上記先行技術では、通路が設けられた建物ユニットには、居室部が設けられている。つまり、この建物ユニットには、通路及び居室部が設けられることとなるが、通路の幅は予め設定された寸法を確保する必要があるため、建物ユニットにおいて通路を設けるとなると、その分居室部は狭くなってしまう。
本発明は上記問題を考慮し、居室部を狭くすることなく、居室部と非居室部との往来を可能にする通路の幅を確保することが可能なユニット住宅を得ることが目的である。
上記目的を達成するために、第1の態様に係るユニット住宅は、第1非居室部が設けられた第1建物ユニットと、前記第1建物ユニットの第1桁面に対して対向する第2桁面を含んで前記第1非居室部に対向する位置に第2非居室部又は壁部が設けられると共に、第1居室部が設けられた第2建物ユニットと、前記第1建物ユニットと前記第2建物ユニットの間に設けられ、当該第1建物ユニットと当該第2建物ユニットを繋ぐ離し置き部と、を備え、前記離し置き部には、前記第1非居室部と前記第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられている。
第1の態様に係るユニット住宅では、第1建物ユニットに第1非居室部が設けられている。この第1建物ユニットと対向する第2建物ユニットには、第1建物ユニットの第1桁面と対向する第2桁面を含んで第1非居室部に対向する位置に第2非居室部又は壁部が設けられると共に、第1居室部が設けられている。また、第1建物ユニットと第2建物ユニットの間には、離し置き部が設けられており、当該第1建物ユニットと当該第2建物ユニットを繋いでいる。ここで、当該離し置き部には、第1非居室部と第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられている。
なお、ここでの「第1非居室部」、「第2非居室部」は、トイレ、浴室、洗面室、収納部等、閉塞可能な部屋や玄関ホール、階段部、通路をいう。また、ここでの「壁部」には、間仕切り壁以外に、開閉ドアや収納部の扉等が含まれる。さらに、ここでの「通路スペース」は、「通路」に含まれる概念であり、「通路スペース」が「通路」の一部を構成する場合以外に「通路スペース」のみによって「通路」が構成される場合も含まれる。
一般に、第1非居室部へ出入する際には通路が必要となる。いわゆる、狭小住宅の場合、通常の広さを有する住宅と比較して延べ床面積が狭くなる。このため、当該通路を十分に確保しようとすると、その分、第1非居室部、又は通路を介して当該第1非居室部と繋がれる第1居室部のスペースが狭くなってしまう。
したがって、本態様では、第1建物ユニットと第2建物ユニットの間に離し置き部が設けられ、当該離し置き部に、第1建物ユニットの第1非居室部と第2建物ユニットの第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられている。これにより、第1非居室部及び第1居室部のスペースを狭くすることなく、通路の幅を十分に確保することが可能となる。また、離し置き部に、第1非居室部と第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられることで、第1居室部と同様に、第1建物ユニットの第1非居室部と対向する位置に第2非居室部又は壁部が設けられたとしても、通路の幅を十分に確保することが可能となる。
なお、前述のように、「通路スペース」は、「通路」に含まれる概念であるため、離し置き部に設けられる通路スペースのみによって、第1非居室部と第1居室部との往来を可能にする通路が構成されてもよいし、離し置き部(通路スペース)及び第1建物ユニットによって、当該通路が構成されてもよい。また、当該通路は、第1建物ユニットの一部及び離し置き部を跨ぐようにして設けられてもよいし、離し置き部及び第2建物ユニットの一部を跨ぐようにして設けられてもよい。さらには、第1建物ユニットの一部、離し置き部、第2建物ユニットの一部を跨ぐようにして設けられてもよい。
第2の態様に係るユニット住宅は、第1非居室部が設けられた第1建物ユニットと、前記第1建物ユニットの第1桁面に対して対向する第2桁面を含んで前記第1非居室部に対向する位置に非通路部が設けられると共に、第1居室部が設けられた第2建物ユニットと、前記第1建物ユニットと前記第2建物ユニットの間に設けられ、当該第1建物ユニットと当該第2建物ユニットを繋ぐ離し置き部と、を備え、前記離し置き部には、前記第1非居室部と前記第1居室部とをとの往来を可能にする通路スペースが設けられている。
