JP2011121785A - 活性炭化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】毎年、大量に発生する鶏の羽根の有効利用の道を開くものであり、高い比表面積を持ち、かつ2〜50nmの細孔であるメソ孔主体の細孔分布を有する活性炭化物であって、脱臭、浄化、ガス分離などに好適な気相吸着材として、また、排水処理や浄水処理などに好適な液相吸着材として、酵素・微生物の固定化用担体として、さらには大電流大容量の蓄電デバイス材料として好適な活性炭化物を提供する。
【解決手段】平均径が50〜2000μmである鶏の羽根の粉砕物にアルカリ溶液を含浸し、不活性ガスの雰囲気下で700〜850℃の温度で賦活炭化処理することにより得られる活性炭化物であって、比表面積が2300〜3200m2/g、幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gであり、平均細孔径が1〜3nmであることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】平均径が50〜2000μmである鶏の羽根の粉砕物にアルカリ溶液を含浸し、不活性ガスの雰囲気下で700〜850℃の温度で賦活炭化処理することにより得られる活性炭化物であって、比表面積が2300〜3200m2/g、幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gであり、平均細孔径が1〜3nmであることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、毎年、大量に発生する鶏の羽根の有効利用の道を開くものであり、高い比表面積を持ち、かつメソ孔主体の細孔分布を有する活性炭化物であって、脱臭、浄化、ガス分離などに好適な気相吸着材として、また、排水処理や浄水処理などに好適な液相吸着材として、さらには大電流大容量の電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ用の炭素材料として好適な活性炭化物に関する。
従来より、活性炭は、ヤシ殻、木材チップ、木炭、草炭(ピート)、石炭(亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等)などを主原料とし、これを炭化処理、賦活化処理等を施すことにより製造されている。活性炭は、液相においては、高度浄水処理、トリハロメタン除去、カビ臭/フミン質の除去、下水の浄化、地下水の浄化或いは浄水器といった用途に使用されている。気相においては、工場排ガスの浄化、水銀の除去、ゴミ焼却ガスの除去、燃焼ガス中の硫黄酸化物、窒素酸化物の除去といった用途に使用され、その他、溶剤回収、プロセスガス回収、炭化水素中の水銀の除去、医薬品、食品の脱色、精製、化学品、ガスの分離、触媒、触媒担体、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタ用の炭素材料といった幅広い用途に多用されている。
そして近年では、これらの活性炭に特性を付与した製品の開発が進み、活性炭の利用価値を高め、その応用範囲を広げている。活性炭の新たな用途として、VOC/揮発性有機物の除去、ダイオキシン類の除去、環境ホルモンの除去、地下汚染物質の除去などにも使われ始められている。
このように広範な用途に使用される活性炭は、その用途により要求される性能、そのレベルも様々である。例えば吸着を目的とする場合、細孔径が揃い、かつ500〜3000m2/gの高い比表面積を持つ活性炭が望まれる。特に電気エネルギー貯蔵デバイスとしての電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタとして用いる場合には、電解質イオンを表面吸脱着により充放電するため、化学的および電気化学的に不活性であることに加え、1300m2/gを超える高い比表面積を持ち、かつ電気エネルギー貯蔵に大きく寄与するメソ孔容積が高い細孔分布を有する活性炭が求められる(特許文献1、非特許文献1及び2参照)。
活性炭は、主原料によって、また、炭化処理や賦活処理の条件によってその性状が大きく異なってくる。従来、様々な原料を用いた活性炭が提案されている。特におからを原料とする高比表面積を有する活性炭(特許文献2参照)や、可燃性廃棄物原料とする活性炭(特許文献3参照)、フスマ、コーヒー粕を原料とする活性炭(非特許文献3参照)は、廃棄物の再利用の道を提案するものとして注目される。
