JP2011118054A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び分散液 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】細線再現性に優れた電子写真感光体を提供する。
【解決手段】支持体上に感光層を有し、表面層が、特定の2つのアクリル(メタクリル)構造単位を含み、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下であり、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下、Mwと数平均分子量Mnとの比〔Mw/Mn〕が1以上8以下であり、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有する、フッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び分散液に関する。
電子写真方式による画像形成は、高速且つ高印字品質という利点を有するため、複写機及びレーザービームプリンター等の分野において広く利用されている。
電子写真方式による画像形成装置に用いられる電子写真感光体(以下、「感光体」と称することがある。)としては、無機光導電材料を用いた無機感光体に比べ、安価で製造性及び廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を用いた有機感光体が主流を占める様になってきている。中でも、露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送する電荷輸送層とを積層させた機能分離型の有機感光体は、電子写真特性の点で優れており、種々の提案が成され、実用化されている。
近年、電子写真感光体の表面層中にフッ素系樹脂粒子を含有させ、表面層の表面エネルギーを低減させる技術の検討が行われている。
例えば、分散助剤としてフッ素系グラフトポリマーを添加することによって、フッ素系樹脂粒子の分散性を改善する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光体の表面がPTFE樹脂、クシ型フッ素系グラフトポリマー、及びノニオン系パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を含有する電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、導電性支持体上に直接または下引き層を介して感光層または感光層と保護層を有する電子写真感光体において、最表面層には少なくともフッ素樹脂粒子とフッ素系界面活性剤を含有し、且つフッ素樹脂粒子の含有量が最表面層の全体積に対して、20体積%以上70体積%以下、フッ素系界面活性剤の固形分含有率が最表面層の該フッ素系界面活性剤の固形分とバインダー樹脂混合物全量に対して5体積%以上7体積%であり、且つフッ素樹脂粒子の表面自由エネルギーが最表面層の該フッ素系界面活性剤とバインダー樹脂との混合物の表面自由エネルギーよりも大きい電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭63−221355号公報 特開平6−332217号公報 特開2005−062830号公報
本発明の課題は、表面層に下記特定のフッ素系グラフトポリマーを含有しない場合と比較して、細線再現性に優れた電子写真感光体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、表面層が、下記構造式Aで表される構造単位及び下記構造式Bで表される構造単位を含み、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下であり、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比〔Mw/Mn〕が1以上8以下であり、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する電子写真感光体である。

〔上記構造式A及び構造式B中、l、m、及びnは各々独立に1以上の整数を表す。p、q、r、及びsは各々独立に0又は1以上の整数を表し、tは0又は1以上5以下の整数を表す。R、R、R、及びRは各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、Xは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表し、Yは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。〕
請求項2に係る発明は、
前記フッ素系グラフトポリマーは、重量平均分子量Mwが8万以上20万以下であり、かつ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比〔Mw/Mn〕が1以上5以下である請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項3に係る発明は、
前記表面層中における前記フッ素系グラフトポリマーの含有量が、前記フッ素含有樹脂粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
請求項4に係る発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジである。
請求項5に係る発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、前記電子写真感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を有する画像形成装置である。
請求項6に係る発明は、
下記構造式Aで表される構造単位及び下記構造式Bで表される構造単位を含み、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下であり、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比〔Mw/Mn〕が1以上8以下であり、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する分散液である。

〔上記構造式A及び構造式B中、l、m、及びnは各々独立に1以上の整数を表す。p、q、r、及びsは各々独立に0又は1以上の整数を表し、tは0又は1以上5以下の整数を表す。R、R、R、及びRは各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、Xは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表し、Yは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。〕
請求項1に係る発明によれば、表面層が前記特定のフッ素系グラフトポリマーを含有しない場合と比較して、細線再現性に優れた電子写真感光体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、表面層中における前記特定のフッ素系グラフトポリマーが、重量平均分子量Mw8万以上20万以下、かつ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比〔Mw/Mn〕が1以上5以下の範囲外である場合と比較して、細線再現性に優れた電子写真感光体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、表面層中における前記特定のフッ素系グラフトポリマーの含有量が、前記フッ素含有樹脂粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下の範囲外である場合と比較して、細線再現性に優れた電子写真感光体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、電子写真感光体の表面層が前記特定のフッ素系グラフトポリマーを含有しない場合と比較して、細線再現性に優れたプロセスカートリッジが提供される。