第2の態様に係るユニット住宅では、第1建物ユニットに第1非居室部が設けられている。この第1建物ユニットと対向する第2建物ユニットには、第1建物ユニットの第1桁面と対向する第2桁面を含んで第1非居室部に対向する位置に非通路部が設けられると共に、第1居室部が設けられている。また、第1建物ユニットと第2建物ユニットの間には、離し置き部が設けられており、当該第1建物ユニットと当該第2建物ユニットを繋いでいる。ここで、当該離し置き部には、第1非居室部と第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられている。
なお、ここでの「非通路部」は、通路を除いて、トイレ、浴室、洗面室、収納部等、閉塞可能な部屋や玄関ホール、階段部が含まれる概念であるが、これら以外に、第1居室部とは異なる和室等、通路とはならない空間を有する居室も含まれる。また、本態様における「通路スペース」は、第1の態様と同様、「通路」に含まれる概念であり、「通路スペース」が「通路」の一部を構成する場合以外に「通路スペース」のみによって「通路」が構成される場合も含まれる。
このため、本態様では、第1建物ユニットと第2建物ユニットの間に離し置き部が設けられ、当該離し置き部に、第1建物ユニットの第1非居室部と第2建物ユニットの第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられている。これにより、第1非居室部及び第1居室部のスペースを狭くすることなく、通路の幅を十分に確保することが可能となる。また、離し置き部に、第1非居室部と第1居室部との往来を可能にする通路スペースが設けられることで、第1居室部と同様に、第1建物ユニットの第1非居室部と対向する位置に非通路部が設けられたとしても、通路の幅を十分に確保することが可能となる。
第3の態様に係るユニット住宅は、第1の態様に係るユニット住宅において、前記第1居室部は、前記第2非居室部又は壁部を間において、前記第1非居室部と反対側に設けられている。
第3の態様に係るユニット住宅では、第1建物ユニットと第2建物ユニットの間に離し置き部が設けられているため、第2建物ユニットにおいて、第2非居室部又は壁部を間において、第1建物ユニットの第1非居室部と反対側に第1居室部を設けても、当該第1居室部のスペースを狭くすることなく、通路の幅を十分に確保することが可能となる。
第4の態様に係るユニット住宅は、第2の態様に係るユニット住宅において、前記第1居室部は、前記非通路部を間において、前記第1非居室部と反対側に設けられている。
第4の態様に係るユニット住宅では、第1建物ユニットと第2建物ユニットの間に離し置き部が設けられているため、第2建物ユニットにおいて、非通路部を間において、第1建物ユニットの第1非居室部と反対側に第1居室部を設けても、当該第1居室部のスペースを狭くすることなく、通路の幅を十分に確保することが可能となる。
第5の態様に係るユニット住宅は、第1の態様又は第3の態様に係るユニット住宅において、前記第2非居室部は、前記第2建物ユニットの妻方向の全域に亘って設けられた階段部の一部である。
第2建物ユニットの妻方向の全域に亘って階段部が設けられた場合、当該階段部が設けられた第2建物ユニットの隣に配置された第1建物ユニットでは、階段部に対向して通路が設けられる。このため、第1建物ユニットにおいて、第1非居室部を設けようとすると、当該第1建物ユニットでは、妻方向に沿って第1非居室部及び通路が設けられることとなる。したがって、この通路の幅を十分に確保しようとすると、第1非居室部のスペースは狭くなってしまう。
一方、第1非居室部として、例えば、トイレ、浴室、洗面室等が挙げられるが、これらのスペースはできるだけ広い方がよい。このため、本態様では、第1非居室部が設けられた第1建物ユニットと階段部が設けられた第2建物ユニットの間に、離し置き部が設けられ、当該離し置き部に通路スペースが設けられることにより、第1非居室部のスペースを狭くすることなく、通路の幅を十分に確保することが可能となる。
第6の態様に係るユニット住宅は、第2の態様又は第4の態様に係るユニット住宅において、前記非通路部は、前記第2建物ユニットの妻方向の全域に亘って設けられた階段部の一部である。
