JP2010047451A - 牛糞肥料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学肥料の配合量を低減できる牛糞肥料およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】牛糞肥料の製造方法において、牛糞と鶏糞炭化物とを含む発酵原料を発酵させる。また、この発酵原料には、水分65〜95質量%の牛糞1質量部と、水分5〜30質量%の鶏糞炭化物0.2〜0.8質量部と、を配合し、発酵原料の容積重が700kg/m以下になるようにする。このような発酵原料を用いることで、牛糞肥料に特にリン酸を補うことができ、品質に優れた作物を栽培できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、牛糞を含む発酵原料の発酵生成物を含む牛糞肥料およびその製造方法に関する。
有機肥料として、牛糞を含む発酵原料を発酵させてなる牛糞肥料(所謂堆肥)が知られている。一般的な発酵原料には、水分を調整し、かつ、発酵原料に空隙を形成して通気性を向上させる目的で、オガクズ等の木質材料やモミガラ等が配合される(例えば、特許文献1〜3参照)。
ところで肥料は、窒素、リン酸、カリの三要素を含有する必要がある。しかし、牛糞におけるリン酸の含有量は、窒素、カリの含有量に比べて少ない。このため、牛糞肥料を施肥する場合には、牛糞肥料とは別に、化学肥料(一般的には、リン酸源としての過リン酸石灰。必要に応じては、窒素源としての硫酸アンモニウム、カリ源としての硫酸カリウム)を施肥する必要がある。モミガラやオガクズ等を発酵原料に配合する場合にも、同様に、化学肥料を施肥する必要がある。化学肥料の施肥量が多ければ、化学肥料に要するコストが高くなる問題がある。
ところで化学肥料は、有機肥料に比べて作物に対する速効性が高い。窒素を例に挙げて説明すると、有機肥料中の窒素が植物に吸収されるまでには、有機態窒素→(微生物)→アンモニア態窒素→(微生物)→硝酸態窒素→植物の各段階を経る必要がある。このうち有機態窒素からアンモニア態窒素への転換に時間がかかるために、有機肥料は速効性が低い(緩効性である)とされている。これに対して、化学肥料中の窒素は初めからアンモニア態であるため、化学肥料は速効性が高いとされている。
このように化学肥料は作物に対する速効性が高いために、化学肥料のみで作物を栽培する場合には、作物が成長期に多くの化学肥料を吸収して急成長する。したがってこの場合には、作物が大型化するとともに、作物の水分量が多くなり、作物の糖度が低下する場合がある。さらに、化学肥料は、早い時期に作物に吸収される。このため、作物を化学肥料のみで栽培する場合には、作物の成熟期前に化学肥料が土壌中から流亡する可能性があり、作物の成熟期に肥料を追肥する必要がある。
しかし、施肥回数が多くなると、作物の栽培に要する労働量が多くなる問題がある。また、近年では、消費者は中型〜小型の作物を好む傾向にあり、必ずしも大型の作物が好まれるわけではない。また、近年では、食の安全性の観点から、有機肥料で栽培した作物が望まれている。さらには、全量を輸入に頼っている過リン酸石灰(化学肥料)は資源の枯渇から価格が高騰しているため、過リン酸石灰の施肥量を低減することが望まれている。これらの事情から、化学肥料の施肥量を低減できる牛糞肥料の開発が望まれている。
特開2005−194115号公報 特開2003−95772号公報 特開2004−51474号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、化学肥料の配合量を低減できる牛糞肥料およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の牛糞肥料の製造方法は、牛糞を含む発酵原料を発酵させる発酵工程を含み、発酵原料は、水分65〜95質量%の牛糞1質量部と、水分5〜30質量%の鶏糞炭化物0.2〜0.8質量部と、を含み、容積重700kg/m以下であることを特徴とする。