請求項5に係る発明によれば、電子写真感光体の表面層が前記特定のフッ素系グラフトポリマーを含有しない場合と比較して、細線再現性に優れた画像形成装置が提供される。
請求項6に係る発明によれは、前記特定のフッ素系グラフトポリマーを含有しない場合と比較して、フッ素含有樹脂粒子の分散性に優れた分散液が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の第一の例を示す全体構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の第二の例を示す全体構成図である。
以下、本発明の分散液、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置の実施形態について、詳細に説明する。
<電子写真感光体及び分散液>
本実施形態の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、表面層が、特定のフッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する。
前記特定のフッ素系グラフトポリマーは、下記構造式Aで表される構造単位及び下記構造式Bで表される構造単位を含み、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下であり、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比〔Mw/Mn〕が1以上8以下であり、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマー(以下、単に「特定フッ素系グラフトポリマー」ともいう)である。
また、本実施形態の分散液は、特定フッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する。

上記構造式A及び構造式B中、l、m、及びnは各々独立に1以上の整数を表す。p、q、r、及びsは各々独立に0又は1以上の整数を表し、tは0又は1以上5以下の整数を表す。R、R、R、及びRは各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、Xは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表し、Yは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。
本実施形態において、前記特定フッ素系グラフトポリマー中におけるフッ素含有量は、酸素フラスコ燃焼法−イオンクロマトグラフィーにより測定された値を指す。
また、本実施形態において、特定フッ素系グラフトポリマーの重量平均分子量Mwは、スチレン換算重量平均分子量を指し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された値を指す。
また、特定フッ素系グラフトポリマーの数平均分子量Mnは、スチレン換算数平均分子量を指し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された値を指す。
また、本実施形態において、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基は、前記特定フッ素系グラフトポリマー中に、単独で存在していてもよいし、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基とアルキレン基とが結合したフッ化アルキル基の形態で存在していてもよい。
従来より、電子写真感光体の表面エネルギー低減や耐久性向上等の観点より、表面層中にフッ素系グラフトポリマーとフッ素系樹脂粒子とを含有する電子写真感光体が検討されている。
しかし、上記従来の電子写真感光体では、フッ素樹脂粒子の分散性が低下することにより該フッ素樹脂粒子が凝集し、凝集したフッ素樹脂粒子により表面層中における光散乱が増大し、その結果、画像形成時における細線再現性が低下する場合がある。
特に、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーを用いた場合に、前記分散性の低下及び前記細線再現性の低下がより顕著になる傾向がある。この原因は、以下のように推測される。
即ち、フッ素系グラフトポリマーはフッ素系樹脂粒子表面に吸着することで、フッ素系樹脂粒子の分散性を向上させ、安定化させているが、フッ素系樹脂粒子への吸着力はフッ素系グラフトポリマー中のフッ素基によって発現されているものであり、フッ素系グラフトポリマー中のフッ素基量(即ち、フッ素含有量)が少ないとフッ素系樹脂粒子への吸着力が低くなり、フッ素系グラフトポリマー中のフッ素基量が多いとフッ素系樹脂粒子への吸着力が高くなる。
従って、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーでは、従来用いられてきた炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーと比較して、ポリマー全量中におけるフッ素基量が少なくなる傾向があり、その結果、前記フッ素樹脂粒子の分散悪化及び前記細線再現性の低下が起こりやすくなるものと推測される。
今回、炭素数1以上6以下のフッ素系グラフトポリマーの分子量、該フッ素系グラフトポリマー中のフッ素基量、およびフッ素系樹脂粒子への吸着性、に関して鋭意検討をした結果、該フッ素系グラフトポリマー中のフッ素基量(フッ素含有量)は分子量分布と関連性があることを見出した。
具体的には、該フッ素系グラフトポリマーの重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、かつ重量平均分子量と数平均分子量との比を1以上8以下にすることにより、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下となり、フッ素系樹脂粒子への吸着力が高まり、フッ素系樹脂粒子の分散性が向上することを見出した。
従って、上記本実施形態の電子写真感光体によれば、表面層に含有される炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーが本構成を有しない場合と比較して、フッ素系樹脂粒子の分散性が向上するため、画像形成時の細線再現性が向上する。
また、上記本実施形態の分散液によれば、表面層に含有される炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーが本構成を有しない場合と比較して、フッ素含有樹脂粒子の分散性が向上する。このため、該分散液を用いることで、画像形成時の細線再現性に優れた電子写真感光体が作製される。更に、上記本実施形態の分散液では、分散性が長期に渡り維持されるため、該分散液を用いることで、画像形成時の細線再現性に優れた電子写真感光体が安定して生産される。
本実施形態の分散液は、フッ素系樹脂と特定フッ素系グラフトポリマーとを含む。
本実施形態の分散液は、必要に応じその他の成分を含んでいてもよい。
本実施形態の分散液は、例えば、溶媒中で、フッ素系樹脂を特定フッ素系グラフトポリマー(分散助剤)により分散させて調製される。
また、本実施形態の分散液は、特定フッ素系グラフトポリマー及びフッ素系樹脂のほかに、電荷輸送層の構成成分(電荷輸送材料や結着樹脂等)を含んでいてもよい。この場合、本実施形態の分散液は、電荷輸送層形成用の塗布液として用いられる。