第2建物ユニットの妻方向の全域に亘って階段部が設けられた場合、当該階段部が設けられた第2建物ユニットの隣に配置された第1建物ユニットでは、階段部に対向して通路が設けられる。このため、第1建物ユニットにおいて、第1非居室部を設けようとすると、当該第1建物ユニットでは、妻方向に沿って第1非居室部及び通路が設けられることとなり、当該通路の幅を十分に確保しようとすると、第1非居室部のスペースは狭くなってしまう。
一方、第5の態様に係るユニット住宅と同様、第1非居室部のスペースはできるだけ広い方がよい。このため、本態様では、第1非居室部が設けられた第1建物ユニットと階段部が設けられた第2建物ユニットの間に、離し置き部が設けられ、当該離し置き部に通路スペースが設けられることにより、第1非居室部のスペースを狭くすることなく、通路の幅を十分に確保することが可能となる。
第7の態様に係るユニット住宅は、第1の態様~第6の態様の何れか1の態様に係るユニット住宅において、前記第2建物ユニットを間において、前記第1建物ユニットと反対側に第2居室部を備えた第3建物ユニットが設けられている。
第7の態様に係るユニット住宅では、第2非居室部(又は壁部)及び第1居室部が設けられた第2建物ユニット、又は非通路部及び第1居室部が設けられた第2建物ユニットを間において、第1非居室部が設けられた第1建物ユニットと反対側に、第2居室部を備えた第3建物ユニットが設けられている。すなわち、第2非居室部(又は壁部)及び第1居室部、又は非通路部及び第1居室部を挟んで、第1非居室部と第2居室部とが設けられており、第1非居室部と第1居室部と第2居室部とを連続的に設けることができ、生活動線の効率化を図ることができる。
第8の態様に係るユニット住宅は、第7の態様の態様に係るユニット住宅において、前記第2建物ユニットの妻方向の全域に亘って設けられた階段部は、前記第3建物ユニット側に昇り口を有し、前記第1建物ユニット側には階段下収納部が設けられている。
第8の態様に係るユニット住宅では、第2建物ユニットに設けられた階段部は、第3建物ユニット側に昇り口を有し、第1建物ユニット側には階段下収納部が設けられている。このため、第1建物ユニットには、階段下収納部と対向して第1非居室部が設けられることとなる。
本態様では、階段部が設けられた第2建物ユニットと第1建物ユニットとの間には離し置き部が設けられ、当該離し置き部に通路スペースが設けられているため、階段下収納部のスペースを確保した上で、通路スペースを含む通路の幅を確保することができる。また、階段部は、第2居室部を備えた第3建物ユニット側に昇り口を有しており、第2居室部から直接階段部を経て上階へ移動することができ、生活動線の効率化をさらに図ることができる。
第9の態様に係るユニット住宅は、第1の態様~第8の態様の何れか1の態様に係るユニット住宅において、前記第1非居室部には、水回り設備が設けられている。
ここで、「水回り設備」として、トイレ、浴室、洗面室、キッチン等が挙げられるが、浴室はユニット化され、大きさが決まっている。このため、洗面室、トイレはこの大きさに合わせて奥行が設定される場合が多い。
本態様では、妻方向の略全域に亘って設けられた階段部に対向してこれらの水回り設備が設けられたとしても、階段部と当該水回り設備との間には、離し置き部が設けられるため、水回り設備のスペースを維持した状態で、通路の幅を十分確保することができる。換言すると、水回り設備であっても、階段部に対向して設けることが可能となり、設計の自由度が向上する。
第10の態様に係るユニット住宅は、第8の態様又は第9の態様に係るユニット住宅において、前記第1非居室部を開閉する開閉部材として蝶番を用いた回動ドアが、前記第2建物ユニットの妻方向の全域に亘って設けられた階段部と対向して設けられている。
「開閉部材」として、引き戸や蝶番を用いた回動ドアが挙げられるが、回動ドアの場合、当該回動ドアの回動軌跡分のスペースが通路側又は第1非居室部側に必要となる。前述のように、第1の態様又は第2の態様に係るユニット住宅では、第2非居室部(又は壁部)と第1非居室部との間、非通路部と第1非居室部との間に、設けられる通路の幅をそれぞれ十分に確保することができるため、回動ドアの回動軌跡分のスペースを通路側に設けることが可能となる。これにより、第10の態様に係るユニット住宅では、非居室部を開閉する開閉部材が回動ドアであっても、第2非居室部(又は壁部)、非通路部と対向して設けることがそれぞれ可能となる。
以上説明したように、本態様に係るユニット住宅は、居室部を狭くすることなく、居室部と非居室部との往来を可能にする通路の幅を確保することができる、という優れた効果を有する。