このような先例に鑑み、本発明者は同じくその多くが廃棄処分される鶏の羽根を活性炭化物の原料として着目した。鶏肉は、毎年100万トンを超える国内生産量を計上しており、これに伴って鶏の羽根も、毎年大量に発生する。その羽根の多くは再利用されることなく、焼却や埋却などの方法によって処分されている。しかし、鶏肉の生産に伴い発生する鶏の羽根の量は大量であるが故にその処分にも多くの手間と費用を必要とし、このため、鶏肉の生産に伴い発生する鶏の羽根の有効利用が強く望まれているのである。
本発明者は、鶏の羽根を活性炭化物の原料として着目し、該鶏の羽根を主原料とする活性炭化物につき、鋭意研究を重ねた結果、鶏の羽根を主原料とする活性炭化物が、高い比表面積を持ち、かつ2〜50nmの細孔であるメソ孔主体の細孔分布を有する活性炭であることを発見し、本発明を完成させるに至ったのである。
「電気二重層コンデンサの電極で使用される高性能活性炭」 独立行政法人科学技術振興機構発行 JST中国文献ディレクトリシステム Vol.22No.4Page355-360 2007年発行 JST資料番号W1529A
Technical Note 「もみ殻由来の安全・高機能な活性炭の用途探求のための情報交換の提案」 http://www.nedo.go.jp/itd/teian/info/200828/index.html 独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構 秋田大学 システム科学技術学部
「炭酸カリウムを用いた薬品賦活法による食品廃棄物を原料とした活性炭の製 造」 関西大学工学部化学工学科 2000年10月31日受理 林順一 他
本発明は、毎年、大量に発生する鶏の羽根の有効利用の道を開くものであり、高い比表面積を持ち、かつ2〜50nmの細孔であるメソ孔主体の細孔分布を有する活性炭化物であって、脱臭、浄化、ガス分離などに好適な気相吸着材として、また、排水処理や浄水処理などに好適な液相吸着材として、さらには大電流大容量の電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイス材料として好適な活性炭化物を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明は、平均径が50〜2000μmである鶏の羽根の粉砕物にアルカリ溶液を含浸し、不活性ガスの雰囲気下で700〜850℃の温度で賦活炭化処理することにより得られる活性炭化物であって、
比表面積が2300〜3200m2/g、幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gであり、平均細孔径が1〜3nmであることを特徴とする活性炭化物をその要旨とした。
比表面積が2300〜3200m2/g、幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gであり、平均細孔径が1〜3nmであることを特徴とする活性炭化物をその要旨とした。
本発明の活性炭化物にあっては、比表面積が2300〜3200m2/gであり、かつ平均細孔径が1〜3nmであることから、優れた吸着性能を有しており、しかも物理的吸着や電気エネルギー貯蔵に大きく寄与する幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gのメソ孔主体の細孔分布を有することから、吸着用活性炭や細胞・微生物固定化用担体として、またリチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタなどの蓄電デバイスとして極めて有用である。
また、本発明の活性炭化物にあっては、鶏の羽根の粉砕物を賦活炭化処理することにより得られるものであることから、鶏肉の生産に伴い大量に発生する鶏の羽根の有効利用の道を開くものであり、鶏の羽根の処分に要していた多くの手間と費用を削減することができる。
以下、図1〜図10に従って、本発明の活性炭化物を更に詳しく説明する。本発明の活性炭化物は、鶏の羽根由来のものである。主原料として使用する鶏の羽根は、「ブロイラー」「銘柄鶏」「地鶏」「水鳥」のいずれのものでもよいが、生産される鶏肉のうち、ブロイラーが大部分を占め、安定的、かつ高品質のものが入手し易い点からブロイラーの羽根が好ましい。
