JP2011127322A - 建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
限られたスペースの中で効率良く凝縮して実現するレイアウトを追求し、強度的な問題も解決する戸建て住宅の建築物を提供する。
【解決手段】
2階建て以上の建築物であって、1階の外壁Pの内側に平面視十字状で外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yを設定し、その区画の1つである第1区画1に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16をそれらの昇降口12aや出入口13a、14a、16aが共通の通路11に面している状態で形成するとともに、他の区画(第2区画)2に属するリビングLの第1出入口1Eも前記通路11に面している状態に形成して、これらの階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16、リビングLによって通路11の周囲を包囲した。
【選択図】図1

Description

本発明は、限られた予算や床面積の中で、必要且つ使い勝手の良い間取りを強度を備えつつ効率的に設計した戸建ての建築物に関するものである。
従来より、戸建て住宅としては、2階建てや3階建ての建築物の中に、リビングや必要部屋数を始めとして、階段、トイレ、洗面脱衣室等の必要な部屋、機能を様々なレイアウトで実現するのが通例である。
その際、限られた予算、限られた床面積の中で極力居住者の要望に応えるべく、回廊性や収納機能など、様々な観点から効率的な設計が試みられている。
例えば、特許文献1のものは、注文住宅よりも低コストで個々の要求に対応すべく、建売でありながら一部の間取りを変更可能な設計にする等により個別に対応しているのが現状である。
特開平11−50677号公報
しかしながら、このような対応によっても、居住者のニーズは多種多様であるため、顧客の要望に逐一合致するレイアウトを実現しようとすれば、コスト削減やレイアウトの効率性にも一定の限界がある。
これに対して、購入希望者の要望に最大公約数的に一つでも多くの共通点を見出せたら、購入者の一般的な要望に近づけることができると考えられる。
本発明者は、長年顧客から吸い上げた要望から共通項を抽出した結果、例えば、掃除がし易く簡単であること、部屋の空間で行き止まりがなく、どこからも回り込む必要がない動線が確保できること、収納スペースを十分確保できること、玄関からトイレ、階段、脱衣が見えないこと等々、多くの共通項が存在することが判明した。
そして、このような要望を限られたスペースの中で効率良く凝縮して実現するレイアウトを追求した結果、必然的にある一つの理想的な形に行き着くことを新たに知見した。ただし、このようなレイアウトを実現する上で、強度的な問題を解決する必要があることも同時に明らかとなった。
本発明は、このような新たな間取り構造を有する建築物を、強度上の手当てとともに実現することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明は、2階建て以上の建築物であって、1階の外壁の内側に平面視十字状で前記外壁の内側を4つの区画に区分する構造壁線を設定し、その区画の1つである第1区画に、2階への階段、トイレ、洗面脱衣室、物入をそれらの昇降口や出入口が共通の通路に面している状態で形成するとともに、他の区画に属するリビングの第1出入口も前記通路に面した状態に形成して、これらの階段、トイレ、洗面脱衣室、物入、リビングによって通路の周囲を包囲したことを特徴とする。
このように構成すると、ある部屋から通路を通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、2階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線に無駄がない。しかも、通路の先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることができる。さらに、リビングを通らずに部屋の間や上下階の間を行き来することができ、リビングと通路の間を視覚的に遮ることも用意であるため、リビングに訪問客がいたとしても目線を気にする必要がなくなる。そして、第1区画にリビング以外の1階の部屋を集中させているので、効率的な空間利用が可能になり、他の区画をリビング等のために広く開放することができる。
玄関の訪問客に気兼ねすることなくトイレや洗面脱衣室等を使用可能とするためには、前記第1区画に隣接する第2区画を、前記第1出入口を形成したリビングの一部をなす第1領域と、玄関、玄関ホール、収納を配列した第2領域とから構成し、第1領域のリビングと第2領域の玄関ホールとの間に更に第2出入口を設けて、玄関ホールから前記通路へのアクセスを、第2出入口、リビング及び第1出入口を介してのみ可能とすることが望ましい。
リビングに大きなL字状の空間を確保するためには、リビングは、前記第2区画の第1領域と、前記第1区画の対角位置にある第3区画と、前記第2区画の対角位置にある第4区画とを含んで平断面L字状に形成されていることが好ましい。
リビングをより効果的な大空間とするためには、外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側をほぼ等分に区画するように構成されていることが適切である。
2階においても動線の無駄をなくすためには、2階における前記階段の昇降口に2階ホールを設け、昇降口を含めてこの2階ホールを包囲すべく、前記各区画の対応位置に4つの部屋をそれらの出入口を2階ホールに面した状態で形成していることが望ましい。
L字形のリビングの折れ曲がり部分に壁のない開口を適切に形成するためには、上記のように1階の平断面四角形状の外壁の内側に平面視十字状で前記外壁の内側を4つの区画に区分する構造壁線を設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線の位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングを形成しているものにおいて、両構造壁線に沿って、上階の荷重を受ける第1の梁を設けるとともに、少なくとも何れか一方の第1の梁を下支えする位置に第2の梁を設けたことを特徴とする。
このような補強構造は、リビングの一端側も他端側も同じ幅になる大空間を形成すべく、外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側を等分に区画するように構成されている場合に特に有効である。
また、このような構造は、前記第1の梁に、2階における前記構造壁線の両側の区画に形成された部屋の荷重が集中的に作用する構造をなしている場合に好適である。
さらに、このような構造は、前記第1の梁に、更に3階における構造壁線の近くに形成したロフトの荷重が作用する場合に特に望ましい。
本発明は、以上説明した構成であるから、多くの需要者に広く適合できて、限られたスペースに必要な間取りを、動きやすい動線、デッドスペースの狭小化、来客からの目隠し状態の確保等とともに有効に実現した、快適かつ経済的な建築物を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる建築物の1階部分の平断面図。 同建築物の2階部分の平断面図。 同建築物の3階部分の平断面図。 同建築物の1階小屋組み(2階床)の梁の構造を示す平面図。 図4に対応した模式的な斜視図。 同建築物の2階小屋組み(3階床)の梁の構造を示す平面図。 同図に対応した模式的な斜視図。 同建築物の梁の構造を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態の建築物は、木造3階建ての住宅であり、図1は1階部分の平断面図、図2は2階部分の平断面図、図3は3階部分の平断面図である。建物の外壁Pは平断面四角形状をなし、この外壁Pの内側には、平面視十字状をなして外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yが設定されている。より具体的には、この実施形態の外壁Pは正方形をなし、構造壁線X、Yは内側を4等分する位置に設定されている。ここに言う構造壁線X、Yとは、壁に沿って強度を確保すべき仮想の線を言う。その壁には、ツーバイフォーのように壁自体が強度を有する枠体により構成されている場合のほか、軸組み工法に使用する柱を使って壁に沿った強度を確保しているケースも含まれる。