以下、図面を用いて、本発明に係るユニット住宅の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
(ユニット住宅の構成)
まず、第1の実施形態に係るユニット住宅の構成について説明する。
図1、図2には、本実施の形態に係るユニット住宅10の間取りを示す平面図がそれぞれ示されており、図1には、ユニット住宅10の1階部分12の間取りが示され、図2には、ユニット住宅10の2階部分14の間取りが示されている。
図1に示されるように、1階部分12は、略同じ大きさで形成された建物ユニット16、18、20が略平行に配置されている。建物ユニット(第2建物ユニット)18は、建物ユニット(第1建物ユニット)16の桁面(第1桁面)X1に対して、当該建物ユニット18の桁面(第2桁面)X2が、離し置きされた状態で配置されており、建物ユニット16と建物ユニット18の間には、当該建物ユニット16と建物ユニット18を繋ぐ離し置き部22が設けられている。また、建物ユニット(第3建物ユニット)20は、建物ユニット18の桁面X3に対して当該建物ユニット20の桁面X4が、離し置きされた状態で配置されており、建物ユニット18と建物ユニット20の間には、当該建物ユニット18と建物ユニット20を繋ぐ離し置き部24が設けられている。
ここで、建物ユニット16の桁面X5には外壁27が設けられており、外壁27の図面右側には玄関ドア26が設けられている。また、建物ユニット16の図面右側には、当該玄関ドア26を通じて玄関ホール(第1非居室部)28が設けられている。そして、建物ユニット16には、図面右側から順に、外壁27に沿って、玄関ホール28、洗面室(第1非居室部)30、浴室(第1非居室部)32が設けられている。
なお、本実施形態では、第1非居室部は、ハッチングAで示される領域となっている。また、ここでは、第1非居室部は、建物ユニット16の桁方向の全域に亘って設けられているが、必ずしも建物ユニット16の桁方向の全域に亘って設けられる必要はなく、建物ユニット16の桁方向の一部に第1非居室部が設けられてもよいのは勿論のことである。
当該玄関ホール28、洗面室30及び浴室32の大きさは、建物ユニット16の妻方向(短手方向)の寸法よりも若干小さくなっており、建物ユニット16の妻方向の一部には、玄関ホール28及び洗面室30に沿って、通路34の一部を構成する通路部(第1非居室部)34Aが設けられている。
一方、離し置き部24には、通路スペース34B(ハッチングBで示される領域)が設けられており、通路34の他部を構成している。つまり、当該通路スペース34B及び通路部34Aによって、通路34が構成されている。これにより、当該通路34の幅は、例えば、約1m確保することが可能となる。
また、通路34の奥側(図面左側)には、トイレ(第1非居室部)36が設けられている。このトイレ36及び通路34は、離し置き部22の妻方向の一部に跨った状態で設けられている。すなわち、離し置き部22の妻方向の略中央部には、壁部35が設けられており、当該壁部35によってトイレ36及び通路34が区画されている。また、壁部35には、開口部35A、35Bがそれぞれ形成されており、当該開口部35A、35Bには、後述するキッチン(第1居室部)42と繋がる開閉ドア37、及び後述する階段下収納部44の扉(壁部)44Aがそれぞれ設けられている。
一方、建物ユニット18には、図面右側から順に、階段部(第2非居室部、非通路部)38、収納部(第2非居室部、非通路部)40、キッチン42が設けられている。なお、収納部40のうち、第2非居室部、非通路部とされる領域は、ハッチングCで示される領域であり、キッチン42のうち、第1居室部とされる領域は、ハッチングDで示される領域である。なお、ここでは、ハッチングCで示される領域には、収納部40及び階段下収納部44が設けられているが、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、収納部40及び階段下収納部44に代えて、和室(非通路部)等が設けられてもよい。
また、階段部38は、建物ユニット18の妻方向の略全域に亘って設けられており、図2で示すように、平面視で略逆L字状を成している。当該階段部38は、建物ユニット20側に昇り口を有しており、階段部38における建物ユニット16側には、階段下収納部24が設けられている。そして、この階段下収納部24と対向して、建物ユニット16には玄関ホール28が設けられている。つまり、本実施形態における当該階段部38には、階段下収納部44が含まれるものとする。なお、階段下収納部44のうち、第2非居室部、非通路部とされる領域は、ハッチングCで示される領域である。