特定フッ素系グラフトポリマー、フッ素系樹脂、溶媒、電荷輸送層の構成成分(電荷輸送材料や結着樹脂等)については、後述の電子写真感光体の説明中で詳述する。
次に、上記構造式A及び構造式Bの好ましい範囲について説明する。
上記構造式A及び構造式B中、l、mは各々独立に1以上の整数を表し、1以上100以下の整数が好ましく、10以上100以下の整数がより好ましい。
また、比率〔l/(l+m)〕は、0.2以上0.8以下が好ましく、0.4以上0.8以下の整数がより好ましい。
上記構造式A及び構造式B中、nは独立に1以上の整数を表し、1以上500以下の整数が好ましく、1以上200以下の整数がより好ましい。
また、p、q、r、及びsは各々独立に0又は1以上の整数を表し、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましい。
また、tは0又は1以上5以下の整数を表す。
また、R、R、R、及びRは各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基がより好ましい。
また、Xは、無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表し、炭素数1以上6以下の無置換アルキレン鎖、−S−、又は−O−が好ましい。
また、Yは、無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を表し、zは1以上の整数を表し、中でも、zが1以上6以下である−(C2z−1(OH))−が好ましい。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本実施形態の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した電子写真感光体101は電荷発生層105と電荷輸送層106とが別個に設けられた機能分離型の感光層103を備えるもので、導電性支持体102上に下引き層104、電荷発生層105、電荷輸送層106がこの順序で積層された構造を有している。ここで、電荷輸送層106は電子写真感光体101における表面層(支持体102から最も遠い側に配置される層)であり、詳細は後述するが、フッ素系樹脂粒子と特定フッ素系グラフトポリマーとを含有して構成されている。
なお、本明細書中において「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm未満である性質を指す。
以下、電子写真感光体101の各要素について説明する。
導電性支持体102としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性支持体102の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
導電性支持体102として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層104は、導電性支持体102表面における光反射の防止、導電性支持体102から感光層103への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層104の材料としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、支持体上に塗布したものが挙げられる。また、金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。さらに、金属酸化物粒子へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
下引き層104に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが用いられる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
下引き層104中の金属酸化物粒子と結着樹脂との比率は特に制限されず、所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で設定される。
下引き層104の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いられる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解する溶剤であれば、いかなるものを使用してもよい。
また、下引き層形成用塗布液中に金属酸化物粒子を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌機、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる下引き層形成用塗布液を支持体102上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。下引き層104の膜厚は15μm以上が好ましく、20μm以上50μm以下がより好ましい。下引き層104には、表面粗さ調整のために下引き層中に樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、例えば、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメチルメタクリレート樹脂粒子等を用いる。
また、表面粗さ調整のために下引き層104の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、例えば、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いる。
また、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引き層104上に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコンなどを含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いる。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
中間層の形成に使用される溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす溶剤であれば、いかなるものを使用してもよい。
中間層を形成する塗布方法としては、例えば、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いる。
中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、例えば0.1μm以上3μm以下の膜厚範囲に設定される。また、この場合の中間層を下引き層104として使用してもよい。
電荷発生層105は、電荷発生材料を適当な結着樹脂中に分散して形成される。
かかる電荷発生材料としては、例えば、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が好ましい。
その他、電荷発生材料としては、例えば、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が使用される。また、これらの電荷発生材料は、単独または2種以上を混合して使用する。