主原料として使用する鶏の羽根は、従来公知のハンマーミルやせん断式のカッターミルなどの粉砕機によって平均径が50〜2000μmとなるように粉砕する。粉砕物の平均径が50μmを下回る場合、鶏の羽根が持つ中空でナノレベルの微細孔構造が破壊されてしまい、アルカリ賦活処理及び炭化処理を経て得られる鶏の羽根の活性炭化物について、高い比表面積、望ましい細孔分布を得ることができなくなり、粉砕物の平均径が2000μmを上回る場合については、アルカリ水溶液の浸透性が低下すると共に、高い比表面積、望ましい細孔分布を有する得られる活性炭化物を得ることができなくなるからである。粉砕物の形状としては、特に限定されないが、好ましくは粒状、粉状、ペレット状、チップ状、小片状、多孔質状或いは繊維状にすることが望ましい。
活性炭化物の性質は、上記粉砕物の平均径の他に賦活炭化処理の方法、条件によって大きく左右される。賦活処理は、粉砕した鶏の羽根の粉砕物にアルカリ溶液を含浸することで行われる。
粉砕物に含浸するアルカリ溶液としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物或いは酸化物を主体とするものが好ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物或いは酸化物としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。中でも炭酸カリウムは、従来より賦活剤として多用されている水酸化カリウムに比べて使用量が少なく、しかも再利用が可能というメリットがあり好ましい。
粉砕物へのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物或いは酸化物の含有量としては、粉砕物1gに対して固体重量で0.5〜2.0gの範囲が望ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物或いは酸化物の含有量を上記範囲内とすることで、アルカリと粉砕物中の蛋白質との反応が効果的に進行することになる。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物或いは酸化物の含有量が上記範囲外の場合、前述の高比表面積、平均細孔径及びメソ孔主体の細孔分布を有する活性炭化物を得ることができなくなる恐れがある。
アルカリ溶液が含浸された粉砕物は、加熱時の突沸を防止すると共に、賦活処理における賦活の効率を高めるため、予め常温から100℃以上(好ましくは120℃程度)まで昇温して余分な水分の除去がなされる。
乾燥後の粉砕物は、図1及び2に示すように、活性炭が燃えることがないように不活性ガス雰囲気下で賦活炭化処理される。不活性ガスとしては、入手容易性及び取り扱い性の点から窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどのガスが好適に使用できる。
賦活炭化処理に用いる炉としては、バッチ式や連続式など、特に方式や種類は限定されないが、ロータリーキルン炉、トンネル炉、固定層炉、流動層炉などを用いることができる。図2に示す炉1は、バッチ式のトンネル炉であり、該炉1低面にアルカリ溶液が含浸された粉砕物2が投入されるアルミナ製の受け皿3が配置され(図3参照)、炉1の一方端から不活性ガス4が吹き込まれ、他方端にガス抜きされて不活性ガスの雰囲気が形成され、炉1上面に配されたヒーター5によって前記受け皿3内の粉砕物2が加熱され、賦活炭化処理がなされる(図4参照)ようにしたものである。
炉内温度は、700〜850℃とする。好ましくは750〜850℃、最適には800℃である。炉内温度が700℃を下回る場合、十分な細孔形成ができず、高比表面積、メソ孔主体の細孔分布を有する活性炭を得ることができなくなる。一方、加熱温度が850℃を上回る場合には、高比表面積、メソ孔主体の細孔分布が確保できなくなるばかりか、得られる活性炭化物の収率も低下するからである。
炉の昇温速度としては、1〜20℃/分とすることが好ましい。昇温速度が1℃/分を下回る場合、エネルギーコストが過大となるため、作業効率が悪くなる。一方、昇温速度が20℃/分を上回る場合には、突沸を生じる恐れがあり、尚かつヒーターなどの加熱装置を大型なものにする必要が生じることになるからである。