そして、図1に示す1階において、その区画の1つである第1区画1を包囲する位置に構造壁線X、Yに沿って壁1g、1hを配置し、外壁Pとこれらの壁1g、1hとに囲まれた位置に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、浴室15、物入16を通路11とともに集中配置している。これら階段12及び各部屋13,14,15,16の間には壁1a、1b、1c、1d、1eが設けられている。そして、その第1区画1の2つの壁1g、1hを共有する当該第1区画1以外の位置に、L字形のリビングLを形成している。リビングLは、前記第1区画1の隣接位置にある第2区画2の一部の領域2Aと、第1区画1の対角位置にある第3区画3と、第2区画2の対角位置にある第4区画4とに亘っており、そのために第2区画2と第3区画3の間の構造壁線Xに沿った位置および第3区画3と第4区画4の間の構造壁線Yに沿った位置には、壁を作らずに開口OP1、OP2を形成している。この実施形態では建物の外壁Pは平断面正方形であり、構造壁線X、Yも内側を4等分するものであるため、L字形のリビングLの一端側の幅Laと他端側の幅Lbとは等幅である。
第2区画2は、第1区画1に向かって延びる壁2aによって内部が第1領域2Aと第2領域2Bに分割されており、第1領域2AはリビングLに属し、第2領域2Bには第2区画2から第1区画1に向かって玄関21、玄関ホール22、収納部23が配列されている。第1領域2AはリビングLの一部をなすため、以下、必要に応じてリビングL2とも表示する。
第1区画1において、2階への階段12の昇降口12a、トイレ13の出入口13a、洗面脱衣室14の出入口14a、物入16の出入口16aは、共通の通路11に面しており、第2区画2のリビングL2への第1出入口1Eも前記通路11に面している。すなわち通路11は、階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16、リビングL(L2)によって周囲を包囲された状態にある。浴室15は洗面脱衣室14の奥に形成されている。また、第1区画1と第4区画4の間の構造壁線Xに沿った位置に、リビングLと洗面脱衣室14とを行き来可能なように第3出入口14bが設けられている。
前記第2区画2における第1領域2Aと第2領域2Bの間は壁2aで仕切られ、玄関ホール22とリビングL(L2)の間には第2出入口2Eが設けてある。玄関ホール22と収納部23の間にも壁2bが存在し、収納部23の開閉部23aはリビングL(L2)側に面している。つまり、玄関ホール22から前記通路11へのアクセスは、第2出入口2E、リビングL(L2)及び第1出入口1Eを介してのみ可能とされている。リビングLと通路11との間は、出入口1E、14a、14bを介して回廊性が確保されている。
各出入口1E、2E、13a、14a、14b、16aには、扉やスライドドア等の適宜の開閉手段が設けられている。勿論、各出入口1E、2E、13a、14a、14b、16aのうちの一部は、扉やスライドドア等を設けずに開放状態にしておいてもよい。
また、図2に示す2階における階段12の昇降口12bには、2階ホールHが形成されており、この昇降口12bを含めて2階ホールHを包囲する位置に、前記各区画1、2、3、4に対応した4つの部屋5、6、7、8を形成している。各部屋5,6,7,8の出入口5a、6a、7a、8aは全て2階ホールHに面している。1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上にて区分される2階の部屋6、7は、例えばこども部屋6とフリールーム7であり、1階の第1区画1と第4区画4の間の構造壁線X上にて区分される2階の部屋5、8は、例えばこども部屋5と主寝室8である。こども部屋5、6には構造壁線Xの近くにクローゼット51、61が配置してあり、2階の各部屋5、6、7、8には3階への階段52、62、72、82が設けてある。
各出入口5a、6a、7a、8aにも、扉やスライドドア等の適宜の開閉手段が設けられている。勿論、各出入口5a、6a、7a、8aのうちの一部は、扉やスライドドア等を設けずに開放状態にしておいてもよい。
さらに、図3に示す3階には、前記階段52、62、72、82で昇降できるロフト53、63、73、83が形成されている。このうちのロフト63、73、83は、平面視において1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線Xに隣接している。
構造的に見ると、図1に示す1階において、1階のリビングLの折れ曲がった開口部分OP1に相当する第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上、および、開口部分OP2に相当する第3区画3と第4区画4の間の構造壁線Y上に、図4及び図5の1階の小屋組み構造(2階の床構造)に示すように第1の梁A1、A2を架け渡して設けている。このうちの第1の梁A1は、図8に示すように、両端が外壁P側の柱P1と内壁Q側の柱Q1に支持されている。また、この第1の梁A1には、図2及び図4に示すように、構造壁線Xの両側に位置する2階の部屋6、7を支える架材D、Eの一端D1、E1が接続されている。これらの架材D、Eの他端D2、E2は外壁Pの桁P3、P4に接続されている。前記第1の梁A1にはまた、第2区画2及び第3区画3に沿った桁J、Kの一端J1、K1が接続され、これらの桁J、Kの他端J2,K2も前記桁P3,P4に接続されている。
さらに、図1に示す第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上において、1階のリビングLの折れ曲がった開口OP1に相当する第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に、図6及び図7の2階の小屋組み構造(3階の床構造)に示すように第3の梁Cを架け渡している。この第3の梁Cは、図8に示すように、外壁P側の柱P2と内壁Q側の柱Q2に支持されている。第3の梁Cには、図3に示した3階のロフト63、73、83を支持する架材F、G(図6及び図7参照)の一端F1、G1が接続され、これらの架材F、Gの他端F2、G2は外壁Pの桁P5、P6に接続されている。図8に示すように、第1の梁A1と第3の梁Cの間は、柱Q3、Q4で接続されている。
このような構造において、図1に示す1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に配置された図4に示す第1の梁A1には、2階の床を支持する架材D、Eや桁J、Kを通じた荷重α2と、更に図3に示す3階のロフト53、63、73、83を支持する図8の荷重α3が作用するため、図1に示す1階のリビングLの折れ曲がった開口部分OP1の小屋組みに通常よりも相当程度に高い強度を確保しないと、図2に示す2階のクローゼット61付近を始めとして部屋6,7の床が傾く等の不具合が生じる。
そこで、本実施形態はさらに、図1に示す第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に配置される図5及び図8の第1の梁A1を下支えする位置に、第2の梁Bを架け渡している。この第2の梁Bは、外壁P側の柱P1と内壁Q側の柱Q1に両端B1、B2を支持させたものである。すなわち、第1の梁A1が支えきれない荷重α2をこの第2の梁Bに支持させることによって、2階の床の不陸を防ぎ、強度を増しているものである。
この場合、第1の梁A1は1階の天井裏に隠れるが、第2の梁Bは第1の梁A1の下に位置するため、1階の部屋(リビングL)にむき出しになる場合には見栄えのよい化粧梁にすれば足りる。また、ロフト荷重α3を第3の梁Cが受けるため、第3の梁Cは、例えば隣接する他の部位の梁C´に比べて太いものが使用してある。
以上のように、本実施形態の建築物は、2階建て以上(3階建て)の建築物であって、1階の外壁Pの内側に平面視十字状で前記外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yを設定し、その区画の1つである第1区画1に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16をそれらの昇降口12aや出入口13a、14a、16aが共通の通路11に面している状態で形成するとともに、他の区画(第2区画)2に属するリビングL(L2)の第1出入口1Eも前記通路11に面している状態に形成して、これらの階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16、リビングLによって通路11の周囲を包囲したものである。
このように構成すると、ある部屋から通路11を通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、2階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線に無駄がなくなる。しかも、通路11の先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることが可能である。さらに、リビングLを通らずに1階の各部屋の間や上下階の間を行き来することができ、リビングLと通路11の間を視覚的に遮ることも容易であるため、リビングLに訪問客がいたとしても目線を気にする必要がなくなる。そして、第1区画1にリビングL以外の1階の部屋13、14、15、16を集中させているので、効率的な空間利用が可能になり、他の区画2、3、4をリビングL等のために広く開放することが可能となる。リビングLと通路11の間をぐるぐる回れる回廊形にしていることも、移動や掃除の便に奏功しているものである。