電荷発生層105における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等を用いる。これ等の結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いる。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層105の形成の際には、上記成分を溶剤に加えた塗布液が使用される。かかる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解する溶剤であれば、いかなるものを使用してもよい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させるために、塗布液には分散処理が施される。分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌機、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる塗布液を下引き層104上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。電荷発生層105の膜厚は、好ましくは0.01μm以上5μm以下、より好ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
電荷輸送層106は、前述の通り、電子写真感光体101における表面層であり、フッ素系樹脂粒子と前述の特定フッ素系グラフトポリマーを含有する層である。
特定フッ素系グラフトポリマーは、例えば、分子鎖の片方の末端に重合性の官能基を有するマクロモノマーと、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有する重合性フッ素系モノマーを共重合して得られる。
前記マクロモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン系化合物などの重合体や共重合体などを用いる。
前記「炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有する重合性フッ素系モノマー」としては、例えば、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、パーフルオロアルキルメタクリレート等を用いる。
本実施形態の特定フッ素系グラフトポリマーは、スチレン換算重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、かつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1以上8以下である。
本実施形態の特定フッ素系グラフトポリマーは、フッ素樹脂粒子への吸着能力が低い低分子量成分の含有量が少ない方が好ましい。低分子量成分の含有量が少ない特定フッ素系グラフトポリマーとして、具体的には、重量平均分子量Mwが8万以上20万以下であり、かつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1以上5以下である特定フッ素系グラフトポリマーが好ましい。
本実施形態において、特定フッ素系グラフトポリマーは、精製されていてもよいし、精製されていなくてもよいが、低分子量成分の含有量を少なくする観点(具体的には、重量平均分子量Mwが8万以上20万以下であり、かつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1以上5以下とする観点)からは、精製されていることが好ましい。
以下、精製後の特定フッ素系グラフトポリマーを、「精製特定フッ素系グラフトポリマー」や「精製フッ素系グラフトポリマー」ともいう。
なお、精製前の特定フッ素系グラフトポリマーは分子量分布が広く(即ち、低分子量成分の含有量が多く)なっており、例えば、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、かつ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが6以上8以下となっている。
前記精製の方法としては、再沈殿精製法が好ましく用いられる。
再沈殿精製法としては、粗特定フッ素系グラフトポリマーを良溶媒に溶解した後、貧溶媒中に滴下し、沈殿させて精製する方法と、粗特定フッ素系グラフトポリマーを良溶媒に溶解した溶液に貧溶媒を滴下し、沈殿させて精製する方法と、がある。
本実施形態においては、どちらの方法を選択してもよいし、また組み合わせてもよい。
また、精製は1回のみ行っても複数回行ってもよい。
再沈殿精製法に用いられる良溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素類などが挙げられる。
再沈殿精製法に用いられる貧溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、水などが挙げられる。
また、本実施形態において、特定フッ素系グラフトポリマーの含有量は、フッ素系樹脂粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
前記特定フッ素系グラフトポリマーの含有量が0.5質量%以上であると、フッ素系樹脂粒子の分散性がより向上する。
前記特定フッ素系グラフトポリマーの含有量が5.0質量%以下であると、ミセルの形成がより抑制され、長期連続使用時の電気特性悪化が抑制される。
また、電荷輸送層106の固形分全量に対するフッ素系樹脂粒子の含有量は、好ましくは2質量40質量%以下、より好ましくは2質量15質量%以下である。
当該含有量が2質量%以上であると、フッ素系樹脂粒子分散による電荷輸送層106の改質効果がより効果的に奏される。
また、当該含有量が40質量%以下であれば、光透過性の低下及び膜強度の低下がより抑制される。
本実施形態で用いるフッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
前記フッ素系樹脂粒子の粒子径や分子量は、所望の感光体特性が得られる範囲であれば自由に選択する事ができ、特に限定されないが、好ましくは一次粒径は0.05μm以上1μm以下であり、更に好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。
一次粒径が0.05μm以上であると、分散時の凝集がより抑制される。一方、1μm以下であると、画質欠陥がより抑制される。
電荷輸送層106は上記成分に加えて、電荷輸送層としての本来的機能を発現させるための電荷輸送材料、さらには結着樹脂を含む。かかる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用する。
また、電荷輸送層106における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いる。
電荷輸送層106は、上記成分を溶剤に加えた塗布液を用いて形成される。該塗布液に使用される溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解する溶剤であれば、いかなるものを使用してもよい。電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1乃至1:5が好ましい。
本実施形態では予めフッ素系樹脂粒子に特定フッ素系グラフトポリマーを吸着させるための吸着処理を行ってもよい。
即ち、本実施形態では、予め、フッ素系樹脂粒子と特定フッ素系グラフトポリマーとを含むフッ素系樹脂粒子懸濁液(好ましくは分散液)を調製しておき、調製された懸濁液と、電荷輸送材料及び結着樹脂を含む液と、を混合して電荷輸送層形成用塗布液を調製してもよい。
前記吸着処理は、まず特定フッ素系グラフトポリマーを有機溶剤中に溶解させた後、フッ素系樹脂粒子を添加し、攪拌あるいは分散処理することで行われる。
本吸着処理で用いられる有機溶剤は電荷輸送層に用いられる材料を溶解する溶剤であればいかなるものを使用してもよい。
たとえば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いる。
また、本工程は所望の特性が得られるのであれば如何なる温度であってもよいが、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下で行われる。