前述のように、離し置き部22の妻方向の一部には、通路スペース34Bが設けられており、離し置き部22の妻方向の他部には、階段下収納部44、収納部40及びキッチン42の一部が設けられ、これらは建物ユニット18に跨って形成されている。つまり、階段下収納部44、収納部40及びキッチン42は、建物ユニット18の桁面X2を含んで設けられている。そして、キッチン42は、通路34を挟んで、玄関ホール28、洗面室30及びトイレ36とそれぞれ繋がっている。
また、建物ユニット20には、図面右側にリビング(第2居室部)46が設けられており、リビング46の図面左側にはダイニング(第2居室部)48が設けられている。なお、リビング46、ダイニング48のうち、第2居室部とされる領域は、ハッチングEで示される領域である。また、前述のように、建物ユニット18と建物ユニット20の間には、離し置き部24が設けられているため、リビング46及びダイニング48は、当該離し置き部24に跨って設けられ、キッチン42を含めて連続する大空間50とされている。
図2に示されるように、2階部分14は、1階部分12と同じ建物ユニットで構成されており、建物ユニット60、62、64が略平行に配置されている。建物ユニット(第1建物ユニット)62は、建物ユニット(第2建物ユニット)60の桁面(第2桁面)X6に対して、当該建物ユニット62の桁面(第1桁面)X7が、離し置きされた状態で配置されており、建物ユニット60と建物ユニット62の間には、当該建物ユニット60と建物ユニット62を繋ぐ離し置き部66が設けられている。また、建物ユニット64は、建物ユニット62の桁面X8に対して当該建物ユニット64の桁面X9が、離し置きされた状態で配置されており、建物ユニット62と建物ユニット64の間には、当該建物ユニット62と建物ユニット64を繋ぐ離し置き部68が設けられている。
建物ユニット60には、桁方向(長手方向)の左右に子供部屋(第1居室部)70、72がそれぞれ設けられており、子供部屋70と子供部屋72とは連通可能とされている。勿論、区画されてもよい。また、建物ユニット60は、離し置き部66と連通されており、当該離し置き部66も含め、子供部屋70、72が広く形成されている。なお、子供部屋70、72のうち、第1居室部とされる領域は、ハッチングDで示される領域である。
ここで、当該離し置き部66には、桁方向の両側に収納部71、73がそれぞれ設けられており、桁方向の中央部には、通路スペース(ハッチングBで示される領域)74が設けられている。なお、ここでは、通路スペース74は、離し置き部66の妻方向の全域に亘って設けられており、当該通路スペース74のみによって通路が構成されている。
また、建物ユニット60側には、子供部屋70、72と収納部71、73をそれぞれ区画するための間仕切り壁(壁部)70A、72Aや子供部屋70、72と通路スペース74を区画するための間仕切り壁(壁部)70Bが設けられている。そして、当該通路スペース74には、子供部屋70の回動ドア76と子供部屋72のドア回動78とが対向して設けられている。回動ドア76、78は、収納部71、73との間で、回動軌跡分のスペースがそれぞれ確保されている。なお、前述のように、階段部38は平面視で略逆L字状を成しているため、階段部38は、2階部分14では、桁方向に沿って設けられている。
また、建物ユニット62には、図面右側に階段部(第1非居室部)38が設けられており、建物ユニット62の妻方向の一部には、図面右側から順に、当該階段部38、階段上通路(第1非居室部)80、トイレ(第1非居室部)82が設けられている。なお、第1非居室部は、ハッチングAで示される領域である。一方、階段上通路80は、通路スペース74と繋がっており、建物ユニット62の妻方向の他部には、階段部38を除いて、寝室84の一部が設けられている。
さらに、建物ユニット64には、妻方向の一部に、寝室84の他部及びウォークインクローゼット88の一部がそれぞれ設けられている。そして、前述のように、建物ユニット62と建物ユニット64の間には、離し置き部68が設けられており、当該離し置き部68を含んで寝室84及びウォークインクローゼット88が形成されている。そして、これにより、寝室84及びウォークインクローゼット88のスペースは、その分広く形成されている。なお、建物ユニット64には、妻方向の他部にバルコニー(いわゆるインナバルコニ)86が設けられている。