本発明の牛糞肥料の製造方法は、下記の(1)〜(5)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(5)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)上記牛糞は、水分85質量%以下になるように脱水処理されてなる。
(2)上記鶏糞炭化物は水分8質量%以上になるように吸水処理されてなる。
(3)上記発酵原料は、上記牛糞1質量部と、上記鶏糞炭化物0.2〜0.4質量部と、を含む。
(4)上記牛糞として搾乳牛糞を用いる。
(5)上記発酵原料は、上記牛糞および上記鶏糞炭化物のみからなる。
上記課題を解決する本発明の牛糞肥料は、上述した本発明の牛糞肥料の製造方法で製造されてなることを特徴とする。
本発明の牛糞肥料は、ハクサイ用の肥料として使用することが好ましい。
本発明の牛糞肥料の製造方法によると、牛糞と鶏糞炭化物との混合物を発酵原料として用いることで、鶏糞炭化物に由来する窒素、リン酸、カリを牛糞肥料に補うことができる。特に、多量のリン酸を牛糞肥料に補うことができる。このため、本発明の牛糞肥料の製造方法によると、化学肥料の施肥量を大きく低減でき、中型〜小型でありかつ糖度に優れる作物を栽培できる。また、鶏糞を炭化物の状態で使用することで、鶏糞に含まれる肥料成分(特にリン酸、カリ)を、作物に吸収され易い態様で牛糞肥料に配合できる。このため、本発明の牛糞肥料によると、肥料成分を作物に効率良く供給できる利点もある。
さらに、従来、養鶏場で排出された鶏糞は、乾燥または発酵させた後に肥料として用いられていた。しかし近年では、鳥インフルエンザなどの伝染病や臭気を消滅させるために、鶏糞を炭化処理することが多い。しかし、炭化処理された鶏糞(すなわち鶏糞炭化物)の用途は、融雪剤や土壌改良材などに限られていたため、鶏糞炭化物の生産量が利用量を上回っていた。本発明の牛糞肥料によると、このような鶏糞炭化物を肥料の原料として用いることで、廃棄物である鶏糞を有効利用できる利点がある。
さらに、発酵原料として、牛糞1質量部と、鶏糞炭化物0.2〜0.8質量部と、を含むものを用いたことで、牛糞と鶏糞炭化物との配合比を作物の栽培に適した範囲に設定でき、糖度に優れた作物を栽培できる。
さらに、発酵原料の容積重は700kg/m以下と小さいため、発酵原料に空気を多く含ませることができ、発酵原料の発酵を促進できる。
本発明の牛糞肥料の製造方法では、牛糞と鶏糞炭化物とを含む発酵原料を用いる。牛糞としては、脱水処理したものを用いても良いし、脱水処理していないものを用いても良い。なお、脱水処理していない牛糞の水分は、一般に、78〜92質量%程度である。また、脱水処理(放置・乾燥による脱水を含む)した牛糞の水分は、一般に、75〜85質量%程度である。牛糞を脱水処理する場合には、牛糞の取り扱い性を向上させるとともに、発酵原料の水分を発酵に適した量に容易に調整できる。牛糞を脱水処理しない場合には、脱水処理工程を省略できるために、牛糞肥料の製造コストを低減できる利点がある。何れの場合にも、発酵原料には、牛糞と鶏糞炭化物とを混合する際に空隙が形成される。この空隙の存在によって、発酵原料における通気性が向上し、発酵原料の発酵が促進される。さらに、何れの場合にも、発酵原料に鶏糞炭化物を配合することで、牛糞に含まれる水分を鶏糞炭化物によって吸収できるため、発酵原料の水分を発酵に適した量に調整できる。