さらに、前記吸着処理によりフッ素系グラフトポリマーを吸着させたフッ素系樹脂粒子懸濁液を、電荷輸送材料及び結着樹脂を有機溶剤中に溶解させた液に、十分に攪拌混合させる。
混合させた液を分散処理することにより、電荷輸送層形成用塗布液中にフッ素系樹脂粒子を均一に分散させる。
該分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
本実施形態における電荷輸送層(表面層)は表面の平滑性を向上させる目的で、シリコーンオイル等のレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤は所望の特性が得られる範囲であれば添加量には限定はないが、電荷輸送層用塗布液中に0.1ppm以上1000ppm以下の範囲が好ましく用いられる。さらに好ましくは0.5ppm以上500ppm以下の範囲である。
レベリング剤の添加量が0.1ppmであれば、電荷輸送層は表面の平滑性がより向上し、1000ppm以下であれば、繰り返し使用時における残留電位上昇がより抑制される。
さらに、電子写真装置中で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層3を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる
このようにして得られる電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層105上に塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、リング塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上45μm以下の範囲に設定される。
<画像形成装置及びプロセスカートリッジ>
次に、本実施形態に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の第一の例を示す全体構成図である。
この画像形成装置1000は、電子写真方式を採用したモノクロの片面出力プリンタである。
この画像形成装置1000は、図の矢印B方向に回転する電子写真感光体である像保持体61と、電源65aから電力の供給を受けて、像保持体61に接触しながら回転することで像保持体表面を帯電する帯電手段である帯電部材65とを備えている。ここで、像保持体61が、本実施形態に係る電子写真感光体の一例に相当する。
また、この画像形成装置1000には、像保持体61に向けてレーザ光を発し、像保持体61表面に、周囲より電位の高くなった静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光部7、黒色トナーを含む静電潜像現像剤を用いて像保持体61表面に形成された静電潜像にモノクロ(黒)のトナーを付着させることにより静電潜像を現像することでトナー画像を形成する画像形成手段である現像器64、トナー画像が形成された像保持体61に、搬送されてくる用紙を押圧することで像保持体61表面に形成されたトナー画像を被転写体である用紙上に転写する転写手段である転写ロール50、用紙上に転写されたトナー画像に対し熱および圧力を加えることで転写像の用紙への定着を行う定着手段である定着器10、像保持体61に接触し、トナー画像の転写後に像保持体61表面に付着したまま残留した残留トナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング装置62、トナー画像の転写後に像保持体61に残留した電荷を除去する除電ランプ7aも備えられている。
この画像形成装置1000では、上記の、帯電部材65および像保持体61は、いずれも図2に垂直な方向に延びたロール状であってこれらのロールの両端は、いずれも支持部材100aに、ロールが回転自在な態様で支持されている。また、この支持部材100aには、上記の、クリーニング装置62および現像器64も接続されており、このように帯電部材65、像保持体61、クリーニング装置62、および現像器64が支持部材100aに一体化されることで、プロセスカートリッジ100が構成されている。
画像形成装置1000にこのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000に備えられることとなる。このプロセスカートリッジ100が、本実施形態のプロセスカートリッジの一例に相当する。
以下、この画像形成装置1000における画像形成の動作について説明する。
この画像形成装置1000には、黒トナーが蓄えられた不図示のトナーカートリッジが備えられており、このトナーカートリッジにより現像器64にトナーの補給が行われる。また、トナー画像が転写されるために用いられる用紙は、給紙手段1の中に蓄えられており、ユーザから画像形成が指示されると給紙手段1から搬送されて、転写ロール50においてトナー画像の転写が行われた後、図の左方向に向かって搬送されていく。図2においては、この時の用紙搬送路が、左向きの矢印で示す経路として示されており、用紙はこの用紙搬送路を通って定着器10において、用紙上に転写された転写像の定着が行われた後、左方向に排出される。
帯電部材65が像保持体61を帯電させる際には、帯電部材65に電圧が印加される。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される像保持体の帯電電位に応じて正または負の50V以上2000V以下が好ましく、100V以上1500V以下がより好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400V以上1800V以下、好ましくは800V以上1600V以下、さらに好ましくは1200V以上1600V以下とされる。交流電圧の周波数は50Hz以上20,000Hz以下、好ましくは100Hz以上5,000Hz以下である。
帯電部材65としては、芯材の外周面に弾性層、抵抗層、保護層等を設けたものが好適に用いられる。帯電部材65は、像保持体61に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも像保持体61と同じ周速度で回転し、帯電手段として機能するが、帯電部材65に駆動手段を取り付け、像保持体61とは異なる周速度で回転させて帯電させてもよい。
露光部7としては、電子写真感光体表面に、半導体レーザ、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光する光学系装置等を用いてもよい。
現像器64としては、一成分系、二成分系等の正規又は反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等を用いてもよい。現像器64に使用されるトナーの形状については、特に制限はなく、不定形、球状あるいは他の特定形状のものであってもよい。
転写手段としては、転写ロール50等の接触帯電部材の他、ベルト、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、あるいはコロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等、が挙げられる。
クリーニング装置62は、転写工程後の像保持体61の表面に付着する残存トナーを除去するためのもので、これにより清浄面化された像保持体61は上記の画像形成プロセスに繰り返し供される。クリーニング装置としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いてもよいが、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
本実施形態に係る電子写真感光体の表面層はフッ素含有樹脂粒子を含むため表面エネルギーが低い。そのため、クリーニング装置62としてクリーニングブレードを用いても表面層の摩耗が起こりにくく、長期間にわたり安定した画像が形成される。