(ユニット住宅の作用及び効果)
次に、第1の実施形態に係るユニット住宅10の作用及び効果について説明する。
図1に示されるように、本実施の形態に係るユニット住宅10では、建物ユニット16において、桁方向に沿って第1非居室部としての玄関ホール28、洗面室30、浴室32が設けられている。この建物ユニット16と対向する建物ユニット18には、建物ユニット16の桁面X1と対向する桁面X2を含んで、第2非居室部、非通路部としての階段下収納部44、収納部40、及び第1居室部としてのキッチン42が設けられている。
また、建物ユニット16と建物ユニット18の間には、離し置き部22が設けられており、当該建物ユニット16と当該建物ユニット18を繋いでいる。ここで、当該離し置き部22には、通路スペース34Bが設けられており、建物ユニット16に設けられた通路部34Aと共に通路34を構成している。そして、当該通路34を介して、キッチン42と玄関ホール28、洗面室30(浴室32を含む)及びトイレ36とがそれぞれ繋がっている。
ここで、本実施形態では、キッチン42と玄関ホール28、洗面室30及びトイレ36の間には、通路34が必要となる。いわゆる、狭小住宅の場合、通常の広さを有する住宅と比較して延べ床面積が狭くなるため、当該通路34を十分に確保しようとすると、その分、キッチン42や玄関ホール28、洗面室30のスペースは狭くなってしまう。
しかし、本実施形態では、建物ユニット16と建物ユニット18の間に離し置き部22が設けられ、当該離し置き部22に、玄関ホール28、洗面室30とキッチン42との往来を可能にする通路スペース34B(ハッチングBで示される領域)が設けられている。
これにより、キッチン42や玄関ホール28、洗面室30のスペースを狭くすることなく、通路スペース34Bを含んで構成された通路34の幅を十分に確保することが可能となる。また、離し置き部22に、キッチン42と玄関ホール28、洗面室30との往来を可能にする通路スペース34Bが設けられることで、建物ユニット16の玄関ホール28と対向する位置に階段下収納部44の扉(壁部)44Aや壁部35が設けられたとしても、通路34の幅を十分(例えば、メータモジュールの住宅であれば、壁部の中心同士で約1m、通路の実寸で約90cm、尺モジュールの住宅であれば、壁部の中心同士で約90cm、通路の実寸で約80cm)に確保することが可能となる。
また、本実施形態では、建物ユニット18の妻方向の全域に亘って階段部38が設けられている。階段部38が設けられた建物ユニット18の隣に配置された建物ユニット16では、階段部38(厳密にいうと、階段部38の一部を構成する階段下収納部24)に対向して通路34が設けられている。
このため、建物ユニット16では、妻方向に沿って通路34と玄関ホール28や洗面室30が設けられることとなる。したがって、この通路34の幅を十分に確保しようとすると、玄関ホール28や洗面室30のスペースは狭くなってしまう。一方、浴室32はユニット化され、大きさが決まっており、洗面室30、トイレ36はこの大きさに合わせて奥行が設定される場合が多い。本実施形態では、玄関ホール28や洗面室30が設けられた建物ユニット16と階段部38が設けられた建物ユニット18の間に、離し置き部22が設けられ、当該離し置き部22に通路スペース34Bが設けられることにより、玄関ホール28や洗面室30のスペースを狭くすることなく、通路34の幅を十分に確保することが可能となる。
また、本実施形態では、収納部40や階段下収納部44及びキッチン42が設けられた建物ユニット18を間において、玄関ホール28やトイレ36、洗面室30(浴室32を含む)が設けられた建物ユニット16と反対側に、リビング46、ダイニング48等を備えた建物ユニット20が設けられている。すなわち、収納部40や階段下収納部44及びキッチン42を間に置いて、玄関ホール28やトイレ36等とリビング46、ダイニング48とが設けられており、玄関ホール28やトイレ36等とキッチン42とリビング46、ダイニング48とを連続的に設けることができる。これにより、生活動線の効率化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、建物ユニット18に設けられた階段部38は、建物ユニット20側に昇り口を有し、建物ユニット16側には階段下収納部24が設けられている。このため、建物ユニット16には、階段下収納部24と対向して玄関ホール28が設けられることとなる。