また、前記第1区画1に隣接する第2区画2を、前記第1出入口1Eを形成したリビングLの一部をなす第1領域2Aと、玄関21、玄関ホール22、収納部23を配列した第2領域2Bとから構成し、第1領域2AのリビングLの一部L2と第2領域2Bの玄関ホール22との間に更に第2出入口2Eを設けて、玄関ホール22から前記通路11へのアクセスを、第2出入口2E、リビングL(L2)及び第1出入口1Eを介してのみ可能としており、玄関21や玄関ホール22から見て、リビングLの奥に通路11やトイレ13、洗面脱衣室14、階段12が位置し、訪問客が玄関21にいてもトイレ13が近くにないため、自由に出入りすることができ、流した水の音も聞こえず、洗面脱衣室14にも自由に出入りすることができる。また、階段12が玄関21から見えることもない。さらに、玄関21からリビングLを通らないと通路11に入れないので、子供が帰宅し親の顔も見ないで自分の部屋に行ってしまうこともなくなる。
1階における収納機能も、物入16や収納部23によって十分に確保されているものである。
さらに、リビングLは、前記第2区画2の第1領域2Aと、前記第1区画1の対角位置にある第3区画3と、前記第2区画2の対角位置にある第4区画4とを含んで平断面L字状に形成されているので、リビングLに大きなL字状の居住空間を確保することができる。
特に、外壁Pが平断面正方形状であり、構造壁線X、Yが外壁Pの内側をほぼ等分に区画するように構成されているので、L字状をなすリビングLの一端La側も他端Lb側もほぼ等幅になり、リビングLに更に効果的な大空間を形成することができる。
また、2階における前記階段12の昇降口12bに2階ホールHを設け、昇降口12bを含めてこの2階ホールHを包囲すべく、前記各区画1、2、3、4の対応位置に4つの部屋5、6、7、8を、それらの出入口5a、6a、7a、8aを2階ホールHに面した状態で形成しており、2階においてある部屋から2階ホールHを通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、1階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線にも無駄がなくなる。しかも、2階ホールHの先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることができる。
さらに、このように1階の平断面四角形状の外壁Pの内側に平面視十字状で前記外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yを設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線Xの位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングLを形成するにあたり、L字形のリビングLの折れ曲がり部分が壁のない開口OP1であると、強度不足に陥りがちとなり、何らの手当ても無ければ2階の床の沈み込み等を引き起こすが、本実施形態では両構造壁線X、Yに沿って、上階の荷重を受ける位置に第1の梁A1及びこれを下支えする第2の梁Bを設けたので、第2の梁Bによって第1の梁A1の強度不足を確実に補強して、リビングLに大きなL字状の空間を確保することを構造的に可能にすることができる。
特に、本実施形態の建築物は、外壁Pが平断面正方形状であり、構造壁線X、Yが外壁Pの内側を等分に区画するように構成されていて、リビングLの一端La側も他端Lb側も同じ幅になる大空間を形成しており、開口OP1等も大きいため、上記のような第2の梁Bの導入が極めて効果的なものとなる。
とりわけ、前記第1の梁A1には、2階における前記構造壁線Xの両側の区画2、3に形成された部屋6、7の荷重α2が集中的に作用する構造をなすので、このように、構造壁線X部分に壁のない開口OP1が形成され、その構造壁線Xの上に2階の部屋6、7の荷重α2が集中的に作用する部屋(リビングL)の構造の場合は、上記の第2の梁Bが極めて効果的となる。
さらに、前記第1の梁A1には、更に3階における構造壁線Xの近くに形成したロフト63、73、83の荷重α3が作用する構造をなすので、2階の部屋の荷重α2と3階の部屋の荷重α3とが重畳して第1の梁A1に集中しても、第2の梁Bが第1の梁A1を補強することで、L字状の大きなリビングLが適切に確保された3階建ての建築物を問題なく施工することが可能となる。
以上を通じて、本実施形態は、居住者の要望を高いレベルでクリアーしつつ、低価格、耐久性、耐震性を有効に実現することができ、さらに高品質、断熱性能をも満たす建築物を提供することが可能となる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、開口OP2の上に位置する第1の梁A2にも上記と同様に第2の梁Bを設けることも有効である。
また、上記実施形態は3階建てであったが、2階建て構造或いは4階建て構造にも同様に適用することができる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…第1区画
2…第2区画
3…第3区画
4…第4区画
5、6、7、8…4つの部屋
11…通路
12…階段
12a、12b…昇降口
13…トイレ
14…洗面脱衣室
13a、14a、14b、5a、6a、7a、8a…出入口
16…物入
21…玄関
22…玄関ホール
23…収納
1E…第1出入口
2A…第1領域
2B…第2領域
2E…第2出入口
A…第1の梁
B…第2の梁
H…2階ホール
L…リビング
OP1、OP2…開口
P…外壁
X、Y…構造壁線
α2、α3…荷重
本発明は、限られた予算や床面積の中で、必要且つ使い勝手の良い間取りを強度を備えつつ効率的に設計した戸建ての建築物に関するものである。
従来より、戸建て住宅としては、2階建てや3階建ての建築物の中に、リビングや必要部屋数を始めとして、階段、トイレ、洗面脱衣室等の必要な部屋、機能を様々なレイアウトで実現するのが通例である。
その際、限られた予算、限られた床面積の中で極力居住者の要望に応えるべく、回廊性や収納機能など、様々な観点から効率的な設計が試みられている。
例えば、特許文献1のものは、注文住宅よりも低コストで個々の要求に対応すべく、建売でありながら一部の間取りを変更可能な設計にする等により個別に対応しているのが現状である。
特開平11−50677号公報
しかしながら、このような対応によっても、居住者のニーズは多種多様であるため、顧客の要望に逐一合致するレイアウトを実現しようとすれば、コスト削減やレイアウトの効率性にも一定の限界がある。
これに対して、購入希望者の要望に最大公約数的に一つでも多くの共通点を見出せたら、購入者の一般的な要望に近づけることができると考えられる。
本発明者は、長年顧客から吸い上げた要望から共通項を抽出した結果、例えば、掃除がし易く簡単であること、部屋の空間で行き止まりがなく、どこからも回り込む必要がない動線が確保できること、収納スペースを十分確保できること、玄関からトイレ、階段、脱衣が見えないこと等々、多くの共通項が存在することが判明した。
そして、このような要望を限られたスペースの中で効率良く凝縮して実現するレイアウトを追求した結果、必然的にある一つの理想的な形に行き着くことを新たに知見した。ただし、このようなレイアウトを実現する上で、強度的な問題を解決する必要があることも同時に明らかとなった。
本発明は、このような新たな間取り構造を有する建築物を、強度上の手当てとともに実現することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明は、2階建て以上の建築物であって、平面視十字状の構造壁線によって1階の外壁の内側にほぼ正方形を等分に区分した形状の4つの区画を設定し、その区画の1つである第1区画に、2階への階段、トイレ、洗面脱衣室、物入を通路の周囲に形成し、前記第1区画に隣接する第2区画の一部をなす第1領域、前記第1区画の対角位置にある第3区画、前記第2区画の対角位置にある第4区画を含んで平断面L字状のリビングを形成し、更に前記第2区画に玄関、玄関ホール、収納を配列した第2領域を形成して、第1区画の2階への階段の昇降口、トイレ、洗面脱衣室の出入口やリビングの一部をなす第2区画の第1領域に設けられる第1出入口が前記通路に面している状態に形成するとともに、更に第1領域のリビングの一部と第2領域の玄関ホールとの間に第2出入口を設けて玄関ホールから前記通路へのアクセスを第2出入口、リビング及び第1出入口を介してのみ可能としたことを特徴とする。
