4700プラスミドDNA(6400bp)(Sankarら、Oral Disease vol.8:pp.275〜281(2002))を含有する凍結した大腸菌細胞720gを、1”ID12エレメント静電ミキサー及びぺリスターポンプを連続循環モードで使用することでを使用し、30LのASME316L加圧容器中、4320mLの25mMのトリスHCl、10mMのEDTA、及び55mMのグルコース(pH 8.0)中で再懸濁させた。溶解が、8640mLの0.2M NaOH、1%のSDSを加えて8分に渡り再循環させた後に起こった。細胞片の中和と沈殿が、3Mの酢酸カリウム(pH5.5)を6480mL加えて、更なる8分に渡り再循環させた後に生じた。
溶解物の清澄化を、当該溶解物に対しておよそ720mgのセライトSuperCel HyFlo(酸洗浄した)を加え、混合し、そして12インチの9セルCuno SP60デプスフィルター(Cuno Inc.,Meriden,CT)通じて圧力(10psi)を供給することによって達成した。清澄化後、このデプスフィルターを4LのTE(10mMのTris、1mMのEDTA、pH 8.0)でフラッシングし回収を最大にした。
次いで、清澄化した溶解物を、300kDのNMWC中空糸システムを使用して限外ろ過し溶解物溶液とバッファー溶液を交換するために体積を10倍減らし、しかる後に10mMトリス(pH8.0)、1mM EDTAを伴い4体積のダイアフィルトレーションをした。最終ダイアフィルタレーション後、リテンテート(retentate)を、発熱物質を除去した沈殿容器中で回収した。次いで、回収を最大にするため膜を最小体積のダイアフィルトレーションバッファーで洗浄し;この洗浄物をリテンテートに対して加えた。
濃縮した溶解物を、DNAを更に濃縮するために、0.53MのNaCl中、ポリエチレングリコール(PEG-8000)を最終濃度10%で使用することで、選択的に沈殿させた。DNA沈殿物を遠心(×6500g、30分)によって回収し、次いで、1mL/gの出発細胞ペーストを使用することでTEバッファー中に溶かした。完全に溶けた場合、酢酸アンモニウムをこの溶液に対して加えて最終濃度を2.5Mにし、コンタミネーション物質を選択的に沈殿させた。このコンタミネーション物質を遠心(×6500gで30分)によって回収した。上清を含むプラスミドを同体積のIPAで沈殿させて、陰イオン交換クロマトグラフィーまで−20℃で保存した。
クロマトグラフィー
1000mgのIPA沈殿させたDNAを遠心によって回収した。ペレットを50mMのトリス(pH8)、1mM のEDTA、0.65MのNaCl中に溶かして、最終濃度を2mg/mL(±0.2)にした。次いで、この溶かしたDNAペレットを0.45μMのフィルターに通した。
7×18cmのMillipore QuickScaleカラムに、強力な陰イオン交換樹脂であるQ セラミック Hype Dを充填した。カラムを、50mMトリス(pH 8)、1mMのEDTA、0.65MのNaClにより150cm/時間の線流速において平衡化させた。試料をロードした後、カラムを5CV(カラム体積)の0%バッファーB(50mMのトリスpH8、1mMのEDTA、1MのNaCl、pH8.0)で洗浄して、止めて、更なる5CVの6%バッファーにし、そして流速を、100%のバッファーBに対する段階の前に60cm/時間に下げ、精製されたpDNAを溶出させた。次いで、回収したHyperDピーク溶出液を、3Mの硫酸アンモニウムで1:1に希釈した。
最終ポリッシングクロマトグラフィー段階を、疎水性相互作用樹脂Octyl Sepharose Fast Flowを使用することで達成した。5×10cmのAmersharm BioscienceカラムにOctyl Sepharose Fast Flow樹脂を充填した。このカラムを、5CVの1.5M硫酸アンモニウム、50mMのトリス(pH8)、1mMのEDTAにより75cm/時間の線流速で平衡化させた。平衡化させた後、希釈したHyper Dピーク溶出液をこのカラムに線流速75cm/時間でロードした。次いで、最終的に精製されたプラスミドDNAを含有するフロースルーピークを回収して、300K NMWC中空糸限外ろ過システムを使用することで10倍に濃縮した。濃縮後、硫酸アンモニウムを除去するためにダイアフィルタレーションを、10Mのトリス(pH8.0)、1mMのEDTA、及び150mMのNaClを使用することで行った。UF浸透伝導度を確認して、硫酸アンモニウムの除去を確かめた。最終ダイアフィルトレーション後、リテンテートを滅菌容器中に回収した。次いで、膜を最小量のダイアフィルトレーションバッファーで洗浄して;洗浄物を前記リテンテートに対して加え、回収を最大にした。
プラスミドDNAの品質分析では、LAL分析によりエンドトキシン量がpDNA1μgあたり0.00019EUであった。宿主細胞DNA量は、サザンブロット分析により、pDNA1μgあたり0.0002μgであった。スーパーコイルDNA含量は、HPLC分析により92%であった。
4つの更なる大規模方法を、VCL-1005プラスミドDNA(4900bp)を使用することで行った。これらのプラスミドDNA方法からの品質分析により、平均残留エンドトキシン量が0.0001EU/μg(標準偏差=0.0001)がもたらされた。宿主細胞DNA量は平均0.0005μg/μg(標準偏差=0.0003)であった。スーパーコイルDNA含量は平均約90%であった。