本実施形態に係る画像形成装置は除電ランプ7aが備えられているため、像保持体61が繰り返し使用される場合に、像保持体61の残留電位が次のサイクルに持ち込まれる現象が防止されるので、画像品質をより高められる。なお、本実施形態に係る画像形成装置においては必要に応じて除電ランプ7aを備えていればよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の第二の例を示す全体構成図である。
この実施形態の画像形成装置1000’はカラープリンタである。
この画像形成装置1000’には、図の矢印Bk,Bc,Bm,By方向にそれぞれ回転する、電子写真感光体である像保持体61K,61C、61M,61Yが備えられている。ここで、像保持体61K,61C、61M,61Yが、本実施形態に係る電子写真感光体の一例に相当する。
また、各像保持体の周囲には、各像保持体に接触しながら回転することで像保持体表面を帯電する帯電手段である帯電部材65K,65C,65M,65Y、帯電した各像保持体上にレーザ光の照射によりブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色についての静電潜像を形成する静電潜像形成手段である露光部7K,7C,7M,7Y、各像保持体上の静電潜像を各色のトナーを含む静電潜像現像剤で現像して各色のトナー画像を形成する現像手段である現像器64K,64C,64M,64Yが備えられている。
この画像形成装置1000’では、上記の各構成要素のうち、ブラック用の、帯電部材65K、像保持体61K、クリーニング装置62K、および現像器64Kは、一体化されてプロセスカートリッジ100Kの構成要素となっており、同様に、シアン用の、帯電部材65C、像保持体61C、クリーニング装置62C、現像器64Cの組、マゼンタ用の、帯電部材65M、像保持体61M、クリーニング装置62M、現像器64Mの組、および、イエロー用の、帯電部材65Y、像保持体61Y、クリーニング装置62Y、現像器64Yの組が、それぞれ一体化されてプロセスカートリッジ100C,100M,100Yの構成要素となっている。画像形成装置1000’にこれら4つのプロセスカートリッジが組み込まれることにより、これらのプロセスカートリッジの構成要素である各部が画像形成装置1000’に備えられることとなる。これらのプロセスカートリッジ100K,100C,100M,100Yそれぞれが、本実施形態のプロセスカートリッジの一例に相当する。
また、この画像形成装置1000’には、各像保持体上で形成された各色のトナー画像の転写(1次転写)を受けて1次転写像を運搬する中間転写体である中間転写ベルト5、中間転写ベルト5への各色のトナー画像の1次転写が行われる1次転写ロール50K,50C,50M,50Y、用紙への2次転写が行われる2次転写ロール対9、用紙上の2次転写されたトナー画像の定着を行う定着手段である定着器10’、4つの現像器にそれぞれの色成分のトナーをそれぞれ補給する、4つのトナーカートリッジ4K,4C,4M,4Y、用紙を蓄える給紙手段1’も備えられている。
ここで、中間転写ベルト5は、駆動ロール5aから駆動力を受けながら2次転写ロール9bと駆動ロール5aとに張架された状態で図の矢印A方向に循環移動する。
なお、上述の説明においては中間転写体として中間転写ベルト5を使用する場合について説明したが、中間転写体は、上記中間転写ベルト5のようにベルト状であってもよく、ドラム状であってもよい。ベルト状とする場合中間転写体の基材として用いる樹脂材料としては、従来公知の樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド等の樹脂材料及びこれらを主原料としてなる樹脂材料が挙げられる。さらに、樹脂材料と弾性材料をブレンドして用いてもよい。
次に、この画像形成装置1000’における画像形成の動作について説明する。
4つの像保持体61K,61C、61M,61Yは、帯電部材65K,65C,65M,65Yによりそれぞれ帯電され、さらに露光部7K,7C,7M,7Yから照射されるレーザ光を受けて各像保持体上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器64K,64C,64M,64Yによってそれぞれの色のトナーを含む静電潜像現像剤で現像されてトナー画像が形成される。このようにして形成された各色のトナー画像は、各色に対応した1次転写ロール50K,50C,50M,50Yにおいて、中間転写ベルト5上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に順次転写(1次転写)されて重ね合わされていき、多色の1次転写像が形成される。
そして、この多色の1次転写像は、中間転写ベルト5により2次転写ロール対9まで運搬されていく。一方、多色の1次転写像の形成と呼応して、用紙が給紙手段1’から取り出されて搬送ロール3によって搬送され、さらに位置合わせロール対8によって位置を整えられる。そして、2次転写ロール対9によって、上述の多色の1次転写像が、搬送されてきた用紙に転写(2次転写)され、さらに定着器10’によって用紙上の2次転写像に定着処理が施される。定着処理後、定着像を有する用紙は、送出ロール対13を通過して、排紙受け2に排出される。
以上が、この画像形成装置1000’における画像形成の動作についての説明である。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱自在とされていれば特に限定されるものではなく、例えば、電子写真感光体を帯電する帯電手段、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段、前記電子写真感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段及び転写後の前記電子写真感光体の残留トナーを除去するクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一種を一体に有していてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は質量部を意味する。
〔実施例1〕
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛粒子60質量部と、アリザリン0.6質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引層用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ25μmの下引層を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層用塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
(A液の調製)
次に、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw5.5万、Mw/Mn=6.1、l=100、m=50、n=10、フッ素原子含有量25質量%)0.03質量部を、トルエン2.33質量部に溶解させた液に、4フッ化エチレン樹脂粒子1.00質量部(平均粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。

(B液の調製)
次に、電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部を混合してテトラヒドロフラン24質量部及びトルエン11質量部を混合溶解し、B液を得た。