このように構成すると、ある部屋から通路を通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、2階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線に無駄がない。しかも、通路の先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることができる。さらに、リビングを通らずに部屋の間や上下階の間を行き来することができ、リビングと通路の間を視覚的に遮ることも容易であるため、リビングに訪問客がいたとしても目線を気にする必要がなくなり、玄関の訪問客に気兼ねすることなくトイレや洗面脱衣室等を使用することができる。そして、第1区画にリビング以外の1階の部屋を集中させているので、効率的な空間利用が可能になり、他の区画をリビング等のために広く開放して、大きなL字状の大空間を確保することが可能となる。
リビングをより効果的な大空間とするためには、外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側をほぼ等分に区画するように構成されていることが適切である。
2階においても動線の無駄をなくすためには、2階における前記階段の昇降口に2階ホールを設け、昇降口を含めてこの2階ホールを包囲すべく、前記各区画の対応位置に4つの部屋をそれらの出入口を2階ホールに面した状態で形成していることが望ましい。
L字形のリビングの折れ曲がり部分に壁のない開口を適切に形成するためには、上記のように1階の平断面四角形状の外壁の内側に平面視十字状で前記外壁の内側を4つの区画に区分する構造壁線を設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線の位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングを形成しているものにおいて、両構造壁線に沿って、上階の荷重を受ける第1の梁を設けるとともに、少なくとも何れか一方の第1の梁を下支えする位置に第2の梁を設けたことを特徴とする。
このような補強構造は、リビングの一端側も他端側も同じ幅になる大空間を形成すべく、外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側を等分に区画するように構成されている場合に特に有効である。
また、このような構造は、前記第1の梁に、2階における前記構造壁線の両側の区画に形成された部屋の荷重が集中的に作用する構造をなしている場合に好適である。
さらに、このような構造は、前記第1の梁に、更に3階における構造壁線の近くに形成したロフトの荷重が作用する場合に特に望ましい。
本発明は、以上説明した構成であるから、多くの需要者に広く適合できて、限られたスペースに必要な間取りを、動きやすい動線、デッドスペースの狭小化、来客からの目隠し状態の確保等とともに有効に実現した、快適かつ経済的な建築物を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる建築物の1階部分の平断面図。 同建築物の2階部分の平断面図。 同建築物の3階部分の平断面図。 同建築物の1階小屋組み(2階床)の梁の構造を示す平面図。 図4に対応した模式的な斜視図。 同建築物の2階小屋組み(3階床)の梁の構造を示す平面図。 同図に対応した模式的な斜視図。 同建築物の梁の構造を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態の建築物は、木造3階建ての住宅であり、図1は1階部分の平断面図、図2は2階部分の平断面図、図3は3階部分の平断面図である。建物の外壁Pは平断面四角形状をなし、この外壁Pの内側には、平面視十字状をなして外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yが設定されている。より具体的には、この実施形態の外壁Pは正方形をなし、構造壁線X、Yは内側を4等分する位置に設定されている。ここに言う構造壁線X、Yとは、壁に沿って強度を確保すべき仮想の線を言う。その壁には、ツーバイフォーのように壁自体が強度を有する枠体により構成されている場合のほか、軸組み工法に使用する柱を使って壁に沿った強度を確保しているケースも含まれる。
そして、図1に示す1階において、その区画の1つである第1区画1を包囲する位置に構造壁線X、Yに沿って壁1g、1hを配置し、外壁Pとこれらの壁1g、1hとに囲まれた位置に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、浴室15、物入16を通路11とともに集中配置している。これら階段12及び各部屋13,14,15,16の間には壁1a、1b、1c、1d、1eが設けられている。そして、その第1区画1の2つの壁1g、1hを共有する当該第1区画1以外の位置に、L字形のリビングLを形成している。リビングLは、前記第1区画1の隣接位置にある第2区画2の一部の領域2Aと、第1区画1の対角位置にある第3区画3と、第2区画2の対角位置にある第4区画4とに亘っており、そのために第2区画2と第3区画3の間の構造壁線Xに沿った位置および第3区画3と第4区画4の間の構造壁線Yに沿った位置には、壁を作らずに開口OP1、OP2を形成している。この実施形態では建物の外壁Pは平断面正方形であり、構造壁線X、Yも内側を4等分するものであるため、L字形のリビングLの一端側の幅Laと他端側の幅Lbとは等幅である。
第2区画2は、第1区画1に向かって延びる壁2aによって内部が第1領域2Aと第2領域2Bに分割されており、第1領域2AはリビングLに属し、第2領域2Bには第2区画2から第1区画1に向かって玄関21、玄関ホール22、収納部23が配列されている。第1領域2AはリビングLの一部をなすため、以下、必要に応じてリビングL2とも表示する。
第1区画1において、2階への階段12の昇降口12a、トイレ13の出入口13a、洗面脱衣室14の出入口14a、物入16の出入口16aは、共通の通路11に面しており、第2区画2のリビングL2への第1出入口1Eも前記通路11に面している。すなわち通路11は、階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16、リビングL(L2)によって周囲を包囲された状態にある。浴室15は洗面脱衣室14の奥に形成されている。また、第1区画1と第4区画4の間の構造壁線Xに沿った位置に、リビングLと洗面脱衣室14とを行き来可能なように第3出入口14bが設けられている。
前記第2区画2における第1領域2Aと第2領域2Bの間は壁2aで仕切られ、玄関ホール22とリビングL(L2)の間には第2出入口2Eが設けてある。玄関ホール22と収納部23の間にも壁2bが存在し、収納部23の開閉部23aはリビングL(L2)側に面している。つまり、玄関ホール22から前記通路11へのアクセスは、第2出入口2E、リビングL(L2)及び第1出入口1Eを介してのみ可能とされている。リビングLと通路11との間は、出入口1E、14a、14bを介して回廊性が確保されている。
各出入口1E、2E、13a、14a、14b、16aには、扉やスライドドア等の適宜の開閉手段が設けられている。勿論、各出入口1E、2E、13a、14a、14b、16aのうちの一部は、扉やスライドドア等を設けずに開放状態にしておいてもよい。
また、図2に示す2階における階段12の昇降口12bには、2階ホールHが形成されており、この昇降口12bを含めて2階ホールHを包囲する位置に、前記各区画1、2、3、4に対応した4つの部屋5、6、7、8を形成している。各部屋5,6,7,8の出入口5a、6a、7a、8aは全て2階ホールHに面している。1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上にて区分される2階の部屋6、7は、例えばこども部屋6とフリールーム7であり、1階の第1区画1と第4区画4の間の構造壁線X上にて区分される2階の部屋5、8は、例えばこども部屋5と主寝室8である。こども部屋5、6には構造壁線Xの近くにクローゼット51、61が配置してあり、2階の各部屋5、6、7、8には3階への階段52、62、72、82が設けてある。
各出入口5a、6a、7a、8aにも、扉やスライドドア等の適宜の開閉手段が設けられている。勿論、各出入口5a、6a、7a、8aのうちの一部は、扉やスライドドア等を設けずに開放状態にしておいてもよい。
さらに、図3に示す3階には、前記階段52、62、72、82で昇降できるロフト53、63、73、83が形成されている。このうちのロフト63、73、83は、平面視において1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線Xに隣接している。