熱処理時間としては、上記700〜850℃の加熱温度に到達後、30〜90分間保持するのが賦活炭化処理温度における加熱量の均一化という点で望ましく、最適な保持時間としては60分である。保持時間が30分未満の場合、高い比表面積を得ることが出来ず、90分を超えると収率が低下する恐れがあり、エネルギー損失も大きくなる。
熱処理により製造された活性炭化物は、図1に示すように分離処理が施される。分離処理は、活性炭化物中の水分の除去とアルカリの除去を行う処理である。図示の例では、炭酸カリウムを賦活剤として用いており、この処理によって分離された炭酸カリウムは、さらなる賦活処理に再利用される。
分離処理された活性炭化物は、図1に示すように、酸及び水で洗浄され、その後、粉砕される。洗浄に使用する酸には、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、フッ酸、炭酸などの無機酸、蟻酸、酢酸などの有機酸を用いることができる。これらの酸は、上水、濾過水、イオン交換水、蒸留水などの水に添加され、水溶液の形態で洗浄に供される。酸濃度としては特に限定されないが、好ましくは1〜30重量%である。尚、水溶液は常温でもよいが、洗浄力を高めるため温水としてもよい。
上記の如くして得られる本発明の活性炭化物は、その比表面積が窒素ガス吸着BET法による測定で2300〜3200m2/gであり、かつ平均細孔径が1〜3nmであることが確認された。本発明の活性炭化物は、市販の活性炭の比表面積が500〜1700m2/gであるのに対し、2300〜3200m2/gの高い比表面積を持ち、しかも細孔径が揃っており、特に小分子物質の吸着に優れる。
また活性炭の細孔は、2nm以下のミクロ孔、2〜50nmのメソ孔、50nm以上のマイクロ孔の3種類に大別されるところ、本発明の活性炭化物にあっては、幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gとなっている。メソ孔は物理吸着において最も効率的な吸着性能を発揮するのであるが、本発明の活性炭化物は、そのメソ孔容積が1〜2ml/gのメソ孔主体の細孔分布を有することから、活性炭粉末でありながら、活性炭素繊維と同等若しくはそれ以上の高性能な活性炭であるため、高度水処理に適し、しかもVOC/揮発性有機物、ダイオキシン類、環境ホルモン、地下汚染物質などの物質を少量でしかも短時間に吸着除去できる特徴があり、従って、付加価値の高い医薬品や食品などの用途に利用が期待できる。
本発明の活性炭化物は、板状、筒状、棒状など、該活性炭化物の用途や使用形態に応じて任意の形状に加工することができる。
本発明の活性炭化物は、バイオリアクターを構成する酵素や微生物の固定化用担体としても極めて有用である。発酵食品、酒類、酢、アミノ酸などの発酵を用いた食品や抗生物質などの医薬品の製造には、基質に対して特定の反応を行わせる生体触媒(酵素や微生物)が利用されている。しかし、これら生体触媒(酵素や微生物)の触媒作用を直接利用する場合、菌体や細胞そのものは、余りに小さすぎるため、ハンドリングが困難であることから、担体に固定化することで安定化させて利用されている。
本発明の活性炭化物を用いた固定化用担体は、該本発明の活性炭化物が炭素質であるため、酵素や微生物との親和性が高く、またその微細な細孔構造により高い吸着力を有しているので酵素や微生物の固定力が高く、その分、酵素や微生物の固定化量が大きく、高い触媒能を有する反応器(バイオリアクター)を得ることができる。特に本発明の活性炭化物の場合、2〜50nmのメソ孔主体の細孔分布を有していることから、例えばL-アミノ酸を生産するアミノアシラーゼ、異性化糖を生産するグルコースイソメラーゼ、低乳糖ミルクを生産するラクターゼ、カカオバター様油脂を生産するリパーゼ、ラガービールを生産するビール酵母、脂肪酸を生産するリパーゼ、ワインや日本酒を生産する酵母、酢酸を生産する酢酸菌など、触媒能の高い酵素を確実に固定することができるというメリットがある。
本発明の活性炭化物を用いた固定化用担体の形態としては、該固定化用担体に固定化された酵素や微生物と基質との接触面積が大きくなるように、多孔質な構造を持つものが望ましく、例えば粒状に成形した本発明の活性炭化物をバインダーを介して板状、粒状に成形したものなどを挙げることができる。
本発明の活性炭化物からなる担体に酵素や微生物を固定化する方法としては、溶液中に酵素や微生物を加えておき、該溶液を担体に通過させるという方法で行うことができる。