鶏糞炭化物としては、含水処理したものを用いても良いし、自然吸水したものを用いても良い。鶏糞炭化物の水分を5〜30質量%にすることで、粉塵の発生を抑制できるなど、鶏糞炭化物の取り扱い性を向上させ得る。なお、水分5〜30質量%にまで含水させた鶏糞炭化物の嵩比重は、0.25〜0.35程度である。
ところで、鶏糞に含まれる炭素は鶏の飼料に含まれていたものである。飼料に含まれる炭素は大気中のCOを植物が固定したものである。通常の処理法(例えば、乾燥や発酵)で処理された鶏糞に含まれる炭素は、微生物によって分解され、温暖化ガスであるCOやCHのかたちで大気に放出される。しかし、鶏糞を炭化処理する場合には、炭素は炭のかたちで固定されるために、微生物による分解は生じない。このため、鶏糞を鶏糞炭化物の状態で圃場に散布すれば、空気中のCOを土壌中に固定でき、地球温暖化防止に寄与できる利点がある。
発酵原料は、牛糞および鶏糞炭化物のみで構成しても良いし、副資材を含んでも良い。例えば、副資材として魚粉、骨粉等を配合する場合には、これらに由来する微量元素源を牛糞肥料に配合できる。また、副資材として山土等を配合する場合には、牛糞肥料の肥効を和らげ得る利点がある。
発酵原料を牛糞および鶏糞炭化物のみで構成する場合には、発酵原料の通気性が十分に確保され、発酵原料の腐敗を抑制できる。また、牛糞および鶏糞炭化物は、オガクズ等の木質材料に含まれる生育阻害物質を含まない(または殆ど含まない)。このため、発酵原料を牛糞および鶏糞炭化物のみで構成する場合には、作物の生育を促進させることができる。なお、ここでいう牛糞および鶏糞炭化物のみ、とは、牛糞、鶏糞炭化物に加えて、牛糞とともに採取される不可避物質(例えば、牛の尿や牛舎で使用される敷料等)、および、鶏糞とともに採取される不可避物質(例えば、鶏の羽や鶏舎で使用される敷料等)の炭化物を含む。
牛糞としては、搾乳牛糞、肉用牛糞の何れを使用しても良い。搾乳牛は、肉用牛に比べて、木質チップなどの敷料が少ない牛舎で飼育される。このため搾乳牛糞とともに採取される不可避物質は、肉牛糞とともに採取される不可避物質に比べて少ない。よって、牛糞としては、搾乳牛糞が好ましく用いられる。
鶏糞炭化物の原料となる鶏糞としては、肉用鶏、卵用鶏の糞の他に、鶉、アヒル、七面鳥、鳩、ガチョウに代表される家禽の糞を用いても良い。鶏糞炭化物としては、これらの鶏糞を乾燥させた後に低酸素下または無酸素下で加熱して得られた炭化物を使用できる。
発酵原料を発酵させる方法としては、発酵原料を酸素存在下で堆積発酵させる一般的な堆肥の製造方法を用いれば良い。一般的な堆肥の製造方法としては、例えば、発酵原料を堆積し、2〜7日に1回程度撹拌しつつ60℃以上で発酵させる方法が挙げられる。
なお、本発明の牛糞肥料の製造方法では、鶏糞炭化物と牛糞とを含む発酵原料を用いることで、オガクズ等の木質材料やモミガラ等と牛糞とを含む発酵原料を用いる場合に比べて、発酵期間を1/3程度に短縮できる利点がある。すなわち、発酵原料として木質材料と牛糞とを含むものを用いる場合には、牛糞だけでなく木質材料をも発酵させる必要がある。しかし木質材料を発酵させるためには、牛糞を発酵させるのに比べて長い期間を要する。したがってこの場合には、発酵原料全体の発酵期間が非常に長くなる。これに対して、発酵の必要がない(発酵しない)鶏糞炭化物を用いる場合には、発酵原料全体の発酵期間が牛糞の発酵期間とほぼ同じ期間で済む。
本発明の牛糞肥料の製造方法において、発酵原料を発酵させるための装置としては、攪拌機構および通気機構を備える一般的な発酵装置を用いれば良く、開放型の装置を用いても良いし密閉型の装置を用いても良い。一般に、開放型の装置を用いる場合には、密閉型の装置を用いる場合に比べて、多量の水分調整材(従来の牛糞肥料の製造方法では木質材料、本発明の牛糞肥料の製造方法では鶏糞炭化物)を必要とし、かつ、発酵期間も長くなる。このため、開放型の装置を用いる場合には、特に、本発明の牛糞肥料の製造方法の有用性が高まる。