構造的に見ると、図1に示す1階において、1階のリビングLの折れ曲がった開口部分OP1に相当する第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上、および、開口部分OP2に相当する第3区画3と第4区画4の間の構造壁線Y上に、図4及び図5の1階の小屋組み構造(2階の床構造)に示すように第1の梁A1、A2を架け渡して設けている。このうちの第1の梁A1は、図8に示すように、両端が外壁P側の柱P1と内壁Q側の柱Q1に支持されている。また、この第1の梁A1には、図2及び図4に示すように、構造壁線Xの両側に位置する2階の部屋6、7を支える架材D、Eの一端D1、E1が接続されている。これらの架材D、Eの他端D2、E2は外壁Pの桁P3、P4に接続されている。前記第1の梁A1にはまた、第2区画2及び第3区画3に沿った桁J、Kの一端J1、K1が接続され、これらの桁J、Kの他端J2,K2も前記桁P3,P4に接続されている。
さらに、図1に示す第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上において、1階のリビングLの折れ曲がった開口OP1に相当する第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に、図6及び図7の2階の小屋組み構造(3階の床構造)に示すように第3の梁Cを架け渡している。この第3の梁Cは、図8に示すように、外壁P側の柱P2と内壁Q側の柱Q2に支持されている。第3の梁Cには、図3に示した3階のロフト63、73、83を支持する架材F、G(図6及び図7参照)の一端F1、G1が接続され、これらの架材F、Gの他端F2、G2は外壁Pの桁P5、P6に接続されている。図8に示すように、第1の梁A1と第3の梁Cの間は、柱Q3、Q4で接続されている。
このような構造において、図1に示す1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に配置された図4に示す第1の梁A1には、2階の床を支持する架材D、Eや桁J、Kを通じた荷重α2と、更に図3に示す3階のロフト53、63、73、83を支持する図8の荷重α3が作用するため、図1に示す1階のリビングLの折れ曲がった開口部分OP1の小屋組みに通常よりも相当程度に高い強度を確保しないと、図2に示す2階のクローゼット61付近を始めとして部屋6,7の床が傾く等の不具合が生じる。
そこで、本実施形態はさらに、図1に示す第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に配置される図5及び図8の第1の梁A1を下支えする位置に、第2の梁Bを架け渡している。この第2の梁Bは、外壁P側の柱P1と内壁Q側の柱Q1に両端B1、B2を支持させたものである。すなわち、第1の梁A1が支えきれない荷重α2をこの第2の梁Bに支持させることによって、2階の床の不陸を防ぎ、強度を増しているものである。
この場合、第1の梁A1は1階の天井裏に隠れるが、第2の梁Bは第1の梁A1の下に位置するため、1階の部屋(リビングL)にむき出しになる場合には見栄えのよい化粧梁にすれば足りる。また、ロフト荷重α3を第3の梁Cが受けるため、第3の梁Cは、例えば隣接する他の部位の梁C´に比べて太いものが使用してある。
以上のように、本実施形態の建築物は、2階建て以上(3階建て)の建築物であって、平面視十字状の構造壁線X、Yによって1階の外壁Pの内側にほぼ正方形を等分に区分した形状の4つの区間1、2、3、4を設定し、その区画の1つである第1区画1に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16を通路11の周囲に形成し、前記第1区画1に隣接する第2区画2の一部をなす第1領域2A、前記第1区画1の対角位置にある第3区画3、前記第2区画2の対角位置にある第4区画4を含んで平断面L字状のリビングLを形成し、更に前記第2区画2に玄関21、玄関ホール22、収納部23を配列した第2領域2Bを形成して、第1区画1の2階への階段12の昇降口12a、トイレ13、洗面脱衣室14の出入口13a、14aやリビングLの一部をなす第2区画2の第1領域2Aに設けられる第1出入口1Eが前記通路11に面している状態に形成するとともに、更に第1領域1のリビングLの一部L2と第2領域2Bの玄関ホール22との間に第2出入口2Eを設けて玄関ホール22から前記通路11へのアクセスを第2出入口2E、リビングL(L2)及び第1出入口1Eを介してのみ可能としたものである。
このように構成すると、ある部屋から通路11を通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、2階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線に無駄がなくなる。しかも、通路11の先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることが可能である。さらに、リビングLを通らずに1階の各部屋の間や上下階の間を行き来することができ、リビングLと通路11の間を視覚的に遮ることも容易であるため、リビングLに訪問客がいたとしても目線を気にする必要がなくなる。そして、第1区画1にリビングL以外の1階の部屋13、14、15、16を集中させているので、効率的な空間利用が可能になり、他の区画2、3、4をリビングL等のために広く開放することが可能となる。リビングLと通路11の間をぐるぐる回れる回廊形にしていることも、移動や掃除の便に奏功しているものである。
また、玄関21や玄関ホール22から見て、リビングLの奥に通路11やトイレ13、洗面脱衣室14、階段12が位置し、訪問客が玄関21にいてもトイレ13が近くにないため、自由に出入りすることができ、流した水の音も聞こえず、洗面脱衣室14にも自由に出入りすることができる。また、階段12が玄関21から見えることもない。さらに、玄関21からリビングLを通らないと通路11に入れないので、子供が帰宅し親の顔も見ないで自分の部屋に行ってしまうこともなくなる。
1階における収納機能も、物入16や収納部23によって十分に確保されているものである。
さらに、リビングLは、前記第2区画2の第1領域2Aと、前記第1区画1の対角位置にある第3区画3と、前記第2区画2の対角位置にある第4区画4とを含んで平断面L字状に形成されているので、リビングLに大きなL字状の居住空間を確保することができる。
特に、外壁Pが平断面正方形状であり、構造壁線X、Yが外壁Pの内側をほぼ等分に区画するように構成されているので、L字状をなすリビングLの一端La側も他端Lb側もほぼ等幅になり、リビングLに更に効果的な大空間を形成することができる。
また、2階における前記階段12の昇降口12bに2階ホールHを設け、昇降口12bを含めてこの2階ホールHを包囲すべく、前記各区画1、2、3、4の対応位置に4つの部屋5、6、7、8を、それらの出入口5a、6a、7a、8aを2階ホールHに面した状態で形成しており、2階においてある部屋から2階ホールHを通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、1階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線にも無駄がなくなる。しかも、2階ホールHの先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることができる。
さらに、このように1階の平断面四角形状の外壁Pの内側に平面視十字状で前記外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yを設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線Xの位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングLを形成するにあたり、L字形のリビングLの折れ曲がり部分が壁のない開口OP1であると、強度不足に陥りがちとなり、何らの手当ても無ければ2階の床の沈み込み等を引き起こすが、本実施形態では両構造壁線X、Yに沿って、上階の荷重を受ける位置に第1の梁A1及びこれを下支えする第2の梁Bを設けたので、第2の梁Bによって第1の梁A1の強度不足を確実に補強して、リビングLに大きなL字状の空間を確保することを構造的に可能にすることができる。
特に、本実施形態の建築物は、外壁Pが平断面正方形状であり、構造壁線X、Yが外壁Pの内側を等分に区画するように構成されていて、リビングLの一端La側も他端Lb側も同じ幅になる大空間を形成しており、開口OP1等も大きいため、上記のような第2の梁Bの導入が極めて効果的なものとなる。