また本発明の活性炭化物は、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイスとしても極めて有用である。例えば電気二重層キャパシタ用の電極は、四弗化エチレン樹脂(PTFE)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)をバインダーとして用い、これに導電助剤(例えばアセチレンブラック(AB))及び本発明の活性炭化物を加えて、水を溶媒として混練し、スラリーを作製する。スラリーの組成として、活性炭/AB/PTFE/CMC=100/10/5/4とする。次いで、このスラリーをアルミエッチング箔に塗布し、これを乾燥し、プレスすることで、得ることができる。尚、バインダーや導電助剤の種類、各組成の割合は任意であり、該電気二重層キャパシタの用途や使用形態、求められる性能に応じて適宜変更することができる。
リチウムイオンキャパシタ用の電極としては、本発明の活性炭化物をそのまま正極とし、これにリチウムイオンをドープしたカーボンからなる負極とした非対称電極構造を有するものを挙げることができる。この活性炭化物を正極とした場合、LiCoO2を利用した従来の高性能な電極に比べて、電極性能はほぼ同程度であるものの、大幅なコスト低減となり、今後の利用が期待できる。
実施例1
ブロイラーの羽根を用い、これを平均径が100〜500μmとなるように粉砕する。粉砕物の形状は粒状とした。次いで、得られた粉砕物を炭酸カリウムを主体とするアルカリ水溶液中に浸積し、粉砕物における炭酸カリウムの含有量が固形重量で該粉砕物1gに対し0.5gとなるように含浸させる。次いで、アルカリ水溶液が含浸された粉砕物を10分間で常温から120℃まで昇温し、30分間保持し、該粉砕物を乾燥させると共に熱処理時の突沸を防止する。乾燥後、粉砕物を炉内に配置する。図2に示す炉1は、バッチ式のトンネル炉であり、該炉1低面に配置されるアルミナ製の受け皿3内に粉砕物2を投入するのである(図3参照)。
ブロイラーの羽根を用い、これを平均径が100〜500μmとなるように粉砕する。粉砕物の形状は粒状とした。次いで、得られた粉砕物を炭酸カリウムを主体とするアルカリ水溶液中に浸積し、粉砕物における炭酸カリウムの含有量が固形重量で該粉砕物1gに対し0.5gとなるように含浸させる。次いで、アルカリ水溶液が含浸された粉砕物を10分間で常温から120℃まで昇温し、30分間保持し、該粉砕物を乾燥させると共に熱処理時の突沸を防止する。乾燥後、粉砕物を炉内に配置する。図2に示す炉1は、バッチ式のトンネル炉であり、該炉1低面に配置されるアルミナ製の受け皿3内に粉砕物2を投入するのである(図3参照)。
次いで、炉1の一方端から窒素ガスからなる不活性ガス4を流入させ、他方端から流出させるようにして炉1内に窒素ガス雰囲気を形成し、この状態で炉1上面に配されたヒーター5によって前記受け皿3内の粉砕物2を熱処理し、賦活炭化処理を行う。
熱処理は、窒素ガス雰囲気下、100分間で120℃から800℃の温度まで、6.8℃/分の昇温速度で昇温することで該粉砕物2を炭化し、その後、800℃で60分間保持し、賦活処理を行った。処理後の活性炭化物を図4に示す。
次いで、処理後の活性炭化物を冷却し、100℃以下となったところで、該活性炭化物を炉内から取り出し、これを活性炭化物の20倍容量のイオン交換水からなる温水に溶解させる。次いで、活性炭化物の水溶液をろ過し、アルカリ(炭酸カリウム)を70%回収する。その後、酸濃度が1mol/lの塩酸温水溶液で活性炭化物を中和・洗浄し、次いで、乾燥機で乾燥し、さらに粉砕機で粉砕することで、活性炭化物を得た。
得られた活性炭化物について、窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図5に示した。
実施例2
粉砕物における炭酸カリウムの含有量が固形重量で該粉砕物1gに対し0.5gとなるように含浸させた以外は実施例1と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図6に示した。
粉砕物における炭酸カリウムの含有量が固形重量で該粉砕物1gに対し0.5gとなるように含浸させた以外は実施例1と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図6に示した。