ここで、本実施形態では、階段部38が設けられた建物ユニット18と建物ユニット16との間には離し置き部22が設けられ、当該離し置き部22に通路スペース34Bが設けられている。したがって、本実施形態では、階段下収納部44のスペースを確保した上で、通路スペース34Bを含む通路34の幅を確保することができる。また、本実施形態では、階段部38は、リビング46側に昇り口を有しているため、当該リビング46から階段部38を経て、上階の子供部屋70、72や寝室84へ移動することができ、生活動線の効率化をさらに図ることができる。
なお、本実施形態では、建物ユニット18に設けられた階段部38において、建物ユニット20側に昇り口を有し、建物ユニット16側には階段下収納部24が設けられているが、図示はしないが、建物ユニット16側に昇り口を有し、建物ユニット20側に階段下収納部24が設けられてもよいのは勿論のことである。
また、本実施形態では、建物ユニット16の桁方向に沿って洗面室30、浴室32等の水回り設備が設けられている。前述のように、浴室32ついてはユニット化され、大きさが決まっている。このため、本実施形態では、妻方向の略全域に亘って設けられた階段部38に対向して浴室32等の水回り設備が設けられたとしても、階段部38と当該水回り設備との間には、離し置き部22が設けられるので、水回り設備のスペースを維持した状態で、通路34の幅を十分確保することができる。換言すると、本実施形態では、水回り設備であっても、階段部38に対向して設けることが可能となり、設計の自由度が向上する。
<第2実施形態>
(ユニット住宅の構成)
一方、第2の実施形態に係るユニット住宅の構成について説明する。
図3、図4には、本実施の形態に係るユニット住宅100の間取りを示す平面図がそれぞれ示されており、図3には、ユニット住宅100の1階部分102の間取りが示され、図4には、ユニット住宅100の2階部分104の間取りが示されている。基本的な構成は、図1及び図2に示すユニット住宅10と同じであるため、以下簡単に説明する。
図3に示されるように、ユニット住宅100の1階部分102は、略同じ大きさで形成された建物ユニット(第1建物ユニット)106、建物ユニット(第2建物ユニット)108及び建物ユニット110と、妻方向の寸法が建物ユニット16の半分の大きさに設定されたハーフユニット(第3建物ユニット)112と、を含んで構成されている。
建物ユニット106、108、ハーフユニット112及び建物ユニット110は、略平行に配置されている。建物ユニット108は、建物ユニット106の桁面(第1桁面)X10に対して、当該建物ユニット108の桁面(第2桁面)X11が、離し置きされた状態で配置されており、建物ユニット106と建物ユニット108の間には、当該建物ユニット106と建物ユニット108を繋ぐ離し置き部114が設けられている。また、ハーフユニット112は、建物ユニット108の桁面X12に対して当該ハーフユニット112の桁面X13が、離し置きされた状態で配置されており、建物ユニット108とハーフユニット112の間には、当該建物ユニット108とハーフユニット112を繋ぐ離し置き部116が設けられている。なお、建物ユニット110は、ハーフユニット112に対して略隣接された状態で配置されている。
当該建物ユニット106には、桁方向に延在する外壁115に沿って図面右側から順に、トイレ(第1非居室部)118、洗面室(第1非居室部)120、浴室(第1非居室部)122が設けられており、建物ユニット106の妻方向の一部には、トイレ118及び洗面室120に沿って、通路124の一部を構成する通路部(第1非居室部)124Aが設けられている。なお、第1非居室部は、ハッチングAで示される領域となっている。
一方、離し置き部112には、通路スペース124B(ハッチングBで示される領域)が設けられており、通路124の他部を構成している。つまり、当該通路スペース124B及び通路部124Aによって、通路124が構成されている。
また、建物ユニット108には、図面右側から順に階段部(第2非居室部、非通路部)126、収納部(第2非居室部、非通路部)127と、キッチン(第1居室部)128及びダイニング130の一部(第1居室部)が設けられている。なお、キッチン128及びダイニング130のうち、第1居室部とされる領域は、ハッチングDで示される領域である。