以下、本発明の牛糞肥料およびその製造方法を例を挙げて説明する。
(実施例)
(発酵工程1.準備工程)
先ず、市販の鶏糞炭化物を用いた。この鶏糞炭化物は、岩手県産の肉用鶏糞を用いたものであり、窒素全量2.31%、リン酸全量7.27%、カリ全量4.36%であった。なお、この鶏糞炭化物は製造時に含水させたものであり、その水分は14.3質量%であった。この鶏糞炭化物の製造工程は以下の通りであった。
(1−1)鶏舎から排出された敷料混じりの鶏糞を粉砕乾燥機を用いて水分10質量%程度にまで乾燥する。
(1−2)(1−1)で得られた乾燥鶏糞を、低酸素状態(炉出口の空気の酸素濃度0〜5体積%)の炭化炉で350℃にまで加熱する。
(1−3)加熱後の鶏糞炭化物を炭化炉から取り出し、冷却のため水を噴霧する。
(発酵工程2.混合工程)
先ず、牛糞として未処理の搾乳牛糞を準備した。この牛糞をローラープレス式固液分離機で脱水した。脱水後の牛糞は、水分81.6質量%、容積重950kg/mであった。
上記の工程で得た牛糞(以下、脱水牛糞と呼ぶ)775kgと、上記の鶏糞炭化物86kgとを混合して、試料1の発酵原料を調製した。同様に、脱水牛糞815kgと、鶏糞炭化物171kgとを混合して、試料2の発酵原料を調製した。さらに、脱水牛糞660kgと、鶏糞炭化物514kgとを混合して、試料3の発酵原料を調製した。試料1〜3の発酵原料および後述する試料4〜7の発酵原料の組成を下記の表1に示す。
(発酵工程3.本発酵工程)
混合工程で調製した試料1〜3の発酵原料を、岩手県一戸町のJAいわて奥中山 奥中山有機センター内の堆肥舎に堆積し、2007年6月15日〜8月24日までの10週間発酵させた。堆積した試料1〜3の発酵原料を、発酵初期(第1週〜第4週)には週2回、発酵後期(第5週〜第10週)には週1回の割合で、一般に切り返しと呼ばれる方法で撹拌した。
試料1および試料2の発酵原料に関しては、第2週(11日目)に鶏糞炭化物を追加混合した。このとき試料1に追加した鶏糞炭化物の量は43kgであり、試料2に追加した鶏糞炭化物の量は86kgであった。また、第6週(35日目)に、試料1と試料2とを1つにまとめて、新たな試料4とした。さらに、第6週(35日目)に、脱水牛糞800kgと、鶏糞炭化物257kgとを上述した方法と同様の方法で撹拌(切り返し)して、試料5の発酵原料を調製した。本発酵工程における試料1〜5の温度の推移を図1に示す。本発酵工程における発酵原料の温度は、熱電対を用いて測定し、データロガーで連続記録した。
図1に示すように、試料1〜5の発酵原料の温度は、発酵開始後徐々に高くなっている。このことから、試料1〜5の発酵原料が発酵したことがわかる。また、発酵開始後9〜23日程度経過すると各発酵原料の温度が最高温度に達し、その後に室温程度にまで下がった。このことから、試料1〜5の発酵原料の発酵が終了したことがわかる。なお、容積重が小さい試料ほど、短期間で最高温度に達し、その温度も高くなった。以上の工程で、試料1〜5の発酵原料を発酵させた。なお、上述したように、試料1および試料2は、第6週に一つにまとめて新たな試料4としたため、この工程で得られた牛糞肥料は、試料3〜5の牛糞肥料であった。
参考までに、試料1〜5および後述する試料6〜7の本発酵工程における最高温度(各試料における一日の平均温度の最高値)と、本発酵工程開始後に各試料の温度が最高温度に達するまでに要した日数、および、混合工程における各試料の容積重を表2に示す。また、混合工程における各試料の水分および灰分と、本発酵工程終了後における各試料の水分および灰分を表3に示す。本発酵工程終了後の各試料を肥料分析法(農林水産省農業環境技術研究所法)に基づいて分析した結果を表4に示す。なお、全窒素は、肥料分析法4.1.1.2に基づいて分析した。全リン酸は、肥料分析法4.2.3に基づいて分析した。全カリウムは、肥料分析法4.3.3に基づいて分析した。全炭素は、堆肥等有機物分析法II.3.(I)Bに基づいて分析した。灰分は、肥料分析法3.2.1に基づいて分析した。水分は、肥料分析法3.1.1に基づいて分析した。pHは、肥料分析法3.3.1に基づいて分析した。なお、表3および表4における各成分の含有量は、混合工程で得た各試料全体の質量から水を除いた質量を基準(100質量%)としたときの含有量を表す。なお、表4には、一般的な牛糞堆肥の肥料成分を併記した。