比較例1
平均径が100〜500μmとなるように粉砕したパルプ繊維を用い、該粉砕物に水酸化カリウムをその含有量が固形重量で該粉砕物1gに対し1gとなるように含浸させ、賦活温度を750℃とした以外は実施例1と同様にして活性炭化物を得た。活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図7に示した。
平均径が100〜500μmとなるように粉砕したパルプ繊維を用い、該粉砕物に水酸化カリウムをその含有量が固形重量で該粉砕物1gに対し1gとなるように含浸させ、賦活温度を750℃とした以外は実施例1と同様にして活性炭化物を得た。活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図7に示した。
比較例2
賦活温度を800℃とした以外は実施例1と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図8に示した。
賦活温度を800℃とした以外は実施例1と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図8に示した。
比較例3
水酸化カリウムを粉砕物1gに対し1gとなるように含浸させた後、一昼夜おくと共に、賦活温度を800℃とした以外は比較例1と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図9に示した。
水酸化カリウムを粉砕物1gに対し1gとなるように含浸させた後、一昼夜おくと共に、賦活温度を800℃とした以外は比較例1と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図9に示した。
比較例4
米ぬかを原料として用いた以外は比較例2と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図10に示した。
米ぬかを原料として用いた以外は比較例2と同様にして活性炭化物を得た。得られた活性炭化物について、実施例1と同様にして窒素ガス吸着BET法により、比表面積(m2/g)、全細孔容積(ml/g)及び平均細孔径(nm)を測定し、その細孔分布(積算細孔容積分布a及びLog微分細孔容積分布b)を図10に示した。
実施例1及び2並びに比較例1−4に係る活性炭化物を対比したとき、実施例1に係る活性炭化物の比表面積は2800m2/g、全細孔容積は1.7ml/g及び平均細孔径は2.4nmとなっており、実施例2に係る活性炭化物の比表面積は2850m2/g、全細孔容積は1.6ml/g及び平均細孔径は2.4nmとなっている。これらの結果、並びに図5及び図6に示す細孔分布から、実施例1及び2に係る活性炭化物が、比表面積が非常に高く、細孔径が揃っており、しかも平均細孔径が2.4nmのメソ孔であり、物理的吸着や電気エネルギー貯蔵に大きく寄与するメソ孔主体の細孔分布を有していることが確認された。
これに対し、比較例1に係る活性炭化物の比表面積は670m2/g、全細孔容積は0.31ml/g及び平均細孔径は1.9nmとなっており、その細孔分布は、図7に示すように、マクロ孔やメソ孔にそれぞれいくつかのピークがあり細孔が揃っていないことが解る。これらの結果から比表面積が低く、吸着性能に乏しいことが確認された。
比較例2〜4に係る活性炭化物の比表面積は1320〜1370m2/g、全細孔容積は0.56〜0.62ml/g及び平均細孔径は1.7〜1.8nmとなっており、その細孔分布は、図8〜図10に示すように、マクロ孔やメソ孔にそれぞれいくつかのピークがあり細孔が揃っていないことが解る。これらの結果から比表面積が低く、吸着性能に乏しいことが確認された。
吸着性能の評価
次に、上記実施例1に係る活性炭化物について、その吸着性能を評価した。吸着性能は、実施例1に係る活性炭化物30mgを試験管に入れ、これに水1リットルにメチレンブルー1.2gを加えたメチレンブルー水溶液を振とうしつつ適量ずつ添加していき、添加後に脱色しなくなった時点を終点として、それまでに添加したメチレンブルー水溶液量から活性炭化物1g当たりのメチレンブルー吸着量(mg/g)を算出するのである。その結果を表1に示した。