当業者は、本発明が対象となるものを行うためそして例に挙げたような最終結果及び利益並びにそれ固有のものを獲得するために十分に適合させられていることを理解するだろう。本明細書中に記載のこのような方法、手順、処理法、分子、特異的な化合物は代表的な実施態様であり、本発明の範囲を限定する目的は無い。本発明の精神に包含された、当業者により行われるだろう本明細書中及び他の用途の変更は、請求の範囲内に規定されている。当業者には、本明細書に記載の本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な置換及び変更をできることはことが明らかだろう。
本明細書中で引用した、全ての文献、例えば、化学刊行物、特許及び特許刊行物はそれらの全体を、ある程度、各個別の文献が詳細に組み込まれており、そしてその全体は参照によって個々に組み込まれている。文献を引用した場合、文献の最初の頁のみを供し、全体の記載は、残りの頁を含んでいることを意味する。
本発明の1つの実施態様の方法のフローチャートである。

Claims (20)

  1. DNA産物を獲得するために、宿主細胞不純物からプラスミドDNAを精製するための方法であって、当該方法は:
    (a)プラスミドDNAを含んでいる宿主細胞を溶解させて溶解物を獲得し;
    (b)当該溶解物を深層ろ過により清澄化して清澄化された溶解物を獲得し;
    (c)当該清澄化された溶解物を限外ろ過して、限外ろ過された清澄化した溶解物を獲得し;
    (d)第一の沈殿剤を、当該限外ろ過された清澄化した溶解物に対して、プラスミドDNAの沈殿物を獲得するために十分な量で加え;
    (e)当該沈殿物を溶かして第一の溶液を獲得し;
    (f)第二の沈殿剤を、当該溶液に対して、当該宿主細胞不純物を沈殿させるために十分な量で加え、そして前記プラスミドDNAを含んでいる溶質を獲得し;
    (g)当該溶質を他のバッファー中へと移して第二の溶液を獲得し;
    (h)当該第二の溶液を陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)物質に対して適用して、プラスミドDNAを含んでいる溶出液を獲得し;そして
    (i)当該溶出液を疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)物質に対して適用してDNA産物を獲得する、
    ことを含んで成る方法。
  2. 前記AEX物質がセラミックマトリクスを含んで成る、請求項1に記載の方法。
  3. 前記セラミックマトリクスの平均粒径が10μm〜200μmである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記セラミックマトリクスの平均孔径が750Å〜3000Åである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記AEX物質の平均孔径が10Å〜100Åである、請求項2に記載の方法。
  6. 前記HIC物質のための樹脂の平均粒径が50μm〜150μmである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記HIC物質のための樹脂の平均孔径が25nm〜100nmである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記(a)における溶解がアルカリ溶解による、請求項1に記載の方法。
  9. 前記(b)における清澄化が珪藻土深層ろ過(depth filtration)による、請求項1に記載の方法。
  10. 前記(c)における限外ろ過が中空糸限外ろ過による、請求項1に記載の方法。
  11. 前記(d)における第一の沈殿剤がポリエチレングリコール(PEG)である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記(f)における第二の沈殿剤が酢酸アンモニウムである、請求項1に記載の方法。
  13. 前記(h)における溶出液を1M〜2Mの硫酸アンモニウム濃度に調節している、請求項1に記載の方法。
  14. 前記(i)におけるHIC物質が架橋されたアガロース樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 前記(i)におけるDNA産物を限外ろ過によって濃縮することを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
  16. 前記(i)におけるDNA産物を、硫酸アンモニウムを除去するためにダイアフィルタレーションすることを含んで成る、請求項1に記載の方法。
  17. 前記DNA産物をエタノールで沈殿させている、請求項1に記載の方法。
  18. 酵素、有機抽出物、又は突然変異誘発物質の添加をせずに行っている、請求項1に記載の方法。
  19. 前記DNA産物を、滅菌し、処方し、そして滅菌容器内に詰めることを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
  20. 前記宿主細胞が細菌である、請求項1に記載の方法。
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