(比較例)
以下の手順により、鶏糞炭化物の代わりにモミガラまたはオガクズを配合した試料6〜7の肥料を製造した。
(発酵工程2.混合工程)
先ず、上述した実施例と同じ脱水牛糞を準備した。この脱水牛糞705kgとモミガラ(水分11.6質量%、容積重137kg/m)120kgとを混合して、試料6の発酵原料を調製した。また、脱水牛糞620kgとオガクズ(水分43.6質量%、容積重167kg/m)158kgとを混合して、試料7の発酵原料を調製した。
(発酵工程3.本発酵工程)
混合工程で調製した試料6〜7の発酵原料を、試料3の発酵原料と同じ方法で発酵させ、試料6〜7の堆肥を得た。
また、試料6〜7とは別に、化学肥料のみからなる試料8を調製した。詳しくは、窒素源としての硫酸アンモニウム1.82kgと、リン酸源としての過リン酸石灰2.26kgと、カリウム源としての硫酸カリウム0.76kgとを混合して、試料8の肥料を得た。
(評価試験)
実施例および比較例で得た試料3〜7の肥料に、化学肥料である硫酸アンモニウム、過リン酸石灰、硫酸カリウムの少なくとも一種を配合して、窒素、リン酸、カリの含有量が試料8の肥料とほぼ同量になるように調整した。詳しくは、畑10aあたりの施肥基準を、窒素20kg、リン酸20kg、カリ20kgとした。これに基づいて、試料8における各化学肥料の配合比を算出した。そして、試料3〜7の肥料については、必要窒素量の50%を各肥料中の窒素で代替することとして、各肥料の必要量を求めた。基準に満たない窒素、リン酸、カリについては、それぞれ硫酸アンモニウム、過リン酸石灰および硫酸カリウムで補った。各試料に対する各化学肥料の配合量を表5に示す。
表5に示すように、試料3〜5の肥料は、試料6〜7の肥料に比べて使用量が少ない。これは、試料3〜5の肥料の窒素含有量が試料6〜7の肥料の窒素含有量よりも多いためである。これは、鶏糞炭化物がモミガラおよびオガクズに比べて多くの窒素を含むことに由来する。
また、試料3〜5の肥料は、使用量が少ないのにもかかわらず、試料6〜7の肥料に比べてリン酸(過リン酸石灰)およびカリ(硫酸カリウム)の配合量が少ない。これは、鶏糞炭化物のリン酸含有量およびカリ含有量が、モミガラおよびオガクズのリン酸含有量およびカリウム含有量よりも遙かに多いためである。
(1.ハクサイ栽培試験)
畑を等分に区画して面積9.6mの試験区をつくった。各試験区には、化学肥料配合後の試料3〜7の肥料の何れかを施肥し、ハクサイの苗を24株ずつ定植した。また、各試験区には、2007年9月9日〜11月20日まで、週一回程度薬剤(オンコル粒剤、ランネート粉剤、スミチオン水和剤、ファーム乳剤、テルフヘンズロン水和剤、スピノエース水和剤、ノーモルト水和剤の何れか)を散布した。9月中旬には降水量が少なかったため、各試験区に1〜2日おきに合計6回灌水した。それ以外は灌水しなかった。11月20日に各試験区で栽培したハクサイを収穫し、選抜固体の質量、糖度、水分、無機成分含有量を測定した。なお、無機成分含有量については、窒素、リン、カリウムの3項目を測定した。無機成分吸収量は、無機成分含有量を基に算出した。