とりわけ、前記第1の梁A1には、2階における前記構造壁線Xの両側の区画2、3に形成された部屋6、7の荷重α2が集中的に作用する構造をなすので、このように、構造壁線X部分に壁のない開口OP1が形成され、その構造壁線Xの上に2階の部屋6、7の荷重α2が集中的に作用する部屋(リビングL)の構造の場合は、上記の第2の梁Bが極めて効果的となる。
さらに、前記第1の梁A1には、更に3階における構造壁線Xの近くに形成したロフト63、73、83の荷重α3が作用する構造をなすので、2階の部屋の荷重α2と3階の部屋の荷重α3とが重畳して第1の梁A1に集中しても、第2の梁Bが第1の梁A1を補強することで、L字状の大きなリビングLが適切に確保された3階建ての建築物を問題なく施工することが可能となる。
以上を通じて、本実施形態は、居住者の要望を高いレベルでクリアーしつつ、低価格、耐久性、耐震性を有効に実現することができ、さらに高品質、断熱性能をも満たす建築物を提供することが可能となる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、開口OP2の上に位置する第1の梁A2にも上記と同様に第2の梁Bを設けることも有効である。
また、上記実施形態は3階建てであったが、2階建て構造或いは4階建て構造にも同様に適用することができる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…第1区画
2…第2区画
3…第3区画
4…第4区画
5、6、7、8…4つの部屋
11…通路
12…階段
12a、12b…昇降口
13…トイレ
14…洗面脱衣室
13a、14a、14b、5a、6a、7a、8a…出入口
16…物入
21…玄関
22…玄関ホール
23…収納
1E…第1出入口
2A…第1領域
2B…第2領域
2E…第2出入口
A…第1の梁
B…第2の梁
H…2階ホール
L…リビング
OP1、OP2…開口
P…外壁
X、Y…構造壁線
α2、α3…荷重

本発明は、限られた予算や床面積の中で、必要且つ使い勝手の良い間取りを強度を備えつつ効率的に設計した戸建ての建築物に関するものである。
従来より、戸建て住宅としては、2階建てや3階建ての建築物の中に、リビングや必要部屋数を始めとして、階段、トイレ、洗面脱衣室等の必要な部屋、機能を様々なレイアウトで実現するのが通例である。
その際、限られた予算、限られた床面積の中で極力居住者の要望に応えるべく、回廊性や収納機能など、様々な観点から効率的な設計が試みられている。
例えば、特許文献1のものは、注文住宅よりも低コストで個々の要求に対応すべく、建売でありながら一部の間取りを変更可能な設計にする等により個別に対応しているのが現状である。
特開平11−50677号公報
しかしながら、このような対応によっても、居住者のニーズは多種多様であるため、顧客の要望に逐一合致するレイアウトを実現しようとすれば、コスト削減やレイアウトの効率性にも一定の限界がある。
これに対して、購入希望者の要望に最大公約数的に一つでも多くの共通点を見出せたら、購入者の一般的な要望に近づけることができると考えられる。
本発明者は、長年顧客から吸い上げた要望から共通項を抽出した結果、例えば、掃除がし易く簡単であること、部屋の空間で行き止まりがなく、どこからも回り込む必要がない動線が確保できること、収納スペースを十分確保できること、玄関からトイレ、階段、脱衣が見えないこと等々、多くの共通項が存在することが判明した。
そして、このような要望を限られたスペースの中で効率良く凝縮して実現するレイアウトを追求した結果、必然的にある一つの理想的な形に行き着くことを新たに知見した。ただし、このようなレイアウトを実現する上で、強度的な問題を解決する必要があることも同時に明らかとなった。
本発明は、このような新たな間取り構造を有する建築物を、強度上の手当てとともに実現することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明は、2階建て以上の建築物であって、平面視十字状の構造壁線によって1階の外壁の内側にほぼ正方形を等分に区分した形状の4つの区画を設定し、その区画の1つである第1区画に、2階への階段、トイレ、洗面脱衣室、物入を1階に唯一設けた通路の周囲に形成し、前記第1区画に隣接する第2区画の一部をなす第1領域、前記第1区画の対角位置にある第3区画、前記第2区画の対角位置にある第4区画を含んで平断面L字状のリビングを形成し、更に前記第2区画に玄関、玄関ホール、収納を配列した第2領域を形成して、第1区画の2階への階段の昇降口、トイレ、洗面脱衣室の出入口やリビングの一部をなす第2区画の第1領域に設けられる第1出入口が前記前記1階の唯一の通路に面している状態に形成するとともに、更に第1領域のリビングの一部と第2領域の玄関ホールとの間に第2出入口を設けて、玄関ホールから第2出入口、リビング及び第1出入口を介してのみ前記1階の唯一の通路にアクセス可能としたことを特徴とする。
このように構成すると、ある部屋から通路を通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、2階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線に無駄がない。しかも、通路の先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることができる。さらに、リビングを通らずに部屋の間や上下階の間を行き来することができ、リビングと通路の間を視覚的に遮ることも容易であるため、リビングに訪問客がいたとしても目線を気にする必要がなくなり、玄関の訪問客に気兼ねすることなくトイレや洗面脱衣室等を使用することができる。そして、第1区画にリビング以外の1階の部屋を集中させているので、効率的な空間利用が可能になり、他の区画をリビング等のために広く開放して、大きなL字状の大空間を確保することが可能となる。
リビングをより効果的な大空間とするためには、外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側をほぼ等分に区画するように構成されていることが適切である。
2階においても動線の無駄をなくすためには、2階における前記階段の昇降口に2階ホールを設け、昇降口を含めてこの2階ホールを包囲すべく、前記各区画の対応位置に4つの部屋をそれらの出入口を2階ホールに面した状態で形成していることが望ましい。
L字形のリビングの折れ曲がり部分に壁のない開口を適切に形成するためには、上記のように1階の平断面四角形状の外壁の内側に平面視十字状で前記外壁の内側を4つの区画に区分する構造壁線を設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線の位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングを形成しているものにおいて、両構造壁線に沿って、上階の荷重を受ける第1の梁を設けるとともに、少なくとも何れか一方の第1の梁を下支えする位置に第2の梁を設けたことを特徴とする。
このような補強構造は、リビングの一端側も他端側も同じ幅になる大空間を形成すべく、外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側を等分に区画するように構成されている場合に特に有効である。
また、このような構造は、前記第1の梁に、2階における前記構造壁線の両側の区画に形成された部屋の荷重が集中的に作用する構造をなしている場合に好適である。
さらに、このような構造は、前記第1の梁に、更に3階における構造壁線の近くに形成したロフトの荷重が作用する場合に特に望ましい。
本発明は、以上説明した構成であるから、多くの需要者に広く適合できて、限られたスペースに必要な間取りを、動きやすい動線、デッドスペースの狭小化、来客からの目隠し状態の確保等とともに有効に実現した、快適かつ経済的な建築物を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる建築物の1階部分の平断面図。 同建築物の2階部分の平断面図。 同建築物の3階部分の平断面図。 同建築物の1階小屋組み(2階床)の梁の構造を示す平面図。 図4に対応した模式的な斜視図。 同建築物の2階小屋組み(3階床)の梁の構造を示す平面図。 同図に対応した模式的な斜視図。 同建築物の梁の構造を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
この実施形態の建築物は、木造3階建ての住宅であり、図1は1階部分の平断面図、図2は2階部分の平断面図、図3は3階部分の平断面図である。建物の外壁Pは平断面四角形状をなし、この外壁Pの内側には、平面視十字状をなして外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yが設定されている。より具体的には、この実施形態の外壁Pは正方形をなし、構造壁線X、Yは内側を4等分する位置に設定されている。ここに言う構造壁線X、Yとは、壁に沿って強度を確保すべき仮想の線を言う。その壁には、ツーバイフォーのように壁自体が強度を有する枠体により構成されている場合のほか、軸組み工法に使用する柱を使って壁に沿った強度を確保しているケースも含まれる。