このB液に前記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cmまで昇圧しての分散処理を4回繰り返した液に、シリコーンオイル(商品名:KP340 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、十分に撹拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、目的の電子写真感光体を得た。
<評価>
このようにして得られた電子写真感光体をドラムカートリッジに装着した富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機を用い、28℃/85%環境下にて、プリントテスト(細線再現性の評価)および残留電位の評価を行った。
また、前記電荷輸送層形成用塗布液については、分散性の評価を行った。
評価及び測定の詳細は以下のとおりである。
得られた結果を表1に示す。
(細線再現性の評価)
28℃85%環境下にて、A3用紙(富士ゼロックス製、C紙)1万枚に、1ドットライン画像(用紙送り方向に対して平行(縦)、垂直(横)、45度(斜め)ライン画像)を形成した。
1万枚の画像形成中、細線画像におけるラインかすれを目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A … 1万枚目においてもラインかすれは発生せず、細線再現性に極めて優れていた。
B … 画像形成7500枚以上1万枚未満で、斜めラインのみにおいてかすれが発生したが、細線再現性が実用上の許容範囲内であった。
C … 画像形成7500枚以上1万枚未満で、縦ライン、横ライン及び斜めラインにおいてかすれが発生したが、細線再現性が実用上の許容範囲内であった。
D … 画像形成5000枚以上7500未満で、斜めラインのみにおいてかすれが発生したが、細線再現性が実用上の許容範囲内であった。
E … 画像形成5000枚以上7500未満で、縦ライン、横ライン及び斜めラインにおいてかすれが発生したが、細線再現性が実用上の許容範囲内であった。
F … 画像形成5000枚未満でラインかすれが発生し、細線再現性が実用上の許容範囲を超えていた。
(残留電位の上昇分の測定)
上記1万枚の画像形成において電子写真感光体表面の残留電位を測定し、1枚目画像形成後の残留電位と、1万枚目画像形成後の残留電位と、の差(=1万枚画像形成後の残留電位−1枚目画像形成後の残留電位)を求め、残留電位の上昇分とした。
残留電位測定は、富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Centre Color f450改造機に電位センサーを取り付け、測定を行った。
(電荷輸送層用塗布液の分散性の評価)
上記方法にて調整した電荷輸送用塗布液の分散性は、塗布液をテトラヒドロフランにて10倍に希釈し、堀場製作所製LA920レーザー回折散乱式粒度分布測定装置にて粒度分布を測定した。詳細には、粒度分布測定結果における0.3μm以下粒子割合値に基づき、下記評価基準に従って分散性を評価した。
−評価基準−
A … 0.3μm以下粒子割合が90個数%以上であり、分散性に極めて優れていた。
B … 0.3μm以下粒子割合が75個数%以上90個数%未満であり、分散性に優れていた。
C … 0.3μm以下粒子割合が60個数%以上75個数%未満であり、分散性が実用上の許容範囲内であった。
D … 0.3μm以下粒子割合が60個数%未満であり、分散性が実用上の許容範囲内を超えていた。
〔実施例2〕
実施例1において、A液及びB液を以下のようにして調製されたA液及びB液に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(A液の調製)
下記式(2)で表されるパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw19.5万、Mw/Mn=7.9、l=50、m=100、n=10、フッ素原子含有量12質量%)0.02質量部を、テトラヒドロフラン1.63質量部とトルエン0.70質量部に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1.00質量部(平均粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。

(B液の調製)
電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部を混合してテトラヒドロフラン26.25質量部及びトルエン9.92質量部を混合溶解し、B液を得た。
〔実施例3〕
実施例1において、A液及びB液を以下のようにして調製されたA液及びB液に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(A液の調製)
下記式(3)で表されるパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw9万、Mw/Mn=6.8、l=90、m=45、n=10、フッ素原子含有量28質量%)0.03質量部を、トルエン2.33質量部に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1.00質量部(平均粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。
(B液の調製)
電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部を混合してテトラヒドロフラン26.25質量部及びトルエン9.92質量部を混合溶解し、B液を得た。
〔実施例4〕
実施例1において、A液及びB液を以下のようにして調製されたA液及びB液に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(A液の調製)
実施例3で用いたパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw9万、Mw/Mn=6.8、l=90、m=45、n=10、フッ素原子含有量28質量%)3質量部をメチルエチルケトン7質量部に溶解し、得られた溶液をメタノール20質量部に滴下し、再沈殿させた。最沈殿物をろ過したのち、メタノールで洗浄したのち80℃にて減圧乾燥を行い、精製パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw10.5万、Mw/Mn=2.4、l=90、m=45、n=10、フッ素原子含有量28質量%)を得た。
得られた精製パーフルオロアルキル基含有メタクリル子ポリマー0.02質量部を、テトラヒドロフラン1.63質量部とトルエン0.70質量部に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1質量部(平均粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。
(B液の調製)
電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部を混合してテトラヒドロフラン26.25質量部及びトルエン9.92質量部を混合溶解し、B液を得た。
〔実施例5〕
実施例1において、A液及びB液を以下のようにして調製されたA液及びB液に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(A液の調製)