次に、上記実施例1に係る活性炭化物について、その吸着性能を評価した。吸着性能は、実施例1に係る活性炭化物30mgを試験管に入れ、これに水1リットルにメチレンブルー1.2gを加えたメチレンブルー水溶液を振とうしつつ適量ずつ添加していき、添加後に脱色しなくなった時点を終点として、それまでに添加したメチレンブルー水溶液量から活性炭化物1g当たりのメチレンブルー吸着量(mg/g)を算出するのである。その結果を表1に示した。
市販の活性炭(比較例5〜7)用い、実施例1と同様にしてメチレンブルー吸着性能を評価し、これを表1に示した。尚、比較例5に係る活性炭には、比表面積が2000m2/gの活性炭素繊維を用い、比較例6に係る活性炭には、比表面積が1500m2/gの活性炭を用い、比較例7に係る活性炭には比表面積が807m2/g椰子殻活性炭を用いた。
表1から明らかなように、市販の比較例6及び7に係る活性炭の吸着性能が180mg/g或いは100mg/gであり、比表面積が2000m2/gの高性能活性炭である比較例5については400mg/gであるのに対し、実施例1に係る活性炭化物の吸着性能は580mg/gとなっており、優れた吸着性能を有していることが確認された。
本発明の活性炭化物にあっては、上述のとおり比表面積が非常に高く、しかも平均細孔径が2.4nmのメソ孔であり、しかもその細孔径が揃っており、物理的吸着や電気エネルギー貯蔵に大きく寄与するメソ孔主体の細孔分布を有している。このため、本発明の活性炭化物は、高度浄水処理、トリハロメタン除去、カビ臭/フミン質の除去、下水の浄化、地下水の浄化或いは浄水器といった用途、工場排ガスの浄化、水銀の除去、ゴミ焼却ガスの除去、燃焼ガス中の硫黄酸化物、窒素酸化物の除去といった用途、その他、溶剤回収、プロセスガス回収、炭化水素中の水銀の除去、医薬品、食品の脱色、精製、化学品、ガスの分離、触媒、触媒担体といった幅広い用途に使用することができる。特に本発明の活性炭化物にあっては、メソ孔容積が1〜2ml/gのメソ孔主体の細孔分布を有することから、活性炭素繊維と同等若しくはそれ以上の高性能な活性炭であるため、高度水処理に適し、しかもVOC/揮発性有機物、ダイオキシン類、環境ホルモン、地下汚染物質などの物質を少量でしかも短時間に吸着除去できる特徴があり、従って、付加価値の高い医薬品や食品などの用途に利用が期待できる。
本発明の活性炭化物は、バイオリアクターを構成する酵素や微生物の固定化用担体としても極めて有用である。特に本発明の活性炭化物の場合、2〜50nmのメソ孔主体の細孔分布を有していることから、例えばL-アミノ酸を生産するアミノアシラーゼ、異性化糖を生産するグルコースイソメラーゼ、低乳糖ミルクを生産するラクターゼ、カカオバター様油脂を生産するリパーゼ、ラガービールを生産するビール酵母、脂肪酸を生産するリパーゼ、ワインや日本酒を生産する酵母、酢酸を生産する酢酸菌など、触媒能の高い酵素を確実に固定することができ、酵素や微生物を利用した医薬品や食品などの製造分野にも適用が期待できる。
また本発明の活性炭化物は、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどの蓄電デバイスとしても極めて有用である。特にリチウムイオンキャパシタ用の電極としては、本発明の活性炭化物をそのまま正極として利用することができ、LiCoO2を利用した従来の高性能な電極に比べて、電極性能はほぼ同程度であるものの、大幅なコスト低減となり、今後の利用が大いに期待できる。
Claims (6)
- 平均径が50〜2000μmである鶏の羽根の粉砕物にアルカリ溶液を含浸し、不活性ガスの雰囲気下で700〜850℃の温度で賦活炭化処理することにより得られる活性炭化物であって、
比表面積が2300〜3200m2/g、幅1.5〜2.5nmのメソ孔容積が1〜2ml/gであり、平均細孔径が1〜3nmであることを特徴とする活性炭化物。 - 請求項1に記載の活性炭化物を用いたことを特徴とする吸着材。
- 請求項1に記載の活性炭化物を用いたことを特徴とする細胞・微生物固定化用担体。
- 請求項1に記載の活性炭化物を用いてなる蓄電デバイス。
- 請求項1に記載の活性炭化物を電極として用いた対象電極構造を有する電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項4記載の蓄電デバイス。
- 請求項1に記載の活性炭化物を正極として用いたリチウムイオンキャパシタであることを特徴とする請求項4記載の蓄電デバイス。
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