そして、図1に示す1階において、その区画の1つである第1区画1を包囲する位置に構造壁線X、Yに沿って壁1g、1hを配置し、外壁Pとこれらの壁1g、1hとに囲まれた位置に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、浴室15、物入16を通路11とともに集中配置している。これら階段12及び各部屋13,14,15,16の間には壁1a、1b、1c、1d、1eが設けられている。そして、その第1区画1の2つの壁1g、1hを共有する当該第1区画1以外の位置に、L字形のリビングLを形成している。リビングLは、前記第1区画1の隣接位置にある第2区画2の一部の領域2Aと、第1区画1の対角位置にある第3区画3と、第2区画2の対角位置にある第4区画4とに亘っており、そのために第2区画2と第3区画3の間の構造壁線Xに沿った位置および第3区画3と第4区画4の間の構造壁線Yに沿った位置には、壁を作らずに開口OP1、OP2を形成している。この実施形態では建物の外壁Pは平断面正方形であり、構造壁線X、Yも内側を4等分するものであるため、L字形のリビングLの一端側の幅Laと他端側の幅Lbとは等幅である。
第2区画2は、第1区画1に向かって延びる壁2aによって内部が第1領域2Aと第2領域2Bに分割されており、第1領域2AはリビングLに属し、第2領域2Bには第2区画2から第1区画1に向かって玄関21、玄関ホール22、収納部23が配列されている。第1領域2AはリビングLの一部をなすため、以下、必要に応じてリビングL2とも表示する。
第1区画1において、2階への階段12の昇降口12a、トイレ13の出入口13a、洗面脱衣室14の出入口14a、物入16の出入口16aは、共通の通路11に面しており、第2区画2のリビングL2への第1出入口1Eも前記通路11に面している。すなわち通路11は、階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16、リビングL(L2)によって周囲を包囲された状態にある。浴室15は洗面脱衣室14の奥に形成されている。また、第1区画1と第4区画4の間の構造壁線Xに沿った位置に、リビングLと洗面脱衣室14とを行き来可能なように第3出入口14bが設けられている。
前記第2区画2における第1領域2Aと第2領域2Bの間は壁2aで仕切られ、玄関ホール22とリビングL(L2)の間には第2出入口2Eが設けてある。玄関ホール22と収納部23の間にも壁2bが存在し、収納部23の開閉部23aはリビングL(L2)側に面している。つまり、玄関ホール22から前記通路11へのアクセスは、第2出入口2E、リビングL(L2)及び第1出入口1Eを介してのみ可能とされている。リビングLと通路11との間は、出入口1E、14a、14bを介して回廊性が確保されている。
各出入口1E、2E、13a、14a、14b、16aには、扉やスライドドア等の適宜の開閉手段が設けられている。勿論、各出入口1E、2E、13a、14a、14b、16aのうちの一部は、扉やスライドドア等を設けずに開放状態にしておいてもよい。
また、図2に示す2階における階段12の昇降口12bには、2階ホールHが形成されており、この昇降口12bを含めて2階ホールHを包囲する位置に、前記各区画1、2、3、4に対応した4つの部屋5、6、7、8を形成している。各部屋5,6,7,8の出入口5a、6a、7a、8aは全て2階ホールHに面している。1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上にて区分される2階の部屋6、7は、例えばこども部屋6とフリールーム7であり、1階の第1区画1と第4区画4の間の構造壁線X上にて区分される2階の部屋5、8は、例えばこども部屋5と主寝室8である。こども部屋5、6には構造壁線Xの近くにクローゼット51、61が配置してあり、2階の各部屋5、6、7、8には3階への階段52、62、72、82が設けてある。
各出入口5a、6a、7a、8aにも、扉やスライドドア等の適宜の開閉手段が設けられている。勿論、各出入口5a、6a、7a、8aのうちの一部は、扉やスライドドア等を設けずに開放状態にしておいてもよい。
さらに、図3に示す3階には、前記階段52、62、72、82で昇降できるロフト53、63、73、83が形成されている。このうちのロフト63、73、83は、平面視において1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線Xに隣接している。
構造的に見ると、図1に示す1階において、1階のリビングLの折れ曲がった開口部分OP1に相当する第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上、および、開口部分OP2に相当する第3区画3と第4区画4の間の構造壁線Y上に、図4及び図5の1階の小屋組み構造(2階の床構造)に示すように第1の梁A1、A2を架け渡して設けている。このうちの第1の梁A1は、図8に示すように、両端が外壁P側の柱P1と内壁Q側の柱Q1に支持されている。また、この第1の梁A1には、図2及び図4に示すように、構造壁線Xの両側に位置する2階の部屋6、7を支える架材D、Eの一端D1、E1が接続されている。これらの架材D、Eの他端D2、E2は外壁Pの桁P3、P4に接続されている。前記第1の梁A1にはまた、第2区画2及び第3区画3に沿った桁J、Kの一端J1、K1が接続され、これらの桁J、Kの他端J2,K2も前記桁P3,P4に接続されている。
さらに、図1に示す第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上において、1階のリビングLの折れ曲がった開口OP1に相当する第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に、図6及び図7の2階の小屋組み構造(3階の床構造)に示すように第3の梁Cを架け渡している。この第3の梁Cは、図8に示すように、外壁P側の柱P2と内壁Q側の柱Q2に支持されている。第3の梁Cには、図3に示した3階のロフト63、73、83を支持する架材F、G(図6及び図7参照)の一端F1、G1が接続され、これらの架材F、Gの他端F2、G2は外壁Pの桁P5、P6に接続されている。図8に示すように、第1の梁A1と第3の梁Cの間は、柱Q3、Q4で接続されている。
このような構造において、図1に示す1階の第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に配置された図4に示す第1の梁A1には、2階の床を支持する架材D、Eや桁J、Kを通じた荷重α2と、更に図3に示す3階のロフト53、63、73、83を支持する図8の荷重α3が作用するため、図1に示す1階のリビングLの折れ曲がった開口部分OP1の小屋組みに通常よりも相当程度に高い強度を確保しないと、図2に示す2階のクローゼット61付近を始めとして部屋6,7の床が傾く等の不具合が生じる。
そこで、本実施形態はさらに、図1に示す第2区画2と第3区画3の間の構造壁線X上に配置される図5及び図8の第1の梁A1を下支えする位置に、第2の梁Bを架け渡している。この第2の梁Bは、外壁P側の柱P1と内壁Q側の柱Q1に両端B1、B2を支持させたものである。すなわち、第1の梁A1が支えきれない荷重α2をこの第2の梁Bに支持させることによって、2階の床の不陸を防ぎ、強度を増しているものである。
この場合、第1の梁A1は1階の天井裏に隠れるが、第2の梁Bは第1の梁A1の下に位置するため、1階の部屋(リビングL)にむき出しになる場合には見栄えのよい化粧梁にすれば足りる。また、ロフト荷重α3を第3の梁Cが受けるため、第3の梁Cは、例えば隣接する他の部位の梁C´に比べて太いものが使用してある。
以上のように、本実施形態の建築物は、2階建て以上(3階建て)の建築物であって、平面視十字状の構造壁線X、Yによって1階の外壁Pの内側にほぼ正方形を等分に区分した形状の4つの区間1、2、3、4を設定し、その区画の1つである第1区画1に、2階への階段12、トイレ13、洗面脱衣室14、物入16を1階に唯一設けた通路11の周囲に形成し、前記第1区画1に隣接する第2区画2の一部をなす第1領域2A、前記第1区画1の対角位置にある第3区画3、前記第2区画2の対角位置にある第4区画4を含んで平断面L字状のリビングLを形成し、更に前記第2区画2に玄関21、玄関ホール22、収納部23を配列した第2領域2Bを形成して、第1区画1の2階への階段12の昇降口12a、トイレ13、洗面脱衣室14の出入口13a、14aやリビングLの一部をなす第2区画2の第1領域2Aに設けられる第1出入口1Eが前記1階の唯一の通路11に面している状態に形成するとともに、更に第1領域1のリビングLの一部L2と第2領域2Bの玄関ホール22との間に第2出入口2Eを設けて、玄関ホール22から第2出入口2E、リビングL(L2)及び第1出入口1Eを介してのみ前記1階の唯一の通路11にアクセス可能としたものである。