実施例1で用いたパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw5.5万、Mw/Mn=6.1、l=100、m=50、n=10、フッ素原子含有量25質量%)3質量部をメチルエチルケトン7質量部に溶解し、得られた溶液にメタノール10質量部を滴下し、再沈殿させた。最沈殿物をデカンテーションによりメタノール洗浄したのち、80℃にて減圧乾燥を行った。得られた乾燥沈殿物を3質量部をメチルエチルケトン7質量部に溶解し、得られた溶液をメタノール20質量部に滴下し、再沈殿させた。再沈殿物をろ過したのち、メタノールで洗浄したのち80℃にて減圧乾燥を行い、精製パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw6.5万、Mw/Mn=1.4、l=100、m=50、n=10、フッ素原子含有量25質量%)を得た。得られた精製パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー0.02質量部を、テトラヒドロフラン1.63質量部とトルエン0.70質量部に溶解させた液に4フッ化エチレン樹脂粒子1質量部(平均粒径:0.2μm)を入れ、20℃の液温に保ちながら48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液(A液)を得た。
(B液の調製)
電荷輸送物質としてN,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン5.32質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)7.05質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.13質量部を混合してテトラヒドロフラン26.25質量部及びトルエン9.92質量部を混合溶解し、B液を得た。
〔実施例6〕
実施例1において、パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマーの量を0.007質量部に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
〔実施例7〕
実施例1において、パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマーの量を0.07質量部に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマーを、下記構造式で表されるパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw4.5万、Mw/Mn=10.2、l=50、m=50、n=50、フッ素原子含有量9質量%)0.03質量部に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。

〔比較例2〕
実施例1において、パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマーを、前記式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw4.9万、Mw/Mn=8.2、l=100、m=50、n=10、フッ素原子含有量25質量%)0.03質量部に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、パーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマーを、前記式(1)で表されるパーフルオロアルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量Mw23万、Mw/Mn=9.5、l=100、m=50、n=10、フッ素原子含有量25質量%)0.03質量部に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1乃至実施例7(特に、実施例4及び実施例5)では、1万枚プリントテスト前後での残留電位上昇が抑制されており、1万枚プリントテスト後の細線再現性が良好であった。
また、実施例1乃至実施例7(特に、実施例4及び実施例5)では、A液の分散性が良好であった。
1 給紙手段
2 排紙受け
3 搬送ロール
5 中間転写ベルト
7a 除電ランプ
7 露光部
8 レジロール対
9 2次転写ロール対
10,10’ 定着器
13 送出ロール対
50 転写ロール
61 像保持体
62 クリーニング装置
64 現像器
65 帯電部材
65a 電源
100 プロセスカートリッジ
100a 支持部材
101 電子写真感光体
102 導電性支持体
103 感光層
104 下引き層
105 電荷発生層
106 電荷輸送層
1000、1000’ 画像形成装置

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、表面層が、下記構造式Aで表される構造単位及び下記構造式Bで表される構造単位を含み、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下であり、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比〔Mw/Mn〕が1以上8以下であり、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する電子写真感光体。


    〔上記構造式A及び構造式B中、l、m、及びnは各々独立に1以上の整数を表す。p、q、r、及びsは各々独立に0又は1以上の整数を表し、tは0又は1以上5以下の整数を表す。R、R、R、及びRは各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、Xは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表し、Yは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。〕
  2. 前記フッ素系グラフトポリマーは、重量平均分子量Mwが8万以上20万以下であり、かつ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比〔Mw/Mn〕が1以上5以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記表面層中における前記フッ素系グラフトポリマーの含有量が、前記フッ素含有樹脂粒子に対して0.5質量%以上5.0質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記電子写真感光体に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー画像として現像する現像手段と、
    前記電子写真感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する転写手段と、
    前記被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を有する画像形成装置。
  6. 下記構造式Aで表される構造単位及び下記構造式Bで表される構造単位を含み、フッ素含有量が10質量%以上40質量%以下であり、重量平均分子量Mwが5万以上20万以下であり、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比〔Mw/Mn〕が1以上8以下であり、炭素数1以上6以下のパーフルオロアルキル基を有するフッ素系グラフトポリマーと、フッ素含有樹脂粒子と、を含有する分散液。


    〔上記構造式A及び構造式B中、l、m、及びnは各々独立に1以上の整数を表す。p、q、r、及びsは各々独立に0又は1以上の整数を表し、tは0又は1以上5以下の整数を表す。R、R、R、及びRは各々独立に水素原子又はアルキル基を表し、Xは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−S−、−O−、−NH−、又は単結合を表し、Yは無置換アルキレン鎖、ハロゲン置換アルキレン鎖、−(C2z−1(OH))−、又は単結合を表す。zは1以上の整数を表す。〕
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