選抜固体の質量は、各試験区の中央部に定植した(他の試験区との境界付近を避けた位置の)ハクサイ16個ずつを各試験区毎に選抜し、ハクサイ固体毎の質量を測定した。また、上述した方法で選抜したハクサイのなかから、各試験区毎の平均質量に近い質量のもの6個を選抜し、そのなかの任意の4個について水分および無機成分含有量を測定し、残りの2個について糖度を測定した。無機成分含有量のなかで、窒素はケルダール法に基づいて測定した。リンは、TCP発光分光分析法に基づいて測定した。カリウムは、原子吸光光度法に基づいて測定した。糖度は、上述した各試験区毎2個ずつのハクサイを、外葉、内葉、中間葉の3部位に分け、このうち中間葉について測定した。詳しくは、上述した方法で測定したハクサイは15〜16枚の葉を持っていた。このハクサイの葉のうち、外側5枚を外葉、次の5枚を中間葉、残りの5枚を内葉とした。そして、各ハクサイにつき5枚の中間葉をミキサーで破砕したものを、デジタル糖度計PR−α(アタゴ社製)にかけ、その糖度を測定した。試料3〜7の肥料で栽培したハクサイ1個あたりの平均質量を表6に示す。試料3〜7の肥料で栽培したハクサイの水分、全糖度および全無機成分含有量を表7に示す。試料3〜7の肥料で栽培したハクサイ1個あたりの無機成分吸収量を表8に示す。
また、試料3〜7の肥料で栽培し上述した方法で選抜したハクサイのなかの任意の1個を、長さ方向に2等分し、その断面において黄色を呈色している部分が占める割合を測定した。試料3〜7の肥料で栽培したハクサイにおける黄色部分の占有率を表9に示す。
表6に示すように、試料8の肥料で栽培したハクサイの質量は、他の肥料で栽培したハクサイの質量に比べて大きい。これは、試料8の肥料(すなわち化学肥料のみからなる肥料)は、ハクサイに吸収され易い態様の窒素を多く含むために、ハクサイの生育を促進したためと考えられる。なお、ハクサイを定植した後の1ヶ月間においては、試料3〜8の肥料で栽培したハクサイに、生育の違いはみられなかった。結球開始後の10月中旬になると、試料8の肥料で栽培したハクサイは、他の肥料で栽培したハクサイに比べて、葉色が濃くなった。これは、試料8の肥料で栽培したハクサイの窒素の吸収速度が速かったためと考えられる。
また、表7に示すように、試料8の肥料で栽培したハクサイは、他の肥料で栽培したハクサイに比べて、水分および窒素含有量が高く、リン含有量、カリウム含有量および全糖度が低かった。また、表8に示すように、試料8の肥料で栽培したハクサイは、他の肥料で栽培したハクサイに比べて、ハクサイ1個あたりの窒素吸収量が高い反面、カリウム吸収量が低かった。したがって、牛糞肥料で栽培したハクサイは、化学肥料のみからなる肥料で栽培したハクサイに比べて、カリウムを効率良く吸収し、その結果、糖度が高くなると考えられる。また、試料3〜7の肥料で栽培したハクサイのリン含有量、カリウム含有量および全糖度が、試料8の肥料で栽培したハクサイに比べて高い理由としては、化学肥料は速効性に優れるのに対し、牛糞堆肥は緩効性に優れることが関係していると考えられる。すなわち、化学肥料のみからなる試料8の肥料を施肥した土壌においては、ハクサイの成長期に肥料成分が土壌から流亡するのに対し、試料3〜7の牛糞肥料を施肥した土壌においては、ハクサイの結球期にまで肥料成分が残存する結果、試料3〜7の牛糞肥料で栽培したハクサイはリン含有量、カリウム含有量および全糖度が高いと考えられる。
ところで、ハクサイは部分毎に糖度が異なり、黄色を呈色している部分が最も高糖度であるとされている。したがって、黄色部分の多いハクサイは、黄色部分の少ないハクサイに比べて、高糖度の部分が多い。換言すると、黄色部分の多いハクサイは、その全体が甘い。表9に示すように、試料3〜5の肥料で栽培したハクサイにおける黄色部分の占有率は、試料6〜8の肥料で栽培したハクサイにおける黄色部分の占有率に比べて大きい。このため、牛糞と鶏糞炭化物との混合物を発酵原料として用いた本発明の牛糞肥料によると、高糖度部分が多く品質に優れた作物(本明細書における評価試験では葉物野菜であるハクサイ)を栽培できると言える。参考までに、試料3〜7の肥料で栽培したハクサイの断面を表す写真を図2に示す。図中灰色に写っている部分が、黄色部分である。図2に示すように、試料3〜5の肥料(すなわち本発明の牛糞肥料)で栽培したハクサイは、試料6〜8の肥料で栽培したハクサイに比べて黄色部分が多い。