このように構成すると、ある部屋から通路11を通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、2階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線に無駄がなくなる。しかも、通路11の先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることが可能である。さらに、リビングLを通らずに1階の各部屋の間や上下階の間を行き来することができ、リビングLと通路11の間を視覚的に遮ることも容易であるため、リビングLに訪問客がいたとしても目線を気にする必要がなくなる。そして、第1区画1にリビングL以外の1階の部屋13、14、15、16を集中させているので、効率的な空間利用が可能になり、他の区画2、3、4をリビングL等のために広く開放することが可能となる。リビングLと通路11の間をぐるぐる回れる回廊形にしていることも、移動や掃除の便に奏功しているものである。
また、玄関21や玄関ホール22から見て、リビングLの奥に通路11やトイレ13、洗面脱衣室14、階段12が位置し、訪問客が玄関21にいてもトイレ13が近くにないため、自由に出入りすることができ、流した水の音も聞こえず、洗面脱衣室14にも自由に出入りすることができる。また、階段12が玄関21から見えることもない。さらに、玄関21からリビングLを通らないと通路11に入れないので、子供が帰宅し親の顔も見ないで自分の部屋に行ってしまうこともなくなる。
1階における収納機能も、物入16や収納部23によって十分に確保されているものである。
さらに、リビングLは、前記第2区画2の第1領域2Aと、前記第1区画1の対角位置にある第3区画3と、前記第2区画2の対角位置にある第4区画4とを含んで平断面L字状に形成されているので、リビングLに大きなL字状の居住空間を確保することができる。
特に、外壁Pが平断面正方形状であり、構造壁線X、Yが外壁Pの内側をほぼ等分に区画するように構成されているので、L字状をなすリビングLの一端La側も他端Lb側もほぼ等幅になり、リビングLに更に効果的な大空間を形成することができる。
また、2階における前記階段12の昇降口12bに2階ホールHを設け、昇降口12bを含めてこの2階ホールHを包囲すべく、前記各区画1、2、3、4の対応位置に4つの部屋5、6、7、8を、それらの出入口5a、6a、7a、8aを2階ホールHに面した状態で形成しており、2階においてある部屋から2階ホールHを通って他のどの部屋へもアクセスすることができ、1階へも行けるため、目的の部屋へ行くために他の部屋を経由して回り込む必要がなく、動線にも無駄がなくなる。しかも、2階ホールHの先に行き止まりの壁等がないため、デッドスペースも必要最小限に抑えることができる。
さらに、このように1階の平断面四角形状の外壁Pの内側に平面視十字状で前記外壁Pの内側を4つの区画1、2、3、4に区分する構造壁線X、Yを設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線Xの位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングLを形成するにあたり、L字形のリビングLの折れ曲がり部分が壁のない開口OP1であると、強度不足に陥りがちとなり、何らの手当ても無ければ2階の床の沈み込み等を引き起こすが、本実施形態では両構造壁線X、Yに沿って、上階の荷重を受ける位置に第1の梁A1及びこれを下支えする第2の梁Bを設けたので、第2の梁Bによって第1の梁A1の強度不足を確実に補強して、リビングLに大きなL字状の空間を確保することを構造的に可能にすることができる。
特に、本実施形態の建築物は、外壁Pが平断面正方形状であり、構造壁線X、Yが外壁Pの内側を等分に区画するように構成されていて、リビングLの一端La側も他端Lb側も同じ幅になる大空間を形成しており、開口OP1等も大きいため、上記のような第2の梁Bの導入が極めて効果的なものとなる。
とりわけ、前記第1の梁A1には、2階における前記構造壁線Xの両側の区画2、3に形成された部屋6、7の荷重α2が集中的に作用する構造をなすので、このように、構造壁線X部分に壁のない開口OP1が形成され、その構造壁線Xの上に2階の部屋6、7の荷重α2が集中的に作用する部屋(リビングL)の構造の場合は、上記の第2の梁Bが極めて効果的となる。
さらに、前記第1の梁A1には、更に3階における構造壁線Xの近くに形成したロフト63、73、83の荷重α3が作用する構造をなすので、2階の部屋の荷重α2と3階の部屋の荷重α3とが重畳して第1の梁A1に集中しても、第2の梁Bが第1の梁A1を補強することで、L字状の大きなリビングLが適切に確保された3階建ての建築物を問題なく施工することが可能となる。
以上を通じて、本実施形態は、居住者の要望を高いレベルでクリアーしつつ、低価格、耐久性、耐震性を有効に実現することができ、さらに高品質、断熱性能をも満たす建築物を提供することが可能となる。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、開口OP2の上に位置する第1の梁A2にも上記と同様に第2の梁Bを設けることも有効である。
また、上記実施形態は3階建てであったが、2階建て構造或いは4階建て構造にも同様に適用することができる。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…第1区画
2…第2区画
3…第3区画
4…第4区画
5、6、7、8…4つの部屋
11…通路
12…階段
12a、12b…昇降口
13…トイレ
14…洗面脱衣室
13a、14a、14b、5a、6a、7a、8a…出入口
16…物入
21…玄関
22…玄関ホール
23…収納
1E…第1出入口
2A…第1領域
2B…第2領域
2E…第2出入口
A…第1の梁
B…第2の梁
H…2階ホール
L…リビング
OP1、OP2…開口
P…外壁
X、Y…構造壁線
α2、α3…荷重

Claims (9)

  1. 2階建て以上の建築物であって、1階の外壁の内側に平面視十字状で前記外壁の内側を4つの区画に区分する構造壁線を設定し、その区画の1つである第1区画に、2階への階段、トイレ、洗面脱衣室、物入をそれらの昇降口や出入口が共通の通路に面している状態で形成するとともに、他の区画に属するリビングの第1出入口も前記通路に面している状態に形成して、これらの階段、トイレ、洗面脱衣室、物入、リビングによって通路の周囲を包囲したことを特徴とする建築物。
  2. 前記第1区画に隣接する第2区画を、前記第1出入口を形成したリビングの一部をなす第1領域と、玄関、玄関ホール、収納を配列した第2領域とから構成し、第1領域のリビングの一部と第2領域の玄関ホールとの間に更に第2出入口を設けて、玄関ホールから前記通路へのアクセスを、第2出入口、リビング及び第1出入口を介してのみ可能とした請求項1記載の建築物。
  3. リビングは、前記第2区画の第1領域と、前記第1区画の対角位置にある第3区画と、前記第2区画の対角位置にある第4区画とを含んで平断面L字状に形成されている請求項1又は2記載の建築物。
  4. 外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側をほぼ等分に区画するように構成されている請求項3記載の建築物。
  5. 2階における前記階段の昇降口に2階ホールを設け、昇降口を含めてこの2階ホールを包囲すべく、前記各区画の対応位置に4つの部屋を、をそれらの出入口を2階ホールに面した状態で形成している請求項1〜4記載の建築物。
  6. 2階建て以上の建築物であって、1階の平断面四角形状の外壁の内側に平面視十字状で前記外壁の内側を4つの区画に区分する構造壁線を設定し、そのうちの2つの隣接する構造壁線の位置を開口にしてその位置を含むL字形のリビングを形成しているものにおいて、両構造壁線に沿って、上階の荷重を受ける第1の梁を設けるとともに、少なくとも何れかの第1の梁を下支えする位置に第2の梁を設けたことを特徴とする建築物。
  7. 外壁が平断面正方形状であり、構造壁線が外壁の内側を等分に区画するように構成されている請求項6記載の建築物。
  8. 前記第1の梁には、2階における前記構造壁線の両側の区画に形成された部屋の荷重が集中的に作用する構造をなす請求項6又は7記載の建築物。
  9. 前記第1の梁には、更に3階における構造壁線の近くに形成したロフトの荷重が作用する構造をなす請求項8記載の建築物。
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