ここで、当該階段部126は、建物ユニット108の妻方向の略全域に亘って設けられており、建物ユニット108の建物ユニット106側には、当該建物ユニット108の桁面X11を含んで間仕切り壁(壁部)131が設けられている。また、階段部126において、建物ユニット106側の下部には、階段下収納部(第2非居室部、非通路部)129が設けられており、間仕切り壁131には、階段下収納部129の扉(壁部)129Aが設けられている。そして、本実施形態では、当該扉129Aに対向してトイレ118が設けられている。
また、ハーフユニット112及び建物ユニット110には、互いに繋がる空間が形成されており、ハーフユニット112及び建物ユニット110の図面右側には、玄関ホール132が設けられている。また、ハーフユニット112及び建物ユニット110の図面左側には、ダイニング130の他部(第2居室部)及びリビング(第2居室部)134が設けられている。
さらに、建物ユニット108とハーフユニット112の間には、離し置き部116が設けられており、離し置き部116の図面右側には、階段部126と繋がる通路136が設けられている。この通路136を挟んで、階段部126と反対側には玄関ホール132が設けられているが、離し置き部116を設けることで、玄関ホール132及び通路136の幅を十分に確保することができる。
一方、図4に示されるように、2階部分104は、1階部分102と同じ建物ユニットで構成されており、建物ユニット140、142、144と、ハーフユニット146と、を含んで構成されている。そして、建物ユニット140と建物ユニット142の間には離し置き部148が設けられており、建物ユニット142とハーフユニット146の間には離し置き部150が設けられている。
建物ユニット140には、図面左側に寝室152の一部が設けられており、図面右側には、階段部126と繋がる通路154と寝室152と繋がるウォークインクローゼット156が妻方向に沿って設けられている。また、建物ユニット142は、図面右側に階段部126が設けられており、図面左側には、通路154を挟んで、建物ユニット140と繋がる寝室152の他部とトイレ158が設けられている。つまり、ここでの通路154はクランク状に設けられている。
さらに、ハーフユニット146及び建物ユニット144は、互いに繋がる空間が形成されており、子供部屋160が設けられている。なお、この子供部屋160はハーフユニット146及び建物ユニット144の桁方向に沿って繋がって形成されているが、桁方向の左右で区画されるように形成されてもよい。また、建物ユニット144は、妻方向の略半分にインナバルコニ162が設けられている。
(ユニット住宅の作用及び効果)
次に、第2の実施形態に係るユニット住宅の作用及び効果について説明する。
まず、比較例として、図5に示されるように、階段部200が設けられた建物ユニット202の隣の建物ユニット204では、階段部200に対向する位置に、非居室部としてトイレ206が設けられている。
このトイレ206の開閉部材として、蝶番を用いた回動ドア210を用い、かつ当該回動ドア210の回動軌跡分のスペースが通路208側になるようにした場合、回動ドア210が階段部200(厳密にいうと、階段下収納部212)と干渉し、回動ドア210を全開させることができない。このため、このトイレ206では、図示はしないが、回動ドア210の回動軌跡が当該トイレ206側となるようにするか、引き戸にするかの選択になってしまう。
これに対して、図3に示される本実施形態では、建物ユニット106と建物ユニット108の間に、当該建物ユニット106及び建物ユニット108と繋がる離し置き部114が設けられており、これにより、階段部126とトイレ118の間に設けられる通路124の幅を十分(例えば、約1m)に確保することができる。
このため、トイレ118の開閉部材として、蝶番を用いた回動ドア118Aの回動軌跡分のスペースを通路124側に設けることが可能となる。このように、本実施形態では、建物ユニット106と建物ユニット108の間に広い幅の通路124を確保することで、当該階段部126とトイレ118とを対向して設けることが可能となる。つまり、本実施形態によれば、設計の自由度が向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。