なお、上述したように、本明細書の評価試験においては、窒素の配合量が同じになるように試料3〜7の牛糞肥料の施用量を決定したところ、実施例(試料3〜5)の牛糞肥料の施肥量は、試料6〜7の牛糞肥料の施肥量の半分程度であった。したがって、鶏糞炭化物を発酵原料として用いる場合には、モミガラまたはオガクズを発酵原料として用いる場合に比べて、牛糞肥料の施肥量を大きく低減できるか、または、牛糞肥料に配合する化学肥料の量を大きく低減できる。この結果から、モミガラやオガクズに代えて鶏糞炭化物を発酵原料に配合した本発明の牛糞肥料によると、化学肥料の量を大きく低減させるか、あるいは、牛糞肥料の使用量を大きく低減させ、かつ、品質に優れた作物を栽培できることがわかる。
なお、図1に示すように、試料1〜2の発酵原料は、本発酵工程初期における初期温度上昇が小さい。換言すると、試料1〜2の発酵原料は、試料3および5の発酵原料に比べて発酵し難い。この結果から、牛糞(脱水牛糞)1質量部に対する鶏糞炭化物の配合量は、0.2質量部を超えるのが好ましいと考えられる。また、牛糞1質量部に対する鶏糞炭化物の配合量は、0.3質量部以上であるのがより好ましいと考えられる。
さらに、発酵原料への鶏糞炭化物の配合量が過大であると、牛糞肥料に含まれるリンの量が過大になる。土壌中の余剰のリンは、河川に流入して河川汚染の原因となり得る。また、発酵原料への鶏糞炭化物の配合量が過大であると、牛糞肥料に含まれる塩類の量が過大になり、塩害が生じるおそれがある。このため、発酵原料への鶏糞炭化物の配合量には、上限が存在する。詳しくは、発酵原料への鶏糞炭化物の配合量が、牛糞1質量部に対して0.8質量部以下であれば、上述した問題を抑制できる。より好ましくは、牛糞1質量部に対する鶏糞炭化物の配合量は、0.4質量部以下であるのがよい。
本発酵工程における試料1〜5の温度の推移を表すグラフである。 評価試験の結果を表す写真である。

Claims (8)

  1. 牛糞を含む発酵原料を発酵させる発酵工程を含み、
    該発酵原料は、水分65〜95質量%の牛糞1質量部と、水分5〜30質量%の鶏糞炭化物0.2〜0.8質量部と、を含み、容積重700kg/m以下であることを特徴とする牛糞肥料の製造方法。
  2. 前記牛糞は、水分85質量%以下になるように脱水処理されてなる請求項1記載の牛糞肥料の製造方法。
  3. 前記鶏糞炭化物は水分8質量%以上になるように吸水処理されてなる請求項1または請求項2に記載の牛糞肥料の製造方法。
  4. 前記発酵原料は、前記牛糞1質量部と、前記鶏糞炭化物0.2〜0.4質量部と、を含む請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の牛糞肥料の製造方法。
  5. 前記牛糞として搾乳牛糞を用いる請求項1〜請求項4の何れか一つに記載の牛糞肥料の製造方法。
  6. 前記発酵原料は、前記牛糞および前記鶏糞炭化物のみからなる請求項1〜請求項5の何れか一つに記載の牛糞肥料の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一つに記載の牛糞肥料の製造方法で製造されてなることを特徴とする牛糞肥料。
  8. ハクサイ用の肥料として使用される請求項7に記載の牛糞肥料。
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